説明

熱処理中に半導体ウェハの不適正な位置を識別する方法

【課題】近赤外線放出源によって加熱され近赤外放射に対して透過性の処理チャンバ内で熱処理を行っている間に、回転サセプタの円形のポケット内にある半導体ウェハの不適正な位置を識別する方法において、サセプタのポケット内の半導体ウェハの実際の位置を求め、誤差が発生している場合にはこの誤差およびその原因を検出して解消すること。
【解決手段】パイロメータによって検出される測定スポットの一部は前記半導体ウェハ上であり、該測定スポットの一部は該半導体ウェハの外側であって前記回転サセプタ上であるように前記パイロメータを方向決めし、前記半導体ウェハの不適正な位置とは、前記回転サセプタのポケット内の偏心位置である方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近赤外線放出源によって加熱され近赤外放射を透過する処理チャンバ内で熱処理を行う間に半導体ウェハの不適正な位置を識別するための方法であって、該半導体ウェハは回転するサセプタの円形のポケット内に設けられ、該半導体ウェハは近赤外線放出源および制御システムによって所定の温度に維持され、熱放射をパイロメータによって測定し、該熱放射の測定信号のゆらぎの振幅を求め、該ゆらぎの振幅が所定の最大値を超えた場合、該半導体ウェハの位置が不適正であることを推定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱処理はたとえば、半導体ウェハを高温で高速に熱処理するために使用されるか(「高速熱アニール」RTA、または一般的に「高速熱処理」RTP)、または化学的蒸着法(CVD)に使用され、とりわけ研磨された半導体ウェハ上にエピタキシャル層を成層するのに使用される。この場合、半導体ウェハは一般的に、サセプタと称される載置部に載置される。サセプタは縁部領域を有し、かつ該縁部領域内にポケットを有する。このポケットの深さは一般的に、処理すべき半導体ウェハの厚さにほぼ相応する。この成層中にサセプタが回転することにより、該サセプタ上にある半導体ウェハも回転し、ウェハ表面全体が可能な限り均質に処理されるのが保証される。
【0003】
エピタキシャル層の成層中は、半導体ウェハがサセプタのポケット内に完全に収まっていることを保証されるように留意しなければならない。従来技術では、半導体ウェハがサセプタのポケット内に実際に完全に収まっているか否かを確認するための手法が多数知られている。たとえばUS6217212B1に、こうするために半導体ウェハの表面に向けられたパイロメータの信号を使用することが記載されている。半導体ウェハが完全にはポケット内部に配置されていない場合、パイロメータは、傾斜して回転する半導体ウェハの垂直方向のぶれおよび角度変化を考慮して、比較的高い振幅で振動する信号を検出する。この信号の周波数は、サセプタの回転周波数に相応する。それに対して半導体ウェハが完全にポケット内に収まっている場合、振幅は格段に小さくなる。
【0004】
ポケットは一般的には、半導体ウェハより数mm大きい。WO02/065510A1に、半導体ウェハにおいて温度が不均質になるのを回避するためには、半導体ウェハをサセプタのポケット内にセンタリングして配置することも重要であると教唆されている。このようにセンタリングして配置するための手段として、半導体ウェハがポケット内の定義された中心位置に配置されるのを保証するためのスペーサを開示している。このことによっても、半導体ウェハを配置した後に該半導体ウェハがサセプタ上で浮くのが阻止される。しかしこのようなスペーサにより、処理ガスの局所的な乱流が発生し、この局所的な乱流は、スペーサに隣接する半導体ウェハの領域においてエピタキシャル層の厚さが局所的に不均一になる原因となる。
【0005】
択一的な手段として、ロボットアームによってエッジグリッパを使用して保持された半導体ウェハを反応器内へ搬送する間に該半導体ウェハをカメラによって追跡し、特定の時点での所定の所望の位置と該半導体ウェハの実際の位置とを比較する手段がある。この比較の結果に基づいて、求められた偏差を補償するように次のロボット運動を適合する。US2003/0231950A1にこのことが記載されている。しかし、この手法はもっぱら、サセプタを貫通して突出している一般的には3つのピンでしか、半導体ウェハが適正に配置されるのを保証しないという欠点を有する。しかし、ピンが下方に設けられて半導体ウェハがサセプタ上に設けられる場合も、サセプタと半導体ウェハとの間の気体クッションに該半導体ウェハが浮くことによって、または、下方に設けられているピンによって振動が発生することにより、該半導体ウェハは位置を変化してしまう。このことに起因して半導体ウェハの位置が不適正になることは、US2003/0231950A1では検出することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】US6217212B1
【特許文献2】WO02/065510A1
【特許文献3】US2003/0231950A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それゆえ本発明の課題は、サセプタのポケット内の半導体ウェハの実際の位置を求め、誤差が発生している場合にはこの誤差およびその原因を検出して解消することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題は、近赤外線放出源によって加熱され近赤外放射に対して透過性の処理チャンバ内で熱処理を行っている間に、回転サセプタの円形のポケット内にある半導体ウェハの不適正な位置を識別する次のような方法によって解決される。すなわち、前記半導体ウェハを前記近赤外線放出源および制御システムによって所定の温度に維持し、熱放射をパイロメータによって測定し、該熱放射の測定結果のゆらぎの振幅を求め、該振幅が所定の最大値を超えた場合には前記半導体ウェハの位置が不適正であると推定し、前記パイロメータによって検出される測定スポットの一部は前記半導体ウェハ上であり、該測定スポットの一部は該半導体ウェハの外側であって前記回転サセプタ上であるように前記パイロメータを方向決めし、前記半導体ウェハの不適正な位置とは、前記回転サセプタのポケット内の偏心位置である方法によって解決される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】ポケット内に半導体ウェハが理想的にセンタリングされたサセプタの断面図である。
【図2】ポケット内において半導体ウェハが偏心位置にあるサセプタの断面図である。
【図3】ポケット内において半導体ウェハが偏心位置にあるサセプタの上面図である。
【図4】半導体ウェハの不適正な位置を本発明にしたがって検出するための装置を示す概略図である。
【図5】半導体ウェハがポケット内に理想的にセンタリングされている場合の温度信号の時間特性を示す。
【図6】半導体ウェハがポケット内において偏心位置にある場合の温度信号の時間特性を示す。
【実施例】
【0010】
以下で図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0011】
本発明の方法を実施するために、US6217212B1の図1に概略的に示されているような装置を使用することができる。この装置は、気密封止することができる(有利には水晶から成る)チャンバを有し、該チャンバはサセプタを有する。このようなチャンバを以下では処理チャンバと称する。半導体ウェハはサセプタ上に水平方向に配置され、該サセプタは中心軸を中心として回転する。US6217212B1の図面と相違して、図1,2および4に示されているように、半導体ウェハが縁部領域でのみサセプタによって支持されるように該サセプタを形成することもできる。この場合には、半導体ウェハ1は縁部のみで、サセプタ2のポケット3内のリッジ部4に載置される。ポケット3はサセプタの縁部5によって区切られている。また、半導体ウェハの両面に自由に到達できるように、たとえば該半導体ウェハの両面にコーティングできるようにサセプタを構成することもできる。サセプタは有利には、半導体ウェハを汚染しない材料であって、該材料自体が熱処理の条件下で攻撃されない材料から成る。炭化シリコンから成るサセプタ、または、炭化シリコンがコーティングされたグラファイトのサセプタが特に適している。
【0012】
US6217212の図1に示されているように、1つまたは複数の近赤外線放出源が処理チャンバの外側に配置される。たとえばハロゲンランプ等の近赤外線放出源は、半導体ウェハを所望の処理温度まで加熱するのに必要な放射エネルギーを放出する。この所望の処理温度は、有利には600〜1300℃の範囲内である。半導体ウェハは制御装置によって所望の温度に維持される。制御装置は有利には、半導体ウェハの温度を測定する温度センサを有し、たとえば熱電対またはパイロメータを有し、また、測定された温度と記憶された所望の温度とを比較する制御コンピュータも有する。前記制御コンピュータは場合によっては、近赤外線放出源の出力を変化する。
【0013】
本発明では、パイロメータ7の測定信号(図4参照)を使用して、熱処理中に半導体ウェハ1の位置を監視する。パイロメータ7は一般的には、処理チャンバ(図示されていない)外部に半導体ウェハ1の上方に取り付けられ、測定スポット6の温度を検出するのに使用される。パイロメータ7によって検出される測定スポット6の温度は、放射出力を測定することによって求められる。本発明では、パイロメータ7の測定スポット6の一部は半導体ウェハ1上に位置し、該測定スポット6の一部は該半導体ウェハ1の外側であってサセプタ2上に位置するように、パイロメータ7を方向決めする。したがって、測定スポット6の大きさは有利には、ポケット3の直径と半導体ウェハ1の直径との差に依存する。測定スポット6の直径は有利には、ポケット3の直径と半導体ウェハ1の直径との差の2〜5倍に相応し、特に有利には該差の3〜4倍に相応する。それゆえ、ポケット3の直径が303mmであり、半導体ウェハ1の直径が300mmであるとすると、測定スポット6の直径は有利には6〜15mmであり、特に有利には9〜12mmである。
【0014】
有利には、パイロメータ7によって検出される熱放射の波長範囲内で半導体ウェハ1の放射率およびサセプタ2の放射率(各材料に依存する)が可能な限り異なるように、該波長範囲を決定する。半導体ウェハ1がシリコンから成り、サセプタ2の表面が炭化シリコンから成る場合、波長範囲は0.9〜1.1μmであるのが有利である。この波長範囲内で、サセプタ2の放射率は半導体ウェハ1の放射率より格段に高くされる。それゆえ、(温度が等しい場合には)サセプタ2は半導体ウェハ1より高温であるように見える。サセプタ2が測定スポット6において占める面積の割合が大きいほどパイロメータ7の測定信号は大きくなり、異なる放射率だけ補正されない見かけの温度は高くなる。半導体ウェハ1が占める面積が大きくなるほど、測定スポット6の見かけの温度は低くなる。
【0015】
それゆえ、半導体ウェハ1が中心位置にある場合に測定スポット6の一部は該半導体ウェハ1上に位置し、該測定スポット6の一部はサセプタ2上に位置するように、該測定スポット6を位置決めしなければならない。とりわけ、半導体ウェハ1がサセプタ2のポケット3内で中心位置にあることを前提とした場合に測定スポットの直径の10〜90%が半導体ウェハ1上に位置し、特に有利には該測定スポットの直径の30〜40%が該半導体ウェハ1上に位置するように、該測定スポット6を配置する。
【0016】
このような配置により、サセプタ2が半導体ウェハ1とともに、該サセプタ2の軸を中心として回転すると、図1に示されているように該半導体ウェハ1がポケット3内で中心位置にある場合には、該サセプタ2が静止時の測定スポット6において占める面積の割合と、該半導体ウェハ1が該測定スポット6において占める面積の割合とは僅かに変化するだけである。それに対して、半導体ウェハ1がポケット3内において偏心位置にあると、回転時には、測定スポット6においてサセプタ2が占める面積の割合と半導体ウェハ1が占める面積の割合とが変化する。極端な例では、図2および3に示されているように、半導体ウェハ1の1つの側がサセプタ2の縁部5に載置されていると、該半導体ウェハ1の他方の側と該サセプタ2の縁部5との間の間隔は最大になる(ポケットの直径と半導体ウェハの直径との差に相応する)。この場合、回転時には、測定スポット6においてサセプタ2が占める面積の割合および半導体ウェハ1が占める面積の割合の変化は最大になる。特定の時点において測定スポット6が、半導体ウェハ1とサセプタ2の縁部5との間の間隔が最大になる位置にちょうど存在する場合、該測定スポットの大きさおよび位置が適切に選択されている場合には、該測定スポットにおいてサセプタ2が占める面積の割合は最大になり、ほぼ100%になる。それに対してサセプタが180°回転すると、測定スポット6は、半導体ウェハ1がサセプタ2の縁部5に載置されている位置に来て、半導体ウェハ1が測定スポット6において占める面積の割合は最大になり、たとえば約50%になる。
【0017】
サセプタの放射率が上記のように半導体ウェハの放射率から偏差する場合、該サセプタと該サセプタ上にある半導体ウェハとが回転すると、パイロメータによって生成される測定信号が振動し、該測定信号の振幅は、該サセプタのポケット内における半導体ウェハの偏心度に依存する。それゆえ本発明では、パイロメータによって生成される測定信号の時間特性を評価する。この時間特性の評価結果で、測定信号のゆらぎが比較的小さい場合、半導体ウェハはポケット内に中心位置にあるということである。半導体ウェハがサセプタの縁部に載置されている場合には、振幅が最大になる。
【0018】
図5に、炭化シリコンがコーティングされたグラファイトサセプタのポケット内にシリコンウェハが最適な位置で配置されている場合の、本発明にしたがって測定した温度T(単位:℃)を時間t(単位:秒)に依存して示している。この測定温度は約1230℃の平均値から変動している。振幅は約3Kと非常に小さい。というのも、シリコンウェハの回転中、測定スポットにおいてサセプタが占める面積の割合とシリコンウェハが占める面積の割合とがほぼ一定に維持されるからである。シリコンウェハの位置が最適である場合、この温度のゆらぎの振幅は数Kだけである。シリコンウェハの位置が最適であっても、サセプタの回転中の温度の偏差は0にはならない。というのも、近赤外線放出源から放出される放射の反射および散乱も、この測定温度に寄与するからである。これらは、完全には回避できないサセプタの垂直方向のぶれと合わさって、信号が小さい振幅で振動する原因になる。
【0019】
それに対して図6には、シリコンウェハがポケット内で可能な限り偏心位置に配置された場合に同様に測定された温度信号を示す。この場合にも平均温度は約1230℃であるが、振幅の値は50Kを上回り、図5の場合より格段に大きい。このように、ウェハが最適位置にある場合の振幅とウェハがサセプタの縁部に偏心位置で載置されている場合の振幅との差が非常に大きいことにより、ポケット内のシリコンウェハの位置を明確に示すことができる。測定された温度のゆらぎが大きいほど、位置誤差が大きくなる。
【0020】
本発明では、このような振幅の許容可能な最大値が定義される(または択一的に、振幅値の2倍に相応するゆらぎ範囲の許容可能な最大値が定義される)。パイロメータによって生成された測定信号の振幅がこの最大値未満である場合、半導体ウェハ位置は適正であると推定する。それとは対照的に、この最大値を超えた場合には、半導体ウェハの位置が不適正であると推定する。すなわち、サセプタのポケット内において偏心位置にあることを推定する。
【0021】
許容可能であると見なされるこの最大値は複数のパラメータに依存し(たとえば、サセプタの材料、半導体ウェハの材料、ポケットの直径と半導体ウェハの直径との差、測定スポットの大きさおよび位置、検出波長、熱処理温度、半導体ウェハの最大許容位置誤差に依存し)、どのような構成でも適切な事前実験によってこの最大値を決定することができる。たとえば、半導体ウェハの位置がぎりぎり許容可能であると考えられる偏心度で該半導体ウェハを意図的にサセプタに配置することができる。その後、本発明の方法を適用して熱処理を実施し、測定信号の振幅を検出する。冷却後に処理チャンバを開け、サセプタのポケット内における半導体ウェハの正確な位置を求めることにより、半導体ウェハの位置が変化した場合にはその変化を求めることができる。熱処理後に半導体ウェハの位置が、意図されたぎりぎり許容可能な位置に相応する場合、この時に求められた振幅を最大値として定義する。半導体ウェハの位置が変化した場合、場合によってはこの実験を繰り返さなければならない。
【0022】
振幅の最大値が、熱処理の正確な温度と、パイロメータまたは評価ユニットにおいて設定された放射率とに依存しないようにするためには、パイロメータの測定信号の平均値と関連して最大値を定義するのが有利である。たとえば、熱処理の関連のステップ中にパイロメータの測定信号の平均値の1〜4%の範囲内になるように最大値を定義することができる。
【0023】
評価を行うために有利なのは、パイロメータ7(図4)が評価ユニット8に接続されており、該評価ユニット8は該パイロメータの測定信号を評価し、適切である場合には、該信号に放射温度を対応付け、この値を時間に依存してデータメモリに記録する。また、パイロメータの測定信号を時間に依存して直接記録し、該測定信号を温度に明示的に換算することなく評価に使用することもできる。(しかし本明細書では、対照できるようにするために常に、パイロメータ測定信号の振幅を温度の単位で表す。)測定と、測定された値をデータメモリに記憶することとは、全体的な熱処理中に行うか、または所定の時間間隔で行うことができる。可能な限り簡単に測定信号の振幅またはゆらぎ幅を評価できるようにするために有利なのは、温度が一定に維持される熱処理中に本発明による方法を実施すること、すなわち、本発明による方法を加熱処理または冷却処理中に行わないことである。
【0024】
たとえば所定の時間間隔で、時間に依存してパイロメータによって生成された測定信号を評価するために、図5および6に示されたような簡単なスクリーンディスプレイを使用して目視で曲線を評価することができる。しかし有利なのは、この評価を自動的に、たとえば評価ユニットによって行うことである。たとえば、問題が存在することを示すエラーメッセージを適切なポイントで出すことができる。
【0025】
また、半導体ウェハごとに順次得られる振幅を比較して、以下のように、位置が不適正になった原因を推定し、適切な措置をとることができる:
a)半導体ウェハごとに順次得られる振幅(ひいては、帰納的には半導体ウェハの位置)が大きく変化すると、このことの原因はたとえば、半導体ウェハがサセプタ上に位置する場合に熱衝撃が発生して該半導体ウェハの位置が変化したことである可能性がある。さらに、サセプタと半導体ウェハとの間の気体クッション上に浮遊していること、または、下方にピンが設けられている場合には該ピンによって発生した振動であることも原因である可能性がある。この場合、該当する半導体ウェハをマーキングして分離するか、場合によっては、この半導体ウェハにさらに付加的な品質検査チェックを行うことができる。
【0026】
b)ゆらぎ幅が比較的長い期間にわたって緩慢に増大している場合、このことは、半導体ウェハを処理チャンバ内へ輸送する自動輸送装置(たとえばロボット)の位置決め精度が劣化していることを示唆する。この場合、位置誤差が顕著になって、処理される半導体ウェハの品質に悪影響を及ぼす前に、輸送装置の動きを相応に補正することができる。
【0027】
さらに、パイロメータの測定信号の他に付加的に、回転中のサセプタの現在位置を表す信号を時間に依存して記録すると、半導体ウェハがサセプタの縁部に過度に近くなる位置を計算して、半導体ウェハを処理チャンバ内へ輸送するのに使用される自動輸送装置の動きをどのように補正すれば該半導体ウェハの位置を最適にできるかを正確に決定することができる。たとえば、ロボットのステップモータをどの方向に調整すべきか、該ステップモータをどのくらいのステップ数で調整すべきかを計算することができる。
【0028】
本発明の方法は、半導体ウェハの放射率と異なる放射率を有する回転サセプタに該半導体ウェハが載置される、半導体ウェハのすべての熱処理工程に適用することができ、たとえばRTA処理またはCVD処理に適用することができる。特に有利なのは、半導体ウェハのエピタキシャルコーティングで適用することであり、とりわけシリコンウェハのエピタキシャルコーティングで適用することである。
【符号の説明】
【0029】
1 半導体ウェハ
2 サセプタ
3 ポケット
4 リッジ部
5 サセプタ2の縁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
近赤外線放射源によって加熱され近赤外線に対して透過性である処理チャンバ内で熱処理を行う間に半導体ウェハ(1)の不適正な位置を識別する方法であって、
前記半導体ウェハ(1)は回転サセプタ(2)の円形のポケット(3)内に設けられ、前記近赤外線放射源および制御システムを使用して所定の温度に維持され、
熱放射を前記パイロメータ(7)によって測定し、該パイロメータ(7)によって得られた測定信号のゆらぎの振幅を求め、該振幅が所定の最大値を超えた場合には、前記半導体ウェハ(1)の位置が不適正であると推定する方法において、
前記パイロメータ(7)によって検出される測定スポット(6)の一部が前記半導体ウェハ(1)上に存在し、該測定スポット(6)の一部が該半導体ウェハ(1)の外側であって前記サセプタ(2)上に存在するように、該パイロメータ(7)を方向づけし、
前記半導体ウェハ(1)の不適正な位置は、前記サセプタ(2)のポケット(3)内の偏心位置であることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記半導体ウェハ(1)の位置が前記サセプタ(2)のポケット内の中心にあると仮定した場合、前記測定スポット(6)の直径の10〜90%が該半導体ウェハ(1)上にある、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記振幅の最大値を、前記測定信号の平均値の1〜4%の範囲内で定義する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記熱処理は、前記半導体ウェハ上にエピタキシャル層を成層するために使用される熱処理である、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
位置が不適正であると検出された前記半導体ウェハにそれぞれ、処理に欠陥があることを示すマーキングを前記熱処理後に付する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記パイロメータの測定信号の他に付加的に、回転中の前記サセプタの現在位置を表す信号を時間に依存して記録し、
位置が不適正であると検出された場合にはこれらのデータを使用して、前記半導体ウェハを前記処理チャンバ内へ輸送するために使用される自動輸送装置の動きをどのように補正すれば次の半導体ウェハの位置が不適正になることを回避できるかを決定する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−199586(P2010−199586A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−37713(P2010−37713)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(599119503)ジルトロニック アクチエンゲゼルシャフト (223)
【氏名又は名称原語表記】Siltronic AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】