説明

基板処理装置

【課題】基板をそれぞれ搭載する複数のサセプタに高周波電力を印加して、誘導加熱により当該複数のサセプタを加熱して基板を処理する基板処理装置であって、積層方向において均熱領域をより長く確保することが可能な基板処理装置を提供する。
【解決手段】複数のサセプタ150を積層して保持するサセプタ保持部材217と、複数のサセプタを収容する容器203と、容器の外側に配置された誘導コイル207と、容器203の外側に配置された保温材360と、を備え、容器203は上側の閉塞部270と、側壁部272とを有し、保温材360は、容器203の閉塞部270を覆うと共に、閉塞部270から側壁部272の一部までを覆って側壁部272と誘導コイル207との間を延在して設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置に関し、特に、基板をそれぞれ搭載する複数のサセプタに高周波電力を印加して、誘導加熱により当該複数のサセプタを加熱して基板を処理する基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板をそれぞれ搭載する複数のサセプタに高周波電力を印加して、誘導加熱により当該複数のサセプタを加熱して基板を処理する基板処理装置では、誘導加熱される各サセプタに基板が搭載されているので、加熱元であるサセプタを基板の間近に設置することになり、基板処理中であってもサセプタを収容する反応管等の温度を低く抑えることができ、反応管等の内壁に反応生成物が付着して成膜されてしまうことが起こり難い構造となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このように、サセプタを収容する反応管等の温度を低く抑えることができることが利点であるので、反応管の外側を断熱材等で覆って全体の温度を均一化することは当該利点をなくしてしまうこととなり困難である。
【0004】
外側を断熱材等で覆わないと、サセプタの積層方向、特に上側の放熱が大きく、積層方向において均熱領域を長く確保することが困難である。
【0005】
本発明の主な目的は、基板をそれぞれ搭載する複数のサセプタに高周波電力を印加して、誘導加熱により当該複数のサセプタを加熱して基板を処理する基板処理装置であって、積層方向において均熱領域をより長く確保することが可能な基板処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、
複数のサセプタを積層して保持するサセプタ保持部材と、
前記サセプタ保持部材に保持された前記複数のサセプタを収容する容器と、
前記容器の外側に配置された誘導コイルと、
前記誘導コイルに高周波電力を供給する高周波電源と、
前記複数のサセプタの積層方向における一方の側において、前記容器の外側に設けられた保温材と、を備え
前記容器は前記一方の側において閉塞した形状であって、前記積層方向に延在する側壁部と、前記一方の側の閉塞部とを有し、
前記誘導コイルの前記積層方向の一端部は、前記積層方向の前記一方の側において、前記複数のサセプタよりも外側に配置され、
前記保温材は、前記容器の前記閉塞部を覆うと共に、前記閉塞部から前記側壁部の一部までを覆って前記側壁部と前記誘導コイルとの間を延在して設けられ、
前記複数のサセプタは前記誘導コイルに前記高周波電源から印加される高周波電力によって誘導加熱され、
前記複数のサセプタのうち、前記積層方向における少なくとも中央部に配置されるサセプタは被処理基板を搭載用のサセプタである基板処理装置が提供される。
【0007】
また、本発明によれば、
複数のサセプタを積層して保持するサセプタ保持部材と、
前記サセプタ保持部材に保持された前記複数のサセプタを収容する容器と、
前記容器の外側に配置された誘導コイルと、
前記誘導コイルに高周波電力を供給する高周波電源と、を備え
前記複数のサセプタは前記誘導コイルに前記高周波電源から印加される高周波電力によって誘導加熱され、
前記複数のサセプタのうち、前記積層方向における少なくとも中央部に配置されるサセプタは被処理基板搭載用のサセプタであり、
前記複数のサセプタのうち、前記積層方向における両側のうちの少なくとも一方の側のサセプタは、前記被処理基板搭載用のサセプタよりも発熱量が小さいダミーサセプタである基板処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、基板をそれぞれ搭載する複数のサセプタに高周波電力を印加して、誘導加熱により当該複数のサセプタを加熱して基板を処理する基板処理装置であって、積層方向において均熱領域をより長く確保することが可能な基板処理装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の好ましい実施の形態で好適に用いられる基板処理装置の構成を説明するための概略斜透視図である。
【図2】図2は、本発明の好ましい実施の形態で好適に用いられるサセプタ保持機構140でウエハ200がサセプタ150に装填されている状態を示す概略横断面図である。
【図3】図3は、図2のAA線概略縦断面図である。
【図4】図4は、サセプタ保持機構140でウエハ200をサセプタ150に装填する方法およびウエハ200をサセプタ150から脱装する方法を説明するための概略縦断面図である。
【図5】図5は、本発明の好ましい第1の実施の形態で好適に用いられる処理炉の一例とそれに付随する部材を説明するための概略構成図であって、処理炉部分を概略縦断面で示す図である。
【図6】図6は、図5に示す処理炉のBB線概略横断面図である。
【図7】図7は、本発明の好ましい第1の実施の形態の基板処理装置で好適に用いられるコントローラと当該コントローラによって制御される各部材を説明するためのブロック図である。
【図8】図8は、本発明の好ましい第1および第2の実施の形態で好適に用いられる処理炉を説明するための概略縦断面図である。
【図9】図9は、比較のための処理炉を説明するための概略縦断面図である。
【図10】図10は、本発明の好ましい第3の実施の形態で好適に用いられる処理炉を説明するための概略縦断面図である。
【図11】図11は、本発明の好ましい第4の実施の形態で好適に用いられる処理炉を説明するための概略縦断面図である。
【図12】図12は、本発明の好ましい第5の実施の形態で好適に用いられる処理炉を説明するための概略縦断面図である。
【図13】図13は、本発明の好ましい第6の実施の形態で好適に用いられる処理炉を説明するための概略縦断面図である。
【図14】図14は、比較のための処理炉を説明するための概略縦断面図である。
【図15】図15は、本発明の好ましい第7の実施の形態で好適に用いられる処理炉を説明するための概略縦断面図である。
【図16】図16は、比較のための処理炉を説明するための概略縦断面図である。
【図17】図17は、本発明の好ましい第7の実施の形態で好適に用いられる処理炉を説明するための概略縦断面図である。
【図18】図18は、本発明の好ましい第7の実施の形態で好適に用いられる処理炉を説明するための概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0011】
まず、本発明の各好ましい実施の形態で好適に使用される基板処理装置について説明する。この基板処理装置は、半導体装置の製造に使用される半導体製造装置の一例として構成されているものである。
【0012】
下記の説明では、基板処理装置の一例として、基板に対し成膜処理等をおこなう縦型の装置を使用した場合について述べる。
【0013】
図1を参照すれば、基板処理装置101では、基板の一例となるウエハ200を収納したカセット110が使用されており、ウエハ200は半導体シリコン等の材料から構成されている。基板処理装置101は筐体111を備えており、筐体111の内部にはカセットステージ114が設置されている。カセット110はカセットステージ114上に工程内搬送装置(図示せず)によって搬入されたり、カセットステージ114上から搬出されたりする。
【0014】
カセットステージ114上にはカセット110が、工程内搬送装置(図示せず)によって、カセット110内のウエハ200が垂直姿勢を保持しかつカセット110のウエハ出し入れ口が上方向を向くように載置される。カセットステージ114は、カセット110を筐体111の後方に右回り縦方向90°回転し、カセット110内のウエハ200が水平姿勢となり、カセット110のウエハ出し入れ口が筐体111の後方を向くように動作可能となるよう構成されている。
【0015】
筐体111内の前後方向の中央部より前方側にはカセット棚105が設置されており、カセット棚105は複数段複数列にて複数個のカセット110を保管するように構成されている。カセット棚105にはウエハ移載機構125の搬送対象となるカセット110が収納される移載棚123が設けられている。
【0016】
カセットステージ114の上方には予備カセット棚107が設けられ、予備的にカセット110を保管するように構成されている。
【0017】
カセットステージ114とカセット棚105との間には、カセット搬送装置118が設置されている。カセット搬送装置118は、カセット110を保持したまま昇降可能なカセットエレベータ118aと、搬送機構としてのカセット搬送機構118bとを備えている。カセット搬送装置118はカセットエレベータ118aとカセット搬送機構118bとの連動動作により、カセットステージ114とカセット棚105と予備カセット棚107との間で、カセット110を搬送するように構成されている。
【0018】
カセット棚105の後方には、ウエハ移載装置125が設置されている。ウエハ移載装置125は、ウエハ200を水平方向に回転ないし直動可能なウエハ移載機構125aと、ウエハ移載機構125aを昇降させるためのウエハ移載機構エレベータ125bとを備えている。ウエハ移載機構125aにはウエハ200をピックアップするためのツイーザ125cが設けられている。ウエハ移載装置125はウエハ移載機構125aとウエハ移載機構エレベータ125bとの連動動作により、ツイーザ125cをウエハ200の載置部として、ウエハ200を、カセット棚105に載置されたカセット110から脱装(ディスチャージング)して、サセプタ保持機構140に保持されたサセプタ150に装填(チャージング)したり、サセプタ保持機構140に保持されたサセプタ150から脱装(ディスチャージング)して、カセット棚105に載置されたカセット110に装填(チャージング)したりするように構成されている。
【0019】
次に、サセプタ保持機構140において、ウエハ200をサセプタ150に装填している状態を説明する。図2は、ウエハ200をサセプタ150に装填している状態を説明するための概略横断面図であり、図3は、図2のAA線概略縦断面図である。サセプタ保持機構140は、基台146(図1参照)と、基台146に立設された支柱142と、支柱142から水平に突き出して設けられたサセプタ保持部144とを備えている。サセプタ150は、サセプタ保持部144上に搭載されている。サセプタ150は、円盤形状をしており、周縁部152と円形状の中央部154とを有している。サセプタ150の中央部154にウエハ200が搭載されている。サセプタ150の中央部154は、ウエハ200よりも大きい円盤状になっており、サセプタ150の中央部154内にウエハ200が内包されるようになっている。さらに、図3を参照すれば、サセプタ150の周縁部152は、サセプタ150の中央部154よりも高さが高くなっており、サセプタ150には、周縁部152と中央部154との境界領域に段差部156が形成されている。すなわち、サセプタ150は、周縁部152に対して中央部154が窪んだ形状となっており、この窪んだ中央部154内にウエハ200が搭載されている。サセプタ150の中央部154には、複数のピン孔160が設けられており、このピン孔160に保持部材162が埋め込まれている。サセプタ150の中央部154の上面と埋め込まれた保持部材162の上面は面一である。
【0020】
次に、サセプタ保持機構140で、ウエハ200をサセプタ150に装填する方法およびウエハ200をサセプタ150から脱装する方法について説明する。図4は、ウエハ200をサセプタ150に装填する方法およびウエハ200をサセプタ150から脱装する方法を説明するための概略縦断面図である。図4を参照すれば、サセプタ保持機構140には、ウエハ200を突き上げるための突き上げピン182と、突き上げピン182を昇降させる突き上げピン昇降機構180が設けられている。突き上げピン昇降機構180によって、突き上げピン182を上昇させて、ピン孔160に埋め込まれていた保持部材162を上昇させると、保持部材162と共にウエハ200は、サセプタ150から分離する。その後、ツィーザ125cをウエハ200とサセプタ150との間に挿入し、ツィーザ125cを持ち上げて、ウエハ200をウエハ移載機構125のツィーザ125c上に搭載し、保持部材162からウエハ200を分離する。このようにして、ウエハ200をサセプタ218から脱装する。ウエハ200をサセプタ150に装填するには、突き上げピン昇降機構180によって突き上げピン182を上昇させ、ピン孔160に埋め込まれていた保持部材162を上昇させた状態で、ウエハ200を搭載したウエハ移載機構125のツィーザ125cによって、ウエハ200をサセプタ保持機構140に保持されたサセプタ150上まで搬送し、ツィーザ125cを下降させてウエハ200を保持部材162上に搭載する。その後、ツィーザ125cをウエハ200とサセプタ150との間から抜き取り、突き上げピン昇降機構180によって突き上げピン182を下降させて、ピン孔160に保持部材162を埋め込むと共に、ウエハ200をサセプタ150に装填する。
【0021】
図1を再び参照すれば、基板処理装置101は、サセプタ保持機構140に保持されたサセプタ150を移載するサセプタ移載機構126を、サセプタ保持機構140の後方に備えている。サセプタ移載機構126は、サセプタ150を水平方向に回転ないし直動可能なサセプタ移載機構126aと、サセプタ移載機構126aを昇降させるためのサセプタ移載機構エレベータ126bとを備えている。サセプタ移載機構126aにはサセプタ150をピックアップするためのツイーザ126cが設けられている。サセプタ移載装置126はサセプタ移載機構126aとサセプタ移載機構エレベータ126bとの連動動作により、ツイーザ126cをサセプタ150の載置部として、サセプタ150を、サセプタ保持機構140から脱装(ディスチャージング)して、後述するボート217に装填(チャージング)したり、ボート217から脱装(ディスチャージング)して、サセプタ保持機構140に装填(チャージング)したりするように構成されている。
【0022】
カセット棚105の上方には、清浄化した雰囲気であるクリーンエアを供給するクリーンユニット134aが設置されている。クリーンユニット134aは供給ファン(図示せず)および防塵フィルタ(図示せず)を備えている。当該クリーンエアは、筐体111の内部を流通し、その後、筐体111の外部に排気されるようになっている。
【0023】
筐体111の左側端部には、クリーンエアを供給するクリーンユニット134bが設置されている。クリーンユニット134bも供給ファン(図示せず)および防塵フィルタ(図示せず)を備えており、クリーンエアをウエハ移載機構125a、サセプタ保持機構140、サセプタ移載機構126a等の近傍を流通させるように構成されている。当該クリーンエアは、ウエハ移載機構125a、サセプタ保持機構140、サセプタ移載機構126a等の近傍を流通した後に、筐体111の外部に排気されるようになっている。
【0024】
筐体111の後部上方には、ウエハ200を熱処理する処理炉202が設けられている。処理炉202の下部には、大気圧未満の圧力(以下、負圧という)を維持可能な気密性能を有する筐体(以下、耐圧筐体という)711が設置されている。耐圧筐体711によりボート217を収容可能な容積を有するロードロック方式の待機室であるロードロック室710が形成されている。
【0025】
(第1の実施の形態)
図5を参照すれば、処理炉202は、高周波電流を印加することにより加熱するための誘導加熱装置260を有する。この誘導加熱装置260は円筒状に形成されており、誘導加熱部としての誘導コイル207と壁体810と水冷板820とを備えている。壁体810は、銅等の金属から構成されている。この壁体810は、円筒形状であり、内部にヒータ室811を形成する。
【0026】
壁体810の内側には、この壁体810と同心円状に、水冷板820が設けられている。水冷板820は、銅等の金属から構成されている。水冷板820には、内部に冷却水が流通可能なように、ほぼ全域に冷却媒体流路が形成されている。壁体810の上端には、その中央に開口部812が形成されている。開口部812の下流側には、ダクト813が接続されており、このダクト813には、冷却装置としてのラジエータ814と、排気装置としてのブロア816が接続されている。
【0027】
誘導コイル207は、水冷板820の内側に設けられている。誘導コイル207は高周波電源250に接続されており、この高周波電源250によって、誘導コイル207には高周波(RF)電力が供給されるようになっている。
【0028】
誘導コイル207の内側には、誘導コイル207と同心円状に外側反応管としてのアウターチューブ203と、内側反応管としてのインナーチューブ350が設けられている。インナーチューブ350は、耐熱性材料である石英(SiO)からなり、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。インナーチューブ350内には処理室201が形成されている。インナーチューブ350の側壁356には、ガス供給管352が設けられている。ガス供給管352が設けられたインナーチューブ350の側壁356には、複数のガス供給口354が設けられている。
【0029】
図6は、図5のBB線概略横断面図であり、ボート217の部分を示している。図6を参照すれば、ボート217は、3本の支柱212を備えている。3本の支柱212には複数のサセプタ保持部213がそれぞれ設けられている。基板としてのウエハ200をそれぞれ搭載した状態で、被誘導体としてのサセプタ150がサセプタ保持部213に保持されて、ウエハ200は、ボート217によって水平姿勢で垂直方向に多段に整列した状態でインナーチューブ350内に収容されている。
【0030】
アウターチューブ203は、耐熱性材料である石英からなり、内径がインナーチューブ350の外径よりも大きく上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されており、インナーチューブ350と同心円状に設けられている。アウターチューブ203の外側であって、誘導コイル207の内側には、保温材360が設けられている。
【0031】
誘導加熱装置260の壁体810と水冷板820とを貫通して、処理室201内のサセプタ150やウエハ200等の温度を検出する温度検出体としての放射温度計830が、例えば、4箇所に設置されている。この放射温度計830は、少なくとも一つ設置されていればよいが、複数個の放射温度計830を設置することで温度制御性を向上させることができる。放射温度計830により検出された温度情報に基づき誘導コイル207への供給電力を調整することで、処理室201内の温度が所望の温度分布となるように構成されている。
【0032】
アウターチューブ203の下側にはマニホールド209が設けられている。アウターチューブ203の下部開口部の外側には環状のフランジ204が設けられている。マニホールド209は、筒状の側壁208と、側壁208の上部開口部および下部開口部の外側にそれぞれ設けられた環状のフランジ205、206とを備えている。反応管203のフランジ204とマニホールド209の上側のフランジ205との間には気密部材としてのOリング222が配置され、両者の間は気密にシールされている。
【0033】
マニホールド209の側壁208の上部から内側に向けて環状のインナーチューブ支持部215が突き出している。インナーチューブ支持部215上に、インナーチューブ350が搭載されている。ガス供給管352もインナーチューブ支持部215上に搭載されており、インナーチューブ支持部215に設けられたガス供給口342がガス供給管352に連通している。
【0034】
マニホールド209の下側にはゲートバルブ730が取り付けられている。マニホールド209の下側のフランジ206にゲートバルブ730が取り付けられ、マニホールド209の下端部がゲートバルブ730によって開閉されるように構成されている。
【0035】
ゲートバルブ730は、取付部材740を介して耐圧筐体711に取り付けられている。耐圧筐体711の天井壁720には貫通孔721が設けられ、貫通孔721には、取付部材740が取り付けられている。取付部材740は、筒状の側壁744と、側壁744の上部開口部および下部開口部の外側にそれぞれ設けられた環状のフランジ742、746とを備えている。取付部材740の側壁744に耐圧筐体711の天井壁720が取り付けられている。取付部材740の上側のフランジ742には、ゲートバルブ730が取り付けられている。
【0036】
耐圧筐体711で形成されるロードロック室710内には、反応管203に対しボート217を昇降させるボートエレベータ115が設けられている。ボートエレベータ115の昇降台にはアーム128が連結されている。アーム128には、取付部材740の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ219が水平に設けられている。
【0037】
シールキャップ219は取付部材740の下端に垂直方向下側から当接されるようになっている。シールキャップ219は例えばステンレス等の金属からなり、円盤状に形成されている。取付部材740の下端開口端部に設けられた環状のフランジ746とシールキャップ219の上面との間には気密部材(以下Oリング)220が配置され、両者の間は気密にシールされている。少なくとも、インナーチューブ350、マニホールド209、取付部材740およびシールキャップ219により処理室201が形成されている。
【0038】
シールキャップ219上には、後述する回転軸265を介して、ボート217が立設されている。ボート217は例えば石英や炭化珪素等の耐熱性材料で構成されている。ボート217には複数のサセプタ150が保持される。複数のサセプタ150は、互いに一定の間隔をあけながら水平姿勢を保持しかつ互いに中心を揃えた状態で反応管203の管軸方向に多段に積載されボート217の支柱212に支持されている。
【0039】
シールキャップ219の処理室201と反対側にはボート217を回転させるボート回転機構267が設けられている。ボート回転機構267の回転軸265はシールキャップ219を貫通してボート217に接続されており、回転機構267によって、ボート217を回転させることでサセプタ150およびその上に搭載されたウエハ200を回転させる。
【0040】
シールキャップ219は昇降機構としてのボートエレベータ115によって垂直方向に昇降され、これによりボート217を処理室201内に対し搬入搬出することが可能となっている。
【0041】
なお、反応管203、サセプタ150、ウエハ200、ボート217および回転軸265は同心円状に設けられている。
【0042】
図1を参照すれば、耐圧筐体711の前壁714にはサセプタ搬入搬出口712が開設されており、サセプタ搬入搬出口712はゲートバルブ770によって開閉されるようになっている。耐圧筐体711の左側の側壁716にはロードロック室710へ窒素ガス等の不活性ガスを供給するためのガス供給管750が接続され、右側の側壁718には、ロードロック室141内を負圧に排気するための排気管760が接続されている。
【0043】
図5を参照すれば、ガス供給管750には、上流側から順に、流量制御装置であるマスフローコントローラ752および開閉弁であるバルブ754が設けられている。主に、ガス供給管750、マスフローコントローラ752およびバルブ754によりロードロック室710へのガス供給系751が構成されている。
【0044】
排気管760には、ロードロック室710内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ762および開閉弁であるバルブ764を介して真空排気装置としての真空ポンプ766が接続されており、ロードロック室710内の圧力が所定の圧力(真空度)となるよう真空排気し得るように構成されている。真空ポンプ764の下流側は排気管232に接続されている。主に、排気管760、圧力センサ762、バルブ764、真空ポンプ766によりロードロック室710の排気系761が構成される。
【0045】
以上の処理炉202およびロードロック室710では、ゲートバルブ770を開け、サセプタ搬入搬出口712を介して、サセプタ保持機構140に保持され、バッチ処理される複数枚のウエハ200を1枚ずつそれぞれ搭載したサセプタ150が、サセプタ移載装置126によって、ボート217に多段に積層されるように搭載され、ゲートバルブ770が閉められ、ゲートバルブ730も閉められた状態で、排気系761によってロードロック室710内を排気し、その後、ガス供給系751によってロードロック室710内を窒素ガスによって大気圧とし、その後、ゲートバルブ730を開け、ボート217を処理室201内に挿入し、シールキャップ219によって、取付部材740の下端開口を気密に閉塞した後、誘導コイル207に高周波電力を供給して誘導加熱によって所定の温度にサセプタ150を加熱し、後述するガス供給管340から所定の処理ガスを供給して処理室201内でウエハ100の処理を行い、ウエハ100の処理が終わると、後述するガス供給管340から所定の処理ガスの供給を停止し、誘導コイル207への高周波電力の供給を停止し、ボート217を下降させて処理室201から搬出し、ゲートバルブ730を閉じ、ゲートバルブ770を開けて、サセプタ搬入搬出口712を介して、サセプタ移載装置126によってウエハ200を搭載したサセプタ150をロードロック室710から搬出し、サセプタ保持機構140に移載し、その後、サセプタ保持機構140に保持されたサセプタ150からウエハ200を、ウエハ移載装置125によって、カセット棚105の移載棚123に収納されたカセット110に移載するようになっている。
【0046】
図5を参照すれば、原料ガスを供給するための3本のガス供給管310、320、330が設けられている。
【0047】
ガス供給管310には、上流側から順に流量制御装置(流量制御手段)であるマスフローコントローラ312および開閉弁であるバルブ313が設けられている。
【0048】
さらに、ガス供給管310には、マスフローコントローラ312とバルブ313との間に、後述の排気管232に接続されたベントライン610及びバルブ612が設けられている。
【0049】
主に、ガス供給管310、マスフローコントローラ312、バルブ313、ベントライン610、バルブ612によりガス供給系(ガス供給手段)301が構成されている。
【0050】
また、ガス供給管310にはキャリアガスを供給するためのキャリアガス供給管510が、バルブ313の下流側で接続されている。キャリアガス供給管510にはマスフローコントローラ512及びバルブ513が設けられている。主に、キャリアガス供給管510、マスフローコントローラ512、バルブ513によりキャリアガス供給系(不活性ガス供給系、不活性ガス供給手段)501が構成されている。
【0051】
ガス供給管310では、気体原料ガスがマスフローコントローラ312で流量調整されて供給される。
【0052】
原料ガスを処理室201に供給していない間は、バルブ313を閉じ、バルブ612を開けて、バルブ612を介して原料ガスをベントライン610に流しておく。
【0053】
そして、原料ガスを処理室201に供給する際には、バルブ612を閉じ、バルブ313を開けて、原料ガスをバルブ313の下流のガス供給管310に供給する。一方、キャリアガスがマスフローコントローラ512で流量調整されてバルブ513を介してキャリアガス供給管510から供給され、原料ガスはバルブ313の下流側でこのキャリアガスと合流し、処理室201に供給される。
【0054】
ガス供給管320には、上流側から順に流量制御装置(流量制御手段)であるマスフローコントローラ322および開閉弁であるバルブ323が設けられている。
【0055】
さらに、ガス供給管320には、マスフローコントローラ322とバルブ323との間に、後述の排気管232に接続されたベントライン620及びバルブ622が設けられている。
【0056】
主に、ガス供給管320、マスフローコントローラ322、バルブ323、ベントライン620、バルブ622によりガス供給系(ガス供給手段)302が構成されている。
【0057】
また、ガス供給管320にはキャリアガスを供給するためのキャリアガス供給管520が、バルブ323の下流側で接続されている。キャリアガス供給管520にはマスフローコントローラ522及びバルブ523が設けられている。主に、キャリアガス供給管520、マスフローコントローラ522、バルブ523によりキャリアガス供給系(不活性ガス供給系、不活性ガス供給手段)502が構成されている。
【0058】
ガス供給管320では、気体原料ガスがマスフローコントローラ322で流量調整されて供給される。
【0059】
原料ガスを処理室201に供給していない間は、バルブ323を閉じ、バルブ622を開けて、バルブ622を介して原料ガスをベントライン620に流しておく。
【0060】
そして、原料ガスを処理室201に供給する際には、バルブ622を閉じ、バルブ323を開けて、原料ガスをバルブ323の下流のガス供給管320に供給する。一方、キャリアガスがマスフローコントローラ522で流量調整されてバルブ523を介してキャリアガス供給管520から供給され、原料ガスはバルブ323の下流側でこのキャリアガスと合流し、処理室201に供給される。
【0061】
ガス供給管330には、上流側から順に流量制御装置(流量制御手段)であるマスフローコントローラ332および開閉弁であるバルブ333が設けられている。
【0062】
さらに、ガス供給管330には、マスフローコントローラ332とバルブ333との間に、後述の排気管232に接続されたベントライン630及びバルブ632が設けられている。
【0063】
主に、ガス供給管330、マスフローコントローラ332、バルブ333、ベントライン630、バルブ632によりガス供給系(ガス供給手段)303が構成されている。
【0064】
また、ガス供給管330にはキャリアガスを供給するためのキャリアガス供給管530が、バルブ333の下流側で接続されている。キャリアガス供給管530にはマスフローコントローラ532及びバルブ533が設けられている。主に、キャリアガス供給管530、マスフローコントローラ532、バルブ533によりキャリアガス供給系(不活性ガス供給系、不活性ガス供給手段)503が構成されている。
【0065】
ガス供給管330では、気体原料ガスがマスフローコントローラ332で流量調整されて供給される。
【0066】
原料ガスを処理室201に供給していない間は、バルブ333を閉じ、バルブ632を開けて、バルブ632を介して原料ガスをベントライン630に流しておく。
【0067】
そして、原料ガスを処理室201に供給する際には、バルブ632を閉じ、バルブ333を開けて、原料ガスをバルブ333の下流のガス供給管330に供給する。一方、キャリアガスがマスフローコントローラ532で流量調整されてバルブ533を介してキャリアガス供給管530から供給され、原料ガスはバルブ333の下流側でこのキャリアガスと合流し、処理室201に供給される。
【0068】
ガス供給管310の下流側、ガス供給管320の下流側およびガス供給管330の下流側は合流してガス供給管340に接続されている。ガス供給管340は、マニホールド209を貫通して設けられており、マニホールド209の内側に取り付けられたインナーチューブ支持部215に設けられたガス供給口342に接続している。
【0069】
マニホールドに排気口230が設けられている。排気口230は、マニホールド209の内側に取り付けられたインナーチューブ支持部215の下側に開口している。ガス供給管310、ガス供給管320およびガス供給管330からそれぞれ供給された原料ガスは合流してガス供給管340に流入し、その後、インナーチューブ支持部215に設けられたガス供給口342を経て、ガス供給管352に流入し、その後、インナーチューブ350の側壁356に設けられた複数のガス供給口354を経て、インナーチューブ350内に設けられたボート217に保持されたサセプタ150上に搭載されたウエハ200上を流れて、インナーチューブ350の下部開口を経て、排気口230に流入する。
【0070】
排気口230には、処理室201内の雰囲気を排気する排気管231が接続されている。排気管231には処理室201内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ245および圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ243を介して真空排気装置としての真空ポンプ246が接続されており、処理室201内の圧力が所定の圧力(真空度)となるよう真空排気し得るように構成されている。真空ポンプ246の下流側の排気管232は廃ガス処理装置(図示せず)等に接続されている。なお、APCバルブ243は、弁を開閉して処理室201内の真空排気・真空排気停止ができ、更に弁開度を調節してコンダクタンスを調整して処理室201内の圧力調整をできるようになっている開閉弁である。主に、排気管231、APCバルブ243、真空ポンプ246、圧力センサ245により排気系233が構成される。
【0071】
ウエハ200を処理する際には、インナーチューブ350内にウエハを搭載したサセプタ150を保持したボート217を導入する。ボート217は、ボートエレベータ115によりインナーチューブ350に対し昇降(出入り)することができるようになっている。ボート217がインナーチューブ350内に導入されると、取付部材740の下端のフランジ746がOリング220を介してシールキャップ219で気密にシールされる。ボート217はボート支持台218に支持されている。処理の均一性を向上するために、ボート回転機構267を駆動し、ボート支持台218に支持されたボート217を回転させる。
【0072】
図7を参照すれば、コントローラ280は、操作メニュー等を表示するディスプレイ288と、複数のキーを含んで構成され、各種の情報や操作指示が入力される操作入力部290と、を備えている。また、コントローラ280は、基板処理装置101全体の動作を司るCPU281と、制御プログラムを含む各種プログラム等が予め記憶されたROM282と、各種データを一時的に記憶するRAM283と、各種データを記憶して保持するHDD284と、ディスプレイ288への各種情報の表示を制御すると共にディスプレイ288からの操作情報を受け付けるディスプレイドライバ287と、操作入力部290に対する操作状態を検出する操作入力検出部289と、カセットステージ114、カセット搬送装置118、ウエハ移載装置125、ロードロック室制御部772、後述する温度制御部291、後述する圧力制御部294、真空ポンプ246、ボート回転機構267、マスフローコントローラ312、322、332、512、522、532、後述するバルブ制御部299、サセプタ移載装置126、突き上げピン昇降装置180、ラジエータ814、ブロア816等の各部材と各種情報の送受信を行う通信インタフェース(I/F)部285と、を備えている
【0073】
CPU281、ROM282、RAM283、HDD284、ディスプレイドライバ287、操作入力検出部289および通信I/F部285は、システムバスBUS286を介して相互に接続されている。従って、CPU281は、ROM282、RAM283、HDD284へのアクセスを行うことができると共に、ディスプレイドライバ287を介したディスプレイ288への各種情報の表示の制御およびディスプレイ288からの操作情報の把握、通信I/F部285を介した各部材との各種情報の送受信の制御を行うことができる。また、CPU281は、操作入力検出部289を介して操作入力部290に対するユーザの操作状態を把握することができる。
【0074】
ロードロック室制御部772には、コントローラ280との間で、ゲートバルブ730、770の開閉情報、ボートエレベータ115の昇降情報、ロードロック室710の圧力設定情報等の各種情報を送受信する通信I/F部774が接続されている。通信I/F部774とコントローラ280の通信I/F部285はケーブル784で接続されている。ロードロック室制御部772は、受信したゲートバルブ730、770の開閉情報に基づいたゲートバルブ730、770の開閉動作等の制御、受信したボートエレベータ115の昇降情報に基づいたボートエレベータ115の昇降動作の制御、受信したロードロック室の圧力設定情報等と圧力センサ762からの圧力情報等に基づいた真空ポンプ766の起動・停止制御、マスフローコントローラ752の流量制御、バルブ754、764の開閉動作制御等を行う。ロードロック室制御部772もコンピュータによって実現されている。
【0075】
温度制御部291は、誘導コイル207と、誘導コイル207に電力を供給する高周波電源250と、放射温度計830と、コントローラ280との間で設定温度情報等の各種情報を送受信する通信I/F部293と、受信した設定温度情報と放射温度計830からの温度情報等に基づいて高周波電源250から誘導コイル207への供給電力を制御する高周波電源制御部292とを備えている。高周波電源制御部292もコンピュータによって実現されている。温度制御部291の通信I/F部293とコントローラ280の通信I/F部285はケーブル785で接続されている。
【0076】
圧力制御部294は、APCバルブ243と、圧力センサ245と、コントローラ280との間で設定圧力情報、APCバルブ243の開閉情報等の各種情報を送受信する通信I/F部296と、受信した設定圧力情報、APCバルブ243の開閉情報等と圧力センサ245からの圧力情報等に基づいてAPCバルブ243の開閉や開度を制御するAPCバルブ制御部295とを備えている。APCバルブ制御部295もコンピュータによって実現されている。圧力制御部294の通信I/F部296とコントローラ280の通信I/F部285はケーブル786で接続されている。
【0077】
カセットステージ114、カセット搬送装置118、ウエハ移載装置125、真空ポンプ246、ボート回転機構267、マスフローコントローラ312、322、332、512、522、532、突き上げピン昇降装置180、サセプタ移載装置126、ラジエータ814、ブロア816とコントローラ280の通信I/F部285は、それぞれケーブル781、782、783、787、788、789、790、792、793、794、796、797、798、799で接続されている。
【0078】
バルブ制御部299は、バルブ313、323、333、513、523、533、612、622、632と、エアバルブであるバルブ313、323、333、513、523、533、612、622、632へのエアの供給を制御する電磁バルブ群298とを備えている。電磁バルブ群298は、313、323、333、513、523、533、612、622、632にそれぞれ対応する電磁バルブ297を備えている。電磁バルブ群298とコントローラ280の通信I/F部285はケーブル795で接続されている。
【0079】
以上のようにして、カセットステージ114、カセット搬送装置118、ウエハ移載装置125、ゲートバルブ730、770、マスフローコントローラ752、バルブ754、764、真空ポンプ766、ボートエレベータ115、圧力センサ762、高周波電源250、放射温度計830、APCバルブ243、圧力センサ245、真空ポンプ246、ボート回転機構267、マスフローコントローラ312、322、332、512、522、532、突き上げピン昇降装置180、サセプタ移載装置126、ラジエータ814、ブロア816、バルブ313、323、333、513、523、533、612、622、632等の各部材はコントローラ280に接続されている。
【0080】
コントローラ280は、カセットステージ114によるカセット110の姿勢制御、カセット搬送装置118によるカセット110の搬送動作制御、ウエハ移載装置125によるウエハ200の移載動作制御、ゲートバルブ730、770の開閉動作制御、真空ポンプ766の起動・停止制御、マスフローコントローラ752の流量制御、圧力センサ762からの圧力情報に基づくバルブ754、764の開閉動作制御を介したロードロック室710内の圧力制御、ボートエレベータ115の昇降動作制御を介したボート217の昇降動作制御、放射温度計830からの温度情報に基づく高周波電源250から誘導コイル207への高周波電力供給量調整動作を介した温度制御、APCバルブ243の開閉制御および圧力センサ245からの圧力情報に基づく開度調整動作を介した圧力制御、真空ポンプ246の起動・停止制御、ボート回転機構267の回転速度調節制御を介したボート217の回転速度調節制御、マスフローコントローラ312、322、332、512、522、532の流量制御、突き上げピン昇降装置180の昇降動作制御を介した突き上げピン182の昇降動作制御、サセプタ移載装置126によるサセプタ150の移載動作制御、ラジエータ814の動作制御、ブロア816の動作制御、バルブ313、323、333、513、523、533、612、622、632の開閉動作制御等をそれぞれ行うようになっている。
【0081】
次に、上述の基板処理装置101を用いて大規模集積回路(LSI:Large Scale Integration)を製造する半導体装置の製造工程の一例について説明する。尚、以下の説明において、基板処理装置101を構成する各部の動作はコントローラ280により制御される。
【0082】
LSIは、シリコンウエハ上に処理を施すウエハプロセスを行なった後、組立工程、試験工程、信頼性試験工程を経て製造される。ウエハプロセスは、シリコンウエハに酸化、拡散などの加工を施す基板工程と、その表面に配線を形成する配線工程とに区分され、配線工程では、リソグラフィ工程を中心に洗浄、熱処理、膜形成などが反復して行なわれる。リソグラフィ工程では、レジストパターンを形成し、該パターンをマスクとしてエッチングを行なうことにより該パターンの下層を加工する。
【0083】
次に、基板処理装置101を使用して,シリコンウエハ200の処理、例えば、シリコンウエハ200上に成膜を行う工程を説明する。
【0084】
図1を参照すれば、工程内搬送装置(図示略)によってカセット110がカセットステージ114上に搬入されると、カセット110は、ウエハ200がカセットステージ114の上で垂直姿勢を保持し、カセット110のウエハ出し入れ口が上方向を向くようにカセットステージ114上に載置される。その後、カセット110は、カセットステージ114によって、カセット110内のウエハ200が水平姿勢となり、カセット110のウエハ出し入れ口が筐体111の後方を向くように、筐体111の後方に右周り縦方向90°回転させられる。
【0085】
その後、カセット110は、カセット棚105ないし予備カセット棚107の指定された棚位置へカセット搬送装置118によって自動的に搬送され受け渡され、一時的に保管された後、カセット棚105ないし予備カセット棚107からカセット搬送装置118によって移載棚123に移載されるか、もしくは直接移載棚123に搬送される。
【0086】
カセット110が移載棚123に移載されると、予め内部が大気圧状態とされていたロードロック室710のサセプタ搬入搬出口712がゲートバルブ770の開動作により開放される。
【0087】
ウエハ搬入搬出口712が開放されると、ウエハ200は、カセット棚105の移載棚123に収納されたカセット110からウエハ移載機構125aのツイーザ125cによってカセット110のウエハ出し入れ口を通じてピックアップされ、サセプタ保持機構140に保持されたサセプタ150上に移載されて装填される。
【0088】
ウエハ200を搭載したサセプタ150は、サセプタ移載機構126aのツイーザ126cによってサセプタ搬入搬出口712を通じてロードロック室710内に搬入され、ボート217へ移載されて装填される。
【0089】
なお、処理室201は、ゲートバルブ730で閉じられている。処理室201内は、不活性ガスである窒素ガスによって大気圧に保たれている。
【0090】
予め指定された枚数のバッチ処理されるウエハ200を搭載したサセプタ150がボート217に多段に積層されるように装填されると、サセプタ搬入搬出口712がゲートバルブ770によって閉じられる。真空ポンプ766を起動し、バルブ764を開けて、ロードロック室710を排気し、減圧にする。
【0091】
その後、バルブ764を閉じ、バルブ754を開けてマスフローコントローラ752で流量調整した窒素ガスをロードロック室710に供給し、ロードロック室710内の圧力を圧力センサ762で測定し、この測定された圧力に基づき、ロードロック室710内を窒素ガスによって大気圧とする。
【0092】
ロードロック室710内が大気圧になると、ゲートバルブ730を開ける。
【0093】
その後、図5に示すように、ウエハ200をそれぞれ搭載した複数のサセプタ150を支持したボート217は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて、処理室201内に搬入される。この状態で、シールキャップ219はOリング220を介して取付部材740の下端開口を気密にシールして、処理室201を気密にシールした状態とする。
【0094】
その後、ボート217をボート駆動機構267により回転させ、ウエハ200を回転させる。
【0095】
その後、APCバルブ243を開いて真空ポンプ246により処理室201内を真空引きする。そして、処理室201内の圧力は、圧力センサ245で測定され、この測定された圧力に基づきAPCバルブ243の開度がフィードバック制御され、処理室201内の圧力が所望の圧力(真空度)となるように制御される。
【0096】
また、高周波電源250から誘導コイル207への高周波電力を供給して、サセプタ150を誘導加熱してウエハ200を加熱する。この際、放射温度計830からの温度情報に基づいて、サセプタ150またはウエハ200が所定の温度になるように、高周波電源250から誘導コイル207への高周波電力量がフィードバック制御される。
【0097】
次に、バルブ313、323、333を開いてガス供給系301から第1の処理ガス、ガス供給系302から第2の処理ガス、ガス供給系303から第3の処理ガスを処理室201内に供給して、ウエハ200の成膜処理を行う。この際には、マスフローコントローラ312、322、332の流量およびAPCバルブ243の開度を適正に調整して処理室201内の圧力を所定の圧力に維持する。また、誘導コイル207に電力を供給する高周波電源250を制御してサセプタ150またはウエハ200が所定の温度になるようにする。
【0098】
所定の時間成膜処理を行ったら、バルブ313、323、333を閉じて、ガス供給系301からの第1の処理ガスの供給、ガス供給系302からの第2の処理ガスの供給およびガス供給系303からの第3の処理ガスの供給を停止し、排気管231のAPCバルブ243を全開として、真空ポンプ246により処理室201内を排気し、処理室201内に残留する第1〜第3の処理ガス等の残留ガスを処理室201内から排除する。
【0099】
その後、高周波電源250から誘導コイル207への高周波電力の供給を停止して、サセプタ150の誘導加熱を停止して、ウエハ200の加熱を停止する。
【0100】
その後、APCバルブ243を閉じ、バルブ513、523、533を開いて処理室201内の雰囲気をN等の不活性ガスで置換し、処理室201内の圧力を大気圧に復帰する。その後、真空ポンプ246を止める。
【0101】
その後、ボートエレベータ115によりシールキャップ219を下降して、取付部材740の下端を開口するとともに、処理済ウエハ200を搭載したサセプタ150をボート217に搭載した状態で、ボート217を下降して、処理室201から、窒素置換されたロードロック室710に搬出する。その後、ゲートバルブ730を閉じる。
【0102】
その後、ゲートバルブ770を開け、サセプタ搬入搬出口712を開放する。その後、図1を参照すれば、処理済ウエハ200を搭載したサセプタ150は、サセプタ移載機構126aのツイーザ126cによって、ロードロック室710内のボート217から順次搬出され、サセプタ保持機構140に保持される。サセプタ保持機構140に保持されたサセプタ150上のウエハ200は、ウエハ移載機構125aのツイーザ125cによって、サセプタ保持機構140に保持されたサセプタ150から搬出され、カセット棚105の移載棚123に収納されたカセット110に移載される。これにより1回の成膜処理が終了する。
【0103】
その後は、ウエハ200およびカセット110は、上述の逆の手順で、適宜、筐体111の外部に搬出される。
【0104】
次に、図8を参照して、本実施の形態の処理炉202をさらに詳細に説明する。
【0105】
螺旋状に巻かれている誘導コイル207の内側には、誘導コイル207と同心円状に外側反応管としてのアウターチューブ203と、内側反応管としてのインナーチューブ350が設けられている。インナーチューブ350は、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。インナーチューブ350内には処理室201が形成されている。インナーチューブ350の側壁356には、ガス供給管352が設けられている。ガス供給管352が設けられたインナーチューブ350の側壁356には、複数のガス供給口354が設けられている。
【0106】
インナーチューブ350内にはボート217が設けられている。ボート217には、複数のサセプタ150が水平姿勢で、垂直方向に積層して保持され、インナーチューブ350内に収容されている。複数のサセプタ150は誘導コイル207に高周波電源250(図5参照)から印加される高周波電力によって誘導加熱される。誘導コイル207の上端部207aは、複数のサセプタ150よりも外側(上側)に配置されている。複数のサセプタ150のうち、上側がウエハ200を搭載したウエハ搭載サセプタ172であり、下側がウエハ200を搭載しないダミーサセプタ174である。ダミーサセプタ174に代えて断熱板を設けてもよい。なお、ウエハ搭載サセプタ172の上側もダミーサセプタ173としてもよい。この場合には、サセプタ150の中央部がウエハ200を搭載したウエハ搭載サセプタ175となる。
【0107】
アウターチューブ203は、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されており、上部の天井部(閉塞部)270と、垂直方向に延在する側壁部272とを備えている。保温材360が、アウターチューブ203の外側に設けられている。保温材360は、天井部362と側部364とを備えている。保温材360の天井部362は、アウターチューブ203の天井部(閉塞部)270を覆って設けられ、保温材360の側部364は、アウターチューブ203の側壁部272の上部272aを覆って、アウターチューブ203の側壁部272の上部272aと誘導コイル207との間に設けられている。保温材360は、アウターチューブ203の側壁部272の中央部272bおよび下部272cと誘導コイル207との間には設けられていない。保温材360の天井部362は、好ましくは、閉塞している。
【0108】
図9は、比較のための処理炉を説明するための概略縦断面図である。この場合には、保温材360は、天井部362のみを備えている。保温材360の天井部362は、アウターチューブ203の天井部(閉塞部)270を覆って設けられている。保温材360は、アウターチューブ203の側壁部272の上部272a、中央部272bおよび下部272cと誘導コイル207との間には設けられていない。
【0109】
図8、図9の右側の図は、サセプタ150の中心温度とサセプタ150を保持するボート217のスロットの数(すなわち、サセプタ150の垂直方向の位置)との関係をそれぞれ示している。図8、9を参照すれば、保温材360の側部を設け、サセプタ150の上端より下方向に保温材360を伸ばすと、サセプタ150からの発熱を閉じ込める効果が得られ、上部の温度分布を大きく持ち上げることができることがわかる(図8C部および図9D部参照)。ボート217のスロットの(縦方向)中央部分は、十分な数のサセプタ150もしくは断熱板に囲まれる為、加熱により発生した熱が平衡状態に近く、安定した温度分布を得ることができる。したがって、中央部分には、保温材360を設置する必要がないと言える。図9より、保温材360の側部364がない場合には、サセプタ150の上部は、中央部より温度が低くなり、保温効果が薄いことがわかる。これにより、サセプタ上端より内側(下側)に延在する保温材を設置することが好ましいことがわかる。図8より、保温材360の側部364の長さaが150mmでは、逆に中央部の分布を引っ張るように持ち上げてしまっていることがわかる。従って、サセプタ150の均熱分布改善の為には、サセプタ150と誘導コイル207の位置関係で磁場強度が異なり、それにより発熱分布も変化するので、発熱分布に合わせ保温したい部分にのみ温度改善するような適切な形状の保温材360を設置し範囲を調整することが好ましい。
【0110】
(第2の実施の形態)
本実施の形態においては、アウターチューブ203の天井部(閉塞部)270と、アウターチューブ203の側壁部272の天井部(閉塞部)270側の部分(上部272a)に、高周波による誘導がされにくく、放射率が低い材料からなる膜(図示せず)を設ける。アウターチューブ203の外壁の誘導コイル207の上端部207aよりも内側下側まで延在する領域に、高周波による誘導がされにくく(低抵抗材料)、放射率の低い材料を用いてメッキ(コーティング)することで、内側に熱(光)を反射させ保温効果が得られる。好適なものとして、金メッキ、銀メッキ、クロムメッキが挙げられる。メッキ塗布領域は、サセプタ150と誘導コイル207の位置関係で磁場強度が異なり、発熱分布が変わるので、それに合わせて範囲を調整する。
【0111】
(第3の実施の形態)
本実施の形態では、保温材360の側部364の厚さを、サセプタ150の積層方向(垂直方向)で異ならせ、上側から下側に向かうに従って薄くしている。図10を参照すれば、保温材360の側部364の厚さを、上側から下側に向かうに従って薄くすることで、保温効果を緩和しより均一な温度分布とすることができる。
【0112】
(第4の実施の形態)
本実施の形態では、保温材360の、アウターチューブ203の天井部(閉塞部)270を覆う天井部362は、気体を流通させる部材から構成されている。天井部362だけでなく、保温材360の全体を、気体を流通させる部材で構成することがより好ましい。気体を流通させる部材には、好ましくは、断熱クロス材を使用する。
【0113】
図11を参照すれば、アウターチューブ203内に可燃性ガス(水素等)を充満させて使用する為、万が一爆発した場合を想定し、ヒータ室811の壁体810の側面817は爆発に耐えうる頑丈な構造体で囲み、ヒータ室811の上部には爆発した際の圧力を逃がす為の放散口818を有している。この爆発放散口818は、指定の圧力が加わることで簡単に構造が壊れる仕様となっている。この爆発放散口818をアウターチューブ203の上部に設置することで、爆発時の圧力を上に逃がすことにより、側面や下に圧力がかからず、安全を確保する構造となる。
【0114】
この構造を正常に動作させる為に、保温材360を気体を流通させる部材(耐熱性の高い生地等で織ったものやメッシュ構造の材料)で構成することで、爆発時にガスを流通させることができ、爆発放散口から圧力を放散することができる。
【0115】
(第5の実施の形態)
図12を参照すれば、本実施の形態では、保温材として、上側の保温材360に加え、下側の保温材368を備えている。保温材360は第1の実施の形態と同じなので、説明は省略する。保温材368は、アウターチューブ203の下部272cの外側に配置されている。保温材368の上部は、アウターチューブ203の下部272cと誘導コイル207の下端部との間を延在して設けられている。保温材360は、アウターチューブ203の側壁部272の中央部272bと誘導コイル207との間には設けられていない。
【0116】
このように、アウターチューブ203の下部272cの外側に保温材368を設けることで、横方向に逃げる熱を保温し、分布を持ち上げる。均熱分布改善の為には、サセプタ150と誘導コイル207の位置関係で磁場強度が異なり、それにより発熱分布も変化する為、発熱分布に合わせ保温したい部分にのみ温度改善するような適切な形状の保温材を設置し範囲を調整する。
【0117】
(第6の実施の形態)
第6の実施の形態および第7の実施の形態では、複数のサセプタ150のうち、積層方向における少なくとも中央部に配置されるサセプタはウエハ200搭載用のサセプタ190であり、複数のサセプタ150のうち、積層方向における両側のうちの少なくとも一方の側のサセプタは、ウエハ200搭載用のサセプタ190よりも発熱量が小さいダミーサセプタ191、192(第6の実施の形態)、194、195(第7の実施の形態)である。ダミーサセプタ191、192(第6の実施の形態)、194、195(第7の実施の形態)は、ウエハ200搭載用のサセプタ190よりも容積が小さいダミーサセプタでもある。
【0118】
第6の実施の形態では、複数のサセプタ150のうち、積層方向における少なくとも中央部に配置されるサセプタはウエハ200搭載用のサセプタ190であり、複数のサセプタ150のうち、積層方向における両側のサセプタは、ウエハ200搭載用のサセプタ190よりも厚さが薄く、発熱量が小さく、容積が小さいダミーサセプタ191、192である。
【0119】
ウエハ200搭載用のサセプタ190の上部もしくは下部に該サセプタ190の肉厚よりも薄いダミーサセプタ191、192を設置することで上部若しくは下部の発熱分布を改善し、さらに放熱を抑制することができる。
【0120】
本実施の形態では、厚みの小さいサセプタは、厚みの大きいものに比べ、発熱そのものが小さい点を利用する。図14に示すように、誘導コイル207から発生する磁場の影響を大きく受けるように、誘導コイル207の上下端よりもより内側にサセプタ150を設置すると、サセプタ150の上端及び下端もしくは上下端共の発熱量が大きくなり中央部分の発熱が小さくなるような分布となる。なお、図14は、中央部のウエハ200搭載用のサセプタ190の厚さと、上部のダミーサセプタ193の厚さは同じである。これに対して、厚みの小さいサセプタ191、192は、厚みの大きいウエハ200搭載用のサセプタ190より発熱しにくい為、過度に発熱する場所(本例では、上端および下端)に設置することで、発熱を緩和させることができる(図13参照)。また、ダミーエリアに設置することで、上下方向への放熱抑制となる上、発熱そのものが小さい為放熱量が小さくなる。このように、発熱分布に合わせて、設置する厚みやその数量を変化させる(調整する)ことで、縦方向の温度均一化を図ることができる。また、厚みを徐々に変える(本例では、中心部より上に設置するサセプタを薄くする)ことでも、発熱分布を制御することができる。
【0121】
(第7の実施の形態)
第7の実施の形態では、複数のサセプタ150のうち、積層方向における少なくとも中央部に配置されるサセプタはウエハ200搭載用のサセプタ190であり、複数のサセプタ150のうち、積層方向における両側のサセプタは、ウエハ200搭載用のサセプタ190よりも径が小さく、発熱量が小さく、容積が小さいダミーサセプタ194、195である。
【0122】
ウエハ200搭載用のサセプタ190の上部もしくは下部に該サセプタ190の径よりも小さい径のダミーサセプタ194、195を設置することで上部若しくは下部の発熱分布を改善し、さらに放熱を抑制することができる。
【0123】
本実施の形態では、径の小さいサセプタは、大口径に比べ誘導コイル207との距離が離れる為、発熱そのものが小さくなる点を利用する。図16に示すように、誘導コイル207から発生する磁場の影響を大きく受けるように、誘導コイル207の上下端よりもより内側にサセプタ150を設置すると、サセプタ150の上端及び下端もしくは上下端共の発熱量が大きくなり中央部分の発熱が小さくなるような分布となる。なお、図16は、中央部のウエハ200搭載用のサセプタ190の厚さと、上部のダミーサセプタ193の厚さは同じである。これに対して、径の小さいサセプタ194、195は、径の大きいウエハ200搭載用のサセプタ190より発熱しにくい為、過度に発熱する場所(本例では、上端および下端)に設置することで、発熱を緩和させることができる(図15参照)。また、ダミーエリアに設置することで、上下方向への放熱抑制となる上、発熱そのものが小さい為放熱量が小さくなる。このように、発熱分布に合わせて、設置する径やその数量を変化させる(調整する)ことで、縦方向の温度均一化を図ることができる。また、径を徐々に変える(本例では、中心部より上に設置するサセプタを薄くする)ことでも、発熱分布を制御することができる。
【0124】
尚、径の小さいサセプタ194を支持、保持する方法として、図17に示すように、誘導されにくい材質(SiC、石英、セラミック)で構成された小口径サセプタ移載板196をボート217のサセプタ保持部213上に設置し、小口径サセプタ移載板196上に径の小さいサセプタ194を搭載する方法や、図18に示すように、ボート217のサセプタ保持部214を、径の大きいウエハ200搭載用のサセプタ190を保持するためのサセプタ保持部213よりも内側に伸ばす方法等等が挙げられる。
【0125】
(本発明の好ましい態様)
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
【0126】
(付記1)
本発明の好ましい一態様によれば、
複数のサセプタを積層して保持するサセプタ保持部材と、
前記サセプタ保持部材に保持された前記複数のサセプタを収容する容器と、
前記容器の外側に配置された誘導コイルと、
前記誘導コイルに高周波電力を供給する高周波電源と、
前記複数のサセプタの積層方向における一方の側において、前記容器の外側に設けられた保温材と、を備え
前記容器は前記一方の側において閉塞した形状であって、前記積層方向に延在する側壁部と、前記一方の側の閉塞部とを有し、
前記誘導コイルの前記積層方向の一端部は、前記積層方向の前記一方の側において、前記複数のサセプタよりも外側に配置され、
前記保温材は、前記容器の前記閉塞部を覆うと共に、前記閉塞部から前記側壁部の一部までを覆って前記側壁部と前記誘導コイルとの間を延在して設けられ、
前記複数のサセプタは前記誘導コイルに前記高周波電源から印加される高周波電力によって誘導加熱され、
前記複数のサセプタのうち、前記積層方向における少なくとも中央部に配置されるサセプタは被処理基板を搭載用のサセプタである基板処理装置が提供される。
【0127】
(付記2)
付記1の基板処理装置であって、好ましくは、前記容器の閉塞部と前記容器の前記側壁部の前記閉塞部側の部分に設けられた膜であって、高周波による誘導がされにくく、放射率が低い材料からなる膜をさらに備える。
【0128】
(付記3)
付記1または2の基板処理装置であって、好ましくは、前記保温材の前記容器の前記側壁部と前記誘導コイルとの間を延在して設けられる部分の厚さを、前記積層方向で異ならせる。
【0129】
(付記4)
付記3の基板処理装置であって、好ましくは、前記保温材の前記容器の前記側壁部と前記誘導コイルとの間を延在して設けられる部分の厚さを、前記積層方向における前記一方の側から前記中央部に向かうにつれて薄くする。
【0130】
(付記5)
付記1〜3のいずれかの基板処理装置であって、好ましくは、前記保温材の、前記容器の前記閉塞部を覆う部分は閉塞している。
【0131】
(付記6)
付記1〜3のいずれかの基板処理装置であって、好ましくは、前記保温材の、前記容器の前記閉塞部を覆う部分は、気体を流通させる部材から構成されている。
【0132】
(付記7)
付記1〜6のいずれかの基板処理装置であって、好ましくは、前記積層方向の他方の側において、前記容器の前記側壁部の外側に配置された第2の保温材をさらに備える。
【0133】
(付記8)
付記7の基板処理装置であって、好ましくは、前記第2の保温材の前記積層方向の前記一方の側の端部は、前記容器の側壁部と前記誘導コイルの前記積層方向の他端部との間を延在して設けられている。
【0134】
(付記9)
本発明の好ましい他の態様によれば、
複数のサセプタを積層して保持するサセプタ保持部材と、
前記サセプタ保持部材に保持された前記複数のサセプタを収容する容器と、
前記容器の外側に配置された誘導コイルと、
前記誘導コイルに高周波電力を供給する高周波電源と、を備え
前記複数のサセプタは前記誘導コイルに前記高周波電源から印加される高周波電力によって誘導加熱され、
前記複数のサセプタのうち、前記積層方向における少なくとも中央部に配置されるサセプタは被処理基板搭載用のサセプタであり、
前記複数のサセプタのうち、前記積層方向における両側のうちの少なくとも一方の側のサセプタは、前記被処理基板搭載用のサセプタよりも発熱量が小さいダミーサセプタである基板処理装置が提供される。
【0135】
(付記10)
本発明の好ましい他の態様によれば、
複数のサセプタを積層して保持するサセプタ保持部材と、
前記サセプタ保持部材に保持された前記複数のサセプタを収容する容器と、
前記容器の外側に配置された誘導コイルと、
前記誘導コイルに高周波電力を供給する高周波電源と、を備え
前記複数のサセプタは前記誘導コイルに前記高周波電源から印加される高周波電力によって誘導加熱され、
前記複数のサセプタのうち、前記積層方向における少なくとも中央部に配置されるサセプタは被処理基板搭載用のサセプタであり、
前記複数のサセプタのうち、前記積層方向における両側のうちの少なくとも一方の側のサセプタは、前記被処理基板搭載用のサセプタよりも容積が小さいダミーサセプタである基板処理装置が提供される。
【0136】
(付記11)
付記9または10の基板処理装置であって、好ましくは、前記少なくとも一方の側のサセプタは、前記被処理基板搭載用のサセプタよりも厚さが薄い。
【0137】
(付記12)
付記9または10の基板処理装置であって、好ましくは、前記少なくとも一方の側のサセプタは、前記被処理基板搭載用のサセプタよりも径が小さい。
【0138】
以上、本発明の種々の典型的な実施の形態を説明してきたが、本発明はそれらの実施の形態に限定されない。従って、本発明の範囲は、次の特許請求の範囲によってのみ限定されるものである。
【符号の説明】
【0139】
101 基板処理装置
105 カセット棚
107 予備カセット棚
110 カセット
111 筐体
114 カセットステージ
115 ボートエレベータ
118 カセット搬送装置
118a カセットエレベータ
118b カセット搬送機構
123 移載棚
125 ウエハ移載装置
125a ウエハ移載機構
125b ウエハ移載機構エレベータ
125c ツイーザ
126 サセプタ移載装置
126a サセプタ移載機構
126b サセプタ移載機構エレベータ
126c ツイーザ
128 アーム
134a クリーンユニット
134b クリーンユニット
140 サセプタ保持機構
142 支柱
144 サセプタ保持部
146 基台
150 サセプタ
152 周縁部
154 中央部
156 段差部
160 ピン孔
162 保持部材
172 ウエハ搭載サセプタ
173、174 ダミーサセプタ
175 ウエハ搭載サセプタ
176 ウエハ200搭載用のサセプタ
180 突き上げピン昇降機構
182 突き上げピン
190 ウエハ200搭載用のサセプタ
191、192、194、195 ダミーサセプタ
200 ウエハ
201 処理室
202 処理炉
203 アウターチューブ
204、205、206 フランジ
207 誘導コイル
207a 上端部
208 側壁
209 マニホールド
212 支柱
213 サセプタ保持部
215 インナーチューブ支持部
217 ボート
218 ボート支持台
219 シールキャップ
220、222 Oリング
230 排気口
231、232 排気管
233 排気系
243 APCバルブ
245 圧力センサ
246 真空ポンプ
250 高周波電源
260 誘導加熱装置
265 回転軸
267 ボート回転機構
270 天井部(閉塞部)
272 側壁部
272a 側壁部上部
272b 側壁部中央部
272c 側壁部下部
280 コントローラ
281 CPU
282 ROM
283 RAM
284 HDD
285、293、296 I/F部
286 バス
287 ディスプレイドライバ
288 ディスプレイ
289 操作入力検出部
290 操作入力部
291 温度制御部
292 高周波電源制御部
293 I/F部
294 圧力制御部
295 APCバルブ制御部
296 I/F部
297 電磁バルブ
298 電磁バルブ群
299 バルブ制御部
301、302、303 ガス供給系
310、320、330 ガス供給管
312、322、332、512、522、532 マスフローコントローラ
313、323、333、513、523、533、612、622、632 バルブ
340 ガス供給管
342 ガス供給口
350 インナーチューブ
352 ガス供給管
354 ガス供給口
356 側壁
360 保温材
362 天井部
364 側部
368 保温材
410、420、430 ノズル
411、421、431 ガス供給孔
501、502、503 キャリアガス供給系(不活性ガス供給系)
510、520、530 キャリアガス供給管
610、620、630 ベントライン
710 ロードロック室
711 耐圧筐体
712 サセプタ搬入搬出口
714 前壁
716、718 側壁
720 天井壁
721 貫通孔
730、770 ゲートバルブ
740 取付部材
742、746 フランジ
744 側壁
750 ガス供給管
751 ガス供給系
752 マスフローコントローラ
754、764 バルブ
760 排気管
761 排気系
762 圧力センサ
766 真空ポンプ
772 ロードロック制御部
774 I/F部
781〜798 ケーブル
810 壁体
811 ヒータ室
812 開口部
813 ダクト
814 ラジエータ
816 ブロア
818 放散口
820 水冷板
830 放射温度計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のサセプタを積層して保持するサセプタ保持部材と、
前記サセプタ保持部材に保持された前記複数のサセプタを収容する容器と、
前記容器の外側に配置された誘導コイルと、
前記誘導コイルに高周波電力を供給する高周波電源と、
前記複数のサセプタの積層方向における一方の側において、前記容器の外側に設けられた保温材と、を備え
前記容器は前記一方の側において閉塞した形状であって、前記積層方向に延在する側壁部と、前記一方の側の閉塞部とを有し、
前記誘導コイルの前記積層方向の一端部は、前記積層方向の前記一方の側において、前記複数のサセプタよりも外側に配置され、
前記保温材は、前記容器の前記閉塞部を覆うと共に、前記閉塞部から前記側壁部の一部までを覆って前記側壁部と前記誘導コイルとの間を延在して設けられ、
前記複数のサセプタは前記誘導コイルに前記高周波電源から印加される高周波電力によって誘導加熱され、
前記複数のサセプタのうち、前記積層方向における少なくとも中央部に配置されるサセプタは被処理基板を搭載用のサセプタである基板処理装置。
【請求項2】
複数のサセプタを積層して保持するサセプタ保持部材と、
前記サセプタ保持部材に保持された前記複数のサセプタを収容する容器と、
前記容器の外側に配置された誘導コイルと、
前記誘導コイルに高周波電力を供給する高周波電源と、を備え
前記複数のサセプタは前記誘導コイルに前記高周波電源から印加される高周波電力によって誘導加熱され、
前記複数のサセプタのうち、前記積層方向における少なくとも中央部に配置されるサセプタは被処理基板搭載用のサセプタであり、
前記複数のサセプタのうち、前記積層方向における両側のうちの少なくとも一方の側のサセプタは、前記被処理基板搭載用のサセプタよりも発熱量が小さいダミーサセプタである基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−199402(P2012−199402A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62838(P2011−62838)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】