説明

半導体装置とその製造方法

【課題】 微細トランジスタと高耐圧トランジスタの線幅バラツキを低減する。
【解決手段】 P型の半導体基板1上の段差部を境にしてP型ウエル2及びN型ウエル3が形成されたものにおいて、段差低部に形成される前記P型ウエル2上に第1線幅を有する第1のトランジスタ(微細トランジスタ)が形成され、段差高部に形成される前記N型ウエル3上に第1のトランジスタよりも線幅の太い第2線幅を有する第2のトランジスタ(高耐圧トランジスタ)が形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体装置とその製造方法に関し、更に言えば、LOCOS法を用いたCMOSプロセスにおけるCMOSトランジスタ構造とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】以下、従来の半導体装置とその製造方法について図面を参照しながら説明する。
【0003】図19において、51は半導体基板(P−sub)で、当該基板51内にN型ウエル(NW)52とP型ウエル(PW)53が形成され、当該N型ウエル52上に第1のゲート酸化膜54Aを介して第1のゲート電極55Aが形成され、当該ゲート電極55Aの近傍に第1の(P型の)ソースドレイン層56が形成された第1の(Pチャネル型の)MOSトランジスタが構成され、前記P型ウエル53上に第2のゲート酸化膜54Bを介して第2のゲート電極55Bが形成され、当該ゲート電極55Bの近傍に第2の(N型の)ソースドレイン層57が形成された第2の(Nチャネル型の)MOSトランジスタが構成されている。また、58は素子分離膜である。
【0004】以下、上記半導体装置の製造方法について説明すると、先ず、図20に示すように前記基板51の所定領域(P型ウエル53形成領域)にパッド酸化膜60及びシリコン窒化膜61を形成した後に、当該パッド酸化膜60及びシリコン窒化膜61をマスクに基板表面にリンイオン(31+)をイオン注入してイオン注入層62を形成する。
【0005】続いて、図21に示すように前記シリコン窒化膜61をマスクに基板表面をLOCOS法によりフィールド酸化してLOCOS膜63を形成する。このとき、LOCOS膜63形成領域下にイオン注入されていたリンイオンが基板内部に拡散されてN型層64が形成される。
【0006】次に、図22に示すように前記パッド酸化膜60及びシリコン窒化膜61を除去した後に、前記LOCOS膜63をマスクに基板表面にボロンイオン(11+)をイオン注入してイオン注入層65を形成する。
【0007】そして、図23に示すように前記LOCOS膜63を除去した後に、前記基板51に注入された各不純物イオンを熱拡散させて、N型ウエル52及びP型ウエル53を形成する。
【0008】続いて、図24に示すように前記N型ウエル52とP型ウエル53との境界線上に素子分離膜58を形成した後に、当該素子分離膜58以外の領域にゲート酸化膜54を形成し、その上に導電膜55を形成する。更に、当該導電膜55をパターニングすることで前記N型ウエル52上に第1のゲート酸化膜54Aを介して第1のゲート電極55Aを形成し、同様にして前記P型ウエル53上に第2のゲート酸化膜55Bを介して第2のゲート電極55Bを形成する。
【0009】そして、前記第2のMOSトランジスタ形成領域上にレジスト膜を形成した状態で、前記第1のゲート電極55Aをマスクにイオン注入することで、当該第1のゲート電極55Aの近傍にP型のソース・ドレイン層56を形成して第1のMOSトランジスタを構成し、前記第2のゲート電極55Bの近傍にN型のソース・ドレイン層57を形成して第2のMOSトランジスタを構成していた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ここで、上記CMOS構造において、N型ウエル52及びP型ウエル53を作り分けるためにLOCOS法を利用しているため、LOCOS膜63が除去された領域に形成されるN型ウエル52は、P型ウエル53位置よりも低くなってしまう(図23参照)。
【0011】そのため、図24に示すようにこのような段差が発生した領域において、ゲート酸化膜54上の導電膜55をパターニングしてゲート電極を形成する際には、定在波による線幅ばらつきを防止するため、また段差部でのハレーションを防止するためにレジスト膜67の下に反射防止膜として有機薄膜66(BARC:Bottom Anti Refrection Coating)を塗布していた。
【0012】しかし、上記有機BARCは、スピンコートで塗布されるため、段差低部で厚く、段差高部で薄くなってしまう(図24参照)。そのため、微細な(例えば、0.35μm)BARCをドライエッチングで加工する場合、段差低部と段差高部でBARC厚が異なるため、段差低部のゲート電極と段差高部のゲート電極の線幅サイズに差ができてしまう。尚、図25にはBARCエッチング量の不足により段差低部にBARCが残ってしまう状態を示し(有機薄膜66Aと有機薄膜66Bの幅サイズは同等)、図26にはBARCエッチング量に差がある(有機薄膜66Cに比べて有機薄膜66Dの幅サイズが細い(有機薄膜66の削れ量X1<X2))ため、ゲート電極の線幅に差が出てしまう(段差高部の線幅が細くなってしまう)状態を示している。
【0013】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明の半導体装置は上記課題に鑑み為されたもので、例えば一導電型の半導体基板上の段差部を境にして一導電型及び逆導電型の半導体層が形成されたものにおいて、段差低部に形成される前記一導電型の半導体層あるいは前記逆導電型の半導体層のどちらか一方に第1線幅を有する第1のトランジスタが形成され、段差高部に形成される前記一導電型の半導体層あるいは前記逆導電型の半導体層のどちらか一方に第1のトランジスタよりも線幅の太い第2線幅を有する第2のトランジスタが形成されていることを特徴とする。
【0014】また、その製造方法は、段差低部に形成される前記一導電型の半導体層あるいは前記逆導電型の半導体層のどちらか一方の半導体層上に第1のゲート酸化膜を形成する工程と、段差高部に形成される前記一導電型の半導体層あるいは前記逆導電型の半導体層のどちらか一方の半導体層上に第2のゲート酸化膜を形成する工程と、前記第1及び第2のゲート酸化膜上に導電膜を形成した後に当該導電膜をパターニングして第1のゲート電極及び当該第1のゲート電極よりも線幅の太い第2のゲート電極を形成する工程と、前記第1のゲート電極の近傍に形成され、当該ゲート電極が形成された半導体層と逆導電型の第1のソース・ドレイン層を形成して第1のトランジスタを形成する工程と、前記第2のゲート電極の近傍に形成され、当該ゲート電極が形成された半導体層と逆導電型の第2のソース・ドレイン層を形成して第2のトランジスタを形成する工程とを具備したことを特徴とする。
【0015】そして、前記第1のトランジスタは通常耐圧MOSトランジスタを構成し、前記第2のMOSトランジスタは高耐圧MOSトランジスタを構成していることを特徴とする。
【0016】また、前記一導電型の半導体基板に一導電型の半導体層及び逆導電型の半導体層を形成する工程が、LOCOS法を利用することで前記基板上に段差部が形成されることを特徴とする。
【0017】更に、前記導電膜をパターニングして第1及び第2のゲート電極を形成する工程では、当該導電膜上に有機膜及びレジスト膜を形成した後に、当該レジスト膜をマスクに前記有機膜をパターニングし、更にレジスト膜及び前記有機膜をマスクに導電膜をパターニングすることを特徴とする。
【0018】これにより、前記基板上に段差がある場合において、段差低部には段差高部に形成される第2のゲート電極よりも線幅サイズの細い第1のゲート電極が形成されることで、加工マージンの少ない微細なゲート電極にも対応可能になる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の半導体装置とその製造方法に係る第1の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0020】ここで、本発明の特徴は、半導体基板上に段差があるような場合において、段差低部には段差高部に形成される第2のゲート電極よりも線幅サイズの細い第1のゲート電極を配置するようにしたことである。即ち、定在波による線幅ばらつきや段差部でのハレーションの発生を防止するために塗布する有機BARCの厚みの差から生じる段差低部に形成されるゲート電極と段差高部に形成されるゲート電極との線幅バラツキを抑制する。そのため、本実施形態では段差低部に形成されるゲート電極が段差高部に形成されるゲート電極の線幅よりも細いものを配置している。
【0021】以下、本発明を線幅の細い第1のゲート電極(例えば、3Vロジック用:0.35μm)を段差低部に形成し、線幅の太い第2のゲート電極(例えば、30V耐圧を有する高電源用:5μm)を段差高部に形成する場合を例にして説明する。
【0022】図1において、1は一導電型、例えばP型の半導体基板(P−sub)で、当該基板1内にP型ウエル(PW)2とN型ウエル(NW)3が形成され、当該P型ウエル2上に第1のゲート酸化膜4Aを介して第1のゲート電極5Aが形成され、当該ゲート電極5Aの近傍に第1の(N型の)ソースドレイン層6が形成された第1の(Nチャネル型の)MOSトランジスタが構成され、前記N型ウエル3上に第2のゲート酸化膜4Bを介して第2のゲート電極5Bが形成され、当該ゲート電極5Bの近傍に第2の(P型の)ソースドレイン層7が形成された第2の(Pチャネル型の)MOSトランジスタが構成されている。また、8は素子分離膜である。
【0023】図2において、半導体基板1(P−sub)の所定領域(N型ウエル3形成領域)にパッド酸化膜10及びシリコン窒化膜11を形成した後に、当該パッド酸化膜10及びシリコン窒化膜11をマスクに基板表面に、例えばボロンイオン(11+)をおよそ80KeVの加速電圧で、8×1012/cm2の注入条件でイオン注入してイオン注入層12を形成する。
【0024】その後、図3に示すように前記シリコン窒化膜11をマスクに基板表面をLOCOS法によりフィールド酸化してLOCOS膜13を形成する。このとき、LOCOS膜13形成領域下にイオン注入されていたボロンイオンが基板内部に拡散されてP型層14が形成される。
【0025】次に、図4に示すように前記パッド酸化膜10及びシリコン窒化膜11を除去した後に、前記LOCOS膜13をマスクに基板表面にリンイオン(31+)をおよそ80KeVの加速電圧で、9×1012/cm2の注入条件でイオン注入してイオン注入層15を形成する。
【0026】続いて、図5に示すように前記LOCOS膜13を除去した後に、前記基板1に注入された各不純物イオンを熱拡散させて、P型ウエル2及びN型ウエル3を形成する。
【0027】続いて、図6に示すように前記P型ウエル2とN型ウエル3との境界線上に素子分離膜8を形成した後に、当該素子分離膜8以外の領域にゲート酸化膜4を形成し、その上に導電膜5(例えば、ポリシリコン膜やポリシリコン膜とタングステンシリサイド膜(WSix膜)が積層されたポリサイド膜等)を形成する。
【0028】次に、図7に示すように前記導電膜5上に有機BARCを塗布して有機薄膜16を形成し、その上にレジスト膜17を形成する。このとき、有機BARCがスピンコートされるため、有機薄膜16の膜厚は段差高部に比べて段差低部側が厚くなる。
【0029】そして、図8に示すように前記レジスト膜17をマスクに前記導電膜5をパターニングして第1のゲート電極5A及び第2のゲート電極5Bを形成する。
【0030】即ち、先ず、レジスト膜17下の有機薄膜16がパターニングされた後に、当該レジスト膜17及び有機薄膜16をマスクにして前記導電膜5がパターニングされて第1のゲート電極5A及び第2のゲート電極5Bが形成される(図1参照)。このとき、有機薄膜16の厚さの違いから段差低部の有機薄膜16Aに比べて段差高部の有機薄膜16Bがより削られて線幅が細る。しかし、例えば、段差低部の有機薄膜16Aの削れ量X1が0.02μmで、段差高部の有機薄膜16Bの削れ量X2が0.05μmであったとしても、段差高部に形成される第1のゲート電極5Bの線幅サイズが設計上、5μmと比較的太いため、このような線幅バラツキによる影響が小さくてすむ。
【0031】従って、前記レジスト膜17及び有機薄膜16A,16Bをマスクに前記導電膜5をパターニングすることで、線幅バラツキの影響が低減された第1のゲート電極5A及び第2のゲート電極5Bが形成される。
【0032】以下、図1に示すように前記第1のゲート電極5Aの近傍にN型不純物(例えば、リンイオン)をイオン注入してN型のソースドレイン層6を形成し、同様にして前記第2のゲート電極5Bの近傍にP型不純物(例えば、ボロンイオン)をイオン注入してP型のソースドレイン層7を形成し、図示した説明は省略するが、全面に層間絶縁膜を形成し、各ソースドレイン層6,7にコンタクトする金属配線を形成することで、微細な(例えば、3Vロジック用:0.35μm)通常耐圧のMOSトランジスタと高耐圧(例えば、高電源:5μm)MOSトランジスタが混載された半導体装置が完成する。
【0033】尚、説明の便宜上、上述した説明では通常耐圧MOSトランジスタと高耐圧MOSトランジスタとも同一膜厚のゲート酸化膜4A,4Bが形成されているかのごとく説明しているが、実際のゲート酸化膜4A,4Bの膜厚は、例えば3V程度の通常耐圧MOSトランジスタ側のゲート酸化膜4Aの膜厚はおよそ7nmで、例えば30V程度の高耐圧MOSトランジスタ側のゲート酸化膜4Bの膜厚はおよそ80nm必要であり、それぞれ別工程で形成されるものである。また、同様に、実際の各ソースドレイン層6,7の構成も各種トランジスタ特性に応じて、いわゆるLDD構造であったり、DDD構造であったり、図示したようなシングル構造であったりと種々異なる構造をしている。
【0034】以上説明したように本発明では、半導体基板上に段差部を有したものであってもゲート電極の線幅バラツキを低減することができる。
【0035】また、ゲート電極の線幅調整の自由度が上がるといった利点もある。更には、微細なMOSトランジスタと、高電源MOSトランジスタの混載が容易になる。
【0036】そして、本発明を液晶駆動用ドライバを構成する各種MOSトランジスタが混載されて成る半導体装置に適用した第2の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0037】上記液晶駆動用ドライバは、図18(a)の左側からロジック系の(例えば、3V)Nチャネル型MOSトランジスタ及びPチャネル型MOSトランジスタ、レベルシフタ用の(例えば、30V)Nチャネル型MOSトランジスタ、高耐圧系の(例えば、30V)Nチャネル型MOSトランジスタ,図18(b)の左側から低オン抵抗化が図れられた高耐圧系の(例えば、30V)Nチャネル型MOSトランジスタ、高耐圧系の(例えば、30V)Pチャネル型MOSトランジスタ,及び低オン抵抗化が図れられた高耐圧系の(例えば、30V)Pチャネル型MOSトランジスタで構成される。尚、説明の便宜上、上記高耐圧系のMOSトランジスタと低オン抵抗化が図られた高耐圧系のMOSトランジスタとを差別化するため、以下の説明では低オン抵抗化が図られた高耐圧系のMOSトランジスタをSLED(Slit channel by counter doping with extended shallow drain)MOSトランジスタと呼称する。
【0038】このような液晶駆動用ドライバを構成する各種MOSトランジスタが混載されて成る半導体装置では、図18に示すように上記高耐圧系のPチャネル型MOSトランジスタと上記低オン抵抗化が図られた高耐圧系のPチャネル型SLEDMOSトランジスタが構成されるN型ウエル23が段差高部となり、その他の各種MOSトランジスタが構成されるP型ウエル22が段差低部に構成される。言い換えれば、微細なロジック系の(例えば、3V)Nチャネル型MOSトランジスタ及びPチャネル型MOSトランジスタが段差低部に配置されるように構成されている。
【0039】この場合においても、半導体基板上に段差低部に少なくとも微細なロジック系の(例えば、3V:0.35μm)Nチャネル型MOSトランジスタ及びPチャネル型MOSトランジスタを構成するように配置することで、上述したようにゲート電極の線幅バラツキを低減することができる。
【0040】以下、上記半導体装置の製造方法について説明する。尚、重複した説明を避けるため、第1の実施形態の説明で用いた図面を参照しながら説明する。
【0041】先ず、図9において、各種MOSトランジスタを構成するための領域を画定するために、例えばP型の半導体基板(P−sub)21内にP型ウエル(PW)22及びN型ウエル(NW)23を形成する(以下、図2乃至図5参照)。
【0042】先ず、図2に示すように前記基板21のN型ウエル形成領域上にパッド酸化膜10及びシリコン窒化膜11を形成し、当該パッド酸化膜10及びシリコン窒化膜11をマスクにして、例えばボロンイオンをおよそ80KeVの加速電圧で、8×1012/cm2の注入条件でイオン注入して、イオン注入層12を形成する。その後、図3に示すように前記シリコン窒化膜11をマスクに基板表面をLOCOS法によりフィールド酸化してLOCOS膜13を形成する。このとき、LOCOS膜13形成領域下にイオン注入されていたボロンイオンが基板内部に拡散されてP型層14が形成される。
【0043】次に、図4に示すように前記パッド酸化膜10及びシリコン窒化膜11を除去した後に、前記LOCOS膜13をマスクに基板表面にリンイオンをおよそ80KeVの加速電圧で、9×1012/cm2の注入条件でイオン注入してイオン注入層15を形成する。
【0044】そして、図5に示すように前記LOCOS膜13を除去した後に、前記基板1に注入された各不純物イオンを熱拡散させて、P型ウエル及びN型ウエルを形成することで、図9に示すように前記基板21内に形成されるP型ウエル22は段差低部に配置され、N型ウエル23は段差高部に配置される。
【0045】次に、図10において、各MOSトランジスタ毎に素子分離するため、およそ500nm程度の素子分離膜24をLOCOS法により形成し、この素子分離膜24以外の活性領域上におよそ80nm程度の高耐圧用の厚いゲート酸化膜25を熱酸化により形成する。
【0046】続いて、レジスト膜をマスクにして第1の低濃度のN型及びP型のソースドレイン層(以下、LN層26、LP層27と称す。)を形成する。即ち、先ず、不図示のレジスト膜でLN層形成領域上以外の領域を被覆した状態で基板表層に、例えばリンイオンをおよそ120KeVの加速電圧で、8×1012/cm2の注入条件でイオン注入してLN層26を形成する。その後、レジスト膜(PR)でLP層形成領域上以外の領域を被覆した状態で基板表層に、例えばボロンイオンをおよそ120KeVの加速電圧で、8.5×1012/cm2の注入条件でイオン注入してLP層27を形成する。尚、実際には後工程のアニール工程(例えば、1100℃のN2雰囲気中で、2時間)を経て、上記イオン注入された各イオン種が熱拡散されてLN層26及びLP層27となる。
【0047】続いて、図11において、Pチャネル型及びNチャネル型SLEDMOSトランジスタ形成領域の形成された前記LN層26間及びLP層27間にレジスト膜をマスクにしてそれぞれ第2の低濃度のN型及びP型のソースドレイン層(以下、SLN層28及びSLP層29と称す。)を形成する。即ち、先ず、不図示のレジスト膜でSLN層形成領域上以外の領域を被覆した状態で基板表層に、例えばリンイオンをおよそ120KeVの加速電圧で、1.5×1012/cm2の注入条件でイオン注入して前記LN層26に連なるSLN層28を形成する。その後、レジスト膜(PR)でSLP層形成領域上以外の領域を被覆した状態で基板表層に、例えばニフッ化ボロンイオン(49BF2+)をおよそ140KeVの加速電圧で、2.5×1012/cm2の注入条件でイオン注入して前記LP層27に連なるSLP層29を形成する。尚、前記LN層26と前記SLN層28または前記LP層27と前記SLP層29の不純物濃度は、ほぼ同等であるか、どちらか一方が高くなるように設定されている。
【0048】更に、図12において、レジスト膜をマスクにして高濃度のN型及びP型のソースドレイン層(以下、N+層30、P+層31と称す。)を形成する。即ち、先ず、不図示のレジスト膜でN+層形成領域上以外の領域を被覆した状態で基板表層に、例えばリンイオンをおよそ80KeVの加速電圧で、2×1015/cm2の注入条件でイオン注入してN+層30を形成する。その後、レジスト膜(PR)でP+層形成領域上以外の領域を被覆した状態で基板表層に、例えばニフッ化ボロンイオンをおよそ140KeVの加速電圧で、2×1015/cm2の注入条件でイオン注入してP+層31を形成する。
【0049】次に、図13において、前記SLN層28及びSLP層29の形成用のマスク開口径(図11参照)よりも細い開口径を有するレジスト膜をマスクにして前記LN層26に連なるSLN層28の中央部及び前記LP層27に連なるSLP層29の中央部にそれぞれ逆導電型の不純物をイオン注入することで、当該SLN層28及びSLP層29を分断するP型ボディ層32及びN型ボディ層33を形成する。即ち、先ず、不図示のレジスト膜でP型層形成領域上以外の領域を被覆した状態で基板表層に、例えばニフッ化ボロンイオンをおよそ120KeVの加速電圧で、5×1012/cm2の注入条件でイオン注入してP型ボディ層32を形成する。その後、レジスト膜(PR)でN型層形成領域上以外の領域を被覆した状態で基板表層に、例えばリンイオンをおよそ190KeVの加速電圧で、5×1012/cm2の注入条件でイオン注入してN型ボディ層33を形成する。尚、上記図11〜図13に示すイオン注入工程に関する作業工程順は、適宜変更可能なものであり、前記P型ボディ層32及びN型ボディ層33の表層部にチャネルが構成される。
【0050】更に、図14において、前記通常耐圧用の微細化Nチャネル型及びPチャネル型MOSトランジスタ形成領域の基板(P型ウエル22)内に第2のP型ウエル(SPW)34及び第2のN型ウエル(SNW)35を形成する。
【0051】即ち、前記通常耐圧のNチャネル型MOSトランジスタ形成領域上に開口を有する不図示のレジスト膜をマスクにして前記P型ウエル22内に、例えばボロンイオンをおよそ190KeVの加速電圧で、1.5×1013/cm2の第1の注入条件でイオン注入後、同じくボロンイオンをおよそ50KeVの加速電圧で、2.6×1012/cm2の第2の注入条件でイオン注入して、第2のP型ウエル34を形成する。また、前記通常耐圧用のPチャネル型MOSトランジスタ形成領域上に開口を有するレジスト膜(PR)をマスクにして前記P型ウエル22内に例えばリンイオンをおよそ380KeVの加速電圧で、1.5×1013/cm2の注入条件でイオン注入して、第2のN型ウエル35を形成する。尚、380KeV程度の高加速電圧発生装置が無い場合には、2価のリンイオンをおよそ190KeVの加速電圧で、1.5×1013/cm2の注入条件でイオン注入するダブルチャージ方式でも良い。続いてリンイオンをおよそ140KeVの加速電圧で、4.0×1012/cm2の注入条件でイオン注入する。
【0052】次に、通常耐圧用のNチャネル型及びPチャネル型MOSトランジスタ形成領域上とレベルシフタ用のNチャネル型MOSトランジスタ形成領域上の前記ゲート酸化膜25を除去した後に、図15に示すように、この領域上に新たに所望の膜厚のゲート酸化膜を形成する。
【0053】即ち、先ず、全面にレベルシフタ用のNチャネル型MOSトランジスタ用におよそ14nm程度(この段階では、およそ7nm程度であるが、後述する通常耐圧用のゲート酸化膜形成時に膜厚が増大する。)のゲート酸化膜36を熱酸化により形成する。続いて、通常耐圧用のNチャネル型及びPチャネル型MOSトランジスタ形成領域上に形成された前記レベルシフタ用のNチャネル型MOSトランジスタのゲート酸化膜36を除去した後に、この領域に通常耐圧用の薄いゲート酸化膜37(およそ7nm程度)を熱酸化により形成する。
【0054】続いて、図16において、全面におよそ100nm程度のポリシリコン膜を形成し、このポリシリコン膜にPOCl3を熱拡散源として熱拡散し導電化した後に、このポリシリコン膜上におよそ100nm程度のタングステンシリサイド膜、更にはおよそ150nm程度のSiO2膜を積層し、不図示のレジスト膜を用いてパターニングして各MOSトランジスタ用のゲート電極38A,38B,38C,38D,38E,38F,38Gを形成する。尚、前記SiO2膜は、パターニング時のハードマスクとして働く。
【0055】ここで、上記ゲート電極をパターニング形成する際には、各ゲート酸化膜25,36,37を介して全面に導電膜5を形成した後に、その上に有機BARCを塗布して有機薄膜16を形成する。このとき、有機BARCがスピンコートされるため、有機薄膜16の膜厚は段差高部に比べて段差低部側が厚くなる(図7参照)。
【0056】そして、前記有機薄膜16上に形成したレジスト膜17をマスクに前記導電膜5をパターニングして各ゲート電極ゲート電極(38A,38B,38C,38D,38E,38F,38G)を形成する(図8参照)。
【0057】このとき、有機薄膜16の厚さの違いから段差低部の有機薄膜16に比べて段差高部の有機薄膜16がより削られて線幅が細る。しかし、本実施形態では、段差高部には高耐圧のPチャネル型MOSトランジスタと低オン抵抗化が図られた高耐圧のPチャネル型SLEDMOSトランジスタ用の線幅サイズが設計上、5μmと比較的太い各ゲート電極38E,38Gが形成されるため、線幅バラツキによる影響が小さくなっている。
【0058】従って、前記レジスト膜17及び有機薄膜16をマスクに前記導電膜5をパターニングすることで、線幅バラツキの影響が低減されたゲート電極38A,38B,38C,38D,38E,38F,38Gが形成される。
【0059】続いて、図17において、前記通常耐圧用のNチャネル型及びPチャネル型MOSトランジスタ用に低濃度のソースドレイン層を形成する。
【0060】即ち、先ず、通常耐圧用のNチャネル型MOSトランジスタ用の低濃度ソースドレイン層形成領域上以外の領域を被覆する不図示のレジスト膜をマスクにして、例えばリンイオンをおよそ20KeVの加速電圧で、6.2×1013/cm2の注入条件でイオン注入して、低濃度のN−型ソースドレイン層39を形成する。また、通常耐圧用のPチャネル型MOSトランジスタ用の低濃度ソースドレイン層形成領域上以外の領域を被覆するレジスト膜(PR)をマスクにして、例えばニフッ化ボロンイオンをおよそ20KeVの加速電圧で、2×1013/cm2の注入条件でイオン注入して、低濃度のP−型ソースドレイン層40を形成する。
【0061】更に、図18において、全面に前記ゲート電極38A,38B,38C,38D,38E,38F,38Gを被覆するようにおよそ250nm程度のTEOS膜41をLPCVD法により形成し、前記通常耐圧用のNチャネル型及びPチャネル型MOSトランジスタ形成領域上に開口を有するレジスト膜(PR)をマスクにして前記TEOS膜41を異方性エッチングする。これにより、図18に示すように前記ゲート電極38A,38Bの両側壁部にサイドウォールスペーサ膜41Aが形成され、前記レジスト膜(PR)で被覆された領域にはTEOS膜41がそのまま残る。
【0062】そして、前記ゲート電極38Aとサイドウォールスペーサ膜41A並びに、前記ゲート電極38Bとサイドウォールスペーサ膜41Aをマスクにして、前記通常耐圧用のNチャネル型及びPチャネル型MOSトランジスタ用に高濃度のソースドレイン層を形成する。
【0063】即ち、通常耐圧用のNチャネル型MOSトランジスタ用の高濃度ソースドレイン層形成領域上以外の領域を被覆する不図示のレジスト膜をマスクにして、例えばヒ素イオンをおよそ100KeVの加速電圧で、5×1015/cm2の注入条件でイオン注入して、高濃度のN+型ソースドレイン層42を形成する。また、通常耐圧用のPチャネル型MOSトランジスタ用の高濃度ソースドレイン層形成領域上以外の領域を被覆する不図示のレジスト膜をマスクにして、例えばニフッ化ボロンイオンをおよそ40KeVの加速電圧で、2×1015/cm2の注入条件でイオン注入して、高濃度のP+型ソースドレイン層43を形成する。
【0064】以下、図示した説明は省略するが、全面にTEOS膜及びBPSG膜等からなるおよそ600nm程度の層間絶縁膜を形成した後に、前記各高濃度のソースドレイン層30,31,42,43にコンタクトする金属配線層を形成することで、前記液晶駆動用ドライバを構成する通常耐圧用のNチャネル型MOSトランジスタ及びPチャネル型MOSトランジスタ、レベルシフタ用のNチャネル型MOSトランジスタ、高耐圧用のNチャネル型MOSトランジスタ及びPチャネル型MOSトランジスタ,低オン抵抗化が図られた高耐圧用のNチャネル型DMOSトランジスタ及びPチャネル型DMOSトランジスタが完成する。
【0065】尚、以上の説明では、前記P型ウエル2,22側が段差低部に形成される実施形態について説明しているが、これは微細なMOSトランジスタがP型ウエル2,22上に形成されるためであり、本発明はこれに限定されるものではなく、N型ウエル3,23上に微細なMOSトランジスタが形成される場合には、当該N型ウエル3,23側が段差低部に形成されるものである。
【0066】また、本発明は、例えば段差高低差データに基づいて各段差部に形成されるゲート電極の線幅サイズを調整することにも適用可能である。
【0067】更に、本発明はゲート電極をパターニング形成するものに限らず、表面に段差を有する半導体基板上に、例えば配線等のパターンを構成する場合においても、段差低部に段差高部に比べて微細なパターンを形成することで、線幅バラツキの影響を低減するものに適用しても良い。
【0068】
【発明の効果】本発明によれば、表面に段差を有する半導体基板上にあるパターンを構成する場合、段差低部に段差高部に比べて微細なパターンを形成することで、線幅バラツキの影響を低減することができる。
【0069】従って、例えば、このような表面に段差を有する半導体基板上に第1及び第2のトランジスタを構成する場合、段差低部に微細なトランジスタを配置し、段差高部に比較的線幅サイズが太いトランジスタを配置することで、線幅バラツキの影響を低減することができ、微細化プロセスとの混載が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図8】本発明の第1の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図9】本発明の第2の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図10】本発明の第2の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図11】本発明の第2の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図12】本発明の第2の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図13】本発明の第2の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図14】本発明の第2の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図15】本発明の第2の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図16】本発明の第2の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図17】本発明の第2の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図18】本発明の第2の実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図19】従来の半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図20】従来の半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図21】従来の半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図22】従来の半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図23】従来の半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図24】従来の半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図25】従来の半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図26】従来の半導体装置の製造方法を示す断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 表面に段差を有する半導体基板上の段差低部に段差高部に比べて微細なパターンを形成したことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】 表面に段差を有する半導体基板上に形成された半導体装置において、段差低部に形成される一導電型の半導体層あるいは逆導電型の半導体層のどちらか一方に第1線幅を有する第1のトランジスタが形成され、段差高部に形成される前記一導電型の半導体層あるいは前記逆導電型の半導体層のどちらか一方に第1のトランジスタよりも線幅の太い第2線幅を有する第2のトランジスタが形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】 一導電型の半導体基板上の段差部を境にして形成された一導電型及び逆導電型の半導体層と、段差低部に形成される前記一導電型の半導体層あるいは前記逆導電型の半導体層のどちらか一方の半導体層上に第1のゲート酸化膜を介して形成された第1のゲート電極と、前記第1のゲート電極の近傍に形成され、前記半導体層と逆導電型の第1のソース・ドレイン層とから構成された第1のトランジスタと、段差高部に形成される前記一導電型の半導体層あるいは前記逆導電型の半導体層のどちらか一方の半導体層上に第2のゲート酸化膜を介して形成された前記第1のゲート電極よりも線幅の太い第2のゲート電極と、前記第2のゲート電極の近傍に形成され、前記半導体層と逆導電型の第2のソース・ドレイン層とから構成された第2のトランジスタとを具備したことを特徴とする半導体装置。
【請求項4】 前記第1のトランジスタは通常耐圧のMOSトランジスタを構成し、前記第2のトランジスタは高耐圧MOSトランジスタを構成していることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】 表面に段差を有する半導体基板上の段差低部に段差高部に比べて微細なパターンを形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】 一導電型の半導体基板上の段差部を境にして形成された一導電型及び逆導電型の半導体層上に第1及び第2のトランジスタを形成する半導体装置の製造方法において、段差低部に形成される一導電型の半導体層あるいは逆導電型の半導体層のどちらか一方に第1線幅を有する第1のトランジスタを形成し、段差高部に形成される前記一導電型の半導体層あるいは前記逆導電型の半導体層のどちらか一方に第1のトランジスタよりも線幅の太い第2線幅を有する第2のトランジスタを形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】 一導電型の半導体基板上の段差部を境にして形成された一導電型及び逆導電型の半導体層上に第1及び第2のトランジスタを形成する半導体装置の製造方法において、段差低部に形成される前記一導電型の半導体層あるいは前記逆導電型の半導体層のどちらか一方の半導体層上に第1のゲート酸化膜を形成する工程と、段差高部に形成される前記一導電型の半導体層あるいは前記逆導電型の半導体層のどちらか一方の半導体層上に第2のゲート酸化膜を形成する工程と、前記第1及び第2のゲート酸化膜上に導電膜を形成した後に当該導電膜を有機膜及びレジスト膜をマスクにパターニングし第1のゲート電極及び当該第1のゲート電極に比べて線幅が太い第2のゲート電極を形成する工程と、前記第1のゲート電極の近傍に形成され、当該ゲート電極が形成された半導体層と逆導電型の第1のソース・ドレイン層を形成して第1のトランジスタを形成する工程と、前記第2のゲート電極の近傍に形成され、当該ゲート電極が形成された半導体層と逆導電型の第2のソース・ドレイン層を形成して第2のトランジスタを形成する工程とを具備したことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】 前記一導電型の半導体基板に一導電型の半導体層及び逆導電型の半導体層を形成する工程が、LOCOS法を利用することで前記基板上に段差部が形成されることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の半導体装置の製造方法。

【図4】
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【図5】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図19】
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【図20】
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【図12】
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【図13】
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【図15】
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【図14】
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【図16】
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【図18】
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【図17】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2002−231819(P2002−231819A)
【公開日】平成14年8月16日(2002.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−21222(P2001−21222)
【出願日】平成13年1月30日(2001.1.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】