説明

生体還元により活性化されるプロドラッグ

【解決手段】本発明は、式(1)


(式中、Arは、少なくとも1つのニトロ又はアジド基を有する置換アリール又はヘテロアリール基、或いは
式(2)又は(3)


の基;
R1及びR2は、同一でも異なってもよく、独立に、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、アリール、COR3であるか、或いは介在炭素原子と共に、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル又は炭素環を形成する;
Lは、-OC(O)-又は-OP(O)(OR6)-;
nは、0又は1;
Xは、O、S、NR7又は共有単結合;
R3は、OR4又はNR4R5;
R4、R5、R6及びR7は各々独立に、水素又は置換されていてもよいアルキルであるか、或いは
R3がNR4R5の場合、R4及びR5は結合して、介在窒素原子と共にヘテロシクロアルキル環を形成できる;
R8は、水素、アルコキシ又はジアルキルアミノアルキル;
R9は、置換されていてもよいアルキル;
R10は、水素、アルキル、アルコキシ又はジアルキルアミノアルキル;
R11及びR12は独立に、水素、アルキル、アルコキシ、チオアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、モルホリノ、ピペリジノ、ピペラジノ又は1-アジリジニル;
Aは、置換されていてもよいアリール又はヘテロアリール環;及び
Drは、DrXHが細胞毒性化合物又は細胞増殖抑制化合物を表すような部分)
の化合物又は医薬的に許容できるその塩に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞増殖性障害の治療に有用な化合物に関する。より詳細には、本発明は、低酸素条件下で活性化される一連の化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の癌化学療法で使用される多くの薬剤は、増殖する癌細胞に毒性であるが、完全な特異性を欠く。従って、他の正常組織が影響を受け、続いて起こる副作用は投与され得る量を制限する。従って、癌性腫瘍の化合物への曝露、及び続いて治療の有効性は限定される。最近の研究は、作用が細胞分裂停止である、プロテインキナーゼ阻害剤のような有望な臨床活性を有する化合物を示している。しかし、このような化合物の特異性は完全ではなく、正常組織に対する作用から生じる副作用が再び療法の有効性を制限し得る。より選択的に腫瘍を標的とする薬剤の必要性がある。
【0003】
多くの固形腫瘍は低酸素症(低酸素圧)領域を示す。腫瘍の中央領域への不十分な血液供給により、慢性又は急性的でありうる低酸素症が生じる。この低酸素症は、放射線又は従来の化学療法による効果的な治療への挑戦を示す。低酸素領域はしばしば、これらの方法により抵抗性であるからである。しかし、腫瘍低酸素症は、薬剤作用のために腫瘍を標的とするために使用できることが示唆された(Kennedy, Cancer Res. 1980, 40, 2356-2360)。薬剤の標的化のために腫瘍の低酸素領域を使用する1つの特別の方法は、低酸素圧の条件下でのプロドラッグの選択的活性化である。細胞毒性化合物の活性がトリガー部分によってマスクされ、このトリガー部分が低酸素条件下において、マスクされた細胞毒性化合物の活性な細胞毒性剤へのフラグメンテーションを媒介するという概念が進められた(Denny, Lancet Oncol. 2000, 1, 25-9)。この概念を利用しようとする化合物は、典型的には、細胞毒性部分(エフェクター)にしばしばリンカー部分を介し結合したトリガー部分からなる。
【0004】
低酸素症はまた、リウマチ性関節炎の関節の特徴でもある(Rothschild Semin Arthritis Rheum 1982, 12, 11-31)。細胞増殖はまた、関節炎の関節の特徴である。全身的抗増殖剤(例えば、メソトレキセート)は、リウマチ性関節炎の治療で用いられるが、副作用によって制限される。乾癬病巣もまた、細胞増殖と低酸素症とを特徴とする(Dvorak Int. Arch. Allergy Immunol., 1995, 107, 233-5)。低酸素症は、糖尿病性網膜症における網膜の内皮細胞及び湿潤加齢性黄斑変性における眼の脈絡膜の内皮細胞の増殖を促進する(Das, Prog. Retin. Eye Res., 2003, 22, 721-48)。固形腫瘍の十分に記載された低酸素症に加えて、白血病細胞が増殖する部位、例えば、骨髄及び脾臓もまた低酸素でありうる(Jensen, Cell Prolif., 2000, 33, 381-95)
【0005】
ニトロベンゼン、ニトロナフタレン、ニトロイミダゾール、ニトロフラン、ニトロチオフェン、ニトロピロール、ニトロピラゾール、ベンゾキノン、ナフトキノン、インドロキノン及びアジドベンゼンを含む多数の低酸素トリガー部分が開示された(幾つかの例として、Naylor, Mini Rev. Med. Chem., 2001 1, 17-29; Tercel, J. Med. Chem., 2001, 44, 3511-3522及びDamen, Bioorg. Med. Chem., 2002, 10, 71-77参照)。
【0006】
当該分野において、ナイトロジェンマスタード、ホスホルアミドマスタード、タキサン、エネジイン及びインドール誘導体を含む多数のエフェクター部分が利用されてきた(幾つかの例として、Naylorの上記論文中及びPapot, Curr. Med. Chem. Anti Cancer Agents, 2002, 2, 155-185参照)。
【0007】
カルボネート又はカルバメートからなる連結基を介してエフェクターに結合した低酸素トリガーが記載されている(幾つかの例として、Naylor及びPapotの上記論文中参照)。これらの場合、最初の低酸素駆動フラグメンテーションによって形成される中間体である炭酸又はカルバミン酸が更にフラグメント化して活性剤を生じることが意図される。
【0008】
低酸素圧下で選択的に分解し、抗癌剤を放出する化合物に関する一連の仕事にかかわらず、このような化合物はまだ臨床使用されていない。このような化合物の開発に幾つかの問題が生じている。非生体還元過程に対するプロドラッグの安定性の欠如が常に生じる。例えば、Sartorelli(J Med Chem 1986, 29, 84-89)は、低酸素条件下でフラグメント化して5-フルオロウラシルを生じるように設計された一連の5-フルオロウラシルプロドラッグを記載したが、これらの化合物はこの点で化学的不安定性のために有用であるとは判明していなかった。Borch(J Med Chem 2000, 43, 3157-3167)は、キノン還元でホスホルアミドマスタードを放出するように設計された一連のナフトキノンを記載したが、これらの化合物は、細胞毒性アッセイで不安定であり、キノン還元とは異なる機構で活性剤を放出した。同様に、Damen(上記論文中)によって記載されたカルボネート連結タキソールプロドラッグは、細胞アッセイでの酵素的加水分解に対し不安定であると報告されたが、それによって、非還元過程によりタキソールを放出する。Borch(J Med Chem 2001, 44, 74-77)はまた、一連の低酸素症活性化ニトロ複素環ホスホルアミデートを記載したが、それらはインビボにおいて不安定で、急速代謝と、結果としてのほんの数分の除去半減期とを示した。Wilson(J Med Chem 2001, 44, 3511-3522)は、メクロレタミンの生体還元性プロドラッグとして、一連のニトロヘテロアリール四級塩を開示したが、該化合物は、生体還元性薬剤として使用されるメクロレタミンの非特異的放出に関しあまりにも不安定であると結論した。従って、非還元過程に対する安定性の改良を示すプロドラッグは利点を有するだろう。
【0009】
低酸素条件下における、活性剤の放出速度も更に考慮される。有効であるために、生体還元により活性化されるプロドラッグは、プロドラッグのクリアランス及び固形腫瘍の外への薬剤の拡散に匹敵する速度で薬剤を送達する必要がある。当業界のものより速くフラグメント化するプロドラッグ、又は固形腫瘍で通常見出される酸素圧でより効率的にフラグメント化するプロドラッグは利点があろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、生体還元による活性化によって崩壊し、細胞毒性剤又は細胞増殖抑制剤を放出するプロドラッグを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
従って、本発明の一態様によれば、本発明者等は、式(1)
【0012】
【化1】

【0013】
(式中、Arは、少なくとも1つのニトロ又はアジド基を有する置換アリール又はヘテロアリール基、或いは
式(2)又は(3)
【0014】
【化2】

【0015】
の基;
R1及びR2は、同一でも異なってもよく、独立に、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、アリール、COR3であるか、或いは介在炭素原子と共に、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル又は炭素環を形成する;
Lは、-OC(O)-又は-OP(O)(OR6)-;
nは、0又は1;
Xは、O、S、NR7又は共有単結合;
R3は、OR4又はNR4R5;
R4、R5、R6及びR7は各々独立に、水素又は置換されていてもよいアルキルであるか、或いはR3がNR4R5の場合、R4及びR5は結合して、介在窒素原子と共にヘテロシクロアルキル環を形成できる;
R8は、水素、アルコキシ又はジアルキルアミノアルキル;
R9は、置換されていてもよいアルキル;
R10は、水素、アルキル、アルコキシ又はジアルキルアミノアルキル;
R11及びR12は独立に、水素、アルキル、アルコキシ、チオアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、モルホリノ、ピペリジノ、ピペラジノ又は1-アジリジニル;
Aは、置換されていてもよいアリール又はヘテロアリール環;及び
Drは、DrXHが細胞毒性化合物又は細胞増殖抑制化合物を表すような部分)
の化合物又は医薬的に許容できるその塩を提供する。
【0016】
式(1)の化合物の例は以下のものである:
Arは、少なくとも1つのニトロ又はアジド基を有する置換アリール又はヘテロアリール、或いは上記式(2)又は(3)の基;
R1及びR2は、同一でも異なってもよく、独立に、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、アリール、COR3であるか、或いは介在炭素原子と共に、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル又は炭素環を形成する;
Lは、-OC(O)-又は-OP(O)(OR6)-;
nは、0又は1;
Xは、O、S、NR7又は共有単結合;
R3は、OR4又はNR4R5;
R4、R5、R6及びR7は各々独立に、水素又はアルキル;
R8は、水素、アルコキシ又はジアルキルアミノアルキル;
R9は、置換されていてもよいアルキル;
R10は、水素、アルコキシ又はジアルキルアミノアルキル;
R11及びR12は独立に、水素、アルキル、アルコキシ、チオアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ又は1-アジリジニル;
Aは、置換されていてもよいアリール又はヘテロアリール環;及び;
Drは、DrXHが細胞毒性化合物又は細胞増殖抑制化合物を表すような部分。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「アルキル」は、単独又は組合せて、1〜7個、好ましくは最大4個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖のアルキル基を意味し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、及びペンチルである。典型的には、アルキル基又はアルキル部分は、C1-C4又はC1-C2のアルキル基又はアルキル部分といった、1〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルキル部分である。
本明細書で使用するとき、アルコキシは、酸素原子に結合した上記アルキル基である。
本明細書で使用するとき、チオアルコキシ基は硫黄原子に結合した上記アルキル基である。
【0018】
アルケニル基は、例えば、2〜7個の炭素原子を含むオレフィン基であり得、例えば、エテニル、n-プロペニル、i-プロペニル、n-ブテニル、i-ブテニル、s-ブテニル及びt-ブテニルである。典型的には、アルケニル基はC2-C6アルケニル基、例えば、C2-C4アルケニル基である。典型的には、アルケニル基は二重結合を一つだけ含む。
本明細書で使用するとき、アルキニル基は、直鎖又は分岐鎖のアルキニル基であり、典型的には、アルキニル基は、C2-C6、例えばC2-C4のアルキニル基であり、例えばエチニル、n-プロピニル又はn-ブチニルである。典型的には、アルキニル基は、三重結合を一つだけ有する。アルキニル基は、例えばエチニル、プロピニル又はブチニル基でありうる。
【0019】
アルキル、アルケニル又はアルキニル基に存在しうる任意の置換基は、ハロゲン、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルホニル、アリール、ヘテロアリール、アシルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、アルカノイル、アシルオキシ、カルボキシ、サルフェート又はホスフェート基から選択される1つ以上の置換基を含む。アルキル、アルケニル又はアルキニル基に存在しうる任意の置換基の更なる例は、ヘテロシクロアルキル基である。好ましくは、アルキル、アルケニル又はアルキニル基上の置換基は、ハロゲン、アミノ、モノ(C1-C4アルキル)アミノ、ジ(C1-C4アルキル)アミノ、ヒドロキシ、C1-C4アルコキシ、C1-C4アルキルチオ又は(C1-C4アルキル)スルホニル基から選択される。典型的には、アルキル、アルケニル又はアルキニル基は、非置換であるか、或いは1、2、又は3個の置換基で置換されている。典型的には、アルキル、アルケニル又はアルキニル基に存在しうる上記置換基は、それ自体は非置換である。より好ましくは、アルキル、アルケニル又はアルキニル基は、非置換であるか、或いは1、2、又は3個のハロゲン原子で置換されている。
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素を意味する。
【0020】
用語アリールは、非置換のフェニル基、又は1つ以上、好ましくは1〜3個の置換基を有するフェニル基を意味し、置換基の例は、ハロゲン、置換されていてもよいアルキル、ヒドロキシ、ニトロ、アジド、シアノ、アミノ及びアルコキシである。好ましくは、アリール基は、非置換のフェニル基、或いはハロゲン、C1-C6アルキル、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシ及びC1-C4ハロアルコキシから選択される1、2、又は3個の非置換の置換基で置換されているフェニル基である。より好ましくは、アリール基は、非置換のフェニル基、或いはハロゲン、C1-C2アルキル、C1-C2ハロアルキル、C1-C2アルコキシ及びC1-C2ハロアルコキシ置換基から選択される1、2、又は3個の非置換の置換基で置換されているフェニル基である。
【0021】
本明細書で使用するとき、ハロアルキル又はハロアルコキシ基は、1つ以上の上記ハロゲン原子で置換されている上記アルキル又はアルコキシ基である。典型的には、ハロアルキル又はハロアルコキシ基は、1、2、又は3個の上記ハロゲン原子で置換されている。好適なハロアルキル又はハロアルコキシ基としては、-CY3及び-OCY3(Yはハロゲン原子、例えば塩素又はフッ素)といったパーハロアルキル及びパーハロアルコキシ基が挙げられる。特に好適なハロアルキル基は、-CF3及び-CCl3である。特に好適なハロアルコキシ基は、-OCF3及び-OCCl3である。
【0022】
用語ヘテロアリールは、N、S又はO原子から任意の組合せで選択される1〜4個のヘテロ原子を含む単環又は二環の芳香族基として、本明細書では定義される。典型的には、二環芳香族基は、縮合二環芳香族基である。ヘテロアリール基は、典型的には、N、S又はO原子から選択される少なくとも1つのヘテロ原子、例えば、1、2、又は3個のヘテロ原子を含む、5員又は6員環などの5〜10員環である。ヘテロアリール基の例として、ピリジル、ピリミジル、フリル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、インドリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンゾチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、キノリル及びイソキノリル基が挙げられる。ヘテロアリール基は、1つ以上、好ましくは1〜3個の置換基を有し得、置換基の例は、ハロゲン、置換されていてもよいアルキル、ヒドロキシ、ニトロ、アジド、シアノ、アミノ及びアルコキシである。好ましくは、ヘテロアリール基は、非置換のヘテロアリール基又はハロゲン、C1-C6アルキル、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシ及びC1-C4ハロアルコキシから選択される1、2、もしくは3個の非置換の置換基で置換されているヘテロアリール基である。より好ましくは、ヘテロアリール基は非置換であるか、又はハロゲン、C1-C2アルキル、C1-C2ハロアルキル、C1-C2 アルコキシ及びC1-C2ハロアルコキシ置換基から選択される1、2、もしくは3個の非置換の置換基で置換されている。
【0023】
ヘテロシクロアルキル環は、典型的には、1つ以上の炭素原子、例えば、1、2もしくは3個の炭素原子が、N、O又はSから選択されるヘテロ原子によって置換されている非芳香族の飽和又は不飽和のC3-10炭素環である。飽和ヘテロシクロアルキル基が好ましい。用語へテロシクロアルキル環としては、3〜6個の炭素原子と、1又は2個の酸素、硫黄又は窒素原子とを含むヘテロシクロアルキル基が挙げられる。このような基の特定例として、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ホモピペリジニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、モルホリニル又はチオモルホリニル基が挙げられる。
【0024】
ヘテロシクロアルキル環上に存在し得る置換基として、置換されていてもよいアルキル、ハロゲン、オキソ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルスルホニル、アミノスルホニル、アシルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、アルカノイル、アシルオキシ、サルフェート、ホスフェート及びアルキルホスフェートから選択される1つ以上の基が挙げられる。好ましくは、ヘテロシクロアルキル環は、非置換のヘテロシクロアルキル基、又はハロゲン、C1-C6アルキル、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシ及びC1-C4ハロアルコキシから選択される1、2又は3個の非置換の置換基で置換されているヘテロシクロアルキル基である。より好ましくは、ヘテロシクロアルキル環は、非置換であるか、又はハロゲン、C1-C2アルキル、C1-C2ハロアルキル、C1-C2アルコキシ及びC1-C2ハロアルコキシ置換基から選択される1、2もしくは3個の非置換の置換基で置換されている。
【0025】
用語炭素環は、3〜10個の炭素原子を含む脂環式基を意味し、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、又はシクロヘキシルである。脂環式基は、飽和又は不飽和である。典型的には、脂環式環は飽和である。典型的には、炭素環基は、3〜8個、例えば3〜6個の炭素原子を含む。炭素環上に存在しうる置換基としては、置換されていてもよいアルキル、ハロゲン、オキソ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルスルホニル、アミノスルホニル、アシルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、アルカノイル、アシルオキシ、サルフェート、ホスフェート及びアルキルホスフェートから選択される1つ以上の基が挙げられる。好ましくは、炭素環基は、非置換のヘテロアリール基、或いは、ハロゲン、C1-C6アルキル、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシ及びC1-C4ハロアルコキシから選択される1、2、又は3個の非置換の置換基で置換されているヘテロアリール基である。より好ましくは、炭素環基は、非置換であるか、或いは、ハロゲン、(C1-C2)アルキル、(C1-C2)ハロアルキル、C1-C2アルコキシ及びC1-C2ハロアルコキシ置換基から選択される1、2、又は3個の非置換の置換基で置換されている。
【0026】
DrXHによって表される細胞増殖抑制化合物又は細胞毒性化合物は、公知であるか、又は当業者に公知の標準的方法によって決定できる。このような方法として、癌細胞株を用いる、細胞増殖インビトロアッセイが挙げられる。このような方法の例として、チミジン取り込みアッセイのようなDNA合成アッセイ、スルホローダミンBアッセイのような蛋白質染色アッセイ、ニュートラルレッドアッセイのような生染色アッセイ、MTTアッセイのような色素還元アッセイ、及びトリパンブルーアッセイのような色素排除アッセイが挙げられる。DrXHによって表される適切な細胞毒性化合物又は細胞増殖抑制化合物は、1つ以上のインビトロアッセイで少なくとも50%、細胞増殖を阻害する。従って、当業者は、式(1)の基Drを決定できる。
【0027】
典型的には、このような細胞毒性化合物又は細胞増殖抑制化合物の活性は以下によって評価できる:
(a)96ウェルプレート上、103 細胞/ウェルで、10%ウシ胎児血清及び非必須アミノ酸を補充したイーグル最小必須培地にA549細胞を播種すること;
(b)24時間インキュベートして細胞を接着させること;
(c)DMSOに溶解し、細胞培養培地で希釈した試験化合物に細胞を6時間曝し、更に72時間インキュベートすること;及び
(d)各ウェルで生存細胞数を評価すること。
【0028】
典型的には、工程(d)は、各ウェルにMTSテトラゾリウム化合物(オーエン試薬)を加え、4時間放置し、次いで、96ウェルプレートリーダーで490nmの吸光度を測定することによって行う。
典型的には、上記細胞毒性化合物又は細胞増殖抑制化合物は、1mM未満の濃度で、上記アッセイで活性を示す。より典型的には、250nM未満の濃度で活性を示す。
式(1)における基、Dr及びXのより有用な値は、化合物DrXHが、1mM未満の濃度で、1以上の細胞増殖インビトロアッセイで活性である値である。
式(1)における基、DrとXの最も有用な値は、化合物DrXHが、細胞毒性剤又は細胞増殖抑制剤として、標準的方法で測定して、式(1)の対応する化合物より強力である値である。
【0029】
部分DrはXに結合し得、その結果、DrXHにおける基XHは、フェノール性もしくはアルコール性のヒドロキシル基、カルボン酸のOH基、チオール基、アニリノ基、アルキルアニリノ基、アミノ基又はアルキルアミノ基を表す。
nが0、Xが共有単結合である場合、Xによって表される結合は、典型的には薬剤部分Drの複素環窒素原子に結合するだろう。
【0030】
DrXHの非限定例として、以下から選択される化合物が挙げられる:ドキソルビシン及びダウノルビシンのようなアントラサイクリン抗生物質;5−フルオロウラシル、6−メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、ゲムシタビン、カペシタビン、フルダラビン、クラドリビン、トリメトレキセート及びメソトレキセートのような代謝拮抗剤;エピポドフィロトキシン誘導体(例えば、エトポシド及びテニポシド)又は例えば、カンプトテシン誘導体(例えば、トポテカン及びSN38)のようなトポイソメラーゼ阻害剤;並びに、コンブレタスタチン誘導体、例えば、コンブレタスタチンA4、コンブレタスタチンA1及びポドフィロトキシン、ビンカアルカロイド、例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン及びビノレルビン、タキサン誘導体、例えば、パクリタキセル及びドセタキセル、エポチロン誘導体、例えば、エポチロンB、エポチロンD、デオキシエポチロンB及びBMS 247550、ドラスタチン誘導体及びクリプトフィシン誘導体のような有糸分裂阻害剤。DrHの非限定例としてまた、プロテインキナーゼ阻害剤、例えば、プロテインチロシンキナーゼのアニリノキナゾリン阻害剤、例えば、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ZD6474及びAZD2171が挙げられる。DrHの更なる非限定例としては、(6R)-5,6,7,8-テトラヒドロビオプテリンのアンタゴニストが挙げられる。適切なアントラサイクリン抗生物質の更なる例は、エピルビビン(epirubibin)である。適切な代謝拮抗剤の更なる例として、デシタビン(5-アザ-2’-デオキシシチジン)、トロキサシタビン(2’-デオキシ-3’-オキサシチジン)、5-アザシチジン、4’-チオアラシチジン、テザシタビン及びクロファラビンが挙げられる。
【0031】
DrXHが6-メルカプトプリン、6-チオグアニン又はそれらのアナログを表し、nが0である場合、式(1)の化合物の基Ar-CR1R2は、便利には、薬剤のS(6)位置に結合し得、チオエーテルプロドラッグを形成しうる。
DrXHが、シタラビン、ゲムシタビン、カペシタビン、デシタビン(5-アザ-2’-デオキシシチジン)、トロキサシタビン(2’-デオキシ-3’-オキサシチジン)、5-アザシチジン、4’-チオアラシチジン又はテザシタビンといったシトシンアナログを表す場合、基Ar-CR1R2C-(L)nは、便利には、薬剤のN4-位置に結合しうる。
DrXHが、フルダラビン、クロファラビン又はクラドリビンといったアデノシンアナログを表す場合、基Ar-CR1R2-(L)nは、便利には、薬剤のN6-位置に結合しうる。
【0032】
DrXHが、コンブレタスタチンA4又はコンブレタスタチンA1といったコンブレタスタチンアナログを表す場合、基Ar-CR1R2-(L)nは、便利には、コンブレタスタチンB環のフェノール酸素を介し結合しうる。
DrXHが、例えばエトポシド及びテニポシドといったエピポドフィロトキシン誘導体を表す場合、基Ar-CR1R2-(L)nは、便利には、フェノールエーテルとして、4’-デメチルエピポドフィロトキシンの4’位置に結合しうる。
DrXHが、カンプトテシンアナログ又はホモカンプトテシンアナログを表す場合、基Ar-CR1R2-(L)nは、便利には、カンプトテシンの10位置でフェノール酸素又は窒素で結合しうる。
DrXHが、タキサンアナログを表す場合、基Ar-CR1R2-(L)nは、便利には、2’-ヒドロキシ基を介し結合しうる。
【0033】
R1及びR2が、それらが結合する炭素と共にヘテロシクロアルキル環又は炭素環を形成するとき、上記環は典型的には、3〜10員ヘテロシクロアルキル環又はC3-10炭素環であり、該環は、非置換であるか、或いは、ハロゲン、C1-C6アルキル、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシ及びC1-C4ハロアルコキシから選択される1、2又は3個の非置換の置換基で置換されている。
より典型的には、R1及びR2が、それらが結合する炭素と共にヘテロシクロアルキル環又は炭素環を形成するとき、上記環は典型的には、5〜6員ヘテロシクロアルキル環又はC5-6炭素環であり、該環は、非置換であるか、或いはハロゲン、C1-C2アルキル、C1-C2ハロアルキル、C1-C2アルコキシ及びC1-C2ハロアルコキシから選択される1、2又は3個の非置換の置換基で置換されている。
【0034】
好ましくは、R1及びR2が、それらが結合する炭素と共にヘテロシクロアルキル環又は炭素環を形成するとき、上記環は、5〜6員のヘテロシクロアルキル環、例えば、ピペリジル環であり、該環は、非置換であるか、或いは、1つの非置換のC1-C2アルキル基で置換されている。
典型的には、R1及びR2が、それらが結合する炭素と共にヘテロシクロアルキル環も炭素環も形成しないとき、R1及びR2は、同一又は異なって、各々は、非置換のC1-C6アルキル、非置換のC1-C6アルケニル、非置換のC1-C6アルキニル、COR3基、或いは非置換のフェニル基、又はハロゲン、C1-C6アルキル、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシ及びC1-C4ハロアルコキシから選択される1、2もしくは3個の非置換の置換基で置換されているフェニル基を表す。
より典型的には、R1及びR2が、それらが結合する炭素と共にヘテロシクロアルキル環も炭素環も形成しないとき、R1及びR2は、同一又は異なって、各々は、非置換のC1-C4アルキル、非置換のC1-C4アルケニル、非置換のC1-C4アルキニル、COR3基、或いは非置換のフェニル基、又はハロゲン、C1-C4アルキル、ヒドロキシ、アミノ、C1-C2ハロアルキル、C1-C2アルコキシ及びC1-C2ハロアルコキシから選択される1、2もしくは3個の非置換の置換基で置換されているフェニル基を表す。
【0035】
典型的には、R3は、ヒドロキシ、非置換のC1-C4アルコキシ又はNR4R5であり、ここでR4及びR5は、同一又は異なって、各々は、ヒドロキシ又は非置換のC1-C4アルコキシを表すか、或いはR4及びR5は、それらが結合する窒素原子と共に、3〜10員ヘテロシクロアルキル環を形成し、該環は、非置換であるか、又はハロゲン、C1-C6アルキル、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシ及びC1-C4ハロアルコキシから選択される1、2もしくは3個の非置換の置換基で置換されている。
好ましくは、R3は、ヒドロキシ、非置換のC1-C2アルコキシ又はNR4R5であり、ここで、R4及びR5は同一又は異なって、各々は、水素又は非置換のC1-C4アルキルを表す。
【0036】
最も好ましくは、R1及びR2が、それらが結合する炭素と共に、ヘテロシクロアルキル環も炭素環も形成しないとき、R1及びR2は、同一又は異なって、各々は、非置換のC1-C2アルキル又は非置換の-CO2-(C1-C2アルキル)-基を表す。
典型的には、式(1)の化合物で、Lは-OC(O)-又は-OP(O)(OR6)-であり、R6は水素又は非置換のC1-6アルキルである。好ましくは、R6は水素又は非置換のC1-4アルキルである。好ましくは、Lは-OC(O)-である。
典型的には、式(1)の化合物で、Xは、O、S、共有単結合又はNR7であり、ここでR7は、水素又は非置換のC1-C6アルキル、例えば、非置換のC1-C4アルキルである。Xの好適な例は、O、S及びNHである。式(1)の化合物の1つの特に有用な基は、nが0、XがO又はSである基である。式(1)の化合物の他の有用な基は、nが1、XがNHである基である。
【0037】
典型的には、R8は、水素、非置換のC1-C4アルコキシ又は非置換のジ(C1-C6アルキル)アミノ(C1-C6アルキル)である。より典型的には、R8は、水素又は非置換のC1-C2アルコキシである。
典型的には、R9は、非置換のC1-C6アルキル、例えば、非置換のC1-C4アルキルである。
典型的には、R10は、水素、非置換のC1-6アルキル、非置換のC1-4アルコキシ、又は非置換のジ(C1-C6アルキル)アミノ(C1-C6アルキル)である。より典型的には、R10は、水素、非置換のC1-C4アルキル又は非置換のC1-C2アルコキシである。
典型的には、R11及びR12は各々、水素、C1-6アルキル、C1-4アルコキシ、チオ(C1-C4)アルコキシ、アミノ、(C1-C6)アルキルアミノ、ジ(C1-C6)アルキルアミノ、モルホリノ、ピペリジノ、ピペラジノ及び1-アジリジニル置換基から選択される非置換の置換基である。より典型的には、R11及びR12は各々、水素、非置換のC1-4アルキル及び非置換のC1-2アルコキシから選択される。
典型的には、Aはフェニル基又は5員もしくは6員のヘテロアリール環である。典型的には、フェニル基又はヘテロアリール環は、非置換であるか、或いはハロゲン、C1-C4アルキル、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシ及びC1-C4ハロアルコキシ置換基から選択される1、2、又は3個の非置換の置換基で置換されている。好ましくは、フェニル基又はヘテロアリール環は、非置換であるか、或いはハロゲン、C1-C2アルキル及びC1-C2ハロアルキルから選択される1又は2個の非置換の置換基で置換されている。
【0038】
典型的には、式(1)の化合物において、Arは少なくとも1つのニトロ又はアジド基を有する、置換アリール又は5〜10員ヘテロアリール基である。好ましくは、Arは、ニトロ及びアジド基から選択される1つの置換基、並びにハロゲン、C1-C6アルキル、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシ及びC1-C4ハロアルコキシ置換基から選択される0、1、又は2個の更なる非置換の置換基を有する。好ましくは、上記更なる置換基は、ハロゲン、非置換のC1-C4アルキル、ヒドロキシ及びアミノ置換基から選択される。典型的には、Arが、少なくとも1つのニトロ又はアジド基を有する、置換アリール又は5〜10員ヘテロアリール基であるとき、それは、ニトロ又はアジド基から選択される1つの置換基及び0、1又は2個の上記更なる置換基を有する、フェニル又は5〜6員ヘテロアリール基である。より好ましくは、Arが、少なくとも1つのニトロ又はアジド置換基を有する置換アリール又は5〜10員ヘテロアリール基であるとき、該基はニトロ又はアジド基から選択される置換基を一つだけ有する。好ましくは、この置換基はニトロ基である。
【0039】
典型的には、Arは、ニトロ基である唯一の置換基で置換されている、フェニル又は5員もしくは6員のヘテロアリール基、例えば、イミダゾリルもしくはチエニルである。Arの好適な値としては、ニトロフェニル、ニトロイミダゾール、ニトロチオフェン及びニトロフラニル基から選択される非置換の基が挙げられる。式(1)の化合物の特に有用な基は、Arが5-ニトロチエン-2-イル基、5-ニトロフラン-2-イル基又は1-メチル-2-ニトロイミダゾール-5-イル基であるものである。Arの好適例としては、4-ニトロフェニル、1-メチル-2-ニトロイミダゾリル-5-イル及び5-ニトロチエン-2-イルが挙げられる。
好ましくは、式(1)の化合物において、Drは、DrXHがコンブレタスタチンA4、エトポシド、シタラビン又は6-メルカプトプリンであるような部分である。
【0040】
好ましくは、式(1)の化合物において、
(a)R1及びR2は、それらが結合する炭素と共に、3〜10員ヘテロシクロアルキル環又はC3-10炭素環を形成し、該環は、非置換であるか、或いは、ハロゲン、C1-C6アルキル、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシ及びC1-C4ハロアルコキシから選択される1、2もしくは3個の非置換の置換基で置換されている;又は
(b)R1及びR2は、同一又は異なって、各々は、非置換のC1-C6アルキル、非置換のC1-C6アルケニル、非置換のC1-C6アルキニル、COR3基、非置換のフェニル基或いはハロゲン、C1-C6アルキル、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシ及びC1-C4ハロアルコキシから選択される1、2もしくは3個の非置換の置換基で置換されているフェニル基を表す;
R3は、ヒドロキシ、非置換のC1-C4アルコキシ又はNR4R5であり、ここでR4及びR5は同一又は異なって、各々がヒドロキシ又は非置換のC1-C4アルコキシを表すか、或いはR4及びR5が、それらが結合する窒素原子と共に、3〜10員ヘテロシクロアルキル環を形成し、該環は、非置換であるか、又はハロゲン、C1-C6アルキル、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシ及びC1-C4ハロアルコキシから選択される1、2もしくは3個の非置換の置換基で置換されている;
nは0又は1、ここで、nが1のとき、Lは、-OC(O)-又は-OP(O)(OR6)-;
R6は、水素又は非置換のC1-6アルキル;
Xは、O、S、共有単結合又はNR7;
R7は、水素又は非置換のC1-6アルキル;
Arは、ニトロ又はアジド基から選択される1つの置換基、並びにハロゲン、C1-C6アルキル、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシ及びC1-C4ハロアルコキシ置換基から選択される0、1もしくは2個の更なる非置換の置換基を有する、置換アリール又は5〜10員ヘテロアリール基である;及び
Drは、DrXHが、アントラサイクリン抗生物質、代謝拮抗剤、トポイソメラーゼ阻害剤、有糸分裂阻害剤、プロテインキナーゼ阻害剤、又は(6R)-5,6,7,8-テトラヒドロビオプテリンのアンタゴニストであるような部分である。
【0041】
より好ましくは、式(1)の化合物で、
(a)R1及びR2は、それらが結合する炭素と共に、5〜6員のヘテロシクロアルキル環を形成し、該環は、非置換であるか、或いは1つの非置換のC1-C2アルキル基で置換されている;又は
(b)R1及びR2は、同一又は異なって、各々は、非置換のC1-C2アルキル又は非置換の-CO2-(C1-C2 アルキル)基を表す;
nは0又は1、ここでnが1のとき、Lは-OC(O)-;
Xは、O、S又はNH;
Arは、4-ニトロフェニル、1-メチル-2-ニトロイミダゾリル-5-イル又は5-ニトロチエン-2-イル;及び
Drは、DrXHが、コンブレタスタチンA4、エトポシド、シタラビン又は6-メルカプトプリンであるような部分である。
【0042】
最も好ましくは、式(1)の化合物は、1-(4-メトキシ-3-(2-(5-ニトロチオフェン-2-イル)プロパン-2-イル)オキシフェニル-2-(3,4,5-トリメトキシ)フェニル-Z-エテン、1-(4-メトキシ-3-(2-(4-ニトロフェニル)プロパン-2-イル)オキシフェニル-2-(3,4,5-トリメトキシ)フェニル-Z-エテン、9-(7,8-ジヒドロキシ-2-メチル-ヘキサヒドロ-ピラノ[3,2-d][1,3]-ジオキシン-6-イルオキシ)-5-{3,5-ジメトキシ-4-[1-メチル-1-(4-ニトロフェニル)-エトキシ]-フェニル}-5,8,8a,9-テトラヒドロ-5aH-フロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3-d][1,3]ジオキソール-6-オン、6-(2-(4-ニトロフェニル)プロパン-2-イルスルファニル)-9H-プリン、1-(4-メトキシ-3-(1-メチル-4-(5-ニトロチエン-2-イル)ピペリジン-4-イル)オキシカルボニルオキシ)フェニル-2-(3,4,5-トリメトキシ)フェニル-Z-エテン、1-(4-メトキシ-3-(2-(1-メチル-2-ニトロイミダゾール-5-イル)プロパン-2-イル)オキシフェニル-2-(3,4,5-トリメトキシ)フェニル-Z-エテン、6-(2-(5-ニトロチエン-2-イル)プロパン-2-イルスルファニル)-9H-プリン、N4-(2-(5-ニトロチエン-2-イル)プロプ-2-イル)オキシカルボニル-1-b-D-アラビノフラノシルシトシン、1-(3-(1-エトキシカルボニル-1-(5-ニトロチエン-2-イル)エトキシ)-4-メトキシ-フェニル)-2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-Z-エテン及びN-(2-{3-[1-メチル-1-(5-ニトロ-チオフェン-2-イル)-エトキシ]-フェニル}-エチル)-アセトアミドから選択される。
【0043】
式(1)の化合物の1つ以上の官能基が十分に塩基性又は酸性である場合、塩形成が可能である。適切な塩としては、医薬的に許容できる塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、アルキルスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、乳酸塩及び酒石酸塩を含む酸付加塩、ナトリウム塩又はカリウム塩などのアルカリ金属塩、マグネシウム塩又はカルシウム塩などのアルカリ土類金属塩を含む無機塩基由来の塩、並びにモルホリン塩、ピペリジン塩、又はジメチルアミン塩などの有機アミン由来の塩が挙げられる。
式(1)の化合物は、立体異性体及び/又は幾何異性体として存在し得、従って、本発明は、抗癌活性を有する全てのこのような異性体及びそれらの混合物を包含することを当業者は理解するだろう。
【0044】
本発明の化合物の重要で統一的な性質となるものは、置換基R1及びR2の存在である。本発明を限定するものではないが、この位置での2つの置換基の存在は、立体及び/又は電子効果によって化合物に利点を与えると考えられる。例えば、2つの置換基によって提供される立体的かさの増大は、所望の生体還元過程以外の化学的又は酵素的過程による細胞毒性剤部分又は細胞増殖抑制剤部分の放出に対し化合物を安定化できる。別の例として、芳香族基に対してα位置の水素原子の非存在は、この位置での酸化を防止する;このα位置での酸化により、低酸素領域の外へのエフェクターの放出が起こりうる。別の例として、置換基R1及びR2は、低酸素圧の範囲を拡げ得、そこで細胞毒性部分又は細胞増殖抑制部分が放出され、固形腫瘍への細胞毒性化合物又は細胞増殖抑制化合物の送達が増加する。
【0045】
本発明の更なる目的は、式(1)の化合物の製造方法を提供することである。
式(1)の化合物は、一般的に下記のように、そして以後の実施例でより具体的に記載するように、幾つかの工程で製造され得る。以下の方法の記載で、記号Ar、R1、R2、Dr、X、n、R7、及びR8は、示された式で使用するとき、違うように記載されていなければ、式(1)に関し上記基を表すと理解すべきである。下記のスキームで、合成の最終工程の間に次いで除去される保護基を用いることが必要であるかもしれない。このような保護基の適切な使用及びそれらの除去方法は、当業者に容易に明らかであろう。
【0046】
XがO又はS、nが0である式(1)の化合物は、エーテル溶媒などの溶媒中、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル又はジオキサン中で、又は芳香族炭化水素などの溶媒中、例えば、ベンゼンもしくはトルエン中で、又は非プロトン性溶媒中、例えば、ジメチルホルムアミド中で、ホスフィン、例えば、トリフェニルホスフィン又はトリ-n-ブチルホスフィンの存在下、そしてジエチルアゾジカルボキシレート、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート、又は、1,1’-(アゾジカルボニル)ジピペリジンなどのアゾ化合物の存在下、約0℃から該溶媒のおよその還流温度で、簡便には室温で、式(4)の3級アルコールと、式(5)のフェノール、チオフェノール、カルボン酸、チオカルボン酸、アルコール又はチオールとの光延反応によって製造できる。
【0047】
【化3】

【0048】
式(4)のアルコールは、公知であるか、又は当業者に明らかな標準的方法によって製造できる。このような方法として、エーテル溶媒などの溶媒中、例えば、テトラヒドロフラン又はジエチルエーテル中、或いは例えば、ベンゼン又はトルエンなどの芳香族溶媒中での、約−78℃〜溶媒のおよその還流温度の間、好ましくは約0℃〜室温の温度での、式(6)のケトンの、式(7)の有機金属化合物(ここでMは、金属、ハロゲン化金属又はジアルキル金属、例えば、Li、ZnBr、AlR2、MgBr又はMgIを示す)による処理が挙げられる。このような方法としてまた、エーテル溶媒などの溶媒中、例えば、テトラヒドロフラン又はジエチルエーテル中、或いは例えば、ベンゼン又はトルエンなどの芳香族溶媒中での、約−78℃〜溶媒のおよその還流温度、好ましくは約0℃〜室温の温度での、式(8)のケトンの、式(9)の有機金属化合物(ここでMは、金属、ハロゲン化金属又はジアルキル金属、例えば、Li、ZnBr、MgBr又はMgI又はジアルキルアルミニウムを示す)による処理が挙げられる。Arが、少なくとも1つのニトロ基を有する置換アリール又はヘテロアリール基である場合、このような方法はまた、温度約−78℃と室温との間での、適切なニトロ化剤による、適切なアリール基質の芳香族親電子ニトロ化を含む。適切なニトロ化剤は、例えば、酸無水物などの溶媒中、例えば、無水酢酸中、又は酸などの溶媒中、例えば、硫酸もしくは酢酸中の硝酸;エーテル溶媒などの溶媒中、例えば、テトラヒドロフランもしくはジエチルエーテル中、又はアセトニトリルもしくは氷酢酸などの溶媒中、又は塩素化溶媒などの溶媒中、例えば、ジクロロメタン中の四フッ化ホウ酸ニトロニウム(nitronium tetrafluoroborate)、或いはエーテル溶媒などの溶媒中、例えば、テトラヒドロフランもしくはジエチルエーテル中、又はアセトニトリルもしくは氷酢酸などの溶媒中、又は塩素化溶媒などの溶媒中、例えば、ジクロロメタン中、又は芳香族溶媒中、例えば、ベンゼンもしくはトルエン中の四酸化二窒素である。
【0049】
【化4】

【0050】
【化5】

【0051】
n=0である式(1)の化合物はまた、温度約−78℃〜溶媒のおよその還流温度、好ましくは、0℃と室温との間で、炭酸金属などの塩基、例えば、炭酸カリウムもしくは炭酸銀(I)の存在下での、又は水素化金属などの塩基、例えば、水素化ナトリウムもしくは水素化カリウムの存在下での、ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性溶媒中、ジエチルエーテルもしくはテトラヒドロフランなどのエーテル溶媒中、又はアセトンなどのケトン溶媒中の、式(5)の化合物による式(10)のハライド(ここでHalは、塩素、臭素、又はヨウ素原子を表す)の処理によって製造できる。
【0052】
【化6】

【0053】
式(10)のハライドは公知であるか、又は当業者に明白な標準的方法により製造できる。このような方法としては、温度約0℃と溶媒の還流温度との間での、塩素化溶媒などの溶媒中、例えば、ジクロロメタン又は四塩化炭素などの溶媒中の、N-ブロモスクシンイミド、N-クロロスクシンイミド又は臭素などのハロゲン化剤による式(11)の化合物のハロゲン化が挙げられる。
【0054】
【化7】

【0055】
nが0で、Xが、Drに結合しているカルボキシル基の酸素原子を表す式(1)の化合物は、簡便には塩基、例えば、アミン塩基(例えば、ピリジン又はトリエチルアミン)の存在下、約0℃と溶媒の還流温度との間の温度での、塩素化溶媒などの溶媒中、例えば、ジクロロメタン又はトリクロロメタン中の、式DrC(O)Clの酸塩化物による式(4)のアルコールの処理によって製造できる。
【0056】
XがOで、nが1で、Lが-OC(O)-である式(1)の化合物は、簡便には塩基、例えば、アミン塩基(例えば、ピリジン又はトリエチルアミン)の存在下、約0℃と溶媒の還流温度との間の温度での、塩素化溶媒などの溶媒中、例えば、ジクロロメタン又はトリクロロメタン中の、式DrOC(O)Clの酸塩化物による式(4)のアルコールの処理によって製造できる。
【0057】
式DrOC(O)Clの酸塩化物は公知であるか、又は当業者に明白な標準的方法により製造できる。このような方法としては、温度0℃付近〜室温での、ジメチルホルムアミドの添加の有無の両方で、塩素化溶媒などの溶媒中、例えば、ジクロロメタン又はトリクロロメタン中のホスゲン又はトリホスゲンによる式DrOHの化合物の処理が挙げられる。
【0058】
XがNH、nが1、Lが-OC(O)-である式(1)の化合物は、塩素化溶媒などの溶媒中、例えば、ジクロロメタン又はトリクロロメタン中、約0℃と溶媒の還流温度との間の温度で、簡便には塩基、例えば、アミン塩基(例えば、ピリジン又はトリエチルアミン)の存在下での、式DrNCOのイソシアネートによる、式(4)のアルコールの処理によって製造できる。
【0059】
XがNR7で、nが1、Lが-OC(O)-である式(1)の化合物は、塩素化溶媒などの溶媒中、例えば、ジクロロメタン又はトリクロロメタン中、約0℃と溶媒の還流温度との間の温度で、簡便には塩基、例えば、アミン塩基(例えば、ピリジン又はトリエチルアミン)の存在下での、式DrNHR7の化合物による、式(12)のクロロホルメートの処理によって製造できる。
【0060】
【化8】

【0061】
nが1で、Lが-OP(O)(OR6)-である式(1)の化合物は、塩素化溶媒などの溶媒中、例えば、ジクロロメタン又はトリクロロメタン中、約0℃と溶媒の還流温度との間の温度で、簡便には塩基、例えば、アミン塩基(例えば、ピリジン又はトリエチルアミン)の存在下での、式ClP(O)(OR6)XDrの化合物による、式(4)のアルコールの処理によって製造できる。
【0062】
nが1、Lが-OC(O)-、XがSである式(1)の化合物は、塩素化溶媒などの溶媒中、例えば、ジクロロメタン又はトリクロロメタン中、約0℃と溶媒の還流温度との間の温度で、簡便には塩基、例えば、アミン塩基(例えば、ピリジン又はトリエチルアミン)の存在下での、チオールDrSHとの式Ar-CR1R2-O-C(O)Clの適切な酸塩化物の反応によって勿論、製造できる。
【0063】
式(1)の化合物はまた、当業界公知の置換反応、官能基変換、結合形成反応及び環化を含む標準的方法の適用によって式(1)の他の化合物から合成できる。
上記記載のスキームの出発物質は、商業的に獲得でき、又は標準的技術を用いて合成できる。
【0064】
単一のエナンチオマー、又は適宜、ジアステレオマーとしての式(1)の化合物の製造は、エナンチオマー的に純粋な出発物質もしくは中間体からの合成、又は従来の方法での最終産物の分割によってもたらされうる。
【0065】
本発明の化合物は、単一療法として、又は他の治療と組合せて投与できる。固形腫瘍の治療に関し、本発明の化合物は、放射線療法と組合せて、又は例えば、以下のものから選択されるものなどの他の抗腫瘍物質と組合せて投与できる:有糸分裂阻害剤、例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、パクリタキセル、及びドセタキセル;アルキル化剤、例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ナイトロジェンマスタード、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン及びシクロフォスファミド;代謝拮抗剤、例えば、5−フルオロウラシル、シトシンアラビノシド、ゲムシタビン、カペシタビン、メソトレキセート、及びヒドロキシウレア;インターカレート剤、例えば、アドリアマイシン及びブレオマイシン;酵素、例えばアスパラギナーゼ;トポイソメラーゼ阻害剤、例えば、エトポシド、テニポシド、トポテカン及びイリノテカン;チミジル酸シンターゼ阻害剤、例えば、ラルチトレキセド;生物反応修飾剤、例えば、インターフェロン;抗体、例えば、エドレコロマブ、トラスツマブ、ベバシツマブ及びセツキシマブ;レセプターチロシンキナーゼ阻害剤、例えば、ゲフィチニブ、イマチニブ及びエルロチニブ;並びに抗ホルモン、例えば、タモキシフェン。このような組合せ治療は、治療の個々の成分の同時又は順次適用を含みうる。
【0066】
疾患の予防及び治療のために、本発明の化合物は、投与の意図経路と標準的医薬実務に関し選択された医薬組成物として投与できる。このような医薬組成物は、経口、頬、鼻、局所、直腸、又は非経口投与に適した形態をとりえ、通常の賦形剤を用いて通常の方法で製造できる。例えば、経口投与に関し、医薬組成物は錠剤又はカプセルの形態をとりうる。経口投与の組成物はまた、ロゼンジ、水性又は油性懸濁液、分散粉末又は顆粒の形態でありうる。鼻内投与又は吸入投与に関し、便利には、化合物は粉末として又は溶液中で送達しうる。局所投与は軟膏又はクリームとしてであり得、直腸投与は座薬としてであり得る。非経口注射(静脈内、皮下、筋肉内、血管内又は点滴を含む)に関し、組成物は、例えば、滅菌の溶液、懸濁液又はエマルションの形態をとりうる。本発明の化合物はまた、座薬として投与しうる。
【0067】
特定の状態の予防又は治療に必要な本発明の化合物の投与量は、選択される化合物、投与経路、状態の形態及び重度、並びに化合物が、単独で、又は別の薬剤と組合せて投与されるかどうかに依存して変わろう。従って、正確な投与量は投与医師によって決定されるが、一般的な1日投与量では、範囲0.001〜100mg/kg、好ましくは、0.1〜10mg/kgでありうる。典型的には、1日投与量レベルは、0.05mg〜2g、例えば5mg〜1gである。
【0068】
従って、本発明は、式(1)の化合物、又は医薬的に許容できるその塩、及び医薬的に許容できる担体もしくは希釈剤を含む医薬組成物を提供する。
本発明の更なる性質は、医薬として使用のための、式(1)の化合物、又は医薬的に許容できるその塩もしくは溶媒和物である。特に本発明は、ヒト又は動物の身体の治療用の、式(1)の化合物、又は医薬的に許容できるその塩を提供する。
本発明の化合物は、増殖性障害の発生の治療、予防、改善、又は減少に治療的に有用である。典型的には、増殖性障害は低酸素障害である。低酸素障害は典型的には、病気の細胞が低酸素環境で存在する障害である。治療、予防、改善できる障害の例、又はその発生率が減少できる障害の例として、癌、リウマチ性関節炎、乾癬病巣、糖尿病性網膜症、又は湿潤加齢性黄斑変性が挙げられる。
【0069】
典型的には、障害は癌である。好ましくは、癌は低酸素性癌である。低酸素性癌は勿論、癌細胞が低酸素環境にある癌である。最も好ましくは、癌は固形腫瘍又は白血病である。典型的には、白血病は、脾臓又は骨髄を含む白血病である。
【0070】
本発明の更なる態様によれば、増殖性疾患、例えば、癌に罹患している温血動物、例えば、ヒトの治療での使用のための医薬の製造における、式(1)の化合物又は医薬的に許容できるその塩もしくは溶媒和物の使用が提供される。特に本発明は、上記増殖性障害の予防又は治療のために、ヒト又は動物の身体の治療での使用のための医薬の製造における、式(1)の化合物、又は医薬的に許容できるその塩の使用を提供する。
【0071】
本発明の更なる態様によれば、治療によるヒト又は動物の身体の治療方法での使用のために、式(1)の化合物、又は医薬的に許容できるその塩もしくは溶媒和物が提供される。特に、本発明は、患者での上記増殖性障害の発生率の改善又は減少方法を提供し、この方法は、患者に、有効量の式(1)の化合物、又は医薬的に許容できるその塩を投与することを含む。
【0072】
幾つかの酵素は、アリール及びヘテロアリールのニトロ基を還元できる。従って、固形腫瘍内のこのような酵素の活性を増加する戦略は、ニトロ還元に依存するプロドラッグの活性を更に増加できる。同様に、幾つかの酵素は、キノン及びインドロキノンを還元でき、従って、キノン還元による活性化を必要とする薬剤の有効性を増加するために、同様の戦略が可能である。このような戦略は、このような酵素と腫瘍標的化抗体の結合、次いで、固形腫瘍を有する宿主へのこのような酵素抗体コンジュゲートの投与、コンジュゲートが腫瘍に局在化した後のプロドラッグの投与を含む。このアプローチは、抗体指向酵素プロドラッグ療法(ADEPT)として知られる。或いは、プロドラッグの投与前に腫瘍で、酵素をコードする遺伝子が選択的に送達され得、及び/又は選択的に発現しうる。このアプローチは、遺伝子指向酵素プロドラッグ療法(GDEPT)として知られる。遺伝子がウイルスベクターによって送達されるとき、アプローチはときには、ウイルス指向酵素プロドラッグ療法(VDEPT)として知られる。
【0073】
Anlezarkは、ニトロレダクターゼ及びADEPT戦略でのそれらの使用を開示した。この戦略での使用のためのプロドラッグも開示された(米国特許5633158及び米国特許5977065)。WO 00 047725で、Anlezarkはニトロレダクターゼ酵素とGDEPT戦略でのそれらの使用の更なる開示を提供する。Denny (WO 00 064864)は、GDEPT戦略での使用のための、ニトロアリール及びニトロヘテロアリールプロドラッグを開示した。ADEPT、GDEPT及びMDEPT(高分子指向酵素プロドラッグ療法)でのキノン還元酵素の使用は、Skelly et al. Mini Rev Med Chem. 2001, 1, 293-306に考察されている。
【0074】
従って、本発明の更なる目的は、ヒト身体の治療方法で、レダクターゼ、抗体-レダクターゼコンジュゲート、高分子-レダクターゼコンジュゲート、又はレダクターゼ遺伝子をコードするDNAと組合せた、式(1)の化合物の使用を提供することである。従って、本発明は、患者における上記増殖性障害の発生率の改善又は減少方法であって、上記患者に、有効量の、
(a)式(1)の化合物又は医薬的に許容できるその塩;及び
(b)レダクターゼ、抗体-レダクターゼコンジュゲート、高分子-レダクターゼコンジュゲート、又はレダクターゼ遺伝子をコードするDNA;
を投与することを含む方法を提供する。
更に、本発明は、増殖性状態の治療における、同時、分離又は順次の使用のための、
(a)式(1)の化合物又は医薬的に許容できるその塩;及び
(b)レダクターゼ、抗体-レダクターゼコンジュゲート、高分子-レダクターゼコンジュゲート、又はレダクターゼ遺伝子をコードするDNA;
を含む製品を提供する。
低酸素条件下で選択的に細胞毒性剤又は細胞増殖抑制剤を放出する本発明の化合物の能力は、例えば、下記の方法の1つ以上を用いて評価できる。
【0075】
放射線分解
固形腫瘍の低酸素環境で、プロドラッグは、正常組織の正常酸素環境では阻害される一電子過程によって還元できる。放射線分解は、1電子還元後、生体還元により活性化されるプロドラッグが活性剤を放出する能力を示す。化合物は、濃度50μM以下でイソプロパノール/水混合物(50:50)に溶解した。気体密封シリンジ中の溶液は、3.9Gy/分の線量率(Fricke線量測定によって測定:H. Fricke and E.J. Hart, “Chemical Dosimetry” in Radiation Dosimetry Vol. 2 (F.H. Attrix and W. C. Roesch. Eds.), pp 167-239. Academic Press New York, 1966.)での60Co源における照射前に、亜酸化窒素で飽和された。溶液の放出薬剤を、HPLCで分析した。選択された実施例化合物の、このアッセイで得られた放射線化学収量(G値)を表1に示す。
【0076】
【表1】

【0077】
シトクロムp450レダクターゼによる薬剤放出
シトクロムp450レダクターゼは、ヒト腫瘍で、正常組織と同様に広範に発現され、生体還元を触媒できる幾つかの酵素の1つである。本アッセイは、低酸素条件下、選択的にシトクロムp450によって触媒され活性薬剤へフラグメント化するプロドラッグの能力を示す。化合物は、DMSO中濃度625mMに溶解され、20mLを、50 mmol/dm3リン酸カリウム緩衝液pH 7.4 (2.4mL)、NADPH(20μLの10mM溶液)及び60μLのSupersomal(商標)p450レダクターゼ(Gentest;カタログ番号P244)の混合物に加え、37°Cでインキュベートした。窒素下実験のために、化合物添加前に20分間、混合物を窒素で脱気し、インキュベーションの間、窒素で過剰気体にした。サンプル(100μl)を、一定の間隔でとり、等量のアセトニトリルに加え、次いで、混合し、2分間14,300 RPMで遠心し、HPLCで産物分析を行った。この試験で、実施例1の化合物は、窒素下、蛋白質1mg当たり710pmol/分の速度でコンブレタスタチンA4を産生したが、空気下では蛋白質1mg当たりほんの110pmol/分しか産生しなかった。
【0078】
腫瘍ホモジネートにおける代謝
有用な生体還元性プロドラッグは、このアッセイで腫瘍ホモジネートの存在下、低酸素条件下、選択的に活性薬剤を放出することが示され得る。新たに切り出されたCaNT腫瘍(約0.5〜1g)は、15 mlの氷冷50 mmol/dm3リン酸カリウム緩衝液pH 7.4にホモジナイズした。ホモジネートを、1000 RPMで10分遠心し、上清を氷上に保存した。空気及びN2中、5 μmol/dm3プロドラッグの代謝は、37oCでインキュベートされた50 mmol /dm3 リン酸カリウム緩衝液pH 7.4中の100 μmol/dm3 NADPHを有する0.5 ml腫瘍ホモジネート(Bradfordアッセイで蛋白質約3 mg)で実施した。サンプル(60 μl)を、一定の間隔でとり、同体積のアセトニトリルに加え、次いで混合し、2分間14,300 RPMで遠心し、HPLCで産物分析を行った。この試験で、実施例1の化合物は、窒素下、蛋白質1mg当たり120pmol/分の速度でコンブレタスタチンA4を産生したが、空気下では蛋白質1mg当たりほんの8pmol/分しか産生しなかった。
【0079】
細胞の細胞毒性
本発明の好適な実施態様において、式(1)の化合物は、低酸素条件下放出される式DrXHの対応する細胞毒性化合物又は細胞増殖抑制化合物よりも、細胞毒性剤又は細胞増殖抑制剤として、強力ではないであろう。式(1)の化合物及び式DrXHの化合物の細胞毒性特性又は細胞増殖抑制特性は、例えば(例えば、このアッセイを)使用することで測定できる。細胞増殖における生細胞数を決定するための比色分析法である、Celltiter 96(登録商標)Aqueous One Solution Cell Proliferation Assay kit (プロメガ社、米国)、又は細胞毒性アッセイを利用した。このアッセイにおいて、MTSテトラゾリウム化合物(オーエン試薬)は生細胞によって生体還元されて組織培養培地に可溶性の着色ホルマザン生成物となり、着色ホルマザン生成物は96ウェルプレートリーダーにより490 nmにおける吸光度を記録することによって測定できる。A549細胞を10%ウシ胎児血清及び非必須アミノ酸を含むイーグル最小必須培地に96ウェルプレート上で1ウェルあたり103個播種し、24時間接着させた。化合物をDMSO中に溶解し、添加する前に細胞培養培地に希釈した。細胞を試験化合物(0〜2 μmol/dm3)に6時間曝露し、さらに72時間インキュベートした。MTS試薬を各ウェルに添加し、4時間放置し、96ウェルプレートリーダーにより490 nmにおける吸光度を測定した。このアッセイにおいて、コンブレタスタチンA4は250nM周辺の濃度でコントロールの50%まで細胞数を減少させるのに対して、実施例1の化合物は2μMまでの濃度においても活性を有さなかった。
【0080】
肝ホモジネートにおける代謝
該化合物の代謝安定性及び酸素性肝による薬物の不都合な放出は、例えば、このアッセイを用いることで評価できる。新たに切除されたマウス肝臓(約1g)を15 mlの氷冷50 mmol/dm3リン酸カリウム緩衝液pH7.4でホモジナイズした。ホモジネートを1000RPMで10分間遠心し、上清を氷上に保存した。空気中における5 μmol/dm3プロドラッグの代謝は、37℃でインキュベートされた50 mmol/dm3リン酸カリウム緩衝液pH 7.4中の100μmol/dm3 NADPHを有する0.5ml肝臓ホモジネート(Bradfordアッセイで蛋白質約4 mg)で行った。サンプル(60μl)を、一定の間隔でとり、等量のアセトニトリルに加え、次いで混合し、14,300 RPMで2分間遠心し、HPLCで産物分析を行った。この試験において、実施例1の化合物は蛋白質1mg当たり3pmol/分の速度でコンブレタスタチンA4を産生した。一方、対応する化合物であって本発明の重要な特徴を欠く1-(4-メトキシ-3-(5-ニトロチエン-2-イル)メトキシ)フェニル-2-(3,4,5-トリメトキシ)フェニル-Z-エテンは、蛋白質1mg当たり20 pmol/分のより大きな速度でコンブレタスタチンを産生した。
【実施例】
【0081】
特に言及しない限り、本発明は以下の制限されていない実施例により説明される。
【0082】
DMFはジメチルホルムアミドを意味する。
THFはテトラヒドロフランを意味する。
MeOHはメチルアルコールを意味する。
EtOAcは酢酸エチルを意味する。
DCMはジクロロメタンを意味する。
TLCは薄層クロマトグラフィーを意味する。
MeCNはアセトニトリルを意味する。
TFAはトリフルオロ酢酸を意味する。
LC-RTは、Waters Integrity systemを用いた、電子衝撃イオン化法での質量分光法による検出によって実施される高速液体クロマトグラフィーにより与えられる保持時間を意味する(クロマトグラフィーには、流速0.5 ml/分で、様々な溶媒グラジェント[A:10% アセトニトリル、水又はB:5% アセトニトリル、0.1% TFAのいずれかと共にC:アセトニトリル]にてHichrom RPBカラム(100 x 3.2 mm)を用いた)。
【0083】
[実施例1]1-(4-メトキシ-3-(2-(5-ニトロチオフェン-2-イル)プロパン-2-イル)オキシフェニル-2-(3,4,5-トリメトキシ)フェニル-Z-エテン
【0084】
【化9】

【0085】
1-メチル-1-(5-ニトロチオフェン-2-イル)エタノール(200 mg, 1.07 mmol)をベンゼン(2.5 ml)にコンブレタスタチンA4 (320 mg, 1 mmol)及び1,1-(アゾジカルボニル)ジピペリジン(ADDP, 250 mg, 1 mmol)と共に溶解し、該溶液をアルゴン下、攪拌して維持した。ついでトリブチルホスフィン(200 mg, 1 mmol、ベンゼン(0.5 ml)中に溶解したもの)をシリンジでアルゴン下で加えた。該溶液を20℃で24時間攪拌し、ついでEtOAc/水(100 ml)で分配し、有機相をブライン(50 ml)で洗浄、乾燥(MgSO4)及び留去した。残渣をシリカゲル(33% EtOAc/ヘキサン)上、及び第2のシリカカラム(DCM)上のフラッシュクロマトグラフィーで精製して、淡黄色油状物(150 mg, 31%)を得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) d 7.78 (d, J = 5 Hz, 1H), 7.05 (d, J = 5 Hz, 1H), 6.86 (d, J = 5 Hz, 1H), 6.81 (s, 1H), 6.74 (s, 1H), 6.475 (d, J = 5 Hz, 4H), 3.89 (s, 3H), 3.85 (s, 3H), 3.76 (s, 3H), 3.75 (s, 3H), 1.63 (s, 3H), 1.60 (s, 3H) ppm. MS (m/z, %) 485 (M+, 4.3 %), 316 (100 %), 301 (56 %). LC-RT 4.34分(100 % MeCN).
【0086】
[実施例2]1-(4-メトキシ-3-(2-(4-ニトロフェニル)プロパン-2-イル)オキシフェニル-2-(3,4,5-トリメトキシ)フェニル-Z-エテン
【0087】
【化10】

【0088】
水素化ナトリウム(9 mg, 0.22 mmol)をDMF(0.2mL)中のコンブレタスタチンA4(60 mg, 0.19 mmol)に加えた。これにDMF(0.2 mL)中の2-ブロモ-2-(4-ニトロ)フェニルプロパン(54 mg, 0.22 mmol)を加え、反応物を72時間攪拌した。該反応混合物を分配(EtOAc及びブライン)し、水相を抽出(EtOAc)し、有機相を混合して乾燥(MgSO4)し、留去した。溶媒として10% EtOAc/ヘキサンを用いた分取TLCにより、ワックスとして生成物(8 mg, 9%)を得た。
TLC Rf=0.15, 10% EtOAc/ヘキサン; LC-RT 4.14分(100% MeCN).
MS (m/z, %) 479 (M+, 15 %), 316 (100 %), 301 (66 %), 163 (15 %), 149 (9 %), 133 (40 %). 1H NMR (250 MHz, CDCl3) d 7.88 (2H, s, ArH), 7.33 (1H, s, ArH), 7.04 (1H, dd, J=8.3, 1.9, ArH), 6.87 (2H, m, 2 x ArH), 6.41 (2H, s, CH=CH, 2 x ArH), 6.33 (3H, m, CH=CH, ArH), 3.95 (3H, s, OCH3), 3.89 (3H, s, OCH3), 3.76 (6H, s, 2 x OCH3), 1.71 (6H, s, 2 x CH3) ppm.
【0089】
[実施例3]9-(7,8-ジヒドロキシ-2-メチル-ヘキサヒドロ-ピラノ[3,2-d][1,3]-ジオキシン-6-イルオキシ)-5-{3,5-ジメトキシ-4-[1-メチル-1-(4-ニトロフェニル)-エトキシ]-フェニル}-5,8,8a,9-テトラヒドロ-5aH-フロ[3’,4’:6,7]ナフトロ[2,3-d][1,3]ジオキソール-6-オン
【0090】
【化11】

【0091】
水素化ナトリウム(40 mg, 0.84 mmol)をエトポシド(144 mg, 0.56 mmol)、2-ブロモ-2-(4-ニトロ)フェニルプロパン(204 mg, 0.84 mmol)の混合物のDMF(0.5 mL)溶液に加え、該反応物を72時間攪拌した。該反応混合物を分配(EtOAc及びブライン)し、水相を抽出(EtOAc)し、有機相を混合して乾燥(MgSO4)及び留去した。溶媒としてEtOAcを使用した分取TLC及び次ぐ分取HPLCにより、ワックス(8 mg, 2 %)として生成物を得た。
TLC Rf=0.7, EtOAc. LC-RT 6.29分 (TFA 50-100 %).
MS (m/z, %) 663 (1 %), 401 (1 %), 398 (1 %), 382 (5 %), 353 (1 %), 324 (3 %), 163 (100 %), 150 (20 %), 133 (80 %). 1H NMR (250 MHz, CDCl3) d 8.26 (2H, d, J=7.0, ArH), 7.91 (2H, d, J=7.0, ArH), 6.84 (1H, s, ArH), 6.56 (1H, s, ArH), 6.47 (1H, s, ArH), 6.41 (1H, s, ArH), 6.03 (1H, d, J=1.3, OCH2O), 6.02 (1H, d, J=1.3, OCH2O), 5.00 (1H, d, J=3.0, OCHO), 4.79 (1H, q, J=4.8, OCHO), 4.59 (2H, m, ArCHAr, ArCHCH), 4.27 (1H, d, J=4.8, OCH), 4.22 (1H, dd, J=4.8, OCH), 3.97 (1H, d, J=7.6, ), 3.71 (6H, s, OCH3), 3.63 (2H, t, J=10.2, CO2CHH), 3.54 (1H, t, J=7.9, CHOH), 3.39 (1H, t, J=9.3, CHOH), 3.22 (2H, m, OCH, ArCHCH), 3.02 (1H, m, CH), 2.81 (1H, bs, OH), 2.69 (1H, bs, OH), 1.72 (3H, s, CH3), 1.70 (3H, s, CH3), 1.42 (3H, d, J=5.0, CH3) ppm.
【0092】
[実施例4]6-(2-(4-ニトロフェニル)プロパン-2-イルスルファニル)-9H-プリン
【0093】
【化12】

【0094】
水素化ナトリウム(80 mg, 1.96 mmol)をDMF(2 mL)中の6-メルカプトプリン(308 mg, 1.88 mmol)に加えた。ここに、DMF(2 mL)中の2-ブロモ-2-(4-ニトロ)フェニルプロパン(400 mg, 0.98 mmol)を加え、該反応物を24時間攪拌した。該反応混合物を分配(EtOAc及びブライン)し、水相を抽出(EtOAc)、有機相を混合し、次いで洗浄(水そしてブライン)、乾燥(MgSO4)、及び留去した。50%及び75%のEtOAc/ヘキサン、そして100% EtOAcにより溶出するフラッシュクロマトグラフィーにより、綿毛状の白色固体(101 mg, 33%)を得た。
TLC Rf=0.48, EtOAc; mp 206-208 °C; LC-RT 4.2分(TFA 50-100%).
MS (m/z, %) 315 (M+, 8 %), 163 (40 %), 152 (100 %), 133 (25 %), 125 (20 %). 1H NMR (250 MHz, CDCl3) d 8.52 (1H, s, N=CH), 8.27 (1H, s, N=CH), 8.18 (2H, d, J=7.0, ArH), 7.92 (1H, d, J=7.0, ArH), 2.16 (6H, s, 2 x CH3) ppm.
【0095】
[実施例5]1-(4-メトキシ-3-(1-メチル-4-(5-ニトロチエン-2-イル)ピペリジン-4-イル)オキシカルボニルオキシ)フェニル-2-(3,4,5-トリメトキシ)フェニル-Z-エテン
【0096】
【化13】

【0097】
ホスゲン(0.1 mL, 0.20 mmol, トルエン中20%溶液)をDCM(0.5 mL)に0℃で加えた。ここに、DCM(0.5 mL)中のコンブレタスタチン A4 (56 mg, 0.18 mmol)を加え、1時間後にトリエチルアミン(28 μL, 0.20 mmol)を加えた。6時間後、該反応混合物を、4-ヒドロキシ-1-メチル-4-(5-ニトロチエン-2-イル)ピペリジン(44 mg, 0.18 mmol)、ピリジン(15 μL, 0.18 mmol)、DCM(1 mL) 及びDMF(1 mL)の冷却(0℃)溶液に、滴下して加えた。該反応混合物を周囲温度に達しさせ、さらに2時間攪拌した。該褐色溶液を分配(EtOAc、ブライン)し、水相を抽出(EtOAc)し、有機相を洗浄(H2O、ブライン)、乾燥(MgSO4)及び減圧濃縮した。50% EtOAc/ヘキサン、100% EtOAcそして50% MeOH/EtOAcで溶出するフラッシュクロマトグラフィーにより、橙色〜褐色のワックス(39 mg, 37 %)として目的の生成物を得た。
Rf=0.34 (50% MeOH/EtOAc); 1H NMR (500MHz, CDCl3) d 7.87 (d, 1H, J=5.0Hz, Ar-H), 7.18 (d, 1H, J=5.0Hz, Ar-H), 7.12 (s, 1H, Ar-H), 7.10 (s, 1H, J=5.0Hz, Ar-H), 6.88 (d, 1H, J=5.0Hz, CH), 6.53 (s, 2H, Ar-H), 6.50 (d, 2H, J=5.0Hz, Ar-H, CH), 3.87 (s, 3H, O-CH3), 3.82 (s, 3H, O-CH3), 3.74 (s, 6H, O-CH3), 2.82 (bd, 2H, J=15.0Hz, CH2), 2.68 (bd, 2H, J=15.0Hz, CH2), 2.52 (bt, 2H, J=10.0Hz, CH2), 2.42 (s, 2H, N-CH3), 2.25 (bt, 2H, J=10.0Hz, CH2) ppm; LC-RT 5.14分(TFA 50-100%); MS (m/z, %) 584 (M+, 1 %), 316 (33 %), 301 (40 %), 225 (100 %).
【0098】
上記調製において出発化合物として用いられる4-ヒドロキシ-1-メチル-4-(5-ニトロチエン-2-イル)-ピペリジンは、次のように調製した。
【0099】
n-ブチルリチウム(14 mL, 22.4 mmol)を-78℃でTHF(80 mL)中のN,N-ジイソプロピルアミン(2.26 g, 22.4 mmol)の溶液に加えた。5分後、THF(10 mL)中の2-ニトロチオフェン(2.47 g, 19.18 mmol)の溶液を滴下して加えた。さらに5分後、THF(10 mL)中の1-メチル-ピペリジン-4-オン(2.53 g, 22.4 mmol)の溶液を加え、該反応混合物をさらに1時間攪拌した。該反応物を飽和NH4Cl(aq)及び濃塩酸(2mL)でクエンチし、周囲温度に達しさせた。反応混合物を分配(EtOAc, H2O)し、水相を抽出(EtOAc)、中和(飽和NaHCO3(aq))し、さらに再抽出(EtOAc)した。ついで有機相を洗浄(H2O, ブライン)、乾燥(MgSO4)し、褐色油状物に減圧濃縮した。EtOAc、50% MeOH/EtOAc及び100% MeOHで溶出するフラッシュクロマトグラフィーにより、クリーム状褐色固体(572 mg, 12 %)として目的の生成物を得た。
mp 156-157°C; 1H NMR (60MHz, CDCl3) d 7.81 (d, 1H, J=4.2Hz, Ar-H), 6.91 (d, 1H, J=4.2Hz, Ar-H), 2.68 (s, 3H, N-CH3), 2.33-1.94 (m, 8H, CH2) ppm; LC-RT 2.97分(TFA 20-50%); MS (m/z, %) 242 (M+, 100 %), 224 (50 %), 197 (29 %).
【0100】
[実施例6]1-(4-メトキシ-3-(2-(1-メチル-2-ニトロイミダゾール-5-イル)プロパン-2-イル)オキシフェニル-2-(3,4,5-トリメトキシ) フェニル-Z-エテン
【0101】
【化14】

【0102】
5-(1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)-1-メチル-2-ニトロ-1H-イミダゾール(10 mg, 0.054 mmol)をTHF(1.5 mL)に、トリフェニルホスフィン(42 mg, 0.16 mmol) 及びコンブレタスタチン A4 (51 mg, 0.16 mmol)と共に溶解した。ついでジエチルアゾジカルボキシレート(28 mg, 0.16 mmol)を加え、該溶液を18時間室温で攪拌した。ついで5-(1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)-1-メチル-2-ニトロ-1H-イミダゾールのさらなる量(10 mg, 0.054 mmol)を加え、さらに18時間後、該溶液を直接シリカカラムにアプライし、25 % EtOAc/ヘキサンで溶出し、黄色ゴム(30 mg, 15 %)として表題化合物を得た。
LC-RT 6.55分 (TFA 50-100%); MS (m/z, %) 484 (M+, 6 %), 438 (6 %), 317 (100 %), 302 (54 %), 170 (16 %). 1H NMR (250 MHz, CDCl3) d 7.32 (1H, s, HArH), 7.03 (1H, dd, J=8.5, 2.0, ArH), 6.86 (2H, t, J=4.8, ArH), 6.49 (4H, m, CH=CH, 2 x ArH), 3.91 (3H, s, OCH3), 3.81 (3H, s, OCH3), 3.77 (6H, s, 2 x OCH3), 3.70 (3H, s, NCH3), 1.68 (6H, s, 2 x CH3) ppm.
【0103】
[実施例7]6-(2-(5-ニトロチエン-2-イル)プロパン-2-イルスルファニル)-9H-プリン
【0104】
【化15】

【0105】
水素化ナトリウム(16mg, 0.40mmol)をDMF(1mL)中の6-メルカプトプリン水和物(34mg, 0.20mmol)に加え、該反応物を2時間攪拌した。該反応混合物にパスツールピペットにより2-クロロ-2-(5-ニトロチエン-2-イル)プロパン及びDMF(1mL)の溶液を加えた。2時間後、該混合液を分配(酢酸エチル及びブライン)し、水相を抽出(酢酸エチル)し、有機相を混合し、洗浄(水、ついでブライン)し、ついで減圧下フラッシュシリカに吸着させた。DCM、ついで2%メタノール / DCMで溶出するフラッシュクロマトグラフィーにより、黄色油状物(25mg, 40%)を得た。
TLC Rf=0.3, 10% メタノール / DCM. 1H NMR (500MHz, CDCl3) d 8.62 (1H, s, N=CH), 8.16 (1H, s, N=CH), 7.78 (1H, d, J=5.0, ArH), 7.17 (1H, d, J=5.0, ArH), 2.19 (6H, s, 2 x CH3) ppm.
【0106】
[実施例8]N4-(2-(5-ニトロチエン-2-イル)プロプ-2-イル)オキシカルボニル-1-b-D-アラビノフラノシルシトシン
【0107】
【化16】

【0108】
炭酸カリウム(2mg, 0.01mmol)をTHF(0.13mL)及びメタノール(0.13mL)中のN4-(2-(5-ニトロチエン-2-イル)プロプ-2-イル)オキシカルボニル-1-b-D-トリアセトキシアラビノフラノシルシトシン(50mg, 0.05mmol)に加えた。該反応物を12時間攪拌し、ついでフラッシュシリカパッドを通してろ過した。該バッドをメタノールで洗浄し、ろ液を留去した。酢酸エチル次いで2%、5%、15%及び20%のメタノール/酢酸エチルで連続的に溶出するフラッシュクロマトグラフィーにより、表題化合物(16mg, 67%)をワックス状白色固体として得た。
TLC Rf=0.5, 10% メタノール /酢酸エチル; mpt 127-129°C. 1H NMR (500MHz, d6-DMSO) d 10.78 (1H, s, NH), 8.04 (1H, d, J=5.0, HArH), 8.00 (1H, d, J=10, NCH), 7.26 (1H, d, J=5.0, HArH), 6.87 (1H, d, J=10.0, NCH=CH), 6.04 (1H, d, J=5.0, NCHO), 5.45 (2H, s, J=5.0, 2 x OH), 5.02 (1H, t, J=5.0, OH), 4.06 (1H, bs, CHOH), 3.92 (1H, bs, OCHCH2OH), 3.92 (1H, bs, CHOH), 3.61 (2H, m, J=5.0, CH2OH), 1.88 (6H, s, 2 x CH3) ppm.
【0109】
上記調製で用いられるN4-(2-(5-ニトロチエン-2-イル)プロプ-2-イル)オキシカルボニル-1-b-D-トリアセトキシアラビノフラノシルシトシンは、次のように調製した。
【0110】
2-(5-ニトロチエン-2-イル)プロパン-2-オール(152mg, 0.81mmol)、トリアセチル-Ara-C (300mg, 0.74mmol)、ピリジン(126uL, 1.55mmol) 及びDCM(2mL)を0℃で攪拌した。ホスゲンの溶液(0.8mL, 1.48mmol,トルエン中2M)を該反応混合物に滴下して加え、72時間攪拌を続けた。反応混合物を分配(酢酸エチル及び水)し、水相を抽出(酢酸エチル)し、有機相を混合し、洗浄(水及びブライン)そして乾燥(Na2SO4)及び留去した。20%及び60%の酢酸エチル/ヘキサン、次いで100%酢酸エチルで溶出するフラッシュクロマトグラフィーにより、黄色油状物(50mg, 11%)を得た。
TLC Rf=0.6, 酢酸エチル
【0111】
[実施例9]1-(3-(1-エトキシカルボニル-1-(5-ニトロチエン-2-イル)エトキシ)-4-メトキシ-フェニル)-2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-Z-エテン
【0112】
【化17】

【0113】
ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(128mg, 0.63mmol)を、THF(1mL)中のエチル 2-ヒドロキシ-2-(5-ニトロチエン-2-イル)プロパノエート(54mg, 0.22mmol)、コンブレタスタチンA4 (100mg, 0.32mmol) 及びトリフェニルホスフィン(166mg, 0.63mmol)の溶液に滴下して加えた。該反応混合物を16時間攪拌し、ついで減圧下フラッシュシリカに吸着させた。25% EtOAc/ヘキサンで溶出するフラッシュクロマトグラフィーにより、コンブレタスタチンA4及び目的産物の混合物を得た。3% EtOAc/DCMで溶出するさらなるフラッシュクロマトグラフィーにより、表題化合物を黄色油状物(50mg, 42%)として得た。
TLC Rf=0.2, 30% EtOAc/ヘキサン; LC-RT 5.74分 (TFA50-100%); MS m/z 543 (M+), 497 (M+-NO2), 316, 301, 283, 252, 241. 1H NMR (250 MHz, CDCl3) d 7.82 (1H, d, J=4.3, HArH), 7.06 (1H, dd, J=8.4, 2.1, ArH), 7.02 (1H, d, J=4.3, HArH), 6.87 (1H, d, J=1.7, ArH), 6.85 (1H, d, J=8.3, ArH), 6.49 (4H, s, CH=CH, 2 x ArH), 4.26 (2H, q, J=7.3, CO2CH2CH3), 3.89 (3H, s, OCH3), 3.85 (3H, s, OCH3), 3.76 (6H, s, 2 x OCH3), 1.78 (6H, s, 2 x CH3), 1.27 (3H, t, J=7.2, CO2CH2CH3) ppm.
【0114】
[実施例10]N-(2-{3-[1-メチル-1-(5-ニトロ-チオフェン-2-イル)-エトキシ]-フェニル}-エチル)-アセトアミド
【0115】
【化18】

【0116】
2-(5-ニトロチエン-2-イル)プロパン-2-オール(50 mg, 0.27 mmol)を、窒素雰囲気下、N-アセチル-3-(2-アミノエチル)フェノール(66 mg, 0.44 mmol)と共にベンゼン(1ml)に溶解した。ついで1,1′-(アゾジカルボニル)-ジピペリジン (68 mg, 0.27 mmol)を加え、続いてシリンジでベンゼン(0.5 ml)中のトリ-n-ブチルホスフィン(55 mg, 0.27 mmol)を加えた。該溶液を還流下7日間加熱し、冷却し、シリカカラムに直接アプライした。シリカカラムは酢酸エチルで溶出した。得られた生成物をNaOH(0.1 M)で洗浄し、ついで再度カラムにかけて残留N-アセチル-3-(アミノエチル)フェノールを除去し、43 mg (46%)の表題化合物を黄色ワックス状固体として得た。
MS (m/z, %) 348 (M+, 1 %), 179 (75%), 170 (100%) LC-RT 5.34分 (TFA 50-100%).

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)
【化1】

(式中、Arは、少なくとも1つのニトロ又はアジド基を有する置換アリール又はヘテロアリール基、或いは
式(2)又は(3)
【化2】

の基;
R1及びR2は、同一でも異なってもよく、独立に、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、アリール、COR3であるか、或いは介在炭素原子と共に、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル又は炭素環を形成する;
Lは、-OC(O)-又は-OP(O)(OR6)-;
nは、0又は1;
Xは、O、S、NR7又は共有単結合;
R3は、OR4又はNR4R5;
R4、R5、R6及びR7は各々独立に、水素又は置換されていてもよいアルキルであるか、或いはR3がNR4R5の場合、R4及びR5は結合して、介在窒素原子と共にヘテロシクロアルキル環を形成できる;
R8は、水素、アルコキシ又はジアルキルアミノアルキル;
R9は、置換されていてもよいアルキル;
R10は、水素、アルキル、アルコキシ又はジアルキルアミノアルキル;
R11及びR12は独立に、水素、アルキル、アルコキシ、チオアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、モルホリノ、ピペリジノ、ピペラジノ又は1-アジリジニル;
Aは、置換されていてもよいアリール又はヘテロアリール環;及び
Drは、DrXHが細胞毒性化合物又は細胞増殖抑制化合物を表すような部分)
の化合物又は医薬的に許容できるその塩。
【請求項2】
R1〜R12置換基におけるアルキル、アルケニル及びアルキニル基が、非置換であるか、或いはハロゲン、アミノ、モノ(C1-C4アルキル)アミノ、ジ(C1-C4アルキル)アミノ、ヒドロキシ、C1-C4アルコキシ、C1-C4アルキルチオ及び(C1-C4アルキル)スルホニル基から選択される1、2又は3個の非置換の置換基で置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Ar、A及びR1、R2置換基におけるアリール及びヘテロアリール基が、非置換であるか、或いはハロゲン、C1-C6アルキル、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシ及びC1-C4ハロアルコキシから選択される1、2又は3個の非置換の置換基で置換されている、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
R1〜R3置換基におけるヘテロシクロアルキル環及び炭素環が、非置換であるか、或いはハロゲン、C1-C6アルキル、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシ及びC1-C4ハロアルコキシから選択される1、2又は3個の非置換の置換基で置換されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
R1及びR2が、それらが結合する炭素と共に3〜10員ヘテロシクロアルキル環又はC3-10炭素環を形成し、該環が、非置換であるか、或いはハロゲン、C1-C6アルキル、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシ及びC1-C4ハロアルコキシから選択される1、2又は3個の非置換の置換基で置換されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
R1及びR2が、それらが結合する炭素と共に5〜6員のヘテロシクロアルキル環を形成し、該環が、非置換であるか、或いは1つの非置換のC1-C2アルキル基で置換されている、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
R1及びR2が、同一又は異なって、各々が、非置換のC1-C6アルキル、非置換のC1-C6アルケニル、非置換のC1-C6アルキニル、COR3基、非置換のフェニル基、或いはハロゲン、C1-C6アルキル、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシ及びC1-C4ハロアルコキシから選択される1、2又は3個の非置換の置換基で置換されているフェニル基を表す、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
R1及びR2が、同一又は異なって、各々が、非置換のC1-C4アルキル、非置換のC1-C4アルケニル、非置換のC1-C4アルキニル、COR3基、非置換のフェニル基、或いはハロゲン、C1-C4アルキル、ヒドロキシ、アミノ、C1-C2ハロアルキル、C1-C2アルコキシ及びC1-C2ハロアルコキシから選択される1、2又は3個の非置換の置換基で置換されているフェニル基を表す、請求項7記載の化合物。
【請求項9】
R3が、ヒドロキシ、非置換のC1-C4アルコキシ又はNR4R5であり、R4及びR5が同一又は異なって、各々がヒドロキシ又は非置換のC1-C4アルコキシを表すか、或いはR4及びR5がそれらが結合する窒素原子と共に3〜10員ヘテロシクロアルキル環を形成し、該環が非置換であるか、又はハロゲン、C1-C6アルキル、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシ及びC1-C4ハロアルコキシから選択される1、2もしくは3個の非置換の置換基で置換されている、請求項7又は8記載の化合物。
【請求項10】
R3がヒドロキシ、非置換のC1-C2アルコキシ又はNR4R5であり、R4及びR5が同一又は異なって、各々が水素又は非置換のC1-C4アルキルを表す、請求項9記載の化合物。
【請求項11】
R1及びR2が同一又は異なって、各々が非置換のC1-C2アルキル又は非置換の-CO2-(C1-C2 アルキル)基を表す、請求項7〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
nが0、XがO又はSである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
nが1、XがNHである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
nが1、Lが-OC(O)-又は-OP(O)(OR6)であって、R6が水素又は非置換のC1-6アルキルである、請求項1〜11又は13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
Lが-OC(O)-である、請求項14記載の化合物。
【請求項16】
Arが、置換アリール又はヘテロアリール基であって、該基がニトロ及びアジド置換基から選択される1つの置換基、並びにハロゲン、C1-C6アルキル、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシ及びC1-C4ハロアルコキシ置換基から選択される0、1、又は2個の更なる非置換の置換基を有する、請求項1〜15のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項17】
Arが、フェニル基或いは5又は6員のヘテロアリール基であって、該基がニトロ及びアジド置換基から選択される置換基を一つだけ有する、請求項16記載の化合物。
【請求項18】
Arが、ニトロフェニル、ニトロイミダゾール、ニトロチオフェン及びニトロフラニル基から選択される非置換の基である、請求項17記載の化合物。
【請求項19】
DrXHが、アントラサイクリン抗生物質、代謝拮抗剤、トポイソメラーゼ阻害剤、有糸分裂阻害剤、プロテインキナーゼ阻害剤及び(6R)-5,6,7,8-テトラヒドロビオプテリンのアンタゴニストから選択される、請求項1〜18のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項20】
DrXHが、ドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、5-フルオロウラシル、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、ゲムシタビン、カペシタビン、フルダラビン、クラドリビン、デシタビン(5-アザ-2’-デオキシシチジン)、トロキサシタビン(2’-デオキシ-3’-オキサシチジン)、5-アザシチジン、4’-チオアラシチジン、テザシタビン、クロファラビン、トリメトレキセート及びメソトレキセート、エトポシド及びテニポシド、トポテカン、SN38、コンブレタスタチンA4、コンブレタスタチンA1、ポドフィロトキシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン ビノレルビン、パクリタキセル及びドセタキセル、エポチロン、デオキシエポチロンB、BMS 247550、ドラスタチン誘導体、クリプトフィシン誘導体、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ZD6474並びにAZD2171から選択される、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
DrXHが、コンブレタスタチンA4、エトポシド、シタラビン又は6-メルカプトプリンである、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
1-(4-メトキシ-3-(2-(5-ニトロチオフェン-2-イル)プロパン-2-イル)オキシフェニル-2-(3,4,5-トリメトキシ)フェニル-Z-エテン、1-(4-メトキシ-3-(2-(4-ニトロフェニル)プロパン-2-イル)オキシフェニル-2-(3,4,5-トリメトキシ)フェニル-Z-エテン、9-(7,8-ジヒドロキシ-2-メチル-ヘキサヒドロ-ピラノ[3,2-d][1,3]-ジオキシン-6-イルオキシ)-5-{3,5-ジメトキシ-4-[1-メチル-1-(4-ニトロフェニル)-エトキシ]-フェニル}-5,8,8a,9-テトラヒドロ-5aH-フロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3-d][1,3]ジオキソール-6-オン、6-(2-(4-ニトロフェニル)プロパン-2-イルスルファニル)-9H-プリン、1-(4-メトキシ-3-(1-メチル-4-(5-ニトロチエン-2-イル)ピペリジン-4-イル)オキシカルボニルオキシ)フェニル-2-(3,4,5-トリメトキシ)フェニル-Z-エテン、1-(4-メトキシ-3-(2-(1-メチル-2-ニトロイミダゾール-5-イル)プロパン-2-イル)オキシフェニル-2-(3,4,5-トリメトキシ)フェニル-Z-エテン、6-(2-(5-ニトロチエン-2-イル)プロパン-2-イルスルファニル)-9H-プリン、N4-(2-(5-ニトロチエン-2-イル)プロプ-2-イル)オキシカルボニル-1-b-D-アラビノフラノシルシトシン、1-(3-(1-エトキシカルボニル-1-(5-ニトロチエン-2-イル)エトキシ)-4-メトキシ-フェニル)-2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-Z-エテン及びN-(2-{3-[1-メチル-1-(5-ニトロ-チオフェン-2-イル)-エトキシ]-フェニル}-エチル)-アセトアミドである、請求項1〜21のいずれか1項に記載の化合物又は医薬的に許容できるその塩。
【請求項23】
請求項1〜22のいずれか1項に記載の化合物又は医薬的に許容できるその塩、及び医薬的に許容できる担体又は希釈剤を含む医薬組成物。
【請求項24】
ヒト又は動物の身体の治療における使用のための、請求項1〜22のいずれか1項に記載の化合物又は医薬的に許容できるその塩。
【請求項25】
増殖性障害の予防又は治療用医薬の製造における、請求項1〜22のいずれか1項に記載の化合物又は医薬的に許容できるその塩の使用。
【請求項26】
増殖性障害が、癌、リウマチ性関節炎、乾癬病巣、糖尿病性網膜症、又は湿潤加齢性黄斑変性である、請求項25記載の使用。
【請求項27】
増殖性障害が低酸素障害である、請求項25又は26記載の使用。
【請求項28】
医薬が、固形腫瘍又は白血病の予防又は治療における使用のためである、請求項25〜28のいずれか1項に記載の使用。
【請求項29】
患者における、請求項25〜28のいずれか1項に規定される増殖性障害の発生率の改善又は減少方法であって、上記患者に、有効量の請求項1〜22のいずれか1項に記載の化合物又は医薬的に許容できるその塩を投与することを含む方法。
【請求項30】
請求項29記載の方法であって、上記患者に有効量の、
(a)請求項1〜22のいずれか1項に記載の化合物又は医薬的に許容できるその塩;及び
(b)レダクターゼ、抗体-レダクターゼコンジュゲート、高分子-レダクターゼコンジュゲート、又はレダクターゼ遺伝子をコードするDNA;
を投与することを含む、方法。
【請求項31】
請求項25〜28のいずれか1項に規定される増殖性障害の治療における、同時、分離又は順次の使用のための、
(a)請求項1〜22のいずれか1項に記載の化合物又は医薬的に許容できるその塩;及び
(b)レダクターゼ、抗体-レダクターゼコンジュゲート、高分子-レダクターゼコンジュゲート、又はレダクターゼ遺伝子をコードするDNA;
を含む製品。

【公表番号】特表2006−523202(P2006−523202A)
【公表日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−506035(P2006−506035)
【出願日】平成16年3月26日(2004.3.26)
【国際出願番号】PCT/GB2004/001330
【国際公開番号】WO2004/085421
【国際公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(306010370)アンジオジーン ファーマスーティカルズ リミテッド (4)
【出願人】(505357867)グレイ ラボラトリー キャンサー リサーチ トラスト (2)
【Fターム(参考)】