説明

不揮発性半導体記憶装置

【課題】注入効率が高いソースサイドインジェクションによる電荷注入が可能で、標準的なCMOSプロセス工程内で基板上に実装可能な不揮発性半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】第2不純物拡散領域7と第3不純物拡散領域8と第2ゲート電極14を有する選択トランジスタ2と、第1不純物拡散領域6と第3不純物拡散領域8と第1ゲート電極13を有するメモリトランジスタ3と、第4不純物拡散領域9に形成された第5不純物拡散領域10と第3ゲート電極17を有するMOSキャパシタ4を備え、第1ゲート電極13と第3ゲート電極17を電気的に接続してフローティングゲートFGとし、第4不純物拡散領域9と第5不純物拡散領域10を制御ゲートCGとし、第2ゲート電極14を選択ゲートとしてメモリセル1を構成し、第3不純物拡散領域8の不純物密度を第1及び第2不純物拡散領域6、7より低く5×1012ions/cm以下に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的に情報の書き込み及び消去が可能な不揮発性半導体記憶装置に関し、特に、標準的なCMOSプロセス工程内で基板上に実装可能な不揮発性半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、標準的なCMOSプロセスに新たに工程を追加することなく混載可能な、電気的に情報の書き換えが可能な不揮発性半導体記憶装置が提供されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載の不揮発性半導体記憶装置の構成について、図20を参照して説明する。図20(a)は、特許文献1に記載の不揮発性半導体記憶装置が備える一メモリセルの概略断面図であり、図20(b)はその等価回路である。
【0003】
図20(a)に示されるメモリセル40は、P型半導体基板41上にN型ウェル42が形成されており、当該ウェル42の上にP型不純物拡散層50、51及びN型不純物拡散層52が形成されている。また、P型不純物拡散層51とN型不純物拡散層52とは素子分離絶縁膜54によって互いに分離形成されている。
【0004】
また、半導体基板41上のN型ウェル42が形成されていない領域内に、N型不純物拡散層48及び49が分離して形成されている。また、N型不純物拡散層49とN型ウェル42上に形成されているP型不純物拡散層50とは素子分離絶縁膜53によって互いに分離形成されている。
【0005】
そして、半導体基板41上のN型ウェル42が形成されていない領域の上部領域に、第1ゲート絶縁膜44を介して、N型不純物拡散層48及び49に挟まれた領域にオーバーラップするように第1ゲート電極46が形成されている。一方、N型ウェル42の形成領域の上部領域には、第2ゲート絶縁膜43を介して、P型不純物拡散層50及び51に挟まれた領域にオーバーラップするように第2ゲート電極45が形成されている。尚、この第1ゲート電極46と第2ゲート電極45とは導電体47によって電気的に接続されている。
【0006】
また、メモリセル40は、N型不純物拡散層48に対して電気的に接続を行うためのコンタクト55、N型不純物拡散層49に対して電気的に接続を行うためのコンタクト56、P型不純物拡散層50、51、及びN型不純物拡散層52に対して一律に電気的に接続を行うためのコンタクト57を夫々備える。図20(a)に示されるように、P型不純物拡散層50、51、及びN型不純物拡散層52は互いに同一ノードに接続されており、コンタクト57より所定の電圧が印加されると、前記拡散層50、51、及び52に対して一律に同電圧が印加される構成である。
【0007】
そして、上記構成のメモリセル40が行方向及び列方向に複数配列されてなるメモリセルアレイを備えて従来構成の不揮発性半導体記憶装置が構成される(例えば、特許文献1の図9参照)。このとき、所定の位置関係にある各メモリセルは、複数のビット線、ワード線、及びソース線によって夫々互いに電気的に接続される。以下では、コンタクト55がビット線に、コンタクト56がソース線に、コンタクト57がワード線に夫々接続されるものとする。
【0008】
即ち、図20(a)に示されるメモリセル40は、P型半導体基板41、N型不純物拡散層48、N型不純物拡散層49、第1ゲート絶縁膜44及び第1ゲート電極46によって構成されるMOSトランジスタ58と、N型ウェル42、P型不純物拡散層50、P型不純物拡散層51、第2ゲート絶縁膜43、及び、第2ゲート電極45によって構成されるMOSキャパシタ59とを備えてなる。そして、このMOSトランジスタ58を構成する第1ゲート電極46とMOSキャパシタ59を構成する第2ゲート電極45が、導電体47を介して接続され、第1ゲート電極46が第1ゲート絶縁膜44によって半導体基板41、並びにN型不純物拡散層48及び49と電気的に絶縁されており、第2ゲート電極45が第1ゲート絶縁膜43によってN型ウェル42、並びにP型不純物拡散層50及び51と電気的に絶縁されていることより、第1ゲート電極46、第2ゲート電極45(及びこれらを電気的に接続する導電体47)は、フローティングゲート電極FGを構成する(図20(b)参照)。
【0009】
このように構成されるメモリセル40に対し、コンタクト55よりN型不純物拡散層48に対して所定の第1正電圧を印加し、コンタクト56よりN型不純物拡散層49に対して接地電圧を印加し、コンタクト57よりP型不純物拡散層50、51、及びN型不純物拡散層52に対して第1正電圧より高電圧である所定の第2正電圧を印加した場合を想定する(以下、当該電圧印加状態を「第1電圧状態」と称する)。このとき、前記第2正電圧が、第2ゲート電極45の帯電電位に対して十分に高い電圧値である場合、換言すれば、N型ウェル42、並びにP型不純物拡散層50及び51の電位に対して、第2ゲート電極45の電位が十分低い場合には、第2ゲート電極45の下方のN型ウェル42と第2ゲート絶縁膜43との界面に反転層(以下、適宜「キャパシタ側反転層」と称する)が形成される。このとき、当該キャパシタ側反転層における少数キャリアであるホールは、隣接するP型不純物拡散層50及び51から供給されるため、前記反転層の電位は第2正電圧に結合する。
【0010】
ところで、キャパシタ側反転層と第2ゲート電極45との間には、寸法や材料に起因して所定の静電容量を有する。一方で、第2ゲート電極45と電気的に接続されている第1ゲート電極46においても、第1ゲート電極46と半導体基板41とのオーバーラップ部分において、半導体基板41に対して第1ゲート電極46の電位が正の方向に十分高い場合には第1ゲート電極46の下方に位置する半導体基板41と第1ゲート絶縁膜44との界面に反転層(以下、「トランジスタ側反転層」と称する)が形成され、このトランジスタ側反転層と第1ゲート電極46との間に寸法や材料に起因した所定の静電容量を有する。
【0011】
上記第1電圧状態において、半導体基板41の電位が接地電位であるとすると、半導体基板41とキャパシタ側反転層との間には第2正電圧の電位差が発生することとなる。第2ゲート電極45と第1ゲート電極46とは電気的に接続されており同電位であることより、第2ゲート電極45及び第1ゲート電極46(即ちフローティングゲート電極FG)は、キャパシタ側反転層との間の静電容量、及びトランジスタ側反転層との間の静電容量によって決定される所定の正電位を示す(電位が上昇する)。
【0012】
このとき、半導体基板41に対して第1ゲート電極46の電位が上昇することより、当該電位差が十分大きい値である場合には、第1ゲート電極46と半導体基板41との間のオーバーラップ部分と第1ゲート絶縁膜44との界面に上述のようにトランジスタ側反転層が形成される。上記第1電圧状態においては、コンタクト55よりN型不純物拡散層48に対して第1正電圧が、コンタクト56よりN型不純物拡散層49に対して接地電圧が夫々印加されており、N型不純物拡散層49からN型不純物拡散層48に向けて正電界が発生し、N型不純物拡散層49内の電子が、斯かる電界の影響を受けて加速されてホットエレクトロン状態となる。このホットエレクトロンは、第1ゲート電極46の高電圧状態に引き寄せられる結果、フローティングゲート電極FGに注入される。これにより、フローティングゲート電極FGは負に帯電する。
【0013】
MOSトランジスタ40は、フローティングゲート電極FGに蓄積された電子の多寡によって、トランジスタ側反転層を形成するためにコンタクト57よりN型ウェル42に対して印加すべき電圧値が変化する。即ち、コンタクト57より所定の第3正電圧を印加し、コンタクト55よりN型不純物拡散層48に対して所定の第4正電圧を印加した場合に、トランジスタ側反転層が形成されてMOSトランジスタ40が通電状態となる場合にはフローティングゲート電極FGに電子が十分に蓄積されておらず、逆に、トランジスタ側反転層が形成されずにMOSトランジスタ40が非導通状態である場合にはフローティングゲート電極FGに電子が十分蓄積されていることとなる。通常、フローティングゲート電極FGに電子が十分蓄積されて負に帯電されている状況を書き込み状態とし、逆の状態を消去状態とする。
【0014】
即ち、コンタクト55よりN型不純物拡散層48に対して前記第4正電圧を印加し、コンタクト56よりN型不純物拡散層49に対して接地電圧を印加し、コンタクト57よりP型不純物拡散層50、51、及びN型不純物拡散層52に対して夫々前記第3正電圧を印加して(以下、当該電圧印加状態を「第2電圧状態」と称する)、コンタクト55に接続されたビット線を流れる電流、或いはコンタクト56に接続されたソース線を流れる電流が検知されるか否かを判別し、当該判別結果を「0」及び「1」の2値に対応付けることでメモリセル40の情報の読み出し処理が行われる。
【0015】
以上により、メモリセル40に対して上記第1電圧状態とすることで情報の書き込み処理が行われ、上記第2電圧状態とすることで情報の読み出し処理が行われることとなる。尚、書き込み処理によってホットエレクトロンが注入されることで負に帯電したフローティングゲート電極FGは、周囲が絶縁膜(第1ゲート絶縁膜44及び第2ゲート絶縁膜43)によって分離されているため、斯かる帯電が揮発することはなく、長時間に亘って帯電状態が保持可能な構成である。また、コンタクト57より印加する電圧によって、メモリセル40に対する書き込み処理或いは読み出し処理が選択されることから、コンタクト57を介して実際に電圧が印加されるP型不純物拡散層50、51、及びN型不純物拡散層52は、メモリセル40を不揮発性半導体記憶装置の一メモリセルと見たときの制御ゲート電極CGに相当する。
【0016】
次に、フローティングゲート電極FGが負に帯電されて情報が蓄積されているメモリセル40の蓄積情報を消去する場合について説明する。
【0017】
消去動作を行う場合には、コンタクト57よりP型不純物拡散層50、51、及びN型不純物拡散層52に対して接地電圧を印加し、コンタクト55よりN型不純物拡散層48に対して所定の第5正電圧(前記第1正電圧程度、或いはそれよりも高電圧)を印加し、コンタクト56をフローティング(高インピーダンス)状態とする(以下、当該電圧印加状態を「第3電圧状態」と称する)。このとき、フローティングゲート電極FG(第1ゲート電極46)とN型不純物拡散層48との間に電位差が生じて高電界が発生し、FN(ファウラー・ノルドハイム)トンネリング現象によってフローティングゲート電極FG内に蓄積されていた電子がN型不純物拡散層48側に引き抜かれ、これによって書き込み状態が解除される。尚、この場合、コンタクト56からもN型不純物拡散層49に対して前記第5正電圧を印加して、フローティングゲート電極FGから対向する半導体基板41の面に向かって高電界を発生させて、斯かる電界によって電子の引き抜きを行っても良い。
【0018】
尚、別の消去方法として、フローティングゲート電極FGに対してホットホールを注入する方法が開示されている(例えば、非特許文献1参照)。当該非特許文献1に記載の方法を、図20に示すメモリセル40に適用すると以下のようになる。即ち、制御ゲート電極CGに対して接地電位から負電圧にかけての電圧を印加するとともに、コンタクト55よりN型不純物拡散層48に対して所定の正電圧を印加する。このとき、N型不純物拡散層48と制御ゲート電極CGとの間に逆極性の高電位差が生じ、その結果、N型不純物拡散層48の表面が深い欠乏状態となってエネルギバンドの曲がりが急峻となる。このときバンド−バンド間トンネリングにより電子が価電子帯より導電帯にトンネルする。この際、電子とホールの対が発生するが、この内、電子は、N型不純物拡散層48内に流れて吸収される一方、発生したホールは、N型不純物拡散層48と半導体基板41(半導体基板41が接地電位であるとする)との間における水平方向の電界によって、水平方向に加速されてホットホールとなり、更に、当該ホットホールが第1ゲート電極46の接地電位に近い正電圧状態に引き寄せられる結果、フローティングゲートFGに注入される(バンド−バンド間トンネリング誘起ホットホール注入)。この注入されたホットホールにより、フローティングゲート電極FG内に蓄積されていた電子が相殺され、負の帯電状態が解除されることで情報の消去が行われる。
【0019】
尚、上述のFNトンネリング現象による消去方法とホットホール注入による消去方法との間では、電圧の印加方法が似通っているが、前者の方法では実用的に印加可能な電圧範囲で絶縁膜の内部電界をトンネリング現象が生ずる程度まで十分高めるために極薄ゲート絶縁膜を採用することが必須となる一方で、後者の方法では極薄ゲート絶縁膜を採用する必要がない点で両者は異なるものである。
【0020】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている従来のメモリセルでは、チャネルホットエレクトロンの注入により情報の書き込みを行う構成であるため、書き込みの際に、メモリセル当たり100μA以上の電流量を必要とするとともに、ドレインとなるN型不純物拡散層48に対して印加される電圧も高電圧を必要とする。これは、N型不純物拡散層48の近傍にピンチオフ領域を形成して高電界状態を形成し、このピンチオフ領域内の高電界内によってチャネル内を移動する電子を加速させることで、電子に対して第1ゲート絶縁膜44のエネルギ障壁を超えるのに十分なエネルギを与える必要があるためである。しかしながら、この方法では、結果的に第1ゲート絶縁膜44のエネルギ障壁を超えるのに必要なエネルギを与えるために、ドレイン−ソース間(N型不純物拡散層48、49間)の高電圧をもって過剰なエネルギ量を電子に与えることとなり、上述のような過大な電流量を必要とする結果、注入効率が低いという問題があった。
【0021】
更に、書き込みの際に制御ゲートに高電圧(通常10〜15V)を印加する必要があるため、制御ゲートが接続されたワード線に印加する電圧を制御するワード線電圧制御回路は、高電圧と低電圧の切り替え、及び、ワード線の選択/非選択の切り替えを行うために、高耐圧素子を用いて回路を構成する必要があり、当該制御回路の面積が、低耐圧(1.8〜5V)の標準論理素子を用いた場合よりも増大するという問題があった。また、メモリセル当たりの上記N型不純物拡散層48、49間を流れる書き込み電流が非常に大きいため(1メモリセル当たり100μA〜1mA)、同時に複数のメモリセルを書き込む場合において、消費電流が増大するとともに、上記N型不純物拡散層48に第1正電圧を印加する回路の電流供給能力を十分に確保する必要がある。
【0022】
更に、上記従来のメモリセルでは、消去動作においてフローティングゲートFGから過剰に電子が引き抜かれると、閾値電圧が負電圧となる過消去状態となって、メモリセルアレイをNOR型に構成した場合に非選択状態でもメモリセルに電流が流れて他の選択メモリセルの読み出しに影響を及ぼす事態が生じる。従って、斯かる過消去状態とならないように消去動作を制御する必要があるが、メモリセル毎にメモリトランジスタと直列に選択トランジスタを設けて、非選択状態で選択トランジスタをオフにすることで、斯かる過消去状態を許容できるメモリセルが実現できる。しかし、チャンネルホットエレクトロンによる書き込みを前提とすると、当該選択トランジスタのトランジスタ寸法が非常に大きくなるため、メモリセルサイズの縮小化が阻害されるという問題があった。
【0023】
従って、構造に一定の特徴を持たせることで注入効率を高くできれば、上記問題が解消されることになる。例えば、図21及び図22に示すようなメモリセル構造を備えることで、フローティングゲートFGへの電子の注入をドレイン近傍からではなく、ソース側から行うことが可能となり、注入効率を高くできる(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。図21は、特許文献2に開示されたメモリセルの概略断面図を、図22は、特許文献3に開示されたメモリセルの概略断面図を夫々示している。
【0024】
図21に示されるように、特許文献2に開示されたメモリセル60では、半導体基板61上においてドレインとなる不純物拡散領域63とソースとなる不純物拡散領域62の間隔部分において、第2ゲート電極69とサイドスペーサ状の電荷蓄積層65を形成するとともに、これらの上部を覆うように第1ゲート電極67が形成される。第1ゲート電極67、第2ゲート電極69、電荷蓄積層65は相互に絶縁膜66で電気的に分離されている。
【0025】
また、図22に示されるように、特許文献3に開示されたメモリセル70では、半導体基板61上においてドレインとなる不純物拡散領域63とソースとなる不純物拡散領域62の間隔部分において、第1ゲート電極67の上部に第2ゲート電極69の一部が乗り上げることで、当該領域のゲート電極が2層構造を形成し、第1ゲート電極67と、第1ゲート電極67の側壁部分に第2ゲート電極69の一部が絶縁膜を介して隣接する構造を形成する。
【0026】
図21または図22に示されるような素子構造の下で、ドレインとなる不純物拡散領域63に正電圧を加え、ソースとなる不純物拡散領域62を接地電圧にした状態の下で、第2ゲート電極69、第1ゲート電極67に対し、この順に正電圧を印加する。第2ゲート電極69に正電圧が印加されることで、当該第2ゲート電極69の下部領域に形成されるチャネルが弱反転状態となり、第1ゲート電極67に正電圧が印加されることで、当該第1ゲート電極67の下部領域に形成されるチャネルが強反転状態となり、これらの境界付近で高電界が発生するため、ソース(不純物拡散領域62)側から供給された電子がこの高電界で励起されて、電荷蓄積層65に対しソース側から注入されることで情報が書き込まれる(ソースサイドインジェクション)。この書き込み方法によれば、特許文献1に記載の方法と比較して注入効率を1桁程度改善することができる。
【0027】
しかしながら、上記特許文献2及び特許文献3の何れの構成においても、図21或いは図22に示されるように、第1ゲート電極67と、第1ゲート電極67の側壁部分に第2ゲート電極69の一部が絶縁膜を介して隣接する構造となるように、2層のゲート材料を堆積する必要があり、製造工程が複雑化するという問題がある。また、製造工程を簡略化して第1及び第2ゲート電極を同一層で形成すると、第1及び第2ゲート電極間の間隔が大きくなりすぎるため、第2ゲート電極に対する印加電圧によって当該間隔部分における第1導電型の半導体基板表面の反転状態を制御することが困難となり、これに伴って少数キャリア密度が極度に低下するため、書き込みに必要な電流を確保できないという問題がある。
【0028】
【特許文献1】特開平6−334190号公報
【特許文献2】特許第2862434号明細書
【特許文献3】米国特許第5212541号明細書
【非特許文献1】Boaz Eitan et al.,"Can NROM, a 2 Bit, Trapping Storage NVM Cell, Give a real Challenge to Floating Gate Cells?", Extended Abstracts of the 1999 International Conference on Solid State Devices and Materials, Tokyo, 1999, p.522-523
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
このような問題点に鑑み、本発明は、注入効率が高いソースサイドインジェクションにより電荷注入を実現でき、且つ、標準的なCMOSプロセス工程内で基板上に実装可能な不揮発性半導体記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0030】
上記目的を達成するための本発明に係る不揮発性半導体記憶装置は、第1導電型の半導体基板の表面に形成された第2導電型の第1及び第2不純物拡散領域と、前記第1及び第2不純物拡散領域間の前記第1不純物拡散領域に近接する前記半導体基板上に、第1絶縁膜及び第1ゲート電極を下から順に積層してなる第1積層部と、前記第1及び第2不純物拡散領域間の前記第2不純物拡散領域に近接する前記半導体基板上に、第2絶縁膜及び第2ゲート電極を下から順に積層してなる第2積層部と、前記第1及び第2積層部間の前記半導体基板の表面に形成され、前記第2導電型の不純物密度が前記第1及び第2不純物拡散領域より低く5×1012ions/cm以下に設定されている第3不純物拡散領域と、前記第1、第2及び第3不純物拡散領域と前記第1及び第2積層部からなるトランジスタ形成領域の活性領域と素子分離領域によって電気的に分離して前記半導体基板の表面に形成された前記第2導電型の第4不純物拡散領域と、前記第4不純物拡散領域の表面に形成された前記第1導電型の第5不純物拡散領域と、前記第4及び第5不純物拡散領域上の一部領域に第3絶縁膜及び第3ゲート電極を下から順に積層してなる第3積層部を有し、前記第1ゲート電極と前記第3ゲート電極が電気的に接続してなるメモリセルを備えて構成されていることを第1の特徴とする。
【0031】
上記第1の特徴構成の不揮発性半導体記憶装置によれば、第4及び第5不純物拡散領域と第3ゲート電極の間に、第3絶縁膜を介してMOSキャパシタが形成され、第1ゲート電極と第3ゲート電極が電気的に接続してフローティングゲートが形成されるので、第1及び第3不純物拡散領域をドレイン−ソースとし、第4及び第5不純物拡散領域の少なくとも何れか一方を制御ゲートとし、第1ゲート電極と第3ゲート電極をフローティングゲートとするメモリトランジスタと、第3及び第2不純物拡散領域をドレイン−ソースとし、第2ゲート電極を選択ゲートとする選択トランジスタの直列回路によって、標準的なCMOSプロセス工程内で基板上に実装可能なメモリセルが形成される。
【0032】
ここで、第3不純物拡散領域内が第1及び第2不純物拡散領域内より第2導電型の不純物密度が低く設定されているため、第1不純物拡散領域と第2不純物拡散領域との間に電位差が生じている書き込み動作時において、第2不純物拡散領域内のキャリアがチャネル領域内を第1不純物拡散領域に向けて移動する際に、第3不純物拡散領域内において移動速度が低下し、当該領域内で電流が律速される。これにより、第1不純物拡散領域と第2不純物拡散領域との間の電位差が事実上第3不純物拡散領域内に集中し、当該領域が高電界状態となる(水平方向に高電界が発生する)。従って、キャリアが第3不純物拡散領域内を移動することによって、高電界に起因して当該キャリアが励起されてエネルギが上昇し、第1積層部近傍でホットキャリア状態となる。このとき、第4及び第5不純物拡散領域の少なくとも何れか一方を制御ゲートに当該キャリアと極性が逆となる電圧を印加することで、第1積層部近傍の第3不純物拡散領域内から第1絶縁膜のエネルギ障壁を超えて第1ゲート電極(フローティングゲート)に当該ホットキャリアが取り込まれ、情報が保持されることとなる。即ち、第3不純物拡散領域内を低密度状態とすることで、従来のソースサイドインジェクションによる書き込みが可能なメモリセルのようにゲート電極の一部領域が2層構造となるようにゲート材料を配置することなく、標準的なCMOSプロセス工程内でソースサイドインジェクションが実現可能となる。また、チャネルホットエレクトロンがドレイン近傍からフローティングゲートに注入される従来構成と比較してメモリセル領域を流れる電流が制限されるため、ホットエレクトロンの注入効率が向上する。特に、標準的な製造条件の下で電子が第3不純物拡散領域からフローティングゲート内にトラップされる際に生じる電流の最大値を大きくすることができ、言い換えれば、第3不純物拡散領域からフローティングゲートに対して単位時間内に多くの電子をトラップすることができるため、メモリセルに対して情報の書き込みを正しく行うことが可能となる。
【0033】
特に、第3不純物拡散領域における第2導電型の不純物密度を5×1012ions/cm以下に設定することにより、標準的な製造条件の下で電子が第3不純物拡散領域からフローティングゲート内にトラップされる際に生じる電流の最大値を大きくすることができ、言い換えれば、第3不純物拡散領域からフローティングゲートに対して単位時間内に多くの電子をトラップすることができるため、メモリセルに対して情報の書き込みを正しく行うことが可能となる。
【0034】
また、本発明に係る不揮発性半導体記憶装置は、上記第1の特徴構成に加えて、前記第3不純物拡散領域の上部に何れのゲート電極も配置されていないことを第2の特徴とする。
【0035】
上記第2の特徴構成の不揮発性半導体記憶装置によれば、構造が簡素化されるため少ない工程数で製造することが可能となる。尚、本特徴構成における上記「ゲート電極」には、第1ゲート電極及び第2ゲート電極を含むものとする。
【0036】
また、本発明に係る不揮発性半導体記憶装置は、上記第1または第2の特徴構成に加えて、前記第1及び第2不純物拡散領域内の前記第2導電型の不純物密度が1×1015ions/cm以上に設定されていることを第3の特徴とする。
【0037】
上記第3の特徴構成の不揮発性半導体記憶装置によれば、第3不純物拡散領域内の不純物密度と第1及び第2不純物拡散領域内の不純物密度との間に大きな差異が生じるため、第3不純物拡散領域内に高電界が発生する効果を顕著に得ることができる。
【0038】
また、本発明に係る不揮発性半導体記憶装置は、上記第1〜第3の何れかの特徴構成に加えて、前記第1、第2及び第3ゲート電極が同じ導電性材料で形成されていることを第4の特徴とする。
【0039】
上記第4の特徴構成の不揮発性半導体記憶装置によれば、前記第1、第2及び第3ゲート電極を同一工程内で形成することができ、不揮発性半導体記憶装置の製造工程の短縮化及び低コスト化を図ることができる。
【0040】
また、本発明に係る不揮発性半導体記憶装置は、上記第4の特徴構成に加えて、前記第1及び第3ゲート電極と、前記第1及び第3ゲート電極を電気的に接続する接続配線が、同じ導電性材料によって形成され、前記接続配線が前記素子分離領域上に形成されていることを第5の特徴とする。
【0041】
更に、本発明に係る不揮発性半導体記憶装置は、上記第5の特徴構成に加えて、前記第1及び第3ゲート電極と前記接続配線が一直線上に形成されていることを第6の特徴とする。
【0042】
上記第5または第6の特徴構成の不揮発性半導体記憶装置によれば、第1及び第3ゲート電極と接続配線を同一の導電性材料によって一体化して形成することができ、メモリセルサイズの縮小化を図ることができる。
【0043】
また、本発明に係る不揮発性半導体記憶装置は、上記第1〜第6の何れか一の特徴構成に加えて、前記メモリセルを複数配列してなるメモリセルアレイを備え、前記メモリセルアレイ内の2以上の前記メモリセル間において、前記第4不純物拡散領域が単一領域として形成され、共通に使用されることを第7の特徴とする。
【0044】
上記第7の特徴構成の不揮発性半導体記憶装置によれば、前記第4不純物拡散領域が隣接する2以上の前記メモリセル間において、第4不純物拡散領域が単一領域として形成されるため、メモリセル間において第4不純物拡散領域を電気的に分離するための素子分離領域を設ける必要がなくなり、メモリセルサイズの縮小化を図ることができる。
【0045】
また、本発明に係る不揮発性半導体記憶装置は、上記第7の特徴構成に加えて、単一領域として形成された前記第4不純物拡散領域を共有する2以上の前記メモリセルからなるメモリセル群において、前記第1不純物拡散領域が、夫々前記メモリセル別のビット線、前記メモリセル群の部分集合別のビット線、または、前記メモリセル群に共通のビット線に接続し、前記第2不純物拡散領域が、夫々前記メモリセル別のソース線、前記メモリセル群の部分集合別のソース線、または、前記メモリセル群に共通のソース線に接続し、前記第4及び第5不純物拡散領域の少なくとも何れか一方が、夫々前記メモリセル群に共通の制御ゲート線に接続し、前記第2ゲート電極が、夫々前記メモリセル別のワード線、前記メモリセル群の部分集合別のワード線、または、前記メモリセル群に共通のワード線に接続していることを第8の特徴とする。
【0046】
また、本発明に係る不揮発性半導体記憶装置は、上記第8の特徴構成に加えて、単一領域として形成された前記第4不純物拡散領域内の全ての前記第5不純物拡散領域と前記第4不純物拡散領域が電気的に接続していることを第9の特徴とする。
【0047】
上記第8または第9の特徴構成の不揮発性半導体記憶装置によれば、単一領域として形成された第4不純物拡散領域を共有する2以上のメモリセルに対して、第4及び第5不純物拡散領域の少なくとも何れか一方に共通の制御ゲート線を介して同時に書き込み用或いは読み出し用の制御ゲート電圧を印加しながら、当該メモリセル群に対して、ビット線、ソース線、ワード線の何れか1つをメモリセル別に制御するか、或いは、何れかの組み合わせを前記メモリセル群の部分集合別に制御することにより、メモリセル毎に情報の書き込み及び読み出しを行うことができる。
【0048】
特に、上記第9の特徴構成の不揮発性半導体記憶装置によれば、制御ゲート線と、フローティングゲートとして機能する第3ゲート電極間の結合容量が、第4及び第5不純物拡散領域の何れか一方だけが、共通の制御ゲート線に接続する場合に比べて大きくなるので、書き込み用或いは読み出し用の制御ゲート電圧の低電圧化が図れる。
【0049】
また、本発明に係る不揮発性半導体記憶装置は、上記第7〜第9の何れかの特徴構成に加えて、単一領域として形成された前記第4不純物拡散領域を共有する2以上の前記メモリセルにおいて、前記第4不純物拡散領域内に形成された2つの前記メモリセル間で隣接する2つの前記第3積層部の離間する方向と、前記各メモリセルにおける前記第1及び第2不純物拡散領域の離間する方向とが一致していることを第10の特徴とする。
【0050】
上記第10の特徴構成の不揮発性半導体記憶装置によれば、2つのメモリセル間で隣接する第3積層部の離間する方向と各メモリセル内の第1及び第2不純物拡散領域の離間する方向とが一致しているので、当該2つのメモリセル間で1つの第2不純物拡散領域を共通に使用するメモリセルの配置が可能となり、この結果、メモリセルサイズの縮小化を図ることができる。
【0051】
また、本発明に係る不揮発性半導体記憶装置は、上記第7〜第10の何れかの特徴構成に加えて、単一領域として形成された前記第4不純物拡散領域を共有する2以上の前記メモリセルにおいて、前記第4不純物拡散領域内に形成された2つの前記メモリセル間で隣接する2つの前記第3積層部の間に、当該2つのメモリセル間で共有される前記第5不純物拡散領域が形成されていることを第11の特徴とする。
【0052】
上記第11の特徴構成の不揮発性半導体記憶装置によれば、単一領域として形成された第4不純物拡散領域を共有する2以上のメモリセルにおいて、夫々の第3積層部と第5不純物拡散領域を交互に、2つのメモリセル間で隣接する第3積層部の離間する方向に繰り返し配置できるので、当該2以上のメモリセルの各第3積層部と第5不純物拡散領域を素子分離領域に囲まれた単一の活性領域内に配置でき、メモリセルサイズの縮小化を図ることができる。
【0053】
また、本発明に係る不揮発性半導体記憶装置は、上記第1〜第10の何れかの特徴構成に加えて、前記メモリセルの構成領域以外の周辺回路領域内に、前記第2絶縁膜と同じ膜厚で同じ絶縁性材料、前記第2ゲート電極と同じ導電性材料、及び、前記第1及び第2不純物拡散領域と同じ不純物濃度の前記第2導電型の不純物拡散領域を有して構成されるトランジスタを備えることを第12の特徴とする。
【0054】
上記第12の特徴構成の不揮発性半導体記憶装置によれば、メモリセル形成工程を経ることで周辺回路領域内のトランジスタを同時に形成することができ、不揮発性半導体記憶装置の製造工程の短縮化及び低コスト化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
以下において、本発明に係る不揮発性半導体記憶装置(以下、適宜「本発明装置」と称する)の実施形態について図面を参照して説明する。
【0056】
〈第1実施形態〉
先ず、本発明装置全体の構成例について説明をし、本発明装置の特徴部分であるメモリセル領域の構成について後で説明を行う。
【0057】
図1は、第1実施形態に係る本発明装置の一構成例であるEEPROMの全体的な概略構成を示すブロック図である。図1に示す本発明装置20は、複数のメモリセル1がマトリクス状に配列されてなるメモリセルアレイ21、データ入出力端子23、入力バッファ24、ドレイン電圧制御回路25、カラムデコーダ26、アドレス入力端子27、アドレスバッファ28、ロウデコーダ29、選択ゲート電圧制御回路31、出力バッファ32、センスアンプ33、ソース電圧制御回路34、制御ゲート電圧制御回路35及び各制御回路及びバッファ等を制御する制御手段(不図示)を備えて構成される。
【0058】
メモリセルアレイ21は、電気的に書き換え可能なメモリセル1が行方向及び列方向に夫々複数マトリクス状に配置されて構成される。各メモリセル1は、メモリセル選択用の選択トランジスタ2と、情報蓄積用のメモリトランジスタ3と、MOSキャパシタ4を備えて構成される。ここで、メモリトランジスタ3のゲート(第1ゲート電極に相当)とMOSキャパシタ4の一方端(第3ゲート電極に相当)が電気的に接続することで、メモリトランジスタ3のゲートとMOSキャパシタ4の一方端をフローティングゲートとし、MOSキャパシタ4のメモリトランジスタ3のゲートと接続しない側の端子を制御ゲートとする不揮発性のメモリトランジスタ(以下、便宜的に「複合トランジスタ」と称する)が構成される。選択トランジスタ2とメモリトランジスタ3は、選択トランジスタ2のドレインとメモリトランジスタ3のソースが接続して直列回路を形成し、選択トランジスタ2のソースとメモリトランジスタ3のドレインが、夫々メモリセル1を1つのトランジスタと見た場合のソースとドレインとなっている。
【0059】
個々のメモリセル1は、MOSキャパシタ4の制御ゲートが制御線CLに、選択トランジスタ2のゲート(選択ゲート)がワード線WLに、メモリセル1のドレインがビット線BLに、メモリセル1のソースがソース線SLに、夫々接続している。本第1実施形態では、制御線CL、ビット線BL、及び、ソース線SLは夫々列方向に延伸し、ワード線WLは行方向に延伸して夫々配線されている場合を想定して説明する。尚、個々のメモリセル1及びメモリセルアレイ21の各構成の詳細については後述する。
【0060】
ドレイン電圧制御回路25はビット線BLに印加する電圧の制御を行い、選択ゲート電圧制御回路31はワード線WLに印加する電圧の制御を行い、ソース電圧制御回路34はソース線SLに印加する電圧の制御を行い、制御ゲート電圧制御回路35は制御線CLに印加する電圧の制御を行う。
【0061】
アドレスバッファ28は、アドレス入力端子27より入力されたアドレス信号が与えられると、与えられたアドレス信号をカラムアドレスとロウアドレスに分割して、夫々カラムデコーダ26及びロウデコーダ29に各別に入力する。カラムデコーダ26は入力されたカラムアドレスに対応したビット線BL及び制御線CLを選択し、ロウデコーダ29は入力されたロウアドレスに対応したワード線WLを選択する。そして、カラムデコーダ26及びロウデコーダ29によって選択されたメモリセルに対し、データ入出力端子23から入力されたデータが入力バッファ24を介して書き込まれ、或いは、カラムデコーダ26及びロウデコーダ29によって選択されたメモリセルに書き込まれていた情報が読み出され、センスアンプ33を介して増幅された後、出力バッファ32を介してデータ入出力端子23へと出力される。
【0062】
次に、個々のメモリセル1の構成について詳細に説明する。図2は、メモリセル1の概略の断面構造を示す断面図であり、図3は、メモリセル1の概略の平面構造を示すレイアウト図である。尚、図2及び図3に示す概略の断面構造図及び平面構造図は模式的に図示されたものであり、実際のメモリセル1の各部の寸法比と図面の対応する寸法比とは必ずしも一致するものではない。また、図2に概略の断面構造図では、選択トランジスタ2とメモリトランジスタ3の断面は図3のA−A’断面であり、MOSキャパシタ4の断面は図3のB−B’断面であり、異なる断面を便宜的に合成して図示している。
【0063】
個々のメモリセル1は、上述の如く、図2及び図3に示すように、メモリセル選択用の選択トランジスタ2と、情報蓄積用のメモリトランジスタ3と、MOSキャパシタ4を備えて構成される。メモリトランジスタ3は、P型シリコン半導体基板5上に膜厚が2〜50nm程度の第1絶縁膜12及び第1ゲート電極13が下から順に積層された第1積層部と、第1積層部を挟んだ両側のP型シリコン半導体基板5の表面に形成されたN型の第1不純物拡散領域6及び第3不純物拡散領域8を備えて構成される。選択トランジスタ2は、P型シリコン半導体基板5上に膜厚が2〜50nm程度の第2絶縁膜14及び第2ゲート電極15が下から順に積層された第2積層部と、第2積層部を挟んだ両側のP型シリコン半導体基板5の表面に形成されたN型の第2不純物拡散領域7及び第3不純物拡散領域8を備えて構成される。従って、選択トランジスタ2のドレインとメモリトランジスタ3は同じ第3不純物拡散領域8を共有して接続し、直列回路を構成する。
【0064】
ここで、第1絶縁膜12及び第2絶縁膜14としては、例えばシリコン酸化膜を利用することができる。また、第1ゲート電極13及び第2ゲート電極15としては、例えばN型不純物が導入されたポリシリコンと高融点金属(タングステン等)の2層構造を利用することができる。また、メモリトランジスタ3のドレインである第1不純物拡散領域6と選択トランジスタ2のソースである第2不純物拡散領域7は、夫々、N型の不純物密度が1×1015ions/cm以上に設定され、第1積層部と第2積層部に挟まれた第3不純物拡散領域8は、N型の不純物密度が5×1012ions/cm以下に設定されている。
【0065】
MOSキャパシタ4は、P型シリコン半導体基板5の表面に、選択トランジスタ2とメモリトランジスタ3が形成されるトランジスタ形成領域Rtの活性領域(不純物拡散領域6〜8及び第1積層部と第2積層部の下方に位置するチャネル領域)と素子分離領域18によって電気的に分離して形成されたN型ウェル9(第4不純物拡散領域に相当)上に形成される。より具体的には、N型ウェル9及びN型ウェル9の表面に形成されたP型の第5不純物拡散領域10上の一部領域に、膜厚が2〜50nm程度の第3絶縁膜16及び第3ゲート電極17を下から順に積層してなる第3積層部を有し、N型ウェル9を制御線CLと接続するためのコンタクト用のN型の第6不純物拡散領域11が、N型ウェル9の表面に形成されて構成されている。
【0066】
本第1実施形態では、図2及び図3に示すように、MOSキャパシタ4の第3ゲート電極17が、メモリトランジスタ3の第1ゲート電極13と同じ導電性材料(例えば、N型不純物が導入されたポリシリコンと高融点金属(タングステン等)の2層構造)で形成され、更に、第1ゲート電極13と同じ導電性材料で素子分離領域18上に形成された接続配線19で電気的に接続されて、フローティングゲートFGを構成している。つまり、第1ゲート電極13と第3ゲート電極17と接続配線19が同じ導電性材料により一体化された構成となっており、夫々が一直線上に整列している。更に、第5不純物拡散領域10と第6不純物拡散領域11が電気的に接続されて制御ゲートCGを構成している。
【0067】
図2及び図3に示すメモリセル1では、メモリトランジスタ3の第1ゲート電極13とMOSキャパシタ4の第3ゲート電極17が接続配線19によって電気的に接続してフローティングゲートFGを構成することにより、メモリトランジスタ3、MOSキャパシタ4、及び、接続配線19によってフローティングゲートFGと制御ゲートCGを備えた2重ゲート構造の不揮発性のメモリトランジスタ(複合トランジスタ)が形成される。
【0068】
また、本第1実施形態において、メモリセルアレイ21の周辺部に形成される周辺回路領域内のMOSトランジスタのゲート絶縁膜の膜厚及び絶縁性材料を、選択トランジスタ2の第2絶縁膜14と共通にし、当該周辺回路領域内のMOSトランジスタのゲート電極の導電性材料を、選択トランジスタ2の第2ゲート電極15と共通にし、当該周辺回路領域内のMOSトランジスタのドレイン及びソースの不純物濃度を第1及び第2不純物拡散領域6、7と共通にすることで、メモリセル1の選択トランジスタ2及びメモリトランジスタ3を形成する過程で、当該周辺回路領域内のMOSトランジスタが同時に形成される。
【0069】
選択トランジスタ2の閾値電圧は、周辺回路領域内の電源電圧Vccより低く、接地電圧0Vよりは十分高い値に設定されており、例えば、0.5V〜2V程度の範囲内の値とすることができる。本第1実施形態では、電源電圧Vccを3.3V程度、第2絶縁膜14の膜厚が7nmの場合を想定して説明する。
【0070】
また、上記構成の個々のメモリセル1は、選択トランジスタ2の第2ゲート電極15が選択ゲートとしてワード線WLに接続し、MOSキャパシタ4の第5不純物拡散領域10と第6不純物拡散領域11(制御ゲートCG)が制御線CLに接続し、第1不純物拡散領域6がビット線BLに接続し、第2不純物拡散領域7がソース線SLに接続している。
【0071】
次に、上記構成のメモリセル1の書き込み動作について説明する。本発明のメモリセル1の特徴は、メモリトランジスタ3の第1ゲート電極13とMOSキャパシタ4の第3ゲート電極17が電気的に接続して2重ゲート構造の複合トランジスタを形成し、更に、メモリトランジスタ3と選択トランジスタ2が第1及び第2不純物拡散領域6、7より低不純物濃度の第3不純物拡散領域8を介して直列に接続された構造を有している点である。第3不純物拡散領域8の不純物濃度が、第1及び第2不純物拡散領域6、7より低く設定されることで、書き込み時の第1及び第2不純物拡散領域6、7間を流れる書き込み電流を抑制したソースサイドインジェクションが可能となる。以下、上記構成のメモリセル1の書き込み特性について詳細に説明する。
【0072】
本第1実施形態では、書き込み時の電圧印加条件として、書き込み対象のメモリセルに接続するビット線BLに4V程度、制御線CLに8〜12V程度、ワード線WLに閾値電圧より僅かに高電圧の1〜2V程度、及び、ソース線SLに接地電圧0Vの各電圧を、夫々印加する(以下、当該電圧印加状態を便宜的に「書き込み動作状態」と称する)。
【0073】
メモリセル1の各部に上記各電圧を印加したとき、半導体基板5上における第2積層部(第2絶縁膜14)の下部領域14a及び第1積層部(第1絶縁膜12)の下部領域12aの夫々にチャネル領域が形成される。これにより、第1、第3及び第2不純物拡散領域6、8、7が順番に電気的に接続した状態となる。即ち、第2不純物拡散領域7内の電子が、第1不純物拡散領域6内にビット線BLを介して印加される正電圧(4V程度)によって引き付けられて、第2積層部の下部領域14a内に形成されるチャネル領域、第3不純物拡散領域8を経由して第1積層部の方向に移動する。
【0074】
ところで、上述したように第3不純物拡散領域8内の不純物密度は5×1012ions/cm以下程度と低い値に設定されている。このため、第2不純物拡散領域7内の電子が第3不純物拡散領域8内を移動する際にドリフト伝導し、第3不純物拡散領域8内で移動速度が低下する。言い換えれば、第3不純物拡散領域8内において電流が律速されることとなる。これにより、第1不純物拡散領域6と第2不純物拡散領域7との間の電位差が事実上第3不純物拡散領域8内に集中し、当該領域が高電界状態となる(水平方向に高電界が発生する)。更に、第2ゲート電極15の印加電圧を制御して第2積層部の下部領域14aを弱反転状態とすることで第2積層部の下部領域14aと第3不純物拡散領域8の接点部分の電位を接地電位に近付け、第3不純物拡散領域8内の電位差をより大きく広げることができる。即ち、第3不純物拡散領域8内の電界をより高くする効果がある。
【0075】
図4は、上記書き込み動作状態において半導体基板5上に形成されるチャネル領域内の水平方向位置に対するポテンシャル変化の推移を、図5は、当該書き込み動作状態で半導体基板5上に形成されるチャネル領域内の水平方向位置に対する水平方向電界の大きさの推移を夫々概念的に示したグラフである。尚、図2、図4及び図5において、半導体基板5上の第2不純物拡散領域7及び第2積層部の下部領域14aを領域A、第3不純物拡散領域8を領域B、第1積層部の下部領域12a及び第1不純物拡散領域6を領域Cとして図示している。
【0076】
上述したように、第3不純物拡散領域8内における第1及び第2不純物拡散領域6、7間を流れる書き込み電流の律速と高い電位差に起因して、当該領域(領域B)内が高電界状態となる(図5参照)。そして、第2不純物拡散領域7内の電子が当該領域(領域B)内を移動することによって、この高電界に起因して励起され、ポテンシャルが上昇する(図4参照)。このようにポテンシャルが上昇した電子は、第3不純物拡散領域8内の第1積層部の近傍においてホットエレクトロンとなる。このとき、上記書き込み動作状態では上述のように制御線CLを介して第5不純物拡散領域10と第6不純物拡散領域11(制御ゲートCG)に正電圧が印加されているため、当該ホットエレクトロンが第1ゲート電極13側に引き付けられ、第1ゲート電極13(フローティングゲートFG)に取り込まれることで情報が書き込まれる。即ち、図2に示されるメモリセル構造の下、上記書き込み動作状態とすることでメモリセル1に対して情報の書き込みを行うことができる。
【0077】
一方、第3不純物拡散領域8の不純物密度が高い場合、図4に示す領域Bの両端における電位差が減少し、図4の領域Bと領域Cの境界付近の高いポテンシャルが領域Bと領域Aの境界付近まで延在することになり、電界のピークが領域Bと領域Aの境界付近まで移動する。この場合、高電界によるホットキャリアの発生箇所が第1ゲート電極13(フローティングゲートFG)のある第1積層部から離れるため、第1積層部に対するホットキャリアの注入確率は低下し、電子が第3不純物拡散領域8から第1ゲート電極13内にトラップされる際に生じる電流の最大値(以下、「最大ゲート電流」と称する)は低下する。このように、最大ゲート電流を確保するため、第3不純物拡散領域8の不純物密度は上述の範囲内(5×1012ions/cm以下)で十分低いことが好ましい。
【0078】
また、第2ゲート電極15の電圧が高い場合、選択トランジスタ2のチャネルが強反転となり、高いゲート電圧により図4に示す領域Aにおける選択トランジスタ2のチャネル部分の電位が上昇するため、領域Bと領域Aの境界付近の電位が上昇する。このため、第3不純物拡散層8(領域B)の両端での電位差が減少し、領域Bにおけるピーク電界の大きさも低下する。この結果、ホットキャリアの生成確率が減少し最大ゲート電流は低下する。このため、選択トランジスタ2のチャネルが弱反転状態であることが好ましい。また、第2積層部の下部領域14aに反転層が形成されていない状況では、選択トランジスタ2がオフ状態であり、書き込みに必要な書き込み電流そのものが流れないためホットキャリアを発生させることはできない。
【0079】
以上より、上記書き込み動作状態において、第3不純物拡散領域8の不純物密度が上述の範囲内(5×1012ions/cm以下)で十分低く、更に、第2ゲート電極15の電圧が閾値電圧近傍で、選択トランジスタ2のチャネルが弱反転状態であることが好ましい。
【0080】
本発明装置によれば、第1積層部と第2積層部の間に形成される第3不純物拡散領域8(領域B)の不純物密度を低密度状態とすることで、上記書き込み動作状態において、当該領域(領域B)内の電子移動を律速させる。更に、第2ゲート電極15に第2積層部の下部領域を弱反転状態にする電圧を加えることで、第2積層部16の下部領域と第3不純物拡散領域8の接点部分の電位を接地電位に近づけ、前記第3不純物拡散領域8内の電位差をより大きく広げる。これによって当該領域(領域B)内に高電界を発生させてホットエレクトロンが生成される。そして、当該ホットエレクトロンがメモリトランジスタ3のソース側から第1ゲート電極13(フローティングゲートFG)内に注入されるソースサイドインジェクションが実現されることとなる。このとき、図2及び図3に示すように、本発明に係るメモリセル1の構造は選択トランジスタ2とメモリトランジスタ3とMOSキャパシタ4を水平方向に配列した構造であるため、標準的なCMOSプロセス工程内で基板上に実装可能であり、上記特許文献2、3に示した従来の不揮発性のメモリセル構成(図21、図22参照)と比較してメモリトランジスタのゲート電極の一部領域を2層構造にすることなくソースサイドインジェクションが実現されるため、製造工程を簡素化することができる。また、チャネルホットエレクトロンを生成して電荷蓄積層に注入する上記特許文献3に示した従来の不揮発性のメモリセル構成(図20参照)と比較した場合、ソースサイドインジェクションにより電荷蓄積層であるフローティングゲートFGに電子の注入を行うことができる本発明装置の方が、書き込み電流を低減することができ、注入効率を1桁程度改善することができる。即ち、本発明装置によれば、従来構成と比較して注入効率の改善と製造工程の簡素化の両立を実現することが可能となる。
【0081】
尚、第3不純物拡散領域8のチャネル方向(水平方向)の距離を短くするほど当該領域内の水平方向電界が大きくなるため、第3不純物拡散領域8の水平方向距離は狭い方が好ましい。従って、当該領域(領域B)の水平方向距離は、第1ゲート電極13及び第2ゲート電極15の加工処理が可能な最小間隔として構わない。第3不純物拡散領域8の水平方向距離を十分小さい100nm程度以下とする場合、第1ゲート電極13或いは第2ゲート電極15の第3不純物領域8に対面する側壁から第3不純物拡散領域8に対するフリンジ電界の影響により第3不純物領域8内の電子密度を増加させることができる。即ち、第3不純物拡散領域8の不純物密度が5×1012ions/cm以下の範囲内で第3不純物領域8の正味の活性不純物の導電型がN型となるように調節すると、デプリーション型の寄生MOSトランジスタとして上述のゲート電極側面からのフリンジ電界により同様に第3不純物領域8の電子密度を増加させることができる。上述の場合よりも更にこの水平方向距離を短くすると、上述のフリンジ電界は更に増加し、電子濃度の増加による当該領域(領域B)の電位降下量の低下を防止するため、第3不純物拡散領域8の不純物密度を更に低くすることが好ましい。即ち、第3不純物拡散領域8の水平方向距離を狭くすればするほど、高電界を発生させるために必要な所定の電圧降下を確保すべく第3不純物拡散領域8の不純物拡散密度の最適値は低くなる。
【0082】
第3不純物拡散領域8の水平方向距離が更に狭くなり、上述のフリンジ電界が、第1ゲート電極13直下の垂直方向電界とほぼ同程度となると、第3不純物拡散領域8の正味の活性不純物の導電型をP型としても、第3不純物拡散領域8はエンハンスメント型の寄生MOSトランジスタとして機能して上述のゲート電極側面からのフリンジ電界により第3不純物拡散領域8の電子密度を増加させることができる。このため、上述の十分短い水平方向距離の範囲においては、水平距離が長い場合の第3不純物拡散領域8の不純物密度よりも低い不純物密度であっても十分な書き込み電流と書き込み効率を確保できる。従って、この場合は第3不純物拡散領域の正味の導電型が第1不純物拡散領域6及び第2不純物拡散領域7の極性に対して逆極性であるP型であっても構わない。
【0083】
図6は、第3不純物拡散領域8の不純物密度と、書き込み後の閾値電圧Vtp(V)とメモリセル1の第1不純物拡散領域6(ドレイン拡散領域)を流れる電流(以下、単に「ドレイン電流」と称する)との関係を示すグラフである。尚、図6において、横軸が不純物密度を、左側縦軸が上記書き込み動作状態でのドレイン電流を、右側縦軸が閾値電圧を夫々表している。
【0084】
ここで、閾値電圧Vtpが高いということは、書き込み時の最大ゲート電流が大きく、第3不純物拡散領域8から第1ゲート電極13(フローティングゲートFG)に対して単位時間内に電子が多くトラップされたことを表している。逆に言えば、最大ゲート電流が所定の値より小さい場合、第3不純物拡散領域8から電荷蓄積層6に対して単位時間内にトラップされる電子量が少なく、選択されたメモリセルに対して正しく情報が書き込まれない事態、つまり、閾値電圧Vtpが電源電圧Vccに対して十分低くなる場合(例えば、2V程度以下で、読み出し時にメモリトランジスタ3が十分にオン状態となる場合)が想定される。従って、選択されたメモリセルに対して情報が正しく書き込まれるためには、最大ゲート電流が所定の値以上である必要がある。図6によれば、不純物密度が5×1012ions/cm以下の範囲で閾値電圧Vtpが大きく上昇していることが分かる。これは、不純物密度が5×1012ions/cmより大きい領域では、メモリセル1の第1不純物拡散領域6の近傍で発生するチャネルホットエレクトロンによるゲート電流が支配的であり、不純物密度が5×1012ions/cm以下の範囲では上述の作用により第3不純物拡散領域8の近傍で発生するホットエレクトロンによるゲート電流が支配的になることを示している。また、不純物密度が減少するほど、第3不純物拡散領域8内における電流の律速により、ゲート電流が上昇するにも拘わらず、メモリセル1のドレイン電流が減少することが分かる。
【0085】
このように、図4に示す領域B(第3不純物拡散領域8)における電圧降下と電界集中を確保するのに十分低い電子濃度を供給するためには、第3不純物拡散領域8は上述の5×1012ions/cm以下の不純物密度範囲であることが望ましい。更には、この第3不純物拡散領域8の不純物密度は、上述の範囲を満たしつつ、書き込み時のドレイン電流を確保できる程度に十分高い不純物密度を満たす必要がある。
【0086】
即ち、第3不純物拡散領域8の不純物密度を5×1012ions/cm以下の範囲内に設定しておくことで、上記書き込み動作状態の下で最大ゲート電流が所望の値以上を示すこととなり、第3不純物拡散領域8から第1ゲート電極13(フローティングゲートFG)に対して十分な電子量が蓄積され、メモリトランジスタ3に対して正しく情報が書き込まれることとなる。更に、上述の不純物密度の範囲内では、ドレイン電流が大きく減少しているため、書き込み時の消費電流となる上記ドレイン電流に対する最大ゲート電流の割合、即ち第1ゲート電極13に対するホットエレクトロンの注入効率が著しく改善されることとなる。
【0087】
次に、上記構成のメモリセル1の消去動作について説明する。消去動作では、第2不純物拡散領域7に接続するソース線SLを開放状態し、第2ゲート電極15に接続するワード線WLと制御ゲートCG(第5不純物拡散領域10と第6不純物拡散領域11)に接続する制御線CLに接地電圧(0V)を印加し、第1不純物拡散領域6に接続するビット線BL1に所定の正電圧(例えば、10V)を印加する(以下、当該電圧印加状態を便宜的に「消去動作状態」と称する)。この結果、第1ゲート電極13と第1不純物拡散領域6との間に高電位差が生じることより、両者の間に高電界が発生し、当該高電界によって第1絶縁膜12をトンネルして流れる電流(FN電流)を生じさせて第1ゲート電極13(フローティングゲートFG)内に保持されている電子が第1不純物拡散領域6側に引き抜かれる。或いは、第1不純物拡散領域6と第1ゲート電極13のオーバーラップ部分に発生するバンド間トンネル電流により誘起されたホットホールを第1ゲート電極13内に注入し、第1ゲート電極13内に保持されている電子を相殺する。即ち、図2及び図3に示すメモリセル構造の下、上記消去動作状態とすることでメモリセル1に保持されていた情報が消去される。
【0088】
ここで、例えばメモリセルの書き込み状態と消去状態をデータの「0」と「1」に対応付けることで、上述の書き込み動作及び消去動作により1ビットデータ(0/1)の書き換え(書き込みまたは消去)を繰り返し行うことができる。
【0089】
次に、図2及び図3に示すメモリセル1の読み出し動作について説明する。読み出し動作では、第1不純物拡散領域6に接続するビット線BL1、制御ゲートCG(第5不純物拡散領域10と第6不純物拡散領域11)に接続する制御線CL、及び、第2ゲート電極15に接続するワード線WLに対して所定の正電圧を印加するとともに、第2不純物拡散領域7に接続するソース線SLを接地する。尚、上記書き込み動作状態の場合と異なり、ビット線BLに印加する電圧を1V程度、制御線CLに印加する電圧を3V程度、ワード線WL1に印加する電圧を3V程度とする(以下、当該電圧印加状態を便宜的に「読み出し動作状態」と称する)。そして当該読み出し動作状態の下で、ビット線BLを流れる電流量を検知し、この電流量によって当該メモリセル内の記憶情報を判別する。複合トランジスタ内に記憶されている情報が書き込み状態「0」では、フローティングゲートFG内に電子が保持されているため、メモリトランジスタ3とMOSキャパシタ4からなる複合トランジスタの閾値電圧が初期状態(フローティングゲートFG内に電子が保持されていない消去状態)と比較して上昇する。即ち、メモリトランジスタ3内に記憶されている情報が書き込み状態「0」と消去状態「1」の何れであるかにより選択されたメモリトランジスタ3を流れる電流量が変化するため、ビット線SLを流れる電流量を検知することにより、当該メモリセル1の記憶情報の判別を行うことができる。
【0090】
次に、図3に示すメモリセル1を行方向及び列方向に夫々複数マトリクス状に配列してメモリセルアレイ21を構成する場合におけるメモリセル1の配列方法について、図7〜図10を参照して説明する。本第1実施形態では、上述のように、制御線CL、ビット線BL、及び、ソース線SLは夫々列方向に延伸し、ワード線WLは行方向に延伸して夫々配線されている場合を想定しており、更に、複数のグループ化された1群のメモリセル(以下、「メモリセル群」と称する)において、1本の制御線CLを共有する構成となっている。以下、メモリセル群が8個のメモリセル1で構成される場合を例に、当該メモリセル群の配列方法について説明する。図7〜図9は、8個のメモリセル1で構成されるメモリセル群の概略の平面構造を示すレイアウト図であり、図7が、1層目のメタル配線形成前の状態と示し、図8が、1層目のメタル配線形成前で2層目のメタル配線形成後の状態と示し、図9が、2層目のメタル配線形成後の状態と示している。尚、図中の○印と×印の重なったシンボルは、第1、第2、第5、第6不純物拡散領域6、7、10、11または第2ゲート電極15と1層目のメタル配線を接続する第1コンタクトホールを示しており、図中の□印と×印の重なったシンボルは、1層目と2層目のメタル配線間を接続する第2コンタクトホールを示している。図10は、図9に示すメモリセル群の等価回路図である。
【0091】
具体的には、図7〜図9に示すように、メモリセル群は、8個のメモリセルM1〜M8からなり、列方向に配列されている。奇数番目のメモリセルM1、M3、M5、M7と偶数番目のメモリセルM2、M4、M6、M8は、制御線CLを中心に鏡反転した対称形であるが、奇数番目のメモリセルM1、M3、M5、M7は、偶数番目のメモリセルM2、M4、M6、M8より列方向に2分の1メモリセル分だけ位置がずれている。また、メモリセルM1とM3のペア、メモリセルM5とM7のペア、メモリセルM2とM4のペア、メモリセルM6とM8のペアは、夫々の行方向に延伸する仮想的な境界線を中心に鏡反転した対称形で、第2不純物拡散領域7が各ペア間で共有されている。
【0092】
メモリセル群は、奇数番目のメモリセルM1、M3、M5、M7の各トランジスタ形成領域Rtからなる第1領域R1、偶数番目のメモリセルM2、M4、M6、M8の各トランジスタ形成領域Rtからなる第2領域R2、及び、8個のメモリセルM1〜M8の各MOSキャパシタ4の形成領域からなる第3領域R3の3つの領域に区画されている。個々のメモリセル1のMOSキャパシタ4は、N型ウェル9(第4不純物拡散領域)に形成されているが、上記メモリセル群の第3領域R3では、単一領域として形成されたN型ウェル9が8個のメモリセルM1〜M8に対して共通に使用される構成となっている。
【0093】
第3領域R3には、2つの活性領域(素子分離領域で囲まれた部分)があり、一方の活性領域R31には、MOSキャパシタ4の第5不純物拡散領域10と第3積層部(第3絶縁膜16と第3ゲート電極17)が形成され、他方の活性領域R32には、N型の第6不純物拡散領域11が形成されている。活性領域R31では、メモリセルM1〜M8の各第3積層部と第5不純物拡散領域10が夫々列方向に交互に順番に配置されている。本第1実施形態では、列方向に延伸する制御線CLが1層目のメタル配線で形成され、第1コンタクトホールを介して、活性領域R31の第5不純物拡散領域10と活性領域R32の第6不純物拡散領域11に電気的に接続している。従って、メモリセルM1〜M8の各第5不純物拡散領域10とN型ウェル9は、相互に電気的に接続されメモリセルM1〜M8間で共通の制御ゲートとして構成される。尚、本第1実施形態では、N型ウェル9と同様に、活性領域R31も単一領域として形成されている。
【0094】
また、本第1実施形態では、列方向に延伸する第1のビット線BL1が1層目のメタル配線で形成され、第1コンタクトホールを介して、第1領域R1内に形成された奇数番目のメモリセルM1、M3、M5、M7の各第1不純物拡散領域6に電気的に接続し、列方向に延伸する第1のソース線SL1が1層目のメタル配線で形成され、第1コンタクトホールを介して、第1領域R1内に形成された奇数番目のメモリセルM1、M3、M5、M7の各第2不純物拡散領域7に電気的に接続している。更に、列方向に延伸する第2のビット線BL2が1層目のメタル配線で形成され、第1コンタクトホールを介して、第2領域R2内に形成された偶数番目のメモリセルM2、M4、M6、M8の各第1不純物拡散領域6に電気的に接続し、列方向に延伸する第2のソース線SL2が1層目のメタル配線で形成され、第1コンタクトホールを介して、第2領域R2内に形成された偶数番目のメモリセルM2、M4、M6、M8の各第2不純物拡散領域7に電気的に接続している。
【0095】
更に、本第1実施形態では、行方向に延伸する8本のワード線WL1〜WL8が夫々2層目のメタル配線で形成され、第1コンタクトホールと1層目のメタル配線で形成された中継パッドと第2コンタクトホールを経由して、メモリセルM1〜M8の各選択トランジスタ2の第2ゲート電極に、各別に接続している。
【0096】
本第1実施形態では、メモリセル群の8つのメモリセルM1〜M8の各選択トランジスタ2は8本のワード線WL1〜WL8によって個別にオンオフの制御が可能であるため、第1及び第2のビット線BL1、BL2は相互に分離されている必要は無く、電気的に接続されても構わない。ソース線SL1、SL2については、ワード線WL1〜WL8の構成に関係なく、電気的に共通にしても良い。
【0097】
また、図7〜図9に示すメモリセル群の変形例として、第1及び第2のビット線BL1、BL2を相互に独立したビット線とすることで、8本のワード線WL1〜WL8を4本に縮減できる。つまり、奇数番目のメモリセルM1、M3、M5、M7と偶数番目のメモリセルM2、M4、M6、M8の対応する2つのメモリセル間で、例えば、メモリセルM1とM2間で、1つのワード線を共用することができる。
【0098】
以上のように、メモリセル群で1つのN型ウェル9を共有し、全てのメモリセルM1、M3、M5、M7のMOSキャパシタ4を構成する第5不純物拡散領域10と第3積層部(第3絶縁膜16と第3ゲート電極17)を1つの活性領域R31内に纏めて形成することで、第3領域R3の占有面積を大幅に縮小でき、結果として、個々のメモリセル面積を実効的に縮小化できる。
【0099】
図7〜図10に示すメモリセル群を、行方向、或いは、行方向と列方向に複数配列することで、図1に示すメモリセルアレイ21が構成される。尚、図1では、メモリセルアレイ21中の各メモリセル1は、上記メモリセル群の中の1つのメモリセルを代表して図示している。
【0100】
尚、図7〜図10では、メモリセル群が8個のメモリセル1で構成される場合を例示したが、メモリセル数は8個に限定されるものではなく、メモリセル数が8個以外の場合には、図8に示す配列方法により、メモリセル1の個数を列方向に増減させればよい。
【0101】
〈第2実施形態〉
次に、第2実施形態に係る本発明装置について説明する。第2実施形態に係る本発明装置は、個々のメモリセル1の構成、及び、メモリセルアレイ21の周辺回路の構成は、カラムデコーダ26及びロウデコーダ29の一部機能を除いて、第1実施形態に係る本発明装置と同じである。また、個々のメモリセル1の書き込み特性、並びに、書き込み動作時、消去動作時、読み出し動作における各部への電圧印加条件も第1実施形態に係る本発明装置と同じである。第1実施形態に係る本発明装置と相違する点は、メモリセルアレイ21内におけるメモリセル1の配列方法、及び、制御線CL及びソース線SLの延伸方向である。以下、第1実施形態と相違する点について説明する。
【0102】
本第2実施形態では、図11に示すように、制御線CLが行方向に延伸するため、カラムデコーダ26は入力されたカラムアドレスに対応したビット線BLを選択し、ロウデコーダ29は入力されたロウアドレスに対応したワード線WL及び制御線CLを選択するように構成される。
【0103】
次に、図3に示すメモリセル1を行方向及び列方向に夫々複数マトリクス状に配列してメモリセルアレイ21を構成する場合におけるメモリセル1の配列方法について、図12〜図15を参照して説明する。本第2実施形態では、上述のように、ビット線BLは列方向に延伸し、ワード線WL、制御線CL及びソース線SLは夫々行方向に延伸して配線されている場合を想定しており、更に、複数のグループ化された1群のメモリセル(メモリセル群)において、1本の制御線CLを共有する構成となっている。以下、メモリセル群が8個のメモリセル1で構成される場合を例に、当該メモリセル群の配列方法について説明する。図12〜図14は、8個のメモリセル1で構成されるメモリセル群の概略の平面構造を示すレイアウト図であり、図12が、1層目のメタル配線形成前の状態と示し、図13が、1層目のメタル配線形成前で2層目のメタル配線形成後の状態と示し、図15が、2層目のメタル配線形成後の状態と示している。尚、図中の○印と×印の重なったシンボルと、□印と×印の重なったシンボルは、図7〜図9の場合と同様である。図15は、図14に示すメモリセル群の等価回路図である。
【0104】
具体的には、図12〜図14に示すように、メモリセル群は、8個のメモリセルM1〜M8からなり、行方向に配列されている。奇数番目のメモリセルM1、M3、M5、M7と偶数番目のメモリセルM2、M4、M6、M8は、制御線CLを中心に鏡反転した対称形であるが、奇数番目のメモリセルM1、M3、M5、M7は、偶数番目のメモリセルM2、M4、M6、M8より行方向に2分の1メモリセル分だけ位置がずれている。また、メモリセルM1とM3のペア、メモリセルM5とM7のペア、メモリセルM2とM4のペア、メモリセルM6とM8のペアは、夫々の列方向に延伸する仮想的な境界線を中心に鏡反転した対称形で、第2不純物拡散領域7が各ペア間で共有されている。
【0105】
メモリセル群は、第1実施形態と同様に、奇数番目のメモリセルM1、M3、M5、M7の各トランジスタ形成領域Rtからなる第1領域R1、偶数番目のメモリセルM2、M4、M6、M8の各トランジスタ形成領域Rtからなる第2領域R2、及び、8個のメモリセルM1〜M8の各MOSキャパシタ4の形成領域からなる第3領域R3の3つの領域に区画されている。個々のメモリセル1のMOSキャパシタ4は、N型ウェル9(第4不純物拡散領域)に形成されているが、第1実施形態と同様に、上記メモリセル群の第3領域R3では、単一領域として形成されたN型ウェル9が8個のメモリセルM1〜M8に対して共通に使用される構成となっている。
【0106】
メモリセル群のレイアウトは、1層目のメタル配線形成前の状態では、第1実施形態の図7に示すものと同じであるが、90°回転した状態で行方向と列方向が入れ替わっている。
【0107】
第3領域R3には、2つの活性領域(素子分離領域で囲まれた部分)があり、一方の活性領域R31には、MOSキャパシタ4の第5不純物拡散領域10と第3積層部(第3絶縁膜16と第3ゲート電極17)が形成され、他方の活性領域R32には、N型の第6不純物拡散領域11が形成されている。活性領域R31では、メモリセルM1〜M8の各第3積層部と第5不純物拡散領域10が夫々行方向に交互に順番に配置されている。本第2実施形態では、行方向に延伸する制御線CLが1層目のメタル配線で形成され、第1コンタクトホールを介して、活性領域R31の第5不純物拡散領域10と活性領域R32の第6不純物拡散領域11に電気的に接続している。従って、メモリセルM1〜M8の各第5不純物拡散領域10とN型ウェル9は、相互に電気的に接続されメモリセルM1〜M8間で共通の制御ゲートとして構成される。尚、本第2実施形態では、N型ウェル9と同様に、活性領域R31も単一領域として形成されている。
【0108】
また、本第2実施形態では、列方向に延伸する8本のビット線BL1〜BL8が2層目のメタル配線で形成され、第1コンタクトホールと1層目のメタル配線で形成された中継パッドと第2コンタクトホールを経由して、第1領域R1及び第2領域R2内に形成されたメモリセルM1〜M8の各第1不純物拡散領域6に電気的に接続している。行方向に延伸する第1のソース線SL1が1層目のメタル配線で形成され、第1コンタクトホールを介して、第1領域R1内に形成された奇数番目のメモリセルM1、M3、M5、M7の各第2不純物拡散領域7に電気的に接続し、行方向に延伸する第2のソース線SL2が1層目のメタル配線で形成され、第1コンタクトホールを介して、第2領域R2内に形成された偶数番目のメモリセルM2、M4、M6、M8の各第2不純物拡散領域7に電気的に接続している。
【0109】
更に、本第2実施形態では、行方向に延伸する第1のワード線WL1が1層目のメタル配線で形成され、第1コンタクトホールを介して、第1領域R1内に形成された奇数番目のメモリセルM1、M3、M5、M7の各選択トランジスタ2の第2ゲート電極に電気的に接続し、行方向に延伸する第2のワード線WL2が1層目のメタル配線で形成され、第1コンタクトホールを介して、第2領域R2内に形成された偶数番目のメモリセルM2、M4、M6、M8の各選択トランジスタ2の第2ゲート電極に電気的に接続している。
【0110】
本第2実施形態では、メモリセル群の8つのメモリセルM1〜M8の各第1不純物拡散領域6に対して8本のビット線BL1〜BL8によって個別に印加電圧の制御が可能であるため、第1及び第2のワード線WL1、WL2は相互に分離されている必要は無く、電気的に接続されても構わない。ソース線SL1、SL2については、ビット線BL1〜BL8の構成に関係なく、電気的に共通にしても良い。
【0111】
また、図12〜図14に示すメモリセル群の変形例として、第1及び第2のワード線WL1、WL2を相互に独立したワード線とすることで、8本のビット線BL1〜BL8を4本に縮減できる。つまり、奇数番目のメモリセルM1、M3、M5、M7と偶数番目のメモリセルM2、M4、M6、M8の対応する2つのメモリセル間で、例えば、メモリセルM1とM2間で、1つのビット線を共用することができる。
【0112】
以上のように、第1実施形態と同様に、メモリセル群で1つのN型ウェル9を共有し、全てのメモリセルM1、M3、M5、M7のMOSキャパシタ4を構成する第5不純物拡散領域10と第3積層部(第3絶縁膜16と第3ゲート電極17)を1つの活性領域R31内に纏めて形成することで、第3領域R3の占有面積を大幅に縮小でき、結果として、個々のメモリセル面積を実効的に縮小化できる。
【0113】
図12〜図15に示すメモリセル群を、列方向、或いは、行方向と列方向に複数配列することで、図11に示すメモリセルアレイ21が構成される。尚、図11では、メモリセルアレイ21中の各メモリセル1は、上記メモリセル群の中の1つのメモリセルを代表して図示している。
【0114】
尚、図12〜図15では、メモリセル群が8個のメモリセル1で構成される場合を例示したが、メモリセル数は8個に限定されるものではなく、メモリセル数が8個以外の場合には、図12〜図14に示す配列方法により、メモリセル1の個数を行方向に増減させればよい。
【0115】
〈第3実施形態〉
次に、第3実施形態に係る本発明装置について説明する。上記第1実施形態では、制御線CL、ビット線BL、及び、ソース線SLが夫々列方向に延伸し、ワード線WLが行方向に延伸し、ワード線WLによってメモリセル群の中の個々のメモリセルが制御される場合を説明し、上記第2実施形態では、ビット線BLが列方向に延伸し、ワード線WL、制御線CL及びソース線SLが夫々行方向に延伸し、ビット線BLによってメモリセル群の中の個々のメモリセルが制御される場合を説明した。第3実施形態に係る本発明装置において、上記第1実施形態と第2実施形態の中間的な別実施形態として、図7、図16〜図18に示すように、ビット線BL及びソース線SLが夫々列方向に延伸し、ワード線WL及び制御線CLが夫々行方向に延伸し、ワード線WLによってメモリセル群の中の個々のメモリセルが制御される構成が可能である。図7、図16、図17は、8個のメモリセル1で構成されるメモリセル群の概略の平面構造を示すレイアウト図であり、1層目のメタル配線形成前の状態は、図7に示すように第1実施形態と同じである。図16が、1層目のメタル配線形成前で2層目のメタル配線形成後の状態と示し、図17が、2層目のメタル配線形成後の状態と示している。尚、図中の○印と×印の重なったシンボルと、□印と×印の重なったシンボルは、第1及び第2実施形態と同様である。図18は、図17に示すメモリセル群の等価回路図である。更に、図19に、本第3実施形態におけるメモリセル群のメモリセル配列方法でメモリセルアレイ21を構成した場合の本発明装置の概略の一構成例であるEEPROMの全体的な概略構成を示す。
【0116】
本第3実施形態の構成では、制御ゲートCGが1層目のメタル配線で形成され、第1コンタクトホールを介して、活性領域R31の第5不純物拡散領域10と活性領域R32の第6不純物拡散領域11に電気的に接続し、更に、行方向に延伸する制御線CLが2層目のメタル配線で形成され、第2コンタクトホールを介して、1層目のメタル配線で形成された制御ゲートCGに接続する構成となっている。
【0117】
列方向に延伸する第1及び第2のビット線BL1、BL2、列方向に延伸する第1及び第2のソース線SL1、SL2、行方向に延伸する8本のワード線WL1〜WL8については、上記第1実施形態の構成と同じである。しかし、図19に示すように、制御線CLが8本のワード線WL1〜WL8と平行して行方向に延伸するため、上記第2実施形態と同様に、カラムデコーダ26は入力されたカラムアドレスに対応したビット線BLを選択し、ロウデコーダ29は入力されたロウアドレスに対応したワード線WL及び制御線CLを選択するように構成される。但し、ワード線WL1〜WL8はメモリセル群当たり複数本設けられているが、制御線CLはメモリセル群当たり1本である。
【0118】
図7、図16〜図18に示すメモリセル群を、行方向、或いは、行方向と列方向に複数配列することで、図19に示すメモリセルアレイ21が構成される。尚、図19では、メモリセルアレイ21中の各メモリセル1は、上記メモリセル群の中の1つのメモリセルを代表して図示している。
【0119】
〈別実施形態〉
以下において、別実施形態について説明を行う。上記各実施形態では、選択トランジスタ2とメモリトランジスタ3が何れもNチャネル構造の場合につき説明を行ったが、半導体基板5の極性、及び、各不純物拡散領域の極性を夫々上記各実施形態と逆極性にすることでPチャネル構造の場合も同様に実現することが可能である。
【0120】
また、上記各実施形態で、消去時にチップ若しくはブロック一括で消去を行う場合、読み出し、書き込み、消去の各動作モードにおいて、行アドレス及び列アドレスの選択が、ワード線WLとビット線BLのみでも定義可能であるため、制御線CLは、ワード線WL或いはビット線BLと同様の単位の選択動作を行わなくてもよく、一括消去を行うより粗い単位で電圧制御ができればよい。これにより高電圧を扱うロウデコーダ及びカラムデコーダの面積を削減可能となる。例えば、1チップ内の全アドレスを一括で消去を行う仕様の場合は、制御線CL用のデコーダは不要となり、電圧制御回路のみが必要となる。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明に係る不揮発性半導体記憶装置は、注入効率が高いソースサイドインジェクションにより電荷注入を実現でき、且つ、標準的なCMOSプロセス工程内で基板上に実装可能な不揮発性半導体記憶装置に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】本発明に係る不揮発性半導体記憶装置の第1実施形態における全体的な概略構成を示すブロック図
【図2】本発明に係る不揮発性半導体記憶装置が備えるメモリセルの概略の断面構造を示す断面図
【図3】本発明に係る不揮発性半導体記憶装置が備えるメモリセルの概略の平面構造を示すレイアウト図
【図4】所定の電圧印加状態の下で半導体基板上に形成されるチャネル領域内の水平方向位置に対するポテンシャル変化の推移を示すグラフ
【図5】所定の電圧印加状態の下で半導体基板上に形成されるチャネル領域内の水平方向位置に対する水平方向電界の大きさの推移を示すグラフ
【図6】第3不純物拡散領域の不純物密度と、書き込み後の閾値電圧及びメモリセルの第1不純物拡散領域を流れる電流の関係を示すグラフ
【図7】本発明に係る不揮発性半導体記憶装置の第1及び第3実施形態におけるメモリセルアレイ構成の1層目のメタル配線形成前の概略の平面構造を示すレイアウト図
【図8】本発明に係る不揮発性半導体記憶装置の第1実施形態におけるメモリセルアレイ構成の2層目のメタル配線形成前の概略の平面構造を示すレイアウト図
【図9】本発明に係る不揮発性半導体記憶装置の第1実施形態におけるメモリセルアレイ構成の2層目のメタル配線形成後の概略の平面構造を示すレイアウト図
【図10】本発明に係る不揮発性半導体記憶装置の第1実施形態におけるメモリセルアレイ構成の等価回路図
【図11】本発明に係る不揮発性半導体記憶装置の第2実施形態における全体的な概略構成を示すブロック図
【図12】本発明に係る不揮発性半導体記憶装置の第2実施形態におけるメモリセルアレイ構成の1層目のメタル配線形成前の概略の平面構造を示すレイアウト図
【図13】本発明に係る不揮発性半導体記憶装置の第2実施形態におけるメモリセルアレイ構成の2層目のメタル配線形成前の概略の平面構造を示すレイアウト図
【図14】本発明に係る不揮発性半導体記憶装置の第2実施形態におけるメモリセルアレイ構成の2層目のメタル配線形成後の概略の平面構造を示すレイアウト図
【図15】本発明に係る不揮発性半導体記憶装置の第2実施形態におけるメモリセルアレイ構成の等価回路図
【図16】本発明に係る不揮発性半導体記憶装置の第3実施形態におけるメモリセルアレイ構成の2層目のメタル配線形成前の概略の平面構造を示すレイアウト図
【図17】本発明に係る不揮発性半導体記憶装置の第3実施形態におけるメモリセルアレイ構成の2層目のメタル配線形成後の概略の平面構造を示すレイアウト図
【図18】本発明に係る不揮発性半導体記憶装置の第3実施形態におけるメモリセルアレイ構成の等価回路図
【図19】本発明に係る不揮発性半導体記憶装置の第3実施形態における全体的な概略構成を示すブロック図
【図20】従来の不揮発性半導体記憶装置が備える標準的なCMOSプロセスで形成可能なメモリセルの一例における概略の断面構造を示す断面図
【図21】従来の不揮発性半導体記憶装置が備えるソースサイドインジェクション書き込み可能なメモリセルの一例における概略の断面構造を示す断面図
【図22】従来の不揮発性半導体記憶装置が備えるソースサイドインジェクション書き込み可能なメモリセルの他の一例における概略の断面構造を示す断面図
【符号の説明】
【0123】
1: メモリセル
2: 選択トランジスタ
3: メモリトランジスタ
4: MOSキャパシタ
5: P型半導体基板
6: 第1不純物拡散領域
7: 第2不純物拡散領域
8: 第3不純物拡散領域
9: N型ウェル(第4不純物拡散領域)
10: 第5不純物拡散領域
11: 第6不純物拡散領域
12: 第1絶縁膜
13: 第1ゲート電極
14: 第2絶縁膜
15: 第2ゲート電極
16: 第3絶縁膜
17: 第3ゲート電極
18: 素子分離領域
19: 接続配線
20: 本発明に係る不揮発性半導体記憶装置
21: メモリセルアレイ
23: データ入出力端子
24: 入力バッファ
25: ドレイン電圧制御回路
26: カラムデコーダ
27: アドレス入力端子
28: アドレスバッファ
29: ロウデコーダ
31: 選択ゲート電圧制御回路
32: 出力バッファ
33: センスアンプ
34: ソース電圧制御回路
35: 制御ゲート電圧制御回路
CG: 制御ゲート
CL: 制御線
FG: フローティングゲート
R1: メモリセル群の第1領域
R2: メモリセル群の第2領域
R3: メモリセル群の第3領域
R31: メモリセル群の第3領域内の第1の活性領域
R32: メモリセル群の第3領域内の第2の活性領域
Rt: トランジスタ形成領域
M1〜M8: メモリセル群を構成するメモリセル
BL、BL1〜BL8: ビット線
SL、SL1、SL2: ソース線
WL、WL1〜WL8: ワード線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の半導体基板の表面に形成された第2導電型の第1及び第2不純物拡散領域と、
前記第1及び第2不純物拡散領域間の前記第1不純物拡散領域に近接する前記半導体基板上に、第1絶縁膜及び第1ゲート電極を下から順に積層してなる第1積層部と、
前記第1及び第2不純物拡散領域間の前記第2不純物拡散領域に近接する前記半導体基板上に、第2絶縁膜及び第2ゲート電極を下から順に積層してなる第2積層部と、
前記第1及び第2積層部間の前記半導体基板の表面に形成され、前記第2導電型の不純物密度が前記第1及び第2不純物拡散領域より低く5×1012ions/cm以下に設定されている第3不純物拡散領域と、
前記第1、第2及び第3不純物拡散領域と前記第1及び第2積層部からなるトランジスタ形成領域の活性領域と素子分離領域によって電気的に分離して前記半導体基板の表面に形成された前記第2導電型の第4不純物拡散領域と、
前記第4不純物拡散領域の表面に形成された前記第1導電型の第5不純物拡散領域と、
前記第4及び第5不純物拡散領域上の一部領域に第3絶縁膜及び第3ゲート電極を下から順に積層してなる第3積層部と、を有し、
前記第1ゲート電極と前記第3ゲート電極が電気的に接続してなるメモリセルを備えて構成されていることを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第3不純物拡散領域の上部に何れのゲート電極も配置されていないことを特徴とする請求項1に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第1及び第2不純物拡散領域内の前記第2導電型の不純物密度が1×1015ions/cm以上に設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項4】
前記第1、第2及び第3ゲート電極が同じ導電性材料で形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第1及び第3ゲート電極と、前記第1及び第3ゲート電極を電気的に接続する接続配線が、同じ導電性材料によって形成され、
前記接続配線が前記素子分離領域上に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項6】
前記第1及び第3ゲート電極と前記接続配線が一直線上に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項7】
前記メモリセルを複数配列してなるメモリセルアレイを備え、
前記メモリセルアレイ内の2以上の前記メモリセル間において、前記第4不純物拡散領域が単一領域として形成され、共通に使用されることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項8】
単一領域として形成された前記第4不純物拡散領域を共有する2以上の前記メモリセルからなるメモリセル群において、
前記第1不純物拡散領域が、夫々前記メモリセル別のビット線、前記メモリセル群の部分集合別のビット線、または、前記メモリセル群に共通のビット線に接続し、
前記第2不純物拡散領域が、夫々前記メモリセル別のソース線、前記メモリセル群の部分集合別のソース線、または、前記メモリセル群に共通のソース線に接続し、
前記第4及び第5不純物拡散領域の少なくとも何れか一方が、夫々前記メモリセル群に共通の制御ゲート線に接続し、
前記第2ゲート電極が、夫々前記メモリセル別のワード線、前記メモリセル群の部分集合別のワード線、または、前記メモリセル群に共通のワード線に接続していることを特徴とする請求項7に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項9】
単一領域として形成された前記第4不純物拡散領域内の全ての前記第5不純物拡散領域と前記第4不純物拡散領域が電気的に接続していることを特徴とする請求項8に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項10】
単一領域として形成された前記第4不純物拡散領域を共有する2以上の前記メモリセルにおいて、
前記第4不純物拡散領域内に形成された2つの前記メモリセル間で隣接する2つの前記第3積層部の離間する方向と、前記各メモリセルにおける前記第1及び第2不純物拡散領域の離間する方向とが一致していることを特徴とする請求項7〜9の何れか1項に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項11】
単一領域として形成された前記第4不純物拡散領域を共有する2以上の前記メモリセルにおいて、
前記第4不純物拡散領域内に形成された2つの前記メモリセル間で隣接する2つの前記第3積層部の間に、当該2つのメモリセル間で共有される前記第5不純物拡散領域が形成されていることを特徴とする請求項7〜10の何れか1項に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項12】
前記メモリセルアレイの構成領域以外の周辺回路領域内に、前記第2絶縁膜と同じ膜厚で同じ絶縁性材料、前記第2ゲート電極と同じ導電性材料、及び、前記第1及び第2不純物拡散領域と同じ不純物濃度の前記第2導電型の不純物拡散領域を有して構成されるトランジスタを備えることを特徴とする請求項7〜11の何れか1項に記載の不揮発性半導体記憶装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2009−267185(P2009−267185A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−116598(P2008−116598)
【出願日】平成20年4月28日(2008.4.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】