説明

半導体装置とその製造方法

【課題】 チャンネルドーピングあるいは複雑なゲート電極パターン化の必要性なしに、複数のトランジスタが多閾値電圧を有する半導体装置を提供する。
【解決手段】 半導体装置及びその製造方法において、第1トランジスタは、第1材料で形成された下層と第2材料で形成された上層とを含むゲートスタックを有する。第2トランジスタは、第3材料で形成された下層と第2材料で形成された上層とを含むゲートスタックを有する。第3トランジスタは、第1材料で形成された下層と第4材料で形成された上層とを含むゲートスタックを有する。第4トランジスタは、第3材料で形成された下層と第4材料で形成された上層とを含むゲートスタックを有する。第1材料乃至前記第4材料の仕事関数は互いに異なる。第1トランジスタ乃至第4トランジスタは、互いに異なる閾値電圧を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置とその製造方法に関する。特に、複数のトランジスタに異なる閾値電圧が与えられた半導体装置とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の閾値電圧を持つ半導体装置は、従来、トランジスタのチャンネル領域に異なる量のドーパントを使用することにより、即ち、チャンネルドーピングと呼ばれる技術により、形成されていた。チャンネルドーピングは、短チャンネル効果の制御を助けている。しかしながら、ドーパントのばらつきのため、サブ50nm技術分野では、この技術は装置にとって魅力的ではなくなっている。更に、将来のサブ20nm装置では、チャンネルにエンハンスメント型ゲート制御を提供するために、完全空乏型SOIウエハが使用されそうである。非常に薄い本体SOIトランジスタとフィンFET/トリ・ゲートトランジスタ(縮小ゲート長を許すようにチャンネル領域が背の高い狭いフィン状形状を有する電界効果トランジスタ)が、可能な候補とみなされる。
【0003】
完全空乏型SOI装置では、ゲート制御は、短チャンネル効果が有効に抑制されるように、十分に改善され、それ故に、チャンネルドーピングは避けることができる。未ドープチャンネル領域は、高い移動度、低閾値電圧、ドーパントのばらつきはほとんどない状態となる。しかしながら、従来の技術によれば、多閾値電圧の必要性は、多数の閾値電圧型の少なくとも1つに対してチャンネル領域にドーパントを用いることを必要とするであろう。
【0004】
異なるゲートスタックを使用して、多閾値電圧を達成する他の方法がある。例えば、米国特許公開公報2010/0320545号公報は、異なるトランジスタに対して異なる閾値電圧を作り出すように第1と第2の電圧調整層を使用する技術を開示している。米国特許公開公報2010/0164011号公報は、望ましいエリアにキャップ層を形成することにより、異なる閾値電圧を作り出すことを開示している。米国特許公開公報2010/0176460と2010/0044803は、ゲート誘電膜中の酸素濃度が閾値電圧を制御するために使用されることができることを開示している。日本公開特許公報JP2011−044580Aは、金属マスクを使用するゲート誘電膜の窒化が他の方法であることを開示している。米国特許公開公報2010/0276753は、フォトリソグラフィと各トランジスタの予め決められた厚さまでのエッチングとの繰り返しステップを含むプロセスで、ゲート誘電体厚を制御することにより多閾値電圧を達成している。
【0005】
しかしながら、nFETとpFETとに対して異なるゲートスタックを形成するための従来の技術は、ゲートスタック境界が、(STIのように)微小分離領域において規定される必要があるという欠点がある。更に、ゲートスタックをより複雑にすることは、装置の歩留まりを低下させる可能性がある。特に、多閾値電圧を作り出すための従来のゲートスタックアプローチは、フォトリソグラフィとエッチングの要求される実行回数を大いに増やす。これは、特に、2より多いマスクが、付加的な材料を導入し、多くの厚さを作り出すために、ゲート電極膜又はゲート誘電膜の同じ表面上で使用されなければならないときに、製造コストを増加させ、製造時間を延ばし、出力を減らすように作用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許公開公報2010/0320545号公報
【特許文献2】米国特許公開公報2010/0164011号公報
【特許文献3】米国特許公開公報2010/0176460号公報
【特許文献4】米国特許公開公報2010/0044803号公報
【特許文献5】日本公開特許公報2011−044580号公報
【特許文献6】米国特許公開公報2010/0276753号公報
【発明の概要】
【0007】
本発明は、チャンネルドーピングあるいは複雑なゲート電極パターン化の必要性なしに、複数のトランジスタが多閾値電圧を有する半導体装置を提供する。本発明は、また、リソグラフィステップの数を減らし、多閾値電圧領域を規定し、これによりコストが有効な方法を作り出している。
【0008】
本発明を利用して、多閾値電圧は、達成されることができ、更に完全空乏型のウエハから、高い移動度、低い閾値電圧、及びドーパントの揺らぎの減少(又は無いこと)を得ることができる。
【0009】
こうして、1つの観点で、半導体装置は、第1材料で形成された下層と第2材料で形成された上層とを含むゲートスタックを有する第1トランジスタを備えている。第2トランジスタは、第3材料で形成された下層と第2材料で形成された上層とを含むゲートスタックを有する。第3トランジスタは、第1材料で形成された下層と第4材料で形成された上層とを含むゲートスタックを有する。第4トランジスタは、第3材料で形成された下層と第4材料で形成された上層とを含むゲートスタックを有する。第1材料乃至第4材料の仕事関数は互いに異なり、第1トランジスタ乃至第4トランジスタの各々は、異なる閾値電圧を有する。
【0010】
本発明による半導体装置の実施形態では、第1材料は、半導体装置上に形成される窒化化学酸化物の層であり、第3材料は、半導体装置上に形成される酸化物の層であり、第3材料は、非窒化され、或いは第1材料より少ない程度まで窒化されている。
【0011】
本発明の半導体装置の実施形態では、第2材料はn仕事関数金属の層であり、第3材料はp仕事関数金属の層である。
【0012】
本発明の半導体装置の実施形態では、第1と第3のトランジスタのゲートスタックは、第3材料の層を含まず、第2と第4のトランジスタのゲートスタックは、第1材料の層を含まない。
【0013】
本発明の半導体装置の実施形態では、第3と第4のトランジスタのゲートスタックは、第2材料層を更に備える。
【0014】
本発明の半導体装置の実施形態では、第2材料は、n仕事関数金属の原子がドープされる高k誘電層であり、第4材料は、p仕事関数の原子がドープされる高k誘電層である。
【0015】
本発明の半導体装置の実施形態では、第1材料は、高k誘電層であり、第3材料は、第1材料より多い程度まで第3材料内の空孔は酸素により満たされた高k誘電層である。
【0016】
本発明による半導体装置の実施形態では、第2材料は、高k誘電層であり、第4材料は、第2材料より多い程度まで第4材料内の空孔は酸素により満たされた高k誘電層である。
【0017】
本発明の半導体装置の実施形態では、装置は、第5材料から形成される上層と、第1材料から形成される下層とを含むゲートスタックを有する第5トランジスタと、第5材料から形成される上層と、第3材料から形成される下層とを含むゲートスタックを有する第6トランジスタとを備える。第5材料は、第1から第4の材料の各々とは異なる仕事関数を有し、第1から第6のトランジスタは異なる閾値電圧をそれぞれ有する。
【0018】
他の観点で、本発明は、各々がゲートの下にあり、半導体基板の上にある高k誘電層を有する複数のトランジスタを備えている半導体装置に関する。第1グループの高k誘電層は、n仕事関数金属の原子がドープされ、第2グループの高k誘電層は、p仕事関数金属の原子がドープされている。高k誘電層の第1と第2のグループの各々の第1サブセットは、高k誘電層の第1と第2グループの各々の第2のサブセットにおけるよりも多い程度までに酸素により満たされた空孔を有する。こうして、複数のトランジスタの各々は、少なくとも4つの相互に異なる仕事関数のうちの1つを有する高k誘電層を備えている。
【0019】
他の観点では、本発明は、少なくとも4つの相互に異なる仕事関数のうちの1つを各々有する複数のトランジスタを備える半導体装置に関する。ゲート構造は、ゲートラスト技術により作られ、異なる仕事関数に生じるプロセスと材料のパラメータは、窒化、酸化、及びp仕事関数とn仕事関数の選択的利用である。
【0020】
他の観点で、本発明は、半導体基板上に第1材料の層を成長させることと、第1材料の領域に隣接する第2材料の領域を作るように第1材料の選択部を修正することと、第1材料の層の上にある第3材料の層を堆積することと、第3材料の領域に隣接する第4材料の領域を作るように第3材料の選択部を修正することと、ここで、第4の材料の領域と第3の材料の領域は、第1と第2の材料の両方と別々に重なり、第1から第4の材料は、それぞれ異なる仕事関数を有し、下層として第1と第2の材料の一方と上層として第3と第4の材料の一方とを備えるゲートスタック構造を分離するように、層をエッチングすることを備える、半導体装置を製造する方法に関する。
【0021】
他の観点で、本発明は、半導体基板上にq個の材料の各々の領域を堆積することと、qは2又は3であり、m個の材料の領域の上層にr個の材料の各々の領域を堆積することとを具備し、rは2又は3であり、q個の材料の各々と、r個の材料の各々とは、q個の材料及びr個の材料のうちの他の全ての材料と異なる仕事関数を有し、qとrの一方のみが3となり、q個の材料及びr個の材料をエッチングして、各々が下層のq個の材料の層と上層のr個の材料の層を含むトランジスタのゲートスタックを形成することとを具備し、少なくとも4つの閾値電圧を有するトランジスタゲートを生成される半導体装置の製造方法に関する。
【0022】
他の観点で、本発明は、q個の材料の各々の領域を半導体基板上に成長させることと、qは2又は3であり、m個の材料の領域の上層にr個の材料の各々の領域を成長させることとを具備する半導体装置の製造方法に関し、ここで、rは2又は3である。半導体装置の製造方法は、q個の材料の各々と、r個の材料の各々とは、q個とr個の材料以外の全ての材料と異なる仕事関数を有し、qとrの一方のみが3に等しく、q個の材料及びr個の材料の領域をエッチングして、各々が下層のq個の材料の層と上層のr個の材料の層を含むトランジスタゲートスタックを形成することとを具備し、少なくとも4つの閾値電圧を有するトランジスタゲートを製造する。
【0023】
他の観点で、ゲート構造は、ゲートラスト技術により製造され、少なくとも4つの、好ましくは、6つ以上のゲート構造を発生することはなされている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明の他の目的、特徴、長所は、以下の添付図面を参照して、本発明の以下の実施形態の詳細な説明を読んだ後、より明確にあるであろう。
【図1】図1は、従来技術による異なるゲートスタックを製造するために必要なフォトリソグラフィを概念的に示す図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態による異なるゲートスタックを製造するために必要な減少したフォトリソグラフィを概念的に示す図である。
【図3A】図3Aは、本発明の第1実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図3B】図3Bは、本発明の第1実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図3C】図3Cは、本発明の第1実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図3D】図3Dは、本発明の第1実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図3E】図3Eは、本発明の第1実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図4A】図4Aは、本発明の第1実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図4B】図4Bは、本発明の第1実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図4C】図4Cは、本発明の第1実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図4D】図4Dは、本発明の第1実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図4E】図4Eは、本発明の第1実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図5A】図5Aは、本発明の第1実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図5B】図5Bは、本発明の第1実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図5C】図5Cは、本発明の第1実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図5D】図5Dは、本発明の第1実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図6A】図6Aは、本発明の第1実施形態の変形例による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図6B】図6Bは、本発明の第1実施形態の変形例による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図6C】図6Cは、本発明の第1実施形態の変形例による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図7A】図7Aは、本発明の第2実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図7B】図7Bは、本発明の第2実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図7C】図7Cは、本発明の第2実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図7D】図7Dは、本発明の第2実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図7E】図7Eは、本発明の第2実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図8A】図8Aは、本発明の第2実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図8B】図8Bは、本発明の第2実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図8C】図8Cは、本発明の第2実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図8D】図8Dは、本発明の第2実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図9A】図9Aは、本発明の第2実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図9B】図9Bは、本発明の第2実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図10A】図10Aは、本発明の第2実施形態の変形例による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図10B】図10Bは、本発明の第2実施形態の変形例による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図10C】図10Cは、本発明の第2実施形態の変形例による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図11A】図11Aは、本発明の第4実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図11B】図11Bは、本発明の第4実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図11C】図11Cは、本発明の第4実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図11D】図11Dは、本発明の第4実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図11E】図11Eは、本発明の第4実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図12A】図12Aは、本発明の第6実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図12B】図12Bは、本発明の第6実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図12C】図12Cは、本発明の第6実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図12D】図12Dは、本発明の第6実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図13A】図13Aは、本発明の第6実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図13B】図13Bは、本発明の第6実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図13C】図13Cは、本発明の第6実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図14A】図14Aは、本発明の第6実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図14B】図14Bは、本発明の第6実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図14C】図14Cは、本発明の第6実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図15A】図15Aは、本発明の第6実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図15B】図15Bは、本発明の第6実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図15C】図15Cは、本発明の第6実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図15D】図15Dは、本発明の第6実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図16A】図16Aは、本発明の第7実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図16B】図16Bは、本発明の第7実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図16C】図16Cは、本発明の第7実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図16D】図16Dは、本発明の第7実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図17A】図17Aは、本発明の第7実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図17B】図17Bは、本発明の第7実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図17C】図17Cは、本発明の第7実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図17D】図17Dは、本発明の第7実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図18A】図18Aは、本発明の第7実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図18B】図18Bは、本発明の第7実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図18C】図18Cは、本発明の第7実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図18D】図18Dは、本発明の第7実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図19A】図19Aは、本発明の第7実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図19B】図19Bは、本発明の第7実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図19C】図19Cは、本発明の第7実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図19D】図19Dは、本発明の第7実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図20A】図20Aは、本発明の第7実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図20B】図20Bは、本発明の第7実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図20C】図20Cは、本発明の第7実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図21A】図21Aは、本発明の第7実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図21B】図21Bは、本発明の第7実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図21C】図21Cは、本発明の第7実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図22A】図22Aは、本発明の第7実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図22B】図22Bは、本発明の第7実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図22C】図22Cは、本発明の第7実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図22D】図22Dは、図22Cのおいて領域XXIIDの詳細を示す図である。
【図23A】図23Aは、本発明の第7実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図23B】図23Bは、本発明の第7実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図23C】図23Cは、本発明の第7実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図24A】図24Aは、本発明の第7実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図24B】図24Bは、本発明の第7実施形態による半導体装置を製造するための処理ステップを示す図である。
【図24C】図24Cは、本発明の第7実施形態による概略レイアウトを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
実施形態を参照して本発明を詳細に説明する。当業界の技術者は、本発明の教示を用いて、多くの他の実施形態が達成可能であることと、本発明は、説明目的に示される実施形態に制限されないこととを認識すべきである。
【0026】
図1を参照して、多閾値電圧を提供する従来のゲートスタック手法が、説明の目的で示されている。nFETとpFET(図1の領域10と15)のための金属ゲートの定義は、1つのフォトリソグラフィマスクを必要とし、他のフォトリソグラフィマスクは、各領域が選択的にドープされることができるように、高い閾値電圧領域21−24の各々を規定する必要がある。この例では、nFETとpFET領域10と15の各々に対する3つの異なる閾値電圧領域が、領域21〜24を作るために4つのマスクに加えて、少なくとも第1マスクを必要とし、合計で5回のフォトリソグラフィプロセスを必要とする。
【0027】
図2を参照して、互いに異なる仕事関数をそれぞれ有する材料の層125〜128はnFETとpFET領域110と115の各々とオーバーラップするように形成されるので、同じ数の異なる閾値電圧が2つのより少ないフォトリソグラフィプロセスを用いて本発明の実施形態により作られる。こうして、図2の場合には、nFETとpFET領域の各々に対して3つの異なる閾値電圧領域が、金属ゲートに対する1つのマスクと、層125〜128に対する2つだけのマスクを用いて、即ち、合計で3回のフォトリソグラフィプロセスで製造されることができる。
【0028】
図3Aを参照して、本発明による装置と方法の第1実施形態は、浅いトレンチ分離領域(STI)のような分離領域305を、半導体基板300、好ましくはシリコン基板に形成することにより始まるプロセスより製造される。基板300は、モノリシック又は複合体であってもよく、例えば、SOI(シリコン・オン・インシュレータ)基板である。
【0029】
基板300の他の材料は、ゲルマニウム、シリコン−ゲルマニウム合金、シリコン−カーボン合金、シリコン−ゲルマニウム−カーボン合金、砒化ゲルマニウム、砒化インジウム、リン化インジウム、III−V族化合物半導体材料、II−Vi族化合物半導体材料、有機半導体材料、及び他の化合物半導体材料を含む。
【0030】
浅いトレンチ分離構造305は、誘電体材料、好ましくは二酸化シリコンから形成される。シリコン・ナイトライド、シリコン・オキシナイトライド、及びそれらの組み合わせが他に可能である。
【0031】
上記のように、基板300はそのチャンネル領域にドープされる必要はなく、完全空乏型基板が好ましい。しかしながら、ドープされた基板は、また、本発明の範囲内にあり、ここで説明される技術と構造は、チャンネルドーピングと組合わせて適当なアプリケーションで有利に用いられても良い。
【0032】
図3Bに示されるように、ゲート酸化層310は、基板300上に従来のように形成される。次に、図3Cに示されるように、第1フォトマスク315は、酸化層のある領域を覆うように、また酸化層の他の領域を露出させるように、酸化層310の上に形成される。
【0033】
フォトマスク315は単一層として概略示されている。しかしながら、実際には、当業者に知られているように、1又は複数の層として形成されてもよい。例えば、マスク315は、フォトレジスト層、SiARC層(Siベースの反射防止層)或いはLTO(低温酸化シリコン)及び有機平面化層(OPL)からなる3重マスクであっても良い。マスク315に関してのこれらの考察は、ここで説明される他の全てのマスクに適用される。
【0034】
図3Dは、マスク315を介して露出されたエリアの酸化層310を除くように、下層の基板300の領域を露出するように、ウェットエッチングの後の構造を示している。マスク315は。図3Eに示されるように、マスクによりカバーされた酸化物層領域325を去るように、レジストストリッピングにより除かれる。
【0035】
図4Aに示されるように、基板300の露出領域に薄い化学酸化物層330を寄生するように、その構造は扱われる。シリコン基板の場合には、化学酸化物は、例えば、ウェットクリーニングと洗浄動作の間に、シリコン表面に成長するタイプの酸化物であっても良い。そのような酸化物は、化学量論的なSiOから離れた組成、即ちx<2であるSiOxから典型的に比較的高く水和化されている。化学酸化物層330は、たとえば、化学的な溶液での処理により、或いは炉での加熱により、形成されることができる。
【0036】
化学酸化物層330の厚さと組成は、酸化物層310より容易に窒化処理を受けるように、選択されている。図4Bに示されるように、装置は、窒化領域335を生成するように、炉内で或いはプラズマ窒化により、窒化を受ける。領域325は、窒化されていないか、領域335より少なく窒化されているので、これらの窒化領域335は、デバイスに残る酸化層310の領域325とは異なる仕事関数を所有する。
【0037】
次に、図4Cに示されるように、高k層340は、二酸化シリコンと比べて高い誘電定数を有する材料から形成される。層340の誘電定数は、好ましくは、8.0より高い。高k層340は、Hf、Zr,Ti,及びAlのうちの1つ以上を含む酸化物あるいは酸化窒化物の膜であることが好ましく、Hf及び/或いはZrは特に好ましい。HfO,HfSiO、及び/或いはHfSiONを含む膜がまた好ましい。
【0038】
高k層340は、例えば、化学的気相成長法(CVD)、原子層成長法(ALD)、及び物理的気相成長法(PVD)を含む当業者に知られた方法に従って形成されてもよい。
【0039】
図4Dに示されるように、p仕事関数金属の層345は、高k層340上に成長させられる(堆積される)。p仕事関数金属は、pMOSデバイスでの使用に適するように、比較的高い仕事関数(例えば、約5.3eV)を有する導電性金属合金あるいは金属である。層345用に好ましい材料は、Al、Ti、Ta、Ge、それらの組合わせを含み、これらの合金を含む。
【0040】
次に、図4Eに示されるように、層345の一部を覆い、層345の他の部分を露出させるように、フォトマスク350は、層345上に形成される。フォトマスク350により覆われた、或いは露出された領域の各々は、p仕事関数金属層345と高k層340の下層に窒化領域335と残留酸化物領域325を含む。
【0041】
次に図5Aを参照して、マスク350により覆われていない領域355で、下層の高k層340を露出させるように、p仕事関数金属層345はマスク350を介してウェットエッチングされる。このエッチングは、ドライエッチングでもウェットエッチングでもよい。いずれの場合でも、エッチングは、高k層340が、意味ある程度には除かれないように、高k層340の材料に選択性があることが好ましい。
【0042】
マスク350は図5Bに示されるようにフォトレジスト剥離により除かれ、p仕事関数金属345の残りの部分と高k層340の露出エリアの両方を覆うように、n仕事関数金属360が図5Cに示されるように堆積される。n仕事関数金属は、nMOSデバイスでの使用に適するように、金属或いは比較的低い仕事関数(例えば、約3.9eV)を有する導電性金属合金である。層360用に好ましい材料は、La、Lu、Sc、Y及びその組合わせ、それらの合金を含む。
【0043】
最後に、金属ゲート365は上記のゲートスタックの上層に堆積され、ゲート層形成を完了する。ゲート層は、実施形態と関連して説明されるように、次々と分離されるゲートスタックを形成するように、エッチングされることができる。
【0044】
本発明の第1実施形態による方法と装置は、材料325,335,345,360の異なる仕事関数により、4つの異なる閾値電圧を有するトランジスタを作り出すことが理解されよう。特に、第1トランジスタ閾値電圧は、層335を覆う層360により提供され、第2トランジスタ閾値電圧は層325を覆う層360により提供され、第3トランジスタ閾値電圧は他の層335を覆う結合層345と360により提供され、第4トランジスタ閾値電圧は他の層325を覆う結合層345と360により提供される。
【0045】
しかしながら、4つの異なる閾値電圧を作り出すために2つのリソグラフィマスクが必要とされるだけである。
【0046】
第1実施形態の変形例が図6A〜図6Cに示されている。特に、第1実施形態では、上層における閾値電圧の差は、ある領域の層360と、他の領域の層345と360との結合とだけを利用することにより作り出される。しかしながら、構造は、それらの領域間の階段状の差異の結果となり、装置の全体の製造が複雑化している。
【0047】
従って、図6Aでは、層345のp仕事関数金属の原子が、下層の高k誘電層に拡散して、p金属ドープの高k誘電層の領域370を作るように、一方、層360のn仕事関数金属の原子が下層高k誘電層に拡散して、n金属ドープ高k誘電層の領域375を作るように、図5Cに示された構造が任意のアニーリングに従わされる。このアニールは、少なくとも800℃の温度で行われることが好ましい。
【0048】
アニールに続いて、図6Bに示されるように、金属層345と360は、同じ面に存在する、分化された領域375と370だけを残すように、例えばウェットエッチングプロセスにより、或いはCMPプロセスにより除かれる。
【0049】
図7Aを参照して、本発明の第2実施形態では、酸化層310は形成されず、代わって、薄い化学酸化層が基板300の上面上に連続して形成される。高k誘電層340は連続化学酸化層上に堆積され、第1実施形態と関連して上述のように、p仕事関数金属層345の堆積が続く。
【0050】
図7B、7Cに示されるように、フォトリソグラフィーにより層345のパターニングが第1実施形態と関連して説明されたように進行し、高k誘電層340の領域を露出させる。その後、フォトマスク350が除かれ、n仕事関数金属の層360が層345と露出領域355を覆うように、堆積される(図7E)。
【0051】
ゲート金属の層365が堆積され(図8A)、図8Bに示されるように、個別のゲートスタックA,B,C,Dを形成するように、酸化層310の上層の全ての層をドライエッチングする。このステージでは、ゲートスタックAとBは、仕事関数に関して、それゆえに、閾値電圧に関して互いに異ならない。同様に、ゲートスタックAとBとは異なるが、ゲートスタックCとDは、互いに異ならないことに注目すべきであろう。
【0052】
ゲートサイドウォール380とソース/ドレイン領域381、382は、急熱アニーリング(RTA)を含む従来のプロセスにより、図8Cに示されるように形成される。次に、図8Dに示されるように、酸素供給膜385は、トランジスタA−Dのすべてを覆うように形成される。酸素供給層385は、オゾンやシリコンイオンを含むソースガスを用いて、化学的気相成長法(CVD)により形成されることが好ましい。
【0053】
次に、図9Aに示されるように、リソグラフィとウェットエッチングは、他のトランジスタの膜を残しながら、トランジスタのいくつかから膜385を除くように行われる。特に、図9Aは、トランジスタBとDでは残しながら、トランジスタAとCから膜385が除かれることを示している。こうして、下層材料を参照して、残りの340/360ゲートスタックが剥がされながら、340/360ゲートスタックのいくつかが膜385で覆われたままである。同様に、340/345/360のゲートスタックのいくつかが膜385で覆われたままであり、残りの340/345/360のゲートスタックは剥がされる。
【0054】
その後、好ましくは400−600℃の範囲の温度で、アニールが行われ、図9Bに示されるように、残りの層部385からの酸素原子は、対応するゲートスタックの高k誘電層中に拡散させられる。これにより、層385により覆われた高k領域390中の空孔が、酸素供給層385により覆われていない高k領域340に対してよりも多い程度まで酸素原子により満たされる。この処理ステージの結果としての層390は、未処理層340とは仕事関数において異なり、結果として、図9Bに示されるトランジスタA−Dは互いに異なる仕事関数を持ち、それゆえに、4つの異なる閾値電圧を提供する。
【0055】
しかしながら、単一閾値電圧半導体装置と比べて、この実施形態ではただ2回の追加的なリソグラフィプロセスが要求されるだけである。
【0056】
図10Aと10Bに示される変形例では、図7Eに示される構造は、図6A−6Cと関連して上述のように、p金属ドープ高k誘電層の領域370と,n金属ドープ高k誘電層の領域375とを作るように、熱アニールに従わされるが、この実施形態では、連続化学酸化物層330を覆っている。その後、図8B−8Dと図9Aと9Bとに関連して説明されるように、上層360と345と関連するステップ差なしで4つの異なる閾値電圧を持つトランジスタA−Dを作りだすように、処理は続く。
【0057】
本発明の方法と装置の第3実施形態では、半導体基板は、図3A−3D、図4A−4E、図5A−5Dと関連して上述されるように、処理され、層組成が335/340/345/360/365、325/340/360/365、335/340/345/360/365、及び325/340/345/360/365である個別のゲートスタックを形成するようにドライエッチングされる。この第3実施形態では、しかしながら、これらの4種類のゲートスタックの少なくとも1つ、好ましくは、これらのゲートスタックの2つ、可能であれば、これらのゲートスタックの全て4つが、図8C、8D、図9A,9Bと関連して上述された技術により更に処理され、更に処理された各種のゲートスタックのトランジスタの半分の高k層340は、上述のように、層390に変換される。結果として、この第3実施形態では、単一閾値電圧装置と関連して3回だけの付加的なリソグラフィ処理をも用いて、合計5から8までの閾値電圧が作られることができる。
【0058】
図11Aを参照して、本発明による方法と装置の第4実施形態が説明される。構造は、図11Aに示される構造が、金属ゲート365でなく、後続の窒化処理から化学酸化物層330を保護するように作用する金属カバー400で覆われていることを除いて、図10Bに示されるものと同様である。
【0059】
金属カバー400は、第1実施形態と関連して上述のように、フォトマスク315を用いてパターン化され、フォトレジスト剥離によりマスクを除去する(図11B−11D)。図11Dに示される構造は、第1実施形態と関連して説明されるように、窒化に従わさせられ、高k層340を介して、パターン化された金属カバーによりカバーされていない化学酸化物層330の領域を窒化するように作用する。パターン化金属カバーは除かれ、図6Bに示されるそれと同様な構造となるが、構造は、異なる一連のプロセスステップにより、酸化物層310を形成する必要なしに、作られる。金属ゲート層365は、図6Cに示されるように、追加される。
【0060】
本発明による第5実施形態は、上述の通り第4実施形態に従って進行する。その後、個別のゲートスタックを製造するためのゲート層のエッチングに続いて、ゲートスタックは、図8Cと8Dとに関連して説明されるように更に処理され、4つのトランジスタグループのうちの1つ以上における高k層の半分を上述のように、酸素増強層390に変換する。こうして、他のフォトリソグラフィプロセスが1つから4つの追加的な閾値電圧をデバイスに追加するように活用する。
【0061】
本発明の第6実施形態では、図12Aから示されるように、STI分離素子305が設けられたシリコン基板300は、前述の実施形態と関連して説明したように、基板表面に形成された化学酸化物層330と層330上に形成された高k誘電層とを有する。
【0062】
高k誘電層340上に、拡散制限金属キャップ層410が存在する。層410は以下に説明するように、上層の原子の下層への拡散を制限するように作用する材料から生成される。キャップ金属拡散制御膜のために好適な材料は、Ti、Ta、W、TiN、TaN、WN、TiC、TaC、及びWCを含む。膜410の厚さは特に制限されないが、5から30オングストロームの比較的薄い膜が好ましく、その場合、膜は原子層成長法(ALD)により適切に形成される。
【0063】
次に、図12B−12Dに示されるように、金属膜410は、他のエリアの膜420を露出させながら、選択された領域の膜410を覆うフォトマスク415を用いてパターン化される。膜415がフォトレジスト剥離により除かれた後、上記の実施形態と関連して説明されたウェットエッチングは、高k誘電層340の対応領域を露出させるように領域420内の膜410を除く。
【0064】
その後、図13Aに示されるように、上記実施形態で説明したように、p仕事関数金属345の層がキャップ金属拡散制御膜410上と高k誘電膜340の露出領域425上に堆積される。他のリソグラフィプロセスは、図13Bと13Cに示されるように、p仕事関数金属層345上にフォトマスク430を形成し、下層の高k誘電層340の領域435を露出させるようにマスク430を介して露出された領域にウェットエッチングが行われる。
【0065】
フォトマスク430は、図14Aに示されるように、パターン化されたp仕事関数金属層345を露出させるようにフォトレジスト剥離することにより除かれ、上述のように、図14Bに示されるように、n仕事関数金属360の層は、パターン化されたp仕事関数金属層345と、下層の高k誘電層340の露出領域435とを覆うように形成される。
【0066】
次に、図14Bに示される構造は、図6A−6Cと関連して上記したように、熱アニーリングに従わせられ、それにより図14Cの領域I−IIIで金属イオンの下層高k誘電層340への分化拡散が引き起こされる。特に、領域Iでは、n仕事関数金属360のイオンは、高k誘電層340へ妨げなく移住し、ドープ領域440を形成する。同様に、領域IIでは、P仕事関数金属345のイオンは、高k誘電層340に妨げなく移住し、ドープ領域445を形成する。
【0067】
領域IIIでは、金属キャップ層410は、性能が領域IとIIから形成されるべきnFETとpFETのそれを中庸化する中ギャップトランジスタを形成するのに適した領域を作るように、領域IIに関連してp仕事関数金属345の拡散を制限するように作用する。
【0068】
層410、345、360は、例えばウェットエッチング或いはCMPにより除去され、図15Aに示されるように、高k誘電層の領域440、445、450が露出させられる。金属カバー400は、上記のように形成され、続いて、図15Bと15Cに示されるように、領域440、445、450の各々の下層に領域335と330を作るために、図11A−11Eに関連して説明されたように、パターン化と窒化の処理が行われる。
【0069】
パターン化ゲート層400の除去と金属ゲート層365の成長の後、図15Dに示されるように、6つの異なるゲート閾値構造A−Fが形成される。
【0070】
図16A−図24Cは、本発明の第7実施形態による装置と方法を示している。半導体装置は、ゲートラスト技術によって形成される。
【0071】
特に、図16Aは、上述の種々の実施形態と関連して説明したように、そこに形成されるSTI分離領域505と半導体基板500を示している。
【0072】
基板500は、図16Bに示されるように、ダミー酸化物層515を形成するように処理される。次に、ダミーポリシリコン515の層と覆いハードマスク520が図16Cに示されるように形成される。図16Dに示されるように、ドライエッチングに続いて、一連のダミーゲートスタック525が形成される。
【0073】
ゲートサイドウォール530とソース/ドレイン領域535、540は急熱アニーリング(RTA)を含む従来のプロセスにより、図17Aに示されるように形成される。シリコン窒化物545のライナが、図17Bに示されるように、ダミーゲート、サイドウォール530、基板500の露出表面を覆うように形成され、続いて、図17Cに示されるように層間誘電層550が成長させられ、化学的機械的研磨(CMP)の第1ステージにより平面化される。CMPの第2ステージは、中間誘電層550の上表面をSiNライナ545の最上部のレベルまでもたらすように行われる。
【0074】
次に、図18Aに示されるように、CMPの第3ステージは、層間誘電層550をダミーゲート525上のハードマスク520の上表面のレベルまで下げるように行われる。ハードマスク520は、従来の技術により開口され(図18B)、装置の他の領域のゲートサイドウォール530と層間誘電層550を確保しながら、ダミーゲートにより従前に占拠される領域の下層シリコン基板500を露出させるように、ダミーポリシリコン515の除去(図18C)とダミー酸化物510の除去(図18D)が行われる。
【0075】
図19Aに示されるように、基板の露出領域が、図19Bに示される露出表面の全てを覆う高k誘電層555を形成するように酸化され、高k膜560は、上記実施形態と関連して説明される。次に、図19Cに示されるように、ブロッキング膜565が高k膜560を覆って堆積される。ブロッキング膜565は、金属或いは絶縁物のようないずれか適切な材料から形成される。リソグラフィマスク570は、図19Dに示されるように、ブロッキング層565を覆うように形成される。
【0076】
図20Aを参照して、マスク570を介して露出されたブロッキング膜565の領域は、適切なプロセスにより除去され、下層の高k膜560の領域を暴露する。マスク570の開口部のエッジは、選択されたSTI素子505とアライメントがとられ、高k膜560の露出領域は6つのゲートスタックキャビティのうちの2つを覆うことに気がつくであろう。マスク570は除去され、図20Bに示される構造は、上記実施形態と関連して説明したように、窒化処理に従わされ、ブロッキング膜565の開口部を介して露出された領域に絶縁膜535の窒化領域575を生成する。他方、ブロッキング膜565によりカバーされた絶縁膜555の領域は、窒化されない。こうして、非窒化領域555は、窒化領域575とは仕事関数において異なる。ブロッキング膜565は、図20Cに示されるように、全体として除去される。
【0077】
次に図21Aを参照して、ブロッキング膜580のフレッシュ層は、図に示される露出表面の全体をカバーするように成長させられ、続いて、開口部が、先行するステップにおいて窒化されたそれ以外のゲートキャビティのうちの2つに集中されるように新マスク585(図21B)が形成される。マスク585は、マスクを介して露出された(図21C)下層部ロッキング膜580の領域を除くように利用され、それにより選択されたゲートキャビティの第2の対を横たえる領域の高k膜560を露出させる。
【0078】
次に、図22Aに示されるように、マスク585の除去に続いて、ブロッキング膜580領域によりカバーされていない高k膜560の領域は、図9Bと関連して説明した酸化アニーリングに従わされる。これは、仕事関数が、そのように処理されていない高k膜の領域のそれとは異なる高k膜560の領域590を作るように作用する。ブロッキング膜580は除去され、図22Bに示される構造を作る。
【0079】
このステージで、6つの示されたゲートキャビティの各々は、そこに形成された部分ゲートスタックを有し、6つの部分ゲートスタックは既に3つの相互に異なる仕事関数を所有する。即ち、ゲートAとDとは、窒化絶縁膜575と非酸化高k膜560の複合仕事関数により決定される仕事関数を有する。ゲートCとFは非窒化絶縁膜555と酸化高k膜590の複合仕事関数により決定される仕事関数を有する。
【0080】
一連の膜は高k膜、即ち、前記種々の実施形態と関連して説明したn仕事関数金属595の層金属エッチングストッパ層600、及び前記種々の実施形態と関連して説明したp仕事関数金属605の層の上に順番に堆積される。結果としての構造は、図22Cに示され、図22Dにその拡大された詳細が示される。これらの層は、狭中心円筒状開口部610における以外ゲートキャビティを満たすように作用する。
【0081】
図23Aを参照して、他のマスク615は、ゲートスタックの他の3つを露出させながら、ゲートスタックの3つを覆うように、図22Cに示される構造上に形成される。エッチングは、図23Bに示されるように、マスク615を介して露出された流域にだけ、p仕事関数金属605の層を除去するように、また、これらの領域で下層金属エッチングストッパ層600を露出させるように行われる。
【0082】
本発明で説明されるn仕事関数金属とp仕事関数金属のパターン化は、直接それらの層に対してなされても良いし、他に、1つ以上の付加的な層、例えば窒化チタン(TiN)の層の存在においてなされてもよい。
【0083】
次に、図23Cに示されるように、マスク615の除去に続いて、金属層620が図22Bに示されるように露出された表面の全体をカバーするように堆積される。この金属層620は、p仕事関数金属605が除去されていないゲートのゲートキャビティを充填することを完了し、p仕事関数金属が除去されたゲートでは、狭円筒状キャビティ625が残る。
【0084】
その後、アルミニウムの層630が図24Aに示される構造上に堆積され、続いて、アルミニウムリフローが行われ、過剰なアルミニウムは図24Bに示されるようにウェットエッチング又はCMPにより除去される。結果として、アルミニウムp仕事関数金属605が除去されるゲートキャビティを充填することを完了し、この実施形態によるゲートスタック形成プロセスを完了する。
【0085】
図24Bに示されるゲートは、それぞれ異なる仕事関数を有する2以上の材料の6つの異なる並列の、又は重畳された組み合わせの結果としての相互に異なる6つの仕事関数を所有する。特に、ゲートAは、窒化絶縁膜575、非酸化高k膜560、n仕事関数金属595、金属620、及びアルミニウム層630の仕事関数の複合体を反映する仕事関数を有する。ゲートBは、非窒化絶縁膜555、非酸化高k膜560、n仕事関数金属595、金属620、及びアルミニウム層630の仕事関数の複合体を反映する仕事関数を有する。ゲートCは、非窒化絶縁膜555、酸化高k膜590、n仕事関数金属595、金属620、及びアルミニウム層630の仕事関数の複合体を反映する仕事関数を有する。ゲートDは、窒化絶縁膜575、非酸化高k膜560、n仕事関数金属595、p仕事関数金属605、及び金属620の仕事関数の複合体を反映する仕事関数を有する。ゲートEは、非窒化絶縁膜555、非酸化高k膜560、n仕事関数金属595、p仕事関数金属605、及び金属620の仕事関数の複合体を反映する仕事関数を有する。ゲートFは、非窒化絶縁膜555、酸化高k膜590、n仕事関数金属595、p仕事関数金属605、及び金属620の仕事関数の複合体を反映する仕事関数を有する。
【0086】
図24Cに示されるように、本発明の他の実施形態と同様に、本実施形態は、多数のリソグラフィプロセスを行うこと無しに、多数の異なるゲート閾値電圧を造り出すことができる。本実施形態のレイアウトは、呼応率的であり、ゲートA,B,Cは、p仕事関数金属605の影響無しに、n仕事関数金属595におり影響される仕事関数を有している。一方、ゲートD,E,Fは、n仕事関数金属595とp仕事関数金属605の両方におり影響される仕事関数を有している。更に、ゲートAとFは、仕事関数金属の同じ構成を持つカウンタパートより低い閾値電圧NLVtとPHVtを有している。ゲートBとEは、仕事関数金属の同じ構成を持つカウンタパートと比べて中間の閾値電圧NMVtとPMVtを有している。ゲートCとDは、仕事関数金属の同じ構成を持つカウンタパートと比べて高い閾値電圧NMVtとPMVtを有している。
【0087】
本発明が種々の実施形態と関連して説明されたが、これらの実施形態は、本発明を説明するために単に示されたに過ぎないことは理解されるであろうし、添付の請求項の範囲と精神により与えられる保護範囲を制限するための口実として使用してはならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1材料で形成された下層と第2材料で形成された上層とを含むゲートスタックを有する第1トランジスタと、
第3材料で形成された下層と前記第2材料で形成された上層とを含むゲートスタックを有する第2トランジスタと、
前記第1材料で形成された下層と第4材料で形成された上層とを含むゲートスタックを有する第3トランジスタと、
前記第3材料で形成された下層と前記第4材料で形成された上層とを含むゲートスタックを有する第4トランジスタと
を具備し、
前記第1材料乃至前記第4材料の仕事関数は互いに異なり、
前記第1トランジスタ乃至前記第4トランジスタは、互いに異なる閾値電圧を有する
半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1材料は半導体基板上に形成された窒化化学酸化物の層であり、前記第3材料は前記半導体基板上に形成された酸化物の層であり、前記第3材料は、非窒化され、又は前記第1材料よりも少ない程度に窒化されている
半導体装置。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第2材料はn仕事関数の金属の層であり、前記第3材料はp仕事関数の金属の層である
半導体装置。
【請求項4】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1トランジスタ及び第3トランジスタの前記ゲートスタックは前記第3材料の層を含まず、前記第2及び第3トランジスタの前記ゲートスタックは前記第1材料の層を含まない
半導体装置。
【請求項5】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第3トランジスタ及び前記第4トランジスタの前記ゲートスタックは、更に、前記第2材料の層を含む
半導体装置。
【請求項6】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第2材料はn仕事関数金属の原子がドープされた高k誘電体層であり、前記第4材料はp仕事関数金属の原子がドープされた高k誘電体層である
半導体装置。
【請求項7】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1材料は、高k誘電体層であり、前記第3材料は、前記第3材料内の空孔が第1材料におけるより多い程度まで酸素で充填された高k誘電低層である
半導体装置。
【請求項8】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第2材料は、高k誘電体層であり、前記第4材料は、前記第4材料内の空孔が前記第2材料におけるよりも多い程度まで酸素で充填された高k誘電体層である
半導体装置。
【請求項9】
請求項1に記載の半導体装置において、更に、
前記第1材料で形成された下層と第5材料で形成された上層とを含むゲートスタックを有する第5トランジスタと、
前記第3材料で形成された下層と前記第5材料で形成された上層とを含むゲートスタックを有する第6トランジスタとを具備し、
前記第5材料は、前記第1乃至第4材料の各々と異なる仕事関数を有し、
前記第1乃至第6トランジスタは、互いに異なる閾値電圧を有する
半導体装置。
【請求項10】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第2材料は、n仕事関数金属の原子がドープされた高k誘電体層であり、前記第4材料は、n仕事関数の金属の原子とp仕事関数金属の原子とがドープされた高k誘電体層であり、前記第5材料はp仕事関数金属の原子がドープされた高k誘電体層である
半導体装置。
【請求項11】
各々がゲートの下層に、且つ半導体基板の上層に高k誘電体層を有する複数のトランジスタを具備し、
n仕事関数金属の原子がドープされた前記高k誘電体層の第1グループと、p仕事関数金属の原子がドープされた前記高k誘電体層の第2グループと、
高k誘電体層の前記第1グループと前記第2グループの各々の第2サブセットにおいてよりも多い程度まで酸素で充填された空孔を有する高k誘電体層の前記第1グループと前記第2グループの各々の第1サブセットと、
前記複数のトランジスタの各々は、少なくとも4つの互いに異なる仕事関数のうちの1つの仕事関数を有する高k誘電体層を含む
半導体装置。
【請求項12】
半導体基板上に第1材料の層を堆積させることと、
前記第1材料の領域に隣接する第2材料の領域を生成するように前記第1材料の被選択部分を修正することと、
前記第1材料の層の上に第3材料の層を堆積させることと、
前記第3材料の領域に隣接する第4材料の領域を生成するように前記第3材料の被選択箇所を修正することと、
ここで、前記第4材料の領域と前記第3材料の領域の各々は、別個に、前記第1材料と前記第2材料の領域の両方に重なり、前記第1乃至第4材料は互いに異なる仕事関数を有し、
各々が前記第1及び第2材料の一方を下層として含み、且つ前記第3及び第4材料の一方を下層として含むゲートスタック構造をエッチングにより分離することと
を具備する
半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、
前記第3材料は、n仕事関数金属の原子がドープされた高k誘電体層である
半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項12に記載の方法において、
前記第4材料は、p仕事関数金属の原子がドープされた高k誘電体層である
半導体装置の製造方法。
【請求項15】
請求項12に記載の方法において、
前記第1材料は高k誘電体層であり、前記第2材料は、前記第2材料内の空孔が前記第1材料においてより多い程度まで酸素で充填されている高k誘電体層である
半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項12に記載の方法において、
前記第3材料は高k誘電体層であり、前記第4材料は、前記第4材料内の空孔が前記第3材料においてより多い程度まで酸素で充填されている高k誘電体層である
半導体装置の製造方法。
【請求項17】
q個の材料の各々の領域を半導体基板上に堆積することと、qは2又は3であり、
前記m個の材料の領域の上層にr個の材料の各々の領域を堆積することと
を具備し、
rは2又は3であり、
前記q個の材料の各々と、前記r個の材料の各々とは、前記q個と前記r個の材料の他の全てと異なる仕事関数を有し、
前記qとrの一方のみが3であってもよく、
各々が下層の前記q個の材料の層と上層の前記r個の材料の層を含むトランジスタのゲートスタックを形成するように前記q個の材料及び前記r個の材料をエッチングすることと
を具備し、
少なくとも4つの閾値電圧を有するトランジスタゲートが生成される
半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、
前記qと前記rの一方のみが3であり、少なくとも4つの閾値電圧を有するトランジスタゲートが形成される
半導体装置の製造方法。
【請求項19】
請求項17に記載の方法において、
別個に前記q個の材料と前記r個の材料の領域に重なるs個の材料の各々の領域を堆積させることを更に具備し、
sは2又は3であり、
少なくkとも8個の閾値電圧を有するトランジスタゲートが形成される
半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図11E】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図15D】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図16D】
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【図17A】
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【図17B】
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【図17C】
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【図17D】
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【図18A】
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【図18B】
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【図18C】
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【図18D】
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【図19A】
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【図19B】
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【図19C】
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【図19D】
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【図20A】
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【図20B】
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【図20C】
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【図21A】
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【図21B】
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【図21C】
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【図22A】
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【図22B】
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【図22C】
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【図22D】
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【図23A】
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【図23B】
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【図23C】
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【図24A】
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【図24B】
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【図24C】
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【公開番号】特開2013−51418(P2013−51418A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−187143(P2012−187143)
【出願日】平成24年8月28日(2012.8.28)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】