説明

半導体装置

【課題】従来の半導体装置においては、シリコンエピタキシャル層に結晶欠陥が生じ易いという問題がある。
【解決手段】半導体装置1は、シリコン基板10、歪み付与層20、シリコン層30、FET40、および素子分離領域50を備えている。シリコン基板10上には、歪み付与層20が設けられている。歪み付与層20上には、シリコン層30が設けられている。歪み付与層20は、シリコン層30中のFET40のチャネル部に格子歪みを生じさせる。シリコン層30中には、FET40が設けられている。FET40は、ソース・ドレイン領域42、SD extension領域43、ゲート電極44およびサイドウォール46を含んでいる。ソース・ドレイン領域42と上述の歪み付与層20とは、互いに離間している。FET40の周囲には、素子分離領域50が設けられている。素子分離領域50は、シリコン層30を貫通して歪み付与層20まで達している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図7は、従来の半導体装置を示す断面図である。半導体装置100においては、シリコン基板101上に、SiGeエピタキシャル層102およびシリコンエピタキシャル層103が順に積層されている。また、シリコンエピタキシャル層103中には、ソース・ドレイン領域111およびゲート電極112等により構成されたFET(電界効果トランジスタ)110が形成されている。FET110は、周囲に形成されたSTI(Shallow Trench Isolation)104によって、他の素子と隔離されている。
【0003】
なお、本発明に関連する先行技術文献としては、特許文献1,2が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−284722号公報
【特許文献2】米国特許第6121100号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の半導体装置100においては、SiGeエピタキシャル層102がシリコンエピタキシャル層103に二軸応力を与えており、それによりシリコンエピタキシャル層103に格子歪みが生じている。すなわち、半導体装置100の製造においては、いわゆる歪みシリコンプロセスが用いられている。このプロセスにおいて形成されるウエハは、歪みシリコンウエハと呼ばれる。このような歪みシリコンウエハを用いることにより、FETにおけるキャリア移動度の増大を図ることができる。
【0006】
しかしながら、上記構成の半導体装置100には、シリコンエピタキシャル層103に結晶欠陥(転位)が生じ易いという問題がある。図7においては、結晶欠陥が生じている様子を模式的に線L1で示している。結晶欠陥が生じる一因としては、次のことが考えられる。すなわち、歪みシリコンウエハは、SiGeエピタキシャル層102とシリコンエピタキシャル層103との間の応力を緩和するように湾曲する。すると、その湾曲したウエハを真空チャッキング等する際に無理な力がウエハにかかることとなり、それにより結晶欠陥が生じてしまうのである。かかる結晶欠陥は、リーク電流の増加等、半導体装置の電気的特性の劣化につながってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による半導体装置は、シリコン基板と、上記シリコン基板上に設けられた歪み付与層と、上記歪み付与層上に設けられたシリコン層と、上記シリコン層中に設けられた電界効果トランジスタと、上記電界効果トランジスタの周囲に設けられ、上記シリコン層を貫通して上記歪み付与層まで達する素子分離領域と、を備え、上記歪み付与層は、上記電界効果トランジスタのソース・ドレイン領域と離間しているとともに、上記シリコン層中の上記電界効果トランジスタのチャネル部に格子歪み(Strain)を生じさせることを特徴とする。
【0008】
この半導体装置においては、歪み付与層により、シリコン層中のFETのチャネル部に格子歪みが生じている。これにより、FETにおけるキャリア移動度を増大させることができる。このことは、FETひいては半導体装置の電気的特性の向上に寄与する。さらに、素子分離領域がシリコン層を貫通して歪み付与層まで達している。このため、この半導体装置の製造の際、シリコンウエハの湾曲は、素子分離領域で区画された領域毎に起こることになる。すなわち、シリコンウエハが全体として大きく湾曲するのを防ぐことができる。これにより、シリコン層における結晶欠陥の発生を抑制することができる。
【0009】
また、本発明による半導体装置の製造方法は、電界効果トランジスタを備える半導体装置を製造する方法であって、シリコン基板上に、上記電界効果トランジスタが形成される領域を包囲するように素子分離領域を形成する工程と、上記素子分離領域が形成された上記シリコン基板上に歪み付与層をエピタキシャル成長させる工程と、上記歪み付与層上に、シリコン層をエピタキシャル成長させる工程と、上記シリコン層中に、ソース・ドレイン領域が上記歪み付与層と離間するように上記電界効果トランジスタを形成する工程と、を含み、上記歪み付与層は、上記シリコン層中の上記電界効果トランジスタのチャネル部に格子歪みを生じさせるものであることを特徴とする。
【0010】
この製造方法においては、歪み付与層上にシリコン層を形成している。このため、この方法によって製造される半導体装置においては、歪み付与層により、シリコン層中のFETのチャネル部に格子歪みが生じる。これにより、FETにおけるキャリア移動度を増大させることができる。このことは、FETひいては半導体装置の電気的特性の向上に寄与する。さらに、シリコン基板上に素子分離領域を形成した後に、歪み付与層およびシリコン層を形成している。このため、シリコンウエハの湾曲は、素子分離領域で区画された領域毎に起こることになる。すなわち、シリコンウエハが全体として大きく湾曲するのを防ぐことができる。これにより、シリコン層における結晶欠陥の発生を抑制することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電気的特性に優れた半導体装置およびその製造方法が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明による半導体装置の第1実施形態を示す断面図である。
【図2】(a)および(b)は、本発明による半導体装置の製造方法の第1実施形態を示す工程図である。
【図3】(a)および(b)は、本発明による半導体装置の製造方法の第1実施形態を示す工程図である。
【図4】本発明による半導体装置の第2実施形態を示す断面図である。
【図5】(a)〜(c)は、本発明による半導体装置の製造方法の第2実施形態を示す工程図である。
【図6】(a)および(b)は、実施形態の変形例に係る半導体装置を示す断面図である。
【図7】従来の半導体装置を示す断面図である。
【図8】特許文献1に記載の半導体装置を示す断面図である。
【図9】特許文献2に記載の半導体装置を示す断面図である。
【図10】(a)〜(c)は、図9の半導体装置の製造方法を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、本発明による半導体装置およびその製造方法の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
(第1実施形態)
図1は、本発明による半導体装置の第1実施形態を示す断面図である。半導体装置1は、シリコン基板10、歪み付与層20、シリコン層30、FET40、および素子分離領域50を備えている。
【0015】
シリコン基板10上には、歪み付与層20が設けられている。本実施形態において歪み付与層20は、SiGe層である。歪み付与層20上には、シリコン層30が設けられている。これらの歪み付与層20およびシリコン層30は、エピタキシャル成長法により形成されたエピタキシャル層である。歪み付与層20は、シリコン層30に二軸応力を与えることにより、シリコン層30中のFET40のチャネル部に格子歪みを生じさせている。この二軸応力は、歪み付与層20とシリコン層30との界面に平行である。
【0016】
シリコン層30中には、FET40が設けられている。FET40は、ソース・ドレイン領域42、SD extension領域(LDD(Light Doped Drain)領域)43、ゲート電極44およびサイドウォール46を含んでいる。ここで、ソース・ドレイン領域42と上述の歪み付与層20とは、互いに離間している。
【0017】
なお、FET40は、Nチャネル型FETであってもよいし、Pチャネル型FETであってもよい。図1においては1つのFET(FET40)のみが図示されているが、半導体装置1には、Nチャネル型FETおよびPチャネル型FETの双方が設けられていてもよい。その場合、それらのFETは、後述する素子分離領域50によって互いに隔離される。
【0018】
FET40の周囲には、素子分離領域50が設けられている。素子分離領域50は、シリコン層30を貫通して歪み付与層20まで達している。特に本実施形態において素子分離領域50は、シリコン層30および歪み付与層20を貫通して、シリコン基板10の内部まで達している。この素子分離領域50は、例えばSTIである。図1からもわかるように、素子分離領域50で囲まれた領域において、歪み付与層20の厚みは略均一である。
【0019】
図2および図3を参照しつつ、本発明による半導体装置の製造方法の第1実施形態として、半導体装置1の製造方法の一例を説明する。概括すると、この製造方法は、下記工程(a)〜(d)を含むものである。
(a)シリコン基板10上に、FET40が形成される領域を包囲するように素子分離領域50を形成する工程
(b)素子分離領域50が形成されたシリコン基板10上に歪み付与層20をエピタキシャル成長させる工程
(c)歪み付与層20上に、シリコン層30をエピタキシャル成長させる工程
(d)シリコン層30中に、ソース・ドレイン領域42が歪み付与層20と離間するようにFET40を形成する工程
【0020】
より詳細に説明すると、まず、シリコン基板10a中に、シャロートレンチ構造の素子分離領域50を形成する(図2(a))。その後、ドライエッチングによりシリコン基板10aを薄化し、シリコン基板10aを素子分離領域50に対して後退させる(図2(b))。このとき、素子分離領域50の一部がシリコン基板10a内に残るようにする。これにより、FET40が形成される領域を包囲する素子分離領域50がシリコン基板10上に形成される。
【0021】
すなわち、素子分離領域50を形成する工程においては、シリコン基板10aの表層に素子分離領域50を形成した後、シリコン基板10aを上記表層側から薄化している。
【0022】
続いて、シリコン基板10上に歪み付与層20をエピタキシャル成長させた後、歪み付与層20上にシリコン層30をエピタキシャル成長させる(図3(a))。その後、シリコン層30上に、ゲート電極44およびサイドウォール46を形成する(図3(b))。さらに、シリコン層30内にソース・ドレイン領域42およびSD extension領域43を形成することにより、図1の半導体装置1が得られる。
【0023】
本実施形態の効果を説明する。上記製造方法においては、歪み付与層20上にシリコン層30を形成している。このため、半導体装置1においては、歪み付与層20により、シリコン層30中のFET40のチャネル部に格子歪みが生じる。これにより、FET40におけるキャリア移動度を増大させることができる。このことは、FET40ひいては半導体装置1の電気的特性の向上に寄与する。
【0024】
さらに、素子分離領域50がシリコン層30を貫通して歪み付与層20まで達している。このため、半導体装置1の製造の際、シリコンウエハの湾曲は、素子分離領域50で区画された領域毎に起こることになる。すなわち、シリコンウエハが全体として大きく湾曲するのを防ぐことができる。これにより、シリコン層30における結晶欠陥の発生を抑制することができる。よって、電気的特性に優れた半導体装置1およびその製造方法が実現されている。
【0025】
歪み付与層20としてSiGe層が用いられている。SiGe層は、FET40のチャネル部に格子歪みを生じさせる層として好適に機能することができる。
【0026】
素子分離領域50が、シリコン層30および歪み付与層20を貫通してシリコン基板10まで達している。このため、素子分離領域50を境として、歪み付与層20が完全に分断されている。これにより、上述の問題、すなわちシリコンウエハが全体として大きく湾曲するという問題を、より確実に防ぐことができる。特に本実施形態においては、素子分離領域50がシリコン基板10の内部まで達している。これにより、上記問題が防止される確実性が一層高まる。
【0027】
素子分離領域50を形成する工程においては、シリコン基板10aの表層に素子分離領域50を形成した後、シリコン基板10aを上記表層側から薄化している。こうすることにより、素子分離領域50がシリコン基板10の内部まで達した構造を、容易に実現することができる。
【0028】
素子分離領域50で囲まれた領域において、歪み付与層20の厚みは略均一である。かかる構造により、歪み付与層20は、シリコン層30に対して好適に二軸応力を付与することができる。
【0029】
Nチャネル型FETおよびPチャネル型FETの双方が半導体装置1に設けられている場合、本実施形態の有用性が特に高くなる。なぜならば、シリコン層30に二軸応力を与えた場合、一軸応力を与えた場合とは異なり、Nチャネル型FETおよびPチャネル型FETの双方においてキャリア移動度の増大という効果が得られるからである。
【0030】
ところで、従来の半導体装置としては、上述した図7に示したもの以外にも、図8および図9に示すものがある。
【0031】
図8は、特許文献1に記載の半導体装置を示す断面図である。半導体装置200においては、シリコン基板201上に、ボロンがドープされたシリコンエピタキシャル層202、シリコンエピタキシャル層203、SiGeエピタキシャル層204およびシリコンエピタキシャル層205が順に積層されている。また、シリコンエピタキシャル層202、シリコンエピタキシャル層203、SiGeエピタキシャル層204およびシリコンエピタキシャル層205の4層にわたって、ソース・ドレイン領域211が形成されている。このソース・ドレイン領域211は、ゲート電極212と共に、FET210を構成している。FET210の周囲には、STI206が形成されている。
【0032】
このように半導体装置200においては、SiGeエピタキシャル層204中にソース・ドレイン領域211が形成されている。これは、SiGe層中のホールキャリアの移動度の方が、シリコン層中のそれよりも高いという性質を利用するためである。すなわち、SiGe層をホールキャリアの移動経路として用いることにより、電気的特性の向上を図っている。
【0033】
ここで、仮に半導体装置1において歪み付与層20中にソース・ドレイン領域42を形成したとすると、ソース・ドレイン領域42を形成する際のイオン注入によって、歪み付与層20のストレスが緩和してしまう。すると、シリコン層30に二軸応力を与えるという歪み付与層20の機能が低下してしまう。かかる観点から、半導体装置1においては、歪み付与層20とソース・ドレイン領域42とを互いに離間させているのである。
【0034】
図9は、特許文献2に記載の半導体装置を示す断面図である。半導体装置300においては、シリコン基板301に、ソース・ドレイン領域311およびゲート電極312等により構成されたPチャネル型FET310が設けられている。このソース・ドレイン領域311は、SiGeエピタキシャル層として形成されている。また、Pチャネル型FET310の周囲には、STI302が形成されている。
【0035】
図10を参照しつつ、半導体装置300の製造方法を説明する。まず、シリコン基板301中にSTI302を形成する(図10(a))。次に、シリコン基板301上にゲート電極312を形成する(図10(b))。その後、シリコン基板301におけるソース・ドレイン領域311となる領域をエッチングすることにより、凹部311aを形成する(図10(c))。続いて、凹部311a中に、SiGe層をエピタキシャル成長させることにより、ソース・ドレイン領域311を形成する。これにより、図9の半導体装置300が得られる。
【0036】
この半導体装置300においては、ソース・ドレイン領域311からシリコン基板301に一軸応力が与えられている。これにより、Pチャネル型FET310の電気的特性を向上させることができる。しかし、その一方で、一軸応力では、Nチャネル型FETの電気的特性を向上させることはできない、それどころか劣化させてしまう。そのため、半導体装置300の製造においては、Nチャネル型FETが形成される領域をマスクで覆った状態で、Pチャネル型FETが形成される領域に凹部311aを形成する必要がある。それゆえ、製造工程数が増加し、製造が複雑化してしまう。
【0037】
これに対して、本実施形態によれば、歪み付与層20による二軸応力を利用しているため、上述のとおり、Nチャネル型FETおよびPチャネル型FETの双方の電気的特性を向上させることができる。よって、製造工程数の増大を抑えることができる。
【0038】
(第2実施形態)
図4は、本発明による半導体装置の第2実施形態を示す断面図である。半導体装置2は、シリコン基板10、歪み付与層20、シリコン層30、FET40、および素子分離領域50を備えている。シリコン基板10、歪み付与層20、シリコン層30およびFET40の構成は、半導体装置1におけるものと同様である。
【0039】
半導体装置2においては、素子分離領域50の構成が半導体装置1と相違している。すなわち、半導体装置1においては、素子分離領域50がシリコン基板10と歪み付与層20との間の界面を突き抜けて、シリコン基板10の内部まで達していた。これに対し、半導体装置2においては、素子分離領域50の一端が上記界面に止まっている。
【0040】
図5を参照しつつ、本発明による半導体装置の製造方法の第2実施形態として、半導体装置2の製造方法の一例を説明する。この製造方法も、上述した第1実施形態と同様に、上記工程(a)〜(d)を含む。
【0041】
より詳細に説明すると、まず、シリコン基板10上に、絶縁膜50aを形成する(図5(a))。次に、この絶縁膜50aの一部(素子分離領域50となる部分)を残して、他の部分をフォトリソグラフィ法等により除去する(図5(b))。これにより、FET40が形成される領域を包囲する素子分離領域50がシリコン基板10上に形成される。
【0042】
すなわち、素子分離領域50を形成する工程においては、シリコン基板10上に絶縁膜50aを形成した後、絶縁膜50aをパターニングして素子分離領域50としている。
【0043】
続いて、シリコン基板10上に歪み付与層20をエピタキシャル成長させた後、歪み付与層20上にシリコン層30をエピタキシャル成長させる(図5(c))。その後、FET40を形成することにより、図4の半導体装置2が得られる。
【0044】
本実施形態の効果を説明する。本実施形態においても、歪み付与層20により、シリコン層30中のFET40のチャネル部に格子歪みが生じる。これにより、FET40におけるキャリア移動度を増大させることができる。このことは、FET40ひいては半導体装置2の電気的特性の向上に寄与する。
【0045】
さらに、素子分離領域50がシリコン層30を貫通して歪み付与層20まで達している。このため、半導体装置2の製造の際、シリコンウエハの湾曲は、素子分離領域50で区画された領域毎に起こることになる。すなわち、シリコンウエハが全体として大きく湾曲するのを防ぐことができる。これにより、シリコン層30における結晶欠陥の発生を抑制することができる。よって、電気的特性に優れた半導体装置2およびその製造方法が実現されている。
【0046】
素子分離領域50が、シリコン層30および歪み付与層20を貫通してシリコン基板10まで達している。このため、素子分離領域50を境として、歪み付与層20が完全に分断されている。これにより、シリコンウエハが全体として大きく湾曲するという問題を、より確実に防ぐことができる。
【0047】
素子分離領域50を形成する工程においては、シリコン基板10上に絶縁膜50aを形成した後、絶縁膜50aをパターニングして素子分離領域50としている。こうすることにより、素子分離領域50がシリコン基板10まで達した構造を、容易に実現することができる。なお、本実施形態のその他の効果は、第1実施形態と同様である。
【0048】
本発明による半導体装置およびその製造方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。上記実施形態においては、素子分離領域50が歪み付与層20を貫通している例を示した。しかし、素子分離領域50は、歪み付与層20まで達していればよく、歪み付与層20を貫通している必要はない。例えば、図6(a)に示すように、素子分離領域50の一端が歪み付与層20の内部に止まっていてもよい。あるいは、図6(b)に示すように、素子分離領域50の一端が歪み付与層20とシリコン層30との間の界面に止まっていてもよい。
【0049】
また、歪み付与層20の材料は、SiGeには限られない。FET40のチャネル部に格子歪みを生じさせるものであれば、SiGe以外の材料を用いてもよい。
【0050】
また、上記実施形態においては二軸応力のみを利用した例を示した。しかし、二軸応力と一軸応力とを併用してもよい。その場合、例えば、半導体装置1または半導体装置2において、ソース・ドレイン領域42をSiGeエピタキシャル層として形成すればよい。
【符号の説明】
【0051】
1 半導体装置
2 半導体装置
10 シリコン基板
10a シリコン基板
20 歪み付与層
30 シリコン層
40 FET
42 ソース・ドレイン領域
43 SD extension領域
44 ゲート電極
46 サイドウォール
50 素子分離領域
50a 絶縁膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン基板と、
前記シリコン基板上に設けられた歪み付与層と、
前記歪み付与層上に設けられたシリコン層と、
前記シリコン層中に設けられた電界効果トランジスタと、
前記電界効果トランジスタの周囲に設けられ、前記シリコン層を貫通して前記歪み付与層まで達する素子分離領域と、を備え、
前記歪み付与層は、前記電界効果トランジスタのソース・ドレイン領域と離間しているとともに、前記シリコン層中の前記電界効果トランジスタのチャネル部に格子歪みを生じさせることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記歪み付与層は、SiGe層である半導体装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体装置において、
前記素子分離領域は、前記シリコン層および前記歪み付与層を貫通して前記シリコン基板まで達している半導体装置。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体装置において、
前記素子分離領域は、前記シリコン基板の内部まで達している半導体装置。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれかに記載の半導体装置において、
前記素子分離領域で囲まれた領域において、前記歪み付与層の厚みは略均一である半導体装置。
【請求項6】
請求項1乃至5いずれかに記載の半導体装置において、
前記電界効果トランジスタとして、Nチャネル型電界効果トランジスタおよびPチャネル型電界効果トランジスタの双方が設けられており、
前記Nチャネル型電界効果トランジスタと前記Pチャネル型電界効果トランジスタとは、前記素子分離領域によって互いに隔離されている半導体装置。
【請求項7】
電界効果トランジスタを備える半導体装置を製造する方法であって、
シリコン基板上に、前記電界効果トランジスタが形成される領域を包囲するように素子分離領域を形成する工程と、
前記素子分離領域が形成された前記シリコン基板上に歪み付与層をエピタキシャル成長させる工程と、
前記歪み付与層上に、シリコン層をエピタキシャル成長させる工程と、
前記シリコン層中に、ソース・ドレイン領域が前記歪み付与層と離間するように前記電界効果トランジスタを形成する工程と、を含み、
前記歪み付与層は、前記シリコン層中の前記電界効果トランジスタのチャネル部に格子歪みを生じさせるものであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の半導体装置の製造方法において、
前記素子分離領域を形成する工程においては、前記シリコン基板の表層に前記素子分離領域を形成した後、前記シリコン基板を前記表層側から薄化する半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項7に記載の半導体装置の製造方法において、
前記素子分離領域を形成する工程においては、前記シリコン基板上に絶縁膜を形成した後、前記絶縁膜をパターニングして前記素子分離領域とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−253381(P2012−253381A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−182978(P2012−182978)
【出願日】平成24年8月22日(2012.8.22)
【分割の表示】特願2006−43418(P2006−43418)の分割
【原出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】