説明

ハイインピーダンス検出方法

【課題】トランジスタを含むアナログ回路シミュレーションにおいて、シミュレーション回路を変更することなく回路中の貫通電流を検知できるハイインピーダンス検出方法を提供することを目的とする。
【解決手段】回路中の全ノードに対し、ハイインピーダンス状態になる条件が存在するかどうかを解析する工程を有する。また回路中の全ノードに対し、ハイインピーダンス状態により貫通電流が生じる条件が存在するかどうか解析する工程を有する。またハイインピーダンス状態になる条件と、ハイインピーダンス状態により貫通電流が生じる条件がシミュレーション実行中に成立するかどうかを検出する工程を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はMOSトランジスタを含む回路のハイインピーダンス検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LSIの集積技術の進歩により、MOSトランジスタを集積したアナログ回路のLSIが開発されている。このようなLSIを開発する過程において、実際にLSIを製造する前に電算機上で動作を確認する必要がある。そのため、SPICE(Simulation Program with Integrated Circuit Emphasis)に代表されるような回路シミュレータにて回路動作をシミュレーションしている。しかしながら、回路シミュレータにはハイインピーダンス状態を正確に扱えないという課題が存在する。その例を図29のMOSトランジスタで構成されたインバータ回路を例に説明する。
【0003】
図29において1,2はMOSトランジスタであり、1はゲート電位がある閾値電位(Vtl)より低い場合にオンとなるP型MOSトランジスタであり、2はゲート電位がある閾値電位(Vth)より高い場合にオンとなるN型MOSトランジスタである。インバータへの入力がVtlより低い場合、P型MOSトランジスタ1がオン、N型MOSトランジスタ2がオフとなり、インバータの出力は“H”(≒VDD)となる。反対にインバータへの入力がVthより高い場合、N型MOSトランジスタ2がオン、P型MOSトランジスタ1がオフとなり、インバータの出力は“L”(≒VSS)となる。
【0004】
インバータへの入力がハイインピーダンスの場合について説明する。ハイインピーダンス状態とは、電圧が印加されていない状態を指す。このような状態では、電荷のリークや外部ノイズの影響により、ハイインピーダンスノードの電位がVDD−VSSの中間電位になる事がある。その場合、P型MOSトランジスタ1とN型MOSトランジスタ2が共にオンとなり、VDDからVSSに向かって貫通電流が生じる。このような状態が長時間にわたって続くことは、貫通電流により過剰な消費電力を費やしたり、場合によっては素子を破壊する恐れがあるため、回路を設計する上で注意が必要である。
【0005】
しかしながら回路シミュレータでは、ハイインピーダンス状態での電荷リークや外部ノイズの影響を考慮できないため、ハイインピーダンスノードの電位は中間電位になるとは限らない。そのためハイインピーダンス状態による貫通電流を表現することができない。
【0006】
そこで(特許文献1)では、シミュレーション回路に抵抗素子を挿入することで、この貫通電流を検知する方法が提案されている。その概要を図30に示す。
図30において1,2は図29のインバータを構成するMOSトランジスタと同じであり、3はプルアップ抵抗、4はプルダウン抵抗である。3,4は実際の回路への影響を低減させるため、高抵抗に設定されている。インバータの入力がハイインピーダンスの場合、プルアップ抵抗3とプルダウン抵抗4の影響により、MOSトランジスタ1,2のゲート電位が中間電位に引きずられ、結果としてMOSトランジスタ1,2が共にオンとなり、VDDからVSSに向かって貫通電流を生じさせることができる。この貫通電流をシミュレーション時に観測することで、ハイインピーダンスによる貫通電流が生じるか否かを検知することができる。
【特許文献1】特開2003−296389公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記プルアップ−プルダウン抵抗を挿入する方法は、解析対象回路が図30のMOSトランジスタ1,2のように対称構造の場合には有効な手段ではあるが、アナログMOS回路のようにその構造が複雑な場合、適用できない場合が存在する。その例として図31の回路を用いて説明する。
【0008】
図31において1〜4は図30の回路構成と同じである。5はMOSトランジスタであり、現在オンの状態であると仮定する。プルアップ−プルダウン抵抗を挿入する方法では、MOSトランジスタ1,2のゲート入力がハイインピーダンスの場合、プルアップ抵抗3,4により、ハイインピーダンスノードの電位が1/2(VDD−VSS)に引きずられる。この際、MOSトランジスタ1,2が同時にオンになれば貫通電流が流れるのだが、MOSトランジスタ5の影響によりMOSトランジスタ1,2を同時にオンとするゲート電位は1/2(VDD−VSS)から幾らかずれる場合が存在する。これらのように回路構造が非対称な場合、貫通電流を生じさせるためのプルアップ−プルダウン抵抗を一様に決定することができない。またアナログMOS回路では微小な抵抗の変化で回路特性が変化する場合があり、実際の回路動作に影響を与えないような抵抗を挿入することは困難である。また前記プルアップ−プルダウン抵抗を挿入する方法では、ハイインピーダンスの有無を設計者自身がシミュレーション実行時に電流観測する必要があり、問題の箇所がその観測対象から漏れている場合、ハイインピーダンスを検知することができないという課題が存在する。
【0009】
本発明は上記課題を解決するもので、シミュレーション回路に抵抗を挿入することなく、ハイインピーダンスによるMOSトランジスタの貫通電流が生じるか否かを、より迅速に自動的に検知する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するために、本発明のハイインピーダンス検出方法は、回路中の全ノードに対し、ハイインピーダンス状態になる条件が存在するかどうかを解析する工程を有する。また回路中の全ノードに対し、ハイインピーダンス状態により貫通電流が生じる条件が存在するかどうか解析する工程を有する。また前記ハイインピーダンス状態になる条件と、ハイインピーダンス状態により貫通電流が生じる条件がシミュレーション実行中に成立するかどうかを検出する工程を有する。
【0011】
本発明の請求項1記載のハイインピーダンス検出方法は、解析対象回路中のノードがハイインピーダンスになることで貫通電流が生じる条件を抽出する貫通電流条件抽出工程を実行し、この貫通電流条件抽出工程によって貫通電流が生じる条件が存在すると判定された特定のノードと貫通電流が生じる条件が存在しないと判定されたその他のノードのうち、前記特定ノードに対してハイインピーダンス状態を検出するハイインピーダンス条件抽出工程を実行することを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項2記載のハイインピーダンス検出方法は、解析対象回路中のあるノードにゲート端子が繋がる対象MOSトランジスタをすべてオンとして扱って、前記対象MOSトランジスタのソース端子及びドレーン端子を起点として第1の電源電位,第2の電源電位に向けパス探索するパス探索工程と、前記パス探索工程においてパス中のMOSトランジスタのゲート端子からドレーン端子、或いはドレーン端子からゲート端子へのパスが導通しているとして扱って、前記パス探索した結果から第1の電源電位へのパスが導通しかつ第2の電源電位へのパスが導通するパス中のMOSトランジスタのオン/オフ条件を貫通電流が生じる条件として抽出する工程を有することを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項3記載のハイインピーダンス検出方法は、請求項2において、前記パス探索工程では、第1の電源電位,第2の電源電位に向けパス探索するとともに、外部接続端子へのパスを探索し、前記外部接続端子の状態を第1の電源電位,第2の電源電位の状態ごとに場合分けし、前記外部接続端子の状態も含め、第1の電源電位へのパスが導通しかつ第2の電源電位へのパスが導通するパス中のMOSトランジスタのオン/オフ条件を貫通電流が生じる条件として抽出することを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項4記載のハイインピーダンス検出方法は、請求項2において、前記パス探索工程では、同一MOSトランジスタのゲート端子がソース端子またはドレーン端子に接続しているMOSトランジスタを抵抗素子に置き換えてパス探索することを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項5記載のハイインピーダンス検出方法は、請求項2において、前記パス探索工程では、同一MOSトランジスタのゲート端子がソース端子またはドレーン端子に接続しているMOSトランジスタを抵抗素子に置き換えて、パス中の抵抗素子を開放としてパス探索することを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項6記載のハイインピーダンス検出方法は、請求項2において、前記パス探索工程では、同一MOSトランジスタのゲート端子がソース端子またはドレーン端子に接続しているMOSトランジスタを抵抗素子に置き換えて、パス中の抵抗素子をその抵抗素子の抵抗値によって開放として扱うか、導通として扱うかを判断してパス探索することを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項7記載のハイインピーダンス検出方法は、請求項2において、前記パス探索工程では、パス中のコイル素子を導通としてパス探索することを特徴とする。
本発明の請求項8記載のハイインピーダンス検出方法は、請求項2において、前記パス探索工程では、パス中のコンデンサ素子を開放としてパス探索することを特徴とする。
【0018】
本発明の請求項9記載のハイインピーダンス検出方法は、請求項2において、前記パス探索工程では、複数のMOSトランジスタのゲート端子が同一ノードに接続している場合、それらのMOSトランジスタをどれか一つのトランジスタで表現してパス探索することを特徴とする。
【0019】
本発明の請求項10記載のハイインピーダンス検出方法は、請求項2において、前記パス探索工程では、パス中のダイオード素子のオン/オフをパス探索の方向とダイオード素子の接続方向の関係から導通または開放を決定してパス探索することを特徴とする。
【0020】
本発明の請求項11記載のハイインピーダンス検出方法は、請求項1において、解析対象回路中のノードにゲート端子が繋がるMOSトランジスタが存在しない場合には、そのノードを前記その他のノードと扱ってハイインピーダンス検出処理を行わないことを特徴とする。
【0021】
本発明の請求項12記載のハイインピーダンス検出方法は、解析対象回路中のあるノードを起点として第1の電源電位,第2の電源電位に向けパス探索するパス探索工程と、前記パス探索工程においてパス中のMOSトランジスタのゲート端子からドレーン端子、或いはドレーン端子からゲート端子へのパスが導通しているとして扱って、前記パス探索した結果から第1の電源電位へのパスが遮断し、かつ第2の電源電位へのパスが遮断するパス中のMOSトランジスタのオン/オフ条件をハイインピーダンスが生じる条件として抽出するハイインピーダンス条件抽出工程と、前記ハイインピーダンス条件抽出工程により抽出したハイインピーダンスが生じる条件がシミュレーション実行中に成立するかどうか監視し、成立した場合にハイインピーダンスを検知したとして警告を発する回路シミュレーション実行処理工程とを有することを特徴とする。
【0022】
本発明の請求項13記載のハイインピーダンス検出方法は、請求項12において、解析対象回路中のあるノードにゲート端子が繋がる対象MOSトランジスタをすべてオンとして扱って、前記対象MOSトランジスタのソース端子及びドレーン端子を起点として第1の電源電位,第2の電源電位に向けパス探索するパス探索工程と、前記パス探索工程においてパス中のMOSトランジスタのゲート端子からドレーン端子、或いはドレーン端子からゲート端子へのパスが導通しているとして扱って、前記パス探索した結果から第1の電源電位へのパスが導通しかつ第2の電源電位へのパスが導通するパス中のMOSトランジスタのオン/オフ条件を貫通電流が生じる条件として抽出する工程を有し、前記回路シミュレーション実行処理工程では、第1の電源電位へのパスが導通しかつ第2の電源電位へのパスが導通するパス中のMOSトランジスタのオン/オフ条件を貫通電流が生じる前記条件が成立し、かつハイインピーダンスが生じる条件が成立した場合にハイインピーダンスを検知したとして警告を発することを特徴とする。
【0023】
本発明の請求項14記載のハイインピーダンス検出方法は、請求項12において、前記パス探索工程では、第1の電源電位,第2の電源電位に向けパス探索するとともに、外部接続端子へのパスを探索し、前記外部接続端子の状態を浮いているか浮いていないかに場合分けし、第1の電源電位へのパスが遮断し、かつ第2の電源電位へのパスが遮断するパス中のMOSトランジスタのオン/オフ条件をハイインピーダンスが生じる条件として抽出することを特徴とする。
【0024】
本発明の請求項15記載のハイインピーダンス検出方法は、請求項12において、パス探索工程では、同一MOSトランジスタのゲート端子がソース端子またはドレーン端子に接続しているMOSトランジスタを抵抗素子に置き換えてパス探索することを特徴とする。
【0025】
本発明の請求項16記載のハイインピーダンス検出方法は、請求項12において、前記パス探索工程では、同一MOSトランジスタのゲート端子がソース端子またはドレーン端子に接続しているMOSトランジスタを抵抗素子に置き換えて、パス中の抵抗素子を導通としてパス探索することを特徴とする。
【0026】
本発明の請求項17記載のハイインピーダンス検出方法は、請求項12において、前記パス探索工程では、パス中のコイル素子を導通としてパス探索することを特徴とする。
本発明の請求項18記載のハイインピーダンス検出方法は、請求項12において、前記パス探索工程では、パス中のコンデンサ素子を開放としてパス探索することを特徴とする。
【0027】
本発明の請求項19記載のハイインピーダンス検出方法は、請求項12において、前記パス探索工程では、複数のMOSトランジスタのゲート端子が同一ノードに接続している場合、それらのMOSトランジスタをどれか一つのトランジスタで表現してパス探索することを特徴とする。
【0028】
本発明の請求項20記載のハイインピーダンス検出方法は、請求項12において、前記パス探索工程では、パス中のダイオード素子のオン/オフをパス探索の方向とダイオード素子の接続方向の関係から決定してパス探索することを特徴とする。
【0029】
本発明の請求項21記載のハイインピーダンス検出方法は、請求項12において、前記回路シミュレーション実行処理工程を、ハイインピーダンスが生じる条件がシミュレーション実行中に成立するかどうか監視するのに代わって、シミュレーション実行中には前記監視は行わずに各ノードの遷移情報を記録し、シミュレーション終了後に前記ハイインピーダンスが生じる条件と前記各ノードの遷移情報からシミュレーション実行中にハイインピーダンスが生じる条件が成立したかどうかを判断して、ハイインピーダンスが生じる条件が成立していた場合に警告を発することを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
この構成によると、MOSトランジスタを含む回路シミュレーションにおいて、ハイインピーダンス状態になる条件が存在するかどうかを解析する工程と、前記工程により得られたハイインピーダンス状態になる条件がシミュレーション実行中に成立するかどうかを検出する工程により、シミュレーションの回路構成を変更することなく、ハイインピーダンス状態を自動的に検知することができる。またハイインピーダンス状態により貫通電流が生じる条件が存在するかどうかを解析する工程と、前記工程により得られた貫通電流が生じる条件が存在するノードに対してのみハイインピーダンス状態を検出することで、擬似エラーの無い、実際に貫通電流を生じさせるハイインピーダンス状態のみを効率的に検出することができ、貫通電流の無い高品質のLSIの開発に寄与できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
(第1の実施形態)
図1は本発明のハイインピーダンス検出方法を実行するハイインピーダンス検出処理装置を示す。図2はこの具体的な構成を示すフローチャートである。
【0032】
ハイインピーダンス検出処理装置は、貫通電流条件抽出処理部6と、ハイインピーダンス条件抽出処理部7と、回路シミュレーション実行処理部8とで構成されている。回路シミュレーション実行処理部8には貫通電流検出処理部9も設けられている。このハイインピーダンス検出処理装置は電子計算機を主要部として構成されている。
【0033】
貫通電流条件抽出処理部6は、集積回路中のあるノードに対して、そのノードがハイインピーダンスになる事で貫通電流が生じる状態が存在するか、またどの様な条件の時に貫通電流が生じるかを抽出する。
【0034】
ハイインピーダンス条件抽出処理部7は、集積回路中のあるノードに対して、そのノードがハイインピーダンスになる状態が存在するか、またどの様な条件の時にハイインピーダンス状態に成るかを抽出する。
【0035】
回路シミュレーション実行処理部8は、SPICEに代表される回路シミュレータを用いてシミュレーションを実行する。貫通電流検出処理部9は、回路シミュレーション実行処理部8と連動して処理を行う処理部で、シミュレーション実行中に貫通電流条件抽出処理部6により抽出した貫通電流条件とハイインピーダンス条件抽出処理部7により抽出したハイインピーダンス条件とが成立するか否かを監視し、貫通電流条件とハイインピーダンス条件が共に成立した場合に貫通電流が発生したとして、ハイインピーダンスによる貫通電流を検出する。
【0036】
この構成により、ハイインピーダンス条件抽出処理部7により抽出したハイインピーダンス条件を、シミュレーション実行中に貫通電流検出処理部9が監視することで、集積回路中にハイインピーダンス状態が生じた場合、そのハイインピーダンスを自動的に検知できる。
【0037】
また、貫通電流条件抽出処理部6により抽出した貫通電流条件が成立した場合のみ、ハイインピーダンス検出を行うので、処理対象ノードのハイインピーダンス状態が実際に貫通電量を生じさせる場合にのみ警告を促すことができ、擬似エラーの無い貫通電流検知を行うことができる。なお、貫通電流条件抽出処理部6により貫通電流が生じる条件が無いことが証明されたノードに対しては、ハイインピーダンス条件抽出処理及び貫通電流検出処理を行わないので、同じ計算能力の電子計算機を使用していても処理時間の短縮を実現できる。
【0038】
このハイインピーダンス検出処理装置は、図2に示すように運転されている。
始めに、ステップS1で処理対象のノードを処理対象ノードとして選択する。
次にステップS2では、前記処理対象ノードに対して貫通電流条件抽出処理部6により貫通電流条件抽出処理を行う。
【0039】
ステップS3では、ステップS2での貫通電流条件抽出処理の結果にもとづいて貫通電流が生じる条件の有無を調べる。このステップS3での結果に応じて「貫通電流が生じる条件が存在する」場合には、ステップS4でハイインピーダンス条件抽出処理部7によりハイインピーダンス条件抽出処理を行う。そしてステップS4に次いでステップS5では、集積回路中の全てのノードが処理対象ノードになったかどうか調べる。
【0040】
なお、このステップS3での結果が「貫通電流が生じる条件が無い」場合には、ステップS4を飛び越してステップS5を実行する。
ステップS5において、まだ処理対象ノードになっていないノードが存在する場合には、ステップS6で処理対象のノードを変更してステップS2に戻ってステップS3,ステップS4を実行する。ステップS5において、全てのノードが処理対象ノードになっていると判定すると、ステップS7を実行する。
【0041】
ステップS7では、回路シミュレーション実行処理部8により回路シミュレーションを実行し、貫通電流検出処理部9によりハイインピーダンス条件が存在するノードに対してのみ貫通電流検出処理を行う。
【0042】
図3を解析対象回路とした場合を例に挙げて、貫通電流条件抽出処理部6の構成を詳細に説明する。
ここでは図3に示した解析対象回路の処理対象ノード10に対して貫通電流条件抽出処理を行う場合について説明する。
【0043】
M1〜M8はMOSトランジスタである。説明を容易にするため、全てN型MOSトランジスタにて表現しているが、N型MOSトランジスタ、P型MOSトランジスタが混在する場合も同等である。各MOSトランジスタにはs(ソース),g(ゲート),d(ドレーン)の3端子が存在し、g端子の電圧によりそのMOSトランジスタのオン/オフが決まる。ここでいうオンとは、s端子−d端子間の抵抗が十分小さい事を意味し、オフとは、s端子−d端子間の抵抗が十分大きい事を意味する。
【0044】
貫通電流条件抽出処理部6では、処理対象ノード10がg端子に繋がるMOSトランジスタを対象MOSトランジスタとして以下の処理を行う。
図3の解析対象回路では、MOSトランジスタM5,M7が対象MOSトランジスタである。前提条件としてトランジスタM5,M7はオン状態として扱う。ここで処理対象ノード10にg端子が繋がるトランジスタが存在しない場合には、その処理対象ノードがハイインピーダンスになっても貫通電流は生じないことを意味し、貫通電流条件は存在しない。また前記ハイインピーダンス検出方法のフローで説明した通り、貫通電流条件が存在しない場合、ハイインピーダンス条件も存在しない。
【0045】
このように、処理対象ノード10にg端子が繋がるトランジスタM5,M7が存在する場合には、始めに、対象となるトランジスタM5,M7のs端子とd端子を起点とし、第1の電源電位としてのVDD,第2の電源電位としてのVSSに向かって回路をパストレースする。ここでの電位は、VDD > VSS である。
【0046】
回路をパストレースする際、s端子からd端子あるいはd端子からs端子へのパスはパスが通っているとして扱い、g端子に到達した場合はパスが中断しているとして扱う。
なお、パス中にコンデンサ素子が存在する場合には、パスは中断しているものとして扱う。パス中にコイル素子が存在する場合には、パスは通っているものとして扱う。対象となるトランジスタM5の場合のパストレース結果を図4に示す。
【0047】
・ トランジスタM5のd端子とVDDとのパスについては、トランジスタM5のd端子がVDDに直接に接続されたパス有り。
・ トランジスタM5のd端子とVSSとのパスについては、VSSへのパス無し。
【0048】
・ トランジスタM5のs端子とVDDとのパスについては、トランジスタM5のs端子が、トランジスタM6のs端子とトランジスタM6のd端子間を介してVDDに接続されたパス有り。
【0049】
・ トランジスタM5のs端子とVSSとのパスについては、トランジスタM7のd端子とs端子間と、トランジスタM8のd端子とs端子間との、直列回路を介してVSSに接続されたパス有り。
【0050】
この図4に示したパストレース結果から、トランジスタM5のd端子からVDDへ繋がるパスは、直接にVDDへ接続していることが判り、トランジスタM5のd端子からVSSへのパスは存在しないことが判る。
【0051】
また、トランジスタM5のs端子からVDDへ繋がるパスは、トランジスタM6を介してVDDへ接続していることが判り、トランジスタM5のs端子からVSSへのパスは、トランジスタM7,M8を介してVSSへ接続していることが判る。
【0052】
この図4のパストレース結果から、次の貫通電流条件を導き出す。
つまり、トランジスタM5のd端子からs端子、或いはs端子からd端子へ貫通電流が生じる条件は、トランジスタM5のd端子からVDDへのパスがオンで、かつ、トランジスタM5のs端子からVSSのパスがオンの場合」か、「トランジスタM5のs端子からVDDへのパスがオンでかつ、トランジスタM5のd端子からVSSのパスがオンの場合」である。
【0053】
この条件を考慮して図4のパストレース結果から図5の貫通電流条件抽出結果を得ることができる。図5では各トランジスタのオン/オフ状態を論理演算子を用いて表現しており、オンを真、オフを偽として扱っている。つまり、M7*M8とは論理演算子のAND(*)を用いてトランジスタM7,M8が共にオンである事を表している。以後、論理演算子として、AND(*)、OR(+)、否定(  ̄ )、真(1)、偽(0)で表す事とする。
【0054】
ここで、前提条件によりトランジスタM5,M7はオンなので、M7=1として扱い、トランジスタM5を対象トランジスタとした場合の貫通電流条件抽出結果はM8、つまりトランジスタM8がオンになる場合にのみ貫通電流が生じる可能性があるという結果が得られる。
【0055】
次に対象トランジスタがトランジスタM7であった場合のパストレース結果を図6に示す。
・ トランジスタM7のd端子とVDDとのパスについては、トランジスタM7のd端子は、トランジスタM5のs端子とトランジスタM5のd端子間を介してVDDに接続されたパス有り。かつ、トランジスタM7のd端子は、トランジスタM6のs端子とトランジスタM6のd端子間を介してVDDに接続されたパス有り。
【0056】
・ トランジスタM7のd端子とVSSとのパスについては、トランジスタM7のd端子はVSSへのパス無し。
・ トランジスタM7のs端子とVDDとのパスについては、VDDへのパス無し。
【0057】
・ トランジスタM7のs端子とVSSとのパスについては、トランジスタM7のs端子が、トランジスタM8のd端子とs端子間を介してVSSに接続されたパス有り。
この結果から貫通電流条件を導き出すと、トランジスタM7のd端子からs端子、或いはs端子からd端子へ貫通電流が生じる条件は、「トランジスタM7のd端子からVDDへのパスがオンで、かつ、トランジスタM7のs端子からVSSのパスがオンの場合」か、「トランジスタM7のs端子からVDDへのパスがオンで、かつ、トランジスタM7のd端子からVSSのパスがオンの場合」である。
【0058】
この条件を考慮して、図6のパストレース結果から図7の貫通電流条件抽出結果を得ることができる。
図7において(M5+M6)・M8は、トランジスタM5かトランジスタM6がオンで、かつ、トランジスタM8がオンである事を意味している。
【0059】
ここで、前提条件によりトランジスタM5,M7はオンなのでM5=1として扱い、トランジスタM7を対象トランジスタとした場合の貫通電流条件抽出結果はM8、つまりトランジスタM8がオンになる場合にのみ貫通電流が生じる可能性があるという結果が得られる。処理対象ノード10の貫通電流条件は、トランジスタM5を対象トランジスタとした場合の貫通電流条件抽出結果とトランジスタM7を対象トランジスタとした場合の貫通電流条件抽出結果の論理和なので、トランジスタM8がオンということになる。
【0060】
次に、ハイインピーダンス条件抽出処理部7の構成を詳細に説明する。
図3の解析対象回路において、トランジスタM1,M2,M3,M4で構成されている回路に対して、前記処理対象ノード10を起点として、VDD,VSSに向かって回路をパストレースする。パストレースする方法は貫通電流条件抽出処理にて行った方法と同じである。図8に処理対象ノード10を起点としたパストレース結果を示す。
【0061】
・ 処理対象ノード10は、トランジスタM3のs端子とd端子間と、トランジスタM1のs端子とd端子間との直列回路を介してVDDに接続されたパス有り。
・ 処理対象ノード10は、トランジスタM4のs端子とd端子間と、トランジスタM1のs端子とd端子間との直列回路を介してVDDに接続されたパス有り。
【0062】
・ 処理対象ノード10は、トランジスタM3のs端子とd端子間と、トランジスタM2のd端子とs端子間との直列回路を介してVSSに接続されたパス有り。
・ 処理対象ノード10は、トランジスタM4のs端子とd端子間と、トランジスタM2のd端子とs端子間との直列回路を介してVSSに接続されたパス有り。
【0063】
次に、この図8のパストレース結果からハイインピーダンス条件を導き出す。処理対象ノード10がハイインピーダンスになる条件は、「処理対象ノード10からVDD,VSSへのパスが全てオフの場合」である。この条件を考慮して図8のパストレース結果から図9のハイインピーダンス条件抽出結果を得ることができる。
【0064】
図9のハイインピーダンス条件抽出結果は、トランジスタM3がオフかつトランジスタM4がオフ、或いはトランジスタM1がオフかつトランジスタM2がオフである事を意味している。これらの結果から、処理対象ノード10がハイインピーダンスになる条件は、「トランジスタM3,M4のトランジスタがオフの場合」か、「トランジスタM1,M2のトランジスタがオフの場合」ということになる。
【0065】
さらに貫通電流検出処理部9では、シミュレーション実行処理と同期して、各トランジスタのオン/オフ状態を監視する。例えばトランジスタのg端子の電位がある閾値電位Vthより高いか低いかをシミュレーションに同期して監視し続け、g端子の電位がVthより高い場合はオン、Vthより低い場合オフと判断する。このトランジスタのオン/オフの条件はトランジスタの特性等から判断する。図3の処理対象ノード10においては、前記貫通電流条件抽出処理部6およびハイインピーダンス条件抽出処理部7により、図10の貫通電流検出条件が導かれている。
【0066】
この貫通電流検出条件では、シミュレーション実行中にトランジスタM8,M1,M2,M3,M4のゲート端子の電位を監視し続け、ある時刻にトランジスタM8のg端子の電位がVthより高く、トランジスタM3のg端子の電位がVthより低く、トランジスタM4のg端子の電位がVthより低い場合に貫通電流検出の警告をログ等に出力する。または、ある時刻にMトランジスタ8のg端子の電位がVthより高く、トランジスタM1のg端子の電位がVthより低く、トランジスタM2のg端子の電位がVthより低い場合に貫通電流検出の警告を貫通電流検出結果としてログ等に出力する。図11にその貫通電流検出結果を示す。
【0067】
図11の例では貫通電流検出結果として、貫通電流が生じた時刻およびその貫通電流を生じさせる原因となった全てのトランジスタの状態を表示している。
具体的には、シミュレーション開始から500msのタイミングにハイインピーダンスが発生し、その原因はトランジスタM8,M4がオンで、MOSトランジスM3がオフであった。シミュレーション開始から600msのタイミングにハイインピーダンスが発生し、その原因はトランジスタM8がオンで、MOSトランジスM1,M2がオフであった。
【0068】
(第2の実施形態)
図12,図13,図14,図15,図16,図17は本発明の第2の実施形態を示している。
【0069】
図12は第2の実施形態の解析対象回路図、図13は同実施形態の解析対象回路の仮想回路図、図14は同実施の形態のトランジスタM5を対象トランジスタとした場合のパストレース結果説明図、図15は同実施の形態のトランジスタM5を対象トランジスタとした場合の貫通電流条件抽出結果説明図、図16は同実施の形態の処理対象ノードを起点としたパストレース結果説明図、図17は同実施の形態のハイインピーダンス条件抽出結果説明図である。なお、ハイインピーダンス検出装置の構成およびハイインピーダンス検出方法のフローは図1,図2と同じである。
【0070】
図12に示すアナログMOS回路では、トランジスタのd端子を同じトランジスタのg端子に接続し、フィードバックループを構造している。M1〜M8はトランジスタで、トランジスタM1,M7がそのフィードバックループ構造のトランジスタである。
【0071】
この第2の実施形態では、貫通電流条件抽出処理部6とハイインピーダンス条件抽出処理部7のパストレース処理において、前記フィードバックループ構造になっているトランジスタM1,M7を抵抗素子として扱う。図13にトランジスタM1,M7を、抵抗素子R1,R2の抵抗素子に置き換えた仮想回路を示す。
【0072】
図12の処理対象ノード11に対して貫通電流条件抽出処理とハイインピーダンス条件抽出処理を行う場合の処理方法を説明する。
なお、以下に示す処理方法は、図12に示したフィードバックループ構造のトランジスタを含む回路だけではなく、初めから図13の回路図のように抵抗素子を含む回路に対しても同様に適用できる。
【0073】
貫通電流条件抽出処理部6は、処理対象ノード11がg端子に繋がるトランジスタを対象トランジスタとして以下の処理を行う。この場合、図13ではトランジスタM5のみがそれに相当する。前提条件として、トランジスタM5をオン状態として扱う。始めに第1の実施形態の貫通電流条件抽出処理と同様、対象トランジスタM5のd端子とs端子を起点とし、VDD,VSSに向かって回路をパストレースする。なお、回路をパストレースする際、抵抗素子はパスが通っているとして扱う。図14にトランジスタM5を対象トランジスタとしたパストレース結果を示す。
【0074】
・ トランジスタM5のd端子とVDDとのパスについては、VDDに直接に接続されたパス有り。
・ トランジスタM5のd端子とVSSとのパスについては、VSSへのパス無し。
【0075】
・ トランジスタM5のs端子とVDDとのパスについては、トランジスタM5のs端子が、トランジスタM6のs端子とトランジスタM6のd端子間を介してVDDに接続されたパス有り。
【0076】
・ トランジスタM5のs端子とVSSとのパスについては、抵抗素子R2と、トランジスタM8のd端子とs端子間との、直列回路を介してVSSに接続されたパス有り。
次に図14のパストレース結果から貫通電流条件を導き出す。図13の回路のトランジスタM5のd端子からs端子、或いはs端子からd端子へ貫通電流が生じる条件は、「トランジスタM5のd端子からVDDへのパスがオンで、かつ、トランジスタM5のs端子からVSSのパスがオンの場合」か、「トランジスタM5のs端子からVDDへのパスがオンで、かつ、トランジスタM5のd端子からVSSのパスがオンの場合」である。この条件を考慮して図14のパストレース結果から図15の貫通電流条件抽出結果を得ることができる。
【0077】
図15の貫通電流条件抽出結果では貫通電流が生じる条件はR2*M8である。ここで、パス中に抵抗素子が存在する場合、その抵抗の抵抗値によってその抵抗をオンとして扱うかオフとして扱うかを判断する。例えば、寄生抵抗のように非常に小さい抵抗値の場合にはオンとして扱い、フィードバックループ構造のMOSから変換された抵抗のように大きい抵抗値の場合にはオフとして扱う。図15の貫通電流条件抽出結果の場合、R2の抵抗値が十分小さいと判断できる場合はR2をオンとして扱い、貫通電流が生じる条件はM8となる。つまり、トランジスタM8がオンの場合にのみ貫通電流が生じる可能性があることが判る。R2の抵抗値が十分大きいと判断できる場合はR2をオフとして扱い、貫通電流が生じる条件は0となる。つまり貫通電流が生じる可能性がないことが判る。
【0078】
ハイインピーダンス条件抽出処理部7では、第1の実施形態のハイインピーダンス条件抽出処理と同様、処理対象ノード11を起点とし、VDD,VSSに向かって回路をパストレースする。パストレースする方法は貫通電流条件抽出処理部6にて行った方法と同じである。図16に処理対象ノード11を起点としたパストレース結果を示す。
【0079】
・ 処理対象ノード11は、トランジスタM3のs端子とd端子の間と、抵抗素子R1との直列回路を介してVDDに接続されたパス有り。
・ 処理対象ノード11は、トランジスタM4のs端子とd端子の間と、抵抗素子R1との直列回路を介してVDDに接続されたパス有り。
【0080】
・ 処理対象ノード11は、抵抗素子R2とトランジスタM5のs端子とd端子の間と、の直列回路を介してVDDに接続されたパス有り。
・ 処理対象ノード11は、抵抗素子R2とトランジスタM6のs端子とd端子の間と、の直列回路を介してVDDに接続されたパス有り。
【0081】
・ 処理対象ノード11は、トランジスタM3のs端子とd端子の間と、トランジスタM2のd端子とs端子の間との直列回路を介してVSS接続されたパス有り。
・ 処理対象ノード11は、トランジスタM4のs端子とd端子の間と、トランジスタM2のd端子とs端子の間との直列回路を介してVSS接続されたパス有り。
【0082】
・ 処理対象ノード11は、トランジスタM8のd端子とs端子の間を介してVSS接続されたパス有り。
次に図16のパストレース結果からハイインピーダンス条件を導き出す。
【0083】
処理対象ノード11がハイインピーダンスになる条件は、処理対象ノード11からVDD,VSSへのパスが全てオフの場合である。なお、ハイインピーダンス条件抽出処理では全ての抵抗素子をオンとして扱う。この条件を考慮して図16のパストレース結果から図17のハイインピーダンス条件抽出結果を得ることができる。
【0084】
図17のハイインピーダンス条件抽出結果は、トランジスタM3,M4,M1,M2,M8のトランジスタ全てがオフになった時に、図12,図13の回路の処理対象ノード11がハイインピーダンス状態になることを意味している。
【0085】
第1の実施形態と同様に、上記処理により得られた貫通電流条件とハイインピーダンス条件を、貫通電流検出処理部9がシミュレーション実行中に監視することで、フィードバック構造を持ったトランジスタを含む回路及び抵抗素子を含む回路の、ハイインピーダンス状態による貫通電流を検知することができる。
【0086】
なお、フィードバック構造を持ったトランジスタを含む回路をシミュレーションする際は、抵抗素子に置き換えた図13の回路を用いるのではなく、図12の元の回路を使用する。
【0087】
(第3の実施形態)
図18,図19,図20,図21,図22は本発明の第3の実施形態を示している。
アナログMOS回路では、図18に示すようにトランジスタのd端子またはs端子を、集積回路を外部回路と接続する外部接続端子に接続した回路が存在する。M1〜M4はMOSトランジスタ、P1,P2が外部接続端子である。
【0088】
この図18の回路に対してハイインピーダンス検出方法を適用する場合について説明する。
ハイインピーダンス検出装置の構成およびハイインピーダンス検出方法のフローは第1の実施形態と同様、図1,図2である。
【0089】
まず、図18の処理対象ノード12に対して貫通電流条件抽出処理とハイインピーダンス条件抽出処理を行う場合の処理方法について説明する。
貫通電流条件抽出処理部6では、処理対象ノード12がg端子に繋がるトランジスタM3,M4を対象トランジスタとして、以下の処理を行う。前提条件として、トランジスタM3,M4をオン状態として扱う。
【0090】
初めに、第1の実施形態と同様、対象トランジスタのs端子とd端子を起点とし、VDD,VSSに向かって回路をパストレースする。この際、外部接続端子P2へのパスもトレースする。図19にトランジスタM3を対象トランジスタとしたパストレース結果を示す。
【0091】
・ トランジスタM3のd端子は直接にVDDに接続されたパス有り。
・ トランジスタM3のs端子はVSSに接続されたパス無し。
・ トランジスタM3のd端子はP2に接続されたパス無し。
【0092】
・ トランジスタM3のs端子はVDDに接続されたパス無し。
・ トランジスタM3のs端子はVSSに接続されたパス無し。
・ トランジスタM3のs端子はトランジスタM4のd端子とs端子との間を介してP2に接続されたパス有り。
【0093】
次に、この図19のパストレース結果から貫通電流条件を導き出す。図18の回路のトランジスタM3のd端子からs端子、或いはs端子からd端子へ貫通電流が生じる条件は、「トランジスタM3のd端子からVDDへのパスがオンでかつ、トランジスタM3のs端子からVSSのパスがオンの場合」か、トランジスタM3のs端子からVDDへのパスがオンでかつ、トランジスタM3のd端子からVSSのパスがオンの場合である。
【0094】
この際、外部接続端子P2の扱いをVDD,VSSの2状態に場合分けする必要がある。これらの条件を考慮して、図19のパストレース結果から図20の貫通電流条件抽出結果を得ることができる。
【0095】
図20の貫通電流条件抽出結果では、貫通電流が生じる条件はM4・(P2=VSS)である。ここで(P2=VSS)とは、外部接続端子P2の電位がVSSである事を意味する。また前提条件によりトランジスタM4はオン扱いなので、貫通電流条件は(P2=VSS)となり、外部接続端子P2の電位がVSSの場合に貫通電流が生じる可能性があることが判る。トランジスタM4を対象トランジスタとした場合についても同様に貫通電流条件を求めることができる。
【0096】
ハイインピーダンス条件抽出処理部7では、始めに処理対象ノード12を起点としVDD,VSSに向かって回路をパストレースする。この際、貫通電流条件抽出処理部6にて行った方法と同様、この図18の場合には、外部接続端子P1へのパスもパストレースの対象に含む。図21に処理対象ノード12を起点としたパストレース結果を示す。
【0097】
・ 処理対象ノード12はVDDに接続されたパス無し。
・ 処理対象ノード12はトランジスタM2のd端子とs端子との間を介してVSSに接続されたパス有り。
【0098】
・ 処理対象ノード12はトランジスタM1のs端子とd端子との間を介してP1に接続されたパス有り。
次に、図21のパストレース結果からハイインピーダンス条件を導き出す。処理対象ノード12がハイインピーダンスになる条件は、処理対象ノード12からVDD,VSS、外部接続端子への全てのパスがオフの場合である。この際、外部接続端子P1の扱いを“=ハイインピーダンス(浮いている)”、“≠ハイインピーダンス(浮いていない)”の2状態に場合分けする必要がある。この条件を考慮して、図21のパストレース結果から図22のハイインピーダンス条件抽出結果を得ることができる。
【0099】
図22のハイインピーダンス条件抽出結果は、トランジスタM2がオフでかつ、トランジスタM1がオフ或いはトランジスタM2がオフで外部接続端子P1が浮いている(ハイインピーダンス)場合、処理対象ノード12がハイインピーダンス状態になることを意味している。
【0100】
第1の実施形態同様、上記処理により得られた貫通電流条件とハイインピーダンス条件を、貫通電流検出処理部9がシミュレーション実行中に監視することで、トランジスタのs端子またはd端子に外部接続端子が接続されている回路において、ハイインピーダンス状態による貫通電流を検知することができる。
【0101】
(第4の実施形態)
図23,図24,図25は本発明の第4の実施形態を示している。
アナログMOS回路では、図23に示すようにダイオード素子が存在する場合がある。M1,M2はMOSトランジスタであり、D1,D2がダイオード素子である。ダイオード素子とは片方向にのみ電流を流す性質を持っており、電流の流れる方向を順方向、流れない方向を逆方向という。以下に図23の回路に対してハイインピーダンス検出方法を適用する場合について説明する。
【0102】
ハイインピーダンス検出装置の構成およびハイインピーダンス検出方法のフローは第1の実施形態と同様、図1,図2である。
図23の処理対象ノード13に対してハイインピーダンス条件抽出処理を行う場合の処理方法について説明する。
【0103】
始めに、処理対象ノード13を起点とし、VDD,VSSに向かって回路をパストレースする。この際、ダイオード素子D1,D2はパスが通っているとして扱う。図24に処理対象ノード13を起点としたパストレース結果を示す。
【0104】
・ 処理対象ノード13は、順方向に接続されたダイオードD1とトランジスタM1のs端子とd端子の間との直列回路を介してVDDに接続されたパス有り。
・ 処理対象ノード13は、逆方向に接続されたダイオードD2とトランジスタM1のs端子とd端子の間との直列回路を介してVDDに接続されたパス有り。
【0105】
・ 処理対象ノード13は、逆方向に接続されたダイオードD1とトランジスタM2のd端子とs端子の間との直列回路を介してVSSに接続されたパス有り。
・ 処理対象ノード13は、順方向に接続されたダイオードD2とトランジスタM2のd端子とs端子の間との直列回路を介してVSSに接続されたパス有り。
【0106】
この図24のパストレース結果から、ハイインピーダンス条件を導き出す。処理対象ノード13がハイインピーダンスになる条件は、処理対象ノード13からVDD,VSSへのパスが全てオフの場合である。ここでパス中にダイオード素子が存在する場合、そのダイオード素子の接続方向によってオンとして扱うか、オフとして扱うかを判断する。例えば処理対象ノードからVSSへのパスの場合、順方向に接続しているダイオード素子D2はオンとして扱い、逆方向に接続しているダイオード素子D1はオフとして扱う。VDDへのパスの場合はその逆である。この条件を考慮して図24のパストレース結果から図25のハイインピーダンス条件抽出結果を得ることができる。
【0107】
図25のハイインピーダンス条件抽出結果は、トランジスタM1がオフでかつ、トランジスタM2がオフの時、処理対象ノード13がハイインピーダンス状態になることを意味している。
【0108】
貫通電流条件抽出処理においても、第1の実施形態で説明した貫通電流条件抽出処理に、上記ハイインピーダンス条件抽出処理のダイオード素子の扱いを適用することで貫通電流条件を抽出することができる。
【0109】
第1の実施形態と同様、上記処理により得られた貫通電流条件とハイインピーダンス条件を貫通電流検出処理部9がシミュレーション実行中に監視することで、回路中にダイオード素子が含まれている回路において、ハイインピーダンス状態による貫通電流を検知することができる。
【0110】
(第5の実施形態)
図26,図27,図28は本発明の第5の実施形態を示している。
トランジスタにて構成される回路では、複数のトランジスタのg端子が同一のノードに接続している場合が多く存在する。そのような構成の回路を図26に示す。
【0111】
図26においてM1はP型MOSトランジスタ、トランジスタM2〜M4はN型MOSトランジスタである。トランジスタM1のg端子とトランジスタM2のg端子が共通のノードに接続されている。以下に図26の回路に対してハイインピーダンス検出方法を適用する場合について説明する。
【0112】
ハイインピーダンス検出装置の構成およびハイインピーダンス検出方法のフローは第1の実施形態と同様、図1,図2である。
図26の処理対象ノード14に対してハイインピーダンス条件抽出処理を行う場合の処理方法を説明する。
【0113】
始めに、複数のトランジスタのg端子が同一のノードに接続しているトランジスタを抽出する。図26の回路の場合、トランジスタM1とトランジスタM2がそれに相当する。
次に、それら抽出されたトランジスタのどれか一つに注目し、他のトランジスタをその注目したMOSで表現し以後の処理を行う。例えば、トランジスタM1に注目すると、トランジスタ1はP型、トランジスタM2はN型なので、トランジスタM2はトランジスタM1の否定として扱うことになる。図26では、トランジスタM2をM1に(  ̄ )を付けて表現している。
【0114】
次に、処理対象ノード14を起点とし、VDD,VSSに向かって回路をパストレースする。図27に処理対象ノード14を起点としたパストレース結果を示す。
・ 処理対象ノード14は、トランジスタM3のs端子とd端子の間と、トランジスタM1のd端子とs端子の間との直列回路を介してVDDに接続されたパス有り。
【0115】
・ 処理対象ノード14は、トランジスタM4のs端子とd端子の間と、トランジスタM1のd端子とs端子の間との直列回路を介してVDDに接続されたパス有り。
・ 処理対象ノード14は、トランジスタM3のs端子とd端子の間と、トランジスタM1 ̄のd端子とs端子の間との直列回路を介してVSSに接続されたパス有り。
【0116】
・ 処理対象ノード14は、トランジスタM4のs端子とd端子の間と、トランジスタM1 ̄のd端子とs端子の間との直列回路を介してVSSに接続されたパス有り。
次に、図27のパストレース結果からハイインピーダンス条件を導き出す。処理対象ノード14がハイインピーダンスになる条件は、処理対象ノード14からVDD,VSSへの全てのパスがオフの場合である。この条件を考慮して図27のパストレース結果から図28のハイインピーダンス条件抽出結果を得ることができる。
【0117】
図28のハイインピーダンス条件抽出結果は、トランジスタM3がオフでかつ、トランジスタM4がオフの時、処理対象ノード14がハイインピーダンス状態になることを意味している。貫通電流条件抽出処理においても上記ハイインピーダンス条件抽出処理と同様に、g端子が同一のノードに接続しているトランジスタを処理することで、貫通電流条件を抽出することができる。
【0118】
第1の実施形態と同様、上記処理により得られた貫通電流条件とハイインピーダンス条件を貫通電流検出処理部9がシミュレーション実行中に監視することで、ハイインピーダンス状態による貫通電流を検知することができる。また、同一ノードにg端子が接続する複数のトランジスタをどれか一つのMOSに置き換えて処理することで、ハイインピーダンス条件及び貫通電流条件を簡素化することができ、貫通電流検出処理部9による貫通電流検出処理を効率的に行うことができる。
【0119】
なお、上記の各実施の形態では、貫通電流検出処理部6では、貫通電流検出処理をシミュレーション実行処理と同時に行っているが、シミュレーション実行時に各ノードの電位情報を時系列的に出力しておき、シミュレーション実行処理が終わった後にその各ノードの電位情報と、貫通電流検出条件からハイインピーダンスによる貫通電流の有無を解析しても同等の結果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明は、MOSトランジスタを含むアナログ回路のシミュレーション等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】本発明のハイインピーダンス検出方法を実行するハイインピーダンス検出処理装置の構成図
【図2】本発明のハイインピーダンス検出方法のフローチャート図
【図3】第1の実施形態の解析対象回路の回路図
【図4】同実施形態のM5を対象トランジスタとしたパストレース結果図
【図5】同実施形態のM5を対象トランジスタとした貫通電流条件抽出結果図
【図6】同実施形態のM7を対象トランジスタとしたパストレース結果図
【図7】同実施形態のM7を対象トランジスタとした貫通電流条件抽出結果図
【図8】同実施形態の処理対象ノードを起点としたパストレース結果図
【図9】同実施形態のハイインピーダンス条件抽出の結果図
【図10】同実施形態の解析対象回路の処理対象ノードの貫通電流検出条件の説明図
【図11】同実施形態の貫通電流検出の警告するログのフォーマット説明図
【図12】第2の実施形態の解析対象回路図
【図13】同実施形態の解析対象回路の仮想回路図
【図14】同実施形態のM5を対象トランジスタとした場合のパストレース結果図
【図15】同実施形態のM5を対象トランジスタとした貫通電流条件抽出結果図
【図16】同実施形態の処理対象ノードを起点としたパストレース結果図
【図17】同実施形態のハイインピーダンス条件抽出結果図
【図18】第3の実施形態の解析対象回路図
【図19】同実施形態のM3を対象トランジスタとしたパストレース結果図
【図20】同実施形態のM3を対象トランジスタとした貫通電流条件抽出結果図
【図21】同実施形態の処理対象ノードを起点としたパストレース結果図
【図22】同実施形態のハイインピーダンス条件抽出結果図
【図23】第4の実施形態の解析対象回路図
【図24】同実施形態の処理対象ノードを起点としたパストレース結果図
【図25】同実施形態のハイインピーダンス条件抽出結果図
【図26】第5の実施形態の解析対象回路図
【図27】同実施形態の処理対象ノードを起点としたパストレース結果図
【図28】同実施形態のハイインピーダンス条件抽出結果図
【図29】MOSトランジスタで構成されたインバータ回路図
【図30】従来のハイインピーダンス検出方法の説明図
【図31】従来技術が適用できない例の回路図
【符号の説明】
【0122】
6 貫通電流条件抽出処理部
7 ハイインピーダンス条件抽出処理部
8 回路シミュレーション実行処理部
9 貫通電流検出処理部
10 処理対象ノード
11 処理対象ノード
12 処理対象ノード
13 処理対象ノード
14 処理対象ノード
M1〜M8 MOSトランジスタ
VCC 第1の電源電位
VSS 第2の電源電位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
解析対象回路中のノードがハイインピーダンスになることで貫通電流が生じる条件を抽出する貫通電流条件抽出工程を実行し、この貫通電流条件抽出工程によって貫通電流が生じる条件が存在すると判定された特定のノードと貫通電流が生じる条件が存在しないと判定されたその他のノードのうち、前記特定ノードに対してハイインピーダンス状態を検出するハイインピーダンス条件抽出工程を実行する
ハイインピーダンス検出方法。
【請求項2】
解析対象回路中のあるノードにゲート端子が繋がる対象MOSトランジスタをすべてオンとして扱って、前記対象MOSトランジスタのソース端子及びドレーン端子を起点として第1の電源電位,第2の電源電位に向けパス探索するパス探索工程と、
前記パス探索工程においてパス中のMOSトランジスタのゲート端子からドレーン端子、或いはドレーン端子からゲート端子へのパスが導通しているとして扱って、前記パス探索した結果から第1の電源電位へのパスが導通しかつ第2の電源電位へのパスが導通するパス中のMOSトランジスタのオン/オフ条件を貫通電流が生じる条件として抽出する工程を有する
ハイインピーダンス検出方法。
【請求項3】
前記パス探索工程では、第1の電源電位,第2の電源電位に向けパス探索するとともに、外部接続端子へのパスを探索し、前記外部接続端子の状態を第1の電源電位,第2の電源電位の状態ごとに場合分けし、
前記外部接続端子の状態も含め、第1の電源電位へのパスが導通しかつ第2の電源電位へのパスが導通するパス中のMOSトランジスタのオン/オフ条件を貫通電流が生じる条件として抽出する
請求項2記載のハイインピーダンス検出方法。
【請求項4】
前記パス探索工程では、同一MOSトランジスタのゲート端子がソース端子またはドレーン端子に接続しているMOSトランジスタを抵抗素子に置き換えてパス探索する
請求項2記載のハイインピーダンス検出方法。
【請求項5】
前記パス探索工程では、同一MOSトランジスタのゲート端子がソース端子またはドレーン端子に接続しているMOSトランジスタを抵抗素子に置き換えて、パス中の抵抗素子を開放としてパス探索する
請求項2記載のハイインピーダンス検出方法。
【請求項6】
前記パス探索工程では、同一MOSトランジスタのゲート端子がソース端子またはドレーン端子に接続しているMOSトランジスタを抵抗素子に置き換えて、パス中の抵抗素子をその抵抗素子の抵抗値によって開放として扱うか、導通として扱うかを判断してパス探索する
請求項2記載のハイインピーダンス検出方法。
【請求項7】
前記パス探索工程では、パス中のコイル素子を導通としてパス探索する
請求項2記載のハイインピーダンス検出方法。
【請求項8】
前記パス探索工程では、パス中のコンデンサ素子を開放としてパス探索する
請求項2記載のハイインピーダンス検出方法。
【請求項9】
前記パス探索工程では、複数のMOSトランジスタのゲート端子が同一ノードに接続している場合、それらのMOSトランジスタをどれか一つのトランジスタで表現してパス探索する
請求項2記載のハイインピーダンス検出方法。
【請求項10】
前記パス探索工程では、パス中のダイオード素子のオン/オフをパス探索の方向とダイオード素子の接続方向の関係から導通または開放を決定してパス探索する
請求項2記載のハイインピーダンス検出方法。
【請求項11】
解析対象回路中のノードにゲート端子が繋がるMOSトランジスタが存在しない場合には、そのノードを前記その他のノードと扱ってハイインピーダンス検出処理を行わない
請求項1記載のハイインピーダンス検出方法。
【請求項12】
解析対象回路中のあるノードを起点として第1の電源電位,第2の電源電位に向けパス探索するパス探索工程と、
前記パス探索工程においてパス中のMOSトランジスタのゲート端子からドレーン端子、或いはドレーン端子からゲート端子へのパスが導通しているとして扱って、前記パス探索した結果から第1の電源電位へのパスが遮断し、かつ第2の電源電位へのパスが遮断するパス中のMOSトランジスタのオン/オフ条件をハイインピーダンスが生じる条件として抽出するハイインピーダンス条件抽出工程と、
前記ハイインピーダンス条件抽出工程により抽出したハイインピーダンスが生じる条件がシミュレーション実行中に成立するかどうか監視し、成立した場合にハイインピーダンスを検知したとして警告を発する回路シミュレーション実行処理工程と
を有する
ハイインピーダンス検出方法。
【請求項13】
解析対象回路中のあるノードにゲート端子が繋がる対象MOSトランジスタをすべてオンとして扱って、前記対象MOSトランジスタのソース端子及びドレーン端子を起点として第1の電源電位,第2の電源電位に向けパス探索するパス探索工程と、
前記パス探索工程においてパス中のMOSトランジスタのゲート端子からドレーン端子、或いはドレーン端子からゲート端子へのパスが導通しているとして扱って、前記パス探索した結果から第1の電源電位へのパスが導通しかつ第2の電源電位へのパスが導通するパス中のMOSトランジスタのオン/オフ条件を貫通電流が生じる条件として抽出する工程を有し、
前記回路シミュレーション実行処理工程では、第1の電源電位へのパスが導通しかつ第2の電源電位へのパスが導通するパス中のMOSトランジスタのオン/オフ条件を貫通電流が生じる前記条件が成立し、かつハイインピーダンスが生じる条件が成立した場合にハイインピーダンスを検知したとして警告を発する
請求項12に記載のハイインピーダンス検出方法。
【請求項14】
前記パス探索工程では、第1の電源電位,第2の電源電位に向けパス探索するとともに、外部接続端子へのパスを探索し、前記外部接続端子の状態を浮いているか浮いていないかに場合分けし、
第1の電源電位へのパスが遮断し、かつ第2の電源電位へのパスが遮断するパス中のMOSトランジスタのオン/オフ条件をハイインピーダンスが生じる条件として抽出する
請求項12記載のハイインピーダンス検出方法。
【請求項15】
前記パス探索工程では、同一MOSトランジスタのゲート端子がソース端子またはドレーン端子に接続しているMOSトランジスタを抵抗素子に置き換えてパス探索する
請求項12に記載のハイインピーダンス検出方法。
【請求項16】
前記パス探索工程では、同一MOSトランジスタのゲート端子がソース端子またはドレーン端子に接続しているMOSトランジスタを抵抗素子に置き換えて、パス中の抵抗素子を導通としてパス探索する
請求項12に記載のハイインピーダンス検出方法。
【請求項17】
前記パス探索工程では、パス中のコイル素子を導通としてパス探索する
請求項12に記載のハイインピーダンス検出方法。
【請求項18】
前記パス探索工程では、パス中のコンデンサ素子を開放としてパス探索する
請求項12に記載のハイインピーダンス検出方法。
【請求項19】
前記パス探索工程では、複数のMOSトランジスタのゲート端子が同一ノードに接続している場合、それらのMOSトランジスタをどれか一つのトランジスタで表現してパス探索する
請求項12に記載のハイインピーダンス検出方法。
【請求項20】
前記パス探索工程では、パス中のダイオード素子のオン/オフをパス探索の方向とダイオード素子の接続方向の関係から決定してパス探索する
請求項12に記載のハイインピーダンス検出方法。
【請求項21】
前記回路シミュレーション実行処理工程を、ハイインピーダンスが生じる条件がシミュレーション実行中に成立するかどうか監視するのに代わって、シミュレーション実行中には前記監視は行わずに各ノードの遷移情報を記録し、シミュレーション終了後に前記ハイインピーダンスが生じる条件と前記各ノードの遷移情報からシミュレーション実行中にハイインピーダンスが生じる条件が成立したかどうかを判断して、ハイインピーダンスが生じる条件が成立していた場合に警告を発する
請求項12に記載のハイインピーダンス検出方法。
【請求項22】
解析対象回路中のノードに対して、そのノードがハイインピーダンスになる事で貫通電流が生じる状態が存在するか、またどの様な条件の時に貫通電流が生じるかを抽出する貫通電流条件抽出処理部と、
前記貫通電流条件抽出処理部によって貫通電流が生じる条件が存在すると判定された特定のノードと貫通電流が生じる条件が存在しないと判定されたその他のノードのうち、前記特定ノードに対してハイインピーダンス状態に成る条件を抽出するハイインピーダンス条件抽出処理部と、
前記貫通電流条件抽出処理部により抽出した貫通電流条件と前記ハイインピーダンス条件抽出処理部によって抽出したハイインピーダンス条件とが成立するか否かを監視して貫通電流条件とハイインピーダンス条件が共に成立した場合に貫通電流が発生したとしてハイインピーダンスによる貫通電流を検出する回路シミュレーション実行処理部と
を設けたハイインピーダンス検出処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate


【公開番号】特開2007−213456(P2007−213456A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−34617(P2006−34617)
【出願日】平成18年2月13日(2006.2.13)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】