説明

半導体基板上の薄膜層のアパーチャのための充填装置

【課題】1以上のアスペクト比を有する多層集積回路のビア、スルーホール又はトレンチにAl電気コンタクトを形成する。
【解決手段】スパッタチャンバと、堆積チャンバと、移送チャンバと、を備え、半導体基板上における薄膜層のアパーチャを充填する充填装置において、スパッタチャンバは、スパッタ堆積材料の供給源となるターゲットカソードと、半導体基板を支持するための基板位置決め部材と、DC電源装置を具備し、ターゲットカソードからスパッタされた種を生成するために使用される第1のプラズマ発生ユニットと、基板位置決め部材に接続された基板バイアスRF電源装置と、RF電源装置を具備し、ターゲットカソードと基板位置決め部材との間に位置して、ターゲットカソードから前もってスパッタされた種をイオン化又は再イオン化するために使用される第2のプラズマ発生ユニットと、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイスの薄膜層に形成されるコンタクト、ビア(via)及びその他のパス(pass)に関し、更に薄膜層を通してパスを作るために、半導体又は他方式の基板上の1つ以上の薄膜層を貫通して延びるビア、穴又はトレンチのようなアパーチャ(aperture、開口)のライニング(lining)又は充填に関する。
【0002】
本発明により、高アスペクト比のアパーチャ(即ち、1000オングストローム程度の小ささの幅を有し且つ幅に対する高さの比が約1:0から約12:0であるようなアパーチャ)の充填と従来技術の方法に比べて低い温度における堆積薄膜層の平坦化が可能となり、且つ、慣習的な従来技術の方法では、妥当な時間内でボイド(void、空隙)の無い、アパーチャの充填と得られる薄膜層の平坦化とを実行し得ないような、いくつかの場合において、それらを可能とするものである。1つの副具体例では、本発明は、キャリア層と、キャリア層の構造と組成と、キャリア層を形成する方法と、そしてキャリア層を形成する方法を実施するのに用いる装置とに関し、それらの全てによって、集積回路デバイスの製造中における高アスペクト比の電気コンタクトの充填と堆積薄膜層の平坦化が可能となる。
【背景技術】
【0003】
基板又はウェハ上における集積回路デバイスの製造中、薄膜層の、典型的には誘電性薄膜層の、穴、トレンチ又はビア(即ち、アパーチャ)を充填して、パスを、典型的には伝導性のパスを、薄膜層を貫通して作ることが必要となる。伝統的には、アパーチャの充填は、予め堆積した薄膜層、典型的にはそれを通るアパーチャを有する誘電性薄膜層、の上に充填材料の層を堆積することによって実施されてきた。例えば、コンタクトは、アルミニウムのような導体を誘電性層のアパーチャの中へ堆積させることにより誘電性層を通して作られる。アパーチャを充填するのに用いる材料がその上に堆積される材料と反応することがある場合、例えば、充填材料がアパーチャの底部にある材料と相互拡散して望ましくない品質の材料を生ずることがあるような場合、充填材料が堆積される前に障壁層をアパーチャに堆積させてアパーチャをライニングしなければならない。障壁層を堆積した後、伝導性材料をその上に堆積してコンタクトを形成する。その後のウェハ処理を可能にするため、アパーチャを充填するのに用いる伝導性材料を平坦化して、アパーチャを充填した表面上における比較的均一な厚い充填材料層の堆積の結果生ずる、薄膜層の露出部分の高さの顕著な変化を何れも低減しなければならない。
【0004】
物理的気相堆積、即ち、"PVD(physical vapordeposition)"は、半導体デバイス製造において有用なアパーチャ充填の既知法の1つである。PVDでは、堆積材料から成るターゲットは、プラズマにさらされてプラズマからのイオンによってスパッタされる。ターゲットからスパッタされた材料は基板上に堆積する。その堆積材料は基板上に薄膜層を形成し、且つアパーチャを充填するのにも用いられる。平坦化された堆積薄膜層を与えるため、そしてアパーチャの充填を確実にするため、薄膜層は伝導性材料を"リフロー"させるために高温で堆積させることができ、これによってアパーチャを充填し、"平坦化した"層、即ち、比較的平坦な上表面をもつ層を作り出すのである。典型的には、リフローステップは、480℃以上のオーダの基板温度で実施する。
【0005】
在来のスパッタリング法を使ってアパーチャの充填は、アパーチャのアスペクト比が大きくなるにつれ困難になってきた。穴の幅が穴の深さと等しい場合、即ち1:1のアスペクト比では、在来のスパッタ堆積技術によって穴の側面及び底部上にターゲット材料の共形堆積が確保でき且つ完全なアパーチャの充填が可能となり得る。しかしながら、1:1のアスペクト比を有するアパーチャに対しても、より低いリフロー温度でのアパーチャ充填を実施する必要性は存在する。より高いアスペクト比では、数値的には、約2:1以上のアスペクト比では、アパーチャ充填に在来のスパッタリング技術を使うのは問題が多い。その理由は、実質的に、アパーチャとスパッタの形状の結果である。ターゲットからスパッタされたターゲット粒子は直線経路を進む故、アパーチャの底部と側壁の下方部分は、基板の表面に沿って横方向へ進むようなスパッタ粒子からさえぎられる。高アスペクト比のアパーチャでは、スパッタ粒子で形成される堆積物は、アパーチャ開口部では極めて厚く、アパーチャ底部では極めて薄くなる傾向がある。スパッタされた粒子の堆積が継続されるにつれ、アパーチャ開口部に堆積する材料は、継続した堆積の間に連続して組み立てられる。この堆積物は、ターゲット材料をアパーチャ壁の底部からますます遮断することになるであろう。最後には、アパーチャ開口部で形成される層がアパーチャを完全に覆うことになり、アパーチャ中への以後の堆積材料の堆積が妨げられる。それ故、スパッタ堆積によって高アスペクト比のアパーチャを充填するには、代わりとなる方法を用いなければならない。
【0006】
高アスペクト比のアパーチャを充填するのに用いてよいスパッタリングの1つの代替アプローチは、コヒーレント(干渉性)堆積であり、この場合、ターゲット材料の平行にされた(collimated)供給が、低温で、典型的には150℃以下で、基板の表面上に堆積されて基板上に材料の"種(seed)"層を形成する。種層を形成後、その基板を第二の、非コヒーレントスパッタリング室へ移し、基板を約480℃又はそれ以上の温度に維持しながら、基板上へ堆積されるスパッタ材料でアパーチャを充填する。この高温で、材料がリフローできるように基板上に堆積されることになり、これにより、1)アパーチャを充填し、2)平坦化薄膜層を生成する。リフロー技術によるアパーチャ充填と堆積薄膜層の平坦化に要する時間は、基板温度の関数である。基板温度が高ければ高いほど、アパーチャはより速く充填され且つ薄膜層はより速く平坦化される。しかし、基板が熱すぎると、種層が癒合して個々の小滴になって共形の薄膜層の形成を妨害するか、又は、先に堆積した材料が寸法変化するか、又は、熱的に劣化することになるであろう。深さが1.2μでアスペクト比がほぼ1:1のアパーチャを充填するのにリフロー技術が用いられ、且つアパーチャ充填材料としてアルミニウムが堆積される場合、約480℃の基板温度は、約3又は4分でアパーチャを充填して堆積層を平坦化することができる。0.5ミクロン又はそれ以下の幅のアパーチャでは、即ち、約2:1又はそれより高いアスペクト比を有する標準の1.2μの深さのアパーチャでは、リフロー法はその有効性が限定される。特に、コヒーレント堆積を用いてさえ、より高いアスペクト比の穴は時間がかかり過ぎて、許容できるリフロー温度では充填できない可能性がある。加えて、コリメーターが堆積材料の実質的な量をさえぎり、よってこれは収量とスループットを減少させることになる。
【0007】
高アスペクト比のアパーチャを充填するもう1つの既知法は、ターゲットからスパッタされる堆積材料の少なくとも一部をイオン化してそのイオン化したターゲット材料を基板へ引き付けるものである。堆積材料をイオン化し且つそれを基板の方へ電気的に引き付けることにより、基板に到達する堆積材料は基板に垂直に進むことになろう。従って、堆積材料はアパーチャの底部に達し、アパーチャの壁の上部到達部に集まることはないであろう。
【0008】
例えば、1993年1月12日に特許されたBarnes等の米国特許第5,178,739号は、スパッタターゲット後部と基板との間に配置された中空の円筒状スパッタターゲットを含み、それら全てを真空チャンバに収容したスパッタ堆積システムを開示している。複数の磁石は、円筒ターゲットの内部表面近くに強力なプラズマ領域を作り出し、それによってターゲットからスパッタされる堆積材料の少なくとも一部をイオン化させるために該チャンバ外部に配置される。プラズマを維持させるために、RF電力がターゲットと基板との間に配置した内部rfコイルを介して該チャンバ外部に誘導的に結合される。イオン化したスパッタ材料の方向とエネルギを制御するために基板は電気的にバイアスをかけられる。スパッタ堆積システムを使って作られたイオンは、プラズマ外装(sheath)を横切った後は低い拡散を有すると云われており、従って穴のような高アスペクト比のアパーチャを均一に充填できると云われている。(高アスペクト比の穴は、典型的には、1:1以上の高さ対幅比を有する穴(ビア)であると記述されている)。
【0009】
イオン化堆積は、高アスペクト比の穴を充填する既知方法であるが、その技術は、在来法に比べて堆積速度が遅く、電力条件が大きく、且つその装置がより高価であるために、在来のスパッタリング技術より著しく高価になる。これらの諸制約条件にもかかわらず、当業者に信じられていることは、極めて高いアスペクト比の穴、即ちほぼ2:1以上の穴の充填は、イオン化堆積材料を使うことによってのみ達成でき、且つ在来のスパッタ堆積とリフローがその後に実施されるコヒーレント堆積法のような、他の技法は、ライン幅が減少し続けるにつれてデバイス製造者の要求を満足し得ないということである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、伝導性材料、典型的には金属又は金属合金で、最終的堆積物にボイドを形成させずに狭い高アスペクト比のアパーチャを充填して適当な集積回路の電気コンタクトを形成できるようにする手段を提供することにある。
【0011】
金属又は金属合金の堆積は、好ましくは、480℃を下回る基板温度で実行され、結果的にその処理のための熱費が低くなる。さらにより好ましくは、金属又は金属合金のスパッタリングは、約350℃を多少下回る基板温度で実行し、基板温度を生ずるのに用いられる加熱素子の初期及び維持コスト並びにプロセスの熱費を軽減する。これらの比較的低い温度はまた、IC製造において、より低い熱分解又はクリープ温度を有するが回路設計者にとって有用な材料の使用を可能にするものである。何故なら、金属又は金属合金の堆積工程以前に基板上に堆積された堆積材料は、アパーチャを充填し且つ薄膜層を平坦化するのに本願発明の諸方法が用いられる時に従来技術のそれらよりも低い処理温度を経験することになるからである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願発明は、集積回路デバイスの製造に有用な方法、装置及び構造を提供するものである。1つの様相では、本発明は、薄膜層を貫通して延びるアパーチャ中又は基板そのものの中にコンタクトを提供する。他の様相では、本発明は、アパーチャの充填と平坦化により1000オングストローム程の小さい幅と約1:1から約12:1間の範囲のアスペクト比とを有する集積回路の電気コンタクトを形成可能にするコーティング層に関する。更に別の様相では、そのコーティング層は、アパーチャの底部又は側面を形成する材料とアパーチャを充填するのに最終的に用いられる材料との間の相互拡散を防止する障壁層である。詳細には、本発明で作られる障壁層は、顕著なボイドを生じないで、アルミニウムのような、伝導性材料を使ってのアパーチャの充填を可能にするものであり、この場合、基板温度はリフロー中は350℃ほどの低温を下回る温度に維持される。電気コンタクトを充填するための好ましい伝導性材料は、金属及び金属合金である。最も好ましい金属及び金属合金には、例示のためであって限定するものではないが、アルミニウム、及びアルミニウムー銅、アルミニウムー銅ーシリコン、アルミニウムーシリコン、アルミニウムーゲルマニウム、アルミニウムーパラジウムーシリコンなどのアルミニウム合金の同一のリフロー温度範囲、即ち、その範囲内で材料が流れて平坦化薄膜層を生成する同一の温度範囲を有するその他の伝導性材料を含む。更に、限定はしないが、銅及び銅の合金を含む、より高いリフロー温度を有する他の材料も、本発明の諸技術を使ってアパーチャを充填するのに用いられ得るうる。本発明のキャリア層が用いられる場合、充填アパーチャと平坦化薄膜層を生成するため、伝導性材料を同時にスパッタし且つリフローするステップは、従来技術に比べ、比較的低い温度で、即ち、約450℃を下回る基板温度で、より好ましくは約430℃を下回る温度で、そして最も好ましくは約350℃から400℃の範囲の温度で実行され得る。アルミニウムが穴を充填するのに用いられている伝導性材料である場合、300℃程度の低い基板リフロー温度が考えられる。
【発明の効果】
【0013】
1態様では、キャリア層は、スパッタ堆積の方法で形成されたものと見なしてよく、この場合、ターゲットからスパッタされる材料の少なくとも一部は、それが基板に到達する以前にイオン化して第二の材料と反応する。最も好ましい態様では、スパッタリングプラズマを生成するのに用いるガスは、ターゲットとガス原れるように、ターゲットからスパッタされる材料と反応する。
【0014】
更に別の態様では、キャリア層は、ほぼ二乗和平方根(rms)が15オングストロームより小さい表面粗さを有する滑らかな層と見なしてよい。
【0015】
更に別の態様では、キャリア層は、その上に堆積される材料から成る層のフロー(流れ)をその上方で可能にすると特徴づけられ得る。
【0016】
更に別の態様では、本発明は、アパーチャにコンタクトを形成する装置を提供し、この場合、アパーチャの側壁上にキャリア層を作るために第一チャンバが設けられ、且つそのキャリア層上への材料の堆積用として追加チャンバが設けられる。1つの配置構成では、第一チャンバはスパッタチャンバであり、これには、材料が基板に到達する以前にターゲットを出る材料の少なくとも一部をイオン化して、キャリア層を形成する材料の少なくとも一部がイオン化状態で堆積されることを保証するための装置が含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
I.定義
詳細な説明の前置きとして、本明細書並びに前出の特許請求の範囲に用いられるように、名詞は、別途その前後関係が明示されない限り、複数対象を含む、ということを留意すべきである。従って、例えば、用語"半導体"は、半導体の動作特性を有することが知られている様々な各種材料を意味し、"プラズマ"と引用する場合は、rfグロー放電によって励起されるガスもしくはガス反応物群が包含され、"コンタクト材質"という表現は、アルミニウム、アルミニウム合金群、及びここに記述した温度範囲以上でスパッタさせることができる融点を有するその他の伝導性材料を包含する。
【0018】
本発明の記述にとって特に重要な特殊専門用語を以下に定義する。
【0019】
用語"アルミニウム"は、半導体工業において代表的に用いられる種類のアルミニウムの合金を含む。該合金には、例えば、アルミニウムー銅合金、及びアルミニウムー銅ーシリコン合金がある。
【0020】
用語"アスペクト比"(aspect ratio)は、電気コンタクトがその中に設けられることになる特定の開口の最大の幅寸法に対する高さ(深さ)寸法の比を指す。例えば、典型的に多重層を通して円筒形状で延びるビア開口は高さと直径を有しており、そのアスペクト比は、円筒の高さを直径で割ったものになる。トレンチのアスペクト比は、トレンチの開口部の所のトレンチの幅でトレンチの高さを割ったものとなる。
【0021】
用語"伝統的スパッタリング"は、基板上に薄膜層を形成する1つの方法であって、この場合、ターゲットをスパッタしそしてターゲットから放出される材料をターゲットと基板間に通過させて基板上に薄膜層を形成するもので、且つ材料が基板に到達する以前にターゲットから放出されるターゲット材料の実質的部分をイオン化する手段が何ら設けられない方法を指す。伝統的スパッタリングを実施できるよう構成された装置の1つが米国特許第5,320,728号に開示されており、その開示を参考として本明細書に引用する。前述の伝統的スパッタリング構成では、イオン化されるターゲット材料の割合は、ターゲットからスパッタされるものの10%未満、より典型的には1%未満である。
【0022】
II.具体例序文
本発明に従い、アパーチャが1:1又はそれ以上のアスペクト比を有する場合、且つアパーチャにコンタクト又はビアを形成するために在来技術の480℃又はそれ以上のオーダの(基板の)リフロー温度を実質的に下回るリフロー温度で導体の堆積が実施される場合において、伝統的な、即ち、非イオン化、非コヒーレント堆積技術を使って、導体を、特にアルミニウム(及びアルミニウム合金)を薄膜層又は基板中の(トレンチ、ビア又はスルーホールのような)アパーチャ中に堆積させ得ることが明らかにされた。このことは、導体が堆積される以前に高アスペクト比のアパーチャの壁の上にキャリア層を形成することにより可能となる。このキャリア層はアパーチャを充填するのに用いられる堆積材料のフロー又は移動を高め、よって、従来技術のスパッタ及びリフロー技術では妥当な時間で充填できなかったアパーチャに在来のスパッタ及びリフロー技術を用いてアパーチャの充填を可能にするものである、ということを出願人は知得した。事実、これは、4分の間で390℃の基板リフロー温度でほぼ5.0のアスペクト比を有する僅かに0.25μ幅(底部で0.15μ)のアパーチャにおいて達成されたもので、これは在来のスパッタリング技術では実行できないとこれまで考えられていたことである。特に、本発明は、キャリア層の上にアルミニウムのスパッタ堆積を施して高アスペクト比の穴にコンタクトを形成し、よってアパーチャにコンタクトを作ることを可能にするもので、これらは在来のスパッタリング技術を使って充填するには非実用的でありもしくは不可能であると思われたものであり、又、スパッタされた伝導性材料束がイオン化され次いで基板の方へ電気的に引き付けられる場合だけ充填できると考えられていたものである。本発明には、キャリア層で可能になるような高アスペクト比のアパーチャに形成されたコンタクトと、キャリア層を形成する処理を含むコンタクト形成処理法と、更にコンタクトとキャリア層とを作るのに用いられる装置とが包含される。
【0023】
III.具体例
本発明は、薄膜層におけるアパーチャにコンタクト、ビア又は他の構造を設けるために新規な装置と新規な方法とを用いるものである。その方法と装置は、高アスペクト比の穴に、コリメーターを必要とせず、またイオン化状態のアパーチャ充填材料(典型的には、導体)を供給する必要もなく、コンタクト、ビア又は他の類似構造を設けるのに用いることができる。その方法と装置はまた、その上に堆積される充填材料をもってアパーチャの側壁上に堆積されるキャリア層をも与える。1つの特定の具体例では、材料がターゲットからスパッタされ、且つそれが基板上に堆積される以前に、少なくとも部分的にイオン化される(10乃至100%のイオン化)、キャリア層はイオン化堆積技術を使って堆積される。好ましくは、キャリア層の一部は非反応ターゲット材料から構成され且つキャリア層の残部は、基板上に堆積される以前に、既にガスと反応させられたターゲット材料から構成される。出願人が見い出したことは、該キャリア層は、従来技術で用いられたそれらより低いリフロー温度で、且つ平行化した種層を必要とせずに、高アスペクト比の穴の充填を容易化するということである。
【0024】
A.代表的アパーチャ
コンタクトを形成するためにここに記述された諸技術を使って充填されるビア、トレンチ又は穴のようなアパーチャの説明として、図1はキャリア層100を含むアパーチャ113の略図を示す。例としての図のアパーチャ113は、シリコンベース100上の二酸化シリコン薄膜層111を通して形成された。アパーチャ113は、二酸化シリコン薄膜層111を通してシリコンベース110までドライエッチングにより作られたを。
【0025】
B.本発明のコンタクト
最初に図1を参照して説明すると、そこには、高アスペクト比のアパーチャ113に、特に約5:1(1.2μ高さで.25μ幅)のアスペクト比を有するアパーチャ113に形成された好例のコンタクト118が示されている。コンタクトには少なくとも次の2つの副要素が含まれる。即ちキャリア層;及びキャリア層が堆積された後に残っているアパーチャ容積部分を充填するためにキャリア層上に堆積された伝導性材料である。ここに記述したコンタクトの具体例では、キャリア層は、ターゲットからの材料をスパッタし、それを基板上に堆積し、スパッタした材料の一部をそれが基板上に堆積される以前にターゲットと基板間の空間に維持されているガスとを反応させ、そしてまた、ターゲットからスパッタされた材料の少なくとも一部をそれが基板上に堆積される以前にイオン化することにより形成される。典型的コンタクトの伝導性材料は、低温にてキャリア層上に種層を堆積させ、その後続いて同一チャンバで伝導性材料の堆積を行い、一方、同時に行うリフロープロセスは、4分間390℃の基板温度で加熱することにより実行されるが、伝導性材料を含むターゲットの伝統的スパッタリングで生成した。
【0026】
図1に示したコンタクトに関する特定の具体例では、アルミニウムが伝導性材料として使われ、伝統的スパッタリング技術を用いてキャリア層上に堆積される。コンタクトを形成するため、アパーチャは下層にある基板領域まで延びて、そのベース111の所でシリコン基板の露出部分を包含する。シリコンとアルミニウム間の相互拡散を防ぐため、キャリア層も障壁層として機能する。コンタクトの具体例では、障壁層は、もし望まれるなら、単一のチャンバで形成されてよい3つの下層から作る。第一下層112は、二酸化シリコン層111とシリコンベース110の両表面上に堆積される以前にターゲットからスパッタされそして部分的にイオン化(10乃至100%イオン化)されたチタンの下層であり、第二の下層114は、第一下層112上に堆積される以前に部分的にイオン化され且つ窒素と反応して窒化チタンを生成するスパッタされたチタンの層であり、そして第三下層116は、スパッタされたチタンと部分的イオン化状態(10乃至100%イオン化)で堆積された窒化チタンとの両方から構成される層である。チタン層112を堆積後、ケイ化チタンの薄層124は導体と下層基板との間に障壁層を設けるために高温アニーリングでビア113の底面に形成され得る。しかし、本発明のキャリア層は、ケイ化チタンを生成させるためにキャリア層をアニールしなくても障壁層として働くことになろう。
【0027】
キャリア層は、いったん堆積されると、伝導性材料が充填できるようアパーチャ内部に内部容積部分117を残して、約800オングストロームの厚さをもつ共形層を与える。コンタクト100の残余容積部分117は、次いで、2分間390℃から10分間350℃の順で比較的低い基板温度でリフロー処理を行いながら、伝統的な、即ち、非イオン化スパッタアルミニウム(又はアルミニウム合金)堆積操作によって充填される。極めて高いアスペクト比のアパーチャは、導体のスパッタ源のイオン化堆積によってのみ充填し得るという従来技術の提言とは反対に、出願人は、ここに記述したようにキャリア層を用いれば、在来のスパッタ技術によりアパーチャ充填材料を堆積し且つ高アスペクト比のアパーチャ中に流し込んでコンタクト、ビア等を形成できるということを見い出した。それ故、このキャリア層を採用することにより、従来の方法でスパッタしたアルミニウム層を用いてアパーチャの残余容積を充填してコンタクトを作ってもよい。スパッタしたアルミニウムのイオン化堆積に要する装置が、スパッタ材料の標準的な、即ち、伝統的な堆積に要するそれよりはるかに高価であるという理由から、この処理は望ましいものである。更に、キャリア又は障壁層によって、従来技術のそれらより実質的に低いリフロー温度でアパーチャ中に従来法でスパッタしたアルミニウム層の堆積が可能となる。
【0028】
C.本発明のキャリア層
1.キャリア層の1具体例
本発明のキャリア層は、コンタクトに関して上述したように、障壁層として用いてよく、又は、障壁層が不要な場合に導体のような充填材料で高アスペクト比のアパーチャの充填を促進するのに用いてもよい。何れの場合においても、キャリア層により、従来法に比べて低い温度のリフロー処理において及び/又はより速い充填・平坦化時間で高アスペクト比を有するアパーチャを充填材料で充填することが可能となる。キャリア層は、多くの方法で特色付けてよい。特性に関する何れかの特性を満足するキャリア層により、従来法に比べて低い温度と速いリフロー時間で高アスペクト比のアパーチャの充填が可能となると考えられる。1つの特性では、キャリア層は、滑らかな層、即ち、従来法と比べて低い表面粗さを有する露出表面をもつ層である。該平滑層の1つは、稠密円柱障壁層材料の構造を含み、この場合、円柱は、アパーチャ壁に対して実質的に垂直に配置される。別の特性において、キャリア層はぬれ効果を有する。即ち、その上の材料、アルミニウム及びその合金を含む特定材料のフローを助長する。更に別の特性において、キャリア層は、スパッタ粒子のイオン化され、部分的に反応性の堆積という処理によってアパーチャの壁面と底部とに材料を堆積させることにより形成されるもので、即ち、ここでは、ターゲットからスパッタされる材料は少なくとも一部分イオン化され、部分的にガスと反応し、そしてそのイオン化され部分的に反応した材料は、基板支持体上に印加された電界の維持による等の方法で、基板の方へ向けられる。
【0029】
ビア、トレンチ、及びスルーホールのようなアパーチャをライニングするための、本発明のキャリア層構造の1具体例は、イオン化されスパッタされた耐熱性金属の層を基板上に堆積し、続いて基板上に耐熱性金属化合物の第二の層を堆積させるためスパッタされた耐熱性金属を反応雰囲気においてイオン化堆積し、続いて耐熱性金属化合物を生成させ且つイオン化された耐熱性金属によって部分的に基板上に第三の層を形成するため予めガスと反応させられたイオン化された耐熱性金属から部分的に構成される層を堆積することにより、達成されるものである。第三の層は、ターゲットがスパッタされる時に、ターゲットと基板間の領域にスパッタされた耐熱性金属と反応するガスを維持することによって生成された、ある割合の耐熱性金属化合物を含有してよく、好ましくは、第三層において生成された最高濃度の耐熱性金属化合物を第二層に隣り合わせ、結果的に、第三層の外表面の方へ(化合物の濃度の少ない)耐熱性金属の濃度を増やす。この第三層の組成をもたらす既知法の1つは、チャンバを有毒化(poisoned)モードに維持することである。即ち、この場合、反応性ガスの量が、スパッタされた材料とガスとの間の完全な反応を確保するのに要する量を超え、そしてスパッタリングを継続させるためにアルゴン(又は他の非反応性種)の供給を維持しながら反応性ガスの供給を遮断することである。残留している反応性ガスはスパッタされた材料と反応し、その結果、有効量の反応性ガスは、化合物を生成するのに使われるので、減少することになる。好ましくは、ガスをプラズマ状態に保持する電力は、全ての反応性ガスが反応する前に切られ、よって、キャリア層の最外表面は、純粋な形のスパッタ材料と、スパッタ材料と反応性ガスから成る化合物とを両方とも含む。キャリア層が堆積されてしまえば、電気コンタクト、即ち、一般には金属化層は、ターゲットからのアルミニウムのような伝導性材料のスパッタリングにより及び在来のスパッタリングとリフロー技術を使ってそれを平滑な障壁層構造の第三の層の上に堆積することによって得ることができる。図1のキャリア層の具体例では、キャリア層は、3つの層:Ti/TiN/TiNxを含む。制限無しでTaNとTaを含む、他の耐熱性金属及び耐熱性金属化合物によって本発明の諸利点を実現できる、ということは出願人も信じているところである。加えて、本発明の好ましい実施では、キャリア層が多重の下層を含み、この場合、各下層は同一の金属ベースから構成されること、即ち、TiがTi/TiN/TiNxのベース金属であることが想定されているが、多重レベルのキャリア層の個々の層は、各層のベース金属として異なった材料から構成されてもよいと出願人は思う。多層キャリア層を形成するのに、Tiのような、単一ベース金属を使用する主な利点の1つは、キャリア層全体を単一チャンバにおいて連続処理で堆積できる、ということである。
【0030】
例示したコンタクト118のキャリア又は障壁層は3つの異なった下層を設けられているが、最外層はまさしく、即ち特定例においてTiとTiNから形成されたTiNx層(xは、その層のTiNの重量による割合を反映する)、又はTiN層はまさしく、本発明の高度のアパーチャ充填特性を実現できるものと出願人は思う。
【0031】
2.キャリア層の特性
キャリア層の1つの特性はその微細構造にあることを出願人は見い出した。標準の反応性スパッタリング法を使って生成された耐熱性金属又は金属合金の微細構造のため、リフロー操作を受けるスパッタアルミニウムが高アスペクト比のアパーチャ中へ難なく流れ込みそしてそれを充填することはない。このことは、従来法でスパッタされた耐熱性金属化合物の表面形状並びにぬれ性の欠如に起因するものと思われる。しかし、本発明のキャリア層の1つの特性は、比較的滑らかな表面であり、そのオングストローム単位の表面粗さは、従来技術の、伝統的にスパッタされた障壁層(約40−50オングストローム)のほぼ三分の一(約15オングストローム)である。この比較的平滑な層によって、従来の伝統的にスパッタした障壁層と比較して、より低い温度で、且つ集積回路製造の時間的制約の範囲内で、即ち、ほぼ5分で、高アスペクト比の穴を充填することが可能となることが見い出された。事実、本発明のキャリア層は、アスペクト比が5:1で幅が約2500オングストロームのアパーチャのアルミニウム導体による充填を可能にしており、これは、従来法に従う限り妥当な時間内では不可能なことである。これらの諸性質を有するアパーチャ中に伝統的スパッタリング法を使ってアルミニウムをスパッタ堆積させると、そのスパッタしたアルミニウムは許容し難いボイドで一杯になった。そのボイドを除去するためにアルミニウムをリフローしようと試みたが、高温においてすら成功しなかった。
【0032】
キャリア層の別の特性は、その方位がアパーチャ壁に垂直な全体に縦のグレン構造を有する、堆積材料の複数の稠密結晶性又は顆粒状堆積物のそれである。キャリア層が伝統的スパッタリング法を使って堆積される場合における従来技術の構造では、同様のグレン又は結晶性構造が形成されるが、それらの方位はアパーチャ壁に垂直ではなく、且つその端面は上方に面し一連の鋸歯エッジを生ずる。これらのエッジが、従来技術では、アパーチャ壁の下方への導体のフローを阻止するものと思われる。
【0033】
キャリア層の更に別の特性としては、それによって、そこを通過する導体材料のフローを助長するぬれ層が形成されることである。特に、その層は、そこを通過する導体材料のフローを助長して、アパーチャのボイドフリー堆積を可能にするものと出願人は考える。
【0034】
これらの諸特性の各々は、本明細書に記述したようなイオン化堆積技法を使って3層、Ti/TiN/TiNx層を形成することにより実現できるものである。
【0035】
D.方法
本発明のコンタクト構造は、先ず、キャリア層をアパーチャの壁及び底部上に堆積し、その後、伝統的スパッタ技術を使って充填材料を堆積させ且つアパーチャ充填のためその材料をリフローしてアパーチャを充填することにより、ビア、スルーホース、又はトレンチのようなアパーチャ内部に作られる。アパーチャをライニングするのに用いられるキャリア層は、イオン化堆積法によって、好ましくは、スパッタ材料束をイオン化することにより生成される。キャリア層は、好ましくは、イオン化スパッタした耐熱性金属の少なくとも1層から構成され、それは、部分的にガスと反応して薄膜層(100オングストローム又はそれ未満)の状態で耐熱性金属と耐熱性金属化合物とから成る薄膜層を形成する。議論上の目的で、従ってそれによって制限されるものではないが、本発明は、ここでは、耐熱性金属としてチタンを且つ耐熱性金属化合物として窒化チタンを用いて説明する。1具体例では、その構造は、図1に示し且つ上述した方式の3層構造である。
【0036】
先に述べたように、キャリア層を形成するためイオン化スパッタしたチタンの堆積によって、この場合は、イオン化スパッタしたチタンの一部が窒素と反応することになるが、従来技術の障壁層からみて比較的滑らかな表面を有する表面がアパーチャ内に作られ、これによってその後スパッタされるアルミニウムで障壁層の表面を濡らし且つその表面上を流すことができる。事実、驚いたことには、アルミニウムは、側壁の表面上を滑り続けるように流れて、最初にスパッタしたアルミニム内部に捕捉されたボイドを何れも、従来技術のリフロー温度を著しく下回る温度で、徐々に充填する。TiNx層又はTiN層は、それだけでここで記述したリフロー及び充填の増進を来すと思うが、出願人は、最も好ましいキャリア層は、Tiのベース層と、その上のTiN層と、更に最終のTiNx層から構成されると考える。
【0037】
上述の諸方法は、図5に示すような種類の低圧処理システム500において特に都合よく実施されるものである。平滑な障壁層構造の付加操作は、図2に示す構造を有する)1つの個別低圧チャンバ510で実施され、一方、アルミニウムのスパッタリングは、(図2に示すチャンバと類似構造であるが、コイル214が無く且つ基板空間により接近してターゲットを有し、且つ基板と支持体部材間にガスを保持した基板支持体と接触して電気ヒータのような基板加熱用装置を有する)別の個別低圧チャンバ512で実施され、その後の処理は、更に別の個別低圧チャンバ513で実行される。本発明を実施するための支持体部材のヒータとガス流の構成の具体例の1つは、米国特許第5,228,501号に開示されており、ここに参考として十分編入されている。中央低圧チャンバ514は、個々の低圧チャンバを連結するもので、1つの個別低圧チャンバから他への製作品(ワークピース)の搬送には、ロボット(表示せず)が用いられる。
【0038】
本発明のキャリア層に関する1つの製造法には、スパッタ材料の束を供給することと、スパッタ材料をイオン化することと、スパッタ材料の束の一部分をガスと反応させてそれが基板上に堆積される以前に化合物を生成することと、基板支持部材上にバイアスをかけてイオンを基板に引き付けて同時にスパッタ材料を堆積することと、その後で充填材料を基板上に堆積し且つ充填材料をリフローしてアパーチャを充填すること、から成る諸ステップが含まれる。好ましくは、充填材料は2段階で堆積する、充填材料の種層をほぼ150℃を下回る温度で堆積し、そして残りの充填材料は、基板を高温の"リフロー"温度に加熱し、その後その温度に維持しながら、堆積する。キャリア層の堆積は、第一チャンバで実施し、そして充填材料の堆積は、追加チャンバで実施する。
【0039】
図1に示すようなキャリア層の3層構造を実現するためには、好ましくは、3つの下層全ては、単一チャンバ中で連続処理で堆積する。これは、チタン素地のキャリア層の場合、チタンターゲットをスパッタリングすることと、チタンの少なくとも一部分(10%から100%)をそれが基板上に堆積される以前にイオン化することと、イオン化したターゲット材料を基板の方へ引き付け且つそれをもって第一の下層を形成することと、その後、スパッタリングとイオン化が継続するように十分な量の反応ガス、好ましくは窒素、をチャンバ中へ導入して、それによってターゲットからスパッタされる材料の全てをガスと反応させて基板上にTiNの複合薄膜層を形成することと、次いで、ベースターゲット、好ましくは、Tiと、反応生成物、好ましくは、TiNとの両方から構成される薄膜層を基板上に形成するために、そのままターゲットをスパッタリングし且つそのスパッタターゲット材料をイオン化しながら、チャンバへの反応ガスのフローを停止すること、から成る諸ステップを実施することにより達成してよい。いったんTi/TiNの下層(以後TiNx)が十分な厚さまで形成されてしまえば、システムへの電力を切ってスパッタリング処理を停止する。
【0040】
適当な組成と厚みをもつキャリア層を基板上に堆積した後、基板を在来のスパッタリングチャンバへ移し、ここで、従来型のスパッタ堆積及びリフロー技術を使って充填材料をキャリア層上に堆積するが、低温での種層の形成それに続く高温でのリフローは、単一チャンバで実施してよい。
【0041】
E.発明を実施するための装置
本発明の方法をその中で実施してよい処理システムは、Applied Materials社(Santa Clara,California)の5500型集中処理システム(Integrated ProcessingSystem)である。この処理システムは、図には特に示さないが、図2に示すその処理要素は、該集中処理システム内部に含まれている1つの低圧処理チャンバの中で操作できるものである。そのシステムはまた、米国特許第5,186,718号と5,236,868号に提示・説明されており、その開示は参考としてここに引用する。図2を参照して、本発明の平滑障壁層を形成するための1つの低圧処理チャンバには、(スパッタリング用プラズマを閉じ込めてスパッタリング速度を増すための)スパッタ磁石210と、約24kW未満の電力値で動作するスパッタリングターゲットカソード212が採用されている。特殊な、Ti素地のキャリア層を形成するためのチタンのターゲットカソードは、直径14インチ(35.5cm)であり、このカソードに約3kWから約5kWまでの範囲にわたってDC電力を印加した。直径8インチ(20.3cm)のシリコンウェハから成る基板をターゲットカソード212から約5インチ(12.7cm)の距離を離して配置した。高密度の、誘導結合のrfプラズマは、rf電力213を約1MHzから13.6MHzまでの範囲にわたってターゲットと基板間のプラズマ領域を取り囲んでいる直径0.125インチ(0.32cm)の水冷式金属配管214の(好ましくは4巻きを越える)多重巻きコイルに印加することにより、ターゲットカソード212と基板218間の領域に発生させた。50〜800kHzのオーダの、比較的低周波数のバイアスを基板218又は支持部材に印加する。生ずるセルフバイアスによって、プラズマからのイオンが基板の方へ引き付けられる。
【0042】
キャリア層を形成するための好ましい装置は、プラズマを誘導結合し且つスパッタ材料をイオン化するのにコイルを使用するが、材料をイオン化するために他の装置も考えられる。例えば、米国特許第4,911,814号に提示・説明され、ここに参考として引用したような、ECR源、又は米国特許第4,990,229号に提示・説明され、ここに参考として引用したような、ヘリコン方式の連結装置もとりわけ想定されるものである。同様に、10から100%のイオン化比率を有する堆積粒子のイオン化した流れを供給するであろうところの他の装置も、発明実施に有用であると考えられる。
【実施例】
【0043】
IV.実施例
A.実施例
A イオン化させ、部分的に背景ガスと反応させた窒化チタン/チタン層について、直径8インチ(20.3cm)の基板の表面上で、分当たり約300オングストロームという堆積速度を得るために、2MHzのrf電力1.5KWをコイル214に印加し、一方、5KWのDC電力をチタンターゲットカソード212へ加え、且つ350kHzのACバイアス90Wを基板プラテン電極220に加え、その結果、70VのD.C.バイアスを生じた。スパッタ材料のスパッタリングとイオン化は、チャンバ圧力が約20mTから約30mTの範囲の処理チャンバで実施した。分当たり約300オングストロームの堆積速度を得るために、スパッタ材料のスパッタリングとイオン化は、約30mTで実施した。この圧力は、AppliedMaterials社の5500型集中処理システムにおいて約10sccmのアルゴン送込み速度及び70sccmの窒素送込み速度に対応した。処理チャンバにおける基板の温度は、約50℃であった。
【0044】
B.実施例
直径8インチ(20.3cm)の基板の表面上で、イオン化チタンの分当たり約1200オングストロームという堆積速度を得るために、2MHzのrf電力1.5KWをコイル214に印加し、一方、5KWのDC電力をチタンターゲットカソード212へ加え、且つ350kHzで120Wの低周波数バイアスを基板プラテン電極220に加え、その結果、45VのD.C.バイアスを生じた。スパッタリングとイオン化は、チャンバ圧力が約20mTから約30mTアルゴンの範囲の処理チャンバで実施した。分当たり約1200オングストロームの堆積速度を得るために、スパッタリングとイオン化は、約20mTで実施した。この圧力は、AppliedMaterials社の5500型集中処理システムにおいて約45sccmのアルゴン送込み速度に対応した。処理チャンバにおける基板の温度は、約50℃であった。
【0045】
V.キャリア層のステップカバレージ
図3は、印加電力と処理チャンバの圧力の関数として、イオン堆積式スパッタ化チタン及び窒化チタンに関して達成されたボトムカバレージ(bottomcoverage)の%を示すものである。パーセントのボトムカバレージは、スルーホールの底面におけるチタン又はその結果生じた窒化チタンのイオン化スパッタ堆積の厚さをスルーホールを囲んでいる基板の上表面上に堆積された材料の厚さのパーセントとして指すものである。従って、もしボトムカバレージが50%なら、スルーホール底面における層の厚さは、基板の上表面上の層厚の50%である。スパッタ粒子のイオン化堆積法を使って得られるボトムカバレージは、標準のスパッタリング法を使って達成されるものより10倍以上大きいことが立証されている。ボトムカバレージのこの著しい上昇は、スルーホールの壁の平滑度の驚くべき上昇を伴い、これによってアルミニウムは予想外の容易さで壁の上を流れることができ、最終のコンタクト構造にボイド領域が存在しないホールの急速充填を実現できるのである。
【0046】
図3に提示したデータは、スルーホールの底面の所で0.25μの直径を有し且つアスペクト比が約5:1(5.0)のスルーホールに関するものである。印加した電力の作用は、ターゲットカソードのDC電力に対する誘導コイルのRF電力の比として計算し、その比に支持電極のDCバイアスを掛けた。
【0047】
VI.0.25ミクロンのアパーチャ用処理ウインドウ
図4は、約5のアスペクト比を有する直径0.25μのスルーホールのアルミニウム充填を実現できるアルミニウムスパッタリングについての時間温度条件を示す。スルーホールは、シリコンウェハ基板上に堆積させた二酸化シリコン層約1.2μ厚をドライエッチングして作製した。次いで、本発明の3層Ti/TiN/Tixのイオン化スパッタ材料構造体を(下層のシリコン基板を含む)スルーホール上に加えた。
【0048】
図4に表したスルーホールは、スルーホールを含んでいる基板の表面上に加えられた厚さ約200オングストローム堆積のイオン化スパッタ材料の第一層でライニングした。典型的には、ホール底面でのチタン層の厚さは約140オングストロームで、これはスルーホールを囲んでいる基板の上表面上の200オングストローム厚の堆積の約70%であった(ボトムカバレージは約70%であった)。続いて、窒化チタンの第二層約800オングストロームをイオン化させ且つ窒素と反応させた後チタン層の表面上に堆積した。典型的には、窒化チタン層の厚さは、約540オングストロームで、これは基板の上表面上の800オングストローム厚の堆積の約65−70%であった。最後に、前述のイオン化堆積法と反応性処理法を使って、チタンの第三層を窒化チタン層の表面上に堆積した。典型的には、ホール底面での第三層の厚さは約60オングストロームで、これは基板の上表面上のチタン層の約60%であった。第三層の形成は、同一の処理チャンバで、第二層形成用窒素ガス流の終止直後に開始されたので、第三層は、重量で約10%の窒化チタンを包含しており、これは、主に、第三層の最初に形成された部分の方に集中していた。好ましくは、チタン層の全ては、同一チャンバで順次堆積させる。本発明の構造体の好ましい具体例に習ってライニングしたスルーホールは、次いで、従来法でスパッタしたアルミニウムで充填した。詳細には、アルミニウムは、約0.5%の銅と約99.5%のアルミニウムから成るターゲットからスパッタさせ、結果的に銅の存在がアルミニウム薄膜のエレクトロマイグレーションに対する抵抗性を高めた。最初に、約2,000オングストローム厚のコールド・スパッタアルミニウムを3層構造上に付加した。約150℃以下の基板温度で付加したこのコールド・スパッタアルミニウム層は、3層構造のチタン層にうまく付着する"種"層をもたらすものである。次いで、アルミニウムのコンタクト塊(バルク)を図4のグラフ上で特定した温度でスパッタリングを実施して堆積した。アルミニウムは、熟練した当業者に周知の在来法を使って、同一のターゲットから且つ基板支持体をそのターゲットからコールド堆積法の場合と同じ距離に保持しながらスパッタさせた。D.C.電力は、図4で特定した時間で8000オングストローム層を与えるよう調整した。スパッタリングは、約0.5mTから約2mTまでのアルゴン圧力範囲にわたって処理チャンバで実施した。これは、AppliedMaterials社の5500型集中処理システムにおいて約35sccmのアルゴン送込み速度に対応した。
【0049】
図4のグラフ上のチェック領域410は、従来技術の障壁形成法を使ってスパッタアルミニウムを金属化処理中に付加し得る条件範囲を表すものである。これらの条件は、いくつかの用途には有用であるが、0.25μの幅と1以上のアスペクト比を有するスルーホールの充填を可能にするものではない。図4のグラフ上の(チェック領域410の下層にある領域を含む)斜線領域412は、0.25μの幅と5.0のアスペクト比を有するスルーホールの充填を達成するために、アルミニウムを本発明の平滑な障壁層上にスパッタし得る条件範囲を表すものである。有効な低温処理ウインドウによって、アルミニウムのスパッタリング処理中の電力消費を軽減させ、且つリフローでコンタクトを充填するのに使ってよい有効な材料の拡大ができるよう、基板加熱に比較的長寿命の低温加熱素子を使って温度を下げることは可能である。
【0050】
断面走査電子顕微鏡法を使って、スルーホールが充填され且つボイドフリーが達成されたことを確認。
【0051】
VII.諸代替法
本発明の最も好ましい具体例では、導体層は、低温において導体材料の"種"層をスパッタ堆積させ、且つその後高温においてアパーチャの残り部分をスパッタ堆積導体で充填することにより与えられたが、アパーチャの充填は、基板をその直径より遠くターゲットから離して行う長行程スパッタリング法と、それに続く、通常のスパッタ堆積法、即ち、ターゲット対基板の間隔2乃至5cmにおけるスパッタターゲット材料のイオン化堆積又はその他の方法によるような、他の手段で実現してもよい。しかし、ここに記述したようなイオン化スパッタ材料の堆積で施されるライニングは、最大の利点、即ち、導体が在来のスパッタリングで与えられる場合のホール充填の可能性の大幅な改善をもたらすことを発明者は見い出した。特に、イオン化スパッタリングによって実施されたライニングにより、従来のスパッタリング法でアパーチャの充填が可能となり、それは、典型的に、イオン化スパッタリング法又は長行程スパッタリング法のそれの少なくとも2倍の堆積速度を有するものである。それ故、発明は、図5のラインに沿ってクラスタ・ツールを設けることにより最大利点まで利用でき、この場合、少なくとも1つの堆積チャンバはキャリア層を生成し、他のチャンバ群が導体材料を与える。コンタクトとキャリア層、コンタクトとキャリア層を形成する装置、及びコンタクトとキャリア層を形成する方法は全て、物理的蒸気堆積法によるキャリア層の生成に関連して記述されているが、本明細書に記述した諸方法を使って作ったキャリア層の1つ以上の特性を有するキャリア層は、何れも、伝統的スパッタリング法による高アスペクト比のホールの充填を可能にする上で有用であることを、出願人は提起するものである。従って、本発明のキャリア層並びにコンタクトは、そのキャリア層がここに記述した1つ以上の性質又は特性を有する場合、キャリア層又はキャリア層上のスパッタ堆積コンタクトの何れをも包含するものと、広義に解釈されるべきである。
【0052】
上述の好ましい具体例は、本発明の範囲を限定しようとするものではなく、本開示の観点において熟練した当業者は、前出の発明の請求範囲の主題の内容に対応すべく前述の諸具体例を拡大してよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の方法と装置を使って、高アスペクト比のビア113の内部に形成した伝導性コンタクト118の略図である。
【図2】発明を実施する上で有用なスパッタリング装置200の略図である。
【図3】図1に示したような方式のビアのボトムカバレージのパーセントをグラフ的に図解した図である。ここで用いるボトムカバレージのパーセントは、ビアの上方最上面上に堆積された層の厚さの%としてビアの底表面上に堆積された層の厚さを指す。ボトムカバレージのパーセントは、スパッタリングチャンバの圧力の関数として、及びDC電力(図2で213)xDCバイアス(図2で222)に対するrf電力(図2で216)の比の関数として示される。
【図4】スルーホールが、本発明の3層の最も好ましい具体例のキャリア層構造(Ti/TiN/TiNx)で予めライニングされた場合における、約5のアスペクト比を有する直径0.25μのスルーホールのアルミニウム充填を実現できるアルミニウムスパッタリングについての時間温度条件の範囲をグラフ的に示した図である。
【図5】システム内に複数の個別低圧処理チャンバを有するマルチチャンバ式低圧処理システムの略図を示した図である。集積回路デバイスがその上に形成されることになる基板から成る製作物(ワークピース)は、低圧環境に収容したまま1つの個別チャンバからロボットを使用して(図示しない)他へ移すことができる。
【符号の説明】
【0054】
110…シリコンベース、111…二酸化シリコン層、112…第一下層、113…アパーチャ、114…第二下層、116…第三下層、200…スパッタリング装置、210…スパッタ磁石、212…ターゲットカソード、213…rf電力、214…コイル水冷式金属配管、218…基板、220…基板プラテン電極、500…低圧処理システム、510、512、513…個別低圧チャンバ、514…中央低圧チャンバ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上の薄膜層のアパーチャを充填するための装置において、
a) 前記アパーチャ表面の上に共形の薄膜層を形成するイオン化スパッタ堆積材料を供給するスパッタチャンバであって、スパッタ堆積材料ソースと、ガス供給部と、基板位置決め部材と、前記スパッタ堆積材料に衝突させるために使用する活性種を生産する第1のプラズマ発生ソースと、第二の誘導結合RFプラズマ発生ソースと、を備え、該第二の誘導結合RFプラズマ発生ソースは、前記スパッタ堆積材料ソースと前記基板の間に位置する該第二のプラズマ発生ソースによって発生されたプラズマを通過する、スパッタ堆積材料をイオン化するために使用されるスパッタチャンバと、
b) 前記スパッタチャンバ内で前記アパーチャ上に形成された、前記共形の薄膜層の上に堆積するための材料ソースを提供する堆積チャンバと、
c) 前記スパッタチャンバと前記堆積チャンバを相互接続している移送チャンバと、を備える装置。
【請求項2】
前記スパッタチャンバが、前記基板に前記イオン化スパッタ堆積材料を堆積する前に、少なくとも前記イオン化スパッタ堆積材料の一部と反応させるためにガスを前記スパッタチャンバに選択的に導入する反応ガスインレットを更に含む、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記スパッタ堆積チャンバが、
少なくとも1つのスパッタターゲットと、ガス入口と、前記スパッタ堆積材料を提供するために前記ターゲットに衝突する、前記第1のプラズマに前記ガスインレットから供給されるガスを変換するためのエネルギを供給するためのパワー源と、
を含む請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記スパッタ堆積チャンバが、
前記反応ガスインレットの少なくとも開口及び閉鎖をするためのバルブと、前記ターゲットのスパッタリング中に前記バルブを選択的に開閉するために連結されるシステムコントローラと、を更に含む請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記バルブは、前記ターゲットがスパッタされると、閉位置、次に開位置、そして次にまた閉位置で支持することができるバルブである請求項4記載の装置。
【請求項6】
前記スパッタ堆積チャンバでの前記スパッタリングターゲットは、高融点金属を含む請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記スパッタ堆積チャンバでの前記スパッタリングターゲットは、チタンを含む請求項6記載の装置。
【請求項8】
窒素を提供するためのガス供給部を含む請求項7記載の装置。
【請求項9】
前記第二のプラズマ発生ソースは、前記スパッタ堆積チャンバでプラズマ形成領域に延びた少なくとも一巻の導体を含む請求項8記載の装置。
【請求項10】
基板バイアス電圧を提供するために前記スパッタ堆積チャンバで前記陽極に適用される電源を含む請求項1記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−261059(P2008−261059A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−183118(P2008−183118)
【出願日】平成20年7月14日(2008.7.14)
【分割の表示】特願2001−113150(P2001−113150)の分割
【原出願日】平成8年8月7日(1996.8.7)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】