説明

車両の制御装置

【課題】 各種電子制御ユニットを統合協調制御可能な車両の制御装置を提供することである。
【解決手段】 車輪速度を検出する車輪速度センサと、前記車輪速度センサに接続され、該車輪速度センサが検出した車輪速度に基づいて車輪の制動力及び駆動力を制御する制・駆動力制御ユニットと、運転者による操舵情報を検出する操舵情報センサと、前記操舵情報センサに接続され、該操舵情報センサが検出した操舵情報に基づいて車輪の操舵量を制御する操舵制御ユニットとを備えた車両の制御装置において、車両の慣性力を検出する慣性力センサと、前記慣性力センサに接続されるとともに、前記制・駆動力制御ユニット及び前記操舵制御ユニットと双方向通信可能に接続され、前記慣性力センサで検出した車両の慣性力及び前記制・駆動力制御ユニットと前記操舵制御ユニットの制御状態に基づいて、前記制・駆動力制御ユニット及び前記操舵制御ユニットの制御量又は制御補正量を決定して出力する協調制御ユニットとを具備したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に搭載された各種制御システムを協調して制御可能な車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車には、エンジン制御システム、トランスミッション制御システムのほかに自動車の運動又は姿勢を制御する各種制御システムが搭載されている。これらの制御システムとしては、横滑り制御システム、電動パワーステアリングシステム、アクティブダンパシステム、アクティブスタビライザーシステム、アダプティブクルーズコントロールシステム、4WD制御システム等が挙げられる。
【0003】
更にこれらの制御システムを制御するために必要な加速度を検出する加速度センサ及び車両のヨーレート、ロール、ピッチを検出する各種角速度センサを一体化したセンサユニットが車両に搭載されており、上記各種制御システムは従来それぞれの目的に合わせて個々に状態を検出し、センサユニットで検出した加速度及び/又は角速度を利用して個々の制御システムを制御するようにしていた。
【0004】
特開昭62−260283号公報には、自動車に搭載される各種センサからの複数の信号を入力し、その信号を各制御ユニットが使用し易いように処理して、各制御ユニットに分配する自動車のセンサ信号処理装置が開示されている。
【0005】
また、特開昭62−260284号公報には、自動車に搭載される各種センサからの複数の信号を入力し、その信号を制御ユニットが使用し易いように処理して、各制御ユニットに分配するとともに、各制御ユニット内で処理された情報を制御ユニット間で交換させる自動車のセンサ信号処理装置が開示されている。
【0006】
更に、特開平5−262190号公報には、自動車の統合制御のために必要となる配線数を削減するようにした自動車の統合制御装置が開示されている。
【特許文献1】特開昭62−260283号公報
【特許文献2】特開昭62−260284号公報
【特許文献3】特開平5−262190号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
自動車の電子制御システムの進歩に伴い、各種制御システムの独立した制御ではなく相互に協調し合う制御に価値のあることがわかってきたため、これら各種制御システムを調停し統合協調制御する制御ユニットが必要とされる。
【0008】
この場合に、新規にハードウエアとして制御ユニットを搭載すると、コストアップ及び電子制御ユニット搭載面積の増大に繋がるという課題がある。
【0009】
特許文献1に開示された技術では、センサ信号処理装置は各制御ユニットが使用し易いように各種センサからの信号を処理して各制御ユニットに分配するだけであり、特許文献2に開示された技術では、センサ信号処理装置は、特許文献1の構成に加えて、各制御ユニット内で処理された情報を制御ユニット間で交換させるように制御しているが、いずれもセンサ信号処理装置が各制御ユニットと双方向通信可能に接続され、統合協調制御することについては何ら言及していない。
【0010】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、各種センサを搭載したセンサユニット内に統合協調制御アルゴリズムを組み込むことにより、各種制御システムを統合協調制御可能な車両の制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の発明によると、車輪速度を検出する車輪速度センサと、前記車輪速度センサに接続され、該車輪速度センサが検出した車輪速度に基づいて車輪の制動力及び駆動力を制御する制・駆動力制御ユニットと、運転者による操舵情報を検出する操舵情報センサと、前記操舵情報センサに接続され、該操舵情報センサが検出した操舵情報に基づいて車輪の操舵量を制御する操舵制御ユニットとを備えた車両の制御装置において、車両の慣性力を検出する慣性力センサと、前記慣性力センサに接続されるとともに、前記制・駆動力制御ユニット及び前記操舵制御ユニットと双方向通信可能に接続され、前記慣性力センサで検出した車両の慣性力及び前記制・駆動力制御ユニットと前記操舵制御ユニットの制御状態に基づいて、前記制・駆動力制御ユニット及び前記操舵制御ユニットの制御量又は制御補正量を決定して出力する協調制御ユニットと、を具備したことを特徴とする車両の制御装置が提供される。
【0012】
請求項2記載の発明によると、車輪速度を検出する車輪速度センサと、前記車輪速度センサに接続され、該車輪速度センサが検出した車輪速度に基づいて車輪の制動力及び駆動力を制御する制・駆動力制御ユニットと、サスペンションのストロークを検出するストロークセンサと、前記ストロークセンサに接続され、該ストロークセンサが検出したストロークに基づいて前記サスペンションを制御するサスペンション制御ユニットとを備えた車両の制御装置において、車両の慣性力を検出する慣性力センサと、前記慣性力センサに接続されるとともに、前記制・駆動力制御ユニット及び前記サスペンション制御ユニットと双方向通信可能に接続され、前記慣性力センサで検出した慣性力及び前記制・駆動力制御ユニットと前記サスペンション制御ユニットの制御状態に基づいて、前記制・駆動力制御ユニット及び前記サスペンション制御ユニットの制御量又は制御補正量を決定して出力する協調制御ユニットと、を具備したことを特徴とする車両の制御装置が提供される。
【0013】
請求項3記載の発明によると、運転者による操舵情報を検出する操舵情報センサと、前記操舵情報センサに接続され、該操舵情報センサが検出した操舵情報に基づいて車輪の操舵量を制御する操舵制御ユニットと、サスペンションのストロークを検出するストロークセンサと、前記ストロークセンサに接続され、該ストロークセンサが検出したストロークに基づいてサスペンションを制御するサスペンション制御ユニットとを備えた車両の制御装置において、車両の慣性力を検出する慣性力センサと、前記慣性力センサに接続されるとともに、前記操舵制御ユニット及び前記サスペンション制御ユニットと双方向通信可能に接続され、前記慣性力センサが検出した慣性力及び前記操舵制御ユニットと前記サスペンション制御ユニットの制御状態に基づいて、前記操舵制御ユニット及び前記サスペンション制御ユニットの制御量又は制御補正量を決定して出力する協調制御ユニットと、を具備したことを特徴とする車両の制御装置が提供される。
【0014】
請求項4記載の発明によると、車輪速度を検出する車輪速度センサと、前記車輪速度センサに接続され、該車輪速度センサが検出した車輪速度に基づいて車輪の制動力及び駆動力を制御する制・駆動力制御ユニットと、運転者による操舵情報を検出する操舵情報センサと、前記操舵情報センサに接続され、該操舵情報センサが検出した操舵情報に基づいて車輪の操舵量を制御する操舵制御ユニットとを備えた車両の制御装置において、車両の複数の異なる慣性力を検出する複数の慣性力センサと、前記複数の慣性力センサに接続されるとともに、前記制・駆動力制御ユニット及び前記操舵制御ユニットと双方向通信可能に接続され、前記複数の慣性力センサが検出した複数の異なる慣性力に基づいて、前記車輪速度、前記操舵情報及び前記複数の慣性力とは異なる車両の運動量を演算して演算結果を出力する運動量演算ユニットと、を具備したことを特徴とする車両の制御装置が提供される。
【0015】
請求項5記載の発明によると、車輪速度を検出する車輪速度センサと、前記車輪速度センサに接続され、該車輪速度センサが検出した車輪速度に基づいて車輪の制動力及び駆動力制御する制・駆動力制御ユニットと、サスペンションのストロークを検出するストロークセンサと、前記ストロークセンサに接続され、該ストロークセンサが検出したストロークに基づいてサスペンションを制御するサスペンション制御ユニットとを備えた車両の制御装置において、車両の複数の異なる慣性力を検出する複数の慣性力センサと、前記複数の慣性力センサに接続されるとともに、前記制・駆動力制御ユニット及び前記サスペンション制御ユニットと双方向通信可能に接続され、前記複数の慣性力センサが検出した複数の異なる慣性力に基づいて、前記車輪速度、前記ストローク及び前記複数の慣性力とは異なる車両の運動量を演算して演算結果を出力する運動量演算ユニットと、を具備したことを特徴とする車両の制御装置が提供される。
【0016】
請求項6記載の発明によると、運転者による操舵情報を検出する操舵情報センサと、前記操舵情報センサに接続され、該操舵情報センサが検出した操舵情報に基づいて車輪の操舵量を制御する操舵制御ユニットと、サスペンションのストロークを検出するストロークセンサと、前記ストロークセンサに接続され、該ストロークセンサが検出したストロークに基づいてサスペンションを制御するサスペンション制御ユニットとを備えた車両の制御装置において、車両の複数の異なる慣性力を検出する複数の慣性力センサと、前記複数の慣性力センサに接続されるとともに、前記操舵制御ユニット及び前記サスペンション制御ユニットと双方向通信可能に接続され、前記複数の慣性力センサが検出した複数の異なる慣性力に基づいて、前記操舵情報、前記ストローク及び前記複数の慣性力とは異なる車両の運動量を演算して演算結果を出力する運動量演算ユニットと、を具備したことを特徴とする車両の制御装置が提供される。
【発明の効果】
【0017】
請求項1記載の発明によると、制・駆動力制御ユニット及び操舵制御ユニットの演算量の増大を抑制しつつ、協調制御機能を付加することができ、慣性力センサ又は協調制御ユニットの故障時には、制・駆動力制御ユニット及び操舵制御ユニットの単独制御が可能である。
【0018】
請求項2記載の発明によると、制・駆動力制御ユニット及びサスペンション制御ユニットの演算容量の増大を抑制しつつ、協調制御機能を付加することができ、慣性力センサ又は協調制御ユニットの故障時には、制・駆動力制御ユニット及びサスペンション制御ユニットの単独制御が可能である。
【0019】
請求項3記載の発明によると、操舵制御ユニット及びサスペンション制御ユニットの演算容量の増大を抑制しつつ、協調制御機能を付加することができ、慣性力センサ又は協調制御ユニットの故障時には、操舵制御ユニット及びサスペンション制御ユニットの単独制御が可能である。
【0020】
請求項4記載の発明によると、制・駆動力制御ユニット及び操舵制御ユニットの演算容量の増大を抑制しつつ、慣性力に基づく運動量演算機能を付加することができ、慣性力センサ又は運動量演算ユニットの故障時には、制・駆動力制御ユニット及び操舵制御ユニットの単独制御が可能である。
【0021】
請求項5記載の発明によると、制・駆動力制御ユニット及びサスペンション制御ユニットの演算容量の増大を抑制しつつ、慣性力に基づく運動量演算機能を付加することができ、慣性力センサ又は運動量演算ユニットの故障時には、制・駆動力制御ユニット及びサスペンション制御ユニットの単独制御が可能である。
【0022】
請求項6記載の発明によると、操舵制御ユニット及びサスペンション制御ユニットの演算容量の増大を抑制しつつ、慣性力に基づく運動量演算機能を付加することができ、慣性力センサ又は運動力演算ユニットの故障時には、操舵制御ユニット及びサスペンション制御ユニットの単独制御が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下図面を参照して、本発明実施形態の車両の制御装置について詳細に説明する。図1は本発明の制御装置が適用可能なフロントエンジン・フロントドライブ(FF)車両の各種センサの配置を示す概略構成図である。
【0024】
FF車両の車体2の前部には、エンジンE及び変速機TからなるパワーユニットPが駆動輪である左前輪4a及び右前輪4bを駆動すべく搭載されている。左右前輪4a,4bにはそれぞれ左右のブレーキ6a,6bが装着されている。
【0025】
一方、従動輪である左右の後輪8a,8bにはそれぞれブレーキ10a,10bが装着されている。各ブレーキ6a,6b,10a,10bは、例えばディスクブレーキである。
【0026】
タンデム型のマスターシリンダ14からはブレーキペダル12の踏込操作に応じたブレーキ液圧が出力され、ブレーキ液圧回路16はこのブレーキ液圧に応じた液圧を各車輪ブレーキ6a,6b,10a,10bに供給し、前輪4a,4b及び後輪8a,8bを制動する。
【0027】
前輪4a,4b及び後輪8a,8bにはそれぞれ車輪速度を検出する車輪速度センサ18a,18b,18c,18dが設けられており、これらの車輪速度センサの信号は電子制御ユニット(ECU)20に入力される。
【0028】
24は操舵角センサ(操舵情報センサ)であり、運転者が操作したステアリングホイール22の操舵角を検出する。操舵角センサ24で検出した信号はECU20に入力される。本実施形態では、ステアリングは例えば電動パワーステアリングシステム(EPS)で制御される。
【0029】
フロントストロークセンサ26が車体2の前部に設けられており、リヤストロークセンサ28が車体2の後部に設けられている。フロント及びリヤストロークセンサ26,28の出力はECU20に入力され、フロントサスペンション及びリヤサスペンションが制御される。
【0030】
30は統合協調慣性センサECUであり、ECU20と双方向通信可能に接続されている。図1では、ECU20は1つのブロックで示されているが、実際には図2に示すようにブレーキECU32、EPS・ECU34、ダンパECU36,スタビライザーECU38等に分割されている。
【0031】
次に、図2のシステム構成図を参照して本発明実施形態の車両の制御装置について詳細に説明する。統合協調慣性センサECU30は、プリント配線板上に搭載されたX軸加速度センサ50、Y軸加速度センサ52、Z軸加速度センサ54、角速度(ロール)センサ56、角速度(ピッチ)センサ58及び角速度(ヨー)センサ60を含んでいる。
【0032】
なお、本明細書及び特許請求の範囲で使用する「慣性力」という用語は、角速度及び加速度を含むものとして定義され、「慣性力センサ」という用語は角速度センサ及び加速度センサを含むものとして定義される。
【0033】
X軸加速度センサ50は車両前後方向の加速度を検出し、Y軸加速度センサ52は車両幅方向の加速度を検出し、Z軸加速度センサ54は車両上下方向の加速度を検出するものである。
【0034】
これらの各センサ50〜60は配線62によりマイクロプロセッサユニット64に接続されている。尚、簡略化のために一本の配線62が示されているが、実際には個々のセンサは独立した配線によりマイクロプロセッサユニット64に接続されている。
【0035】
マイクロプロセッサユニット64は上記各センサ50〜60の信号が入力されるI/Oインターフェイス66、CPU68、ROM70、RM72、I/Oインターフェイス74を有しており、これらはバス76により相互に接続されている。
【0036】
80はイグニッション電圧(12V)を5Vに変換する電源であり、この5V電源80がセンサ50〜60及びマイクロプロセッサユニット64に供給され、これらを駆動する。
【0037】
マイクロプロセッサユニット64の出力はI/Oインターフェイス74を介してCANドライバ(カー・エリア・ネットワーク・ドライバ)78に入力される。CANドライバ78は双方向通信制御回路であり、バス82を介してブレーキECU32、EPS・ECU34、ダンパECU36、スタビライザーECU38と統合協調慣性センサECU30との相互通信を可能とする。
【0038】
ブレーキECU32には車輪速センサ18a〜18dで検出した信号が入力され、EPS・ECU34には操舵トルクセンサ24で検出した信号が入力される。また、ダンパECU36にはフロントストロークセンサ26及びリヤストロークセンサ28で検出した信号が入力され、スタビライザーECU38にもフロントストロークセンサ26及びリヤストロークセンサ28で検出した信号が入力される。ダンパECU36とスタビライザーECU38でサスペンションECUを構成する。
【0039】
ブレーキECU32はモータ等のアクチュエータ40に接続され、これを制御する。EPS・ECU34はモータ等のアクチュエータ42に接続され、これを制御する。また、ダンパECU36はダンパ等のアクチュエータ44に接続され、これを制御する。スタビライザーCU38はモータ等のアクチュエータ46に接続され、これを制御する。
【0040】
マイクロプロセッサユニット64のROM70には統合協調制御アルゴリズムがソフトウエアプログラムとして搭載されている。この統合協調制御アルゴリズムは、各センサ50〜60の出力に基づいてCPU68で演算した車両の運動量及びブレーキECU32、EPS・ECU34、ダンパECU36、スタビライザーECU38の制御状態に基づいて各ECU32〜38を協調制御するようにプログラムされている。
【0041】
各センサ50〜60の信号出力はI/Oインターフェイス66を介してRAM72に読み込まれ、CPU68が車両の運動量及びブレーキECU32、EPS・ECU34、ダンパECU36、スタビライザーECU38の制御量又は制御補正量を演算する。
【0042】
CPU68が演算した制御量又は制御補正量はI/Oインターフェイス74を介してCANドライバ78に出力され、CANドライバ78がバス82を介して車両挙動信号及び制御信号をブレーキECU32、EPS・ECU34、ダンパECU36、スタビライザーECU38に送信して、これら各ECU32〜38を最適に協調制御する。
【0043】
上述した実施形態の統合協調慣性センサECU30は、各ECU32〜38を協調制御させる協調制御機能及び各慣性力センサ50〜60が検出した慣性力に基づいて、車両の運動量を演算する運動量演算機能を有しているが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0044】
例えば、統合協調慣性センサECU30は協調制御機能のみを司るように構成しても良いし、協調制御は行わずに各慣性力センサ50〜60の慣性力に基づいて車両の運動量を演算する運動量演算ユニットとして機能させても良い。
【0045】
運動量演算ユニットとして機能させる場合には、各慣性力センサ50〜60の出力に基づいて演算した運動量をブレーキECU32、EPS・ECU34、ダンパECU36及びスタビライザーECU38に入力することにより、ブレーキ、EPS、ダンパ及びスタビライザーをより細かく制御することができる。
【0046】
例えば、車両の運動量としての横滑り角速度は以下のように計算される。Y軸加速度センサ52で検出した横Gを車輪速センサ18a〜18dから求めた車速Vで割り、この商からヨーレートセンサ60で検出したヨーレートを減算すると、車体の横滑り角速度を得ることができる。横滑り角速度を積分すると横滑り角が得られる。
【0047】
このようにして得られた車体の横滑り角速度及び/又は横滑り角をブレーキECU32、EPS・ECU34等に入力することにより、車両ブレーキ及びステアリングをより高精度に制御することができる。
【0048】
加速度センサ50〜54、角速度センサ56〜60の故障を含む統合協調慣性センサECU30の故障時には、ブレーキECU32、EPS・ECU34、ダンパECU36、スタビライザーECU38の単独制御が可能であり、従来システムとしての制御性は失われることはない。
【0049】
上述した実施形態では、本発明をブレーキECU32、EPS・ECU34、ダンパECU36、スタビライザーECU38の協調制御に適用した例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、横滑り制御システム、アダプティブクルーズ制御システム、レインキープ制御システム、4WD制御システム等の協調制御にも本発明を適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の車両の制御装置が適用可能なFF車両の各種センサの配置例を示す模式図である。
【図2】本発明の実施形態にかかる車両の制御装置のシステム構成図である。
【符号の説明】
【0051】
18a〜18d 車輪速センサ
24 操舵角センサ(操舵情報センサ)
26 フロントストロークセンサ
28 リヤストロークセンサ
30 統合協調慣性センサECU
32 ブレーキECU
34 EPS・ECU
36 ダンパECU
38 スタビライザーECU
50〜54 加速度センサ
56〜60 角速度センサ
64 マイクロプロセッサユニット
78 CANドライバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪速度を検出する車輪速度センサと、
前記車輪速度センサに接続され、該車輪速度センサが検出した車輪速度に基づいて車輪の制動力及び駆動力を制御する制・駆動力制御ユニットと、
運転者による操舵情報を検出する操舵情報センサと、
前記操舵情報センサに接続され、該操舵情報センサが検出した操舵情報に基づいて車輪の操舵量を制御する操舵制御ユニットとを備えた車両の制御装置において、
車両の慣性力を検出する慣性力センサと、
前記慣性力センサに接続されるとともに、前記制・駆動力制御ユニット及び前記操舵制御ユニットと双方向通信可能に接続され、前記慣性力センサで検出した車両の慣性力及び前記制・駆動力制御ユニットと前記操舵制御ユニットの制御状態に基づいて、前記制・駆動力制御ユニット及び前記操舵制御ユニットの制御量又は制御補正量を決定して出力する協調制御ユニットと、
を具備したことを特徴とする車両の制御装置。
【請求項2】
車輪速度を検出する車輪速度センサと、
前記車輪速度センサに接続され、該車輪速度センサが検出した車輪速度に基づいて車輪の制動力及び駆動力を制御する制・駆動力制御ユニットと、
サスペンションのストロークを検出するストロークセンサと、
前記ストロークセンサに接続され、該ストロークセンサが検出したストロークに基づいて前記サスペンションを制御するサスペンション制御ユニットとを備えた車両の制御装置において、
車両の慣性力を検出する慣性力センサと、
前記慣性力センサに接続されるとともに、前記制・駆動力制御ユニット及び前記サスペンション制御ユニットと双方向通信可能に接続され、前記慣性力センサで検出した慣性力及び前記制・駆動力制御ユニットと前記サスペンション制御ユニットの制御状態に基づいて、前記制・駆動力制御ユニット及び前記サスペンション制御ユニットの制御量又は制御補正量を決定して出力する協調制御ユニットと、
を具備したことを特徴とする車両の制御装置。
【請求項3】
運転者による操舵情報を検出する操舵情報センサと、
前記操舵情報センサに接続され、該操舵情報センサが検出した操舵情報に基づいて車輪の操舵量を制御する操舵制御ユニットと、
サスペンションのストロークを検出するストロークセンサと、
前記ストロークセンサに接続され、該ストロークセンサが検出したストロークに基づいてサスペンションを制御するサスペンション制御ユニットとを備えた車両の制御装置において、
車両の慣性力を検出する慣性力センサと、
前記慣性力センサに接続されるとともに、前記操舵制御ユニット及び前記サスペンション制御ユニットと双方向通信可能に接続され、前記慣性力センサが検出した慣性力及び前記操舵制御ユニットと前記サスペンション制御ユニットの制御状態に基づいて、前記操舵制御ユニット及び前記サスペンション制御ユニットの制御量又は制御補正量を決定して出力する協調制御ユニットと、
を具備したことを特徴とする車両の制御装置。
【請求項4】
車輪速度を検出する車輪速度センサと、
前記車輪速度センサに接続され、該車輪速度センサが検出した車輪速度に基づいて車輪の制動力及び駆動力を制御する制・駆動力制御ユニットと、
運転者による操舵情報を検出する操舵情報センサと、
前記操舵情報センサに接続され、該操舵情報センサが検出した操舵情報に基づいて車輪の操舵量を制御する操舵制御ユニットとを備えた車両の制御装置において、
車両の複数の異なる慣性力を検出する複数の慣性力センサと、
前記複数の慣性力センサに接続されるとともに、前記制・駆動力制御ユニット及び前記操舵制御ユニットと双方向通信可能に接続され、前記複数の慣性力センサが検出した複数の異なる慣性力に基づいて、前記車輪速度、前記操舵情報及び前記複数の慣性力とは異なる車両の運動量を演算して演算結果を出力する運動量演算ユニットと、
を具備したことを特徴とする車両の制御装置。
【請求項5】
車輪速度を検出する車輪速度センサと、
前記車輪速度センサに接続され、該車輪速度センサが検出した車輪速度に基づいて車輪の制動力及び駆動力制御する制・駆動力制御ユニットと、
サスペンションのストロークを検出するストロークセンサと、
前記ストロークセンサに接続され、該ストロークセンサが検出したストロークに基づいてサスペンションを制御するサスペンション制御ユニットとを備えた車両の制御装置において、
車両の複数の異なる慣性力を検出する複数の慣性力センサと、
前記複数の慣性力センサに接続されるとともに、前記制・駆動力制御ユニット及び前記サスペンション制御ユニットと双方向通信可能に接続され、前記複数の慣性力センサが検出した複数の異なる慣性力に基づいて、前記車輪速度、前記ストローク及び前記複数の慣性力とは異なる車両の運動量を演算して演算結果を出力する運動量演算ユニットと、
を具備したことを特徴とする車両の制御装置。
【請求項6】
運転者による操舵情報を検出する操舵情報センサと、
前記操舵情報センサに接続され、該操舵情報センサが検出した操舵情報に基づいて車輪の操舵量を制御する操舵制御ユニットと、
サスペンションのストロークを検出するストロークセンサと、
前記ストロークセンサに接続され、該ストロークセンサが検出したストロークに基づいてサスペンションを制御するサスペンション制御ユニットとを備えた車両の制御装置において、
車両の複数の異なる慣性力を検出する複数の慣性力センサと、
前記複数の慣性力センサに接続されるとともに、前記操舵制御ユニット及び前記サスペンション制御ユニットと双方向通信可能に接続され、前記複数の慣性力センサが検出した複数の異なる慣性力に基づいて、前記操舵情報、前記ストローク及び前記複数の慣性力とは異なる車両の運動量を演算して演算結果を出力する運動量演算ユニットと、
を具備したことを特徴とする車両の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−237878(P2007−237878A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−62090(P2006−62090)
【出願日】平成18年3月8日(2006.3.8)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】