説明

大環状化合物を形成するための方法、組成物および装置

本発明は大環状化合物を製造するための方法、組成物および装置に関する。第1に、少なくとも環化反応を含む所望の反応経路を経て大環状化合物を形成できるとともに所望しないオリゴマー化を含む所望しない反応経路を経て所望しないオリゴマーをさらに形成できる1種以上の反応物が反応媒体中に提供される。反応媒体中のこうした反応のオリゴマー化は調節して、対応する非調節のオリゴマー化反応に比して、所望しないオリゴマーの形成を減らし、および/または反応媒体からの所望しないオリゴマーの分離を減らし、それによって大環状化合物の収率を最大にする。このようにして形成された大環状化合物は反応媒体から後で回収される。好ましくは、大環状化合物は相分離を経由して反応媒体から自然に分離する。より好ましくは、大環状化合物は反応媒体から自然に沈殿し、従って単純な濾過によって容易に回収することが可能である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
これは、2005年2月17日出願の米国実用特許出願、発明の名称「大環状化合物を形成するための方法、組成物および装置(METHODS,COMPOSITIONS,AND APPRATUSES FOR FORMING MACROCYCLIC COMPOUNDS)」の優先権を主張し、それもまた、「環式化合物を形成するための方法および組成物(METHODS AND COMPOSITIONS FOR FORMING CYCLIC COMPOUNDS)」のためにジョンソン(Thomas E.Johnson)およびフォーラー(Billy T.Fowler)の名義で2004年2月17日出願の米国仮特許出願第60/545,131号の優先権を主張している。
【0002】
発明の分野
本発明は多様な大環状化合物を合成するための方法、組成物および装置に一般に関連する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
製薬工業の小分子パイプラインが枯渇し始めつつあると同時に、大環状化合物の数は爆発的に増えてきた。この速い成長の現象は、格別な特性を有する天然化合物、半合成化合および合成化合物の印象的に多数の新規ファミリーの発見のお陰である。大環状構造は製薬工業のために特に望ましい特徴である。環式構造は人体による破壊に対して分子を安定化し、環式構造の線状類似体と比較して生物学的に活性な形態に束縛することにより環式構造の有効性を高める。従って、大環状化合物は、現在広範囲に及ぶ臨床研究の下にある主要なクラスの薬剤を構成している。
【0004】
さらに、大環状化合物はナノテクノロジーを含む多くの他の分野の鍵となる成分である。地雷の検出のための化学的ノーズ、化学兵器の検出のためのセンサー、太陽エネルギー変換のための光ロッド、光電池、発光ダイオード、磁気材料、多ビット記憶装置および半導電性材料などのナノスケール素子は大環状化合物を用いて既に作られている。
【0005】
しかし、大環状化合物の大きな将来性にもかかわらず、大環状化合物は、比較的調査不足で未活用のままにされてきた。大環状化合物の調製のために用いられる現在の方法は、製薬工業および他の重要な工業での大環状化合物の使用をひどく制限している。これらの化合物の一部は基礎研究または初期臨床研究のために十分な量で生物源から入手できる一方で、半合成または全合成によって製造する必要があるものもある。大環状化合物を製造するための現在の方法は、多くの工数による作業を必要とし、大量の有害廃棄物を作り、高価な製造設備を必要とし、いまだに驚くほど少ない量しか所望の材料を製造できない。低い生産収率はこれらの分子の利ざやを商業生産のためにあまりにも少なくしている。結果として、従来の化学的製造アプローチによる大環状化合物の製造に付随した高いコストおよび低い利ざやのゆえに、多くの重要な発見は商業化されていない。より重要なことは、大環状化合物の研究開発の驚異的な将来性が、こうした化合物の製造する実用的方法を提供するための技術の無能力の結果として大いに実現されていないことである。
【0006】
従って、大量の大環状分子を得ることができないことは、現在もなお、大環状分子の商業的利用の主要な障害であり、既存の方法を改善するか、または新規方法を発見する努力に対する刺激である。
【0007】
概念的に、環式分子の合成は閉環反応によって環化される開鎖出発材料の調製で始まる。しかし、5員環または6員環の効率的な形成に反して、より小さいサイズとより大きいサイズの両方のような他のサイズの化合物の環化を実際に行う時には問題が生じる。小環(原子数3〜4)の収率は低く、中環(炭素原子数8〜12)および大環(原子数13以上)の収率はさらに低い。環歪み作用のゆえに、小環は5員環または6員環より不安定であり、従って、小環は得るのがより難しい。しかし、殆どの大環状化合物は歪みを受けておらず、大環状化合物の形成エンタルピーは5員環または6員環のエンタルピーに匹敵する。従って、歪みを受けてない大環状化合物の形成への熱力学的障壁はない。しかしながら、大環状化合物の形成の動力学は大環状化合物の形成を大幅に複雑にする。エントロピーの理由で、小環化合物や中環化合物より大環状化合物を合成するのが難しい。これは、大環状環の形成においては、環化が起きるために必要とされる開鎖出発材料の両端での同時位置決めが起こる確率が低いからである。さらに、線状前駆体の反応性末端の分子間反応は環化反応と競合する。こうした分子間反応は所望しないオリゴマーおよびポリマーの形成につながる。
【0008】
これらの所望しないオリゴマー化反応を回避するために、環化は比較的希釈条件(典型的には10mM未満)下で一般に行われる。高希釈合成法の理論的根拠は、反応物の濃度が十分に低い場合、反応性末端が反応物から隔てられ、従って、環形成をもたらす分子内での反応が起こりやすいため、より閉環反応が起こりやすいことである。しかし、環化反応が不可逆反応であるとともに環化の速度が重合の速度より高い場合、高希釈原理は最も効果的である。この動力学アプローチに反して、熱力学的に制御された可逆反応においては、大環状であれ、非環式であれすべての生成物の相対的安定性が生成物分布を決定する。大環状化合物がこうした可逆反応系において最も安定な化合物である場合、大環状化合物は良好な収率で形成される。実際、大環状化合物が可逆反応において最も安定な生成物として実際に形成される幾つかの実例が存在する。しかし、殆どの環化反応において、大環状化合物と所望しないオリゴマーやポリマーは同等の熱力学的安定性のものであり、従ってそれらのすべては複雑な混合物として存在する。こうした混合物は所望の大環状材料を得るために大規模で広範で複雑な精製手順を必要とする。さらに、高希釈法は限定的な量の大環状材料しか提供できず、従って、大規模商業生産のためには適していない。
【0009】
上述した問題および複雑さを克服するか、または調整するために、特定の目標分子の個々の要件にこうした方法を適合させることにより、多様な修正および改善が高希釈法に対して行われてきた。これらのアプローチは分子毎の基準によって多様な成功レベルを達成してきた。例えば、他の効果、例えば、温度効果、硬質基原理および他の擬希釈現象の支援としばしば合わせて出発材料、溶媒、温度、触媒および希釈条件の適切な選択によって特定の大環状化合物の適度の量を調製することが今可能である。
【0010】
超分子化学においては、例えば、適切なテンプレートの使用により環化工程を大幅に改善することが可能である。大環状化合物とそのオリゴマーの構成単位が同じである例については、大環状化合物によって形成された空隙に相補的に結合する有機ゲスト材料または無機ゲスト材料(すなわちテンプレート)を見つけてもよい。得られた超分子錯体は可逆条件下で大環状成分より安定であり、従って好都合である。これはテンプレート効果として知られている。平衡における混合物に加えて、テンプレート効果は、テンプレートが反応性末端を前もって組織化することにより分子内反応を促進する場合、動力学的に制御された反応においても有用である。高収率テンプレート支援環化反応を行う際の重要な特徴としては、テンプレート材料の幾何形状、およびテンプレートの配位に利用できる大環状化合物の内部空隙内のヘテロ原子の数がある。
【0011】
大環状化合物によって形成された空隙に結合するテンプレート材料に加えて、微孔質構造を有する材料は反応物の反応性末端を前もって組織化することが可能であり、よって閉環反応に非常に有利である微孔質構造によって形成された局所環境を提供することにより閉環反応を促進する。例えば、スメクタイトクレーは、大環状化合物の収率および/または選択性の実質的な改善を提供するために用いられてきた。クレー中の微孔質構造の前もって決められた構成は、オリゴマー化の程度およびこうして形成された大環状化合物の幾何形状を制御するように反応物質を前もって組織化するために効果的に用いることが可能である。その後、最終大環状生成物をクレー構成組織から除去することが可能である。
【0012】
さらに、線状構造を曲げる傾向を示すとともに前もって組織化された環構造を形成する幾つかの構造エレメントが出現し、こうした前もっての組織化が分子間プロセスより分子内プロセスを有利にさせるとともに大環状構造の調製のための単純な経路を提供するために用いることが可能であることを示唆している。特定の分子のこの曲げまたは折り畳みへのの傾向は広く研究されてきた。例えば、ソープ−インゴルド(Thorpe−Ingold)効果ならびにウレア残留物やプロリン残留物などの幾つかの構造エレメントは、天然生成物のU−回転の形成に関連しているとして識別された。従って、目標の大環状化合物が立体障害基を通常含まない場合、こうした立体障害基を非環式前駆体に付加して、前駆体の曲げを引き起こすとともに閉環を促進することが可能である。
【0013】
近年はペプチドの分野の復興を目の当たりに見てきた。現在、40種を上回るペプチドが市場に出され、もっと多くは登録手続き中であり、数百が臨床治験中であり、400種を上回るものは前臨床研究が進行中である。環式ペプチドの制約された構造特徴の結果として線状ペプチドのそれと比較して、環式ペプチドの強化された生物学的特異性、活性および代謝安定性は、多くの注目を引きつけた。環式ペプチド擬態スカフォールドおよびテンプレートは、分子認識および薬物発見のための多様な空間的に形成された官能基を集合させるために広く用いられてきた。環式ペプチドおよびペプチド擬態の調製のための商業的に利用可能な合成方法を考案し開発するために活発な継続的取り組みがなされている。
【0014】
環式ペプチドは溶液中に形成された部分保護線状前駆体から、あるいは高希釈条件または擬希釈条件下で溶液中のこうした線状前駆体の環化を含む固相技術によって合成することが可能である。あるいは、環式ペプチドは、ペプチドを高分子支持体に固定したままにしつつ、線状ペプチドシーケンスの固相集合、その後の環化によって調製することが可能である。この方法は、分子間副反応より分子内反応を好む固相に帰される擬希釈現象を利用している。より最近、化学的結紮法も特に主鎖ペプチド結合の形成に際して環式ペプチドの形成の多少の成功を示した。他の方法と異なり、化学的結紮法はカップリング試薬も保護機構も必要ないが、可変化学選択的捕捉工程、その後の非可変分子内アシル転移反応を経て達成される。
【0015】
しかし、上で論じた合成技術および他の高希釈法または擬希釈法の開発にもかかわらず、合成原理の実用的側面、すなわち、出発材料および反応パラメータの選択は、まだ実験的に決定する必要があり、環化工程は基礎的合成課題としてまだ残ったままである。複雑な多工程プロセス、特定の反応条件、テンプレート、選択的保護/保護解除工程、および反応材料の高希釈に対する要件は、広範な最適化の後でさえ大環状化合物の商業生産を制限し続け、修正された方法または改善された方法には元来の高希釈手順の多くの限界がまだある。

【0016】
反応材料の高希釈に依存しないか、または高希釈技術の欠点を別段に被らず、そして商業規模での多様な大環状化合物の合成のために有用である一般方法は多大な価値があるであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
発明の概要
本発明は化合物の多様な異なる種類の大環状化合物の生産収率および体積生産効率を高めるために一般に適用できる大環状化合物を製造するための新規方法に関する。
【0018】
本発明は大幅に低いコストでの大環状化合物の拡大商業生産に関する多様な大環状化合物の自動化合成のための新規組成物および装置にも関連する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
一態様において、本発明は、少なくとも1種の大環状化合物を製造する方法であって、(a)1種以上の反応物を前記反応媒体中に含む反応系を提供する工程であって、前記反応物が少なくとも環化反応を含む少なくとも1つの所望の反応経路を経て第1の反応条件下で反応媒体中に前記大環状化合物を形成できるとともに所望しないオリゴマー化反応を含む少なくとも1つの所望しない反応経路を経て前記第1の反応条件下で所望しないオリゴマーをさらに形成できる工程と、(b)対応する非調節のオリゴマー化反応に比して、前記1種以上の反応物による前記所望しないオリゴマーの形成を減らし、および/または前記反応媒体からの前記所望しないオリゴマーの分離を減らす前記反応媒体中の前記1種以上の反応物のオリゴマー化反応を調節する工程と、を含む方法に関する。
【0020】
もう1つの態様において、本発明は、少なくとも1種の大環状化合物を製造する方法であって、(a)1種以上の反応物を前記反応媒体中に含む反応系を提供する工程であって、前記反応物が少なくとも環化反応を含む少なくとも1つの所望の反応経路を経て第1の反応条件下で反応媒体中に中間大環状化合物を形成できるとともに所望しないオリゴマー化反応を含む少なくとも1つの所望しない反応経路を経て前記第1の反応条件下で所望しないオリゴマーをさらに形成できる工程と、(b)対応する非調節のオリゴマー化反応に比して、前記1種以上の反応物による前記所望しないオリゴマーの形成を減らし、および/または前記反応媒体からの前記所望しないオリゴマーの分離を減らすために前記反応媒体中の前記1種以上の反応物のオリゴマー化反応を調節する工程と、(c)前記中間大環状化合物を変性して、対象の大環状化合物を形成する工程と、を含む方法に関する。
【0021】
さらなる態様において、本発明は、大環状化合物を形成するための反応組成物であって、
(1)少なくとも環化反応を含む少なくとも1つの所望の反応経路を経て第1の反応条件下で大環状化合物を形成できるとともに所望しないオリゴマー化反応を含む少なくとも1つの所望しない反応経路を経て前記第1の反応条件下で所望しないオリゴマーをさらに形成できる1種以上の反応物と、
(2)前記反応物を溶解させるための1種以上の反応溶媒と、
(3)1種以上のオリゴマー化制御添加剤であって、前記オリゴマー化制御添加剤のない対応する反応組成物を基準として所望しないオリゴマーの形成を減らし、および/または前記反応組成物からの所望しないオリゴマーの分離を減らすことにより前記反応物のオリゴマー化反応を調節する1種以上のオリゴマー化制御添加剤と、を含む反応組成物に関する。
【0022】
なおさらなる態様において、本発明は、少なくとも1種の大環状化合物を製造するシステムであって、(1)少なくとも環化反応を含む少なくとも1つの所望の反応経路を経て第1の反応条件下で1種以上の溶媒を含む反応媒体中に前記大環状化合物を形成できるとともに所望しないオリゴマー化反応を含む少なくとも1つの所望しない反応経路を経て前記第1の反応条件下で所望しないオリゴマーをさらに形成できる1種以上の反応物および/または前記1種以上の溶媒を供給するための1個以上の供給容器と、(2)前記反応物および前記溶媒を受理するとともに前記反応物の反応を行って前記大環状化合物を形成するための前記供給容器に連結された反応チャンバと、(3)前記反応チャンバ内の前記1種以上の反応物のオリゴマー化反応を調節して、対応する非調節のオリゴマー化反応を基準として前記1種以上の反応物により前記所望しないオリゴマーの形成を減らすか、または前記反応媒体から前記所望しないオリゴマーの分離を減らすためのオリゴマー化調節装置を含むシステムに関する。
【0023】
本発明のもう1つの態様は、環化反応と競合する所望しないオリゴマー化反応を制御するためにオリゴマー化制御剤の使用を含む前記環化反応を経て前記大環状化合物を合成する方法に関する。
【0024】
本発明の他の態様、特徴および実施形態は、以下の開示および添付された特許請求の範囲からより完全に明らかになるであろう。
【0025】
定義
本明細書で用いられる「1つの(a)」および「1つの(an)」という単語は、それらの単数を意味することに限定されず、複数も包含する。
【0026】
「大環状」、「大環状化合物」および「環式化合物」という言葉は、1個以上の環構造を有する単環式化合物と多環式化合物の両方を指すために本明細書において同義的に用いられる。こうした各環構造中の原子の全数は、例えば3〜約100以上の範囲内で広く異なってもよい。こうした単環式化合物または多環式化合物は、1個以上の線状官能基、分岐官能基および/または環構造によって画定された平面を横切って橋を架けるアーチ状官能基をさらに含んでもよい。2個以上の環構造を有する多環式化合物の場合、これらの環構造のいずれの対も非環式スペース構造によって互いに分離されていてもよいし、環は1つの化学結合または1つの原子を共有する互いに並んだ関係にあってもよいし、または別の形として、環は互いに部分的に重なってもよいし、または1つの環構造は、他の環によって囲まれるか、あるいは他の環と絡み合うことが可能である。こうした化合物の三次元構造は、平面、円柱、半球、球、卵形、螺旋、角錐などをこれらに限定されることなく含む、規則的または不規則的なあらゆる幾何形状によって特徴付けることが可能である。詳しくは、こうした大環状化合物は、ポルフィリノーゲン、ポルフィリン、サフィリン、テキサフィリン、バクテリオクロリン、クロリン、コプロポルフィリンI、コリン、コロレス、シトポルフィリン、ジュートロポルフィリン、エチオポルフィリンI、エチオポルフィリンIII、ヘマトポルフィリン、フェオフォルビドa、フェオフォルビドb、フォルビン、フタロシアニン、フィロクロリン、フィロポルフィリン、フィトクロリン、フィトポルフィリン、プロトポルフィリン、ピロクロリン、ピロポルフィリン、ロードクロリン、ロードポルフィリン、ウロポルフィリンI、カリックス[n]ピロール、カリックス[n]エリン、シクロアルカン、シクロアルケン、シクロアルキン、ピペリジン、モルフォリン、ピロリジン、アジリジン、アニリン、チオフェン、キノリン、イソキノリン、ナフタレン、ピリミジン、プリン、ベンゾフラン、オキシラン、ピロール、チアジド、オザゾール、イミダゾール、インドール、フラン、ベンゾチオフェン、ポリアザマクロサイクル、カルボヒドレート、アセタール、クラウンエーテル、環式無水物、ラクタム、ラクトン、環式ペプチド、フェニルチオヒダントイン、チアゾリノン、スクシンイミド、コロネン、マクロリド、カルボサイクリック、シクロデキストリン、酸化スクアレン、イオノフォア抗生物質、環式ビス−N,O−アセタール、環式ジスルフィド、テルペノイド、スピロサイクル、レゾルシナレン、マクロサイクル、環式オリゴ(シロキサン)、スタニレーテッド環式オリゴ(エチレンオキシド)、環式ポリ(ジブチル錫ジカルボキシレート)、環式ポリ(ピロール)、環式ポリ(チオフェン)、環式ポリ(アミド)、環式ポリ(エーテル)、環式ポリ(カーボネート)、環式ポリ(エーテルスルホン)、環式ポリ(エーテルケトン)、環式ポリ(ウレタン)、環式ポリ(イミド)、環式ポリ(デカメチレンフマレート)、環式ポリ(デカメチルエチレンマレエート)などを含んでもよいが、それらに限定されない。
【0027】
本明細書で用いられる「所望のオリゴマー」という用語は、環化反応によって所望の大環状化合物を形成するために適切なオリゴマー数(構造単位(mer unit)の数)を有する本発明の反応組成物中の反応物によって形成されたオリゴマー化合物またはポリマー化合物を意味する。
【0028】
本明細書で用いられる「所望のオリゴマー化」という言葉は、所望のオリゴマーを形成するオリゴマー化反応を意味する。
【0029】
本明細書で用いられる「所望しないオリゴマー」という言葉は、本発明の反応組成物中の反応物によってこれらも形成されるとともに、所望のオリゴマーより小さいか、または大きいオリゴマー数またはポリマー数(構造単位(mer unit)の数)を有する所望のオリゴマー以外の多様なオリゴマー化合物および/またはポリマー化合物を意味する。
【0030】
本明細書で用いられる「所望しないオリゴマー化」という言葉は、所望しないオリゴマーを形成するオリゴマー化反応を意味する。
【0031】
オリゴマー化反応に関して本明細書で用いられる「調節する」または「調節」という言葉は、オリゴマー化反応に影響を及ぼすために関与して、こうした関与なしで行われた対応するオリゴマー化反応を基準として所望しないオリゴマーの形成の減少および/または前記反応媒体から既に形成された前記所望しないオリゴマーの分離の減少を引き起こすあらゆるタイプの関与を包含するように広く解釈することを意図している。本発明の特定の実施形態におけるこうした関与は、例えば、あらゆる薬剤または添加剤の添加、あらゆる反応副生成物の除去およびあらゆる反応条件の変更の1つ以上を含むことが可能であり、それによってオリゴマー化反応に伴う所望しないオリゴマーの形成、および/または反応媒体からの所望しないオリゴマーの分離が低減する。テンプレーティングおよび他の擬希釈技術などの従来の技術は所望の大環状化合物の収率を最大化するために本発明の全体的なプロセスの中で追加的に用いてもよいが、これらは本発明における「調節」にも「調節する」にも含まれない。
【0032】
「副生成物」および「反応副生成物」という言葉は、本発明の方法における特定の反応によって製造されるあらゆる無機化合物、有機化合物、有機金属化合物、化学元素、ラジカル、イオン(カチオン/アニオン/双生イオン)、中性粒子、活性化粒子または他の利用可能な化学種を包含するために本明細書において同義的に用いられる。詳しくは、副生成物を製造する場合がある反応工程には、縮合反応、オリゴマー化反応、環化反応、置換反応、メタセシス反応などが挙げられるが、それらに限定されない。
【0033】
本明細書で用いられる「相分離」という用語は、材料とその環境との間の物理的差異および/または化学的差異による、あるいは材料とその環境との間の特性の差異の結果としての、材料のその周囲環境から分離を広く意味する。こうした用語は、以下に限定されないが、液体からの不溶性または弱い可溶性の固体または気体の自然分離、不混和性液体の他の液体からの自然分離、密度差による気体からの液体または固体の自然分離、を特に包含する。こうした用語は、例えば、サイズ、形状、質量、密度、溶解度、揮発度、透過率、拡散速度、電荷分布、質量/電荷比、結合親和力、吸着/吸収電位または反応性などの差に基づくあらゆる分離を包含する。
【0034】
本明細書で用いられる「相移動」という用語は、多相環境(例えば、相として2つ以上の異なる不混和性成分を含む環境)における1つの相から他の相への材料の移動を広く意味する。従って、相は、1つ以上の物理的特性および/または化学的特性において、あるいは他の識別可能な特性において、互いに異なる。こうした用語は、以下の限定されないが、第1の液体成分とは異なるとともに第1の液体成分に不混和性である第2の液体成分への第1の液体成分からの1種の材料の移動を特に包含する。こうした用語は、サイズ、形状、質量、密度、溶解度、揮発度、透過率、拡散速度、電荷分布、質量/電荷比、結合親和力、吸着/吸収電位および/またはこうしたそれぞれの相成分間の反応性の差に基づく1つの相成分からもう1つの相成分への材料のあらゆる移動をさらに包含する。
【0035】
本明細書で用いられる「自然の」という用語は、内部力下で進行し、外部の力の関与が必要ではないプロセスを意味する。自然プロセスは、一切の特定の時間枠によって限定されない。すなわち、自然プロセスは瞬間的に、または比較的長い時間にわたって起きる場合がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
発明の詳細な説明
「環式化合物を形成するための方法および組成物(METHODS AND COMPOSITIONS FOR FORMING CYCLIC COMPOUNDS)」のためにジョンソン(Thomas E.Johnson)およびフォーラー(Billy T.Fowler)の名義で2004年2月17日出願の米国仮特許出願第60/545,131号の内容はすべての目的のために全体的に引用して援用する。
【0037】
一般に、大環状化合物の合成は線状前駆体の環化を含む。線状前駆体は、例えば、オリゴマー化反応によって1種以上の出発材料から現場(in−situ)で形成することができ、または線状前駆体は大環状化合物の合成のための出発材料として直接提供されることが可能である。
【0038】
図1Aは、大環状化合物Cをオリゴマー化反応および環化反応によって形成することが可能である方法を例示的に示している。詳しくは、こうした方法は、(a)モノマー中間生成物ABを形成する2種以上の反応物AおよびBの縮合反応、(b)長さnの所望のオリゴマー[AB]を形成するこうしたモノマー中間生成物ABの可逆オリゴマー化、(c)大環状化合物Cを形成するこうした所望のオリゴマー[AB]の可逆環化を含む。後続の環化および化合物Cの形成のために必要な所望のオリゴマー[AB]を形成するABのオリゴマー化が所望のオリゴマー化である。従って、縮合反応、所望のオリゴマー化反応および環化反応は、反応物AおよびBが大環状化合物Cを形成する所望の反応経路1を定める。さらに、所望のオリゴマー[AB]は、長さ(n+k)の所望しないオリゴマー[AB]n+kを形成するさらなる所望しないオリゴマー化を受けやすい。所望のオリゴマー[AB]のこうしたさらなるオリゴマー化は、環化反応のための所望のオリゴマー[AB]の入手可能性を減少させ、大環状化合物Cの生産収率の大幅な減少を引き起こすことにより所望の反応経路1と直接競合する所望しない反応経路2を定める。
【0039】
図1Bは、大環状化合物Cを形成するためのもう1つの方法であって、(a)線状中間生成物ABを形成する2種以上の反応物AおよびBの縮合反応および(b)大環状化合物Cを形成するこうした線状中間生成物ABの可逆環化を含む方法を例示的に示している。この方法では大環状化合物Cの形成のためにオリゴマー化は所望しないである。実際、縮合反応および環化反応は、反応物AおよびBが所望の大環状化合物Cを形成する所望の反応経路1を定める。しかし、線状中間生成物ABは、長さmの所望しないオリゴマー[AB]を形成するさらなる所望しないオリゴマー化を受けやすい。従って、線状中間生成物のこうした所望しないオリゴマー化は、環化反応のための線状中間生成物ABの入手可能性を減少させ、大環状化合物Cの生産収率の大幅な減少を引き起こすことにより所望の反応経路1と直接競合する所望しない反応経路2を定める。
【0040】
図1Cは、大環状化合物Cをオリゴマー化および環化を経て形成することが可能であるさらなる方法を例示的に示している。詳しくは、こうした方法は、(a)長さnの所望のオリゴマーAを形成する単一反応物Aの可逆オリゴマー化および(b)大環状化合物Cを形成するこうした所望のオリゴマーAの可逆環化を含む。後続の環化および化合物Cの形成のために必要な所望のオリゴマーAを形成するAのオリゴマー化が所望のオリゴマー化である。従って、所望のオリゴマー化反応および環化反応は、反応物Aが所望の大環状化合物Cを形成する所望の反応経路1を定める。この反応機構において、所望のオリゴマーAは、長さ(n+k)の所望しないオリゴマーAn+kを形成するさらなる所望しないオリゴマー化を受けやすい。所望のオリゴマーAのこうしたさらなる所望しないオリゴマー化は、環化反応のための所望のオリゴマーAの入手可能性を減少させ、大環状化合物Cの生産収率の大幅な減少を引き起こすことにより所望の反応経路1と直接競合する所望しない反応経路2を定める。
【0041】
図1Dは、大環状化合物Cを形成するためのもう1つの方法であって、大環状化合物Cを形成する単一反応物Aの可逆環化のみを含む方法を例示的に示している。この方法では大環状化合物Cの形成のために縮合もオリゴマー化も所望しないである。その代わりに、環化反応は、反応物Aが所望の大環状化合物Cを形成する所望の反応経路1を単独で定める。しかし、反応物Aは、長さmの所望しないオリゴマーAを形成するさらなる所望しないオリゴマー化を受けやすい。従って、反応物Aのこうした所望しないオリゴマー化は、環化反応のための反応物Aの入手可能性を減少させ、大環状化合物Cの生産収率の大幅な減少を引き起こすことにより所望の反応経路1と直接競合する所望しない反応経路2を定める。
【0042】
上述した反応物はいかなる構造または官能基も含んでよく、メタン、第一アルカン、第二アルカン、第三アルカン、脂環式環、脂二環式環、脂三環式環、アルケン、アルキン、一環式芳香族炭化水素、多環式芳香族炭化水素、ビフェニル型ベンゾイド環、酸素エーテル、チオエーテル、S−複素環、N−複素環、飽和N−複素環、不飽和O−複素環、エポキシド、チオケトン、アルコール、チオール、第一アミン、第二アミン、第三アミン、アルデヒド、カルボキシレートイオン、カルボン酸、カルボン酸エステル、カルボン酸チオエステル、ジカルボン酸およびトリカルボン酸、アミド、ニトリル、オキシム、チオシアネート、シアナミド、ニトロ、ニトレートエステル、ジアゾ、有機ハロゲン化物、有機水銀、有機砒素、有機珪素、有機錫、有機ホスファートエステル、チオホスファートエステル、ホスホン酸、ホスフィン酸、スルホン酸、スルフェートエステル、過酸化物、過酸、無水物、アルカロイド、グリニャール試薬、ケトンアセタール、イリド、ケトエステル、ケト酸、N−アシルアミノ酸、アシクロリド、アシルニトレン、ヒドラゾン、エナミン、ケテン、チオフェン、フラン、ピリド、アリルアルコール、芳香族窒素、芳香族アルコール、ベータラクタム、ヒューズドラクタム、ラクトン、芳香族ケトン、芳香族酸素、オキシムエーテル、ウレア、ウレタン、トリハロゲン化物、環式エーテル、ハロゲン化アリール、アセタールケタール、スルホンアミド、ハロゲン化アシル、ビスマレイミド、アルジトール、アルドテトロース、アルカジエン、アミドマロン酸エステル、アルカトリエン、酸化アルケン、アルケニルベンゼン、アルキルハロゲン化物、アルキルスルフェート、アルキルトシレート、アルキルトリフレート、アレン、アリルハロゲン化物および酸化アミンから誘導された官能基を含んでもよいが、それらに限定されない。
【0043】
図1A〜1Dの上述した方法は、出発材料(すなわち反応物)および特定の反応工程の数で異なるけれども、それらの方法は以下の一般的特徴を共有している。
(1)すべての方法は、線状前駆体、例えば図1Aによって例示された方法における所望のオリゴマー[AB]、図1Bによって例示された方法における線状中間体AB、図1Cによって例示された方法における所望のオリゴマーA、および図1Dによって例示された方法における反応物Aの環化を経て大環状化合物Cを形成する。
(2)こうした線状前駆体は、所望しないオリゴマー、例えば、図1Aによって例示された方法における[AB]n+k、図1Bによって例示された方法における[AB]、図1Cによって例示された方法におけるAn+k、および図1Dによって例示された方法における[A]、を形成する所望しないオリゴマー化を受けやすい。
【0044】
所望しないオリゴマー化反応は環化反応と競合し、よって環化反応のための線状前駆体の入手可能性を減らし、対象の大環状化合物の生産収率の減少を引き起こす。さらに、所望しないオリゴマーが特定の臨界長さに達する時、所望しないオリゴマーは不溶性または弱い可溶性になる場合があり、反応媒体から沈殿するか、または別段に反応媒体から分離し、これにより可逆化オリゴマー化反応を環化反応に対して優勢である実質的に不可逆な反応に変換する。こうした場合、所望しないオリゴマーの量は生成物混合物中の大環状化合物の量をはるかに越える。
【0045】
本発明は、オリゴマー化反応を調節して、対応する非調節のオリゴマー化反応に比して、所望しないオリゴマーの形成を減らし、および/または反応媒体から既に所望しないオリゴマーの分離を減らすことにより、こうした問題に対する解決方法を提供する。
【0046】
本発明の一実施形態において、こうしたオリゴマー化の調節は、1種以上のオリゴマー化制御添加剤を反応媒体に添加することにより達成される。こうしたオリゴマー化制御添加剤には、こうしたオリゴマー化制御添加剤の添加なしに行われた対応するオリゴマー化反応を基準として所望しないオリゴマーの形成を減らし、および/または反応媒体から既に所望しないオリゴマーの分離を減らすことにより、その添加がオリゴマー化反応に影響をおよぼす適切なあらゆる材料を含まれる。
【0047】
例えば、オリゴマー化副生成物が所望しないオリゴマーに加えて形成するオリゴマー化反応に対しては、外来の(extraneous)オリゴマー化副生成物を、反応媒体中の総オリゴマー化副生成物濃度を高めるために反応媒体に添加することが可能であり、これによって所望しないオリゴマーの形成を防ぐことができる。
【0048】
より重要なことには、反応媒体中の総オリゴマー化副生成物濃度を調節することにより、選択された長さを有する所望のオリゴマーの生成物分布を提供することが可能である。一般に、オリゴマー化副生成物濃度が高ければ高いほど、反応媒体中に形成されるオリゴマーの平均長さは短い。図2は、異なる量の外来のオリゴマー化副生成物が添加された時のオリゴマー分布のシフトを例示している。例えば、14%外来のオリゴマー化副生成物(反応媒体の全体積を基準にして)を添加する時、平均オリゴマー長さの分布は約5でピークになる。それは、こうして調節されたオリゴマー化反応がペンタマーの形成に好都合であることを意味する。もう1つの例として、8(体積)%外来のオリゴマー化副生成物を添加する時、平均オリゴマー長さ分布のピークは約10にシフトする。それは、調節されたオリゴマー化反応が長さ約10のより長いオリゴマーの形成に今好都合であることを意味する。なおさらなる例として、2(体積)%のみの外来のオリゴマー化副生成物を添加する時、平均オリゴマー長さ分布のピークは約15にさらにシフトする。それは、調節されたオリゴマー化反応が長さ約15のオリゴマーの形成に今好都合であることを意味する。
【0049】
従って、外来のオリゴマー化副生成物の添加量を調節することにより、オリゴマー化反応の程度を制御して、大環状化合物を形成するための環化のために、特定の長さ(n)を有する所望のオリゴマーを形成しやすいようにすることが可能である。
【0050】
オリゴマー化反応を調節するために用いられる外来のオリゴマー化副生成物は関与する特定のオリゴマー化反応に基づいて選択される。例えば、本発明の広い範囲内で特定の例において用いることができる適切な外来のオリゴマー化副生成物には、アデノシン5’−モノホスファート(AMP)、シチジン5’−モノホスファート(CMP)、グアノシン5’−モノホスファート(GMP)、チミジン5’−モノホスファート(TMP)、ウリジン5’−モノホスファート(UMP)、アデノシンジホスファート(ADP)、シチジンジホスファート(CDP)、グアノシンジホスファート(GDP)、チミジンジホスファート(TDP)、ウリジンジホスファート(UDP)、ピロ燐酸、アルキルピロホスファート、ピリジン、アニリン、ベンジルアルコール、水、二水素硫化物、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、臭化物、アルキルチオール、チオフェノール、2−ブチン、酢酸、アセトン、二酸化炭素、一酸化炭素、重水、フルクトース、ガラクトース、没食子酸、グリセロール、グルコース、塩酸、シアン化水素、臭化水素酸、沃化水素酸、ヨードホルム、乳酸、窒素、亜硝酸、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、水素、フェノール、二酸化硫黄、燐酸、エチレン、硫酸、シラン、シリルエーテル、スルホン酸、スルフィットエステル、スルフェン酸、スルフィン酸、ジスルフィド、過酸化物、硼酸、硼酸エーテル、トリフレート、メシレート、スルフェート、ハロゲン化アルキル、過塩素酸、過沃素酸、スルホン、スルホキシド、スクシンイミド、N,N−ジイソプロピルウレア、アミノ酸、メチルチオシアネートおよびN−ヒドロキシスクシンイミドが挙げられるが、それらに限定されない。
【0051】
形成された所望のオリゴマーが反応媒体に不溶性または弱く可溶性であるオリゴマー化反応に対しては、オリゴマー化調節は、1種以上の可溶化性官能基および可溶化剤としての機能を含むオリゴマー化制御添加剤を提供することにより達成することが可能である。1種以上のオリゴマー化添加剤は、本発明の方法の特定の用途において必要に応じてまたは所望に応じて用いることが可能である。可溶化剤は所望しないオリゴマー化反応に参加して、可溶化性官能基を含む変性された所望しないオリゴマーを形成する。こうした変性された所望しないオリゴマーは可溶化性官能基を含むゆえに、反応媒体により可溶性になり、反応媒体から分離しにくくなる。このようにして、所望しないオリゴマーは反応媒体中に保たれ、環化反応のための所望のオリゴマーまたは他の線状前駆体に可逆的に転化されることが可能である。
【0052】
さらに、オリゴマー化制御添加剤には、所望しないオリゴマーの形成を減らすことによりオリゴマー化反応に影響を及ぼす反応物または反応物の1種以上の中間生成物と相互作用する化合物または溶媒化学種が含まれる。
【0053】
上述したオリゴマー化制御添加剤の使用に加えて、本発明の広い実施技術内のオリゴマー化調節には、さらに1種以上の反応副生成物の除去が含まれ、こうした副生成物除去のない対応する反応機構に比して、所望しないオリゴマーの形成を減らし、および/または所望のオリゴマーの形成が起こりやすいように、オリゴマー化反応に影響を及ぼしてもよい。
【0054】
オリゴマー化調節は、所望しないオリゴマーをもたらす反応経路より所望の反応経路をとり易いように反応平衡が変わり、これによって所望しないオリゴマーの代わりに、より多くの大環状化合物を形成するように反応条件を変えることによっても達成することができる。例えば、反応温度、圧力、pH値、活性化状態および/または光子状態を変えることにより、オリゴマー化反応および環化反応の平衡は、大環状化合物の形成を促すとともに所望しないオリゴマーの形成を抑制するように変えることが可能である。こうした技術は、オリゴマー化制御添加剤の使用と合わせて、またはオリゴマー化制御添加剤の使用とは無関係に用いることが可能である。
【0055】
本発明によるオリゴマー化反応の調節は、所望しないオリゴマー化の影響を効果的に最少化するか、または大幅に減らすために用いることが可能であり、これによって大環状化合物の大幅に高い収率を達成する。
【0056】
特定の反応系においては、異なるサイズの複数の大環状化合物を、異なるオリゴマーの環化反応を含む異なる反応経路を経由して形成可能である。従って、適切なオリゴマー化調節技術は所望しないオリゴマーの形成を減らすように選択することが可能であり、これにより所望しない大環状化合物の形成を減らし、所望のサイズの1種以上の大環状化合物を形成しやすい改善された生成物分布を達成する。
【0057】
上述したオリゴマー化調節プロセスの影響下で環化反応によって形成された大環状化合物は、技術上今知られているか、または後で発見される適切なあらゆる方法または技術によって回収することが可能である。好ましくは、こうした大環状化合物は、こうした大環状化合物と反応媒体の他の成分との間の1つ以上の物理的特性および/または化学的特性あるいは、その他の材料特性の差に基づいて反応媒体から選択的に分離される。
【0058】
例えば、大環状化合物は、こうした大環状化合物に対して選択的に透過性であるが、出発材料、所望のオリゴマーおよび/または所望しないオリゴマー、および反応媒体の他の成分に対して不透過性であるか、あるいは大環状化合物に対して不透過性であるが、反応媒体のすべての他の成分に対して透過性である半透過性膜に反応媒体を通すことにより、それらの間の透過率差に基づいて反応媒体から選択的に分離することが可能である。もう1つの例として、大環状化合物は、大環状化合物に対しては選択的結合親和性を有するが、反応媒体の他の成分に対しては選択的結合親和性を有さないアフィニティカラムに反応媒体を通すことにより、それらの間の親和力差に基づいて反応媒体から選択的に分離することが可能である。さらなる例として、大環状化合物は、こうした大環状化合物が反応媒体の他の成分が帯びる電荷とは異なる電荷を帯びる場合、電場を加えることにより反応媒体から選択的に分離することが可能である。なおさらなる例として、大環状化合物は、大環状化合物が反応媒体の他の成分の磁気状態とは異なる磁気状態を示す場合、磁場を加えることにより反応媒体から選択的に分離することが可能である。
【0059】
反応媒体から大環状化合物を分離するために用いることができる物理的特性差および/または化学的特性差には、濾過、蒸発、フラッシュ膨張、蒸留、ストリッピング、吸収、抽出、結晶化、吸着、イオン交換、乾燥、浸出、洗浄、包接、浸透、逆浸透、気泡分別、磁気分離、クロマトグラフィ、凍結乾燥、凝縮、ゲル濾過、ガス拡散、スイープ拡散、熱拡散、マススペクトロメトリ、透析、電気透析、電気泳動、超遠心分離、限外濾過、分子蒸留、デミスト、沈降、遠心分離、サイクロン流動分離、静電沈降などの多様な周知された分離方法において広く用いられてきたサイズ、形状、質量、密度、溶解度、揮発度、透過率、拡散速度、電荷分布、質量/電荷比、結合親和力、吸着/吸収電位、反応性(例えば、金属配位、静電相互作用、水素結合、ドナーアクセプタ相互作用および共有結合形成)の差が挙げられるが、それらに限定されない。
【0060】
上に記載した物理的特性差および化学的特性差ならびに分離技術が本発明の広い実施技術において有用に用いることができる膨大な数の分離特性および分離技術の一部の例示のみであることが強調されるべきである。従って、前述した事項は網羅的なリストと解釈されるべきでなく、本発明の適用可能性の広い範囲をいかにしても限定すると解釈されるべきではない。
【0061】
本発明の好ましい実施形態において、反応媒体組成および反応条件は、環化反応によって形成された大環状化合物が外部力または外部エネルギーを必要とせずに相分離または相移動を経由して反応媒体から自然に分離するように調節される。
【0062】
例えば、反応媒体が液相状態にある時、反応媒体組成および反応条件は、大環状化合物が形成すると反応媒体から沈殿するように、こうした反応媒体に不溶性または弱く可溶性である固体として大環状化合物を形成するように選択することが可能である。あるいは、こうした大環状化合物は、大環状化合物がその比重特性に応じて反応媒体相の例えば上でまたは下で異なる液体相に自然に分離するように、反応媒体に不混和性または弱く混和性である液相材料であることが可能である。さらなる代案として、こうした大環状化合物は、大環状化合物が形成すると反応媒体から自然に泡立つように、反応媒体に不溶性または弱く可溶性である気体生成物であることが可能である。なおもう1つの代案として、反応媒体は気体状態で提供されることが可能であり、その中で大環状化合物は液体として形成されるか、またはそれぞれ凝結または固化によって気体反応媒体から自然に分離する固体として形成される。
【0063】
相移動を経由して大環状化合物の自然分離を達成するために、多相反応系も本発明において用いることが可能である。例えば、反応媒体は多相反応系の第1の液相成分として提供されることが可能である一方で、こうした反応媒体に不混和性または弱く不混和性の第2の液相成分は反応媒体に隣接した液相または液体体積として提供される。形成されるべき大環状化合物は、反応媒体によって形成された第1の液相成分に不溶性または弱く可溶性であるが、第2の液相成分に可溶性または中程度に可溶性である。従って、反応媒体中に生じるとともにこれらの2つの液相成分の液−液界面に接触する大環状化合物は、隣接した第2の液相成分に反応媒体から自然に移動し、よって反応媒体から分離する。
【0064】
上述した大環状化合物の自然分離は、大環状化合物に向けた環化反応を連続的に推進する駆動力を有利に提供し、従って、こうした反応および分離モードは、本発明の実施において特に好ましいアプローチである。
【0065】
反応媒体からの大環状化合物の自然分離は、適切な溶媒および/または添加剤を選択して、および/または反応条件を調節して、大環状化合物の製造を最大化することにより行うことが可能である。好ましくは、反応媒体の組成および反応条件は、反応物および少なくとも所望のオリゴマーがこうした反応媒体に可溶性であるとともに大環状化合物が反応媒体に不溶性または弱くのみ可溶性であり、よって大環状化合物を反応媒体から選択的に分離するように調節される。
【0066】
本発明の1つの特定の実施形態において、反応媒体は反応物を溶解させるとともに大環状化合物を選択的に分離するための単一溶媒を含む。
【0067】
代替の実施形態において、反応溶媒および共溶媒は反応媒体中に提供され、反応溶媒は反応物を溶解させるために機能し、共溶媒は大環状化合物の反応媒体からの自然分離を行うために機能する。好ましくは、こうした反応溶媒および共溶媒は、反応物および所望のオリゴマーが可溶性であるとともに大環状化合物が不溶性または弱くのみ可溶性である反応媒体を形成するように作用する。
【0068】
上述したように、所望しないオリゴマーが特定の長さに達する時、所望しないオリゴマーは、反応媒体に不溶性または弱くのみ可溶性になる場合があり、反応媒体から沈殿し始める場合がある。こうした問題は上述した適切なオリゴマー化制御技術を用いることにより効果的に処理して、こうした所望しないオリゴマーの形成を減らす、および/または反応媒体からの所望しないオリゴマーの分離を減らすことが可能である。
【0069】
反応媒体からの大環状化合物の自然分離を行うための本発明の広い実施技術において用いることができる適切な共溶媒には、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノール、n−プロパノール、イソブタノール、n−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、蟻酸、リモネン、ジプロピレングリコール、モノメチルエーテル、ジエチレングリコール、エチルエーテル、トリプロピレングリコール、モノメチルエーテル、ジメチルスルホキシド、フェノール、ポリプロピレングリコール、N−メチル−2−ピロリドン、アセトン、酢酸エチル、グリコールフロール、ソルケタール、グリセロール、ホルモール、ホルムアミド、ニトロベンゼン、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ジメチルイソソルビド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、1,4−ジオキサン、ヒドロソルブ、アセトニトリル、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、グリコールエーテル、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、ヘキシルセロソルブ、メチルカルビトール、カルビトール、ブチルカルビトール、ヘキシルカルビトール、プロパソール溶媒B、プロパソール溶媒P、プロパソール溶媒M、プロパソール溶媒DM、メトキシトリグリコール、エトキシトリグリコール、ブトキシトリグリコール、1−ブトキシエトキシ−2−プロパノール、フェニルグリコールエーテル、グリム、モノグリム、エチルグリム、ジグリム、エチルジグリム、トリグリム、ブチルジグリム、テトラグリム、アミノアルコール、スルホラン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド(HMPA)、ニトロメタン、メチルエチルエーテル、二硫化炭素、塩化メタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、トルエンおよびベンゼンが挙げられるが、それらに限定されない。
【0070】
こうした共溶媒に加えて、またはこうした共溶媒とは無関係に、1種以上の分離添加剤を、大環状化合物の反応媒体からの自然分離を行うために反応媒体中に提供することが可能である。
【0071】
例えば、こうした分離添加剤は、アルミニウム、アンモニウム、バリウム、カルシウム、クロム(II)、第一クロム(chromous)、クロム(III)、第二クロム(chromic)、銅(I)、第一銅(cuprous)、銅(II)、第二銅(cupric)、鉄(II)、第一鉄(ferrous)、鉄(III)、第二鉄水素(ferric hydrogen)、ヒドロニウム、鉛(II)、リチウム、マグネシウム、マンガン(II)、マンガンマグネシウム(manganous manganese)(III)、マンガン(manganic)、水銀(I)、水銀(mercurous)、水銀(II)、第二水銀(mercuric)、ニトロニウム、カリウム、銀、ナトリウム、ストロンチウム、錫(II)、第一錫(stannous)、錫(IV)、第二錫(stannic)、亜鉛オキソニウム、スルホニウム、セレノニウム、クロロニウム、ブロモニウム、ヨードニウム、テトラメチルアンモニウム、ジメチルオキソニウム、ジフェニルヨードニウム、エチレンブロモニウム、アニリニウム、グアニジニウム、2−フェニルヒドラジニウム、1−メチルヒドラジニウム、アセトヒドラジニウム、ベンズアミジウム、アセトニウム、1,4−ジオキサニウム、エチリウムまたはエテニウム、フェニリウム、2−シクロヘキセン−1−イリウム、9−アントリリウム、ネオペンチリウム、トリフェニルメチリウムまたはトリフェニルカルベニウム、メタンジイリウム、シクロプロペニリウム、エタン−1,1−ジイリウム、エタン−1,2−ジイリウム、アセチリウム、メチルスルファニリウムまたはメタンスルフェニリウム、メタンスルホニリウム、ベンジリデンアミニリウム、キノリジニウム、1,2,3−ベンゾジチアゾリリウム、メチリウミル、エタン−2−イウム−1−イル、3−メチル−1−(トリメチルシリル)トリアズ−2−エン−2−イウム−1−イド−2イル、1,2,2,2−テトラメチルジアザン−2−イウム−1−イド、アザニリウム、アミニリウム、ニトレニウム、フェニルスルファニリウム、テトラメチル−λ−ホスファニリウム、テトラメチルホスホラニリウム、テトラメチルホスホニウム、3−メチルトリアズ−1−エン−1−イリウム、ヘプタメチルトリシラン−2−イリウム、4−シクロプロピルテトラスルファン−1−イリウム、シクロオクト−3−エン−1−イリウム、フラン−2−イリウム、1,2−ビス(4−メトキシフェニル)−2−フェニルエテン−1−イリウム、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イリウム、スピロ[4.5]デカン−8−イリウム、プロパン−1,3−ビス(イリウム)、2,2−ジメチルジアザン−1,1−ビス(イリウム)、2,2−ジメチルヒドラジン−1,1−ビス(イリウム)、プロパン−2,2−ビス(イリウム)−1−メチルエタン−1,1−ビス(イリウム)、シクロブト−3−エン−1,2−ビス(イリウム)、プロパン−1,2,3−トリス(イリウム)、アンモニウム、メタンジアゾニウム、メチルジアゼニリウム、ベンゾチアゾール−2−ジアゾニウム、ベンゾチアゾール−2−イルジアゼニリウム、2,4−ジオキソペンタン−3−ジアゾニウム、(2,4−ジオキソペンタン−3−イル)ジアゼニリウム、(1−アセチル−2−オキソプロピル)ジアゼニリウム、ベンゼン−1,4−ビス(ジアゾニウム)、1,4−フェニレンビス(ジアゼニリウム)、3,5−ジメチル−1,4−ジヒドロピリジン−1−イリウム、3,5−ジメチルピリジン−1(4h)−イリウム、アセチリウム、ヘキサンチオイリウム、シクロヘキサンカルボニリウム、エタンスルホニリウム、ジメチルホスフィノイリウム、メチルホスホノイリウム、グルタリリウム、ペンタンジオイリウム、ピリジン−2,6−ジカルボニルからなる群から選択されたカチオンを有する塩を包含してもよい。
【0072】
こうした分離添加剤は、水素化物、酸化物、弗化物、硫化物、塩化物、窒化物、臭化物、沃化物、ニトレート、ニトライト、クロメート、クロレート、クロライト、ジクロメート、スルファート、スルフィット、ホスファート、ホスフィット、カーボネイト、アセテート、水酸化物、シアネート、シアン化物、一水素スルファート、一水素スルフィット、一水素カーボネート、一水素ホスファート、ハイポクロライト、二水素ホスファート、ペルクロレート、オキサレート、ペルマンガナート、シリケート、チオシアナート、ヨーダート、ブロマート、ハイポブロマート、ホルマート、アミド、水酸化物、過酸化物、酸化物、オキサレート、アルセナート、アルセナイト、水素化物、弗化物、塩化物、臭化物、沃化物、硫化物、窒化物、ヘキサノアート、シクロヘキサンカルボキシラート、ベンゼンスルファート、1−ブタニド、1−ブチン−1−イド、ベンゼニド、トリフェニルメタニド、ジフェニルメタンジイド、シクロペンタジエニド、1,4−ジヒドロ−1,4−ナフタレンジイド、エチリドまたはエテンアニオン、ジヒドロナフチリドまたはナフタレンアニオン、p−ベンゾセミキノンアニオン、メタニド、ブト−1−イン−1−イド、プロパン−2−イド、ジフェニルメタンジイド、テトラメチルボラヌイド、ベンゼンスルホナート、ジベンジルホスフィニット、メタノレート、ベンゼン−1,4−ビス(チオレート)、シクロヘキサンセレノレート、3−ヒドロキシベンゼン−1,2−ビス(オレート)、カルボキシレート、ホスホネート、スルホネート、オキシド、メタニジル、アミジリデン、ジスルファニジル、ホスファニダ、ボラヌイダ、メチルアニオン、アセチルアニオン、フェニルアニオン、ベンゼンスルフィニルアニオン、メタンアミニルアニオン、メチルアザニルアニオン、シクロペンタ−2,4−ジエン−1−イルアニオン、ジフェニルメチレンジアニオン、1,4−ジヒドロナフタレン−1,4−ジイルジアニオン、メチルアミド、メチルアザニド、ジメチルホスファニド、ジメチルホスフィニド、トリブチルスタニド、メチリジンシラニド、(ジフェニルボリル)メタニド、トリシアノメタニド、プロパン−2−イド、ブト−1−イン−1−イド、1,3−ジフェニルプロプ−2−エン−1−イド、1,1,2−トリシアノ−2−(3,4−ジシアノ−5−イミノ−1,5−ジヒドロ−2H−ピロール−2−イリデン)エタン−1−イド、4−クロロベンゼン−1−イド、シクロペンタ−2,4−ジエン−1−イド、7bH−インデノ[1.2.3−jk]フルオレン−7b−イド、1,5−ジ−p−トリルペンタアザ−1,4−ジエン−3−イド、1H−ベンゾトリアゾール−1−イド、C−N2−フェニルイミド、ジフェニルメタンジイド、9H−フルオレン−9,9−ジイド、1,4−ジヒドロナフタレン−1,4−ジイド、1,1,1,5,5,5−ヘキサメチルトリシラザン−2,4−ジイド、1,3−ジフェニルプロパン−1,2,3−トリイド、1,4,6,9−テトラヒドロピレン−1,4,6,9−テトライドからなる群から選択されたアニオンを含む塩をさらに包含してもよい。
【0073】
好ましくは、こうした塩は、F、Cl、Br、I、SO2−、HSO、Ph、NO、SO2−およびBOなどのアニオンまたはアンモニウム、銅(II)、鉄(III)、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、亜鉛、グアニジニウム、トリフェニルメチリウムおよびテトラメチルホスホニウムなどのカチオンを含む。
【0074】
こうした塩は、大環状化合物の反応媒体への溶解度が減少し、その形成と同時に反応媒体から自然に分離するように、反応媒体に含まれた溶媒と相互作用することが可能であり、および/または大環状化合物と相互作用することが可能である。さらに、こうした塩は反応媒体の他の成分と相互作用して、これらの成分の反応媒体からの分離を減らしてもよい。
【0075】
適切なオリゴマー化制御添加剤、反応溶媒、共溶媒および/または分離添加剤を選択することにより、オリゴマー化反応および/または環化反応の生成物分布を容易に調節するとともに大環状化合物の生産収率を改善することが可能である。
【0076】
例えば、図4は、全くオリゴマー化制御なしで(形成された非極性テトラフェニルポルフィリノーゲンを選択的に沈降させるための沈降溶媒として機能する)無水エタノール中での(テトラフェニルポルフィリノーゲンを形成するために用いられる)ベンズアルデヒドとピロールの反応によって形成された生成物に関するHPLCクロマトグラフである。こうした反応においてオリゴマー化制御をしないと、ガウス分布によって示されるような多様な反応生成物の形成をもたらす。こうした反応生成物の大部分は、テトラフェニルポルフィリノーゲンと同時に反応溶液から形成され沈殿した線状に伸びたオリゴマーであった。テトラフェニルポルフィリノーゲン(29.153のピークによって表される)は約1%未満の少量のみであった。
【0077】
図4Aは、1:1の体積比のエタノール(すなわち沈降溶媒)と水(すなわちオリゴマー化制御添加剤)を含む反応組成物中でのベンズアルデヒドとピロールの反応によって形成された生成物に関するHPLCクロマトグラフである。反応生成物の約30%は所望しないオリゴマーと混合されたテトラフェニルポルフィリノーゲン(29.191のピークによって表される)であった。図4Bは、1:1の体積比のメタノール(すなわち異なる沈降溶媒)と水(すなわちオリゴマー化制御添加剤)を含む反応組成物中でのベンズアルデヒドとピロールの反応によって形成された生成物に関するHPLCクロマトグラフである。反応生成物の約75%はテトラフェニルポルフィリノーゲン(25.261のピークによって表される)であった。図4Cは、約37.5体積%のメタノール(すなわち沈降溶媒)、62.5体積%の水(すなわちオリゴマー化制御添加剤)および0.014g/mlのNaCl(すなわち分離添加剤)を含んだ反応組成物中でのベンズアルデヒドとピロールの反応によって形成された生成物に関するHPLCクロマトグラフである。図4Cで用いられた反応組成物は、オリゴマー化反応のより効率的な調節のためにより高い濃度のオリゴマー化制御添加剤と、大環状化合物のより選択的な分離のために反応組成物の溶解力をさらに調節するために機能した分離添加剤NaClを含んでいた。従って、テトラフェニルポルフィリノーゲン(29.004のピークによって表される)の生産収率は約85%にさらに改善された。非極性ポルフィリノーゲンの合成における水の添加は、むしろ水の除去を主張した従来の知識の教示と完全に逆であり、それは、驚くべきことに、また、意外にも非極性ポルフィリノーゲン(例えばテトラフェニルポルフィリノーゲン)の生産収率をほぼ100倍に改善している。
【0078】
本発明のもう1つの実施形態において、固相基材は反応物の少なくとも1種を固定化するとともに固相反応を促進し、これにより固相基材上に固定化された大環状化合物を形成するために用いることが可能である。この場合、大環状化合物の分離は、固相基材を反応媒体から取り出し、その後、固定化された大環状化合物をこうした基材から解放することにより行うことが可能である。こうした固相基材技術は自動化になじみやすく、本発明の方法の実施技術において大環状化合物のライブラリーを作るために特に適する。
【0079】
上述したように、熱力学的に制御された可逆反応においては、大環状であれ非環式であれすべての生成物の相対的安定性は生成物分布を決定する。従って、本発明の反応媒体は、反応最終生成物混合物中の大環状化合物の相対的割合を高めるために大環状化合物を選択的に安定化させる安定剤をさらに含んでもよい。こうした安定剤は、例えば、有機化合物、無機化合物または有機金属化合物、イオンまたは化学元素を含む適切ないかなるタイプの安定剤であることも可能である。好ましくは、安定剤は、大環状化合物に結合するとともに大環状化合物より安定な錯体を形成する金属イオンまたは無機イオンを有する塩である。あるいは、大環状化合物自体は閉環反応後に分子内転位を受けるように設計することが可能であり、よって元の大環状化合物より安定な異なる大環状形態を形成する。さらに、電場および/または磁場を、大環状化合物を選択的に安定化させるために反応組成物に加えることが可能である。
【0080】
本発明の反応媒体は閉環反応または環化反応を促進する環化剤をさらに含んでもよい。例えば、こうした環化剤は、より効率的な環化のために所望のオリゴマーの反応末端を前もって組織するテンプレート材料を含むことが可能である。上述したテンプレート材料は、大環状化合物によって形成された空隙に相補的に結合するとともにこうした大環状化合物とより安定な錯体を形成するために用いることが可能である。こうした方法において、テンプレート材料は環化剤と安定剤の両方として機能する。もう1つの例として、環化剤は、閉環反応に非常に適した局所環境を提供するスメクタイトクレーなどの微孔質構造を有する材料を含むこともできる。さらに、環化剤は、所望のオリゴマーの線状構造を曲げるとともに上で論じたように前もって組織された環構造を形成するために機能する特定の構造エレメントを含むことが可能である。
【0081】
本発明の実施における反応媒体は、反応媒体中の1つ以上の反応に触媒作用を及ぼすために、今または以後に発見される適切なあらゆる触媒材料をさらに含むことが可能である。
【0082】
本発明の方法は、上述した少なくとも環化反応を含む所望の反応経路を経て大環状中間化合物を最初に形成し、その後、こうした大環状中間化合物を変性して対象の大環状化合物を形成することにより対象の大環状化合物を合成するために用いることも可能である。大環状中間化合物の変性は、少なくとも1個の官能基の酸化、還元、置換、少なくとも1個の官能基の除去、少なくとも1個の官能基の付加、さらなる環化、異性体転位および/または精製などの1つ以上の工程を含んでもよい。こうした変性は、大環状化合物の分離なしで環化反応のために用いられるのと同じ反応媒体中で現場(in−situ)で、または大環状化合物を環化反応媒体から最初に分離することにより異なる反応媒体中で後で行うことが可能である。
【0083】
さらなる態様において、本発明は、大環状化合物を製造するためのシステムであって、非常に効率的な方式で本発明の合成方法を行うために用いてもよいシステムを提供する。
【0084】
図20は、(1)大環状化合物を形成するために必要な1種以上の反応物および/または1種以上の溶媒を供給するための1つ以上の供給容器、(2)前記反応物および前記溶媒を受け入れるするとともに前記反応物の反応を行って前記大環状化合物を形成するための前記供給容器に連結された反応チャンバ、および(3)前記反応チャンバ内の前記反応物のオリゴマー化反応を調節して、対応する非調節のオリゴマー化反応を基準として前記反応物による前記所望しないオリゴマーの形成を減らす、および/または前記反応媒体からの前記所望しないオリゴマーの分離を減らすためのオリゴマー化調節装置を有する反応ゾーンを含む系の1つの概略図を示している。
【0085】
反応チャンバは、例えば、連続反応器、バッチ反応器、固定床反応器、流動床反応器、気泡流体反応器、循環流体床反応器、スラリー相反応器、充填床反応器、開放液膜床反応器、多管式固定床反応器、クエンチ反応器、二重壁熱交換反応器、放射状流反応器、プラグフロー反応器、連続攪拌槽反応器、半バッチ反応器、半連続反応器、バイパス反応器、微分反応器、スイング反応器、連続再生反応器、多段反応器およびメンブレン系反応器の中から選択された適切なタイプの1つ以上の反応器を含んでもよい。反応チャンバは、すべての反応がその中で行われる単一反応器または多プロセスを行うために並列または直列で配列された多反応器を含んでもよい。
【0086】
オリゴマー化調節装置は、上述した説明に一致して反応チャンバに1種以上のオリゴマー化制御添加剤を添加するための1つ以上の添加剤供給容器を含んでもよいし、または反応チャンバ内の反応条件を変更するための1つ以上のプロセスコントローラを含んでもよい。
【0087】
さらに、本発明のこうした反応系は、反応ゾーンの下流または反応ゾーン内のいずれかに回収ゾーンを含むことが可能である。回収ゾーンは大環状化合物の後続の回収または現場(in−situ)回収のいずれかのために設けられ、かつ構成されている。あるいは、こうした反応系は、多段反応プロセス/回収プロセスを行うために直列、並列または組み合わせ形態で配列される多反応ゾーンおよび多回収ゾーンを含んでもよい。
【0088】
反応ゾーンは、例えば、サイズ、形状、質量、密度、溶解度、揮発度、透過率、拡散速度、電荷分布、質量/電荷比、結合親和力、吸着/吸収電位、磁気状態および/または反応性のようなその1つ以上の物理的特性および/または化学的特性の差などの大環状化合物と反応媒体の他の成分との間の差に基づいて反応媒体から大環状化合物を選択的に分離するための1つ以上の分離装置を含んでもよい。精製装置も、回収された大環状化合物をさらに精製するために回収ゾーン内に含めてよい。
【0089】
こうした分離設備および/または精製設備は、蒸発装置、フラッシュ膨張装置、蒸留装置、ストリッピング装置、吸収装置、抽出装置、結晶化装置、吸着装置、イオン交換装置、乾燥装置、浸出装置、洗浄装置、包接装置、浸透装置、逆浸透装置、気泡分別装置、磁気分離装置、クロマトグラフィ装置、凍結乾燥装置、凝縮装置、ゲル濾過装置、ガス拡散装置、スイープ拡散装置、熱拡散装置、マススペクトロメトリ装置、透析装置、電気透析装置、ガス透過装置、電気泳動装置、超遠心分離装置、限外濾過装置、分子蒸留装置、濾過装置、デミスター装置、沈降装置、遠心分離装置、サイクロン流動装置および静電沈降装置の1つ以上を含んでもよい。
【0090】
さらに、再循環装置を、回収ゾーンから使用済み反応媒体の少なくとも一部を集めるとともに処理された反応媒体を反応ゾーンに再循環で戻すことにより使用済み反応媒体を再循環するために反応ゾーンおよび回収ゾーンと連結してもよい。
【0091】
基の酸化、還元、官能基の置換/付加/除去、さらなる環化、および/または異性体転位によってなどの後続の加工または最終使用のために大環状化合物をさらに変性することが幾つかの用途で望ましい場合があり、こうした変性は、反応チャンバ内の反応媒体中で現場(in−situ)で、反応チャンバ内部の変性ゾーン内で、または反応チャンバの下流の変性ゾーン内で後で行うことが可能である。
【0092】
反応系の特定の設備および構成は、関与する特定の反応および生成物によって課される要件を含む多様なファクタに応じて異なり、過度な実験なしに本明細書の開示に基づいて当業者によって容易に決定される。
【0093】
本発明は、多様な大環状化合物、例えば図1A〜図1Dで例示された反応の概要に適合する大環状化合物の合成のために用いることが可能である。本発明の方法により合成できる大環状化合物の例示的な例には、ポルフィリノーゲン、ポルフィリン、サフィリン、テキサフィリン、バクテリオクロリン、クロリン、コプロポルフィリンI、コリン、コロレス、シトポルフィリン、ジュートロポルフィリン、エチオポルフィリンI、エチオポルフィリンIII、ヘマトポルフィリン、フェオフォルビドa、フェオフォルビドb、フォルビン、フタロシアニン、フィロクロリン、フィロポルフィリン、フィトクロリン、フィトポルフィリン、プロトポルフィリン、ピロクロリン、ピロポルフィリン、ロードクロリン、ロードポルフィリン、ウロポルフィリンI、カリックス[n]ピロール、カリックス[n]エリン、シクロアルカン、シクロアルケン、シクロアルキン、ピペリジン、モルフォリン、ピロリジン、アジリジン、アニリン、チオフェン、キノリン、イソキノリン、ナフタレン、ピリミジン、プリン、ベンゾフラン、オキシラン、ピロール、チアジド、オザゾール、イミダゾール、インドール、フラン、ベンゾチオフェン、ポリアザマクロサイクル、カルボヒドレート、アセタール、クラウンエーテル、環式無水物、ラクタム、ラクトン、環式ペプチド、フェニルチオヒダントイン、チアゾリノン、スクシンイミド、コロネン、マクロリド、カルボサイクリック、シクロデキストリン、酸化スクアレン、イオノフォア抗生物質、環式ビス−N,O−アセタール、環式ジスルフィド、テルペノイド、スピロサイクル、レゾルシナレン、マクロサイクル、環式オリゴ(シロキサン)、スタニレーテッド環式オリゴ(エチレンオキシド)、環式ポリ(ジブチル錫ジカルボキシレート)、環式ポリ(ピロール)、環式ポリ(チオフェン)、環式ポリ(アミド)、環式ポリ(エーテル)、環式ポリ(カーボネート)、環式ポリ(エーテルスルホン)、環式ポリ(エーテルケトン)、環式ポリ(ウレタン)、環式ポリ(イミド)、環式ポリ(デカメチレンフマレート)、環式ポリ(デカメチルエチレンマレエート)などが挙げられるが、それらに限定されない。
【0094】
多様な大環状化合物の合成に適用可能であるような本発明の広い適用可能性をさらに例示するために以下の実施例を提示する。
【実施例】
【0095】
実施例1
大環状アミノメチルホスフィンの形成
図5で示したように、大環状アミノメチルホスフィン化合物を形成するために2種の反応物を用いることが可能である。第1の反応物はビス(ヒドロキシメチル)−オルガニルホスフィン1を含み、第2の反応物は芳香族ジアミン2を含む。大環状アミノメチルホスフィン化合物は、(i)オリゴマー化数が2の線状中間生成物3(式中、n=1)を形成する反応物1の4分子と反応物2の2分子の縮合反応と、大環状アミノメチルホスフィン化合物4を形成する線状中間生成物3の環化を含む所望の反応経路を経て形成される。中間生成物3は、所望しないオリゴマー(式中、n>1)を形成するさらなる所望しないオリゴマー化も受けやすい。
【0096】
本発明の実施において、上述した反応は、(1)出発材料1および2を溶解させるための反応溶媒としてジメチルホルムアミド(DMF)、(2)出発材料1および2、線状中間生成物3(式中、n=1)および所望しないオリゴマー(式中、n>1)からの環式最終生成物4の相分離を促進するための共溶媒としてホルムアミド、および(3)所望しないオリゴマーの形成を調節するオリゴマー化制御添加剤として水を含む溶媒系の中で行うことが可能である。出発材料1および2の濃度は好ましくは0.25Mより高い。反応温度は、好ましくは約−15℃〜約120℃の範囲内であり、反応持続時間は約4時間〜約60時間の範囲内である。
【0097】
R基または当該物質のためのあらゆる置換基は、水素、アリール、フェニル、アルキル、シクロアルキル、スピロアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、アルコキシ、アルキルチオ、パーフルオロアルキル、パーフルオロアリール、ピリジル、シアノ、チオシアナト、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アシル、スルホキシル、スルホニル、イミド、アミドおよびカルバモイル;またはヒドロキシ、チオ、セレノ、テルロ、エステル、カルボン酸、硼酸、フェノール、シラン、スルホン酸、ホスホン酸、アルキルチオール、ホルミル、ハロ、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ジアルキルホスホネート、アルキルスルホネート、アルキルカルボキシレート、アセチルアセトンおよびジアルキルボロネート基からなる群から選択された保護反応置換基または非保護反応置換基;あるいは所望の大環状生成物の合成に適したあらゆる適切な化学部分であってもよい一方で、R基のいずれか2個以上はさらに合わせて連結して、ループまたは他の分子内構造を形成することが可能である。
【0098】
実施例2
大環状イミンの形成
図6で示したように、大環状イミン化合物を形成するために2種の反応物1および2を用いることが可能である。第1の反応物1はジアミンを含み、第2の反応物2はジアルデヒドを含む。こうした反応物1および2は、(i)線状中間生成物(図示していない)を形成する反応物1の1分子と反応物2の1分子の縮合反応と、(ii)シッフ塩基形成を経由して大環状イミン化合物4を形成する線状中間生成物の環化を含む所望の反応経路を経て大環状イミンを形成する。線状中間生成物は、所望しないオリゴマー3(式中、n>1)を形成するさらなる所望しないオリゴマー化も受けやすい。
【0099】
本発明の実施において、上述した反応は、(1)出発材料1および2を溶解させるための反応溶媒としてエタノール、(2)出発材料、線状中間生成物および所望しないオリゴマー3(式中、n>1)からの環式最終生成物4の相分離を促進するための共溶媒としてホルムアミド、および(3)所望しないオリゴマー3の形成を調節するオリゴマー化制御添加剤として水を含む溶媒系の中で行うことが可能である。出発材料1および2の濃度は好ましくは0.02Mより高い。反応温度は、好ましくは約−15℃〜約80℃の範囲内であり、反応持続時間は約4時間〜約60時間の範囲内である。R基は実施例1で上述したのと同じである。
【0100】
実施例3
大環状ボロネート化合物の形成
図7Aで示したように、大環状ボロネート化合物を形成するために2種の反応物1および2を用いることが可能である。第1の反応物1はアリール硼酸を含み、第2の反応物2は2,3−ジヒドロキシ−ピリジンを含む。こうした反応物1および2は、(i)モノマー中間生成物3を形成する反応物1の1分子と反応物2の1分子の縮合反応と、(ii)オリゴマー化数が4の所望のオリゴマー4(式中、n=3)を形成するモノマー中間生成物3の所望のオリゴマー化と、(iii)所望の大環状ボロネート化合物5を形成する所望のオリゴマー4の環化を含む所望の反応経路を経て大環状ボロネート化合物を形成することが可能である。こうした所望のオリゴマー4は、n>3の所望しないオリゴマーを形成するさらなる所望しないオリゴマー化を受けやすい。
【0101】
本発明の実施において、上述した反応は、(1)出発材料1および2を溶解させるための反応溶媒としてジメチルアセトアミド、(2)出発材料、モノマー中間生成物3、所望のオリゴマー4(式中、n=3)および所望しないオリゴマー(式中、n>3)からの環式最終生成物5の相分離を促進するための共溶媒としてホルムアミド、および(3)所望しないオリゴマーの形成を調節するオリゴマー化制御添加剤として水を含む溶媒系の中で行うことが可能である。出発材料1および2の濃度は好ましくは0.03Mより高い。反応温度は、好ましくは約−15℃〜約120℃の範囲内であり、反応持続時間は約4時間〜約60時間の範囲内である。Ar基は実施例1でR基について上述したのと同じである。この反応において、添加した水はオリゴマー4における硼素−酸素結合を分断し、従って、オリゴマー化反応を調節している。
【0102】
実施例4
大環状ボロネート化合物の形成のための代替法
図7Bは、図7Aで記載された方法に加えて大環状ボロネート化合物を形成するための代替法であって、所望しないオリゴマーの形成を調節するオリゴマー化制御添加剤として水の代わりにピリジンを用いることを除き、実施例3で記載されたのと同じ方法で大環状ボロネート化合物を形成するために同じ反応物1および2を用いることが可能である方法を示している。この反応において、添加されたピリジンは、オリゴマー化のために必要とされる硼素−窒素結合の形成を妨害し、従って、オリゴマー化反応を調節する。ここで用いられるピリジンは7Aでは得られないオリゴマー化反応に対する追加の制御を提供する。
【0103】
さらに、ピリジンと水の混合物を、オリゴマー化反応のより効率的な調節のためのオリゴマー化制御添加剤として用いることが可能である。オリゴマー化反応を制御するためにピリジンを添加するとともに水を除去することも本発明の範囲内である。水の除去は縮合反応を推進し、モノマー中間体3の分解を防ぐ。さらに、それは、オリゴマー中の硼素−酸素結合の加水分解を防ぎ、硼素−窒素結合の分断によって引き起こされるだけの程度にオリゴマーの分解を制限する。
【0104】
実施例5
大環状カリックス[4]ピロール化合物の形成
図8Aで示したように、大環状カリックス[4]ピロール化合物を形成するために2種の反応物1および2を用いることが可能である。詳しくは、第1の反応物は1ケトンを含み、第2の反応物2はピロールを含む。それらは、(i)モノマー中間生成物(図示していない)を形成する反応物1と反応物2の縮合反応と、(ii)オリゴマー化数が4の所望のオリゴマー3(式中、n=3)を形成するこうしたモノマー中間体の所望のオリゴマー化と、(iii)大環状カリックス[4]ピロール化合物4を形成する所望のオリゴマー3の環化を含む所望の反応経路を経て大環状カリックス[4]ピロール化合物を形成することが可能である。こうした所望のオリゴマー3は、n>3の所望しないオリゴマーを形成するさらなる所望しないオリゴマー化も受けやすい。
【0105】
本発明の実施において、上述した反応は、(1)出発材料1および2を溶解させるための反応溶媒としてジメチルアセトアミド、(2)出発材料1および2、所望のオリゴマー3(式中、n=3)および所望しないオリゴマー(式中、n>3)からの環式最終生成物4の相分離を促進するための共溶媒としてホルムアミド、および(3)所望しないオリゴマーの形成を調節する平衡制御剤として水を含む溶媒系の中で行うことが可能である。出発材料1および2の濃度は好ましくは0.01Mより高い。反応温度は、好ましくは約−15℃〜約120℃の範囲内であり、反応持続時間は約4時間〜約60時間の範囲内である。R基は実施例1で上述したのと同じである。
【0106】
実施例6
大環状カリックス[4]ピロール化合物の形成のための代替法
図8Bは、図8Aで記載された方法に加えて、大環状カリックス[4]ピロール化合物を形成するための代替法であって、異なるオリゴマー化副生成物(すなわち水の代わりにメタノール)の発生を引き起こす異なる反応物1を用いる方法を示している。従って、所望しないオリゴマーの形成を調節するオリゴマー化制御添加剤として水の代わりにメタノールが用いられる。
【0107】
この実施例は、出発材料を操作することによって異なるオリゴマー化副生成物を生成させることが可能であり、よって異なるオリゴマー化制御添加剤によるオリゴマー化制御を可能にし、本発明の原理および精神に一致して大環状生成物を最適化するための適切な出発材料およびオリゴマー化制御添加剤を当業者が容易に選択することが可能であることを示している。
【0108】
実施例7
大環状クラウンエーテルの形成
図9で示したように、大環状クラウンエーテルを形成するために2種の反応物1および2を用いることが可能である。第1の反応物1はジアセタールを含み、第2の反応物2はジアセトニドを含む。それらは、(i)モノマー中間生成物(図示していない)を形成する反応物1の1分子と反応物2の1分子の縮合反応と、(ii)オリゴマー化数が2の所望のオリゴマー3(式中、n=2)を形成するこれらのモノマー中間生成物のオリゴマー化と、(iii)大環状クラウンエーテル化合物4を形成する所望のオリゴマー3の環化を含む所望の反応経路を経て大環状クラウンエーテルを形成することが可能である。こうした所望のオリゴマー3は、所望しないオリゴマー(式中、n>2)を形成するさらなる所望しないオリゴマー化も受けやすい。
【0109】
本発明の実施において、上述した反応は、(1)出発材料1および2を溶解させるための反応溶媒としてアセトニトリル、(2)出発材料1および2、所望のオリゴマー3(式中、n=2)および所望しないオリゴマー(式中、n>2)からの環式最終生成物4の相分離を促進するための共溶媒としてホルムアミド、および(3)所望しないオリゴマーの形成を調節する平衡制御剤としてアセトンとメタノールの混合物を含む溶媒系の中で行うことが可能である。出発材料1および2の濃度は好ましくは0.04Mより高い。反応温度は、好ましくは約−15℃〜約60℃の範囲内であり、反応持続時間は約4時間〜約72時間の範囲内である。
【0110】
実施例8
環式ペプチドの形成
図10で示したように、末端チオエステル基および末端チオール基を両側に有するペプチド鎖を含む単一反応物1をこれらの反応物の環化によってチオラクトン リンカーを有する環式ペプチド3の形成のために用いる。反応物1は所望しないオリゴマー2(式中、n≧1)を形成する所望しない自己オリゴマー化を受けやすい。
【0111】
本発明の実施において、上述した反応は、(1)出発材料1を溶解させるための反応溶媒として水性0.2M燐酸ナトリウムpH7.4緩衝剤、および(2)所望しないオリゴマー2の形成を調節する平衡制御剤としてチオフェノールを含む溶媒系の中で行うことが可能である。出発材料1の濃度は好ましくは0.001Mより高い。反応温度は、好ましくは約−15℃〜約100℃の範囲内であり、反応持続時間は約2時間〜約48時間の範囲内である。共溶媒を本明細書で用いない。むしろ、出発材料1および所望しないオリゴマー2から環式最終生成物3の相分離を促進するために溶媒除去プロセスを用いる。R基は−CHCHC(O)NHCHCOOHであるが、所望の生成物の合成に適したあらゆる適切な化学部分であってもよい。
【0112】
実施例9
イミダゾリウム連結二環式化合物の形成
図11で示したように、イミダゾリウム連結二環式化合物を形成するために2種の反応物1および2を用いることが可能である。第1の反応物1は(イミダゾール−1−イルメチル)ベンゼンを含み、第2の反応物2は(ブロモメチル)ベンゼンを含む。それらは、(i)線状中間生成物(図示していない)を形成する反応物1の1分子と反応物2の1分子の縮合反応、(ii)1つの環構造を有する環式中間生成物(図示していない)を形成する前記線状中間生成物の環化、および(iii)2つの環構造を有するイミダゾリウム連結二環式化合物4を形成する前記環式中間生成物のさらなる環化を含む所望の反応経路を経てイミダゾリウム連結二環式化合物を形成することが可能である。線状中間生成物は、所望しないオリゴマー3(式中、n>1)を形成する所望しないオリゴマー化を受けやすい。環式中間生成物も環構造を有する所望しないオリゴマー(図示していない)を形成する所望しないオリゴマー化を受けやすい。
【0113】
本発明の実施において、上述した反応は、(1)出発材料1および2を溶解させるための反応溶媒としてジメチルホルムアミド、(2)出発材料、線状中間生成物、環式中間生成物、所望しないオリゴマー3(式中、n>1)および環構造を有する所望しないオリゴマーから環式最終生成物4の相分離を促進するための共溶媒としてアセトン、および(3)線状または環構造を有する所望しないオリゴマーの形成を調節する平衡制御剤として臭化物を含む溶媒系の中で行うことが可能である。出発材料1および2の濃度は好ましくは0.03Mより高い。反応温度は、好ましくは約−15℃〜約120℃の範囲内であり、反応持続時間は約4時間〜約168時間の範囲内である。R基はメチルであるが、実施例1に記載された所望の生成物の合成に適したあらゆる適切な化学部分であってもよい。
【0114】
実施例10
大環状ラクトンの形成
図12で示したように、環化を経て大環状ラクトン化合物2を形成するためにカルボン酸末端基およびエーテル末端基を含む単一反応物1を用いることが可能である。こうした反応物1は所望しないオリゴマー3を形成する所望しない自己オリゴマー化を受けやすい。R基は実施例1で上述したのと同じである。
【0115】
本発明の実施において、上述した反応は、(1)出発材料1を溶解させるための反応溶媒としてジメチルアセトアミド、(2)出発材料1および所望しないオリゴマー3(式中、n>1)から環式最終生成物2の相分離を促進するための共溶媒としてホルムアミド、および(3)オリゴマーの形成を調節する平衡制御剤としてメタノールを含む溶媒系の中で行うことが可能である。出発材料1の濃度は好ましくは0.1Mより高い。反応温度は、好ましくは約−15℃〜約120℃の範囲内であり、反応持続時間は約4時間〜約72時間の範囲内である。
【0116】
実施例13
アリーレンエチニレン大環状化合物の形成
図13で示したように、(i)さらなる所望しないオリゴマー化を受けn>5の所望しないオリゴマーを形成しやすいオリゴマー化数が6の所望のオリゴマー3(式中、n=5)を形成する1の6分子のオリゴマー化反応、および(ii)アリーレンエチニレン大環状化合物を形成する前記所望のオリゴマー3の環化を含む所望の反応経路を経てアリーレンエチニレン大環状化合物2を形成するためにジアルキンを含む単一反応物1を用いることが可能である。
【0117】
本発明において、この反応は、(1)出発材料1および触媒系を溶解させるための反応溶媒としてCCl、(2)出発材料1、所望のオリゴマー3(式中、n=5)および所望しないオリゴマー(式中、n>5)から環式最終生成物2の相分離を促進するための共溶媒としてニトロベンゼン、および(3)所望しないオリゴマーの形成を調節する平衡制御剤として2−ブチンを含む溶媒系の中で行うことが可能である。出発材料1の濃度は好ましくは0.04Mより高い。反応温度は、好ましくは約−15℃〜約80℃の範囲内であり、反応持続時間は約4時間〜約24時間の範囲内である。
【0118】
あるいは、この反応は、(1)出発材料1および触媒系を溶解させるための反応溶媒としてCHCl、および(2)所望しないオリゴマーの形成を調節する平衡制御剤として2−ブチンを含む溶媒系の中で行うことが可能である。出発材料1の濃度は好ましくは0.04Mより高い。反応温度は、好ましくは約−15℃〜約80℃の範囲内であり、反応持続時間は約4時間〜約24時間の範囲内である。共溶媒は用いない。その代わり、出発材料、線状中間生成物3(式中、n=5)および所望しないオリゴマー3(式中、n>5)から環式最終生成物2の相分離を促進するために溶媒除去法を用いる。
【0119】
実施例14
混合アルドール反応を経由する大環状化合物の形成
図14で示したように、(i)さらなる所望しないオリゴマー化を受けて所望しないオリゴマーを形成しやすいオリゴマー化数が2の線状中間生成物3を形成する第1の反応物の1分子と第2の反応物の1分子の縮合反応、および(ii)混合アルドール反応を経由して大環状化合物を形成する前記線状中間生成物の環化を含む所望の反応経路を経て大環状化合物を形成するために2種の反応物1(ジアルデヒド)および2(ジケトン)を用いる。
【0120】
本発明において、この反応は、(1)出発材料1および2を溶解させるための反応溶媒としてジメチルアセトアミド、(2)出発材料、線状中間生成物3(式中、n=0)および所望しないオリゴマー(式中、n>0)から環式最終生成物4の相分離を促進するための共溶媒としてホルムアミド、および(3)所望しないオリゴマー(式中、n>0)の形成を調節する平衡制御剤として水を含む溶媒系の中で行うことが可能である。出発材料1および2の濃度は好ましくは0.1Mより高い。反応温度は、好ましくは約−15℃〜約80℃の範囲内であり、反応持続時間は約4時間〜約60時間の範囲内である。
【0121】
実施例15
ポルフィリノーゲンの形成
図15で示したように、(i)さらなる所望しないオリゴマー化を受けて所望しないオリゴマーを形成しやすいオリゴマー化数が4の線状中間生成物を形成する反応物1の4分子と反応物2の4分子の縮合反応、および(ii)大環状ポルフィリノーゲン化合物を形成する前記線状中間生成物の環化を含む所望の反応経路を経て2種の反応物1(アルデヒド)および2(ピロール)を用いることにより大環状ポルフィリノーゲンを形成させることが可能である。
【0122】
本発明において、この反応は、(1)出発材料1および2を溶解させるための反応溶媒としてジメチルアセトアミド、(2)出発材料、線状中間生成物3(式中、n=3)および所望しないオリゴマー(式中、n>3)から環式最終生成物4の相分離を促進するための共溶媒としてホルムアミド、および(3)所望しないオリゴマー3(式中、n>3)の形成を調節する平衡制御剤として水を含む溶媒系の中で行うことが可能である。出発材料1および2の濃度は好ましくは0.01Mより高い。反応温度は、好ましくは約−15℃〜約120℃の範囲内であり、反応持続時間は約4時間〜約60時間の範囲内である。Ar基は4−(ヨード)フェニルであり、R基はHであるが、所望の生成物の合成に適したあらゆる適切な化学部分であってもよい。
【0123】
実施例16
レゾルシナレンの形成
図16で示したように、(i)さらなる所望しないオリゴマー化を受けて所望しないオリゴマーを形成しやすいオリゴマー化数が4の線状中間生成物を形成する反応物1の4分子と反応物2の4分子の縮合反応、および(ii)大環状レゾルシナレン化合物を形成する前記線状中間生成物の環化を含む所望の反応経路を経て2種の反応物1(アルデヒド)および2(レゾルシノール)を用いることにより大環状レゾルシナレンを形成させることが可能である。
【0124】
本発明において、この反応は、(1)出発材料1および2を溶解させるための反応溶媒としてジメチルアセトアミド、(2)出発材料、線状中間生成物3(式中、n=3)および所望しないオリゴマー3(式中、n>3)から環式最終生成物4の相分離を促進するための共溶媒としてホルムアミド、および(3)所望しないオリゴマー3(式中、n>3)の形成を調節する平衡制御剤として水を含む溶媒系の中で行うことが可能である。出発材料1および2の濃度は好ましくは0.01Mより高い。反応温度は、好ましくは約−15℃〜約120℃の範囲内であり、反応持続時間は約4時間〜約60時間の範囲内である。Ar基はp−トリルであるが、実施例1に記載されたように所望の生成物の合成に適したあらゆる適切な化学部分であってもよい。
【0125】
実施例17
大環状ヘテロヘプタフィリンの形成
図17で示したように、(i)さらなる所望しないオリゴマー化を受けて所望しないオリゴマーを形成しやすいオリゴマー化数が1の線状中間生成物を形成する反応物1の1分子と反応物2の1分子の縮合反応、および(ii)大環状ヘテロヘプタフィリン化合物を形成する前記線状中間生成物の環化を含む所望の反応経路を経て2種の反応物1(トリチオフェンジオール)および2(線状ヘテロテトラピロール)を用いることにより大環状ヘテロヘプタフィリン化合物を形成させることが可能である。
【0126】
本発明において、この反応は、(1)出発材料1および2を溶解させるための反応溶媒としてジメチルアセトアミド、(2)出発材料、線状中間生成物3(式中、n=1)および所望しないオリゴマー3(式中、n>1)から環式最終生成物4の相分離を促進するための共溶媒としてホルムアミド、および(3)所望しないオリゴマー3(式中、n>1)の形成を調節する平衡制御剤として水を含む溶媒系の中で行うことが可能である。出発材料1および2の濃度は好ましくは0.01Mより高い。反応温度は、好ましくは約−15℃〜約120℃の範囲内であり、反応持続時間は約4時間〜約60時間の範囲内である。Ar基はメシチルであるが、実施例1に記載されたように所望の生成物の合成に適したあらゆる適切な化学部分であってもよい。
【0127】
実施例18
大環状チオエーテルスルホン化合物の形成
図18で示したように、(i)さらなる所望しないオリゴマー化を受けて所望しないオリゴマーを形成しやすいオリゴマー化数が2の線状中間生成物を形成する第1の反応物の2分子と第2の反応物の2分子の縮合反応、および(ii)チオエーテル交換を経由して大環状芳香族チオエーテルスルホン化合物を形成する前記線状中間生成物の環化を含む所望の反応経路を経て2種の反応物1(ビスチオフェノール)および2(ビスチオフェニルエーテル)を用いることにより大環状チオエーテルスルホン化合物を形成させることが可能である。
【0128】
本発明において、この反応は、(1)出発材料1および2を溶解させるための反応溶媒としてベンゼン、(2)出発材料、線状中間生成物3(式中、n=3)、線状中間体5(式中、n≧3)ならびに所望しないオリゴマー3(式中、n>3)および5(式中、n>>3)から環式最終生成物4(式中、n=4)の相分離を促進するための共溶媒としてジメチルアセトアミド、および(3)所望しないオリゴマー3および5の形成を調節する平衡制御剤としてチオフェノールを含む溶媒系の中で行うことが可能である。出発材料1の濃度は好ましくは0.01Mより高い。反応温度は、好ましくは約−15℃〜約100℃の範囲内であり、反応持続時間は約4時間〜約72時間の範囲内である。Ar基はフェニルであるが、実施例1に記載されたように所望の生成物の合成に適したあらゆる適切な化学部分であってもよい。
【0129】
実施例19
大環状ジブチル錫ジカルボキシレート化合物の形成
図19で示したように、(i)さらなる所望しないオリゴマー化を受けて所望しないオリゴマーを形成しやすいオリゴマー化数が1の線状中間生成物を形成する反応物1の1分子と反応物2の1分子の縮合反応、および(ii)大環状ジブチル錫ジカルボキシレート化合物を形成する前記線状中間生成物の環化を含む所望の反応経路を経て2種の反応物1(ジカルボン酸)および2(ジブチル錫ビスアセテート)を用いることにより大環状ジブチル錫ジカルボキシレート化合物を形成させることが可能である。
【0130】
本発明において、この反応は、(1)出発材料1および2を溶解させるための反応溶媒としてクロロベンゼン、(2)出発材料、線状中間生成物3(式中、n=1)および所望しないオリゴマー3(式中、n>1)から環式最終生成物4の相分離を促進するための共溶媒としてジメチルアセトアミド、および(3)所望しないオリゴマー3(式中、n>1)の形成を調節する平衡制御剤として酢酸を含む溶媒系の中で行うことが可能である。出発材料1および2の濃度は好ましくは0.4Mより高い。反応温度は、好ましくは約−15℃〜約120℃の範囲内であり、反応持続時間は約4時間〜約72時間の範囲内である。
【0131】
本発明を多様な特定の実施形態に関して説明してきた一方で、当業者によって認められるように本発明が多様な他の修正および実施形態に限定されず、それらに拡張せず、それらを包含しないことは認められるであろう。従って、本発明は上記特許請求の範囲により、より広く解釈され、判断されることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0132】

【図1A−1D】大環状化合物を形成するための多様な一般的な反応プロセスを例示している。
【図2】異なる濃度の外来のオリゴマー化副生成物を反応系に導入する際の、平均オリゴマー長さの関数としてのオリゴマー分布のシフトを示す強度のグラフである。
【図4】オリゴマー化制御せずに無水エタノール溶液中でのベンズアルデヒドとピロールの反応によって製造された生成物の高性能液体クロマルグラフ(HPLC)を示している。
【図4A】50体積%エタノールおよび50体積%水を含む溶液中でのベンズアルデヒドとピロールの反応によって製造された生成物のHPLCを示している。
【図4B】50体積%メタノールおよび50体積%水を含む溶液中でのベンズアルデヒドとピロールの反応によって製造された生成物のHPLCを示している。
【図4C】約0.014g/mlのNaClを含み体積比3:5でメタノールおよび水を含む溶液中でのベンズアルデヒドとピロールの反応によって製造された生成物のHPLCを示している。
【図5−19】本発明の例示的な実施形態による多様な大環状化合物を製造するためのプロセスを示している。
【図20】本発明の一実施形態による大環状化合物を製造するためのシステムの概略図である。
【図1A】

【図1B】

【図1C】

【図1D】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の大環状化合物を製造する方法であって、(a)1種以上の反応物を反応媒体中に含む反応系を提供する工程であって、前記反応物が、少なくとも環化反応を含む少なくとも1つの所望の反応経路を経て第1の反応条件下で前記反応媒体中で前記大環状化合物を形成できるとともに、所望しないオリゴマー化反応を含む少なくとも1つの所望しない反応経路を経て前記第1の反応条件下で所望しないオリゴマーをさらに形成できる工程と、(b)対応する非調節のオリゴマー化反応に比して、前記1種以上の反応物による前記所望しないオリゴマーの形成を減らし、および/または前記反応媒体からの前記所望しないオリゴマーの分離を減らすために前記反応媒体中のオリゴマー化反応を調節する工程と、を含む方法。
【請求項2】
前記オリゴマー化反応の調節が、前記反応媒体に1種以上のオリゴマー化制御添加剤を添加することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記オリゴマー化制御添加剤が、1種以上の外来の(extraneous)オリゴマー化副生成物を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記外来の(extraneous)オリゴマー化副生成物が、1種以上の有機化合物、無機化合物、有機金属化合物、無機元素、カチオン、アニオン、両性イオン、ラジカル、中性粒子および活性化粒子を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記外来の(extraneous)オリゴマー化副生成物が、アデノシン5’−モノホスファート(AMP)、シチジン5’−モノホスファート(CMP)、グアノシン5’−モノホスファート(GMP)、チミジン5’−モノホスファート(TMP)、ウリジン5’−モノホスファート(UMP)、アデノシンジホスファート(ADP)、シチジンジホスファート(CDP)、グアノシンジホスファート(GDP)、チミジンジホスファート(TDP)、ウリジンジホスファート(UDP)、ピロ燐酸、アルキルピロホスファート、ピリジン、アニリン、ベンジルアルコール、水、二水素硫化物、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、臭化物、アルキルチオール、チオフェノール、2−ブチン、酢酸、アセトン、二酸化炭素、一酸化炭素、重水、フルクトース、ガラクトース、没食子酸、グリセロール、グルコース、塩酸、シアン化水素、臭化水素酸、沃化水素酸、ヨードホルム、乳酸、窒素、亜硝酸、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、水素、フェノール、二酸化硫黄、燐酸、エチレン、硫酸、シラン、シリルエーテル、スルホン酸、スルフィットエステル、スルフェン酸、スルフィン酸、ジスルフィド、過酸化物、ボロン酸、硼酸エーテル、トリフラート、メシラート、スルファート、ハロゲン化アルキル、過塩素酸、過沃素酸、スルホン、スルホキシド、スクシンイミド、N,N−ジイソプロピルウレア、アミノ酸、メチルチオシアナートおよびN−ヒドロキシスクシンイミドからなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記オリゴマー化制御添加剤が、1個以上の可溶化性官能基を含み、前記所望しない反応経路に加わり、変性されていない所望しないオリゴマーに比して、前記反応媒体からより分離されにくい変性した所望しないオリゴマーを形成することができる、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記オリゴマー化制御添加剤が、前記1種以上の反応物またはそれらの中間生成物と相互作用するとともにオリゴマー化反応に影響を及ぼして所望しないオリゴマーの形成を減らす1種以上の化合物を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記オリゴマー化制御添加剤が、前記1種以上の反応物またはそれらの中間生成物と相互作用するとともにオリゴマー化反応に影響を及ぼして所望しないオリゴマーの形成を減らす少なくとも1種の溶媒化学種を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記オリゴマー化反応の調節が、反応媒体から1種以上の反応副生成物を除去することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記オリゴマー化反応の調節が、前記所望の反応経路と前記所望しない反応経路に含まれる反応の平衡を変更するために前記第1の反応条件を第2の反応条件に変更することを含み、前記第2の反応条件下の変更された反応平衡が、前記第1の反応条件下の変更されていない反応平衡に比して、前記所望しない反応経路より前記所望の反応経路をとり易い、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
温度、圧力、pH値、活性化状態、磁気状態および光子状態からなる群から選択された1つ以上の反応条件を変更する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記反応媒体から前記大環状化合物を選択的に分離することにより前記大環状化合物を回収する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記大環状化合物が、その1つ以上の物理的特性および/または化学的特性における前記大環状化合物と前記反応媒体の他の成分との間の差に基づいて前記反応媒体から選択的に分離される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記物理的特性および/または化学的特性が、サイズ、形状、質量、密度、溶解度、揮発度、透過率、拡散速度、電荷分布、質量/電荷比、結合親和力、吸着/吸収電位、磁気状態および反応性を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記大環状化合物が、前記大環状化合物と前記反応媒体の他の成分との間の透過率差に基づいて半透過性膜を用いることにより前記反応媒体から選択的に分離される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記大環状化合物が、前記大環状化合物と前記反応媒体の他の成分との間の結合親和力差に基づいてアフィニティカラムによって前記反応媒体から選択的に分離される、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記大環状化合物が、前記大環状化合物と前記反応媒体の他の成分との間の電荷差に基づいて電場によって前記反応媒体から選択的に分離される、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記大環状化合物が、前記大環状化合物と前記反応媒体の他の成分との間の磁気状態差に基づいて磁場によって前記反応媒体から選択的に分離される、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記大環状化合物が、相分離または相移動を経由して前記反応媒体から自然に分離する、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記反応媒体が、液相状態にあり、前記大環状化合物が、前記反応媒体に不溶性またはわずかに可溶性である固体である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記反応媒体が、液相状態にあり、前記大環状化合物が、前記反応媒体に不混和性またはわずかに混和性である液体である、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記反応媒体が、液相状態にあり、前記大環状化合物が、前記反応媒体に不溶性またはわずかに可溶性である気体である、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記反応媒体が、気相状態にあり、前記大環状化合物が、液体である、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記反応媒体が、気相状態にあり、前記大環状化合物が、固体である、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記反応媒体が、第1の液相成分を含み、前記第1の液相成分に不混和性またはわずかに不混和性の第2の液相成分が、前記反応媒体に隣接して提供され、前記大環状化合物が、前記第1の液相成分に不溶性またはわずかに可溶性であるが、前記第2の液相成分に可溶性または中程度に可溶性であり、それによって相移動によって前記反応媒体から分離される、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
前記反応媒体が、(1)前記1種以上の反応物を溶解させる1種以上の反応溶媒および(2)前記反応媒体から前記大環状化合物の自然分離を行うための1種以上の共溶媒を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記1種以上の共溶媒が、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノール、n−プロパノール、イソブタノール、n−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、蟻酸、リモネン、ジプロピレングリコール、モノメチルエーテル、ジエチレングリコール、エチルエーテル、トリプロピレングリコール、モノメチルエーテル、ジメチルスルホキシド、フェノール、ポリプロピレングリコール、N−メチル−2−ピロリドン、アセトン、酢酸エチル、グリコールフロール、ソルケタール、グリセロール、ホルモール、ホルムアミド、ニトロベンゼン、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ジメチルイソソルビド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、1,4−ジオキサン、ヒドロソルブ、アセトニトリル、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、グリコールエーテル、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、ヘキシルセロソルブ、メチルカルビトール、カルビトール、ブチルカルビトール、ヘキシルカルビトール、プロパソール溶媒B、プロパソール溶媒P、プロパソール溶媒M、プロパソール溶媒DM、メトキシトリグリコール、エトキシトリグリコール、ブトキシトリグリコール、1−ブトキシエトキシ−2−プロパノール、フェニルグリコールエーテル、グリム、モノグリム、エチルグリム、ジグリム、エチルジグリム、トリグリム、ブチルジグリム、テトラグリム、アミノアルコール、スルホラン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド(HMPA)、ニトロメタン、メチルエチルエーテル、二硫化炭素、塩化メタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、トルエンおよびベンゼンからなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記反応媒体が、(1)前記1種以上の反応物を溶解させる1種以上の反応溶媒および(2)前記反応媒体から前記大環状化合物の自然分離を行うための1種以上の分離添加剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記1種以上の分離添加剤が、少なくとも1種の塩を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記塩が、F、Cl、Br、I、SO2−、HSO、Ph、NO、SO2−およびBOからなる群から選択されたアニオンによって特徴付けられる、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記塩が、アンモニウム、銅(II)、鉄(III)、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、亜鉛、グアニジニウム、トリフェニルメチリウムおよびテトラメチルホスホニウムからなる群から選択されたカチオンによって特徴付けられる、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
安定化剤が、前記大環状化合物を選択的に安定化させるために提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
環化剤が、環化反応を促進するために提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
少なくとも1種の触媒が、前記環化反応に触媒作用を及ぼすために提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
固相基材が、前記1種以上の反応物の少なくとも1種を固定化するとともにその固相反応を促進するために提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項36】
前記反応物が、前記第1の反応条件下で前記反応媒体中に複数の大環状化合物を形成できる、請求項1に記載の方法。
【請求項37】
2種以上の反応物が用いられ、前記所望の反応経路が、(i)モノマー中間生成物を形成する前記2種以上の反応物の縮合反応と、(ii)所望のオリゴマーを形成する前記モノマー中間生成物の所望のオリゴマー化と、(iii)前記大環状化合物を形成する前記所望のオリゴマーの環化を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項38】
2種以上の反応物が用いられ、前記所望の反応経路が、(i)線状中間生成物を形成する前記2種以上の反応物の縮合反応と、(ii)前記大環状化合物を形成する前記線状中間生成物の環化を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項39】
単一反応物が用いられ、前記所望の反応経路が、(i)所望のオリゴマーを形成する前記反応物の所望のオリゴマー化と、(ii)前記大環状化合物を形成する前記所望のオリゴマーの環化を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項40】
単一反応物が用いられ、前記所望の反応経路が、前記大環状化合物を形成する前記単一反応物の環化を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項41】
目的とする少なくとも1種の大環状化合物を製造する方法であって、(a)1種以上の反応物を反応媒体中に含む反応系を提供する工程であって、前記反応物が、少なくとも環化反応を含む少なくとも1つの所望の反応経路を経て第1の反応条件下で前記反応媒体中に中間大環状化合物を形成できるとともに、所望しないオリゴマー化反応を含む少なくとも1つの所望しない反応経路を経て前記第1の反応条件下で所望しないオリゴマーをさらに形成できる工程と、(b)対応する非調節のオリゴマー化反応に比して、前記1種以上の反応物による前記所望しないオリゴマーの形成を減らし、および/または前記反応媒体からの前記所望しないオリゴマーの分離を減らすために前記反応媒体中の前記1種以上の反応物のオリゴマー化反応を調節する工程と、(c)前記中間大環状化合物を変性して、対象の大環状化合物を形成する工程と、を含む方法。
【請求項42】
前記中間大環状化合物の変性が、(i)酸化、(ii)還元、(iii)少なくとも1個の官能基の置換、(iv)少なくとも1個の官能基の除去、(v)少なくとも1個の官能基の付加、(vi)さらなる環化、(vii)異性体転位および/または(viii)精製を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
少なくとも1種の大環状化合物を形成するための反応組成物であって、
(a)少なくとも環化反応を含む少なくとも1つの所望の反応経路を経て第1の反応条件下で大環状化合物を形成できるとともに、所望しないオリゴマー化反応を含む少なくとも1つの所望しない反応経路を経て前記第1の反応条件下で所望しないオリゴマーをさらに形成できる1種以上の反応物と、
(b)前記反応物を溶解するための1種以上の反応溶媒と、
(c)1種以上のオリゴマー化制御添加剤であって、前記オリゴマー化制御添加剤のない対応する反応組成物に比して、所望しないオリゴマーの形成を減らし、および/または前記反応組成物から所望しないオリゴマーの分離を減らすことにより前記反応物のオリゴマー化反応を調節するための1種以上のオリゴマー化制御添加剤と
を含む反応組成物。
【請求項44】
前記1種以上のオリゴマー化制御添加剤が、さらに前記反応組成物から前記大環状化合物の自然分離を引き起こす、請求項43に記載の反応組成物。
【請求項45】
前記反応組成物から前記大環状化合物の自然分離を引き起こすための1種以上の共溶媒をさらに含む、請求項43に記載の反応組成物。
【請求項46】
前記1種以上の共溶媒が、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノール、n−プロパノール、イソブタノール、n−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、蟻酸、リモネン、ジプロピレングリコール、モノメチルエーテル、ジエチレングリコール、エチルエーテル、トリプロピレングリコール、モノメチルエーテル、ジメチルスルホキシド、フェノール、ポリプロピレングリコール、N−メチル−2−ピロリドン、アセトン、酢酸エチル、グリコールフロール、ソルケタール、グリセロール、ホルモール、ホルムアミド、ニトロベンゼン、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ジメチルイソソルビド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、1,4−ジオキサン、ヒドロソルブ、アセトニトリル、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、グリコールエーテル、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、ヘキシルセロソルブ、メチルカルビトール、カルビトール、ブチルカルビトール、ヘキシルカルビトール、プロパソール溶媒B、プロパソール溶媒P、プロパソール溶媒M、プロパソール溶媒DM、メトキシトリグリコール、エトキシトリグリコール、ブトキシトリグリコール、1−ブトキシエトキシ−2−プロパノール、フェニルグリコールエーテル、グリム、モノグリム、エチルグリム、ジグリム、エチルジグリム、トリグリム、ブチルジグリム、テトラグリム、アミノアルコール、スルホラン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド(HMPA)、ニトロメタン、メチルエチルエーテル、二硫化炭素、塩化メタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、トルエンおよびベンゼンからなる群から選択される、請求項45に記載の反応組成物。
【請求項47】
前記反応組成物から前記大環状化合物の自然分離を引き起こすための1種以上の分離添加剤をさらに含む、請求項43に記載の反応組成物。
【請求項48】
前記1種以上の分離添加剤が、少なくとも1種の塩を含む、請求項47に記載の反応組成物。
【請求項49】
前記塩が、F、Cl、Br、I、SO2−、HSO、Ph、NO、SO2−およびBOからなる群から選択されたアニオンによって特徴付けられる、請求項48に記載の反応組成物。
【請求項50】
前記塩が、アンモニウム、銅(II)、鉄(III)、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、亜鉛、グアニジニウム、トリフェニルメチリウムおよびテトラメチルホスホニウムからなる群から選択されたカチオンによって特徴付けられる、請求項48に記載の反応組成物。
【請求項51】
前記大環状化合物を選択的に安定化させる安定剤をさらに含む、請求項43に記載の反応組成物。
【請求項52】
前記環化反応を促進するための環化剤をさらに含む、請求項43に記載の反応組成物。
【請求項53】
前記環化反応に触媒作用を及ぼす少なくとも1種の触媒をさらに含む、請求項43に記載の反応組成物。
【請求項54】
前記1種以上の反応物の少なくとも1種を固定化するとともにその固相反応を促進するための固相基材をさらに含む、請求項43に記載の反応組成物。
【請求項55】
少なくとも1種の大環状化合物を製造するシステムであって、(1)1種以上の反応物および/または1種以上の溶媒を供給するための1個以上の供給容器であって、前記反応物が、少なくとも環化反応を含む少なくとも1つの所望の反応経路を経て第1の反応条件下で前記1種以上の溶媒を含む反応媒体中に前記大環状化合物を形成できるとともに、所望しないオリゴマー化反応を含む少なくとも1つの所望しない反応経路を経て前記第1の反応条件下で所望しないオリゴマーをさらに形成できる供給容器と、(2)前記供給容器と連結され、前記大環状化合物を形成するために前記反応物および前記溶媒を受け入れるとともにその中で前記反応物の反応を行わせるための反応チャンバと、(3)前記反応チャンバ内の前記1種以上の反応物のオリゴマー化反応を調節して、対応する非調節のオリゴマー化反応に比して、前記1種以上の反応物による前記所望しないオリゴマーの形成を減らすか、または前記反応媒体から前記所望しないオリゴマーの分離を減らすためのオリゴマー化調節装置とを含むシステム。
【請求項56】
前記反応チャンバが、、連続反応器、バッチ反応器、固定床反応器、流動床反応器、気泡流体反応器、循環流動床反応器、スラリー相反応器、充填床反応器、トリクルベッド反応器、多管式固定床反応器、クエンチ反応器、二重壁熱交換反応器、放射状流反応器、プラグフロー反応器、連続攪拌槽反応器、半バッチ反応器、半連続反応器、バイパス反応器、微分反応器、スイング反応器、連続再生反応器、多段反応器およびメンブレン系反応器からなる群から選択された1つ以上の反応器を含む、請求項55に記載のシステム。
【請求項57】
前記オリゴマー化調節装置が、1種以上のオリゴマー化制御添加剤を前記反応チャンバに添加するための1つ以上の添加剤供給容器を含む、請求項55に記載のシステム。
【請求項58】
前記オリゴマー化調節装置が、第1の反応条件を第2の反応条件に変更し、それによって前記所望の反応経路および前記所望しない反応経路に含まれている反応の平衡を変更するための1つ以上のプロセスコントローラを含み、前記第2の反応条件下の前記変更された反応平衡が、前記第1の反応条件下の変更されていない反応平衡と比して、前記所望しない反応経路より前記所望の反応経路をとり易い、請求項55に記載のシステム。
【請求項59】
前記プロセスコントローラが、温度、圧力、pH値、活性化状態、磁気状態および光子状態からなる群から選択された1つ以上の反応条件を変更する、請求項58に記載のシステム。
【請求項60】
前記大環状化合物を前記反応媒体から回収するための回収ゾーンをさらに含む、請求項55に記載のシステム。
【請求項61】
前記回収ゾーンが、前記反応ゾーンの下流にあり、前記大環状化合物の後続の回収のために配列され、かつ製作されている、請求項60に記載のシステム。
【請求項62】
前記回収ゾーンは前記反応ゾーン内にあり、前記大環状化合物の同時回収のために設けられ、かつ構成されている、請求項60に記載のシステム。
【請求項63】
多段反応/多段回収プロセスのために設けられ、かつ構成された多反応ゾーンおよび多回収ゾーンを含む、請求項60に記載のシステム。
【請求項64】
前記回収ゾーンが、その1つ以上の物理的特性および/または化学的特性における前記大環状化合物と前記反応媒体の他の成分との間の差に基づいて前記反応媒体から前記大環状化合物を選択的に分離するための1つ以上の分離装置を含む、請求項60に記載のシステム。
【請求項65】
前記物理的特性および/または化学的特性が、サイズ、形状、質量、密度、溶解度、揮発度、透過率、拡散速度、電荷分布、質量/電荷比、結合親和力、および吸着/吸収電位を含む、請求項64に記載のシステム。
【請求項66】
前記1つ以上の分離装置が、蒸発装置、フラッシュ膨張装置、蒸留装置、ストリッピング装置、吸収装置、抽出装置、結晶化装置、吸着装置、イオン交換装置、乾燥装置、浸出装置、洗浄装置、包接装置、浸透装置、逆浸透装置、気泡分別装置、磁気分離装置、クロマトグラフィ装置、凍結乾燥装置、凝縮装置、ゲル濾過装置、ガス拡散装置、スイープ拡散装置、熱拡散装置、マススペクトロメトリ装置、透析装置、電気透析装置、ガス透過装置、電気泳動装置、超遠心分離装置、限外濾過装置、分子蒸留装置、濾過装置、デミスター装置、沈降装置、遠心分離装置、サイクロン流動装置および静電沈降装置からなる群から選択される、請求項64に記載のシステム。
【請求項67】
前記回収ゾーンが、分離された前記大環状化合物を精製するための精製装置をさらに含む、請求項64に記載のシステム。
【請求項68】
使用済み反応媒体の少なくとも1部を回収ゾーンから集め、前記使用済み反応媒体を処理し、前記処理済み反応媒体を反応ゾーンに再循環して戻すための反応ゾーンおよび回収ゾーンに連結された1つ以上の再循環装置をさらに含む、請求項60に記載のシステム。
【請求項69】
前記大環状化合物を変性するための変性ゾーンをさらに含む、請求項55に記載のシステム。
【請求項70】
前記変性ゾーンが、前記大環状化合物を酸化するための酸化装置、前記大環状化合物を還元するための還元装置、前記大環状化合物の少なくとも1個の官能基を置換するための置換装置、前記大環状化合物から少なくとも1個の官能基を除去するための除去装置、前記大環状化合物に少なくとも1個の官能基を付加するための付加装置、前記大環状化合物をさらに環化するための環化装置、および前記大環状化合物の異性体転位を行うための転位装置からなる群から選択された1つ以上の装置を含む、請求項69に記載のシステム。
【請求項71】
環化反応と競合する所望しないオリゴマー化反応を制御するためにオリゴマー化制御剤を用いることにより前記環化反応を経て大環状化合物を合成する方法。
【請求項72】
ポルフィリノーゲンを製造する方法であって、(a)1種以上のピロール系反応物を反応媒体中に含む反応系を提供する工程であって、前記ピロール系反応物が、少なくとも環化反応を含む少なくとも1つの所望の反応経路を経て第1の反応条件下で前記反応媒体中に前記ポルフィリノーゲンを形成できるとともに、所望しないオリゴマー化反応を含む少なくとも1つの所望しない反応経路を経て前記第1の反応条件下で所望しないオリゴマーをさらに形成できる工程と、(b)対応する非調節のオリゴマー化反応に比して、前記1種以上のピロール系反応物による前記所望しないオリゴマーの形成を減らし、および/または前記反応媒体からの前記所望しないオリゴマーの分離を減らすために前記反応媒体中のオリゴマー化反応を調節する工程と、を含む方法。
【請求項73】
前記反応系が、触媒をさらに含む、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記触媒が、塩酸、臭化水素酸、硫酸、三弗化硼素エーテル、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、メタンスルホン酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、トリフリック酸、スルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、樟脳スルホン酸およびトリフルオロメタンスルホン酸からなる群から選択されたプロトン酸を含む、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記触媒が、BF−エーテル、BF−メタノール、AlCl、CsCl、SmCl−6HO、InCl、CrF、AlF、Sc(OT、YTiF、BEt、GeCl、EuCl−nHO、LaClおよびLn(OT3、ここで、Lnはランタミドである、からなる群から選択されたルイス酸を含む、請求項73に記載の方法。
【請求項76】
ポルフィリンを製造する方法であって、(a)1種以上のピロール系反応物を反応媒体中に含む反応系を提供する工程であって、前記ピロール系反応物が、少なくとも環化反応を含む少なくとも1つの所望の反応経路を経て第1の反応条件下で前記反応媒体中にポルフィリノーゲンを形成できるとともに、所望しないオリゴマー化反応を含む少なくとも1つの所望しない反応経路を経て前記第1の反応条件下で所望しないオリゴマーをさらに形成できる工程と、(b)対応する非調節のオリゴマー化反応に比して、前記1種以上の反応物による前記所望しないオリゴマーの形成を減らし、および/または前記反応媒体からの前記所望しないオリゴマーの分離を減らすために前記反応媒体中の前記1種以上のピロール系反応物のオリゴマー化反応を調節する工程と、(c)前記ポルフィリンを形成するために前記ポルフィリノーゲンを変性する工程と、を含む方法。
【請求項77】
前記ポルフィリノーゲンの変性が、(i)酸化、(ii)少なくとも1個の官能基の置換、(iii)少なくとも1個の官能基の除去および/または(iv)少なくとも1個の官能基の付加を含む、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
ポルフィリノーゲンを形成するための反応組成物であって、
(a)少なくとも環化反応を含む少なくとも1つの所望の反応経路を経て第1の反応条件下で前記ポルフィリノーゲンを形成できるとともに、所望しないオリゴマー化反応を含む少なくとも1つの所望しない反応経路を経て前記第1の反応条件下で所望しないオリゴマーをさらに形成できる1種以上のピロール系反応物と、
(b)前記ピロール系反応物を溶解するための1種以上の反応溶媒と、
(c)1種以上のオリゴマー化制御添加剤であって、前記オリゴマー化制御添加剤を含まない対応する反応組成物に比して、前記所望しないオリゴマーの形成を減らし、および/または前記反応組成物から前記所望しないオリゴマーの分離を減らすことにより前記ピロール系反応物のオリゴマー化反応を調節するための1種以上のオリゴマー化制御添加剤と
を含む反応組成物。
【請求項79】
(a)アルデヒド
(b)ピロール
(c)触媒酸
(d)塩
(e)極性溶媒
(f)外来の(extraneous)水、および
(g)反応混合物中の沈殿物の状態のポルフィリノーゲン
を含む反応混合物。
【請求項80】
大環状アミノメチルホスフィン化合物を形成する方法であって、(a)第1のビス(ヒドロキシメチル)オルガニルホスフィン反応物および第2の芳香族ジアミン反応物をジメチルホルムアミドおよびホルムアミドを含む反応媒体中に含む反応系を提供する工程であって、前記反応物が、少なくとも環化反応を含む少なくとも1つの所望の反応経路を経て前記反応媒体中に前記大環状アミノメチルホスフィン化合物を形成できるとともに、所望しないオリゴマー化反応を含む少なくとも1つの所望しない反応経路を経て所望しないオリゴマーをさらに形成できる工程と、(b)対応する非調節のオリゴマー化反応に比して、前期反応物による所望しないオリゴマーの形成を減らし、および/または前記反応媒体からの所望しないオリゴマーの分離を減らすために前記反応媒体に外来の(extraneous)水を添加することにより前記反応媒体中のオリゴマー化反応を調節する工程と、を含む方法。
【請求項81】
大環状アミノメチルホスフィン化合物を形成するための反応組成物であって、
(a)第1のビス(ヒドロキシメチル)オルガニルホスフィン反応物、
(b)第2の芳香族ジアミン反応物、
(c)ジメチルホルムアミドを含む反応溶媒、
(d)ホルムアミドを含む共溶媒、および
(e)外来の(extraneous)水を含むオリゴマー化制御添加剤
を含む反応組成物。
【請求項82】
大環状イミン化合物を形成する方法であって、(a)第1のジアミン反応物および第2のジアルデヒド反応物をエタノールおよびホルムアルデヒドを含む反応媒体中に含む反応系を提供する工程であって、前記反応物が、少なくとも環化反応を含む少なくとも1つの所望の反応経路を経て前記反応媒体中に前記大環状イミン化合物を形成できるとともに、所望しないオリゴマー化反応を含む少なくとも1つの所望しない反応経路を経て所望しないオリゴマーをさらに形成できる工程と、(b)対応する非調節のオリゴマー化反応に比して、前記反応物による前記所望しないオリゴマーの形成を減らし、および/または前記反応媒体からの前記所望しないオリゴマーの分離を減らすために前記反応媒体に外来の(extraneous)水を添加することにより前記反応媒体中のオリゴマーか反応を調節する工程と、を含む方法。
【請求項83】
大環状イミン化合物を形成するための反応組成物であって、
(a)第1のジアミン反応物、
(b)第2のジアルデヒド反応物、
(c)エタノールを含む反応溶媒、
(d)ホルムアミドを含む共溶媒、および
(e)外来の(extraneous)水を含むオリゴマー化制御添加剤
を含む反応組成物。
【請求項84】
大環状ボロネート化合物を形成する方法であって、(a)第1のアリールボロン酸反応物および第2の2,3−ジヒドロキシ−ピリジン反応物をジメチルアセトアミドおよびホルムアミドを含む反応媒体中に含む反応系を提供する工程であって、前記反応物が、少なくとも環化反応を含む少なくとも1つの所望の反応経路を経て前記反応媒体中に前記大環状ボロネート化合物を形成できるとともに、所望しないオリゴマー化反応を含む少なくとも1つの所望しない反応経路を経て所望しないオリゴマーをさらに形成できる工程と、(b)対応する非調節のオリゴマー化反応に比して、前記反応物による前記所望しないオリゴマーの形成を減らし、および/または前記反応媒体からの前記所望しないオリゴマーの分離を減らすために前記反応媒体に外来の(extraneous)水および/またはピリジンを添加することにより前記反応媒体中のオリゴマー化反応を調節する工程と、を含む方法。
【請求項85】
大環状ボロネート化合物を形成するための反応組成物であって、
(a)第1のアリールボロン酸反応物、
(b)第2の2,3−ジヒドロキシ−ピリジン反応物、
(c)ジメチルアセトアミドを含む反応溶媒、
(d)ホルムアミドを含む共溶媒、および
(e)外来の(extraneous)水および/またはピリジンを含むオリゴマー化制御添加剤
を含む反応組成物。
【請求項86】
大環状カリックス[4]ピロール化合物を形成する方法であって、(a)第1のケトン反応物および第2のピロール反応物をジメチルアセトアミドおよびホルムアミドを含む反応媒体中に含む反応系を提供する工程であって、前記反応物が、少なくとも環化反応を含む少なくとも1つの所望の反応経路を経て前記反応媒体中に前記大環状カリックス[4]ピロール化合物を形成できるとともに、所望しないオリゴマー化反応を含む少なくとも1つの所望しない反応経路を経て所望しないオリゴマーをさらに形成できる工程と、(b)対応する非調節のオリゴマー化反応に比して、前記反応物による前記所望しないオリゴマーの形成を減らし、および/または前記反応媒体からの前記所望しないオリゴマーの分離を減らすために前記反応媒体に外来の(extraneous)水を添加することにより前記反応媒体中のオリゴマー化反応を調節する工程と、を含む方法。
【請求項87】
大環状カリックス[4]ピロール化合物を形成するための反応組成物であって、
(a)第1のケトン反応物、
(b)第2のピロール反応物、
(c)ジメチルアセトアミドを含む反応溶媒、
(d)ホルムアミドを含む共溶媒、および
(e)外来の(extraneous)水を含むオリゴマー化制御添加剤
を含む反応組成物。
【請求項88】
大環状カリックス[4]ピロール化合物を形成する方法であって、(a)第1のケタール反応物および第2のピロール反応物をジメチルアセトアミドおよびホルムアミドを含む反応媒体中に含む反応系を提供する工程であって、前記反応物が、少なくとも環化反応を含む少なくとも1つの所望の反応経路を経て前記反応媒体中に前記大環状カリックス[4]ピロール化合物を形成できるとともに、所望しないオリゴマー化反応を含む少なくとも1つの所望しない反応経路を経て所望しないオリゴマーをさらに形成できる工程と、(b)対応する非調節のオリゴマー化反応に比して、前記反応物による前記所望しないオリゴマーの形成を減らし、および/または前記反応媒体からの前記所望しないオリゴマーの分離を減らすために前記反応媒体に外来の(extraneous)メタノールを添加することにより前記反応媒体中のオリゴマー化反応を調節する工程と、を含む方法。
【請求項89】
大環状カリックス[4]ピロール化合物を形成するための反応組成物であって、
(a)第1のケタール反応物、
(b)第2のピロール反応物、
(c)ジメチルアセトアミドを含む反応溶媒、
(d)ホルムアミドを含む共溶媒、および
(e)外来の(extraneous)メタノールを含むオリゴマー化制御添加剤
を含む反応組成物。
【請求項90】
大環状クラウンエーテル化合物を形成する方法であって、(a)第1のジアセタール反応物および第2のジアセトニド反応物をアセトニトリルおよびホルムアミドを含む反応媒体中に含む反応系を提供する工程であって、前記反応物が、少なくとも環化反応を含む少なくとも1つの所望の反応経路を経て前記反応媒体中に前記大環状クラウンエーテル化合物を形成できるとともに、所望しないオリゴマー化反応を含む少なくとも1つの所望しない反応経路を経て所望しないオリゴマーをさらに形成できる工程と、(b)の対応する非調節のオリゴマー化反応に比して、前記反応物による前記所望しないオリゴマーの形成を減らし、および/または前記反応媒体からの前記所望しないオリゴマーの分離を減らすために前記反応媒体に外来の(extraneous)アセトンおよびメタノールを添加することにより前記反応媒体中のオリゴマー化反応を調節する工程と、を含む方法。
【請求項91】
大環状クラウンエーテル化合物を形成するための反応組成物であって、
(a)第1のジアセタール反応物、
(b)第2のジアセトニド反応物、
(c)アセトニトリルを含む反応溶媒、
(d)ホルムアミドを含む共溶媒、および
(e)外来の(extraneous)アセトンおよび外来の(extraneous)メタノールを含むオリゴマー化制御添加剤混合物
を含む反応組成物。
【請求項92】
環式ペプチド化合物を形成する方法であって、(a)チオエステル末端基およびチオール末端基を両側に有するペプチド反応物を燐酸ナトリウムを含む反応媒体中に含む反応系を提供する工程であって、前記反応物が、少なくとも環化反応を含む少なくとも1つの所望の反応経路を経て前記反応媒体中に前記環式ペプチド化合物を形成できるとともに、所望しないオリゴマー化反応を含む少なくとも1つの所望しない反応経路を経て所望しないオリゴマーをさらに形成できる工程と、(b)対応する非調節のオリゴマー化反応に比して、前記反応物による前記所望しないオリゴマーの形成を減らし、および/または前記反応媒体からの前記所望しないオリゴマーの分離を減らすために前記反応媒体に外来の(extraneous)チオフェノールを添加することにより前記反応媒体中のオリゴマー化反応を調節する工程と、を含む方法。
【請求項93】
環式ペプチド化合物を形成するための反応組成物であって、
(a)チオエステル末端基およびチオール末端基を両側に有するペプチド反応物、
(b)燐酸ナトリウムを含む反応溶媒、および
(c)外来の(extraneous)チオフェノールを含むオリゴマー化制御添加剤混合物
を含む反応組成物。
【請求項94】
二環式イミダゾリウム−連結化合物を形成する方法であって、(a)第1の(イミダゾール−1−イルメチル)ベンゼン反応物および第2の(ブロモメチル)ベンゼン反応物をジメチルホルムアミドおよびアセトンを含む反応媒体中に含む反応系を提供する工程であって、前記反応物が、少なくとも環化反応を含む少なくとも1つの所望の反応経路を経て前記反応媒体中に前記二環式イミダゾリウム−連結化合物を形成できるとともに、所望しないオリゴマー化反応を含む少なくとも1つの所望しない反応経路を経て所望しないオリゴマーをさらに形成できる工程と、(b)対応する非調節のオリゴマー化反応に比して、前記反応物による前記所望しないオリゴマーの形成を減らし、および/または前記反応媒体からの前記所望しないオリゴマーの分離を減らすために前記反応媒体に外来の(extraneous)臭化物を添加することにより前記反応媒体中のオリゴマー化反応を調節する工程と、を含む方法。
【請求項95】
二環式イミダゾリウム−連結化合物を形成するための反応組成物であって、
(a)第1の(イミダゾール−1−イルメチル)ベンゼン反応物、
(b)第2の(ブロモメチル)ベンゼン反応物、
(c)ジメチルホルムアミドを含む反応溶媒、
(d)アセトンを含む共溶、媒および
(e)外来の(extraneous)臭化物を含むオリゴマー化制御添加剤混合物
を含む反応組成物。
【請求項96】
大環状ラクトン化合物を形成する方法であって、(a)カルボン酸末端基およびエーテル末端基を有する反応物をジメチルホルムアミドおよびホルムアミドを含む反応媒体中に含む反応系を提供する工程であって、前記反応物が、少なくとも環化反応を含む少なくとも1つの所望の反応経路を経て前記反応媒体中に前記大環状ラクトン化合物を形成できるとともに、所望しないオリゴマー化反応を含む少なくとも1つの所望しない反応経路を経て所望しないオリゴマーをさらに形成できる工程と、(b)対応する非調節のオリゴマー化反応に比して前記反応物による前記所望しないオリゴマーの形成を減らし、および/または前記反応媒体からの前記所望しないオリゴマーの分離を減らすために前記反応媒体に外来の(extraneous)メタノールを添加することにより前記反応媒体中のオリゴマー化反応を調節する工程と、を含む方法。
【請求項97】
大環状ラクトン化合物を形成するための反応組成物であって、
(a)カルボン酸末端基およびエーテル末端基を有する反応物、
(b)ジメチルホルムアミドを含む反応溶媒、
(c)ホルムアミドを含む共溶媒、および
(d)外来の(extraneous)メタノールを含むオリゴマー化制御添加剤混合物
を含む反応組成物。
【請求項98】
アリーレンエチニレン大環状化合物を形成する方法であって、(a)ジアルキン反応物をCClおよびニトロベンゼンを含む反応媒体中に含む反応系を提供する工程であって、前記反応物が、少なくとも環化反応を含む少なくとも1つの所望の反応経路を経て前記反応媒体中に前記アリーレンエチニレン大環状化合物を形成できるとともに、所望しないオリゴマー化反応を含む少なくとも1つの所望しない反応経路を経て所望しないオリゴマーをさらに形成できる工程と、(b)対応する非調節のオリゴマー化反応に比して、前記反応物による前記所望しないオリゴマーの形成を減らし、および/または前記反応媒体からの前記所望しないオリゴマーの分離を減らすために前記反応媒体に外来の(extraneous)2−ブチンを添加することにより前記反応媒体中のオリゴマー化反応を調節する工程と、を含む方法。
【請求項99】
アリーレンエチニレン大環状化合物を形成するための反応組成物であって、
(a)ジアルキン反応物、
(b)CClを含む反応溶媒、
(c)ニトロベンゼンを含む共溶媒、および
(d)外来の(extraneous)2−ブチンを含むオリゴマー化制御添加剤混合物
を含む反応組成物。
【請求項100】
アリーレンエチニレン大環状化合物を形成する方法であって、(a)ジアルキン反応物をCHClを含む反応媒体中に含む反応系を提供する工程であって、前記反応物が少なくとも環化反応を含む少なくとも1つの所望の反応経路を経て前記反応媒体中に前記アリーレンエチニレン大環状化合物を形成できるとともに、所望しないオリゴマー化反応を含む少なくとも1つの所望しない反応経路を経て所望しないオリゴマーをさらに形成できる工程と、(b)対応する非調節のオリゴマー化反応に比して、前記反応物による前記所望しないオリゴマーの形成を減らし、および/または前記反応媒体からの前記所望しないオリゴマーの分離を減らすために前記反応媒体に外来の(extraneous)2−ブチンを添加することにより前記反応媒体中のオリゴマー化反応を調節する工程と、を含む方法。
【請求項101】
アリーレンエチニレン大環状化合物を形成するための反応組成物であって、
(a)ジアルキン反応物、
(b)CHClを含む反応溶媒、および
(c)外来の(extraneous)2−ブチンを含むオリゴマー化制御添加剤混合物
を含む反応組成物。
【請求項102】
大環状化合物を形成する方法であって、(a)第1のジアルデヒド反応物および第2のジケトン反応物をジメチルホルムアミドおよびホルムアミドを含む反応媒体中に含む反応系を提供する工程であって、前記反応物が、少なくとも環化反応を含む少なくとも1つの所望の反応経路を経て前記反応媒体中に前記大環状化合物を形成できるとともに、所望しないオリゴマー化反応を含む少なくとも1つの所望しない反応経路を経て所望しないオリゴマーをさらに形成できる工程と、(b)対応する非調節のオリゴマー化反応に比して、前記反応物による前記所望しないオリゴマーの形成を減らし、および/または前記反応媒体からの前記所望しないオリゴマーの分離を減らすために前記反応媒体に外来の(extraneous)水を添加することにより前記反応媒体中のオリゴマー化反応を調節する工程と、を含む方法。
【請求項103】
大環状化合物を形成するための反応組成物であって、
(a)第1のジアルデヒド反応物、
(b)第2のジケトン反応物、
(c)ジメチルホルムアミドを含む反応溶媒、
(d)ホルムアミドを含む共溶媒、および
(e)外来の(extraneous)水を含むオリゴマー化制御添加剤混合物
を含む反応組成物。
【請求項104】
大環状レゾルシナレン化合物を形成する方法であって、(a)第1のアルデヒド反応物および第2のレゾルシノール反応物をジメチルホルムアミドおよびホルムアミドを含む反応媒体中に含む反応系を提供する工程であって、前記反応物が、少なくとも環化反応を含む少なくとも1つの所望の反応経路を経て前記反応媒体中に前記大環状レゾルシナレン化合物を形成できるとともに、所望しないオリゴマー化反応を含む少なくとも1つの所望しない反応経路を経て所望しないオリゴマーをさらに形成できる工程と、(b)対応する非調節のオリゴマー化反応に比して、前記反応物による前記所望しないオリゴマーの形成を減らし、および/または前記反応媒体からの前記所望しないオリゴマーの分離を減らすために前記反応媒体に外来の(extraneous)水を添加することにより前記反応媒体中のオリゴマー化反応を調節する工程と、を含む方法。
【請求項105】
大環状レゾルシナレン化合物を形成するための反応組成物であって、
(a)第1のアルデヒド反応物、
(b)第2のレゾルシノール反応物、
(c)ジメチルホルムアミドを含む反応溶媒、
(d)ホルムアミドを含む共溶媒、および
(e)外来の(extraneous)水を含むオリゴマー化制御添加剤混合物
を含む反応組成物。
【請求項106】
大環状ヘテロヘプタフィリン化合物を形成する方法であって、(a)第1のトリチオフェンジオール反応物および第2の線状ヘテロテトラピロール反応物をジメチルホルムアミドおよびホルムアミドを含む反応媒体中に含む反応系を提供する工程であって、前記反応物が、少なくとも環化反応を含む少なくとも1つの所望の反応経路を経て前記反応媒体中に前記大環状ヘテロヘプタフィリン化合物を形成できるとともに、所望しないオリゴマー化反応を含む少なくとも1つの所望しない反応経路を経て所望しないオリゴマーをさらに形成できる工程と、(b)対応する非調節のオリゴマー化反応に比して前記反応物による前記所望しないオリゴマーの形成を減らし、および/または前記反応媒体からの前記所望しないオリゴマーの分離を減らすために前記反応媒体に外来の(extraneous)水を添加することにより前記反応媒体中のオリゴマー化反応を調節する工程と、を含む方法。
【請求項107】
大環状ヘテロヘプタフィリン化合物を形成するための反応組成物であって、
(a)第1のトリチオフェンジオール反応物、
(b)第2の線状ヘテロテトラピロール反応物、
(c)ジメチルホルムアミドを含む反応溶媒、
(d)ホルムアミドを含む共溶媒、および
(e)外来の(extraneous)水を含むオリゴマー化制御添加剤混合物
を含む反応組成物。
【請求項108】
大環状芳香族チオエーテルスルホン化合物を形成する方法であって、(a)第1のビスチオフェノール反応物および第2のビスチオフェニルエーテル反応物をベンゼンおよびジメチルアセトアミドを含む反応媒体中に含む反応系を提供する工程であって、前記反応物が、少なくとも環化反応を含む少なくとも1つの所望の反応経路を経て前記反応媒体中に前記大環状芳香族チオエーテルスルホン化合物を形成できるとともに、所望しないオリゴマー化反応を含む少なくとも1つの所望しない反応経路を経て所望しないオリゴマーをさらに形成できる工程と、(b)対応する非調節のオリゴマー化反応に比して、前記反応物による前記所望しないオリゴマーの形成を減らし、および/または前記反応媒体からの前記所望しないオリゴマーの分離を減らすために前記反応媒体に外来の(extraneous)チオフェノールを添加することにより前記反応媒体中のオリゴマー化反応を調節する工程と、を含む方法。
【請求項109】
大環状芳香族チオエーテルスルホン化合物を形成するための反応組成物であって、
(a)第1のビスチオフェノール反応物、
(b)第2のビスチオフェニルエーテル反応物、
(c)ベンゼンを含む反応溶媒、
(d)ジメチルアセトアミドを含む共溶媒、および
(e)外来の(extraneous)チオフェノールを含むオリゴマー化制御添加剤混合物
を含む反応組成物。
【請求項110】
大環状ジブチル錫ジカルボキシレート化合物を形成する方法であって、(a)第1のジカルボン酸反応物および第2のジブチル錫ビスアセテート反応物をクロロベンゼンおよびジメチルアセトアミドを含む反応媒体中に含む反応系を提供する工程であって、前記反応物が、少なくとも環化反応を含む少なくとも1つの所望の反応経路を経て前記反応媒体中に前記大環状ジブチル錫ジカルボキシレート化合物を形成できるとともに、所望しないオリゴマー化反応を含む少なくとも1つの所望しない反応経路を経て所望しないオリゴマーをさらに形成できる工程と、(b)対応する非調節のオリゴマー化反応に比して、前記反応物による前記所望しないオリゴマーの形成を減らし、および/または前記反応媒体からの前記所望しないオリゴマーの分離を減らすために前記反応媒体に外来の(extraneous)酢酸を添加することにより前記反応媒体中のオリゴマー化反応を調節する工程と、を含む方法。
【請求項111】
大環状ジブチル錫ジカルボキシレート化合物を形成するための反応組成物であって、
(a)第1のジカルボン酸反応物、
(b)第2のジブチル錫ビスアセテート反応物、
(c)クロロベンゼンを含む反応溶媒、
(d)ジメチルアセトアミドを含む共溶媒、および
(e)外来の(extraneous)酢酸を含むオリゴマー化制御添加剤混合物
を含む反応組成物。

【図2】
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【図4】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公表番号】特表2008−504225(P2008−504225A)
【公表日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553366(P2006−553366)
【出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【国際出願番号】PCT/US2005/005028
【国際公開番号】WO2006/025859
【国際公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(506278417)
【出願人】(506278428)
【Fターム(参考)】