説明

半導体装置の作製方法

【課題】レジストが形成されている半導体にイオンの導入すると、イオンとレジストの成分とが反応してガス(解離ガス)が発生し、解離ガスの成分が半導体に導入され、該半導体の物性を低下させる要因となっている。
【解決手段】有機膜から発生する解離ガスの処理を行うことを特徴とする。特に、本発明は、イオンの導入を行う前の解離ガスの処理を行うことを特徴とする。そのための方法として、イオンの導入を複数回に分けて行うことを特徴とする。解離ガスは、イオンの導入が始まった直後に最も多く発生する。そのため、イオンの導入を複数回に分け、少なくとも2回目以降のそれぞれのイオンの導入において、排気を行い解離ガスを処理室内から除去しながらイオンの導入を行えば、解離ガスの成分が半導体中に導入されることを低減もしくは防止することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオンを導入する方法に関する。また、イオンの導入を工程を含む半導体装置の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体の表面に薄膜トランジスタなどの素子を形成し、それを配線によって接続して所定の機能を持った回路を製造する技術が知られている。この技術において、所定の領域にn型やp型の導電型を有する不純物領域を形成するためのイオンの導入技術はもはや必須のものとなっている。
【0003】
イオンの導入技術は、トリガー電極により材料ガスをプラズマ化して質量数の異なる複数のイオンを生成し、チャンバー内に設置される引出し電極系や加速電極系によりプラズマ中のイオンに適切なエネルギーを付与し、半導体に導入する方法が知られている。また、材料ガスをプラズマ化した後、質量分離を行って選択されたイオンのみを半導体に導入することもある。イオンの導入技術の特徴は、加速電圧やイオン密度を制御することにより、半導体に対し所定の深さに所定の濃度で不純物元素を注入することが可能であるという点にある。代表的にはイオンドーピング装置、イオン注入装置等が挙げられる。
【0004】
さらに、半導体において所望の領域のみにイオンを導入することもある。例えば、半導体上に部分的に有機膜からなるレジストを形成し、該レジストをマスクとしてイオンを導入すれば、レジストが形成されていない領域にのみイオンを注入することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、半導体上にレジストパターンを形成してイオンの導入処理をすると、レジストパターンにもイオンが照射される。そのため、加速されたイオンがレジストを加熱して、或いはその成分と反応してガスが放出される。ここではこのガスを解離ガスと呼ぶ。レジストは有機材料であるのが一般的であるため、解離ガスの成分として、窒素、炭素、酸素、水素、水蒸気等が含まれる。解離ガスが発生すると、気相中に拡散して電界で加速されたイオンとともに解離ガスの成分が半導体中に注入されてしまう。
【0006】
図6は、レジストパターンが形成されているシリコンウエハ(図中太線で示す)、及びレジストが形成されていないシリコンウエハ(図中細線で示す)に対してボロンを導入したときのシリコンウエハ中のボロン(B)、炭素(C)、酸素(O)および窒素(N)の分布を示している。イオンの導入条件は、材料ガスとしてB26を用い、高周波電源を20W、加速電圧を65kV、ドーズ量を3.3×1015atoms/cm2として導入した。図6より、レジストが形成されているシリコンウエハには、レジストが形成されていないシリコンウエハより炭素(C)、酸素(O)および窒素(N)が非常に多く分布していることがわかる。半導体の物性を向上させるためには、これらは少しでも少ないことが望ましい。
【0007】
また、レジストは半導体上に部分的に形成されているため、解離ガスの発生は局所的となり、半導体においてイオンの導入量にばらつきが生じる。さらに、解離ガスが発生することにより、イオンの導入が行われる処理室内の圧力が変化するため、アーキングが発生したり、イオン密度や加速電圧に悪影響を及ぼし、設定されたイオンの導入条件から外れることもある。これらは、基板が大型化する中で、ますます深刻な問題となっており、半導体の物性を低下させる大きな要因にもなる。
【0008】
そこで、解離ガスの発生を低減するための方法として、イオンの導入の前にベークや紫外線(UV)照射等を行う方法がある。これらの処理によりレジストを硬化させ、解離ガスの発生を低減することができる。一方、レジストは所望の領域にのみイオンを導入するためのマスクとして使用しているに過ぎず、イオンの導入の後には除去する必要がある。しかしながら、ベークやUV照射により硬化したレジストは、アッシングや剥離等を行っても除去しきれないことがある。レジストは一般的に有機膜であるため、半導体上に残渣物として滞留すると、該半導体の物性だけでなく、イオンの導入以降の工程における装置が汚染されるため、他の半導体の物性をも低下させる原因となり、延いては半導体装置の動作特性に悪影響を及ぼす。また、イオンの導入以降に形成される膜の被覆性を低下させ、断線等の原因となり得る。また、ベークやUV照射等を行うことは工程数が増加し、時間やコストの増加に繋がる。
【0009】
そこで、本発明は、レジストに代表される有機膜から発生する解離ガスを低減あるいは防止するための方法を提供する。また、有機膜を用いて所望の領域にイオンを導入する場合に発生する解離ガスを低減あるいは防止するための方法を提供することを課題とする。さらに、イオンの導入を工程に含んで作製される半導体装置の作製方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、有機膜から発生する解離ガスの処理を行うことを特徴とする。特に、本発明は、イオンの導入を行う前の解離ガスの処理を行うことを特徴とする。
そのための方法として、イオンの導入を複数回に分けて行うことを特徴とする。
解離ガスは、イオンの導入が始まった直後に最も多く発生する。そのため、イオンの導入を複数回に分け、少なくとも2回目以降のそれぞれのイオンの導入において、排気を行い解離ガスを処理室内から除去しながらイオンの導入を行えば、解離ガスの成分が半導体中に導入されることを低減もしくは防止することが可能となる。もちろん、1回目のイオンの導入の時から排気を行ってもよいし、それぞれの導入の終了後に排気を行って解離ガスを処理室内から低減もしくは除去してもよい。なお、イオンの導入には、イオン注入装置やイオンドーピング注入装置を用いる。例えば、米国特許第5,892,235号に開示される装置を用いれば良い。
【0011】
また、本発明はレジストに対してベークやUV照射等を行って、前記レジストを硬化させたものに対しても行うことができる。ベークやUV照射を行ってからイオンの導入を行っても、解離ガスが発生することが多い。そのため、本発明を適用することは非常に有効である。
【0012】
本発明の構成は、有機膜からの解離ガスの処理を行った後にイオンの導入を行うことを特徴としている。
【0013】
また、本明細書で開示するイオンの導入方法に関する発明の他の構成は、有機膜をマスクとして第1の加速電圧または第1の電流密度により第1のイオンの導入を行うことによって前記有機膜からの解離ガスの処理を行い、該有機膜をマスクとして第2の加速電圧または第2の電流密度により第2のイオンの導入を行うことを特徴としている。
【0014】
上記構成において、前記第1の加速電圧は、前記第2の加速電圧より高いことが望ましい。このようにすることで、前記第2のイオンの導入における解離ガスの発生を低減あるいは防止することができる。また、第1の電流密度は、第2の電流密度より低いことが望ましい。このようにすることで、解離ガスの成分が半導体に導入されることを低減あるいは防止することができる。
【0015】
また、上記構成において、前記第1のイオンおよび前記第2のイオンは、同じ材料ガスを用いて生成されていることが望ましい。同じ装置において、異なる材料ガスを用いてイオンの導入を行うと、第2のイオンの導入を行うときに、処理室内の圧力等が不安定になりやすく、設定された導入条件から外れる場合があるためである。但し、第1のイオンとして不活性ガスを用いて生成されたものを用い、第2のイオンとして材料ガスを用いて生成されたものを用いれば、第1のイオンと第2のイオンにおいて異なる材料ガスを用いる場合より、安定したイオンの導入を行うことができる。
【0016】
また、材料ガスとして、n型を付与するために用いられる材料ガス(代表的にはPH3等)、p型を付与するために用いられる材料ガス(代表的には、B26等)を用いることができる。
【0017】
また、上記構成において、前記第1の加速電圧により第1のイオンをレジストが形成されている半導体に導入するときの時間は、6分以内、好ましくは2分以内とするのが望ましい。前記第1のイオンの導入は、前記レジストをある程度硬化させることにより、前記第2のイオンを前記半導体に導入するときの解離ガスの発生を防止あるいは低減するために行うものである。前記第1のイオンを導入する時間が長すぎると、前記半導体に解離ガスの成分まで導入されて前記半導体の物性が低下したり、イオンの導入の終了後に除去する前記レジストが必要以上に硬化されて該レジストの除去が困難になる。
【0018】
本明細書で開示する半導体装置の作製方法に関する発明の構成は、半導体膜上に形成された有機膜からの解離ガスの処理を行った後にイオンの導入を行うことにより不純物領域を形成することを特徴としている。
【0019】
また、本明細書で開示する半導体装置の作製方法に関する発明の他の構成は、半導体膜上に形成された有機膜をマスクとして第1の加速電圧または第1の電流密度により第1のイオンの導入を行うことによって前記有機膜からの解離ガスの処理を行い、該有機膜をマスクとして第2の加速電圧または第2の電流密度により第2のイオンの導入を行うことにより不純物領域を形成することを特徴としている。
【0020】
上記構成において、前記第1の加速電圧は、前記第2の加速電圧より高いことが望ましい。また、第1の電流密度は、第2の電流密度より低いことが望ましい。
【0021】
また、上記構成において、前記第1のイオンおよび前記第2のイオンは、同じ材料ガスを用いて生成されていることが望ましい。但し、第1のイオンとして不活性ガスを用いて生成されたものを用い、第2のイオンとして材料ガスを用いて生成されたものを用いれば、第1のイオンと第2のイオンにおいて異なる材料ガスを用いる場合より、安定したイオンの導入を行うことができる。
【0022】
また、材料ガスとして、n型を付与するために用いられる材料ガス(代表的にはPH3等)、p型を付与するために用いられる材料ガス(代表的には、B26等)を用いることができる。
【0023】
また、上記構成において、前記第1の加速電圧により第1のイオンをレジストが形成されている半導体に導入するときの時間は、6分以内、好ましくは2分以内とするのが望ましい。
【0024】
上記構成において、前記半導体として珪素膜を用いるのが望ましい。また、非晶質珪素膜のほかに、非晶質珪素ゲルマニウム膜などの非晶質構造を有する化合物半導体膜を適用しても良い。そして、半導体を形成するための基板として、ガラス基板、石英基板やシリコン基板、プラスチック基板、金属基板、ステンレス基板、可撓性基板などを用いることができる。前記ガラス基板として、バリウムホウケイ酸ガラス、またはアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラスからなる基板が挙げられる。また、可撓性基板とは、PET、PES、PEN、アクリルなどからなるフィルム状の基板のことであり、可撓性基板を用いて半導体装置を作製すれば、軽量化が見込まれる。可撓性基板の表面、または表面および裏面にアルミ膜(AlON、AlN、AlOなど)、炭素膜(DLC(ダイヤモンドライクカーボン)など)、窒化シリコン(SiN)などのバリア層を単層または多層にして形成すれば、耐久性などが向上するので望ましい。
【0025】
このように、本発明は、イオンの導入を複数回に分けて行うことで、解離ガスの成分を半導体に導入することを低減または防止することを可能とする。さらに、設定された導入条件から外れることなく、また、半導体に対して均一なイオンの導入を行うことができる。さらに、イオンの導入前にレジストのベークを行っていないことから、工程数を増やすことがない上、イオンの導入後に行われるレジストの除去も容易とすることができる。これらは、基板が大型化する中で非常に有効な手段である。
【0026】
さらに、本発明を適用することで、アクティブマトリクス型の液晶表示装置に代表される半導体装置において、半導体装置の動作特性および信頼性の向上を実現することができる。さらに、半導体装置の製造コストの低減を実現することができる。なお、本明細書中において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能し得る装置全般を指し、薄膜トランジスタと液晶とを組み合わせた液晶表示装置や薄膜トランジスタと発光素子とを組み合わせた発光装置等もその範疇にあるとする。
【発明の効果】
【0027】
本発明の構成を採用することにより、以下に示すような基本的有意性を得ることが出来る。
(a)有機膜を用いたイオンの導入の処理を行っても、前記有機膜からの解離ガスを防止することができる。
(b)有機膜からの解離ガスによるプロセスの悪影響を回避できる。
(c)以上の利点を満たした上で、アクティブマトリクス型の液晶表示装置に代表される半導体装置において、半導体装置の動作特性および信頼性の向上を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
[実施形態1]
本発明の実施形態について図1を用いて説明する。
【0029】
図1(A)は部分的にレジストが形成されている半導体の例を示している。基板10上に下地絶縁膜11を形成し、前記下地絶縁膜11上に半導体膜12を形成し、前記半導体膜12上に絶縁膜13を介してレジスト14を形成している。
もちろん、絶縁膜13を形成することなく、半導体膜12上にレジスト14を形成してもよい。
【0030】
このようにレジスト14が形成されている半導体に第1の加速電圧により第1のイオン15による第1の導入を行う。この処理にはイオンドーピング装置やイオン注入装置等を用い、材料ガスとして公知の材料ガス(PH3、B26等)を用いれば良い。また、半導体に対して影響を及ぼさない不活性ガスを用いても良い。さらに、第1の加速電圧は後工程で行われる第2の加速電圧より高いことが望ましい。そして、第1の導入における処理時間は6分以内(好ましくは2分以内)であることが望ましい。第1の導入により、第1のイオン15がレジスト14と反応し、解離ガス16が発生する。
【0031】
続いて、処理室内の排気を行うのが望ましい。これは、第1の導入により発生する解離ガス16を処理室内から除去するためである(図1(B))。一般に、イオンの導入は、処理室内に材料ガスを供給する一方で、処理室内を排気している。しかしながら、イオンの導入の際の排気は排気能力の数割を使って行うことが多い。そのため、処理室内に発生した解離ガスをできるだけ除去するためには、第1のイオンの導入と第2のイオンの導入の間に処理室内の排気を行うことが望ましい。また、排気能力の高い装置においては、第1のイオンの導入と第2のイオンの導入の間に処理室内の排気を行わなくてもよい。
【0032】
そして、第2の加速電圧で、第2のイオン18により第2の導入を行う(図1(C))。この処理においても、第1のイオンによる第1の導入のときと同様に、イオンドーピング装置やイオン注入装置等を用いる。材料ガスは、第1の導入のときと同じ材料ガスを用いるのが好ましい。第1の導入と第2の導入において異なる材料ガスを用いると、処理室内の圧力が不安定となり、第2の導入に悪影響を及ぼす可能性があるためである。もちろん、第1の導入の際に不活性ガスを用いるのであれば、ほとんど問題なく安定した処理を行うことができる。また、第2の加速電圧や処理時間は、例えば半導体装置の作製に適したものを実施者が適宜決定すれば良い。
【0033】
このように、イオンの導入を複数回に分けて行うことで、解離ガスの成分を半導体に導入することを低減または防止することを可能とする。さらに、設定された導入条件から外れることなく、また、半導体に対して均一なイオンの導入を行うことができる。さらに、イオンの導入前にレジストのベークを行っていないことから、工程数を増やすことがない上、イオンの導入後に行われるレジストの除去も容易とすることが可能となる。これらは、基板が大型化する中で非常に有効な手段である。
【0034】
本実施形態では、イオンの導入を2回に分けて行っているが、複数回であるなら2回に限定しない。
また、本実施形態では、イオンの導入の前にレジストのベーク等の処理を行っていないが、先に行ってから本発明を適用することも可能である。
なお、本実施形態では、イオンの導入におけるレジストからの解離ガスを低減もしくは防止する方法について説明しているが、アクリルやポリイミド等の他の有機膜からの解離ガスの低減もしくは防止するために本発明を適用することも可能である。
【0035】
[実施形態2]
本実施形態では、基板上にレジストを形成し、イオンの第1の導入および第2の導入を行ったときの処理室内の圧力の変化について調べた結果について説明する。なお、本実施形態では、第1の導入における第1の加速電圧の条件を振る実験を行った。
【0036】
図2は基板20上に部分的にレジスト21を形成した例である。基板20として、ガラス基板を用い、レジストとして、ノボラック樹脂を用いた。
【0037】
このようにレジスト21が形成されている基板にイオンの第1の導入を行った。この処理にはイオンドーピング装置を用い、材料ガスとしてB26を用いて6分間行った。また、高周波電源は5Wで一定として、加速電圧は、10、40、90kVの3条件とした。この時の処理室内の圧力の変化を表1の「第1の導入」の欄及び図3(A)に示す。
【0038】
【表1】

【0039】
表1及び図3(A)において、「1st 10kV 5W」は第1の導入を高周波電源5W、加速電圧10kVの条件で行ったものを示し、「1st 40kV 5W」は第1の導入を高周波電源5W、加速電圧40kVの条件で行ったものを示し、「1st 90kV 5W」は第1の導入を高周波電源5W、加速電圧90kVの条件で行ったものを示す。
【0040】
イオンが導入される間、処理室内には材料ガスが供給される一方で、前記処理室内を排気しているため、該処理室内の圧力は一定値となるはずである。しかしながら、解離ガス16が発生すると排気されるべきガスの量が処理室内を排気する装置の能力を上回るため、処理室内の圧力は高くなり、解離ガスの発生が終了すると処理室内の圧力は一定値となる。図3(A)から、加速電圧が高いほど、解離ガスが多く発生することがわかる。また、時間が経つにつれ圧力は一定値となることから、解離ガスは時間が経つにつれて発生しなくなることがわかる。
【0041】
続いて、処理室内の排気を行って、該処理室内から解離ガス16を除去もしくは低減する(図2(B))。
【0042】
そして、第1の導入を行ったそれぞれの基板に対して、第2の加速電圧によりイオンの第2の導入を行う(図2(C))。この処理においても、イオンの第1の導入のときと同様に、イオンドーピング装置を用いた。材料ガスは、第1の導入のときと同様にB26を用い、加速電圧を30kV、高周波電源を20Wとした。このとき(第2の導入のとき)の処理室内の圧力の変化を表1の「第2の導入」の欄及び図3(B)に示す。表1及び図3(B)において、「1st 10kV 5W」は第1の導入を高周波電源5W、加速電圧10kVの条件で行った後に第2の導入を行ったものを示し、「1st 40kV 5W」は第1の導入を高周波電源5W、加速電圧40kVの条件で行った後に第2の導入を行ったものを示し、「1st 90kV 5W」は第1の導入を高周波電源5W、加速電圧90kVの条件で行った後に第2の導入を行ったものを示す。図3(B)をみると、第1の導入の加速電圧を、第2の導入の加速電圧30kVよりも低い10kVとした場合は、処理時間10秒(0.17分)から2分にかけて圧力が大きく変化しており、解離ガスの発生が認められる。それに対し、第1の導入の加速電圧を、第2の導入の加速電圧30kVよりも高い40kV、90kVとした場合には、処理室内の圧力変化が小さく、解離ガスがほとんど発生していないことがわかる。よって、図3(B)から第1の導入の際の加速電圧が第2の導入の際の加速電圧よりも高いと、第2の導入における圧力の変化がほとんどないことがわかる。即ち、解離ガスがほとんど発生しないことがわかる。
【0043】
上記の結果及び説明から、本発明において、第1の加速電圧は、第2の加速電圧より高いことが望ましいことがわかる。また、第1の導入における処理時間が長くなると、解離ガスの成分が半導体に導入される等の悪影響が生じる。そのため、処理時間は2分程度、好ましくは1分以内とするのがよい。もしくは、第1の導入の加速電圧が90kVのとき、第1の導入が行われてから10秒後(0.17分)に処理室内の圧力はピーク値を取り、40秒後および1分後は同じ値となっていることから、40秒以内あるいは10秒以内としてもよい。しかしながら、加速電圧等の条件によって、圧力がピーク値を取るまでの時間、ピーク値を取り一定値になるまでの時間は異なるため、予め様々な条件のピーク値を取るまでの時間、ピーク値を取り一定値になるまでの時間を調べておくことが好ましい。
【0044】
このように、イオンの導入を複数回に分けて行うことで、解離ガスの成分を半導体に導入することを低減または防止することを可能とする。さらに、設定された導入条件から外れることなく、また、半導体に対して均一なイオンの導入を行うことができる。さらに、イオンの導入前にレジストのベークを行っていないことから、工程数を増やすことがない上、イオンの導入後に行われるレジストの除去も容易とすることを可能とする。
【0045】
本実施形態では、イオンの導入を2回に分けて行っているが、その要旨は複数回行うことであり2回に限定されるものではない。
【0046】
[実施形態3]
本実施形態では、基板上にレジストを形成し、イオンの第1の導入および第2の導入を行ったときの処理室内の圧力の変化について調べた結果について説明する。なお、本実施形態では第2の導入における第2の加速電圧の条件を振った。
【0047】
図2は基板20上に部分的にレジスト21が形成した例である。基板20として、ガラス基板を用い、レジストとして、ノボラック樹脂を用いた。
【0048】
このようにレジスト21が形成されている基板にイオンの第1の導入を行った。この処理にはイオンドーピング装置を用い、材料ガスとしてB26を用い、高周波電源を5W、加速電圧を90kVとして、6分間行った。この時の処理室内の圧力の変化を表2の「第1の導入」の欄及び図4(A)に示す。
【0049】
【表2】

【0050】
表2及び図4(A)において、「2nd 10kV 20W」は第2の導入を高周波電源20W、加速電圧10kVの条件で行ったものを示し、「2nd 30kV 20W」は第2の導入を高周波電源20W、加速電圧30kVの条件で行ったものを示し、「2nd 50kV 20W」は第2の導入を高周波電源20W、加速電圧50kVの条件で行ったものを示す。いずれも第1の導入が始まってから10秒後に圧力はピーク値を取り、その後、低下している。
【0051】
続いて、処理室内の排気を行って解離ガス16を除去または低減する(図2(B))。
【0052】
そして、第1の導入を行ったそれぞれの基板に対して、第2の加速電圧によりイオンの第2の導入を行う(図2(C))。この処理においても、イオンの第1の導入のときと同様に、イオンドーピング装置を用いた。材料ガスは、第1の導入のときと同じ材料ガスであるB26を用い、高周波電源を20W、加速電圧を10、30、50kVの3条件とした。このときの処理室内の圧力の変化を表2の「第2の導入」の欄及び図4(B)に示す。表2及び図4(B)において、「2nd 10kV 20W」は第2の導入を高周波電源20W、加速電圧10kVの条件で行ったものを示し、「2nd 30kV 20W」は第2の導入を高周波電源20W、加速電圧30kVの条件で行ったものを示し、「2nd 50kV 20W」は第2の導入を高周波電源20W、加速電圧50kVの条件で行ったものを示す。図4(B)から、第1の導入の際の加速電圧が第2の導入の際の加速電圧よりも高いと、第2の導入における圧力の変化が小さいことがわかる。即ち、解離ガスがほとんど発生しないことがわかる。
【0053】
上記の結果及び説明から、本発明において、第1の導入の加速電圧は、第2の導入の加速電圧より高いことが望ましいことがわかる。つまり、第1の加速電圧が高ければ、第2の加速電圧によらず、解離ガスの発生が低減または防止できるため、より均一なイオンの導入を行うことが可能となる。さらに、第1の導入と第2の導入において高周波電源の値を変える事で、それぞれの導入における電流密度を変えている。即ち、第1の導入における電流密度は、第2の導入における電流密度より低いので、半導体膜に解離ガスの成分をあまり導入せずに第1の導入を行うことができる。
【0054】
このように、イオンの導入を複数回に分けて行うことで、解離ガスの成分を半導体に導入することを低減または防止することを可能とする。さらに、設定された導入条件から外れることなく、また、半導体に対して均一なイオンの導入を行うことができる。さらに、イオンの導入前にレジストのベークを行っていないことから、工程数を増やすことがない上、イオンの導入後に行われるレジストの除去も容易とすることを可能とする。
【0055】
本実施形態では、イオンの導入を2回に分けて行っているが、複数回であるなら2回に限定しない。
【0056】
[実施形態4]
本実施形態では、レジストのベークを行ってから、本発明を適用する方法について説明する。
【0057】
図5は、基板上に部分的にレジストを形成し、ベークを行った試料と行わない試料に対してイオンの導入を行ったときの処理室内の圧力の変化を示している。
レジストとしてノボラック樹脂を用い、ベークはオーブンにて200℃で2時間行った。そして、イオンの導入条件は、イオンドーピング装置を用い、材料ガスとしてB26を用い、高周波電源を5W、加速電圧を80kV、ドーズ量を1.5×1015atoms/cm2として行った。
【0058】
図5より、ベークを行っていても処理室内の圧力が変化していることがわかる。即ち、解離ガスが発生していることが分かる。そのため、本発明を適用し、実施形態にしたがって解離ガスの成分が半導体に導入されないようにすることが好ましい。
【0059】
このように、イオンの導入を複数回に分けて行うことで、解離ガスの成分を半導体に導入することを低減または防止することを可能とする。さらに、設定された導入条件から外れることなく、また、半導体に対して均一なイオンの導入を行うことができる。
【0060】
[実施形態5]
本実施形態ではアクティブマトリクス基板の作製方法について図7〜図10を用いて説明する。本明細書ではCMOS回路、及び駆動回路と、画素TFT、保持容量とを有する画素部を同一基板上に形成された基板を、便宜上アクティブマトリクス基板と呼ぶ。
【0061】
まず、本実施形態ではバリウムホウケイ酸ガラス、またはアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラスからなる基板400を用いる。なお、基板400としては、石英基板やシリコン基板、金属基板またはステンレス基板の表面に絶縁膜を形成したものを用いても良い。また、本実施形態の処理温度に耐えうる耐熱性が有するプラスチック基板を用いてもよいし、可撓性基板を用いても良い。
【0062】
次いで、基板400上に酸化珪素膜、窒化珪素膜または酸化窒化珪素膜などの絶縁膜から成る下地膜401を公知の手段により形成する。本実施形態では下地膜401として2層構造を用いるが、前記絶縁膜の単層膜または2層以上積層させた構造を用いても良い。
【0063】
次いで、下地膜上に半導体膜を形成する。半導体膜は公知の手段(スパッタ法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等)により25〜300nm(好ましくは30〜200nm)の厚さで半導体膜を成膜し、公知の結晶化法(レーザ結晶化法、RTAやファーネスアニール炉を用いた熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いた熱結晶化法等)あるいは公知の結晶化法の組み合わせにより結晶化させる。前記半導体膜としては、非晶質半導体膜や微結晶半導体膜、結晶性半導体膜などがあり、非晶質珪素ゲルマニウム膜、非晶質シリコンカーバイト膜などの非晶質構造を有する化合物半導体膜を適用しても良い。また、レーザ結晶化法を適用するのであれば、用いるレーザは、連続発振またはパルス発振の固体レーザまたは気体レーザまたは金属レーザが望ましい。なお、前記固体レーザとしては連続発振またはパルス発振のYAGレーザ、YVO4レーザ、YLFレーザ、YAlO3レーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライドレーザ、Ti:サファイアレーザ等があり、前記気体レーザとしては連続発振またはパルス発振のエキシマレーザ、Arレーザ、Krレーザ、CO2レーザ等があり、前記金属レーザとしてはヘリウムカドミウムレーザ、銅蒸気レーザ、金蒸気レーザが挙げられる。
【0064】
本実施形態では、プラズマCVD法を用い、50nmの非晶質珪素膜を成膜し、この非晶質珪素膜に結晶化を助長する金属元素を用いた熱結晶化法およびレーザ結晶化法を行う。金属元素としてニッケルを用い、溶液塗布法により非晶質珪素膜上に導入した後、550℃で5時間の熱処理を行って第1の結晶性珪素膜を得る。そして、出力10Wの連続発振のYVO4レーザから射出されたレーザ光を非線形光学素子により第2高調波に変換したのち前記第1の結晶性珪素膜に照射して第2の結晶性珪素膜を得る。前記第1の結晶性珪素膜にレーザ光を照射して第2の結晶性珪素膜とすることで、結晶性が向上する。このときのエネルギー密度は0.01〜100MW/cm2程度(好ましくは0.1〜10MW/cm2)が必要である。そして、0.5〜2000cm/s程度の速度でレーザ光に対して相対的にステージを動かして照射し、結晶性珪素膜を形成する。また、パルス発振のレーザを用いる場合には、周波数300Hzとし、レーザーエネルギー密度を100〜1500mJ/cm2(代表的には200〜1000mJ/cm2)とするのが望ましい。このとき、レーザ光を50〜98%オーバーラップさせても良い。
【0065】
もちろん、第1の結晶性珪素膜を用いてTFTを作製することもできるが、第2の結晶性珪素膜は結晶性が向上しているため、TFTの電気的特性が向上するので望ましい。例えば、第1の結晶性珪素膜を用いてTFTを作製すると、移動度は300cm2/Vs程度であるが、第2の結晶性珪素膜を用いてTFTを作製すると、移動度は500〜600cm2/Vs程度と著しく向上する。
【0066】
このようにして得られた結晶性半導体膜をフォトリソグラフィ法を用いたパターニング処理により、半導体層402〜406を形成する。
【0067】
また、半導体層402〜406を形成した後、TFTのしきい値を制御するために微量な不純物元素(ボロンまたはリン)のドーピングを行ってもよい。
【0068】
次いで、半導体層402〜406を覆うゲート絶縁膜407を形成する。ゲート絶縁膜407はプラズマCVD法またはスパッタ法を用い、厚さを40〜200nmとして珪素を含む絶縁膜で形成する。本実施形態では、プラズマCVD法により110nmの厚さで酸化窒化珪素膜を形成する。勿論、ゲート絶縁膜は酸化窒化珪素膜に限定されるものでなく、他の絶縁膜を単層または積層構造として用いても良い。
【0069】
また、酸化珪素膜を用いる場合には、プラズマCVD法でTEOS(Tetraethyl Orthosilicate)とO2とを混合し、反応圧力40Pa、基板温度300〜400℃とし、高周波(13.56MHz)電力密度0.5〜0.8W/cm2で放電させて形成することができる。このようにして作製される酸化珪素膜は、その後400〜500℃の熱アニールによりゲート絶縁膜として良好な特性を得ることができる。
【0070】
次いで、ゲート絶縁膜407上に膜厚20〜200nmの第1の導電膜408と、膜厚100〜500nmの第2の導電膜409とを積層形成する。本実施形態では、膜厚30nmのTaN膜からなる第1の導電膜408と、膜厚370nmのW膜からなる第2の導電膜409を積層形成する。TaN膜はスパッタ法で形成し、Taのターゲットを用い、窒素を含む雰囲気内でスパッタする。また、W膜は、Wのターゲットを用いたスパッタ法で形成した。その他に6フッ化タングステン(WF6)を用いる熱CVD法で形成することもできる。いずれにしてもゲート電極として使用するためには低抵抗化を図る必要があり、W膜の抵抗率は20μΩcm以下にすることが望ましい。
【0071】
なお、本実施形態では、第1の導電膜408をTaN、第2の導電膜409をWとしているが、特に限定されず、いずれもTa、W、Ti、Mo、Al、Cu、Cr、Ndから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成してもよい。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶珪素膜に代表される半導体膜を用いてもよい。また、AgPdCu合金を用いてもよい。
【0072】
次に、フォトリソグラフィ法を用いてレジストからなるマスク410〜415を形成し、電極及び配線を形成するための第1のエッチング処理を行う。第1のエッチング処理では第1及び第2のエッチング条件で行う(図7(B))。本実施形態では第1のエッチング条件として、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用い、エッチング用ガスにCF4とCl2とO2とを用い、それぞれのガス流量比を25:25:10(sccm)とし、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成してエッチングを行う。基板側(試料ステージ)にも150WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。この第1のエッチング条件によりW膜をエッチングして第1の導電層の端部をテーパー形状とする。
【0073】
この後、レジストからなるマスク410〜415を除去せずに第2のエッチング条件に変え、エッチング用ガスにCF4とCl2とを用い、それぞれのガス流量比を30:30(sccm)とし、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成して約30秒程度のエッチングを行う。基板側(試料ステージ)にも20WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。CF4とCl2を混合した第2のエッチング条件ではW膜及びTaN膜とも同程度にエッチングされる。なお、ゲート絶縁膜上に残渣を残すことなくエッチングするためには、10〜20%程度の割合でエッチング時間を増加させると良い。
【0074】
上記第1のエッチング処理では、レジストからなるマスクの形状を適したものとすることにより、基板側に印加するバイアス電圧の効果により第1の導電層及び第2の導電層の端部がテーパー形状となる。このテーパー部の角度は15〜45°となる。こうして、第1のエッチング処理により第1の導電層と第2の導電層から成る第1の形状の導電層417〜422(第1の導電層417a〜422aと第2の導電層417b〜422b)を形成する。416はゲート絶縁膜であり、第1の形状の導電層417〜422で覆われない領域は20〜50nm程度エッチングされ薄くなった領域が形成される。
【0075】
次いで、レジストからなるマスクを除去せずに第2のエッチング処理を行う(図7(C))。ここでは、エッチングガスにCF4とCl2とO2とを用い、W膜を選択的にエッチングする。この時、第2のエッチング処理により第2の導電層428b〜433bを形成する。一方、第1の導電層417a〜422aは、ほとんどエッチングされず、第2の形状の導電層428a〜433aを形成する。
【0076】
そして、レジストからなるマスクを除去し、第1のイオンの導入を行い、半導体層にn型を付与する不純物元素を低濃度に導入する。イオンの導入はイオンドープ法、イオン注入法等で行えば良い。イオンドープ法の条件はドーズ量を1×1013〜5×1014atoms/cm2とし、加速電圧を40〜80kVとして行う。
本実施形態ではドーズ量を1.5×1013atoms/cm2とし、加速電圧を60kVとして行う。n型を付与する不純物元素として15族に属する元素、典型的にはリン(P)または砒素(As)を用いるが、ここではリン(P)を用いる。この場合、導電層428〜433がn型を付与する不純物元素に対するマスクとなり、自己整合的に不純物領域423〜427が形成される。不純物領域423〜427には1×1018〜1×1020 atoms/cm3の濃度範囲でn型を付与する不純物元素を添加する。
【0077】
レジストからなるマスクを除去した後、新たにレジストからなるマスク434a〜434cを形成し、解離ガスの発生の低減または除去するための処理として、第2のイオンの導入を行う。イオンドープ法の条件は加速電圧を50〜120kVとし、6分以内で行うのが好ましい。第2のイオンの導入において用いるガスは、公知の材料ガスや不活性ガスとすれば良い。第2のイオンの導入により、レジストから解離ガスが放出されるが、短時間の処理であるため、前記解離ガスの成分が半導体層に導入されることはほとんどない。本実施形態では、加速電圧を70kV、材料ガスとしてPH3を用い、2分間行う。
【0078】
そして、第2のイオンの導入の終了後に、処理室内の排気を行って、該処理室内の解離ガスを除去または低減するのが望ましい。
【0079】
レジストからなるマスク434a〜434cをそのままの状態で、第3のイオンの導入を行う。イオンドープ法の条件はドーズ量を1×1013〜1×1017atoms/cm2とし、加速電圧を40〜120kVとして行う。ドーピング処理は第2の導電層428b、430b、432bを不純物元素に対するマスクとして用い、第1の導電層428b、430b、432bと重ならない半導体層および第1の導電層のテーパー部の下方の半導体層に不純物元素が添加されるようにドーピングする(図8(B))。本実施形態では、加速電圧を65kVとし、材料ガスとしてPH3を用い、ドーズ量を4×1015 atoms/cm2として行う。第2のドーピング処理により、第1の導電層と重なる低濃度不純物領域436b、442b、448bには1×1018〜5×1019 atoms /cm3の濃度範囲でn型を付与する不純物元素を添加され、高濃度不純物領域435b、441b、444b、447bには1×1019〜5×1021 atoms /cm3の濃度範囲でn型を付与する不純物元素を添加される。
【0080】
もちろん、第3のドーピング処理を2回に分けて行い、それぞれのドーピング処理において低濃度不純物領域と高濃度不純物領域を分けて形成することも可能である。
【0081】
次いで、レジストからなるマスクを除去した後、新たにレジストからなるマスク450a〜450dを形成し、解離ガスの発生の低減または除去するための処理として、第4のイオンの導入を行う。イオンドープ法の条件は、加速電圧を50〜120kVとし、6分以内で行うのが好ましい。第4のイオンの導入において用いるガスは、公知の材料ガスや不活性ガスとすれば良い。第4のイオンの導入により、レジストから解離ガスが放出されるが、短時間の処理であるため、前記解離ガスの成分が半導体層に導入されることはほとんどない。本実施形態では、加速電圧を90kV、材料ガスとしてB26を用い、1分間行う。
【0082】
そして、第4のイオンの導入の終了後に、処理室内の排気を行って、該処理室内の解離ガスを除去または低減するのが望ましい。
【0083】
レジストからなるマスク450a〜450dをそのままの状態とし、第5のイオンの導入を行う。イオンドープ法の条件はドーズ量を1×1014〜1×1018 atoms/cm2とし、加速電圧を40〜120kVとして行う。この第5のドーピング処理により、pチャネル型TFTの活性層となる半導体層に前記一導電型とは逆の導電型を付与する不純物元素が添加された不純物領域453b、454bを形成する。第2の導電層429aを不純物元素に対するマスクとして用い、p型を付与する不純物元素を添加して自己整合的に不純物領域を形成する。本実施形態では、不純物領域453b、454bはジボラン(B26)を用いたイオンドープ法で形成する。このとき、加速電圧は80kVとして行なう(図8(B)
)。この第5のイオンの導入の際には、nチャネル型TFTを形成する半導体層はレジストからなるマスク450a〜450dで覆われている。第1乃至第3のイオンの導入によって、不純物領域424にはリンが添加されているが、p型を付与する不純物元素の濃度を1×1019〜5×1021atoms/cm3となるようにドーピング処理することにより、pチャネル型TFTのソース領域およびドレイン領域として機能するために何ら問題は生じない。
【0084】
以上までの工程で、それぞれの半導体層に不純物領域が形成される。
【0085】
次いで、レジストからなるマスク450a〜450dを除去して第1の層間絶縁膜461を形成する。この第1の層間絶縁膜461としては、プラズマCVD法またはスパッタ法を用い、厚さを100〜200nmとして珪素を含む絶縁膜で形成する。本実施形態では、プラズマCVD法により膜厚150nmの酸化窒化珪素膜を形成した。勿論、第1の層間絶縁膜461は酸化窒化珪素膜に限定されるものでなく、他の珪素を含む絶縁膜を単層または積層構造として用いても良い。
【0086】
次いで、レーザ光を照射して、半導体層の結晶性の回復、それぞれの半導体層に添加された不純物元素の活性化を行う。レーザ活性化に用いるレーザは、連続発振またはパルス発振の固体レーザまたは気体レーザまたは金属レーザが望ましい。このとき、連続発振のレーザを用いるのであれば、レーザ光のエネルギー密度は0.01〜100MW/cm2程度(好ましくは0.01〜10MW/cm2)が必要であり、レーザ光に対して相対的に基板を0.5〜2000cm/sの速度で移動させる。また、パルス発振のレーザを用いるのであれば、周波数300Hzとし、レーザーエネルギー密度を50〜1000mJ/cm2(代表的には50〜700mJ/cm2)とするのが望ましい。このとき、レーザ光を50〜98%オーバーラップさせても良い。なお、レーザアニール法の他に、熱アニール法、またはラピッドサーマルアニール法(RTA法)などを適用することができる。
【0087】
また、第1の層間絶縁膜461を形成する前に活性化を行っても良い。ただし、用いた配線材料が熱に弱い場合には、本実施形態のように配線等を保護するため層間絶縁膜(珪素を主成分とする絶縁膜、例えば窒化珪素膜)を形成した後で活性化処理を行うことが好ましい。
【0088】
そして、熱処理(300〜550℃で1〜12時間の熱処理)を行うと水素化を行うことができる。この工程は第1の層間絶縁膜461に含まれる水素により半導体層のダングリングボンドを終端する工程である。第1の層間絶縁膜の存在に関係なく半導体層を水素化することができる。水素化の他の手段として、プラズマ水素化(プラズマにより励起された水素を用いる)や、3〜100%の水素を含む雰囲気中で300〜450℃で1〜12時間の熱処理を行っても良い。
【0089】
次いで、第1の層間絶縁膜461上に無機絶縁膜材料または有機絶縁物材料から成る第2の層間絶縁膜462を形成する。本実施形態では、膜厚1.6μmのアクリル樹脂膜を形成したが、粘度が10〜1000cp、好ましくは40〜200cpのものを用い、表面に凸凹が形成されるものを用いる。
【0090】
本実施形態では、鏡面反射を防ぐため、表面に凸凹が形成される第2の層間絶縁膜を形成することによって画素電極の表面に凸凹を形成した。また、画素電極の表面に凹凸を持たせて光散乱性を図るため、画素電極の下方の領域に凸部を形成してもよい。その場合、凸部の形成は、TFTの形成と同じフォトマスクで行うことができるため、工程数の増加なく形成することができる。なお、この凸部は配線及びTFT部以外の画素部領域の基板上に適宜設ければよい。こうして、凸部を覆う絶縁膜の表面に形成された凸凹に沿って画素電極の表面に凸凹が形成される。
【0091】
また、第2の層間絶縁膜462として表面が平坦化する膜を用いてもよい。その場合は、画素電極を形成した後、公知のサンドブラスト法やエッチング法等の工程を追加して表面を凹凸化させて、鏡面反射を防ぎ、反射光を散乱させることによって白色度を増加させることが好ましい。
【0092】
そして、駆動回路506において、各不純物領域とそれぞれ電気的に接続する配線463〜467を形成する。なお、これらの配線は、膜厚50nmのTi膜と、膜厚500nmの合金膜(AlとTiとの合金膜)との積層膜をパターニングして形成する。もちろん、二層構造に限らず、単層構造でもよいし、三層以上の積層構造にしてもよい。また、配線の材料としては、AlとTiに限らない。
例えば、TaN膜上にAlやCuを形成し、さらにTi膜を形成した積層膜をパターニングして配線を形成してもよい(図9(C))。
【0093】
また、画素部507においては、画素電極470、ゲート配線469、接続電極468を形成する。この接続電極468によりソース配線(433aと433bの積層)は、画素TFTと電気的な接続が形成される。また、ゲート配線469は、画素TFTのゲート電極と電気的な接続が形成される。また、画素電極470は、画素TFTのドレイン領域と電気的な接続が形成され、さらに保持容量を形成する一方の電極として機能する半導体層406と電気的な接続が形成される。また、画素電極470としては、AlまたはAgを主成分とする膜、またはそれらの積層膜等の反射性の優れた材料を用いることが望ましい。
【0094】
以上の様にして、nチャネル型TFT501とpチャネル型TFT502からなるCMOS回路、及びnチャネル型TFT503を有する駆動回路506と、画素TFT504及び保持容量505とを有する画素部507を同一基板上に形成することができる。こうして、アクティブマトリクス基板が完成する。
【0095】
駆動回路506のnチャネル型TFT501はチャネル形成領域437、ゲート電極の一部を構成する第1の導電層428aと重なる低濃度不純物領域436b(GOLD領域)、ソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域435bを有している。このnチャネル型TFT501と電極466で接続してCMOS回路を形成するpチャネル型TFT502にはチャネル形成領域455、ソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域453bと、n型を付与する不純物元素およびp型を付与する不純物元素が導入された不純物領域454bを有している。また、nチャネル型TFT503にはチャネル形成領域443、ゲート電極の一部を構成する第1の導電層430aと重なる低濃度不純物領域442b(GOLD領域)、ソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域441bを有している。
【0096】
画素部の画素TFT504にはチャネル形成領域446、ゲート電極の外側に形成される低濃度不純物領域445b(LDD領域)、ソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域444bを有している。また、保持容量505の一方の電極として機能する半導体層には、n型を付与する不純物元素およびp型を付与する不純物元素が添加されている。保持容量505は、絶縁膜416を誘電体として、電極(432aと432bの積層)と、半導体層とで形成している。
【0097】
本実施形態の画素構造は、ブラックマトリクスを用いることなく、画素電極間の隙間が遮光されるように、画素電極の端部をソース配線と重なるように配置形成する。
【0098】
また、本実施形態で作製するアクティブマトリクス基板の画素部の上面図を図10に示す。なお、図7〜図10に対応する部分には同じ符号を用いている。図9中の鎖線A−A’は図10中の鎖線A―A’で切断した断面図に対応している。また、図9中の鎖線B−B’は図10中の鎖線B―B’で切断した断面図に対応している。
【0099】
以上のようにして作製されるアクティブマトリクス基板は、イオンの導入の際に解離ガスの成分がほとんど導入されることなく作製され、また、イオンの導入の後のレジストの除去も容易であることから、優れた物性を有する半導体膜を用いて作製されたTFTを有しており、前記TFTの電気的特性は十分なものとなる。そして、このようなTFTを用いて、動作特性や信頼性が十分な半導体装置を作製することができる。
【0100】
[実施形態6]
本実施形態では、実施形態5で作製されるアクティブマトリクス基板から、反射型液晶表示装置を作製する工程を図11を用いて以下に説明する。本実施形態では本発明の記載がないが、実施形態5で作製されるアクティブマトリクス基板を用いているため、本発明を適用していると言える。
【0101】
まず、実施形態5に従い、図9の状態のアクティブマトリクス基板を得た後、図9のアクティブマトリクス基板上、少なくとも画素電極470上に配向膜567を形成しラビング処理を行う。なお、本実施形態では配向膜567を形成する前に、アクリル樹脂膜等の有機樹脂膜をパターニングすることによって基板間隔を保持するための柱状のスペーサ572を所望の位置に形成した。また、柱状のスペーサに代えて、球状のスペーサを基板全面に散布してもよい。
【0102】
次いで、対向基板569を用意する。次いで、対向基板569上に着色層570、571、平坦化膜573を形成する。赤色の着色層570と青色の着色層571とを重ねて、遮光部を形成する。また、赤色の着色層と緑色の着色層とを一部重ねて、遮光部を形成してもよい。
【0103】
本実施形態では、実施形態5に示す基板を用いている。従って、実施形態5の画素部の上面図を示す図10では、少なくともゲート配線469と画素電極470の間隙と、ゲート配線469と接続電極468の間隙と、接続電極468と画素電極470の間隙を遮光する必要がある。本実施形態では、それらの遮光すべき位置に着色層の積層からなる遮光部が重なるように各着色層を配置して、対向基板を貼り合わせる。
【0104】
このように、ブラックマスク等の遮光層を形成することなく、各画素間の隙間を着色層の積層からなる遮光部で遮光することによって工程数の低減を可能とした。
【0105】
次いで、平坦化膜573上に透明導電膜からなる対向電極576を少なくとも画素部に形成し、対向基板の全面に配向膜574を形成し、ラビング処理を施した。
【0106】
そして、画素部と駆動回路が形成されたアクティブマトリクス基板と対向基板とをシール材568で貼り合わせる。シール材568にはフィラーが混入されていて、このフィラーと柱状スペーサによって均一な間隔を持って2枚の基板が貼り合わせられる。その後、両基板の間に液晶材料575を注入し、封止剤(図示せず)によって完全に封止する。液晶材料575には公知の液晶材料を用いれば良い。このようにして図11に示す反射型液晶表示装置が完成する。そして、必要があれば、アクティブマトリクス基板または対向基板を所望の形状に分断する。さらに、対向基板のみに偏光板(図示しない)を貼りつけた。そして、公知の技術を用いてFPCを貼りつけた。
【0107】
以上のようにして作製される液晶表示装置は、イオンの導入の際に解離ガスの成分がほとんど導入されることなく作製され、また、イオンの導入の後のレジストの除去も容易であることから、優れた物性を有する半導体膜を用いて作製されたTFTを有しており、前記液晶表示装置の動作特性や信頼性を十分なものとなり得る。そして、このような液晶表示装置は各種電子機器の表示部として用いることができる。
【0108】
[実施形態7]
本実施形態では、実施形態5で示したアクティブマトリクス基板を作製するときのTFTの作製方法を用いて、発光装置を作製する例について説明する。本実施形態では本発明の記載がないが、実施形態5で作製されるアクティブマトリクス基板を用いているため、本発明を適用していると言える。本明細書において、発光装置とは、基板上に形成された発光素子を該基板とカバー材の間に封入した表示用パネルおよび該表示用パネルにTFTを備えた表示用モジュールを総称したものである。なお、発光素子は、電場を加えることで発生するルミネッセンス(Electro Luminescence)が得られる有機化合物を含む層(発光層)と陽極層と、陰極層とを有する。また、有機化合物におけるルミネッセンスには、一重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(蛍光)と三重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(リン光)があり、これらのうちどちらか、あるいは両方の発光を含む。
【0109】
なお、本明細書中では、発光素子において陽極と陰極の間に形成された全ての層を有機発光層と定義する。有機発光層には具体的に、発光層、正孔注入層、電子注入層、正孔輸送層、電子輸送層等が含まれる。基本的に発光素子は、陽極層、発光層、陰極層が順に積層された構造を有しており、この構造に加えて、陽極層、正孔注入層、発光層、陰極層や、陽極層、正孔注入層、発光層、電子輸送層、陰極層等の順に積層した構造を有していることもある。
【0110】
図12は本実施形態の発光装置の断面図である。図12において、基板700上に設けられたスイッチングTFT603は図9のnチャネル型TFT503を用いて形成される。したがって、構造の説明はnチャネル型TFT503の説明を参照すれば良い。
【0111】
なお、本実施形態ではチャネル形成領域が二つ形成されるダブルゲート構造としているが、チャネル形成領域が一つ形成されるシングルゲート構造もしくは三つ形成されるトリプルゲート構造であっても良い。
【0112】
基板700上に設けられた駆動回路は図9のCMOS回路を用いて形成される。従って、構造の説明はnチャネル型TFT501とpチャネル型TFT502の説明を参照すれば良い。なお、本実施形態ではシングルゲート構造としているが、ダブルゲート構造もしくはトリプルゲート構造であっても良い。
【0113】
また、配線701、703はCMOS回路のソース配線、702はドレイン配線として機能する。また、配線704はソース配線708とスイッチングTFTのソース領域とを電気的に接続する配線として機能し、配線705はドレイン配線709とスイッチングTFTのドレイン領域とを電気的に接続する配線として機能する。
【0114】
なお、電流制御TFT604は図9のpチャネル型TFT502を用いて形成される。従って、構造の説明はpチャネル型TFT502の説明を参照すれば良い。なお、本実施形態ではシングルゲート構造としているが、ダブルゲート構造もしくはトリプルゲート構造であっても良い。
【0115】
また、配線706は電流制御TFTのソース配線(電流供給線に相当する)であり、707は画素電極711の上に重ねることで画素電極711と電気的に接続する電流制御TFTの電極である。
【0116】
なお、711は、透明導電膜からなる画素電極(発光素子の陽極)である。透明導電膜としては、酸化インジウムと酸化スズとの化合物、酸化インジウムと酸化亜鉛との化合物、酸化亜鉛、酸化スズまたは酸化インジウムを用いることができる。また、前記透明導電膜にガリウムを添加したものを用いても良い。画素電極711は、上記配線を形成する前に平坦な層間絶縁膜710上に形成する。本実施形態においては、樹脂からなる平坦化膜710を用いてTFTによる段差を平坦化することは非常に重要である。後に形成される発光層は非常に薄いため、段差が存在することによって発光不良を起こす場合がある。従って、発光層をできるだけ平坦面に形成しうるように画素電極を形成する前に平坦化しておくことが望ましい。
【0117】
配線701〜707を形成後、図12に示すようにバンク712を形成する。
バンク712は100〜400nmの珪素を含む絶縁膜もしくは有機樹脂膜をパターニングして形成すれば良い。
【0118】
なお、バンク712は絶縁膜であるため、成膜時における素子の静電破壊には注意が必要である。本実施形態ではバンク712の材料となる絶縁膜中にカーボン粒子や金属粒子を添加して抵抗率を下げ、静電気の発生を抑制する。この際、抵抗率は1×106〜1×1012Ωm(好ましくは1×108〜1×1010Ωm)
となるようにカーボン粒子や金属粒子の添加量を調節すれば良い。
【0119】
画素電極711の上には発光層713が形成される。なお、図12では一画素しか図示していないが、本実施形態ではR(赤)、G(緑)、B(青)の各色に対応した発光層を作り分けている。また、本実施形態では蒸着法により低分子系有機発光材料を形成している。具体的には、正孔注入層として20nm厚の銅フタロシアニン(CuPc)膜を設け、その上に発光層として70nm厚のトリス−8−キノリノラトアルミニウム錯体(Alq3)膜を設けた積層構造としている。Alq3にキナクリドン、ペリレンもしくはDCM1といった蛍光色素を添加することで発光色を制御することができる。
【0120】
但し、以上の例は発光層として用いることのできる有機発光材料の一例であって、これに限定する必要はまったくない。発光層、電荷輸送層または電荷注入層を自由に組み合わせて発光層(発光及びそのためのキャリアの移動を行わせるための層)を形成すれば良い。例えば、本実施形態では低分子系有機発光材料を発光層として用いる例を示したが、中分子系有機発光材料や高分子系有機発光材料を用いても良い。なお、本明細書中において、昇華性を有さず、かつ、分子数が20以下または連鎖する分子の長さが10μm以下の有機発光材料を中分子系有機発光材料とする。また、高分子系有機発光材料を用いる例として、正孔注入層として20nmのポリチオフェン(PEDOT)膜をスピン塗布法により設け、その上に発光層として100nm程度のパラフェニレンビニレン(PPV)膜を設けた積層構造としても良い。なお、PPVのπ共役系高分子を用いると、赤色から青色まで発光波長を選択できる。また、電荷輸送層や電荷注入層として炭化珪素等の無機材料を用いることも可能である。これらの有機発光材料や無機材料は公知の材料を用いることができる。
【0121】
次に、発光層713の上には導電膜からなる陰極714が設けられる。本実施形態の場合、導電膜としてアルミニウムとリチウムとの合金膜を用いる。勿論、公知のMgAg膜(マグネシウムと銀との合金膜)を用いても良い。陰極材料としては、周期表の1族もしくは2族に属する元素からなる導電膜もしくはそれらの元素を添加した導電膜を用いれば良い。
【0122】
この陰極714まで形成された時点で発光素子715が完成する。なお、ここでいう発光素子715は、画素電極(陽極)711、発光層713及び陰極714で形成されたダイオードを指す。
【0123】
発光素子715を完全に覆うようにしてパッシベーション膜716を設けることは有効である。パッシベーション膜716としては、炭素膜、窒化珪素膜もしくは窒化酸化珪素膜を含む絶縁膜からなり、該絶縁膜を単層もしくは組み合わせた積層で用いる。
【0124】
この際、カバレッジの良い膜をパッシベーション膜として用いることが好ましく、炭素膜、特にDLC膜を用いることは有効である。DLC膜は室温から100℃以下の温度範囲で成膜可能であるため、耐熱性の低い発光層713の上方にも容易に成膜することができる。また、DLC膜は酸素に対するブロッキング効果が高く、発光層713の酸化を抑制することが可能である。そのため、この後に続く封止工程を行う間に発光層713が酸化するといった問題を防止できる。
【0125】
さらに、パッシベーション膜716上に封止材717を設け、カバー材718を貼り合わせる。封止材717としては紫外線硬化樹脂を用いれば良く、内部に吸湿効果を有する物質もしくは酸化防止効果を有する物質を設けることは有効である。また、本実施形態においてカバー材718はガラス基板や石英基板やプラスチック基板(プラスチックフィルムも含む)や可撓性基板の両面に炭素膜(好ましくはDLC膜)を形成したものを用いる。炭素膜以外にもアルミ膜(AlON、AlN、AlOなど)、SiNなどを用いることができる。
【0126】
こうして図12に示すような構造の発光装置が完成する。なお、バンク712を形成した後、パッシベーション膜716を形成するまでの工程をマルチチャンバー方式(またはインライン方式)の成膜装置を用いて、大気解放せずに連続的に処理することは有効である。また、さらに発展させてカバー材718を貼り合わせる工程までを大気解放せずに連続的に処理することも可能である。
【0127】
こうして、基板700上にnチャネル型TFT601、pチャネル型TFT602、スイッチングTFT(nチャネル型TFT)603および電流制御TFT(pチャネル型TFT)604が形成される。
【0128】
さらに、図12を用いて説明したように、ゲート電極に絶縁膜を介して重なる不純物領域を設けることによりホットキャリア効果に起因する劣化に強いnチャネル型TFTを形成することができる。そのため、信頼性の高い発光装置を実現できる。
【0129】
また、本実施形態では画素部と駆動回路の構成のみ示しているが、本実施形態の製造工程に従えば、その他にも信号分割回路、D/Aコンバータ、オペアンプ、γ補正回路などの論理回路を同一の絶縁体上に形成可能であり、さらにはメモリやマイクロプロセッサをも形成しうる。
【0130】
以上のようにして作製される発光装置は、イオンの導入の際に解離ガスの成分がほとんど導入されることなく作製され、また、イオンの導入の後のレジストの除去も容易であることから、優れた物性を有する半導体膜を用いて作製されたTFTを有しており、前記発光装置の動作特性や信頼性を十分なものとすることができる。そして、このような発光装置は各種電子機器の表示部として用いることができる。
【0131】
[実施形態8]
本発明を適用して、様々な半導体装置(アクティブマトリクス型液晶表示装置、アクティブマトリクス型発光装置、アクティブマトリクス型EC表示装置)を作製することができる。即ち、それら電気光学装置を表示部に組み込んだ様々な電子機器に本発明を適用できる。なお、本実施形態では本発明の記載がないが、実施形態1乃至6または7を組み合わせて作製するため、本発明を適用していると言える。
【0132】
その様な電子機器としては、ビデオカメラ、デジタルカメラ、プロジェクター、ヘッドマウントディスプレイ(ゴーグル型ディスプレイ)、カーナビゲーション、カーステレオ、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話または電子書籍等)などが挙げられる。それらの例を図13、図14及び図15に示す。
【0133】
図13(A)はパーソナルコンピュータであり、本体3001、画像入力部3002、表示部3003、キーボード3004等を含む。本発明により作製される半導体装置を表示部3003に適用することで、本発明のパーソナルコンピュータが完成する。
【0134】
図13(B)はビデオカメラであり、本体3101、表示部3102、音声入力部3103、操作スイッチ3104、バッテリー3105、受像部3106等を含む。本発明により作製される半導体装置を表示部3102に適用することで、本発明のビデオカメラが完成する。
【0135】
図13(C)はモバイルコンピュータ(モービルコンピュータ)であり、本体3201、カメラ部3202、受像部3203、操作スイッチ3204、表示部3205等を含む。本発明により作製される半導体装置を表示部3205に適用することで、本発明のモバイルコンピュータが完成する。
【0136】
図13(D)はゴーグル型ディスプレイであり、本体3301、表示部3302、アーム部3303等を含む。表示部3302は基板として可撓性基板を用いており、表示部3302を湾曲させてゴーグル型ディスプレイを作製している。
また軽量で薄いゴーグル型ディスプレイを実現している。本発明により作製される半導体装置を表示部3302に適用することで、本発明のゴーグル型ディスプレイが完成する。
【0137】
図13(E)はプログラムを記録した記録媒体(以下、記録媒体と呼ぶ)を用いるプレーヤーであり、本体3401、表示部3402、スピーカ部3403、記録媒体3404、操作スイッチ3405等を含む。なお、このプレーヤーは記録媒体としてDVD(Digital Versatile Disc)、CD等を用い、音楽鑑賞や映画鑑賞やゲームやインターネットを行うことができる。本発明により作製される半導体装置を表示部3402に適用することで、本発明の記録媒体が完成する。
【0138】
図13(F)はデジタルカメラであり、本体3501、表示部3502、接眼部3503、操作スイッチ3504、受像部(図示しない)等を含む。本発明により作製される半導体装置を表示部3502に適用することで、本発明のデジタルカメラが完成する。
【0139】
図14(A)はフロント型プロジェクターであり、投射装置3601、スクリーン3602等を含む。本発明により作製される半導体装置を投射装置3601の一部を構成する液晶表示装置3808やその他の駆動回路に適用することで、本発明のフロント型プロジェクターが完成する。
【0140】
図14(B)はリア型プロジェクターであり、本体3701、投射装置3702、ミラー3703、スクリーン3704等を含む。本発明により作製される半導体装置を投射装置3702の一部を構成する液晶表示装置3808やその他の駆動回路に適用することで、本発明のリア型プロジェクターが完成する。
【0141】
なお、図14(C)は、図14(A)及び図14(B)中における投射装置3601、3702の構造の一例を示した図である。投射装置3601、3702は、光源光学系3801、ミラー3802、3804〜3806、ダイクロイックミラー3803、プリズム3807、液晶表示装置3808、位相差板3809、投射光学系3810で構成される。投射光学系3810は、投射レンズを含む光学系で構成される。本実施形態は三板式の例を示したが、特に限定されず、例えば単板式であってもよい。また、図14(C)中において矢印で示した光路に実施者が適宜、光学レンズや、偏光機能を有するフィルムや、位相差を調節するためのフィルム、IRフィルム等の光学系を設けてもよい。
【0142】
また、図14(D)は、図14(C)中における光源光学系3801の構造の一例を示した図である。本実施形態では、光源光学系3801は、リフレクター3811、光源3812、レンズアレイ3813、3814、偏光変換素子3815、集光レンズ3816で構成される。なお、図14(D)に示した光源光学系は一例であって特に限定されない。例えば、光源光学系に実施者が適宜、光学レンズや、偏光機能を有するフィルムや、位相差を調節するフィルム、IRフィルム等の光学系を設けてもよい。
【0143】
ただし、図14に示したプロジェクターにおいては、透過型の電気光学装置を用いた場合を示しており、反射型の電気光学装置及び発光装置での適用例は図示していない。
【0144】
図15(A)は携帯電話であり、本体3901、音声出力部3902、音声入力部3903、表示部3904、操作スイッチ3905、アンテナ3906等を含む。本発明により作製される半導体装置を表示部3904に適用することで、本発明の携帯電話が完成する。
【0145】
図15(B)は携帯書籍(電子書籍)であり、本体4001、表示部4002、4003、記憶媒体4004、操作スイッチ4005、アンテナ4006等を含む。本発明により作製される半導体装置は表示部4002、4003に適用することで、本発明の携帯書籍が完成する。
【0146】
図15(C)はディスプレイであり、本体4101、支持台4102、表示部4103等を含む。表示部4103は可撓性基板を用いて作製されており、軽量で薄いディスプレイを実現できる。また、表示部4103を湾曲させることも可能である。本発明により作製される半導体装置を表示部4103に適用することで、本発明のディスプレイが完成する。本発明のディスプレイは特に大画面化した場合において有利であり、対角10インチ以上(特に30インチ以上)のディスプレイには有利である。
【0147】
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、さまざまな分野の電子機器に適用することが可能である。また、本実施形態の電子機器は実施形態1〜6または7の組み合わせからなる構成を用いても実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0148】
【図1】本発明のイオンの導入方法の一例を示す図。
【図2】本発明のイオンの導入方法の一例を示す図。
【図3】第1の加速電圧を振り、第2の加速電圧を同条件としたときの処理室内の圧力の変化の例を示す図。
【図4】第1の加速電圧を同条件とし、第2の加速電圧を振ったときの処理室内の圧力の変化の例を示す図。
【図5】レジストベークの有無による処理室内の圧力の変化の例を示す図。
【図6】レジストの有無によるシリコンウエハ中のイオンの分布の例を示す図。
【図7】画素TFT、駆動回路のTFTの作製工程を示す断面図。
【図8】画素TFT、駆動回路のTFTの作製工程を示す断面図。
【図9】画素TFT、駆動回路のTFTの作製工程を示す断面図。
【図10】画素TFTの構成を示す上面図。
【図11】アクティブマトリクス型液晶表示装置の断面図。
【図12】発光装置の駆動回路及び画素部の断面構造図。
【図13】半導体装置の例を示す図。
【図14】半導体装置の例を示す図。
【図15】半導体装置の例を示す図。
【符号の説明】
【0149】
10 基板
11 下地絶縁膜
12 半導体層
13 絶縁膜
14 レジスト
15 第1のイオン
16 解離ガス
17 不純物領域
18 第2のイオン
19 不純物領域
20 基板
21 レジスト



【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン注入法又はイオンドーピング法により処理室内にイオンを導入する工程において、
基板上に第1の半導体層及び第2の半導体層を形成し、
前記第1の半導体層上に第1の有機膜をマスクとして形成し、
第1の加速電圧により第1のイオンの導入を行うことによって、前記第1の有機膜からの解離ガスの処理を行い、
前記第1のイオンの導入の終了後に排気を行い前記第1の有機膜からの解離ガスを前記処理室内から低減又は除去し、
前記第1の有機膜をマスクとして、前記第1の加速電圧より低い第2の加速電圧により前記第1のイオンと同じ材料ガスを用いて生成される一導電型の不純物元素を含む第2のイオンの導入を行うことにより、前記第2の半導体層に不純物領域を形成し、
前記第1の有機膜を除去した後に前記第2の半導体層上に第2の有機膜をマスクとして形成し、
第3の加速電圧により第3のイオンの導入を行うことによって、前記第2の有機膜からの解離ガスの処理を行い、
前記第3のイオンの導入の終了後に排気を行い前記第2の有機膜からの解離ガスを前記処理室内から低減又は除去し、
前記第2の有機膜をマスクとして、前記第3の加速電圧より低い第4の加速電圧により前記第3のイオンと同じ材料ガスを用いて生成される前記一導電型とは逆の導電型を付与する不純物元素を含む第4のイオンの導入を行うことにより、前記第1の半導体層に不純物領域を形成することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項2】
イオン注入法又はイオンドーピング法により処理室内にイオンを導入する工程において、
基板上に第1の半導体層及び第2の半導体層を形成し、
前記第1の半導体層上に第1の有機膜をマスクとして形成し、
50kV〜120kVの第1の加速電圧により第1のイオンの導入を行うことによって、前記第1の有機膜からの解離ガスの処理を6分以内で行い、
前記第1のイオンの導入の終了後に排気を行い前記第1の有機膜からの解離ガスを前記処理室内から低減又は除去し、
前記第1の有機膜をマスクとして、前記第1の加速電圧より低い40kV〜120kVの第2の加速電圧により前記第1のイオンと同じ材料ガスを用いて生成される一導電型の不純物元素を含む第2のイオンの導入を行うことにより、前記第2の半導体層に不純物領域を形成し、
前記第1の有機膜を除去した後に前記第2の半導体層上に第2の有機膜をマスクとして形成し、
50kV〜120kVの第3の加速電圧により第3のイオンの導入を行うことによって、前記第2の有機膜からの解離ガスの処理を6分以内で行い、
前記第3のイオンの導入の終了後に排気を行い前記第2の有機膜からの解離ガスを前記処理室内から低減又は除去し、
前記第2の有機膜をマスクとして、前記第3の加速電圧より低い40kV〜120kVの第4の加速電圧により前記第3のイオンと同じ材料ガスを用いて生成される前記一導電型とは逆の導電型を付与する不純物元素を含む第4のイオンの導入を行うことにより、前記第1の半導体層に不純物領域を形成することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項3】
イオン注入法又はイオンドーピング法により処理室内にイオンを導入する工程において、
基板上に第1の半導体層及び第2の半導体層を形成し、
前記第1の半導体層及び前記第2の半導体層を覆うゲート絶縁膜を形成し、
前記ゲート絶縁膜上に第1の導電膜と第2の導電膜を積層して形成し、
前記第1の半導体層及び前記第2の半導体層に重なる前記第1の導電膜と前記第2の導電膜上にレジストからなるマスクを形成し、第1のエッチング処理を行い、第1の導電層と第2の導電層からなる第1の形状の導電層を前記第1の半導体層及び前記第2の半導体層上にそれぞれ形成し、
前記レジストからなるマスクを除去せずに前記第1の形状の導電層に第2のエッチング処理を行い、第2の形状の導電層を形成し、
前記レジストからなるマスクを除去し、
前記第1の半導体層及び前記第2の半導体層にn型を付与する不純物元素を低濃度に導入し、
前記第1の半導体層を覆う第1の有機膜を形成し、
第1の加速電圧により第1のイオンの導入を行うことによって、前記第1の有機膜からの解離ガスの処理を行い、
前記第1のイオンの導入の終了後に排気を行い前記第1の有機膜からの解離ガスを前記処理室内から低減又は除去し、
前記第1の有機膜をマスクとして、前記第1の加速電圧より低い第2の加速電圧により前記第1のイオンと同じ材料ガスを用いて生成される一導電型の不純物元素を含む第2のイオンの導入を行うことにより、前記第2の半導体層に高濃度不純物領域及び前記第1の導電層と重なる低濃度不純物領域を形成し、
前記第1の有機膜を除去した後に前記第2の半導体層を覆う第2の有機膜を形成し、
第3の加速電圧により第3のイオンの導入を行うことによって、前記第2の有機膜からの解離ガスの処理を行い、
前記第3のイオンの導入の終了後に排気を行い前記第2の有機膜からの解離ガスを前記処理室内から低減又は除去し、
前記第2の有機膜をマスクとして、前記第3の加速電圧より低い第4の加速電圧により前記第3のイオンと同じ材料ガスを用いて生成される前記一導電型とは逆の導電型を付与する不純物元素を含む第4のイオンの導入を行うことにより、前記第1の半導体層に不純物領域を形成することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項4】
イオン注入法又はイオンドーピング法により処理室内にイオンを導入する工程において、
基板上に第1の半導体層及び第2の半導体層を形成し、
前記第1の半導体層上に第1の有機膜をマスクとして形成し、
第1の加速電圧により不活性ガスを用いて第1のイオンの導入を行うことによって、前記第1の有機膜からの解離ガスの処理を行い、
前記第1のイオンの導入の終了後に排気を行い前記第1の有機膜からの解離ガスを処理室内から低減又は除去し、
前記第1の有機膜をマスクとして、前記第1の加速電圧より低い第2の加速電圧によりPH又はBを用いて生成される一導電型の不純物元素を含む第2のイオンの導入を行うことにより、前記第2の半導体層に不純物領域を形成し、
前記第1の有機膜を除去した後に前記第2の半導体層上に第2の有機膜をマスクとして形成し、
第3の加速電圧により不活性ガスを用いて第3のイオンの導入を行うことによって、前記第2の有機膜からの解離ガスの処理を行い、
前記第3のイオンの導入の終了後に排気を行い前記第2の有機膜からの解離ガスを処理室内から低減又は除去し、
前記第2の有機膜をマスクとして、前記第3の加速電圧より低い第4の加速電圧により前記一導電型とは逆の導電型を付与する不純物元素を含む第4のイオンの導入を行うことにより、前記第1の半導体層に不純物領域を形成することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項5】
イオン注入法又はイオンドーピング法により処理室内にイオンを導入する工程において、
基板上に第1の半導体層及び第2の半導体層を形成し、
前記第1の半導体層上に第1の有機膜をマスクとして形成し、
50kV〜120kVの第1の加速電圧により不活性ガスを用いて第1のイオンの導入を行うことによって、前記第1の有機膜からの解離ガスの処理を6分以内で行い、
前記第1のイオンの導入の終了後に排気を行い前記第1の有機膜からの解離ガスを処理室内から低減又は除去し、
前記第1の有機膜をマスクとして、前記第1の加速電圧より低い40kV〜120kVの第2の加速電圧によりPH又はBを用いて生成された一導電型の不純物元素を含む第2のイオンの導入を行うことにより、前記第2の半導体層に不純物領域を形成し、
前記第1の有機膜を除去した後に前記第2の半導体層上に第2の有機膜をマスクとして形成し、
50kV〜120kVの第3の加速電圧により不活性ガスを用いて第3のイオンの導入を行うことによって、前記第2の有機膜からの解離ガスの処理を6分以内で行い、
前記第3のイオンの導入の終了後に排気を行い前記第2の有機膜からの解離ガスを処理室内から低減又は除去し、
前記第2の有機膜をマスクとして、前記第3の加速電圧より低い40kV〜120kVの第4の加速電圧により前記一導電型とは逆の導電型を付与する不純物元素を含む第4のイオンの導入を行うことにより、前記第1の半導体層に不純物領域を形成することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項6】
イオン注入法又はイオンドーピング法により処理室内にイオンを導入する工程において、
基板上に第1の半導体層及び第2の半導体層を形成し、
前記第1の半導体層及び前記第2の半導体層を覆うゲート絶縁膜を形成し、
前記ゲート絶縁膜上に第1の導電膜と第2の導電膜を積層して形成し、
前記第1の半導体層及び前記第2の半導体層に重なる前記第1の導電膜と前記第2の導電膜上にレジストからなるマスクを形成し、第1のエッチング処理を行い、第1の導電層と第2の導電層からなる第1の形状の導電層を前記第1の半導体層及び前記第2の半導体層上にそれぞれ形成し、
前記レジストからなるマスクを除去せずに前記第1の形状の導電層に第2のエッチング処理を行い、第2の形状の導電層を形成し、
前記レジストからなるマスクを除去し、
前記第1の半導体層及び前記第2の半導体層にn型を付与する不純物元素を低濃度に導入し、
前記第1の半導体層を覆う第1の有機膜を形成し、
第1の加速電圧により不活性ガスを用いて第1のイオンの導入を行うことによって、前記第1の有機膜からの解離ガスの処理を行い、
前記第1のイオンの導入の終了後に排気を行い前記第1の有機膜からの解離ガスを処理室内から低減又は除去し、
前記第1の有機膜をマスクとして、前記第1の加速電圧より低い第2の加速電圧によりPH又はBを用いて生成される一導電型の不純物元素を含む第2のイオンの導入を行うことにより、前記第2の半導体層に高濃度不純物領域及び前記第1の導電層と重なる低濃度不純物領域を形成し、
前記第1の有機膜を除去した後に前記第2の半導体層を覆う第2の有機膜を形成し、
第3の加速電圧により不活性ガスを用いて第3のイオンの導入を行うことによって、前記第2の有機膜からの解離ガスの処理を行い、
前記第3のイオンの導入の終了後に排気を行い前記第2の有機膜からの解離ガスを処理室内から低減又は除去し、
前記第2の有機膜をマスクとして、前記第3の加速電圧より低い第4の加速電圧により前記一導電型とは逆の導電型を付与する不純物元素を含む第4のイオンの導入を行うことにより、前記第1の半導体層に不純物領域を形成することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一において、前記第1の有機膜をベーク又はUV照射した後に、前記第1のイオンの導入を行うことを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一において、前記第2の有機膜をベーク又はUV照射した後に、前記第3のイオンの導入を行うことを特徴とする半導体装置の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−49181(P2007−49181A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−273777(P2006−273777)
【出願日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【分割の表示】特願2003−7926(P2003−7926)の分割
【原出願日】平成15年1月16日(2003.1.16)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】