説明

成膜方法及び成膜装置

【課題】比較的低温で成膜しても含有する炭素濃度を多くさせてクリーニング時のエッチングレートを比較的小さくでき、もってクリーニング時の膜厚の制御性を向上させることができる成膜方法を提供する。
【解決手段】被処理体Wが収容されて真空引き可能になされた処理容器4内に、シラン系ガスと窒化ガスと炭化水素ガスとを供給して前記被処理体の表面にSiCN膜よりなる薄膜を形成する成膜方法において、前記シラン系ガスと前記窒化ガスと前記炭化水素ガスとをそれぞれ一定の供給期間でパルス状に供給する供給工程と供給を停止する停止工程とよりなる1サイクルを複数回繰り返し実行してプラズマを用いることなく前記薄膜を形成する。これにより、比較的低温で成膜しても含有する炭素濃度を多くさせてクリーニング時のエッチングレートを比較的小さくでき、もってクリーニング時の膜厚の制御性を向上させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ等の被処理体に薄膜を形成する成膜方法及び成膜装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体集積回路を製造するためにはシリコン基板等よりなる半導体ウエハに対して、成膜処理、エッチング処理、酸化処理、拡散処理、改質処理、自然酸化膜の除去処理等の各種の処理が行なわれる。これらの処理は、ウエハを1枚ずつ処理する枚葉式の処理装置や複数枚のウエハを一度に処理するバッチ式の処理装置で行われる。例えばこれらの処理を特許文献1等に開示されている縦型の、いわゆるバッチ式の処理装置にて行う場合には、まず、半導体ウエハを複数枚、例えば25枚程度収容できるカセットから、半導体ウエハを縦型のウエハボートへ移載してこれに多段に支持させる。このウエハボートは、例えばウエハサイズにもよるが30〜150枚程度のウエハを載置できる。このウエハボートは、排気可能な処理容器内にその下方より搬入(ロード)された後、処理容器内が気密に維持される。そして、処理ガスの流量、プロセス圧力、プロセス温度等の各種のプロセス条件を制御しつつ所定の熱処理が施される。
【0003】
ここで上記半導体集積回路の特性を向上させる要因の1つとして、集積回路中の絶縁膜の特性を向上させることは重要である。上記集積回路中の絶縁膜としては、一般的にはSiO 、PSG(Phospho Silicate Glass)、P(プラズマ)−SiO、P(プラズマ)−SiN、SOG(Spin On Glass)、Si (シリコン窒化膜)等が用いられる。そして、特にシリコン窒化膜は、絶縁特性がシリコン酸化膜より比較的良好なこと、及びエッチングストッパ膜や層間絶縁膜としても十分に機能することから多用される傾向にある。
【0004】
半導体ウエハの表面に上述したようなシリコン窒化膜を形成するには、成膜ガスとしてモノシラン(SiH )やジクロルシラン(SiH Cl )やヘキサクロロジシラン(Si Cl )、ビス ターシャル ブチルアミノシラン(BTBAS)等のシラン系ガスを用いて熱CVD(Chemical Vapor Deposition)により成膜する方法が知られている。具体的には、シリコン窒化膜を堆積する場合には、SiH Cl +NH (特許文献2参照)或いはSi Cl +NH 等のガスの組み合わせで熱CVDによりシリコン窒化膜を形成している。
【0005】
ところで、最近にあっては半導体集積回路の更なる高集積化及び高微細化の要求が強くなされており、回路素子の特性の向上を目的として半導体集積回路の製造工程における熱履歴も低減化することが望まれている。このような状況下において、縦型の、いわゆるバッチ式の縦型の処理装置においても、ウエハをそれ程の高温に晒さなくても目的とする処理が可能なことから、原料ガス等を間欠的に供給しながら原子レベルで1層〜数層ずつ、或いは分子レベルで1層〜数層ずつ繰り返し成膜する方法が知られている(特許文献3、4等)。このような成膜方法は一般的にはALD(Atomic Layer Deposition)と称されている。
【0006】
ここで従来の成膜方法としては、シラン系ガスであるジクロロシラン(以下、「DCS」とも称す)と窒化ガスであるNH ガスとを用いてシリコン窒化膜(SiN)を形成している。具体的には、処理容器内に、DCSとNH ガスとを交互に間欠的に供給し、NH ガスを供給する時にRF(高周波)を印加してプラズマを立て、窒化反応を促進するようにしている。この場合、DCSを処理容器内へ供給することにより、ウエハ表面上にDCSが分子レベルで一層、或いは複数層吸着し、そして余分なDCSを不活性ガスパージ、或いは真空引きで排除した後、NH を供給してプラズマを立てることによって低温での窒化を促進して窒化膜を形成し、この一連の工程を繰り返し行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−275608号公報
【特許文献2】特開平2−93071号公報
【特許文献3】特開平6−45256号公報
【特許文献4】特開平11−87341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述したような絶縁膜を形成した後に、この上に別の薄膜を形成する場合には、上記絶縁膜の表面が有機物やパーティクル等の汚染物が付着している可能性があるので、この汚染物を除去する目的で、上記半導体ウエハを希フッ酸等のクリーニング液に浸漬させて上記絶縁膜の表面をエッチングすることによりこの表面を非常に薄く削り取り、これにより上記汚染物を除去するクリーニング処理が行われる場合がある。
【0009】
しかしながら、この場合、上記絶縁膜を例えば760℃程度の高温の熱CVDで成膜した場合には、このような高温の熱CVDで形成した絶縁膜のクリーニング時のエッチングレートはかなり小さいので、クリーニング時にこの絶縁膜が過度に削り取られることがなく、膜厚の制御性が良い状態でクリーニング処理を行うことができるが、下地層に耐熱性の低い薄膜が形成されている場合には、高温の熱CVD処理を採用できない。
【0010】
これに対して、上記絶縁膜を例えば400℃程度の低い温度でALD成膜した場合には、このような低温で形成した絶縁膜のクリーニング時のエッチングレートはかなり大きいので、クリーニング時にこの絶縁膜が過度に削り取られる場合が発生し、クリーニング処理時の膜厚の制御性が劣ってしまう、といった問題があった。またこのシリコン窒化膜は前述したようにエッチングストッパ膜や層間絶縁膜等の絶縁膜として使用する場合もあるが、この場合にはエッチングレートを十分に小さくする必要があり、従来の成膜方法では、この要請に十分に応えることはできなかった。
【0011】
そこで、本出願人は、層間絶縁膜等として優れ、しかもエッチングレートも小さなSiCN膜を比較的低い温度でプラズマを用いて成膜する方法を先の出願(特開2006−287194号公報等)において開示した。これによれば、プラズマを用いてNH 等を活性化させることにより窒化処理を促進させてスループットを高く維持しつつ、SiCN膜中にもある程度の炭素成分を導入して薬液耐性もある程度向上させることができた。
【0012】
しかしながら、上記したプラズマを用いた成膜方法では、膜中に導入できる炭素成分を十分に上げることができないことから、薬液耐性をある程度までは向上させることができたが、更なる細幅の微細化や薄膜化の要請によって加工性がより厳しくなり、これに十分に対応することが困難である、といった問題があった。
【0013】
本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本発明の目的は、比較的低温で成膜しても含有する炭素濃度を多くさせてクリーニング時のエッチングレートを比較的小さくでき、もってクリーニング時の膜厚の制御性を向上させることができ、且つエッチングストッパ膜や層間絶縁膜等の絶縁膜として十分機能する絶縁膜を形成することができる成膜方法、成膜装置及び記憶媒体を提供することにある。尚、本発明は、本出願人が先に出願した特開2003−282566号公報や特願2006−7951号に開示した発明の改良発明である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者等は、SiCN膜の成膜時にスループットを向上させるためにプラズマを用いて窒化を促進させるようにしたが、プラズマを用いると、逆に炭素の導入量(添加量)が抑制されてあまり好ましくなく、プラズマを用いない方が炭素の導入量をより増加することができて好ましい、といった知見を得ることにより、本発明に至ったものである。
【0015】
請求項1に係る発明は、被処理体が収容されて真空引き可能になされた処理容器内に、シラン系ガスと窒化ガスと炭化水素ガスとを供給して前記被処理体の表面にSiCN膜よりなる薄膜を形成する成膜方法において、前記シラン系ガスと前記窒化ガスと前記炭化水素ガスとをそれぞれ一定の供給期間でパルス状に供給する供給工程と供給を停止する停止工程とよりなる1サイクルを複数回繰り返し実行してプラズマを用いることなく前記薄膜を形成するようにしたことを特徴とする成膜方法である。
【0016】
このように、シラン系ガスと窒化ガスと炭化水素ガスとをそれぞれ一定の供給期間でパルス状に供給する供給工程と供給を停止する停止工程とよりなる1サイクルを複数回繰り返し実行してプラズマを用いることなく薄膜を形成するようにしたので、比較的低温で成膜しても含有する炭素濃度を多くさせてクリーニング時のエッチングレートを比較的小さくでき、もってクリーニング時の膜厚の制御性を向上させることができ、且つエッチングストッパ膜や層間絶縁膜等の絶縁膜として十分機能する絶縁膜を形成することができる。
【0017】
この場合、例えば請求項2に記載したように、前記シラン系ガスの停止工程の間において、前記シラン系ガスを次のシラン系ガスの供給工程の時に供されるシラン系ガスとして一時的に貯留タンク内に貯留するタンク貯留工程を有する。
また例えば請求項3に記載したように、前記炭化水素ガスの停止工程の間において、前記炭化水素ガスを次の炭化水素ガスの供給工程の時に供される炭化水素ガスとして一時的に貯留タンク内に貯留するタンク貯留工程を有する。
また例えば請求項4に記載したように、前記窒化ガスの供給工程は前記シラン系ガスの供給工程の長さと同一に設定され、前記シラン系ガスの1サイクルの中で前記窒化ガスの供給工程は1回又は複数回実行される。
【0018】
また例えば請求項5に記載したように、前記窒化ガスの供給工程は、前記シラン系ガスの供給工程よりも長く設定されている。
また例えば請求項6に記載したように、前記シラン系ガスの供給工程が実行される時には、前記窒化ガスの供給工程が同時に実行される。
【0019】
また例えば請求項7に記載したように、前記シラン系ガスの供給工程が実行される時には、前記窒化ガスの停止工程が同時に実行される。
また例えば請求項8に記載したように、前記炭化水素ガスの供給工程は前記シラン系ガスの供給工程の長さと同一に設定され、前記シラン系ガスの1サイクルの中で前記炭化水素ガスの供給工程は1回又は複数回実行される。
また例えば請求項9に記載したように、前記炭化水素ガスの供給工程は、前記シラン系ガスの供給工程よりも長く設定されている。
【0020】
また例えば請求項10に記載したように、前記シラン系ガスの供給工程が実行される時には、前記炭化水素ガスの供給工程が同時に実行される。
また例えば請求項11に記載したように、前記シラン系ガスの供給工程が実行される時には、前記炭化水素ガスの停止工程が同時に実行される。
また例えば請求項12に記載したように、前記シラン系ガスと前記窒化ガスと前記炭化水素ガスの全てのガスの供給を停止して真空引きするパージステップが含まれている。
【0021】
請求項13に係る発明によれば、被処理体が収容されて真空引き可能になされた処理容器内に、シラン系ガスと窒化ガスと炭化水素ガスとを供給して前記被処理体の表面にSiCN膜よりなる薄膜を形成する成膜方法において、前記シラン系ガスを一定の供給期間でパルス状に供給する供給工程と供給を停止する停止工程とよりなる1サイクルを複数回繰り返し実行し、前記窒化ガスと前記炭化水素ガスの内の少なくとも一方を連続的に供給してプラズマを用いることなく前記薄膜を形成するようにしたことを特徴とする成膜方法である。
【0022】
また例えば請求項14に記載したように、前記シラン系ガスの停止工程の間において、前記シラン系ガスを次のシラン系ガスの供給工程の時に供されるシラン系ガスとして一時的に貯留タンク内に貯留するタンク貯留工程を有する。
また例えば請求項15に記載したように、前記炭化水素ガスの停止工程の間において、前記炭化水素ガスを次の炭化水素ガスの供給工程の時に供される炭化水素ガスとして一時的に貯留タンク内に貯留するタンク貯留工程を有する。
また例えば請求項16に記載したように、前記薄膜の成膜時の温度は、300℃〜700℃の範囲内である。
また例えば請求項17に記載したように、前記薄膜の成膜時の圧力は、13Pa(0.1Torr)〜1330Pa(10Torr)の範囲内である。
【0023】
また例えば請求項18に記載したように、前記シラン系ガスは、ジクロロシラン(DCS)、ヘキサクロロジシラン(HCD)、モノシラン[SiH ]、ジシラン[Si ]、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、テトラクロロシラン(TCS)、ジシリルアミン(DSA)、トリシリルアミン(TSA)、ビスターシャルブチルアミノシラン(BTBAS)、ジイソプロピルアミノシラン(DIPAS)よりなる群より選択される1以上のガスである。
【0024】
また例えば請求項19に記載したように、前記窒化ガスは、アンモニア[NH ]、窒素[N ]、一酸化二窒素[N O]、一酸化窒素[NO]よりなる群より選択される1以上のガスである。
また例えば請求項20に記載したように、前記炭化水素ガスは、アセチレン、エチレン、メタン、エタン、プロパン、ブタンよりなる群より選択される1以上のガスである。
【0025】
請求項21に係る発明は、被処理体に対してSiCN膜よりなる薄膜を形成するための成膜装置において、真空引き可能になされた処理容器と、前記被処理体を保持する保持手段と、前記被処理体を加熱する加熱手段と、前記処理容器内へシラン系ガスを供給するシラン系ガス供給手段と、前記処理容器内へ窒化ガスを供給する窒化ガス供給手段と、前記処理容器内へ炭化水素ガスを供給する炭化水素ガス供給手段と、請求項1乃至16のいずれかに記載の成膜方法を実行するように制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする成膜装置である。
【0026】
この場合、例えば請求項22に記載したように、前記シラン系ガス供給手段及び/又は炭化水素ガス供給手段には、それぞれガスを一時的に貯留する貯留タンクを有する。
また例えば請求項23に記載したように、前記処理容器は、前記被処理体を複数枚収容することができる縦型の筒体状に成形されている。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る成膜方法及び成膜装置によれば、次のように優れた作用効果を発揮することができる。
シラン系ガスと窒化ガスと炭化水素ガスとをそれぞれ一定の供給期間でパルス状に供給する供給工程と供給を停止する停止工程とよりなる1サイクルを複数回繰り返し実行してプラズマを用いることなく薄膜を形成するようにしたので、比較的低温で成膜しても含有する炭素濃度を多くさせてクリーニング時のエッチングレートを比較的小さくでき、もってクリーニング時の膜厚の制御性を向上させることができ、且つエッチングストッパ膜や層間絶縁膜等の絶縁膜として十分機能する絶縁膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の係る成膜装置の一例を示す縦断面構成図である。
【図2】成膜装置(加熱手段は省略)を示す横断面構成図である。
【図3】本発明の成膜方法の第1実施例及びその変形例における各種ガスの供給のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図4】本発明方法により形成したSiCN膜中の炭素濃度とエッチングレートとの関係を示すグラフである。
【図5】本発明の成膜方法の第2実施例及びその変形例における各種ガスの供給のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図6】本発明の成膜方法の第3実施例及びその変形例における各種ガスの供給のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図7】本発明の成膜方法の第4実施例及びその変形例における各種ガスの供給のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図8】本発明の成膜方法の第5実施例及びその変形例における各種ガスの供給のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図9】本発明の成膜方法の第6実施例及びその変形例における各種ガスの供給のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図10】本発明の成膜方法の第7実施例及びその変形例における各種ガスの供給のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図11】本発明の成膜方法の第8実施例及びその変形例における各種ガスの供給のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図12】本発明の成膜方法の第9実施例及びその変形例における各種ガスの供給のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図13】本発明の成膜方法の第10実施例及びその変形例における各種ガスの供給のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図14】成膜装置の変形例の各ガス供給手段の一部を示す部分構成図である。
【図15】本発明の成膜方法の第11実施例及びその変形例における各種ガスの供給のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図16】本発明の成膜方法の第12実施例及びその変形例における各種ガスの供給のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図17】本発明の成膜方法の第13実施例及びその変形例における各種ガスの供給のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図18】本発明の成膜方法の第14実施例及びその変形例における各種ガスの供給のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図19】本発明の成膜方法の第15実施例及びその変形例における各種ガスの供給のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図20】本発明の成膜方法の第16実施例及びその変形例における各種ガスの供給のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図21】本発明の成膜方法の第17実施例及びその変形例における各種ガスの供給のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図22】本発明の成膜方法の第18実施例及びその変形例における各種ガスの供給のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図23】本発明の成膜方法の第19実施例及びその変形例における各種ガスの供給のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図24】本発明の成膜方法の第20実施例及びその変形例における各種ガスの供給のタイミングを示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本発明に係る成膜方法及び成膜装置の一実施例を添付図面に基づいて詳述する。
図1は本発明の係る成膜装置の一例を示す縦断面構成図、図2は成膜装置(加熱手段は省略)を示す横断面構成図である。尚、ここではシラン系ガスとしてジクロロシラン(DCS)を用い、窒化ガスとしてアンモニアガス(NH )を用い、炭化水素ガスとしてC ガス(エチレンガス)を用いて炭素含有の薄膜であるSiCN膜を成膜する場合を例にとって説明する。
【0030】
図示するように、この成膜装置2は、下端が開口された有天井の円筒体状の処理容器4を有している。この処理容器4の全体は、例えば石英により形成されており、この処理容器4内の天井には、石英製の天井板6が設けられて封止されている。また、この処理容器4の下端開口部には、例えばステンレススチールにより円筒体状に成形されたマニホールド8がOリング等のシール部材10を介して連結されている。尚、ステンレス製のマニホールド8を設けないで、全体を円筒体状の石英製の処理容器で構成した装置もある。
【0031】
上記処理容器4の下端は、上記マニホールド8によって支持されており、このマニホールド8の下方より多数枚の被処理体としての半導体ウエハWを多段に載置した保持手段としての石英製のウエハボート12が昇降可能に挿脱自在になされている。本実施例の場合において、このウエハボート12の支柱12Aには、例えば50〜100枚程度の直径が300mmのウエハWを略等ピッチで多段に支持できるようになっている。
【0032】
このウエハボート12は、石英製の保温筒14を介してテーブル16上に載置されており、このテーブル16は、マニホールド8の下端開口部を開閉する例えばステンレススチール製の蓋部18を貫通する回転軸20上に支持される。
そして、この回転軸20の貫通部には、例えば磁性流体シール22が介設され、この回転軸20を気密にシールしつつ回転可能に支持している。また、蓋部18の周辺部とマニホールド8の下端部には、例えばOリング等よりなるシール部材24が介設されており、処理容器4内のシール性を保持している。上記した回転軸20は、例えばボートエレベータ等の昇降機構(図示せず)に支持されたアーム26の先端に取り付けられており、ウエハボート12及び蓋部18等を一体的に昇降して処理容器4内へ挿脱できるようになされている。尚、上記テーブル16を上記蓋部18側へ固定して設け、ウエハボート12を回転させることなくウエハWの処理を行うようにしてもよい。
【0033】
このマニホールド8には、処理容器4内の方へ炭化水素ガスとして例えばC (エチレン)ガスを供給する炭化水素ガス供給手段28と、成膜ガスであるシラン系ガスとして例えばDCS(ジクロロシラン)ガスを供給するシラン系ガス供給手段30と、窒化ガスとして例えばアンモニア(NH )ガスを供給する窒化ガス供給手段32と、パージガスとして不活性ガス、例えばN ガスを供給するパージガス供給手段36とが設けられる。具体的には、上記炭化水素ガス供給手段28は、上記マニホールド8の側壁を内側へ貫通して上方向へ屈曲されて延びる石英管よりなるガス分散ノズル38を有している。このガス分散ノズル38には、その長さ方向に沿って複数(多数)のガス噴射孔38Aが所定の間隔を隔てて形成されており、各ガス噴射孔38Aから水平方向に向けて略均一にエチレンガスを噴射できるようになっている。
【0034】
また同様に上記シラン系ガス供給手段30も、上記マニホールド8の側壁を内側へ貫通して上方向へ屈曲されて延びる石英管よりなるガス分散ノズル40を有している。図2にも示すように、このガス分散ノズル40には、その長さ方向に沿って複数(多数)のガス噴射孔40Aが所定の間隔を隔てて形成されており、各ガス噴射孔40Aから水平方向に向けて略均一にシラン系ガスであるDCSガスを噴射できるようになっている。また同様に窒化ガス供給手段32も、上記マニホールド8の側壁を内側へ貫通して上方向へ屈曲されて延びる石英管よりなるガス分散ノズル42を有している。このガス分散ノズル42には、上記シラン系ガスのガス分散ノズル40と同様にその長さ方向に沿って複数(多数)のガス噴射孔42A(図2参照)が所定の間隔を隔てて形成されており、各ガス噴射孔42Aから水平方向に向けて略均一にNH ガスを噴射できるようになっている。
【0035】
また同様に上記パージガス供給手段36は、上記マニホールド8の側壁を貫通して設けたガスノズル46を有している。上記各ノズル38、40、42、46には、それぞれのガス通路48、50、52、56が接続されている。そして、各ガス通路48、50、52、56には、それぞれ開閉弁48A、50A、52A、56A及びマスフローコントローラのような流量制御器48B、50B、52B、56Bが介設されており、C ガス、DCSガス、NH ガス及びN ガスをそれぞれ流量制御しつつ供給できるようになっている。
【0036】
一方、上記処理容器4の側壁の一部には、その高さ方向に沿ってノズル収容凹部60が形成されると共に、このノズル収容凹部60に対向する処理容器4の反対側には、この内部雰囲気を真空排気するために処理容器4の側壁を、例えば上下方向へ削りとることによって形成した細長い排気口62が設けられている。具体的には、上記ノズル収容凹部60は、上記処理容器4の側壁を上下方向に沿って所定の幅で削りとることによって上下に細長い開口64を形成し、この開口64をその外側より覆うようにして断面凹部状になされた上下に細長い例えば石英製の区画壁66を容器外壁に気密に溶接接合することにより形成されている。
【0037】
これにより、この処理容器4の側壁の一部を凹部状に外側へ窪ませることにより一側が処理容器4内へ開口されて連通されたノズル収容凹部60が一体的に形成されることになる。すなわち区画壁66の内部空間は、上記処理容器4内に一体的に連通された状態となっている。上記開口64は、ウエハボート12に保持されている全てのウエハWを高さ方向においてカバーできるように上下方向に十分に長く形成されている。そして、図2に示すように、上記ノズル収容凹部60内に上記各ガス分散ノズル38、40、42が並んで設けられている。
【0038】
一方、上記開口64に対向させて設けた排気口62には、これを覆うようにして石英よりなる断面コ字状に成形された排気口カバー部材68が溶接により取り付けられている。この排気口カバー部材68は、上記処理容器4の側壁に沿って上方に延びており、処理容器4の上方のガス出口70より図示しない真空ポンプや圧力調整弁等を介設した真空排気系により所定の圧力に維持しつつ真空引きされる。そして、この処理容器4の外周を囲むようにしてこの処理容器4及びこの内部のウエハWを加熱する筒体状の加熱手段72が設けられている。
【0039】
そして、以上のように構成された成膜装置2の全体の動作は、例えばコンピュータ等よりなる制御手段74により制御されるようになっており、この動作を行うコンピュータのプログラムはフレキシブルディスクやCD(Compact Disc)やハードディスクやフラッシュメモリ等の記憶媒体76に記憶されている。具体的には、この制御手段74からの指令により、各ガスの供給の開始、停止や流量制御、プロセス温度やプロセス圧力の制御等が行われる。
【0040】
次に、以上のように構成された成膜装置2を用いて行なわれる本発明の成膜方法(いわゆるALD[Atomic Layered Deposition]成膜)について説明する。
本発明方法は、上記シラン系ガス、例えばDCSと上記窒化ガス、例えばNH と上記炭化水素ガス、例えばC とをそれぞれ一定の供給期間でパルス状に供給する供給工程と供給を停止する停止工程とよりなる1サイクルを複数回繰り返し実行してプラズマを用いることなく上記薄膜を形成するようにしたものである。
【0041】
まず、常温の多数枚、例えば50〜100枚の300mmサイズのウエハWが載置された状態のウエハボート12を予め所定の温度になされた処理容器4内にその下方より上昇させてロードし、蓋部18でマニホールド8の下端開口部を閉じることにより容器内を密閉する。
【0042】
そして処理容器4内を真空引きして所定のプロセス圧力に維持すると共に、加熱手段72への供給電力を増大させることにより、ウエハ温度を上昇させてプロセス温度を維持する。上記DCSガスをシラン系ガス供給手段30から供給し、NH ガスを窒化ガス供給手段32から供給し、そして、C ガスを炭化水素ガス供給手段28から供給する。具体的には、C ガスはガス分散ノズル38の各ガス噴射孔38Aから水平方向へ噴射され、また、DCSガスはガス分散ノズル40の各ガス噴射孔40Aから水平方向へ噴射され、またNH はガス分散ノズル42の各ガス噴射孔42Aから水平方向へ噴射される。これにより、各ガスが反応して回転しているウエハボート12に支持されているウエハWの表面にSiCN薄膜を形成する。
【0043】
以下に、各種ガスの具体的な供給態様について説明する。
<第1実施例>
図3は本発明の成膜方法の第1実施例及びその変形例における各種ガスの供給のタイミングを示すタイミングチャートである。
まず、図3(A)に示すように、上記各ガスは連続的に供給されるのではなく、それぞれ所定の周期でもって間欠的に繰り返し供給が行われる。尚、今後説明する一連の動作中では常に真空ポンプが駆動されて処理容器4内は真空引きされている。
【0044】
上述のようにシラン系ガスに関しては、シラン系ガスであるDCSを一定の供給期間で供給する供給工程(以下「DCS供給工程」とも称す)80が、ガスの供給を停止する停止工程(休止工程)82を間に挟んで繰り返し行われる。ここでは、あるDCS供給工程80の開始から次のDCS供給工程80の開始までを1サイクルとして定義する。この点は、これ以降に説明する全ての実施例で共通である。従って、成膜時には、上記1サイクルの工程が複数回繰り返し行われる。
【0045】
また窒化ガスに関しては、窒化ガスであるNH を一定の供給期間で供給する供給工程(以下「NH 供給工程」とも称す)84が、ガスの供給を停止する停止工程(休止期間)86を間に挟んで繰り返し行われる。ここでは例えばNH 供給工程84の長さはDCS供給工程80の長さと同一に設定されている。
【0046】
また炭化水素ガスに関しては、炭化水素ガスであるC を一定の供給期間で供給する供給工程(以下「C 供給工程」とも称す)88が、ガスの供給を停止する停止工程(休止期間)90を間に挟んで繰り返し行われる。また例えばC 供給工程88の長さはDCS供給工程80の長さと同一に設定されている。ここでは、上記NH 及びC の各供給工程84、88は、1サイクルの中でそれぞれ1回行うようになっており、C はDCSと同期して同時に供給の開始及び停止が行われている。
【0047】
これに対して、NH 供給工程84は、前後のDCS供給工程80の間の中央部に、その前後に間欠期間を挟むようなタイミングで行われている。すなわち、NH 供給工程84は、DCS停止工程82の略中央部に位置するタイミングで行われている。
ここで上記3種類の全てのガスの供給が停止される区間、すなわちここでは、NH 供給工程84とこの前後のDCS供給工程80とで挟まれた区間がパージステップP1、P2となり、処理容器4内の残留ガスが排気される。尚、パージステップP1、P2で必要に応じてN ガス(Ar等の希ガスでもよい)を供給して残留ガスの排出を促進させるようにしてもよい。
【0048】
上記DCS供給工程80では、DCSガスが処理容器4内へ供給されるとウエハ表面にこのDCSガスが吸着する吸着工程が行われる。これと同時に、C 供給工程88が開始されてC ガスが処理容器4内へ供給される。これによりC がウエハ表面に吸着する吸着工程が行われる。この時、ウエハ表面でDCSとC が反応してSiC膜が形成されることになる。そして、パージステップP1で処理容器4内の残留ガスが排除される。次にNH 供給工程84を行う。この時、処理容器4内へ供給されるNH ガスにより上記ウエハ表面に付着しているSiC膜がNH ガスとが反応して、すなわち窒化されて(窒化工程)薄い一層のSiCN膜が形成されることになる。
【0049】
そして、NH 供給工程が終了したならば、パージステップP2を行って処理容器4内の残留ガスを排除し、次のサイクルへ移行して、上述したと同様な処理を繰り返し行う。これによって薄いSiCN膜を複数層に亘って積層形成することになる。
【0050】
ここでDCS供給工程80(C 供給工程88)の期間T1は例えば4秒程度、最初のパージステップP1の期間T2は例えば5秒程度、NH 供給工程84の期間T3は例えば6秒程度、後のパージステップP2の期間T4は例えば5秒程度である。
【0051】
尚、これらの各時間は単に一例を示したに過ぎず、この数値に限定されない。通常、1サイクルによって形成される膜厚は0.48〜1.3Å/サイクル程度であるので、目標膜厚が例えば700Åであるならば、600サイクル程度繰り返し行うことになる。上記のように成膜処理を行うことにより、形成されるSiCN薄膜の誘電率を非常に低くでき、且つ膜中に導入される炭素成分を増加させてそのドライエッチング時のエッチング耐性を大幅に向上させることができる。
【0052】
すなわち、上記のように、SiCN膜を成膜する際に、各ガスを間欠的に供給してプラズマを用いないで成膜することにより、ウエハ表面に形成される膜中に炭素成分が多量に含有された状態となる。このように、膜中に多量に炭素成分が含有されると、従来の成膜温度、例えば760℃程度よりも低い温度、例えば550℃で成膜したにもかかわらず、この表面のクリーニング処理時やエッチング処理時に用いられる希フッ酸に対するエッチングレートを小さくでき、この結果、クリーニング処理時にこの薄膜が過度に削り取られることを防止して、この膜厚の制御性を向上させることが可能となる。またエッチングストッパ膜や層間絶縁膜としての機能も十分に果すことができる。
【0053】
またDCSガスを間欠的に供給してパージステップP1、P2を設けるようにしているので、各パージステップP1、P2の直前で成膜されたSiCN膜の表面がパージステップで改質されて膜質が向上するので、エッチングレートを一層抑制することができる。このパージステップ時の原子レベルの作用は次のように考えられる。すなわち、炭素原子を含有するSiCN膜の成膜時には、この薄膜の最表面にDCSガス中の付着乃至堆積時に脱離できなかったCl原子が活性化状態で結合しているが、DCSガスの供給が停止されるパージステップP1、P2を設けることで、このパージステップにおいてC ガスやNH ガス中のC原子やN原子が上記薄膜最表面のCl原子と置換されて膜中のCl成分が減少し、結果的にエッチングレートを抑制でき、特にC ガスを用いることにより膜中に取り込まれるC原子の量が増加することとなるのでエッチングレートを一層抑制することが可能となる。
【0054】
ここで上記成膜処理のプロセス条件について説明すると、DCSガスの流量は500〜5000sccmの範囲内、例えば1000sccm(1slm)であり、NH ガスの流量は100〜10000sccmの範囲内、例えば1000sccmであり、C ガスの流量は100〜5000sccmの範囲内、例えば500sccmである。ここでC ガスの流量はDCSガスの流量の3倍以下である。その理由は、炭化水素ガスであるC ガスの流量が過度に多過ぎると、膜質が急激に低下する、という不都合が生ずるからである。
【0055】
またプロセス温度はCVD成膜処理よりも低い温度であり、具体的には300〜700℃の範囲内、好ましくは550〜650℃の範囲内、例えば630℃である。このプロセス温度が300℃よりも低いと、反応が生ぜずにほとんど膜が堆積せず、また700℃よりも高い場合には、膜質の劣るCVDによる堆積膜が形成されてしまうのみならず、前工程ですでに形成されている金属膜等に熱的ダメージを与えてしまう。
【0056】
またプロセス圧力は13Pa(0.1Torr)〜1330Pa(10Torr)の範囲内、好ましくは40Pa(0.3Torr)〜266Pa(2Torr)の範囲内であり、例えばDCSの吸着工程では1Torr、窒化工程では10Torrである。プロセス圧力が13Paよりも小さい場合には、成膜レートが実用レベル以下になり、また1330Paよりも大きい場合には、プラズマが十分に立たなくなってしまう。
【0057】
尚、上記図3(A)に示す第1実施例では、2つのパージステップP1、P2を行うようになっているが、これらを行わないようにして省略してもよい。図3(B)に示すタイミングチャートは第1実施例の変形例1を示すタイミングチャートであり、ここでは図3(A)中の最初のパージステップP1を省略した処理方法を示している。
【0058】
すなわち、DCS供給工程80の次にパージステップを行うことなく直ちにNH 供給工程84を行い、次にパージステップP2を行っている。また、図3(C)に示すタイミングチャートは第1実施例の変形例2を示すタイミングチャートであり、ここでは図3(A)中の2つのパージステップP1、P2を省略した処理方法を示している。すなわち、DCS供給工程80の次にパージステップを行うことなく直ちにNH 供給工程84を行って1サイクルを終了している。更に、ここでは図示していないが、第1実施例の変形例3として図3(A)中から後のパージステップP2を省略するようにしてもよい。これらのパージステップを省略した成膜方法によれば、その分、処理速度が向上してスループットを向上させることができる。
【0059】
また、上記SiCN膜の成膜時に膜中の炭素含有量を調整するには、C の吸着時間(C 供給工程88)T1やNH 供給工程84の時間T3、すなわち窒化時間等を制御することにより行う。
【0060】
<本発明方法によるSiCN膜の評価>
次に、上述した本発明方法(第1実施例)により形成したSiCN膜中の炭素濃度(含有量)を測定して評価したので、その評価結果について説明する。図4は本発明方法により形成したSiCN膜中の炭素濃度とエッチングレートとの関係を示すグラフである。ここでは比較のために、C ガス無しで成膜した時のSiN膜と、プラズマを用いて形成したSiCN膜(本出願人による先の出願:特願2006−7951号の成膜方法)のデータを併せて記載している。尚、エッチングには希フッ酸DHF(200:1)を用いた。
【0061】
この図4から明らかなように、炭素を含まないSiN膜はエッチングレートは6Å/minになり、非常に大きかった。また、プラズマを用いて形成したSiCN膜は、炭素濃度が多くてもせいぜい3.5%程度であり、この場合にもエッチングレートは3.5Å/min程度であり、かなり大きかった。
【0062】
これに対して、本発明の成膜方法によるSiCN膜の場合には、炭素濃度を15.2%〜28.5%まで自由に制御することができ、炭素の含有量を大幅に向上できることが確認できた。また同時にエッチングレートも2.2Å/min〜1.0Å/min程度まで大幅に抑制して小さくできることが確認できた。
【0063】
<第2実施例>
次に本発明方法の第2実施例について説明する。図5は本発明の成膜方法の第2実施例及びその変形例における各種ガスの供給のタイミングを示すタイミングチャートである。尚、図3に示す部分と同一工程等には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0064】
図5(A)に示す第2実施例は、DCSの供給のタイミングは図3(A)に示す第1実施例と同じであり、NH とC の供給のタイミングは、図3(A)に示す場合に対して互いに入れ替えられたタイミングとなっている。すなわち、NH 供給工程84はDCS供給工程80と同期して同時に行われている。またC 供給工程88は前後するNH 供給工程88の間の略中央に位置されたタイミングとなっている。そして、ここでもC 供給工程の前後にパージステップP1、P2を行っている。
【0065】
この場合にも、先の第1実施例と同様な作用効果を発揮することができる。すなわち、比較的低温で成膜しても含有する炭素濃度を多くさせてクリーニング時のエッチングレートを比較的小さくでき、もってクリーニング時の膜厚の制御性を向上させることができ、且つエッチングストッパ膜や層間絶縁膜等の絶縁膜として十分機能する絶縁膜を形成することができる。
【0066】
尚、上記図5(A)に示す第2実施例では、2つのパージステップP1、P2を行うようになっているが、これらを行わないようにして省略してもよい。図5(B)に示すタイミングチャートは第2実施例の変形例1を示すタイミングチャートであり、ここでは図5(A)中の最初のパージステップP1を省略した処理方法を示している。
【0067】
すなわち、DCS供給工程80の次にパージステップを行うことなく直ちにC 供給工程88を行い、次にパージステップP2を行っている。また、図5(C)に示すタイミングチャートは第2実施例の変形例2を示すタイミングチャートであり、ここでは図5(A)中の2つのパージステップP1、P2を省略した処理方法を示している。すなわち、DCS供給工程80の次にパージステップを行うことなく直ちにC 供給工程88を行って1サイクルを終了している。更に、ここでは図示していないが、第1実施例の変形例3として図3(A)中から後のパージステップP2を省略するようにしてもよい。これらのパージステップを省略した成膜方法によれば、その分、処理速度が向上してスループットを向上させることができる。
【0068】
<第3実施例>
次に本発明方法の第3実施例について説明する。図6は本発明の成膜方法の第3実施例及びその変形例における各種ガスの供給のタイミングを示すタイミングチャートである。尚、図3に示す部分と同一工程等には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0069】
図6(A)に示す第3実施例では、DCSガスに関して停止工程82の長さを延ばして1サイクルの期間を長くしている。そして、DCS停止工程82内で上記NH 供給工程84とC 供給工程88とが互いに時間的に重ならないようにして前後して実行している。ここでは、先にC 供給工程88を行い、その間にパージステップP2を経た後に、NH 供給工程84を行うようになっている。そして、このNH 供給工程84の後に第3番目のパージステップP3を行うようになっている。この場合、NH 供給工程84の期間T5は例えば6秒程度、第3番目のパージステップP3の期間T6は5秒程度である。
【0070】
この場合にも、先の第1実施例と同様な作用効果を発揮することができる。すなわち、比較的低温で成膜しても含有する炭素濃度を多くさせてクリーニング時のエッチングレートを比較的小さくでき、もってクリーニング時の膜厚の制御性を向上させることができ、且つエッチングストッパ膜や層間絶縁膜等の絶縁膜として十分機能する絶縁膜を形成することができる。
【0071】
尚、上記図6(A)に示す第3実施例では、3つのパージステップP1、P2、P3を行うようになっているが、これを行わないようにして省略してもよい。図6(B)に示すタイミングチャートは第3実施例の変形例1を示すタイミングチャートであり、ここでは図6(A)中の第2番目のパージステップP2を省略した処理方法を示している。すなわち、C 供給工程88を行った後に、パージステップを行うことなく直ちにNH 供給工程84を行うようにしている。
【0072】
また図6(C)に示すタイミングチャートは第3実施例の変形例2を示すタイミングチャートであり、ここでは図6(A)中から第1番目と第2番目の2つのパージステップP1、P2を省略した処理方法を示している。また図6(D)に示すタイミングチャートは第3実施例の変形例3を示すタイミングチャートであり、ここでは図6(A)中から第1〜第3番目の3つのパージステップP1〜P3を省略した処理方法を示している。
【0073】
<第4実施例>
次に本発明方法の第4実施例について説明する。図7は本発明の成膜方法の第4実施例及びその変形例における各種ガスの供給のタイミングを示すタイミングチャートである。尚、図6に示す部分と同一工程等には同一符号を付して、その説明を省略する。
図7(A)に示す第4実施例では、先の図6(A)に示す第3実施例におけるNH 供給態様に関して、更に新たなNH 供給工程84を、DCS供給工程80と同期して同時に同じ長さだけ行うようにしたガス供給態様となっている。すなわち、ここでは1サイクルの中でNH 供給工程84を2回(複数回)行うようにしている。尚、この回数を更に増加してもよい。
【0074】
この場合にも、先の第1実施例と同様な作用効果を発揮することができる。すなわち、比較的低温で成膜しても含有する炭素濃度を多くさせてクリーニング時のエッチングレートを比較的小さくでき、もってクリーニング時の膜厚の制御性を向上させることができ、且つエッチングストッパ膜や層間絶縁膜等の絶縁膜として十分機能する絶縁膜を形成することができる。
【0075】
尚、上記図7(A)に示す第4実施例では、3つのパージステップP1、P2、P3を行うようになっているが、これを行わないようにして省略してもよい。図7(B)に示すタイミングチャートは第4実施例の変形例1を示すタイミングチャートであり、ここでは図6(A)中の第2番目のパージステップP2を省略した処理方法を示している。すなわち、C 供給工程88を行った後に、パージステップを行うことなく直ちにNH 供給工程84を行うようにしている。
【0076】
また図7(C)に示すタイミングチャートは第4実施例の変形例2を示すタイミングチャートであり、ここでは図7(A)中から第1番目と第2番目の2つのパージステップP1、P2を省略した処理方法を示している。また図7(D)に示すタイミングチャートは第4実施例の変形例3を示すタイミングチャートであり、ここでは図7(A)中から第1〜第3番目の3つのパージステップP1〜P3を省略した処理方法を示している。
【0077】
<第5実施例>
次に本発明方法の第5実施例について説明する。図8は本発明の成膜方法の第5実施例及びその変形例における各種ガスの供給のタイミングを示すタイミングチャートである。尚、図6に示す部分と同一工程等には同一符号を付して、その説明を省略する。
図8(A)に示す第5実施例では、先の図6(A)に示す第3実施例におけるC 供給態様に関して、更に新たなC 供給工程88を、DCS供給工程80と同期して同時に同じ長さだけ行うようにしたガス供給態様となっている。すなわち、ここでは1サイクルの中でC 供給工程88を2回(複数回)行うようにしている。尚、この回数を更に増加してもよい。
【0078】
この場合にも、先の第1実施例と同様な作用効果を発揮することができる。すなわち、比較的低温で成膜しても含有する炭素濃度を多くさせてクリーニング時のエッチングレートを比較的小さくでき、もってクリーニング時の膜厚の制御性を向上させることができ、且つエッチングストッパ膜や層間絶縁膜等の絶縁膜として十分機能する絶縁膜を形成することができる。
【0079】
尚、上記図8(A)に示す第5実施例では、3つのパージステップP1、P2、P3を行うようになっているが、これを行わないようにして省略してもよい。図8(B)に示すタイミングチャートは第5実施例の変形例1を示すタイミングチャートであり、ここでは図8(A)中の第2番目のパージステップP2を省略した処理方法を示している。すなわち、C 供給工程88を行った後に、パージステップを行うことなく直ちにNH 供給工程84を行うようにしている。
【0080】
また図8(C)に示すタイミングチャートは第5実施例の変形例2を示すタイミングチャートであり、ここでは図8(A)中から第1番目と第2番目の2つのパージステップP1、P2を省略した処理方法を示している。この場合、2つのC 供給工程88が連続した状態となり、DCS供給工程80よりも長くなている。また図8(D)に示すタイミングチャートは第5実施例の変形例3を示すタイミングチャートであり、ここでは図8(A)中から第1〜第3番目の3つのパージステップP1〜P3を省略した処理方法を示している。
【0081】
<第6実施例>
次に本発明方法の第6実施例について説明する。図9は本発明の成膜方法の第6実施例及びその変形例における各種ガスの供給のタイミングを示すタイミングチャートである。尚、図7及び図8に示す部分と同一工程等には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0082】
図9(A)に示す第6実施例では、先の図7(A)に示す第4実施例と図8(A)に第5実施例の各ガスの供給工程を結合した態様となっている。従って、DCS供給工程80に対応してNH 供給工程84及びC 供給工程88が同期して同じ長さだけ行われ、且つ1サイクルの途中でNH 供給工程84とC 供給工程88がそれぞれ1回ずつ行われている。すなわち、ここでも1サイクルの中でNH 供給工程84とC 供給工程88をそれぞれ2回(複数回)行うようにしている。尚、この回数を更に増加してもよい。
【0083】
この場合にも、先の第1実施例と同様な作用効果を発揮することができる。すなわち、比較的低温で成膜しても含有する炭素濃度を多くさせてクリーニング時のエッチングレートを比較的小さくでき、もってクリーニング時の膜厚の制御性を向上させることができ、且つエッチングストッパ膜や層間絶縁膜等の絶縁膜として十分機能する絶縁膜を形成することができる。
【0084】
尚、上記図9(A)に示す第6実施例では、3つのパージステップP1、P2、P3を行うようになっているが、これを行わないようにして省略してもよい。図9(B)に示すタイミングチャートは第6実施例の変形例1を示すタイミングチャートであり、ここでは図9(A)中の第2番目のパージステップP2を省略した処理方法を示している。すなわち、C 供給工程88を行った後に、パージステップを行うことなく直ちにNH 供給工程84を行うようにしている。
【0085】
また図9(C)に示すタイミングチャートは第6実施例の変形例2を示すタイミングチャートであり、ここでは図9(A)中から第1番目と第2番目の2つのパージステップP1、P2を省略した処理方法を示している。また図9(D)に示すタイミングチャートは第6実施例の変形例3を示すタイミングチャートであり、ここでは図9(A)中から第1〜第3番目の3つのパージステップP1〜P3を省略した処理方法を示している。
【0086】
<第7実施例>
次に本発明方法の第7実施例について説明する。図10は本発明の成膜方法の第7実施例及びその変形例における各種ガスの供給のタイミングを示すタイミングチャートである。尚、図3に示す部分と同一工程等には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0087】
図10(A)に示す第7実施例では、先の図3(A)に示す第1実施例におけるNH 供給態様に関して、更に新たなNH 供給工程84を、DCS供給工程80と同期して同時に同じ長さだけ行うようにし、更にC 供給態様に関して、更に新たなC 供給工程88を、NH 供給工程84と同期して同時に同じ長さだけ行うようにしたガス供給態様となっている。すなわち、ここでは1サイクルの中でNH 供給工程84とC 供給工程88をそれぞれ2回(複数回)行うようにしている。尚、この回数を更に増加してもよい。
【0088】
この場合にも、先の第1実施例と同様な作用効果を発揮することができる。すなわち、比較的低温で成膜しても含有する炭素濃度を多くさせてクリーニング時のエッチングレートを比較的小さくでき、もってクリーニング時の膜厚の制御性を向上させることができ、且つエッチングストッパ膜や層間絶縁膜等の絶縁膜として十分機能する絶縁膜を形成することができる。
【0089】
尚、上記図10(A)に示す第7実施例では、2つのパージステップP1、P2を行うようになっているが、これらを行わないようにして省略してもよい。図10(B)に示すタイミングチャートは第7実施例の変形例1を示すタイミングチャートであり、ここでは図10(A)中の最初のパージステップP1を省略した処理方法を示している。
【0090】
すなわち、DCS供給工程80、NH 供給工程84及びC 供給工程88を同時に行った後に、続けてNH 供給工程84及びC 供給工程88を連続して行っており、次にパージステップP2を行っている。また、図10(C)に示すタイミングチャートは第7実施例の変形例2を示すタイミングチャートであり、ここでは図10(A)中の2つのパージステップP1、P2を省略した処理方法を示している。すなわち、DCS供給工程80と停止工程82とを交互に繰り返すが、NH とC とは共に連続的に供給されることになる。更に、ここでは図示していないが、第7実施例の変形例3として図10(A)中から後のパージステップP2を省略するようにしてもよい。
【0091】
<第8実施例>
次に本発明方法の第8実施例について説明する。図11は本発明の成膜方法の第8実施例及びその変形例における各種ガスの供給のタイミングを示すタイミングチャートである。尚、図5及び図10に示す部分と同一工程等には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0092】
図11(A)に示す第8実施例では、NH 供給工程のタイミングに関しては、図10(A)に示す第7実施例におけるNH 供給態様を用い、C 供給工程のタイミングに関しては図5(A)に示す第2実施例のC 供給態様を用いたガス供給態様となっている。すなわち、ここでは1サイクルの中でNH 供給工程84を2回(複数回)行うようにしている。また、C 供給工程86をDCS停止工程82の途中でNH 供給工程84と同期して同時に1回行うようになっている。
【0093】
この場合にも、先の第1実施例と同様な作用効果を発揮することができる。すなわち、比較的低温で成膜しても含有する炭素濃度を多くさせてクリーニング時のエッチングレートを比較的小さくでき、もってクリーニング時の膜厚の制御性を向上させることができ、且つエッチングストッパ膜や層間絶縁膜等の絶縁膜として十分機能する絶縁膜を形成することができる。
【0094】
尚、上記図11(A)に示す第8実施例では、2つのパージステップP1、P2を行うようになっているが、これらを行わないようにして省略してもよい。図11(B)に示すタイミングチャートは第8実施例の変形例1を示すタイミングチャートであり、ここでは図11(A)中の最初のパージステップP1を省略した処理方法を示している。
【0095】
すなわち、DCS供給工程80及びNH 供給工程84を同時に行った後に、続けてNH 供給工程を連続して行っており、次にパージステップP2を行っている。また、図11(C)に示すタイミングチャートは第8実施例の変形例2を示すタイミングチャートであり、ここでは図11(A)中の2つのパージステップP1、P2を省略した処理方法を示している。すなわち、DCS供給工程80と停止工程82とを交互に繰り返すが、NH は連続的に供給されることになる。更に、ここでは図示していないが、第8実施例の変形例3として図11(A)中から後のパージステップP2を省略するようにしてもよい。
【0096】
<第9実施例>
次に本発明方法の第9実施例について説明する。図12は本発明の成膜方法の第9実施例及びその変形例における各種ガスの供給のタイミングを示すタイミングチャートである。尚、図3及び図11に示す部分と同一工程等には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0097】
図12(A)に示す第9実施例では、NH 供給工程のタイミングに関しては、図3(A)に示す第1実施例におけるNH 供給態様を用い、C の供給態様に関しては図11(A)に示す第8実施例のC 供給態様を用いたガス供給態様となっている。すなわち、ここではDCS供給工程82の途中でNH 供給工程84とC 供給工程88とを同期して同時に1回行うようになっている。尚、この回数を更に増加してもよい。
【0098】
この場合にも、先の第1実施例と同様な作用効果を発揮することができる。すなわち、比較的低温で成膜しても含有する炭素濃度を多くさせてクリーニング時のエッチングレートを比較的小さくでき、もってクリーニング時の膜厚の制御性を向上させることができ、且つエッチングストッパ膜や層間絶縁膜等の絶縁膜として十分機能する絶縁膜を形成することができる。
【0099】
尚、上記図12(A)に示す第9実施例では、2つのパージステップP1、P2を行うようになっているが、これらを行わないようにして省略してもよい。図12(B)に示すタイミングチャートは第9実施例の変形例1を示すタイミングチャートであり、ここでは図12(A)中の最初のパージステップP1を省略した処理方法を示している。
【0100】
すなわち、DCS供給工程80の次にパージステップを行うことなく直ちにNH 供給工程84及びC 供給工程88を同時に行い、次にパージステップP2を行っている。また、図12(C)に示すタイミングチャートは第9実施例の変形例2を示すタイミングチャートであり、ここでは図12(A)中の2つのパージステップP1、P2を省略した処理方法を示している。すなわち、DCS供給工程80の次にパージステップを行うことなく直ちにNH 供給工程84及びC 供給工程88を同時に行って1サイクルを終了している。更に、ここでは図示していないが、第9実施例の変形例3として図12(A)中から後のパージステップP2を省略するようにしてもよい。
【0101】
<第10実施例>
次に本発明方法の第10実施例について説明する。図13は本発明の成膜方法の第10実施例及びその変形例における各種ガスの供給のタイミングを示すタイミングチャートである。尚、図3及び図10に示す部分と同一工程等には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0102】
図13(A)に示す第10実施例では、NH 供給工程のタイミングに関しては図3(A)に示す第1実施例におけるNH 供給態様を用い、C 供給態様に関しては図10(A)に示す第7実施例のC 供給態様を用いたガス供給態様となっている。DCS供給工程82とC 供給工程88とが同期して同時に行われ、更にDCS停止工程82の途中でNH 供給工程84とC 供給工程88とが同期して同時に行われる。すなわち、ここでは1サイクルの中でC 供給工程88を2回(複数回)行うようにしている。尚、この回数を更に増加してもよい。
【0103】
この場合にも、先の第1実施例と同様な作用効果を発揮することができる。すなわち、比較的低温で成膜しても含有する炭素濃度を多くさせてクリーニング時のエッチングレートを比較的小さくでき、もってクリーニング時の膜厚の制御性を向上させることができ、且つエッチングストッパ膜や層間絶縁膜等の絶縁膜として十分機能する絶縁膜を形成することができる。
【0104】
尚、上記図13(A)に示す第10実施例では、2つのパージステップP1、P2を行うようになっているが、これらを行わないようにして省略してもよい。図13(B)に示すタイミングチャートは第10実施例の変形例1を示すタイミングチャートであり、ここでは図13(A)中の最初のパージステップP1を省略した処理方法を示している。
【0105】
すなわち、DCS供給工程80の次にパージステップを行うことなく直ちにNH 供給工程84を行い、次にパージステップP2を行っている。またC 供給工程88はこの2つが連続した状態となっている。また、図13(C)に示すタイミングチャートは第10実施例の変形例2を示すタイミングチャートであり、ここでは図13(A)中の2つのパージステップP1、P2を省略した処理方法を示している。またここではC 供給工程は連続して行われることになる。すなわち、DCS供給工程80の次にパージステップを行うことなく直ちにNH 供給工程84を行って1サイクルを終了している。更に、ここでは図示していないが、第10実施例の変形例3として図13(A)中から後のパージステップP2を省略するようにしてもよい。
【0106】
[第11実施例〜第20実施例]
次に、第11実施例〜第20実施例について説明する。この第11実施例〜第20実施例では、シラン系ガス供給手段30や炭化水素ガス供給手段28に貯留タンクを設け、シラン系ガスの停止工程や炭化水素ガスの停止工程の間において、上記貯留タンクにガスを貯め込み、そして、次の供給工程の時に上記貯留タンク内のガスを一気に処理容器4側へ流して多量のガスを供給するようにし、吸着時間を短縮化するようにしている。
【0107】
まず、上記第11実施例〜第20実施例で用いる成膜装置の変形例について説明する。図14はこのような成膜装置の変形例の各ガス供給手段の一部を示す部分構成図である。尚、図1に示す部分と同一構成部分については同一参照符号を付してある。図14に示すように、ここでは炭化水素ガス供給手段28のガス通路48であって、流量制御器48B、開閉弁48Aの下流側に一定の容量の貯留タンク48C及び第2の開閉弁48Dがそれぞれ順次介設されている。
【0108】
また同様に、シラン系ガス供給手段30のガス通路50であって、流量制御器50B、開閉弁50Aの下流側に一定の容量の貯留タンク50C及び第2の開閉弁50Dがそれぞれ順次介設されている。
【0109】
そして、上記各第2の開閉弁48D、50Dの開閉は、制御手段74(図1参照)側より制御されることになる。尚、この場合、上流側に設けた先の開閉弁48A、50Aは、常時開状態としてもよいし、上記各貯留タンク48C、50Cへのガスの貯留時のみ開状態としてもよい。
【0110】
これにより、上記各ガスを処理容器4内へ供給していない停止工程(休止工程)の間に、各ガスを対応する貯留タンク48C、50Cへそれぞれ貯留するようにしている。ここで、各貯留タンク48C、50Cの容量は、例えば200〜5000ミリリットル程度である。尚、ここでは貯留タンク48C、50C及び開閉弁48D、50Dを炭化水素ガスのガス通路48とシラン系ガス通路50の双方にそれぞれ設けたが、いずれか一方のガス通路のみに設けるようにしてもよく、各ガスの供給態様に応じて各貯留タンクを付加するか否かを決定すればよい。
【0111】
次に、上述したような成膜装置を用いて行われる各ガスの供給のタイミングについて説明する。
【0112】
<第11実施例>
まず、本発明方法の第11実施例について説明する。図15は本発明の成膜方法の第11実施例及びその変形例における各種ガスの供給のタイミングを示すタイミングチャートである。尚、図3〜図13に示す構成部分と同一工程等には同一符号を付してその説明を省略する。また、この図15に示す第11実施例は図3に示す第1実施例をベースにしたものであり、ここでは1サイクルは期間T1〜T4により形成されている。
【0113】
図15(A)に示すように、ここでは処理容器4へのDCSガス(シラン系ガス)の供給を停止する停止工程(休止工程)82の間に、DCSガスを貯留タンク50C内へ貯留するタンク貯留工程94を行っている。ここでは上記停止工程82は、期間T2、T3、T4が連続した長さであり、期間T3の時に上記タンク貯留工程94を行うようにしている。
【0114】
この場合、上記タンク貯留工程94は、停止工程82内であれば、どこに位置させてもよい。従って、期間T2、T3、T4のどの部分に位置してもよく、また、2つの期間、或いは3つの期間に跨がるようにして位置させてもよく、更には、タンク貯留工程94の長さも特に限定されない。尚、処理容器4へのガスの供給開始及び供給停止は第2の開閉弁50Dの開閉で行い、貯留タンク50Cへのガスの貯留開始及び貯留停止はこれよりも上流側の開閉弁50Aの開閉で行うのは勿論である。この点は炭化水素ガス供給手段28においても同様である。
【0115】
また同様に、ここでは処理容器4へのC ガス(炭化水素ガス)の供給を停止する停止工程(休止工程)90の間に、C ガスを貯留タンク48C内へ貯留するタンク貯留工程96を行っている。ここでは上記停止工程90は、期間T2、T3、T4が連続した長さであり、期間T3の時に上記タンク貯留工程96を行うようにしている。
【0116】
この場合、上記タンク貯留工程96は、停止期間90内であれば、どこに位置させてもよい。従って、期間T2、T3、T4のどの部分に位置させてもよく、また、2つの期間、或いは3つの期間に跨がるようにして位置させてもよく、更には、タンク貯留工程96の長さも特に限定されない。以上の点は、これ以降説明する他の第12実施例〜第20実施例においても同様である。また、1サイクル目を行う時には、予め貯留タンク48C、50C内へそれぞれのガスを貯留しておくのが好ましい。この点も、他の第12実施例〜第20実施例においても同様である。
【0117】
このように、DCSガス及びC ガスをそれぞれ処理容器4内へ供給する際に予め各ガスを貯留タンク50C、48Cにそれぞれ貯留し、次の供給時に上記各貯留タンク50C、48C内に貯留していたガスを一気に処理容器4内へ流すようにしたので、各ガスが多量に処理容器4内へ流れ込むことになり、その分、ガスの吸着時間、具体的には期間T1の長さを短くすることができてスループットを向上させることができる。
【0118】
この場合、DCSガスやC ガスを処理容器4内へ供給する際に、排気側の圧力調整弁(図示せず)の弁開度を小さくして処理容器4内のガス量を多くするようにしてもよい。
【0119】
図15(B)に示す変形例1では、DCSガスのタンク貯留工程94を期間T4に位置させており、またC ガスのタンク貯留工程96を期間T4に位置させている。尚、ここでは1サイクルが期間T1、T2、T4により形成されている。
【0120】
また図15(C)に示す変形例2では、DCSガスのタンク貯留工程94を期間T4に位置させており、またC ガスのタンク貯留工程96を期間T4に位置させている。尚、ここでは1サイクルが期間T1、T4により形成されている。また、ここでは2つの貯留タンク48C、50Cを設けた場合を例にとって説明したが、前述したように、いずれか一方の貯留タンクを設けない場合には、それに対応するタンク貯留工程が実行されないのは勿論であり、この点は他の第12実施例〜第20実施例においても同様である。
【0121】
<第12実施例>
次に、本発明方法の第12実施例について説明する。図16は本発明の成膜方法の第12実施例及びその変形例における各種ガスの供給のタイミングを示すタイミングチャートである。尚、図3〜図13に示す構成部分と同一工程等には同一符号を付してその説明を省略する。また、この図16に示す第13実施例は図5に示す第2実施例をベースにしたものであり、ここでは1サイクルは期間T1〜T4により形成されている。
【0122】
図16(A)に示すように、ここでは処理容器4へのC ガス(炭化水素ガス)の供給を停止する停止工程(休止工程)90の間に、C ガスを貯留タンク48C内へ貯留するタンク貯留工程96を行っている。ここでは上記停止工程90は、期間T4、T1、T2が連続した長さであり、期間T2の時に上記タンク貯留工程96を行うようにしている。
【0123】
この場合、上記タンク貯留工程96は、停止期間90内であれば、どこに位置させてもよい。従って、期間T4、T1、T2のどの部分に位置させてもよく、また、2つの期間、或いは3つの期間に跨がるようにして位置させてもよく、更には、タンク貯留工程96の長さも特に限定されない。
【0124】
図16(B)に示す変形例1では、C ガスのタンク貯留工程96を期間T1に位置させている。尚、ここでは1サイクルが期間T1、T3、T4により形成されている。
【0125】
また図16(C)に示す変形例2では、C ガスのタンク貯留工程96を期間T1に位置させている。尚、ここでは1サイクルが期間T1、T4により形成されている。
この第12実施例の場合にも、図15に示した第11実施例と同様な作用効果を発揮することができる。また、前述したように、DCSガスの供給に際しても、図15に示した第11実施例で説明したように、タンク貯留工程94を行うようにしてもよい。
【0126】
<第13実施例>
次に、本発明方法の第13実施例について説明する。図17は本発明の成膜方法の第13実施例及びその変形例における各種ガスの供給のタイミングを示すタイミングチャートである。尚、図3〜図13に示す構成部分と同一工程等には同一符号を付してその説明を省略する。また、この図17に示す第13実施例は図6に示す第3実施例をベースにしたものであり、ここでは1サイクルは期間T1〜T6により形成されている。
【0127】
図17(A)に示すように、ここでは処理容器4へのDCSガス(シラン系ガス)の供給を停止する停止工程(休止工程)82の間に、DCSガスを貯留タンク50C内へ貯留するタンク貯留工程94を行っている。ここでは上記停止工程82は、期間T2〜T6が連続した長さであり、期間T4の時に上記タンク貯留工程94を行うようにしている。
【0128】
この場合、上記タンク貯留工程94は、停止工程82内であれば、どこに位置させてもよい。従って、期間T2〜T6のどの部分に位置してもよく、また、2つ〜5つの期間に跨がるようにして位置させてもよく、更には、タンク貯留工程94の長さも特に限定されない。
【0129】
また同様に、ここでは処理容器4へのC ガス(炭化水素ガス)の供給を停止する停止工程(休止工程)90の間に、C ガスを貯留タンク48C内へ貯留するタンク貯留工程96を行っている。ここでは上記停止工程90は、期間T4、T5、T6、T1、T2が連続した長さであり、期間T4の時に上記タンク貯留工程96を行うようにしている。
【0130】
この場合、上記タンク貯留工程96は、停止期間90内であれば、どこに位置させてもよい。従って、期間T4、T5、T6、T1、T2のどの部分に位置させてもよく、また、2つ〜5つの期間に跨がるようにして位置させてもよく、更には、タンク貯留工程96の長さも特に限定されない。
【0131】
図17(B)に示す変形例1では、DCSガスのタンク貯留工程94を期間T5に位置させており、またC ガスのタンク貯留工程96を期間T5に位置させている。尚、ここでは1サイクルが期間T1〜T3、T5、T6により形成されている。
【0132】
また図17(C)に示す変形例2では、DCSガスのタンク貯留工程94を期間T6に位置させており、またC ガスのタンク貯留工程96を期間T6に位置させている。尚、ここでは1サイクルが期間T1、T3、T5、T6により形成されている。
【0133】
また図17(D)に示す変形例3では、DCSガスのタンク貯留工程94を期間T5に位置させており、またC ガスのタンク貯留工程96を期間T5に位置させている。尚、ここでは1サイクルが期間T1、T3、T5により形成されている。この第13実施例の場合にも、図15に示した第11実施例と同様な作用効果を発揮することができる。
【0134】
<第14実施例>
次に、本発明方法の第14実施例について説明する。図18は本発明の成膜方法の第14実施例及びその変形例における各種ガスの供給のタイミングを示すタイミングチャートである。尚、図3〜図13に示す構成部分と同一工程等には同一符号を付してその説明を省略する。また、この図18に示す第14実施例は図7に示す第4実施例をベースにしたものであり、ここでは1サイクルは期間T1〜T6により形成されている。
【0135】
図18(A)に示すように、ここでは処理容器4へのC ガス(炭化水素ガス)の供給を停止する停止工程(休止工程)90の間に、C ガスを貯留タンク48C内へ貯留するタンク貯留工程96を行っている。ここでは上記停止工程90は、期間T4、T5、T6、T1、T2が連続した長さであり、期間T2の時に上記タンク貯留工程96を行うようにしている。
【0136】
この場合、上記タンク貯留工程96は、停止期間90内であれば、どこに位置させてもよい。従って、期間T4、T5、T6、T1、T2のどの部分に位置させてもよく、また、2つ〜5つの期間に跨がるようにして位置させてもよく、更には、タンク貯留工程96の長さも特に限定されない。
【0137】
図18(B)に示す変形例1では、C ガスのタンク貯留工程96を期間T2に位置させている。尚、ここでは1サイクルが期間T1〜T3、T5、T6により形成されている。
【0138】
また図18(C)に示す変形例2では、C ガスのタンク貯留工程96を期間T1に位置させている。尚、ここでは1サイクルが期間T1、T3、T5、T6により形成されている。
【0139】
また図18(D)に示す変形例3では、C ガスのタンク貯留工程96を期間T1に位置させている。尚、ここでは1サイクルが期間T1、T3、T5により形成されている。この第14実施例の場合にも、図15に示した第11実施例と同様な作用効果を発揮することができる。また、前述したように、DCSガスの供給に際しても、図15に示した第11実施例で説明したように、タンク貯留工程94を行うようにしてもよい。
【0140】
<第15実施例>
次ず、本発明方法の第15実施例について説明する。図19は本発明の成膜方法の第15実施例及びその変形例における各種ガスの供給のタイミングを示すタイミングチャートである。尚、図3〜図13に示す構成部分と同一工程等には同一符号を付してその説明を省略する。また、この図19に示す第15実施例は図8に示す第5実施例をベースにしたものであり、ここでは1サイクルは期間T1〜T6により形成されている。
【0141】
図19(A)に示すように、ここでは処理容器4へのDCSガス(シラン系ガス)の供給を停止する停止工程(休止工程)82の間に、DCSガスを貯留タンク50C内へ貯留するタンク貯留工程94を行っている。ここでは上記停止工程82は、期間T2、T3、T4、T5、T6が連続した長さであり、期間T5の時に上記タンク貯留工程94を行うようにしている。
【0142】
この場合、上記タンク貯留工程94は、停止工程82内であれば、どこに位置させてもよい。従って、期間T2〜T6のどの部分に位置してもよく、また、2つ〜5つの期間に跨がるようにして位置させてもよく、更には、タンク貯留工程94の長さも特に限定されない。
【0143】
また同様に、ここでは処理容器4へのC ガス(炭化水素ガス)の供給を停止する停止工程(休止工程)90の間に、C ガスを貯留タンク48C内へ貯留するタンク貯留工程96を行っている。ここでは上記停止工程90は、期間T2と期間T4、T5、T6が連続した長さであり、ここでは1サイクル内でC ガスを2回供給しているので、それに対応させて期間T2の時と期間T5の時に上記タンク貯留工程96を行うようにしている。
【0144】
この場合、上記タンク貯留工程96は、停止期間90内であれば、どこに位置させてもよい。従って、期間T4、T5、T6のどの部分に位置させてもよく、また、2つの期間、或いは3つの期間に跨がるようにして位置させてもよく、更には、タンク貯留工程96の長さも特に限定されない。尚、期間T2では、この直後のC ガス供給工程88に備えて必ずタンク貯留工程96を行う必要がある。
【0145】
図19(B)に示す変形例1では、DCSガスのタンク貯留工程94を期間T5に位置させており、またC ガスのタンク貯留工程96を期間T2と期間T5に位置させている。尚、ここでは1サイクルが期間T1〜T3、T5、T6により形成されている。
【0146】
また図19(C)に示す変形例2では、DCSガスのタンク貯留工程94を期間T5に位置させており、またC ガスのタンク貯留工程96を期間T5に位置させている。尚、ここでは1サイクルが期間T1、T3、T5、T6により形成されている。
また図19(D)に示す変形例3では、DCSガスのタンク貯留工程94を期間T5に位置させており、またC ガスのタンク貯留工程96を期間T5に位置させている。尚、ここでは1サイクルが期間T1、T3、T5により形成されている。この第12実施例の場合にも、図15に示した第11実施例と同様な作用効果を発揮することができる。
【0147】
<第16実施例>
次に、本発明方法の第16実施例について説明する。図20は本発明の成膜方法の第16実施例及びその変形例における各種ガスの供給のタイミングを示すタイミングチャートである。尚、図3〜図13に示す構成部分と同一工程等には同一符号を付してその説明を省略する。また、この図20に示す第16実施例は図9に示す第6実施例をベースにしたものであり、ここでは1サイクルは期間T1〜T6により形成されている。
【0148】
図20(A)に示すように、ここでは処理容器4へのC ガス(炭化水素ガス)の供給を停止する停止工程(休止工程)90の間に、C ガスを貯留タンク48C内へ貯留するタンク貯留工程96を行っている。ここでは上記停止工程90は、期間T2と期間T4、T5、T6が連続した長さであり、ここでは1サイクル内でC ガスを2回供給しているので、それに対応させて期間T2の時と期間T5の時に上記タンク貯留工程96を行うようにしている。
【0149】
この場合、上記タンク貯留工程96は、停止期間90内であれば、どこに位置させてもよい。従って、期間T4、T5、T6のどの部分に位置させてもよく、また、2つの期間、或いは3つの期間に跨がるようにして位置させてもよく、更には、タンク貯留工程96の長さも特に限定されない。尚、期間T2では、この直後のC ガス供給工程88に備えて必ずタンク貯留工程96を行う必要がある。
【0150】
図20(B)に示す変形例1では、C ガスのタンク貯留工程96を期間T2と期間T6に位置させている。尚、ここでは1サイクルが期間T1〜T3、T5、T6により形成されている。
【0151】
また図20(C)に示す変形例2では、C ガスのタンク貯留工程96を期間T5、T6に位置させている。尚、ここでは1サイクルが期間T1、T3、T5、T6により形成されている。
また図20(D)に示す変形例3では、C ガスのタンク貯留工程96を期間T5に位置させている。尚、ここでは1サイクルが期間T1、T3、T5により形成されている。この第16実施例の場合にも、図15に示した第11実施例と同様な作用効果を発揮することができる。また、前述したように、DCSガスの供給に際しても、図15に示した第11実施例で説明したように、タンク貯留工程94を行うようにしてもよい。
【0152】
<第17実施例>
次に、本発明方法の第17実施例について説明する。図21は本発明の成膜方法の第17実施例及びその変形例における各種ガスの供給のタイミングを示すタイミングチャートである。尚、図3〜図13に示す構成部分と同一工程等には同一符号を付してその説明を省略する。また、この図21に示す第17実施例は図10に示す第7実施例をベースにしたものであり、ここでは1サイクルは期間T1〜T4により形成されている。
【0153】
図21(A)に示すように、ここでは処理容器4へのDCSガス(シラン系ガス)の供給を停止する停止工程(休止工程)82の間に、DCSガスを貯留タンク50C内へ貯留するタンク貯留工程94を行っている。ここでは上記停止工程82は、期間T2、T3、T4が連続した長さであり、期間T4の時に上記タンク貯留工程94を行うようにしている。
【0154】
この場合、上記タンク貯留工程94は、停止工程82内であれば、どこに位置させてもよい。従って、期間T2、T3、T4のどの部分に位置してもよく、また、2つの期間、或いは3つの期間に跨がるようにして位置させてもよく、更には、タンク貯留工程94の長さも特に限定されない。
【0155】
また同様に、ここでは処理容器4へのC ガス(炭化水素ガス)の供給を停止する停止工程(休止工程)90の間に、C ガスを貯留タンク48C内へ貯留するタンク貯留工程96を行っている。ここでは上記停止工程90は、期間T2と期間T4であり、ここでは1サイクル内でC ガスを2回供給しているので、それに対応させて期間T2の時と期間T4の時に上記タンク貯留工程96を行うようにしている。
【0156】
図21(B)に示す変形例1では、DCSガスのタンク貯留工程94を期間T4に位置させており、またC ガスのタンク貯留工程96を期間T4に位置させている。尚、ここでは1サイクルが期間T1、T3、T4により形成されている。
【0157】
また図21(C)に示す変形例2では、DCSガスのタンク貯留工程94を期間T3に位置させている。またC ガスは、ここでは連続供給となっている。尚、ここでは1サイクルが期間T1、T3により形成されている。この第17実施例の場合にも、図15に示した第11実施例と同様な作用効果を発揮することができる。
【0158】
<第18実施例>
次に、本発明方法の第18実施例について説明する。図22は本発明の成膜方法の第18実施例及びその変形例における各種ガスの供給のタイミングを示すタイミングチャートである。尚、図3〜図13に示す構成部分と同一工程等には同一符号を付してその説明を省略する。また、この図22に示す第18実施例は図11に示す第8実施例をベースにしたものであり、ここでは1サイクルは期間T1〜T4により形成されている。
【0159】
図22(A)に示すように、ここでは処理容器4へのC ガス(炭化水素ガス)の供給を停止する停止工程(休止工程)90の間に、C ガスを貯留タンク48C内へ貯留するタンク貯留工程96を行っている。ここでは上記停止工程90は、期間T4、T1、T2が連続した長さであり、期間T2の時に上記タンク貯留工程96を行うようにしている。
【0160】
この場合、上記タンク貯留工程96は、停止期間90内であれば、どこに位置させてもよい。従って、期間T4、T1、T2のどの部分に位置させてもよく、また、2つの期間、或いは3つの期間に跨がるようにして位置させてもよく、更には、タンク貯留工程96の長さも特に限定されない。
【0161】
図22(B)に示す変形例1では、C ガスのタンク貯留工程96を期間T1に位置させている。尚、ここでは1サイクルが期間T1、T3、T4により形成されている。
【0162】
また図22(C)に示す変形例2では、C ガスのタンク貯留工程96を期間T1に位置させている。尚、ここでは1サイクルが期間T1、T3により形成されている。この第18実施例の場合にも、図15に示した第11実施例と同様な作用効果を発揮することができる。また、前述したように、DCSガスの供給に際しても、図15に示した第11実施例で説明したように、タンク貯留工程94を行うようにしてもよい。
【0163】
<第19実施例>
次に、本発明方法の第19実施例について説明する。図23は本発明の成膜方法の第19実施例及びその変形例における各種ガスの供給のタイミングを示すタイミングチャートである。尚、図3〜図13に示す構成部分と同一工程等には同一符号を付してその説明を省略する。また、この図23に示す第19実施例は図12に示す第9実施例をベースにしたものであり、ここでは1サイクルは期間T1〜T4により形成されている。
【0164】
図23(A)に示すように、ここでは処理容器4へのC ガス(炭化水素ガス)の供給を停止する停止工程(休止工程)90の間に、C ガスを貯留タンク48C内へ貯留するタンク貯留工程96を行っている。ここでは上記停止工程90は、期間T4、T1、T2が連続した長さであり、期間T2の時に上記タンク貯留工程96を行うようにしている。
【0165】
この場合、上記タンク貯留工程96は、停止期間90内であれば、どこに位置させてもよい。従って、期間T4、T1、T2のどの部分に位置させてもよく、また、2つの期間、或いは3つの期間に跨がるようにして位置させてもよく、更には、タンク貯留工程96の長さも特に限定されない。
【0166】
図23(B)に示す変形例1では、C ガスのタンク貯留工程96を期間T1に位置させている。尚、ここでは1サイクルが期間T1、T3、T4により形成されている。
【0167】
また図23(C)に示す変形例2では、C ガスのタンク貯留工程96を期間T1に位置させている。尚、ここでは1サイクルが期間T1、T3により形成されている。この第19実施例の場合にも、図15に示した第11実施例と同様な作用効果を発揮することができる。また、前述したように、DCSガスの供給に際しても、図15に示した第11実施例で説明したように、タンク貯留工程94を行うようにしてもよい。
【0168】
<第20実施例>
次に、本発明方法の第20実施例について説明する。図24は本発明の成膜方法の第20実施例及びその変形例における各種ガスの供給のタイミングを示すタイミングチャートである。尚、図3〜図13に示す構成部分と同一工程等には同一符号を付してその説明を省略する。また、この図24に示す第20実施例は図13に示す第10実施例をベースにしたものであり、ここでは1サイクルは期間T1〜T4により形成されている。
【0169】
図24(A)に示すように、ここでは処理容器4へのDCSガス(シラン系ガス)の供給を停止する停止工程(休止工程)82の間に、DCSガスを貯留タンク50C内へ貯留するタンク貯留工程94を行っている。ここでは上記停止工程82は、期間T2、T3、T4が連続した長さであり、期間T4の時に上記タンク貯留工程94を行うようにしている。
【0170】
この場合、上記タンク貯留工程94は、停止工程82内であれば、どこに位置させてもよい。従って、期間T2、T3、T4のどの部分に位置してもよく、また、2つの期間、或いは3つの期間に跨がるようにして位置させてもよく、更には、タンク貯留工程94の長さも特に限定されない。
【0171】
また同様に、ここでは処理容器4へのC ガス(炭化水素ガス)の供給を停止する停止工程(休止工程)90の間に、C ガスを貯留タンク48C内へ貯留するタンク貯留工程96を行っている。ここでは上記停止工程90は、期間T2と期間T4であり、期間T2の時と期間T4の時に上記タンク貯留工程96を行うようにしている。
【0172】
図24(B)に示す変形例1では、DCSガスのタンク貯留工程94を期間T4に位置させており、またC ガスのタンク貯留工程96を期間T4に位置させている。尚、ここでは1サイクルが期間T1、T3、T4により形成されている。
【0173】
また図24(C)に示す変形例2では、DCSガスのタンク貯留工程94を期間T3に位置させている。またC ガスはここでは連続供給となっている。尚、ここでは1サイクルが期間T1、T3により形成されている。この第20実施例の場合にも、図15に示した第11実施例と同様な作用効果を発揮することができる。
【0174】
尚、以上の各実施例ではSiCN膜を形成する場合を例にとって説明したが、これにB(ボロン)等の不純物を導入するようにしてもよい。
また、以上の各実施例では、常にDCSを最初に供給するようなサイクルとしたが、これに限定されず、NH やC を最初に供給するようにしてもよい。
【0175】
また、ここでは各ノズル38、40、42を収容するために断面凹部状のノズル収容凹部60を処理容器4の側壁に設けたが、処理容器4の内壁とウエハ周縁部との間にノズルを収容する十分なスペースがある場合には、上記ノズル収容凹部60を設けなくてもよい。
【0176】
また、ここでは単管式の成膜装置を例にとって説明したが、これに限定されず、内管と外管とを同芯状に配置してなる2重管式の成膜装置を用いてもよい。更には、処理容器内のガスの流れは横方向に限定されず、例えば縦型の処理容器の上下の一端側からガスを導入して他端側から排出するようにしたガス流となる処理容器を有する成膜装置にも本発明を適用することができる。
また、上記各実施例では、炭化水素ガスとしてはエチレンガスを用いたが、これに限定されず、アセチレン、エチレン、メタン、エタン、プロパン、ブタンよりなる群より選択される1または2以上のガスを用いることができる。
【0177】
また上記各実施例では、シラン系ガスとしてDCSガスを用いたが、これに限定されず、ジクロロシラン(DCS)、ヘキサクロロジシラン(HCD)、モノシラン[SiH ]、ジシラン[Si ]、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、テトラクロロシラン(TCS)、ジシリルアミン(DSA)、トリシリルアミン(TSA)、ビスターシャルブチルアミノシラン(BTBAS)、ジイソプロピルアミノシラン(DIPAS)よりなる群より選択される1以上のガスを用いることができる。
【0178】
また、上記各実施例では、窒化ガスとしてNH ガスを用いたが、これに限定されず、アンモニア[NH ]、窒素[N ]、一酸化二窒素[N O]、一酸化窒素[NO]よりなる群より選択される1以上のガスを用いることができる。
また、ここでは成膜装置として一度に複数枚のウエハを処理できるバッチ式の成膜装置を例にとって説明したが、これに限定されず、ウエハを1枚ずつ処理する枚用式の成膜装置についても本発明方法を適用することができる。
また被処理体としては、半導体ウエハに限定されず、ガラス基板やLCD基板等にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0179】
2 成膜装置
4 処理容器
12 ウエハボート(保持手段)
28 炭化水素ガス供給手段
30 シラン系ガス供給手段
32 窒化ガス供給手段
36 パージガス供給手段
38,40,42 ガス分散ノズル
48C 貯留タンク
50C 貯留タンク
60 ノズル収容凹部
72 加熱手段
74 制御手段
76 記憶媒体
W 半導体ウエハ(被処理体)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理体が収容されて真空引き可能になされた処理容器内に、シラン系ガスと窒化ガスと炭化水素ガスとを供給して前記被処理体の表面にSiCN膜よりなる薄膜を形成する成膜方法において、
前記シラン系ガスと前記窒化ガスと前記炭化水素ガスとをそれぞれ一定の供給期間でパルス状に供給する供給工程と供給を停止する停止工程とよりなる1サイクルを複数回繰り返し実行してプラズマを用いることなく前記薄膜を形成するようにしたことを特徴とする成膜方法。
【請求項2】
前記シラン系ガスの停止工程の間において、前記シラン系ガスを次のシラン系ガスの供給工程の時に供されるシラン系ガスとして一時的に貯留タンク内に貯留するタンク貯留工程を有することを特徴とする請求項1記載の成膜方法。
【請求項3】
前記炭化水素ガスの停止工程の間において、前記炭化水素ガスを次の炭化水素ガスの供給工程の時に供される炭化水素ガスとして一時的に貯留タンク内に貯留するタンク貯留工程を有する請求項1又は2記載の成膜方法。
【請求項4】
前記窒化ガスの供給工程は前記シラン系ガスの供給工程の長さと同一に設定され、
前記シラン系ガスの1サイクルの中で前記窒化ガスの供給工程は1回又は複数回実行されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の成膜方法。
【請求項5】
前記窒化ガスの供給工程は、前記シラン系ガスの供給工程よりも長く設定されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の成膜方法。
【請求項6】
前記シラン系ガスの供給工程が実行される時には、前記窒化ガスの供給工程が同時に実行されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の成膜方法。
【請求項7】
前記シラン系ガスの供給工程が実行される時には、前記窒化ガスの停止工程が同時に実行されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の成膜方法。
【請求項8】
前記炭化水素ガスの供給工程は前記シラン系ガスの供給工程の長さと同一に設定され、
前記シラン系ガスの1サイクルの中で前記炭化水素ガスの供給工程は1回又は複数回実行されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の成膜方法。
【請求項9】
前記炭化水素ガスの供給工程は、前記シラン系ガスの供給工程よりも長く設定されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の成膜方法。
【請求項10】
前記シラン系ガスの供給工程が実行される時には、前記炭化水素ガスの供給工程が同時に実行されることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の成膜方法。
【請求項11】
前記シラン系ガスの供給工程が実行される時には、前記炭化水素ガスの停止工程が同時に実行されることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の成膜方法。
【請求項12】
前記シラン系ガスと前記窒化ガスと前記炭化水素ガスの全てのガスの供給を停止して真空引きするパージステップが含まれていることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の成膜方法。
【請求項13】
被処理体が収容されて真空引き可能になされた処理容器内に、シラン系ガスと窒化ガスと炭化水素ガスとを供給して前記被処理体の表面にSiCN膜よりなる薄膜を形成する成膜方法において、
前記シラン系ガスを一定の供給期間でパルス状に供給する供給工程と供給を停止する停止工程とよりなる1サイクルを複数回繰り返し実行し、
前記窒化ガスと前記炭化水素ガスの内の少なくとも一方を連続的に供給してプラズマを用いることなく前記薄膜を形成するようにしたことを特徴とする成膜方法。
【請求項14】
前記シラン系ガスの停止工程の間において、前記シラン系ガスを次のシラン系ガスの供給工程の時に供されるシラン系ガスとして一時的に貯留タンク内に貯留するタンク貯留工程を有することを特徴とする請求項13記載の成膜方法。
【請求項15】
前記炭化水素ガスの停止工程の間において、前記炭化水素ガスを次の炭化水素ガスの供給工程の時に供される炭化水素ガスとして一時的に貯留タンク内に貯留するタンク貯留工程を有する請求項13又は14記載の成膜方法。
【請求項16】
前記薄膜の成膜時の温度は、300℃〜700℃の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至15のいずれか一項に記載の成膜方法。
【請求項17】
前記薄膜の成膜時の圧力は、13Pa(0.1Torr)〜1330Pa(10Torr)の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至16のいずれか一項に記載の成膜方法。
【請求項18】
前記シラン系ガスは、ジクロロシラン(DCS)、ヘキサクロロジシラン(HCD)、モノシラン[SiH ]、ジシラン[Si ]、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、テトラクロロシラン(TCS)、ジシリルアミン(DSA)、トリシリルアミン(TSA)、ビスターシャルブチルアミノシラン(BTBAS)、ジイソプロピルアミノシラン(DIPAS)よりなる群より選択される1以上のガスであることを特徴とする請求項1乃至17のいずれか一項に記載の成膜方法。
【請求項19】
前記窒化ガスは、アンモニア[NH ]、窒素[N ]、一酸化二窒素[N O]、一酸化窒素[NO]よりなる群より選択される1以上のガスであることを特徴とする請求項1乃至18のいずれか一項に記載の成膜方法。
【請求項20】
前記炭化水素ガスは、アセチレン、エチレン、メタン、エタン、プロパン、ブタンよりなる群より選択される1以上のガスであることを特徴とする請求項1乃至19のいずれか一項に記載の成膜方法。
【請求項21】
被処理体に対してSiCN膜よりなる薄膜を形成するための成膜装置において、
真空引き可能になされた処理容器と、
前記被処理体を保持する保持手段と、
前記被処理体を加熱する加熱手段と、
前記処理容器内へシラン系ガスを供給するシラン系ガス供給手段と、
前記処理容器内へ窒化ガスを供給する窒化ガス供給手段と、
前記処理容器内へ炭化水素ガスを供給する炭化水素ガス供給手段と、
請求項1乃至20のいずれか一項に記載の成膜方法を実行するように制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする成膜装置。
【請求項22】
前記シラン系ガス供給手段及び/又は炭化水素ガス供給手段には、それぞれガスを一時的に貯留する貯留タンクを有することを特徴とする請求項21記載の成膜装置。
【請求項23】
前記処理容器は、前記被処理体を複数枚収容することができる縦型の筒体状に成形されていることを特徴とする請求項21又は22記載の成膜装置。
【請求項24】
被処理体が収容されて真空引き可能になされた処理容器内に、シラン系ガスと窒化ガスと炭化水素ガスとを供給して前記被処理体の表面にSiCN膜よりなる薄膜を形成するようにした成膜装置を用いて薄膜を形成するに際して、
前記1乃至20のいずれか一項に記載の成膜方法を実行するように前記成膜装置を制御するコンピュータ読み取り可能なプログラムを記憶することを特徴とする記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−23399(P2012−23399A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228167(P2011−228167)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【分割の表示】特願2008−1689(P2008−1689)の分割
【原出願日】平成20年1月8日(2008.1.8)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】