説明

半導体集積回路

【課題】液晶パネル等を駆動する半導体集積回路は、表示用の電極から受電する電磁妨害波により過電圧が発生する。この過電圧から保護するためESD保護回路を設けているが、このESD保護回路により出力電圧が変動する問題があった。
【解決手段】STN液晶パネル等を駆動する半導体集積回路は、セグメント端子26と内部ノードN3とを接続する配線25の途中に、N型ウエル40を形成している。更に、セグメント端子26に入力される入射ノイズIW1を、ESD保護回路24により電源電圧VDD又は電源電圧VSSに制限されない振幅に減衰させるように、N型ウエル40による抵抗値が、設定されている。これにより、内部ノードN3の電圧がESD保護回路24によりクランプされることにより発生する、セグメント信号SEGにおける出力(電圧V1〜V4)の変動を、抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部の負荷を駆動し、外部負荷から発生する過電圧に影響されない半導体集積回路、例えば、液晶表示装置(以下「LCD」という。)における液晶パネルを駆動する駆動回路(ドライバ)を構成する半導体集積回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、外部の負荷を駆動する半導体集積回路は、電磁両立性(Electromagnetic Compatibility、以下「EMC」という。)を必要とする。例えば、液晶パネルは、電気・電子機器から発する電磁妨害波により、電磁放射妨害(Electro Magnetic Interference、以下「EMI」という。)を受けやすい。更に、半導体集積回路の高集積度及び多出力化に伴ってEMC耐性に対する重要性が高まっている。その上、携帯電話の電波影響も考慮されて、EMC試験条件が厳しくなっている。
【0003】
液晶パネルを駆動するドライバは、近年様々な場面や用途で使用されるようになって来ている。又、車載用の大型液晶パネルも使用される様になり、液晶パネルを駆動するドライバのEMC耐性が一層求められている。
【0004】
図7は、従来の半導体集積回路で構成されたLCDを示す概略の回路図である。
従来のLCDは、液晶パネル50と、液晶パネル50を駆動するドライバ59により構成されている。液晶パネルは、例えば、スーパーツイストネマチック(Super-twisted nematic、以下「STN」という。)液晶を用い、画素毎に区切られた液晶セル53を有している。この液晶セル53は、複数の平行した電極により形成されたセグメント(例えば、SEG)線51と、SEG線51と直交する複数の平行した電極により形成されたコモン(例えば、COM)線52の交差点における画素を表示するものである。SEG線51及びCOM線52は、所定の電圧を印加することにより液晶セル53を駆動するものであり、この入力側は、ドライバ59に接続されている。
【0005】
ドライバ59は、SEGドライバ60と、SEGドライバ60と同一の回路構成によるCOMドライバ70とを有している。このSEGドライバ60は、分圧回路62、出力段回路63、静電気放電(以下「ESD」という。)保護回路64、及びSEG端子66を有している。
【0006】
分圧回路62は、電源電圧VDDが印加される電源端子(以下「VDD端子」という。)と接地電圧VSS(=0V)が印加される接地端子(以下「VSS端子」という。)との間に直列に接続された、PMOS62a、抵抗62b、抵抗62c、抵抗62d、及びNMOS62eを有している。この抵抗62b、抵抗62c、及び抵抗62dは、液晶パネルを駆動する中間電圧を発生させるための分圧抵抗であり、電源電圧VDD及び接地電圧VSS間の電圧に分圧して、電圧V4、V3、V2、V1を出力するものである。分圧回路62の出力側には、出力段回路63が接続されている。
【0007】
出力段回路63は、図示しない制御信号により、電圧V3を選択して出力するPMOS及びNMOSとから構成されたアナログスイッチ63aと電圧V2を選択して出力するPMOS及びNMOSとから構成されたアナログスイッチ63bとを有している。更に、出力段回路63は、図示しない制御信号により、電圧V4を選択して出力するPMOS63c及び電圧V1を選択して出力するNMOS63dを有している。この出力段回路63の出力側には、ESD保護回路64が接続されている。
【0008】
ESD保護回路64は、ダイオード64a及びダイオード64bを有し、過電圧を接地電圧VSS又は電源電圧VDDに制限することで出力段回路63を保護する回路であり、このESD保護回路64には、SEG端子66が接続されている。SEG端子66は、SEG線51と接続するための端子であり、この出力側に、SEG線51との接続を中継する中継配線54が接続されている。
【0009】
COMドライバ70は、COMドライバ60と共用する分圧回路62に接続された出力段回路73と、出力段回路73に接続されたESD保護回路74と、ESD保護回路74に接続されたCOM端子76とを有している。この出力段回路73は、アナログスイッチ73aとアナログスイッチ73bとPMOS73c及びNMOS73dとにより構成されている。ESD保護回路74は、ダイオード74a及びダイオード74bから構成されている。COM端子76は、COM線52と接続するための端子であり、この出力側に、COM線52との接続を中継する中継配線55が接続されている。
【0010】
SEGドライバ60は、図示しない制御信号により電圧V1〜V4から選択した所定の電圧(例えば、電圧V3)を出力して、中継配線54を経由してSEG線51に電圧V3を印加する。更に、COMドライバ70は、図示しない制御信号により電圧V1〜V4から選択した所定の電圧(例えば、電圧V2)を出力して、中継配線55を経由してCOM線52に電圧V2を印加する。このSEG線51に印加された電圧V3とCOM線52に印加された電圧V2とが印加された結果、液晶セル53の両端には、電圧(V3−V2)が印加される。この電圧(V3−V2)により、液晶セル53の表示が行われる。
【0011】
一方、半導体集積回路が受ける電磁妨害波EMIに対する対策として特許文献1がある。特許文献1は、層間絶縁層上に設けられた配線層と、同一レベルのダミー配線を設けて、ダミー配線を基準電位に接続するものである。このダミー配線によりシールド効果を大きくすることでEMC、EMIに対する耐性を向上させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2003−257971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献1では、出力端子から入力される電磁妨害波EMIについては考慮されていなかった。一方、液晶パネル50において、中継配線54とSEG線51とは、接続されて1本の導体を形成し、中継配線55とCOM線52とは、接続されて1本の導体を形成している。この中継配線54及びSEG線と中継配線55及びCOM線52とは、それぞれアンテナになり、電磁妨害波EMIを受けやすい。このため、SEG端子66から入力される電磁妨害波EMIによる電圧レベルが、電源電圧VDD以上又は接地電圧VSS以下になる場合もある。しかしながら、この電磁妨害波EMIによる電圧レベルが、電源電圧VDD以上又は接地電圧VSS以下になる場合には、次の問題があった。
【0014】
図8(a)(b)は、図7のLCDにおける入射ノイズによるレベル変動を示す図である。
【0015】
例えば、SEG端子66から電圧V3が出力されている時[図8(a)]に、電源電圧VDD以上の振幅がある入射ノイズIW1が電圧V3に重畳した場合には、ESD保護回路64のダイオード64a及び出力段回路63におけるPMOSの寄生ダイオードにより、電源電圧VDD以上の電圧を強制的に電源電圧VDDにする電圧制限(以後「クランプ」という。)が行われる。このクランプにより失われた平均の電圧をΔV3とすると、電圧ΔV3だけ入射ノイズの平均レベルが低下する。この結果、SEG端子66から出力している電圧V3は、電圧ΔV3だけ電圧が低下して、V3−ΔV3の電圧をSEG端子66から出力することになる。
【0016】
更に、SEG端子66から電圧V3が出力されている時は、COM端子76から電圧V2が出力されている[図8(b)]。電源電圧VDD以上の振幅がある入射ノイズが電圧V2に重畳した場合には、ESD保護回路74のダイオード74b及び出力段回路73におけるNMOSの寄生ダイオードにより,接地電圧VSS以下の電圧を強制的に電源電圧VSSにするクランプが行われる。これにより、クランプにより失われた平均の電圧ΔV2だけ入射ノイズの平均レベルが上昇する。この結果、COM端子76から出力している電圧V2は、電圧ΔV2だけ電圧が上昇して、V2+ΔV2の電圧をCOM端子76から出力することになる。
【0017】
以上のように、ダイオードによるクランプの影響で、高電圧(=電圧V3)を出力しているSEG端子66は、低電圧側へ電圧ΔV3分だけシフトし、低電圧(=電圧V2)を出力しているCOM端子76は高電圧側へ電圧ΔV2分だけシフトする。その結果、SEG端子66及びCOM端子76間の電圧差が小さくなって、液晶パネル上のオンすべきセルがオフしてしまうという不具合が発生していた。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の半導体集積回路は、半導体素子が形成された基板と、前記基板に形成され、外部の負荷に接続された出力端子と、前記基板に形成され、前記出力端子と内部ノードとの間に接続された配線と、前記基板に形成され、所定の電圧を発生して前記内部ノードに供給する電圧発生回路と、前記基板に形成されて前記配線に接続され、前記出力端子に侵入する過電圧を減衰させる電圧減衰手段と、前記基板に形成されて前記内部ノードに接続され、前記電圧減衰手段により減衰された減衰後の電圧が基準電圧を超えた場合に前記減衰後の電圧を制限する電圧制限回路とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、出力端子より入力される過電圧を減衰させる電圧減衰手段を設けたため、電磁妨害波を受電することで入力される入射ノイズにより発生する過電圧を電圧制限回路に到達するまでの間に減衰さることができる。そのため、過電圧をクランプする機会が少なくなり、クランプによる入射ノイズの平均レベル変動を抑えることができる。その結果、電圧発生回路の出力する電圧が、変動するのを抑えることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1−1】図1−1は本発明の実施例1における半導体集積回路で構成されたLCD1の概略の回路図である。
【図1−2】図1−2は図1−1の概略の断面図である。
【図2】図2は、本発明の実施例1における半導体集積回路で構成されたLCD1を示めす概略の構成図である。
【図3】図3は図2のLCD1の動作説明図である。
【図4−1】図4−1は図1−1の変形例を示す回路図である。
【図4−2】図4−2は図4−1の概略の断面図である。
【図5−1】図5−1は本発明の実施例2の半導体集積回路で構成されたLCD1の回路図である。
【図5−2】図5−2は図5−1中のX部分を示す拡大平面図である。
【図5−3】図5−3は図5−2中のA1−A2断面図である。
【図6−1】図6−1は本発明の実施例3における半導体集積回路で構成したLCD1の回路図である。
【図6−2】図6−2は図6−1中のY部分を示す拡大平面図である。
【図6−3】図6−3は図6−2中のB1−B2断面図である。
【図7】図7は従来の半導体集積回路で構成されたLCDを示す概略の回路図である。
【図8】図8は図7のLCDにおける入射ノイズによるレベル変動を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明を実施するための形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0022】
(実施例1のLCD1の全体の構成)
図2は、本発明の実施例1における半導体集積回路で構成されたLCD1を示めす概略の構成図である。
【0023】
図2に示すLCD1は、基板2(例えば、プリント基板)に実装された、液晶パネル10、セグメントドライバ20及びコモンドライバ30により構成されている。
【0024】
液晶パネル10は、液晶パネル10の例えば列方向に平行に配列された複数のセグメント電極11(=11−1〜11−n)と、液晶パネル10の例えば行方向に平行に配列された複数のコモン電極12(=12−1〜12−m)とが直角に交差するように配置され、これらの交差箇所に液晶セル13が形成されている。
【0025】
セグメントドライバ20は、分圧回路22を有している。この分圧回路22は4種類の電圧V1〜V4を出力し、この出力側に、電圧発生回路(例えば、出力段回路)23が接続されている。出力段回路23は、図示しない制御回路等から供給される表示データSD(=SD1〜SDn)を入力し、各液晶セル13で表示させる表示内容に応じ、電圧V1〜V4の中から選択した電圧に基づくセグメント信号SEG1〜SEGnを出力するものである。この出力段回路23に、電圧制限回路(例えば、ESD保護回路)24が接続されている。
【0026】
ESD保護回路24は、出力段回路23の出力に発生する過電圧を第1の電源電圧(例えば、接地電圧VSS)又は第2の電源電圧(例えば、電源電圧VDD)に制限することで出力段回路23を保護する回路である。このESD保護回路24の出力側に、配線25(=25−1〜25−n)が接続されている。配線25は、この出力側に、セグメント端子26(=26−1〜26−n)が接続され、セグメント端子26に入力される入射ノイズの伝搬を制御するものである。セグメント端子26は、セグメント信号SEG1〜SEGnを出力するセグメントドライバ20内の端子であり、この先に、セグメント電極11(=11−1〜11−n)が接続されている。
【0027】
コモンドライバ30は、セグメントドライバ20と同一の構成をしている。このコモンドライバ30は、図示しない制御回路等から供給される走査データCD(=CD1〜CDm)に基づき、電圧V1〜V4の中から選択した電圧に基づくコモン信号COM1〜COMmを生成し、この出力側に、コモン線を接続するものえある。更に、コモンドライバ30は、分圧回路32、出力段回路33、ESD保護回路34、配線35(=35−1〜35−m)及びコモン端子36(=36−1〜36−m)を有している。
【0028】
(実施例1のLCD1の回路構成)
図1−1は、本発明の実施例1における半導体集積回路で構成されたLCD1の概略の回路図である。
【0029】
図1−1において、セグメントドライバ20は、分圧回路22、出力段回路23、ESD保護回路24、配線25及びセグメント端子26を有している。このうち、分圧回路22及び出力段回路23は、従来例の分圧回路62及び出力段回路63と同様な回路を用いている。尚、コモンドライバ30は、セグメントドライバ20と同一の構成をしているため、セグメントドライバ20についてのみ説明する。
【0030】
セグメントドライバ20は、4種の電圧V1〜V4を発生させる分圧回路22を有している。この分圧回路22は、VSS端子に接続された第1の電源(例えば、電源ノードN1)と、VDD端子に接続された第2の電源(例えば、電源ノードN2)とを有している。この電源ノードN2には、PMOS22a、抵抗22b、抵抗22c、抵抗22d、及びNMOS22eが直列に接続されていて、NMOS22eの他端に、電源ノードN1が接続されている。この抵抗22b及び抵抗22c間の電圧V3を出力し、この出力側に、アナログスイッチ23aが接続されている。更に、抵抗22c及び抵抗22d間の電圧V2を出力し、この出力側に、アナログスイッチ23bが接続されている。尚、電圧V4は、電源電圧VDDであり、電圧V1は、接地電圧VSSである。
【0031】
出力段回路23は、アナログスイッチ23a、アナログスイッチ23b、PMOS23c及びNMOS23dを有している。アナログスイッチ23aは、表示データSDに基づく信号により電圧V3を出力するものであり、その出力側は、ESD保護回路の内部ノードN3に接続されている。アナログスイッチ23bは、表示データSDに基づく信号により電圧V2を出力するものであり、その出力側は、内部ノードN3に接続されている。PMOS23cは、表示データSDに基づく信号により電圧V4を出力するものであり、その出力側は、接続されている。NMOS23dは、表示データSDに基づく信号により電圧V1を出力するものであり、その出力側は、内部ノードN3に接続されている。
【0032】
ESD保護回路24は、ダイオード24a及びダイオード24bを有し、内部ノードN3に加わる過電圧を接地電圧VSS又は電源電圧VDDに制限することで出力段回路23を保護する回路である。このダイオード24aは、カソードが電源ノードN2に接続され、アノードが内部ノードN3に接続されている。ダイオード24bは、カソードが内部ノードN3に接続され、アノードが電源ノードN1に接続されている。
【0033】
このESD保護回路24には、配線25が接続されている。配線25は、途中に電圧減衰手段を形成するNウエル抵抗41が配置されていて、セグメント端子26に接続される。このNウエル抵抗41は、セグメント端子26から入力される侵入ノイズIW1を減衰させるものである。このセグメント端子26には、中継配線14を介してセグメント電極11に接続されている。一方、コモンドライバ30のコモン端子36は、中継配線15を介してコモン電極12に接続されている。セグメント電極11とコモン電極12との交差する位置に液晶セル13が配置されている。
【0034】
(実施例1のLCD1の断面構造)
図1−2は、図1−1の概略の断面図である。
【0035】
図2の基板2は、液晶パネル10、セグメントドライバ20を搭載した例えばP型の半導体基板21、及びコモンドライバ30を搭載した例えばP型の半導体基板31を実装している。
【0036】
図1−2において、液晶パネル10は、セグメント電極11と、コモン電極12と、液晶セル13とを有している。セグメント電極11は、液晶セル13の一方の電極であり、セグメント信号(例えば、電圧V3)を供給する導体である。コモン電極12は、液晶セル13の他方の電極であり、コモン信号(例えば、電圧V2)を供給する導体である。液晶セル13は、セグメント電極11の電圧とコモン電極12の電圧とにより表示を行うものである。このセグメント電極11は、中継配線14を介して、半導体基板21に形成されたセグメント端子26に接続されている。尚、コモン電極12の図示していない中継配線15は半導体基板21に形成されたコモン端子36に接続されている。
【0037】
半導体基板21は、内部にN型ウエル40及びN型ウエル48が形成され、この上部に、絶縁膜39が形成されている。絶縁膜39の表面には、電源ノードN2、内部ノードN3(=N3−1,N3−2)、配線25の配線パターン部分、及びセグメント端子26が形成されている。
【0038】
ESD保護回路24におけるダイオード24aは、N型ウエル48に形成されたP型アクティブ層481とN型ウエル48との接合部に形成される。N型ウエル48は、更に、N型アクティブ層482を有し、このN型アクティブ層482及び絶縁膜39に形成されたスルホールにより電源ノードN2に接続されている。P型アクティブ層481は、絶縁膜39に形成されたスルホールにより内部ノードN3−2に接続されている。この内部ノードN3−2は、配線25と接続されている。ダイオード24bは、半導体基板21に形成したN型アクティブ層49と半導体基板21との接合部に形成される。N型アクティブ層49は、絶縁膜39に形成されたスルホールにより、内部ノードN3−1と接続されている。
【0039】
N型ウエル40は、配線25の電圧減衰手段であるNウエル抵抗41を形成するものである。N型ウエル40の一端は、N型ウエル40に形成したN型アクティブ層41a及び絶縁膜39に形成されたスルホールを介して、配線25の配線パターン部分に接続されている。このN型ウエル40の他端は、N型ウエル40に形成したN型アクティブ層41b及び絶縁膜39に形成されたスルホールにより、セグメント端子26に接続されている。
【0040】
(実施例1のLCD1の全体の動作)
図2における液晶パネル10は、走査データCD1〜CDmに基づく電圧をコモン電極12(12−1〜12−m)に印加し、表示データSD1〜SDnのデータに基づく電圧をセグメント電極11(11−1〜11−n)に印加する。セグメント電極11とコモン電極12との交差点にある液晶セル13は、印加されたセグメント電極11とコモン電極12の電圧により表示が制御される。
【0041】
図3は、図2のLCD1の動作説明図である。
簡単にするため、コモン信号(例えば、COM)1〜3とし、セグメント信号(例えばSEG)1〜2として説明する。図3の横軸は時間軸であり、走査されたコモン電極12に対応して、COM1制御、COM2制御、及びCOM3制御と、順次、コモン電極12−1〜12−3を走査しているものとする。COM1〜3の走査は、コモン線の電圧を電圧V4又は電圧V1にすることにより行う。この選択されたコモン線に対して、SEG1〜2の電圧を選択することで液晶セル13の点灯/非点灯を制御する。一方、コモン線が電圧V3又は電圧V2のときは、液晶セル13を非点灯に制御するものである。例えば、COM1制御では、COM1が電圧V4になる。この時、SEG1〜2は、共に電圧V3であり、液晶セル13の両端に、電圧(V4−V3)が発生する。この電圧(V4−V3)は非点灯である。このため、COM1とSEG1〜2たが交差する液晶セル13は非点灯に制御される。
【0042】
次に、COM2制御にうつる。COM2制御において、COM2の電圧は、電圧V4である。この時のSEG1は電圧V3であり、SEG2は電圧V1である。従って、SEG1に対応する液晶セル13の両端には、電圧(V4−V3)が印加される。この電圧(V4−V3)は非点灯であるため、COM2とSEG1とが交差する液晶セル13は非点灯に制御される。一方、SEG2に対応する液晶セル13の両端には、電圧(V4−V1)が印加される。この電圧(V4−V1)は点灯であるため、COM2とSEG2とが交差する液晶セル13は点灯に制御される。このように液晶パネル10の表示は制御される。
【0043】
(実施例1の半導体集積回路に電磁妨害波が侵入したときの動作)
図1−1及び図1−2を参照しながらセグメントドライバ20に電磁妨害波EMIが侵入したときの動作説明する。
【0044】
セグメントドライバ20の出力段回路23は、表示データSD1〜SDnに基づき、電圧V1〜V4から選択した電圧を内部ノードN3に発生させる。ESD保護回路24は、内部ノードN3に過電圧が発生すると、内部ノードN3の電圧をダイオード24aにより電源電圧VDDに制限する。更に、内部ノードN3の電圧をダイオード24bにより電源電圧VSSに制限する。
【0045】
配線25は、セグメント端子26と内部ノードN3とを接続している。この配線25は、半導体基板21内に形成したN型ウエル40を有している。このN型ウエル40は、Nウエル抵抗41を形成している。
【0046】
入射ノイズIW1は、セグメント端子26より絶縁膜39に形成されたスルホールを経由してN型アクティブ層41bよりN型ウエル40内に伝搬する。N型ウエル40内を伝搬した入射ノイズIW1は、入射ノイズIW2になるまで減衰されて、N型アクティブ層41bから絶縁膜39に形成されたスルホールを経由して配線25に伝搬する。この減衰された入射ノイズIW2は、内部ノードN3に入力され、内部ノードN3に、入射ノイズIW2が重畳した電圧が発生する。
【0047】
ここで、N型ウエル40による抵抗値は、セグメント端子26に入力される入射ノイズIW1がESD保護回路24により電源電圧VDD又は電源電圧VSSに制限されない振幅まで減衰させる値に設定されている。このため、内部ノードN3の電圧が、ESD保護回路24により電源電圧VDD又は電源電圧VSSに制限されることがなくなる。
【0048】
(実施例1の効果)
本実施例1によれば、次のような効果がある。
【0049】
実施例1の半導体集積回路は、セグメント端子26と内部ノードN3とを接続する配線25の途中に、電圧減衰手段であるN型ウエル40を形成している。更に、N型ウエル40による抵抗値は、セグメント端子26に入力される入射ノイズIW1がESD保護回路24により電源電圧VDD又は電源電圧VSSに制限されない振幅まで減衰させる値に、設定される。これにより、内部ノードN3の電圧が、ESD保護回路24により電源電圧VDD又は電源電圧VSSに制限されることがなくなる。
【0050】
従って、入射ノイズIW2の平均電圧が0Vに近くなり、セグメント信号SGNの出力(電圧V1〜V4)に重畳される入射ノイズIW2の平均電圧(直流成分)が少なくなる。その結果、従来あった、SEG端子56の電圧が、クランプにより失われた平均の電圧ΔV3だけ電圧が低下して、電圧V3−ΔV3を、SEG端子56から出力することがなくなった。又、クランプにより失われた平均の電圧ΔV2だけ、電圧が上昇したV2+ΔV2の電圧を、SEG端子56から出力されることもなくなった。
【0051】
(実施例1の変形例)
【0052】
(実施例1の変形例の構造)
図4−1は、図1−1の変形例を示す回路図である。図4−2は、図4−1の概略の断面図である。
【0053】
この第1の実施例の変形例は、配線25の電圧減衰手段として、抵抗値を持たせた配線抵抗42を形成したものであるのである。配線抵抗42の部分以外は実施例1と同一の構造である。
【0054】
配線25は、内部ノードN3とセグメント端子26とを結ぶ配線である。この配線25の一部又は全部に配線抵抗42を設けた。配線抵抗42は、数kΩ(3k〜6kΩ程度)のメタル層やポリシリコン層などにより形成された抵抗である。
【0055】
(実施例1の変形例の動作)
実施例1の半導体集積回路は、セグメント端子26と内部ノードN3とを接続する配線25を、数kΩ(3k〜6kΩ程度)のメタル層やポリシリコン層などにより形成されたものである。実施例1と同様に、セグメント端子26に入力される入射ノイズIW1を、ESD保護回路24により電源電圧VDD又は電源電圧VSSにクランプされない振幅まで減衰するように、配線抵抗42の抵抗値を設定する。これにより、内部ノードN3の電圧が、ESD保護回路24により電源電圧VDD又は電源電圧VSSに制限されることがなくなる。
【0056】
(実施例1の変形例の効果)
本実施例1の変形例によれば、次のような効果がある。
【0057】
本実施例1の変形例は、セグメント端子26と内部ノードN3とを接続する配線25を、数kΩ(3k〜6kΩ程度)のメタル層やポリシリコン層などにより形成したものである。これにより、実施例1と同様に、内部ノードN3の電圧がESD保護回路24により電源電圧VDD又は電源電圧VSSに制限されることがなくなる。従って、入射ノイズIW2の平均電圧を0V付近に維持できる。
【実施例2】
【0058】
(実施例2の構成)
図5−1は、本発明の実施例2の半導体集積回路で構成されたLCD1の回路図である。図5−2は、図5−1中のX部分を示す拡大平面図である。図5−3は、図5−2中のA1−A2断面図である。
【0059】
本実施例2は、N型ウエル40の近傍にVSS端子の吸出層45を形成し、この吸出層45とN型ウエル40との間に抵抗44を形成して、N型ウエル40と共に電圧減衰手段を形成したものである。吸出層45は、P型アクティブ層であり、この吸出層45に、絶縁膜39に形成されたスルホールを介してVSS端子に接続された電源ノードN4(=N4−1,N4−2)が接続されるものである。この吸出層45と電源ノードN4は、第3の電源ノードを形成するものである。
【0060】
その他の構成は、実施例1と同様である。
【0061】
(実施例2の動作)
N型ウエル40は、半導体基板21との間に寄生ダイオード43(=43a、43b…)が発生する。寄生ダイオード43は、半導体基板21にアノードを形成し、N型ウエル40にカソードを形成する。更に、半導体基板21がVSS端子に接続されているため、寄生ダイオード43によるクランプが発生する。そこで、吸出層45をN型ウエル40から離すことで、吸出層45から寄生ダイオード43までの抵抗44を増大させることができる。このため、寄生ダイオード43に流れる電流は減少して、寄生ダイオード43によるセグメント端子26における電圧のクランプは緩やかなものになる。
【0062】
(実施例2の効果)
本実施例2によれば、次のような効果がある。
【0063】
N型ウエル40と半導体基板21内に形成した吸出層45とを離すことにより、N型ウエル40と半導体基板21内に形成した電源ノードと間に抵抗44を発生させ、寄生ダイオード43に流れる電流を減少させることが出来る。このため、寄生ダイオード43によるセグメント端子26における電圧のクランプは、クランプが緩やかになり、入射ノイズIW1の平均電圧の偏りを抑制出来る。従って、セグメント信号SEGにおける電圧の変動を小さくすることが出来る。
【実施例3】
【0064】
(実施例3の構成)
図6−1は、本発明の実施例3における半導体集積回路で構成したLCD1の回路図である。図6−2は、図6−1中のY部分を示す拡大平面図である。図6−3は、図6−2中のB1−B2断面図である。
【0065】
実施例3は、N型ウエル40に平行して、セグメント端子26に接続された容量電極47を設けて、N型ウエル40と共に電圧減衰手段を形成したものである。セグメント端子26と絶縁膜39を挟んで対向する半導体基板21により形成される第1の容量46aと、容量電極47と絶縁膜39を挟んで対向する半導体基板21により形成される第2の容量46bとにより、容量46は形成される。
【0066】
その他の構成は、実施例1及び実施例2と同様である。
【0067】
(実施例3の動作)
実施例3は、実施例2におけるN型ウエル40に平行して容量電極47を設けたため、元々あるセグメント端子26と半導体基板21との間の容量46aの他、容量電極47と絶縁膜39を介して対抗する半導体基板21との間に容量46bが加わって、容量46を形成する。この容量46は、寄生ダイオード43に並列に形成されるため、電磁妨害波EMIにより発生する入射ノイズIW1が重畳されてN型ウエル40に入力されても、N型ウエル40近傍の半導体基板21の電圧を同相で変動させることになる。このため、寄生ダイオード43のカソード側の電圧が接地電圧VSSよりも下回っても、寄生ダイオード43のアノード側電圧も同時に接地電圧VSSよりも下回る。そのため、寄生ダイオード43によるクランプが起こり難くなる。
【0068】
(実施例3の効果)
本実施例によれば、次の(a)及び(b)のような効果がある。
【0069】
(a)N型ウエル40に平行して容量電極47を設けたため、元々あるセグメント端子26と半導体基板21との間の容量の他、容量電極47と絶縁膜39を介して対抗する半導体基板21との間に容量が加わって、容量46を形成する。この容量46により、N型ウエル40近傍の半導体基板21の電圧は、入射ノイズIW1に合わせて、N型ウエル40の電圧と同相で変動する。このため、寄生ダイオード43のカソード側の電圧が接地電圧VSSよりも下回っても、寄生ダイオード43のアノード側電圧も同時に接地電圧VSSよりも下回るため、寄生ダイオード43によるクランプが起こり難くなる。従って、入射ノイズIW1の平均電圧の変動が少なくなり、セグメント信号SEGにおける電圧の変動を小さくできる。
【0070】
(b)容量46は、入射ノイズIW1を減衰させるため、実施例2で設けた抵抗44を大きくする必要がなくなる。このため、半導体集積回路のレイアウト面積を抑えることができる。
【0071】
(変形例)
本発明は、上記実施例1〜3に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(A)〜(B)のようなものがある。
【0072】
(A)実施例1〜3は、P型の半導体基板21を使用したが、N型の半導体基板を使用してもよい。この場合、N型ウエル40により形成した抵抗は、P型ウエルに形成することになる。
【0073】
(B)実施例1〜3は、STN液晶パネルを駆動する場合で説明したが、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネセントディスプレイ等の表示パネルを駆動する場合にも適用することができる。
【符号の説明】
【0074】
10 液晶パネル
11,11−1〜11−n セグメント電極
12,12−1〜12−n コモン電極
13 液晶セル
20 セグメントドライバ
21,31 半導体基板
22,32 分圧回路
23,33 出力段回路
24,34 ESD保護回路
25 配線
26,26−1〜26−N セグメント端子
30 コモンドライバ
36,36−1〜36−N コモン端子
40 N型ウエル
41 Nウエル抵抗
41a,41b N型アクティブ層
42 配線抵抗
43a,43b 寄生ダイオード
44 抵抗
45 吸出層
46a,46b 容量
47 容量電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子が形成された基板と、
前記基板に形成され、外部の負荷に接続された出力端子と、
前記基板に形成され、前記出力端子と内部ノードとの間に接続された配線と、
前記基板に形成され、所定の電圧を発生して前記内部ノードに供給する電圧発生回路と、
前記基板に形成されて前記配線に接続され、前記出力端子に侵入する過電圧を減衰させる電圧減衰手段と、
前記基板に形成されて前記内部ノードに接続され、前記電圧減衰手段により減衰された減衰後の電圧が基準電圧を超えた場合に前記減衰後の電圧を制限する電圧制限回路と、
を備えたことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項2】
前記電圧減衰手段は、
前記基板内に形成されたウエルであることを特徴とする請求項1記載の半導体集積回路。
【請求項3】
前記電圧制限回路は、
第1の電源電圧が印加される第1の電源ノードと、前記第1の電源電圧とは異なる第2の電源電圧が印加される第2の電源ノードとの間に接続され、前記減衰後の電圧を、前記第1の電源電圧と前記第2の電源電圧との間の電圧に制限する構成であり、
前記電圧減衰手段は、更に、
前記ウエルとの間に所定の抵抗値を発生させる位置に設けられ、前記第1の電源電圧が印加される第3の電源ノードを有することを特徴とする請求項2記載の半導体集積回路。
【請求項4】
前記電圧減衰手段は、更に、
前記出力端子と前記基板との間に生じる第1の容量と、
前記出力端子に接続されて前記基板に形成された容量電極と、
前記容量電極と前記基板との間に生じる第2の容量と、
を有することを特徴とする請求項2又は3記載の半導体集積回路。
【請求項5】
前記負荷は、液晶セルを有する表示パネルであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体集積回路。
【請求項6】
前記電圧制限回路は、
アノードが前記第1の電源ノードに接続され、カソードが前記内部ノードに接続された第1のダイオードと、
カソードが前記第2の電源ノードに接続され、アノードが前記内部ノードに接続された第2のダイオードと、
により構成されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体集積回路。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図6−3】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−232606(P2010−232606A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−81317(P2009−81317)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(308033711)OKIセミコンダクタ株式会社 (898)
【Fターム(参考)】