説明

半導体力学量センサおよびその製造方法

【課題】2つの基板が貼り合わされて構成された半導体力学量センサにおいて、製造工程の短縮化を図ると共に積層構造の簡素化を図る。
【解決手段】第1半導体基板120に配線部パターン133および周辺部パターン134を含んだパターン部130を形成したものを用意し、第2半導体基板142上に第1絶縁層144を形成した支持基板140を用意する。そして、配線部パターン133および周辺部パターン134を第1絶縁層144に直接接合することにより、第1半導体基板120と支持基板140とを貼り合わせる。この後、第1半導体基板120にセンサ構造体110を形成し、周辺部150にキャップ200を接合する。そして、キャップ200に第1〜第4貫通電極部300〜330を形成することにより半導体力学量センサが完成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体力学量センサおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、2つの基板が貼り合わされて構成された半導体ヨーレートセンサが、例えば特許文献1で提案されている。この特許文献1では、基板の上に下部配線層が形成され、この下部配線層に上に設けられた他の基板にヨーレートを検出するための梁構造体が形成された構造が提案されている。
【0003】
上記の構造は、以下のように製造することができる。まず、第1のシリコン基板の上に下部配線層として第1のポリシリコン層を形成した後、この第1のポリシリコン層を配線状にパターン化し、パターン化した第1のポリシリコン層の表面に梁構造体と配線とを絶縁するための絶縁層を形成する。
【0004】
続いて、この絶縁層の表面の凹凸を埋めるため、絶縁層の上にさらに第2のポリシリコン層を形成する。そして、この第2のポリシリコン層に第2のシリコン基板を貼り合わせるため、第2のポリシリコン層の表面を機械研磨等により平坦化し、第2のポリシリコン層に第2のシリコン基板を貼り合わせ、この第2のシリコン基板を機械研磨等により薄くすることで支持基板とする。
【0005】
この後、第1のシリコン基板を機械研磨等により薄膜化し、フォトリソグラフィ・エッチング工程により薄膜化した第1のシリコン基板に梁構造体を形成する。そして、梁構造体のうちの可動部分が固定部分に対して変位可能となるように、梁構造体の可動部分と第2のシリコン基板との間の絶縁膜を除去する。こうして半導体ヨーレートが完成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−26777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の技術では、梁構造体等が形成される第1のシリコン基板を出発点として、この第1のシリコン基板に対して下部配線層を形成したり、第2のシリコン基板を貼り付けたりして順に工程を重ねていくため、半導体ヨーレートの製造工程が長くなると共に、半導体ヨーレートの積層構造が複雑になってしまうという問題があった。
【0008】
特に、第1のシリコン基板に形成された下部配線層を覆う絶縁層の上の第2のポリシリコン層に対して第2のシリコン基板を貼り合わせるため、第2のポリシリコン層を平坦化する工程が必要である。この平坦面の精度によっては半導体ヨーレートの特性に影響が生じる可能性があり、製造面および特性面で不安定なところがあった。
【0009】
なお、ここまで、半導体ヨーレートについて述べたが、もちろん半導体ヨーレートに限らず2つの基板が貼り合わされて構成された半導体力学量センサについても上記と同様の問題が生じる。
【0010】
本発明は上記点に鑑み、2つの基板が貼り合わされて構成された半導体力学量センサにおいて、製造工程の短縮化を図ると共に積層構造の簡素化を図ることができる製造方法を提供することを第1の目的とする。また、2つの基板が貼り合わされて構成された積層構造を簡素化することができる半導体力学量センサを提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、一面(121)を有する第1半導体基板(120)を用意し、この第1半導体基板(120)の一面(121)に配線としての配線部パターン(133)を含むパターン部(130)を形成する工程と、一面(141)を有すると共に、少なくとも当該一面(141)側が絶縁材料で構成された支持基板(140)を用意する工程と、第1半導体基板(120)上のパターン部(130)と支持基板(140)の一面(141)とを向かい合わせると共に、パターン部(130)と支持基板(140)の一面(141)とを接合することにより、第1半導体基板(120)と支持基板(140)とを貼り合わせる工程と、第1半導体基板(120)に、配線部パターン(133)に電気的に接続されるセンサ構造体(110)を形成する工程と、を含んでいることを特徴とする。
【0012】
これによると、第1半導体基板(120)の一面(121)に既に形成されたパターン部(130)と支持基板(140)とを貼り合わせているので、第1半導体基板(120)を支持基板(140)に貼り合わせるために第1半導体基板(120)に対する薄膜の形成やこの薄膜の平坦化等の工程が不要となる。また、第1半導体基板(120)のパターン部(130)を支持基板(140)の一面(141)に貼り付けているので、第1半導体基板(120)と支持基板(140)との積層構造は単にパターン部(130)が介在した積層構造となる。したがって、半導体力学量センサの製造工程の短縮化を図ると共に簡素化した積層構造を形成することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明では、パターン部(130)を形成する工程では、パターン部(130)として第1半導体基板(120)の一面(121)のうちセンサ構造体(110)が形成される領域を一周して囲む周辺部パターン(134)を含んだパターン部(130)を形成する。
【0014】
また、第1半導体基板(120)と支持基板(140)とを貼り合わせる工程では、配線部パターン(133)および周辺部パターン(134)と支持基板(140)の一面(141)とを接合することにより、第1半導体基板(120)と支持基板(140)とを貼り合わせる。
【0015】
そして、センサ構造体(110)を形成する工程では、パターン部(130)のうち周辺部パターン(134)が形成された部分に接合されると共にセンサ構造体(110)の周囲を一周して囲む周辺部(150)と、配線部パターン(133)に電気的に接続されると共に周辺部(150)で囲まれた領域に位置する接続部(160)と、を第1半導体基板(120)に形成する。
【0016】
この後、周辺部(150)にキャップ(200)を接合することにより、センサ構造体(110)をキャップ(200)、周辺部(150)、周辺部パターン(134)を含むパターン部(130)、および支持基板(140)により気密封止する工程を含んでいることが特徴となっている。
【0017】
このように、第1半導体基板(120)に形成した周辺部(150)にキャップ(200)を接合するだけであるので、センサ構造体(110)を気密封止した構造を容易に形成することができる。また、センサ構造体(110)への水や異物の混入などを防止することができ、センサ構造体(110)を保護する構造を容易に形成することができる。
【0018】
請求項3に記載の発明では、センサ構造体(110)を気密封止する工程では、キャップ(200)の一部を接続部(160)に接合する。この後、キャップ(200)を第1半導体基板(120)と支持基板(140)との積層方向に貫通すると共に、接続部(160)に電気的に接続される第1貫通電極部(300)を形成する工程を含んでいることを特徴とする。
【0019】
これにより、キャップ(200)側から第1貫通電極部(300)、接続部(160)、および配線部パターン(133)を介してセンサ構造体(110)と外部とを電気的に接続する構造を得ることができる。
【0020】
請求項4に記載の発明では、支持基板(140)を用意する工程では、支持基板(140)として第2半導体基板(142)の一面(143)に第1絶縁層(144)が形成されたものを用意する。
【0021】
また、第1半導体基板(120)と支持基板(140)とを貼り合わせる工程は、パターン部(130)と支持基板(140)の第1絶縁層(144)とを接合することにより、第1半導体基板(120)と支持基板(140)とを貼り合わせる工程と、貼り合わせの後、第1半導体基板(120)、パターン部(130)、および第1絶縁層(144)を貫通する貫通孔(171)を形成する工程と、この貫通孔(171)に第2半導体基板(142)に電気的に接続される埋込配線(172)を埋め込む工程と、を含んでいる。
【0022】
さらに、センサ構造体(110)を形成する工程では、第1半導体基板(120)に、埋込配線(172)が形成された埋込部(170)を形成する。そして、センサ構造体(110)を気密封止する工程では、キャップ(200)の一部を埋込部(170)に接合し、この後、キャップ(200)を第1半導体基板(120)と支持基板(140)との積層方向に貫通すると共に、埋込配線(172)に電気的に接続される第2貫通電極部(310)を形成することを特徴とする。
【0023】
これにより、キャップ(200)側から第2貫通電極部(310)および埋込配線(172)を介して支持基板(140)を構成する第2半導体基板(142)を所定の電位に固定することができ、センサ構造体(110)を電気的にシールドできる構造を得ることができる。
【0024】
請求項5に記載の発明では、センサ構造体(110)を気密封止する工程の後、キャップ(200)を第1半導体基板(120)と支持基板(140)との積層方向に貫通すると共に、周辺部(150)に電気的に接続される第3貫通電極部(320)を形成する工程を含んでいることを特徴とする。
【0025】
これにより、キャップ(200)側から第3貫通電極部(320)を介して周辺部(150)を所定の電位に固定することができ、センサ構造体(110)を電気的にシールドする構造を得ることができる。
【0026】
請求項6に記載の発明では、センサ構造体(110)を気密封止する工程の後、支持基板(140)を第1半導体基板(120)と支持基板(140)との積層方向に貫通すると共に、配線部パターン(133)に電気的に接続される第1貫通電極部(300)を形成する工程を含んでいることを特徴とする。
【0027】
これにより、支持基板(140)側から第1貫通電極部(300)および配線部パターン(133)を介してセンサ構造体(110)と外部とを電気的に接続する構造を得ることができる。
【0028】
請求項7に記載の発明では、支持基板(140)を用意する工程では、支持基板(140)として、第2半導体基板(142)の一面(143)に第1絶縁層(144)が形成され、第2半導体基板(142)の一面(143)とは反対側の他面(146)に第2絶縁層(145)が形成されたものを用意する。
【0029】
また、第1半導体基板(120)と支持基板(140)とを貼り合わせる工程では、パターン部(130)と支持基板(140)の第1絶縁層(144)とを接合することにより、第1半導体基板(120)と支持基板(140)とを貼り合わせる。
【0030】
そして、センサ構造体(110)を気密封止する工程の後、第2絶縁層(145)を貫通して第2半導体基板(142)に電気的に接続される第2貫通電極部(310)を形成する工程を含んでいることを特徴とする。
【0031】
これにより、第2貫通電極部(310)を介して支持基板(140)を構成する第2半導体基板(142)を所定の電位に固定することができ、センサ構造体(110)を電気的にシールドする構造を得ることができる。
【0032】
請求項8に記載の発明では、センサ構造体(110)を気密封止する工程の後、支持基板(140)を第1半導体基板(120)と支持基板(140)との積層方向に貫通すると共に、周辺部(150)に電気的に接続される第3貫通電極部(320)を形成する工程を含んでいることを特徴とする。
【0033】
これにより、支持基板(140)側から第3貫通電極部(320)を介して周辺部(150)を所定の電位に固定することができ、センサ構造体(110)を電気的にシールドする構造を得ることができる。
【0034】
請求項9に記載の発明では、パターン部(130)を形成する工程では、第1半導体基板(120)の一面(121)の外縁部とセンサ構造体(110)と繋ぐ配線部パターン(133)と、第1半導体基板(120)の一面(121)のうちセンサ構造体(110)が形成される領域を囲む周辺部パターン(134)と、を含んだパターン部(130)を形成する。
【0035】
また、第1半導体基板(120)と支持基板(140)とを貼り合わせる工程では、第1半導体基板(120)上のパターン部(130)と支持基板(140)の一面(141)とを向かい合わせると共に、配線部パターン(133)および周辺部パターン(134)と支持基板(140)の一面(141)とを接合することにより、第1半導体基板(120)と支持基板(140)とを貼り合わせ、配線部パターン(133)の一端側を周辺部(150)で囲まれた領域に位置させると共に配線部パターン(133)の他端側を周辺部(150)で囲まれた領域の外部に位置させる。
【0036】
そして、センサ構造体(110)を形成する工程では、第1半導体基板(120)に、配線部パターン(133)の一端側に電気的に接続されるセンサ構造体(110)と、センサ構造体(110)の周囲を一周して囲む周辺部(150)と、配線部パターン(133)の他端側に電気的に接続されると共に周辺部(150)で囲まれた領域の外部に位置する接続部(160)と、を形成する。
【0037】
センサ構造体(110)を形成する工程の後、センサ構造体(110)を形成したことによって支持基板(140)、パターン部(130)、および周辺部(150)で囲まれると共に周辺部(150)でセンサ構造体(110)が囲まれた領域とこの領域の外部とを繋ぐ空間部(137)を絶縁部材(180)で塞ぐ。
【0038】
この後、周辺部(150)にキャップ(200)を接合することにより、センサ構造体(110)をキャップ(200)、周辺部(150)、周辺部パターン(134)を含むパターン部(130)、絶縁部材(180)、および支持基板(140)により気密封止することを特徴とする。
【0039】
このように、空間部(137)を絶縁部材(180)で塞ぐと共に周辺部(150)にキャップ(200)を接合するだけで、センサ構造体(110)を気密封止した構造を容易に形成することができる。
【0040】
請求項10に記載の発明では、パターン部(130)を形成する工程では、第1半導体基板(120)の一面(121)の外縁部とセンサ構造体(110)と繋ぐ配線部パターン(133)と、第1半導体基板(120)の一面(121)のうちセンサ構造体(110)が形成される領域を囲む周辺部パターン(134)と、を含んだパターン部(130)を形成する。また、支持基板(140)を用意する工程では、支持基板(140)として第2半導体基板(142)の一面(143)に第1絶縁層(144)が形成されたものを用意する。
【0041】
続いて、第1半導体基板(120)と支持基板(140)とを貼り合わせる工程では、第1半導体基板(120)上のパターン部(130)と支持基板(140)の一面(141)とを向かい合わせ、第1絶縁層(144)を加熱して溶融させ、パターン部(130)を溶融させた第1絶縁層(144)に押さえ付けると共に、第1絶縁層(144)とパターン部(130)との間の隙間が無くなるように配線部パターン(133)および周辺部パターン(134)を第1絶縁層(144)に埋め込むことにより、パターン部(130)と第1絶縁層(144)とを貼り合わせ、配線部パターン(133)の一端側を周辺部(150)で囲まれた領域に位置させると共に配線部パターン(133)の他端側を周辺部(150)で囲まれた領域の外部に位置させる。
【0042】
この後、センサ構造体(110)を形成する工程では、第1半導体基板(120)に、配線部パターン(133)の一端側に電気的に接続されるセンサ構造体(110)と、センサ構造体(110)の周囲を一周して囲むと共にパターン部(130)のうち周辺部パターン(134)が形成された部分に接合された周辺部(150)と、配線部パターン(133)の他端側に電気的に接続されると共に周辺部(150)で囲まれた領域の外部に位置する接続部(160)と、を形成する。
【0043】
そして、センサ構造体(110)を形成する工程の後、周辺部(150)にキャップ(200)を接合することにより、センサ構造体(110)をキャップ(200)、周辺部(150)、パターン部(130)、および支持基板(140)により気密封止することを特徴とする。
【0044】
このように、パターン部(130)の配線部パターン(133)や周辺部パターン(134)を第1絶縁層(144)に埋め込むと共に周辺部(150)にキャップ(200)を接合するだけで、センサ構造体(110)を気密封止した構造を容易に形成することができる。
【0045】
請求項11に記載の発明では、センサ部(100)は、一面(141)を有すると共に、少なくとも当該一面(141)側が絶縁材料で構成された支持基板(140)を備えている。また、センサ構造体(110)と、センサ構造体(110)を一周して囲む周辺部(150)と、周辺部(150)で囲まれた領域に位置する接続部(160)と、が画定された第1半導体基板(120)を備えている。さらに、第1半導体基板(120)のうち支持基板(140)側の一面(121)において、センサ構造体(110)と接続部(160)とを電気的に繋ぐ配線としての配線部パターン(133)と、支持基板(140)と周辺部(150)との間に位置すると共にセンサ構造体(110)の周囲を一周して囲む周辺部パターン(134)と、を含むパターン部(130)と、を備えている。
【0046】
そして、配線部パターン(133)および周辺部パターン(134)と支持基板(140)の一面(141)とが接合されたことにより、第1半導体基板(120)と支持基板(140)とが貼り合わされていることを特徴とする。
【0047】
これによると、第1半導体基板(120)と支持基板(140)との間にはパターン部(130)が介在しているだけであるので、積層構造を簡素化することができる。
【0048】
請求項12に記載の発明では、キャップ(200)は、当該キャップ(200)の一部が接続部(160)に接合され、さらに、当該キャップ(200)を第1半導体基板(120)と支持基板(140)との積層方向に貫通すると共に、接続部(160)に電気的に接続された第1貫通電極部(300)を備えていることを特徴とする。
【0049】
これにより、キャップ(200)側から第1貫通電極部(300)、接続部(160)、および配線部パターン(133)を介してセンサ構造体(110)と外部とを電気的に接続することができる。
【0050】
請求項13に記載の発明では、支持基板(140)は、一面(143)を有する第2半導体基板(142)と、この第2半導体基板(142)の一面(143)に形成された第1絶縁層(144)と、を備え、第1半導体基板(120)には周辺部(150)で囲まれた領域に位置する埋込部(170)が形成され、この埋込部(170)はパターン部(130)を介して第1絶縁層(144)に貼り付けられている。
【0051】
また、センサ部(100)は、埋込部(170)、埋込部(170)と第1絶縁層(144)とに挟まれたパターン部(130)、および第1絶縁層(144)を貫通する貫通孔(171)と、貫通孔(171)に埋め込まれると共に第2半導体基板(142)に電気的に接続された埋込配線(172)と、を備えている。
【0052】
そして、キャップ(200)は、当該キャップ(200)の一部が埋込部(170)に接合され、当該キャップ(200)を第1半導体基板(120)と支持基板(140)との積層方向に貫通すると共に、埋込配線(172)に電気的に接続される第2貫通電極部(310)を備えていることを特徴とする。
【0053】
これにより、キャップ(200)側から第2貫通電極部(310)および埋込配線(172)を介して支持基板(140)を構成する第2半導体基板(142)を所定の電位に固定することができ、センサ構造体(110)を電気的にシールドすることができる。
【0054】
請求項14に記載の発明では、キャップ(200)は、当該キャップ(200)を第1半導体基板(120)と支持基板(140)との積層方向に貫通すると共に、周辺部(150)に電気的に接続された第3貫通電極部(320)を備えていることを特徴とする。
【0055】
これにより、キャップ(200)側から第3貫通電極部(320)を介して周辺部(150)を所定の電位に固定することができ、センサ構造体(110)を電気的にシールドすることができる。
【0056】
請求項15に記載の発明では、支持基板(140)は、当該支持基板(140)を第1半導体基板(120)と支持基板(140)との積層方向に貫通すると共に、配線部パターン(133)に電気的に接続された第1貫通電極部(300)を備えていることを特徴とする。
【0057】
これにより、支持基板(140)側から第1貫通電極部(300)および配線部パターン(133)を介してセンサ構造体(110)と外部とを電気的に接続することができる。
【0058】
請求項16に記載の発明では、支持基板(140)は、一面(143)とこの一面(143)の反対側の他面(146)を有する第2半導体基板(142)と、この第2半導体基板(142)の一面(143)に形成された第1絶縁層(144)と、第2半導体基板(142)の他面(146)に形成された第2絶縁層(145)と、を備えている。そして、センサ部(100)は、第2絶縁層(145)を貫通して第2半導体基板(142)に電気的に接続された第2貫通電極部(310)を備えていることを特徴とする。
【0059】
これにより、第2貫通電極部(310)を介して支持基板(140)を構成する第2半導体基板(142)を所定の電位に固定することができ、センサ構造体(110)を電気的にシールドすることができる。
【0060】
請求項17に記載の発明では、周辺部パターン(134)は、周辺部(150)に電気的に接続されており、センサ部(100)は、支持基板(140)を第1半導体基板(120)と支持基板(140)との積層方向に貫通すると共に、周辺部パターン(134)を介して周辺部(150)に電気的に接続された第3貫通電極部(320)を備えていることを特徴とする。
【0061】
これにより、支持基板(140)側から第3貫通電極部(320)を介して周辺部(150)を所定の電位に固定することができ、センサ構造体(110)を電気的にシールドすることができる。
【0062】
また、請求項18に記載の発明のように、センサ部(100)は、一面(141)を有すると共に、少なくとも当該一面(141)側が絶縁材料で構成された支持基板(140)を備えている。また、センサ構造体(110)と、センサ構造体(110)の周囲を一周して囲む周辺部(150)と、周辺部(150)で囲まれた領域の外部に位置する接続部(160)と、が画定された第1半導体基板(120)を備えている。また、第1半導体基板(120)のうち支持基板(140)側の一面(121)において、センサ構造体(110)と接続部(160)とを電気的に繋ぐ配線としての配線部パターン(133)と、支持基板(140)と周辺部(150)との間に位置すると共にセンサ構造体(110)を囲む周辺部パターン(134)とを含むパターン部(130)を備えている。
【0063】
そして、配線部パターン(133)および周辺部パターン(134)と支持基板(140)の一面(141)とが接合されたことにより、第1半導体基板(120)と支持基板(140)とが貼り合わされ、配線部パターン(133)の一端側が周辺部(150)で囲まれた領域に位置すると共にセンサ構造体(110)に電気的に接続され、配線部パターン(133)の他端側が周辺部(150)で囲まれた領域の外部に位置すると共に接続部(160)に電気的に接続されている。
【0064】
さらに、センサ部(100)は、第1半導体基板(120)と支持基板(140)とが貼り合わされたことによって支持基板(140)、パターン部(130)、および周辺部(150)で囲まれると共に周辺部(150)でセンサ構造体(110)が囲まれた領域とこの領域の外部とを繋ぐ空間部(137)を塞ぐ絶縁部材(180)を備えた構造とすることができる。
【0065】
一方、請求項19に記載の発明では、センサ部(100)は、センサ構造体(110)と、センサ構造体(110)の周囲を一周して囲む周辺部(150)と、周辺部(150)で囲まれた領域の外部に位置する接続部(160)と、が画定された第1半導体基板(120)を備えている。また、一面(143)を有する第2半導体基板(142)と、第2半導体基板(142)の一面(143)に形成された第1絶縁層(144)と、を備えた支持基板(140)を備えている。さらに、第1半導体基板(120)のうち第1絶縁層(144)側の一面(121)において、センサ構造体(110)と接続部(160)とを電気的に繋ぐ配線としての配線部パターン(133)と、支持基板(140)と周辺部(150)との間に位置すると共にセンサ構造体(110)を囲む周辺部パターン(134)とを含むパターン部(130)を備えている。
【0066】
そして、第1絶縁層(144)と周辺部(150)との間において、周辺部(150)で囲まれた領域とこの領域の外部とを繋ぐ空間が無くなるように配線部パターン(133)および周辺部パターン(134)が第1絶縁層(144)に埋め込まれたことにより、パターン部(130)と第1絶縁層(144)とが貼り合わされた構造とすることもできる。
【0067】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の第1実施形態に係る半導体力学量センサの平面図である。
【図2】図1のA−A’断面図である。
【図3】図1のB−B’断面図である。
【図4】第1実施形態に係る半導体力学量センサの製造工程を示した図である。
【図5】図4に続く製造工程を示した図である。
【図6】図5に続く製造工程を示した図である。
【図7】図6に続く製造工程を示した図である。
【図8】図7に続く製造工程を示した図である。
【図9】図1のB−B’断面に係る製造工程を示した図である。
【図10】図9に続く製造工程を示した図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る半導体力学量センサの断面図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係る半導体力学量センサの平面図である。
【図13】図12のC−C’断面図である。
【図14】図12のD−D’断面図である。
【図15】本発明の第4実施形態に係る半導体力学量センサの断面図である。
【図16】本発明の第5実施形態に係る半導体力学量センサの平面図である。
【図17】図16のE−E’断面図である。
【図18】第5実施形態に係る半導体力学量センサの製造工程を示した図である。
【図19】図18に続く製造工程を示した図である。
【図20】図19に続く製造工程を示した図である。
【図21】図20に続く製造工程を示した図である。
【図22】図21に続く製造工程を示した図である。
【図23】本発明の第6実施形態に係る半導体力学量センサの平面図である。
【図24】第6実施形態に係る半導体力学量センサの製造工程を示した図である。
【図25】本発明の第7実施形態に係る半導体力学量センサの平面図である。
【図26】図25のF−F’断面図である。
【図27】第7実施形態に係る半導体力学量センサの製造工程を示した図である。
【図28】図27に続く製造工程を示した図である。
【図29】図28に続く製造工程を示した図である。
【図30】図29に続く製造工程を示した図である。
【図31】本発明の第8実施形態に係る半導体力学量センサの製造工程を示した図である。
【図32】他の実施形態に係る半導体力学量センサの断面図である。
【図33】他の実施形態に係る半導体力学量センサの断面図である。
【図34】他の実施形態に係る半導体力学量センサの断面図である。
【図35】他の実施形態に係る半導体力学量センサの断面図である。
【図36】他の実施形態に係る半導体力学量センサの一部断面図である。
【図37】他の実施形態に係る半導体力学量センサの一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0069】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0070】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る半導体力学量センサの平面図である。図2は、図1のA−A’断面図である。また、図3は、図1のB−B’断面図である。以下、図1〜図3を参照して、本実施形態に係る半導体力学量センサの構造について説明する。
【0071】
図2および図3に示されるように、半導体力学量センサは、センサ部100とキャップ200とが接合されて構成されたものである。センサ部100は一面101を有する板状のものであり、キャップ200は一面201とこの一面201の反対側の他面202とを有する板状のものであり、両者の一面101、201が互いに貼り合わされて構成されている。なお、図1は、キャップ200を透過した平面図になっている。
【0072】
センサ部100は、該センサ部100の一面101側に加速度等の物理量を検出するセンサ構造体110が形成されたものである。このセンサ部100は、第1半導体基板120の一面121にパターン部130が設けられ、このパターン部130が支持基板140の一面141に直接接合されている。
【0073】
支持基板140は、少なくとも当該一面141側が絶縁材料で構成されている。具体的には、図2および図3に示されるように、支持基板140は、第2半導体基板142と、この第2半導体基板142の一面143に形成された絶縁材料としての第1絶縁層144と、を備えて構成されている。
【0074】
また、パターン部130は、第1半導体基板120の一面121に形成された絶縁膜131と、この絶縁膜131の上に形成された金属層132と、により構成されている。絶縁膜131および金属層132はそれぞれ所定のパターンにパターニングされ、パターニングされた金属層132が支持基板140の第1絶縁層144に接合されている。金属層132のパターンについては、後で詳しく説明する。
【0075】
第1半導体基板120は、図1に示されるように、センサ構造体110、周辺部150、接続部160、および埋込部170が画定されたものである。これらセンサ構造体110の一部、周辺部150、接続部160、および埋込部170は、パターン部130を介して支持基板140に支持されている。
【0076】
センサ構造体110は、図1および図2に示されるように、アンカー部111、可動電極112、梁部113、および固定電極114を備えて構成されている。
【0077】
アンカー部111は、支持基板140に対して可動電極112を浮かせて支持するためのものである。このアンカー部111はブロック状をなしており、パターン部130の上に2箇所設けられている。
【0078】
また、可動電極112は、半導体力学量センサに加速度が印加されたときに各アンカー部111に対して変位する錘として機能すると共に電極として機能する部分である。このような可動電極112は、枠状になっている。
【0079】
本実施形態では、図1に示されるように、1つの四角形の枠内に十字状の直線部分が設けられた構造になっている。すなわち、四角形の枠内には、各アンカー部111が並んだ方向(例えばx方向)に延びる直線部分と、この直線部分に対して直角の方向(例えばy方向)に延びる直線部分とで十字部分が構成され、この十字部分により当該四角形の枠内が4つの領域に等分割されている。
【0080】
梁部113は、アンカー部111と可動電極112とを連結するものである。この梁部113は、2本の平行な梁がその両端で連結された矩形枠状をなしており、2本の梁の長手方向(y方向)に対して直交する方向(x方向)に変位するバネ機能を有するものである。このような梁部113により、可動電極112がアンカー部111に一体に連結されて支持されている。本実施形態では、2つの梁部113がアンカー部111と可動電極112とをそれぞれ連結している。
【0081】
そして、図2に示されるように、可動電極112および梁部113の下部のパターン部130は部分的に除去され、可動電極112および梁部113は支持基板140の上に一定の間隔で浮遊した状態になっている。
【0082】
また、固定電極114は、図1に示されるように、可動電極112の一部に対向配置されることで、可動電極112との間にコンデンサを形成するための電極である。このような固定電極114は、枠状の可動電極112により構成された4つの枠内に2本ずつ配置されている。また、2本の固定電極114は、それぞれy方向に沿って配置されている。これにより、y方向において可動電極112と固定電極114とが並行に配置され、可動電極112と固定電極114とが対向配置される。したがって、可動電極112が加速度を受けてx方向に変位することにより、可動電極112のうちy方向に延びる直線部分と固定電極114との間の距離が変化する。
【0083】
周辺部150は、センサ構造体110、接続部160、および埋込部170の周囲を一周して囲むように形成された部分である。この周辺部150は、キャップ200に接合される部分である。
【0084】
接続部160は、センサ構造体110と外部とを電気的に接続するための中継部分である。この接続部160は、周辺部150で囲まれた領域に位置し、例えば図1に示されるように、x方向に3つ設けられている。3つの接続部160のうちの1つはアンカー部111すなわち可動電極112に電気的に接続され、残りの2つの接続部160は、各固定電極114にそれぞれ電気的に接続されている。
【0085】
埋込部170は、キャップ200側から支持基板140を構成する第2半導体基板142と外部とを電気的に接続するための中継部分である。また、図3に示されるように、埋込部170、埋込部170と第1絶縁層144とに挟まれたパターン部130、および第1絶縁層144を貫通する貫通孔171が設けられ、この貫通孔171に埋込配線172が埋め込まれている。これにより、埋込配線172は第2半導体基板142に電気的に接続されている。
【0086】
上記のように画定された第1半導体基板120の各部を支持するパターン部130において、当該パターン部130の金属層132は、配線部パターン133と周辺部パターン134とにパターニングされている。
【0087】
配線部パターン133は、センサ構造体110と接続部160とを電気的に接続する配線部分と、固定電極114や埋込部170を支持基板140に固定するための固定部分とを備えて構成されている。
【0088】
配線部パターン133のうちの配線部分は、図1に示されるように、各アンカー部111の一方と接続部160の1つとを繋ぐようにレイアウトされている。
【0089】
また、枠状の可動電極112により構成された4つの枠それぞれに配置された2つの固定電極114のうち一方のアンカー部111側に位置する固定電極114と接続部160の1つとを繋ぐようにレイアウトされている。この配線部パターン133で4つの固定電極114と1つの接続部160とが接続されると、接続形態が例えばY字状となる。
【0090】
さらに、枠状の可動電極112により構成された4つの枠それぞれに配置された2つの固定電極114のうち他方のアンカー部111側に位置する固定電極114と接続部160の1つとを繋ぐようにレイアウトされている。この配線部パターン133で4つの固定電極114と1つの接続部160とが接続されると、接続形態が例えばU字状となる。
【0091】
そして、配線部パターン133に接続されたコンタクト部135を介して第1半導体基板120に画定された各部と配線部パターン133の配線部分とがそれぞれ電気的に接続されている。
【0092】
一方、配線部パターン133の固定部分は、各アンカー部111のうちの他方と支持基板140との間、および、埋込部170と支持基板140との間にも位置するようにレイアウトされている。この配線部パターン133の固定部分にはコンタクト部135は形成されておらず、配線部パターン133の固定部分は絶縁膜131と第1絶縁層144とで挟まれた状態になっている。
【0093】
上記のように配線部パターン133がレイアウトされたパターン部130において、梁部113と支持基板140との間の絶縁膜131や、可動電極112と支持基板140との間の絶縁膜131は可動するように取り除かれている。これにより、可動電極112が支持基板140に対して浮遊すると共に固定電極114に対して移動可能になっている。
【0094】
周辺部パターン134は、支持基板140と周辺部150との間に位置すると共にセンサ構造体110等の周囲を一周して囲むパターンであり、センサ構造体110等を気密封止するためのパターンである。このような周辺部パターン134は、図2に示されるように絶縁膜131の上に形成され、図1に示されるように二重に形成されている。これにより、気密封止の冗長性を確保することができる。また、周辺部パターン134が2つに分割されているので、周辺部パターン134が絶縁膜131と第1絶縁層144とで挟まれたときに1つの周辺部パターン134に加わる応力も緩和される。
【0095】
そして、図3に示されるように、周辺部パターン134がコンタクト部135を介して周辺部150に電気的に接続されている。なお、コンタクト部135は配線部パターン133や周辺部パターン134の一部である。
【0096】
このような構成のパターン部130において、配線部パターン133および周辺部パターン134と支持基板140の一面141とが直接接合されたことにより、第1半導体基板120と支持基板140とが貼り合わされている。
【0097】
キャップ200は、センサ部100のセンサ構造体110への水や異物等の混入を防止するものである。このキャップ200は、図1〜図3に示されるように、シリコン基板210と、絶縁膜220、230と、第1〜第4貫通電極部300〜330と、を備えている。
【0098】
シリコン基板210のうちセンサ部100に向けられた面にSiO等の絶縁膜220が形成されている。この絶縁膜220の表面がキャップ200の一面201に該当する。また、シリコン基板210のうち絶縁膜220が形成された側とは反対側にSiO等の絶縁膜230が形成されている。この絶縁膜230の表面がキャップ200の他面202に該当する。
【0099】
キャップ200のうちセンサ構造体110が設けられた領域に対向する部分には凹部203が設けられている。この凹部203は、キャップ200がセンサ部100に接合された際にキャップ200がセンサ構造体110に接触してしまうことを防止するために設けられている。
【0100】
そして、キャップ200の一面201がセンサ部100の一面101に接合される、すなわちキャップ200の一面201が、周辺部150、各接続部160、および埋込部170にそれぞれ接合されることでセンサ構造体110が気密封止されている。これにより、図2に示されるように、センサ部100とキャップ200とによって密閉された気密室240が形成され、この気密室240にセンサ構造体110が配置された状態になっている。気密室240は、例えば、真空や所定の圧力とされたり、N、H、He等の雰囲気とされる。
【0101】
図2に示されるように、キャップ200には、絶縁膜230、シリコン基板210、絶縁膜220を貫通する孔部301が設けられている。すなわち、孔部301は、キャップ200を第1半導体基板120と支持基板140との積層方向に貫通している。そして、この孔部301の壁面に絶縁膜302が形成され、この絶縁膜302の上に一端が接続部160に電気的に接続された第1貫通電極部300が設けられている。また、第1貫通電極部300の他端は、キャップ200の他面202でパッド状にパターニングされている。これにより、キャップ200側から第1貫通電極部300、接続部160、および配線部パターン133を介してセンサ構造体110の固定電極114と外部との電気的接続が可能となる。
【0102】
同様に、図3に示されるように、キャップ200に、絶縁膜230、シリコン基板210、および絶縁膜220を貫通する孔部311が設けられている。この孔部311は、孔部301と同様に、キャップ200を第1半導体基板120と支持基板140との積層方向に貫通し、埋込部170に設けられた貫通孔171に通じている。そして、この孔部311の壁面に絶縁膜312が形成され、この絶縁膜312の上に一端が埋込配線172に電気的に接続された第2貫通電極部310が設けられている。また、第2貫通電極部310の他端は、キャップ200の他面202でパッド状にパターニングされている。これにより、キャップ200側から第2貫通電極部310および埋込配線172を介して支持基板140を構成する第2半導体基板142を所定の電位に固定することが可能となり、センサ構造体110に対する電気的なシールドが可能となる。
【0103】
さらに、キャップ200には、当該キャップ200を第1半導体基板120と支持基板140との積層方向に貫通する孔部321が設けられ、この孔部321の壁面に絶縁膜322が形成されている。そして、この絶縁膜322の上に一端が周辺部150に電気的に接続された第3貫通電極部320が設けられている。また、第3貫通電極部320の他端は、キャップ200の他面202でパッド状にパターニングされている。これにより、キャップ200側から第3貫通電極部320を介して周辺部150を所定の電位に固定することが可能となり、センサ構造体110に対する電気的なシールドが可能となる。
【0104】
そして、キャップ200には、絶縁膜230を貫通してシリコン基板210に達する図示しない孔部が設けられている。そして、この絶縁膜の上に一端がシリコン基板に電気的に接続された第4貫通電極部330が設けられている。なお、便宜上第4貫通電極部330と記載したがこの電極は上記したように絶縁膜230に開けた孔部に形成した電極である(図1参照)。本発明においてはこのような電極も貫通電極部と呼ぶ。また、第4貫通電極部330の他端は、キャップ200の他面202でパッド状にパターニングされている。これにより、キャップ200側から第4貫通電極部330を介してシリコン基板210を所定の電位に固定することが可能となり、センサ構造体110に対する電気的なシールドが可能となる。
【0105】
上記の構造において、可動電極112と固定電極114とが対向配置された第1コンデンサおよび第2コンデンサが直列に接続され、各コンデンサにおける差動容量の変化が出力されるようになっている。ここで、第1コンデンサの容量をCS1、第2コンデンサの容量をCS2とすると、各コンデンサの差動容量の変化(CS1−CS2)が半導体力学量センサの外部に設けられたスイッチドキャパシタ回路に入力される。
【0106】
スイッチドキャパシタ回路は、第1、第2コンデンサの出力、すなわち差動容量の変化を電圧に変換するものであり、図示しないオペアンプ、容量がCfであるコンデンサ、スイッチを有して構成されている。そして、オペアンプの反転入力端子には第1、第2コンデンサに共通の可動電極112が接続されており、オペアンプの反転入力端子と出力端子との間に容量Cfのコンデンサおよびスイッチが並列に接続されている。
【0107】
第1、第2コンデンサの各固定電極114に位相差が180°の矩形波電圧Vccがそれぞれ周期的に印加され、スイッチドキャパシタ回路の非反転入力端子に基準電圧(Vcc/2)が入力され、スイッチが所定のタイミングでオン/オフされる。そして、半導体力学量センサにおいて可動電極112に加速度が加わり、第1、第2コンデンサの可動電極112の変位に応じた差動容量変化CS1−CS2がスイッチドキャパシタ回路に入力されると、スイッチドキャパシタ回路から(CS1−CS2)・Vcc/Cfに相当する信号が出力される。この出力が加速度のデータであり、他の回路で利用される。
【0108】
以上が、本実施形態に係る半導体力学量センサの全体構成である。なお、上記の半導体力学量センサの各部の材料・材質等は、以下の製造方法で詳しく述べる。
【0109】
次に、図1〜図3に示された半導体力学量センサの製造方法について、図4〜図10を参照して説明する。図4〜図8は図1のA−A’断面に相当し、図9および図10は図1のB−B’断面に相当する。以下では、図4〜図8と図9および図10とを対応させながら各工程を順に説明する。
【0110】
また、半導体力学量センサを製造するに当たっては、ウェハの状態で製造し、最後に各チップに分割することで半導体力学量センサを得る。したがって、以下で示される各工程はウェハの状態で製造していく。このため、上記の第1半導体基板120等はウェハの一部である。
【0111】
まず、図4(a)に示す工程では、第1半導体基板120を用意する。第1半導体基板120として、例えば高濃度にAs、P、Sb等の不純物を含み、比抵抗が0.001〜0.1Ω・cmのn+型の(100)面を有する単結晶シリコン基板が採用される。
【0112】
そして、第1半導体基板120の一面121に絶縁膜131としてPSG膜を0.5〜2μmの厚さで形成する。この絶縁膜131のうちアンカー部111、固定電極114、接続部160、埋込部170、および周辺部150に対応する位置に、フォトリソグラフィ・エッチング手法によりコンタクト穴136を形成する。
【0113】
続いて、絶縁膜131の上に金属層132として0.1〜2μmの厚さのAl膜を形成し、パターン化する。これにより、絶縁膜131の上に配線部パターン133と周辺部パターン134とを設けたパターン部130を得る。また、コンタクト穴136に埋まった金属層132はコンタクト部135となる。
【0114】
周辺部パターン134については、第1半導体基板120の一面121のうちセンサ構造体110が形成される領域を一周して囲むように形成する。本工程では、気密封止の冗長性、複数に分割されたことによる応力緩和のために周辺部パターン134を二重に設ける。もちろん、周辺部パターン134は3個以上でも良く、半導体力学量センサを使用する環境においては複数個でなく1個でも良い。
【0115】
なお、本実施形態では、金属層132としてAl膜を用いるが、その他の金属膜(Cu、Au、W、Al−Si等)や高濃度の不純物を含むn+型ポリシリコン膜や合金膜等を用いても良い。
【0116】
次に、図4(b)に示す工程では、第2半導体基板142を用意する。第2半導体基板142は上記の第1半導体基板120と同等の基板である。そして、第2半導体基板142の少なくとも一面143側に熱酸化膜を形成することにより、第1絶縁層144としてSiO膜を0.3〜2μmの厚さで形成する。
【0117】
この後、図5(a)に示す工程では、パターン部130と支持基板140の一面141とを直接接合することにより、第1半導体基板120と支持基板140とを貼り合わせる。
【0118】
具体的には、配線部パターン133や周辺部パターン134であるAl膜の表面と、第2半導体基板142上の第1絶縁層144であるSiO膜の表面と、を例えばArイオン、Arプラズマ雰囲気でそれぞれ表面活性化を行い、いわゆる室温〜450℃の常温直接接合を行う。このとき、配線部パターン133および周辺部パターン134は確実に第1絶縁層144に接合される。
【0119】
なお、第1絶縁層144の上に配線部パターン133および周辺部パターン134と同等のAl等の金属やポリシリコンを形成した状態で接合しても良い。また例えば一方にはAl膜、他方にはGe膜等のパターンで共晶合金で接合することもできる。また、配線部パターン133および周辺部パターン134は第1絶縁層144に対して、接着剤や共晶合金で接合することも可能である。
【0120】
本工程により、図9(a)に示されるように、周辺部パターン134は第1絶縁層144に直接接合される。また、配線部パターン133のうち貫通孔171が設けられる部分は予め取り除かれている。
【0121】
また、上記のように第1半導体基板120と支持基板140とを貼り合わせた後、第1半導体基板120を5〜50μmの厚さに研削、研磨、エッチング等により薄層化する。
【0122】
そして、図9(b)に示す工程では、第1半導体基板120のうち埋込部170の形成予定部分に、第1半導体基板120、パターン部130(絶縁膜131)、および第1絶縁層144を貫通する貫通孔171を形成する。また、この貫通孔171に金属層173として第2半導体基板142に電気的に接続されるAl膜または高濃度に不純物を含んだポリシリコン膜を充填する。この場合、第1半導体基板120の一面121に対して反対側の他面122上にも金属層173が形成される。
【0123】
この後、図9(c)に示す工程では、第1半導体基板120の他面122上の金属層173を除去する。このとき、エッチバックにより第1半導体基板120の他面122から金属層173が突出しないように、すなわち当該他面122に凹部が形成されるように金属層173をエッチングする。これは、キャップ200を接合する際に、キャップ200の一部を確実に埋込部170に接合できるようにするためである。このように金属層173をエッチングすることで埋込配線172を形成する。
【0124】
続いて、図5(b)に示す工程では、第1半導体基板120に、配線部パターン133に電気的に接続されるセンサ構造体110を形成する。この場合、第1半導体基板120の一面121に垂直なトレンチ溝123をパターン部130の絶縁膜131に達するように第1半導体基板120に形成する。これにより、センサ構造体110と、パターン部130のうち周辺部パターン134が形成された部分に接合されると共にセンサ構造体110等の周囲を一周して囲む周辺部150と、配線部パターン133に電気的に接続されると共に周辺部150で囲まれた領域に位置する接続部160と、埋込部170と、を形成する。
【0125】
このようにして、第1半導体基板120をセンサ構造体110、周辺部150、接続部160、および埋込部170に画定する。また、埋込部170を形成したことにより、図10(a)に示されるように、埋込配線172が埋込部170に位置する。
【0126】
図6に示す工程では、少なくとも可動電極112および梁部113の下部に位置する絶縁膜131を例えばHF蒸気中でエッチング除去する。これにより、可動電極112および梁部113は支持基板140の上に一定の間隔で浮遊した状態となり、可動電極112が可動状態となる。
【0127】
この場合、配線部パターン133と固定電極114との間の絶縁膜131も除去されるが、固定電極114はコンタクト部135により配線部パターン133に支持される。また、アンカー部111と配線部パターン133との間や接続部160と配線部パターン133との間の絶縁膜131は完全に除去されずに多少残る。そして、周辺部150と周辺部パターン134との間の絶縁膜131は、センサ構造体110を気密封止するために残る。こうして、センサ部100が完成する。
【0128】
続いて、図7に示す工程では、キャップ200でセンサ構造体110を気密封止する。具体的には、シリコン基板210を用意し、シリコン基板210のうちセンサ部100に向けられる面のうち周辺部150、接続部160、および埋込部170を除いた領域に凹部203を形成すると共にSiO等の絶縁膜220を形成し、シリコン基板210のうち絶縁膜220を形成した面とは反対側の面にSiO等の絶縁膜230を形成する。なお、キャップ200についてもウェハの状態で形成する。
【0129】
この後、図5(a)に示す工程と同様に、センサ部100の一面101すなわち第1半導体基板120の他面122と、キャップ200の一面201すなわち絶縁膜220の表面と、をそれぞれ表面活性化させて常温接合により接合する。これにより、周辺部150、接続部160、および埋込部170がキャップ200に接合され、センサ構造体110がキャップ200、周辺部150、周辺部パターン134を含むパターン部130、および支持基板140により構成された気密室240に気密封止される。このとき、センサ部100とキャップ200とを真空中で接合したり、所定の圧力をかけて接合したり、所定の雰囲気(N、H、He等)中で接合することにより、気密室240の状態を設定できる。
【0130】
なお、センサ部100とキャップ200との接合は、接着剤を用いる接合や、低融点ガラス接合を行っても良い。また、センサ部100の一面101にAlパターンを形成すると共に、キャップ200の一面201にGeパターンを形成し、AlとGeとの共晶接合によりセンサ部100とキャップ200とを接合することもできる。共晶合金は、Al−Si等でも良い。
【0131】
キャップ200が埋込部170に接合されると、図10(b)に示されるように、キャップ200は貫通孔171を覆うように埋込部170に接合される。
【0132】
次に、図8に示す工程では、キャップ200に第1〜第4貫通電極部300〜330を形成する。具体的には、キャップ200において、ドライエッチングにより絶縁膜230、シリコン基板210、および絶縁膜220を貫通する孔部301〜321を形成する。この場合、まず、絶縁膜230を垂直ドライエッチングし、次にシリコン基板210を垂直ドライエッチングし、この後に絶縁膜220を垂直ドライエッチングすることにより各孔部301〜321を形成する。なお、第4貫通電極部330に係る孔部については、絶縁膜230を貫通すると共にシリコン基板210に達するように形成する。
【0133】
そして、各孔部301〜321の側壁にCVD法やプラズマ酸化CVD法等によりSiO膜等の絶縁膜302〜322を形成する。また、各孔部301〜321の底部に形成された各絶縁膜302〜322を異方性エッチングで除去し、周辺部150、接続部160、および埋込部170の埋込配線172を露出させる。なお、第4貫通電極部330に係る孔部についても同様に絶縁膜を形成して孔部の底部に位置する絶縁膜を除去することによりシリコン基板210を露出させる。
【0134】
続いて、各孔部301〜321にAl等の金属層340を例えばCVD法で埋め込む。これにより、金属層340は、周辺部150、接続部160、および埋込部170の埋込配線172にそれぞれ電気的に接続される。このとき、絶縁膜230の上には金属層340が残されるので、この金属層340をフォトリソグラフィ・エッチング法によりパッド状にパターニングする。これにより、キャップ200を第1半導体基板120と支持基板140との積層方向に貫通する第1〜第3貫通電極部300〜320が得られる。また、第1貫通電極部300は接続部160に電気的に接続され、第2貫通電極部310は埋込配線172に電気的に接続され、第3貫通電極部320は周辺部150に電気的に接続される。
【0135】
なお、第4貫通電極部330に係る孔部にも金属層340を埋めて金属層340をシリコン基板210に電気的に接続し、絶縁膜230上の金属層340をパッド状にパターニングすることで第4貫通電極部330を形成する。これにより、第4貫通電極部330はキャップ200のシリコン基板210に電気的に接続される。
【0136】
上述のように、ウェハの状態で半導体力学量センサを形成しているので、ウェハを半導体力学量センサ毎に分割する。こうして、図1〜図3に示される半導体力学量センサが完成する。チップとなった半導体力学量センサは、第1〜第4貫通電極部300〜330の各パッド部分に例えば図示しないワイヤが接続されることで外部と電気的に接続されて動作する。
【0137】
以上説明したように、本実施形態では、センサ部100を形成する際、第1半導体基板120に配線部パターン133および周辺部パターン134を含んだパターン部130を形成したものを用意し、第2半導体基板142上に第1絶縁層144を形成した支持基板140を用意し、配線部パターン133および周辺部パターン134を第1絶縁層144に直接接合等により接合することにより、第1半導体基板120と支持基板140とを貼り合わせることが特徴となっている。
【0138】
このように、第1半導体基板120の一面121に既に形成した配線部パターン133および周辺部パターン134を支持基板140に接合するので、第1半導体基板120を支持基板140に貼り合わせるために第1半導体基板120に対する薄膜の形成やこの薄膜の平坦化等の工程を不要とすることができる。したがって、製造工程の短縮化を図ると共に簡素化した積層構造を容易に形成することができる。
【0139】
この場合、第1半導体基板120を支持基板140に貼り合わせるための薄膜の形成や平坦化を行わないので、この薄膜の平坦面の精度が問題となったり、センサ構造体110の特性に影響が生じることもない。したがって、製造面および特性面で安定した半導体力学量センサを得ることができる。
【0140】
そして、本実施形態では、センサ部100にキャップ200を接合することにより、気密室240にセンサ構造体110を気密封止している。これにより、センサ構造体110への水や異物の混入などを防止することができ、センサ構造体110を保護することができる。
【0141】
さらに、キャップ200に第1〜第4貫通電極部300〜330を設けているので、キャップ200側からセンサ構造体110と外部とを電気的に接続することができる。また、キャップ200、周辺部150、および第2半導体基板142を所定の電位に固定できるので、センサ構造体110を電気的にシールドすることもできる。
【0142】
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について説明する。図11は、本実施形態に係る半導体力学量センサの断面図であり、図1のA−A’断面に相当する図である。この図に示されるように、第1貫通電極部300のパッド部分にボンディングボール350が設けられている。なお、第2貫通電極部310および第3貫通電極部320の各パッド部分にもそれぞれボンディングボール350が設けられている。ボンディングボール350は、例えばAuやはんだ等で形成されている。これにより、半導体力学量センサを回路基板にボールボンディングすることが可能となる。
【0143】
(第3実施形態)
本実施形態では、第1、第2実施形態と異なる部分について説明する。上記各実施形態では、キャップ200に第1〜第4貫通電極部330を設けていたが、本実施形態では支持基板140に第1貫通電極部300、第2貫通電極部310、および第3貫通電極部320を設けたことが特徴となっている。
【0144】
図12は、本実施形態に係る半導体力学量センサの平面図である。図13は、図12のC−C’断面図である。また、図14は、図12のD−D’断面図である。なお、図12は、キャップ200を透過した平面図になっている。
【0145】
まず、本実施形態では、図13および図14に示されるように、支持基板140は、第2半導体基板142と、第1絶縁層144と、第2絶縁層145とで構成されている。第2半導体基板142の一面143に第1絶縁層144が形成され、第2半導体基板142の他面146に第2絶縁層145が形成された積層構造になっている。
【0146】
また、キャップ200として例えば単結晶シリコン基板が採用され、周辺部150に接合されている。本実施形態では、キャップ200の一面201のうち周辺部150と接合される領域以外の領域に凹部203が設けられている。
【0147】
そして、図13に示されるように、支持基板140には、当該支持基板140を第1半導体基板120と支持基板140との積層方向に貫通すると共に、配線部パターン133に電気的に接続された第1貫通電極部300が設けられている。
【0148】
第1貫通電極部300は、第1実施形態で示された構成および構造と同じであるが、本実施形態では第2半導体基板142の他面146に第2絶縁層145が形成されている。したがって、孔部301は第2絶縁層145、第2半導体基板142、および第1絶縁層144を貫通して配線部パターン133に達するように設けられている。また、孔部301の壁面に絶縁膜302が形成され、この絶縁膜302の上に一端が接続部160に電気的に接続された第1貫通電極部300が設けられている。
【0149】
また、第2絶縁層145を貫通した図示しない孔部の壁面に図示しない絶縁膜が形成され、この絶縁膜の上に第2貫通電極部310が形成されている。これにより、第2貫通電極部310は第2半導体基板142に電気的に接続されている。そして、第2貫通電極部310が第2半導体基板142に直接電気的に接続されるので、図12に示されるようにセンサ部100に埋込部170を設けなくても良い。本実施形態では、x方向において第3貫通電極部320とは反対側に位置している。
【0150】
第3貫通電極部320については、図14に示されるように、孔部321が第2絶縁層145、第2半導体基板142、および第1絶縁層144を貫通して周辺部パターン134に達するように設けられている。この周辺部パターン134はコンタクト部135を介して周辺部150およびキャップ200に電気的に接続されている。また、孔部321の壁面に絶縁膜322が形成され、この絶縁膜322の上に一端が周辺部パターン134に電気的に接続された第3貫通電極部320が設けられている。
【0151】
本実施形態では、第3貫通電極部320が周辺部150とキャップ200との両方に電気的に接続されるので、キャップ200と外部とを電気的に接続するための第4貫通電極部330が不要となる。
【0152】
これら第1〜第3貫通電極部300〜320の各パッド部分には、図13や図14に示されるようにボンディングボール350が設けられている。なお、上述のように、第1〜第3貫通電極部300〜320の各パッド部分にボンディングワイヤが接合されても良い。
【0153】
上記の第1〜第3貫通電極部300〜320は、センサ部100とキャップ200とを接合してセンサ構造体110を気密封止した後(例えば図7に示す工程の後)に支持基板140に形成することとなる。また、支持基板140については、第2半導体基板142の一面143に第1絶縁層144が形成され、他面146に第2絶縁層145が形成されたものを用意して半導体力学量センサの製造に用いる。
【0154】
以上のように、支持基板140側に第1〜第3貫通電極部300〜320を設けることで、支持基板140側からセンサ構造体110と外部とを電気的に接続すると共に、センサ構造体110を電気的にシールドすることができる。
【0155】
(第4実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について説明する。図15は、本実施形態に係る半導体力学量センサの断面図であり、図1のA−A’断面に相当する図である。この図に示されるように、支持基板140およびキャップ200のどちらか一方またはその両方が単結晶シリコン基板と熱膨張係数が同等のガラス、セラミックス等の絶縁体基板で形成されている。
【0156】
ガラスは単結晶シリコン基板と熱膨張係数が同等であるため、センサ構造体110等が形成された第1半導体基板120に熱膨張係数の差に基づく応力が加わりにくくなる。また、第1半導体基板120とキャップ200との間や第1半導体基板120と支持基板140との間の寄生容量が低減し、ノイズが減少するので、微小な容量変化を検出する半導体力学量センサの精度向上および特性の安定化になる。本実施形態では両方が前記ガラス基板ウェハの場合で示す。
【0157】
キャップ200には、周辺部150、接続部160、および図示しない埋込部170に接合される領域以外の領域に凹部203が形成されている。これにより、キャップ200がセンサ構造体110に接触しないようになっている。
【0158】
そして、キャップ200および支持基板140そのものが絶縁体であるので、図15に示されるように、孔部301に第1貫通電極部300を形成するだけで良いという利点もある。この場合、孔部301の形成は、エッチング、レーザ光、機械的なドリル等により行うことができる、また、孔部301の形成はセンサ部100とキャップ200との接合後に行っても良いし、接合前のガラス基板ウェハに予め形成しておいても良い。
【0159】
そして、電気的なシールドが必要な場合には、支持基板140やキャップ200に0.01〜1μmの厚さでAl膜等の金属膜や高濃度不純物(n+またはp+)を含むポリシリコンやアモルファスシリコン等を形成すれば良い。
【0160】
なお、本実施形態では、図15に示されるように第1貫通電極部300はキャップ200に設けられているが、支持基板140側に設けられていても良い。また、第2、第3貫通電極部310、320についても同様である。
【0161】
(第5実施形態)
本実施形態では、主に第1〜第4実施形態と異なる部分について説明する。上記各実施形態では、センサ構造体110が気密封止された気密室240に接続部160が配置され、キャップ200もしくは支持基板140に貫通電極部300〜330を設けて外部との接続を図っていた。本実施形態では、気密室240の外部に接続部160を設けた構造および製法とすることが特徴となっている。
【0162】
図16は、本実施形態に係る半導体力学量センサの平面図である。また、図17は、図16のE−E’断面図である。なお、図16は、キャップ200を透過した平面図になっている。
【0163】
図16に示されるように、本実施形態においても、第1半導体基板120にセンサ構造体110、周辺部150、および接続部160が形成されている。そして、周辺部150はセンサ構造体110の周囲を一周して囲むと共に、接続部160は周辺部150で囲まれたセンサ構造体110が配置された領域の外部に位置するように、第1半導体基板120が画定されている。
【0164】
すなわち、周辺部150は、センサ構造体110が配置された領域と接続部160が配置された領域とを分離すると共に、少なくともセンサ構造体110を一周して囲むように形成されている。
【0165】
パターン部130は、上記のように画定された第1半導体基板120の各部に応じて形成されている。具体的に、配線部パターン133については、配線部パターン133の一端側が周辺部150でセンサ構造体110が囲まれた領域に位置すると共にセンサ構造体110に電気的に接続され、配線部パターン133の他端側が周辺部150で囲まれた領域の外部(すなわち周辺部150で接続部160が囲まれた領域)に位置すると共に接続部160に電気的に接続されている。このように、センサ構造体110は一周する周辺部150に囲まれているので、図17に示されるように配線部パターン133は周辺部150をまたいで接続部160に接続されている。言い換えると、配線部パターン133の一部は周辺部150と支持基板140との間の隙間(つまりパターン部130の厚さ)に位置している。
【0166】
また、周辺部パターン134は、上記の周辺部150のレイアウトに合わせて形成されている。すなわち、周辺部パターン134は、支持基板140と周辺部150との間に位置すると共にセンサ構造体110を囲んでいる。ここで、「センサ構造体110を囲んでいる」というのは、周辺部150は一周しているが、周辺部パターン134は一周して繋がっているわけではないことを意味している。これは、周辺部パターン134は配線部パターン133と同じ階層に位置し、配線部パターン133が周辺部150をまたぐようにレイアウトされているため、周辺部150のうちセンサ構造体110が配置された領域と接続部160が配置された領域とを分ける部分と支持基板140との間に位置する周辺部パターン134は配線部パターン133と交差しなければならいので、配線部パターン133を避けるように断続的に設けられている。
【0167】
なお、図16に示されるように、周辺部パターン134は第1実施形態で示されたように二重に分割されていないが、気密封止の冗長性や応力緩和の観点から周辺部パターン134を二重にしても良い。
【0168】
したがって、配線部パターン133および周辺部パターン134と支持基板140の一面141とが直接接合されたことにより、第1半導体基板120と支持基板140とが貼り合わされると、配線部パターン133の一部が周辺部150をまたぐ領域では、支持基板140、パターン部130、および周辺部150で囲まれた空間部137が形成される。
【0169】
この空間部137は、周辺部150で囲まれた領域(センサ構造体110が配置された領域)とこの領域の外部(接続部160が配置された領域)とを繋ぐ空間である。そして、この空間部137を塞ぐように、接続部160が配置された領域全体に絶縁部材180が充填されている。これにより、空間部137は絶縁部材180によって塞がれ、周辺部150によって分けられたセンサ構造体110が配置された領域と接続部160が配置された領域とがそれぞれ独立した領域となる。なお、図16では、絶縁部材180を斜線で示している。
【0170】
また、接続部160が配置された領域には第1実施形態で示された埋込部170が設けられており、この埋込部170を介して支持基板140の第2半導体基板142と外部との電気的接続が可能になっている。
【0171】
上記構成のセンサ部100に対して、図17に示されるように凹部203が設けられたキャップ200が接合されている。これにより、センサ構造体110のみが気密室240に封止され、接続部160および埋込部170は気密室240の外に配置される。キャップ200としては例えば単結晶シリコン基板が採用される。
【0172】
また、図16に示されるように、接続部160、埋込部170、および周辺部150の上にはAl膜等のパッド124が設けられている。そして、このパッド124に図17に示されるボンディングワイヤ125が接合されることで、半導体力学量センサと外部とが電気的に接続される。以上が、本実施形態に係る半導体力学量センサの全体構成である。
【0173】
次に、図16および図17に示された半導体力学量センサの製造方法について、図18〜図22を参照して説明する。本実施形態においても、ウェハの状態で製造していく。
【0174】
まず、図18(a)に示す工程では、図4(a)に示す工程と同様に、第1半導体基板120を用意し、第1半導体基板120の一面121に絶縁膜131を形成する。また、絶縁膜131のうちアンカー部111、固定電極114、接続部160、埋込部170、および周辺部150に対応する位置にコンタクト穴136を形成し、コンタクト穴136を埋めるようにAl膜を形成してパターニングすることにより、コンタクト部135を備えた配線部パターン133および周辺部パターン134を形成する。
【0175】
本工程では、第1半導体基板120の一面121の外縁部と前記センサ構造体110と繋ぐように配線部パターン133を形成する。また、第1半導体基板120の一面121のうちセンサ構造体110が形成される領域を囲むと共に各配線部パターン133の間に位置するように周辺部パターン134を形成する。
【0176】
次に、図18(b)に示す工程では、図4(b)に示す工程と同様に、第2半導体基板142の一面143側を熱酸化することにより第1絶縁層144を形成することで支持基板140を得る。この後、パターン部130と支持基板140の一面141とを向かい合わせ、これらを直接接合することにより、第1半導体基板120と支持基板140とを貼り合わせる。これにより、配線部パターン133の一端側を周辺部150で囲まれた領域に位置させると共に配線部パターン133の他端側を周辺部150で囲まれた領域の外部に位置させる。また、第1半導体基板120の他面122側を研削や研磨等により薄層化する。
【0177】
続いて、図19に示す工程では、第1半導体基板120の他面122にCVD法等でAl膜を形成し、このAl膜をパターニングする。これにより、第1半導体基板120の他面122のうち接続部160、埋込部170、および周辺部150に対応した位置にパッド124を形成する。
【0178】
そして、図20に示す工程では、図5(b)に示す工程と同様に、第1半導体基板120の一面121に垂直なトレンチ溝123をパターン部130の絶縁膜131に達するように第1半導体基板120に形成することで、センサ構造体110、周辺部150、接続部160、および埋込部170を形成する。
【0179】
この場合、周辺部150はセンサ構造体110が形成された領域を一周して囲むと共に、接続部160および埋込部170が形成された領域を一周して囲むように形成される。すなわち、接続部160および埋込部170は、周辺部150でセンサ構造体110が囲まれた領域の外部に位置する。
【0180】
図21に示す工程では、少なくとも可動電極112および梁部113の下部に位置する絶縁膜131を除去する。これにより、可動電極112および梁部113は支持基板140の上に一定の間隔で浮遊した状態となる。
【0181】
このように、パターン部130の絶縁膜131の一部を除去すると、支持基板140、パターン部130、および周辺部150で囲まれると共に周辺部150で囲まれた領域(センサ構造体110が配置された領域)とこの領域の外部(接続部160等が配置された領域)とを繋ぐ空間部137が形成される。
【0182】
このため、図22に示す工程では、低融点ガラスや樹脂等の絶縁部材180を例えばインクジェット法等により周辺部150で接続部160が囲まれた領域全体に充填する。そして、絶縁部材180を加熱・流動化することで、絶縁部材180で空間部137を塞ぐ。
【0183】
この後、周辺部150にキャップ200を接合することにより、センサ構造体110をキャップ200、周辺部150、周辺部パターン134を含むパターン部130、絶縁部材180、および支持基板140により気密封止する。そして、ウェハを半導体力学量センサ毎に分割することで半導体力学量センサが完成する。
【0184】
このように、周辺部150でセンサ構造体110のみを囲み、この領域の外部に接続部160を配置したとしても、周辺部150と支持基板140とパターン部130とで囲まれた空間部137が絶縁部材180で塞がれるので、周辺部150にキャップ200を接合するだけで、センサ構造体110を気密封止した構造を容易に形成することができる。
【0185】
(第6実施形態)
本実施形態では、第5実施形態と異なる部分について説明する。第5実施形態では、絶縁部材180を周辺部150で接続部160が囲まれた領域全体に充填していた。しかしながら、図23に示されるように、周辺部150で接続部160が囲まれた領域のうち、センサ構造体110側に部分的に絶縁部材180を設けても良い。
【0186】
したがって、本実施形態では、図16に示されるように周辺部150は接続部160および埋込部170の周囲を一周して囲む必要はなく、周辺部150は一周していなくても良い。
【0187】
この場合、図24に示されるように、周辺部150で接続部160が囲まれた領域のうち、センサ構造体110側に部分的に絶縁部材180を塗布し、絶縁部材180を加熱・流動化する。これにより、周辺部150と支持基板140とパターン部130とで囲まれた空間部137を絶縁部材180で塞ぐことができる。このように、絶縁部材180を部分的に設けることで、使用する絶縁部材180の量を少なくすることができ、絶縁部材180がセンサ部100に与える影響も小さくすることができる。
【0188】
(第7実施形態)
本実施形態では、第1〜第6実施形態と異なる部分について説明する。第5、第6実施形態では、絶縁部材180を用いて気密室240を気密封止していたが、本実施形態では絶縁部材180を用いずに支持基板140を構成する第1絶縁層144で気密室240を気密封止することが特徴となっている。
【0189】
図25は、本実施形態に係る半導体力学量センサの平面図である。また、図26は、図25のF−F’断面図である。なお、図25は、キャップ200を透過した平面図になっている。
【0190】
本実施形態に係る半導体力学量センサの平面構造については、第5実施形態の図16で示された平面構造に対して絶縁部材180が備えられていない点が異なり、他の部分は図16で示された平面構造と同じである。
【0191】
一方、図26に示されるように、パターン部130の配線部パターン133および周辺部パターン134が支持基板140を構成する第1絶縁層144に埋め込まれている。特に、周辺部150のうち配線部パターン133を横切る部分と支持基板140との間においては、周辺部150でセンサ構造体110が囲まれた領域とこの領域の外部とを繋ぐ空間が無くなるように配線部パターン133および周辺部パターン134が第1絶縁層144に埋め込まれている。このように、パターン部130の一部が第1絶縁層144に埋め込まれたことにより、第1半導体基板120と支持基板140とが貼り合わされている。
【0192】
上述のように、周辺部150のうち配線部パターン133を横切る部分と支持基板140との間には、当該部分に沿ってパターン部130が位置しているので、周辺部150で囲まれた領域(センサ構造体110が配置された領域)とこの領域の外部(接続部160等が配置された領域)とは完全に分離されている。このため、周辺部150にキャップ200が接合されることで、センサ構造体110が気密室240に気密封止される。
【0193】
また、配線部パターン133および周辺部パターン134が第1絶縁層144に埋め込まれているので、第1絶縁層144からコンタクト部135が突出した状態となっている。このため、このコンタクト部135の高さ分だけ固定電極114および可動電極112が第1絶縁層144から離れて位置しており、可動電極112が固定電極114に対して移動できるようになっている。
【0194】
なお、接続部160にはパッド124を介してボンディングワイヤ125が接合されている。これにより、センサ構造体110と外部との電気的接続が可能になっている。
【0195】
次に、図25および図26に示された半導体力学量センサの製造方法について、図27〜図30を参照して説明する。本実施形態においても、ウェハの状態で製造していく。
【0196】
まず、図18(b)に示す工程と同様に、第1半導体基板120の一面121に配線部パターン133および周辺部パターン134を備えたパターン部130を形成する。また、第2半導体基板142の一面143を熱酸化することにより第1絶縁層144を形成することで支持基板140を得る。
【0197】
ここで、上述のように、第1絶縁層144に配線部パターン133および周辺部パターン134を埋め込むため、第1絶縁層144を金属層132よりも厚く形成する。第1絶縁層144としては、低融点ガラスや樹脂等の絶縁体や接着剤を用いることができる。
【0198】
図27に示す工程では、第1半導体基板120上のパターン部130と支持基板140の一面141とを向かい合わせ、第1絶縁層144を加熱して溶融させる。そして、パターン部130を溶融させた第1絶縁層144に押さえ付けると共に、第1絶縁層144とパターン部130との間の隙間が無くなるように配線部パターン133および周辺部パターン134を第1絶縁層144に埋め込む。このとき、第1絶縁層144は第2半導体基板142の一面143に形成されているので、配線部パターン133および周辺部パターン134が第2半導体基板142に接触して導通しないように第1半導体基板120を第2半導体基板142側に押し付けすぎないようにする。
【0199】
このようにして、配線部パターン133および周辺部パターン134を第1絶縁層144に埋め込み、パターン部130の絶縁膜131を第1絶縁層144に貼り付ける。これにより、パターン部130と第1絶縁層144との間には隙間等の空間がまったく無くなる。さらに、第1半導体基板120の他面122側を研削や研磨等により薄層化する。
【0200】
このように、パターン部130と第1絶縁層144とを貼り合わせたことにより、配線部パターン133が周辺部150の形成予定位置をまたぐように位置する。すなわち、配線部パターン133の一端側が周辺部150で囲まれるであろう領域に位置すると共に配線部パターン133の他端側を周辺部150で囲まれるであろう領域の外部に位置する。
【0201】
続いて、図28に示す工程では、図19に示す工程と同様に、第1半導体基板120の他面122にCVD法等でAl膜を形成し、このAl膜をパターニングすることにより、接続部160、埋込部170、および周辺部150に対応した位置にパッド124を形成する。
【0202】
この後、図29に示す工程では、図20に示す工程と同様に、第1半導体基板120にトレンチ溝123を形成することで、第1半導体基板120にセンサ構造体110、周辺部150、接続部160、および埋込部170を形成する。
【0203】
これにより、周辺部150はセンサ構造体110の周囲を一周して囲むと共にパターン部130のうち周辺部パターン134が形成された部分に接合される。また、センサ構造体110は、配線部パターン133の一端側に電気的に接続されると共に周辺部150で囲まれた領域に位置し、接続部160は配線部パターン133の他端側に電気的に接続されると共に周辺部150でセンサ構造体110が囲まれた領域の外部に位置する。
【0204】
次に、図30に示す工程では、図21に示す工程と同様に、少なくとも可動電極112および梁部113の下部に位置する絶縁膜131をエッチング除去することで可動電極112および梁部113を支持基板140に対して浮遊させる。
【0205】
このように、可動電極112や梁部113の下部の絶縁膜131をエッチング除去したとしても、周辺部150のうち配線部パターン133を横切る部分と第2半導体基板142との間には、第1絶縁層144と絶縁膜131とが積層されて挟まれた状態で残るので、周辺部150でセンサ構造体110が囲まれた領域と周辺部150で接続部160が囲まれた領域とは周辺部150により完全に分離される。
【0206】
この後、センサ構造体110を形成する工程の後、周辺部150にキャップ200を接合することにより、センサ構造体110をキャップ200、周辺部150、パターン部130、および支持基板140により気密封止する。そして、ウェハを半導体力学量センサ毎に分割することで半導体力学量センサが完成する。
【0207】
このように、パターン部130の配線部パターン133および周辺部パターン134を第1絶縁層144に埋め込むと共に周辺部150にキャップ200を接合することにより、センサ構造体110を気密封止した構造を容易に形成することができる。
【0208】
(第8実施形態)
本実施形態では、第7実施形態と異なる部分について説明する。第7実施形態では、図30に示す工程において少なくとも可動電極112および梁部113の下部に位置する絶縁膜131をエッチング除去していた。しかしながら、図31に示されるように、可動電極112および梁部113の下部に位置する絶縁膜131を完全にエッチング除去しても良い。これにより、支持基板140の寄生容量の影響を低減できる。
【0209】
(他の実施形態)
上記各実施形態では、パターン部130の金属層132に配線部パターン133と周辺部パターン134とを形成したが、電気的なシールドを目的としたシールドパターンを設けても良い。
【0210】
上記第3実施形態では、支持基板140において、接続部160等に電気的に接続されるように第1〜第3貫通電極部300〜320を設けていた。しかしながら、支持基板140に各貫通電極部300〜320を設ける場合は、第1半導体基板120に接続部160を設ける必要はなく、図32に示されるように、第1貫通電極部300および第3貫通電極部320を各配線部パターン133に直接電気的に接続しても良い。また、この場合、図33に示されるように、第1貫通電極部300および第3貫通電極部320にボンディングボール350を設けることもできる。なお、図33に示されていない第2貫通電極部320にもボンディングボール350を設けることができる。
【0211】
さらに、第3実施形態で示された構造は周辺部パターン134が2つ(二重)の場合であり、図33に示された構造は周辺部パターン134が1つの場合であった。しかしながら、図34に示されるように、周辺部パターン134が3つ(三重)になっていても良い。これにより、周辺部パターン134に掛かる応力がさらに分散されると共に気密室240の気密性も向上する。また、図35に示されるように、第1貫通電極部300および第3貫通電極部320にボンディングボール350を設けても良い。図示しない第2貫通電極部310も同様である。
【0212】
第4実施形態では、支持基板140およびキャップ200がガラスで形成された構造が示されているが、電気的なシールドが必要な場合には、図36に示されるように、支持基板140に0.01〜1μmの厚さでAl膜等の金属膜や高濃度不純物(n+またはp+)を含むポリシリコンやアモルファスシリコン等のシールド層147を形成すれば良い。なお、図36では半導体力学量センサのうちセンサ部100のみを示しているが、キャップ200にもシールド層147を設けることができる。
【0213】
上記第5実施形態や第6実施形態では、周辺部150と外部とを電気的に接続するため、周辺部150の上にパッド124を設けていたが、図37(a)に示されるように、周辺部150、パターン部130、および第1絶縁層144を貫通すると共に第2半導体基板142に達する孔部151を設け、この孔部151の壁面にパッド126を設けても良い。これにより、1つのパッド126で周辺部150および第2半導体基板142と外部とを電気的に接続することができる。また、図37(b)に示されるように、パッド126が設けられる位置は他の位置でも良い。なお、図37では、半導体力学量センサのうちセンサ部100のみを示してあり、キャップ200を省略している。
【0214】
上記各実施形態および、図33〜図37に示される構造は、本発明の半導体力学量センサの一例であり、各図に示された構造に限定されるものではない。すなわち、各実施形態で示された構造は、可能な限り組み合わせることができる。例えば、ガラスで構成された支持基板140やキャップ200を各構造に適用することができる。
【0215】
上記各実施形態では、キャップ200や絶縁部材180によりセンサ構造体110を気密封止する構造となっていたが、キャップ200や絶縁部材180をセンサ部100に設けずに、センサ部100を気密封止可能なケースに収納しても良い。
【符号の説明】
【0216】
100 センサ部
110 センサ構造体
121 第1半導体基板の一面
120 第1半導体基板
133 配線部パターン
134 周辺部パターン
140 支持基板
141 支持基板の一面
142 第2半導体基板
143 第2半導体基板の一面
144 第1絶縁層
150 周辺部
160 接続部
170 埋込部
172 埋込配線
200 キャップ
300 第1貫通電極部
310 第2貫通電極部
320 第3貫通電極部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面(121)を有する第1半導体基板(120)を用意し、この第1半導体基板(120)の一面(121)に配線としての配線部パターン(133)を含むパターン部(130)を形成する工程と、
一面(141)を有すると共に、少なくとも当該一面(141)側が絶縁材料で構成された支持基板(140)を用意する工程と、
前記第1半導体基板(120)上の前記パターン部(130)と前記支持基板(140)の一面(141)とを向かい合わせると共に、前記パターン部(130)と前記支持基板(140)の一面(141)とを接合することにより、前記第1半導体基板(120)と前記支持基板(140)とを貼り合わせる工程と、
前記第1半導体基板(120)に、前記配線部パターン(133)に電気的に接続されるセンサ構造体(110)を形成する工程と、を含んでいることを特徴とする半導体力学量センサの製造方法。
【請求項2】
前記パターン部(130)を形成する工程では、前記パターン部(130)として前記第1半導体基板(120)の一面(121)のうち前記センサ構造体(110)が形成される領域を一周して囲む周辺部パターン(134)を含んだパターン部(130)を形成し、
前記第1半導体基板(120)と前記支持基板(140)とを貼り合わせる工程では、前記配線部パターン(133)および前記周辺部パターン(134)と前記支持基板(140)の一面(141)とを接合することにより、前記第1半導体基板(120)と前記支持基板(140)とを貼り合わせ、
前記センサ構造体(110)を形成する工程では、前記パターン部(130)のうち前記周辺部パターン(134)が形成された部分に接合されると共に前記センサ構造体(110)の周囲を一周して囲む周辺部(150)と、前記配線部パターン(133)に電気的に接続されると共に前記周辺部(150)で囲まれた領域に位置する接続部(160)と、を前記第1半導体基板(120)に形成し、
前記センサ構造体(110)を形成する工程の後、前記周辺部(150)にキャップ(200)を接合することにより、前記センサ構造体(110)を前記キャップ(200)、前記周辺部(150)、前記周辺部パターン(134)を含む前記パターン部(130)、および前記支持基板(140)により気密封止する工程を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の半導体力学量センサの製造方法。
【請求項3】
前記センサ構造体(110)を気密封止する工程では、前記キャップ(200)の一部を前記接続部(160)に接合し、
前記センサ構造体(110)を気密封止する工程の後、前記キャップ(200)を前記第1半導体基板(120)と前記支持基板(140)との積層方向に貫通すると共に、前記接続部(160)に電気的に接続される第1貫通電極部(300)を形成する工程を含んでいることを特徴とする請求項2に記載の半導体力学量センサの製造方法。
【請求項4】
前記支持基板(140)を用意する工程では、前記支持基板(140)として第2半導体基板(142)の一面(143)に第1絶縁層(144)が形成されたものを用意し、
前記第1半導体基板(120)と前記支持基板(140)とを貼り合わせる工程は、前記パターン部(130)と前記支持基板(140)の第1絶縁層(144)とを接合することにより、前記第1半導体基板(120)と前記支持基板(140)とを貼り合わせる工程と、貼り合わせの後、前記第1半導体基板(120)、前記パターン部(130)、および前記第1絶縁層(144)を貫通する貫通孔(171)を形成する工程と、この貫通孔(171)に前記第2半導体基板(142)に電気的に接続される埋込配線(172)を埋め込む工程と、を含んでおり、
前記センサ構造体(110)を形成する工程では、前記第1半導体基板(120)に、前記埋込配線(172)が形成された埋込部(170)を形成し、
前記センサ構造体(110)を気密封止する工程では、前記キャップ(200)の一部を前記埋込部(170)に接合し、
前記センサ構造体(110)を気密封止する工程の後、前記キャップ(200)を前記第1半導体基板(120)と前記支持基板(140)との積層方向に貫通すると共に、前記埋込配線(172)に電気的に接続される第2貫通電極部(310)を形成する工程を含んでいることを特徴とする請求項2または3に記載の半導体力学量センサの製造方法。
【請求項5】
前記センサ構造体(110)を気密封止する工程の後、前記キャップ(200)を前記第1半導体基板(120)と前記支持基板(140)との積層方向に貫通すると共に、前記周辺部(150)に電気的に接続される第3貫通電極部(320)を形成する工程を含んでいることを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1つに記載の半導体力学量センサの製造方法。
【請求項6】
前記センサ構造体(110)を気密封止する工程の後、前記支持基板(140)を前記第1半導体基板(120)と前記支持基板(140)との積層方向に貫通すると共に、前記配線部パターン(133)に電気的に接続される第1貫通電極部(300)を形成する工程を含んでいることを特徴とする請求項2に記載の半導体力学量センサの製造方法。
【請求項7】
前記支持基板(140)を用意する工程では、前記支持基板(140)として、第2半導体基板(142)の一面(143)に第1絶縁層(144)が形成され、前記第2半導体基板(142)の一面(143)とは反対側の他面(146)に第2絶縁層(145)が形成されたものを用意し、
前記第1半導体基板(120)と前記支持基板(140)とを貼り合わせる工程では、前記パターン部(130)と前記支持基板(140)の第1絶縁層(144)とを接合することにより、前記第1半導体基板(120)と前記支持基板(140)とを貼り合わせ、
前記センサ構造体(110)を気密封止する工程の後、前記第2絶縁層(145)を貫通して前記第2半導体基板(142)に電気的に接続される第2貫通電極部(310)を形成する工程を含んでいることを特徴とする請求項2または6に記載の半導体力学量センサの製造方法。
【請求項8】
前記センサ構造体(110)を気密封止する工程の後、前記支持基板(140)を前記第1半導体基板(120)と前記支持基板(140)との積層方向に貫通すると共に、前記周辺部(150)に電気的に接続される第3貫通電極部(320)を形成する工程を含んでいることを特徴とする請求項2、6、7のいずれか1つに記載の半導体力学量センサの製造方法。
【請求項9】
前記パターン部(130)を形成する工程では、前記第1半導体基板(120)の一面(121)の外縁部と前記センサ構造体(110)と繋ぐ配線部パターン(133)と、前記第1半導体基板(120)の一面(121)のうち前記センサ構造体(110)が形成される領域を囲む周辺部パターン(134)と、を含んだパターン部(130)を形成し、
前記第1半導体基板(120)と前記支持基板(140)とを貼り合わせる工程では、前記第1半導体基板(120)上の前記パターン部(130)と前記支持基板(140)の一面(141)とを向かい合わせると共に、前記配線部パターン(133)および前記周辺部パターン(134)と前記支持基板(140)の一面(141)とを接合することにより、前記第1半導体基板(120)と前記支持基板(140)とを貼り合わせ、前記配線部パターン(133)の一端側を前記周辺部(150)で囲まれた領域に位置させると共に前記配線部パターン(133)の他端側を前記周辺部(150)で囲まれた領域の外部に位置させ、
前記センサ構造体(110)を形成する工程では、前記第1半導体基板(120)に、前記配線部パターン(133)の一端側に電気的に接続される前記センサ構造体(110)と、前記センサ構造体(110)の周囲を一周して囲む周辺部(150)と、前記配線部パターン(133)の他端側に電気的に接続されると共に前記周辺部(150)で囲まれた領域の外部に位置する接続部(160)と、を形成し、
前記センサ構造体(110)を形成する工程の後、前記センサ構造体(110)を形成したことによって前記支持基板(140)、前記パターン部(130)、および前記周辺部(150)で囲まれると共に前記周辺部(150)で前記センサ構造体(110)が囲まれた領域とこの領域の外部とを繋ぐ空間部(137)を絶縁部材(180)で塞ぐ工程と、
前記空間部(137)を前記絶縁部材(180)で塞ぐ工程の後、前記周辺部(150)にキャップ(200)を接合することにより、前記センサ構造体(110)を前記キャップ(200)、前記周辺部(150)、前記周辺部パターン(134)を含む前記パターン部(130)、前記絶縁部材(180)、および前記支持基板(140)により気密封止する工程と、を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の半導体力学量センサの製造方法。
【請求項10】
前記パターン部(130)を形成する工程では、前記第1半導体基板(120)の一面(121)の外縁部と前記センサ構造体(110)と繋ぐ配線部パターン(133)と、前記第1半導体基板(120)の一面(121)のうち前記センサ構造体(110)が形成される領域を囲む周辺部パターン(134)と、を含んだパターン部(130)を形成し、
前記支持基板(140)を用意する工程では、前記支持基板(140)として第2半導体基板(142)の一面(143)に第1絶縁層(144)が形成されたものを用意し、
前記第1半導体基板(120)と前記支持基板(140)とを貼り合わせる工程では、前記第1半導体基板(120)上の前記パターン部(130)と前記支持基板(140)の一面(141)とを向かい合わせ、前記第1絶縁層(144)を加熱して溶融させ、前記パターン部(130)を前記溶融させた第1絶縁層(144)に押さえ付けると共に、前記第1絶縁層(144)と前記パターン部(130)との間の隙間が無くなるように前記配線部パターン(133)および前記周辺部パターン(134)を前記第1絶縁層(144)に埋め込むことにより、前記パターン部(130)と前記第1絶縁層(144)とを貼り合わせ、前記配線部パターン(133)の一端側を前記周辺部(150)で囲まれた領域に位置させると共に前記配線部パターン(133)の他端側を前記周辺部(150)で囲まれた領域の外部に位置させ、
前記センサ構造体(110)を形成する工程では、前記第1半導体基板(120)に、前記配線部パターン(133)の一端側に電気的に接続される前記センサ構造体(110)と、前記センサ構造体(110)の周囲を一周して囲むと共に前記パターン部(130)のうち前記周辺部パターン(134)が形成された部分に接合された周辺部(150)と、前記配線部パターン(133)の他端側に電気的に接続されると共に前記周辺部(150)で囲まれた領域の外部に位置する接続部(160)と、を形成し、
前記センサ構造体(110)を形成する工程の後、前記周辺部(150)にキャップ(200)を接合することにより、前記センサ構造体(110)を前記キャップ(200)、前記周辺部(150)、前記パターン部(130)、および前記支持基板(140)により気密封止する工程を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の半導体力学量センサの製造方法。
【請求項11】
一面(101)を有する板状であると共に前記一面(101)の表層部にセンサ構造体(110)が形成されたセンサ部(100)と、板状のキャップ(200)と、を備え、前記センサ部(100)の一面(101)に前記キャップ(200)が接合されることで前記センサ構造体(110)が気密封止された半導体力学量センサであって、
前記センサ部(100)は、
一面(141)を有すると共に、少なくとも当該一面(141)側が絶縁材料で構成された支持基板(140)と、
前記センサ構造体(110)と、前記センサ構造体(110)を一周して囲む周辺部(150)と、前記周辺部(150)で囲まれた領域に位置する接続部(160)と、が画定された第1半導体基板(120)と、
前記第1半導体基板(120)のうち前記支持基板(140)側の一面(121)において、前記センサ構造体(110)と前記接続部(160)とを電気的に繋ぐ配線としての配線部パターン(133)と、前記支持基板(140)と前記周辺部(150)との間に位置すると共に前記センサ構造体(110)の周囲を一周して囲む周辺部パターン(134)と、を含むパターン部(130)と、を備え、
前記配線部パターン(133)および前記周辺部パターン(134)と前記支持基板(140)の一面(141)とが接合されたことにより、前記第1半導体基板(120)と前記支持基板(140)とが貼り合わされていることを特徴とする半導体力学量センサ。
【請求項12】
前記キャップ(200)は、当該キャップ(200)の一部が前記接続部(160)に接合され、さらに、当該キャップ(200)を前記第1半導体基板(120)と前記支持基板(140)との積層方向に貫通すると共に、前記接続部(160)に電気的に接続された第1貫通電極部(300)を備えていることを特徴とする請求項11に記載の半導体力学量センサ。
【請求項13】
前記支持基板(140)は、一面(143)を有する第2半導体基板(142)と、この第2半導体基板(142)の一面(143)に形成された第1絶縁層(144)と、を備え、
前記第1半導体基板(120)には前記周辺部(150)で囲まれた領域に位置する埋込部(170)が形成され、この埋込部(170)は前記パターン部(130)を介して前記第1絶縁層(144)に貼り付けられており、
前記センサ部(100)は、前記埋込部(170)、前記埋込部(170)と前記第1絶縁層(144)とに挟まれた前記パターン部(130)、および前記第1絶縁層(144)を貫通する貫通孔(171)と、前記貫通孔(171)に埋め込まれると共に前記第2半導体基板(142)に電気的に接続された埋込配線(172)と、を備え、
前記キャップ(200)は、当該キャップ(200)の一部が前記埋込部(170)に接合され、当該キャップ(200)を前記第1半導体基板(120)と前記支持基板(140)との積層方向に貫通すると共に、前記埋込配線(172)に電気的に接続される第2貫通電極部(310)を備えていることを特徴とする請求項11または12に記載の半導体力学量センサ。
【請求項14】
前記キャップ(200)は、当該キャップ(200)を前記第1半導体基板(120)と前記支持基板(140)との積層方向に貫通すると共に、前記周辺部(150)に電気的に接続された第3貫通電極部(320)を備えていることを特徴とする請求項11ないし13のいずれか1つに記載の半導体力学量センサ。
【請求項15】
前記支持基板(140)は、当該支持基板(140)を前記第1半導体基板(120)と前記支持基板(140)との積層方向に貫通すると共に、前記配線部パターン(133)に電気的に接続された第1貫通電極部(300)を備えていることを特徴とする請求項11に記載の半導体力学量センサ。
【請求項16】
前記支持基板(140)は、一面(143)とこの一面(143)の反対側の他面(146)を有する第2半導体基板(142)と、この第2半導体基板(142)の一面(143)に形成された第1絶縁層(144)と、前記第2半導体基板(142)の他面(146)に形成された第2絶縁層(145)と、を備え、
前記センサ部(100)は、前記第2絶縁層(145)を貫通して前記第2半導体基板(142)に電気的に接続された第2貫通電極部(310)を備えていることを特徴とする請求項11または15に記載の半導体力学量センサ。
【請求項17】
前記周辺部パターン(134)は、前記周辺部(150)に電気的に接続されており、
前記センサ部(100)は、前記支持基板(140)を前記第1半導体基板(120)と前記支持基板(140)との積層方向に貫通すると共に、前記周辺部パターン(134)を介して前記周辺部(150)に電気的に接続された第3貫通電極部(320)を備えていることを特徴とする請求項11、15、16のいずれか1つに記載の半導体力学量センサ。
【請求項18】
一面(101)を有する板状であると共に前記一面(101)の表層部にセンサ構造体(110)が形成されたセンサ部(100)と、板状のキャップ(200)とを備え、前記センサ部(100)の一面(101)に前記キャップ(200)が接合されることで前記センサ構造体(110)が気密封止された半導体力学量センサであって、
前記センサ部(100)は、
一面(141)を有すると共に、少なくとも当該一面(141)側が絶縁材料で構成された支持基板(140)と、
前記センサ構造体(110)と、前記センサ構造体(110)の周囲を一周して囲む周辺部(150)と、前記周辺部(150)で囲まれた領域の外部に位置する接続部(160)と、が画定された第1半導体基板(120)と、
前記第1半導体基板(120)のうち前記支持基板(140)側の一面(121)において、前記センサ構造体(110)と前記接続部(160)とを電気的に繋ぐ配線としての配線部パターン(133)と、前記支持基板(140)と前記周辺部(150)との間に位置すると共に前記センサ構造体(110)を囲む周辺部パターン(134)とを含むパターン部(130)と、を備え、
前記配線部パターン(133)および前記周辺部パターン(134)と前記支持基板(140)の一面(141)とが接合されたことにより、前記第1半導体基板(120)と前記支持基板(140)とが貼り合わされ、
前記配線部パターン(133)の一端側が前記周辺部(150)で囲まれた領域に位置すると共に前記センサ構造体(110)に電気的に接続され、前記配線部パターン(133)の他端側が前記周辺部(150)で囲まれた領域の外部に位置すると共に前記接続部(160)に電気的に接続されており、
さらに、前記センサ部(100)は、前記第1半導体基板(120)と前記支持基板(140)とが貼り合わされたことによって前記支持基板(140)、前記パターン部(130)、および前記周辺部(150)で囲まれると共に前記周辺部(150)で前記センサ構造体(110)が囲まれた領域とこの領域の外部とを繋ぐ空間部(137)を塞ぐ絶縁部材(180)を備えていることを特徴とする半導体力学量センサ。
【請求項19】
一面(101)を有する板状であると共に前記一面(101)の表層部にセンサ構造体(110)が形成されたセンサ部(100)と、板状のキャップ(200)とを備え、前記センサ部(100)の一面(101)に前記キャップ(200)が接合されることで前記センサ構造体(110)が気密封止された半導体力学量センサであって、
前記センサ部(100)は、
前記センサ構造体(110)と、前記センサ構造体(110)の周囲を一周して囲む周辺部(150)と、前記周辺部(150)で囲まれた領域の外部に位置する接続部(160)と、が画定された第1半導体基板(120)と、
一面(143)を有する第2半導体基板(142)と、前記第2半導体基板(142)の一面(143)に形成された第1絶縁層(144)と、を備えた支持基板(140)と、
前記第1半導体基板(120)のうち前記第1絶縁層(144)側の一面(121)において、前記センサ構造体(110)と前記接続部(160)とを電気的に繋ぐ配線としての配線部パターン(133)と、前記支持基板(140)と前記周辺部(150)との間に位置すると共に前記センサ構造体(110)を囲む周辺部パターン(134)とを含むパターン部(130)と、を備え、
前記第1絶縁層(144)と前記周辺部(150)との間において、前記周辺部(150)で囲まれた領域とこの領域の外部とを繋ぐ空間が無くなるように前記配線部パターン(133)および前記周辺部パターン(134)が前記第1絶縁層(144)に埋め込まれたことにより、前記パターン部(130)と前記第1絶縁層(144)とが貼り合わされていることを特徴とする半導体力学量センサ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【公開番号】特開2011−194478(P2011−194478A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60565(P2010−60565)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】