説明

半導体装置及びトランジスタの駆動方法

【課題】光照射されてトランジスタの電気特性が変動した場合でも、その電気特性をほぼ光照射前の状態にする手法を提供する。
【解決手段】酸化物半導体を用いたトランジスタのゲート電極に、正のバイアス電圧を10msec以上印加することにより、光照射されて変動した当該トランジスタの電気特性をほぼ光照射前の状態にすることが可能になる。なお、当該トランジスタのゲート電極に対する正のバイアス電圧印加は、当該トランジスタが受光する光量を参照して適切なタイミングで行う。これより光照射されても表示品位の低下が抑制された表示装置を実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は酸化物半導体を含むトランジスタを用いた半導体装置及びそのトランジスタの駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶テレビに代表される表示装置にはアモルファスシリコンを用いたトランジスタが用いられてきたが、トランジスタを作製するために、シリコン半導体に代わる材料として酸化物半導体が注目されている。例えば、アクティブマトリクス型の表示装置におけるトランジスタの活性層として、In、Ga及びZnを含む非晶質酸化物を用い、該非晶質酸化物の電子キャリア濃度が1018/cm未満としたものが開示されている(特許文献1参照)。
【0003】
しかし、酸化物半導体を用いたトランジスタには幾つかの問題が指摘されている。その一つは特性の安定性であり、可視光及び紫外光を照射することで電気特性が変化することが指摘されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−165528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光照射されてトランジスタの電気特性が変動した場合でも、その電気特性をほぼ光照射前の状態にする手法を提供することを課題の一つとする。
【0006】
また、光照射されても表示品位の低下が抑制された表示装置を提供することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、ゲート絶縁層を介して酸化物半導体層と重なるゲート電極を有するトランジスタと、ゲート電極に正の電圧を100μsec以上加える駆動回路と、を有することを特徴とする半導体装置である。
【0008】
本発明の一態様は、ゲート絶縁層を介して酸化物半導体層と重なるゲート電極を有するトランジスタと、該トランジスタのオフ状態時に、ゲート電極に正の電圧を100μsec以上加える駆動回路と、を有することを特徴とする半導体装置である。
【0009】
本発明の一態様は、ゲート絶縁層を介して酸化物半導体層と重なるゲート電極を有するトランジスタと、該トランジスタの閾値電圧を光照射前と略同等の状態にするために、該トランジスタが遮光されている時に、ゲート電極に正の電圧を100μsec以上加える駆動回路と、を有することを特徴とする半導体装置である。
【0010】
また本発明の一態様において、光の照射によるトランジスタの電気特性の変化量を駆動回路によりゼロまたは小さくすることを特徴とする半導体装置である。
【0011】
また、本発明の一態様は、ゲート絶縁層を介して酸化物半導体層と重なるゲート電極を有するトランジスタと、光センサと、光センサが光の消灯を検知して、ゲート電極に正の電圧を加える駆動回路と、を有することを特徴とする半導体装置である。
【0012】
また、本発明の一態様は、ゲート絶縁層を介して酸化物半導体層と重なるゲート電極を有するトランジスタと、光センサと、光センサが光の点灯を検知して、ゲート電極に正の電圧を加える駆動回路と、を有することを特徴とする半導体装置である。
【0013】
上記において、光センサは酸化物半導体層のバンドギャップ以上のエネルギーを含む光を検知できることが好ましい。
【0014】
本発明の一態様は、酸化物半導体層をチャネル形成領域とし、ゲート絶縁層を介して酸化物半導体層と重なるゲート電極を有するトランジスタに光が照射されたことによりしきい値電圧がマイナス側に変化した後、ソース電極及びドレイン電極に電圧を印加しない状態で、該ゲート電極に正の電圧を100μsec以上印加することで、該しきい値電圧を光照射前と略同等の状態にすることを特徴とするトランジスタの駆動方法である。
【0015】
また、本発明の一態様は、酸化物半導体層をチャネル形成領域とし、ゲート絶縁層を介して酸化物半導体層と重なるゲート電極を有するトランジスタに光が照射されたことによりしきい値電圧がマイナス側に変化した後、ソース電極及びドレイン電極に電圧を印加しない状態で、該トランジスタのオフ状態時に、該ゲート電極に正の電圧を100μsec以上印加することで、該しきい値電圧を光照射前と略同等の状態にすることを特徴とするトランジスタの駆動方法である。
【0016】
また、本発明の一態様は、酸化物半導体層をチャネル形成領域とし、ゲート絶縁層を介して酸化物半導体層と重なるゲート電極を有するトランジスタに光が照射されたことによりしきい値電圧がマイナス側に変化した後、ソース電極及びドレイン電極に電圧を印加しない状態で、該トランジスタが遮光されている時に、該ゲート電極に正の電圧を100μsec以上印加することで、該しきい値電圧を光照射前と略同等の状態にすることを特徴とするトランジスタの駆動方法である。
【0017】
なお、本明細書等において「上」や「下」の用語は、構成要素の位置関係が「直上」または「直下」であることを限定するものではない。例えば、「ゲート絶縁層上のゲート電極」の表現であれば、ゲート絶縁層とゲート電極との間に他の構成要素を含むものを除外しない。また、「上」「下」の用語は説明の便宜のために用いる表現に過ぎない。
【0018】
また、「ソース」や「ドレイン」の機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書においては、「ソース」や「ドレイン」の用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
【0019】
なお、本明細書における「光電流」とは、光照射によって電気特性が変動するトランジスタに流れる電流を指すものとする。ただし、便宜上、「光電流」は光を照射しないトランジスタに流れる電流に対しても用いることができるものとする。
【0020】
なお、本明細書において「ソース電極及びドレイン電極に電圧を印加しない」とは、ソース電極及びドレイン電極に電圧を印加しない状態だけでなく、0Vあるいは0V近傍の電圧(例えば0.1V程度)の電圧を印加している状態も意味するものとする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一態様により、光照射されてトランジスタの電気特性が変動した場合でも、その電気特性をほぼ光照射前の状態にすることが可能なトランジスタの駆動方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】”safe”トラップの模式図。
【図2】光応答性のグラフ。
【図3】光応答性のグラフ。
【図4】光応答性のグラフ。
【図5】トランジスタの断面構造を示す図。
【図6】トランジスタの断面構造を示す図。
【図7】光応答性のグラフ。
【図8】電子機器の一例を示す図。
【図9】光応答性のグラフ。
【図10】光応答性のグラフ。
【図11】画素の回路図の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0024】
(実施の形態1)
【0025】
酸化物半導体を用いたトランジスタの電気特性を変動させる要因の一つに光照射がある。光消灯後の酸化物半導体を用いたトランジスタの光応答特性は、2つの状態をもつ光電流の減衰を示す。この現象は伝導帯Ec又は価電子帯Ev近傍に”safe”トラップEsが存在した結果生じるものとして説明することができる。
【0026】
図1を用いて、価電子帯Ev近傍に存在する”safe”トラップEsについて説明する。一般にバンドギャップ以上のエネルギーを持つ光を半導体に照射すると、電子と正孔が生成される。そして、エネルギー放出過程において電子と正孔の再結合が起きる。しかし、酸化物半導体のバンドギャップ中には、図1(A)に示すように真性フェルミ準位Efiよりも、より価電子帯Evに近い場所に”safe”トラップEsが存在する。当該”safe”トラップEsが存在することにより、電子と正孔の再結合が起こりにくくなる。これは図1(B)に示すように電子と正孔が再結合を行う過程において、電子と正孔の再結合が”safe”トラップEsで起きる前に、正孔が価電子帯Evへと戻ってしまうことに起因する。更に、”safe”トラップEsは、キャリア密度が高くなりやすい傾向がある。価電子帯Ev近傍に存在する”safe”トラップEsに、一旦捕獲された正孔は、当該”safe”トラップEsから価電子帯Evへと脱離することが困難になる。すなわち”safe”トラップEsとは、再結合が起こりにくく、キャリア密度が高くなり易いトラップであると言える。
【0027】
このような”safe”トラップEsが存在する酸化物半導体の光応答特性について、第1の光応答、及び第2の光応答と2段階に分けて分析する。第1の光応答は、光照射後における素早い光電流の減少をいう。当該応答には、バンドギャップ内の浅いトラップの存在が主に寄与する。浅いトラップが存在すると、電子と正孔の再結合が起こりやすく、過剰キャリアは、光照射前の平衡状態へと素早く緩和しやすい。この事は光電流の素早い減衰に繋がる。一方第2の光応答は、光照射後における遅い光電流の減少をいう。当該応答には、バンドギャップ内の”safe”トラップEsの存在が主に寄与する。キャリアは、再結合過程に追従しきれず、更に取り残されたキャリアは固定キャリアとして”safe”トラップEsに長時間滞在するためトラップ密度が高くなる。この事は光電流の減衰の遅延、及び閾値電圧の変動に繋がる。すなわち、トラップの種類によって、電子及び正孔の挙動は異なり、各トラップでのキャリアの再結合確率及び捕獲割合が、光応答特性において重要な意味を持つ。
【0028】
つまり、酸化物半導体を用いたトランジスタにおいては、光応答特性における第2の光応答が、当該トランジスタの電気特性を変動させる要因となっている。具体的には、光照射後の光電流の値が光照射前の光電流の値にならない、光照射前後で閾値電圧の変動が起こるという電気特性の変動を招く直接の原因となっている。
【0029】
しかし、酸化物半導体を用いたトランジスタのゲート電極に正のバイアス電圧を印加することによって、光照射されて変動した当該トランジスタの電気特性をほぼ光照射前の状態にすることが可能になった。
【0030】
図2乃至図4を用いて、2段階の光応答特性を持つ酸化物半導体を用いたトランジスタの光応答特性の測定結果を示す。
【0031】
ここで、測定に用いたトランジスタの一例について図5を参照して説明する。トランジスタの構造は特に限定されない。図5で示されたトランジスタは、ボトムゲート構造の一つであるチャネルエッチ型と呼ばれる逆スタガ型薄膜トランジスタ310である。トランジスタ310は、ガラス基板300上に、下地膜311、ゲート電極層301、ゲート絶縁層302、酸化物半導体層303、ソース電極層305a、ドレイン電極層305b、絶縁層307を含んで構成されている。
【0032】
チャネル長(L)は、30μm、チャネル幅(W)は、10000μmであり、ソース電極層305a及びドレイン電極層305bは櫛歯形状を有する。またソース電極層305aとゲート電極層301とが重畳する長さ、及びドレイン電極層305bとゲート電極層301とが重畳する長さは、特に限定していない。
【0033】
まず、絶縁表面を有するガラス基板300(126.6mm×126.6mm)上に、下地膜311となる絶縁膜を形成する。下地膜311は、膜厚100nmの窒化シリコン膜、膜厚150nmの酸化窒化シリコン膜を、順に積層して形成する。
【0034】
次いで、下地膜311上に、ゲート電極層301を形成する。ゲート電極層301は、膜厚100nmのタングステン膜を単層で形成する。なお、ゲート電極層301の端部はテーパー形状とする。ここで、テーパー角は、例えば、30°以上60°以下とする。テーパー角とは、テーパー形状を有する層(例えば、ゲート電極層301)を、その断面(基板の表面と直交する面)に垂直な方向から観察した際に、当該層の側面と底面がなす傾斜角を示す。更に、ゲート電極層301を覆うように、ゲート絶縁層302を形成する。ゲート絶縁層302は、膜厚100nmの酸化窒化シリコン膜を、単層で形成する。
【0035】
次いで、組成比としてIn:Ga:ZnO=1:1:2[mol数比]を有する酸化物ターゲットを用いたスパッタ法により、ガラス基板上に膜厚35nmのIn−Ga−Zn−O膜を成膜する。なお、In−Ga−Zn−O膜の成膜条件は、成膜温度200℃、圧力0.6Pa、電力5kWとする。
【0036】
その後、窒素雰囲気下で450℃、1時間の加熱処理を行う。この加熱処理は、窒素、またはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスに、水、水素などが含まれない雰囲気、例えば雰囲気の露点が−40℃以下、好ましくは−60℃以下であることが好ましい。または、加熱処理装置に導入する窒素、またはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上好ましくは7N(99.99999%)以上(即ち不純物濃度を1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。
【0037】
加熱処理後にスパッタ法により膜厚100nmのチタン膜、膜厚400nmのアルミニウム膜、膜厚100nmのチタン膜の順に積層して導電膜の積層を形成する。フォトリソグラフィ工程により導電膜の積層上にレジストマスクを形成し、選択的にエッチングを行ってソース電極層305a及びドレイン電極層305bを形成した後、レジストマスクを除去する。その後、窒素雰囲気下で300℃、1時間の加熱処理を行う。
【0038】
次いで、酸化シリコンターゲットを用いるスパッタ法により、ソース電極層305a及びドレイン電極層305b上に膜厚400nmの酸化シリコン膜を成膜する。なお、酸化シリコン膜の成膜条件は、O流量50sccm、圧力0.4Pa、基板温度100℃、成膜レート6.5nm/min、電力1.5kWとする。その後、窒素雰囲気で300℃、1時間の加熱処理を行う。
【0039】
上述したトランジスタ310を用いて、光応答特性の測定を行う。図2に、光照射前後の光応答特性(光電流−時間特性)の測定結果を示す。図2において、縦軸を光電流値、横軸を時刻としている。なお、図2に示すように光応答特性を、第1の期間51、第2の期間52、第3の期間53、第4の期間54に分割して説明する。第1の期間51は、光照射期間でありバイアス電圧を印加していない期間である。第2の期間52は、消灯期間でありバイアス電圧を印加していない期間である。第3の期間53は、消灯期間であり正のバイアス電圧を印加している期間である。第4の期間54は、消灯期間でありバイアス電圧を印加していない期間である。なお、本明細書では、「バイアス電圧を印加する」とは、「酸化物半導体を用いたトランジスタのゲート電極にバイアス電圧を印加する」ことを示すものとする。
【0040】
図2におけるaは、光照射開始時刻、bは、消灯開始時刻、cは、正のバイアス電圧印加開始時刻(消灯中)、dは、正のバイアス電圧印加終了時刻(消灯中)、eは、測定終了時刻をそれぞれ示すものとする。
【0041】
第1の期間51は600秒、第2の期間52は600秒、第3の期間53は60秒、第4の期間54は300秒、すなわち光照射開始時刻aから、測定終了時刻eまでの時間は1560秒である。第1の期間51では、測定対象のトランジスタ310の遮光されていない側から、すなわちゲート電極と反対側から、光照射を行う。なお、光照射は、ゲート電極が透明である場合には、ゲート電極側から光照射を行ってもよい。照射強度は、3.5mW/cmであり、キセノン光源と光学フィルターを用いて分光された波長400nmの光を利用する。また第3の期間53では、+20Vの正のバイアス電圧を印加する。なお、光電流の測定の際には、ソース電極に0V、ドレイン電極に0.1Vのバイアス電圧をそれぞれ印加している。
【0042】
第1の期間51における光電流の値は、時間の経過と共に徐々に増加している。すなわち価電子帯から伝導帯への電子の遷移に対応した光照射が行われている場合は、光照射時間が長くなるほど、光電流の値は増加することがわかる。
【0043】
第2の期間52における光電流の値は、光照射期間(第1の期間51)における光電流の値に比べて比較的小さい値を取り、更に時間の経過と共にその値は徐々に減少していることがわかる。しかし、第1の期間51の直前の光電流の値と、第2の期間52における光電流の値を比較するとその値には差がある。つまり、光照射後の光電流の値は、消灯後であっても光照射前の光電流の値に、ならないことがわかる。
【0044】
第3の期間53における光電流の値は、ほぼゼロになる。第1の期間51の直前の光電流の値と、第3の期間53の直後の光電流の値とを比べると、ほぼ等しい。すなわち、光照射後の光電流の値は、消灯後に正のバイアス電圧を印加することで、光照射前の光電流の値になることがわかる。なお、図には示さないが、光照射後の光電流の値は、光照射中に正のバイアス電圧を印加することでも、光照射前の光電流の値になる。
【0045】
第4の期間54における光電流の値は、第3の期間53における光電流の値を依然として維持し続けている。すなわち光照射後の光電流の値は、一旦正のバイアス電圧を印加すれば、正のバイアス電圧の印加を停止しても、光照射前の光電流の値を維持し続けることがわかる。
【0046】
上記測定結果は、光照射後の光電流の値が、一旦正のバイアス電圧を印加すれば、その後の光の消灯に関わらず、またその後の正のバイアス電圧の印加及び停止に関わらず、光照射前の光電流の値にすることが可能であることを示唆している。
【0047】
つまり、正のバイアス電圧を印加することで、第2の光応答、所謂遅い光応答が起因となって緩やかに減少していた光照射後の光電流の値を、瞬間的に光照射前の光電流の値にすることが可能になる。更に、光電流の値が一旦光照射前の値になると、当該トランジスタに、再び光が照射されるまで、その値は維持される。従って、光電流の値のリフレッシュは可能であり、当該トランジスタの電気特性を変動させる要因の一つである光照射後の光電流の値が光照射前の光電流の値にならないという光応答特性は改善できるとみなせる。
【0048】
図3乃至図4に、図2に示す光応答特性(光電流−時間特性)の点11乃至点14における電気特性の測定結果を示す。図3乃至図4の測定結果を得るのに用いられたトランジスタは図2の測定結果を得るのに用いられたトランジスタと同様のものを用いている。
【0049】
図3(A)は点11における光照射していない電気特性の測定結果、図3(B)は点12における光照射している電気特性の測定結果を示している。光照射前後で酸化物半導体を用いたトランジスタの特性変動、すなわち閾値電圧の変動が生じていることがわかる。閾値電圧は、0.18Vから、−0.98Vまで変動している。光照射時間が長くなると、光電流の値は、増加し、閾値電圧はマイナス側にシフトする。従って当該トランジスタの電気特性は不安定になる。
【0050】
なお、本明細書に記載されている閾値電圧の求め方は以下の通りである。飽和領域におけるドレイン電流の平方根をy軸、ゲート電圧をx軸とした相関関係を直線として近似し、この直線とx軸との交点を閾値電圧として定義している。なお、上述した閾値電圧の求め方は一例であり、これに限らず、その他の方法でも閾値電圧を求めることができる。
【0051】
図4(A)は点11における光照射していない電気特性の測定結果、図4(B)は点13における消灯直後の電気特性の測定結果、図4(C)は点14における光照射後に正のバイアス電圧を印加した電気特性の測定結果を示している。
【0052】
図3(B)と図4(B)とを比較すると、閾値電圧の変動は多少回復していることがわかる。しかし、図4(A)と図4(B)とを比較すると、閾値電圧の変動は大きい(概略0.3V)。つまり光照射によって一旦変動した閾値電圧を、光照射前の閾値電圧にすることは極めて困難であり、消灯を行っても閾値電圧の変動は回復しないことがわかる。
【0053】
図4(A)と図4(C)とを比較すると、極めて興味深い結果が得られる。図4(C)の正のバイアス電圧印加後の閾値電圧は、図4(A)の光照射前の閾値電圧と等しい値を取る。すなわち、正のバイアス電圧を印加することで、消灯では、光照射前の閾値電圧にすることができなかった閾値電圧の変動を、回復させることが可能であることがわかる。
【0054】
上記測定結果は、光照射によってたとえ閾値電圧が大きく変動しても、一旦正のバイアス電圧を印加すれば、その後の光の消灯に関わらず、またその後の正のバイアス電圧の印加及び停止に関わらず、閾値電圧の変動が回復可能であることを示唆している。
【0055】
つまり、正のバイアス電圧を印加することで、第2の光応答、所謂遅い光応答が起因となって変動していた光照射後の閾値電圧を、瞬間的に光照射前の閾値電圧にすることが可能になる。閾値電圧の変動が回復した後、当該トランジスタに光が照射され、再び閾値電圧の変動が起こっても、正のバイアス電圧を印加する度毎に、その変動は回復する。従って、閾値電圧のリフレッシュは可能であり、当該トランジスタの電気特性を変動させる要因の一つである光照射前後で閾値電圧の変動が起こるという光応答特性は改善できるとみなせる。
【0056】
従って、酸化物半導体を用いたトランジスタのゲート電極に正のバイアス電圧を印加することによって、光照射されて上述のように変動したトランジスタの電気特性をほぼ光照射前の状態にすることが可能になる。
【0057】
なお、正のバイアス電圧を印加するタイミングは、特に限定しない。従って、光照射中でも、消灯中でも、適切なタイミングで正のバイアス電圧を印加すればよい。光照射時間が長くなるほど酸化物半導体を用いたトランジスタの電気特性は不安定になる。しかし、適切なタイミングで正のバイアス電圧を印加し、その度毎に光照射されて変動した当該トランジスタの電気特性をほぼ光照射前の状態にすることができるため、当該トランジスタの光照射による電気特性の変動を最小限に抑えることが可能になる。
【0058】
また、上述したように電気特性の変動を最小限に抑えることによって電気特性を安定させたトランジスタの実現が可能になるため、酸化物半導体を用いたトランジスタの信頼性を向上させることができる。結果として、光照射されても表示品位の低下が抑制された表示装置を提供することができる。
【0059】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本明細書に開示する表示装置に適用できるトランジスタの例を示す。本明細書に開示する表示装置に適用できるトランジスタの構造は特に限定されず、例えばトップゲート構造、又はボトムゲート構造のスタガ型及びプレーナ型などを用いることができる。また、トランジスタはチャネル形成領域が一つ形成されるシングルゲート構造でも、二つ形成されるダブルゲート構造もしくは三つ形成されるトリプルゲート構造であっても良い。また、チャネル領域の上下にゲート絶縁層を介して配置された2つのゲート電極層を有する、デュアルゲート型でもよい。なお、図6(A)乃至(D)にトランジスタの断面構造の一例を示す。図6(A)乃至(D)に示すトランジスタは、半導体層として酸化物半導体を用いるものである。酸化物半導体を用いることのメリットは、比較的簡単かつ低温のプロセスで高い移動度と低いオフ電流が得られることであるが、もちろん、半導体層として他の半導体を用いてもよい。
【0060】
図6(A)に示すトランジスタ410は、ボトムゲート構造の薄膜トランジスタの一つであり、逆スタガ型薄膜トランジスタともいう。
【0061】
トランジスタ410は、絶縁表面を有する基板400上に、ゲート電極層401、ゲート絶縁層402、酸化物半導体層403、ソース電極層406a、及びドレイン電極層406bを含む。また、トランジスタ410を覆い、酸化物半導体層403に積層する絶縁層411が設けられている。絶縁層411上にはさらに保護絶縁層409が形成されている。
【0062】
図6(B)に示すトランジスタ420は、チャネル保護型(チャネルストップ型もしくはエッチストップ型ともいう)と呼ばれるボトムゲート構造の一つであり逆スタガ型薄膜トランジスタともいう。
【0063】
トランジスタ420は、絶縁表面を有する基板400上に、ゲート電極層401、ゲート絶縁層402、酸化物半導体層403、酸化物半導体層403のチャネル形成領域を覆うチャネル保護層として機能する絶縁層427、ソース電極層406a、及びドレイン電極層406bを含む。また、トランジスタ420を覆い、保護絶縁層409が形成されている。
【0064】
図6(C)に示すトランジスタ430はボトムゲート型の薄膜トランジスタであり、絶縁表面を有する基板である基板400上に、ゲート電極層401、ゲート絶縁層402、ソース電極層406a、ドレイン電極層406b、及び酸化物半導体層403を含む。また、トランジスタ430を覆い、酸化物半導体層403に接する絶縁層411が設けられている。絶縁層411上にはさらに保護絶縁層409が形成されている。
【0065】
トランジスタ430においては、ゲート絶縁層402は基板400及びゲート電極層401上に接して設けられ、ゲート絶縁層402上にソース電極層406a、ドレイン電極層406bが接して設けられている。そして、ゲート絶縁層402、及びソース電極層406a、ドレイン電極層406b上に酸化物半導体層403が設けられている。
【0066】
図6(D)に示すトランジスタ440は、トップゲート構造の薄膜トランジスタの一つである。トランジスタ440は、絶縁表面を有する基板400上に、絶縁層437、酸化物半導体層403、ソース電極層406a、及びドレイン電極層406b、ゲート絶縁層402、ゲート電極層401を含み、ソース電極層406a、ドレイン電極層406bにそれぞれ配線層436a、配線層436bが接して設けられ電気的に接続している。
【0067】
本実施の形態では、上述のとおり、半導体層として酸化物半導体層403を用いる。酸化物半導体層403に用いる酸化物半導体としては、少なくともインジウム(In)あるいは亜鉛(Zn)とを含むことが好ましい。特にInとZnを含むことが好ましい。また、該酸化物半導体を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすためのスタビライザーとして、それらに加えてガリウム(Ga)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてスズ(Sn)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてハフニウム(Hf)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてアルミニウム(Al)を有することが好ましい。
【0068】
例えば、酸化物半導体として、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、二元系金属の酸化物であるIn−Zn系酸化物、Sn−Ga−Zn系酸化物、Al−Ga−Zn系酸化物、Sn−Al−Zn系酸化物、Sn−Zn系酸化物、Al−Zn系酸化物、Zn−Mg系酸化物、Sn−Mg系酸化物、In−Mg系酸化物、In−Ga系酸化物、三元系金属の酸化物であるIn−Ga−Zn系酸化物(IGZOとも表記する)、In−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物、In−Hf−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物、四元系金属の酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn系酸化物、In−Hf−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Hf−Zn系酸化物、In−Hf−Al−Zn系酸化物を用いることができる。
【0069】
なお、ここで、例えば、In−Ga−Zn系酸化物とは、InとGaとZnを主成分として有する酸化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGaとZn以外の金属元素が入っていてもよい。
【0070】
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1(=1/3:1/3:1/3)あるいはIn:Ga:Zn=2:2:1(=2/5:2/5:1/5)の原子比のIn−Ga−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いることができる。あるいは、In:Sn:Zn=1:1:1(=1/3:1/3:1/3)、In:Sn:Zn=2:1:3(=1/3:1/6:1/2)あるいはIn:Sn:Zn=2:1:5(=1/4:1/8:5/8)の原子比のIn−Sn−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いるとよい。
【0071】
しかし、これらに限られず、必要とする半導体特性(移動度、しきい値、ばらつき等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とする半導体特性を得るために、キャリア密度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間結合距離、密度等を適切なものとすることが好ましい。
【0072】
酸化物半導体は単結晶でも、非単結晶でもよい。後者の場合、アモルファスでも、多結晶でもよい。また、アモルファス中に結晶性を有する部分を含む構造でも、非アモルファスでもよい。
【0073】
酸化物半導体層403を用いたトランジスタ410、420、430、440は、オフ状態における電流(オフ電流)を低くすることができる。よって、画像イメージデータ等の電気信号の保持時間を長くすることができ、書き込み間隔も長く設定できる。よって、リフレッシュ動作の頻度を少なくすることができるため、消費電力を抑制する効果を奏する。
【0074】
また、酸化物半導体層403を用いたトランジスタ410、420、430、440は、比較的高い電界効果移動度が得られるため、高速駆動が可能である。よって、表示装置の画素部にこれらのトランジスタを用いることで、高画質な画像を提供することができる。
【0075】
絶縁表面を有する基板400に使用することができる基板に大きな制限はないが、バリウムホウケイ酸ガラスやアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板を用いることができる。
【0076】
ボトムゲート構造のトランジスタ410、420、430において、下地膜となる絶縁膜を基板400とゲート電極層401の間に設けてもよい。下地膜は、基板400からの不純物元素の拡散を防止する機能があり、窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、又は酸化窒化シリコン膜から選ばれた一又は複数の膜による積層構造により形成することができる。
【0077】
ゲート電極層401の材料は、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、ネオジム、スカンジウム等の金属材料またはこれらを主成分とする合金材料を用いて、単層でまたは積層して形成することができる。
【0078】
ゲート絶縁層402は、プラズマCVD法又はスパッタリング法等を用いて、酸化シリコン層、窒化シリコン層、酸化窒化シリコン層、窒化酸化シリコン層、酸化アルミニウム層、窒化アルミニウム層、酸化窒化アルミニウム層、窒化酸化アルミニウム層、又は酸化ハフニウム層を単層で又は積層して形成することができる。例えば、第1のゲート絶縁層としてプラズマCVD法により膜厚50nm以上200nm以下の窒化シリコン層(SiN(y>0))を形成し、第1のゲート絶縁層上に第2のゲート絶縁層として膜厚5nm以上300nm以下の酸化シリコン層(SiO(x>0))を積層して、合計膜厚200nmのゲート絶縁層とすることができる。
【0079】
ソース電極層406a、ドレイン電極層406bは、例えば、Al、Cr、Cu、Ta、Ti、Mo、Wからから選ばれた元素、または上述した元素を成分とする合金膜か、上述した元素を組み合わせた合金膜等を用いることができる。また、Al、Cuなどの金属層の下側又は上側の一方または双方にTi、Mo、Wなどの高融点金属層を積層させた構成としても良い。また、Al膜に生ずるヒロックやウィスカーの発生を防止する元素(Si、Nd、Scなど)が添加されているAl材料を用いることで耐熱性を向上させることが可能となる。
【0080】
ソース電極層406a、ドレイン電極層406bに接続する配線層436a、配線層436bとして、ソース電極層406a、ドレイン電極層406bと同様な材料を用いることができる。
【0081】
また、ソース電極層406a、ドレイン電極層406b(これと同じ層で形成される配線層を含む)は導電性の金属酸化物で形成しても良い。導電性の金属酸化物としては酸化インジウム(In)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム酸化スズ(In―SnO、ITOと略記する)、酸化インジウム酸化亜鉛(In―ZnO)またはこれらの金属酸化物材料に酸化シリコンを含ませたものを用いることができる。
【0082】
絶縁層411、427、437は、代表的には酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、または酸化窒化アルミニウム膜などの無機絶縁膜を用いることができる。
【0083】
保護絶縁層409は、窒化シリコン膜、窒化アルミニウム膜、窒化酸化シリコン膜、窒化酸化アルミニウム膜などの無機絶縁膜を用いることができる。
【0084】
また、保護絶縁層409上に平坦化絶縁膜を形成してもよい。平坦化絶縁膜としては、ポリイミド、アクリル、ベンゾシクロブテン、等の有機材料を用いることができる。また上記有機材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)等を用いることができる。なお、これらの材料で形成される絶縁膜を複数積層させることで、平坦化絶縁膜を形成してもよい。
【0085】
このように、本実施の形態において、酸化物半導体層を含むトランジスタを用いることにより、高機能な表示装置を提供することができる。
【0086】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本明細書に開示する駆動方法を用いたトランジスタを電子機器に適用する場合について、図8(A)乃至図8(C)を用いて説明する。本実施の形態では、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、電子ペーパー、プロジェクタなどの電子機器に適用する場合について説明するが、本明細書に開示する駆動方法を用いたトランジスタの適用はこれらに限定されない。例えば、携帯情報端末(携帯型ゲーム機、音響再生装置なども含む)、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等のカメラ、テレビジョン装置(テレビ、またはテレビジョン受信機ともいう)、パーソナルコンピューター、カーナビゲーション装置、電子手帳、タッチパネルなどの各種電子機器に適用可能であることは言うまでもない。
【0087】
図8(A)は、携帯電話機であり、筐体740と筐体741の2つの筐体で構成されている。さらに、筐体740と筐体741は、スライドし、図8(A)のように展開している状態から重なり合った状態とすることができ、携帯に適した小型化が可能である。また、筐体741は、表示パネル742、スピーカー743、マイクロフォン744、ポインティングデバイス746、カメラ用レンズ747、外部接続端子748などを備えている。また、筐体740は、携帯電話機の充電を行う太陽電池セル749、外部メモリスロット750、光センサ751などを備えている。また、アンテナは、筐体741に内蔵されている。筐体740と筐体741の少なくとも一には、上述の実施の形態で説明した酸化物半導体を用いたトランジスタが含まれている。当該トランジスタのゲート電極に正のバイアス電圧を10msec以上、好ましくは10msec未満印加することで、光照射により変動した当該トランジスタの閾値電圧をほぼ光照射前の状態にすることができる。また、携帯電話機に搭載されている光センサ751によって、光の点灯や消灯を検知することができるため、酸化物半導体を用いたトランジスタに確実に光が照射されていないタイミングで、当該トランジスタのゲート電極に正のバイアス電圧を印加することができる。なお、光センサ751は、必要に応じて、電源をオンしてもオフしても良い。このため、光照射による電気特性の変動が最小限に抑えられ、且つ光照射されても表示品位の低下が抑制され、信頼性を十分に向上させた携帯電話機を実現することができる。
【0088】
図8(B)は、電子ペーパーを実装した電子書籍720であり、筐体721と筐体723の2つの筐体で構成されている。筐体721および筐体723には、それぞれ表示部725および表示部727が設けられている。筐体721と筐体723は、軸部737により接続されており、該軸部737を軸として開閉動作を行うことができる。また、筐体721は、電源731、操作キー733、スピーカー735、光センサ739などを備えている。筐体721、筐体723の少なくとも一には、上述の実施の形態で説明した酸化物半導体を用いたトランジスタが含まれている。
【0089】
電子書籍720の使用前後、使用中に関わらず、トランジスタがオフ状態の時に、当該トランジスタのゲート電極に正のバイアス電圧を10msec以上、好ましくは10msec未満印加することで、光照射により変動した当該トランジスタの閾値電圧をほぼ光照射前の状態にすることができる。トランジスタがオフ状態であるとは、表示部725および表示部727が、休止期間中の時や、表示部725および表示部727に黒画面を表示させている状態の時、また電子書籍720に、一定期間入出力動作がなく、表示部725および表示部727に自動的にアニメーション等を表示させている状態の時を含む。なお、基本的にトランジスタは遮光されているが、何らかの光漏れが生じ、電子書籍720のオン、オフを問わずトランジスタの酸化物半導体に光照射されることがある。しかしながら、電子書籍720に搭載されている光センサ739によって、光の点灯や消灯を検知することができるため、当該酸化物半導体に確実に光が照射されていないタイミングで、当該トランジスタのゲート電極に正のバイアス電圧を印加することができる。なお、光センサ739は、必要に応じて、電源をオンしてもオフしても良い。このため、光照射による電気特性の変動が最小限に抑えられ、且つ光照射されても表示品位の低下が抑制され、信頼性を十分に向上させた電子書籍を実現することができる。
【0090】
図8(C)は、プロジェクタであり、筐体3101には、光源3102、ポラライジングコンバーター3103(PLC)、複数の反射ミラー3104、赤色反射ダイクロイックミラー3105、緑色反射ダイクロイックミラー3106、赤色用液晶パネル3107、緑色用液晶パネル3108、青色用液晶パネル3109、クロスダイクロプリズム3110、シャッター3111などを備えている。また、図示していないが、プロジェクタは、光量や焦点を合わせるための光学系も備えている。光量は、光源の光照射時間に対応させて、当該プロジェクタが備える検出回路により検出することが可能である。光照射時間と光量は比例する。
【0091】
赤色用液晶パネル3107、緑色用液晶パネル3108、青色用液晶パネル3109には、上述の実施の形態で説明した酸化物半導体を用いたトランジスタが含まれている。当該トランジスタは、赤色用液晶パネル3107、緑色用液晶パネル3108、青色用液晶パネル3109に内蔵されている。また、赤色用液晶パネル3107の少なくとも一つの画素には、撮像素子(フォトダイオード)を含んだ画素が搭載されている。同様に、緑色用液晶パネル3108の少なくとも一つの画素には、フォトダイオードを含んだ画素が搭載されている。同様に、青色用液晶パネル3109の少なくとも一つの画素には、フォトダイオードを含んだ画素が搭載されている。なお、フォトダイオードは、必要に応じて、駆動させても駆動させなくても良い。
【0092】
図11にフォトダイオードが組み込まれた画素1002の詳しい構成を示す。点線で囲まれた領域が画素1002である。画素1002はスイッチング用TFT1004、液晶駆動用TFT1005、液晶素子1006を有している。また図11では画素1002にコンデンサ1007が設けられているが、コンデンサ1007を設けなくとも良い。
【0093】
スイッチング用TFT1004のゲート電極はゲート信号線Gに接続されている。そしてスイッチング用TFT1004のソース領域とドレイン領域は、一方がソース信号線Sに、もう一方が液晶駆動用TFT1005のゲート電極に接続されている。
【0094】
液晶駆動用TFT1005のソース領域は電源供給線Vに接続されており、液晶駆動用TFT1005のドレイン領域は、液晶素子1006に接続されている。コンデンサ1007は液晶駆動用TFT1005のゲート電極と電源供給線Vとに接続して設けられている。
【0095】
さらに画素1002は、リセット用TFT1010、バッファ用TFT1011、選択用TFT1012、フォトダイオード1013を有している。
【0096】
リセット用TFT1010のゲート電極はリセット用ゲート信号線RGに接続されている。リセット用TFT1010のソース領域はセンサ用電源線VBに接続されている。センサ用電源線VBは常に一定の電位(基準電位)に保たれている。またリセット用TFT1010のドレイン領域はフォトダイオード1013及びバッファ用TFT1011のゲート電極に接続されている。
【0097】
バッファ用TFT1011のドレイン領域はセンサ用電源線VBに接続されており、常に一定の基準電位に保たれている。そしてバッファ用TFT1011のソース領域は選択用TFT1012のソース領域又はドレイン領域に接続されている。選択用TFT1012のゲート電極はセンサ用ゲート信号線SGに接続されている。そして選択用TFT1012のソース領域とドレイン領域は、一方は上述したとおりバッファ用TFT1011のソース領域に接続されており、もう一方はセンサ出力配線SSに接続されている。センサ出力配線SSは定電流電源1003に接続されており、常に一定の電流が流れている。
【0098】
図11には示されていないが、フォトダイオード1013はN型半導体層と、P型半導体層と、N型半導体層とP型半導体層の間に設けられた光電変換層とを有している。リセット用TFT1010のドレイン領域は、具体的にはフォトダイオード1013のP型半導体層又はN型半導体層に接続されている。
【0099】
なお、図8(C)に示されている開閉可能な遮光手段として機能するシャッター3111は、ポラライジングコンバーター3103(PLC)に隣接して配置され、光源3102から射出した光を遮断することにより、酸化物半導体を用いたトランジスタをリフレッシュするために設けられている。プロジェクタがオンし、シャッター3111が開いている時、光源3102から射出した光は、赤色反射ダイクロイックミラー3105、緑色反射ダイクロイックミラー3106等を経由して、赤色用液晶パネル3107、緑色用液晶パネル3108、青色用液晶パネル3109に照射し続ける。なお、プロジェクタがオンし、シャッター3111が閉じている時や、プロジェクタがオフしている時は、基本的にトランジスタは遮光されている。従って、プロジェクタの使用中であってもシャッター3111が閉じている時に、当該トランジスタのゲート電極に正のバイアス電圧を10msec以上、好ましくは10msec未満印加することで、光照射により変動した当該トランジスタの閾値電圧をほぼ光照射前の状態にすることができる。シャッターの開閉のタイミングに合わせて、当該トランジスタをリフレッシュさせる回路をプロジェクタに搭載することで、正常にプロジェクタを動作させる事ができる。本実施の形態において、トランジスタをリフレッシュさせるとは、光照射により変動した当該トランジスタの閾値電圧をほぼ光照射前の状態にすることを意味するものとする。
【0100】
なお、フォトダイオード1013が、各液晶パネルの少なくとも一つの画素に組み込まれることで、光源3102から射出した光や、何らかの光漏れが生じ予期せぬ光が、赤色用液晶パネル3107、緑色用液晶パネル3108、青色用液晶パネル3109に入射した場合であっても、それらの光の点灯や消灯を、確実にフォトダイオード1013により検知することができる。従って、酸化物半導体に確実に光が照射されていないタイミングで、当該トランジスタのゲート電極に正のバイアス電圧を印加することができる。このため、光照射による電気特性の変動が最小限に抑えられ、且つ光照射されても表示品位の低下が抑制され、信頼性を十分に向上させたプロジェクタを実現することができる。
【実施例1】
【0101】
本実施例では、実施の形態1で例示したトランジスタのゲート電極に対して印加する正のバイアス電圧の印加条件を変化させた場合における光応答特性に関して、実験に基づく測定結果から更に詳細な説明を行う。
【0102】
正のバイアス電圧の印加時間を変化させ、光照射前後の光応答特性を測定した。具体的には、正のバイアス電圧の印加時間を変化させることで、光照射前後の光応答特性の測定結果はどのように変化するのか、また光照射されて変動した酸化物半導体を用いたトランジスタの電気特性をほぼ光照射前の状態にするための、当該トランジスタのゲート電極に対して印加する正のバイアス電圧の印加時間の限界値はどの程度か、について測定した。なお測定条件は上述した実施の形態1と同様であるため、詳細については、実施の形態1の記載を参酌することができる。
【0103】
上述したトランジスタ310を用いて、光応答特性の測定を行った。図7に、光照射前後の光応答特性(光電流−時間特性)の測定結果を示す。図7において、縦軸を光電流値、横軸を時刻としている。なお、測定対象の酸化物半導体を用いたトランジスタのゲート電極に印加するバイアス電圧は+20V、ソース電極に印加するバイアス電圧は0V、ドレイン電極に印加するバイアス電圧は0.1Vである。正のバイアス電圧の印加時間を、500msec、100msec、10msec、1msec、100μsec、10μsec、の6段階で変化させて測定を行った。図7(A)は、印加時間500msec、図7(B)は、印加時間100msec、図7(C)は、印加時間10msec、図7(D)は、印加時間1msec、図7(E)は、印加時間100μsec、図7(F)は、印加時間1μsecにおける、光照射前後の光応答特性の測定結果をそれぞれ示している。
【0104】
図7(A)乃至(C)に示すように、すなわち印加時間が10msec以上500msec以下の範囲において、正のバイアス電圧印加後の光電流の値は、光照射前の光電流の値と、ほぼ等しくなった。従って、光照射後の光電流の値は、印加時間が10msec以上500msec以下の範囲であれば、光照射前の光電流の値になることがわかった。
【0105】
図7(D)に示すように、印加時間が1msecの時、正のバイアス電圧の印加後の光電流の値は、極めて小さい値を取るものの、光照射前の光電流の値と比べて差があった。つまり、印加時間を1msec以下にすると、正のバイアス電圧印加後の光電流の値を、光照射前の光電流の値にすることができないことがわかった。
【0106】
図7(E)に示すように、印加時間が100μsecの時、正のバイアス電圧印加後の光電流の値は、印加時間1msec後の光電流の値と比べて大きくなった。光照射前の光電流の値との差は、時間の経過と共に徐々に広がり、第2の光応答における影響が、正のバイアス電圧を印加することで得られる影響よりも徐々に強くなっていることがわかった。
【0107】
図7(F)において、印加時間が10μsecの時、正のバイアス電圧印加後の光電流の値は、印加時間100μsec後の光電流の値と比べて大きくなった。光照射前の光電流の値との差は、時間の経過と共に更に広がり、第2の光応答における影響が、正のバイアス電圧を印加することで得られる影響よりも更に強くなっていることがわかった。
【0108】
これより、正のバイアス電圧の印加時間を変化させることで、光照射前後の光応答特性の測定結果は変化することがわかった。印加時間が短くなるにつれて、当該トランジスタの電気特性は不安定になる。従って正のバイアス電圧を印加しても、光照射されて変動した当該トランジスタの電気特性を光照射前の状態にする事は不可能な場合もあることがわかった。
【0109】
また、光照射されて変動した当該トランジスタの電気特性をほぼ光照射前の状態にするために、当該トランジスタのゲート電極に対して印加する正のバイアス電圧の印加時間の限界値は1msecであることがわかった。すなわち印加時間が、1msec以下になると、当該トランジスタの電気特性を変動させる要因となっている第2の光応答の影響が、正のバイアス電圧を印加することで得られる影響よりも強くなってしまう。
【0110】
従って、光照射後に変動した当該トランジスタの電気特性を、ほぼ光照射前の状態にするためには、当該トランジスタのゲート電極に対して印加する正のバイアス電圧の印加時間は、極めて重要な要因になることがわかった。
【0111】
これより、光照射による電気特性の劣化を抑制するためには、正のバイアス電圧を10msec以上印加することが重要であることが確認できた。なお、正のバイアス電圧の印加時間は10msec以上であれば良く、使用環境により長時間の正のバイアス電圧の印加がトランジスタの電気特性を変化させるおそれがある場合には、トランジスタの電気特性が変化しない時間、例えば、1sec以内とすることが好ましい。また、印加電圧については+20Vだけでなく、+0.1〜+50Vの正のバイアス電圧を用いることができる。当該方法で正のバイアス電圧を印加することができれば、光照射されて変動した当該トランジスタの電気特性を正のバイアス電圧を印加する度毎にほぼ光照射前の状態にすることが可能になる。すなわち電気特性の変動を最小限に抑えることによって酸化物半導体を用いたトランジスタの信頼性を向上させることができる。結果として、光照射されても表示品位の低下が抑制された表示装置を提供することができる。
【実施例2】
【0112】
本実施例では、酸化物半導体を用いたトランジスタのゲート電極に対して印加する正のバイアス電圧の印加時間と、光電流の回復率の関係に関して、実験に基づく測定結果から更に詳細な説明を行う。図9及び図10では、正のバイアス電圧の印加時間を、500msec、100msec、10msec、1msec、100μsec、10μsec、1μsec、と変化させ、印加時間毎の緩和電流割合をそれぞれ測定した結果を示している。なお、縦軸を緩和電流割合、横軸を印加時間としている。図9は、チャネル長(L)30μm、チャネル幅(W)10000μmのトランジスタ(実施の形態1及び実施例1で例示したトランジスタ)を用いて測定した緩和電流割合を示し、図10は、チャネル長(L)3μm、チャネル幅(W)50μmのトランジスタを用いて測定した緩和電流割合を示している。
【0113】
なお、測定対象の酸化物半導体を用いたトランジスタのゲート電極に印加するバイアス電圧は+20Vであり、ソース電極には0V、ドレイン電極には0.1Vが印加されている。なお測定条件は上述した実施例1と同様であるため、詳細については、実施例1の記載を参酌することができる。
【0114】
なお、光電流の回復率は、緩和電流割合から推察することが可能である。緩和電流割合は、次式により算出できる。緩和電流割合=(正のバイアス電圧を印加した直後の光電流値/正のバイアス電圧を印加する直前の光電流値)。緩和電流割合が大きいほど、光電流の回復率は悪いことを示し、緩和電流割合が小さいほど、光電流の回復率は良いことを示している。例えば、本明細書において緩和電流割合が50%であるとは、光照射によるトランジスタの電気特性の劣化を半分に抑制できることを意味する。
【0115】
図9に示すように、チャネル長(L)30μm、チャネル幅(W)10000μmのトランジスタでは、印加時間が、100μsecの時、緩和電流割合は57.9%になる。図10に示すように、チャネル長(L)3μm、チャネル幅(W)50μmのトランジスタでは、印加時間が、100μsecの時、緩和電流割合は46.9%になる。なお、トランジスタのチャネル長(L)及びチャネル幅(W)は特に限定していない。
【0116】
また、図9に示すように、チャネル長(L)30μm、チャネル幅(W)10000μmのトランジスタでは、印加時間が、10msecの時、緩和電流割合は24.7%になる。図10に示すように、チャネル長(L)3μm、チャネル幅(W)50μmのトランジスタでは、印加時間が、10msecの時、緩和電流割合は7.93%になる。
【0117】
従って、図9及び図10より酸化物半導体を用いたトランジスタのゲート電極に印加するバイアス電圧印加時間が、100μsecの時、緩和電流割合は50%程度であり、光照射によるトランジスタの電気特性の劣化を半分に抑制できることがわかった。また、酸化物半導体を用いたトランジスタのゲート電極に印加するバイアス電圧印加時間が、10msecの時、緩和電流割合は10%〜20%程度であり、光照射されて変動したトランジスタの電気特性をほぼ光照射前の状態にすることが可能であることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明の一態様は、照明手段(バックライトなど)を有する表示装置、発光素子を有する表示装置、光センサとその信号処理回路を有するセンサ装置など、トランジスタによって回路が構成され当該トランジスタに光が照射され得る半導体装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0119】
11 点
12 点
13 点
14 点
51 期間
52 期間
53 期間
54 期間
300 ガラス基板
301 ゲート電極層
302 ゲート絶縁層
303 酸化物半導体層
305a ソース電極層
305b ドレイン電極層
307 絶縁層
310 トランジスタ
311 下地膜
400 基板
401 ゲート電極層
402 ゲート絶縁層
403 酸化物半導体層
406a ソース電極層
406b ドレイン電極層
409 保護絶縁層
410 トランジスタ
411 絶縁層
420 トランジスタ
427 絶縁層
430 トランジスタ
436a 配線層
436b 配線層
437 絶縁層
440 トランジスタ
720 電子書籍
721 筐体
723 筐体
725 表示部
727 表示部
731 電源
733 操作キー
735 スピーカー
737 軸部
739 光センサ
740 筐体
741 筐体
742 表示パネル
743 スピーカー
744 マイクロフォン
746 ポインティングデバイス
747 カメラ用レンズ
748 外部接続端子
749 太陽電池セル
750 外部メモリスロット
751 光センサ
1003 定電流電源
3101 筐体
3102 光源
3103 ポラライジングコンバーター
3104 反射ミラー
3105 赤色反射ダイクロイックミラー
3106 緑色反射ダイクロイックミラー
3107 赤色用液晶パネル
3108 緑色用液晶パネル
3109 青色用液晶パネル
3110 クロスダイクロプリズム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲート絶縁層を介して酸化物半導体と重なるゲート電極を有するトランジスタと、
前記ゲート電極に正の電圧を100μsec以上加える駆動回路と、
を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、ソース電極及びドレイン電極に電圧を印加しないで、前記ゲート電極に正の電圧が印加されることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1において、前記トランジスタのオフ状態時に、前記ゲート電極に正の電圧が印加されることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1において、前記トランジスタが遮光されている時に、前記ゲート電極に正の電圧が印加されることを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
ゲート絶縁層を介して酸化物半導体と重なるゲート電極を有するトランジスタと、
光センサと、
前記ゲート電極に正の電圧を100μsec以上加える駆動回路と、
を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項5において、ソース電極及びドレイン電極に電圧を印加しないで、前記ゲート電極に正の電圧が印加されることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項4において、前記トランジスタのオフ状態時に、前記ゲート電極に正の電圧が印加されることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項4において、前記トランジスタが遮光されている時に、前記ゲート電極に正の電圧が印加されることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項4において、前記光センサが光の消灯を検知して、前記ゲート電極に正の電圧が印加されることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項4において、前記光センサが光の点灯を検知して、前記ゲート電極に正の電圧が印加されることを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項4において、前記光センサが前記酸化物半導体のバンドギャップ以上のエネルギーを含む光の消灯を検知して、前記ゲート電極に正の電圧が印加されることを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
請求項4において、前記光センサが前記酸化物半導体のバンドギャップ以上のエネルギーを含む光の点灯を検知して、前記ゲート電極に正の電圧が印加されることを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
ゲート絶縁層を介して酸化物半導体と重なるゲート電極を有するトランジスタに光が照射されたことにより閾値電圧がマイナス側に変化した後、
前記ゲート電極に正の電圧を100μsec以上印加することで、前記閾値電圧を前記光照射前と略同等の状態にすることを特徴とするトランジスタの駆動方法。
【請求項14】
請求項13において、ソース電極及びドレイン電極に電圧を印加しないで、前記ゲート電極に正の電圧が印加されることを特徴とするトランジスタの駆動方法。
【請求項15】
ゲート絶縁層を介して酸化物半導体と重なるゲート電極を有するトランジスタに光が照射されたことにより閾値電圧がマイナス側に変化した後、
前記トランジスタのオフ状態時に、前記ゲート電極に正の電圧を100μsec以上印加することで、前記閾値電圧を前記光照射前と略同等の状態にすることを特徴とするトランジスタの駆動方法。
【請求項16】
請求項15において、ソース電極及びドレイン電極に電圧を印加しないで、前記ゲート電極に正の電圧が印加されることを特徴とするトランジスタの駆動方法。
【請求項17】
ゲート絶縁層を介して酸化物半導体と重なるゲート電極を有するトランジスタに光が照射されたことにより閾値電圧がマイナス側に変化した後、
前記トランジスタが遮光されている時に、前記ゲート電極に正の電圧を100μsec以上印加することで、前記閾値電圧を前記光照射前と略同等の状態にすることを特徴とするトランジスタの駆動方法。
【請求項18】
請求項17において、ソース電極及びドレイン電極に電圧を印加しないで、前記ゲート電極に正の電圧が印加されることを特徴とするトランジスタの駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−114428(P2012−114428A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241773(P2011−241773)
【出願日】平成23年11月3日(2011.11.3)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】