説明

半導体装置と不揮発性半導体記憶装置

【課題】キャパシタのコンタクトプラグ形成に伴うショート不良を低減させることができ、素子信頼性の向上をはかる。
【解決手段】半導体装置であって、半導体基板10上に、第1の絶縁膜21,第1の導電層22,第2の絶縁膜23,及び第2の導電層24が積層され、且つ導電層22,24の一部が接続された積層構造部と、導電層22を接続部を含む第1の領域と接続部を含まない第2の領域に分離する層間絶縁膜26と、第2の領域の一周辺部で、導電層21,絶縁膜22,及び基板10に形成された素子分離溝に埋め込まれた素子分離絶縁膜15と、第1の領域に接続された第1のコンタクトプラグ31と、第2の領域に接続され且つ素子分離絶縁膜15の上方に形成された第2のコンタクトプラグ32と、第2の領域側の一周辺部に隣接する領域で基板10に接続された第3のコンタクトプラグ33を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2層ゲート構造のメモリセルと同一構造の積層構造を有する半導体装置及びこれを用いた不揮発性半導体憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2層ゲート構造のメモリセルを有する不揮発性半導体記憶装置において、周辺回路部のキャパシタは、メモリセル部分と同様に、Si基板上にトンネル絶縁膜,浮遊ゲート電極,電極間絶縁膜,及び制御ゲート電極を有する積層膜を用いて形成されている。即ち、制御ゲート電極を層間絶縁膜により分離し、制御ゲート電極と浮遊ゲート電極を電気的に接続させた制御ゲート電極上に第1のコンタクトプラグを接続し、2層ゲート構造の制御ゲート電極上に第2のコンタクトプラグを接続し、Si基板に第3のコンタクトプラグを接続し、浮遊ゲートと制御ゲートとの間、浮遊ゲートと基板との間にそれぞれキャパシタを形成している。
【0003】
現在、制御ゲート電極には、Siと金属元素による金属間化合物が用いられている。特に、Niとの金属間化合物であるNiシリサイドは、低抵抗でかつシリサイド成長の活性化エネルギーが比較的高いことから、上記の制御ゲート電極として有望である。
【0004】
しかし、この種のシリサイド電極は、高温での熱処理によって、多結晶のシリサイド結晶粒が凝集してしまい、構造及び組成の均一性が劣化してしまう場合がある。その結果、制御ゲート電極であるシリサイド電極が凝集して不均一に形成されると、制御ゲート電極上にコンタクトプラグを形成した際に、シリサイド未形成箇所の制御ゲート電極を突き抜けて、下層の電極間絶縁膜までコンタクトプラグが貫通してしまう。このため、制御ゲート電極と浮遊ゲート電極をショートさせるという問題がある。
【0005】
なお、浮遊ゲート電極と制御ゲート電極との間だけにキャパシタを作製する例では、素子分離領域の上方にコンタクトプラグを配置した構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、この特許文献1には、浮遊ゲート電極と基板との間にもキャパシタを作製し、基板側の第3のコンタクトプラグを如何にして引き出し、制御ゲート電極への第2のコンタクトプラグに接続することは何ら開示されていない。さらに、シリサイド電極の凝集による問題は全く認識されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−141469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、キャパシタのコンタクトプラグ形成に伴うショート不良を低減させることができ、素子信頼性の向上をはかり得る半導体装置及び不揮発性半導体記憶装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係わる半導体装置は、半導体基板上に、第1の絶縁膜,第1の導電層,第2の絶縁膜,及び第2の導電層を上記順に積層して形成され、且つ第2の絶縁膜に形成された溝を介して第1及び第2の導電層が電気的に接続された積層構造部と、前記積層構造部の第2の導電層を、前記溝を含む面積の狭い第1の領域と前記溝を含まない面積の広い第2の領域に電気的に分離するように設けられた層間絶縁膜と、前記積層構造部の前記第2の領域側の一周辺部で、前記第1の導電層,前記第1の絶縁膜,及び前記半導体基板の一部に形成された第1の素子分離溝と、前記第1の素子分離溝に埋め込まれた第1の素子分離絶縁膜と、前記第2の導電層の第1の領域に接続された第1のコンタクトプラグと、前記第2の導電層の第2の領域に接続され、且つ前記第1の素子分離絶縁膜の上方に形成された第2のコンタクトプラグと、前記積層構造部の前記第2の領域側の一周辺部に隣接する領域で前記半導体基板に接続された第3のコンタクトプラグと、を具備してなることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の別の一態様に係わる半導体装置は、半導体基板上に、第1の絶縁膜,第1の導電層,第2の絶縁膜,及び第2の導電層を上記順に積層して形成され、且つ第2の絶縁膜に形成された溝を介して第1及び第2の導電層が電気的に接続された積層構造部と、前記積層構造部の第2の導電層を、前記溝を含む面積の狭い第1の領域と前記溝を含まない面積の広い第2の領域に電気的に分離するように設けられた層間絶縁膜と、前記積層構造部の前記第2の領域側の一周辺部で、前記第1の導電層,前記第1の絶縁膜及び前記半導体基板の一部に形成された素子分離溝と、前記素子分離溝に埋め込まれた素子分離絶縁膜と、前記第2の導電層の第1の領域に接続された第1のコンタクトプラグと、前記第2の導電層の第2の領域に接続され、且つ前記素子分離絶縁膜の上方に形成された第2のコンタクトプラグと、前記積層構造部の前記一周辺部とは異なる周辺部に隣接する領域で前記半導体基板に接続された第3のコンタクトプラグと、を具備してなることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の別の一態様に係わる半導体装置は、半導体基板上に、第1の絶縁膜,第1の導電層,第2の絶縁膜,及び第2の導電層を上記順に積層して形成され、且つ第2の絶縁膜に形成された溝を介して第1及び第2の導電層が電気的に接続された積層構造部と、前記積層構造部の第2の導電層を、前記溝を含む面積の狭い第1の領域と前記溝を含まない面積の広い第2の領域に電気的に分離するように設けられた第1の層間絶縁膜と、前記第2の導電層の第1の領域に接続された第1のコンタクトプラグと、前記第2の導電層の第2の領域の一周辺部に接続された第2のコンタクトプラグと、前記積層構造部の前記一周辺部に隣接する領域で前記半導体基板に接続された第3のコンタクトプラグと、前記積層構造部の前記第2のコンタクトプラグと前記第1の層間絶縁膜との間で、且つ前記第2のコンタクトプラグ近傍の一部で、前記第2の導電層に埋め込み形成された第2の層間絶縁膜と、を具備してなることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の別の一態様は、半導体基板上に不揮発性メモリセル部と周辺回路部を有し、周辺回路部にキャパシタを設けた不揮発性半導体記憶装置であって、前記周辺回路部のキャパシタは、前記半導体基板上に、トンネル絶縁膜,浮遊ゲート電極,電極間絶縁膜,及び制御ゲート電極を上記順に積層して形成され、且つ電極間絶縁膜に形成された溝を介して浮遊ゲート電極と制御ゲート電極が電気的に接続された積層構造部と、前記積層構造部の制御ゲート電極を、前記溝を含む面積の狭い第1の領域と前記溝を含まない面積の広い第2の領域に電気的に分離するように設けられた層間絶縁膜と、前記積層構造部の前記第2の領域側の一周辺部で、前記第1の導電層,前記第1の絶縁膜及び前記半導体基板の一部に形成された素子分離溝と、前記素子分離溝に埋め込まれた素子分離絶縁膜と、前記制御ゲート電極の第1の領域に接続された第1のコンタクトプラグと、前記制御ゲート電極の第2の領域に接続され、且つ前記素子分離絶縁膜の上方に形成された第2のコンタクトプラグと、前記積層構造部の前記第2の領域側の一周辺部に隣接する領域で前記半導体基板に接続された第3のコンタクトプラグと、を具備してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、キャパシタのコンタクトプラグ形成に伴うショート不良を低減させることができ、素子信頼性の向上をはかることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施形態に係わる不揮発性半導体記憶装置の基本構成を示すブロック図。
【図2】第1の実施形態の不揮発性半導体記憶装置に用いたキャパシタ部の概略構成を示す平面図。
【図3】図2の矢視A−A’断面図及び矢視B−B’断面図。
【図4】第2の実施形態に係わる不揮発性半導体記憶装置に用いたキャパシタ部の概略構成を示す平面図と断面図。
【図5】第3の実施形態に係わる不揮発性半導体記憶装置に用いたキャパシタ部の概略構成を示す平面図と断面図。
【図6】第4の実施形態に係わる不揮発性半導体記憶装置に用いたキャパシタ部の概略構成を示す平面図と断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の詳細を図示の実施形態によって説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係わる不揮発性半導体記憶装置の基本構成を示すブロック図である。
【0016】
Si基板(半導体基板)10上に、メモリセルアレイ(メモリセル部)11と、各種トランジスタ及びキャパシタを設けた周辺回路部12が配置されている。メモリセルアレイ11は、浮遊ゲートと制御ゲートを有する2層ゲート構成の不揮発性メモリセルを複数個直列接続したNANDセルユニットをアレイ配置したものである。周辺回路部12のトランジスタやキャパシタは、製造プロセスの簡略化から、メモリセルのゲート構成と同じ構成となっている。
【0017】
周辺回路部12のキャパシタは、図2及び図3(a)(b)に示すように構成されている。図2は、本実施形態に用いたゲート積層構造を有するキャパシタの概略構成を示す平面図であり、図3(a)は図2の矢視A−A’断面図、図3(b)は図2の矢視B−B’断面図である。
【0018】
Si基板(半導体基板)10上の一部に、シリコン酸化膜等からなるトンネル絶縁膜(第1の絶縁膜)21を介して、ポリSi等からなる浮遊ゲート電極(第1の導電層)22が形成されている。浮遊ゲート電極22及びトンネル絶縁膜21の右側の端部と基板10の一部をエッチングして溝が形成され、この溝内にシリコン酸化膜等からなる素子分離絶縁膜(第1の素子分離絶縁膜)15が埋め込み形成されている。ここで、素子分離絶縁膜15は、図2の平面図から分かるように、Y方向に連続的に形成されるのではなく、Y方向に分離して複数箇所に形成されている。これにより、浮遊ゲート電極22の右側端部では、Y方向に沿って浮遊ゲート電極22と素子分離絶縁膜15が交互に配置されることになる。さらに、浮遊ゲート電極22の形成領域よりも右側では、Y方向に沿って基板表面が露出する部分と素子分離絶縁膜15が交互に配置されることになる。
【0019】
浮遊ゲート電極22及び素子分離絶縁膜15上の一部には、電極間絶縁膜(第2の絶縁膜)23を介して制御ゲート電極(第2の導電層)24が形成されている。電極間絶縁膜23としてはトンネル絶縁膜よりも誘電率の高いシリコン窒化膜や酸化膜/窒化膜/酸化膜の積層構造(ONO膜)を用いることができる。制御ゲート電極24としては金属シリサイドを用いることができるが、特にNiシリサイドが適している。
【0020】
なお、トンネル絶縁膜21,浮遊ゲート電極22,電極間絶縁膜23,及び制御ゲート電極24からなる積層構造部は、図2に示すように、矩形状に形成されている。そして、積層構造部の右側の端部では、浮遊ゲート22及びトンネル絶縁膜21が凹凸形状を有するものとなっている。
【0021】
制御ゲート電極24の中央部よりも左側の位置に該ゲート電極24を左側の第1の領域51と右側の第2の領域52とに分離するように溝が形成され、この溝内に層間絶縁膜(第1の層間絶縁膜)26が形成されている。層間絶縁膜26よりも左側の位置、即ち第1の領域51で電極間絶縁膜23の一部を除去して開口部(接続部)25が形成され、この開口部25で浮遊ゲート電極22と制御ゲート電極24が電気的に接続されている。
【0022】
制御ゲート電極24には、層間絶縁膜26よりも左側の位置、即ち第1の領域51で且つ電極間絶縁膜23を除去した部分の上方に複数の第1のコンタクトプラグ31が接続され、層間絶縁膜26よりも右側の位置、即ち第2の領域52で且つ素子分離絶縁膜15の上方に位置する部分に複数の第2のコンタクトプラグ32が接続されている。そして、Si基板10には、積層構造部の右側端部に隣接し、且つ素子分離絶縁膜15に隣接する位置で複数の第3のコンタクトプラグ33が接続されている。第1〜第3のコンタクトプラグ31〜33の配列方向は共にX方向となっている。
【0023】
このような構成であれば、第2のコンタクトプラグ32を素子分離絶縁膜15の上方に形成させることによって、コンタクトプラグ32が電極間絶縁膜23を突き抜けたとしても制御ゲート電極24と浮遊ゲート電極22間のショートを回避できる。即ち、キャパシタのコンタクトプラグの配置及びコンタクトプラグ下層の構造を変更することによって、コンタクト形成時に発生するショートを防止することができる。従って、素子信頼性の向上をはかることができる。
【0024】
この効果をより詳しく説明すると次の通りである。制御ゲート電極24としてNiシリサイドを用いる場合、電極間絶縁膜23の上にポリSi膜を堆積し、その上にNi膜を堆積した後、熱処理を施してシリサイド化することによりNiシリサイドを形成する。このとき、高温での熱処理によって、多結晶のシリサイド結晶粒が凝集してしまい、構造及び組成の均一性が劣化してしまい、制御ゲート電極24であるシリサイド電極が凝集して不均一に形成される場合がある。そして、制御ゲート電極24上にコンタクトプラグ32を形成した際に、シリサイド未形成箇所の制御ゲート電極24を突き抜けて、下層の電極間絶縁膜23までコンタクトプラグ32が貫通し、制御ゲート電極24と浮遊ゲート電極22をショートさせるおそれがある。
【0025】
これに対し本実施形態では、第2のコンタクトプラグ32を素子分離絶縁膜15の上方に形成しているため、仮に突き抜けが生じても、制御ゲート電極24と浮遊ゲート電極22のショートを防止することができるのである。
【0026】
また、本実施形態では、第2のコンタクトプラグ32と第3のコンタクトプラグ33とは電気的に接続され、基板10と浮遊ゲート電極22との間に設けられるキャパシタと、制御ゲート電極24の第2の領域52と浮遊ゲート電極22との間に設けられるキャパシタとが並列接続され、キャパシタ容量の増大をはかることができる。さらに、本実施形態では、第2のコンタクトプラグ32と第3のコンタクトプラグ33が隣接しているため、これらを接続する配線を容易に形成することができる利点もある。
【0027】
なお、第2のコンタクトプラグ32と第3のコンタクトプラグ33の比率は必ずしも同じである必要はない。さらに、第1のコンタクトプラグ31と、第2及び第3のコンタクトプラグ32,33の比率も同じである必要はない。
【0028】
(第2の実施形態)
図4は、本発明の第2の実施形態に係わる不揮発性半導体記憶装置の要部構成を説明するためのもので、図4(a)は平面図、図4(b)は(a)の矢視A−A’断面図である。なお、図2及び図3と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0029】
本実施形態が先に説明した第1の実施形態と異なる点は、第2のコンタクトプラグ32側のみではなく、第1のコンタクトプラグ31側にも素子分離絶縁膜(第2の素子分離絶縁膜)35を設けたことにある。即ち、浮遊ゲート電極22及びトンネル絶縁膜21の左側の端部と基板10の一部をエッチングして溝が形成され、この溝内に素子分離絶縁膜35が埋め込み形成されている。そして、コンタクトプラグ31は素子分離絶縁膜35の上方に位置するようになっている。
【0030】
ここで、素子分離絶縁膜35は、素子分離絶縁膜15と同時に形成された同じ材料であり、図4(a)の平面図から分かるように、Y方向に連続的して形成されている。また、電極間絶縁膜23を一部除去する部分は、素子分離絶縁膜35の上方を避けて設けられている。
【0031】
このような構成であれば、先の第1の実施形態と同様の効果が得られるのは勿論のこと、第1のコンタクトプラグ31を素子分離絶縁膜35の上方に形成することによって、コンタクトプラグ31の突き抜けが生じても、浮遊ゲート電極22と半導体基板10との間のショートを回避することができる。従って、第2のコンタクトプラグ32だけでなく、第1のコンタクトプラグ31,32の突き抜けによる問題を解決することができ、更なる信頼性の向上をはかることができる。
【0032】
(第3の実施形態)
図5は、本発明の第3の実施形態に係わる不揮発性半導体記憶装置の要部構成を説明するためのもので、図5(a)は平面図、図5(b)は(a)の矢視A−A’断面図である。なお、図2及び図3と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0033】
本実施形態が先に説明した第1の実施形態と異なる点は、第2のコンタクトプラグ32及び第3のコンタクトプラグ33の形成位置である。
【0034】
本実施形態では、制御ゲート電極24及び電極間絶縁膜23の一周辺部(図5(a)の下辺部)が図示しない素子分離絶縁膜上まで延在して設けられ、この部分に第2のコンタクトプラグ32が形成されている。
【0035】
また、積層構造部の右側の辺は、浮遊ゲート電極22及びトンネル絶縁膜21が凹凸状に除去されるのではなく、制御ゲート電極24及び電極間絶縁膜23と同様にほぼ直線となっている。そして、積層構造部の右側の辺に隣接する領域でSi基板10に第3のコンタクトプラグ33が接続されている。また、第1のコンタクトプラグ31は第1の実施形態と同様に、制御ゲート電極24の第1の領域51に接続されている。ここで、第2の実施形態のように、第2の領域52側にも素子分離絶縁膜35を設け、第1のコンタクトプラグ31を素子分離絶縁膜35の上方に形成するようにしても良い。
【0036】
このように本実施形態によれば、第2のコンタクトプラグ32をキャパシタ端の素子分離領域上に形成することによって、第1の実施形態と同様に、コンタクトプラグ32が電極間絶縁膜23を突き抜けたとしても、制御ゲート電極24と浮遊ゲート電極22との間のショートを未然に回避することができる。従って、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0037】
なお、本実施形態では、第2のコンタクトプラグ32と第3のコンタクトプラグ33とを互いに垂直方向となる別の辺に形成することによって、コンタクトプラグ形成後の配線工程が従来構造に比べて複雑になる可能性がある。しかし、第2のコンタクトプラグ32及び第3のコンタクトプラグ33の数を間引くことなく、第2のコンタクトプラグ32を素子分離領域上に形成することができ、コンタクト抵抗の低減をはかり得ると云う利点がある。
【0038】
(第4の実施形態)
図6は、本発明の第4の実施形態に係わる不揮発性半導体記憶装置の要部構成を説明するためもので、図6(a)は平面図、図6(b)は(a)の矢視A−A’断面図である。なお、図2及び図3と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0039】
本実施形態が先に説明した第3の実施形態と異なる点は、第2のコンタクトプラグ32の位置及び新たに層間絶縁膜(第2の層間絶縁膜)36を設けたことにある。
【0040】
即ち、第2のコンタクトプラグ32は、制御ゲート電極24の右側の周辺部に設けられている。ここで、積層構造部の右側の辺は、浮遊ゲート電極22及びトンネル絶縁膜21が凹凸状に除去されるのではなく、制御ゲート電極24及び電極間絶縁膜23と同様にほぼ直線となっている。そして、第2のコンタクトプラグ32と層間絶縁膜26との間で第2のコンタクトプラグ32の近傍位置で、制御ゲート電極24の一部に層間絶縁膜36が埋め込み形成されている。この層間絶縁膜36は、層間絶縁膜26とは異なり、Y方向に連続するのではなく断続的に設けられており、更に層間絶縁膜36の幅は層間絶縁膜26よりも狭くなっている。
【0041】
具体的には、制御ゲート電極24を形成する前に、電極間絶縁膜23上に層間絶縁膜としての絶縁膜を堆積し、この絶縁膜を所望パターンに加工することにより、層間絶縁膜26,36を同時に形成する。次いで、露出した電極間絶縁膜23上にポリSi膜及びNi膜を堆積した後に、熱処理を施すことによって、Niシリサイドからなる制御ゲート電極24を形成する。
【0042】
ここで、制御ゲート電極24の一部或いは全てがシリサイドで形成されている場合、シリサイドは、電極形成膜厚や体積、熱工程など様々な要因によって凝集し、不良の一因となる。そこで、第2のコンタクトプラグ近傍のシリサイド形成体積を小さくすることで、その周辺のシリサイド凝集抑制が可能である。即ち、第2のコンタクトプラグ32を形成する制御ゲート24の一部を除去することによって、見かけ上、第2のコンタクトプラグ32に接続する制御ゲート電極24のシリサイドの体積を小さくし、シリサイドを均一に形成させることができる。その結果、第2のコンタクトプラグ32の突き抜けを抑制させることが可能となる。
【0043】
このように本実施形態によれば、第2のコンタクトプラグ32の近傍の一部の制御ゲート電極24を層間絶縁膜36で埋め込むことによって、キャパシタ容量の減少を最低限にし、かつ第2のコンタクトプラグ32を形成する制御ゲート電極24を均一に形成させることが可能となる。このため、コンタクトプラグ32の制御ゲート電極24及び電極間絶縁膜23の貫通を回避することが可能となる。
【0044】
また、本実施形態では、第3の実施形態と同様に、第2のコンタクトプラグ32及び第3のコンタクトプラグ33の数を間引くことなく形成することができるため、コンタクト抵抗の低減をはかり得ると云う利点がある。さらに、層間絶縁膜36の形成を層間絶縁膜26と同時に行うことにより、層間絶縁膜36の形成に伴う工程の複雑化を防止し得ると云う利点もある。
【0045】
(変形例)
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。基板は必ずしもSi基板に限るものではなく、メモリセルを形成可能な半導体基板であればよい。さらに、絶縁膜上にSi層を形成したSOI基板を用いることも可能である。
【0046】
また、第1〜第3のコンタクトプラグの個数は必ずしも複数である必要はなく、十分なコンタクトが取れる条件であれば、それぞれ1つにすることも可能である。
【0047】
メモリセル部を構成するメモリセルユニットは、NAND型に限らずOR型に適用することもできる。要は、メモリセルが浮遊ゲートと制御ゲートの2層ゲート構成を有する不揮発性半導体メモリセルであればよい。
【0048】
また、実施形態では不揮発性半導体記憶装置を例にしたが、必ずしもこれに限らず、半導体基板上に第1の絶縁膜,第1の導電層,第2の絶縁膜,及び第2の導電層を積層した積層構造部を有する半導体装置であれば適用することが可能である。
【0049】
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0050】
10…Si基板(半導体基板)
11…メモリセルアレイ(メモリセル部)
12…周辺回路部
15…第1の素子分離絶縁膜
21…トンネル絶縁膜(第1の絶縁膜)
22…浮遊ゲート電極(第1の導電層)
23…電極間絶縁膜(第2の絶縁膜)
24…制御ゲート電極(第2の導電層)
26…第1の層間絶縁膜
31…第1のコンタクトプラグ
32…第2のコンタクトプラグ
33…第3のコンタクトプラグ
35…第2の素子分離絶縁膜
36…第2の層間絶縁膜
51…第1の領域
52…第2の領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に、第1の絶縁膜,第1の導電層,第2の絶縁膜,及び第2の導電層を上記順に積層して形成され、且つ第2の絶縁膜に形成された溝を介して第1及び第2の導電層が電気的に接続された積層構造部と、
前記積層構造部の第2の導電層を、前記溝を含む面積の狭い第1の領域と前記溝を含まない面積の広い第2の領域に電気的に分離するように設けられた層間絶縁膜と、
前記積層構造部の前記第2の領域側の一周辺部で、前記第1の導電層,前記第1の絶縁膜,及び前記半導体基板の一部に形成された第1の素子分離溝と、
前記第1の素子分離溝に埋め込まれた第1の素子分離絶縁膜と、
前記第2の導電層の第1の領域に接続された第1のコンタクトプラグと、
前記第2の導電層の第2の領域に接続され、且つ前記第1の素子分離絶縁膜の上方に形成された第2のコンタクトプラグと、
前記積層構造部の前記第2の領域側の一周辺部に隣接する領域で前記半導体基板に接続された第3のコンタクトプラグと、
を具備してなることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記積層構造部の前記第1の領域側で、前記第1の導電層,前記第1の絶縁膜及び前記半導体基板の一部に形成された第2の素子分離溝と、前記第2の素子分離溝に埋め込まれた第2の素子分離絶縁膜とを具備し、
前記第1のコンタクトプラグは、前記第2の素子分離絶縁膜の上方に形成されていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
半導体基板上に、第1の絶縁膜,第1の導電層,第2の絶縁膜,及び第2の導電層を上記順に積層して形成され、且つ第2の絶縁膜に形成された溝を介して第1及び第2の導電層が電気的に接続された積層構造部と、
前記積層構造部の第2の導電層を、前記溝を含む面積の狭い第1の領域と前記溝を含まない面積の広い第2の領域に電気的に分離するように設けられた層間絶縁膜と、
前記積層構造部の前記第2の領域側の一周辺部で、前記第1の導電層,前記第1の絶縁膜及び前記半導体基板の一部に形成された素子分離溝と、
前記素子分離溝に埋め込まれた素子分離絶縁膜と、
前記第2の導電層の第1の領域に接続された第1のコンタクトプラグと、
前記第2の導電層の第2の領域に接続され、且つ前記素子分離絶縁膜の上方に形成された第2のコンタクトプラグと、
前記積層構造部の前記一周辺部とは異なる周辺部に隣接する領域で前記半導体基板に接続された第3のコンタクトプラグと、
を具備してなることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
半導体基板上に、第1の絶縁膜,第1の導電層,第2の絶縁膜,及び第2の導電層を上記順に積層して形成され、且つ第2の絶縁膜に形成された溝を介して第1及び第2の導電層が電気的に接続された積層構造部と、
前記積層構造部の第2の導電層を、前記溝を含む面積の狭い第1の領域と前記溝を含まない面積の広い第2の領域に電気的に分離するように設けられた第1の層間絶縁膜と、
前記第2の導電層の第1の領域に接続された第1のコンタクトプラグと、
前記第2の導電層の第2の領域の一周辺部に接続された第2のコンタクトプラグと、
前記積層構造部の前記一周辺部に隣接する領域で前記半導体基板に接続された第3のコンタクトプラグと、
前記積層構造部の前記第2のコンタクトプラグと前記第1の層間絶縁膜との間で、且つ前記第2のコンタクトプラグ近傍の一部で、前記第2の導電層に埋め込み形成された第2の層間絶縁膜と、
を具備してなることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
半導体基板上に不揮発性メモリセル部と周辺回路部を有し、周辺回路部にキャパシタを設けた不揮発性半導体記憶装置であって、前記周辺回路部のキャパシタは、
前記半導体基板上に、トンネル絶縁膜,浮遊ゲート電極,電極間絶縁膜,及び制御ゲート電極を上記順に積層して形成され、且つ電極間絶縁膜に形成された溝を介して浮遊ゲート電極と制御ゲート電極が電気的に接続された積層構造部と、
前記積層構造部の制御ゲート電極を、前記溝を含む面積の狭い第1の領域と前記溝を含まない面積の広い第2の領域に電気的に分離するように設けられた層間絶縁膜と、
前記積層構造部の前記第2の領域側の一周辺部で、前記第1の導電層,前記第1の絶縁膜及び前記半導体基板の一部に形成された素子分離溝と、
前記素子分離溝に埋め込まれた素子分離絶縁膜と、
前記制御ゲート電極の第1の領域に接続された第1のコンタクトプラグと、
前記制御ゲート電極の第2の領域に接続され、且つ前記素子分離絶縁膜の上方に形成された第2のコンタクトプラグと、
前記積層構造部の前記第2の領域側の一周辺部に隣接する領域で前記半導体基板に接続された第3のコンタクトプラグと、
を具備してなることを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−176227(P2011−176227A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−40614(P2010−40614)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】