説明

出口誘導システム

【課題】複数の被誘導者を、少ない負担で円滑かつ迅速に最適な出口へ誘導する。
【解決手段】複数の移動局タグT1〜3と、移動局タグTに対し無線通信により情報送受信を行う固定局リーダR1〜4とを有し、移動局タグTを所持する複数の人物P1〜3に対し出口E1,E2への誘導を行う出口誘導システム1であって、固定局リーダR1〜4で受信した電波信号に基づき移動局タグT1〜3の位置検出を行い、その位置検出結果に基づき各移動局Tから出口E1,E2までの距離を算出し、その算出結果に基づき各移動局Tごとに所定の出口E1,E2を決定して割り当て、その割り当て結果に基づき出口E1,E2それぞれに振り分けられた移動局タグTの数を算出し、その算出結果に基づき各出口E1,E2に振り分けられた移動局タグTの数と当該出口Eで受け入れ可能な人物Pの数とを比較する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被誘導者に対し、所定領域の外へ出るために複数の出口から選択して誘導を行う出口誘導システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば災害発生時の避難者に配慮したシステムとして、例えば特許文献1記載の従来技術が既に知られている。
【0003】
この従来技術においては、災害発生時に、構造物の三次元座標データに基づきその画像をディスプレイに表示させる。そして、構造物の内部に存在する携帯電話(移動局)の座標を演算部で演算し、携帯電話の位置に対応する画像を構造物の画像上に合成して表示する。これにより、構造物内に避難した避難者の存在場所や移動方向等をモニターできるようにして、円滑な救済活動を実行できるようになっている。
【特許文献1】特開2007−11617号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術は、災害時において避難者の位置をモニターすることで、第三者による避難者の安否確認や救助活動に対して活用するものに過ぎない。このため、避難者本人(被誘導者)に対し、どの出口へ避難すればなるべく少ない負担で円滑・迅速に退出できるか、等の誘導を行うことには全く配慮されていなかった。
【0005】
本発明の目的は、複数の被誘導者を、少ない負担で円滑かつ迅速に最適な出口へ誘導することができる、出口誘導システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、第1の発明は、情報を記憶する記憶部と情報を送受信する第1アンテナ手段とを備え、所定の移動可能領域を移動可能な複数の移動局と、前記複数の移動局に対し無線通信により情報送受信を行う第2アンテナ手段を備え、既知の位置に固定的に配置された基地局とを有し、前記複数の移動局をそれぞれ所持する複数の被誘導者に対し、所定領域の外へ出るための複数の出口への誘導を行う、出口誘導システムであって、前記複数の移動局の前記第1アンテナ手段から送信され前記基地局の前記第2アンテナ手段で受信した電波信号に基づき、前記複数の移動局それぞれの位置検出を行う位置検出手段と、前記位置検出手段の検出結果に基づき、各移動局から前記複数の出口のそれぞれまでの距離を算出する距離算出手段と、前記距離算出手段の算出結果に基づき、各移動局ごとに前記複数の出口のうち所定の出口を決定して当該移動局に割り当てる出口割り当て手段と、各移動局に対する前記出口割り当て手段での割り当て結果に基づき、前記複数の出口それぞれに振り分けられた前記移動局の数を算出する移動局数算出手段と、前記移動局数算出手段での算出結果に基づき、各出口に振り分けられた前記移動局の数と、当該出口で受け入れ可能な前記被誘導者の数とを比較する比較手段とを有することを特徴とする。
【0007】
本願第1発明においては、移動可能領域内に複数の移動局が存在しており、基地局との間で無線通信が行われる。各移動局は複数の被誘導者のいずれかにそれぞれ所持され、移動局を用いて各被誘導者が複数の出口のいずれかに誘導される。誘導時には、位置検出手段が移動可能領域内の複数の移動局の位置検出を行い、距離算出手段が各移動局から複数の出口それぞれまでの距離を算出し、出口割り当て手段が各移動局ごとに所定の出口(例えば距離が比較的短い等、被誘導者を誘導するのに適した出口)を決定し割り当てる。これにより、全移動局に対し、複数の出口のうちのいずれかの出口が割り当てられることとなる。
【0008】
一方、各出口には形状、構造、大きさ等によって受け入れ可能な被誘導者数に一定の限界がある場合が多い。そこで本願第1発明では、上記出口割り当て手段での割り当て結果を集計して、各出口ごとに、当該出口に振り分けられた移動局の数を算出する。そして、この振り分けられた移動局の数(言い換えれば被誘導者の数)を、比較手段が、当該出口で受け入れ可能な被誘導者の数(=出口の受け入れ能力すなわちキャパシティ)と比較する。これにより、特定の出口において、受け入れ可能な被誘導者数よりも振り分けられた移動局数が上回っていた場合には、各移動局に対する出口の割り当てを少なくとも一部変更し、当該特定の出口へ振り分けられる被誘導者数をキャパシティ以下に抑えることが可能となる。
【0009】
以上のようにして、各出口でのキャパシティ超えによる不都合を回避しつつ、複数の被誘導者に対し最適な出口へと誘導を行う。したがって、被誘導者を、少ない負担で円滑かつ迅速に各出口から所定領域外へ退出させることができる。
【0010】
第2発明は、上記第1発明において、前記比較手段での比較において、特定の出口に振り分けられた前記移動局の数が当該出口で受け入れ可能な前記被誘導者の数よりも多かった場合に、前記特定の出口に振り分けられた複数の移動局のうち、少なくとも1つの移動局に割り当てる出口を、前記出口割り当て手段での割り当てに基づく前記特定の出口とは別の出口に変更する第1割り当て変更手段を有することを特徴とする。
【0011】
これにより、特定の出口でキャパシティを超える被誘導者が集中し通過阻害、渋滞、混乱等が発生するのを未然に防止することができる。
【0012】
第3発明は、上記第2発明において、前記出口割り当て手段は、前記距離算出手段の算出結果に基づき、各移動局ごとに、前記複数の出口のうちで、距離が最短となるものを優先して前記所定の出口を決定することを特徴とする。
【0013】
距離が最短となる出口を優先して割り当てることにより、被誘導者を、少ない負担で円滑かつ迅速に各出口から所定領域外へ退出させることができる。
【0014】
第4発明は、上記第3発明において、前記第1割り当て変更手段は、前記比較手段での比較において、特定の出口に振り分けられる前記移動局の数が当該出口で受け入れ可能な前記被誘導者の数以下となるように、前記割り当てる出口の変更を行うことを特徴とする。
【0015】
これにより、キャパシティ超えとなる出口が確実に生じないようにすることができる。
【0016】
第5発明は、上記第3又は第4発明において、前記距離算出手段の算出結果に基づき、各移動局ごとに、前記複数の出口のうち最短となる第1距離だけ離れた第1出口と、前記第1出口の次に短い第2距離だけ離れた第2出口とを決定し、前記第2距離と前記第1距離との出口距離差を算出する距離差算出手段を有し、前記第1割り当て変更手段は、前記距離差算出手段で算出された各移動局に対応する前記出口距離差に基づき、割り当てる出口を前記第1出口から前記第2出口へ変更することを特徴とする。
【0017】
各被誘導者にとって、最短距離(=第1距離)に位置する第1出口から、最短距離より大きい距離(=第2距離)に位置する第2出口への変更は、距離が伸びる分だけ、身体的な負担増となる。そこで、本願第5発明においては、各移動局ごとに、第2距離と第1距離との出口距離差を距離差算出手段で算出し、その出口距離差に基づき、割り当て変更を行う。これにより、出口距離差が少ない移動局(言い換えれば割り当て変更に伴う身体的な負担増が少ない被誘導者)に対し、第2出口への割り当て変更を行うことが可能となる。この結果、割り当ての変更に伴う不都合をなるべく抑えつつ、各出口でのキャパシティ超えを未然に防止することができる。
【0018】
第6発明は、上記第5発明において、前記第1割り当て変更手段は、前記距離差算出手段で算出された前記出口距離差が小さい前記移動局から順に、割り当てる出口を前記第1出口から前記第2出口へ変更することを特徴とする。
【0019】
これにより、割り当て変更に伴う身体的な負担増がより少ない被誘導者から順番に、必要最小限に第2出口への割り当て変更を行うことができる。
【0020】
第7発明は、上記第3又は第4発明において、前記移動局の前記第1アンテナ手段から送信され前記基地局の前記第2アンテナ手段で受信した電波信号に基づき、前記移動局の記憶部に記憶された、当該移動局に対応する前記被誘導者の属性情報を取得する属性情報取得手段を有し、前記第1割り当て変更手段は、前記属性情報取得手段で取得された各移動局に対応する前記属性情報に基づき、割り当てる出口を、前記複数の出口のうち最短となる第1距離だけ離れた第1出口から、前記複数の出口のうち前記第1出口の次に短い第2距離だけ離れた第2出口へ変更することを特徴とする。
【0021】
各被誘導者にとって、最短距離(=第1距離)に位置する第1出口から、最短距離より大きい距離(=第2距離)に位置する第2出口への変更は、距離が伸びる分だけ、身体的な負担増となる。このとき、年齢(老人、子供、成人等)、性別(男性、女性)、健康状態(病人、健康体)等の被誘導者の属性によって、増える負担による肉体的ダメージは異なる。そこで、本願第7発明においては、各移動局ごとに、記憶部に記憶された被誘導者の属性情報を属性情報取得手段で算出し、その属性に基づき、割り当て変更を行う。これにより、割り当て変更に伴う肉体的ダメージが少ない被誘導者に対し、第2出口への割り当て変更を行うことが可能となる。この結果、割り当ての変更に伴う不都合をなるべく抑えつつ、各出口でのキャパシティ超えを未然に防止することができる。
【0022】
第8発明は、上記第7発明において、前記第1割り当て変更手段は、予め複数の前記属性情報に関しそれぞれ定められた誘導の優先度に基づき、前記属性情報取得手段で取得された前記属性情報の前記優先度が低い前記移動局から順に、割り当てる出口を前記第1出口から前記第2出口へ変更することを特徴とする。
【0023】
本願第8発明においては、被誘導者の属性に応じて、予め誘導の優先度を定めておく。このとき、例えば肉体的ダメージを受けやすい属性を、より優先度を高くする。すなわち、年齢の面では老人や子供を成人より優先度を高くする、性別では女性を男性より優先度を高くする、健康状態の面では病人を健康な人よりも優先度を高くする、等が考えられる。そして、このようにして設定した優先度の低い移動局(言い換えれば優先度が低い被誘導者)から順番に第2出口への割り当て変更を行う。これにより、割り当て変更に伴う身体的な負担増がより少ない被誘導者から順番に、必要最小限に第2出口への割り当て変更を行うことができる。
【0024】
第9発明は、上記第3又は第4発明において、前記距離算出手段の算出結果に基づき、各移動局ごとに、前記複数の出口のうち最短となる第1距離だけ離れた第1出口と、前記第1出口の次に短い第2距離だけ離れた第2出口とを決定し、前記第2距離と前記第1距離との出口距離差を算出する距離差算出手段と、前記移動局の前記第1アンテナ手段から送信され前記基地局の前記第2アンテナ手段で受信した電波信号に基づき、前記移動局の記憶部に記憶された、当該移動局に対応する前記被誘導者の属性情報を取得する属性情報取得手段とを有し、前記第1割り当て変更手段は、前記距離差算出手段で算出された各移動局に対応する前記出口距離差と、前記属性情報取得手段で取得された、各移動局に対応する前記属性情報とに基づき、割り当てる出口を前記第1出口から前記第2出口へ変更することを特徴とする。
【0025】
出口距離差と属性による優先度との両方を加味して出口変更を行うことにより、さらにきめ細やかな設定によって不都合を確実に抑制した出口割り当て変更が可能となる。
【0026】
第10発明は、上記第9発明において、前記第1割り当て変更手段は、前記出口距離差の大小に対応した距離差指標値と、前記属性情報の優先度が高いほど大きく値となるように対応づけられた属性指標値との乗算値を算出する演算手段を備え、前記演算手段で算出した前記乗算値が小さい前記移動局から順に、割り当てる出口を前記第1出口から前記第2出口へ変更することを特徴とする。
【0027】
出口距離差を指標化して距離差指標値とし、属性情報の優先度を指標化して属性指標値とする。このように両者を数値化することで、出口距離差と属性による優先度との両方を加味した出口変更を、数値演算により円滑に行うことができる。これにより、不都合を確実に抑制した出口割り当て変更を円滑に実施することができる。
【0028】
第11発明は、上記第3乃至第10発明のいずれかにおいて、前記移動可能領域内に設けた災害検出手段が災害発生を検出した場合には、当該災害検出手段からの災害検出信号に基づき前記災害の発生箇所を回避するように、複数の移動局のうち少なくとも1つの移動局に割り当てる出口を、前記出口割り当て手段で割り当てた出口とは別の出口に変更可能な第2割り当て変更手段を有することを特徴とする。
【0029】
被誘導者の誘導時に災害が発生したとき、出口に近いからといってその災害発生箇所の近くを通っての誘導は被誘導者の身体に危害が及ぶ恐れがあり、好ましくない。そこで本願第11発明においては、第2割り当て変更手段が、災害発生時には、その災害発生箇所を回避するように、移動局に割り当てる出口を(当初割り当てた出口とは)別の出口に変更する。これにより、誘導時における被誘導者の安全を確保することができ、二次災害の発生を未然に防止できる。
【0030】
第12発明は、上記第11発明において、前記位置検出手段の検出結果に基づき、地図上において各移動局の現在位置から前記複数の出口位置のそれぞれまでを結んだ直線に対し、前記災害発生位置から下ろした垂線の長さを算出する垂線算出手段を有し、前記第2割り当て変更手段は、前記垂線算出手段で算出された前記垂線の長さの大小に基づき、各移動局に対して割り当てる出口を、前記垂線の長さが最も長くなる出口へ変更することを特徴とする。
【0031】
災害発生時における被誘導者の出口への誘導経路(=避難経路)を考える際、各移動局から各出口までを結んだ直線に対し災害発生位置から下ろした垂線の長さが短いほど、災害発生位置の至近距離を通過することとなり好ましくない。本願第12発明においては、第2割り当て変更手段が、上記垂線の長さが最も長くなる出口へと、割り当てを変更する。これにより、誘導時(=避難時)において、被誘導者は災害発生位置から最も離れたルートで出口へ向かうことができるので、安全を確保することができる。
【0032】
第13発明は、上記第3乃至第12発明のいずれかにおいて、前記複数の移動局のそれぞれは、前記基地局の前記第2アンテナ手段から送信され前記第1アンテナ手段で受信した電波信号に基づき、当該移動局に対し前記出口割り当て手段で割り当てられた、若しくは、当該移動局に対し前記出口割り当て手段で割り当てられた後に前記第1又は第2割り当て変更手段で変更された、割り当て出口情報を取得する出口情報取得手段と、前記出口情報取得手段で取得した前記割り当て出口情報に基づき、対応する前記出口に係わる表示を行う表示手段とを備えることを特徴とする。
【0033】
これにより、各移動局に(言い換えれば各被誘導者に)割り当てられた出口を移動局において表示し、被誘導者に確実に認識させることができる。この結果、被誘導者を、円滑かつ迅速に各出口から所定領域外へ退出させることができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、複数の被誘導者を、少ない負担で円滑かつ迅速に最適な出口へ誘導することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0036】
図1は、本発明の出口誘導システムの一実施形態の全体構成を概略的に示す説明図である。
【0037】
図1において、この例では、本実施形態の出口誘導システム1を、建造物のフロアZ(所定の移動可能領域、所定領域)全体に適用した場合を示している。フロアZには、複数(この例では2つ)の出口E1,E2が設けられており、この例ではフロアZは出口E1側の第1フロア領域Z1と出口E2側の第2フロア領域Z2とから構成されている。また、このフロアZとは別に、管理担当の操作者(図示せず、以下管理者という)用の管理室ZSが設けられている(フロアZ内に管理室を設けてもよい)。
【0038】
本実施形態の出口誘導システム1は、被誘導者としての複数(図示の例では10人)の人物P(後述のように人物P1,P2,P3に分類される)がそれぞれ所持する移動局タグT(移動局;後述のように移動局タグT1,T2,T3に分類される)と、フロアZの適宜の箇所にそれぞれ設置された複数(図示の例では4つ)の固定局リーダ(基地局)R1,R2,R3,R4と、管理室ZS内に設置されて上記各固定局リーダR1〜R4と通信ネットワークNWを介して接続されている管理サーバSとを有している。
【0039】
各固定局リーダR1,R2,R3,R4は、フロアZの例えば壁面に設置され、協働してフロアZ内の全域を通信範囲としている。そして、人物Pとともに移動する移動局タグTに対し無線通信を介した情報送受信を行い、その結果によってフロアZ内の人物Pの位置を管理サーバSにて検出できるようになっている。
【0040】
また、各固定局リーダR1〜R4は、移動局タグTに予め記憶された、対応する人物Pの属性情報(性別情報や年齢情報等。後述)を取得することができる。この例では、人物Pは、この属性情報によって3種類のグループに分類される(対応する移動局タグTも3種類のグループに分類される)。すなわち、この例では、移動局タグT1を所持する成人男性(以下適宜、「人物P1」と称する)と、移動局タグT2を所持する成人女性(以下適宜、「人物P2」と称する)と、移動局タグT3を所持する子供(以下適宜、「人物P3」と称する)とがフロアZに存在する場合を示す。
【0041】
管理サーバSは、当該フロアZの地図情報を記憶している。すなわち、上記フロアZには例えば左下隅を原点とするような平面座標系が設定され、予めフロアZが占有する座標領域、各固定局リーダR1〜R4の設置位置、出口E1,E2の配置位置が図1に示すような地図情報として管理サーバSに記憶されている。
【0042】
また、管理サーバSは、各固定局リーダR1〜R4にそれぞれ検出させた移動局タグT1〜T3までの距離に基づいて移動局タグT1〜T3のフロア内存在位置(つまり人物P1〜P3の存在位置)の検出を行う。また、管理サーバSは、上記人物P1〜P3の存在位置の検出結果と上記地図情報とに応じて、各移動局タグT1〜T3から2つの出口E1,E2それぞれまでの距離を算出し、その算出距離に基づき、各人物P1〜P3に対して対応する出口E1,E2への誘導を行う(詳しくは後述する)。
【0043】
図2は、本実施形態の出口誘導システム1の機能的構成を表す機能ブロック図である。なお、図示の煩雑を回避するために固定局リーダ及び移動局タグはそれぞれ1つのみ示す。
【0044】
図2において、出口誘導システム1は、前述したように、人物P1,P2,P3がそれぞれ所持する上記移動局タグT1,T2,T3と、それら移動局タグT1〜T3と無線通信を行う上記固定局リーダR1〜R4と、これら固定局リーダR1〜R4に適宜の通信ネットワークNWでそれぞれ接続された上記管理サーバSとを有している。
【0045】
例えば管理室の管理者(操作者)が管理サーバSを操作することにより、通信ネットワークNWを介し管理サーバSから各固定局リーダR1〜R4へと制御信号が出力され、各固定局リーダR1〜R4での検出結果を含む信号が管理サーバSへと出力される。
【0046】
固定局リーダR1〜R4(以下、単体を指す場合は適宜「固定局リーダR」と称する)は、リーダ本体部11と、リーダアンテナ(第2アンテナ手段)12とを有している。
【0047】
リーダ本体部11は、無線部16と、RSSI部17と、ネットワーク通信制御部18と、時計部19Aと、到来時間検出部19と、制御部20とを有する。
【0048】
無線部16は、電波信号を送受信するための変調、復調、増幅などの無線機能を実行する。RSSI部17は、受信信号の信号強度を検出する。
【0049】
ネットワーク通信制御部18は、上記通信ネットワークNWを介して管理サーバSとの制御信号及び情報信号の授受の制御を行う。時計部19Aは、現在時刻(時刻情報)を出力する機能を備えている。なお、本実施形態では、通信ネットワークNWにケーブル等を使用した有線ネットワークを想定しているが、これに限らず、無線ネットワークを用いてもよい。
【0050】
制御部20は、上記無線部16、RSSI部17、ネットワーク通信制御部18、到来時間検出部19、及び時計部19Aを含む固定局リーダR全体の動作を制御する。すなわち、制御部20は、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行う。具体的には、制御部20は、管理サーバSからの位置検出処理の実行命令の入力を受け付け、リーダアンテナ12を介した無線通信により移動局タグT1〜T3の検出処理を行い、その検出結果を上記通信ネットワークNWを介して管理サーバSへ出力する。また同様に、制御部20は、移動局タグTに記憶された人物P1〜P3に関わる属性情報の取得処理の実行命令の入力を管理サーバSから受け付け、リーダアンテナ12を介した無線通信により移動局タグT1〜T3から情報取得処理を行い、その取得した情報(属性情報)を上記通信ネットワークNWを介して管理サーバSへ出力する。そして、管理サーバSが(各人物P1〜P3を誘導するために)各移動局タグT1〜T3に割り当てた出口に関する割り当て出口情報を、リーダアンテナ12を介した無線通信により各移動局タグT1〜T3へ送信し、対応する表示を行わせる。
【0051】
リーダアンテナ12は、制御部20から無線部16で生成した高周波信号を放射する。逆に、リーダアンテナ12が、電波信号を受信すると、その受信された電波信号が無線部16にて復調され、制御部20へと出力される。
【0052】
管理サーバSは、CPU(中央演算装置)21と、メモリ22と、操作部23と、表示部24と、大容量記憶装置25と、ネットワーク通信制御部26とを備えている。
【0053】
メモリ22は、例えばRAMやROM等から構成される。操作部23には、管理者からの指示や情報が入力される。表示部24では、各種情報やメッセージを表示する。大容量記憶装置25は、ハードディスク装置からなり、フロアZの地図情報、人物P1〜P3の属性情報、各出口E1,E2で(例えば構造上)受け入れ可能な人数に関するキャパシティ情報等の各種情報を記憶するデータベースとして機能する。ネットワーク通信制御部26は、上記通信ネットワークNWを介し各固定局リーダR1〜R4との制御信号及び情報信号の授受の制御を行う。
【0054】
移動局タグT1〜T3のそれぞれ(以下、単体を指す場合は適宜「移動局タグT」と称する)は、例えば図3に示すように、カードの形でポケットに入れたり、あるいは首からぶら下げたり等の適宜の手法で、前述したように対応する人物P1〜P3により所持されている。この移動局タグTは、IC回路部31(記憶部)と、タグアンテナ(第1アンテナ手段)32と、表示部DP(表示手段)とを有している(時計部35については後述)。
【0055】
IC回路部31は、電波信号を送受信するための変調、復調、増幅などの無線機能を実現する無線部33と、この無線部33を含む移動局タグT全体の動作を制御する制御部34とを有する。なお、この例で用いる移動局タグTは、その内部に独自に備えた電源(特に図示せず)により駆動するアクティブタグである。この結果、移動局タグTは、比較的弱い電波信号も受信可能となっている。
【0056】
表示部DPは、当該移動局タグTに対して割り当てられた(言い換えれば対応する人物P1〜P3が誘導される)出口E1(又は出口E2)を表示して報知するためのものである(後述の図10、図11等を参照)。前述した管理サーバSの指示に基づき固定局リーダRから送信され、タグアンテナ32を介し無線部33で受信された割り当て出口情報に基づき、対応する出口E1(又は出口E2)の表示を行う。
【0057】
以上において、本実施形態の最も大きな特徴は、移動局タグTの位置検出結果により算出される各移動局タグTから出口E1,E2までの距離と、さらに各出口E1,E2の上記キャパシティ情報(受け入れ可能な人数)とに応じ、各人物P1〜P3を誘導すべき出口を決定することにある。以下、その詳細を順次説明する。
【0058】
(A)移動局の位置検出の手法原理
図4は、本実施形態の出口誘導システム1において移動局タグTの位置を検出する方法の原理を説明する図である。なお、図4中においては、図示の煩雑を避けるために3つの固定局リーダR1〜R3によって一つの移動局タグTの位置を検出する例を示している。
【0059】
図4において、人物Pが所持する移動局タグTは上述したように平面座標系が設定されているフロアZ内を自由な座標位置に移動できるのに対し、3つの固定局リーダR1〜R3は同じフロアZ内でそれぞれ既知の設置位置に固定的に配置されている。そして各固定局リーダR1〜R3は通信ネットワークNWを介して一つの管理サーバSに情報を送受可能に接続されている。
【0060】
この構成において、各固定局リーダR1〜R3での移動局タグTからの電波信号の受信時刻差に基づき、管理サーバSは、各固定局リーダR1〜R3から移動局タグTまでの距離をそれぞれ測定検出する。つまり、各固定局リーダR1〜R3の少なくとも1つが移動局タグTに対し所定の送信要求信号を送信し、それに対応して移動局タグTが電波信号(距離検出用の電波信号)を各固定局リーダR1〜R3に向けて送信する。このとき、移動局タグTが距離検出用の電波信号が送信してから固定局リーダRにおいて受信されるまでの時間(到来時間)は、固定局リーダRと移動局タグTとの空間的な距離に比例する。各固定局リーダRから移動局タグTまでの距離が異なる場合には、上記到来時間は、各固定局リーダRごとに異なる値となって時間差が生じる。管理サーバSは、その時間差に基づいて各固定局リーダRと移動局タグTとの間の距離を算出することができる。
【0061】
基地局R1、R2、R3の座標をそれぞれ、(x1,y1)、(x2,y2)、(x3,y3)とする。そして、第1基地局R1、第2基地局R2、第3基地局R3それぞれにおいて、移動局Tから時刻T0で送信された距離検出用の電波信号を受信した受信時刻をT1,T2,T3とする。
【0062】
以上のような条件においては、図4において、
c×(T1−T0)=√{(x−x1)+(y−y1)} ・・(1A)
c×(T2−T0)=√{(x−x2)+(y−y2)} ・・(1B)
c×(T3−T0)=√{(x−x3)+(y−y3)} ・・(1C)
が成り立つ。
【0063】
すると、式(1A)から式(1B)を減じることで、
√{(x−x1)+(y−y1)}−√{(x−x2)+(y−y2)}=c×(T1-T2) …(1D)
また、式(1A)から式(1C)を減じることで、
√{(x−x1)+(y−y1)}−√{(x−x3)+(y−y3)}=c×(T1-T3) …(1E)
で表される関係が成り立つ。なお、cは電波速度(光速:約3.0×108[m/s])である。
【0064】
このとき、(受信時刻T1,T2,T3は測定値として既知であり)変数はx、yの2つのみであるから、上記(1D)(1E)の2つの式を例えばニュートンラプソン法などにより解くことにより、移動局Tの位置のx,y座標(x,y)を特定することができる。なお、本実施形態のように4つの基地局R1〜R4を設けることで、さらに精度のよい位置検出を行うことができる。
【0065】
なお、上記の例では、各固定局リーダR1〜R3は電波信号の受信時刻を検出し管理サーバSに送信するのみであり、測位処理(固定局リーダR1〜R3から移動局タグTまでの距離の算出)は管理サーバSが行うが、これに限られない。すなわち、各固定局リーダR1〜R3の制御部20同士でお互いの受信時刻情報の送受信を行い、各固定局リーダR1〜R3が移動局タグTまでの距離の算出まで行って(=位置検出手段としての機能)、その算出結果(距離データ)を管理サーバSへ送信するようにしてもよい。管理サーバSでは、それら各固定局リーダR1〜R3からの3つの距離データを集計して、移動局タグTの位置検出を行う。また、受信された電波の強度により距離を算出し、複数の距離から位置を算出してもよい。
【0066】
(B)円滑な出口誘導に対する阻害
例えば図1において、フロアZに存在する人物P1〜P3の全員を、出口E1,E2のいずれかより退出させたい場合、各人物P1〜P3の最寄りの位置の(最短距離となる)出口E1,E2へと誘導するようにすれば各人の出口までの移動距離が短く、迅速に移動できる。この場合、図5に示すように、出口E1側の第1フロア領域Z1に存在する人物P1〜P3(合計4人)は出口E1へ誘導し(破線矢印参照)、出口E2側の第2フロア領域Z2に存在する人物P1〜P3(合計6人)は出口E2へと誘導することになる(なお、丸数字の被誘導者ナンバーについては後述)。
【0067】
ところで、このように集団を一度に1つの出口へ誘導して退出させようとする場合、出口の大きさ、構造、あるいは法令等により決定される、当該出口の受け入れ能力(キャパシティ)が問題となる。図6(a)に示すように、1つの出口に対し比較的少ない人数が誘導された場合には全員が円滑かつ速やかに退出することができるが、図6(b)に示すように、1つの出口に対し(上記キャパシティを上回る)多くの人数が一度に集中すると円滑な退出が困難となる。また、例えば火災発生時の避難誘導では、煙が立ちこめていて視界が遮られるため、図7に示すように、壁や出口の存在そのものが非常にわかりにくい。
【0068】
(C)適切な出口誘導の実現
本実施形態は、各人物P1〜P3に対し最短距離にある出口E1,E2を割り当てて誘導することをベースとしつつ、出口E1,E2のキャパシティを超えた場合には一部の人物P1〜P3の割り当てを変更し、最終的な割り当て結果を各移動局タグT1〜T3にて表示させることで、円滑かつ迅速な全員退出を実現するものである。
【0069】
図8は、上記図5に示したフロアZ内の各人物P1,P2,P3について、検出したそれぞれの位置(x座標、y座標)と、各位置に基づき算出された出口E1,E2までの距離の例を表した図である。図8中、被誘導者ナンバーは、図5において○数字を付した人物P1,P2,P3を表している。d1は出口E1(x座標0、y座標5)までの距離(相対値表示。例えばメートル。以下同様)を表し、d2は出口E2(x座標20、y座標5)までの距離を表し、|d1−d2|はそれら出口E1までの距離と出口E2までの距離との距離差、詳細には距離差の絶対値(距離差指標値)を表している。
【0070】
図8において、例えば被誘導者番号(1)の人物P1(移動局T1)は、存在位置は(14,8)、出口E1(0,5)までの距離が14.3、出口E2(20,5)までの距離が6.7であり、この結果それらの距離の差が7.6である。同様に、被誘導者番号(2)の人物P3(移動局T3)は、存在位置は(16,4)、出口E1までの距離が16.0、出口E2までの距離が4.1であり、それらの距離の差は11.9である。被誘導者番号(3)の人物P2(移動局T2)は、存在位置は(13,6)、出口E1までの距離が13.0、出口E2までの距離が7.1であり、それらの距離の差は5.9である。被誘導者番号(4)の人物P3(移動局T3)は、存在位置は(11,0)、出口E1までの距離が12.1、出口E2までの距離が10.3であり、それらの距離の差は1.8である。被誘導者番号(5)の人物P1(移動局T1)は、存在位置は(14,2.5)、出口E1までの距離が14.2、出口E2までの距離が6.5であり、それらの距離の差は7.7である。被誘導者番号(6)の人物P2(移動局T2)は、存在位置は(12,3)、出口E1までの距離が12.2、出口E2までの距離が8.2であり、それらの距離の差は4.0である。
【0071】
図5に示すように、上記被誘導者番号(1)〜(6)の6名の人物P1〜P3は、フロアZのうち出口E2に近い第2フロア領域Z2に存在している。したがって、出口E1,E2のうち、最短距離となるのは出口E2である。ところが、出口E1,E2の(円滑な誘導を実現するために許容される)キャパシティが5名であったとすると、合計6名であるから1名分がキャパシティオーバーとなってしまう。一方、図5においてフロアZの第1フロア領域Z1に位置し最短距離が出口E1となる人物P1〜P3は4名であり、1名分キャパシティに余裕がある。
【0072】
このような場合、本実施形態では、第2フロア領域Z2に位置している(=最短距離基準であれば本来は出口E2へと誘導されるべき)人物P1〜P3のうち、上記キャパシティ不足が解消されるように少なくとも1人(この例では1人)を、出口E1に誘導する(=誘導先として割り当てる出口を変更する)。これにより、出口E2に振り分けられる人物P1〜P3は6名から5名となってキャパシティ内に収まり(出口E1も4名→5名でキャパシティ内)、円滑かつ迅速な誘導が可能となる。
【0073】
この出口E2→出口E1への出口割り当ての変更を行う対象者としては、本実施形態では、当該人物への身体的負担増を極力避けるために、出口E2までの距離と出口E1までの距離との差が最も小さい人物を選定する。この例では、前述したように、被誘導者番号(4)の人物P3が、出口E1までの距離と出口E2までの距離の差が1.8で最も小さい(出口E1までの距離12.1、出口E2までの距離10.3)。したがって、図9に示すように、この被誘導者番号(4)の人物P3に係る移動局タグT3へ、固定局リーダRから、出口E1の割り当て出口情報を送信し、移動局タグT3で対応する出口E1の誘導表示を行わせる。
【0074】
なお、第2フロア領域Z2の残りの5人の人物P1〜P3(被誘導者番号(1),(2),(3),(5))については、それぞれの移動局タグT1〜T3に出口E2の誘導表示を行わせる。また、第1フロア領域Z1の4名の人物P1〜P3については,それぞれの移動局タグT1〜T3に出口E1の誘導表示を行わせる。
【0075】
図10及び図11は、上記誘導表示を実行する、移動局タグTの表示部DPの構成の例を表す図である。図10の例では、液晶パネルで構成する表示部DPに、誘導する出口E1(又は出口E2)の名称のテキスト情報(図中の上側における表示内容)を表示している。そして、さらに表示部DPには、フロアAの地図表示(地図情報はIC回路部31内に記憶しておいてもよいし、固定局リーダRから送信してもよい)中に、現在位置と現在位置から出口E1(又は出口E2)への方向を表す矢印ARとを表示している。
【0076】
なおこの場合、移動局タグT1〜T3に図示しない方向検出手段(例えば電子コンパス等)等を設け、人物P1〜P3の姿勢に対応した移動局タグT1〜T3の向いた方向に応じ、実際の出口E1(又は出口E2)の方向と合致するような表示を表示部DPにおいて行わせるようにしてもよい。その場合、上記地図情報の表示を上記移動局タグT1〜T3の向いた方向に応じて変化(回転等)させるようにしてもよいし、地図情報の表示自体を省略してもよい(矢印ARの方向のみで人物P1〜P3が出口方向を把握できるため)。
【0077】
図11の例では、表示部DPに、現在位置から出口E1(又は出口E2)への経路情報をテキスト情報として表示した場合である。
【0078】
なお、詳細な図示を省略するが、上記以外にも、例えば表示部DPに設けたLEDによってその点灯により出口への方向を指示するようにしてもよい。
【0079】
(D)制御シーケンス
図12は、管理サーバS、固定局リーダR1〜R4、及び移動局タグT1〜T3の間で送受される各種信号の送受と制御動作の一例を表すシーケンス図である。図12において、基本的に図中上側から下側に向かっての時系列変化で各手順を表している。上述したように、管理サーバSと固定局リーダR1〜R4との間は通信ネットワークNWを介した信号の送受である。また、固定局リーダR1〜R4と移動局タグT1〜T3との間は、無線通信を介した信号の送受となっている。
【0080】
まず最初に、ステップSS10において、管理サーバSのCPU21がネットワーク通信制御部26を介し、各固定局リーダR1〜R4(あるいは特定の1つの固定局リーダRでもよい)に対し、移動局タグTへの距離検出用の電波送信要求を送信するよう指示信号を出力する。これにより、ステップSR10で、各固定局リーダR1〜R4(又は特定の1つの固定局リーダR)の無線部16がリーダアンテナ12を介し移動局タグTに向けて電波送信要求信号を送信する。
【0081】
そして、この送信要求信号を受信した移動局タグTの無線部33が、ステップST10において、タグアンテナ32を介し、対応する距離検出用の電波信号を送信する。各固定局リーダR1〜R4の無線部16は、ステップSR20で、リーダアンテナ12を介しそれぞれ距離検出用の電波信号を受信する。そして、到来時間検出部19がそのときの受信時刻情報を検出し、制御部20がその受信時刻情報をネットワーク通信制御部18を介して管理サーバSに出力する。
【0082】
そして管理サーバSのCPU21が、ステップSS20において、各固定局リーダR1〜R4から入力した受信時刻の差(=到来時間の差)に基づき、それぞれの移動局タグTとの間の距離を算出する。その後、次のステップSS30で、管理サーバSのCPU21は、上記ステップSS20で算出した距離に基づき、移動局タグTの位置座標を、図4を用いて上述した手法により算出する(=位置検出手段)。
【0083】
なお、上記ステップST10では、固定局リーダR1〜R4(又は特定の固定局リーダR)からの送信要求に応じて距離検出用の電波信号を移動局タグTから送信するようにしたが、これに限られない。すなわち、移動局タグTが一定時間間隔で自発的に電波信号を発信し続け、各固定局リーダRがその発信し続ける電波信号を受信し、これに基づき管理サーバSで距離検出を行うようにしてもよい。
【0084】
次にステップSS35で、管理サーバSのCPU21は、上記ステップSS30で算出した移動局タグTの位置座標と、予め大容量記憶装置25に記憶している当該フロアの地図情報及び各出口E1,E2の座標情報に基づき、各移動局タグT1〜T3(言い換えれば人物P1〜P3)から全ての出口までの距離(この例では出口E1までの距離d1と出口E2までの距離d2)を算出する(距離算出手段;前述の図8参照)。
【0085】
その後、ステップSS40において、上記ステップSS35での算出結果に基づき、各移動局タグTごとに距離が最短となる出口E1又はE2を決定する(言い換えれば、決定した出口E1又は出口E2を当該移動局タグTに割り当てる;出口割り当て手段)。
【0086】
そして、ステップSS45において、上記ステップSS40で決定した出口の割り当てに基づき、全ての(この例では2つの)出口E1,E2について、上記決定により振り分けられた移動局タグT1〜T3の数を、各出口ごとに個別に集計する(移動局数算出手段)。
【0087】
そして、ステップSS50に移り、上記ステップSS45での集計結果に基づき、振り分けられた移動局タグT1〜T3の数が、許容されるキャパシティ(前述の例では5名)を超過している出口E1,E2があるかどうかを判定する。この例では、出口E1,E2のキャパシティが5名であることから、出口E1,E2のいずれかに振り分けられた移動局タグT1〜T3の数が6以上であるかどうかを判定する。全ての出口E1,E2について振り分けられた移動局タグT1〜T3の数が5以下であれば(キャパシティオーバーは存在しないことから)判定が満たされず、後述のステップSS210へ移る。いずれか1つの出口E1,E2でも、振り分けられた移動局タグT1〜T3の数が6以上となっていれば、キャパシティオーバーであることから判定が満たされ、ステップSS100Aに移る。
【0088】
その後、ステップSS100Aで、キャパシティオーバーとなっている出口E1,E2に対して割り当てられている少なくとも1つの移動局タグT1〜T3の割り当て先を、別の出口に変更する、割り当て変更処理を行う(詳細は後述の図13参照)。ステップSS100Aが完了すると、ステップSS210に移る。
【0089】
ステップSS210では、管理サーバSのCPU21が、ネットワーク通信制御部26を介し、固定局リーダR1〜R4に対し、各移動局タグT1〜T3に対し割り当てられた(あるいはその後ステップSS100Aで変更された)出口に関する割り当て出口情報を送信するよう指示信号を出力する。これにより、ステップSR50で、対応する固定局リーダR1〜R4の無線部16がリーダアンテナ12を介し移動局タグT1〜T3に向けて割り当て出口情報を送信する。これに応じて、各移動局タグT1〜T3がタグアンテナ32を介し無線部33で割り当て出口情報を受信して取得する(出口情報取得手段)。
【0090】
その後、ステップST30で、移動局タグT1〜T3の制御部34が上記受信した割り当て出口情報に対応した表示信号を表示部DPに出力し、対応する出口へ誘導するための表示を表示部DPに行わせ、このフローを終了する。
【0091】
図13は、管理サーバSのCPU21が実行する、図12の上記ステップSS100Aの割り当て変更処理の詳細手順を表すフローチャートである。
【0092】
図13において、まずステップSS110で、割り当て変更を行う移動局タグTの数をカウントする変数Nを1に初期化設定する。
【0093】
その後、ステップSS120に移り、上記ステップSS35における出口E1,E2までの距離d1,d2の算出結果に基づき、各移動局T1〜T3ごとに、最短距離である出口(=第1出口、特定の出口;上記の例では出口E1,E2のうちのいずれか一方となる)までの距離(=第1距離。上記の例では前述の距離d1,d2のうちのいずれか一方となる)と、その次に距離が短くなる出口(=第2出口、特定の出口とは別の出口;上記の例では出口E1,E2のうちの他方)までの距離(=第2距離。上記の例では距離d1,d2のうちの他方)との距離差の絶対値(上記の例では|d1−d2|;前述の図8参照)を算出する(距離差算出手段)。
【0094】
そして、ステップSS130において、上記ステップSS120で算出した距離差(絶対値)がN番目に小さい移動局タグT1〜T3に対し、割り当てる出口を、上記最短距離である第1出口から、その次に距離が短い第2出口へと変更する(第1割り当て変更処理手段)。これにより、前述の図9の例でいえば、被誘導者番号(4)の人物P3(出口E1までの距離12.1と出口E2までの距離10.3の差が1.8で最も小さい)に割り当てる出口が、距離10.3で最短である出口E2(この人物にとっての第1出口)から距離12.1である出口E1(この人物にとっての第2出口)へと変更される。
【0095】
なお、ステップSS130において、上記距離差が同じである複数の移動局タグT1〜T3が存在していた場合は、出口E1,E2までの距離d1,d2が短い移動局を選択して割り当て変更したり、単純にタグIDの並び(値が小さいほう等)によって決定したり、後述の変形例のように属性情報を加味して選択する等、適宜の手法で1つを選択するようにすればよい(詳細なフロー手順は省略)。
【0096】
その後、ステップSS140に移り、上記ステップSS50において許容キャパシティの超過と判断された(今回割り当てを変更した移動局タグTのもとの割り当て先である)出口において、上記ステップSS130の割り当て変更によりキャパシティオーバーが解消したかどうかを判定する。前述の例でいえば、もともと振り分けられた移動局タグTの数が6以上であった出口E1(又は出口E2)について、振り分けられた移動局タグTの数が5以下になったかどうかを判定する。キャパシティオーバーが解消していなければ判定が満たされず、ステップSS150でNの値に1を加え、ステップSS130から同様の手順を繰り返す。これにより、上記距離差が1番目に小さい移動局タグT→2番目に近い移動局タグT→3番目に近い移動局タグT→・・・のように、距離差が小さい順に移動局タグT1〜T3の割り当て変更が(キャパシティオーバーが解消されるまで)行われる。割り当て変更が行われた移動局T1〜T3を所持する人物P1〜P3は、誘導される出口E1,E2までの距離が伸びる分だけ身体的な負担増となることから、なるべく出口距離差が少ない(言い換えれば割り当て変更に伴う身体的な負担増が少ない)者に対し、必要最小限に割り当て変更を行うようにしている。このようにして割り当て変更をキャパシティオーバーが解消されるまで行うことにより、キャパシティオーバーとなる出口が確実に生じないようにすることができる。
【0097】
上記ステップSS130の割り当て変更によりキャパシティオーバーが解消したらステップSS140の判定が満たされ、このルーチンを終了する。なお、前述のステップSS50と上記ステップSS140とが、各請求項記載の比較手段を構成している。
【0098】
以上説明したように、本実施形態の出口誘導システム1においては、移動局タグT1〜T3から距離検出用の電波信号が送信されると、その電波信号が固定局リーダR1〜R4の無線部16にて受信され、このときの電波信号の受信時刻が到来時間検出部19で検出される。これにより、管理サーバSが、固定局リーダR1〜R4の受信時刻差情報に基づき全移動局タグT1〜T3の位置検出を行う(ステップSS20)。その後、管理サーバSが各移動局タグTから出口E1,E2までの距離を算出し、各移動局タグTごとに、人物P1〜P3を誘導するのに適した所定の出口(この例では最短距離となる出口E1又はE2)を決定して割り当てを行う(ステップSS40)。そして、その割り当て結果を集計し、各出口E1,E2ごとに振り分けられた移動局タグT1〜T3の数を算出する(ステップSS45)。そして、この振り分けられた移動局タグT1〜T3の数を出口E1,E2のキャパシティと比較し、振り分けられた移動局数がキャパシティを上回っていた場合には移動局タグT1〜T3の割り当てを少なくとも一部変更する。これにより、当該特定の出口へ振り分けられる移動局タグT1〜T3(人物P1〜P3)の数をキャパシティ以下に抑えることができる。以上の結果、各出口E1,E2でのキャパシティ超えによる不都合(通過阻害、渋滞、転倒、混乱等の発生)を未然に防止しつつ、各人物P1〜P3に対し最適な出口へと誘導を行うことができる。したがって、フロアZに存在する全ての人物P1〜P3を、少ない負担で円滑かつ迅速に各出口E1,E2からフロアZの外へ退出させることができる。
【0099】
また、本実施形態では特に、各移動局タグT1〜T3に(言い換えれば各人物P1〜P3に)割り当てられた出口E1,E2を移動局タグT1〜T3の表示部DPにおいて表示する。これにより、誘導先である出口E1(又は出口E2)を人物P1〜P3に確実に認識させることができる(特に、上記図7に示したような視界不良時であっても手元で表示を見ることができ、有効である)。この結果、確実に全人物P1〜P3を円滑迅速に各出口E1,E2からフロアZ外へ退出させることができる。
【0100】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。以下、そのような変形例を説明する。
【0101】
(a)属性情報に応じて割り当て変更を行う場合
すなわち、上記実施形態においては、キャパシティオーバーの発生により一部の移動局タグT1〜T3に関して割り当てる出口の変更を行う必要が生じた場合、各移動局タグTから出口E1,E2までの距離d1,d2の距離差|d1−d2|に基づいて対象となる移動局タグTの選定を行った。本変形例においては、この割り当て変更対象となる移動局タグT1〜T3の選定を、対応する人物P1〜P3の属性情報に応じて行うものである。
【0102】
図14は、前述の図5に示したフロアZ内の各人物P1,P2,P3について、それぞれの属性(成人男性、成人女性、子供)を属性係数(属性指標値)の形で表した図である。上記図8と同様、図14中の被誘導者ナンバーは、図5において○数字を付した人物P1,P2,P3を表している。この例では、上記3つの属性を、成人男性1、成人女性2、子供5の属性係数で数値化しており、数値が大きいほど誘導における優先度が高く(なるべく割り当て変更を行わないように)なっており、数値が小さいほど誘導における優先度が低く(割り当て変更を行いやすいように)なっている。すなわち、子供よりも成人女性が、成人女性よりも成人男性が、より割り当て変更がなされやすく設定されている。
【0103】
図14において、既に述べたように例えば被誘導者番号(1)の人物P1は成人男子であるため属性係数は1となる。同様に、被誘導者番号(2)の人物P3は子供であり属性係数は5となる。被誘導者番号(3)の人物P2は成人女性であり属性係数は2となる。被誘導者番号(4)の人物P3は子供であり属性係数は5となる。被誘導者番号(5)の人物P1は成人男性であり属性係数は1となる。被誘導者番号(6)の人物P2は成人女性であり属性係数は2となる。
【0104】
このような属性係数は、移動局タグT1〜T3に記憶された属性情報(性別情報や年齢情報)がリーダR1〜R4により読み出され、管理サーバSで取得されることによって決定される。図15(a)〜(c)は、移動局タグT1〜T3のIC回路部31の記憶内容を概念的に表した説明図である。
【0105】
図15(a)は移動局タグT1の記憶内容を表しており、識別情報であるタグIDのほかに、人物P1の属性(成人男性)に対応し男性である旨の性別情報と大人である旨の年齢情報とを属性情報として備えている。図15(b)は移動局タグT2の記憶内容を表しており、識別情報であるタグIDのほかに、人物P2の属性(成人女性)に対応し女性である旨の性別情報と大人である旨の年齢情報とを属性情報として備えている。図15(c)は移動局タグT3の記憶内容を表しており、識別情報であるタグIDのほかに、人物P3の属性(子供)に対応し男性である旨の性別情報と子供である旨の年齢情報とを属性情報として備えている(この例では、子供の場合の性別は属性係数の設定には特に影響しない)。なお、上記のような性別情報や年齢情報でなく、前述の属性係数そのものを、属性情報として移動局タグT1〜T3のIC回路部31に記憶させるようにしてもよい。
【0106】
また、上記誘導における優先順位は相対的なものであり、フロアZに子供が存在していれば上記のように子供の誘導が最も優先されるが、子供がおらず成人女性と成人男性のみが存在していた場合は、相対的に優先度の高い成人女性の誘導が優先される。さらに、優先順位の付与の仕方の分類分けはこの例に限られず、各人物Pの他の属性情報、例えば健康状態(健常体、病人・怪我人か)に基づき優先度を決めるようにしてもよい。あるいはフロアZや建造物を利用する組織(会社等)における属性(社長・重役・管理職・一般社員、正社員・パート・アルバイト、当該建造物に近い部署・遠い部署の所属か、そのフロアZに密接な関係のある者かどうか、等)によって決めるようにしてもよい。またそれらを適宜組み合わせて用い、優先順位を付与するようにしてもよい。
【0107】
図16は、本変形例における割り当て変更の挙動を説明するための説明図であり、上記図9に対応する図である。既に述べたように、この例では第2フロア領域Z2の6名の人物P1〜P3のうち、1名を選択して出口E1へ誘導するように割り当て変更しなければならない。本変形例では、上述のように誘導における優先度が最も低い(属性係数の値が最小の1である)成人男性である人物P1の割り当て出口を出口E2から出口E1へと変更する。なお、図示のように成人男性は被誘導者番号(1)の人物P1と、被誘導者番号(5)の人物P1との2名が存在する。この例では、前述と同様、出口E1までの距離d1が(被誘導者番号(1)の人物P1よりも)短い被誘導者番号(5)の人物P1を選択し、対応する移動局タグT1に対する出口の割り当て変更(出口E2→出口E1)を行っている。
【0108】
図17は、本変形例において、管理サーバS、固定局リーダR1〜R4、及び移動局タグT1〜T3の間で送受される各種信号の送受と制御動作の一例を表すシーケンス図であり、上記図12に対応する図である。図12と同等の手順には同一の符号を付し、説明を省略又は簡略化する。
【0109】
図17において、このシーケンスでは、割り当て変更処理を実行する図12のステップSS100Aに代え、別の態様の割り当て変更処理を行うステップSS100Bを設けている。そして、ステップSS50とステップSS100Bとの間に、上記属性情報の取得に係わるステップSS60、ステップSR30、ステップST20、ステップSR40の手順を新たに設けている。
【0110】
すなわち、ステップSS50において、いずれかの出口E1,E2がキャパシティオーバーとなっており判定が満たされた場合、ステップSS60に移る。ステップSS60では、管理サーバSのCPU21が、ネットワーク通信制御部26を介し、固定局リーダR1〜R4に対し、対応する移動局タグT1〜T3への(対応する人物P1〜P3の)属性情報送信要求を送信するよう指示信号を出力する。これにより、ステップSR30で、対応する固定局リーダR1〜R4の無線部16がリーダアンテナ12を介し移動局タグT1〜T3に向けて属性情報送信要求信号を送信する。
【0111】
そして、この送信要求信号をそれぞれ受信した各移動局タグT1〜T3の無線部33が、ステップST20において、タグアンテナ32を介し、対応する(人物P1〜P3の)属性情報を送信する。対応する固定局リーダR1〜R4の無線部16は、リーダアンテナ12を介しそれぞれ属性情報を受信する。そして、ステップSR40で、制御部20がその属性情報をネットワーク通信制御部18を介して管理サーバSに出力し、管理サーバSはその属性情報を取得する(属性情報取得手段)。なお、このように各移動局タグT1〜T3に属性情報を記憶するのに限られない。すなわち、別途のデータベースに、各移動局タグT1〜T3の識別情報(タグID;属性情報に対応する情報)と対応する人物P1〜P3の属性情報とを関連づけて格納しておくようにしてもよい。この場合、ステップST20では属性情報でなくタグIDを送信してこれをリーダR1〜R4で受信し、ステップSR40ではタグIDを管理サーバSに出力し、管理サーバSでは当該タグIDをキーとしてデータベースを検索し、対応する属性情報を取得する(属性情報取得手段)。
【0112】
なお、上記ステップST20では、固定局リーダR1〜R4からの送信要求に応じて属性情報を移動局タグT1〜T3から送信するようにしたが、これに限られない。すなわち、移動局タグT1〜T3が一定時間間隔で自発的に属性情報を発信し続け、固定局リーダR1〜R4がその発信し続ける電波信号を受信し、これに基づき管理サーバSで対応する処理を行うようにしてもよい。
【0113】
図18は、管理サーバSのCPU21が実行する、図17の上記ステップSS100Bの割り当て変更処理の詳細手順を表すフローチャートであり、前述の図13に対応する図である。図13と同等の部分には同一の符号を付し、説明を省略又は簡略化する。
【0114】
図18では、図13のステップSS120を省略するとともに、ステップSS130に代えてステップSS160を設けている。
【0115】
すなわち、ステップSS110で変数Nを1に初期化設定すると、ステップSS160に移る。
【0116】
ステップSS160において、上記ステップSR40で各固定局リーダR1〜R4から入力した属性情報に基づく属性係数(1,2,5)がN番目に小さい移動局タグT1〜T3に対し、割り当てる出口を変更する。すなわち、(上記ステップSS35における出口E1,E2までの距離d1,d2の算出結果に基づく)最短距離である第1出口から、その次に距離が短くなる第2出口へと変更する(第1割り当て変更処理手段)。これにより、前述の図16の例では、被誘導者番号(5)の人物P1に割り当てる出口が、距離6.5で最短である出口E2(この人物にとっての第1出口)から距離14.2である出口E1(この人物にとっての第2出口)へと変更される。
【0117】
なお、ステップSS160において、上記属性係数が同じである複数の移動局タグT1〜T3が存在していた場合は、上記ステップSS130と同様、出口E1,E2までの距離d1,d2が短い移動局を選択して割り当て変更したり(図16の例)、単純にタグIDの並び(値が小さいほう等)によって決定する等、適宜の手法で1つを選択するようにすればよい(詳細なフロー手順は省略)。
【0118】
その後、ステップSS140以降は図13と同様である。これにより、上記属性係数が1番目に小さい移動局タグT1→2番目に小さい移動局タグT2→・・・のように、誘導における優先度が低い順に移動局タグT1〜T3の割り当て変更が(キャパシティオーバーが解消されるまで)行われる。前述と同様、割り当て変更が行われた移動局T1〜T3を所持する人物P1〜P3は、誘導される出口E1,E2までの距離が伸びる分だけ身体的な負担増となることから、なるべく割り当て変更に伴う身体的な負担増が少ない者から順に(成人男性→成人女性→子供)、必要最小限に割り当て変更を行うようにしているのである。
【0119】
本変形例によっても、上記実施形態と同様、フロアZに存在する全ての人物P1〜P3を、少ない負担で円滑かつ迅速に各出口E1,E2からフロアZの外へ退出させることができる。
【0120】
(b)出口までの距離差と属性情報との両方に応じて割り当て変更を行う場合
本変形例では、キャパシティオーバーの発生により割り当て出口の変更を行う必要が生じた場合に、上記実施形態の手法と上記(a)の変形例の手法とを組み合わせ、出口E1,E2までの距離d1,d2の距離差|d1−d2|と属性情報との両方に基づき、対象となる移動局タグTの選定を行う。
【0121】
図19は、前述の図5に示したフロアZ内の各人物P1,P2,P3について、それぞれの出口E1,E2までの距離及び距離差|d1−d2|と、上記属性係数(成人男性1、成人女性2、子供5)とを表した図であり、上記図8及び図14を組み合わせた図に相当している。そして、本変形例では、距離差|d1−d2|と属性係数(1,2,5)との積を演算し、この値を割り当て変更を行うための指標としている。
【0122】
図19において、既に述べたように例えば被誘導者番号(1)の人物P1は上記距離差の値が7.6、成人男子であり属性係数が1であるから、これらの積は7.6となる。同様に、被誘導者番号(2)の人物P3は上記距離差の値が11.9,子供であり属性係数が5であるから、これらの積は59.5となる。被誘導者番号(3)の人物P2は上記距離差の値が5.9、成人女性であり属性係数が2であるから、これらの積は11.8となる。被誘導者番号(4)の人物P3は上記距離差の値が1.8、子供であり属性係数が5であるから、これらの積は9.0となる。被誘導者番号(5)の人物P1は上記距離差の値が7.7、成人男性であり属性係数が1であるから、これらの積は7.7となる。被誘導者番号(6)の人物P2は上記距離差の値が4.0、成人女性であり属性係数が2であるから、これらの積は8.0となる。
【0123】
図20は、本変形例における割り当て変更の挙動を説明するための説明図であり、上記図9や図16に対応する図である。既に述べたように、この例では第2フロア領域Z2の6名の人物P1〜P3のうち、1名を選抜して出口E1へ誘導するように割り当て変更しなければならない。本変形例では、上述のようにして距離差|d1−d2|と属性係数との積が最も小さい被誘導者番号(1)の人物P1の割り当て出口を出口E2から出口E1へと変更する。
【0124】
本変形例において、管理サーバS、固定局リーダR1〜R4、及び移動局タグT1〜T3の間で送受される各種信号の送受と制御動作は、上記図17のシーケンス図と同様のもので足り、ステップSS100Bにおける割り当て変更処理の詳細内容のみが異なる。
【0125】
図21は、本変形例の管理サーバSのCPU21が実行する、図17の上記ステップSS100Bの割り当て変更処理の詳細手順を表すフローチャートであり、前述の図13や図18に対応する図である。図13と同等の部分には同一の符号を付し、説明を省略又は簡略化する。
【0126】
図21において、図13のステップSS130に代えてステップSS180を設けるとともに、ステップSS120とステップSS180との間に新たにステップSS170を設けている。
【0127】
すなわち、ステップSS120で、各移動局T1〜T3ごとに、最短距離である出口までの第1距離と、その次に距離が短くなる出口までの第2距離との距離差の絶対値を算出する、ステップSS170に移る。
【0128】
ステップSS170では、上記図17のステップSR40で各固定局リーダR1〜R4から入力した属性情報に基づく属性係数(属性指標値)1,2,5のいずれかと、上記ステップSS170で算出した距離差|d1−d2|(距離差指標値)との積を算出する(演算手段)。
【0129】
その後、ステップSS180において、上記ステップSS170で算出した属性係数(1,2,5)と距離差|d1−d2|との積がN番目に小さい移動局タグT1〜T3に対し、割り当てる出口を変更する。すなわち、最短距離である第1出口から、その次に距離が短くなる第2出口へと変更する(第1割り当て変更処理手段)。これにより、前述の図20の例では、被誘導者番号(1)の人物P1に割り当てる出口が、距離6.7で最短である出口E2(この人物にとっての第1出口)から距離14.3である出口E1(この人物にとっての第2出口)へと変更される。
【0130】
なお、ステップSS180において、上記属性係数と距離差|d1−d2|との積が同じである複数の移動局タグT1〜T3が存在していた場合は、属性係数がより小さいほうを選択して割り当て変更したり、距離差|d1−d2|が小さいほうを選択したり、あるいは前述と同様、出口E1,E2までの距離d1,d2が短い移動局を選択したり、単純にタグIDの並び(値が小さいほう等)によって決定する等、適宜の手法で1つを選択するようにすればよい(詳細なフロー手順は省略)。
【0131】
その後、ステップSS140以降は図13と同様である。これにより、上記属性係数×距離差の積が1番目に小さい移動局タグT1〜T3→2番目に小さい移動局タグT1〜T3→・・・のように、値が小さい順に移動局タグT1〜T3の割り当て変更が(キャパシティオーバーが解消されるまで)行われる。前述と同様、割り当て変更が行われた移動局T1〜T3を所持する人物P1〜P3は、誘導される出口E1,E2までの距離が伸びる分だけ身体的な負担増となることから、なるべく割り当て変更に伴う身体的な負担増が少なくなる者から順に(成人男性→成人女性→子供という肉体的な素養に、2つの出口E1,E2の距離差をさらに加味)、必要最小限に割り当て変更を行うようにしているのである。
【0132】
本変形例によっても、上記実施形態と同様、フロアZに存在する全ての人物P1〜P3を、少ない負担で円滑かつ迅速に各出口E1,E2からフロアZの外へ退出させることができる。また、出口距離差|d1−d2|と属性係数との両方を加味して数値演算で円滑に出口変更を行うことにより、さらにきめ細やかな設定によって不都合を確実に抑制した出口割り当て変更を行える。
【0133】
(c)災害発生位置に対応した割り当て変更を行う場合
本変形例では、キャパシティオーバーの発生により割り当て出口の変更を行う必要が生じた場合に、例えば火災等の災害発生位置を加味し、その災害発生箇所を回避するように割り当て出口の変更を行うものである。
【0134】
図22は、本変形例における割り当て変更の挙動を説明するための説明図であり、上記図9や図16に対応する図である。既に述べたように、この例では第2フロア領域Z2の6名の人物P1〜P3のうち、1名を選択して出口E1へ誘導するように割り当て変更しなければならない。本変形例では、火災発生による避難誘導を想定しており、ネットワークNWにより管理サーバSに接続され、フロアZ内に設けた適宜のセンサ(災害検出手段:画像カメラと火災報知器を組み合わせたセンサ)によって、火災発生箇所FF(災害発生箇所)が検知されている。そして、管理サーバSが、この火災発生箇所FFの至近距離を避難するおそれがある者(この例では被誘導者番号(1)の人物P1)に対し、この火災発生箇所FFを回避するように、割り当て出口を出口E2から出口E1へと変更する(第2割り当て変更手段)。
【0135】
具体的には、以下のような手法をとる。すなわち、前述の位置検出結果に基づき、管理サーバSが、地図上において各移動局タグT1〜T3から出口E1,E2のそれぞれまでを結んだ直線に対し、火災発生箇所FFから下ろした2つの垂線の長さをそれぞれ算出する(垂線算出手段)。そして、垂線の長さが長いほうの出口へと誘導するようにする。これは垂線の長さが短いほど、火災発生箇所FFの至近距離を通過することとなり好ましくないからである。例えば図22の例では、被誘導者番号(1)の人物P1の移動局タグT1から出口E1,E2のそれぞれまでを結んだ直線K1,K2に対し、火災発生箇所FFから下ろした2つの垂線H1,H2の長さをそれぞれ算出する。図示のように垂線H1のほうが垂線H2よりも長くなることから、被誘導者番号(1)の人物P1については、割り当て出口を出口E2から出口E1へと変更して、その旨の表示を表示部DPに行わせる。
【0136】
本変形例においては、誘導時(=避難時)において、人物P1が火災発生箇所FFから最も離れたルートで出口E1へ向かうことができるので、安全を確保することができる。
【0137】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0138】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】本発明の出口誘導システムの一実施形態の全体構成を概略的に示す説明図である。
【図2】本実施形態の出口誘導システムの機能的構成を表す機能ブロック図である。
【図3】人物による移動局タグの所持態様を表す説明図である。
【図4】本実施形態の出口誘導システムにおいて移動局タグの位置を検出する方法の原理を説明する説明図である。
【図5】出口への誘導態様の一例を表す説明図である。
【図6】出口の受け入れ能力(キャパシティ)を説明するための説明図である。
【図7】避難時に視界が遮られる例を表す説明図である。
【図8】フロア内の各人物について、各出口までの距離を算出した例を表す図である。
【図9】出口への誘導時に割り当て出口の変更を行う一例を表す説明図である。
【図10】誘導表示を実行する、移動局タグの表示部の構成の例を表す図である。
【図11】誘導表示を実行する、移動局タグの表示部の構成の他の例を表す図である。
【図12】管理サーバ、固定局リーダ、及び移動局タグの間で送受される各種信号の送受と制御動作の一例を表すシーケンス図である。
【図13】図12のステップSS100Aの割り当て変更処理の詳細手順を表すフローチャートである。
【図14】属性情報に応じて割り当て変更を行う変形例において、フロア内の各人物について、それぞれの属性を属性係数の形で表した図である。
【図15】移動局タグのIC回路部の記憶内容を概念的に表した説明図である。
【図16】割り当て変更の挙動を説明するための説明図である。
【図17】管理サーバ、固定局リーダ、及び移動局タグの間で送受される各種信号の送受と制御動作の一例を表すシーケンス図である。
【図18】図17のステップSS100Bの割り当て変更処理の詳細手順を表すフローチャートである。
【図19】出口までの距離差と属性情報との両方に応じて割り当て変更を行う変形例において、フロア内の各人物について、出口までの距離及び距離差と、属性係数とを表した図である。
【図20】割り当て変更の挙動を説明するための説明図である。
【図21】図17のステップSS100Bの割り当て変更処理の詳細手順を表すフローチャートである。
【図22】災害発生位置に対応した割り当て変更を行う変形例における割り当て変更の挙動を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0140】
1 出口誘導システム
12 リーダアンテナ(第2アンテナ手段)
31 IC回路部(記憶部)
32 タグアンテナ(第1アンテナ手段)
DP 表示部(表示手段)
E1,E2 出口
P1〜3 人物(被誘導者)
R1〜4 固定局リーダ(基地局)
T1〜3 移動局タグ(移動局)
Z フロア(所定領域)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を記憶する記憶部と情報を送受信する第1アンテナ手段とを備え、所定の移動可能領域を移動可能な複数の移動局と、
前記複数の移動局に対し無線通信により情報送受信を行う第2アンテナ手段を備え、既知の位置に固定的に配置された基地局と
を有し、
前記複数の移動局をそれぞれ所持する複数の被誘導者に対し、所定領域の外へ出るための複数の出口への誘導を行う、出口誘導システムであって、
前記複数の移動局の前記第1アンテナ手段から送信され前記基地局の前記第2アンテナ手段で受信した電波信号に基づき、前記複数の移動局それぞれの位置
検出を行う位置検出手段と、
前記位置検出手段の検出結果に基づき、各移動局から前記複数の出口のそれぞれまでの距離を算出する距離算出手段と、
前記距離算出手段の算出結果に基づき、各移動局ごとに前記複数の出口のうち所定の出口を決定して当該移動局に割り当てる出口割り当て手段と、
各移動局に対する前記出口割り当て手段での割り当て結果に基づき、前記複数の出口それぞれに振り分けられた前記移動局の数を算出する移動局数算出手段と、
前記移動局数算出手段での算出結果に基づき、各出口に振り分けられた前記移動局の数と、当該出口で受け入れ可能な前記被誘導者の数とを比較する比較手段と
を有することを特徴とする出口誘導システム。
【請求項2】
前記比較手段での比較において、特定の出口に振り分けられた前記移動局の数が当該出口で受け入れ可能な前記被誘導者の数よりも多かった場合に、前記特定の出口に振り分けられた複数の移動局のうち、少なくとも1つの移動局に割り当てる出口を、前記出口割り当て手段での割り当てに基づく前記特定の出口とは別の出口に変更する第1割り当て変更手段を有する
ことを特徴とする請求項1記載の出口誘導システム。
【請求項3】
前記出口割り当て手段は、
前記距離算出手段の算出結果に基づき、各移動局ごとに、前記複数の出口のうちで、距離が最短となるものを優先して前記所定の出口を決定する
ことを特徴とする請求項2記載の出口誘導システム。
【請求項4】
前記第1割り当て変更手段は、
前記比較手段での比較において、特定の出口に振り分けられる前記移動局の数が当該出口で受け入れ可能な前記被誘導者の数以下となるように、前記割り当てる出口の変更を行う
ことを特徴とする請求項3記載の出口誘導システム。
【請求項5】
前記距離算出手段の算出結果に基づき、各移動局ごとに、前記複数の出口のうち最短となる第1距離だけ離れた第1出口と、前記第1出口の次に短い第2距離だけ離れた第2出口とを決定し、前記第2距離と前記第1距離との出口距離差を算出する距離差算出手段を有し、
前記第1割り当て変更手段は、
前記距離差算出手段で算出された各移動局に対応する前記出口距離差に基づき、割り当てる出口を前記第1出口から前記第2出口へ変更する
ことを特徴とする請求項3又は請求項4記載の出口誘導システム。
【請求項6】
前記第1割り当て変更手段は、
前記距離差算出手段で算出された前記出口距離差が小さい前記移動局から順に、割り当てる出口を前記第1出口から前記第2出口へ変更する
ことを特徴とする請求項5記載の出口誘導システム。
【請求項7】
前記移動局の前記第1アンテナ手段から送信され前記基地局の前記第2アンテナ手段で受信した電波信号に基づき、前記移動局の記憶部に記憶された、当該移動局に対応する前記被誘導者の属性情報を取得する属性情報取得手段を有し、
前記第1割り当て変更手段は、
前記属性情報取得手段で取得された各移動局に対応する前記属性情報に基づき、割り当てる出口を、前記複数の出口のうち最短となる第1距離だけ離れた第1出口から、前記複数の出口のうち前記第1出口の次に短い第2距離だけ離れた第2出口へ変更する
ことを特徴とする請求項3又は請求項4記載の出口誘導システム。
【請求項8】
前記第1割り当て変更手段は、
予め複数の前記属性情報に関しそれぞれ定められた誘導の優先度に基づき、前記属性情報取得手段で取得された前記属性情報の前記優先度が低い前記移動局から順に、割り当てる出口を前記第1出口から前記第2出口へ変更する
ことを特徴とする請求項7記載の出口誘導システム。
【請求項9】
前記距離算出手段の算出結果に基づき、各移動局ごとに、前記複数の出口のうち最短となる第1距離だけ離れた第1出口と、前記第1出口の次に短い第2距離だけ離れた第2出口とを決定し、前記第2距離と前記第1距離との出口距離差を算出する距離差算出手段と、
前記移動局の前記第1アンテナ手段から送信され前記基地局の前記第2アンテナ手段で受信した電波信号に基づき、前記移動局の記憶部に記憶された、当該移動局に対応する前記被誘導者の属性情報を取得する属性情報取得手段と
を有し、
前記第1割り当て変更手段は、
前記距離差算出手段で算出された各移動局に対応する前記出口距離差と、前記属性情報取得手段で取得された、各移動局に対応する前記属性情報とに基づき、割り当てる出口を前記第1出口から前記第2出口へ変更する
ことを特徴とする請求項3又は請求項4記載の出口誘導システム。
【請求項10】
前記第1割り当て変更手段は、
前記出口距離差の大小に対応した距離差指標値と、前記属性情報の優先度が高いほど大きく値となるように対応づけられた属性指標値との乗算値を算出する演算手段を備え、
前記演算手段で算出した前記乗算値が小さい前記移動局から順に、割り当てる出口を前記第1出口から前記第2出口へ変更する
ことを特徴とする請求項9記載の出口誘導システム。
【請求項11】
前記移動可能領域内に設けた災害検出手段が災害発生を検出した場合には、当該災害検出手段からの災害検出信号に基づき前記災害の発生箇所を回避するように、複数の移動局のうち少なくとも1つの移動局に割り当てる出口を、前記出口割り当て手段で割り当てた出口とは別の出口に変更可能な第2割り当て変更手段を有する
ことを特徴とする請求項3乃至請求項10のいずれか1項記載の出口誘導システム。
【請求項12】
前記位置検出手段の検出結果に基づき、地図上において各移動局の現在位置から前記複数の出口位置のそれぞれまでを結んだ直線に対し、前記災害発生位置から下ろした垂線の長さを算出する垂線算出手段を有し、
前記第2割り当て変更手段は、
前記垂線算出手段で算出された前記垂線の長さの大小に基づき、各移動局に対して割り当てる出口を、前記垂線の長さが最も長くなる出口へ変更する
ことを特徴とする請求項11記載の出口誘導システム。
【請求項13】
前記複数の移動局のそれぞれは、
前記基地局の前記第2アンテナ手段から送信され前記第1アンテナ手段で受信した電波信号に基づき、当該移動局に対し前記出口割り当て手段で割り当てられた、若しくは、当該移動局に対し前記出口割り当て手段で割り当てられた後に前記第1又は第2割り当て変更手段で変更された、割り当て出口情報を取得する出口情報取得手段と、
前記出口情報取得手段で取得した前記割り当て出口情報に基づき、対応する前記出口に係わる表示を行う表示手段と
を備えることを特徴とする請求項3乃至請求項12のいずれか1項記載の出口誘導システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2009−244984(P2009−244984A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−88097(P2008−88097)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】