説明

電気的固体装置の製造方法、電気的固体装置、および電気光学装置

【課題】ウエットエッチングを採用した場合でも、未エッチング部分を発生させずに微細なパターンを形成することができる電気的固体装置の製造方法、電気的固体装置、および電気光学装置を提供すること。
【解決手段】電気光学装置の素子基板上に、スリット7bを備えた透光性の画素電極7aを形成するにあたって、透光性導電膜7の上にレジストマスク96を形成した後、ウエットエッチングを行なう。レジストマスク96において、マスク開口部96bを挟むマスク線状部96eの側面部96fは斜め上向きのテーパ面になっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に薄膜パターンが形成された電気的固体装置の製造方法、該方法により製造された電気的固体装置、および該電気光学装置を素子基板として用いた電気光学装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置や各種回路基板などの電気的固体装置では、基板上に少なくとも薄膜パターンが形成されている。例えば、FFS(Fringe Field Switching)方式の液晶装置などに用いられる素子基板は、スリット状の開口パターンが透光性の画素電極に形成された電気固体装置として構成されている(特許文献1、2参照)。
【0003】
かかる素子基板において、画素電極を形成するには、フォトリソグラフィ技術を用いて、薄膜としてのITO膜の上面にレジストマスクを形成し、この状態でITO膜に対してエッチングを行なう。かかるレジストマスクは、感光性レジストを塗布した後、露光、現像することにより形成される。
【特許文献1】特開2008−076800号公報
【特許文献2】特開2008−116485号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような素子基板において、画素電極のスリット状の開口パターンの幅寸法を狭くすることが望まれており、かかる要求に対応するには、レジストマスクのマスク開口部の幅寸法を狭くすればよい。
【0005】
しかしながら、レジストマスクのマスク開口部の幅寸法を狭くしようにも、レジストマスクを形成する際に用いる露光機の解像度では、レジストマスクのマスク開口部の幅寸法を2.0μmとするのが限界である。また、レジストマスクを形成した後、ウエットエッチングを行なうと、両側で0.5μm程度のサイドエッチングが発生する。このため、画素電極のスリットの開口パターンについては、幅寸法を3.0μm以下まで狭くすることができないという問題点がある。また、ウエットエッチングの場合、レジストマスクのマスク開口部の幅寸法が2.0μmまで狭くすると、レジストマスクのマスク開口部の内部にエッチング液が進入せず、未エッチング部分が発生するという問題点もある。また、マスク開口部の幅寸法が狭いと、マスク開口部の内部と外部との間でのエッチング液の流出入や、薄膜からの溶解成分のマスク開口部の外部への流出が起こりにくくなるという点でも、未エッチング部分が発生しやすい。
【0006】
なお、ウエットエッチングに代えてドライエッチングを行なえば、サイドエッチングの進行を抑えることができるが、ドライエッチングは、ウエットエッチングに比較してエッチング選択比が低いため、開口パターンの底部では下地までエッチングされてしまう。特に、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜などからなる下地の上でITO膜やIZO膜をドライエッチングすると、下地までエッチングされやすいという問題点がある。
【0007】
それ故、ウエットエッチングで微細パターンを形成することが望まれている。かかる要求は、スリット状の開口パターンを備えた画素電極を形成する場合に限らず、また、液晶装置の分野に限らず、薄膜をエッチングして薄膜パターンを形成する工程を有する電気的固体装置共通の課題である。
【0008】
そこで、本発明の課題は、ウエットエッチングを採用した場合でも、未エッチング部分を発生させずに微細なパターンを形成することができる電気的固体装置の製造方法、該方法により製造された電気的固体装置、および該電気光学装置を素子基板として用いた電気光学装置を提供することにある。
【0009】
また、本発明の課題は、アルミニウム系の配線材料として用いた場合でも、レジストマスクを剥離する際に用いる剥離液によって、配線がエッチングされることのない電気的固体装置、該電気的固体装置を素子基板として用いた電気光学装置、および電気的固体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明に係る電気的固体装置の製造方法は、基板上に薄膜を形成する薄膜形成工程と、マスク開口部を挟んで対向する側面部が斜め上向きのテーパ面になっているエッチングマスクを前記薄膜の上面に形成するエッチングマスク形成工程と、前記マスク開口部から前記薄膜にウエットエッチングを行うエッチング工程と、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明では、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて薄膜をエッチングして、開口パターンを備えた薄膜パターンを形成するにあたって、マスク開口部を挟んで対向する側面部が斜め上向きのテーパ面になっているエッチングマスクを用いる。かかるエッチングマスクは、側面部がテーパ面になっているので、マスク開口部の上端開口は開口幅が広くても、マスク開口部の底部で薄膜が露出している部分の幅寸法が狭い。従って、ウエットエッチングを採用した際のサイドエッチングを考慮しても、エッチング後、薄膜に形成される開口パターンの幅寸法が狭い。また、レジストマスクにおいて、マスク開口部を挟んで対向する側面部が斜め上向きのテーパ面になっているため、マスク開口部の幅寸法が狭くても、マスク開口部の内部にエッチング液がスムーズに進入するので、未エッチング部分が発生しない。また、マスク開口部の内部と外部との間でのエッチング液の流出入や、薄膜からの溶解成分のマスク開口部の外部への流出がスムーズに起こるので、未エッチング部分が発生しない。
【0012】
本発明において、前記エッチングマスクの厚さは0.7μm以下であることが好ましい。エッチングマスクの厚さを0.7μm以下まで薄くすると、マスク開口部のアスペクト比を小さくすることができる。従って、マスク開口部へのエッチング液の進入、マスク開口部の内部と外部との間でのエッチング液の流出入、薄膜からの溶解成分のマスク開口部の外部への流出が起こりやすいので、未エッチング部分が発生しない。
【0013】
本発明において、前記テーパ面は、前記基板の基板面に対して60°以下の角度をなしていることが好ましい。前記テーパ面が前記基板の基板面に対して60°以下の角度をなしている場合には、マスク開口部へのエッチング液の進入、マスク開口部の内部と外部との間でのエッチング液の流出入、薄膜からの溶解成分のマスク開口部の外部への流出が起こりやすいので、未エッチング部分が発生しない。また、テーパ面が基板面に対して60°以下の角度をなしている場合には、マスク開口部の上端開口の開口幅が広くても、マスク開口部の底部で薄膜が露出している部分の幅寸法を十分、狭くすることができるので、薄膜を微細にエッチングすることができる。
【0014】
本発明において、前記エッチングマスクにおいて前記マスク開口部の底部における幅寸法は、1.5μm以下であることが好ましい。また、本発明において、前記エッチング工程によって前記薄膜に形成された開口パターンの開口幅は、2.5μm以下であることが好ましい。マスク開口部の底部で薄膜が露出している部分の幅寸法が1.5μm以下というエッチングマスクの構成は、従来のフォトリソグラフィ技術で形成したエッチングマスクでは達成できなかったレベルであり、産業上の利用価値が大である。また、かかる構成のエッチングマスクを用いると、ウエットエッチング時のサイドエッチングを考慮しても、薄膜に形成される開口部の幅寸法は2.5μm以下である。かかる構成は、従来のフォトリソグラフィ技術やエッチング技術では達成できなかったレベルであり、産業上の利用価値が大である。
【0015】
本発明において、前記エッチングマスク形成工程は、ポジ型のフォトレジストを前記薄膜の上面に塗布するレジスト塗布工程と、前記フォトレジストにおいて前記マスク開口部を形成すべき領域を露光する露光工程と、露光後の前記フォトレジストを現像する現像工程と、を有していることが好ましい。このように構成すると、フォトレジストの深さ方向における露光量分布において、深くなるほど露光量が減衰している形態になるので、現像後、側面部が斜め上向きのテーパ面になったレジストマスク(エッチングマスク)を得ることができる。
【0016】
本発明において、前記フォトレジストには染料が配合されていることが好ましい。このように構成すると、染料による光の吸収によってフォトレジストの感度が調整することができる。また、染料を配合するだけで感度を調整できるので、フォトレジストの材料自体の開発期間を大幅に減少させることができる。
【0017】
本発明において、前記エッチングマスクは、例えば、並列する複数本の線状マスク部を備え、前記マスク開口部は、当該複数本の線状マスク部の各間にスリット状に形成されている構成を採用でき、この場合、前記線状マスク部の側面部が前記テーパ面になっている形態となる。
【0018】
本発明は、前記薄膜がITO(Indium Tin Oxide)膜あるいはIZO(Indium Zinc Oxide)膜である場合に適用すると効果的である。シリコン酸化膜やシリコン窒化膜などからなる下地の上でITO膜やIZO膜をドライエッチングすると、下地までエッチングされやすいという問題点があるが、本発明によれば、ウエットエッチングでも微細なエッチングを行なうことができるので、かかる問題点を有するドライエッチングを採用する必要がない。
【0019】
本発明は、半導体装置や回路基板など各種の電気固体装置に適用できる。例えば、本発明の方法で製造された電気的固体装置については、電気光学装置において、前記基板上に画素電極を有する電気光学装置用の素子基板として構成することができる。この場合、例えば、前記素子基板上には、前記画素電極との間で液晶に対する横電界を形成する共通電極が形成され、前記画素電極および前記共通電極のうちの少なくとも一方は、前記エッチング工程により、スリット状の開口パターンが形成された前記薄膜によって構成されている構成を採用することができる。かかる構成によれば、FFS方式の液晶装置において、画素電極あるいは共通電極にスリット状の開口パターンを狭い幅寸法で形成することができるので、表示性能を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態として、本発明に係る電気的固体装置の製造方法を、代表的な電気光学装置である液晶装置の素子基板の製造方法に適用した例を中心に説明する。なお、以下の説明で参照する図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。また、カラーフィルタや配向膜などの図示は省略してある。また、電界効果型トランジスタでは、印加する電圧の極性によってソースとドレインが入れ替わるが、以下の説明では、説明の便宜上、画素電極が接続されている側をドレインとして説明する。
【0021】
[実施の形態1]
(全体構成)
図1(a)、(b)は各々、本発明を適用した電気光学装置をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図、およびそのH−H′断面図である。図1(a)、(b)において、本形態の電気光学装置100は、透過型のアクティブマトリクス型液晶装置であり、電気的固体装置としての素子基板10(半導体装置)と対向基板20とはシール材107によって所定の隙間を介して貼り合わされている。対向基板20は、シール材107とほぼ同じ輪郭を備えており、素子基板10と対向基板20との間において、シール材107で区画された領域内にホモジニアス配向された液晶50が保持されている。液晶50は、配向方向の誘電率がその法線方向よりも大きい正の誘電率異方性を示す液晶組成物であり、広い温度範囲においてネマチック相を示す。
【0022】
素子基板10において、シール材107の外側の領域には、データ線駆動回路101および実装端子102が素子基板10の一辺に沿って設けられており、実装端子102が配列された辺に隣接する2辺に沿っては、走査線駆動回路104が形成されている。素子基板10の残る一辺には、画像表示領域10aの両側に設けられた走査線駆動回路104間をつなぐための複数の配線105が設けられており、さらに、額縁108の下などを利用して、プリチャージ回路や検査回路などの周辺回路が設けられることもある。
【0023】
詳しくは後述するが、素子基板10には、画素電極7aがマトリクス状に形成されている。これに対して、対向基板20には、シール材107の内側領域に遮光性材料からなる額縁108が形成され、その内側が画像表示領域10aとされている。対向基板20では、素子基板10の画素電極7aの縦横の境界領域と対向する領域にブラックマトリクス、あるいはブラックストライプなどと称せられる遮光膜23が形成されている。
【0024】
本形態の電気光学装置100は、液晶50をFFS方式で駆動する。このため、素子基板10の上には、画素電極7aに加えて共通電極(図示せず)も形成されており、対向基板20には、対向電極が形成されていない。かかる構造を採用した場合、対向基板20の側からは静電気が侵入しやすいので、対向基板20において素子基板10側とは反対側の面にITO膜などからなるシールド層が形成される場合もある。
【0025】
本形態の電気光学装置100においては、対向基板20が表示光の出射側に位置するように配置されており、素子基板10に対して対向基板20と反対側にはバックライト装置(図示せず)が配置される。また、対向基板20側および素子基板10側の各々に偏光板などの光学部材が配置される。なお、電気光学装置100は反射型あるいは半透過反射型として構成される場合があり、半透過反射型の場合、対向基板20において素子基板10と対向する面には、反射表示領域に位相差層が形成される場合もある。
【0026】
(電気光学装置100の詳細な構成)
図2を参照して、本発明の実施の形態1に係る電気光学装置100およびそれに用いた素子基板の構成を説明する。図2は、本発明の実施の形態1に係る電気光学装置100に用いた素子基板10の画像表示領域10aの電気的な構成を示す等価回路図である。
【0027】
図2に示すように、電気光学装置100の画像表示領域10aには複数の画素100aがマトリクス状に形成されている。複数の画素100aの各々には、画素電極7a、および画素電極7aを制御するための電界効果型トランジスタ30(画素トランジスタ)が形成されており、データ信号(画像信号)を線順次で供給するデータ線5aが電界効果型トランジスタ30のソースに電気的に接続されている。電界効果型トランジスタ30のゲートには走査線3aが電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線3aに走査信号を線順次で印加する。画素電極7aは、電界効果型トランジスタ30のドレインに電気的に接続されており、電界効果型トランジスタ30を一定期間だけそのオン状態とすることにより、データ線5aから供給されるデータ信号を各画素100aに所定のタイミングで書き込む。このようにして画素電極7aを介して、図1(b)に示す液晶50に書き込まれた所定レベルの画素信号は、素子基板10に形成された画素電極7aと共通電極9aとの間で一定期間保持される。ここで、画素電極7aと共通電極9aとの間には保持容量60が形成されており、画素電極7aの電圧は、例えば、ソース電圧が印加された時間よりも3桁も長い時間だけ保持される。これにより、電荷の保持特性は改善され、コントラスト比の高い表示を行うことのできる電気光学装置100が実現される。
【0028】
図2では、共通電極9aが走査線駆動回路104から延びた配線のように示してあるが、素子基板10の画像表示領域10aの略全面に形成されており、所定の電位に保持される。また、共通電極9aは、複数の画素100aに跨って、あるいは複数の画素100a毎に形成される場合もあるが、いずれの場合も共通の電位が印加される。
【0029】
(各画素の詳細な構成)
図3(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態1に係る電気光学装置100の画素1つ分の断面図、および素子基板10において相隣接する画素の平面図であり、図3(a)は、図3(b)のA1−A1′線に相当する位置で電気光学装置100を切断したときの断面図に相当する。また、図3(b)では、画素電極7aは太くて長い点線で示し、データ線5aおよびそれと同時形成された薄膜は一点鎖線で示し、走査線3aは二点鎖線で示し、半導体層は細くて短い点線で示してある。
【0030】
図3(a)、(b)に示すように、素子基板10上には、透光性の画素電極7a(太くて長い点線で囲まれた領域)が各画素100a毎に形成され、隣接する画素電極7aの間に沿ってデータ線5a(一点鎖線で示す領域)、および走査線3a(二点鎖線で示す領域)が延在している。また、素子基板10の画像表示領域10aの略全面には透光性の共通電極9aが形成されている。画素電極7aおよび共通電極9aはいずれもITO膜からなる。
【0031】
本形態では、共通電極9aが下側電極として形成され、画素電極7aが上側電極として形成されている。このため、上側の画素電極7aには、フリンジ電界形成用の複数のスリット7bが互いに平行に形成され、スリット7bで挟まれた領域に線状電極部7eが形成されている。本形態において、スリット7bおよび線状電極部7eは、走査線3aに対して5度の傾きをもって延びている。また、スリット7bは、いずれにおいても開放端を有しない閉じた形状になっている。
【0032】
ここで、スリット7bの幅寸法Ltは狭い方がフリンジ電界を効率よく生成することができ、品位の高い画像を表示することができる。そこで、本形態では、図4および図5を参照して説明する方法を採用することにより、スリット7bの幅寸法Ltを2.5μm以下にまで狭めてある。
【0033】
図3(a)に示す素子基板10の基体は、石英基板や耐熱性のガラス基板などの透光性基板10bからなり、対向基板20の基体は、石英基板や耐熱性のガラス基板などの透光性基板20bからなる。本形態では、透光性基板10b、20bのいずれについてもガラス基板が用いられている。素子基板10には、透光性基板10bの表面にシリコン酸化膜などからなる下地保護膜(図示せず)が形成されているとともに、その表面側において、各画素電極7aに対応する位置にトップゲート構造の電界効果型トランジスタ30が形成されている。
【0034】
図3(a)、(b)に示すように、電界効果型トランジスタ30において、能動層を構成する半導体層1aは、走査線3aに対して2箇所で交差するように屈曲した平面形状を備えており、電界効果型トランジスタ30は、走査線3aの2箇所をゲート電極として利用したツインゲート構造を備えている。電界効果型トランジスタ30は、2つのチャネル領域1bの両側にソース領域およびドレイン領域を備えている。また、電界効果型トランジスタ30は、LDD(Lightly Doped Drain)構造を備えており、ソース領域およびドレイン領域は各々、低濃度ソース領域1cおよび低濃度ドレイン領域1dと、高濃度ソース1eおよび高濃度ドレイン領域1fとを備えている。本形態において、半導体層1aは、素子基板10に対してアモルファスシリコン膜を形成した後、レーザアニールやランプアニールなどにより多結晶化されたポリシリコン膜である。半導体層1aの上層には、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、あるいはそれらの積層膜からなるゲート絶縁層2が形成され、ゲート絶縁層2の上層に走査線3aが形成されている。
【0035】
ゲート電極(走査線3a)の上層側にはシリコン酸化膜、シリコン窒化膜、あるいはそれらの積層膜からなる層間絶縁膜4が形成されている。層間絶縁膜4の表面にはデータ線5aが形成され、このデータ線5aは、層間絶縁膜4に形成されたコンタクトホール4aを介して最もデータ線5a側に位置するソース領域に電気的に接続している。層間絶縁膜4の表面にはドレイン電極5bが形成されており、ドレイン電極5bは、データ線5aと同時形成された導電膜である。データ線5aおよびドレイン電極5bの上層側には、層間絶縁膜6が形成されている。本形態において、層間絶縁膜6は、厚さが1.5〜2.0μmの厚い感光性樹脂からなる平坦化膜として形成されている。
【0036】
層間絶縁膜6の表面にはITO膜からなる共通電極9aが形成されており、共通電極9aにおいてドレイン電極5bと重なり部分には切り欠き9cが形成されている。共通電極9aの表面にはシリコン酸化膜、シリコン窒化膜、あるいはそれらの積層膜からなる絶縁膜8(誘電体膜)が形成されている。絶縁膜8の上層には、ITO膜からなる画素電極7aが島状に形成されている。層間絶縁膜6にはコンタクトホール6aが形成されているとともに、絶縁膜8にはコンタクトホール6aの内側にコンタクトホール8aが形成されている。このため、画素電極7aは、コンタクトホール6a、8aの底部でドレイン電極5bに電気的に接続し、このドレイン電極5bは、層間絶縁膜4およびゲート絶縁層2に形成されたコンタクトホール4bを介して高濃度ドレイン領域1fに電気的に接続している。
【0037】
図示を省略するが、素子基板10および対向基板20には配向膜が形成されており、対向基板20側の配向膜に対しては走査線3aと平行にラビング処理が施され、素子基板10側の配向膜に対しては、対向基板20の配向膜に対するラビング方向と逆向きのラビング処理が施されている。このため、液晶50をホモジニアス配向することができる。ここで、素子基板10の画素電極7aに形成されたスリット7bは、互いに平行に形成されているが、走査線3aに対して5度の傾きをもって延びている。このため、配向膜に対しては、スリット7bが延びている方向に5度の角度をもってラビング処理が施されていることになる。また、偏光板は、互いの偏光軸が直交するように配置されており、対向基板20側の偏光板の偏光軸は、配向膜に対するラビング方向と直交し、素子基板10側の偏光板の偏光軸は、配向膜に対するラビング方向と平行である。
【0038】
このように構成した電気光学装置100では、共通電極9aと画素電極7aとの間には絶縁膜8が介在し、上側の画素電極7aにはフリンジ電界形成用の複数のスリット7bが形成されている。このため、上側の画素電極9aと下側の共通電極9aとの間に形成したフリンジ電界で液晶50を駆動することができる。また、上側の画素電極7aと下側の共通電極9aとが絶縁膜8を介して対向する部分に形成される容量成分を保持容量60として利用することができる。
【0039】
(素子基板10の製造方法)
図4は、本発明の実施の形態1に係る電気光学装置に用いた素子基板の製造方法を示す工程断面図であり、図3(a)に相当する位置を示してある。
【0040】
本発明を適用した素子基板10の製造工程では、図3(a)、(b)に示すように、ガラス基板からなる透光性基板10bの表面にシリコン酸化膜からなる下地保護膜(図示せず)を形成した後、薄膜トランジタ形成工程を行う。具体的には、まず、ポリシリコン膜からなる半導体層1aを島状に形成する。それには、基板温度が150〜450℃の温度条件下で、透光性基板10bの全面に、非晶質シリコン膜からなる半導体層をプラズマCVD法により、例えば、40〜50nmの厚さに形成した後、レーザアニール法などにより、シリコン膜を多結晶化させた後、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングし、半導体層1aを形成する。次に、CVD法などを用いて、半導体層1aの表面にシリコン窒化膜やシリコン酸化膜、あるいはそれらの積層膜からなるゲート絶縁層2を形成する。次に、透光性基板10bの表面全体にモリブデン膜、アルミニウム膜、チタン膜、タングステン膜、タンタル膜などの金属膜を形成した後、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングし、走査線3a(ゲート電極)を形成する。次に、半導体層1aに不純物を導入して、ソース領域1cやドレイン領域1dなどを形成する。
【0041】
次に、第1層間絶縁膜形成工程では、CVD法などを用いて、シリコン窒化膜やシリコン酸化膜、あるいはそれらの積層膜からなる層間絶縁膜4を形成する。次に、フォトリソグラフィ技術を用いて、層間絶縁膜4にコンタクトホール4a、4bを形成する。次に、データ線形成工程では、透光性基板10bの表面全体にモリブデン膜、アルミニウム膜、チタン膜、タングステン膜、タンタル膜、あるいはそれらの積層膜などの金属膜を形成した後、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングし、データ線5aおよびドレイン電極5bを形成する。次に、第2層間絶縁膜形成工程では、感光性樹脂を塗布した後、露光、現像し、コンタクトホール6aを備えた層間絶縁膜6(平坦化膜)を1.5〜2.0μmの厚さに形成する。
【0042】
次に、共通電極形成工程では、透光性基板10bの表面全体にITO膜からなる透光性導電膜を形成した後、フォトリソグラフィ技術を用いて透光性導電膜9をパターニングし、図4(a)に示すように、共通電極9aを形成する。その際、共通電極9aに切り欠き9cを形成する。
【0043】
次に、絶縁膜形成工程では、図4(b)に示すように、CVD法などにより、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、それらの積層膜からなる絶縁膜8を形成した後、フォトリソグラフィ技術を用いて、絶縁膜8にコンタクトホール8aを形成する。
【0044】
次に、画素電極形成工程では、まず、図4(c)に示す薄膜形成工程において、透光性基板10bの表面全体にITO膜からなる透光性導電膜7(薄膜)を形成する。
【0045】
次に、図4(d)に示すエッチングマスク形成工程においてに、フォトリソグラフィ技術を用いて透光性導電膜7の上面にレジストマスク96(エッチングマスク)を形成する。ここで、レジストマスク96は、図3(a)、(b)を参照して説明したスリット7bと略重なる領域にマスク開口部96bを備え、線状電極部7eと略重なる領域にマスク線状部96eを備えている。
【0046】
次に、エッチング工程において、透光性導電膜7の上面にレジストマスク96を形成した状態で透光性導電膜7に対して、王水などを用いてウエットエッチングを行なうと、図3(b)に示す画素電極7aが形成され、かかる画素電極7aは、スリット7bおよび線状電極部7eを備えている。しかる後に、レジストマスク96を除去する。
【0047】
(画素電極形成工程の詳細説明)
図5は、本発明の実施の形態1に係る電気光学装置に用いた素子基板の製造工程のうち、画素電極形成工程を示す説明図である。
【0048】
図1〜図3を参照して説明した電気光学装置100において、透光性導電膜7をウエットエッチングによりパターニングした際、スリット7bの内部で透光性導電膜7の一部がエッチングされずに残っていることは好ましくない。また、画素電極7aに形成されたスリット7bの幅寸法Ltは狭い方がフリンジ電界を効率よく生成することができ、品位の高い画像を表示することができる。但し、画素電極7aに形成されたスリット7bの幅寸法Ltを狭くするには、図4(d)に示すマスク開口部96bの幅寸法を狭めればよいが、レジストマスク96を形成する際の露光機の解像度には限界がある。また、マスク開口部96bの幅寸法が狭い場合にウエットエッチングを行なうと、マスク開口部96bの内部へのエッチング液の進入、マスク開口部96bの内部と外部との間でのエッチング液の流出入、透光性導電膜7からの溶解成分のマスク開口部96bの外部への流出がスムーズに起こらず、スリット7bの内部で透光性導電膜7の一部がエッチングされずに残りやすい。特に、本形態のように、スリット7bが閉じた形状の場合、マスク開口部96bの内部へのエッチング液の進入などがスムーズに起こらないため、スリット7bの内部に未エッチング部分が発生しやすい。
【0049】
そこで、本形態では、以下に詳述する方法を採用して、レジストマスク96を形成するための露光機の解像度が2μm以上であっても、マスク開口部96bの幅寸法が実質的に1.5μm以下のレジストマスク96を形成することにより、画素電極7aのスリット7bの幅寸法Ltを1.5μm以下にまで狭める。また、マスク開口部96bの幅寸法やスリット7bの幅寸法Ltを狭めた場合でも、スリット7bの内部で透光性導電膜7の一部がエッチングされずに残ることを防止する。
【0050】
まず、本形態では、図4(d)に示すように、マスク開口部96bを挟んで対向するマスク線状部96eの側面部96fが斜め上向きのテーパ面になっているレジストマスク96を形成し、かかるレジストマスク96を用いて、透光性導電膜7に対してウエットエッチングを行なう。従って、ウエットエッチングの際、マスク開口部96bの内部へのエッチング液の進入、マスク開口部96bの内部と外部との間でのエッチング液の流出入、透光性導電膜7からの溶解成分のマスク開口部96bの外部への流出がスムーズである。それ故、スリット7bの内部で透光性導電膜7の一部がエッチングされずに残ることがない。
【0051】
かかるレジストマスク96を形成するにあたっては、本形態では、図5(a)に示すレジスト塗布工程において、透光性導電膜7の上面に、i線(波長365nm)対応のポジ型のフォトレジスト960を塗布する。本形態では、フォトレジスト960として感度が100mj/cm2以下、好ましくは60mj/cm2以下のフォトレジスト960を用いる。次に、露光工程では、露光マスク(図示せず)を介して、フォトレジスト960においてマスク開口部96bを形成すべき領域を、i線(波長365nm)の光で露光する。図5(a)には、フォトレジスト960の露光部分960bについては右下がりの点線で示してある。次に、現像工程において、露光部分960bを除去すると、図4(d)および図5(b)に示すレジストマスク96が得られる。
【0052】
このようなレジストマスク形成工程において、図5(a)に示す露光の際、フォトレジスト960の深さ方向における露光量分布においては、深くなるほど露光量が減衰することになる。特に、露光部分960bの端部では、露光量が少ないため、露光部分960bと非露光部分960eとの間には斜め上向きの境界面960fが形成されているものと見なすことができる。従って、現像工程において、露光部分960bを除去すると、図4(d)および図5(b)に示すように、マスク開口部96bを挟んで対向するマスク線状部96eの側面部96fが斜め上向きのテーパ面になっているレジストマスク96を形成することができる。
【0053】
このような構成のレジストマスク96では、露光工程で用いた露光機の解像度によって、マスク開口部96bの上部開口の開口幅Lcが規定され、その限界は2.0μmである。但し、本形態のレジストマスク96では、側面部96fが斜め上向きのテーパ面になっているため、マスク開口部96bの底部では、側面部96fの下端部が寸法Lfだけ張り出している。このため、マスク開口部96bの底部の幅寸法Lb(マスク開口部96bの底部で露出する透光性導電膜7の幅寸法)は、下式
Lb=Lc−2×Lf
で表され、マスク開口部96bの上部開口の幅寸法Lcよりも、2×Lf分だけ狭い。
【0054】
従って、露光機の解像度が2μmであっても、マスク開口部96bの底部の幅寸法Lbが1.5μm以下のレジストマスク96を形成することができ、かかるレジストマスク96は、マスク開口部の幅寸法が1.5μm以下のレジストマスクと同等に機能する。このため、図5(c)に示すように、透光性導電膜7をウエットエッチングした際、0.5μm程度のサイドエッチングLsが発生した場合でも、図5(d)に示すように、スリット7bの幅寸法Ltが2.5μm以下の画素電極7aを形成することができる。好ましくは、マスク開口部96bの底部の幅寸法Lbが1.0μm以下のレジストマスク96を形成し、スリット7bの幅寸法Ltが2.0μm以下の画素電極7aを形成する。
【0055】
ここで、マスク開口部96bの底部において、側面部96fの下端部が張り出す寸法Lfは、レジストマスク96の厚さdと、側面部96f(テーパ面)が基板面に対して成す角度Θとによって、下式
Lf=d/tanΘ
で求まる。
【0056】
従って、レジストマスク96の厚さdが大であるほど、側面部96fの下端部が張り出す寸法Lfを大きくすることができ、マスク開口部96bの底部の幅寸法Lbを小さくすることができる。また、側面部96f(テーパ面)が基板面に対して成す角度Θが小さいほど、側面部96fの下端部が張り出す寸法Lfを大きくすることができ、マスク開口部96bの底部の幅寸法Lbを小さくすることができる。
【0057】
但し、レジストマスク96の厚さdを大にすると、ウエットエッチングの際、マスク開口部96bの内部へのエッチング液の進入、マスク開口部96bの内部と外部との間でのエッチング液の流出入、透光性導電膜7からの溶解成分のマスク開口部96bの外部への流出がスムーズに進まないことになる。従って、レジストマスク96の厚さdについては、0.7μm以下にして、マスク開口部96bの内部へのエッチング液の進入などがスムーズに進むようにすることが好ましい。レジストマスク96の厚さdについての下限は、フォトレジスト960を均一に塗布できる限界などを考慮すると0.2μm程度である。
【0058】
また、側面部96fが基板面に対して成す角度Θについては小さいほど、側面部96fの下端部が張り出す寸法Lfを大きくすることができるとともに、マスク開口部96bの内部へのエッチング液の進入などがスムーズに進むようになる。従って、側面部96fが基板面に対して成す角度Θについては、好ましくは60°以下、より好ましくは50°以下にすることが好ましい。
【0059】
なお、上記の方法により、側面部96fが斜め上向きのテーパ面になっているレジストマスク96を形成するにあたっては、露光時に照射される光を吸収する染料が配合されたフォトレジスト960を用いてもよい。かかる染料を配合すれば、フォトレジスト960の感度を調整することができるうえ、染料を配合するだけで感度を調整できるので、フォトレジストの材料自体の開発期間を大幅に減少させることができる。それ故、側面部96fが斜め上向きのテーパ面のマスク線状部96eを、多大なコストをかけることなく確実に形成でき、マスク線状部96eおよびマスク開口部96bの微細パターン化を実現することができる。
【0060】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の電気光学装置100では、フリンジ電界形成用の複数のスリット7bが形成された画素電極7aを形成するにあたって、マスク開口部96bを挟んで対向するマスク線状部96eの側面部96fが斜め上向きのテーパ面になっているレジストマスク96を用いる。かかるレジストマスク96は、レジストマスク96を形成する際に用いた露光機の解像度の影響でマスク開口部96bの上端開口の開口幅Lcが広くても、側面部96fがテーパ面になっているので、マスク開口部96bの底部で透光性導電膜7が露出している部分の幅寸法Lbが狭い。従って、ウエットエッチングを採用した際のサイドエッチングLsを考慮しても、スリット7b(開口パターン)の幅寸法Ltが2.5μm以下、さらには2.0μm以下の画素電極7aを形成することができる。
【0061】
また、レジストマスク96において、マスク開口部96bを挟んで対向する側面部96fが斜め上向きのテーパ面になっているため、マスク開口部96bの幅寸法が狭くても、マスク開口部96bの内部へのエッチング液の進入などがスムーズである。従って、スリット7bの内側に、透光性導電膜7の一部がエッチングされずに残るという不具合が発生しない。それ故、本形態によれば、ウエットエッチングでも、スリット7bの内側に未エッチング部分を発生させずに、スリット7b(開口パターン)の幅寸法Ltが2.5μm以下、さらには2.0μm以下の画素電極7aを形成することができる。また、ウエットエッチングであれば、ドライエッチングに比較してエッチング選択性が高いので、下地である絶縁膜8を損傷しない。
【0062】
[実施の形態2]
図6(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態2に係る電気光学装置100の画素1つ分の断面図、および素子基板10において相隣接する画素の平面図であり、図6(a)は、図6(b)のA4−A4′線に相当する位置で電気光学装置100を切断したときの断面図に相当する。なお、本形態の基本的な構成は、図1〜図5を参照して説明した構成と同様であるため、対応関係が分りやすいように、可能な限り、共通する部分には同一の符号を付して説明する。
【0063】
上記実施の形態では、画素トランジスタとして、トップゲート構造の電界効果型トランジスタ30が用いたが、図6(a)、(b)を参照して以下に説明するように、画素トランジスタとして、ボトムゲート構造の電界効果型トランジスタ30が用いた電気光学装置100に本発明を適用してもよい。
【0064】
図6(a)、(b)に示す電気光学装置100において、素子基板10上には、ITO膜からなる透光性の画素電極7aが各画素100a毎に形成されている。画素電極7aの縦横の境界領域に沿っては、電界効果型トランジスタ30に電気的に接続されたデータ線5aおよび走査線3aが形成されている。また、走査線3aと並列するように共通配線3cが形成されており、共通配線3cは、走査線3aと同時形成された配線層である。共通配線3cの下層側には、ITO膜からなる透光性の共通電極9aが走査線3aおよび共通配線3cの延在方向と同一方向に帯状に延びており、共通配線3cと共通電極9aの端部とは電気的に接続されている。従って、共通電極9aは複数の画素100aに跨るように形成されている。但し、共通電極9aは複数の画素100a毎に形成される場合もある。いずれの場合も、共通電極9aは、共通配線3cに電気的に接続され、画素100a毎に共通の電位が印加される。
【0065】
本形態において、電界効果型トランジスタ30はボトムゲート構造を有しており、電界効果型トランジスタ30では、走査線3aの一部からなるゲート電極、ゲート絶縁層2、電界効果型トランジスタ30の能動層を構成するアモルファスシリコン膜からなる半導体層1a、およびコンタクト層(図示せず)がこの順に積層されている。半導体層1aのうち、ソース側の端部には、コンタクト層を介してデータ線5aが重なっており、ドレイン側の端部には、コンタクト層を介してドレイン電極5bが重なっている。データ線5aおよびドレイン電極5bは同時形成された導電膜からなる。データ線5aおよびドレイン電極5bの表面側にはシリコン窒化膜などからなる絶縁保護膜11が形成されている。絶縁保護膜11の上層には、ITO膜からなる画素電極7aが形成されている。
【0066】
画素電極7aにはフリンジ電界形成用の複数のスリット7bが互いに平行に形成されており、スリット7bの間には線状電極部7eが形成されている。絶縁保護膜11においてドレイン電極5bと重なる領域にはコンタクトホール11aが形成されており、画素電極7aは、コンタクトホール11aを介してドレイン電極5bに電気的に接続されている。
【0067】
素子基板10において、ゲート絶縁層2の下層側には共通配線3cが形成されている。また、共通配線3cの下層には、ITO膜からなる共通電極9aが形成されており、共通電極9aの端部は共通配線3cに電気的に接続されている。共通電極9aの表面には、ゲート絶縁層2および絶縁保護膜11が形成されている。従って、共通電極9aと画素電極7aとの間には、ゲート絶縁層2および絶縁保護膜11からなる絶縁膜18が介在している。このように構成した電気光学装置100でも、上側の画素電極7aにはフリンジ電界形成用の複数のスリット7bが形成され、スリット7bで挟まれた部分が線状電極部7eになっている。このため、上側の画素電極9aと下側の共通電極9aとの間に形成したフリンジ電界で液晶50を駆動することができる。また、上側の画素電極7aと下側の共通電極9aとが絶縁膜18を介して対向する部分に形成される容量成分を保持容量60として利用することができる。
【0068】
このように構成した電気光学装置100においても、実施の形態1と同様、ウエットエッチングにより、スリット7bを備えた画素電極7aを形成する際、図5を参照して説明した方法を採用すればよい。
【0069】
[他の実施の形態]
上記実施の形態1、2では、画素電極7aをITO膜によって形成した例であるが、画素電極7aをIZO膜によって形成する場合に本発明を適用してもよい。
【0070】
上記実施の形態1、2では、画素電極7aに形成されたスリット7bが走査線3aに対して5度の傾きをもって延びているが、これに限らず、走査線3aと平行、もしくはデータ線5aと平行な方向に延びていてもよい。また、スリット7bが長さ方向の途中で屈曲している構成を採用してもよい。
【0071】
上記実施の形態1、2では、共通電極9aが下層側に形成され、画素電極7aが上層側に形成されているので、スリットを画素電極7aに形成したが、共通電極9aが上層側に形成され、画素電極7aが下層側に形成されている構成を採用してもよい。この場合、上層側の共通電極9aにスリットを形成した構成を採用することになる。
【0072】
また、上記実施の形態1、2では、FFS方式を採用した電気光学装置100に本発明を適用したが、IPS(In Plane Switching)方式の液晶装置など、横電界により液晶を駆動する他のタイプの液晶装置(電気光学装置)の画素電極を形成する際に本発明を適用してもよい。さらに、横電界方式の液晶装置(電気光学装置)に限らず、TN(Twisted Nematic)方式、ECB(Electrically Controlled Birefringence)方式、あるいはVAN(Vertical Aligned Nematic)方式の液晶装置(電気光学装置)において、ウエットエッチングにより、幅の狭い開口パターンを備えた薄膜パターンを形成する際に本発明を適用してもよい。
【0073】
また、上記形態は、半導体層としてポリシコン膜やアモルファスシリコン膜を用いた例であったが、半導体層として単結晶シリコン層を用いた電気光学装置に本発明を適用してもよい。
【0074】
また、上記実施の形態1、2では、電気光学装置100が液晶装置である場合を例に説明したが、有機エレクトロルミネッセンス装置などの電気光学装置に用いる素子基板も、液晶装置に用いた素子基板と同様、配線や電界効果型トランジスタが形成された電気的固体装置として構成される。従って、有機エレクトロルミネッセンス装置などに用いる素子基板に本発明を適用してもよい。
【0075】
さらに、基板上に配線などの薄膜パターンが形成された装置(電気的固体装置)であれば、電気光学装置の素子基板以外の装置に本発明を適用してもよい。
【0076】
[電子機器への搭載例]
次に、上述した実施形態に係る電気光学装置100を適用した電子機器について説明する。図7(a)に、電気光学装置100を備えたモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す。パーソナルコンピュータ2000は、表示ユニットとしての電気光学装置100と本体部2010を備える。本体部2010には、電源スイッチ2001及びキーボード2002が設けられている。図7(b)に、電気光学装置100を備えた携帯電話機の構成を示す。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001及びスクロールボタン3002、並びに表示ユニットとしての電気光学装置100を備える。スクロールボタン3002を操作することによって、電気光学装置100に表示される画面がスクロールされる。図7(c)に、電気光学装置100を適用した情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001及び電源スイッチ4002、並びに表示ユニットとしての電気光学装置100を備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が電気光学装置100に表示される。
【0077】
なお、電気光学装置100が適用される電子機器としては、図7に示すものの他、デジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。そして、これらの各種電子機器の表示部として、前述した電気光学装置100が適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】(a)、(b)は各々、本発明を適用した電気光学装置をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図、およびそのH−H′断面図である。
【図2】本発明を適用した電気光学装置に用いた素子基板の画像表示領域の電気的な構成を示す等価回路図である。
【図3】(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態1に係る電気光学装置の画素1つ分の断面図、および素子基板において相隣接する画素の平面図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る電気光学装置に用いた素子基板の製造方法を示す工程断面図である。
【図5】図4に示す画素電極形成工程の説明図である。
【図6】(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態2に係る電気光学装置の画素1つ分の断面図、および素子基板において相隣接する画素の平面図である。
【図7】本発明に係る電気光学装置を用いた電子機器の説明図である。
【符号の説明】
【0079】
1a・・半導体層、3a・・走査線、5a・・データ線、7・・透光性導電膜(薄膜)、7a・・画素電極(薄膜パターン)、7b・・画素電極のスリット(開口パターン)、7e・・線状電極部、9a・・共通電極、10・・素子基板(電気的固体装置)、20・・対向基板、30・・電界効果型トランジスタ、96・・レジストマスク(エッチングマスク)、96b・・マスク開口部、96e・・マスク線状部、96f・・マスク線状部の側面、100・・電気光学装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に薄膜を形成する薄膜形成工程と、
マスク開口部を挟んで対向する側面部が斜め上向きのテーパ面になっているエッチングマスクを前記薄膜の上面に形成するエッチングマスク形成工程と、
前記マスク開口部から前記薄膜にウエットエッチングを行うエッチング工程と、
を有することを特徴とする電気的固体装置の製造方法。
【請求項2】
前記エッチングマスクの厚さは0.7μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の電気的固体装置の製造方法。
【請求項3】
前記テーパ面は、前記基板の基板面に対して60°以下の角度をなしていることを特徴とする請求項1または2に記載の電気的固体装置の製造方法。
【請求項4】
前記エッチングマスクにおいて前記マスク開口部の底部における幅寸法は、1.5μm以下であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の電気的固体装置の製造方法。
【請求項5】
前記エッチング工程によって前記薄膜に形成された開口パターンの開口幅は、2.5μm以下であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の電気的固体装置の製造方法。
【請求項6】
前記エッチングマスク形成工程は、ポジ型のフォトレジストを前記薄膜の上面に塗布するレジスト塗布工程と、前記フォトレジストにおいて前記マスク開口部を形成すべき領域を露光する露光工程と、露光後の前記フォトレジストを現像する現像工程と、を有していることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の電気的固体装置の製造方法。
【請求項7】
前記フォトレジストには染料が配合されていることを特徴とする請求項6に記載の電気的固体装置の製造方法。
【請求項8】
前記エッチングマスクは、並列する複数本の線状マスク部を備え、
前記マスク開口部は、当該複数本の線状マスク部の各間にスリット状に形成されており、
前記線状マスク部の側面部が前記テーパ面になっていることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の電気的固体装置の製造方法。
【請求項9】
前記薄膜は、ITO膜あるいはIZO膜であることを特徴とする請求項1乃至8何れか一項に記載の電気的固体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか一項に記載の方法で製造されたことを特徴とする電気的固体装置。
【請求項11】
請求項10に記載の電気的固体装置を備えた電気光学装置であって、
前記電気的固体装置は、前記基板上に画素電極を有する電気光学装置用の素子基板であることを特徴とする電気光学装置。
【請求項12】
前記素子基板上には、前記画素電極との間で液晶に対する横電界を形成する共通電極が形成され、
前記画素電極および前記共通電極のうちの一方は、前記エッチング工程により、スリット状の開口パターンが形成された前記薄膜によって構成されていることを特徴とする請求項11に記載の電気光学装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−109130(P2010−109130A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−279328(P2008−279328)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】