説明

半導体装置およびその作製方法

【課題】スパッタ法でトランジスタ、ダイオード等の半導体用途に好適な材料を提供する。具体的には結晶性の高い酸化物半導体膜を形成する作製プロセスを提供する。
【解決手段】意図的に窒素を酸化物半導体に対して添加することにより、六方晶であり、ウルツ鉱型結晶構造を有する酸化物半導体膜を形成する。酸化物半導体膜において、窒素を含む領域の結晶性は、窒素をあまり含まない領域、或いは窒素を意図的に添加していない領域に比べて高くなる。この結晶性の高いウルツ鉱型結晶構造を有する酸化物半導体膜をトランジスタのチャネル形成領域として用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
トランジスタなどの半導体素子を少なくとも一つの素子として含む回路を有する半導体装置及びその作製方法に関する。例えば、電源回路に搭載されるパワーデバイスや、メモリ、サイリスタ、コンバータ、イメージセンサなどを含む半導体集積回路、液晶表示パネルに代表される電気光学装置や発光素子を有する発光表示装置を部品として搭載した電子機器に関する。
【0002】
なお、本明細書中において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指し、電気光学装置、半導体回路及び電子機器は全て半導体装置である。
【背景技術】
【0003】
近年、絶縁表面を有する基板上に形成された半導体薄膜を用いて薄膜トランジスタ(TFT)を構成する技術が注目されている。薄膜トランジスタはICや電気光学装置のような電子デバイスに広く応用され、特に画像表示装置のスイッチング素子として開発が急がれている。金属酸化物は多様に存在しさまざまな用途に用いられている。
【0004】
金属酸化物の中には半導体特性を示すものがある。半導体特性を示す金属酸化物としては、例えば、酸化タングステン、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛などがあり、このような半導体特性を示す金属酸化物をチャネル形成領域とする薄膜トランジスタが既に知られている(特許文献1及び特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−123861号公報
【特許文献2】特開2007−96055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一態様は、スパッタ法でトランジスタ、ダイオード等の半導体用途に好適な材料を提供することを課題の一とする。具体的には結晶性の高い酸化物半導体膜を形成する作製プロセスを提供することを課題の一とする。
【0007】
また、マザーガラスのような大きな基板を用いて、信頼性の高い半導体装置の大量生産を行うことのできる半導体装置の作製プロセスを提供することを課題の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
意図的に窒素を酸化物半導体に対して添加することにより、六方晶であり、ウルツ鉱型結晶構造を有する酸化物半導体膜を形成する。酸化物半導体膜において、窒素を含む領域の結晶性は、窒素をあまり含まない領域、或いは窒素を意図的に添加していない領域に比べて高くなる。この結晶性の高いウルツ鉱型結晶構造を有する酸化物半導体膜をトランジスタのチャネル形成領域として用いる。
【0009】
本発明の一形態は、ゲート電極層と、該ゲート電極層と接する第1の絶縁層と、該第1の絶縁層に接する酸化物半導体層と、該酸化物半導体層に接する第2の絶縁層とを有し、酸化物半導体層は、ウルツ鉱型結晶構造を有し、且つ、第1の絶縁層に近いほど高くなる窒素濃度の濃度勾配を有する半導体装置である。なお、酸化物半導体層の窒素濃度は、1×1017/cm以上20原子%以下、好ましくは1×1020/cm以上7原子%未満である。
【0010】
ウルツ鉱型結晶構造を有する酸化物半導体膜に接する絶縁膜としては、窒素を含む絶縁膜、例えば、酸化窒化珪素膜(SiOxNyとも呼ぶ、ただし、x>y>0)や、窒化酸化珪素膜(SiNxOyとも呼ぶ、ただし、x>y>0)を用いることが好ましい。なお、ウルツ鉱型結晶構造を有する酸化物半導体膜に接する絶縁膜として、酸化珪素膜や、酸化珪素膜と窒化珪素膜の積層も用いることができる。また、ウルツ鉱型結晶構造を有する酸化物半導体膜に接する絶縁膜として、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化イットリウム等などを用いてもよい。ただし、これらの絶縁膜を用い、後で窒素プラズマ処理を行う場合、ゲート絶縁層として十分機能するように膜厚などを調節することが好ましい。
【0011】
さらに絶縁膜と酸化物半導体膜の界面近傍の窒素濃度を高めるため、窒素プラズマ処理を行い、少なくとも絶縁膜の表面近傍に1×1017/cm以上の窒素を意図的に含ませ、その上に窒素雰囲気下でウルツ鉱型結晶構造を有する酸化物半導体膜の形成を行ってもよい。
【0012】
また、ウルツ鉱型結晶構造を有する酸化物半導体膜は非単結晶であり、酸化物半導体層全体が非晶質状態(アモルファス状態)ではなく、酸化物半導体層内の結晶は、基板平面に概略平行で、六角形の格子状の結合を有するa−b面を有し、基板平面に概略垂直なc軸を有している。
【0013】
また、段階的に成膜条件を変えて窒素濃度の異なる酸化物半導体膜の積層を同じ真空チャンバーで形成してもよく、その本発明の一形態は、ゲート電極層と、該ゲート電極層と接する第1の絶縁層と、該第1の絶縁層に接する第1の酸化物半導体層と、該第1の酸化物半導体層に接する第2の酸化物半導体層と、該第2の酸化物半導体層に接する第2の絶縁層とを有し、第1の酸化物半導体層及び第2の酸化物半導体層は、六方晶構造を有し、且つ、第1の酸化物半導体層の窒素濃度は、第2の酸化物半導体層よりも高いことを特徴とする半導体装置である。
【0014】
上記構成において、第1の酸化物半導体層の窒素濃度は、0.1原子%以上7原子%未満であることを特徴の一つとする。また、第2の酸化物半導体層の窒素濃度は、1×1017/cm以上5×1019/cm未満であることを特徴の一つとする。窒素を意図的に含ませた酸化物半導体層は、窒素を意図的に含ませていない酸化物半導体層に比べてエネルギーギャップが小さく、キャリアを流しやすい。
【0015】
ゲート電極層を有するトランジスタの構造は特に限定されず、例えば、トップゲート型のトランジスタであれば、下地絶縁層が第2の絶縁層に相当する。トップゲート型のトランジスタの場合、第2の絶縁層上に酸化物半導体層を有し、該酸化物半導体層上にゲート絶縁層である第1の絶縁層を有し、該第1の絶縁層上にゲート電極層を有する。
【0016】
また、トップゲート型のトランジスタの作製方法も本発明の一形態であり、その構成は、絶縁表面を有する基板上に窒素を含む絶縁膜を形成し、窒素を含む絶縁膜が形成された基板を真空チャンバー内に導入し、金属酸化物ターゲットが設けられた真空チャンバー内に窒素ガスを導入して、基板温度が150℃以上450℃以下の第1の成膜条件により窒素を含む第1の酸化物半導体膜を成膜し、真空チャンバー内に窒素ガスを導入して、基板温度が150℃以上450℃以下の第2の成膜条件により第1の酸化物半導体膜上に接して窒素を含む第2の酸化物半導体膜を成膜する半導体装置の作製方法である。この作製方法によって、結晶性の高い酸化物半導体膜を形成することができる。
【0017】
また、ボトムゲート型のトランジスタであれば、保護絶縁層が第2の絶縁層に相当する。ボトムゲート型のトランジスタの場合、ゲート電極層上にゲート絶縁層である第1の絶縁層を有し、該第1の絶縁層上に酸化物半導体層を有し、該酸化物半導体層上に保護絶縁層である第2の絶縁層を有する。
【0018】
また、ボトムゲート型のトランジスタの作製方法も本発明の一形態であり、その構成は、絶縁表面を有する基板上にゲート電極層を形成し、ゲート電極層上に窒素を含む絶縁膜を形成し、ゲート電極層及び窒素を含む絶縁膜が形成された基板を真空チャンバー内に導入し、金属酸化物ターゲットが設けられた真空チャンバー内に窒素ガスを導入して、基板温度が150℃以上450℃以下の第1の成膜条件により窒素を含む第1の酸化物半導体膜を成膜し、真空チャンバー内に窒素ガスを導入して、基板温度が150℃以上450℃以下の第2の成膜条件により第1の酸化物半導体膜上に接して窒素を含む第2の酸化物半導体膜を成膜する半導体装置の作製方法である。この作製方法によって、結晶性の高い酸化物半導体膜を形成することができる。
【0019】
上記作製方法の各構成において、さらに、第2の成膜条件での成膜後に、水素及び水分をほとんど含まない雰囲気下(窒素雰囲気、酸素雰囲気、乾燥空気雰囲気(例えば、水分については露点−40℃以下、好ましくは露点−60℃以下)など)で150℃以上650℃以下の加熱処理を行ってもよい。この加熱処理を行うことで酸化物半導体層の結晶性を高めることができる。
【0020】
また、上記作製方法の各構成において、真空チャンバーに導入するスパッタガスの全流量比に対する窒素ガス流量の割合は82.5%以上、好ましくは90%以上100%以下とする。窒素のガス流量を調節することで、酸化物半導体層の窒素濃度を制御することができる。例えば、窒素ガス流量を100%に近づけることで酸化物半導体層の純度及び酸化物半導体層の窒素濃度を高めることができる。
【0021】
また、上記作製方法の各構成において、第1の成膜条件における窒素ガスは加熱された状態で真空チャンバーに導入してもよい。
【0022】
また、上記作製方法の各構成において、第1の成膜条件と第2の成膜条件を異ならせる場合には、第2の成膜条件におけるスパッタガスは、窒素ガスの他に、酸素ガスまたは希ガスを導入する。
【0023】
また、上記作製方法の各構成において、窒素を含む絶縁膜を形成した後、窒素を含む絶縁膜の表面に窒素プラズマ処理を行って窒素を添加してもよい。
【0024】
また、上記作製方法の各構成において、窒素を含む絶縁膜は、窒素プラズマ処理を行って絶縁膜の表面に窒素を添加した膜を用いてもよい。例えば、窒素プラズマ処理を行って酸化珪素膜の表面に窒素を添加した膜を用いることができる。
【0025】
また、マザーガラスのような大きな基板上に結晶性の高い酸化物半導体層を形成することができる。上記方法を用いた酸化物半導体層の成膜後に加熱処理を行って結晶性を向上させることで、六方晶であり、ウルツ鉱型結晶構造を有する酸化物半導体膜を形成する。
【0026】
また、第1の成膜条件及び第2の成膜条件にもよるが、成膜直後において、六方晶であり、ウルツ鉱型結晶構造を有する酸化物半導体膜を形成することもできる。この場合、酸化物半導体膜の成膜後の加熱処理を省略することができるため、量産に適したプロセスと言える。
【発明の効果】
【0027】
トランジスタの酸化物半導体層に意図的に窒素を含ませて、ウルツ鉱型結晶構造とすることにより、結晶性を高めることができる。酸化物半導体層の結晶性を高めることにより、より電気的特性(電界効果移動度やしきい値など)の向上したトランジスタを得ることができる。
【0028】
また、マザーガラスのような大きな基板を用いて、信頼性の高い半導体装置の大量生産を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一態様を示す断面図である。
【図2】本発明の一態様を示す濃度プロファイルのモデル図の一例である。
【図3】本発明の一態様を示す濃度プロファイルのモデル図の一例である。
【図4】実施の形態に係わる半導体膜を説明する断面図である。
【図5】実施の形態に係わるウルツ鉱型の結晶構造を説明する模式図である。
【図6】実施の形態に係わるウルツ鉱型の結晶構造を有する積層を説明する模式図である。
【図7】実施の形態に係わる結晶構造を説明するHAADF−STEMの計算によって得られた像及び実観察像である。
【図8】本発明の一態様を示すブロック図及び等価回路図である。
【図9】本発明の一態様を示す断面図である。
【図10】電子機器の一態様を示す図である。
【図11】酸化物半導体層のバンドギャップのガス流量比依存性を表すグラフである。
【図12】酸化物半導体層のバンドギャップの窒素濃度依存性を表すグラフである。
【図13】酸化物半導体層のシート抵抗の窒素濃度依存性を表すグラフである。
【図14】酸化物半導体層のXRD分析結果を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0031】
(実施の形態1)
本実施の形態では、図1(A)に示すボトムゲート型トランジスタの作製方法の一例を以下に示す。
【0032】
まず、基板100上にゲート電極層106を形成する。
【0033】
基板100としては、アルミノシリケートガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスなどのガラス材料を用いる。大量生産する上では、基板100は第8世代(2160mm×2460mm)、第9世代(2400mm×2800mm、または2450mm×3050mm)、第10世代(2950mm×3400mm)等のマザーガラスを用いることが好ましい。マザーガラスは、処理温度が高く、処理時間が長いと大幅に収縮するため、マザーガラスを使用して大量生産を行う場合、作製工程の加熱処理は、600℃以下、好ましくは450℃以下とすることが望ましい。
【0034】
ゲート電極層106は、チタン、モリブデン、クロム、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅などの金属材料またはその合金材料を用いて形成する。ゲート電極層106は、スパッタ法や真空蒸着法で基板100上に導電膜を形成し、当該導電膜上にフォトリソグラフィ技術またはインクジェット法によりマスクを形成し、当該マスクを用いて導電膜をエッチングすることで、形成することができる。
【0035】
また、ゲート電極層106とゲート絶縁層との間に、ゲート絶縁層に接する材料層として、窒素を含むIn−Ga−Zn−O膜や、窒素を含むIn−Sn−O膜や、窒素を含むIn−Ga−O膜や、窒素を含むIn−Zn−O膜や、窒素を含むSn−O膜や、窒素を含むIn−O膜や、金属窒化膜(InN、ZnNなど)を用いることが好ましい。これらの膜は5電子ボルト以上、好ましくは5.5電子ボルト以上の仕事関数を有し、トランジスタの電気特性のしきい値電圧をプラスにすることができ、所謂ノーマリーオフのスイッチング素子を実現できる。例えば、窒素を含むIn−Ga−Zn−O膜を用いる場合、窒素濃度は、1×1020/cm以上20原子%以下、少なくとも後に形成する酸化物半導体層102より高い窒素濃度のIn−Ga−Zn−O膜、例えば7原子%以上のIn−Ga−Zn−O膜を用いる。
【0036】
次いで、ゲート電極層106を覆うゲート絶縁層105を形成する。ゲート絶縁層105は、窒素を含む絶縁膜、例えば、酸化窒化珪素膜(SiOxNyとも呼ぶ、ただし、x>y>0)や、窒化酸化珪素膜(SiNxOyとも呼ぶ、ただし、x>y>0)を用いることが好ましい。なお、ゲート絶縁層105として、酸化珪素膜や、酸化珪素膜と窒化珪素膜の積層も用いることができる。
【0037】
次いで、ゲート絶縁層105上に接して酸化物半導体層102を形成する。酸化物半導体層102は、ACスパッタ装置、DCスパッタ装置、またはRFスパッタ装置のいずれか一のスパッタ装置を用いて成膜を行う。酸化物半導体層102に用いる材料としては、四元系金属酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn−O膜や、三元系金属酸化物であるIn−Ga−Zn−O膜、In−Sn−Zn−O膜、In−Al−Zn−O膜、Sn−Ga−Zn−O膜、Al−Ga−Zn−O膜、Sn−Al−Zn−O膜や、二元系金属酸化物であるIn−Zn−O膜、Sn−Zn−O膜、Al−Zn−O膜、In−Ga−O膜などを用いることができる。また、上記酸化物半導体にSiOを含んでもよい。ここで、例えば、In−Ga−Zn−O膜とは、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)を有する酸化物膜である。
【0038】
また、酸化物半導体層の形成時に、スパッタリング装置の処理室の圧力を0.4Pa以下とすることで、被成膜面及び被成膜物への、アルカリ金属、水素等の不純物の混入を低減することができる。なお、被成膜物に含まれる水素は、水素原子の他、水素分子、水、水酸基、または水素化物として含まれる場合もある。
【0039】
また、酸化物半導体層の形成時に、基板とターゲットの間の距離(T−S間距離)を40mm以上300mm以下(好ましくは60mm以上)とする。
【0040】
また、スパッタリング法による酸化物半導体層の形成時において、被成膜面の温度は150℃以上450℃以下、好ましくは250℃以上320℃以下とする。250℃は、水、水素などの不純物の被成膜物中への混入を防ぎ、チャンバー内の気相へ不純物を放出する温度である。また、スパッタリング法による成膜時における被成膜面の温度の上限は、基板の熱処理上限温度、或いは成膜物の上限温度(その温度を超えると大きく成膜中の成分が変化する温度)とする。
【0041】
また、酸化物半導体層の形成時に、スパッタリング装置の処理室のリークレートを1×10−10Pa・m/秒以下とすることで、スパッタリング法による成膜途中における酸化物半導体層中への、アルカリ金属、水素化物等の不純物の混入を低減することができる。また、排気系として吸着型の真空ポンプ(例えばクライオポンプなど)を用いることで、排気系からアルカリ金属、水素原子、水素分子、水、水酸基、または水素化物等の不純物の逆流を低減することができる。
【0042】
また、酸化物半導体層の形成時に、スパッタリング装置の処理室に導入するガス、例えば窒素ガスや、酸素ガスや、アルゴンガスなどを加熱した状態で導入して、成膜を行ってもよい。
【0043】
また、酸化物半導体層の形成前に、スパッタ装置内壁や、ターゲット表面やターゲット材料中に残存している水分または水素を除去するためにプレヒート処理を行っても良い。プレヒート処理としては成膜チャンバー内を減圧下で200℃〜600℃に加熱する方法や、加熱しながら窒素や不活性ガスの導入と排気を繰り返す方法等がある。この場合のターゲット冷却液は、水ではなく油脂等を用いるとよい。加熱せずに窒素の導入と排気を繰り返しても一定の効果が得られるが、加熱しながら行うとなお良い。
【0044】
本実施の形態では、酸化物半導体層102を形成する際、成膜条件を複数回変更することによって、窒素の高濃度領域102a、窒素の低濃度領域102bを同一チャンバー内で連続的に形成する。同一チャンバー内で連続的に形成すると、大気成分や大気中に浮遊する汚染不純物元素に汚染されることなく各積層界面を形成することができる。
【0045】
例えば、窒素の高濃度領域102aは、窒素を含むIn−Ga−Zn−O膜をスパッタ法により窒素ガスのみを用いて薄い膜厚(膜厚10nm以下)で成膜する。窒素を含むIn−Ga−Zn−O膜に含まれる窒素濃度は約11.7原子%である。なお、成膜時に基板を加熱(基板温度150℃以上450℃以下)する。
【0046】
次いで、同じターゲットを用い、窒素ガスの供給量を減少させた後、酸素ガスまたは希ガスを導入して、引き続き、基板を加熱(基板温度150℃以上450℃以下)しながら成膜を行うことで窒素の低濃度領域102bを形成する。窒素の低濃度領域102bの膜厚は、窒素の高濃度領域102aよりも厚い膜厚とする。酸化物半導体層102において、ゲート絶縁層105上に接する領域は、窒素の高濃度領域102aである。窒素の高濃度領域102a上には窒素の低濃度領域102bが形成される。窒素の高濃度領域102a及び窒素の低濃度領域102bのどちらも六方晶の結晶構造を有する。本実施の形態では、窒素の高濃度領域102a及び窒素の低濃度領域102bは、窒素を含むIn−Ga−Zn−O膜を用いており、ウルツ鉱型結晶構造を有する。
【0047】
ゲート絶縁層105、及び酸化物半導体層102は大気に曝さずに連続的に形成することが好ましい。例えばマルチチャンバー方式の成膜装置を用いる。連続して成膜すると、大気成分や大気中に浮遊する汚染不純物元素に汚染されることなく各積層界面を形成することができる。特に、酸化物半導体層102の窒素濃度及びゲート絶縁層105の窒素濃度が重要であるため、酸化物半導体層102やゲート絶縁層105が成膜室内の残留窒素や、窒素雰囲気などと触れることによって窒素濃度が変化しないように、マルチチャンバー方式の成膜装置を用いることが好ましい。また、ゲート絶縁層105の形成後にプラズマCVD装置を用いて窒素プラズマ処理を表面に行うことで表面近傍に窒素を添加してもよい。また、酸化物半導体層102形成前に、窒素プラズマ処理を表面に行うことでゲート絶縁層105の表面近傍に窒素を添加してもよく、スパッタ装置を用いて窒素プラズマ処理を行ってもよい。
【0048】
成膜条件にもよるが、成膜直後の結晶性が不十分である場合には、水素及び水分をほとんど含まない雰囲気下(窒素雰囲気、酸素雰囲気、乾燥空気雰囲気(例えば、水分については露点−40℃以下、好ましくは露点−60℃以下)など)で加熱処理(温度範囲150℃以上650℃以下、好ましくは200℃以上500℃以下)を行う。
【0049】
次いで酸化物半導体層102のパターニングを行い、ソース電極層103及びドレイン電極層104の形成を行う。ソース電極層103またはドレイン電極層104となる金属導電膜の材料としては、Al、Cu、Cr、Ta、Ti、Mo、Wなどの金属材料、または該金属材料を成分とする合金材料で形成する。また、Al、Cuなどの金属層の下側もしくは上側の一方または双方にCr、Ta、Ti、Mo、Wなどの高融点金属層を積層させた構成としても良い。
【0050】
例えば、金属導電膜としては、チタン層上にアルミニウム層と、該アルミニウム層上にチタン層が積層された三層の積層構造、またはモリブデン層上にアルミニウム層と、該アルミニウム層上にモリブデン層を積層した三層の積層構造とすることが好ましい。また、金属導電膜としてアルミニウム層とタングステン層を積層した二層の積層構造、アルミニウム層とモリブデン層を積層した二層の積層構造とすることもできる。勿論、金属導電膜として単層、または4層以上の積層構造としてもよい。なお、金属導電膜の材料の一つとして銅を用いる場合には、酸化物半導体層と接して銅マグネシウムアルミニウム合金層を設け、その銅マグネシウムアルミニウム合金層に接して銅層を設けた積層を用いればよい。
【0051】
次いで、酸化物半導体層102を保護するため、酸化物半導体層102の露出部を覆うように、保護絶縁層107を形成する。保護絶縁層107としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化アルミニウムガリウム、及び酸化ガリウムのいずれか一以上の積層構造を用いることができる。
【0052】
なお、保護絶縁層107の膜厚は、50nm以上、好ましくは200nm以上500nm以下とする。保護絶縁層を厚くすることで、保護絶縁層107からの酸素放出量を増加させることができると共に、その増加によって保護絶縁層107及び酸化物半導体層102との界面における欠陥を低減することが可能である。なお、加熱により酸素の一部が放出する保護絶縁層107は、スパッタリング法を用いることで形成しやすいため好ましい。加熱により酸素の一部が放出する保護絶縁層107をスパッタリング法により形成する場合は、成膜ガス中の酸素量が高いことが好ましく、酸素、または酸素及び希ガスの混合ガス等を用いることができる。代表的には、成膜ガス中の酸素濃度を6%以上100%以下にすることが好ましい。
【0053】
保護絶縁層107の形成後、必要であれば、水素及び水分をほとんど含まない雰囲気下(窒素雰囲気、酸素雰囲気、乾燥空気雰囲気(例えば、水分については露点−40℃以下、好ましくは露点−60℃以下)など)で加熱処理(温度範囲150℃以上650℃以下、好ましくは200℃以上500℃以下)を行ってもよい。
【0054】
以上の工程で図1(A)に示すトランジスタ111が形成される。トランジスタ111は、結晶性酸化物半導体膜表面に概略垂直なc軸を有している六方晶構造(ここではウルツ鉱型結晶構造)の結晶を有する結晶性酸化物半導体膜をチャネル領域に有するトランジスタである。
【0055】
なお、酸化物半導体層102を形成する際において、変更する成膜条件によって窒素濃度のプロファイルが異なる。
【0056】
例えば、連続的にガス流量を変化させて酸化物半導体層102の成膜条件を変えることによって、図2(A)に示す窒素濃度のプロファイルとすることができる。図2(A)は図1(A)において鎖線で切断した場合における膜厚方向における窒素濃度のプロファイルを示す模式図である。図2(A)において、窒素濃度はゲート絶縁層側の領域が最も高く、ゲート絶縁層から遠ざかるにつれて窒素濃度が連続的に低くなる濃度勾配を有している。
【0057】
また、同じターゲットを用い、段階的にガス流量を変化させて酸化物半導体層102の成膜条件を変えることによって、図2(B)に示す窒素濃度のプロファイルとすることができる。図2(B)において第1の絶縁層がゲート絶縁層であり、第2の絶縁層が保護絶縁層である。段階的にガス流量を変化させた場合は、窒素濃度プロファイルは、階段状となりやすい。図2(B)において、窒素濃度はゲート絶縁層側の領域が最も高く、ゲート絶縁層から遠ざかるにつれて窒素濃度が階段状に低くなる濃度勾配を有している。段階的にガス流量を変化させて酸化物半導体層102の成膜条件を変える場合は、成膜条件毎にそれぞれの膜質が異なるため、積層と見なすこともできる。ただし、窒素の高濃度領域102aの結晶性は高く、窒素の低濃度領域102bは窒素の高濃度領域102aと比べて結晶性は低いが同じウルツ鉱型結晶構造を有するため、窒素の高濃度領域102aと窒素の低濃度領域102bとの境界は、TEM写真などで確認することが困難である。
【0058】
さらに窒素プラズマ処理をゲート絶縁層表面に行うことで表面近傍に窒素を添加してもよく、その場合においては図3(A)に示す窒素濃度のプロファイルとすることができる。また、窒素プラズマ処理を行う場合には、窒素プラズマ処理を行う前に減圧下で加熱処理を行うことが好ましい。なお、窒素プラズマ処理は、スパッタ成膜室内で行ってもよいし、ゲート絶縁層を形成したプラズマCVD装置内でゲート絶縁層の形成後に窒素プラズマ処理を行ってもよい。
【0059】
また、窒素の最も高濃度である領域がゲート絶縁層との界面となることに限定されず、図3(B)に示す窒素濃度のプロファイルとすることもできる。図3(B)に示すように、ゲート絶縁層との界面から少し離れた領域が最高の窒素濃度を示すように成膜条件を調節してもよい。
【0060】
具体的には、窒素の高濃度領域102aの窒素濃度は、5×1019/cm以上20原子%以下、好ましくは1×1020/cm以上7原子%未満とする。
【0061】
また、窒素の低濃度領域102bの窒素濃度は、5×1019/cm未満、好ましくは1×1017/cm以上5×1019/cm未満とする。
【0062】
段階的、或いは連続的に窒素のガス流量を変化させて、図2(A)、図2(B)、図3(A)、或いは図3(B)に示す窒素濃度プロファイルを有する酸化物半導体層を用いたトランジスタ111は、ゲート絶縁層の界面近傍に窒素の高濃度領域102aを有し、その窒素の高濃度領域102aの結晶性は、他の領域に比べて高く、c軸配向を有し、ゲート絶縁層との界面には未結合手に起因する界面準位が少なくなり、良好な界面状態を実現できる。
【0063】
また、窒素の高濃度領域102aに含まれる結晶は、六方晶のウルツ鉱型結晶構造であり、窒素の低濃度領域102bに含まれる結晶も同じである。理想的には、窒素の低濃度領域102bの層全体が六方晶のウルツ鉱型結晶構造となるようにする。
【0064】
また、本実施の形態は、図1(A)に示すボトムゲート型のトランジスタ構造に限定されず、図1(B)に示すトランジスタ112や、図1(C)に示すトランジスタ113に適用することができる。
【0065】
図1(B)に示すトランジスタ112は、逆コプラナ型(ボトムコンタクト型)とも呼ばれる構造の一つである。トランジスタ111とはソース電極層103及びドレイン電極層104の形成と、酸化物半導体層102の形成の順序が異なる例であり、ソース電極層103及びドレイン電極層104上に酸化物半導体層102を有する構造である。
【0066】
また、図1(C)に示すトランジスタ113は、チャネルストップ型とも呼ばれる構造の一つである。トランジスタ111とはソース電極層103及びドレイン電極層104の形成と、保護絶縁層107の形成の順序が異なる例である。トランジスタ113の保護絶縁層107が、酸化物半導体層及びゲート絶縁層105を介してゲート電極層106と重なる位置に形成され、チャネルストッパーとして機能する。
【0067】
(実施の形態2)
実施の形態1ではボトムゲート型のトランジスタの例を示したが、本実施の形態では、図1(D)に示すトップゲート型のトランジスタの例を説明する。なお、図1(A)と同じ箇所には同じ符号を用いて説明する。
【0068】
まず、基板100上に下地絶縁層101を形成する。
【0069】
下地絶縁層101としては、CVD法やスパッタ法等を用いて、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化イットリウム等を単層でまたは積層して形成することができる。
【0070】
次いで、下地絶縁層101上に酸化物半導体層102を形成する。酸化物半導体層102は、ACスパッタ装置、DCスパッタ装置、またはRFスパッタ装置のいずれか一のスパッタ装置を用いて成膜を行う。また、スパッタリング法による酸化物半導体層の形成時において、被成膜面の温度は150℃以上450℃以下、好ましくは250℃以上320℃以下とする。250℃は、水、水素などの不純物の被成膜物中への混入を防ぎ、チャンバー内の気相へ不純物を放出する温度である。また、スパッタリング法による成膜時における被成膜面の温度の上限は、基板の熱処理上限温度、或いは成膜物の上限温度(その温度を超えると大きく成膜中の成分が変化する温度)とする。
【0071】
下地絶縁層101、及び酸化物半導体層は大気に曝さずに連続的に形成することが好ましい。例えばマルチチャンバー方式の成膜装置を用いる。連続して成膜すると、大気成分や大気中に浮遊する汚染不純物元素に汚染されることなく各積層界面を形成することができる。
【0072】
酸化物半導体層の形成後、必要であれば、水素及び水分をほとんど含まない雰囲気下(窒素雰囲気、酸素雰囲気、乾燥空気雰囲気(例えば、水分については露点−40℃以下、好ましくは露点−60℃以下)など)で加熱処理(温度範囲150℃以上650℃以下、好ましくは200℃以上500℃以下)を行ってもよい。この加熱処理は、酸化物半導体層中からH、OHなどを脱離させる脱水化または脱水素化とも呼ぶことができる。
【0073】
本実施の形態では、酸化物半導体層102を形成する際、成膜条件を複数回変更することによって、窒素の高濃度領域102a、窒素の低濃度領域102bを形成する。
【0074】
例えば、窒素の高濃度領域102aは、窒素を含むIn−Ga−Zn−O膜をスパッタ法により窒素ガスのみを用いて膜厚10nm以下で成膜する。なお、成膜時に基板を加熱(基板温度150℃以上450℃以下)する。
【0075】
次いで、同じターゲットを用い、窒素ガスの供給量を減少させた後、酸素ガスまたは希ガスを導入して、引き続き、基板を加熱(基板温度150℃以上450℃以下)しながら成膜を行うことで窒素の低濃度領域102bを形成する。窒素の低濃度領域102bの膜厚は、窒素の高濃度領域102aと同じ、もしくは薄い膜厚とする。また、十分な結晶性が得られるのであれば、窒素の低濃度領域102bの膜厚は、窒素の高濃度領域102aよりも厚い膜厚とする。
【0076】
窒素の高濃度領域102a上には窒素の低濃度領域102bが形成される。窒素の高濃度領域102a及び窒素の低濃度領域102bのどちらも六方晶の結晶構造を有する。本実施の形態では、窒素の高濃度領域102a及び窒素の低濃度領域102bは、窒素を含むIn−Ga−Zn−O膜を用いており、ウルツ鉱型結晶構造を有する。
【0077】
次いで酸化物半導体層102のパターニングを行い、ソース電極層103及びドレイン電極層104の形成を行う。そして、酸化物半導体層102、ソース電極層103、及びドレイン電極層104を覆うゲート絶縁層105を形成する。そして、ゲート絶縁層上の酸化物半導体層102と重なる位置にゲート電極層106を形成してトランジスタ110を作製することができる。
【0078】
ゲート電極層106の材料は、チタン、モリブデン、クロム、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅などの金属材料またはその合金材料を用いて形成する。
【0079】
また、ゲート電極層106とゲート絶縁層との間に、ゲート絶縁層に接する材料層として、窒素を含むIn−Ga−Zn−O膜や、窒素を含むIn−Sn−O膜や、窒素を含むIn−Ga−O膜や、窒素を含むIn−Zn−O膜や、窒素を含むSn−O膜や、窒素を含むIn−O膜や、金属窒化膜(InN、ZnNなど)を設けることが好ましい。これらの膜は5電子ボルト以上、好ましくは5.5電子ボルト以上の仕事関数を有し、トランジスタの電気特性のしきい値電圧をプラスにすることができ、所謂ノーマリーオフのスイッチング素子を実現できる。例えば、窒素を含むIn−Ga−Zn−O膜を用いる場合、少なくとも酸化物半導体層102より高い窒素濃度、例えば7原子%以上のIn−Ga−Zn−O膜を用いる。
【0080】
以上の工程で図1(D)に示すトランジスタ110が形成される。トランジスタ110は、結晶性酸化物半導体膜表面に概略垂直なc軸を有している六方晶構造(ここではウルツ鉱型結晶構造)の結晶を有する結晶性酸化物半導体膜をチャネル領域に有するトランジスタである。
【0081】
(実施の形態3)
本実施の形態では、窒素濃度の異なる酸化物半導体膜の積層を有し、第1の酸化物半導体膜はウルツ鉱型の結晶を含み、第2の酸化物半導体膜もウルツ鉱型の結晶を含む積層構造を有する半導体膜について、図4乃至図7を参照して説明する。
【0082】
本実施の形態で例示する積層構造を有する半導体膜の模式図を図4に示す。
【0083】
窒素濃度の異なる同一材料の積層構造を有する半導体膜132は、第1の酸化物半導体膜132aと第2の酸化物半導体膜132bを有する。第1の酸化物半導体膜132aと第2の酸化物半導体膜132bの積層が基板130上の絶縁表面に接して設けられた積層構造を有する半導体膜132の態様を図4に図示する。第1の酸化物半導体膜132aは第2の酸化物半導体膜132bよりも結晶性が高い。
【0084】
窒素濃度の異なる同一材料の積層構造を有する半導体膜132は、実施の形態1または実施の形態2の作製方法により形成することができる。なお、実施の形態1または実施の形態2では、同一チャンバーで成膜条件を変えて窒素濃度の異なる積層を形成する例を示したが、ウルツ鉱型構造の膜が積層できるのであれば、特に限定されず、1層目を形成した後、水素及び水分をほとんど含まない雰囲気下(窒素雰囲気、酸素雰囲気、乾燥空気雰囲気(例えば、水分については露点−40℃以下、好ましくは露点−60℃以下)など)で150℃以上650℃以下の加熱処理を行い、その後、2層目を形成してもよい。
【0085】
<六方晶系の結晶構造>
はじめに、六方晶系の結晶構造について説明する。
【0086】
ウルツ鉱型の結晶構造を、図5を用いて説明する。ウルツ鉱型の結晶について、a−b面での原子の配置を図5(A)に、c軸方向を縦方向とする構造を図5(B)に示す。
【0087】
第1の酸化物半導体膜132aとしては、窒素を含む酸化物半導体を用い、成膜条件を調節することにより、c軸配向し、且つ、ウルツ鉱型の結晶を含む膜とする。
【0088】
具体的には、窒素を5×1019/cm以上20原子%以下含むIn−Ga−Zn−O膜はc軸配向しており、且つ、ウルツ鉱型の結晶を含む膜となり、金属サイトにはInとGaとZnがランダムに入っている。
【0089】
ただし、窒素を含むIn−Ga−Zn−O膜に限定されず、例えば、窒素を含むIn−Al−Zn−O膜などを用いることができる。
【0090】
次に、2層目のウルツ鉱型の結晶構造について説明する。
【0091】
第2の酸化物半導体膜132bとしては、1層目よりも窒素濃度の低いIn−Ga−Zn−O膜であり、且つ、c軸配向しており、且つ、ウルツ鉱型の結晶を含む膜とする。
【0092】
ウルツ鉱型の結晶構造は、六方晶系であり、a−b面において原子が六角形に位置する。
【0093】
ウルツ鉱型の結晶上に、格子定数を同じくするウルツ鉱型の結晶が整合する様子を図6に模式的に示す。
【0094】
なお、c軸配向し、且つ、ウルツ鉱型の結晶構造のHAADF(high−angle annular dark field)−STEMの実観察像には、輝点が互いちがいに現れる回折像が観察される場合がある。
【0095】
ウルツ鉱型の結晶構造に基づいて計算により得たHAADF−STEMの像を図7(A)に示す。
【0096】
また、窒素を多く含むIn−Ga−Zn−O膜のHAADF−STEMの実観察像を図7(B)に示す。
【0097】
図7(A)に示すHAADF−STEMの像、または図7(B)に示すHAADF−STEMの実観察像は、いずれも2周期性の層構造を有するウルツ鉱型の結晶構造を有することが確認できる。
【0098】
窒素を含むIn−Ga−Zn−O膜は、スパッタリング法を用いて石英ガラス基板上に300nmの厚さで成膜した。ターゲットとしてIn:Ga:ZnO=1:1:1[mol数比]を用い、基板−ターゲット間の距離を60mmとし、DC電源を用いて0.5kwの電力で、圧力0.4Paにて成膜した。また、成膜中の基板温度を400℃とし、スパッタリングガスは窒素のみとし、成膜室に40sccmの流量で流した。
【0099】
(実施の形態4)
本実施の形態では、同一基板上に少なくとも駆動回路の一部と、画素部に配置するトランジスタを有する表示装置を作製する例について以下に説明する。
【0100】
画素部に配置するトランジスタは、実施の形態1または実施の形態2に従って形成する。また、実施の形態1または実施の形態2に示すトランジスタはnチャネル型トランジスタであるため、駆動回路のうち、nチャネル型トランジスタで構成することができる駆動回路の一部を画素部のトランジスタと同一基板上に形成する。
【0101】
アクティブマトリクス型表示装置のブロック図の一例を図8(A)に示す。表示装置の基板5300上には、画素部5301、第1の走査線駆動回路5302、第2の走査線駆動回路5303、信号線駆動回路5304を有する。画素部5301には、複数の信号線が信号線駆動回路5304から延伸して配置され、複数の走査線が第1の走査線駆動回路5302、及び第2の走査線駆動回路5303から延伸して配置されている。なお走査線と信号線との交差領域には、各々、表示素子を有する画素がマトリクス状に配置されている。また、表示装置の基板5300はFPC(Flexible Printed Circuit)等の接続部を介して、タイミング制御回路(コントローラ、制御ICともいう)に接続されている。
【0102】
図8(A)では、第1の走査線駆動回路5302、第2の走査線駆動回路5303、信号線駆動回路5304は、画素部5301と同じ基板5300上に形成される。そのため、外部に設ける駆動回路等の部品の数が減るので、コストの低減を図ることができる。また、基板5300外部に駆動回路を設けた場合、配線を延伸させる必要が生じ、配線間の接続数が増える。同じ基板5300上に駆動回路を設けた場合、その配線間の接続数を減らすことができ、信頼性の向上、又は歩留まりの向上を図ることができる。
【0103】
また、画素部の回路構成の一例を図8(B)に示す。ここでは、VA方式の液晶表示パネルの画素構造を示す。
【0104】
この画素構造は、一つの画素に複数の画素電極層が有り、それぞれの画素電極層にトランジスタが接続されている。各トランジスタは、異なるゲート信号で駆動されるように構成されている。すなわち、マルチドメイン設計された画素において、個々の画素電極層に印加する信号を、独立して制御する構成を有している。
【0105】
トランジスタ628のゲート配線602と、トランジスタ629のゲート配線603には、異なるゲート信号を与えることができるように分離されている。一方、データ線として機能するソース電極層又はドレイン電極層616は、トランジスタ628とトランジスタ629で共通に用いられている。トランジスタ628とトランジスタ629は実施の形態1または実施の形態2のトランジスタを適宜用いることができる。
【0106】
第1の画素電極層と第2の画素電極層の形状は異なっており、スリットによって分離されている。V字型に広がる第1の画素電極層の外側を囲むように第2の画素電極層が形成されている。第1の画素電極層と第2の画素電極層に印加する電圧のタイミングを、トランジスタ628及びトランジスタ629により異ならせることで、液晶の配向を制御している。トランジスタ628はゲート配線602と接続し、トランジスタ629はゲート配線603と接続している。ゲート配線602とゲート配線603は異なるゲート信号を与えることで、トランジスタ628とトランジスタ629の動作タイミングを異ならせることができる。
【0107】
また、容量配線690が設けられ、ゲート絶縁層を誘電体とし、第1の画素電極層または第2の画素電極層と電気的に接続する容量電極と保持容量を形成する。
【0108】
第1の画素電極層と液晶層と対向電極層が重なり合うことで、第1の液晶素子651が形成されている。また、第2の画素電極層と液晶層と対向電極層が重なり合うことで、第2の液晶素子652が形成されている。また、一画素に第1の液晶素子651と第2の液晶素子652が設けられたマルチドメイン構造である。
【0109】
なお、図8(B)に示す画素構成は、これに限定されない。例えば、図8(B)に示す画素に新たにスイッチ、抵抗素子、容量素子、トランジスタ、センサ、又は論理回路などを追加してもよい。また、トランジスタの酸化物半導体層にバックライトの光や外光などの光が照射されないように遮光層を設ける。遮光層は、画素電極層と酸化物半導体層の間に設けてもよいし、遮光層を有する光学フィルム(カラーフィルタなど)として基板に接着してもよい。
【0110】
また、本実施の形態では、VA方式の液晶表示パネルの例を示したが特に限定されず、様々な方式の液晶表示装置に応用することができる。例えば、視野角特性を改善する方法として、基板主表面に対して水平方向の電界を液晶層に印加する横電界方式(IPS方式とも呼ぶ)に応用することができる。
【0111】
例えば、IPS方式の液晶表示パネルとして、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を用いることが好ましい。ブルー相は液晶相の一つであり、コレステリック液晶を昇温していくと、コレステリック相から等方相へ転移する直前に発現する相である。ブルー相は狭い温度範囲でしか発現しないため、温度範囲を改善するために5重量%以上のカイラル剤を混合させた液晶組成物を用いて液晶素子の液晶層に用いる。ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、応答速度が1msec以下と短く、光学的等方性であるため配向処理が不要であり、視野角依存性が小さい。
【0112】
また、液晶表示装置の動画特性を改善するため、バックライトとして複数のLED(発光ダイオード)光源または複数のEL光源などを用いて面光源を構成し、面光源を構成している各光源を独立して1フレーム期間内で間欠点灯駆動する駆動技術(例えばフィールドシーケンシャル方式など)もある。面光源として、3種類以上のLEDを用いてもよいし、白色発光のLEDを用いてもよい。面光源として、異なる色を呈する3種類以上の光源(例えば、R(赤)、G(緑)、B(青))を用いる場合は、カラーフィルタを用いなくともカラー表示が行える。また、面光源として、白色発光のLEDを用いる場合は、カラーフィルタを設けてカラー表示を行う。独立して複数のLEDを制御できるため、液晶層の光学変調の切り替えタイミングに合わせてLEDの発光タイミングを同期させることもできる。LEDを部分的に消灯することができるため、特に一画面を占める黒い表示領域の割合が多い映像表示の場合には、消費電力の低減効果が図れる。
【0113】
また、画素部の回路構成の一例を図8(C)に示す。ここでは、有機EL素子を用いた表示パネルの画素構造を示す。
【0114】
有機EL素子は、発光素子に電圧を印加することにより、一対の電極から電子および正孔がそれぞれ発光性の有機化合物を含む層に注入され、電流が流れる。そして、それらキャリア(電子および正孔)が再結合することにより、発光性の有機化合物が励起状態を形成し、その励起状態が基底状態に戻る際に発光する。このようなメカニズムから、このような発光素子は、電流励起型の発光素子と呼ばれる。
【0115】
図8(C)は、半導体装置の例としてデジタル時間階調駆動を適用可能な画素構成の一例を示す図である。
【0116】
デジタル時間階調駆動を適用可能な画素の構成及び画素の動作について説明する。ここでは酸化物半導体層をチャネル形成領域に用いるnチャネル型のトランジスタを1つの画素に2つ用いる例を示す。
【0117】
画素6400は、スイッチング用トランジスタ6401、駆動用トランジスタ6402、発光素子6404及び容量素子6403を有している。スイッチング用トランジスタ6401は、ゲート電極層が走査線6406に接続され、第1電極(ソース電極層及びドレイン電極層の一方)が信号線6405に接続され、第2電極(ソース電極層及びドレイン電極層の他方)が駆動用トランジスタ6402のゲート電極層に接続されている。駆動用トランジスタ6402は、ゲート電極層が容量素子6403を介して電源線6407に接続され、第1電極が電源線6407に接続され、第2電極が発光素子6404の第1電極(画素電極)に接続されている。発光素子6404の第2電極は共通電極6408に相当する。共通電極6408は、同一基板上に形成される共通電位線と電気的に接続される。
【0118】
なお、発光素子6404の第2電極(共通電極6408)には低電源電位が設定されている。なお、低電源電位とは、電源線6407に設定される高電源電位を基準にして低電源電位<高電源電位を満たす電位であり、低電源電位としては例えばGND、0Vなどが設定されていても良い。この高電源電位と低電源電位との電位差を発光素子6404に印加して、発光素子6404に電流を流して発光素子6404を発光させるため、高電源電位と低電源電位との電位差が発光素子6404の順方向しきい値電圧以上となるようにそれぞれの電位を設定する。
【0119】
なお、容量素子6403は駆動用トランジスタ6402のゲート容量を代用して省略することも可能である。駆動用トランジスタ6402のゲート容量については、チャネル形成領域とゲート電極層との間で容量が形成されていてもよい。
【0120】
ここで、電圧入力電圧駆動方式の場合には、駆動用トランジスタ6402のゲート電極層には、駆動用トランジスタ6402が十分にオンするか、オフするかの二つの状態となるようなビデオ信号を入力する。つまり、駆動用トランジスタ6402は線形領域で動作させる。駆動用トランジスタ6402は線形領域で動作させるため、電源線6407の電圧よりも高い電圧を駆動用トランジスタ6402のゲート電極層にかける。なお、信号線6405には、(電源線電圧+駆動用トランジスタ6402のVth)以上の電圧をかける。
【0121】
また、デジタル時間階調駆動に代えて、アナログ階調駆動を行う場合、信号の入力を異ならせることで、図8(C)と同じ画素構成を用いることができる。
【0122】
アナログ階調駆動を行う場合、駆動用トランジスタ6402のゲート電極層に発光素子6404の順方向電圧+駆動用トランジスタ6402のVth以上の電圧をかける。発光素子6404の順方向電圧とは、所望の輝度とする場合の電圧を指しており、少なくとも順方向しきい値電圧を含む。なお、駆動用トランジスタ6402が飽和領域で動作するようなビデオ信号を入力することで、発光素子6404に電流を流すことができる。駆動用トランジスタ6402を飽和領域で動作させるため、電源線6407の電位は、駆動用トランジスタ6402のゲート電位よりも高くする。ビデオ信号をアナログとすることで、発光素子6404にビデオ信号に応じた電流を流し、アナログ階調駆動を行うことができる。
【0123】
なお、図8(C)に示す画素構成は、これに限定されない。例えば、図8(C)に示す画素に新たにスイッチ、抵抗素子、容量素子、センサ、トランジスタ又は論理回路などを追加してもよい。
【0124】
次に、発光素子の構成について、図9に示す画素の断面構造を用いて説明する。ここでは、発光素子駆動用トランジスタがnチャネル型の場合を例に挙げて、画素の断面構造について説明する。図9(A)、図9(B)、及び図9(C)の半導体装置に用いられる発光素子駆動用トランジスタ7011、7021、及び7001は、実施の形態1または実施の形態2に示すトランジスタと同様に作製でき、窒素を含む酸化物半導体層をチャネル領域に用いるトランジスタである。
【0125】
発光素子の第1の電極または第2の電極の少なくとも一方は可視光を透過する導電膜を用いて形成し、発光素子から発光を取り出す。発光を取り出す方向に着目した構造としては、発光素子とトランジスタが形成された基板を介することなく、基板の当該発光素子が形成された側から発光を取り出す上面射出構造、発光素子が形成された基板を介し、当該発光素子が形成されていない側に発光する下面射出構造、並びに基板の発光素子が形成された側及び基板を介して基板の他方の側に発光を取り出す両面射出構造がある。そして、図8(C)に示す画素構成はどの射出構造の発光素子にも適用することができる。
【0126】
下面射出構造の発光素子について、図9(A)を用いて説明する。下面射出構造の発光素子は、図9(A)に矢印で示す方向に光を発する。
【0127】
図9(A)において、発光素子駆動用トランジスタ7011は実施の形態1に示すnチャネル型のトランジスタ111を用いる例を示しているが、特に限定されない。
【0128】
図9(A)では、発光素子駆動用トランジスタ7011のソース電極またはドレイン電極層と電気的に接続された透光性を有する第1の電極7017上に、EL層7014、第2の電極7015、保護膜7016が順に積層されている。
【0129】
第1の電極7017は可視光を透過する導電膜を用いる。可視光を透過する導電膜としては、例えば酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物(以下、ITOとする。)、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などを挙げることができる。また、光を透過する程度(好ましくは、5nm〜30nm程度)の金属薄膜を用いることもできる。例えば20nmの膜厚を有するアルミニウム膜を他の透光性を有する導電膜に積層して用いることができる。
【0130】
第2の電極7015はEL層7014が発する光を効率よく反射する材料が好ましい。なぜなら光の取り出し効率を向上できるためである。なお、第2の電極7015を積層構造としてもよい。例えば、EL層7014に接する側に可視光を透過する導電膜を用い、他方に光を遮光する膜を積層して用いることもできる。光を遮光する膜としては、EL層が発する光を効率よく反射する金属膜等が好ましいが、例えば黒の顔料を添加した樹脂等を用いることもできる。
【0131】
なお、第1の電極7017、又は第2の電極7015のいずれか一方は陽極として機能し、他方は陰極として機能する。陽極として機能する電極には、仕事関数の大きな物質が好ましく、陰極として機能する電極には仕事関数の小さな物質が好ましい。
【0132】
仕事関数が大きい材料としては、例えば、ZrN、Ti、W、Ni、Pt、Cr等や、ITO、IZO(登録商標)などを用いることができる。仕事関数が小さい材料としては、LiやCs等のアルカリ金属、およびMg、Ca、Sr等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(Mg:Ag、Al:Liなど)の他、YbやEr等の希土類金属等を用いることができる。
【0133】
なお、消費電力を比較する場合、第1の電極7017を陰極として機能させ、第2の電極7015を陽極とするほうが、駆動回路部の電圧上昇を抑制でき、消費電力を少なくできるため好ましい。
【0134】
EL層7014は、少なくとも発光層を含めば良く、単数の層で構成されていても、複数の層が積層されていてもよい。複数の層で構成されている構成としては、陽極側から正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、並びに電子注入層が積層された構成を例に挙げることができる。なお、発光層を除くこれらの層はEL層7014中に必ずしも全て設ける必要はない。また、これらの層は重複して設けることもできる。具体的には、EL層7014中に複数の発光層を重ねて設けてもよく、電子注入層に重ねて正孔注入層を設けてもよい。また、中間層として電荷発生層の他、電子リレー層など他の構成を適宜加えることができる。
【0135】
また、発光素子7012は第1の電極7017の一部を覆う隔壁7019を備える。隔壁7019は、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、エポキシ等の有機樹脂膜の他、無機絶縁膜または有機ポリシロキサン膜を適用できる。特に、隔壁7019の側面が連続した曲率を持って形成される傾斜面となるように、感光性の樹脂材料を用いて形成することが好ましい。隔壁7019に感光性の樹脂材料を用いる場合、レジストマスクを形成する工程を省略することができる。また、隔壁を無機絶縁膜で形成することもできる。無機絶縁膜を隔壁に用いることで、隔壁に含まれる水分量を低減できる。
【0136】
なお、カラーフィルタ層7033が発光素子7012と基板7010の間に設けられている(図9(A)参照)。発光素子7012に白色に発光する構成を適用することにより、発光素子7012が発する光はカラーフィルタ層7033を通過し、絶縁層7031、ゲート絶縁層7030、及び基板7010を通過して、射出される。
【0137】
複数の種類のカラーフィルタ層7033を形成してもよく、例えば画素毎に赤色のカラーフィルタ層、青色のカラーフィルタ層、緑色のカラーフィルタ層などを設けることができる。なお、カラーフィルタ層7033はインクジェット法などの液滴吐出法や、印刷法、またはフォトリソグラフィ技術を用いたエッチング法などでそれぞれ形成する。
【0138】
また、カラーフィルタ層7033はオーバーコート層7034で覆われ、さらに保護絶縁層7035によって覆う。なお、図9(A)ではオーバーコート層7034は薄い膜厚で図示したが、オーバーコート層7034は、アクリル樹脂などの樹脂材料を用い、カラーフィルタ層7033に起因する凹凸を平坦化する機能を有している。
【0139】
また、絶縁層7031、絶縁層7032、カラーフィルタ層7033、オーバーコート層7034、及び保護絶縁層7035に形成され、且つ、ドレイン電極層に達するコンタクトホールは、隔壁7019と重なる位置に配置する。
【0140】
次に、両面射出構造の発光素子について、図9(B)を用いて説明する。両面射出構造の発光素子は、図9(B)に矢印で示す方向に光を発する。
【0141】
図9(B)において、発光素子駆動用トランジスタ7021は実施の形態1に示すnチャネル型のトランジスタ111を用いる例を示しているが、特に限定されない。
【0142】
図9(B)では、発光素子駆動用トランジスタ7021のソース電極またはドレイン電極層と電気的に接続された透光性を有する第1の電極7027上に、EL層7024、第2の電極7025が順に積層されている。
【0143】
第1の電極7027、及び第2の電極7025は可視光を透過する導電膜を用いる。可視光を透過する導電膜としては、図9(A)の第1の電極7017に用いることができる材料を適用することができる。よって、詳細な説明は第1の電極7017の説明を援用する。
【0144】
なお、第1の電極7027、又は第2の電極7025のいずれか一方は陽極として機能し、他方は陰極として機能する。陽極として機能する電極には、仕事関数の大きな物質が好ましく、陰極として機能する電極には仕事関数の小さな物質が好ましい。
【0145】
EL層7024は単数の層で構成されていても、複数の層が積層されていても良い。EL層7024としては、図9(A)のEL層7014に用いることができる構成、及び材料を適用することができる。よって、詳細な説明はEL層7014の説明を援用する。
【0146】
また、発光素子7022は第1の電極7027の端部を覆う隔壁7029を備える。隔壁7029は、図9(A)の隔壁7019に用いることができる構成、及び材料を適用することができる。よって、詳細な説明は隔壁7019の説明を援用する。
【0147】
また、図9(B)に示した素子構造の場合、発光素子7022から発せられる光は、矢印で示すように第2の電極7025側と第1の電極7027側の両方に射出し、第1の電極7027側に発せられる一方の光は、絶縁層7041、絶縁層7042、ゲート絶縁層7040、及び基板7020を通過して射出させる。
【0148】
また、図9(B)の構造においては、フルカラー表示を行う場合、例えば発光素子7022として緑色発光素子とし、隣り合う一方の発光素子を赤色発光素子とし、もう一方の発光素子を青色発光素子とする。また、3種類の発光素子だけでなく白色素子を加えた4種類の発光素子でフルカラー表示ができる発光表示装置を作製してもよい。
【0149】
次に、上面射出構造の発光素子について、図9(C)を用いて説明する。上面射出構造の発光素子は、図9(C)に矢印で示す方向に光を発する。
【0150】
図9(C)において、発光素子駆動用トランジスタ7001は実施の形態1に示すnチャネル型のトランジスタ111を用いる例を示しているが、特に限定されない。
【0151】
図9(C)では、発光素子駆動用トランジスタ7001のソース電極またはドレイン電極層と電気的に接続された第1の電極7003上に、EL層7004、第2の電極7005が順に積層されている。
【0152】
第1の電極7003はEL層7004が発する光を効率よく反射する材料が好ましい。なぜなら光の取り出し効率を向上できるためである。なお、第1の電極7003を積層構造としてもよい。例えば、EL層7004に接する側に可視光を透過する導電膜を用い、他方に光を遮光する膜を積層して用いることもできる。光を遮光する膜としては、EL層が発する光を効率よく反射する金属膜等が好ましいが、例えば黒の顔料を添加した樹脂等を用いることもできる。
【0153】
第2の電極7005は可視光を透過する導電膜を用いる。可視光を透過する導電膜としては、図9(A)の第1の電極7017に用いることができる材料を適用することができる。よって、詳細な説明は第1の電極7017の説明を援用する。
【0154】
なお、第1の電極7003、又は第2の電極7005のいずれか一方は陽極として機能し、他方は陰極として機能する。陽極として機能する電極には、仕事関数の大きな物質が好ましく、陰極として機能する電極には仕事関数の小さな物質が好ましい。
【0155】
EL層7004は単数の層で構成されていても、複数の層が積層されていても良い。EL層7004としては、図9(A)のEL層7014に用いることができる構成、及び材料を適用することができる。よって、詳細な説明はEL層7014の説明を援用する。
【0156】
また、発光素子7002は第1の電極7003の一部を覆う隔壁7009を備える。隔壁7009は、図9(A)の隔壁7019に用いることができる構成、及び材料を適用することができる。よって、詳細な説明は隔壁7019の説明を援用する。
【0157】
また、図9(C)において、発光素子駆動用トランジスタ7001のソース電極層またはドレイン電極層は、保護絶縁層7052及び絶縁層7055に設けられたコンタクトホールを介して第1の電極7003と電気的に接続する。平坦化絶縁層7053は、ポリイミド、アクリル、ベンゾシクロブテン、ポリアミド、エポキシ等の樹脂材料を用いることができる。また上記樹脂材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)、シロキサン系樹脂等を用いることができる。なお、これらの材料で形成される絶縁膜を複数積層させることで、平坦化絶縁層7053を形成してもよい。平坦化絶縁層7053の形成法は、特に限定されず、その材料に応じて、スパッタ法、SOG法、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、液滴吐出法(インクジェット法、スクリーン印刷、オフセット印刷等)等を用いることができる。
【0158】
また、図9(C)の構造においては、フルカラー表示を行う場合、例えば発光素子7002として緑色発光素子とし、隣り合う一方の発光素子を赤色発光素子とし、もう一方の発光素子を青色発光素子とする。また、3種類の発光素子だけでなく白色素子を加えた4種類の発光素子でフルカラー表示ができる発光表示装置を作製してもよい。
【0159】
また、図9(C)の構造においては、配置する複数の発光素子を全て白色発光素子とし、且つ発光素子7002上方にカラーフィルタなどを有する封止基板を配置する構成とし、フルカラー表示ができる発光表示装置を作製してもよい。白色などの単色の発光を示す材料を形成し、カラーフィルタや色変換層を組み合わせることによりフルカラー表示を行うことができる。
【0160】
もちろん単色発光の表示を行ってもよい。例えば、白色発光を用いて照明装置を形成してもよいし、単色発光を用いてエリアカラータイプの発光装置を形成してもよい。
【0161】
また、必要があれば、円偏光板などの偏光フィルムなどの光学フィルムを設けてもよい。
【0162】
なお、発光素子の駆動を制御するトランジスタ(発光素子駆動用トランジスタ)と発光素子が電気的に接続されている例を示したが、発光素子駆動用トランジスタと発光素子との間に電流制御用トランジスタが接続されている構成であってもよい。
【0163】
なお本実施の形態で示す半導体装置は、図9に示した構成に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0164】
(実施の形態5)
本明細書に開示する半導体装置は、さまざまな電子機器(遊技機も含む)に適用することができる。電子機器としては、例えば、テレビジョン装置(テレビ、またはテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等のカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。上記実施の形態で説明した表示装置を具備する電子機器の例について説明する。
【0165】
図10(A)は、携帯型の情報端末であり、本体3001、筐体3002、表示部3003a、3003bなどによって構成されている。表示部3003bはタッチ入力機能を有するパネルとなっており、表示部3003bに表示されるキーボードボタン3004を触れることで画面操作や、文字入力を行うことができる。勿論、表示部3003aをタッチ入力機能を有するパネルとして構成してもよい。実施の形態1で示したトランジスタ111をスイッチング素子として用い、実施の形態4に示す液晶パネルや有機発光パネルを作製して表示部3003a、3003bに適用することにより、携帯型の情報端末とすることができる。
【0166】
図10(A)は、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示する機能、カレンダー、日付又は時刻などを表示部に表示する機能、表示部に表示した情報を操作又は編集する機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、等を有することができる。また、筐体の裏面や側面に、外部接続用端子(イヤホン端子、USB端子など)、記録媒体挿入部などを備える構成としてもよい。
【0167】
また、図10(A)に示す携帯型の情報端末は、無線で情報を送受信できる構成としてもよい。無線により、電子書籍サーバから、所望の書籍データなどを購入し、ダウンロードする構成とすることも可能である。
【0168】
また、図10(A)に示す携帯型の情報端末は、2つの表示部3003a、3003bのうち、一方を取り外すことができ、取り外した場合の図を図10(B)に示している。表示部3003aもタッチ入力機能を有するパネルとし、持ち運びの際、さらなる軽量化を図ることができ、片手で筐体3002をもってもう片方の手で操作することができ、便利である。
【0169】
さらに、図10(B)に示す筐体3002にアンテナやマイク機能や無線機能を持たせ、携帯電話として用いてもよい。
【0170】
図10(C)は、携帯電話の一例を示している。図10(C)に示す携帯電話機5005は、筐体に組み込まれた表示部5001の他、ヒンジ5002に取り付けられた表示パネル5003、操作ボタン5004、スピーカ、マイクなどを備えている。
【0171】
図10(C)に示す携帯電話機5005は、表示パネル5003がスライドして、表示部5001と重なるようになっており、透光性を有するカバーとしても機能する。表示パネル5003は、実施の形態4の図9(B)に示した、基板側及び基板とは反対側の面から発光を取り出す両面射出構造の発光素子を用いた表示パネルである。
【0172】
また、両面射出構造の発光素子を用いた表示パネル5003であるため、表示部5001と重ねた状態でも表示を行うことができ、使用者はどちらも表示し、どちらの表示も視認することもできる。表示パネル5003は透光性を有し、表示パネルの向こう側が透けて見えるパネルである。例えば、地図の表示を表示部5001で行い、使用者の所在地ポイントを表示パネル5003で表示することによって現在地を認識しやすい状態を提供することができる。
【0173】
また、携帯電話機5005に撮像素子を設け、テレビ電話として使用する場合、複数の相手の顔を表示しながら、複数の相手と会話ができるため、テレビ会議なども行うことができる。例えば、表示パネル5003に一人または複数の相手の顔を表示し、さらに表示部5001にもう一人の顔を表示させることで、使用者は2人以上の顔を見ながら会話を行うことができる。
【0174】
また、表示パネル5003に表示されたタッチ入力ボタン5006を指などで触れることで、情報を入力することができる。また、電話を掛ける、或いはメールを打つなどの操作は、表示パネル5003をスライドさせて、操作ボタン5004を指などで触れることにより行うことができる。
【0175】
図10(D)は、テレビジョン装置の一例を示している。テレビジョン装置9600は、筐体9601に表示部9603が組み込まれている。表示部9603により、映像を表示することが可能である。また、ここでは、CPUを内蔵したスタンド9605により筐体9601を支持した構成を示している。実施の形態1で示したトランジスタ111を表示部9603に適用することにより、テレビジョン装置9600とすることができる。
【0176】
テレビジョン装置9600の操作は、筐体9601が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機により行うことができる。また、リモコン操作機に、当該リモコン操作機から出力する情報を表示する表示部を設ける構成としてもよい。
【0177】
なお、テレビジョン装置9600は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0178】
また、テレビジョン装置9600は、外部接続端子9604や、記憶媒体再生録画部9602、外部メモリスロットを備えている。外部接続端子9604は、USBケーブルなどの各種ケーブルと接続可能であり、パーソナルコンピュータなどとのデータ通信が可能である。記憶媒体再生録画部9602では、ディスク状の記録媒体を挿入し、記録媒体に記憶されているデータの読み出し、記録媒体への書き込みが可能である。また、外部メモリスロットに差し込まれた外部メモリ9606にデータ保存されている画像や映像などを表示部9603に映し出すことも可能である。
【0179】
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【実施例1】
【0180】
成膜条件(8条件)を変えて、石英基板上に膜厚100nmの酸化物半導体層を成膜したサンプルをエリプソメータを用いて分析した。
【0181】
成膜条件は、基板温度400℃、ターゲットとしてIn:Ga:ZnO=1:1:2[mol数比]を用い、ガス流量を8種類とした。酸素ガス流量40sccmの成膜条件、酸素ガス20sccmと窒素ガス20sccmの成膜条件、酸素ガス15sccmと窒素ガス25sccmの成膜条件、酸素ガス10sccmと窒素ガス30sccmの成膜条件、酸素ガス7sccmと窒素ガス33sccmの成膜条件、酸素ガス5sccmと窒素ガス35sccmの成膜条件、酸素ガス3sccmと窒素ガス37sccmの成膜条件、窒素ガス40sccmの成膜条件の8種類の成膜条件でそれぞれサンプルを作製した。
【0182】
8種類の成膜条件のサンプルに対してそれぞれエリプソメータを用いた分析により得られた光学バンドギャップを測定した。図11は、酸化物半導体層のバンドギャップのガス流量比依存性を示すグラフである。
【0183】
また、n型シリコンウェーハ上に膜厚15nmの酸化物半導体層を上記成膜条件(8条件)と同じ条件で成膜したサンプルを作製し、XPSで酸化物半導体層中の窒素濃度を測定した。図12は、酸化物半導体層のバンドギャップの窒素濃度依存性を示すグラフである。図12からは、酸化物半導体層の窒素濃度が4原子%未満ではバンドギャップはほとんど変わらず、酸化物半導体層の窒素濃度が4原子%以上を越えるとバンドギャップは線形に低下する傾向があることが読み取れる。なお、酸化物半導体層の窒素濃度が4原子%となる条件は、酸素ガス7sccmと窒素ガス33sccmの成膜条件である。
【0184】
また、酸化物半導体層のシート抵抗を測定した。図13は、膜のシート抵抗の窒素濃度依存性を示すグラフである。図13では、酸化物半導体層の窒素濃度が4原子%以上を超えるとシート抵抗値は窒素濃度に比例して大きく低下することが読み取れる。なお、酸化物半導体層の窒素濃度が4原子%未満ではシート抵抗値は検出上限を越えるため測定不能であった。
【0185】
図14にXRD分析結果を示す。サンプル1は、Nガス流量比75%の条件で成膜し、膜中の窒素濃度が3.5原子%である。また、サンプル2は、Nガス流量比82.5%の条件で成膜し、膜中の窒素濃度が4原子%である。サンプル3は、Nガス流量比87.5%の条件で成膜し、膜中の窒素濃度が4.8原子%である。サンプル4は、Nガス流量比92.5%の条件で成膜し、膜中の窒素濃度が6.6原子%である。サンプル5は、Nガス流量比100%の条件で成膜し、膜中の窒素濃度が11.7原子%である。
【0186】
なお、窒素ガス40sccmのみの成膜条件はサンプル5に相当し、酸化物半導体層中の窒素濃度は11.7原子%である。
【0187】
図14からは、図11のバンドギャップが大きく低下するガス流量比で結晶化を示す2θ=30°付近のピークが大きくなることが読み取れる。以上の結果を考慮すれば、酸化物半導体層の窒素濃度に対するバンドギャップとシート抵抗、および結晶性には相関があることがわかる。
【符号の説明】
【0188】
100:基板
101:下地絶縁層
102:酸化物半導体層
102a:窒素の高濃度領域
102b:窒素の低濃度領域
103:ソース電極層
104:ドレイン電極層
105:ゲート絶縁層
106:ゲート電極層
107:保護絶縁層
110:トランジスタ
111:トランジスタ
112:トランジスタ
113:トランジスタ
130:基板
132:半導体膜
132a:第1の酸化物半導体膜
132b:第2の酸化物半導体膜
3001 本体
3002 筐体
3003a 表示部
3003b 表示部
3004 キーボードボタン
5001 表示部
5002 ヒンジ
5003 表示パネル
5004 操作ボタン
5005 携帯電話機
5006 タッチ入力ボタン
7001 発光素子駆動用トランジスタ
7002 発光素子
7003 電極
7004 EL層
7005 電極
7008 電極
7009 隔壁
7010 基板
7011 発光素子駆動用トランジスタ
7012 発光素子
7014 EL層
7015 電極
7016 保護膜
7017 電極
7019 隔壁
7020 基板
7021 発光素子駆動用トランジスタ
7022 発光素子
7024 EL層
7025 電極
7027 電極
7029 隔壁
7030 ゲート絶縁層
7031 ゲート絶縁層
7032 絶縁層
7033 カラーフィルタ層
7034 オーバーコート層
7035 保護絶縁層
7040 ゲート絶縁層
7041 ゲート絶縁層
7042 絶縁層
7052 保護絶縁層
7053 平坦化絶縁層
7055 絶縁層
9600 テレビジョン装置
9601 筐体
9602 記憶媒体再生録画部
9603 表示部
9604 外部接続端子
9605 スタンド
9606 外部メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲート電極層と、
該ゲート電極層と接する第1の絶縁層と、
該第1の絶縁層に接する酸化物半導体層と、
該酸化物半導体層に接する第2の絶縁層と、を有し、
前記酸化物半導体層は、ウルツ鉱型結晶構造を有し、且つ、前記第1の絶縁層に近いほど高くなる窒素濃度の濃度勾配を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
ゲート電極層と、
該ゲート電極層と接する第1の絶縁層と、
該第1の絶縁層に接する第1の酸化物半導体層と、
該第1の酸化物半導体層に接する第2の酸化物半導体層と、
該第2の酸化物半導体層に接する第2の絶縁層と、を有し、
前記第1の酸化物半導体層及び前記第2の酸化物半導体層は、ウルツ鉱型結晶構造を有し、且つ、前記第1の酸化物半導体層の窒素濃度は、前記第2の酸化物半導体層よりも高いことを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項2において、前記第1の酸化物半導体層の窒素濃度は、0.1原子%以上7原子%未満であることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3において、前記第2の酸化物半導体層の窒素濃度は、1×1017/cm以上5×1019/cm未満であることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
絶縁表面を有する基板上に窒素を含む絶縁膜を形成し、
前記窒素を含む絶縁膜が形成された基板を真空チャンバー内に導入し、
金属酸化物ターゲットが設けられた前記真空チャンバー内に窒素ガスを導入して、基板温度が150℃以上450℃以下の第1の成膜条件により窒素を含む第1の酸化物半導体膜を成膜し、
前記真空チャンバー内に窒素ガスを導入して、基板温度が150℃以上450℃以下の第2の成膜条件により前記第1の酸化物半導体膜上に接して窒素を含む第2の酸化物半導体膜を成膜する半導体装置の作製方法。
【請求項6】
絶縁表面を有する基板上にゲート電極層を形成し、
前記ゲート電極層上に窒素を含む絶縁膜を形成し、
前記ゲート電極層及び前記窒素を含む絶縁膜が形成された基板を真空チャンバー内に導入し、
金属酸化物ターゲットが設けられた前記真空チャンバー内に窒素ガスを導入して、基板温度が150℃以上450℃以下の第1の成膜条件により窒素を含む第1の酸化物半導体膜を成膜し、
前記真空チャンバー内に窒素ガスを導入して、基板温度が150℃以上450℃以下の第2の成膜条件により前記第1の酸化物半導体膜上に接して窒素を含む第2の酸化物半導体膜を成膜する半導体装置の作製方法。
【請求項7】
請求項5または請求項6において、さらに、前記第2の成膜条件での成膜後に、150℃以上650℃以下の加熱処理を行う半導体装置の作製方法。
【請求項8】
請求項5乃至7のいずれか一において、前記第1の成膜条件において、前記真空チャンバーに導入するスパッタガスの全流量比に対する窒素ガス流量の割合は90%以上100%以下である半導体装置の作製方法。
【請求項9】
請求項5乃至8のいずれか一において、前記第1の成膜条件における前記窒素ガスは加熱された状態で前記真空チャンバーに導入される半導体装置の作製方法。
【請求項10】
請求項5乃至9のいずれか一において、前記第2の成膜条件におけるスパッタガスは、窒素ガスの他に、酸素ガスまたは希ガスを導入する半導体装置の作製方法。
【請求項11】
請求項5乃至10のいずれか一において、前記窒素を含む絶縁膜を形成した後、前記窒素を含む絶縁膜の表面に窒素プラズマ処理を行う半導体装置の作製方法。
【請求項12】
請求項5乃至10のいずれか一において、前記窒素を含む絶縁膜は、窒素プラズマ処理を行って絶縁膜の表面に窒素を添加して形成された膜であることを特徴とする半導体装置の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−134469(P2012−134469A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255843(P2011−255843)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】