説明

車両の発進制御装置

【課題】精度良く目標エンジントルクを設定することが可能な車両の発進制御装置を提供する。
【解決手段】アクセル開度および車速に基づいて設定されたドライバ要求駆動力から目標エンジントルクを算出する車両の発進制御装置において、ドライバ要求駆動力に基づいてドライバ要求出力を算出し、算出したドライバ要求出力およびトルクコンバータの伝達効率に基づいて算出した目標第1エンジントルク(S15)と、ドライバ要求駆動力、駆動輪径、自動変速機の変速比およびトルクコンバータのトルク比に基づいて算出した目標第2エンジントルク(S7)との差分が、設定差分より大きくなるか否かを判別し(S16)、差分が設定差分より大きいと判定された場合、目標エンジントルクとして目標第2エンジントルクを設定し(S18)、差分が設定差分以下であると判定された場合、目標エンジントルクとして目標第1エンジントルクを設定する(S17)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の発進時における駆動力を制御する車両の発進制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の車両の発進制御装置として、エンジンの運転状態に基づいてエンジンの目標駆動力を演算する目標駆動力演算部と、トルクコンバータの伝達効率を演算する伝達効率演算部と、目標駆動力を伝達効率に応じて補正して補正目標駆動力を演算する目標駆動力補正部と、補正目標駆動力を得る目標エンジン回転数および目標エンジントルクを選択する目標値選択部と、目標エンジントルクを得る目標吸気量を演算する目標吸気量演算部と、CVTの入力軸回転数が目標エンジン回転数と一致するようにCVTの目標入力軸回転数を演算する目標変速機入力軸回転数演算部とを備え、エンジンの吸気量が目標吸気量と一致するように吸気量の調整を行うと共に、CVTの入力軸回転数が目標入力軸回転数となるように変速比を調整する自動変速機付きエンジンの制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この制御装置において、伝達効率演算部は、トルクコンバータの伝達効率が予め設定した下限値以下となった場合、伝達効率を一定値となるように設定している。
【0003】
【特許文献1】特開2001−322456号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、補正目標駆動力Pocは、目標駆動力Poおよび伝達効率ηに基づいて、「Poc=Po/η」の式から算出する。このとき、伝達効率ηの値が、0近傍となると、補正目標駆動力Pocは大きくなってしまい、実駆動力と乖離してしまう。このため、従来の自動変速機付きエンジンの制御装置では、トルクコンバータの伝達効率が、予め設定した下限値以下となった場合、伝達効率を一定値に設定している。これにより、補正目標駆動力と実駆動力の大幅な乖離を抑制している。
【0005】
しかしながら、従来の自動変速機付きエンジンの制御装置では、伝達効率が下限値以下の場合、伝達効率を一定値に設定しているため、大幅な乖離は抑制しているものの、正確な補正目標駆動力を算出しているとは言い難い。つまり、伝達効率が下限値以下の場合は、伝達効率を一定値に設定しているため、正確な補正目標駆動力を算出することが難しく、補正目標駆動力は、実駆動力と乖離する虞がある。
【0006】
そこで、本発明は、精度良く目標エンジントルクを設定することが可能な車両の発進制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の車両の発進制御装置は、エンジンと、エンジンに連結されたトルクコンバータと、トルクコンバータに連結された自動変速機とを備えた車両の駆動力を制御するに際し、アクセル開度および車速に基づいて、ドライバから要求されたドライバ要求駆動力を設定し、設定されたドライバ要求駆動力から目標エンジントルクを算出する車両の発進制御装置において、ドライバ要求駆動力に基づいてドライバ要求出力を算出し、算出したドライバ要求出力およびトルクコンバータの伝達効率に基づいて目標第1エンジントルクを算出する第1エンジントルク算出手段と、ドライバ要求駆動力、駆動輪径、自動変速機の変速比およびトルクコンバータのトルク比に基づいて、目標第2エンジントルクを算出する第2エンジントルク算出手段と、第1エンジントルク算出手段により算出された目標第1エンジントルクと、第2エンジントルク算出手段により算出された目標第2エンジントルクとの差分が、予め設定された設定差分より大きくなるか否かを判別する差分判別手段と、差分判別手段により差分が設定差分より大きいと判定された場合、目標エンジントルクとして目標第2エンジントルクを設定し、差分判別手段により差分が設定差分以下であると判定された場合、目標エンジントルクとして目標第1エンジントルクを設定するエンジントルク設定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
この場合、トルクコンバータの伝達効率が、予め設定された設定伝達効率以上であるか否かを判別する伝達効率判別手段をさらに備え、伝達効率判別手段によりトルクコンバータの伝達効率が設定伝達効率未満であると判定された場合、エンジントルク設定手段は、目標エンジントルクとして目標第2エンジントルクを設定することが、好ましい。
【0009】
また、本発明の他の車両の発進制御装置は、エンジンと、エンジンに連結されたトルクコンバータと、トルクコンバータに連結された自動変速機とを備えた車両の駆動力を制御するに際し、アクセル開度および車速に基づいて、ドライバから要求されたドライバ要求駆動力を設定し、設定されたドライバ要求駆動力から目標エンジントルクを算出する車両の発進制御装置において、ドライバ要求駆動力に基づいてドライバ要求出力を算出し、算出したドライバ要求出力およびトルクコンバータの伝達効率に基づいて目標第1エンジントルクを算出する第1エンジントルク算出手段と、ドライバ要求駆動力、駆動輪径、自動変速機の変速比およびトルクコンバータのトルク比に基づいて、目標第2エンジントルクを算出する第2エンジントルク算出手段と、トルクコンバータの伝達効率が、予め設定された設定伝達効率以上であるか否かを判別する伝達効率判別手段と、伝達効率判別手段によりトルクコンバータの伝達効率が設定伝達効率未満であると判定された場合、目標エンジントルクとして目標第2エンジントルクを設定し、伝達効率判別手段によりトルクコンバータの伝達効率が設定伝達効率以上であると判定された場合、目標エンジントルクとして目標第1エンジントルクを設定するエンジントルク設定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
この場合、設定伝達効率は、第1エンジントルク算出手段により算出された目標第1エンジントルクと、第2エンジントルク算出手段により算出された目標第2エンジントルクとの差分が、予め設定された設定差分となるように、設定されていることが、好ましい。
【0011】
これらの場合、車両の発進時において、自動変速機の変速比は、最大変速比に設定されていることが、好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかる車両の発進制御装置は、目標第1エンジントルクおよび目標第2エンジントルクを算出し、車両の発進運転状況に応じて、目標第1エンジントルクおよび目標第2エンジントルクのいずれか一方を選択して、適切な目標エンジントルクを設定することにより、精度の良い目標エンジントルクを設定することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付した図面を参照して、本発明にかかる車両の発進制御装置について説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例】
【0014】
ここで、図1は、実施例にかかる車両の発進制御装置により制御される車両の駆動系の概略構成図であり、図2は、時間軸上において変化する目標第1エンジントルクおよび目標第2エンジントルク等のタイムチャート図である。また、図3は、ドライバ要求駆動力制御マップの模式図であり、図4は、トルクコンバータ特性制御マップの模式図である。さらに、図5は、燃費最適制御マップの模式図であり、図6は、目標エンジントルクを設定する一連の制御フローとなるフローチャート図である。
【0015】
先ず、図1を参照して、車両の発進制御装置により制御される車両の駆動系について説明する。車両1の駆動系2は、駆動源となるエンジン5と、エンジン5のクランクシャフト6(出力軸)に連結されたトルクコンバータ7(T/C)と、トルクコンバータ7の出力軸8に連結された自動変速機とを備えている。なお、自動変速機としては、無段変速機9が用いられ、また、トルクコンバータ7および無段変速機9は、一体となったトルクコンバータ付き無段変速機となっている。無段変速機9の出力軸10にはデファレンシャルギヤ11が連結しており、デファレンシャルギヤ11にはドライブシャフト12を介して駆動輪13が連結している。このため、エンジン5が駆動すると、その駆動力は、トルクコンバータ7を介して無段変速機9に入力され、デファレンシャルギヤ11及びドライブシャフト12を介して駆動輪13に伝達される。
【0016】
エンジン5としては、例えば、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンが用いられており、エンジン5のクランクシャフト6には、ドライブプレート15を介してトルクコンバータ7の入力(ポンプ)側が連結されている。また、エンジン5には、エンジン5内に取り込まれる吸入空気量を検出するためのエアフローセンサ16や、エンジン回転数Neを検出するためのクランク角センサ17等の各種センサが設けられている。エアフローセンサ16およびクランク角センサ17等の各種センサは、後述するECU35(電子制御ユニット)に接続されている。
【0017】
無段変速機9としては、例えば、CVTが用いられており、車両1の運転状態に応じて変速比γを自動的に可変する。無段変速機9には、無段変速機9の入力軸27に臨むと共に入力軸回転数Ninを検出する入力軸回転数検出センサ18と、無段変速機9の出力軸10に臨むと共に出力軸回転数Noutを検出する出力軸回転数検出センサ19と、が設けられ、これら各種センサは、後述するECU35に接続されている。
【0018】
トルクコンバータ7は、エンジン5から発生する駆動力を作動流体である作動油により伝達するものであり、エンジン5のエンジントルクを増加、あるいはそのまま無段変速機9に伝達する。なお、トルクコンバータ7は公知のものであるため、以下、簡単に説明する。トルクコンバータ7は、ポンプインペラ20と、タービンランナ21と、ステータ22と、ロックアップクラッチ23とを備えている。また、24は、エンジン5のエンジントルクにより作動するオイルポンプである。
【0019】
ポンプインペラ20は、フロントカバー25に連結されており、フロントカバー25がエンジン5のドライブプレート15を介して、クランクシャフト6に連結されている。このため、ポンプインペラ20には、エンジン5のクランクシャフト6に発生する駆動力がフロントカバー25を介して伝達され、伝達された駆動力を作動流体である作動油を介してタービンランナ21に伝達する。
【0020】
タービンランナ21は、ポンプインペラ20と対向するように配置されており、タービンランナ21の出力軸8は、無段変速機9の入力軸27に連結されている。このため、タービンランナ21は、ポンプインペラ20から作動油を介して伝達されたクランクシャフト6の駆動力を、出力側に配置された無段変速機9の入力軸27に伝達する。また、タービンランナ21の出力軸8周りには、タービンランナ21の回転数を検出するタービン回転数センサ30が臨んでおり、後述するECU35に接続されている。
【0021】
ステータ22は、ポンプインペラ20とタービンランナ21との間に設けられており、ワンウェイクラッチ31を介して、図示しないハウジングに固定されている。
【0022】
ロックアップクラッチ23は、タービンランナ21とフロントカバー25との間に設けられており、タービンランナ21の出力軸8に連結されている。ロックアップクラッチ23は、ポンプインペラ20やフロントカバー25により形成されるトルクコンバータ油圧室に供給される作動流体である作動油の油圧により締結動作および締結解除動作を行う。このため、ロックアップクラッチ23が締結動作を行うと、ポンプインペラ20とタービンランナ21とが締結し、クランクシャフト6の駆動力を、直接タービンランナ21の出力軸8へ伝達することが可能となる。
【0023】
ここで、車両1には、エンジン5や無段変速機9等を制御する電子制御ユニット(車両の発進制御装置:以下、ECU35という)が設けられている。ECU35には、上記したエアフローセンサ16、クランク角センサ17、タービン回転数センサ30、入力軸回転数検出センサ18および出力軸回転数検出センサ19が接続されている。また、車両1には、アクセルペダルの操作量(アクセル開度)を検出するアクセルポジションセンサ37や、車両1の速度を検出する車速センサ38等の各種センサが設けられており、これら各種センサもECU35に接続されている。
【0024】
ECU35は、主としてCPU40、ROM41、RAM42、入力ポート43および出力ポート44等により構成され、内部バス45を介して互いに接続されている。CPU40は、各種センサ等から入力された各種検出信号に基づいて演算処理を行うものである。ROM41は、各種プログラムやデータを記憶している。RAM42は、各種プログラムを実行するための作業領域となっている。
【0025】
ところで、上記の構成において、停止状態の車両1を発進させるべく、ドライバがアクセルペダルを踏み込む。すると、ECU35は、車速センサ38により検出された車速およびアクセルポジションセンサ37により検出されたアクセル開度に基づいて、ドライバから要求されたドライバ要求駆動力Fを設定し、この後、ECU35は、設定したドライバ要求駆動力Fから目標エンジントルクTeを算出する。このとき、本実施例では、目標エンジントルクTeとして、目標第1エンジントルクTepおよび目標第2エンジントルクTetが算出されている。そして、車両1の発進運転状況に合わせて、目標第1エンジントルクTepおよび目標第2エンジントルクTetのいずれか一方を目標エンジントルクTeとして設定することにより、精度の良い目標エンジントルクTeを設定することが可能となっている。以下、本実施例にかかる目標エンジントルクTeの設定に関する制御について、詳細に説明する。
【0026】
上記のECU35のROM41内には、ドライバ駆動力設定プログラム50、目標第1エンジントルク算出プログラム51、目標第2エンジントルク算出プログラム52、差分判別プログラム53、伝達効率判別プログラム54、ロックアップ判別プログラム55、エンジントルク設定プログラム56、エンジンイナーシャトルク設定プログラム57やエンジントルク補正プログラム58等の各種プログラムが記憶されている。そして、CPU40は、ROM41内から、各種プログラムを読み出してRAM42内に展開し、展開したプログラムを実行することにより、各種制御を行うことが可能となっている。また、ECU35のROM41内には、車速Vおよびアクセル開度papからドライバ要求駆動力Fを推定するためのドライバ要求駆動力制御マップM1(図3参照)と、トルクコンバータ7の速度比eからトルク比tおよび伝達効率ηを求めるためのトルクコンバータ特性制御マップM2(図4参照)と、エンジン要求出力Peから燃費が最適となるエンジン回転数Neを設定するための燃費最適制御マップM3(図5参照)と、が記憶されている。
【0027】
図3に示すように、ドライバ要求駆動力制御マップM1は、車速Vに対するドライバ要求駆動力Fの変化の割合を表しており、アクセル開度papが大きくなるにつれて、ドライバ要求駆動力Fは大きくなる。また、図4に示すように、トルクコンバータ特性制御マップM2は、トルクコンバータ7の速度比eに対するトルクコンバータの伝達効率ηの変化の割合、トルクコンバータ7の速度比eに対するトルクコンバータのトルク比tの変化の割合を表したマップである。さらに、図5に示すように、燃費最適制御マップM3は、エンジン回転数Neに対するエンジントルクの変化の割合を表したマップである。
【0028】
ドライバ駆動力設定プログラム50は、車速Vおよびアクセル開度papに基づいて、ドライバ要求駆動力Fを設定するものである。具体的に、ECU35がドライバ駆動力設定プログラム50を実行すると、ECU35は、車速センサ38により検出された車速Vおよびアクセルポジションセンサ37により検出されたアクセル開度papに基づいて、ドライバ要求駆動力制御マップM1から、ドライバ要求駆動力Fをマップ検索して設定する。
【0029】
目標第1エンジントルク算出プログラム51は、設定されたドライバ要求駆動力Fから算出されるドライバ要求出力Poutとトルクコンバータ7の伝達効率ηとに基づいて、目標第1エンジントルクTepを算出するものである。以下、ECU35が、目標第1エンジントルク算出プログラム51に基づいて、目標第1エンジントルクTepを算出する具体的な算出方法について説明する。
【0030】
先ず、ECU35は、クランク角センサ17により検出されたエンジン回転数Neおよびタービン回転数センサ30により検出されたタービン回転数Ntに基づいて、「e=Nt/Ne」の式から速度比eを算出する。この後、ECU35は、設定されたドライバ要求駆動力Fおよび検出した車速Vに基づいて、「Pout=F×V×1000/3600」の式から、ドライバ要求出力Poutを算出する。なお、「1000/3600」は、単位変換を行うための係数である。そして、ECU35は、算出した速度比eに基づいて、トルクコンバータ特性制御マップM2から、伝達効率ηをマップ検索する。
【0031】
次に、ECU35は、算出したドライバ要求出力Poutおよびマップ検索した伝達効率ηに基づいて、「Pe=Pout/ηtc」の式から、エンジン要求出力Peを算出する。エンジン要求出力Peを算出すると、ECU35は、燃費最適制御マップM3に基づいて、燃費が最適となるエンジン回転数Neを設定する。そして、ECU35は、算出したエンジン要求出力Peおよび回転数Nに基づいて、「Tep=Pe/(N×2×π/60)」の式から、目標第1エンジントルクTepを算出する。
【0032】
なお、回転数Nは、ロックアップクラッチ23により締結されている場合、入力軸回転数検出センサ18により検出した入力軸回転数Ninを代入し、ロックアップクラッチ23により締結解除されている場合、クランク角センサ17により検出したエンジン回転数Neを代入する。これにより、ECU35が、目標第1エンジントルク算出プログラム51を実行することで、目標第1エンジントルクTepを算出することができる(第1エンジントルク算出手段)。
【0033】
目標第2エンジントルク算出プログラム52は、設定されたドライバ要求駆動力F、駆動輪径r、無段変速機9の変速比γおよびトルクコンバータ7のトルク比tに基づいて、目標第2エンジントルクTetを算出するものである。以下、ECU35が、目標第2エンジントルク算出プログラム52に基づいて、目標第2エンジントルクTetを算出する具体的な算出方法について説明する。
【0034】
先ず、ECU35は、クランク角センサ17により検出されたエンジン回転数Neおよびタービン回転数センサ30により検出されたタービン回転数Ntに基づいて、「e=Nt/Ne」の式から速度比eを算出する。この後、ECU35は、入力軸回転数検出センサ18により検出された無段変速機9の入力軸回転数Ninおよび出力軸回転数検出センサ19により検出された無段変速機9の出力軸回転数Noutに基づいて、「γ=Nin/Nout」の式から、変速比γを算出する。
【0035】
次に、ECU35は、設定されたドライバ要求駆動力F、算出した変速比γ、駆動輪径rおよびデファレンシャルギヤ11のデフ比Rdiffに基づいて、「Tt=F×r/Rdiff/γ」の式から、トルクコンバータ7のタービン側トルクTtを算出する。続いて、ECU35は、算出した速度比eに基づいて、トルクコンバータ特性制御マップM2から、トルク比tをマップ検索する。
【0036】
最後に、ECU35は、算出したタービン側トルクTtおよびマップ検索したトルク比tに基づいて、「Tet=Tt/t」の式から、目標第2エンジントルクTetを算出する。これにより、ECU35が、目標第2エンジントルク算出プログラム52を実行することで、目標第2エンジントルクTetを算出することができる(第2エンジントルク算出手段)。
【0037】
差分判別プログラム53は、算出した目標第1エンジントルクTepと算出した目標第2エンジントルクTetとの差分を算出し、算出した差分が、予め設定された設定差分以下であるか否かを判別するものである。つまり、ECU35が差分判別プログラム53を実行することにより、ECU35は、目標第1エンジントルクTepと目標第2エンジントルクTetとの差分が設定差分以下であるか否かを判別することができる(差分判別手段)。
【0038】
エンジントルク設定プログラム56は、差分判別プログラム53による判定結果に基づいて、目標エンジントルクTeを、目標第1エンジントルクTepまたは目標第2エンジントルクTetに設定するものである。つまり、ECU35がエンジントルク設定プログラム56を実行すると、差分判別プログラム53により目標第1エンジントルクTepと目標第2エンジントルクTetとの差分が設定差分以下であると判定された場合、ECU35は、目標エンジントルクTeとして目標第1エンジントルクTepを設定する。一方、差分判別プログラム53により目標第1エンジントルクTepと目標第2エンジントルクTetとの差分が設定差分よりも大きいと判定された場合、ECU35は、目標エンジントルクTeとして目標第2エンジントルクTetを設定する(エンジントルク設定手段)。
【0039】
伝達効率判別プログラム54は、マップ検索したトルクコンバータ7の伝達効率ηが、予め設定された設定伝達効率未満であるか否かを判別するものである。つまり、ECU35が伝達効率判別プログラム54を実行することにより、ECU35は、予め設定された設定伝達効率未満であるか否かを判別することができる(伝達効率判別手段)。そして、伝達効率判別プログラム54によりトルクコンバータ7の伝達効率ηが設定伝達効率未満であると判定されると、ECU35は、目標エンジントルクTeとして目標第2エンジントルクTetを設定すると共に、目標第1エンジントルク算出プログラムによる目標第1エンジントルクTepの算出を取り止める。すなわち、例えば、設定伝達効率がゼロである場合、目標第1エンジントルク算出プログラムは「Pe=Pout/ηtc」の式に基づいて計算を行うため、目標第1エンジントルクTepの算出を取り止めることで、ゼロ割りを防止することができる。なお、伝達効率判別プログラム54によりトルクコンバータ7の伝達効率ηが設定伝達効率以上であると判定した場合、ECU35は、目標第1エンジントルク算出プログラム51による目標第1エンジントルクTepの算出を行う。
【0040】
ロックアップ判別プログラム55は、ロックアップクラッチ23が締結しているか否かを判別するものである。つまり、ロックアップ判別プログラム55によりロックアップクラッチ23が締結していると判定されると、ECU35は、回転数Nとして入力軸回転数検出センサ18により検出した入力軸回転数Ninを設定する。一方、ロックアップ判別プログラム55によりロックアップクラッチ23が締結解除していると判定されると、ECU35は、回転数Nとしてクランク角センサ17により検出したエンジン回転数Neを設定する。
【0041】
エンジンイナーシャトルク設定プログラム57は、エンジンイナーシャトルクTinrを設定するものである。具体的に、ECU35がエンジンイナーシャトルク設定プログラム57を実行すると、ECU35は、所定周期でサンプリングされるエンジン回転数Neに基づいて、エンジン回転数変化率dltNeを算出する。この後、ECU35は、算出したエンジン回転数変化率dltNeに基づいて、「Tinr=(Ie+Ip)×dltNe」の式から、エンジンイナーシャトルクTinrを算出する。なお、Ieはエンジンイナーシャであり、Ipはトルクコンバータのポンプ側イナーシャである。
【0042】
エンジントルク補正プログラム58は、エンジンイナーシャトルク設定プログラム57により設定されたエンジンイナーシャトルクTinrに基づいて、目標エンジントルクTeを補正するものである。つまり、ECU35がエンジントルク補正プログラム58を実行すると、ECU35は、設定されたエンジンイナーシャトルクTinrを、目標エンジントルクTeに加算して補正する。
【0043】
以下、図6のフローチャート図を参照して、目標エンジントルクTeを設定する一連の制御フローについて説明する。車両1の車速がゼロの状態において、アクセルペダルが操作されて車両1が発進すると、先ず、ECU35は、車速Vおよびアクセル開度papに基づいて、ドライバ要求駆動力制御マップM1から推定されるドライバ要求駆動力Fをマップ検索する(S1)。この後、ECU35は、エンジン回転数Neとタービン回転数Ntとに基づいて、トルクコンバータ7の速度比eを算出する(S2)。続いて、ECU35は、エンジン回転数変化率dltNeを算出すると共に、算出したエンジン回転数変化率dltNeに基づいて、エンジンイナーシャトルクTinrを算出する(S3)。
【0044】
次に、ECU35は、無段変速機9の入力軸回転数Ninおよび無段変速機9の出力軸回転数Noutに基づいて、変速比γを算出する(S4)。このとき、変速比γは、車両の発進時において最大変速比となるように予め設定されていることが好ましい。つまり、変速比γがエンジン5の運転状況に応じて変更されると、後述するS8において算出したエンジン要求出力Peに基づいて燃費最適制御マップM3から得られるエンジン回転数Neも、変速比γに応じて変更しなければならない。この場合、目標エンジントルクTeの設定が煩雑となってしまう。このため、変速比γを最大変速比とすることで、エンジン回転数Neを変更させることがないため、目標エンジントルクTeの設定を簡易にすることが可能となる。
【0045】
次に、ECU35は、マップ検索されたドライバ要求駆動力F、駆動輪径r、デフ比Rdiffおよび変速比γに基づいて、トルクコンバータ7のタービン側トルクTtを算出する(S5)。続いて、ECU35は、S2において、算出した速度比eに基づいて、トルクコンバータ特性制御マップM2からトルクコンバータ7のトルク比tをマップ検索する(S6)。そして、ECU35は、タービン側トルクTtおよびトルク比tに基づいて、目標第2エンジントルクTetを算出する(S7)。
【0046】
次に、ECU35は、マップ検索したドライバ要求駆動力Fと車速Vとに基づいて、ドライバ要求出力Poutを算出する(S8)。続いて、ECU35は、S2において、算出した速度比eに基づいて、トルクコンバータ特性制御マップM2からトルクコンバータ7の伝達効率ηをマップ検索する(S9)。そして、ECU35は、マップ検索した伝達効率ηが、設定伝達効率未満であるか否かを判別する(S10)。この判別により、伝達効率ηがゼロの場合に、ゼロ割りを防止することができる。つまり、ECU35によりマップ検索した伝達効率ηが設定伝達効率未満でない、すなわち設定伝達効率以上であると判定された場合、S11に移行する。一方、ECU35によりマップ検索した伝達効率ηが、設定伝達効率未満であると判定された場合、後述するS18において、目標エンジントルクTeとして目標第2エンジントルクTetが設定される。
【0047】
S10において、マップ検索した伝達効率ηが、設定伝達効率以上であると判定された場合、ECU35は、算出したドライバ要求出力Poutとマップ検索した伝達効率ηとに基づいて、エンジン要求出力Peを算出する(S11)。エンジン要求出力Peが算出されると、燃費最適制御マップM3に基づいてエンジン回転数Neが設定される。この後、ECU35は、ロックアップクラッチ23が締結しているか否かを判別し(S12)、締結している場合は、回転数Nとして入力軸回転数Ninを設定し(S13)、締結解除している場合は、回転数Nとしてエンジン回転数Neを設定する(S14)。そして、ECU35は、算出したエンジン要求出力Peと設定した回転数Nとに基づいて、目標第1エンジントルクTepを算出する(S15)。
【0048】
次に、ECU35は、算出した目標第1エンジントルクTepと算出した目標第2エンジントルクTetとの差分を算出し、算出した差分の絶対値が、予め設定された設定差分以下であるか否かを判別する(S16)。このとき、設定差分は、実験的に求められ、エンジンの運転に際し、支障が出ないような値となっている。そして、ECU35は、算出した差分が設定差分よりも大きいと判定すると、目標エンジントルクTeとして目標第2エンジントルクTetを設定し(S18)、算出した差分が設定差分以下であると判定すると、目標エンジントルクTeとして目標第1エンジントルクを設定する(S17)。この後、ECU35は、設定した目標エンジントルクTeにエンジンイナーシャトルクTinrを加算して、目標エンジントルクTeを補正する(S19)。上記の制御フローを繰り返し行うことで、目標エンジントルクTeを精度良く設定することが可能となる。
【0049】
次に、図2を参照して、エンジン回転数Ne、入力軸回転数Nin、ドライバから要求されている要求エンジントルク、目標第1エンジントルクTep、および目標第2エンジントルクTetの時間変化について説明する。このタイムチャート図は、横軸が時間軸となっており、左側の縦軸がエンジントルク、右側の縦軸が回転数となっている。ここで、T1はアクセル操作開始時であり、T2は車両1の発進開始時であり、T3は目標第1エンジントルクTepと目標第2エンジントルクTetとの差分が設定差分以下となった時である。
【0050】
車両1が停止した状態において、ドライバがT1時においてアクセル操作を開始すると、トルクコンバータ7の伝達効率ηはゼロであるため、目標第1エンジントルクTepは無限大となる。一方、目標第2エンジントルクTetは、トルクコンバータ7の伝達効率ηを用いることなく算出されているため、目標第1エンジントルクTepに比して、小さい値となっていると共に精度良く算出されている。そして、目標第1エンジントルクTepと目標第2エンジントルクTetとの差分は設定差分よりも大きいため、目標エンジントルクTeとして目標第2エンジントルクTetが設定されている。
【0051】
この後、T2時において、入力軸回転数Ninが上昇して車両1が発進すると、目標第1エンジントルクTepは急激に減少すると共に、目標第2エンジントルクTetは徐々に増加する。そして、T3時において、目標第1エンジントルクTepと目標第2エンジントルクTetとの差分が減少して設定差分以下となると、目標第1エンジントルクTepが設定される。T3時以降、目標第1エンジントルクTepおよび目標第2エンジントルクTetは、同値となった状態で時間変化する。なお、T3時において、目標第1エンジントルクTepを設定する効果として、目標第1エンジントルクTepは、燃費最適制御マップM3に基づいて設定されているため、目標第2エンジントルクTetに比して、燃費効率が良い。
【0052】
これにより、従来においてトルクコンバータ7の伝達効率ηが0近傍のときにおいて、精度良く目標エンジントルクTeを設定することは困難であった。しかしながら、以上の構成によれば、目標第1エンジントルクTepと目標第2エンジントルクTetとの差分を算出して、この差分が設定差分以下であるか否かを判別することにより、目標第1エンジントルクTepおよび目標第2エンジントルクTetのいずれか一方を選択して設定することができる。これにより、車両1の発進運転状況に応じて、適切な目標エンジントルクTeを設定することができるため、精度の良い目標エンジントルクTeを設定することができる。
【0053】
また、トルクコンバータ7の伝達効率ηが設定伝達効率未満である場合、目標第2エンジントルクTetを設定するため、目標第1エンジントルクTepを算出することなく、「Pe=Pout/ηtc」の式において、ゼロ割りを行うことがない。さらに、車両1の発進時において、無段変速機9の変速比γを最大変速比とすることで、エンジン回転数Neを変更させることがないため、目標エンジントルクTeの設定を簡易にすることができる。
【0054】
なお、本実施例において、目標第1エンジントルクTepと目標第2エンジントルクTetとの差分が設定差分より大きい場合は目標第2エンジントルクTetを設定し、設定差分以下である場合は目標第1エンジントルクTepを設定したが、これに代えて、目標第1エンジントルクTepと目標第2エンジントルクTetとの差分が設定差分以上である場合は目標第2エンジントルクTetを設定し、設定差分未満である場合は目標第1エンジントルクTepを設定してもよい。同様に、本実施例において、トルクコンバータ7の伝達効率ηが設定伝達効率未満である場合は、目標第2エンジントルクTetを設定したが、これに代えて、トルクコンバータ7の伝達効率ηが設定伝達効率以下である場合は、目標第2エンジントルクTetを設定してもよい。また、本実施例では、自動変速機として無段変速機9を適用したが、多段変速機に適用しても良い。
【0055】
さらに、本実施例の変形例として、図6のフローチャート図のS16を廃してもよい。つまり、ECU35は、トルクコンバータ7の伝達効率ηが設定伝達効率未満であると判定した場合、目標エンジントルクTeとして目標第2エンジントルクTetを設定し、トルクコンバータ7の伝達効率ηが設定伝達効率以上であると判定した場合、目標エンジントルクTeとして目標第1エンジントルクTepを設定するようにしてもよい。この場合、設定伝達効率ηは、目標第1エンジントルクTepと目標第2エンジントルクTetとの差分が、予め設定された設定差分となるように設定されていることが好ましい。つまり、トルクコンバータ7の伝達効率ηは、設定伝達効率未満となると、目標第1エンジントルクTepと目標第2エンジントルクTetとの差分が設定差分以上となり、設定伝達効率以上となると、目標第1エンジントルクTepと目標第2エンジントルクTetとの差分が設定差分未満となる。この構成によれば、目標第1エンジントルクTepおよび目標第2エンジントルクTetの差分を算出することなく、トルクコンバータ7の伝達効率ηに基づいて、目標第1エンジントルクTepまたは目標第2エンジントルクTetのいずれか一方を目標エンジントルクTeとして設定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上のように、本発明は、トルクコンバータを備えた自動変速機を有している車両を制御する車両の発進制御装置に有用であり、特に、適切な目標エンジントルクを設定する場合に適している。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施例にかかる車両の発進制御装置により制御される車両の駆動系の概略構成図である。
【図2】時間軸上において変化する目標第1エンジントルクおよび目標第2エンジントルク等のタイムチャート図である。
【図3】ドライバ要求駆動力制御マップの模式図である。
【図4】トルクコンバータ特性制御マップの模式図である。
【図5】燃費最適制御マップの模式図である。
【図6】目標エンジントルクを設定する一連の制御フローとなるフローチャート図である。
【符号の説明】
【0058】
5 エンジン
7 トルクコンバータ
9 無段変速機
13 駆動輪
16 エアフローセンサ
17 クランク角センサ
18 入力軸回転数検出センサ
19 出力軸回転数検出センサ
23 ロックアップクラッチ
30 タービン回転数センサ
35 ECU
37 アクセルポジションセンサ
38 車速センサ
50 ドライバ駆動力設定プログラム
51 目標第1エンジントルク算出プログラム
52 目標第2エンジントルク算出プログラム
53 差分判別プログラム
54 伝達効率判別プログラム
55 ロックアップ判別プログラム
56 エンジントルク設定プログラム
57 エンジンイナーシャトルク設定プログラム
58 エンジントルク補正プログラム
F ドライバ要求駆動力
Te 目標エンジントルク
Tep 目標第1エンジントルク
Tet 目標第2エンジントルク
V 車速
pap アクセル開度
e 速度比
t トルク比
η 伝達効率
Pe エンジン要求出力
Ne エンジン回転数
Pout ドライバ要求出力
Nin 入力軸回転数
Nout 出力軸回転数
γ 変速比
r 駆動輪径
Rdiff デフ比
Tt タービン側トルク
Nt タービン回転数
dltNe エンジン回転数変化率
Tinr エンジンイナーシャトルク
M1 ドライバ要求駆動力制御マップ
M2 トルクコンバータ特性制御マップ
M3 燃費最適制御マップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、前記エンジンに連結されたトルクコンバータと、前記トルクコンバータに連結された自動変速機とを備えた車両の駆動力を制御するに際し、アクセル開度および車速に基づいて、ドライバから要求されたドライバ要求駆動力を設定し、設定された前記ドライバ要求駆動力から目標エンジントルクを算出する車両の発進制御装置において、
前記ドライバ要求駆動力に基づいてドライバ要求出力を算出し、算出した前記ドライバ要求出力および前記トルクコンバータの伝達効率に基づいて目標第1エンジントルクを算出する第1エンジントルク算出手段と、
前記ドライバ要求駆動力、駆動輪径、前記自動変速機の変速比および前記トルクコンバータのトルク比に基づいて、目標第2エンジントルクを算出する第2エンジントルク算出手段と、
前記第1エンジントルク算出手段により算出された前記目標第1エンジントルクと、前記第2エンジントルク算出手段により算出された前記目標第2エンジントルクとの差分が、予め設定された設定差分より大きくなるか否かを判別する差分判別手段と、
前記差分判別手段により前記差分が前記設定差分より大きいと判定された場合、前記目標エンジントルクとして前記目標第2エンジントルクを設定し、前記差分判別手段により前記差分が前記設定差分以下であると判定された場合、前記目標エンジントルクとして前記目標第1エンジントルクを設定するエンジントルク設定手段と、を備えたことを特徴とする車両の発進制御装置。
【請求項2】
前記トルクコンバータの伝達効率が、予め設定された設定伝達効率以上であるか否かを判別する伝達効率判別手段をさらに備え、
前記伝達効率判別手段により前記トルクコンバータの伝達効率が前記設定伝達効率未満であると判定された場合、前記エンジントルク設定手段は、前記目標エンジントルクとして前記目標第2エンジントルクを設定することを特徴とする請求項1に記載の車両の発進制御装置。
【請求項3】
エンジンと、前記エンジンに連結されたトルクコンバータと、前記トルクコンバータに連結された自動変速機とを備えた車両の駆動力を制御するに際し、アクセル開度および車速に基づいて、ドライバから要求されたドライバ要求駆動力を設定し、設定された前記ドライバ要求駆動力から目標エンジントルクを算出する車両の発進制御装置において、
前記ドライバ要求駆動力に基づいてドライバ要求出力を算出し、算出した前記ドライバ要求出力および前記トルクコンバータの伝達効率に基づいて目標第1エンジントルクを算出する第1エンジントルク算出手段と、
前記ドライバ要求駆動力、駆動輪径、前記自動変速機の変速比および前記トルクコンバータのトルク比に基づいて、目標第2エンジントルクを算出する第2エンジントルク算出手段と、
前記トルクコンバータの伝達効率が、予め設定された設定伝達効率以上であるか否かを判別する伝達効率判別手段と、
前記伝達効率判別手段により前記トルクコンバータの伝達効率が前記設定伝達効率未満であると判定された場合、前記目標エンジントルクとして前記目標第2エンジントルクを設定し、前記伝達効率判別手段により前記トルクコンバータの伝達効率が前記設定伝達効率以上であると判定された場合、前記目標エンジントルクとして前記目標第1エンジントルクを設定するエンジントルク設定手段と、を備えたことを特徴とする車両の発進制御装置。
【請求項4】
前記設定伝達効率は、前記第1エンジントルク算出手段により算出された前記目標第1エンジントルクと、前記第2エンジントルク算出手段により算出された前記目標第2エンジントルクとの差分が、予め設定された設定差分となるように、設定されていることを特徴とする請求項3に記載の車両の発進制御装置。
【請求項5】
前記車両の発進時において、前記自動変速機の変速比は、最大変速比に設定されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の車両の発進制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−108814(P2009−108814A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−283840(P2007−283840)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】