説明

車両用制御装置

【課題】道路交通状況に応じて適切に加速操作支援を行う車両用制御装置を提供すること。
【解決手段】車両において、運転者による加速操作を支援する車両用制御装置が、自車両の現在位置を検出する位置検出手段と、位置検出手段によって検出された自車両現在位置を地図情報に照らして自車両が自車両進行方向において後に主たる道路に合流する従たる道路上に位置するか否かを判定する判定手段と、判定手段によって自車両が従たる道路上に位置すると判定されたとき、主たる道路上の交通状況に関する情報を取得する取得手段と、取得手段によって取得された情報から主たる道路上に渋滞が発生していないと判断されたとき、自車両運転者による加速操作を支援する加速支援手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、車両において、運転者による加速操作を支援する車両用制御装置に係り、特に、道路交通状況に応じて適切に加速操作支援を行う車両用制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両において、運転者による加速操作を支援する車両用制御装置が知られている(例えば、特許文献1及び非特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、ナビゲーション装置によって得られた道路情報に基づいて、最適な駆動力が得られるように変速比を制御する装置が開示されている。
【0004】
非特許文献1には、自車両が高速道路追越車線や高速道路本線への合流路にいる場合には変速機構の変速比を加速しやすいように変更して加速を支援するシステムが開示されている。
【特許文献1】特開2002−139138号公報
【非特許文献1】日産自動車株式会社、「IT−NAVI SHIFT」、[online]、[平成17年9月26日検索]、インターネットURL<http://www.nissan.co.jp/PRIMERA/P12/0307/EQUIP/main3.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1及び非特許文献1に開示された従来装置/システムでは、自車両の道路上での位置情報のみによって変速比が変更されてしまうため、実際の道路交通状況に照らして適切でない変速制御が行われてしまう可能性がある。
【0006】
例えば、自車両が高速道路や有料道路など(以下、総称して「高速道路等」と呼ぶ)の本線にインターチェンジのランプウェイ(支線)から合流しようとしているとき、上記従来装置/システムによれば加速しやすい変速比に変更されることになるが、本線が渋滞している場合など本線に加速状態で合流することが困難な交通状況下においてはこのような変速比の変更はかえってアクセル(ペダル)コントロール性やドライバビリティ(運転のしやすさ)を損なうことになりかねない。
【0007】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、道路交通状況に応じて適切に加速操作支援を行う車両用制御装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明の第一の態様は、車両において、運転者による加速操作を支援する車両用制御装置であって、自車両の現在位置を検出する位置検出手段と、該位置検出手段によって検出された自車両現在位置を地図情報に照らして自車両が自車両進行方向において後に主たる道路に合流する従たる道路上に位置するか否かを判定する判定手段と、該判定手段によって自車両が上記従たる道路上に位置すると判定されたとき、上記主たる道路上の交通状況に関する情報を取得する取得手段と、該取得手段によって取得された情報から上記主たる道路上に渋滞が発生していないと判断されたとき、自車両運転者による加速操作を支援する加速支援手段とを有する車両用制御装置である。
【0009】
この第一の態様において、上記「主たる道路」とは例えば高速道路等の本線などであり、上記「従たる道路」とは例えば高速道路等の支線・ランプウェイなどである。
【0010】
また、この第一の態様において、上記位置検出手段は、例えば、GPS(Global Positioning System;全地球測位システム)を利用して自車両現在位置を検出する。検出精度(分解能)は高い(細かい)ほど好ましく、例えばRTK(Real Time Kinematic)−GPSなどの高精度GPSが用いられることが好ましい。
【0011】
また、この第一の態様において、上記地図情報は、例えば、任意の記憶媒体に格納されて予め記憶保持されておくものとする。この地図情報は、車車間通信、路車間通信、及び/又は、衛星通信を利用して適宜最新の情報に更新されることが好ましい。
【0012】
また、この第一の態様において、上記取得手段は、例えば、車車間通信、路車間通信、及び/又は、衛星通信を利用して上記主たる道路上の交通状況に関する情報を取得する。典型的には、上記取得手段は、例えばVICS(Vehicle Information and Communication System;道路交通情報通信システム)を利用して、上記主たる道路の渋滞情報を取得する。
【0013】
さらに、この第一の態様において、上記加速支援手段は、例えば、自車両運転者による加速操作が支援されるように変速制御又はスロットル弁開度制御を行う。前者の場合、上記加速支援手段は、例えば、自動有段変速機の場合にはギア段を下げるか又はシフトアップポイント(変速点)を上げることによって加速しやすいようにし、自動無段変速機の場合にはギア比を大きくすることによって加速しやすいようにする。後者の場合、上記加速支援手段は、例えば、アクセルペダル踏み込み量に対するスロットル弁開度の割合を大きくすることによって加速しやすいようにする。
【0014】
この第一の態様によれば、自車両が合流しようとしている主たる道路が渋滞していないときには加速操作が支援されて加速しやすくなると共に、渋滞しているときには加速操作が支援されず加速しやすくならないようにすることができるため、合流時のアクセルコントロール性及びドライバビリティを向上させることができる。
【0015】
なお、この第一の態様において、上記加速支援手段は、上記取得手段によって取得された情報から判断された上記主たる道路上の交通流の流れのスムーズさの程度に応じて加速操作支援の程度を変えてもよい。
【0016】
また、この第一の態様において、上記加速支援手段は、例えば、変速制御及びスロットル弁開度制御の双方を用いて、上記取得手段によって取得された情報から上記主たる道路上の交通状況を交通流の流れがスムーズな順に第一の状況、第二の状況、及び、第三の状況の3段階に分類し、上記第一の状況(例えば、交通量が非常に少なく、ガラガラの状態)のときには変速制御及びスロットル制御の双方により加速操作を支援し、上記第二の状況(例えば、交通量はある程度あるが、順調に流れている状態)のときには変速制御又はスロットル制御のいずれか一方により加速操作を支援し、上記第三の状況(例えば、交通量が非常に多い、及び/又は、渋滞している)のときには加速操作を支援しない、ものとしてもよい。
【0017】
上記目的を達成するための本発明の第二の態様は、車両において、変速制御を行う車両用制御装置であって、自車両が自車両進行方向において後に主たる道路に合流する従たる道路を走行しているとき、上記主たる道路の交通状況に応じて変速制御を行う、車両用制御装置である。
【0018】
この第二の態様において、上記「主たる道路」とは例えば高速道路等の本線などであり、上記「従たる道路」とは例えば高速道路等の支線・ランプウェイなどである。
【0019】
また、この第二の態様において、上記車両用制御装置は、例えば、自車両が自車両進行方向において後に主たる道路に合流する従たる道路を走行しているとき、上記主たる道路上に渋滞が発生していなければ自車両運転者による加速操作が支援されるように変速制御を行う。
【0020】
この第二の態様によれば、自車両が従たる道路を走行中であり、しばらくすると主たる道路に合流することが判明しているときには、自車両が現在走行中の道路だけではなく、合流先の主たる道路の交通状況も考慮して変速制御が行われるため、合流時のアクセルコントロール性及びドライバビリティを向上させることができる。
【0021】
上記目的を達成するための本発明の第三の態様は、車両において、スロットル弁開度制御を行う車両用制御装置であって、自車両が自車両進行方向において後に主たる道路に合流する従たる道路を走行しているとき、上記主たる道路の交通状況に応じてスロットル弁開度制御を行う、車両用制御装置である。
【0022】
この第三の態様において、上記「主たる道路」とは例えば高速道路等の本線などであり、上記「従たる道路」とは例えば高速道路等の支線・ランプウェイなどである。
【0023】
また、この第三の態様において、上記車両用制御装置は、例えば、自車両が自車両進行方向において後に主たる道路に合流する従たる道路を走行しているとき、上記主たる道路上に渋滞が発生していなければ自車両運転者による加速操作が支援されるようにスロットル弁開度制御を行う。
【0024】
この第三の態様によれば、自車両が従たる道路を走行中であり、しばらくすると主たる道路に合流することが判明しているときには、自車両が現在走行中の道路だけではなく、合流先の主たる道路の交通状況も考慮してスロットル制御が行われるため、合流時のアクセルコントロール性及びドライバビリティを向上させることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、道路交通状況に応じて適切に加速操作支援を行う車両用制御装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。
【実施例1】
【0027】
以下、図1及び2を用いて、本発明の一実施例(実施例1)に係る車両用制御装置について説明する。本実施例に係る車両用制御装置100は、高速道路等の支線(ランプウェイ)から本線に合流する際に変速制御を行うことによって運転者による加速操作を支援するものである。すなわち、本実施例に係る車両用制御装置100は、変速制御装置とも言い得る。
【0028】
図1は、本実施例に係る車両用制御装置100の概略構成図である。
【0029】
車両用制御装置100は、自車両の現在位置を検出する位置検出部101を有する。位置検出部は、例えば、GPSを利用して自車両現在位置を検出する。位置検出部101の検出精度(分解能)は高い(細かい)ほど好ましく、例えばRTK−GPSなどの高精度GPSが用いられることが好ましい。
【0030】
車両用制御装置100は、更に、交通情報を取得する交通情報取得部102を有する。交通情報取得部102は、自車両周辺の道路の交通情報を通信を利用して取得するものとする。ここで、利用する通信は、車車間通信であっても、路車間通信であっても、衛星通信であっても、或いは、これらの任意の組み合わせであってもよい。交通情報取得部102は、典型的には、VICSを利用して、渋滞情報を取得するものとする。
【0031】
車両用制御装置100は、更に、地図情報を記憶保持した記憶部103を有する。記憶部103は、任意の記憶媒体でよい。また、記憶部103に記憶された地図情報は、高精度な(すなわち詳細な)地図情報であるほど好ましい。さらに、記憶部103に記憶された地図情報は、例えば通信を利用して、適宜最新の情報に更新されることが好ましい。
【0032】
車両用制御装置100は、更に、自車両の変速機構を制御する変速制御部104を有する。変速制御部104は、自動有段変速機の場合、ギア段の変更及びシフトアップ/ダウンポイントの変更を行うものとし、自動無段変速機の場合、ギア比の変更を行うものとする。
【0033】
車両用制御装置100は、更に、車両用制御装置100の各構成要素を統括的に制御する主制御部105を有する。本実施例において、主制御部105は、例えばECU(Electronic Control Unit;電子制御装置)である。
【0034】
次いで、このような構成の車両用制御装置100による加速操作支援制御の処理の流れについて図2のフローチャートを用いて説明する。
【0035】
まず、主制御部105は、位置検出部101によって検出された自車両現在位置を記憶部103に記憶された地図情報に照らして自車両が高速道路等のランプウェイ(支線)上に位置するか否かを判定する(S201)。
【0036】
自車両がランプウェイ上に位置する場合(S201の「YES」)、次いで、主制御部105は、交通情報取得部102によって取得された周辺道路の交通情報から自車両がこれから合流しようとしている高速道路等の本線上で渋滞が発生しているか否かを判断する(S202)。
【0037】
本線上で渋滞が発生していない場合(S202の「NO」)、主制御部105は、自車両が加速状態のまま本線に合流しても問題ないと判断し、自車両がスムーズに加速するように変速制御部104に運転者の加速操作が支援され、加速しやすくなるように制御指示を出す(S203)。指示を受けた変速制御部104は、自動有段変速機の場合には、通常の場合に比して、ギア段を下げるか、或いは、シフトアップポイントを上げることによって、自動無段変速機の場合には、通常の場合に比して、ギア比を大きくすることによって、自車両がスムーズに加速できるように運転者による加速操作を支援する。
【0038】
他方、自車両がランプウェイ上に位置しない場合(S201の「NO」)、或いは、自車両が合流しようとしている本線上で渋滞が発生している場合(S202の「YES」)、主制御部105は変速制御部104に通常通りの変速制御を行うように指示する(S204)。
【0039】
このように、本実施例によれば、加速操作が支援される際、自車両がこれから合流しようとしている本線の交通流の流れを事前に考慮して加速操作支援制御が行われるため、本線が渋滞しているために自車両が加速状態で本線に合流できない場合にまでも加速操作支援制御が実行されてしまうことが回避され、アクセルコントロール性及びドライバビリティが向上する。
【0040】
なお、本実施例においては、本線上の交通状況を渋滞が発生しているか否かという観点から択一的に判定し、これに応じて加速操作支援のための変速制御を実行するか否かも択一的に判断するものとしたが、本発明はこのような処理に限定されず、例えば、本線上の交通量や交通流の流れの状況に応じて加速操作支援の程度が変更されるようにリニアな変速制御を行うようにしてもよい。
【実施例2】
【0041】
次に、図3及び4を用いて、本発明の別の一実施例(実施例2)に係る車両用制御装置について説明する。本実施例に係る車両用制御装置300は、高速道路等の支線(ランプウェイ)から本線に合流する際にスロットル弁開度制御を行うことによって運転者による加速操作を支援するものである。すなわち、本実施例に係る車両用制御装置300は、スロットル制御装置とも言い得る。
【0042】
図3は、本実施例に係る車両用制御装置300の概略構成図である。なお、上記実施例1と同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0043】
車両用制御装置300は、位置検出部101、交通情報取得部102、及び、記憶部103を有する。
【0044】
車両用制御装置300は、更に、自車両のスロットル弁の開度を制御するスロットル制御部301を有する。
【0045】
車両用制御装置300は、更に、車両用制御装置300の各構成要素を統括的に制御する主制御部302を有する。本実施例において、主制御部302は、例えばECU(Electronic Control Unit;電子制御装置)である。
【0046】
次いで、このような構成の車両用制御装置300による加速操作支援制御の処理の流れについて図4のフローチャートを用いて説明する。
【0047】
まず、主制御部302は、位置検出部101によって検出された自車両現在位置を記憶部103に記憶された地図情報に照らして自車両が高速道路等のランプウェイ(支線)上に位置するか否かを判定する(S401)。
【0048】
自車両がランプウェイ上に位置する場合(S401の「YES」)、次いで、主制御部302は、交通情報取得部102によって取得された周辺道路の交通情報から自車両がこれから合流しようとしている高速道路等の本線上で渋滞が発生しているか否かを判断する(S402)。
【0049】
本線上で渋滞が発生していない場合(S402の「NO」)、主制御部302は、自車両が加速状態のまま本線に合流しても問題ないと判断し、自車両がスムーズに加速するようにスロットル制御部301に運転者の加速操作が支援され、加速しやすくなるように制御指示を出す(S403)。指示を受けたスロットル制御部301は、アクセルペダル踏み込み量に対するスロットル弁開度の割合を通常時より大きくすることによって、自車両がスムーズに加速できるように運転者による加速操作を支援する。
【0050】
他方、自車両がランプウェイ上に位置しない場合(S401の「NO」)、或いは、自車両が合流しようとしている本線上で渋滞が発生している場合(S402の「YES」)、主制御部302はスロットル制御部301に通常通りのスロットル制御を行うように指示する(S404)。
【0051】
このように、本実施例によれば、加速操作が支援される際、自車両がこれから合流しようとしている本線の交通流の流れを事前に考慮して加速操作支援制御が行われるため、本線が渋滞しているために自車両が加速状態で本線に合流できない場合にまでも加速操作支援制御が実行されてしまうことが回避され、アクセルコントロール性及びドライバビリティが向上する。
【0052】
なお、本実施例においては、本線上の交通状況を渋滞が発生しているか否かという観点から択一的に判定し、これに応じて加速操作支援のためのスロットル制御を実行するか否かも択一的に判断するものとしたが、本発明はこのような処理に限定されず、例えば、本線上の交通量や交通流の流れの状況に応じて加速操作支援の程度が変更されるようにリニアなスロットル制御を行うようにしてもよい。
【実施例3】
【0053】
次に、図5及び6を用いて、本発明の更に別の一実施例(実施例3)に係る車両用制御装置について説明する。本実施例に係る車両用制御装置500は、高速道路等の支線(ランプウェイ)から本線に合流する際に変速制御及び/又はスロットル弁開度制御を行うことによって運転者による加速操作を支援するものである。
【0054】
図5は、本実施例に係る車両用制御装置500の概略構成図である。なお、上記実施例1及び3と同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0055】
車両用制御装置500は、位置検出部101、交通情報取得部102、記憶部103、変速制御部104、及び、スロットル制御部301を有する。
【0056】
車両用制御装置500は、更に、車両用制御装置500の各構成要素を統括的に制御する主制御部501を有する。本実施例において、主制御部501は、例えばECU(Electronic Control Unit;電子制御装置)である。
【0057】
次いで、このような構成の車両用制御装置500による加速操作支援制御の処理の流れについて図6のフローチャートを用いて説明する。
【0058】
まず、主制御部501は、位置検出部101によって検出された自車両現在位置を記憶部103に記憶された地図情報に照らして自車両が高速道路等のランプウェイ(支線)上に位置するか否かを判定する(S601)。
【0059】
自車両がランプウェイ上に位置する場合(S601の「YES」)、次いで、主制御部501は、交通情報取得部102によって取得された周辺道路の交通情報から自車両がこれから合流しようとしている高速道路等の本線上の交通流の流れについてその混雑度合を判断する(S602)。
【0060】
本線上の交通量が非常に少ないいわゆるガラガラ状態である場合(S602の「交通量極少」)、主制御部501は、自車両が加速状態のまま本線に合流しても問題ないと判断し、自車両がスムーズに加速するように変速制御部104及びスロットル制御部301に運転者の加速操作が支援され、加速しやすくなるように制御指示を出す。
【0061】
指示を受けた変速制御部104及びスロットル制御部301は、実施例1及び2の場合とそれぞれ同様に、自車両がスムーズに加速できるように運転者による加速操作を支援する(S603)。
【0062】
また、本線上の交通量がある程度はあるものの、順調に流れている場合(S602の「スムーズ」)、主制御部501は、自車両がある程度の加速状態で本線に合流すべきと判断し、自車両がS603の場合に比して多少緩やかに加速するように変速制御部104のみに運転者の加速操作が支援され、加速しやすくなるように制御指示を出す。
【0063】
指示を受けた変速制御部104は、実施例1の場合とそれぞれ同様に、自車両がスムーズに加速できるように運転者による加速操作を支援する(S604)。
【0064】
さらに、本線上の交通量が非常に多いと判断された場合及び/又は渋滞が発生していると判断された場合(S602の「渋滞」)、主制御部501は、変速制御部104及びスロットル制御部301それぞれに通常通りの制御を行うように指示する(S605)。すなわち、加速操作支援は行われない。
【0065】
このように、本実施例によれば、加速操作が支援される際、自車両がこれから合流しようとしている本線の交通流の流れを事前に考慮して加速操作支援制御が行われるため、本線が渋滞しているために自車両が加速状態で本線に合流できない場合にまでも加速操作支援制御が実行されてしまうことが回避され、アクセルコントロール性及びドライバビリティが向上する。
【0066】
また、本実施例によれば、本線上の交通流の流れの状況に応じて、加速操作支援の程度が変えられるため、自車両が合流しようとする本線上の混み具合に応じた加速操作支援が実現され、アクセルコントロール性及びドライバビリティが一層向上する。
【0067】
なお、この本実施例においては、S604において変速制御によってのみ加速操作を支援する場合について述べたが、これは一例に過ぎず、当業者には明らかなように、実施例3のS604においてスロットル制御によってのみ加速操作を支援するものとしてもよい。
【0068】
また、本実施例においては、上記のように、本線上の交通量や交通流の流れの状況を3段階に分類して加速操作支援制御の内容を変更するものとしたが、このような分類に加えて、本実施例においても、実施例1及び2と同様に、S603及び/又はS604の中で更に本線上の交通量や交通流の流れの状況に応じて加速操作支援の程度がリニアに変更されるように変速制御及び/又はスロットル制御を行うようにしてもよい。
【0069】
以上説明した本発明に係る車両用制御装置の実施例1〜3において、自車両がナビゲーションシステムを搭載している場合、位置検出部101、交通情報取得部102、及び記憶部103は、当該ナビゲーションシステムと兼用であってもよい。換言すれば、ナビゲーションシステムから自車両現在位置及び地図情報(或いは、自車両が支線上に位置するという判定結果自体)並びに合流しようとしている本線上の交通情報を取得できる場合、本発明に係る車両用制御装置自体が固有の位置検出部101、交通情報取得部102、及び記憶部103を備えている必要はない。
【0070】
また、上記実施例1〜3において、加速操作支援のための変速制御及び/又はスロットル制御中に運転者によってブレーキペダルが(例えば、所定ストローク量、又は、所定ストローク速度で)操作された場合、運転者が制動制御を実行する意思があるものと判断して、実施中の加速操作支援のための変速制御及び/又はスロットル制御が直ちに解除されることが好ましい。
【0071】
また、上記実施例1〜3において、加速操作支援のための変速制御又はスロットル制御が実施されていることは、インジケータ点灯などにより運転者に通知されてもよく、或いは、運転者への通知無しで実施されてもよい。後者の場合、加速操作支援の程度を運転者が違和感を持たない程度に抑えることが好ましい。
【0072】
さらに、上記実施例1〜3においては、加速操作支援制御が実施される場所の一例として高速道路等の本線に合流しようとしているインターチェンジの支線(ランプウェイ)を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されず、自車両が従たる道路上に位置し、これから従たる道路よりも平均交通速度が速い主たる道路に合流しようとしている場合であればあらゆる道路形態において実施可能である。例えば、同じく高速道路等のサービスエリアやパーキングエリアなどを出て本線に合流するまでの合流路上などにおいて実施されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、車両において運転者による加速操作を支援する車両用制御装置に利用できる。搭載される車両の外観、重量、サイズ、走行性能等は問わない。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の一実施例(実施例1)に係る車両用制御装置の概略構成図である。
【図2】本発明の一実施例(実施例1)に係る車両用制御装置による加速操作支援制御の処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】本発明の別の一実施例(実施例2)に係る車両用制御装置の概略構成図である。
【図4】本発明の別の一実施例(実施例2)に係る車両用制御装置による加速操作支援制御の処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】本発明の更に別の一実施例(実施例3)に係る車両用制御装置の概略構成図である。
【図6】本発明の更に別の一実施例(実施例3)に係る車両用制御装置による加速操作支援制御の処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0075】
100、300、500 車両用制御装置
101 位置検出部
102 交通情報取得部
103 記憶部
104 変速制御部
105、302、501 主制御部
301 スロットル制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両において、運転者による加速操作を支援する車両用制御装置であって、
自車両の現在位置を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段によって検出された自車両現在位置を地図情報に照らして自車両が自車両進行方向において後に主たる道路に合流する従たる道路上に位置するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって自車両が前記従たる道路上に位置すると判定されたとき、前記主たる道路上の交通状況に関する情報を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された情報から前記主たる道路上に渋滞が発生していないと判断されたとき、自車両運転者による加速操作を支援する加速支援手段と、を有することを特徴とする車両用制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両用制御装置であって、
前記加速支援手段は、前記取得手段によって取得された情報から判断された前記主たる道路上の交通流の流れのスムーズさの程度に応じて加速操作支援の程度を変える、ことを特徴とする車両用制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の車両用制御装置であって、
前記加速支援手段は、自車両運転者による加速操作が支援されるように変速制御又はスロットル弁開度制御を行う、ことを特徴とする車両用制御装置。
【請求項4】
請求項3記載の車両用制御装置であって、
前記加速支援手段は、
前記取得手段によって取得された情報から前記主たる道路上の交通状況を交通流の流れがスムーズな順に第一の状況、第二の状況、及び、第三の状況の3段階に分類し、
前記第一の状況のときには変速制御及びスロットル制御の双方により加速操作を支援し、
前記第二の状況のときには変速制御又はスロットル制御のいずれか一方により加速操作を支援し、
前記第三の状況のときには加速操作を支援しない、ことを特徴とする車両用制御装置。
【請求項5】
車両において、変速制御を行う車両用制御装置であって、
自車両が自車両進行方向において後に主たる道路に合流する従たる道路を走行しているとき、前記主たる道路の交通状況に応じて変速制御を行う、ことを特徴とする車両用制御装置。
【請求項6】
請求項5記載の車両用制御装置であって、
自車両が自車両進行方向において後に主たる道路に合流する従たる道路を走行しているとき、前記主たる道路上に渋滞が発生していなければ自車両運転者による加速操作が支援されるように変速制御を行う、ことを特徴とする車両用制御装置。
【請求項7】
車両において、スロットル弁開度制御を行う車両用制御装置であって、
自車両が自車両進行方向において後に主たる道路に合流する従たる道路を走行しているとき、前記主たる道路の交通状況に応じてスロットル弁開度制御を行う、ことを特徴とする車両用制御装置。
【請求項8】
請求項7記載の車両用制御装置であって、
自車両が自車両進行方向において後に主たる道路に合流する従たる道路を走行しているとき、前記主たる道路上に渋滞が発生していなければ自車両運転者による加速操作が支援されるようにスロットル弁開度制御を行う、ことを特徴とする車両用制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−99196(P2007−99196A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−294945(P2005−294945)
【出願日】平成17年10月7日(2005.10.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】