説明

ジペプチジルペプチダーゼIVインヒビターとしてのプロリン誘導体およびそれらの使用

本発明は、式(I)
【化1】


(ここでR1、R2、R3、HET、n、Q、X、YおよびZは、本明細書中に記載される通りである)の化合物、それらのプロドラッグおよび立体異性体、ならびに該化合物、プロドラッグおよび立体異性体の薬学的に受容可能な塩;それらの組成物;糖尿病性合併症(糖尿病性神経障害、糖尿病性ネフロパシー、糖尿病性細小血管症などを含む)の治療におけるそれらの使用を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酵素ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−IV)の選択的インヒビター、それらの医薬組成物およびDPP−IVによって処理されやすいタンパク質に関連する疾患および症状を治療するためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
DPP−IV(EC3.4.14.5)は、2位にプロリンまたはアラニンを有するタンパク質からN末端ジペプチドを優先的に加水分解するセリンプロテアーゼである。DPP−IVは、とりわけ、糖尿病、耐糖能、肥満、食欲調節、脂質血症、骨粗鬆症、神経ペプチド代謝およびT細胞活性化に関与していると考えられている。従って、インビボでのDPP−IVインヒビターの投与は、基質ペプチドのN末端分解を抑制し、それによってこのようなペプチドのより高い循環濃度およびこのように増大した濃度に関連する治療利益をもたらす。
【0003】
その基質にインクレチンペプチドグルカゴン様ペプチド1(GLP−1)および胃抑制ポリペプチド(GIP)を含むことから、DPP−IVはグルコース恒常性の制御に関与している。これらのペプチドからN末端アミノ酸が切断されると、これらは機能的に不活性となる。GLP−1は、2型糖尿病患者において効果的な抗糖尿病療法であり、そして1型糖尿病患者において食事に関連したインスリン要求を低減することが示されている。GLP−1および/またはGIPは、満腹、脂質血症および骨形成を調節していると考えられている。外因性GLP−1は、急性冠症候群、狭心症および虚血性心疾患を患っている患者のための治療薬として提案されている。
【0004】
インビボでのDPP−IVインヒビターの投与により、GLP−1およびGIPのN末端分解が抑制され、これらのペプチドのより高い循環濃度、インスリン分泌の増加および耐糖能の改善をもたらす。これらの観察に基づいて、DPP−IVインヒビターは、2型糖尿病、耐糖能が関与している疾患を治療するための薬剤とみなされる。さらに、DPP−IVインヒビターでの治療により、神経ペプチドY(NPY)、種々の中枢神経系状態に関連しているペプチドならびに潰瘍、過敏性腸疾患および炎症性腸疾患のような胃腸症状に関連しているペプチドYYの分解が抑制される。
【0005】
インスリンの早期発見、それに続く糖尿病治療における広範な使用およびスルホニル尿素(例えば、クロルプロパミド、トルブタミド、アセトへキサミド)、ビグアニド(例えば、フェンホルミン)、メトホルミン、チアゾリジンジオン(例えば、ロシグリタゾン)およびピオグリタゾンのその後の発見ならびに経口血糖降下薬としてのそれらの使用にもかかわらず、糖尿病の治療はまだ不十分なままである。
【0006】
1型糖尿病患者および現在利用可能な経口血糖降下薬が無効である約10%の2型糖尿病患者に必要とされるインスリンの使用は、通常は自己注射による毎日の複数回投与を必要とする。インスリンの適切な投薬量を決定するには、尿または血中のブドウ糖濃度を頻繁に測定する必要がある。過剰な用量のインスリンが投与されると、低血糖症が引き起こされ、軽度な血糖値の異常から、昏睡または場合によっては死亡にさえ至る結果を伴う。
【0007】
2型糖尿病の治療としては、通常、治療食、運動、経口薬剤、より重度な場合においてはインスリンの併用を包含する。しかし、臨床的に利用可能な血糖降下薬は、それらの使用を限定する副作用を有し得る。副作用がより少ないかまたは他のもので失敗した場合に成功し得る血糖降下薬に対する必要性が継続していることは、明白である。
【0008】
コントロールの不十分な高血糖症は、進行性の2型糖尿病を特徴付ける多数の合併症(白内障、神経症、ネフロパシー、網膜症、心筋症)の直接的な原因である。さらに、2型糖尿病は、高脂血症、アテローム性動脈硬化症および高血圧と頻繁に混同される合併疾患であり、これらの疾患による総罹患率および死亡率全体を著しく上昇させる。
【0009】
疫学的証拠により、アテローム性動脈硬化症に起因する心疾患(「CVD」)の主要な危険因子として高脂血症が確証されている。アテローム性動脈硬化症は、米国および西ヨーロッパにおいて死の主要な原因であると認識されている。少なくとも一部で、この集団において耐糖能異常、左心室肥大および高血圧症のような複数の独立した危険因子が存在するので、CVDは、糖尿病対象の間で特に蔓延している。従って、通常の集団、特に糖尿病対象における高脂血症の治療の成功は、医学的に非常に重要である。
【0010】
高血圧症(または高血圧)は、原因となる因子または状態が未知である多くの患者において起こり得る症状である。このような「本態性」高血圧症は、しばしば、肥満、糖尿病およびトリグリセリド過剰血のような状態に関連しており、そして高血圧症は、心不全、腎不全および発作と確実に関連していることが承知されている。高血圧症はまた、アテローム性動脈硬化症および冠状動脈疾患の発症にも寄与し得る。高血圧症は、インスリン抵抗性および高脂質血症とともに、インスリン抵抗性症候群(「IRS」)およびX症候群としても公知である代謝症候群を特徴付ける一連の症状を含む。
【0011】
肥満は、アテローム性動脈硬化症、高血圧症および糖尿病の発症に関して周知でかつ共通の危険因子である。肥満の発生およびそれらに関連する続発症は、世界的に増加している。現在、有効でかつ容認できる脂肪過多症を減少させる薬剤はほとんど利用可能でない。
【0012】
骨粗鬆症は、低い骨密度および骨組織のマイクロ構造上の変質によって特徴付けられる進行性全身疾患であり、結果として、骨の脆弱性および骨折のしやすさの増大を伴う。骨粗鬆症および損なわれた骨強度の結果は、脆弱性および増加した罹患率および死亡率の明らかな原因である。
【0013】
心疾患は、全世界での主要な健康問題である。心筋梗塞は、心疾患を有する個人に共通して死の重大な原因である。急性冠症候群は、急性心筋梗塞(MI)を有するか、または発症する高い危険性を有する患者を示している。
【0014】
糖尿病、高血糖症、高脂血症、高血圧症、肥満症および骨粗鬆症の治療に利用可能である療法は存在しているが、代替的な改善された療法に対する必要性は存在し続けている。
【0015】
DPP−IVインヒビターに関する種々の指摘が以下に議論されている:Augustyns,et al.,Curr.Medicinal Chem.,6,311(1999);Ohnuki,et al.,Drugs of the Future,1999,24,665−670(1999);Villhauer,et al.,Annual Reports in Medicinal Chemistry,36.191−200(2001);Drucker,Expert Opin.Invest.Drugs,12,87−100(2003);およびWeideman,et al.,Curr.Opin.Invest.Drugs,4,412−420(2003)。
【0016】
国際出願WO 02/14271に開示されるもののようなDPP−IVを阻害する経口投与用化合物が、最近製造されている。
【0017】
WO 02/14271に開示されるもののようなDPP−IVインヒビターは、天然ホルモン(GLP−1およびGIP)の分解を阻害することによって作用すると考えられている。従って、DPP−IVインヒビターの適切な濃度がそれらのGLP−1およびGIPホルモンの分泌と同時にDPP−IVを阻害するために血漿中で利用可能であることが重要である。このような血漿濃度に達成するために、WO 02/14271に開示されるもののような他のDPP−IVインヒビター化合物に期待されるよりも長期にわたってDPP−IVインヒビター化合物がより高い血漿濃度を維持することが好ましい。
【0018】
従って、同等のDPP−IVの阻害活性またはより高い阻害活性を有し、かつ長期にわたってより高い血漿濃度を維持する経口投与用DPPI−IVインヒビター化合物が必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、式(I):
【化1】

の構造を有する化合物もしくはそれらのプロドラッグ、または前記化合物もしくはプロドラッグの薬学的に受容可能な塩、または前記化合物、プロドラッグもしくは塩の溶媒和物に関し、ここで:
1が、−(C1−C6)アルキル、−(C1−C6)アルコキシ、−(Cl−C6)アリールアルキル、−NRab、ヒドロキシ、シアノ、アリールまたはヘテロアリールであり、ここで、前記−(C1−C6)アルキル、前記アリールまたは前記ヘテロアリールは、場合によって、1〜3個の以下:−COOH、−C(O)(C1−C6)アルコキシ、−C(O)(C1−C6)アルキル、−C(O)NRab、シアノ、ハロゲン、ニトロ、トリフルオロメチル、−(C1−C6)アルキル、−(C1−C6)アルコキシ、−(C3−C6)シクロアルキルまたはフェニルで独立して置換され、ここで、RaおよびRbが独立して、水素、−(C1−C6)アルキル、アリールまたはヘテロアリールであるか、またはRaおよびRbが、それらが結合する窒素原子と一緒になって、4〜6員の複素環式環を形成し、ここで前記環は、場合によって、さらに1〜2個の窒素、酸素または硫黄環ヘテロ原子を組み込み;
2およびR3が、独立して、水素、ハロゲン、−(C1−C6)アルキルまたは−(C3−C8)シクロアルキルであり;
Qが、共有結合、−C(O)−または−SO2−であり;
HETが、場合によって(A)1〜6個のハロゲン原子、−(C1−C6)アルコキシ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシもしくは−NRabで場合によって置換されている1〜4個の−(C1−C6)アルキルまたは(B)1〜6個のハロゲン原子、−(C1−C6)アルコキシ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシもしくは−NRabで場合によって置換されている−(C1−C6)アリールアルキルで置換されている、ヘテロシクロアルキル環部分であり;
nが0または1であり;
Xが−CH2−、−CHF−または−CF2−であり、かつYが−CH2−、−CHF−または−CF2−であり(但しnが1である場合、XおよびYの両方が−CH2−でなく、
そしてnが0である場合、Xが−CH2−である);そして
Zが水素またはシアノである。
【0020】
本発明はまた、治療有効量の本発明の化合物もしくはそれらのプロドラッグ、または化合物もしくはプロドラッグの薬学的に受容可能な塩、または化合物、プロドラッグもしくは塩の溶媒和物、ならびに薬学的に受容可能な担体、ビヒクル、希釈剤または賦形剤を含有する医薬組成物に関する。
【0021】
本発明は、さらに糖尿病の治療方法に関し、このような治療が必要な哺乳動物に治療有効量の本発明の化合物もしくはそれらのプロドラッグ、または化合物もしくはプロドラッグの薬学的に受容可能な塩、または化合物、プロドラッグもしくは塩の溶媒和物を投与する工程を包含する。好ましくは、治療される糖尿病の種類は、2型糖尿病である。
【0022】
本発明は、さらに哺乳動物におけるジペプチジルペプチダーゼIVによって媒介される症状の治療方法に関し、このような治療が必要な前記哺乳動物に治療有効量の本発明の化合物もしくはそれらのプロドラッグ、または前記化合物もしくはプロドラッグの薬学的に受容可能な塩、または前記化合物、プロドラッグもしくは塩の溶媒和物を投与する工程を包含する。
【0023】
本発明の化合物および医薬組成物は、糖尿病、好ましくは2型糖尿病を治療するのに有用である。
【0024】
本発明の化合物および医薬組成物はまた、ジペプチジルペプチダーゼIVの関連症状を治療するのに有用であり、これらとして以下が挙げられるが、これらに限定されない:2型糖尿病;1型糖尿病、耐糖能異常、高血糖症、代謝症候群(X症候群および/またはインスリン抵抗症候群)、糖尿、代謝性アシドーシス、関節炎、白内障、糖尿病性神経障害、糖尿病性ネフロパシー、糖尿病性網膜症、糖尿病性心筋症、肥満症、肥満症によって悪化する症状、高血圧症、高脂質血症、アテローム性動脈硬化症、骨粗鬆症、骨減少症、脆弱化、骨損失、骨折、急性冠症候群、成長ホルモン欠損症に起因する小人症、多嚢胞性卵巣症候群に起因する不妊症、不安、うつ病、不眠症、慢性疲労、てんかん、摂食障害、慢性疼痛、アルコール依存症、腸運動に関連する疾患、潰瘍、過敏性腸症候群、炎症性腸症候群;短小腸症候群;および2型糖尿病における疾患の増悪の予防。
【0025】
本発明を記載するために使用される用語は、本明細書中で以下の意味を有する。
語句「薬学的に受容可能な」とは、設計された担体、ビヒクル、希釈剤、賦形剤および/または塩が、一般的に、製剤を含む他の成分と化学的および/または物理的に適合し、そしてそれらの受容体と生理的に適合することを表す。
【0026】
本明細書中の種々の炭化水素含有部分の炭素原子含有量は、その部分における炭素原子の最小数および最大数を接頭語の指定によって表し得、例えば、接頭語(Ca−Cb)アルキルおよびCa-bアルキルは、整数「a」〜「b」個の炭素原子を含むアルキル部分を表す。従って、例えば、(C1−C6)アルキルおよびC1-6アルキルとは、1〜6個の炭素原子を含むアルキル基をいう。
【0027】
用語「アルキル」とは、炭素原子の直鎖または分枝鎖を意味し、ここでアルキル基は、場合によって、1つまたはそれ以上の二重結合もしくは三重結合、または二重結合および三重結合の組み合わせを組み込む。アルキル基の例としては、以下が挙げられる:メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ビニル、アリル、2−メチルプロペニル、2−ブテニル、1,3−ブタジエニル、エチニル、プロパギルなど。
【0028】
用語「アルコキシ」とは、コア構造に連結する酸素原子に結合した炭素原子の直鎖もしくは分枝鎖の一価の飽和脂肪族鎖をいう。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、イソ−ブトキシ、tert−ブトキシなどが挙げられる。
【0029】
用語「シクロアルキル」とは、飽和の単環式または二環式のシクロアルキル基を意味する。シクロアルキル基は、場合によって、ベンゼンのような脂肪族炭化水素に縮合され、インダニルなどのような縮合シクロアルキル基を形成し得る。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが挙げられる。
【0030】
用語「ハロゲン」または「ハロ」とは、クロロ、ブロモ、フルオロおよびヨードの原子ならびに置換基をいう。
【0031】
用語「アリール」とは、単環式または多環式の芳香族炭化水素基を意味し、これらとしては、例えば、アントラセニル、フルオレニル、ナフチル、フェナントレニル、フェニルなどが挙げられる。
【0032】
用語「アリールアルキル」とは、本明細書中上で定義されるように、アルキル基を意味し、ここで、それらの少なくとも1個の水素原子は、本明細書中の上で定義されるように、アリール基で置換されている。アリールアルキル基の例としては、とりわけベンジル基が挙げられる。
【0033】
本明細書中の上記のHETに関して利用される場合、用語「ヘテロシクロアルキル」とは、場合によって、5または6員の芳香族環系または複素環式環系に縮合されている4〜8員の飽和複素環式環系をいう。ヘテロシクロアルキル基の例としては、以下が挙げられる:ホモピペラジニル、ピペラジニル、ピペリジル、ピロリジニル、アゼチジニル、2−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、2,5−ジアザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、5,6,7,8−テトラヒドロ−2H−イミダゾ[1,2−a]ピラジニル、5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジニル、4,5,6,7−テトラヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジニル、5,6,7,8−テトラヒドロピリド[3,4−d]ピリミジル、5,6,7,8−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジル、オクタヒドロピロロ[3,4−b]ピロリル、オクタヒドロピロロ[3,4−c]ピロリル、6−アザビシクロ[3.2.1]オクタニル、3,8−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタニル、2,3−ジヒドロスピロ[インデン−1,4’−ピペリジル]、スピロ[インデン−1,4’ピペリジン]、1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカニル、8−アザビシクロ[3.2.1]オクタニル、2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[f][1,4]オキサゼピニル、ヘキサヒドロ−2H−ピロロ[3,4−d]イソチアゾリル−1,1−ジオキシド、2,7−ジアザスピロ[4.4]ノナニル、6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−g][1,4]ジアゼピニル、5,6−ジヒドロ−8H−イミダゾ[t,2−a]ピラジニル、5,6−ジヒドロ−8H−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジニル、7,8−ジヒドロ−5H−ピリド[4,3−a]ピリミジル、7,8−ジヒドロ−5H−ピリド[4,3−d]ピリミジル、ピリゾロ[1,5−a]ピリミジルなど。
【0034】
用語「ヘテロアリール」とは、単環式または多環式の芳香族複素環式環系を意味する。ヘテロアリール基の例としては、以下が挙げられる:ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイソキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンズイミダゾリル、シンノリニル、フラニル、フロピリジル、イミダゾロピリミジル、イミダゾリル、インダゾリル、インドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソキサジアゾリル、イソキサゾリル、オキサゾロピリジル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、フタラジニル、プテリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピロロピリミジル、ピロロピリジル、ピラゾロピリミジル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、キノキサリニル、テトラゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、チアゾロピリジル、チエノピリジル、チエニル、トリアジニル、トリアゾリル、1,1−ジオキソ−1H−1,2−ベンゾイソチアゾリル、オキサゾロピリジルなど。
【0035】
用語「オキソ」とは、炭素原子および酸素原子の組み合わせによって形成されるカルボニル基を意味する。
【0036】
用語「置換」とは、分子上の水素原子が異なる原子または分子で置き換えられていることを意味する。水素原子を置き換える原子または分子は、「置換基」を意味する。
【0037】
記号「−」は、共有結合を表す。
【0038】
語句「不活性溶媒」とは、溶媒または溶媒混合物をいい、出発物質、試薬、中間体または製品とそれらの所望される特性に悪影響を与える様式において、相互作用しないことを意味する。
【0039】
本明細書中で利用される場合、用語「治療すること(treating)」、「治療した(treated)」または「治療(treatment)」とは、予防的(例えば、予防(prophylactic))、緩和的および治癒的な使用または結果を包含する。
【0040】
語句「治療有効量」とは、(i)特定の疾患、症状または状態を治療または予防するか、(ii)特定の疾患、症状または状態の1つまたはそれ以上の症候を軽減、改善または除去するか、(iii)本明細書中に記載される特定の疾患、症状または状態の1つまたはそれ以上の症候の発症を予防または遅延させる本発明の化合物の量を意味する。
【0041】
用語「哺乳動物」は、分類学による分類の哺乳綱の一員である個々の動物である。分類哺乳綱としては、例えば、ヒト、サル、チンパンジー、ゴリラ、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、イヌ、ネコ、マウスおよびラットが挙げられる。本発明において、好ましい哺乳動物はヒトである。
【0042】
好ましくは、本発明の化合物は、式(I)の構造を有し、ここで:
1が、独立して、1〜3個のシアノ、ハロゲン、ニトロ、トリフルオロメチル、−(Cl−C6)アルキル、−(Cl−C6)アルコキシ、−(C3−C6)シクロアルキルまたはフェニルで場合によって置換されているアリールまたはヘテロアリールであり;
2が、−Hまたは−(C1−C6)アルキルであり;
3が、−H−(C1−C6)アルキルであり;そして
HETが、アゼチジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、5,6−ジヒドロ−8H−イミダゾ[1,2−a]ピラジン−7−イル、5,6−ジヒドロ−8H−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−7−イルまたは7,8−ジヒドロ−5H−ピリド[4,3−a]ピリミジン−6−イルである。
【0043】
より好ましくは、本発明の化合物は、式(IA):
【化2】

の構造を有し、ここで:
1が、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾロピリジル、ピラジニル、ピリジニル、ピリミジニル、キノリニル、キノキサリニル、チアジアゾリル、トリアジニルまたは1,1−ジオキソ−1H−1,2−ベンゾイソチアゾリルである。
【0044】
本発明において、式(IA)の化合物について、R1がピリジニルまたはピリミジニルであることが好ましく、そしてR1がピリジニルまたはピリミジニルであり、nが1であり、Xが−CF2−であり、かつYが−CH2−であることがより好ましい。
【0045】
本発明において、化合物(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)−((2S,4S)−4−(4−(ピリミジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)ピロリジン−2−イル)メタノンもしくはそれらのプロドラッグ、または前記化合物もしくは前記プロドラッグの薬学的に受容可能な塩が最も好ましい。
【0046】
代替的な実施形態において、以下からなる群から選択される化合物もしくはそれらのプロドラッグ、または前記化合物もしくは前記プロドラッグの薬学的に受容可能な塩が好ましい:
((2S,4S)−4−(3−(トリフルオロメチル)−5,6−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−7(8H)−イル)ピロリジン−2−イル)−(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)−メタノン、
(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)−((2S,4S)−4−(4−(オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)ピロリジン−2−イル)−メタノン、
(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)−((2S,4S)−4−(4−(4−メチルピリミジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)ピロリジン−2−イル)−メタノン、
((2S,4S)−4−(2−(トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−6(5H)−イル)ピロリジン−2−イル)−(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)−メタノン、
((S)−3−フルオロ−ピロリジン−1−イル)−{(2S,4S)−4−[4−(3−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−ピペラジン−1−イル]−ピロリジン−2−イル}−メタノン、
((S)−3−フルオロ−ピロリジン−1−イル)−[(2S,4S)−4−(2−トリフルオロメチル−7,8−ジヒドロ−5H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−6−イル)−ピロリジン−2−イル]−メタノン、
(3,3−ジフルオロ−ピロリジン−1−イル)−[(2S,4S)−4−(4−オキサゾロ[4,5−c]ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−ピロリジン−2−イル]−メタノン、
[(2S,4S)−4−(2−シクロプロピル−7,8−ジヒドロ−5H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−6−イル)−ピロリジン−2−イル]−(3−フルオロ−アゼチジン−1−イル)−メタノン、
【0047】
(3,3−ジフルオロ−ピロリジン−1−イル)−[(2S,4S)−4−(2−エトキシ−7,8−ジヒドロ−5H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−6−イル)−ピロリジン−2−イル]−メタノン、
2−{4−[(3S,5S)−5−(3−フルオロ−アゼチジン−1−カルボニル)−ピロリジン−3−イル]−ピペラジン−1−イル}−ニコチノニトリル、
((S)−3−フルオロ−ピロリジン−1−イル)−[(2S,4S)−4−(4−オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−ピロリジン−2−イル]−メタノン、
(3−フルオロ−アゼチジン−1−イル)−[(2S,4S)−4−(2−トリフルオロメチル−7,8−ジヒドロ−5H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−6−イル)−ピロリジン−2−イル]−メタノン、
2−{4−[(3S,5S)−5−((S)−3−フルオロ−ピロリジン−1−カルボニル)−ピロリジン−3−イル]−ピペラジン−1−イル}−ニコチノニトリル、
(3−フルオロ−アゼチジン−1−イル)−{(2S,4S)−4−[4−(2−トリフルオロメチル−キノリン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−ピロリジン−2−イル}−メタノン、
((3R*,4S*)−3,4−ジフルオロ−ピロリジン−1−イル)−[(2S,4S)−4−(2−トリフルオロメチル−7,8−ジヒドロ−5H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−6−イル)−ピロリジン−2−イル]−メタノンおよび
((3R*,4S*)−3,4−ジフルオロ−ピロリジン−1−イル)−[(2S,4S)−4−(4−オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−ピロリジン−2−イル]−メタノン。
【0048】
本発明の化合物は、全てが少なくとも2つの立体中心(特に、(2S,4S)ピロリジン−2−イル、以下の式(I):
【化3】

に示される立体中心)を含むことを包含する。
【0049】
本発明の化合物は、例えば、結晶化によって、分離され得るジアステレオ異性体の形成;例えば、結晶化、ガス液体クロマトグラフィーまたは液体クロマトグラフィーによって分離され得るジアステレオ異性体の誘導体または複合体の形成;エナンチオマー特異的試薬を用いる一方のエナンチオマーの選択的反応(例えば、酵素エステル化);またはキラル環境中で(例えば、キラル支持体(例えば、結合キラルリガンドを有するシリカ)上で)またはキラル溶媒の存在下、ガス液体クロマトグラフィーまたは液体クロマトグラフィーによる、当業者に公知の方法によって純粋なエナンチオマーに分割され得る。所望の立体異性体が上記の分離手順の1つによって別の化学実体に変換され、さらなる工程により所望の鏡像異性体形態を遊離させる必要があると理解される。あるいは、特定の立体異性体が光学活性出発物質を使用することによって、光学活性試薬、基質、触媒または溶媒を使用する不斉合成によって、または不斉変換によって一方の立体異性体を他方に変換することによって合成され得る。
【0050】
前記化合物は、1種またはそれ以上の追加的な立体中心を含み、本明細書中に例証され、そして議論される本化合物のジアステレオ異性体およびジアステレオ異性体混合物の全てが、本発明の範囲に包含されることを当業者は理解する。これらのジアステレオ異性体は、当業者に公知の方法(例えば、結晶化、ガス液体クロマトグラフィーまたは液体クロマトグラフィー)によって単離され得る。あるいは、合成に過程での中間体は、ラセミ混合物として存在し得、そして当業者に公知の方法によって[例えば、結晶化によって分離され得るジアステレオ異性体塩の形成;例えば、結晶化、ガス液体クロマトグラフィーまたは液体クロマトグラフィーによって分離され得るジアステレオ異性体の誘導体または複合体の形成;エナンチオマー特異的試薬を用いる一方のエナンチオマーの選択的反応(例えば、酵素エステル化);またはキラル環境中で(例えば、キラル支持体(例えば、結合キラルリガンドを有するシリカ)上で)またはキラル溶媒の存在下、ガス液体クロマトグラフィーまたは液体クロマトグラフィーによって]分解に供され得る。所望の立体異性体を上記の分離手順の1つによって別の化学実体に変換する場合は、さらなる工程により所望の鏡像異性体形態を遊離させる必要があると理解される。あるいは、特定の立体異性体が光学活性試薬、基質、触媒または溶媒和物を使用する不斉合成によってか、または不斉変換によって一方の立体異性体を他方に変換することによって合成され得る。
【0051】
式(I)の特定の化合物は、分離可能な異なる安定した配座形態で存在し得る。不斉単結合についての束縛回転に起因して(例えば、立体障害または環ひずみが原因で)、ねじれ非対称が異なる配座異性体の分離を可能にし得る。本発明は式(I)の化合物およびそれらの混合物の各々の配座異性体を包含する。式(I)の特定の化合物は、互変異性形態として存在してもよく、すなわち、互いに迅速に平衡状態になる2つの異性体間に平衡が存在することを専門家は理解する。互変異性の一般的な例は、ケト−エノール互変異性、すなわち、
【化4】

である。
【0052】
本発明のこのような化合物の例としては、とりわけ、ヒドロキシピリジン(ピリドン)およびヒドロキシピリミジン(hydroxypyrmidine)(ピリミドン)が挙げられる。特に、
本発明のヒドロキシピリジンが2つの分離した互変異性体、例えば、
【化5】

として存在し得ることを、当業者は理解する。
【0053】
一方の互変異性体が他方を上回って存在する程度は、置換パターンおよび溶媒の種類を含む種々の因子に依存する。本発明に従う他の例は、当業者によって理解される。式(I)の互変異性形態の全てが、特許請求の範囲に記載されている発明の範囲に包含される。
【0054】
本発明の化合物は、未溶媒和形態、ならびに水、エタノールなどのような薬学的に受容可能な溶媒との溶媒和形態で存在してもよく、本発明は、未溶媒和形態、溶媒和形態および溶媒和形態の混合物を包含することが意図される。
【0055】
式(I)の特定の化合物ならびにそれらの塩および溶媒和物は、1より多い結晶形で存在してもよい。式(I)によって表される化合物の多形体は本発明の一部を形成し、そして異なる条件下、式(I)の化合物の結晶化によって製造され得る。例えば、再結晶のための異なる溶媒または異なる溶媒混合物;異なる温度での結晶化;冷却の種々の様式(結晶の間の非常に速い〜非常に遅い冷却範囲)を使用する。多形体はまた、式(I)の化合物を加熱するかまたは溶融し、次いで徐々にまたは急速に冷却することによって得ることができる。多形体の存在は、固体プローブnmr分光法、ir分光法、示差走査熱量測定法、粉末X線回折法またはこのような他の技術によって測定され得る。
【0056】
本発明はまた、式(I)の記載されるものと同一であるが、実際は、1つまたはそれ以上の原子が、天然に通常見出される原子量又は質量数とは異なる原子量又は質量数を有する原子で置き換えられている同位体標識された化合物をも含む。本発明の化合物内に取り込まれ得る同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、硫黄およびフッ素の同位体(例えば、それぞれ、2H、3H、13C、14C、15N、18O、17O、35S、36Cl、125I、129Iおよび18F)が挙げられる。前記同位体および/または他の原子の他の同位体を含む本発明の化合物、それらのプロドラッグおよび化合物もしくはプロドラッグの薬学的に受容可能な塩は、本発明の範囲内である。特定の同位体標識された本発明の化合物(例えば、3Hおよび14Cのような放射性同位体を取り込んだ化合物)は、薬物および/または基質組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム化(すなわち、3H)および炭素−14(すなわち、14C)同位体は、製造および検出が容易なので、特に好ましい。さらに、ジューテリウム(すなわち、2H)のようなより重い同位体を用いる置換は、より大きい代謝安定性をもたらす特定の治療的利点(例えば、インビボ半減期の増加または必要投薬量の減少)を得ることができ、従って、ある状況において好ましいものであり得る。本発明の式(I)の同位体標識された化合物およびそれらのプロドラッグは、一般的に、同位体で標識されていない試薬を、容易に入手可能な同位体標識された試薬に置き換えることによって、以下のスキームおよび/または実施例に開示される手順を実施することによって製造され得る。
【0057】
本発明の化合物に関して、本明細書中で使用される場合、薬学的に受容可能な塩は、前記化合物の薬学的に受容可能な無機塩および有機塩を包含する。これらの塩は、化合物の最終的な単離および精製の間にインサイチュで製造され得るか、または化合物またはプロドラッグを適切な有機酸または無機酸と別々に反応させ、そしてこのようにして形成された塩を単離することによって製造され得る。典型的な塩としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、シュウ酸塩、ベシレート、パルミチン酸塩、パモエート、マロン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、ホウ酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トシレート、ギ酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチレート、メシレート、グルコヘプトネート、ラクトビオネートおよびラウリルスルホン酸塩など。これらとしては、アルカリ金属およびアルカリ土類金属(例えば、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなど)に基づくカチオン、ならびに非毒性のアンモニウム、四級化アンモニウム、およびアミンのカチオンが挙げられ、これらの非毒性のアンモニウム、四級化アンモニウム、およびアミンのカチオンとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:アンモニウム、テトラメトチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミンなど。さらなる例としては、例えば、Berge,et al.,J.Pharm.Sci.,66,1−19(1977)を参照のこと。
【0058】
本発明の化合物を単離し、そしてそれ自体またはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物の形態で使用され得る。本発明に従って、多数の塩基性窒素原子と共に化合物は、酸の価数の変更を伴って塩を形成し得る。全てのこのような塩は本発明の範囲内に包含されることが専門家によって理解される。
【0059】
式(I)の化合物のプロドラッグは、アミノ基、ヒドロキシル基またはカルボキシル基のような化合物の官能基を用いて慣用的な様式で形成され得る。用語「プロドラッグ」とは、インビボで変換され、式(I)の化合物または化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物を得る化合物を意味する。変換は血液中での加水分解のような種々の機構によって起こり得る。プロドラッグの使用の議論は、T.Higuchi and W.Stella,「Pro−drugs as Novel Delivery Systems」Vol.14 of the A.C.S.Symposium Series,and in Bioreversible Carriers in Drug Design,ed.Edward B.Roche,American Pharmaceutical Association and Pergamon Press,1987によって提供される。
【0060】
例えば、本発明の化合物がアミン官能基を組み込む場合、プロドラッグは、以下のような基を用いてアミン基中の水素原子を置き換えることによって形成され得る:R−カルボニル、RO−カルボニル、NRR’−カルボニル(ここでRおよびR’は、独立して、各々(C1−C10)アルキル、(C3−C7)シクロアルキル、ベンジルであるか、またはR−カルボニルは天然のα−アミノアシルまたは天然のα−アミノアシル−天然のα−アミノアシルである)、−C(OH)C(O)OY’(ここで、Y’はH、(C1−C6)アルキルまたはベンジルである)、−C(OY0)Y1(ここで、Y0は(C1−C4)アルキルであり、そしてY1は(C1−C6)アルキル、カルボキシ(C1−C6)アルキル、アミノ(C1−C4)アルキルまたはモノ−N−もしくはジ−N,N−(C1−C6)アルキルアミノアルキルである)、−C(Y2)Y3(ここで、Y2はHまたはメチルであり、そしてY3はモノ−N−もしくはジ−N,N−(C1−C6)アルキルアミノである)、モルホリノ、ピペリジン−1−イルまたはピロリジン−1−イル。
【0061】
同様に、本発明の化合物がアルコール官能基を含む場合、プロドラッグは、以下のような基を用いてアルコール基の水素原子を置き換えることによって形成され得る:(C1−C6)アルカノイルオキシメチル、1−((C1−C6)アルカノイルオキシ)エチル、1−メチル−1−((C1−C6)アルカノイルオキシ)エチル、(C1−C6)アルコキシカルボニルオキシメチル、N−(C1−C6)アルコキシカルボニルアミノメチル、サクシノイル、(C1−C6)アルカノイル、α−アミノ(C1−C4)アルカノイル、アリールアシルおよびα−アミノアシルもしくはα−アミノアシル−α−アミノアシル(ここで、各α−アミノアシル基は、独立して、天然に存在するL−アミノ酸、P(O)(OH)2、−P(O)(O(C1−C6)アルキル)2またはグリコシルから選択される)(基は、炭水化物のヘミアセタール形態のヒドロキシル基を除去することによって得られる)。
【0062】
本発明の化合物がカルボン酸官能基を含む場合、プロドラッグは、以下のような基を用いて酸基の水素原子を置き換えることによって形成されたエステルを包含し得る:(C1−C8)アルキル、(C2−C12)アルカノイルオキシメチル、4〜9個の炭素原子を有する1−(アルカノイルオキシ)エチル、5〜10個の炭素原子を有する1−メチル−1−(アルカノイルオキシ)−エチル、3〜6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニルオキシメチル、4〜7個の炭素原子を有する1−(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、5〜8個の炭素原子を有する1−メチル−1−(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、3〜9個の炭素原子を有するN−(アルコキシカルボニル)アミノメチル、4〜10個の炭素原子を有する1−(N−(アルコキシカルボニル)アミノ)エチル、3−フタリジル、4−クロトノラクトニル、γ−ブチロラクトン−4−イル、ジ−N,N−(C1−C2)アルキルアミノ(C2−C3)アルキル(例えば、β−ジメチルアミノエチル)、カルバモイル−(C1−C2)アルキル、N,N−ジ(Cl−C2)アルキルカルバモイル−(Cl−C2)アルキルおよびピペリジノ−、ピロリジノ−もしくはモルホリノ(C2−C3)アルキル。
【0063】
一般的に、本発明の式(I)の化合物は、特に本明細書中に含まれる説明を考慮に入れて、化学分野で公知のプロセスを包含する方法によって製造され得る。本発明の式(I)の化合物の製造のための特定のプロセスは、以下の反応スキームによって例証される。他のプロセスは、実施例の節に記載される。本発明のスキームおよび実施例に開示される方法は、本発明を例証する目的のために意図され、そして任意の様式においてそれらに限定されるように解釈されない。
【0064】
スキームおよび実施例に記載される反応についてのいくつかの出発化合物は、本明細書に例証されるように製造される。全ての他の出発化合物は、Sigma−Aldrich Corporation,St.Louis,MOのような一般的な商業的供給源から得ることができる。
【0065】
以下の議論において、以下の略語を使用する:BOC(tert−ブトキシカルボニル)、Cbz(ベンジルオキシカルボニル)、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)、NMP(N−メチル−2−ピロリジノン)、DMAC(N,N−ジメチルアセトアミド)、DME(ジメトキシエタン)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、EtOAC(酢酸エチル)、EtOH(エタノール)、MeOH(メタノール)、TFA(トリフルオロ酢酸)、TFAA(トリフルオロ酢酸無水物)、TEA(トリエチルアミン)、THF(テトラヒドロフラン)、DIPEA(ジイソプロピルエチルアミン)、EDC(1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−カルボジイミド))、DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)、CDI(1,1’−カルボニルジイミダゾール)、HATU(O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)、HOAT(1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール)、HOBT(N−ヒドロキシベンゾトリアゾール)およびEEDQ(2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリン)。
【0066】
式(I)の化合物を製造するための一般的な方法は、本明細書中以下のスキーム1に描かれる。
【化6】

【0067】
スキーム1において、スキーム2に記載されるように製造した式(II)の化合物(ここで、Pは窒素保護基を表す)は、公知の方法に従って脱保護される。PがBOCを表す場合、典型的に、まずEtOAc、エーテルジオキサンまたは水のような溶媒に溶解した(II)を、場合によって、約0℃のような適切な温度に冷却しながら、約5分〜約1時間のような適切な時間、酸(例えば、塩化水素)を用いて処理することによって脱保護をもたらす。溶液を室温(RT)まで温め、次いでさらなる時間(典型的にさらに30分〜約16時間)撹拌する。好ましくは、反応混合物を約15分間撹拌し、室温にし、次いでさらに30分間撹拌する。あるいは、(II)をTFAに溶解し、そして適切な時間(例えば、約30分〜約24時間)の後、過剰なTFAを真空で除去し、そして残りの生成物をエーテルのような溶媒で摩砕する。PがCbzを表す場合、10%パラジウムまたは水酸化パラジウムのような触媒の存在下、EtOHまたはEtOACのような適切な溶媒中、約30psi〜約60psiの圧力で、十分な時間(通常、一晩)、約20℃〜約80℃の温度にて、水素添加分解によって脱保護を行い得る。好ましくは、約45psiの圧力で室温にて、水素添加分解をもたらす。
【0068】
本明細書中以下のスキーム2に描かれるように、適切に置換したカルボン酸誘導体(III)と適切に置換したアミン誘導体(IV)とをカップンリングすることによって、式(II)の化合物を製造し得る。
【化7】

【0069】
典型的に、反応不活性溶媒、好ましくは、アセトニトリル、ジクロロメタン、DMF、THFまたはクロロホルムのような非プロトン性溶媒中、(III)と(IV)とを合わせることによってカップリングを達成する。次いで、場合によって、TEAまたはピリジンのような塩基およびHOBTまたはHOATのような任意の補助剤の存在下、EDC、HATU、DCC、EEDQ、CDI、塩化ピバロイルまたはジエチルホスホリルシアニドのようなカップリング試薬を添加する。典型的に、カップリングは、約0℃〜約50℃の温度にて、適切な時間(例えば、約1時間〜約24時間、例えば約16時間)でもたらされる。カルボン酸をカップリングするのに有用な他の条件の議論については、Houben−Weyl,Vol.XV,PartII,E.Wunsch,Ed.,G.Theime Verlag,(1974),Stuttgart;M.Bodansky,「Principles of Peptide Synthesis」,Springer−Verlag Berlin(1984);および「The Peptides:Analysis,Synthesis and Biology」(E.GrossおよびJ.Meienhofer編),Vols.1−5(Academic Press NY 1979−1983)を参照のこと。式(III)および(IV)の化合物は、公知の方法または本明細書中以下に記載される例示的な製造手順に従って製造され得る。式(IV)アミンの例示的な製造について、PCT国際出願公開番号WO 2003/101958および米国特許番号第6,710,040号を参照のこと(これらの開示は本明細書中に参照によって加入される)。
【0070】
また、式(II)の化合物は、以下のスキーム3に記載されるように製造され得る。
【化8】

【0071】
スキーム3において、適切に置換したヘテロシクロアルキルアミン(VI)を用いて、本明細書中以下のスキーム4に記載されるように製造した保護化ケトン(V)を還元アミノ化することによって、式(II)の化合物を製造する。このようなアミノ化反応は当業者に周知である。例えば、A.F.Abdel−Magid,et al.,J.Org.Chem.,61,3849(1996);R.F.Borch,et al.,J.Am.Chem.Soc.,93,2897(1971);およびS.Bhattacharyya,et al.,Synlett,1079(1995)を参照のこと。式(VI)アミンは従来技術において周知であり、そして市販されるか、または公知の方法によって製造され得る。例えば、D.A.Horton,et al.,Chem.Rev.,103,893−930(2003),H.Fukui,et al,Heterocycles,56,257−264(2002),M.Y.Chu−Moyer,et al.,J.Org.Chem.,60,5721−5725(1995),およびJ.P.Yevich,et al.,J.Med.Chem.,29,359−369(1986)を参照のこと。
【0072】
典型的に、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素テトラメチルアンモニウムまたは水素のような還元剤の存在下、触媒(10% Pd/C、酸化白金など)の存在下、場合によって、酸(例えば、酢酸(AcOH)、塩酸など)の存在下、(V)および(VI)を縮合させる。カップリングは、1,2−ジクロロエンタン、THF、DMF、EtOHまたはMeOHのような反応不活性溶媒中で通常もたらされる。0〜50℃のような適切な温度にて、約1〜約24時間(例えば、約16時間)のような適切な時間で、反応を行う。
【0073】
本明細書中以下のスキーム4に記載されるように、必要に応じて、市販のカルボン酸(VII)、ケトカルボン酸(IX)またはケトエステル(X)を用いて開始し、式(V)の化合物を製造し得る。
【化9】

【0074】
スキーム4の工程1において、本明細書中上のスキーム2に記載されるように、保護化酸(VII)をアミン(IV)とカップリングして、アルコール(VIII)を得る。
【0075】
スキーム4の工程2において、反応不活性溶媒中で酸化剤を用いて(VIII)を処理することによってアルコール(VIII)をケトン(Va)に酸化する。適切な酸化剤の例としては、DMSO中ピリジン/三酸化硫黄;臭化ナトリウムおよびTEMPO(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ)遊離基触媒の存在下、次亜塩素酸ナトリウム溶液;三酸化クロム、重クロム酸ピリジニウムまたはクロロクロム酸ピリジニウムのようなクロムベースの試薬;および第三級アミンの存在下、DMSO中塩化オキサリルが挙げられる。反応不活性溶媒の例としては、ジクロロメタン、EtOAc、トルエンまたはピリジンが挙げられる。典型的に、約−78℃〜約50℃の温度にて、約1〜約24時間(例えば、約16時間)酸化を行う。このような酸化は当業者に周知である。例えば、M.Tamaki,et al.,J.Org.Chem.,66,3593(2001)およびX−I.Qiu,et al.,J.Org.Chem.,67,7162(2002)を参照のこと。
【0076】
スキーム4の工程3において、本明細書中上のスキーム2に記載されるように、保護化ケトカルボン酸(IX)を先ずアミン(IV)とカップリングし、(Va)を得、次いでアルキル化し、ケトン(V)を得る。典型的に、先ずケトン(Va)と第二級アミン(例えば、ピロリジン、ピペリジンまたはモルホリン)を反応させることによってエナミンを形成させ、次いで、場合によって、炭酸カリウムのような塩基の存在下、アルキル化剤で処理することによって、アルキル化をもたらす。典型的に、ベンゼン、トルエン、アセトニトリルまたはジオキサンのような溶媒中で、反応はもたらされる。このような変換は、当業者に周知である。例えば、G.Stork,et al.,J.Am.Chem.Soc.,85,207(1963);M.W.Holladay,et al.,J.Med.Chem.,34,455(1991);およびP.Barraclough,et al.,Tetrahedron,51,4195(1995)を参照のこと。
【0077】
スキーム4の工程5において、保護化ケトエステル(X)(ここでRは、アルキルまたはアリールアルキル部分を表す)を、工程4の以前に記載された条件下、アルキル化し、ケトエステル(XI)を得る。
【0078】
スキーム4の工程6において、本明細書中のスキーム2に上記されるように、ケトエステル(XI)を鹸化し、工程7において、適切に置換したアミン(IV)とカップリングさせ、対応するカルボン酸を得る。典型的に、水酸化リチウムまたは水酸化ナトリウムのような塩基の存在下、MeOHまたはEtOHと水のような水混和性溶媒中に(XI)を溶解し、鹸化工程を達成する。約0℃〜約100℃のような適切な温度にて(好ましくは、室温)、適切な時間(例えば、約1〜約24時間、例えば、約16時間)で鹸化をもたらす。
【0079】
好ましくは、本発明の医薬組成物は、治療有効量の式(IA)の化合物もしくはそれらのプロドラッグ、または化合物もしくはプロドラッグの薬学的に受容可能な塩、または化合物、プロドラッグもしくは塩の溶媒和物、ならびに薬学的に受容可能な担体、ビヒクル、希釈剤または賦形剤を含有する。
【0080】
より好ましくは、本発明の医薬組成物は、治療有効量の化合物(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)−((2S,4S)−4−(4−(ピリミジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)ピロリジン−2−イル)メタノンもしくはそれらのプロドラッグ、または前記化合物もしくはプロドラッグの薬学的に受容可能な塩、または前記化合物、プロドラッグもしくは塩の溶媒和物;ならびに薬学的に受容可能な担体、ビヒクル、希釈剤、賦形剤を含有する。
【0081】
本発明の化合物と薬学的に受容可能な担体、ベヒクルまたは希釈剤との組合せによって形成される医薬組成物は、次いで、錠剤、散剤、トローチ剤、シロップ剤、注射溶液などのような様々な投与形態で容易に投与される。これらの医薬組成物は、所望の場合、香味剤、結合剤、賦形剤などのような付加的な成分を含有し得る。
【0082】
従って、経口投与用に、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウムおよび/またはリン酸カルシウムのような種々の賦形剤を含有する錠剤を、デンプン、アルギン酸および/または特定の複合ケイ酸塩のような種々の崩壊剤と、ポリビニルピロリドン、スクロース、ゼラチンおよび/またはアラビアゴムのような結合剤と共に利用してもよい。さらに、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルクのような滑沢剤が、錠剤化の目的のために、しばしば有用である。同様のタイプの固体組成物をまた、軟質及び硬質充填ゼラチンカプセル中の充填剤とし利用してもよい。このための好ましい材料として、ラクトースもしくは乳糖および高分子量ポリエチレングリコールが挙げられる。水性懸濁液またはエリキシルが経口投与用に望ましい場合、その中の活性薬剤を、種々の甘味剤または香味剤、着色料または染料、および所望の場合、乳化剤または懸濁剤、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリンおよび/またはそれらの組合せのような希釈剤と共に組み合わせてもよい。
【0083】
非経口投与用に、ゴマ油もしくはラッカセイ油、水性プロピレングリコール中の、または無菌水溶液中の本発明の化合物または組成物の溶液を利用してもよい。このような水溶液は、必要な場合、適切に緩衝化されるべきであり、そして液体希釈剤は、十分な生理食塩水またはグルコースを用いて先ず等張にされる。これらの特定の水溶液は、静脈内、筋肉内、皮下および腹腔内投与に特に適している。これに関連して、利用される無菌水性媒体は、当業者に公知の標準的技術によって全て容易に利用可能である。
【0084】
鼻腔内投与または吸入による投与用に、本発明の化合物または組成物は、患者により圧迫されるか、またはポンプで空気を入れるポンプスプレー容器から溶液または懸濁液の形態で、または、適切な高圧ガス(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適切なガス)を用いた加圧容器又はネブライザーからのエアロゾルスプレー状態として、便利に送達される。加圧エアロゾルの場合、定量を送達するバルブを提供することにより、投与量単位を決定し得る。加圧容器またはネブライザーは、本発明の化合物の溶液または懸濁液を含んでもよい。吸入器(inhaler)またはインサフレーター(insufflator)に使用するためのカプセルおよびカートリッジ(例えば、ゼラチン製)は、本発明の化合物とラクトースまたはデンプンのような適切な粉体基剤との混合粉体を含んで処方されてもよい。
【0085】
特定量の活性成分を含む種々の医薬組成物の製造方法は公知であるか、または本開示の観点から当業者に明らかである。医薬組成物の製造方法の例については、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,第19編(1995)」を参照のこと。
【0086】
別の局面において、本発明は治療有効量の式(I)の第一の化合物、それらのプロドラッグまたは化合物もしくはプロドラッグの薬学的に受容可能な塩;以下から選択される抗糖尿病薬である第二の化合物を含有する医薬組成物に関する:インスリンおよびインスリンアナログ;インスリノトロピン;ビグアニド;α2−アンタゴニストおよびイミダゾリン;グリタゾン;アルドースレダクターゼインヒビター;グリコーゲンホスホリラーゼインヒビター;ソルビトールデヒドロゲナーゼインヒビター;脂肪酸酸化インヒビター;α−グルコシダーゼインヒビター;β−アゴニスト;ホスホジエステラーゼインヒビター;高脂血症治療薬;抗肥満薬;バナジウム酸塩およびバナジウム錯体およびペルオキソバナジウム錯体;アミリンアンタゴニスト;グルカゴンアンタゴニスト;成長ホルモン分泌促進薬;糖新生インヒビター;ソマトスタチンアナログ;抗脂肪分解薬;抗糖尿病薬のプロドラッグ、または抗糖尿病薬およびプロドラッグの薬学的に受容可能な塩。
【0087】
別の局面において、本発明は、式(I)の化合物もしくはそれらのプロドラッグ、または化合物もしくはプロドラッグの薬学的に受容可能な塩、または化合物、プロドラッグもしくは塩の溶媒和物を含有する、第一の投薬形態;およびインスリンおよびインスリンアナログ;インスリノトロピン;ビグアニド;α2−アンタゴニストおよびイミダゾリン;グリタゾン;アルドースレダクターゼインヒビター;グリコーゲンホスホリラーゼインヒビター;ソルビトールデヒドロゲナーゼインヒビター;脂肪酸酸化インヒビター;α−グルコシダーゼインヒビター;β−アゴニスト;ホスホジエステラーゼインヒビター;高脂血症治療薬;抗肥満薬;バナジウム酸塩およびバナジウム錯体およびペルオキソバナジウム錯体;アミリンアンタゴニスト;グルカゴンアンタゴニスト;成長ホルモン分泌促進薬;糖新生インヒビター;ソマトスタチンアナログ;抗脂肪分解薬;抗糖尿病薬のプロドラッグ、または抗糖尿病薬およびプロドラッグの薬学的に受容可能な塩から選択される抗糖尿病薬を含有する、第二の投薬形態;ならびに前記第一の投薬量(a)および前記第二の投薬量(b)を含むための容器、を備えるキットに関する。キットの好ましい実施形態において、第一および第二の投薬形態の両方は、独立して、薬学的に受容可能な担体または希釈剤を含有する。
【0088】
別の局面において、本発明は、ジペプチジルペプチダーゼIVを阻害するための治療方法に関し、このような治療が必要な哺乳動物に、治療有効量の式(I)の化合物もしくはそれらのプロドラッグ、または化合物もしくはプロドラッグの薬学的に受容可能な塩、または化合物、プロドラッグもしくは塩の溶媒和物を、単独または上記のような抗糖尿病薬と組み合わせて投与する工程を包含する。
【0089】
別の局面において、本発明は、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害によって媒介される症状の治療方法に関し、このような治療が必要な哺乳動物に、治療有効量の式(I)の化合物もしくはそれらのプロドラッグ、または化合物もしくはプロドラッグの薬学的に受容可能な塩、または化合物、プロドラッグもしくは塩の溶媒和物を、単独または上記のような抗糖尿病薬と組み合わせて投与する工程を包含する。
【0090】
1つの実施形態において、治療される症状は、2型糖尿病、1型糖尿病、耐糖能異常、高血糖症、代謝症候群(X症候群および/またはインスリン抵抗症候群)、糖尿、代謝性アシドーシス、関節炎、白内障、糖尿病性神経障害、糖尿病性ネフロパシー、糖尿病性網膜症、糖尿病性心筋症、肥満症、肥満症によって悪化する症状、高血圧症、高脂質血症、アテローム性動脈硬化症、骨粗鬆症、骨減少症、脆弱化、骨損失、骨折、急性冠症候群、成長ホルモン欠損症に起因する小人症、多嚢胞性卵巣症候群に起因する不妊症、不安、うつ病、不眠症、慢性疲労、てんかん、摂食障害、慢性疼痛、アルコール依存症、腸運動に関連する疾患、潰瘍、過敏性腸症候群、炎症性腸症候群;短小腸症候群;および2型糖尿病における疾患の増悪の予防である。
【0091】
好ましい実施形態において、治療される症状は、2型糖尿病である。
【0092】
別の局面において、本発明は、糖尿病のためのインスリン分泌促進薬の同定方法に関し、断食した糖尿病のKK/H1Jの症状を示すマウスに式(I)の薬剤を投与する工程;および続く経口グルコースチャレンジに対するマウスの応答を評価する工程(ここで、前記マウスが症状の改善を示した場合、前記薬剤は、2型糖尿病、1型糖尿病、耐糖能異常、高血糖症、代謝症候群(X症候群および/またはインスリン抵抗症候群)、糖尿、代謝性アシドーシス、関節炎、白内障、糖尿病性神経障害、糖尿病性ネフロパシー、糖尿病性網膜症、糖尿病性心筋症、肥満症、肥満症によって悪化する症状、高血圧症、高脂質血症、アテローム性動脈硬化症、骨粗鬆症、骨減少症、脆弱化、骨損失、骨折、急性冠症候群、成長ホルモン欠損症に起因する小人症、多嚢胞性卵巣症候群に起因する不妊症、不安、うつ病、不眠症、慢性疲労、てんかん、摂食障害、慢性疼痛、アルコール依存症、腸運動に関連する疾患、潰瘍、過敏性腸症候群、炎症性腸症候群;短小腸症候群;および2型糖尿病における疾患の増悪の予防のための治療薬として同定される)を包含する。
【0093】
本発明はまた、哺乳動物(ヒトを含む)における上記の症状を治療または予防するための治療方法に関し、ここで本発明の式(I)の化合物は、治療利益を得るために設計された適切な投与計画の一部として投与される。適切な投与計画、投与される各用量および化合物の投薬間隔は、使用される本発明の式(I)の化合物、使用される医薬組成物の種類、治療される対象の特性および症状の重篤度に依存する。
【0094】
一般的に、本発明の化合物に対する有効投薬量は、単回用量または分割用量で、活性化合物の0.01mg/kg/日〜30mg/kg/日、好ましくは0.01mg/kg/日〜5mg/kg/日の範囲である。しかし、治療される対象の症状に依存して、必然的に、投薬量において多少の変化が生じる。いずれにしろ、投与に関して責任のある個人が、個々の対象に適切な用量を決定する。「kg」とはキログラムで測定された患者の体重をいうことを専門家は理解する。
【0095】
本発明の化合物または組成物は、単回用量(例えば、一日当たり1回)もしくは複数用量でまたは持続注入によって投与されてもよい。本発明の化合物はまた、単独または薬学的に受容可能な担体、ビヒクルまたは希釈剤と組み合わせて、単回用量または複数用量で投与されてもよい。適切な薬学的担体、ビヒクルおよび希釈剤としては、不活性な固形希釈剤または充填剤、無菌水溶液、および種々の有機溶媒が挙げられる。
【0096】
本発明の化合物または組成物は、種々の慣用的な投与経路(経口および非経口(例えば、静脈内、皮下または髄内)を含む)によって、治療が必要な対象に投与されてもよい。さらに、本発明の医薬組成物を、鼻腔内、坐剤としてまたは「フラッシュ」製剤(すなわち、水を用いることなく口腔内で医薬を溶解させることが可能である)を用いて、投与されてもよい。
【0097】
〔実施例〕
ほかに記載されない限り、全ての反応物は市販されていた。
フラッシュクロマトグラフィーを、W.C.Still et al.のJ.Org.Chem.1978,43,2923によって記載される方法に従って行った。
【0098】
製造実施例
本発明の化合物および中間体は、一般的にNomenclature of Organic ChemistryおよびCAS IndexルールのIUPAC(International Union for Pure and Applied Chemistry)勧告に従って命名された。
【0099】
製造1
(2S)−2−[(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)カルボニル]−4−オキソピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
工程1 (2S,4R)−2−[(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)カルボニル]−4−ヒドロキシピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
TEA(0.77mL、5.5mmol)を、3,3−ジフルオロピロリジン塩酸塩(0.79g、5.5mmol;Synlett,55(1995))のジクロロメタン懸濁液(10mL)に添加した。5分後、(4R)−1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ヒドロキシ−L−プロリン(1.16g、5mmol)、HOBt(0.74g、5.5mmol)およびEDC(1.05g、5.5mmol)を添加した。反応系を一晩撹拌した後、混合物を飽和重炭酸ナトリウムおよびブラインで連続して洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(Biotage(R)Flash 40S(A Dynax Corp.;Charlottesville,VA)、9:1ジクロロメタン:メタノール)によって精製し、淡いピンク色の発泡体(1.07g)を得た。水層のジクロロメタン抽出を繰り返してさらなる生成物(0.26g)を得、全体で1.33g(83%)の収量を得た。MS m/z 321(MH+)。
【0100】
工程2
ジクロロメタン(3mL)中のDMSO(0.57mL、8mmol)を−65℃の塩化オキサリル(0.38mL、4.4mmol)のジクロロメタン溶液(10mL)に滴下した。5分後、工程1の生成物(1.28g、4mmol)のジクロロメタン溶液(20mL)を添加した。15分後、TEA(2.79mL、20mmol)を添加した。反応混合物をRTまで温めた。2時間後、混合物を氷上に注いだ。有機層を分離し、10% NaHCO3溶液およびブラインで連続して洗浄し、乾燥させ(MgO4)、そして濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(Biotage(R)Flash 40S,95:5ジクロロメタン:MeOH)によって精製し、表題化合物(765mg、60%)を得た。MS m/z 319(MH+)。
【0101】
また、(2S)−2−[(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)カルボニル]−4−オキソピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを、以下の手順に従って製造し得る。
【0102】
1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−オキソ−L−プロリン(6.88g、30mmol)、HOBt(4.46g、33mmol)、EDC(6.326g、33mmol)および3,3−ジフルオロピロリジン塩酸塩(4.52g、31.5mmol)をジクロロメタン(100mL)に溶解し、そして反応混合物を氷浴中で0℃に冷却し、TEA(8.4mL、60mmol)を添加した。次いで、反応混合物をRTまで温めた。一晩撹拌した後、飽和重炭酸ナトリウム(100mL)を添加し、そして水層をジクロロメタンで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(Biotage(R)Flash 40M、1:10ジクロロメタン:ヘキサンで溶出する)によって精製し、表題化合物(7.85g、82%収率)を得た。MS(EI)m/z 319.3(MH+)。
【0103】
製造2
(2S)−2−{[(3R*−4S*)−3,4−ジフルオロピロリジン−1−イル]カルボニル}−4−オキソピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
工程1 (2S,4R)−2−{[(3R*,4S*)−3,4ジフルオロピロリジン−1−イル]カルボニル}−4−ヒドロキシピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
製造1の工程1に記載されるのと類似の様式で、(4R)−1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ヒドロキシ−L−プロリン(2.31g、10mmol)を、(3R,4S)−rel−3,4−ジフルオロピロリジン塩酸塩(1.44g、10mmol、製造4)とカップリングし、オフホワイトの発泡体として表題化合物(2.15g、67%)を得た。MS m/z 321(MH+)。
工程2
製造1の工程2に記載されるのと類似の様式で、工程1の生成物(1.97g、6.15mmol)を酸化し、淡黄色固体として表題化合物(0.74g、38%)を得た。MS m/z 319(MH+)。
【0104】
製造3
(4S)−1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−(4−ピリミジン−2−イルピペラジン−1−イル)−L−プロリン
1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−オキソ−L−プロリン(1.0g、4.4mmol)、2−ピペラジン−1−イルピリミジン(0.73g、4.4mmol)および酢酸(275μL、4.6mmol)を無水1,2−ジクロロエタン(20mL)に溶解し、そしてトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.85g、8.7mmol)を添加した。RTにて24時間撹拌した後、反応混合物を飽和NaHCO3でクエンチした。固体NaHCO3および濃HClの添加によってpHをpH7に調節し、混合物をジクロロメタンで抽出し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、そして濃縮し、粗物質(1.0、61%)を得、これはさらに使用するために十分に純粋であった。MS m/z 378(MH+)。
【0105】
製造4
(3R,4S)−rel−3,4−ジフルオロ−ピロリジン塩酸塩
工程1 2,5−ジヒドロ−ピロール−1−カルボン酸ベンジルエステル
3−ピロリン(10g、0.145mol)をトルエン(100mL)中の重炭酸ナトリウム(14g、0.17mol)のスラリーに添加した。混合物を0℃に冷却し、そしてクロロギ酸ベンジル(23mL、0.16mol)を滴下した。一晩撹拌した後、溶液をジクロロメタンで希釈し、冷水およびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、そして黄白色油状物になるまで濃縮し、真空で蒸留した。Bp 119〜126℃(0.32mm)。
【0106】
工程2 6−オキサ−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−カルボン酸ベンジルエステル
工程1の表題化合物(3.0g、15mmol)を、エチレンジアミン四酢酸、ジナトリウム塩二水和物(11mg、0.03mmol)を含有するアセトニトリル(100mL)および水(70mL)の混合物に溶解した。溶液を0℃に冷却し、そして1,1,1−トリフルオロアセトン(14.5mL、160mmol)を10分かけて添加した。重炭酸ナトリウムを添加することによってpHを7に維持しながら、ペルオキソ一硫酸カリウム(45g、74mmol)を数滴ずつ40分かけて添加した。混合物を0℃にて1.5時間撹拌し、次いで水に注ぎ、そしてジクロロメタンで抽出した。合わせた抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、そして無色の油状物になるまで濃縮した(3.45g、100%)。
【0107】
工程3 (3RS,4RS)−3−フルオロ−4−ヒドロキシ−ピロリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル
TEAトリヒドロフルオリド(1.95mL、12mmol)と工程2の表題化合物(2.62g、12mmol)の混合物を155℃にて3時間加熱し、冷却し、そして水とジクロロメタンとの間で分配した。水層を再びジクロロメタンで抽出し、そして合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、そして濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン中1%メタノール)によって精製し、青白い油状物として表題化合物(1.14g、40%)を得た。
【0108】
工程4 (3R,4S)−rel−3,4−ジフルオロ−ピロリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル
工程3の表題化合物のジクロロメタン溶液(15mL)を−50℃に冷却し、そして[ビス(2−メトキシエチル)アミノ]三フッ化硫黄(1.3mL、6.9mmol)を添加した。溶液を室温まで18時間かけて温め、次いで水とEtOAcとの間で分配した。水層を再びEtOAcで抽出し、そして合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、そして濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン)によって精製し、茶色油状物として生成物(1.14g、40%)を得た。
【0109】
工程5
工程4の表題化合物(675mg、2.8mmol)のEtOH溶液(10mL)(10% Pd/C(200mg)を含有する)を、40psiにてParr装置中で18時間かけて水素化した。溶液を珪藻土で濾過し、そして濾液を乾燥状態まで濃縮し、黄色固体(400mg、100%)を残した。
【0110】
製造5
(S)−2−(3−フルオロ−アゼチジン−1−カルボニル)−4−オキソ−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
工程1 ベンズヒドリル−3−フルオロ−アゼチジン塩酸塩
1−ベンズヒドリル(benzyhydryl)−アゼチジン−3−オール(5.0g、20.9mmol)をベンゼン(50mL)に溶解し、溶液を15℃まで冷却し、そして(ジエチルアミノ)三フッ化硫黄(10.1g、62.7mmol)を滴下した。室温にて一晩撹拌した後、飽和重炭酸ナトリウムを添加した。混合物をEtOAcで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(Biotage(R)40S、10% EtOAc/ヘキサン)によって精製した。生成物をEtOAcに溶解し、HCl(15mL、エーテル中2N)で処理し、簡潔に加熱し、そして濃縮した。固体をエーテルで摩砕し、濾過し、そして乾燥させ、表題化合物(2.58g)を得た。MS m/z 242.3(MH+)。
【0111】
工程2 3−フルオロ−アゼチジン塩酸塩
工程1の生成物(2.58g、9.3mmol)のメタノール溶液(30mL)(10% Pd/C(0.38g)を含有する)を30〜50psiにてParr装置中で60時間かけて水素化した。溶液を珪藻土で濾過し、そして濾液を乾燥状態まで濃縮した。固体をMeOH/EtOAcから再結晶化させ、表題化合物(0.62g、60%)を得た。
【0112】
工程3
N−tert−Boc−4−オキソ−L−プロリン(917mg、4mmol)、工程2の表題化合物(446mg、4mmol)およびHATU(1.673g、4.4mmol)を、窒素下、無水塩化メチレン中で混合した。溶液を氷浴中で冷却し、DIEA(1.4mL、8mmol)を添加した。反応混合物をRTまで温め、そして一晩撹拌した。飽和重炭酸ナトリウムを添加し、層を分離し、そして水層を塩化メチレンで抽出した。合わせた有機部分をブラインで洗浄し、そして硫酸マグネシウムで乾燥させた。粗生成物(2.11g)をクロマトグラフィー(Biotage(R)Flash 40S、95:5 EtOAc:MeOH)によって精製し、淡いピンク色の発泡体として表題化合物(1.06g、92%)を得た。MS m/z 287.3(MH+)。
【0113】
製造6
(S)−2−((S)−3−フルオロ−ピロリジン−1−カルボニル)−4−オキソ−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
N−tert−Boc−4−オキソ−L−プロリン(2.29g、10mmol)、(S)−3−フルオロピロリジン塩酸塩(1.38g、11mmol)およびTEA(2.09mL、15mmol)を、窒素下、無水塩化メチレン(30mL)中で混合した。HOBT(2.03g、15mmol)を添加し、そして混合物を氷浴中で0℃に冷却し、EDC(2.10、11mmol)を添加した。反応混合物をRTまで温め、そして一晩撹拌した。混合物を飽和重炭酸ナトリウムおよびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。粗物質(3.15g)をヘキサン:EtOAc(2:1)から再結晶化させ、淡黄色針状晶として表題化合物(2.18g、73%)を得た。MS m/z 301.3(MH+)。
【0114】
製造7
(2S,4S)−2−(3.3−ジフルオロ−ピロリジン−1−カルボニル)−4−ピペラジン−1−イル−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
工程1 4−[(3S,5S)−1−tert−ブトキシカルボニル−5−(3,3−ジフルオロ−ピロリジン−1−カルボニル)−ピロリジン−3−イル]− ピペラジン−1−カルボン酸ベンジルエステル
製造1の表題化合物(1.59g、5mmol)および1−(ベンジルオキシカルボニル)ピペラジン(1.21g、5.5mmol)の1,2−ジクロロエタン溶液(20mL)にAcOH(0.3mL、1.05当量)を添加し、次いでトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(2.119g、10mmol)を添加した。反応混合物をRTにて4時間撹拌した。飽和重炭酸ナトリウムを添加し、そして生成物を塩化メチレンで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、そして硫酸マグネシウムで乾燥させた。エバポレーションの後、粗生成物(2.28g黄色発泡体)を、EtOAcを用いて溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、白色発泡体として表題化合物(1.28g、49%)を得た。MS m/z 523.3(MH+)。
【0115】
工程2
工程1の生成物(1g、1.91mmol)をEtOH(50mL)に溶解し、そして10% Pd/C(1g、1当量w/w)を慎重に添加し、次いで1,4−シクロヘキサジエン(1.81mL、10当量)を添加した。混合物をRTにてしっかりと蓋の付いたフラスコ中で一晩穏やかに撹拌した。反応混合物を珪藻土に通して濾過し、そして濃縮し、黄色の半固体として生成物(758mg、100%)を得た。MS m/z 389.4(MH+)。
【0116】
製造8
(S)−2−(3,3−ジフルオロ−アゼチジン−1−カルボニル)−4−オキソ−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
N−tert−BOC−4−オキソ−L−プロリン(458mg、2mmol)、3,3−ジフルオロアゼチジン塩酸塩(258mg、2mmol)(WO 2000/47582に記載されるように製造した)およびDIPEA(0.35mL、2mmol)を無水塩化メチレン(10mL)中で混合し、そして0℃に冷却した。次いで、HOBT(405mg、3mmol)を一度に添加し、次いでEDC塩酸塩(422mg、2.2mmol)を添加した。得られた混合物をRTまで温め、一晩撹拌した。飽和重炭酸ナトリウムを添加し、有機層を分離し、そして水層を塩化メチレンで抽出した。合わせた有機抽出物を2回ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして濃縮した。粗生成物(570mg)をヘキサン:塩化メチレン(10:1)で摩砕し、濾過し、そして真空オーブン中で乾燥させ、明るいオレンジ粉末として表題生成物(510mg、84%収率)を得た。MS(m/z):305.1(MH+)。
【0117】
製造9
(2S,4S)−4−フルオロ−ピロリジン−2−カルボニトリル塩酸塩
工程1 (2S,4S)−4−フルオロ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−tert−ブチルエステル1−(2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イル)エステル
N−tert−BOC−シス−4−フルオロ−L−プロリン(700mg、3mmol)の無水DMF溶液(8mL)に0℃のN−ヒドロキシスクシンイミド(380mg、3.3mmol)を一度に添加し、次いで少量ずつ1,3−ジイソプロピルカルボジイミド(391mg、3.1mmol)を添加した。反応系をRTまで温め、そして一晩撹拌した。混合物を水(100mL)で希釈し、沈殿物を回収し、冷水で洗浄し真空オーブン中で一晩かけて乾燥させた。生成物(1.093g)をさらに精製することなく使用した。MS m/z 331.3(MH+)。
【0118】
工程2 (2S,4S)−2−カルバモイル−4−フルオロ−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
工程1の表題化合物(1.03g、3.12mmol)をRTのジオキサン(12mL)に溶解し、そして溶液を濃水酸化アンモニウム溶液(10mmol)の液滴で処理した。得られた濃厚な溶液をRTにて3時間撹拌し、次いで6N HClでpH4〜5まで酸性化し、そして塩化メチレン(2×)で抽出した。合わせた抽出物を飽和重炭酸ナトリウムおよびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして濃縮し、透明な油状物(562mg、78%収率)を得た。MS m/z 233.3(MH+)。
【0119】
工程3 (2S,4S)−2−シアノ−4−フルオロ−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
0℃の工程2の表題化合物(550mg、2.37mmol)および乾燥ピリジン(0.4mL、2当量)の無水塩化メチレン溶液(15mL)に、窒素下、TFAAの塩化メチレン溶液(2mL)を添加した。溶液を0℃にて2時間撹拌し、次いでRTにて1時間撹拌した。反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液およびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして濃縮した。残留物をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、固まった状態の油状物(458mg、90%収率)を得た。MS m/z 215.3(MH+)。
【0120】
工程4
工程3の表題化合物(400mg)を乾燥アセトニトリル(8mL)に溶解し、そして窒素下、ジオキサン中4N HCl(0.5mL)を添加した。得られた溶液をRTにて一晩撹拌し、そして形成された白色沈殿物を濾過し、真空オーブン中で乾燥させ、表題化合物(128mg、46%収率)を得た。MS m/z 115.1(MH+)。さらなる生成物が濾過によって得ることができた。
【0121】
製造10
(2S)−4,4−ジフルオロ−ピロリジン−2−カルボニトリル塩酸塩
工程1 N−tert−BOC−4,4−ジフルオロピロリジン−2−カルボニトリル
0℃のN−tert−BOC−4,4−ジフルオロピロリジン−L−プロリンアミド(250mg、1mmol)および乾燥ピリジン(97μL、1.2当量)の無水塩化メチレン溶液に、TFAA(252mg、1.2当量)の無水塩化メチレン溶液(1mL)を添加した。溶液をRTまで温め、そして36時間撹拌した。反応を飽和塩化アンモニウムを用いてクエンチし、有機層を1N HCl、飽和重炭酸ナトリウムおよびブラインで連続して洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして濃縮し、白色の半固体(252mg)を得た。MS m/z 233.1(MH+)。
【0122】
工程2
工程1の表題化合物(245mg)を乾燥アセトニトリル(10mL)に溶解し、そして4N HCl(0.5mL)を添加した。得られた溶液をRTにて5時間撹拌し、そして溶媒を除去した。残留物をEtOAc摩砕し、固体を濾過し、次いで高真空下で乾燥させ、白色固体として表題化合物(105、59%収率)を得た。MS m/z 133.2(MH+)。
【0123】
式(I)の化合物、それらの立体異性体、および化合物および立体異性体の薬学的に受容可能な塩が、以下の実施例に記載されるように製造され得る。本発明の遊離塩基化合物は、本明細書中の実施例113に開示されるような慣用の手段によってそれらの塩形態から得ることができる。
【0124】
実施例1
((2S,4S)−4−(4−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン−1−イル)ピロリジン−2−イル)−(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)−メタノンジヒドロクロリド
工程1 (2S,4S)−2−[(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)カルボニル]−4−{4−[3−(トリフルオロメチル) フェニル]ピペラジン−1−イル}ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
製造1の表題化合物(96mg、0.3mmol)、1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペラジン(70mg、0.3mmol)およびAcOH(18μL、0.3mmol)を無水1,2−ジクロロエタン(8mL)に溶解した。トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(127mg、0.6mmol)を添加した。反応系をRTにて3時間撹拌した後、反応系を飽和重炭酸ナトリウムでクエンチし、EtOAcで抽出し、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして濃縮した。粗物質をクロマトグラフィー(Biotage(R)Flash 40S、95:5ジクロロメタン:MeOH)によって精製し、白色発泡体として表題化合物(126mg、79%)を得た。MS m/z 533(MH+)。
【0125】
工程2
工程1の生成物(120mg、0.225mmol)をジオキサン(5mL)中4N HClで処理した。RTにて2時間後、混合物を乾燥状態まで濃縮し、エーテルで摩砕し、濾過し、そして真空で乾燥させ、白色固体として表題化合物(92mg)を得た。MS m/z 433(MH+)。
【0126】
適切な出発物質を使用して、本明細書中以下の表1に開示される実施例2〜112の化合物の塩酸塩を、実施例1に記載するのと類似の様式で製造した。
【表1】

【0127】
【表2】

【0128】
【表3】

【0129】
【表4】

【0130】
【表5】

【0131】
【表6】

【0132】
【表7】

【0133】
【表8】

【0134】
【表9】

【0135】
実施例113
(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)−((2S−4S)−4−(4−(ピリミジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)ピロリジン−2−イル)−メタノン
【化10】

【0136】
工程1 (S)−2−(3,3−ジフルオロ−ピロリジン−1−カルボニル)−4−オキソ−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
(S)−4−オキソ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル(6.6kg、1.0当量)を反応装置に充填し、次いでジクロロメタン(15体積)を添加した。反応混合物を0℃に冷却した。トリエチルアミン(4.82リットル、1.2当量)を30分かけて添加した。トリエチルアミンの添加が終わると、混合物は懸濁液から透明溶液に変化した。混合物を0℃〜5℃で10分間維持した。反応温度を0℃〜5℃に維持しながら、塩化ピバロイル(3.65kg、1.05当量)をゆっくりと添加した。反応混合物はスラリーに戻った。反応混合物を1時間、0℃〜5℃に維持した後、完了についてHPLC(誘導体化するためにジエチルアミンを使用する)でサンプリングした。−10℃〜0℃にて、3,3−ジフルオロピロリジン塩酸塩(4.13kg、1.0当量)を上記の混合物に10分かけて充填した。−10℃〜0℃にて、トリエチルアミン(4.0リットル、1.0当量)を70分かけてゆっくりと導入した。トリエチルアミンの添加が完了すると、混合物を0〜5℃にて1時間撹拌した。反応はHPLCアッセイ(約1%の出発物質)で完了した。反応を0℃〜5℃の水(10体積)でクエンチした。混合物を20℃〜25℃に加熱した。層を分離し、そして有機層を0.5M HCl(5体積)で洗浄した。有機層を再び5% NaHCO3(2体積)と半飽和ブライン溶液(1.64M、3体積)との組合せで洗浄した。有機溶液を低量の撹拌可能な体積(約20リットル)まで大気中で濃縮した。酢酸エチル(12.6体積、82.8リットル)を添加し、溶液を約6体積まで大気中で濃縮した。混合物を60℃〜65℃にて2時間維持し、そして3時間かけて室温まで冷却した。混合物を20℃〜25℃にて8時間維持した。ヘプタン(8体積)を添加し、混合物を最低2時間粒状化した。固体を濾過し、2:1 ヘプタン/酢酸エチル(1体積)でリンスし、そして25℃〜35℃の棚型乾燥機中で最低12時間乾燥させた。収量:7.26kg、79%。HPLC純度:99.7%。部分真空下、65℃〜70℃にて、母液(86リットル)を12リットルまで濃縮した。混合物を60℃〜65℃に冷却した。酢酸エチル(4.0リットル)を15分かけてゆっくりと添加した。混合物を2時間かけて20℃〜25℃に冷却し、そしてその温度で少なくとも2時間維持した。固体を濾過し、そしてヘプタン/酢酸エチル(3:1 v/v、1.7リットル)でリンスした。棚型乾燥機中で12時間、35℃〜45℃にて乾燥させ、生成物(435グラム)を得た。HPLC純度:96.4%。
【0137】
工程2 (2S,4S)−2−(3,3−ジフルオロ−ピロリジン−1−カルボニル)−4−(4−ピリミジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
反応装置にTHF(20体積)、2−ピペラジン−1−イル−ピリミジン(2.17kg、1.05当量)および工程1からの生成物(4.00kg、1.0当量)を充填した。全ての物質が30分かけて溶解するまで、混合物を20℃〜25℃に維持した。酢酸(0.792kg、1.05当量)を添加した。反応混合物が濁ってくるまでの間、混合物を1時間撹拌した。反応混合物を30分間還流させ、次いで系から水の除去が完了したことを示す66.9℃の安定した温度がオーバーヘッドで観察されるまで、60℃〜70℃にて濃縮した。必要な場合に、さらなるTHFを添加した。最後に、反応装置中の全量を試薬(limit reagent)の15体積となるようにTHFを添加した。反応混合物を−3℃〜7℃に冷却し、そしてHPLC(イミンを還元するためにトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムを使用する)によってイミンの完全な形成についてサンプリングした。−5℃〜15℃にてトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(5.33kg、2.0当量)を懸濁液に数滴ずつ添加した。反応混合物を20℃〜25℃に加熱し、そして12時間維持した。反応が99.8%で完了したことを、HPLC結果で確認した。重炭酸ナトリウム水溶液(10% w/w、10体積)を添加した。スラリーを部分真空下30℃〜60℃にて濃縮して、THF(10体積)を除去した。20℃〜25℃に冷却した後、酢酸エチル(10体積)を懸濁液に添加した。有機層を分離し、そして水層をHPLCでチェックした。2%未満の生成物が含まれていた。有機層を、水(5体積)、飽和ブライン溶液(5体積)で洗浄し、部分真空下、45℃〜50℃にて少量(2体積)になるまで濃縮した。スラリーに45℃〜50℃のヘプタン(10体積)を30分かけて添加した。混合物を20℃〜25℃まで冷却し、そして2時間粒状化した。固体を濾過によって回収し、ヘプタン(2体積)でリンスした。棚型乾燥機中で12時間、35℃〜45℃にて乾燥させ、生成物(5.35kg、91.3%)を得た。
【0138】
工程3 (3,3−ジフルオロ−ピロリジン−1−イル)−[(2S,4S)−4−(4−ピリミジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−ピロリジン−2−イル]−メタノン
水(19リットル、2体積)を反応装置に充填し、次いで工程2の生成物(9.57kg、1.0当量)を充填した。スラリーに20℃〜30℃の濃HCl(水中37wt%、19.1リットル、2体積)を4時間かけてゆっくりと添加した。HCl(12リットル)を添加した後、スラリーを溶液に投入した。添加が完了した後、反応系をHPLCアッセイで完了した。反応混合物を5℃〜15℃まで冷却した。pH10〜pH11にて、撹拌しながら混合物に50% NaOH水溶液をゆっくりと添加した。厳密に中性になるようにpHをpHメーターでモニターした。添加した50% NaOHの全量は、12.45リットルであった。混合物を20℃〜25℃に温め、そして酢酸エチル(それぞれ、115リットル、12体積および57リットル、6体積)で2回抽出した。2回の抽出の後、水層からのサンプルをHPLCによって分析し、そしてその水溶液中に1%の生成物のみを示した。有機層を合わせ、そして硫酸マグネシウム(5kg)で1時間処理した。混合物を濾過した。濾過ケーキを酢酸エチル(10リットル)でリンスした。スペックフリー操作のための0.2ミクロンのインラインフィルターによって、濾液を反応装置に戻した。(以下の操作は、スペックフリー条件下で行った。)部分真空下、50℃〜60℃にて溶液を20リットル(2体積)になるまで濃縮した。混合物を30分かけて20℃〜25℃まで冷却した。室温まで冷却する際、結晶が生じた。混合物を30分間維持した。ヘキサン(20リットル、2体積)を1時間かけてゆっくりと添加した。混合物を2時間粒状化した。固体生成物を濾過によって回収し、そしてヘキサン/酢酸エチル(10リットル、1:1v/v)でリンスした。フィルターを最低2時間窒素と共に乾燥させた。生成物を44℃にて12時間棚型乾燥機中で乾燥させた。収量:5.7kg、75.9%。m.p.156℃。MS m/z 367(MH+)。1H NMR(400 MHz,D2O):δ8.15(d,2H,J=5.0Hz,ピリミジンのCH),6.55(t,1H,J=4.8Hz,ピリミジンのCH),3.87−3.81(dd,1H,プロリンのH2b、回転異性(rotomeric)),3.78−3.50(m,4H,ピロリジドのN−CH2),3.55−3.40(m,4H,ピペラジンのN−CH2),2.97(dd,1H,J=10.2,6.6 Hz,プロリンのH5a),2.85−2.75(m,1H,プロリンのH4b),2.69(dd,1H,J=10.0,9.1Hz,プロリンのH5b),2.55−2.20(m,7H,ピペラジンの重複N−CH2,ピロリジンのCH2およびプロリンのH3b),1.47−1.38(m,1H,プロリンのH3a)。
【0139】
あるいは、表題化合物のジヒドロクロリド塩を実施例1の方法に従って製造した。
【0140】
実施例114
{(2S,4S)−[4−(4−ピリミジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−ピロリジン−2−イル]}−(3,3,4,4−テトラフルオロ−ピロリジン−1−イル)−メタノンジヒドロクロリド
工程1 (2S,4S)−4−(4−ピリミジン−2−イルピペラジン−1−イル)−2−[(3,3,4,4−テトラフルオロピロリジン−1−イル)カルボニル]ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
DIPEA(261mL、1.5mmol)を製造3の表題化合物(114mg、0.3mmol)、HATU(128mg、0.33mmol)および3,3,4,4−テトラフルオロピロリジン塩酸塩(54mg、0.3mmol)のジクロロメタン懸濁液(5mL)に滴下した。一晩撹拌した後、飽和重炭酸ナトリウム溶液を添加し、混合物をジクロロメタンで抽出し、抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、そして濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(Biotage(R)Flash 40S、EtOAc)によって精製し、表題化合物を得た。MS m/z 503(MH+)。
【0141】
工程2
工程1の生成物のEtOAc/MeOH溶液をジオキサン(約5mL)中4M HClで処理した。18時間後、溶媒を除去し、そして残留物をアセトニトリルに取り上げ、そして濃縮した。固体をヘキサン中に取り上げ、濾過し、そして乾燥させ、表題化合物(50mg、33%、2工程)を得た。MS m/z 403(MH+)。
【0142】
適切な出発物質を使用して、表2に開示される実施例115〜122の化合物の塩酸塩を、実施例114に記載されるのと類似の様式で製造した。
【表10】

【0143】
実施例124
(2S,3R,4S)−4−(4−(3−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)−3−メチルピロリジン−2−イル)(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)メタノンジヒドロクロリド
工程1
製造1の表題化合物(5.6g、20mmol)を4Åモレキュラーシーブ(7.9g)を含むベンゼン(50mL)に溶解し、そしてピロリジン(2.0mL、24mmol)で処理した。溶液を濾過し、そして乾燥状態まで濃縮し、オレンジ色の発泡体(7.0g、100%収率)を残した。
【0144】
工程2
工程1の生成物(7.0g、20mmol)のアセトニトリル溶液(100mL)を破砕した炭酸カリウム(5.2g、38mmol)に添加し、ヨウ化メチル(1.5mL、24mmol)で処理した。混合物を90℃まで16時間加熱し、RTまで冷却し、そして濃縮した。残留物をクロロホルム(150mL)に取り上げ、そしてAcOH(5mL)および水(45mL)の混合物を添加した。RTにて3時間後、層を分離し、水層をクロロホルム(3×25mL)で抽出し、そして合わせた有機層を飽和重炭酸ナトリウム(2×25mL)およびブラインで洗浄し、そして茶色の油状物まで濃縮した。油状物をエーテル(75mL)に溶解し、濾過し、そして薄茶色の固体になるまで濃縮した(0.97g、16%収率)。
【0145】
工程3
MeOH(1mL)中の工程2の生成物(74mg、0.25mmol)、1−(3−トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル−ピペラジン(63mg、0.28mmol)、AcOH(16μL)および酢酸ナトリウム(23mg、0.28mmol)の混合物に、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(21mg、0.28mmol)を添加した。混合物をRTにて65時間撹拌し、次いで濃縮した。残留物をEtOAc(20mL)に取り上げ、そして溶液を1N水酸化ナトリウム(2×3mL)およびブライン(5mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、そして乾燥状態まで濃縮した。残留物を分取用HPLC(Shimadzu、Columbia、MD;30×50cm Waters−Xterra(R)C18カラム−Waters Instrument Co.,Milford,MA;0.1%水酸化アンモニウムを含む15%アセトニトリルの30mL/分勾配、10分間)によって精製し、無色の固体(35.7mg、26%収率)を得た。
【0146】
工程4
ジオキサン(0.5mL)中HCl(4M)を、工程3の生成物(35mg、0.064mmol)のアセトニトリル溶液(1mL)に添加した。16時間後、混合物を乾燥状態まで濃縮し、そして残留物をエーテル(2mL)で摩砕した。表題化合物を固体として得た(32mg、96%収率)。MS m/z 448.4(MH+)。
【0147】
適切な出発物質を使用して、本明細書中以下の表3に開示される実施例125〜127の化合物の塩酸塩を、実施例124に記載されるのと類似の様式で製造した。
【表11】

【0148】
実施例128
(2,4−ジフルオロ−フェニル)−(4−[(3S,5S)−5−(3,3−ジフルオロ−ピロリジン−1−カルボニル)−ピロリジン−3−イル)−ピペラジン−1−イル)−メタノンジヒドロクロリド
工程1 (2S,4S)−4−[4−(2,4−ジフルオロ−ベンゾイル)−ピペラジン−1−イル]−2−(3,3−ジフルオロ−ピロリジン−1−カルボニル)−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
製造7の表題化合物(97mg、0.25mmol)、2,4−ジフルオロ安息香酸(40mg、0.25mmol)およびHATU(95mg、0.3mmol)を窒素下、無水塩化メチレン中で混合し、そして氷浴中0℃まで冷却し、DIEA(32mg、45μL、0.3mmol)を添加した。反応混合物をRTまで温め、そして一晩撹拌した。反応系を飽和重炭酸ナトリウムでクエンチし、そして水層を塩化メチレンで抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。塩化メチレン:MeOH(95:5)を使用するフラッシュクロマトグラフィーによって粗生成物を精製し、白色粉末として最終生成物(132mg、100%)を得た。MS m/z 529.4(MH+)。
【0149】
工程2 工程1の生成物(120mg)のアセトニトリル溶液をジオキサン(1mL)中4N HClで処理した。反応系をRTにて一晩撹拌し、そしてエバポレートした。残留物を水に溶解し、濾過し、そして一晩凍結乾燥させ、白色粉末として表題化合物(110mg、96%)を得た。MS m/z 429.2(MH+)。
【0150】
適切な出発物質を使用して、表4に開示される実施例129〜133の化合物の塩酸塩を、実施例128に記載されるのと類似の様式で製造した。
【表12】

【0151】
生物学的方法論
本明細書中上に列挙された哺乳動物の症状の治療または予防における、式(I)の化合物、それらのプロドラッグおよび立体異性体、ならびに化合物、プロドラッグおよび立体異性体の薬学的に受容可能な塩の有用性は、当業者に公知の慣用的なアッセイ(以下に記載されるインビボおよびインビトロアッセイを含む)において実証され得る。このようなアッセイはまた、式(I)の化合物、それらのプロドラッグおよび立体異性体、ならびに化合物、プロドラッグおよび立体異性体の薬学的に受容可能な塩の活性を、他の化合物の活性と比較し得る手段を提供する。
【0152】
DPP−IV阻害に関するインビトロアッセイ
DPP−IV阻害は、Scharpe,et al.,A.Clin.Chem.,2299(1988)およびLodja,Z.Czechoslovak Medicine,181(1988)の方法から改変される以下のアッセイによってインビトロで実証され得る。酵素基質溶液(150μL)を、ポリスチレン96ウェルプレートのマイクロタイターウェルにピペット注入し、そして4℃に維持する。酵素基質溶液は、0.1Mの塩化ナトリウム、0.1%(v/v)Tritonおよび50μU/mL DPP−IV(MP Biomedicals、Livermore、CA;DPP−IV 5mU/mLストック)を含む50mMのTrisアッセイ緩衝液(pH7.3)中の50μMのGly−Pro−4−メトキシ−β−ナフチルアミド塩酸塩を含む。式(I)の化合物(5μL/ウェル)を添加し、式(I)の化合物の最終濃度を、1ウェル当り3μM〜10nMにする。
【0153】
対照
試薬ブランクとして、4つのウェルから酵素を除去する。3mMのDiprotin A(5μL)(Bachem Bioscience,Inc.;King of Prussia,PA)を正の性質対照として4つのウェルに添加し、100μMの最終Diprotin A濃度を得る。式(I)の任意の化合物に影響することなく、全酵素活性(即ち、負の対照)を測定するために、蒸留水(5μL)を4つのウェルに添加する。
【0154】
全アッセイを、37℃で一晩(約14〜18時間)インキュベーションする。Fast Blue B溶液(10μL)(0.1Mの酢酸ナトリウム(pH4.2)および10%(v/v)のTriton X−100を含有する緩衝液中Fast Blue B 0.5mg/mL)を各ウェルに添加することにより、反応をクエンチし、次いで室温にて約5分間振とうする。Spectramax分光光度計(Molecular Devices;Sunnyvale,CA)または同等の装置で、プレートを分析し得る(525nmでの吸収最大)。10nM〜3μMの化合物濃度の範囲にわたってDPP−IV活性を測定することにより、化合物のIC50データを得ることができる。
【0155】
ブドウ糖低下に関するインビボアッセイ
式(I)の化合物を含むDPP−IVインヒビターの血糖低下作用を、経口ブドウ糖負荷試験において4〜6週齢KK/H1Jマウス(Jackson Labs;Bar Harbor,ME)で示し得る。
【0156】
経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)は、Pincus,et al.,Am.J.Med.Sci.,782(1934)によって記載されるようにヒトにおいて、少なくとも1930年代から使用されており、ヒト糖尿病を診断する際に日常的に使用されているが、患者における治療薬の効果を評価するためには使用されていない。
【0157】
KKマウスを使用して、以下を評価する:(i)グリタゾン(Fujita et al.Diabetes,804(1983);Fujiwara et al.Diabetes,1549(1988);およびIzumi,et al.Biopharm Durg.Dispos.,247(1997));(ii)メトホルミン(Reddi,et al.Diabet.Metabl.,44(1993));(iii)グルコシダーゼインヒビター(Hamada,et al.Jap.Pharmacol.Ther.17(1988);およびMatsuo,et al.Am.J.Clin.Nutr.,314S(1992));および(iv)スルホニル尿素の膵臓外効果(Kameda,et al.Arzenim.Forsch./Drug Res.,39044(1982)およびMuller et al.Horm.Metabl.Res.,469(1990))。
【0158】
KKマウスは、Kondo,et al.,Bull.Exp.Anim.,107(1957))により初めて確立され記載された近交系に由来する。これらのマウスは、多遺伝子性糖尿病の遺伝性形態を自然に発症し、これは、進行して、ヒト糖尿病対象で見られるものと同様の腎臓、網膜および神経系の合併症を誘発するが、このマウスは、生存のためのインスリンまたは他の薬物を必要としない。
【0159】
本発明の別の局面は、経口ブドウ糖負荷試験において、インスリン分泌促進薬の効果を評価するためのKKマウスの使用に関する。マウスを一晩(約14〜約18時間)絶食するが、水は自由に摂取させる。絶食後(時間「t」=0)、血液(25μL)を、眼窩後方の洞から採取し、そして氷の上の0.025%ヘパリン処理生理食塩水(100μL)に添加する。次いで、マウス(1群あたり10匹)に、式(I)の化合物の0.5%のメチルセルロース溶液(0.2mL/マウス)を経口投薬する。2つの対照群には、0.5%のメチルセルロースのみを与える。t=15分の時点で、マウスから上記のように採血し、次いで、蒸留水中の1mg/kgグルコースを投薬する(0.2mL/マウス)。第1の対照群には、グルコースを投薬する。第2の対照群には、水を投薬する。t=45分の時点で、マウスから上記のように再び採血する。血液サンプルを遠心分離し、血漿を回収し、Roche−Hitachi 912グルコース分析器(Roche Diagnostics Corp.;Indianapolis,IN)でグルコース含有量について分析する。データは、2つの対照群に対するグルコース可動域の阻害パーセント(%)として示し得る(すなわち、グルコースを受けたが、試験化合物を受けていない動物におけるグルコースレベルは、阻害0%を示し、そして水のみを受けた動物におけるグルコース濃度は、阻害100%を示す)。
【0160】
式(I)の化合物は、阻害活性をおおむね示し、<1,000nMであるDPP−IVに対するIC50として表される。おおむね好ましい化合物は<100nMのIC50を有する。例えば、((2S,4S)−4−(4−(3−シアノピラジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)ピロリジン−2−イル)−((3R*,4S*)−3,4−ジフルオロピロリジン−1−イル)−メタノンジヒドロクロリドは、3.5nMのIC50を有する。
【0161】
比較ラット薬物動態学的実験
ラット薬物動態学的実験を行って、国際出願WO 02/14271に一般に開示される構造的に類似した先行技術の化合物と比較して、本発明の化合物についての長期にわたって維持される血漿濃度の改善を実証した。特に、長期にわたる血漿濃度を、(a)(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)−((2S,4S)−4−(4−(ピリミジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)ピロリジン−2−イル)−メタノンのジヒドリクロリド塩(本明細書以下「CPD 113」)(実施例113に記載されるように製造した)および(b)比較のための((2S,4S)−4−(4−(ピリミジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)ピロリジン−2−イル)(ピロリジン−1−イル)メタノンのジヒドロクロリド塩(本明細書以下「比較物(comparator)」)(実施例1またはWO02/14271に一般に記載される方法に従って製造し得る)を投与したラットについて測定した。
【0162】
この実験において、頚静脈カニューラ(JVC)を移植した雄のSprague−Dawleyラット(200〜250グラム)を、Charles River Laboratoriesから入手した。各化合物を2匹のラットに経口強制飼養によって投与した。経口用量は、10mL/kgの用量を含む0.5%メチルセルロース溶液として投与した。投与される各化合物の量は、5mg/体重kgであった。血液サンプル(0.25mL)を0〜24時間の複数の時点で回収し、そしてリチウムヘパリン(Becton Dickinson,Microtainer(R))を含むチューブに入れた。次いで、血液サンプルを12000rpmで10分間遠心分離した。血漿アリコートを化合物血漿濃度の決定のために取り出した(薬物動態分析)。血漿サンプルを分析するまで−70℃に凍結した。
【0163】
ラットの血漿サンプルをLC/MS/MS(Applied Biosystems API 4000質量分析計)によって化合物濃度について分析した。要するに、化合物標準曲線を1.0〜2000ng/mLのダイナミックレンジを用いて対照ラット血漿を作成した。標準およびサンプルの両方のアリコート(0.02mL)を96ウェルブロック中のMarshTMチューブに入れた。0.1μg/mLの内部標準を含むアセトニトリル(0.1mL)の添加によってタンパク質を沈殿させた。96ウェルブロックを渦混合し、次いで3000rpmで5分間遠心分離した。得られた上清を除去し、そして新しい96ウェルブロックに入れ、そして窒素ストリーム下、50℃にて乾燥状態にした。残留物を移動層中で再構成した(60% 5mM 酢酸アンモニウムおよび40% アセトニトリル)。次いで、アリコート(0.01mL)を分析のためにLC/MS/MSに注入した。
【0164】
測定された平均血漿濃度を、以下の表に提供する。
【表13】

【0165】
それらのそれぞれの(despective)血漿濃度によって示されるように、CPD113は比較化合物よりも有意に高い血漿濃度に達成し、そして維持した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

〔R1が、−(C1−C6)アルキル、−(C1−C6)アルコキシ、−(Cl−C6)アリールアルキル、−NRab、ヒドロキシ、シアノ、アリールまたはヘテロアリールであり、ここで、該−(C1−C6)アルキル、該アリールまたは該ヘテロアリールは、場合によって、1〜3個の以下:−COOH、−C(O)(C1−C6)アルコキシ、−C(O)(C1−C6)アルキル、−C(O)NRab、シアノ、ハロゲン、ニトロ、トリフルオロメチル、−(C1−C6)アルキル、−(C1−C6)アルコキシ、−(C3−C6)シクロアルキルまたはフェニルで独立して置換され、ここで:
aおよびRbが独立して、水素、−(C1−C6)アルキル、アリールまたはヘテロアリールであるか、または
aおよびRbが、それらが結合する窒素原子と一緒になって、4〜6員の複素環式環を形成し、ここで該環は、場合によって、さらに1〜2個の窒素、酸素または硫黄環ヘテロ原子を組み込み;
2およびR3が、独立して、水素、ハロゲン、−(C1−C6)アルキルまたは−(C3−C8)シクロアルキルであり;
Qが、共有結合、−C(O)−または−SO2−であり;
HETが、場合によって(A)1〜6個のハロゲン原子、−(C1−C6)アルコキシ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシもしくは−NRabで場合によって置換されている1〜4個の−(C1−C6)アルキルまたは(B)1〜6個のハロゲン原子、−(C1−C6)アルコキシ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシもしくは−NRabで場合によって置換されている−(C1−C6)アリールアルキルで置換されている、ヘテロシクロアルキル環部分であり;
nが0または1であり;
nが0である場合、Xが−CH2−であり、かつYが−CH2−、−CHF−または−CF2−であるか;
またはnが1である場合、Xが−CH2−、−CHF−または−CF2−であり;かつYが−CH2−、−CHF−または−CF2−であるが、但しXおよびYの両方が−CH2−でなく;そして
Zが水素またはシアノである〕
の化合物もしくはそれらのプロドラッグ、または該化合物もしくはプロドラッグの薬学的に受容可能な塩、または該化合物、プロドラッグもしくは塩の溶媒和物。
【請求項2】
1が、1〜3個のシアノ、ハロゲン、ニトロ、トリフルオロメチル、−(C1−C6)アルキル、−(C1−C6)アルコキシ、−(C3−C6)シクロアルキルまたはフェニルで場合によって独立して置換されている、アリールまたはヘテロアリールであり;
2が−Hまたは−(C1−C6)アルキルであり;
3が−Hまたは−(C1−C6)アルキルであり;そして
HETが、アゼチジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、5,6−ジヒドロ−8H−イミダゾ[1,2−a]ピラジン−7−イル、5,6−ジヒドロ−8H−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−7−イルまたは7,8−ジヒドロ−5H−ピリド[4,3−a]ピリミジン−6−イルである、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
1が、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾロピリジル、ピラジニル、ピリジニル、ピリミジニル、キノリニル、キノキサリニル、チアジアゾリル、トリアジニルまたは1,1−ジオキソ−1H−1,2−ベンゾイソチアゾリルであり;
2およびR3が−Hであり;
Qが共有結合であり;そして
HETがピペラジニルである、
請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
1がピリジニルまたはピリミジニルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
nが1であり、Xが−CF2−であり、かつYが−CH2−である、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
以下:
((2S,4S)−4−(3−(トリフルオロメチル)−5,6−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−7(8H)−イル)ピロリジン−2−イル)−(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)−メタノン、
(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)−((2S,4S)−4−(4−(オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)ピロリジン−2−イル)−メタノン、
(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)−((2S,4S)−4−(4−(4−メチルピリミジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)ピロリジン−2−イル)−メタノン、
((2S,4S)−4−(2−(トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−6(5H)−イル)ピロリジン−2−イル)−(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)−メタノン、
((S)−3−フルオロ−ピロリジン−1−イル)−{(2S,4S)−4−[4−(3−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−ピペラジン−1−イル]−ピロリジン−2−イル}−メタノン、
((S)−3−フルオロ−ピロリジン−1−イル)−[(2S,4S)−4−(2−トリフルオロメチル−7,8−ジヒドロ−5H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−6−イル)−ピロリジン−2−イル]−メタノン、
(3,3−ジフルオロ−ピロリジン−1−イル)−[(2S,4S)−4−(4−オキサゾロ[4,5−c]ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−ピロリジン−2−イル]−メタノン、
[(2S,4S)−4−(2−シクロプロピル−7,8−ジヒドロ−5H−ピリド[4,3d]ピリミジン−6−イル)−ピロリジン−2−イル]−(3−フルオロ−アゼチジン−1−イル)−メタノン、
(3,3−ジフルオロ−ピロリジン−1−イル)−[(2S,4S)−4−(2−エトキシ−7,8−ジヒドロ−5H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−6−イル)−ピロリジン−2−イル]−メタノン、
2−{4−[(3S,5S)−5−(3−フルオロ−アゼチジン−1−カルボニル)−ピロリジン−3−イル]−ピペラジン−1−イル}−ニコチノニトリル、
((S)−3−フルオロ−ピロリジン−1−イル)−[(2S,4S)−4−(4−オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−ピロリジン−2−イル]−メタノン、
(3−フルオロ−アゼチジン−1−イル)−[(2S,4S)−4−(2−トリフルオロメチル−7,8−ジヒドロ−5H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−6−イル)ピロリジン−2−イル]−メタノン、
2−(4−[(3S,5S)−5−((S)−3−フルオロ−ピロリジン−1−カルボニル)−ピロリジン−3−イル]−ピペラジン−1−イル)−ニコチノニトリル、
(3−フルオロ−アゼチジン−1−イル)−{(2S,4S)−4−[4−(2−トリフルオロメチル−キノリン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−ピロリジン−2−イル}−メタノン、
((3R*,4S*)−3,4−ジフルオロ−ピロリジン−1−イル)−[(2S,4S)−4−(2−トリフルオロメチル−7,8−ジヒドロ−5H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−6−イル)−ピロリジン−2−イル]−メタノンおよび
((3R*,4S*)−3,4−ジフルオロ−ピロリジン−1−イル)−[(2S,4S)−4−(4−オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−ピロリジン−2−イル]−メタノン;
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物もしくはそれらのプロドラッグ、または該化合物もしくは該プロドラッグの薬学的に受容可能な塩。
【請求項7】
(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)−((2S,4S)−4−(4−(ピリミジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)ピロリジン−2−イル)メタノン、それらのプロドラッグ、またはそれらの薬学的に受容可能な塩、または該プロドラッグの薬学的に受容可能な塩。
【請求項8】
治療に使用するための、請求項1〜5または7に記載の化合物もしくはそれらのプロドラッグ、該化合物もしくはプロドラッグの薬学的に受容可能な塩、または該化合物、プロドラッグもしくは塩の溶媒和物。
【請求項9】
(a)請求項1〜5または7に記載の化合物もしくはそれらのプロドラッグ、該化合物もしくはプロドラッグの薬学的に受容可能な塩、または該化合物、プロドラッグもしくは塩の溶媒和物;および
(b)薬学的に受容可能な担体、ビヒクル、希釈剤または賦形剤
を含有する、医薬組成物。
【請求項10】
哺乳動物におけるジペプチジルペプチダーゼIVの阻害方法であって、このような治療が必要な該哺乳動物に、治療有効量の請求項1〜5または7に記載の化合物もしくはそれらのプロドラッグ、該化合物もしくはプロドラッグの薬学的に受容可能な塩、または該化合物、プロドラッグもしくは塩の溶媒和物を投与することを包含する、上記方法。
【請求項11】
哺乳動物におけるジペプチジルペプチダーゼIVによって媒介される症状の治療方法であって、このような治療が必要な該哺乳動物に、治療有効量の請求項1〜5または7に記載の化合物もしくはそれらのプロドラッグ、該化合物もしくはプロドラッグの薬学的に受容可能な塩、または該化合物、プロドラッグもしくは塩の溶媒和物を投与することを包含する、上記方法。
【請求項12】
治療する症状が、2型糖尿病、1型糖尿病、耐糖能異常、高血糖症、代謝症候群(X症候群および/またはインスリン抵抗症候群)、糖尿、代謝性アシドーシス、関節炎、白内障、糖尿病性神経障害、糖尿病性ネフロパシー、糖尿病性網膜症、糖尿病性心筋症、肥満症、肥満症によって悪化する症状、高血圧症、高脂質血症、アテローム性動脈硬化症、骨粗鬆症、骨減少症、脆弱化、骨損失、骨折、急性冠症候群、成長ホルモン欠損症に起因する小人症、多嚢胞性卵巣症候群に起因する不妊症、不安、うつ病、不眠症、慢性疲労、てんかん、摂食障害、慢性疼痛、アルコール依存症、腸運動に関連する疾患、潰瘍、過敏性腸症候群、炎症性腸症候群;短小腸症候群;および2型糖尿病における疾患の進行の防止である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
治療する症状が2型糖尿病である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
糖尿病を治療する方法であって、このような治療が必要な哺乳動物に、治療有効量の請求項1〜5または7に記載の化合物もしくはそれらのプロドラッグ、該化合物もしくはプロドラッグの薬学的に受容可能な塩、または該化合物、プロドラッグもしくは塩の溶媒和物を投与することを包含する、上記方法。

【公表番号】特表2007−537231(P2007−537231A)
【公表日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−512552(P2007−512552)
【出願日】平成17年4月29日(2005.4.29)
【国際出願番号】PCT/IB2005/001194
【国際公開番号】WO2005/116014
【国際公開日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】