説明

リードタイプの電子部品

【課題】圧電振動デバイスを備えており、かつ、電子機器に自動実装することができるリードタイプの電子部品を提供する。
【解決手段】第1〜第3リード端子1a〜1cと、第1〜第3リード端子1a〜1cの各一端部にそれぞれ設けられた第1〜第3パッド部2a〜2cと、第2パッド部2bに搭載され、第1、第3パッド部2a,2cに電気的に接続されており、圧電振動片を備えた水晶発振器3と、第1〜第3リード端子1a〜1cの各一端部とともに第1〜第3パッド部2a〜2c及び水晶発振器3を封止する樹脂パッケージ部とから構成されており、第1〜第3パッド部2a〜2cの一主面の外周縁には当該一主面に対して垂直な方向に突出する突起部を備えており、第2パッド部2bの一主面側には水晶発振器3が搭載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の外部電極を備えた電子デバイスと、当該電子デバイスの各外部電極が電気的に接続された複数のパッド部と、いずれか一つのパッド部と一体形成され電気的に接続された複数のリード端子と、前記電子デバイス及びパッド部を樹脂封止する樹脂パッケージ部とを備えてなるリードタイプの電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のリードタイプの電子部品の一例として圧電振動デバイスを備えたリードタイプの発振器がある。このリードタイプの発振器の一例としては、図16に示すような、圧電振動デバイスとして水晶振動子を備えたリードタイプの水晶発振器がある。
【0003】
図16に示すリードタイプの水晶発振器は、金属性のベース105と、このベース105上面に、中心部が円錐台形状の半田161とこの半田161側面を覆う絶縁性樹脂162とからなる接合材106を用いて搭載されたプリント配線基板102と、このプリント配線基板102上面に、円錐台形状の半田141とこの半田141側面を覆う絶縁性樹脂142とからなる接合材104を用いて搭載された電子部品133と、励振電極を備え、プリント配線基板102上面に配置された支持体131,132に搭載された水晶振動片101と、ベース105上面、プリント配線基板102、電子部品133及び水晶振動片101等を被覆する金属性のキャップ107とから構成されている。
【0004】
さらに、このリードタイプの水晶発振器は、3本の端子151,152,153を備えており、これら端子151,152,153のうちの2本の端子151,153は、リード端子であり、ベース105及びプリント配線基板102にそれぞれ設けられた貫通孔(不図示)に個々に挿入され、その一端部がプリント配線基板102の上面まで貫通した状態で固定されている。一方、残りの1本の端子152は、アース端子であり、その一端部がベース105の金属部分に接続されている。
【0005】
このような構成を有する電子部品の接続構造については、例えば下記特許文献1の特開平4−222109号公報に開示されている。
【特許文献1】特開平4−222109号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図16に示す水晶発振器は、リード端子に対して金属性のキャップと金属性のベースから構成される本体筐体部分の重量比が大きくなりやすいため、つづら折りテーピング梱包やラジアルテーピング梱包した状態で出荷する際に、テーピング部分に対して本体筐体部分が傾いたり倒れこみが生じたりした状態で配置される。そのため、電子機器に水晶発振器を実装する際に自動実装を容易に行なうことができないといった問題があった。また、図16に示す水晶発振器においては、リードタイプの水晶発振器の小型化への対応が困難であるといった問題もあった。
【0007】
本発明はかかる問題点を解決すべく創案されたもので、その目的は、圧電振動デバイスを備え、電子機器に実装する際に自動実装を容易に行なうことがき、さらに、小型化にも対応することができるリードタイプの電子部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明のリードタイプの電子部品は、複数のリード端子と、当該複数のリード端子の一端部にそれぞれ設けられた複数のパッド部と、圧電振動片を備えた圧電振動デバイスと、前記複数のリード端子の一端部とともに複数のパッド部及び圧電振動デバイスを樹脂封止する樹脂パッケージ部とから構成されており、前記複数のパッド部の少なくとも一つのパッド部が、当該少なくとも一つのパッド部の一主面の外周縁に当該一主面に対して垂直な方向に突出する突起部を備えており、前記一主面側に前記圧電振動デバイスが搭載されるといったものである。
【0009】
なお、前記圧電振動デバイスとしては、小型の表面実装型圧電振動デバイスを用いることができる。この面実装型圧電振動デバイスは、例えば、一対の励振電極を備えた水晶振動片(圧電振動子)と、当該水晶振動片が配置されるキャビティを備えた筐体とを備えた表面実装型の水晶振動子、一対の励振電極を備えた水晶振動片と、当該水晶振動片が配置されるキャビティを備えた筐体と、前記キャビティ内に配置される集積回路素子とを備えた表面実装型の水晶発振器、または水晶片の一方の主面に入力電極及び出力電極が形成され、他方の主面に前記入力電極及び出力電極に対応するアース電極が形成されてなる水晶振動片を備えた表面実装型の水晶フィルタである。
【0010】
一実施形態を示すと、本発明のリードタイプの電子部品は、図1及び図2に示すように、複数のリード端子である第1〜第3リード端子1a〜1cと、第1〜第3リード端子1a〜1cの各一端部にそれぞれ一体形成されることによって延設された複数のパッド部である第1〜第3パッド部2a〜2cと、第2パッド部2bに搭載され、第1、第3パッド部2a,2cに電気的に接続されており、圧電振動片を備えた圧電振動デバイス(例えば、水晶発振器3、水晶振動子または水晶フィルタ)と、第1〜第3リード端子1a〜1cの各一端部とともに第1〜第3パッド部2a〜2cと水晶発振器3とを封止する樹脂パッケージ部4とから構成されている。
【0011】
さらに、前記複数のパッド部のうちの一つのパッド部である第2パッド2bは、第2パッド部2bの一主面の外周縁に当該一主面に対して垂直な方向に突出する突起部(後述の打ち抜きバリ(図5参照))を備えている。また、水晶発振器3は、第2パッド2bの一主面側に搭載されている。
【0012】
これにより、圧電振動デバイスをパッド部に搭載し電気的機械的に接続する際にパッド部が載置される作業台に対して、パッド部の他主面(打ち抜きバリである突起部が形成されておらず平坦な面)が接触するため、パッド部の平坦度を向上させることができる。そのため、圧電振動デバイスとパッド部との電気的機械的な接合の安定度を向上させることができ、接続不良が発生することを防止できる。従って、小型の面実装型の圧電振動デバイスを搭載することができ、この圧電振動デバイスを封止する部材として樹脂パッケージ部を用いることができる。その結果、つづら折りテーピング梱包やラジアルテーピング梱包を実施することができ、電子機器に実装する際に自動実装を容易に行なうことができる。さらに、小型化されたリードタイプの電子部品を得ることができる。
【0013】
また、前記パッド部が、金属薄板に打ち抜き手段を用いた打ち抜き加工が施され成型されたものであり、前記突起部が、打ち抜き加工時に形成された打ち抜きバリであってもよい。
【0014】
この場合には、金属薄板に打ち抜き加工を施してリードフレームを形成する際に、突起部も同時に形成することができ、より安価で簡単に突起部を形成することができる。
【0015】
また、前記複数のリード端子のうちの少なくとも1つのリード端子が斜行部を備えていてもよい。
【0016】
この場合には、リードピッチを電子機器の仕様に応じて設定することができる。
【0017】
また、前記樹脂パッケージ部は断面半円形または断面略半円形の柱形状に成型されていることが好ましい。
【0018】
また、前記樹脂パッケージ部は断面半円形または断面略半円の先細り柱形状に成型されていてもよい。
【0019】
この場合には、樹脂パッケージ部を金型から容易に抜き取ることができるので、1型の金型でも形成することができる。
【0020】
また、前記樹脂パッケージ部は半球形状または略半球形状に成型されていてもよい。
【0021】
この場合には、樹脂パッケージの位置決めをより正確に実施することができる。
【0022】
また、前記複数のパッド部のうちの少なくとも一つのパッド部の端面の少なくとも一部分がジグザグ状に成型されていてもよい。
【0023】
この場合には、パッド部と樹脂モールド部との間の接触面積を増加することができるため、樹脂モールド部からパッド部ごとリード端子が脱落してしまう(抜け落ちてしまう)ことを防止できる。
【0024】
また、前記複数のパッド部のうちの少なくとも一つのパッド部の端部の少なくとも一部分に、堤部が設けられていてもよい。
【0025】
この場合には、パッド部と樹脂モールド部との間の接触面積を増加することができるとともに、堤部が樹脂モールド部内部に引掛かるため、樹脂モールド部からパッド部ごとリード端子が脱落してしまうことを防止できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明は上記のように構成したので、圧電振動デバイスを備えており、かつ、電子機器に自動実装することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明のリードタイプの電子部品の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、圧電振動デバイスとしては、表面実装型のものをもちいることができ、ここでは、表面実装型の圧電振動デバイスの一例として水晶振動片を備えた水晶発振器を用いて説明を行なう。また、ここでは、リードタイプの電子部品を構成する複数のパッド部のうち第2パッド部に水晶発振器を接着固定した場合について説明する。
【0028】
図1は、本発明のリードタイプの電子部品の実施形態1を示す説明図であり、同図(a)は斜視図、同図(b)はリードタイプの電子部品をD1で示す方向から見た状態を示す平面図、同図(c)はリードタイプの電子部品をD2で示す方向から見た状態を示す正面図、同図(d)はリードタイプの電子部品をD3で示す方向から見た状態を示す側面図である。また、図2は、図1に示すリードタイプの電子部品の樹脂モールド部を省略した状態を示す説明図であり、図3は、図1に示すリードタイプの電子部品を構成する水晶発振器の一例を拡大して示す断面図である。
【0029】
本実施形態のリードタイプの電子部品は、図1及び図2に示すように、複数のリード端子(ここでは、第1リード端子1a、第2リード端子1b及び第3リード端子1c)と、これら第1〜第3リード端子1a〜1cの各一端部に延設された複数のパッド部(ここでは、第1リード端子1aの一端部に延設された第1パッド部2a、第2リード端子1bの一端部に延設された第2パッド部2b及び第3リード端子1cの一端部に延設された第3パッド部2c)と、第2パッド部2bに搭載され、第1、第3パッド部2a,2cに電気的に接続されており、圧電振動片を備えた水晶発振器3と、第1〜第3リード端子1a〜1cの各一端部ごと第1〜第3パッド部2a〜2c及び水晶発振器3を樹脂封止する樹脂パッケージ部4とから構成されている。
【0030】
水晶発振器3は、図3に示すように、例えば、一主面にキャビティとしての段付き凹部31a1を備えた、セラミック多層基板等からなる絶縁性のベース31aと段付き凹部31a1の開口部位を覆う蓋31bとから構成された筐体31と、段付き凹部31a1内に形成された複数の電極パッド(不図示)と、段付き凹部31a1の上段部(段付き凹部31a1の開口部位に最も近い段差部)31a11に端部が載置されることにより当該上段部31a11の少なくとも一部に支持された水晶振動片32と、段付き凹部31a1の底面31a12に増幅回路等から構成された集積回路素子33とから構成されている。さらに、水晶発振器3は、前記電極パッドにそれぞれ電気的に接続された複数の外部電極(ここでは、4個の外部電極34a,34b,34c,34d)をベース31aの他主面に備えており、また、ベース31aと蓋31bとの当接部位(外周縁部)が封止用接合材(不図示)によって接合され、筐体31内部(キャビティ)が気密封止されている。
【0031】
水晶振動片32は一対の励振電極(不図示)を備えており、各励振電極は、前記電極パッド上に形成された導電性樹脂接合材35によって接合され、後述する集積回路素子に対して接続されている。
【0032】
集積回路素子33の複数の外部電極(不図示)は、段付き凹部31a1の下段部(前記上段部31a11よりも底面31a12側に設けられた段差部)31a13に形成された電極パッド(不図示)に、ワイヤ36a,36bを介してワイヤボンドされている。水晶振動片32の各励振電極の少なくとも一部と集積回路素子33の各外部電極の少なくとも一部とは、リードタイプの電子部品の仕様に応じて、前記電極パッド及びワイヤ等を介して互いに電気的に接続されている。
【0033】
本実施形態において、水晶発振器3の蓋31bは、ノイズ除去のために金属等の導電性を有する材料を用いて形成されており、GND(設置)用のリード端子に一体形成されたパッド部(例えば、第2リード端子1bに一体形成された第2パッド部2b)に導電性ペーストを用いて固定されているとともに電気的に接続されている。なお、図示していないが、水晶発振器3の複数の外部電極のうち、GND用の外部電極(例えば、図2において紙面右上の外部電極34b)がワイヤを用いたワイヤボンディングによって第2パッド部2bに電気的に接続されていてもよい。
【0034】
また、水晶発振器3の複数の外部電極のうち、出力用の外部電極(例えば、図2において紙面右下の外部電極34c)は出力用のリード端子に一体形成されたパッド部(ここでは、第1リード端子1aに一体形成された第1パッド部2a)に第1ワイヤ5aを用いたワイヤボンディングによって電気的に接続されており、入力用の外部電極(例えば、図2において紙面左下の外部電極34d)は入力用のリード端子に一体形成されたパッド部(ここでは、第3リード端子1cに一体形成された第3パッド部2c)に第2ワイヤ5bを用いたワイヤボンディングによって電気的に接続されている。
【0035】
なお、図示していないが、水晶発振器3の複数の外部電極のうち、動作(オンオフ)制御用の外部電極(例えば、図2において紙面左上の外部電極34a)は、動作制御用のリード端子に一体形成されたパッド部にワイヤを介して電気的に接続されていてもよく、また、電圧印加時には水晶発振器3が常にオン状態になるように制御するために、外部電極34aが、入力用のリード端子に一体形成されたパッド部である第3パッド部2cにワイヤを用いたワイヤボンディングによって電気的に接続されていてもよい。
【0036】
さらに、本実施形態において、第1〜第3リード端子1a〜1cのリードピッチは、実装される電子機器の仕様に従って変更可能である。本実施形態においては、第1リード端子1a及び第3リード端子1cに斜行部1a1,1c1を形成しており、第1リード端子1aの斜行部1a1及び第3リード端子1cの斜行部1c1は、第1リード端子1a及び第3リード端子1cの各先端部(図1において下端部)に向けて第2リード端子1bから離間する方向に延設されている。これにより、先端部(図1において下端部)における第1〜第3リード端子1a〜1cのリードピッチは、樹脂パッケージ部4表面における第1〜第3リード端子1a〜1cのリードピッチよりも広くなっている。
【0037】
また、本実施形態のリードタイプの電子部品は、複数のリード端子として3本のリード端子(第1〜第3リード端子1a〜1c)を備えているが、リード端子の本数は水晶振動子等の圧電振動デバイスの仕様(例えば、外部電極の数)及び電子部品の仕様に従って変更可能である。
【0038】
さらに、第1〜第3パッド部2a〜2cの一主面には、当該一主面の外周縁に当該一主面に対して垂直な方向に突出する突起部(後に詳細に説明する)を備えており、本実施形態では、第2パッド部2bの一主面に接着剤を用いて圧電振動デバイスが固定され搭載されている。
【0039】
次いで、図1に示すリードタイプの電子部品を製造する際に用いられるリードフレームと前記突起部とについて説明する。
【0040】
図4は、図1に示すリードタイプの電子部品を製造する際に用いられるリードフレームの一例を示す説明図であり、図5は、図1に示すリードタイプの電子部品を構成するパッド部のC−C線断面を拡大して示す説明図であり、図6は、図4に示すリードフレームを成型する際に用いられる打ち抜き手段の一例を示す断面図である。
【0041】
なお、図4中の破線Aは、完成時に樹脂パッケージ部4内部に配置される部位と樹脂パッケージ部4外部に配置される部位との境界線であり、具体的には、破線Aよりも紙面上側の領域(イ)は樹脂パッケージ部4内部に配置され、破線Aよりも紙面下側の領域(ロ)は樹脂パッケージ部4外部に配置される。また、図5には、図1に示すリードタイプの電子部品を構成する第1〜第3パッド部2a〜2cのうち、第2パッド部2bのみを示した。
【0042】
図4に示すように、リードフレーム11は、第1〜第3リード端子1a〜1cと、第1〜第3パッド部2a〜2cと、第1〜第3リード端子1a〜1cと一体形成されることによってこれら第1〜第3リード端子1a〜1cを支持するタイバー部11aとから構成されている。リードフレーム11は、金属薄板に打ち抜き手段(例えば、図6に示す打ち抜き装置80)を用いた打ち抜き加工を施すことによって成型される。
【0043】
図6に示す打ち抜き装置80は、金属薄板10の不要部位を挟持して金属薄板10を固定する保持部81と、断面形状がリードフレーム11の両主面(一主面及び他主面)の形状に一致するパンチ部82とから構成されている。より好ましくは、保持部81は、金属薄板10の一主面(紙面において上面10a)に押し当てられる第1ダイパッド81aと、金属薄板10の他主面(紙面において下面10b)に押し当てられる第2パッド81bとからなる。第1ダイパッド81aには、パンチ部82の一端部が嵌合し貫通するガイド孔81a1が設けられており、第2ダイパッド81bには、パンチ部82の一端部が嵌合し貫通するガイド孔81b1(または、パンチ部82の一端部が嵌合するガイド溝)が設けられている。
【0044】
リードフレーム11を形成する際には、まず初めに、第1ダイパッド81aと第2ダイパッド81bとで金属薄板10を挟持して固定する(図6(a)参照)。このとき、第1ダイパッド81aのガイド孔81a1と第2ダイパッド81bのガイド孔81b1とは金属薄板10を介して対向している。
【0045】
続いて、パンチ部82を打ち抜き方向(紙面においては上方から下方に向けて降下させる方向)に沿って第1ダイパッド81aのガイド孔81a1に挿入し、さらに、パンチ部82で金属薄板10を押圧するといった打ち抜き加工によって、リードフレーム11が打ち抜かれ成型される(図6(b)参照)。
【0046】
リードフレーム11は、このような打ち抜き装置を用いて成型されるため、打ち抜きにより形成された端面である切断面に打ち抜きバリが形成される。即ち、第1〜第3パッド部2a〜2bの一主面の外周縁にも、当該一主面に対して垂直な方向に突出する打ち抜きバリが形成される。本実施形態においては、この打ち抜きバリを前記突起部として用いている。
【0047】
具体例を示すと、図5に示すように、第2パッド部2bの紙面上面の端部には、紙面上方に向かって突出する打ち抜きバリ2b1が形成されている。なお、この打ち抜きバリ2b1は端部にわずかに形成されるものであるため、本明細書においては、図5のみに打ち抜きバリを図示し、他の図面では打ち抜きバリの図示を省略する。
【0048】
一般に、打ち抜きバリが発生した場合には、ダイボンディングやワイボンディングを実施する際、支持台上に、打ち抜きバリが発生した面(ここでは一主面とする。)が裏面となる状態でリードフレーム11が載置されると、打ち抜きバリの高さや形成される部位が不均一であるため、リードフレーム11に傾きが生じてパッド部の平坦度が失われてしまう。その結果、ダイボンディングやワイボンディングを実施する際に、実施する位置がずれたり、接続不良が発生したりする場合があった。従って、従来は、リードフレーム11を成型した後に、研磨等によって打ち抜きバリを除去していた。
【0049】
しかしながら、本実施形態においては、打ち抜きバリが発生した面が表面となり、打ち抜きバリが発生していない面(ここでは他主面とする。)が裏面となる状態でリードフレーム11を配置して使用しており、これによって、リードフレーム11に傾きが生じてパッド部の平坦度が失われてしまうことを防止している。その結果、パッド部にダイボンディングやワイヤボンディングを実施する際に実施位置がずれてしまうことを防止することができ、圧電振動デバイスとパッド部との間の電気的な接続について不良が発生することを防止できる。
【0050】
さらに、打ち抜きバリを除去せずに、パッド部の打ち抜きバリが発生している一主面(図5では、第2パッド部2bの上面)に導電性接着剤を用いてダイボンディングを施して水晶発振器3を電気的に接続し固定している。これにより、パッド部の一主面の端部において打ち抜きバリ(図5では、第2パッド部2bの上面端部に形成された打ち抜きバリ2b1)が堤部の役割を果たし、導電性接着剤がパッド部の一主面からはみ出してしまう(オーバフローしてしまう)ことを防止することができる。
【0051】
なお、打ち抜き加工を施したときには、第2パッド部2bの一主面の外周縁のみならず、リードフレームの全外周縁にも打ち抜きバリが形成される。即ち、第1〜第3リード端子1a〜1c及び第1、第3パッド部2a、2cの一主面の外周縁にも打ち抜きバリが形成される。その結果、完成後のリードタイプの電子部品において、打ち抜きバリが樹脂パッケージ部4内部に引掛かり、樹脂モールド部4から第1〜第3リード端子1a〜1cが脱落してしまうことを防止できる。
【0052】
また、リードフレームの全外周縁に形成された打ち抜きバリのうち除去すべき部分がある場合には、この除去すべき部分を研磨等によって除去してもよい。
【0053】
さらにまた、前記打ち抜きバリのような突起部を形成する際に、打ち抜き加工の代わりにエッチングを用いてもよい。
【0054】
図7は、図1に示すリードタイプの電子部品を拡大して示す平面図である。同図には、樹脂パッケージ部4内に配置される第2パッド部2b、水晶発振器3、第1ワイヤ5a及び第2ワイヤ5bについて破線を用いて示す。
【0055】
樹脂パッケージ部4は、例えば、断面半円形の柱形状(不図示)、または断面略半円形の柱形状に成型されており、高さ方向が第2リード端子1bの長さ方向に対して平行になっている。
【0056】
なお、前記断面半円形の柱形状とは、円柱形を高さ方向に沿って切断した形状であり、前記断面略半円形の柱形状とは、円柱形を高さ方向に沿って切断し、この切断によって形成された切断面とトンネル状の曲面(円柱形の側面となっていた面)との境界部位を高さ方向に沿ってさらに切断した形状である。
【0057】
図1及び図7には断面略半円形の柱形状に成型された樹脂パッケージ部4が図示されている。この樹脂パッケージ部4の側面(第2リード端子1bの長さ方向に対して平行な面)の一部分4aは平らな面(図1(c)に示す正面)となっており、図示されていないが、この平らな面となっている一部分4aにはレーザマーキング等の印字が施されている。一方、樹脂パッケージ部4の側面の他の一部分(平らな面となっている一部分4aに対向する部位)4bはトンネル状の曲面となっている。
【0058】
このような形状の樹脂パッケージ部4内において、第2パッド部2bは平らな面となっている一部分4a側に配置されており、水晶発振器3はトンネル状の曲面となっている他の一部分4b側に配置されている。
【0059】
このように、第2パッド部2b及び水晶発振器3が図7に示すような状態で樹脂パッケージ部4内に配置されていることにより、第1ワイヤ5a及び第2ワイヤ5bがレーザマーキング等の印字の影響を受けることを防止できる。さらに、第1ワイヤ5a及び第2ワイヤ5bがトンネル状の曲面となっている他の一部分4b側に配置されるので、第1ワイヤ5a及び第2ワイヤ5bの弛み具合や頂点の位置にばらつきが生じた場合でも、第1ワイヤ5a及び第2ワイヤ5bから樹脂パッケージ部4表面までの距離を充分な長さに保つことができる。
【0060】
例えば、第2パッド部2bの中心部から平らな面となっている一部分4aまでの距離B1と第2パッド部2bの中心部からトンネル状の曲面となっている他の一部分4bの頂上部位までの距離B2との長さの比率が式(1)に示す状態になるように、樹脂パッケージ部4内における第2パッド部2bの位置が設定されていてもよい。
【0061】
B1:B2=1.5:2.5・・・式(1)
樹脂パッケージ部4は、例えば上型と下型とで構成された金型を用いて形成される。
【0062】
図8は、図1に示すリードタイプの電子部品の製造過程の状態の一例を示す断面図であり、完成時に樹脂パッケージ部4内部に配置される部位と樹脂パッケージ部4外部に配置される部位との境界面に添って切断した状態を示す。
【0063】
前記金型60の上型61の下面と下型62の上面とには、上型61と下型62とを重ね合わせたときに樹脂パッケージ部4と同じ形状の空洞部を形成する凹部61a,62aがそれぞれ形成されている。
【0064】
なお、図8に示す金型60の下型62の上面には、リードフレーム11のうち樹脂パッケージ部4で樹脂封止されない部位と略同じ形状の溝部も形成されている。従って、上型61と下型62とでリードフレーム11を挟み込んだときには、リードフレーム11のうち樹脂パッケージ部4で樹脂封止されない部位が前記溝部に収められる。但し、この溝部は、下型62の代わりに上型61の下面に形成されていてもよく、また、上型61と下型62とにわたって形成されていてもよい。
【0065】
このような金型60を用いてリードタイプの電子部品を形成する場合、まず初めに、リードフレーム11にダイボンディング及びワイヤボンディングによって水晶発振器3を電気的機械的に接続する。
【0066】
次いで、水晶発振器3及び第1,第2ワイヤ5a,5bごとリードフレーム11の領域(イ)が下型61の凹部61a内に配置されるようにリードフレーム11を位置決めし固定した状態で、下型61上方から上型62を降下させてリードフレーム11を下型61と上型62とによって紙面上下方向から挟み込む(図8(a)参照)。このとき、下型61と及び上型62の両凹部61a,62aによって形成された空洞部内に、リードフレーム11のうち図4に示す領域(イ)と水晶発振器3と第1,第2ワイヤ5a,5bとが配置される。
【0067】
このような状態において、前記空洞部内に熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ系樹脂(タブレット状で、高温硬化のもの)を充填し、真空加熱処理を施して熱硬化性樹脂を硬化させることによって樹脂パッケージ部4が形成される(図8(b)参照)。
【0068】
その後、上型を上昇させること等によって下型61と上型62とによるリードフレーム11の挟み込みを解除した後、金型(下型)から樹脂パッケージ部4を取り出す。
【0069】
最後に、樹脂パッケージ部4を金型から取り出したとき等に形成された樹脂ばり、及びダイバー部11a(図4参照)等といった不要な部位を除去することによって、リードタイプの電子部品(水晶発振器)を得ることができる。
【0070】
本実施形態のリードタイプの電子部品(水晶発振器)では、パッド部の平坦度を安定させることができる。そのため、圧電振動デバイスとして小型化された表面実装型の水晶発振器を用いた場合においても、ダイボンディングやワイヤボンディングを実施する位置がずれることによって圧電振動デバイスとパッド部との間で接続不良が発生することを防止できる。従って、表面実装型の水晶発振器をリードタイプの電子部品としてより簡素な構成で、かつ簡便に汎用させることができる。また、小型化された表面実装型の水晶発振器を用いることで小型化されたリードタイプの電子部品を得ることができる。その結果、つづら折りテーピング梱包やラジアルテーピング梱包を実施することができ、電子機器に実装する際に自動実装を容易に行なうことができる。
【0071】
なお、樹脂パッケージ部4の形状は図1に示す形状に限定されるものではない。
【0072】
図9は、図1に示すリードタイプの電子部品を構成する樹脂パッケージ部の一変形例を示す斜視図であり、図10は、図9に示す樹脂パッケージ部を備えたリードタイプの電子部品を形成する際に用いられる金型の一例を示す説明図である。
【0073】
本変形例において、樹脂パッケージ部40は、図1に示す樹脂パッケージ部4と同様に断面蒲鉾形であるが、図1に示す樹脂パッケージ部4と異なり先細りの柱形状に成形されている。即ち、樹脂パッケージ部40は、断面形状が半円形状ではなく蒲鉾形状である点が異なっているが、円錐台形を高さ方向に沿って2等分した形状と略同じ形状に成形されている。さらに詳しくは、樹脂パッケージ部40の一端面(第1〜第3リード端子1a〜1cが突出している面であり、紙面下面)40aの面積が、他端面(前記一端面に対向する端面であり、紙面上面)40bの面積よりも大きくなるように成形されている。
【0074】
樹脂パッケージ部40を図9に示すような先細りの柱形状に成形する場合には、図1に示す樹脂パッケージ4と同様に図8に示すような下型及び上型といった2型から構成された金型を用いてもよいが、図10に示すような1型の金型50を用いることもできる。
【0075】
金型50には削りだし加工等によって凹部50aが形成されており、当該凹部50aは樹脂パッケージ部40を一端面と他端面との位置が入れ替わるように半回転させた形状となっている。さらに、凹部50aの底部には例えば円柱形状の貫通孔50a1が設けられており、この貫通孔50a1内には、成型後に樹脂パッケージ部40を凹部50aから取り出す際に当該樹脂パッケージ部40を凹部50aの開口部に向けて突き上げるための突き上げ部材50bが配置されている。当該突き上げ部材50bは一端部を貫通孔50a1内に嵌合させることが可能な形状の棒状部材である。即ち、突き上げ部材50bは、凹部50aに熱硬化性樹脂を充填する際に貫通孔50a1から凹部50a外部へ熱硬化性樹脂が流出してしまうことを防止している。
【0076】
樹脂パッケージ部40を形成する際には、水晶発振器3及び第1,第2ワイヤ5a,5bごとリードフレーム11の領域(イ)を凹部50aに開口部から挿入して、リードフレーム11の領域(イ)と水晶発振器3と第1,第2ワイヤ5a,5bとが凹部50a内に配置されるようにリードフレーム11を位置決めし固定した状態で、凹部50a内に熱硬化性樹脂を充填する。このような状態において、加熱処理を施して熱硬化性樹脂を硬化させることによって樹脂パッケージ部40の成型が終了する。
【0077】
最後に、突き上げ部材50bによって樹脂パッケージ部40を開口部に向けて突き上げて、凹部50aから樹脂パッケージ部40を抜き取る。本変形例では、樹脂パッケージ部40の形状が先細りになっているため、図1に示す樹脂パッケージ部4と比較して樹脂パッケージ部40を金型50から容易に抜き取ることができる。
【0078】
なお、突き上げ部材50bの形状は図10に示す形状に限定されるものではない。例えば、突き上げ部材50bの両端部のうち貫通孔50a1内に配置される側の端部(前記一端部)に、貫通孔50a1よりも大径の抜け防止用フランジ部を備えていてもよい。この抜け防止用フランジ部は、貫通孔50a1の端部(紙面上端部)を覆うように凹部50aの底面に配置される。また、この抜け防止用フランジ部の断面形状は円形状であってもよく四角形状等といった他の形状であってもよい。
【0079】
また、樹脂パッケージ部4,40を形成する際には、熱硬化性樹脂として、前述したエポキシ系樹脂(タブレット状で、高温硬化のもの)とは異なる熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ系樹脂(液状で、低温硬化のもの)またはシリコーン系樹脂(液状で、低温硬化のもの))を用いてもよい。なお、前者の熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ系樹脂(タブレット状で、高温硬化のもの))を用いた場合には第1,第2ワイヤ5a,5bの断線や変形をより確実に防止することができるため好ましい。一方、後者の熱硬化性樹脂(例えば、ポキシ系樹脂(液状で、低温硬化のもの)またはシリコーン系樹脂(液状で、低温硬化のもの))を用いた場合には、前者の熱硬化性樹脂を用いた場合よりも耐熱性が低く安価な材料で形成された型を金型の代わりに用いて樹脂パッケージ部を成型することができ、これにより、製造コストを低減することができるため好ましい。
【0080】
次いで、樹脂パッケージ部の他の変形例について説明する。
【0081】
図11は、図1に示すリードタイプの電子部品を構成する樹脂パッケージ部の他の変形例を示す斜視図であり、同図(a)は斜視図、同図(b)はリードタイプの電子部品をD11で示す方向から見た状態を示す平面図、同図(c)はリードタイプの電子部品をD12で示す方向から見た状態を示す正面図、同図(d)はリードタイプの電子部品をD13で示す方向から見た状態を示す側面図である。
【0082】
本変形例においては、樹脂パッケージ部は、半球形状または略半球形状に成型されている。なお、前記半球形状とは、球形状の一部分を切断して除去した凸レンズ形状である。また、略半球形状とは、球形状の一部分を切断して除去し、この切断により形成された円形状の切断面が四角形状の切断面となるように、前記円形状の切断面と凸レンズ状の曲面(球形状の表面となっていた面)との境界部位を第2リード端子1bの長さ方向に対して平行な方向に沿って2箇所切断するとともに、前記長さ方向に対して垂直な方向に沿って2箇所切断した形状である。
【0083】
図11には、前記略半球形状に成型された樹脂パッケージ部70を備えたリードタイプの電子部品が図示されている。この樹脂パッケージ部70の表面の一部分70aは平らな面(図11(b)に示す正面)となっており、図示されていないが、この平らな面となっている一部分70aにはレーザマーキング等の印字が施されている。一方、樹脂パッケージ部70の表面の他の一部分(平らな面となっている一部分70aに対向する部位)70bは凸レンズ形状の曲面となっている。
【0084】
樹脂パッケージ部を半球形状または略半球形状に成型することによって凸レンズ形状の曲面を設けることにより、リードタイプの電子部品を電子機器に実装する際に、垂直方向(第2リード端子1bの長さ方向に対して垂直な方向)のみならず、水平方向(第2リード端子1bの長さ方向に対して平行な方向)においても樹脂パッケージ70の位置決めを行なうことができる。
【0085】
なお、本発明のリードタイプの電子部品において、樹脂パッケージ部の形状は図1、図9及び図11に示す形態に限定されるものではなく、例えば直方体形状や立方体形状などであってもよい。
【0086】
次いで、図1に示すリードタイプの電子部品を構成するパッド部の変形例について説明する。
【0087】
図12は、図1に示すリードタイプの電子部品を構成するパッド部の一変形例を示す説明図であり、樹脂モールド部を省略した状態のリードタイプの電子部品が示されている。また、図13は、図12に示すパッド部を拡大して示す説明図である。
【0088】
この変形例では、リードタイプの電子部品を構成する複数のパッド部のうちの少なくとも一つのパッド部の端面の少なくとも一部分がジグザグ状に成型されている。
【0089】
なお、本明細書において、ジグザグ状とは、端面に凹凸形状が形成されており、凸部の突起及び凹部の窪みが鋭角を成している形状を言う。
【0090】
図12では、略長方形の第1パッド部12a及び第3パッド部12cにおいて、第2リード端子1bの長さ方向(紙面上下方向)に対して垂直な端面(紙面上端面及び下端面)のうち、第1リード端子1aや第3リード端子1cとの境界部位に隣接する端面(紙面下端面)12a1,12c1がジグザグ状に成型されている。
【0091】
このようにジグザグ状に成型することによって、第1パッド部12a及び第3パッド部12cと樹脂モールド部との間の接触面積を増加することができるため、樹脂モールド部から第1パッド部12a及び第3パッド部12cごと第1リード端子1a及び第3リード端子1cが脱落してしまうことを防止できる。
【0092】
なお、ジグザグ状に成型する部位は図12に示す部位に限定されるものではなく、各パッド部の全ての端面の少なくとも一部分がジグザグ状に成型されていればよい。例えば、第2リード端子1bの長さ方向に対して平行な端面(紙面左端面及び紙面右端面)をジグザグ状に成型してもよく、この場合には、ジグザグ状に成型された部位が樹脂モールド部内部に引掛かるため、リード端子が脱落してしまうことをより確実に防止できる。
【0093】
また、パッド部の端面をジグザグ状に成型するために、凹部内面にジグザグ形状が予め設けられている金型を用いてリードフレームを形成してもよい。また、金型を用いてリードフレームを形成し、金型からリードフレームを取り出した後で、エッチング、打ち抜き加工または切削加工によって端面をジグザグ状に成型してもよい。
【0094】
次いで、図1に示すリードタイプの電子部品を構成するパッド部の他の変形例について説明する。
【0095】
図14は、図1に示すリードタイプの電子部品を構成するパッド部の他の変形例を示す説明図であり、同図(a)はパッド部の両主面(一主面及び他の主面)のうち、ダイボンディングが実施される一主面を示す説明図であり、同図(b)は矢印D21で示す方向から見た状態を示す説明図であり、同図(c)は矢印D22で示す方向から見た状態を示す説明図である。
【0096】
この変形例では、リードタイプの電子部品を構成する複数のパッド部のうちの少なくとも一つのパッド部の端部の少なくとも一部分に堤部が設けられている。
【0097】
図14では、略長方形の第1パッド部12a及び第3パッド部12cにおいて、第2リード端子1bの長さ方向(図14(a)において紙面上下方向)に対して垂直な端部(図14(a)において紙面上端部及び下端部)のうち、第1リード端子1aや第3リード端子1cとの境界部位を含む端部(図14(a)において紙面下端部)に前記一主面から突出する堤部22a1,22c1が形成されている。
【0098】
このような堤部22a1,22c1を形成することによって、第1パッド部12a及び第3パッド部12cと樹脂モールド部との間の接触面積を増加することができるとともに、堤部22aが樹脂モールド部内部に引掛かるため、樹脂モールド部から第1パッド部22a及び第3パッド部22cごと第1リード端子1a及び第3リード端子1cが脱落してしまうことを防止できる。
【0099】
なお、堤部を形成する部位は図14に示す部位に限定されるものではなく、各パッド部の全ての端部の少なくとも一部分に堤部が形成されていればよい。
【0100】
また、前記堤部は、金型を用いてリードフレームを形成する際に、パッド部の端部から後に堤部となる部材を予め延設しておき、リードフレームを金型から取り出した後に、前記端部と延設されている部材との境界部位に折り曲げ加工を施すことによって形成してもよい。
【0101】
前述のジグザグ状に成型する部位及び堤部を設ける部位は、第1パッド部12a及び第3パッド部12cの端部及び端面に限定されるものではなく、少なくとも寸法の小さいパッド部(例えば、ワイヤボンドに用いられるパッド部)に設けることが好ましい。また、1つのパッド部にジグザグ状の部位と堤部との両方の脱落防止部位を設けてもよい。さらにまた、1つの樹脂パッケージ部4内に、ジグザグ状の部位を備えたパッド部と堤部を備えたパッド部とが配置されていてもよい。
【0102】
また、前述の実施形態においては、水晶発振器3の蓋31bは導電性を有する材料(金属)を用いて形成されているが、非導電性の材料を用いて形成されていてもよく、この場合には、ダイボンディングによって蓋31b(水晶発振器3)は第2パッド部2bに機械的に固定されるのみであり、第2パッド部2bと水晶発振器3との電気的な接続はワイヤを用いたワイヤボンディングによって第2パッド部2bと水晶発振器3の外部電極とを接続することによって実施される。
【0103】
図2に示すリードタイプの電子部品においては、第2パッド部2bのみにダイボンディングを施すことにより水晶発振器3を接着し固定して搭載するとともに、第1パッド部2a及び第3パッド部2cにそれぞれワイヤボンディングを施すことによって、第1〜第3パッド部2a〜2cに水晶発振器3を電気的機械的に接続しているが、水晶発振器3等の圧電振動デバイスの搭載及び接続形態はこれに限定されるものではない。例えば、圧電振動デバイスの異なる部位を複数のパッド部に個々に接着することによって、これら複数のパッド部に圧電振動デバイスを搭載してもよい。
【0104】
また、第1〜第3パッド部2a〜2cに対する圧電振動デバイス(水晶発振器3)の搭載及び接続形態は、図2に示すものに限定されるものではない。さらに、この搭載及び接続形態や水晶発振器3の外部電極の仕様に応じて、パッド部の数及び形状や配置、並びに搭載及び接続手順を変更してもよい。
【0105】
例えば、図2に示す状態からベース31aと蓋31bとの位置が入れ替わるように水晶発振器3を半回転させ、ベース31aが第1〜第3パッド部2a〜2cと対向するように水晶発振器3を配置してもよい。この場合には、パッド部の数及び形状や配置は、水晶発振器3の外部電極の仕様に応じて設定され、各外部電極がいずれか一つのパッド部上に金属バンプ、金属メッキバンプまたは金属ワイヤバンプ(ワイヤ)等を用いてそれぞれフリップチップボンディングされて接合されるか、もしくは導電性接着剤(例えば、導電性を有する材料を含有するエポキシ系樹脂)や金属ろう材を用いて接合される。
【0106】
このような構成により、各外部電極をいずれか1つのリード端子に電気的機械的に接続する際に、全ての外部電極について同じ導電部材(金属バンプ、金属メッキバンプ、金属ワイヤバンプ、導電性接着剤または金属ろう材等)を用いて一括で接続作業を完了させることができるので、一般的な表面実装型水晶発振器を用いてリードタイプの電子部品を形成することができ、リードタイプの電子部品の構成をより簡素化することができる。さらに、一般的な表面実装型水晶発振器をリードタイプの電子部品に簡便に汎用させることができ、電子機器に実装する際に自動実装を容易に行なうことができる。
【0107】
さらに、本発明においては、リードフレームを形成する際に外周縁に打ち抜きバリが形成されおり、この打ち抜きバリが形成されている面、即ち一主面側に圧電振動デバイスを搭載することにより、バンプ部材(金属バンプ、金属メッキバンプまたは金属ワイヤバンプ(ワイヤ)等)に超音波振動を付与する際に、打ち抜きバリが形成されていない平らな面である他主面が作業台(リードフレームを載置するための台)に接触するため、パッド部の平坦度を向上させることができ、圧電振動デバイスとパッド部との電気的な接合の安定度を向上させることができる。また、打ち抜きバリが堤部の役割を果たすため、導電部材(金属ろう材、または導電性接着剤等)がパッド部の一主面からはみ出してしまう(オーバフローしてしまう)ことを防止することができる。
【0108】
次いで、圧電振動デバイスの他の搭載及び接続例として、金属バンプを用いたフリップチップボンディングを施すことによって複数のリード端子に圧電振動デバイスを電気的機械的に接続した場合について図面を参照しつつ説明する。
【0109】
図15は、図1に示すリードタイプの電子部品を構成する水晶発振器の他の搭載及び接続例を示す説明図である。
【0110】
ここでは、水晶発振器を、図2に示す状態からベース31aと蓋31bとの位置が入れ替わるように半回転させ、外部電極が複数のパッド部2に対向するように配置している。なお、図15では、水晶発振器を二点鎖線E1で簡易的に示し、水晶発振器の底面四隅にそれぞれ設けられた外部電極については二点鎖線E2〜E5で簡易的に示した。
【0111】
図15に示す搭載及び接続例では、複数のリード端子が、紙面左側に図示された帯状の第1リード端子21aと、紙面中央に図示された第1リード端子21bと、紙面右側に図示された帯状の第3リード端子21cとで構成されている。さらに、第1リード端子21aの一端部には、第1パッド部及び第2パッド部として機能するパッド部位が2箇所設けられており、第2リード端子21bの一端部には、紙面右方向に向けて突出した延長部位が第3パッド部として設けられており、第3リード端子21cの一端部には、第4パッド部として機能するパッド部位が1箇所設けられている。
【0112】
二点鎖線E1で示す水晶発振器を第1〜第3リード端子21a〜21cに搭載して電気的機械的に接続する際には、まず初めに、二点鎖線E2〜E5で示す各外部電極上に金属バンプ20a〜20dを形成する。
【0113】
続いて、各外部電極上の金属バンプ20a〜20dが前記第1〜第4パッド部にそれぞれ当接するように、第1〜第3リード端子21a〜21c上に水晶発振器を配置する。
【0114】
最後に、超音波振動を付与して各外部電極と各パッド部との間を金属バンプ20a〜20dを介して電気的機械的に接続する。
【0115】
本発明においては、超音波振動を付与する際に、打ち抜きバリが形成されていない平らな面である他主面が作業台(リードフレームを載置するための台)に接触するため、パッド部の平坦度を向上させることができ、圧電振動デバイスとパッド部との電気的な接合の安定度を向上させることができる。そのため、図15に示すような搭載例を実施した場合には、接続不良の発生をより確実に防止できる。
【0116】
また、前述の実施形態では、圧電振動デバイスとして表面実装型の水晶発振器が用いられているが、例えば表面実装型の水晶振動子または表面実装型の水晶フィルタを用いてもよい。
【0117】
さらにまた、パッド部の一主面及び他主面をより明確に区別するために、パッド部の一主面のうちの圧電振動デバイスが接触しない空き領域にエンボス加工等によってマークが形成されていてもよい。このマークは、例えば、パンチ部の一端面の前記空き領域に対向する部位に凸部を設けておき、打ち抜き加工を実施したときに同時にパッド部の空き領域に凸部を押し付けることによって形成されたものであってもよい。
【0118】
なお、本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明のリードタイプの電子部品は、電子機器に自動実装するために、つづら折りテーピング梱包やラジアルテーピング梱包した状態で出荷する際に活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明のリードタイプの電子部品の実施形態1を示す説明図である。
【図2】図1に示すリードタイプの電子部品の樹脂モールド部を省略した状態を示す説明図である。
【図3】図1に示すリードタイプの電子部品を構成する水晶発振器の一例を拡大して示す断面図である。
【図4】図1に示すリードタイプの電子部品を製造する際に用いられるリードフレームの一例を示す説明図である。
【図5】図1に示すリードタイプの電子部品を構成するパッド部のC−C線断面を拡大して示す説明図である。
【図6】図4に示すリードフレームを成型する際に用いられる打ち抜き手段の一例を示す断面図である。
【図7】図1に示すリードタイプの電子部品を拡大して示す平面図である。
【図8】図1に示すリードタイプの電子部品の製造過程の状態の一例を示す断面図である。
【図9】図1に示すリードタイプの電子部品を構成する樹脂パッケージ部の一変形例を示す斜視図である。
【図10】図9に示す樹脂パッケージ部を備えたリードタイプの電子部品を形成する際に用いられる金型の一例を示す説明図である。
【図11】図1に示すリードタイプの電子部品を構成する樹脂パッケージ部の他の変形例を示す斜視図である。
【図12】図1に示すリードタイプの電子部品を構成するパッド部の一変形例を示す説明図である。
【図13】図12に示すパッド部を拡大して示す説明図である。
【図14】図1に示すリードタイプの電子部品を構成するパッド部の他の変形例を示す説明図である。
【図15】図1に示すリードタイプの電子部品を構成する圧電振動デバイスの他の搭載及び接続例を示す説明図である。
【図16】従来のリードタイプの水晶発振器の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0121】
1a 第1リード端子
1b 第2リード端子
1c 第3リード端子
2a 第1パッド部
2b 第2パッド部
2b1 打ち抜きバリ
2c 第3パッド部
3 水晶発振器
4 樹脂パッケージ部
5a 第1ワイヤ
5b 第2ワイヤ
31 筐体
31a ベース
31b 蓋
32 水晶振動片
33 集積回路素子
34a,34b,34c,34d 外部電極
35 導電性樹脂接合材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のリード端子と、当該複数のリード端子の一端部にそれぞれ設けられた複数のパッド部と、圧電振動片を備えた圧電振動デバイスと、前記複数のリード端子の一端部とともに複数のパッド部及び圧電振動デバイスを樹脂封止する樹脂パッケージ部とから構成されており、
前記複数のパッド部の少なくとも一つのパッド部が、当該少なくとも一つのパッド部の一主面の外周縁に当該一主面に対して垂直な方向に突出する突起部を備えており、前記一主面側に前記圧電振動デバイスが搭載されるリードタイプの電子部品。
【請求項2】
請求項1記載のリードタイプの電子部品において、前記少なくとも一つのパッド部は、金属薄板に打ち抜き手段を用いた打ち抜き加工が施され成型されたものであり、前記突起部は、打ち抜き加工に形成された打ち抜きバリであるリードタイプの電子部品。
【請求項3】
請求項1または2記載のリードタイプの電子部品において、前記複数のリード端子のうちの少なくとも1つのリード端子が斜行部を備えているリードタイプの電子部品。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一つの請求項記載のリードタイプの電子部品において、前記樹脂パッケージ部は断面半円形または断面略半円形の柱形状に成型されているリードタイプの電子部品。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一つの請求項記載のリードタイプの電子部品において、前記樹脂パッケージ部は断面半円形または断面略半円の先細り柱形状に成型されているリードタイプの電子部品。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか一つの請求項記載のリードタイプの電子部品において、前記樹脂パッケージ部は半球形状または略半球形状に成型されているリードタイプの電子部品。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一つの請求項記載のリードタイプの電子部品において、前記複数のパッド部のうちの少なくとも一つのパッド部の端面の少なくとも一部分がジグザグ状に成型されているリードタイプの電子部品。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一つの請求項記載のリードタイプの電子部品において、前記複数のパッド部のうちの少なくとも一つのパッド部の端部の少なくとも一部分に、堤部が設けられているリードタイプの電子部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−87679(P2010−87679A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−252474(P2008−252474)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000149734)株式会社大真空 (312)
【Fターム(参考)】