説明

無線通信機能を有する半導体装置

【課題】無線通信機能を有する半導体装置の低消費電力化、通信距離の拡大を図る。
【解決手段】メモリ部と、論理部と、メモリ部及び論理部間を電気的に接続する複数の信号線と、を備え、半導体装置及び通信装置間の転送レートをα[bps]、論理部で生成される第1のクロック周波数をKα[Hz](Kは1以上の整数)、複数の信号線のうち読み出し用信号線をn本(nは2以上の整数)、論理部で生成される第2のクロック周波数をLα/n[Hz](Lは、L/n<Kを満たす任意の整数)とした場合、メモリ部に格納されたデータを論理部へ読み出す場合は、第2のクロック周波数Lα/n[Hz]を用いて、n本の読み出し用信号線を介して行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
無線通信機能を有する半導体装置、特にメモリを有する半導体装置に関する。また、非接触でデータの送受信を行う半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、RFID(Radio Frequency Identification)と呼ばれる個体情報識別技術が注目されている。特に、無線通信により非接触でデータの送受信を行う半導体装置(RFIDタグ、ICタグ、ICチップ、RFタグ、無線タグ、電子タグとも呼ばれている半導体装置)を用いた個体情報識別技術の開発が進められている。
【0003】
RFIDタグを用いた個体情報識別技術は、生産管理、流通管理などに役立てられ始めており、個人認証への応用も期待されている。例えば、特許文献1には、RFIDを用いて荷物を識別し、荷物の検品を行う利用例について記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、RFIDタグが有するメモリ部に記憶させた設定値を利用して、荷物管理を行う例について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−168985
【特許文献2】特開2007−124433
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
RFIDタグは、リーダ、リーダ/ライタなどの通信装置から発生する電磁波を利用して、RFIDタグを動作させるために必要な電力を作ることができる。また、RFIDタグは、電池を内蔵し、電池によって動作させる構成とすることもできる。
【0007】
特許文献1においては、RFIDタグが、リーダ/ライタから出力される電磁波を受信して電力を発生し、ICチップを起動させ、起動したICチップがリーダ/ライタとの間で通信可能となることが記載されている。
【0008】
一般に、電磁波は、電磁波の発生源(例えばリーダ/ライタなどの通信装置)からの距離の増大に伴い減衰していく。そのため、RFIDタグ及びリーダ/ライタ間の通信距離が離れるほど、RFIDタグが利用できる電磁波が減少し、RFIDタグが受信する電力は小さくなっていく。
【0009】
RFIDタグは、RFIDタグを動作させるための電力(最低動作電力以上の電力)を受けとることができなければ、データの送受信をすることはできない。様々な用途に用いるため、または確実にデータを送受信するためにも、RFIDタグの消費電力を小さくすることで、RFIDタグの最低動作電力を小さくし、RFIDタグを動作しやすくすることが求められている。
【0010】
また、利便性を考慮すれば、RFIDタグ及び通信装置(リーダ、リーダ/ライタなど)間の通信距離は自由度を持たせたい。そのため、RFIDタグの消費電力を小さくすることで、RFIDタグの最低動作電力を小さくし、通信距離を拡大することが求められている。
【0011】
また、RFIDタグに電池を搭載する場合、電池寿命などを考慮して、RFIDタグの消費電力は小さくすることが好ましい。
【0012】
なお、RFIDタグの消費電力を小さくする方法として、RFIDタグの全ての内部処理をパラレル伝送により行い、クロック周波数を下げるという方法がある。しかし、ライトワンス型のメモリ素子のように大電力を消費し書き込み処理を行うメモリを有するRFIDタグの場合、書き込み処理をパラレル伝送により行うことはメモリの消費電力の増大を招き、RFIDタグの動作の安定性を保つという意味で困難である。
【0013】
生産管理や流通管理など、様々な管理システムにRFIDタグを適用するためにも、RFIDタグの動作安定性は不可欠である。
【0014】
上記問題を鑑み、本発明の一態様は、半導体装置の低消費電力化を課題の一とする。または、本発明の一態様は、半導体装置と、通信装置と、の通信距離の拡大を課題の一とする。または、本発明の一態様は、半導体装置の動作の安定性を保つことを課題の一とする。または、本発明の一様態は、半導体装置の低消費電力化を図りつつ、半導体装置の動作の安定性を保つことを課題の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一態様は、メモリ部を有する半導体装置であり、複数の伝送方式によりデータ処理を行う。具体的には、メモリ部への書き込み、メモリ部からの読み出しで異なる伝送方式を用い、メモリ部への書き込みはシリアル伝送で行い、メモリ部からの読み出しはパラレル伝送で行う。シリアル伝送による書き込みで、半導体装置の動作の安定性を保つ。パラレル伝送による読み出しで、クロック周波数を遅くし低消費電力化を図る。
【0016】
本発明の一態様は、メモリ部と、論理部と、メモリ部及び論理部間を電気的に接続する複数の信号線と、を備える半導体装置である。半導体装置及び通信装置間の転送レートをα[bps]、第1のクロック周波数をKα[Hz](Kは1以上の整数)、複数の信号線のうち読み出し用信号線をn本(nは2以上の整数)、第2のクロック周波数をLα/n[Hz](Lは、L/n<Kを満たす任意の整数)とした場合、第1のクロック周波数Kα[Hz]を用いて復調信号のデコードを行い、第2のクロック周波数Lα/n[Hz]を用いて、n本の読み出し用信号線を介し、メモリ部に格納されたデータを論理部へ読み出す無線通信機能を有する半導体装置である。
【0017】
本発明の一態様は、メモリ部と、論理部と、メモリ部及び論理部間を電気的に接続する複数の信号線と、を備える半導体装置である。半導体装置及び通信装置間の転送レートをα[bps]、第1のクロック周波数をKα[Hz](Kは1以上の整数)、複数の信号線のうち読み出し用信号線をn本(nは2以上の整数)、第2のクロック周波数をLα/n[Hz](Lは、L/n<Kを満たす任意の整数)とした場合、第1のクロック周波数Kα[Hz]を用いて復調信号のデコードを行い、第2のクロック周波数Lα/n[Hz]を用いて、n本の読み出し用信号線を介し、メモリ部に格納されたデータを論理部へ読み出し、第1のクロック周波数Kα[Hz]を用いて、論理部が有するパラレル/シリアル変換回路によりメモリ部から読み出されたデータを変換して回路部にシリアル伝送する無線通信機能を有する半導体装置である。
【0018】
本発明の一態様は、メモリ部と、論理部と、メモリ部及び論理部間を電気的に接続する複数の信号線と、を備える半導体装置である。半導体装置及び通信装置間の転送レートをα[bps]、第1のクロック周波数をKα[Hz](Kは1以上の整数)、複数の信号線のうち読み出し用信号線をn本(nは2以上の整数)、第2のクロック周波数をLα/n[Hz](Lは、L/n<Kを満たす任意の整数)、複数の信号線のうち書き込み用信号線を1本、第3のクロック周波数をM[Hz]とした場合、第1のクロック周波数Kα[Hz]を用いて復調信号のデコードを行い、第2のクロック周波数Lα/n[Hz]を用いて、n本の読み出し用信号線を介し、メモリ部に格納されたデータを論理部へ読み出し、第3のクロック周波数M[Hz]を用いて、1本の書き込み用信号線を介し、論理部からメモリ部にデータを書き込む無線通信機能を有する半導体装置である。なお、第3のクロック周波数M[Hz]はメモリ素子の特性から適切に決めれば良く、動作上問題なければ、M=Lα/nとしてもよい。
【0019】
本発明の一態様は、メモリ部と、論理部と、メモリ部及び論理部間を電気的に接続する複数の信号線と、を備え、半導体装置及び通信装置間の転送レートをα[bps]、第1のクロック周波数をKα[Hz](Kは1以上の整数)、複数の信号線のうち読み出し用信号線をn本(nは2以上の整数)、第2のクロック周波数をLα/n[Hz](Lは、L/n<Kを満たす任意の整数)、複数の信号線のうち書き込み用信号線を1本、第3のクロック周波数をM[Hz]とした場合、第1のクロック周波数Kα[Hz]を用いて復調信号のデコードを行い、第2のクロック周波数Lα/n[Hz]を用いて、n本の読み出し用信号線を介し、メモリ部が有するメモリセルの状態情報やメモリ部に格納されたデータを論理部へ読み出し、第3のクロック周波数M[Hz]を用いて、1本の書き込み用信号線を介し、論理部からメモリ部にデータを書き込む無線通信機能を有する半導体装置である。
【0020】
上記構成において、メモリ部は、ライトワンス型のメモリ素子を含むメモリセルを有することができる。また、メモリ素子はアンチヒューズとすることができる。
【0021】
また、上記構成において、メモリ部は、浮遊ゲートを有するメモリ素子又は磁性材料を用いたメモリ素子を含むメモリセルを有することができる。
【0022】
また、上記構成の半導体装置を具備するRFIDタグとすることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一態様によれば、半導体装置の低消費電力化を図ることができる。または、半導体装置と、通信装置と、の通信距離を拡大することができる。
【0024】
または、本発明の一態様によれば、半導体装置の動作の安定性を保つことができる。または、半導体装置の動作の安定性を保ちつつ、低消費電力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一態様に係る半導体装置の一部を説明する模式図。
【図2】本発明の一態様に係る半導体装置の一部を説明する模式図。
【図3】伝送方式を説明する図。
【図4】本発明の一態様に係る半導体装置及び通信装置を説明する模式図。
【図5】本発明の一態様に係る半導体装置及び通信装置を説明する模式図。
【図6】本発明の一態様に係る半導体装置を説明する断面模式図。
【図7】本発明の一態様に係る半導体装置を説明する模式図。
【図8】本発明の一態様に係る半導体装置の利用例を説明する図。
【図9】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す断面模式図。
【図10】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す断面模式図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施の形態について、以下に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変更しうることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0027】
(実施の形態1)
本形態では、メモリ部と、論理部と、メモリ部及び論理部間を電気的に接続する複数の信号線(インターフェース信号線)を少なくとも備えた半導体装置について説明する。本形態で説明する半導体装置は、RFIDタグの一部としても機能する。
【0028】
図1を用いて、本形態に係る半導体装置について説明する。
【0029】
本形態に係る半導体装置190は無線通信機能を有する。半導体装置190は、半導体装置190及び通信装置200の間で、非接触でデータの送受信を行う。半導体装置190は、例えばRFIDタグの一部として機能する。通信装置200は、リーダ/ライタ、リーダ、またはライタなど、半導体装置190とデータの送受信、送信、又は受信を行う装置である。
【0030】
半導体装置190は、メモリ部100と、論理部110と、メモリ部100及び論理部110間を電気的に接続する複数の信号線と、を少なくとも有する。複数の信号線は、図1では、第1の信号線171、第2の信号線173、第3の信号線175、第4の信号線177で構成されている。ここで、本形態では、第2の信号線173はn本(nは2以上の整数)で構成されるものとする。
【0031】
また、半導体装置190は、各種処理を行うため復調、整流、変調等の機能を有する回路部120を有することが好ましい。回路部120及び論理部110間は、複数の信号線(インターフェース信号線)により電気的に接続されている。複数の信号線は、図1では、第5の信号線181、第6の信号線183、第7の信号線185で構成されている。
【0032】
次に、半導体装置190の各構成およびデータ処理の流れについて説明する。
【0033】
半導体装置190は、メモリ部100と、論理部110と、回路部120と、を備える。
【0034】
論理部110は、回路部120からシリアル伝送で入力される復調信号をデコードし、メモリ部100の書き込みタイミングの制御、読み出しアドレスの制御、書き込みアドレスの制御などを行う。また、論理部110は、必要に応じて、応答信号を回路部120に出力する。本形態では、回路部120から論理部110に、第5の信号線181を介して復調信号をシリアル伝送して入力する。また、論理部110から回路部120に、第7の信号線185を介して応答信号をシリアル伝送する。なお、論理部110はパラレル/シリアル変換回路111を有しており、適宜パラレル及びシリアルの変換を行う。
【0035】
メモリ部100は、メモリセルアレイ101を有している。メモリセルアレイ101は、複数のメモリセルが配置されて構成される。
【0036】
メモリ部100は、書き込み電圧を生成して、メモリセルアレイ101を構成するメモリセルに書き込みを行う。メモリセルアレイ101にデータの書き込みを行う場合は、第1の信号線171を介して書き込みデータをシリアル伝送する。メモリセルアレイ101において、アクセス対象のメモリセルが順次選択され、書き込みが行われていく。
【0037】
また、メモリ部100のメモリセルアレイ101からデータを読み出す場合は、第2の信号線173を介して読み出しデータをパラレル伝送する。メモリセルアレイ101において、アクセス対象の複数のメモリセルがほぼ同時に選択され、ほぼ同時に読み出される。ここで、読み出すデータは、論理部からメモリ部に書き込まれメモリ部に格納されたデータである。また、メモリ部を構成するメモリセルの状態情報などを含んでも良い。
【0038】
メモリ部100と論理部110間には、第1の信号線171、第2の信号線173、第3の信号線175、第4の信号線177が接続されている。
【0039】
第1の信号線171は、論理部110からメモリ部100に書き込みデータを伝送する書き込み用信号線である。ここでは、第1の信号線171は1本の信号線で構成される。第2の信号線173は、メモリ部100から論理部110に読み出しデータを伝送する読み出し用信号線である。ここでは、第2の信号線173はn本(nは2以上の整数)の信号線で構成される。
【0040】
第3の信号線175は、メモリセルアレイ101からアクセス対象のメモリセルを選択するアドレス線である。ここでは、第3の信号線175はA本(Aは1以上の整数)で構成されるものとする。第4の信号線177は、メモリ部100における書き込み電圧の制御及び書き込みタイミングの制御を行うチャージポンプクロックを伝送するチャージポンプクロック伝送線である。
【0041】
論理部110は、回路部120から第6の信号線183を介して入力されるクロックを用いて、各種処理に必要な周波数のクロックを1つ又は複数生成する。論理部110が生成する各種周波数のクロックのうち、少なくとも一つの周波数は、半導体装置190及び通信装置200間の通信仕様で定められる転送レートと、符号化方式と、によって決定される。
【0042】
例えば、半導体装置190及び通信装置200間の転送レートをα[bps]とした場合、論理部110で生成されるクロックのうち、少なくとも一つの周波数はKα[Hz](Kは1以上の整数)となる。これは、論理部110にシリアル伝送され入力される復調信号をデコードするため、転送レート(ここではα[bps])以上の周波数のクロックが必要になるためである。論理部110の消費電力はクロック周波数に比例するため、Kはなるべく小さな値が好ましい。なお、符号化方式をマンチェスタ方式とした場合、Kα[Hz](Kは2以上の整数)となる。Kα[Hz]のクロック周波数は、復調信号のデコードの処理等に用いる。
【0043】
また、本形態において、論理部110は、周波数Lα/n[Hz](L/n<K、且つLは任意の整数)のクロックと、周波数M[Hz]のクロックを生成する。
【0044】
論理部110は、周波数Kα[Hz](Kは1以上の整数)のクロックを用いて、入力される復調信号をデコードし、入力された復調信号が読み出し命令であるか、書き込み命令であるかを判断する。
【0045】
次に、論理部110において、入力された復調信号が読み出し命令であった場合の処理を説明する。
【0046】
論理部110は、読み出し命令を受けた場合、メモリ部100からデータを読み出す前に、以下の様な処理1及び処理2を行うことが好ましい。
【0047】
(処理1)
メモリ部100のメモリセルアレイ101に書き込まれたデータを読み出す前に、メモリセルアレイ101の情報を読み出す。情報としては、過去に発生した不良メモリセルの位置などメモリセルの状態情報が挙げられる。メモリセルの状態情報を読み出すことで、不良メモリセルの位置を調べる。
【0048】
具体的には、論理部110がA本の第3の信号線175を制御してアクセス対象のメモリセルを選択し、メモリ部100からn本の第2の信号線173を介して情報を読み出す。メモリ部100は、第3の信号線175を介して入力された信号により、n個のメモリセルにほぼ同時にアクセスする。そして、メモリ部100から論理部110に、一度にn個のメモリセルの状態情報が読み出され、パラレル伝送される。論理部110は、一度にn個の状態情報を処理できる。そのため、本形態の半導体装置190は、1本の信号線を介して情報を読み出す、つまりシリアル伝送でデータを読み出した場合の1/nの周波数のクロックを用いて、状態情報を読み出すことができる。具体的には、処理1は、周波数Lα/n[Hz](L/n<K、且つLは任意の整数)のクロックを用いることが好ましい。
【0049】
(処理2)
論理部110は、処理1などで読み出されたメモリセルの状態情報により、必要に応じて、アクセス対象のメモリセルの振替処理を行う。振替処理とは、本来指定するアドレスの代わりに、違うメモリセルのアドレスを指定することである。これは、不良メモリセルの発生により、本来アクセス対象であったものとは違うメモリセルにデータが書き込まれている場合があるため行う。処理2は、周波数Lα/n[Hz](L/n<K、且つLは任意の整数)のクロックを用いることが好ましい。
【0050】
以上のような処理(ここでは処理1、処理2)の後、論理部110は、周波数Lα/n[Hz](L/n<K、且つLは任意の整数)のクロックを用いてn個のメモリセルを指定するようアドレス信号を生成する。そして、論理部110からメモリ部100に、A本の第3の信号線175を介してアドレス信号を伝送する。メモリ部100は、第3の信号線175を介して入力されたアドレス信号により指定されたn個のメモリセルにほぼ同時にアクセスする。そして、n個のメモリセルからほぼ同時にデータを読み出し、n本の第2の信号線173を介して、メモリ部100から論理部110にパラレル伝送する。
【0051】
論理部110は、周波数Kα[Hz](Kは1以上の整数)のクロックを用い、パラレル/シリアル変換回路111でメモリ部100から読み出したデータをパラレルからシリアルに変換して応答信号を生成する。そして、論理部110から回路部120に、第7の信号線185を介して応答信号を伝送する。
【0052】
以上のように、本形態では読み出し用信号線としてn本の第2の信号線173が接続されており、メモリ部100及び論理部110間でn個のデータ(状態情報などを含む)をパラレル伝送することができる。そのため、周波数Kα[Hz](Kは1以上の整数)よりも遅い周波数Lα/n[Hz](L/n<K、且つLは任意の整数)のクロックを用いて読み出し処理などを行うことができる。このように、論理部110に入力された復調信号が読み出し命令であった場合、周波数Lα/n[Hz](L/n<K、且つLは任意の整数)のクロックと、周波数Kα[Hz](Kは1以上の整数)のクロックと、を適宜使い分けて処理を行うことで、消費電力の低減を図ることができる。
【0053】
次に、論理部110において、入力された復調信号が書き込み命令であった場合の処理を説明する。
【0054】
論理部110は、書き込み命令を受けた場合、メモリ部100にデータを書き込む前に、以下のような処理1、処理2を行うことが好ましい。
【0055】
(処理1)
メモリ部100のメモリセルアレイ101にデータを書き込む前に、メモリセルアレイ101の情報を読み出す。情報としては、過去に発生した不良メモリセルの位置、アクセス対象のメモリセルが書き換え上限を超えていないかなどが挙げられる。メモリセルの状態情報を読み出すことで、不良メモリセルの位置、アクセス対象のメモリセルへの書き込み可又は書き込み不可を調べる。
【0056】
具体的には、上述した論理部110が読み出し命令を受けた場合と同様の処理1を行う。論理部110がA本の第3の信号線175を制御してアクセス対象のメモリセルを選択し、メモリ部100からn本の第2の信号線173を介して情報を読み出す。メモリ部100は、第3の信号線175を介して入力された信号により、n個のメモリセルにほぼ同時にアクセスする。そして、メモリ部100から論理部110に、一度にn個のメモリセルの状態情報が読み出され、パラレル伝送される。論理部110は、一度にn個の状態情報を処理できる。そのため、本形態の半導体装置190は、1本の信号線を介して情報を読み出す、つまりシリアル伝送でデータを読み出した場合の1/nの周波数のクロックを用いて、状態情報を読み出すことができる。具体的には、処理1は、周波数Lα/n[Hz](L/n<K、且つLは任意の整数)のクロックを用いることが好ましい。
【0057】
(処理2)
処理2についても、上述した論理部110が読み出し命令を受けた場合と同様の処理2を行う。論理部110は、処理1などで読み出されたメモリセルの状態情報により、必要に応じて、アクセス対象のメモリセルの振替処理を行う。処理2は、周波数Lα/n[Hz](L/n<K、且つLは任意の整数)のクロックを用いることが好ましい。
【0058】
以上のような処理(ここでは処理1、処理2)の後に、論理部110は、メモリ素子の特性から適切に決めた周波数M[Hz]のクロックを生成する。なお、Mは動作上問題なければ、M=Lα/nとしてもよい。一般的に、クロック周波数の種類が少ないほど、半導体装置内部の構成を簡便にできる。論理部110は、周波数M[Hz]のクロックを用いて、アドレス信号を生成し、メモリ部100に第3の信号線175を介して伝送する。さらに、論理部110は、メモリ部100に第4の信号線177(チャージポンプクロック伝送線)を介して書き込み電圧の生成を命令し、第1の信号線171を介して書き込みデータを伝送する。
【0059】
メモリ部100は、第3の信号線175を介して入力されたアドレス信号で指定されたメモリセルに順々にアクセスし、第1の信号線171を介してシリアル伝送されたデータをメモリセルに順々に書き込む。以上により、メモリ部100に書き込み処理を行うことができる。
【0060】
なお、書き込み処理後、論理部110は、アクセス対象であったメモリセルの書き込み状態を調べることが好ましい。アクセス対象のメモリセルに不良があった場合、書き込みデータがメモリセルに正常に格納されていない可能性があるためである。メモリセルの書き込み状態を調べる方法としては、例えば、書き込み処理後(書き込み直後)に対応するメモリセルを読み出し、書き込みデータと比較すればよい。このとき、メモリセルの読み出しは、n本の第2の信号線173を用いて行えばよく、周波数Lα/n[Hz](L/n<K、且つLは任意の整数)のクロックを用いて行うことが好ましい。
【0061】
メモリセルに書き込みデータが正常に格納されていない場合は、論理部110は再度同一のメモリセルに書き込み処理を行う。または、論理部110は、メモリセルの振替処理を行い、違うメモリセルに書き込み処理を行う。または、メモリセルの状態情報として、不良メモリセルの位置情報を所定のメモリセルに書き込んでもよい。所定のメモリセルは、単数でも複数でもよい。書き込み処理は、周波数M[Hz]のクロックを用いて行う。Mは動作上問題無ければ、M=Lα/nとしてもよい(L/n<K、且つLは任意の整数)。
【0062】
論理部110は、周波数Kα[Hz](Kは1以上の整数)のクロックを用い、メモリ部100への書き込み状態から応答信号を生成する。そして、論理部110から回路部120に、第7の信号線185を介して応答信号を伝送する。
【0063】
論理部110に入力された復調信号が書き込み命令であった場合、書き込み処理自体に用いるクロックの周波数はM[Hz]である。しかし、書き込み処理に伴うメモリセルの状態情報の取得、書き込み状態の取得などの読み出し処理は、n本の第2の信号線173を用いたパラレル伝送により、周波数Kα[Hz](Kは1以上の整数)よりも遅い周波数Lα/n[Hz](L/n<K、且つLは任意の整数)のクロックを用いて行うことができ、低消費電力化を図ることができる。このように、周波数M[Hz]のクロックと、周波数Lα/n[Hz](L/n<K、且つLは任意の整数)のクロックと、周波数Kα[Hz](Kは1以上の整数)のクロックと、を適宜使い分けて書き込み処理及びそれに伴う処理を行うことで、消費電力の削減を図ることができる。
【0064】
本形態のように、メモリ部及び論理部間に複数の信号線を有し、読み出し用の信号線をn本(nは2以上の整数)有する半導体装置とすることで、無線通信機能を有する半導体装置の低消費電力化を図ることができる。したがって、RFIDタグのような半導体装置に適用すれば、通信距離を拡大することも可能となる。
【0065】
なお、本実施の形態で示した構成は、本明細書の他の実施の形態で示す構成と適宜組み合わせることができる。
【0066】
(実施の形態2)
本形態では、半導体装置が有するメモリ部について説明する。
【0067】
本形態は、メモリ部を少なくとも有する半導体装置において、メモリ部が複数の伝送方式によりデータを処理する点を特徴の一つとしている。具体的には、書き込み処理と読み出し処理で異なる伝送方式を用い、書き込み処理においてはデータをシリアル伝送し、読み出し処理においてはデータをパラレル伝送する。データをシリアル伝送することで半導体装置の動作の安定性を保ちながら書き込み処理を行い、データをパラレル伝送することでクロックの周波数を遅くして読み出し処理を行う。
【0068】
なお、書き込み処理において、データを書き込む以外に、メモリセルの状態情報の取得など読み出し処理を行う場合がある。一連の書き込み処理の流れの中にあっても、メモリセルからの読み出しを行う場合は、メモリ部の読み出し処理と同様、パラレル伝送により読み出しを行うものとする。
【0069】
メモリ部が書き込み処理を行う場合は、メモリセルアレイに書き込みデータをシリアル伝送する。メモリセルアレイにおいて、アクセス対象のメモリセルが順次選択され、書き込みが行われていく。なお、メモリセルアレイに書き込みデータをパラレル伝送とすることは可能であるが、消費電力の観点から好ましくない。
【0070】
メモリ部が読み出し処理を行う場合は、メモリセルアレイから読み出しデータをパラレル伝送する。メモリセルアレイにおいて、アクセス対象のメモリセルがほぼ同時に選択され、ほぼ同時に読み出しが行われる。
【0071】
メモリ部のデータ処理は、クロックに同期して行われる。メモリ部の読み出し処理時間を同じとすれば、パラレル伝送でデータを読み出すことにより、シリアル伝送でデータを読み出すよりも、クロックの周波数を遅くすることが可能になる。その結果、消費電力を低減することが可能となる。
【0072】
また、半導体装置の低消費電力化とともに、動作の安定性を保つためには、本形態のように、処理内容(書き込み処理と読み出し処理)に応じて好適な伝送方式によりデータ処理することが重要である。上述のように、低消費電力化を図るため、読み出し処理はパラレル伝送で行うことが好ましいが、書き込み処理は以下の理由によりシリアル伝送で行うことが好ましい。特に、メモリセルにライトワンス型のメモリ素子(例えばアンチヒューズ)のように短絡させて書き込みを行うメモリ素子を用いる場合は、シリアル伝送でデータを書き込むことが好ましい。
【0073】
アンチヒューズを用いたメモリセルアレイにおいて、パラレル伝送で書き込み処理を行う場合、選択された複数のアンチヒューズに書き込み電圧を同時に印加すること、選択された複数のアンチヒューズを同時に短絡させることは困難である。そのため、アンチヒューズの短絡には時間差が生じる恐れが高い。メモリセルアレイのうち一つのアンチヒューズが短絡すると、他のアンチヒューズに印加される書き込み電圧が下がるため、書き込み処理の続行が困難になる恐れがある。
【0074】
また、半導体装置(代表的にはRFIDタグ)が通信装置(代表的にはリーダ/ライタ)から得られる電力に対して、一つのメモリセルの書き込み処理にかかる電力が相対的に大きい場合において、パラレル伝送で書き込み処理を行う場合、選択された複数のメモリセルに同時に書き込み処理を行うことは困難である。
【0075】
よって、メモリ部のデータ処理において、書き込み処理はシリアル伝送で行い、読み出し処理はパラレル伝送で行うことが好ましい。このようにすることで、メモリ部を有する半導体装置の動作安定性を保ちつつ、低消費電力化を図ることができる。
【0076】
次に、本形態に係るメモリ部の構成例について、図2を用いて説明する。
【0077】
メモリ部100は、メモリセルアレイ101を少なくとも有する。本形態におけるメモリ部100は、メモリセルアレイ101の他に、行アドレスデコーダ103、列アドレスデコーダ105、ワード線駆動回路107、ビット線駆動回路及び読み出し回路109(図2ではビット線駆動回路109a及び読み出し回路109bから構成される回路109)、インターフェース113、書き込み用電源生成回路115等で構成される。
【0078】
メモリセルアレイ101は、メモリセルが複数配置されて構成される。例えば、複数のワード線と、ワード線と交差して形成された複数のビット線と、ワード線及びビット線に接続された複数のメモリセルとで構成される。メモリセルアレイ101は、所望のデータを書き込み、読み出すことができる。メモリセルは、ライトワンスメモリ、又は書き換え可能メモリなどの不揮発性メモリで構成される。ライトワンスメモリとしては、ヒューズ型のメモリ素子、アンチヒューズ型のメモリ素子などを用いることができる。不揮発性メモリとしては、浮遊ゲートを有するトランジスタ、磁性体材料を用いたメモリ素子、相変化型メモリ素子などを用いることができる。
【0079】
行アドレスデコーダ103はワード線の選択を行う。列アドレスデコーダ105はビット線の選択を行う。本形態では、行アドレスデコーダ103は、ワード線駆動回路107を介してワード線の選択を行う。また、列アドレスデコーダ105は、ビット線駆動回路及び読み出し回路109を介してビット線の選択を行う。
【0080】
行アドレスデコーダ103及び列アドレスデコーダ105により、ワード線及びビット線を選択することで、選択したワード線及びビット線に接続されるメモリセルにアクセスすることができる。つまり、アクセス対象のメモリセルに接続されるワード線及びビット線を行アドレスデコーダ103及び列アドレスデコーダ105により選択することで、所望のメモリセルにアクセスすることができる。
【0081】
ビット線駆動回路109a、ワード線駆動回路107は、メモリ部100が書き込み処理を行う場合、行アドレスデコーダ103及び列アドレスデコーダ105で選択したワード線及びビット線に信号を安定的に伝送する。
【0082】
ワード線駆動回路107は、メモリ部100が読み出し処理を行う場合、行アドレスデコーダ103で選択したワード線の信号を安定的にメモリセルアレイ101に伝送する。さらに、読み出し回路109bは、列アドレスデコーダ105で選択したビット線の信号を入力し、選択したメモリセルのデータを読み出して他の回路に伝送する。
【0083】
ビット線駆動回路及び読み出し回路109には、n(nは2以上の整数)本の信号線173が接続されている。ビット線駆動回路及び読み出し回路109に接続されたn本の信号線173は、メモリ部100と、他の回路と、を電気的に接続させる。n本の信号線173を介してデータが伝送される。
【0084】
インターフェース113は、メモリ部100と、他の回路と、を電気的に接続し、データの形式を変換するなどして、両者間のデータの伝送を仲介する回路である。図2では、インターフェース113に外部から第1の信号線171を介して書き込みデータと、第3の信号線175を介してアドレスと、第4の信号線177を介してチャージポンプクロックと、が入力される例を示している。
【0085】
書き込み用電源生成回路115は、メモリ部100が書き込み処理を行う場合に用いる。書き込み用電源生成回路115は、メモリセルアレイ101に書き込み処理を行うために必要な電圧(書き込み電圧)を生成する。書き込み用電源生成回路115から、インターフェース113を介して、メモリセルアレイ101のメモリセルに書き込み電圧が印加される。
【0086】
本形態に係る特徴の一つは、メモリ部100が、データを複数の伝送方式により処理する点である。メモリ部100は、書き込み処理を行う場合はメモリセルアレイ101とデータのシリアル伝送を行い、読み出し処理を行う場合はメモリセルアレイ101とデータのパラレル伝送を行う。
【0087】
なお、書き込み処理、読み出し処理において、アクセス対象であるメモリセルのアドレスは、インターフェース113に入力されたアドレス信号に基づく。アドレス信号に基づき、行アドレスデコーダ103、列アドレスデコーダ105により、アクセス対象のメモリセルが選択される。
【0088】
メモリ部100が書き込み処理を行う場合は、メモリセルアレイ101に書き込みデータをシリアル伝送する。インターフェース113を介して入力されたアドレス信号に基づき、行アドレスデコーダ103、列アドレスデコーダ105によりアクセス対象のメモリセルが選択される。書き込みデータは、ビット線駆動回路及び読み出し回路109(ビット線駆動回路109a)を介して、所望のメモリセルに入力されていく。ここで、書き込み処理の場合はデータがシリアル伝送されるので、アクセス対象のメモリセルが順次選択され、選択されたメモリセルに順次書き込みが行われていく。メモリセルに対する書き込みは、書き込み電圧を順次アクセス対象のメモリセルに印加することで行われる。
【0089】
具体的には、行アドレスデコーダ103及び列アドレスデコーダ105により選択されたワード線及びビット線を用いて、順次個々のメモリセルにアクセスして、順次個々のメモリセルにデータを書き込む。順次個々のメモリセルにデータを書き込むことは、データをシリアル伝送で書き込むことに相当する。
【0090】
メモリ部100が読み出し処理を行う場合は、メモリセルアレイ101から読み出しデータをパラレル伝送する。インターフェース113を介して入力されたアドレス信号に基づき、行アドレスデコーダ103(又は行アドレスデコーダ103及び列アドレスデコーダ105)によりアクセス対象のメモリセルが複数選択される。読み出しデータは、ビット線駆動回路及び読み出し回路109(読み出し回路109b)を介して、所望のメモリセルから読み出されていく。ここで、読み出し処理の場合はパラレル伝送によりデータを読み出すので、アクセス対象である複数のメモリセルが同時に選択され、選択された複数のメモリセルからほぼ同時に読み出しが行われる。
【0091】
具体的には、行アドレスデコーダ103により選択されたワード線を用いて複数のメモリセルにアクセスして、一度に複数のメモリセルよりデータを読み出す。読み出されたデータは、ビット線駆動回路及び読み出し回路109に接続されたn本の信号線173を用いて、パラレル伝送される。メモリ部100は、n本の信号線173を用いて、n本の信号線173の本数と同じ個数(n個)のメモリセルにほぼ同時アクセスでき、同じ個数(n個)のメモリセルに記憶されたデータをほぼ同時に読み出すことができる。n本の信号線173の本数と同じ個数(n個)のメモリセルに記憶されたデータを同時に読み出すことは、データをパラレル伝送で読み出すことに相当する。
【0092】
なお、読み出し処理において行アドレスデコーダ103により選択されたワード線のみを用いて、選択されたワード線に接続される複数のメモリセルにほぼ同時にアクセスすることができる。または、行アドレスデコーダ103によるワード線の選択に加え、列アドレスデコーダ105により複数のビット線を選択することで、複数のメモリセルにほぼ同時にアクセスすることができる。
【0093】
ここで、図3に、データ”1010”を読み出す例について示す。
【0094】
図3(A)はパラレル伝送でデータ”1010”を読み出す例であり、本発明の一態様で用いる方式である。一方、図3(B)はシリアル伝送でデータ”1010”を読み出す例である。図3(A)、(B)を比較して分かるように、データをパラレル伝送で読み出す場合は、データをシリアル伝送で読み出す場合よりも、クロック(CLK)を遅く(低周波数化)することができる。したがって、本発明の一態様のように、データをパラレル伝送で読み出す方が、データをシリアル伝送で読み出すよりも、消費電力の低減を図れる。
【0095】
図3はデータ”1010”を読み出す例について示したが、もちろん他のデータを読み出す場合についても、パラレル伝送で読み出す方が、シリアル伝送で読み出すよりも、消費電力の低減を図ることができる。
【0096】
本形態のように、メモリ部を有する半導体装置において、複数の伝送方式によりデータ処理を行うことで、低消費電力化を図ることができる。また、処理内容に応じた好適な伝送方式によりデータ処理を行う構成としているため、動作の安定性を保つことができる。さらに、半導体装置の低消費電力化、動作の安定性が図られているため、RFIDタグのような非接触でデータの送受信を行う半導体装置に適用すれば、通信距離を拡大することが可能となる。
【0097】
なお、本実施の形態で示した構成は、本明細書の他の実施の形態で示す構成と適宜組み合わせることができる。
【0098】
(実施の形態3)
本形態では、無線通信機能を有する半導体装置について説明する。本形態に係る半導体装置は、非接触でデータの送受信を行うことが可能である。本形態に係る半導体装置は、RFIDタグとしても機能する。
【0099】
図4は、本形態に係る半導体装置(RFIDタグ)の模式図である。また、半導体装置と通信を行う通信装置も示している。
【0100】
半導体装置190は、メモリ部100、論理部110、整流回路125、復調回路130、リセット回路140、クロック発生回路150、変調回路160、アンテナ170等で構成される。
【0101】
メモリ部100は、上記実施の形態2で示した構成を有する。メモリ部100は、データを複数の伝送方式により処理し、書き込み処理を行う場合はシリアル伝送、読み出し処理を行う場合はパラレル伝送でデータを処理する。なお、一連の書き込み処理の流れの中にあっても、メモリセルからの読み出しを行う場合は、メモリ部の読み出し処理と同様、パラレル伝送により読み出しを行うものとする。処理内容に応じた好適な伝送方式によりデータ処理を行うことで、低消費電力化を可能とし、動作の安定性を保つことができる。
【0102】
論理部110は、入力された復調信号をデコードし、通信装置200より受信したコマンド信号に基づいて所定の処理を行う。必要に応じて、応答信号を変調回路160に出力する。所定の処理にはメモリ部100の制御も含まれる。具体的には処理内容(書き込み処理又は読み出し処理)の制御、デコーダ(例えば図2で示した行アドレスデコーダ103、列アドレスデコーダ105)の制御、書き込み用電源生成回路(図2の書き込み用電源生成回路115)の駆動タイミング制御などを行う。
【0103】
整流回路125は、アンテナ170で受信した交流信号を整流し、電源電圧を作る回路である。復調回路130は、アンテナ170で受信した交流信号を復調し、論理部110へ復調信号を供給する回路である。リセット回路140は、アンテナ170で受信した交流信号からリセット信号を作り出し、論理部110へリセット信号を供給する回路である。
【0104】
クロック発生回路150は、論理部110、メモリ部100等の動作に必要なクロックを生成し、論理部110、メモリ部100等に伝送する。クロック発生回路150は、アンテナ170で受信した交流信号の周波数に基づくクロックを生成し、直流バイアス成分を取り除くために、容量などにより構成される。また、必要に応じて、容量の負極(または正極)と、論理部110、メモリ部100等と、の間に分周回路を設けてもよい。
【0105】
変調回路160は、論理部110より出力される応答信号を用いて、変調のかかった交流信号を作り出す回路である。
【0106】
半導体装置190と、通信装置200と、の間では、データの送受信(無線通信)が行われる。アンテナ170は、通信装置200が発生した電磁波や電磁界を交流信号に変換する。
【0107】
通信装置200は、半導体装置190とデータの送受信(無線通信)を行う装置であり、具体的にはリーダ/ライタ、リーダ、ライタなどが挙げられる。
【0108】
半導体装置190は、通信装置200から送信される信号を受信して電力を生成して、動作する。また、通信装置200から送信される信号を受信して、半導体装置190が有するメモリ部100にデータを書き込む又はメモリ部100からデータを読み出すことができる。メモリ部100から読み出したデータは、通信装置200に出力(送信)することができる。
【0109】
本形態においては、メモリ部100は書き込み処理を行う場合はシリアル伝送でデータを処理し、読み出し処理を行う場合はパラレル伝送でデータを処理する。
【0110】
例えば、通信装置200から送信される信号を、半導体装置190のアンテナ170で受信する。アンテナ170は、受信した信号(交流信号)を整流回路125、復調回路130、リセット回路140、クロック発生回路150に伝送する。整流回路125は、交流信号を整流して電源電圧を生成し、論理部110へ供給する。復調回路130は、交流信号を復調し、復調信号を論理部110へ伝送する。リセット回路140は、交流信号からリセット信号を生成し、論理部110へ伝送する。クロック発生回路150は、交流信号からクロックを生成し、論理部110へ伝送する。変調回路160は、論理部110から伝送された応答信号を用いて変調のかかった交流信号を生成する。
【0111】
論理部110は、通信装置200から送信された信号が書き込み信号である場合、アドレス信号(ADDR)、書き込み信号(WEB)及び昇圧クロック(CP_CLK)を含むコマンド信号をメモリ部100へ伝送する。
【0112】
メモリ部100は、伝送された信号に基づき書き込み処理を行う。メモリ部100における具体的な書き込み処理は、上記実施の形態1の説明に準じ、データはシリアル伝送で書き込まれる。メモリ部100では個々のメモリセルに順次アクセスされ、順次書き込みが行われていく。
【0113】
論理部110は、通信装置200から送信された信号が読み出し信号である場合、アドレス信号(ADDR)、読み出し信号(REB)を含むコマンド信号をメモリ部100へ伝送する。
【0114】
メモリ部100は、伝送された信号に基づき読み出し処理を行う。メモリ部100における具体的な読み出し処理は、上記実施の形態1の説明に準じ、データはパラレル伝送で読み出される。メモリ部100ではn個(nは2以上の整数)のメモリセルにほぼ同時にアクセスされ、n個のメモリセルからほぼ同時に読み出しが行われる。
【0115】
なお、メモリ部100と論理部110はn本の信号線で電気的に接続し、n本の信号線を介して、n個のメモリセルから読み出しを行うことができる。これは、データをパラレル伝送で読み出すことに相当する。
【0116】
メモリ部100から読み出されたデータは、論理部110から応答信号として変調回路160へ伝送される。変調回路160は、受信した応答信号を用いて変調のかかった交流信号を生成し、アンテナ170から通信装置200へ信号(メモリ部から読み出されたデータ)を送信する。
【0117】
メモリ部100のデータ処理を複数の伝送方式により行うことで、メモリ部100の入出力データ処理に伴う論理部110の消費電力を低減することができ、半導体装置190全体の消費電力低減を図ることができる。その結果、半導体装置190の最低動作電力を下げることができ、半導体装置190と通信装置200との通信距離を拡大させることが可能となる。
【0118】
具体的には、メモリ部100の読み出し処理をパラレル伝送で行うことで、論理部のクロックの周波数を下げることができ、半導体装置190の消費電力を低減することができる。
【0119】
また、メモリ部100のデータ処理を複数の伝送方式により行い、具体的には処理内容に応じた好適な伝送方式により行うことで、半導体装置190の動作の安定性を保つことができる。具体的には、メモリ部100の書き込み処理をシリアル伝送で行うことで半導体装置190の動作の安定性を保つことができる。
【0120】
また、半導体装置190に電池を搭載する場合でも、本形態のように消費電力を低減できることで、電池寿命を伸ばすことができる。よって、半導体装置に搭載する電池の交換回数を減らすことができる。または、半導体装置に搭載する電池を小型化することも可能となる。
【0121】
また、図5に、図4と異なる構成の半導体装置490を示す。半導体装置490は、メモリ部100、論理部110、整流回路125、復調回路130、リセット回路140、変調回路160、アンテナ170に加え、リミッタ回路480、レギュレータ回路432、クロック発生回路434を有する。
【0122】
リミッタ回路480は、アンテナ170で受信した信号により生成する電力(内部生成電圧)が大きくなる場合、所定の電力以上は他の回路に供給されないよう制御するための回路である。リミッタ回路480を有することで、通信距離が近すぎるなどによる過剰な電力の生成などで他の回路が破損することを防ぐことができる。
【0123】
レギュレータ回路432は、整流回路125で作られる電源電圧が大きくなる場合、所定の電圧以上は他の回路に供給されないよう制御するための回路である。また、レギュレータ回路432は、整流回路125で作られた電源電圧に存在する揺れ(電源電圧の平均値に対する振幅変化量)を、縮小して論理部110へ定電圧を供給する。
【0124】
クロック発生回路434は、クロックを生成する回路である。レギュレータ回路432で作られた定電圧に基づき、論理部110、メモリ部100等の動作に必要なクロックを生成して、論理部110、メモリ部100等へ伝送する。クロック発生回路434はVCO(voltage controlled oscillator)などにより構成される。
【0125】
図5に示す半導体装置490においても、メモリ部100のデータ処理を複数の伝送方式により行うことで、メモリ部100のデータ処理に伴う論理部110の消費電力を低減することができ、半導体装置490全体の消費電力低減を図ることができる。その結果、半導体装置490の最低動作電力を下げることができ、半導体装置490と通信装置200との通信距離を拡大させることが可能となる。また、リミッタ回路、レギュレータ回路、クロック発生回路などを設けることで、RFIDタグとして機能する半導体装置の動作安定性を高めることができる。
【0126】
なお、本実施の形態で示した構成は、本明細書の他の実施の形態で示す構成と適宜組み合わせることができる。
【0127】
(実施の形態4)
本形態では、メモリ部を構成するメモリ素子としてアンチヒューズを用いた、無線通信機能を有する半導体装置(RFIDタグ)について説明する。
【0128】
図6(A)に示す半導体装置は、同一基板上にメモリ部1100と、その他の回路部1200が設けられた構成を示す。その他の回路部1200とは、例えば論理部、分周回路、クロック発生回路、入出力回路、電源回路などである。また、ここでは図示しないが、無線通信機能を有する半導体装置とする場合は、アンテナが設けられる。なお、メモリ部1100及びその他の回路部1200と同一基板上にアンテナを設けることもできる。
【0129】
メモリ部1100は、メモリ素子1110、トランジスタ1130が設けられている。本形態では、メモリ素子1110としてアンチヒューズを有する例を示す。その他の回路部1200には、トランジスタ1210が設けられている。なお、図6(A)では、便宜上、メモリ部1100に1つのトランジスタ、1つのアンチヒューズの断面図を示しているが、数は限定されない。同様に、便宜上、その他の回路部1200に1つのトランジスタの断面図を示しているが、数は限定されない。
【0130】
図6(B)に示す断面図は、図6(A)に示す半導体装置の作製途中の工程図である。以下、図6(A)、図6(B)を用いて、本形態に係る半導体装置の作製方法について説明する。
【0131】
まず、支持基板1500上に絶縁層1502、剥離層1504、絶縁層1506、絶縁層1508を順に積層して形成する。
【0132】
支持基板1500としては、ガラス基板、石英基板などの絶縁表面を有する基板を適用する。
【0133】
剥離層1504としては、厚さ50nm〜200nm(例えば50nm)のタングステン層を形成する。また、剥離層1504としては、上述のタングステン層に加え、モリブデン層やチタン層などの金属層、又はこれらの金属層とこれらの金属酸化物(例えば酸化タングステンなど)層或いは金属窒化物(例えば窒化タングステンなど)層との積層構造、アモルファスシリコン層などを適用することができる。絶縁層1502、絶縁層1506、絶縁層1508としては、酸化シリコン層、酸化窒化シリコン層、窒化酸化シリコン層、窒化シリコン層、またはこれらの積層膜を形成する。例えば、絶縁層1502として酸化窒化シリコン層を形成し、絶縁層1506として酸化窒化シリコン層を形成し、絶縁層1508として窒化シリコン層、酸化窒化シリコン層、窒化酸化シリコン層及び酸化窒化シリコン層の積層膜を形成する。
【0134】
剥離層1504としてタングステン層などの金属層を形成し、絶縁層1506として酸化シリコン層や酸化窒化シリコン層などの酸化層を形成した場合は、金属層と酸化層との間に、剥離層として適用した金属の金属酸化物を含む層が形成される場合がある。同様に、絶縁層1506として窒化シリコン層や窒化酸化シリコン層などの窒化層を形成した場合は、金属層と窒化層との間に、剥離層として適用した金属の金属窒化物を含む層が形成される場合がある。
【0135】
次に、絶縁層1508上に半導体層1217、半導体層1137を形成する。半導体層1217、半導体層1137は、CVD法やスパッタリング法によって全面に形成したアモルファスシリコン層を結晶化してポリシリコン層を得た後、ポリシリコン層を選択的にエッチングすることによって形成することができる。アモルファスシリコン層の結晶化方法としては、レーザ結晶化法、瞬間熱アニール(RTA)又はファーネスアニール炉を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる結晶化法、又はこれらの方法を組み合わせた方法などを適用することができる。なお、半導体層1217、半導体層1137としては微結晶シリコンや単結晶シリコンを適用してもよい。また、後に完成する薄膜トランジスタのしきい値電圧を制御するため、半導体層1217、半導体層1137に対して微量の不純物元素(n型を付与する不純物元素又はp型を付与する不純物元素)を添加してもよい。なお、半導体層1217、半導体層1137は、後に形成される薄膜トランジスタのチャネル形成領域を形成する。駆動回路の高速駆動を実現するために、薄膜トランジスタのチャネル形成領域を形成する半導体層は、結晶構造を有する半導体層を用いることが好ましい。駆動回路の高速駆動を実現することで、メモリの高速読み出しを実現できる。
【0136】
次に、半導体層1217、半導体層1137上にゲート絶縁層1510を形成する。ゲート絶縁層1510は、CVD法やスパッタリング法により、厚さ1nm〜200nm(例えば10nm)の酸化シリコン層又は酸化窒化シリコン層を形成する。また、ゲート絶縁層1510は、半導体層1217、半導体層1137に対して、マイクロ波により励起されたプラズマを用いた表面酸化処理或いは表面窒化処理を行って形成することもできる。さらに、半導体層1217、半導体層1137上に絶縁層を形成した後、当該絶縁層に対して表面酸化処理又は表面窒化処理を行ってゲート絶縁層1510を形成してもよい。
【0137】
次に、ゲート絶縁層1510を介して半導体層1217と重なるゲート電極1221、半導体層1137と重なるゲート電極1141を形成する。また、アンチヒューズの一方の電極として機能する第1の電極1111を、ゲート電極1221及びゲート電極1141と、同一工程で同一層を加工して形成する。ゲート電極1221、ゲート電極1141、第1の電極1111は、タングステン、チタン、アルミニウム、ニッケル、クロム、モリブデン、タンタル、コバルト、ジルコニウム、バナジウム、パラジウム、ハフニウム、白金、鉄などの単体、又はこれらの合金或いは化合物を用いて形成する。具体的には、上述の材料を用いてスパッタリング法により導電層を形成した後、該導電層を所望の形状に加工して形成すればよい。このとき、薄膜トランジスタのゲート電極に適した特性と、アンチヒューズの電極に適した特性と、の両方を兼ね備えた材料を選択するのが好ましい。本形態では、ゲート電極1221、ゲート電極1141、第1の電極1111として、上層がタングステン層、下層が窒化タンタル層である積層構造を形成する。
【0138】
次に、半導体層1217、半導体層1137に対して不純物元素を添加する。ここでは、半導体層1217、半導体層1137に対して、異なる導電型を付与する不純物元素を添加するものとする。具体的には半導体層1217に対してp型を付与する不純物元素を添加し、半導体層1137に対してn型を付与する不純物元素を添加するものとする。
【0139】
n型を付与する不純物元素としては、リン(P)又はヒ素(As)などを用いる。p型を付与する不純物元素としては、ボロン(B)、アルミニウム(Al)又はガリウム(Ga)などを用いる。また、不純物元素は、イオン注入法若しくはイオンドープ法を用いて添加すればよい。
【0140】
半導体層1217、半導体層1137にn型を付与する不純物元素を添加する。ここでは、低濃度不純物領域(LDD(Lightly Doped Drain)領域ともいわれる)を形成するため、ソース領域又はドレイン領域を形成するよりも低濃度の不純物元素を添加する。ゲート電極1221、ゲート電極1141がマスクとなり、半導体層1217、半導体層1137それぞれに、自己整合的に一対の低濃度不純物領域と、一対の低濃度不純物領域の間に挟まれたチャネル形成領域1211、チャネル形成領域1131が形成される。ここで形成されるn型の不純物元素が添加された低濃度不純物領域はn領域とも記す。
【0141】
半導体層1137にn型を付与する不純物元素を添加する。半導体層1137には、一対の高濃度不純物領域1135、一対の低濃度不純物領域1133、チャネル形成領域1131を形成する。半導体層1137では、高濃度不純物領域1135はソース領域又はドレイン領域として機能する。
【0142】
具体的には、半導体層1217に不純物元素が添加されないようにレジストマスクを形成する。また、半導体層1137の一部に不純物元素が添加されないようにレジストマスクを形成する。例えば、半導体層1137に低濃度不純物領域が残存するよう、且つソース領域又はドレイン領域となる部分には不純物元素が添加されるように、レジストマスクを形成する。レジストマスクは、不要となった後は適宜除去する。
【0143】
半導体層1217にp型を付与する不純物元素を添加する。ここでは、低濃度不純物領域(p領域とも記す)を形成するため、ソース領域又はドレイン領域を形成するよりも低濃度の不純物元素を添加する。ゲート電極1221がマスクとなって、自己整合的に一対の低濃度不純物領域が形成される。なお、半導体層1137に不純物元素が添加されないようにレジストマスクを形成しておく。レジストマスクは、不要となった後は適宜除去する。
【0144】
半導体層1217にp型を付与する不純物元素を添加する。半導体層1217には、一対の高濃度不純物領域1215、一対の低濃度不純物領域1213、チャネル形成領域1211を形成する。
【0145】
具体的には、半導体層1137に不純物元素が添加されないようにレジストマスクを形成する。また、半導体層1217の一部に不純物元素が添加されないようにレジストマスクを形成する。例えば、半導体層1217に低濃度不純物領域が残存するよう、且つソース領域又はドレイン領域となる部分には不純物元素が添加されるように、レジストマスクを形成する。レジストマスクは、不要となった後は適宜除去する。
【0146】
ここではn型を付与する不純物元素を先に添加する例について説明したが、不純物元素の添加順序は特に限定されない。また、低濃度不純物領域(LDD領域)は形成しなくともよい。
【0147】
また、ここではLDD領域として機能する低濃度不純物領域を形成する例を示している。低濃度不純物領域を形成することで、ドレイン領域近傍の電界を緩和してホットキャリア注入による劣化を防ぐことができる。なお、低濃度不純物領域は形成しなくともよい。また、レジストマスクではなく、ゲート電極の側面にサイドウォール絶縁層を形成し、サイドウォール絶縁層をマスクとして用いて低濃度不純物領域を形成してもよい。
【0148】
次に、ゲート電極1221、ゲート電極1141、第1の電極1111を覆う絶縁層1512、絶縁層1514、絶縁層1516を形成する。絶縁層1512、絶縁層1514、絶縁層1516は、スパッタリング法やCVD法などにより、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、又は窒化酸化シリコンなどの無機絶縁材料を用いて形成する。なお、絶縁層1512、絶縁層1514、絶縁層1516は、単層構造でもよいし、積層構造としてもよい。また、絶縁層1512、絶縁層1514、絶縁層1516は、隣接するアンチヒューズ同士を絶縁する隔壁としても機能する。
【0149】
また、絶縁層1512、絶縁層1514、絶縁層1516は、塗布法で形成できる耐熱性の高いシロキサン樹脂を用いて形成することもできる。なお、シロキサン樹脂とは、Si−O−Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成され、置換基として、有機基(例えばアルキル基、アリール基)やフルオロ基を用いても良い。有機基は、フルオロ基を有していても良い。
【0150】
また、絶縁層1512、絶縁層1514として酸化窒化シリコン層を積層して形成した後、熱処理を行うことで、半導体層1217、半導体層1137に添加した不純物元素の活性化、半導体層1217、半導体層1137の水素化を行うこともできる。不純物元素の活性化や半導体層の水素化は、レーザビームの照射、ファーネスアニール炉やRTAを用いた熱処理などにより行う。したがって、ゲート電極1221、ゲート電極1141、第1の電極1111は、不純物元素の活性化や半導体層の水素化のための熱処理温度に耐えうる材料を用いる。なお、本形態では上層がタングステン層、下層が窒化タンタル層である積層構造を用いてゲート電極1221、ゲート電極1141、第1の電極1111を形成している。タングステン、窒化タンタルは高融点金属であり、活性化や水素化のための処理温度に十分耐えることができる。
【0151】
絶縁層1516、絶縁層1514、絶縁層1512、ゲート絶縁層1510を選択的にエッチングして、開口を形成する。エッチングの際は、開口を形成しない場所をレジストマスクで覆っておけばよい。また、エッチングは、ドライエッチング法若しくはウェットエッチング法を適用すればよく、またはこれらのエッチング法を組み合わせて行えばよい。エッチング後、不要となったレジストマスクは除去する。ここでは、半導体層1217に形成された高濃度不純物領域1215に達する開口と、半導体層1137に形成された高濃度不純物領域1135に達する開口と、第1の電極1111に達する開口を形成する。第1の電極1111に達する開口としては、後にアンチヒューズの抵抗材料層1113と第2の電極を形成する第1の開口と、第1の電極1111と電気的に接続する配線を形成する第2の開口と、を形成する。また、ゲート電極1221、ゲート電極1141に達する開口も形成する。このエッチング工程で形成する第1の電極1111に達する第1の開口のサイズは、開口底面の直径を約1μm〜約6μmとする。ただし、第1の開口の直径が大きいほど消費電流が増大するため、第1の開口は小さいほうが好ましい。なお、開口のサイズは直径で示しているが、開口の上面形状は円形に限定されず、楕円、矩形でもよい。
【0152】
なお、半導体層に達する開口と、ゲート電極に達する開口と、第1の電極に達する開口と、は、適宜エッチング条件を調節することで、1回のエッチングで形成することができる。
【0153】
次に、第1の電極1111に達する第1の開口を覆うように抵抗材料層1113を形成する。ここでは、抵抗材料層1113として、下層が酸化窒化シリコン層、上層がアモルファスシリコン層である積層構造を形成する。酸化窒化シリコン層は、CVD法やスパッタリング法により、厚さ1nm乃至20nm、好ましくは1nm乃至15nmで形成する。また、アモルファスシリコン層は、CVD法やスパッタリング法により、厚さ1nm乃至200nm、好ましくは5nm乃至100nmで形成する。例えば、厚さ6nmの酸化窒化シリコン層、厚さ15nmのアモルファスシリコン層で抵抗材料層1113を形成する。抵抗材料層1113としては、電気信号を与えることにより高抵抗状態から低抵抗状態へと変化する層を形成すればよく、単層構造としても積層構造としてもよい。上述のCVD法やスパッタリング法により抵抗材料層を形成した後、第1の開口を覆うように選択的にエッチングをして加工して形成すればよい。
【0154】
基板全面にスパッタリング法により導電層を形成した後、導電層を選択的にエッチングして、一対の導電層1223、導電層1225、一対の導電層1143、導電層1145を形成する。
【0155】
一対の導電層1223は、トランジスタ1210のソース電極又はドレイン電極として機能する。導電層1225は、トランジスタ1210のゲート電極1221の引き出し配線として機能する。一対の導電層1143は、トランジスタ1130のソース電極又はドレイン電極として機能する。導電層1145は、トランジスタ1130のゲート電極1141の引き出し配線として機能する。
【0156】
また、メモリ素子1110として形成するアンチヒューズの他方の電極として機能する第2の電極1115と、第1の電極1111と電気的に接続する第3の電極1117と、を導電層1223などと同一工程で同一層を加工して形成する。第3の電極1117は、第1の電極1111と電気的に接続させて配線を引き回す(引き出し配線)ことができる。
【0157】
なお、ここでは一対の導電層1143の一方と第2の電極1115は連続した導電層である例を示している。第2の電極1115により、メモリ素子1110であるアンチヒューズと、トランジスタ1130と、が電気的に接続される。
【0158】
導電層1223、導電層1225、導電層1143、導電層1145、第2の電極1115、第3の電極1117を形成する導電層は、上述のゲート電極を形成する材料から適宜選択することができる。
【0159】
例えば、厚さ50nm〜200nm(例えば100nm)のチタン層と、厚さ100nm〜400nm(例えば300nm)のアルミニウム層と、厚さ50nm〜200nm(例えば100nm)のチタン層と、が順に積層された3層構造を形成して、導電層1223、第2の電極1115などの導電層や電極を形成する。導電層1223、第2の電極1115などの導電層や電極において、表層をチタン層で形成することで、他の層との接触抵抗を低くすることができる。また、導電層1223、第2の電極1115などの導電層や電極において、アルミニウム層を用いることで、配線抵抗を低くすることができる。
【0160】
以上により、メモリ部1100にメモリ素子1110、トランジスタ1130が形成される。また、その他の回路部1200にトランジスタ1210が形成される。なお、その他、抵抗やコンデンサなどを適宜形成することができる。
【0161】
メモリ部1100には、メモリ素子1110としてアンチヒューズが形成される。アンチヒューズは、トランジスタのゲート電極と同一工程で形成される第1の電極1111と、トランジスタのソース電極又はドレイン電極として機能する導電層と同一工程で形成される第2の電極1115と、からなる一対の電極間に、抵抗材料層1113として酸化窒化シリコン層とアモルファスシリコン層との積層構造が挟持されている。
【0162】
導電層1223などが設けられた絶縁層1516上面に、絶縁層1520、絶縁層1522、絶縁層1524を形成する。絶縁層1520、絶縁層1522、絶縁層1524は、無機絶縁材料、有機絶縁材料、又はこれらの材料を組み合わせて単層又は積層して形成すればよい。好ましくは、導電層1223などが設けられた絶縁層1516上面から、パッシベーション膜として機能する無機絶縁層と、平坦化膜として機能する有機絶縁層を順に積層して形成する。例えば、無機絶縁材料を用いて絶縁層1520を形成し、有機絶縁材料を用いて絶縁層1522、絶縁層1524を形成する。無機絶縁層と有機絶縁層の積層構造とすることで、素子側に水分が浸透することを防ぎつつ、平坦化も十分行うことができる。
【0163】
剥離層1504の界面(剥離層1504と絶縁層1502との界面、若しくは剥離層1504と絶縁層1506との界面)、又は剥離層1504の層内で剥離を行う。剥離層1504における剥離により、支持基板1500から剥離層1504上の素子層1600を分離する。
【0164】
ここで、素子層1600の剥離方法について、以下に列挙する。(1)支持基板1500と素子層1600との間に剥離層1504として金属層と金属酸化物(或いは金属窒化物)を含む層の積層構造を設け、当該金属酸化物を含む層を結晶化させることで脆弱化して、素子層1600を支持基板1500から物理的に剥離する方法、(2)支持基板1500と素子層1600との間に剥離層1504として金属層と金属酸化物(或いは金属窒化物)を含む層の積層構造を設け、当該金属酸化物を含む層を結晶化させることで脆弱化し、剥離層1504の一部を液体のエッチャントやNF、あるいはBrF、ClF等のフッ化ハロゲンガスによりエッチング除去した後、素子層1600を支持基板1500から物理的に剥離する方法、(3)支持基板1500と素子層1600との間に、水素を含むアモルファスシリコンにより剥離層1504を形成し、当該剥離層1504にレーザビームを照射して水素ガスを放出させることで、素子層1600から支持基板1500を剥離する方法、(4)支持基板1500と素子層1600との間にアモルファスシリコンを用いて剥離層1504を形成し、当該剥離層1504を溶液やフッ化ハロゲンガスによりエッチング除去して剥離する方法、(5)素子層1600が形成された支持基板1500を機械的に削る、又は支持基板1500を溶液やフッ化ハロゲンガスによりエッチング除去して剥離する方法、(6)素子層1600において薄膜トランジスタ、アンチヒューズ、アンテナなどが形成されていない場所に、レーザビームを照射して剥離層1504に達する開口を形成した後、該開口をきっかけとして素子層1600を支持基板1500から物理的に剥離する方法、(7)素子層1600において薄膜トランジスタ、アンチヒューズ、アンテナなどが形成されていない場所に、レーザビームを照射して剥離層1504に達する開口を形成した後、該開口に水を流し込み素子層1600を支持基板1500から物理的に剥離する方法などが挙げられる。上述の剥離方法(1)、(2)について、金属酸化物層又は金属窒化物層としては、剥離層として形成した金属層上に絶縁層を形成する際に形成された金属酸化物層又は金属窒化物層を適用することができる。また、剥離方法(6)について、剥離層1504に達する開口を形成した後、該開口を通して剥離層1504の一部を溶液やフッ化化合物ガスによりエッチング除去してから物理的に剥離してもよい。
【0165】
図6(A)に示すように、第1の基板1300及び第2の基板1340により素子層1600を封止する。第1の基板1300及び第2の基板1340としては可撓性を有する基板を用いることが好ましく、プラスチックフィルム、紙、薄いセラミック、又は炭素繊維やガラス繊維の織物に樹脂を染みこませたシート(プリプレグともいわれる)などを用いることができる。第1の基板1300及び第2の基板1340は、エポキシ樹脂などの接着層を用いて接着することができる。素子層1600を封止する第1の基板1300及び第2の基板1340として可撓性を有する材料を用いることで、得られる半導体装置をRFIDタグとして、物品の曲面などに貼り付けることも可能となる。
【0166】
また、素子層1600を剥離、封止する順序は、(1)支持基板1500から素子層1600を剥離した後、素子層1600の剥離面と逆側の面に第2の基板1340、素子層1600の剥離面(支持基板1500を剥離した面)側に第1の基板1300を貼り合わせる、(2)素子層1600の剥離層1504が設けられた側と逆側の面に第2の基板1340を固定した後、支持基板1500から素子層1600を剥離し、素子層1600の剥離面に第1の基板1300を貼り合わせる、(3)アンテナを形成する前に、剥離層上からアンテナを形成する前までの層までを支持基板1500から剥離した後、アンテナを形成し、第1の基板1300、第2の基板1340を貼り合わせる、などが挙げられ、実施者が適宜変更することが可能である。
【0167】
以上により、RFIDタグとして機能する半導体装置を作製することができる。また、剥離層を用いて、支持基板から他の基板へ貼り合わせる方法を用いることで、薄く、軽く、落下しても壊れにくいRFIDタグを作製することができる。また、フレキシブルで、曲面などに貼り付けることが可能なRFIDタグを作製することができる。
【0168】
なお、半導体装置(RFIDタグ)には、適宜アンテナを設ける。本形態に係る半導体装置に適用できるアンテナ形状は特に限定されない。
【0169】
例えば、図7(A)に示すように回路部1700aの周りに一面のアンテナ1800aを配した構造を取っても良い。また、図7(B)に示すように、細いアンテナ1800bが回路部1700bの周囲を囲うように配した構造をとってもよい。また、図7(C)に示すように回路部1700cに対して、高周波数の電磁波を受信するためのアンテナ1800cのような形状をとってもよい。また、図7(D)に示すよう回路部1700dに対して180度無指向性(どの方向からでも同じく受信可能)なアンテナ1800dのような形状をとってもよい。また、図7(E)に示すように、回路部1700eに対して、棒状に長く伸ばしたアンテナ1800eのような形状をとってもよい。なお、回路部1700a〜回路部1700eは、図6(A)に示すその他の回路部1200及びメモリ部1100を含む。また、図4、図5に示すアンテナ部以外の各種回路を含んだ回路部に相当する。
【0170】
また、本形態に係る半導体装置に適用できる電力の供給方式は、電磁結合方式、電磁誘導方式、電波方式等を用いることができる。電力の供給方式は、実施者が適宜使用用途を考慮して選択すればよく、電力の供給方式に伴って最適な長さや形状のアンテナを設ければよい。
【0171】
例えば、電力の供給方式として、電磁結合方式又は電磁誘導方式(例えば、13.56MHz帯)を適用する場合には、アンテナとして、輪状又はらせん状に形成した導電層(例えば、コイル、スパイラルアンテナ、ループアンテナ)を用いることができる。アンテナは、外部アンテナを接続してもよいし、回路部を形成する基板上に直接形成することも可能である。特に、回路部を形成する基板上に直接形成することで、アンテナ端子と回路部との接合部において高い信頼性が得られ、丈夫なタグを作製することができる。
【0172】
また、本形態に係るRFIDタグは、メモリ部において複数の伝送方式によりデータ処理をすることで、低消費電力化が図られている。そのため、電磁結合方式又は電磁誘導方式のアンテナサイズの縮小を図ることができ、RFIDタグの小型化、小型軽量化、低コスト化を図ることができる。
【0173】
電力の供給方式として電波方式(例えば、UHF帯(860〜960MHz帯)、2.45GHz帯)を適用する場合には、アンテナとして、線状(例えば、ダイポールアンテナ)や平坦な形状(例えば、パッチアンテナ)に形成した導電層を用いることができる。導電層の形状は、線状に限られず、曲線状や蛇行形状またはこれらを組み合わせた形状で設けてもよい。アンテナサイズが大きい場合は外部アンテナを接続するが、回路部を形成する基板上に直接形成することも可能である。
【0174】
アンテナ形状や長さは電磁波の波長を考慮して適宜設定すればよい。例えば、周波数が2.45GHzの場合、半波長ダイポールアンテナを設けるなら約60mm(1/2波長)、モノポールアンテナを設けるなら約30mm(1/4波長)とすれば良い。
【0175】
なお、本実施の形態で示した構成は、本明細書の他の実施の形態で示す構成と適宜組み合わせることができる。
【0176】
(実施の形態5)
本形態では、上記実施の形態3と異なる無線通信機能を有する半導体装置の作製方法について説明する。なお、図6と同じ要素及び共通する機能を持つ要素には同じ符号を付けて説明し、重複する説明は省略、簡略化して行う。以下、図9及び図10を用いて、同一基板上にメモリ部1100と、その他の回路部1200を設ける構成の半導体装置の作製方法について示す。
【0177】
図9(A)に示すように、支持基板1500上に剥離層1504、絶縁層1508を順に積層して形成する。なお、支持基板1500と剥離層1504との間、剥離層1504と絶縁層1508の間には、適宜絶縁層などを設けることができる。
【0178】
絶縁層1508上に、半導体層1217、半導体層1137を形成する。半導体層1217、半導体層1137上にゲート絶縁層1510を形成する。
【0179】
ゲート絶縁層を介して半導体層1217と重なるゲート電極1221、半導体層1137と重なるゲート電極1141を形成する。また、アンチヒューズの一方の電極として機能する第1の電極1111を、ゲート電極1221及びゲート電極1141と、同一工程で同一層を加工して形成する。
【0180】
半導体層1217、半導体層1137に対して不純物元素を添加する。半導体層1217、半導体層1137に対して異なる不純物元素を添加するものとする。本形態では、半導体層1217に対してn型を付与する不純物元素を添加し、半導体層1137に対してp型を付与する不純物元素を添加するものとする。
【0181】
半導体層1217にn型を付与する不純物元素を添加する。ここでは、低濃度不純物領域を形成するための不純物元素を添加する。ゲート電極1221がマスクとなり、半導体層1217に、自己整合的に一対の低濃度不純物領域と、一対の低濃度不純物領域の間に挟まれたチャネル形成領域1911が形成される。なお、半導体層1137に不純物元素が添加されないようにレジストマスクを形成しておく。レジストマスクは、不要となった後は適宜除去する。
【0182】
次に、半導体層1137にp型を付与する不純物元素を添加する。ここでは、ソース領域又はドレイン領域を形成するための不純物元素を添加する。ゲート電極1141がマスクとなり、半導体層1137に、自己整合的に一対の高濃度不純物領域1835と、一対の高濃度不純物領域1835の間に挟まれたチャネル形成領域1831が形成される。なお、半導体層1217に不純物元素が添加されないようにレジストマスクを形成しておく。レジストマスクは、不要となった後は適宜除去する。
【0183】
次に、ゲート電極1221、ゲート電極1141、第1の電極1111の側面に、それぞれ、サイドウォール絶縁層1222、サイドウォール絶縁層1142、サイドウォール絶縁層1112を形成する。
【0184】
サイドウォール絶縁層1222、サイドウォール絶縁層1142、サイドウォール絶縁層1112の作製方法の一例を説明する。ゲート絶縁層1510、ゲート電極1221、ゲート電極1141、第1の電極1111上を覆うように、絶縁層を形成する。例えば、プラズマCVD法やスパッタリング法等により、無機絶縁材料、有機絶縁材料などを用いて、単層膜又は積層膜により絶縁層を形成する。次に、垂直方向を主体とした異方性エッチングにより絶縁層を選択的にエッチングすることで、ゲート電極1221、ゲート電極1141、第1の電極1111の側面に接する絶縁層(サイドウォール絶縁層1222、サイドウォール絶縁層1142、サイドウォール絶縁層1112)を形成する。なお、サイドウォール絶縁層1222、サイドウォール絶縁層1142、サイドウォール絶縁層1112の形成と同時に、ゲート絶縁層1510の一部はエッチングすることもできる。図9(A)では、サイドウォール絶縁層1222、サイドウォール絶縁層1142、サイドウォール絶縁層1112の側面と揃うようにゲート絶縁層1510がエッチングされた例を示している。ゲート絶縁層1510は、ゲート電極1221及びサイドウォール絶縁層1222の下方、ゲート電極1141及びサイドウォール絶縁層1142の下方、第1の電極1111及びサイドウォール絶縁層1112の下方に残存している。
【0185】
次に、半導体層1217に、n型を付与する不純物元素を添加する。ここでは、ソース領域又はドレイン領域を形成するための不純物元素を添加する。ゲート電極1221及びサイドウォール絶縁層1222がマスクとなり、半導体層1217には、自己整合的に、一対の高濃度不純物領域1915、一対の低濃度不純物領域1913が形成される。ゲート絶縁層1510を間に介して、サイドウォール絶縁層1222と略重なる位置に、一対の低濃度不純物領域1913が形成される。なお、半導体層1137に不純物元素が添加されないようにレジストマスクを形成しておく。レジストマスクは、不要となった後は適宜除去する。
【0186】
本形態では、その他の回路部1200にnチャネル型トランジスタ、メモリ部1100にpチャネル型トランジスタを作製する例を示しているが、本発明はこれに限定されない。また、図9では便宜上、各回路部に1つのトランジスタを設ける例を示しているが、トランジスタの数も限定されるものではない。また、図9では半導体層1217に低濃度不純物領域1913を設ける例を示しているが、半導体層1137にも同様にサイドウォール絶縁層を用いて低濃度不純物領域を形成することもできる。
【0187】
ゲート電極1221、ゲート電極1141、第1の電極1111、及びそれぞれの側面に形成されたサイドウォール絶縁層1222、サイドウォール絶縁層1142、サイドウォール絶縁層1112を覆う絶縁層を形成する。本形態では、絶縁層1512、絶縁層1516を順に積層して形成する。
【0188】
ここまでの工程を経た半導体装置の断面図が図9(A)に相当する。
【0189】
第1の電極1111に達する第1の開口1830を形成する。例えば、絶縁層1516上にレジストマスクを形成し、選択的に絶縁層1516、絶縁層1512をエッチングすることで、第1の電極1111に達する第1の開口1830を形成すればよい。第1の開口1830は、例えば直径およそ1μm〜6μmで形成する。レジストマスクは、不要となった後は適宜除去する。
【0190】
ここまでの工程を経た半導体装置の断面図が図9(B)に相当する。
【0191】
第1の開口1830を覆い、第1の電極1111と接する抵抗材料層1113を形成する。ここまでの工程を経た半導体装置の断面図が図9(C)に相当する。
【0192】
半導体層1217に形成された高濃度不純物領域1915、ゲート電極1221、半導体層1137に形成された高濃度不純物領域1835、ゲート電極1141に達する第2の開口をそれぞれ形成する。例えば、絶縁層1516上にレジストマスクを形成し、選択的に絶縁層1516、絶縁層1512をエッチングすることで形成する。レジストマスクは、不要となった後は適宜除去する。ここまでの工程を経た半導体装置の断面図が図9(D)に相当する。
【0193】
第2の開口に、それぞれ一対の導電層1223、導電層1225、一対の導電層1143、導電層1145を形成する。一対の導電層1223は高濃度不純物領域1915と電気的に接続しており、一対の導電層1143は高濃度不純物領域1835と電気的に接続しており、それぞれソース電極又はドレイン電極として機能する。導電層1225は、ゲート電極1221の引き出し配線として機能する。導電層1145は、ゲート電極1141の引き出し配線として機能する。
【0194】
また、抵抗材料層1113上に、アンチヒューズの他方の電極として機能する第2の電極1115と、第1の電極1111と電気的に接続する第3の電極1117と、を形成する。
【0195】
ここまでの工程を経た半導体装置の断面図が図10(A)に相当する。本形態では、メモリ部1100にメモリ素子1110及びpチャネル型トランジスタ1130、その他の回路部1200にnチャネル型トランジスタ1210が形成される例を示している。
【0196】
導電層1223、第2の電極1115などが設けられた絶縁層1516上層に絶縁層を形成する。絶縁層は、無機絶縁層、有機絶縁層を適宜組み合わせて形成することが好ましい。無線通信機能を有する半導体装置の信頼性を向上させるためには、無機絶縁層を形成することが好ましい。また、後の工程でアンテナを形成する際、印刷法(スクリーン印刷法、液滴吐出法など)を用いる場合は、平坦面を有していることが望ましく、有機絶縁層を形成することが好ましい。本形態では平坦面を有する絶縁層1522を形成する例を示している。また、絶縁層1522は、トランジスタやメモリ素子などの素子と、アンテナと、間を電気的に絶縁する層間絶縁層としても機能できる。
【0197】
ここまでの工程を経た半導体装置の断面図が図10(B)に相当する。
【0198】
次に、絶縁層1522上にアンテナ1801を形成する。ここでは、半導体装置に内蔵型のアンテナ1801を設ける例を示す。アンテナ1801の形状は限定されず、例えば、線状アンテナ(ループアンテナ、ダイポールアンテナ、スパイラルアンテナなど)、平面アンテナ(パッチアンテナなど)などを形成することができる。
【0199】
例えば、アンテナ1801は、スパッタリング法を用いてアルミニウム、銀などの金属層を形成した後、選択的にエッチングして所望の形状に加工する方法、スクリーン印刷法、または液滴吐出法などを用いて形成することができる。
【0200】
次に、アンテナ1801が設けられた絶縁層1522上層に絶縁層を形成する。絶縁層は、無機絶縁層、有機絶縁層を適宜組み合わせて形成することが好ましい。例えば、無機絶縁材料で絶縁層1523を形成し、有機絶縁材料を用いて平坦面を有する絶縁層1524を形成する。
【0201】
ここまでの工程を経た半導体装置の断面図が図10(C)に相当する。
【0202】
剥離層1504の界面(剥離層1504と支持基板1500との界面、若しくは剥離層1504と絶縁層1508との界面)、又は剥離層1504の層内で剥離を行う。剥離層1504における剥離により、支持基板1500から、剥離層1504上の素子層を分離する。支持基板1500から分離した素子層は、可撓性を有する基板(シート)などで封止して、無線通信機能を有する半導体装置(RFIDタグ)を得る。
【0203】
本形態に係る半導体装置は、メモリ部において複数の伝送方式によりデータ処理をすることで、低消費電力化が図られている。そのため、電磁結合方式又は電磁誘導方式のアンテナのサイズの縮小化も図ることができ、RFIDタグの小型化、小型軽量化を図ることもできる。
【0204】
なお、本実施の形態で示した構成は、本明細書の他の実施の形態で示す構成と適宜組み合わせることができる。
【0205】
(実施の形態6)
本形態では、本発明の一態様に係る半導体装置(RFIDタグ)の利用例について、図8を用いて説明する。ここで、図8は、半導体装置の使用例を示す模式図である。
【0206】
半導体装置(RFIDタグ)の用途は広範囲にわたる。例えば、紙幣、硬貨、有価証券類、無記名債券類、証書類(運転免許証や住民票等、図8(A)参照)、包装用容器類(包装紙やボトル等、図8(C)参照)、記録媒体(DVDソフトやビデオテープ等、図8(B)参照)、乗り物類(自転車等、図8(D)参照)、身の回り品(鞄や眼鏡等)、食品類、植物類、動物類、人体、衣類、生活用品類、または電子機器(液晶表示装置、EL表示装置、テレビジョン装置、または携帯電話)等の物品、若しくは各物品に取り付ける荷札(図8(E)、図8(F)参照)、定期券、回数券、各種チケット(図8(G)参照)等に設けて使用することができる。
【0207】
半導体装置600(RFIDタグ)は、物品の表面に貼る、物品に実装する、または物品に埋め込むことにより、対象物(物品そのもの、または対象物に取り付ける物品)に固定する。例えば、対象物が本であれば紙に埋め込む、または有機樹脂からなるパッケージに埋め込み、対象物に固定することができる。半導体装置600は、小型、薄型、軽量を実現するため、対象物に固定した後もその対象物自体のデザイン性を損なうことがない。また、紙幣、硬貨、有価証券類、無記名債券類、または証書類等に半導体装置600を設けることにより、認証機能を設けることができ、認証機能を活用すれば、偽造を防止することができる。また、包装用容器類、記録媒体、身の回り品、食品類、衣類、生活用品類、または電子機器等に半導体装置600を取り付けることにより、検品システム等のシステムの効率化を図ることができる。さらに、半導体装置600は、薄膜トランジスタをはじめとする素子を用いて、樹脂基板等の可撓性を有する基板上に、安価に作製することができる。そのため、回数券や各種チケットサービス等、一回あるいは少数の反復使用による、使い捨て用途にも好適に適用され得る。また、乗り物類であっても、半導体装置600を取り付けることにより、盗難などに対するセキュリティ性を高めることができる。
【0208】
本形態に係る半導体装置(RFIDタグ)は、低消費電力化が図られ、通信距離の拡大が図られている。そのため、様々な用途に利用する場合でも、通信距離の自由度が高まるため、利便性良く使用することができる。また、半導体装置の低消費電力化によりアンテナサイズの縮小化を図ることもでき、より小型化できるため、利便性及びデザイン性を高めることができる。
【0209】
なお、本実施の形態で示した構成は、本明細書の他の実施の形態で示す構成と適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0210】
100 メモリ部
101 メモリセルアレイ
103 行アドレスデコーダ
105 列アドレスデコーダ
107 ワード線駆動回路
109 ビット線駆動回路及び読み出し回路
109a ビット線駆動回路
109b 読み出し回路
110 論理部
111 パラレル/シリアル変換回路
113 インターフェース
115 書き込み用電源生成回路
120 回路部
125 整流回路
130 復調回路
140 リセット回路
150 クロック発生回路
160 変調回路
170 アンテナ
171 信号線
173 信号線
175 信号線
177 信号線
181 信号線
183 信号線
185 信号線
190 半導体装置
200 通信装置
432 レギュレータ回路
434 クロック発生回路
480 リミッタ回路
490 半導体装置
600 半導体装置
1100 メモリ部
1110 メモリ素子
1111 第1の電極
1112 サイドウォール絶縁層
1113 抵抗材料層
1115 第2の電極
1117 第3の電極
1130 トランジスタ
1131 チャネル形成領域
1133 低濃度不純物領域
1135 高濃度不純物領域
1137 半導体層
1141 ゲート電極
1142 サイドウォール絶縁層
1143 導電層
1145 導電層
1200 回路部
1210 トランジスタ
1211 チャネル形成領域
1213 低濃度不純物領域
1215 高濃度不純物領域
1217 半導体層
1221 ゲート電極
1222 サイドウォール絶縁層
1223 導電層
1225 導電層
1300 基板
1340 基板
1500 支持基板
1502 絶縁層
1504 剥離層
1506 絶縁層
1508 絶縁層
1510 ゲート絶縁層
1512 絶縁層
1514 絶縁層
1516 絶縁層
1520 絶縁層
1522 絶縁層
1523 絶縁層
1524 絶縁層
1600 素子層
1700a 回路部
1700b 回路部
1700c 回路部
1700d 回路部
1700e 回路部
1800a アンテナ
1800b アンテナ
1800c アンテナ
1800d アンテナ
1800e アンテナ
1801 アンテナ
1830 第1の開口
1831 チャネル形成領域
1835 高濃度不純物領域
1911 チャネル形成領域
1913 低濃度不純物領域
1915 高濃度不純物領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリ部と、論理部と、前記メモリ部及び前記論理部間を電気的に接続する複数の信号線と、を備え、
半導体装置及び通信装置間の転送レートをα[bps]、
第1のクロック周波数をKα[Hz](Kは1以上の整数)、
前記複数の信号線のうち読み出し用信号線をn本(nは2以上の整数)、
第2のクロック周波数をLα/n[Hz](Lは、L/n<Kを満たす任意の整数)とした場合、
前記第1のクロック周波数Kα[Hz]を用いて復調信号のデコードを行い、
前記第2のクロック周波数Lα/n[Hz]を用いて、前記n本の読み出し用信号線を介し、前記メモリ部に格納されたデータを前記論理部へ読み出す
ことを特徴とする無線通信機能を有する半導体装置。
【請求項2】
メモリ部と、論理部と、前記メモリ部及び前記論理部間を電気的に接続する複数の信号線と、を備え、
半導体装置及び通信装置間の転送レートをα[bps]、
第1のクロック周波数をKα[Hz](Kは1以上の整数)、
前記複数の信号線のうち読み出し用信号線をn本(nは2以上の整数)、
第2のクロック周波数をLα/n[Hz](Lは、L/n<Kを満たす任意の整数)とした場合、
前記第1のクロック周波数Kα[Hz]を用いて復調信号のデコードを行い、
前記第2のクロック周波数Lα/n[Hz]を用いて、前記n本の読み出し用信号線を介し、前記メモリ部に格納されたデータを前記論理部へ読み出し、
前記第1のクロック周波数Kαを用いて、前記論理部が有するパラレル/シリアル変換回路により前記メモリ部から読み出されたデータを変換して回路部にシリアル伝送する
ことを特徴とする無線通信機能を有する半導体装置。
【請求項3】
メモリ部と、論理部と、前記メモリ部及び前記論理部間を電気的に接続する複数の信号線と、を備え、
半導体装置及び通信装置間の転送レートをα[bps]、
第1のクロック周波数をKα[Hz](Kは1以上の整数)、
前記複数の信号線のうち読み出し用信号線をn本(nは2以上の整数)、
第2のクロック周波数をLα/n[Hz](Lは、L/n<Kを満たす任意の整数)、
前記複数の信号線のうち書き込み用信号線を1本、
第3のクロック周波数をM[Hz]とした場合、
前記第1のクロック周波数Kα[Hz]を用いて復調信号のデコードを行い、
前記第2のクロック周波数Lα/n[Hz]を用いて、前記n本の読み出し用信号線を介し、前記メモリ部に格納されたデータを前記論理部へ読み出し、
前記第3のクロック周波数M[Hz]を用いて、前記1本の書き込み用信号線を介し、前記論理部から前記メモリ部にデータを書き込む
ことを特徴とする無線通信機能を有する半導体装置。
【請求項4】
メモリ部と、論理部と、前記メモリ部及び前記論理部間を電気的に接続する複数の信号線と、を備え、
半導体装置及び通信装置間の転送レートをα[bps]、
第1のクロック周波数をKα[Hz](Kは1以上の整数)、
前記複数の信号線のうち読み出し用信号線をn本(nは2以上の整数)、
第2のクロック周波数をLα/n[Hz](Lは、L/n<Kを満たす任意の整数)、
前記複数の信号線のうち書き込み用信号線を1本、
第3のクロック周波数をM[Hz]とした場合、
前記第1のクロック周波数Kα[Hz]を用いて復調信号のデコードを行い、
前記第2のクロック周波数Lα/n[Hz]を用いて、前記n本の読み出し用信号線を介し、前記メモリ部が有するメモリセルの状態情報を読み出し、
前記第2のクロック周波数Lα/n[Hz]を用いて、前記n本の読み出し用信号線を介し、前記メモリ部に格納されたデータを前記論理部へ読み出し、
前記第3のクロック周波数M[Hz]を用いて、前記1本の書き込み用信号線を介し、前記論理部から前記メモリ部にデータを書き込む
ことを特徴とする無線通信機能を有する半導体装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一において、
前記メモリ部は、ライトワンス型のメモリ素子を含むメモリセルを有することを特徴とする無線通信機能を有する半導体装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記メモリ素子はアンチヒューズであることを特徴とする無線通信機能を有する半導体装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項4のいずれか一において、
前記メモリ部は、浮遊ゲートを有するメモリ素子又は磁性材料を用いたメモリ素子を含むメモリセルを有することを特徴とする無線通信機能を有する半導体装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一に記載の半導体装置を具備することを特徴とするRFIDタグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−100442(P2011−100442A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211800(P2010−211800)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】