説明

可変シリコン−ゲルマニウム組成を有するシリコンゲルマニウム薄層半導体構造および加工方法

誘電体層(410,510,610)、誘電体層(410,510,610)上の可変組成SixGe1-x層(440,520,620)、および可変組成SixGe1-x層(440,520,620)上のSiキャップ層(450,530,630)を持った基板(400,500,600)を含むSiGe薄層半導体構造である。可変組成SixGe1-x層(440,520,620)は、勾配を付けたGeを有するSixGe1-x層(520,620)、または、それぞれ異なったGe含有量(421,431)を有する複数のSixGe1-xサブ層(420,430)を含むことができる。本発明の一実施形態では、SiGe薄層半導体構造は、誘電体層(610)、誘電体層(610)上のSi含有シード層(615)、シード層(615)上の可変組成SixGe1-x層(620)、及び可変組成SixGe1-x層(620)上のSiキャップ層(630)を持つ半導体基板(600)を含む。SiGe薄層半導体構造を加工するための方法と処理ツール(1,100)も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体構造および半導体処理に関わり、特に可変SiGe組成を有するSiGe薄層半導体構造、および加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
SiGeデバイスを形成するシリコン(Si)技術へのゲルマニウム(Ge)の添加は半導体産業において革命を引き起こした。Geは、標準シリコンバイポーラ・トランジスタより遥かに高い速度で動作できる高性能なヘテロ接合バイポーラ・トランジスタ(HBT)を形成するために添加される。SiGeデバイスは、標準的な相補的金属酸化物半導体(CMOS)論理回路技術にも統合することができ、高密度CMOS論理回路による高性能なアナログおよびRF回路の集積化をもたらす。多結晶シリコン−ゲルマニウム(ポリSiGe)は、将来的なCMOSデバイスの規模調整のためのゲート電極材料としてポリSi(多結晶Si)に対する有望な代替物である。なぜなら、スレッシュホールド(しきい値)電圧制御の度合いの付加と、さらにゲート酸化薄膜によるデバイスへのゲート空乏効果(またはゲート・デプリーション効果:gate-depletion effect)の抑制を提供することができるからである。
【0003】
従来のCMOS加工プロセスでは、狭いゲートラインのシート抵抗は、ゲート薄膜の上部におけるケイ化物(「サリサイド」)の自己整列形成によって許容レベルにまで低下され、アモルファスSiまたはポリSiが金属(例えばCoまたはNi)と反応して、ゲート、ソース、及びドレイン領域のような所望のデバイス要素構造に自己整列する新たな化合物を形成する。しかしながら、ポリSiGeのシリサイド(珪化物)化反応はポリSiのそれとは大幅に異なる。ポリSiGe層からのGe原子は、粒界において分離することが可能で、そのためシリサイド化反応の間に、高抵抗層を形成する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来の半導体素子技術による上述の問題および/または他の問題を低減するか、または解決するSiGe薄層半導体構造を提供する。本発明は、さらに、サリサイド完全性を妥協することなくポリ・デプリーション効果(またはポリ空乏効果:poly depletion effect)を低減する薄層SiGe半導体構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これを目的として、誘電体層と、その誘電体層の上の可変組成SiGe1−x層と、その可変組成SiGe1−x層の上のSiキャップ層とを備えた基板を含むSiGe薄層半導体構造が提供される。可変組成SiGe1−x層は、勾配を付けたGe含有量を有するSiGe1−x層、またはそれぞれ異なったGe含有量を有する複数のSiGe1−xサブ層含みうる。
【0006】
本発明の一実施形態では、SiGe薄層半導体構造は、さらに、誘電体層の上にSi含有シード層を、可変組成SiGe1−x層が上記Si含有シード層の上に形成される状態で、含んでいる。
【0007】
また、SiGe薄層半導体素子を形成するための方法と処理ツールも提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
上記発明の背景の項で述べたように上に、伝統的なゲート電極構造におけるSiGe層の使用は、粒界におけるGe原子の分離と、シリサイド化反応の際の高い抵抗層の形成を被る。通常のSiGeゲート電極構造は、基板の上に蒸着(堆積)されたアモルファスSiまたはポリSiのシード層、シード層の上に蒸着されたSiGeゲート電極層、およびSiGeゲート電極層の上に蒸着されたポリSi(またはアモルファスSi)キャップ層を含む。
【0009】
シリサイドプロセスの間に消費されるポリSiまたはアモルファスSiキャップ層はSiGeゲート電極の上に形成できる。通常、SiGe合金の直接のシリサイド化が、一層高い抵抗材料の形成に起因して低い性能をもたらす理由から、Siキャップが使われる。しかしながら、SiGe/キャップ界面での急激なGe濃縮とゲート電極構造のひずみ場勾配は、Geを、SiGe層からゲート電極の表面へと外方拡散させて、サリサイド完全性を破壊する。この問題を軽減する1つの方法は、SiGe層内のGe含有量を約0.1よりも下げることである。しかしながら、このようなGe含有量の低減は、その構造にGeを添加することによるポリ・デプリーション効果を低下させることで得られる利得の損失をもたらす。
【0010】
本発明は、サリサイド完全性を妥協することなく、ポリ・デプリーション効果を低減する利益を維持する可変組成SiGe構造を含んだSiGe薄層半導体構造を使うことによって、これらの問題を軽減する。本発明では、SiGe層組成をSiGe1−xで表し、ここに、それぞれ、xはSiGe1−x層のSiの原子分率(Si含有量)、1−xはSiGe1−x層のGeの原子分率(Ge含有量)である。
【0011】
さて図面を参照すると、図1Aは本発明の一実施形態による、基板の上にSi含有層を形成するためのバッチタイプ処理システムの概略構成図を示す。バッチタイプ処理システム100は、プロセスチャンバ102、ガス注入システム104、ヒータ122、真空ポンプシステム106、プロセス監視システム108、およびコントローラ124を含む。多数の基板110は、プロセスチャンバ102に搭載され、そして基板ホルダ112を使って処理できる。さらに、プロセスチャンバ102は、外側のセクション114と内側のセクション116を有する。本発明の一実施形態では、内側のセクション116はプロセスチューブ(プロセス管)でありうる。
【0012】
ガス注入システム104は、プロセスチャンバ102を浄化するための、また基板110を準備し、洗浄し、処理するためのガスをプロセスチャンバ102に導入することができる。ガス注入システム104は、例えば、Si含有液体、例としてヘキサクロロジシラン(SiCl)を蒸発させる蒸発器を含む液体供給システム(LDS)(図示せず)を含むことができる。蒸発した液体は、キャリアガスに補助されるか、あるいは補助されずにプロセスチャンバ102に流すことができる。例えば、キャリアガスが使われる時、ガス注入システムはバブリングシステムを含むことができ、そこでSi含有液体を収容する貯留槽によって発泡させられる。さらに、ガス注入システム104は、気体のSi含有ガス、例えばシラン(SiH)を高圧容器から流すよう構成できる。さらに、上述のガス流は、例えば不活性ガスおよび水素含有ガスを含むことができる。水素含有ガスは、例えばHを含みうる。複数のガス供給ラインを、プロセスチャンバ102にガスを流すのに配置できる。そのガスは、内側のセクション116によって規定された空間118に導入でき、基板110に露出することができる。その後、ガスは内側のセクション116と外側のセクション114とによって規定された空間120に流れ込むことができ、真空ポンプシステム106によってプロセスチャンバ102から排出できる。
【0013】
基板110は、プロセスチャンバ102に搭載でき、基板ホルダ112を使って処理できる。バッチタイプ処理システム100は、密に積み重ねられた多数の基板を処理することを可能にし、それによって高い基板処理能力をもたらす。基板のバッチサイズは、例えば約100個の基板(ウェハ)かそれ未満でありうる。あるいは、バッチサイズは約25個の基板かそれ未満でありうる。プロセスチャンバ102は、例えばいくらかの大きさの基板、一例として200mm基板、300mm基板、またはそれより大きな基板さえも処理することができる。基板110は、例えば半導体基板(例えばシリコンまたは化合物半導体)、LCD基板、およびガラス基板を含む。清浄な基板に加えて、誘電体層が上に形成された状態の基板を利用でき、それらは酸化物層、窒化物層、および酸窒化物層を含むが、それらに限定されない。
【0014】
バッチタイプ処理システム100は、バッチタイプ処理システム100の入力のみならずバッチタイプ処理システム100からのモニター出力を伝え、また活性化するのに十分な制御電圧を生成することのできるコントローラ124によって制御することができる。さらに、コントローラ124は、プロセスチャンバ102、ガス注入システム104、ヒータ122、プロセス監視システム108、および真空ポンプシステム106に接続でき、またそれらと情報を交換できる。例えば、コントローラ124のメモリに記憶されたプログラムは、記憶されたプロセス方策によってバッチタイプ処理システム100の上述の部品を制御するのに利用することができる。コントローラ124の一例は、テキサス州(Texas)ダラス(Dallas)のデル株式会社(Dell Corporation)からの入手可能なデル・プリシジョン・ワークステーション・610(DELL PRECISION WORKSTATION 610)(登録商標)である。
【0015】
リアルタイムのプロセス監視は、プロセス監視システム108を使って実行できる。一般に、プロセス監視システム108は、多目的監視システムであって、例えば質量分析計(MS)またはフーリエ変換赤外線(FTIR)分光計(Fourier Transform Infra-red spectrometer)を有することができる。プロセス監視システム108は、プロセス環境におけるガスの化学種の定性的および定量的分析を提供することができる。モニターされうるプロセスパラメータとしては、ガス流量、ガス圧力、ガス種の比、およびガス純度を含む。これらのパラメータは、事前の処理結果、および蒸着されたSi含有薄膜の種々の物理的特性と関連付けることができる。
【0016】
図1Bは、本発明の一実施形態による、基板の上にSi含有層を形成するための他のバッチタイプ処理システムの概略構成図を示す。このバッチタイプ処理システム1は、プロセスチャンバ10およびプロセスチューブ25を含み、そのプロセスチューブ25は、排気管80と接続された上端と、円筒状のマニホールド(manifold)2のリッド(ふた)27を密封して結合した下端と、を備える。排気管80は、プロセスチューブ25から真空ポンプシステム88までガスを排出し、処理システム1内を所定の雰囲気圧力またはそれより低い圧力に維持させる。複数の基板(ウェハ)40を(それぞれの水平面が鉛直方向の間隔となる)段状方式で保持するための基板ホルダ35がプロセスチューブ25内に配置される。基板ホルダ35は、リッド27を貫通する回転シャフト21にマウント(取り付け)され、モータ28により駆動されるターンテーブル26上に位置する。ターンテーブル26は、全体的な薄膜均一性を改善するために処理の間に回転させることができ、あるいはターンテーブルは処理の間に静止させることができる。リッド27は反応チューブ25中に、また反応チューブ25中から、基板ホルダ35を運搬するためのエレベータ22の上にマウントされる。リッド27が最高位置にあるとき、リッド27はマニホールド2の開口端を閉じるよう適合される。
【0017】
複数のガス供給ラインをマニホールド2の周りに配置することができ、複数のガスを、ガス供給ラインを介してプロセスチューブ25中に供給することができる。図1Bにおいては、複数のガス供給ラインのうちの1つのガス供給ライン45のみを示す。ガス供給ライン45はガス注入システム94に接続される。円筒状の熱リフレクター30が反応チューブ25をカバーするように配置される。熱リフレクター30は鏡面仕上げされた内部表面を持ち、メインヒータ20、ボトムヒータ65、トップヒータ15、および排気管ヒータ70から放射された放射熱の消散を抑える。らせん形の冷却水流路(図示せず)が冷却媒体流路としてプロセスチャンバ10の壁に形成される。
【0018】
真空ポンプシステム88は、真空ポンプ86、トラップ(trap:液だめ)84、および自動的圧力コントローラ(APC)82を有する。真空ポンプ86は、例えば毎秒20,000リットル(またそれを超える)に達するポンプ速度能力があるドライ真空ポンプを含むことができる。処理の間に、ガスをガス注入システム94を介してプロセスチャンバ10に導入でき、そして処理圧力はAPC82によって調整することができる。トラップ84は、プロセスチャンバ10から未反応な前駆物質材料と副産物を集めることができる。
【0019】
プロセス監視システム92はリアルタイムのプロセス監視が可能な検出器75を有し、また、例えばMSまたはFTIR分光計を有することができる。コントローラ90は、マイクロプロセッサー、メモリ、および処理システム1の入力のみならず処理システム1からのモニター出力を伝え、また活性化するのに十分な制御電圧を生成することのできるデジタルI/Oポートを含む。さらに、コントローラ90は、ガス注入システム94、モータ28、プロセス監視システム92、ヒータ20,15,65および70、および真空ポンプシステム88に結合され、またそれらと情報を交換できる。図1Aのコントローラ124と同じように、コントローラ90はデル・プリシジョン・ワークステーション・610(DELL PRECISION WORKSTATION 610)(登録商標)として実装できる。
【0020】
図2は本発明の一実施形態による処理ツールの概略構成図を示す。処理ツール200は、処理システム220と230、処理ツール200内で基板を移送するよう構成された(ロボット化された)移送システム210、および処理ツール200の部品を制御するよう構成されたコントローラ240を有する。本発明の他の実施形態では、処理ツール200は単一の処理システムを有することができ、またはその代わりに、2個以上の処理システムを有することができる。図2においては、処理システム220と230は、例えば以下のプロセスの少なくとも1つを実行することができる:(a)基板の上にSi含有層を形成すること、(b)基板の上に可変組成SiGe1−x層を形成すること、である。(a)では、Si含有層はSi含有シード層またはSiキャップ層でありうる。本発明の一実施形態では、プロセス(a)と(b)は別々の処理システムによって行うことができる。本発明の他の実施形態では、プロセス(a)と(b)はいずれも同一の処理システムによって行うことができる。本発明の一実施形態では、処理システムの少なくとも1つはバッチタイプ処理システム、あるいは単一のウェハ処理システムを含むことができる。本発明の他の実施形態では、処理システムの少なくとも1つは熱処理システム、プラズマ処理システム、または原子層蒸着システムを含むことができる。
【0021】
図1Aおよび図1Bのコントローラと同様に、コントローラで240はデル・プリシジョン・ワークステーション・610(DELL PRECISION WORKSTATION 610)(登録商標)として実装できる。さらに、図1A〜図1Bと図2のいずれかのコントローラは、図6について以下で述べるような汎用コンピュータシステムとして実装することができる。
【0022】
さて、本発明の実施形態を例示するために図3および図4を参照すると、図3は、本発明の一実施形態による、可変組成SiGe1−x層を含んだSiGe薄層半導体構造を形成するための流れ図を示しており、そして図4は、本発明の一実施形態による、可変組成SiGe1−x層を含むSiGe薄層半導体構造と、その構造のGe含有量プロフィールを概略的に示している。本発明のプロセスは300から始められる。302において、誘電体層410を含む基板400が処理システムのプロセスチャンバに提供される。基板400は、例えば200ミリ基板、300ミリ基板のいずれかの大きさとすることができ、あるいはそれより大きな基板でさえありうる。誘電体層410は、例えば酸化物層(例えばSiO)、窒化物層(例えばSiN)、酸窒化物層(SiO)、または高k層(例えばHfOまたはHfSi)であり、ここに「k」は材料の誘電率のことである。処理システムは、図1Aまたは図1Bでそれぞれ説明したバッチタイプ処理システム100または1でありうる。また、図2で説明したような処理ツール200の一部として提供されうる。あるいはその代わりに、処理システムは単一のウェハ処理システムでありうる。
【0023】
304において、可変組成SiGe1−x層440が誘電体層410の上に形成される。図4に示された実施形態では、可変組成SiGe1−x層440は、約0.2のGe含有量421が誘電体層410の上に形成された状態で、第1のSiGe1−xサブ層420を含み、約0.1のGe含有量431が第1のSiGe1−xサブ層420の上に形成された状態で、第2のSiGe1−xサブ層430を含む。あるいは、Ge含有量421を0.2未満とすることができ、またGe含有量431を0.1未満とすることができる。本発明の他の実施形態では、第1のSiGe1−xサブ層420は約0.3から約0.5の間のGe含有量を持つことができ、第2のSiGe1−xサブ層430は約0.05から約0.15の間のGe含有量を持つことができる。当技術分野の当業者に理解されるように、大きな範囲のSiGe1−xサブ層組成を使用することができるので、本発明は上述のSiGe1−xサブ層組成に限定されない。さらに本発明は、いくつかの数のサブ層を使用することができるので、2つのSiGe1−xサブ層430と420を含む可変組成SiGe1−x層440によって限定されない。誘電体層410に隣接した1つ以上の第1のSiGe1−xサブ層420が、例えば約0.2から約0.5のさらに高いGe含有量を持つことでポリ・デプリーション効果の低減を達成する一方で、1つ以上の第2のSiGe1−xサブ層430が、例えば約0.1かそれ未満のさらに低いGe含有量を持つことでサリサイド完全性を確実にする、ということが理解できると思われる。本発明の一実施形態では、第1のSiGe1−xサブ層420と第2のSiGe1−xサブ層430は、それぞれ約300Åから約500Åの間の厚さでありうる。SiGe1−xサブ層430と420は、例えば、シラン(SiH)、ジシラン(Si)、ジクロロシラン(SiHCl)、またはヘキサクロロジシラン(SiCl)などのSi含有ガス、並びに例えばGeHおよびGeClから選択されるGe含有ガスを使って化学気相蒸着法(CVD)プロセスによって形成することができる。
【0024】
さらに図3と図4を参照すると、306において、Siキャップ層450が可変組成SiGe1−x層440の上に形成される。Siキャップ層450はアモルファスSi層またはポリSi層でありうる。Siキャップ層450の厚さは、例えば約300Åから約500Åの間でありうる。Siキャップ層450は、例えばSiH、Si、SiHCl、およびSiClのうち少なくとも1つを使ってCVDプロセスにより形成することができる。308においてプロセスは終わる。
【0025】
本発明の他の実施形態では、図5で概略的に示されるように、可変組成SiGe1−x層520は連続的に可変な(勾配を付けた)組成を持つことができる。図5の構造は、基板500、誘電体層510、およびSiキャップ層530をさらに含む。誘電体層510の上に形成された可変組成SiGe1−x層520の厚さは、例えば約600Åから約1000Åの間でありうる。連続的な可変SiGe1−x層520におけるGe含有量521は、層510と520の界面において例えば約0.2のGe含有量という高い値から、層520と530の界面において例えば0に近いGe含有量という低い値まで変化することができる。本発明の他の実施形態では、層510と520の界面におけるGe含有量は0.2より大きく、例えば約0.5から約0.3の間でありうる。この勾配を付けたGe含有量は、誘電体層510との界面近くに高いGe含有量の添加によってポリ・デプリーション効果の低減をも達成し、またSiキャップ層520との界面の近くにおいてわずかから零のGe含有量を提供することによってサリサイド完全性を確実にする。連続的な可変組成層SiGe1−x層520は、例えばSiGe1−x層520の形成の間にGe含有ガスおよび/またはSi含有ガスの流量を変えることによって形成することができる。本発明のさらに他の実施形態では、可変組成SiGe1−x層は、図4の層420のような第1のSiGe1−xサブ層を十分に均一な組成で備え、図5の層520のような第2のSiGe1−xサブ層を連続的に変化する組成で備える。
【0026】
Si含有シード層、可変組成SiGe1−x層、およびSiキャップ層を蒸着するために使われる処理条件は、約100Torr未満のプロセスチャンバ圧力を含むことができる。単なる例としては、バッチタイプ処理システムにおいてチャンバ圧力は約1Torr未満、例えば約0.3Torrでありうる。単なる別の例としては、単一のウェハ処理システムにおいてチャンバ圧力は約1〜20Torrの範囲でありうる。処理条件は約500℃から約900℃の間の基板温度をさらに含むことができる。
【0027】
本発明の他の実施形態では、図5Aに概略的に示されたSiGe薄層半導体構造は、さらに、誘電体層610の上に形成されたSi含有シード層615、Si含有シード層615の上に形成された可変組成SiGe1−x層620、および可変組成SiGe1−x層620の上に形成されたSiキャップ層630を含むことができる。Si含有シード層615は、Si含有ガス、例えばSiH、Si、SiHCl、およびSiClを使った化学気相蒸着法(CVD)プロセスによって形成された、例えばアモルファスSi層またはポリSi層でありうる。Si含有シード層615を蒸着する時の基板600の温度は約500℃と約620℃の間でありうる。アモルファスSi層が約540℃を下回る基板温度で形成できるのに対して、ポリSi層は約600℃より高い基板温度で形成することができる。あるいは、Si含有シード層615はSiGe1−x層でありうる。SiGe1−x層は、例えば約0.1かそれより少ないGe含有量を備えることができる。SiGe1−xシード層は、例えば可変組成SiGe1−x層440,520のための上述のような化学気相蒸着プロセスで形成することができる。
【0028】
本発明の他の実施形態では、Si含有シード層615は、原子層蒸着(ALD:atomic layer deposition)プロセスを使って形成することができる。一例では、Siシード層は、Si含有ガス(例えばSiCl)とHに交互に基板600を露出することによって形成することができる。他の例では、SiGe1−xシード層は、Si含有ガス(例えばSiCl)、H、およびGe含有ガス(例えばGeH)に交互に基板600を露出することによって形成することができる。Si含有シード層615の厚さは、例えば約25Åから約50Åの間でありうる。
【0029】
図6は、本発明の一実施形態に実装できるコンピュータシステム1201を示す。コンピュータシステム1201は、図1A、図1B、または図2それぞれのコントローラ124、90、240として使用することができ、あるいは上記の図のシステムと共に上述の機能のいくつかまたはすべてを行なうために利用可能な類似のコントローラとして使用できる。コンピュータシステム1201は、バス1202、または情報を通信するための他の通信メカニズム、およびバス1202に連結された情報を処理するためのプロセッサ1203を含む。コンピュータシステム1201は、バス1202に連結され、ランダムアクセスメモリ(RAM)または他の動的記憶装置(例えばダイナミックRAM(DRAM)、スタティックRAM(SRAM)、およびシンクロナス(同期的)DRAM(SDRAM))などからなり、プロセッサ1203によって実行される情報および命令を記憶するためのメインメモリ1204をも含む。さらにメインメモリ1204は、プロセッサ1203で命令が実行される間に一時的な変数やその他の中間情報を記憶するのに使うことができる。コンピュータシステム1201は、さらに、バス1202に連結され、プロセッサ1203のための静的情報および命令を記憶するための読出し専用メモリ(ROM)1205、または他の静的記憶装置(例えばプログラム可能ROM(PROM)、消去可能PROM(EPROM)、および電子的消去可能PROM(EEPROM))を含む。
【0030】
コンピュータシステム1201は、バス1202に連結され、磁気ハードディスク1207、およびリムーバブル・メディア・ドライブ1208(例えばフロッピー(登録商標)ディスクドライブ、読み込み専用(リードオンリー)コンパクトディスクドライブ、読み書き可能(リード/ライト)コンパクトディスクドライブ、テープドライブ、リムーバブル光磁気ドライブ)のような、情報および命令を記憶する1つ以上の記憶装置を制御するためのディスクコントローラ1206をも含む。適切なデバイスインターフェース(例えばスモール・コンピュータ・システム・インターフェース(SCSI)、インテグレーテッド・デバイス・エレクトロニクス(IDE)、エンハンスド・IDE(E−IDE)、ダイレクト・メモリ・アクセス(DMA)、またはウルトラDMA)を使って、コンピュータシステム1201に記憶装置を追加できる。
【0031】
コンピュータシステム1201は、特定目的の論理素子(例えばアプリケーションに特化した集積回路(ASIC))、または設定可能な論理素子(例えばシンプル・プログラムマブル論理素子(SPLD)、コンプレックス・プログラマブル論理素子(CPLD)、およびフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA))をも含むことができる(図示せず)。コンピュータシステムは、テキサス・インスツルメンツ(Texas Instruments)社から入手できるTMS320シリーズのチップ、モトローラ(Motorola)社から入手できるDSP56000、DSP56100、DSP56300、DSP56600、およびDSP96000シリーズのチップ、ルーセント・テクノロジー(Lucent Technologies)社から入手できるDSP1600およびDSP3200シリーズ、あるいはアナログ・デバイシーズ(Analog Devices)社から入手できるADSP2100およびADSP21000シリーズなどのような、1つ以上のデジタル信号プロセッサ(DSP)をも含むことができる(図示せず)。デジタル領域に変換されたアナログ信号を特に処理するよう設計された他のプロセッサも使うことができる。
【0032】
コンピュータシステム1201は、バス1202に連結され、コンピュータ・ユーザに情報を表示するためのブラウン管(CRT)のようなディスプレイ1210を制御するディスプレイコントローラ1209をも含むことができる。コンピュータシステムは、コンピュータ・ユーザとやり取りし、またプロセッサ1203に情報を提供するためのキーボード1211およびポインティングデバイス1212のような入力デバイスを含む。ポインティングデバイス1212は、プロセッサ1203に指示情報と命令選択を伝えたり、ディスプレイ1210上のカーソル移動を制御したりするための、例えばマウス、トラックボール、またはポインティングスティックでありうる。さらに、プリンタ(図示せず)が、コンピュータシステム1201によって記憶および/または生成されるデータのプリントリストを提供できる。
【0033】
コンピュータシステム1201は、メインメモリ1204のようなメモリに収容された1つ以上の命令の1つ以上の列を実行するプロセッサ1203に応答して、処理ステップの1部またはすべてを実行する。このような命令は、ハードディスク1207またはリムーバブル・メディア・ドライブ1208のような他のコンピュータ読み取り可能な媒体からメインメモリ1204に読み込みが可能である。メインメモリ1204に収容された命令列を実行するために、多くのマルチプロセッサ装置における1つ以上のプロセッサを使用することもできる。代案の実施形態では、ソフトウェア命令の代わりに、あるいはソフトウェア命令と組み合わせて、ハード的に組み込まれた回路構成を使うことができる。このように、各実施形態はハードウェア回路構成およびソフトウェアの何らかの特定の組み合わせに限定されない。
【0034】
上記のように、コンピュータシステム1201は、本発明の教示に従ってプログラムされた命令を保持するための、また、データ構造、テーブル、レコード、またはここに記述された他のデータを収容するための、少なくとも1つのコンピュータ読み取り可能な媒体またはメモリを含む。コンピュータ読み取り可能な媒体の例は、コンパクトディスク、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、テープ、光磁気ディスク、PROM類(EPROM、EEPROM、フラッシュEPROM)、DRAM、SRAM、SDRAM、または何らかの他の磁気媒体、コンパクトディスク(例えばCD−ROM)、または何らかの他の光学媒体、パンチカード、紙テープ、または孔パターンを備えた他の物理的媒体、搬送波(以下で説明する)、もしくは、コンピュータで読むことのできる他の何らかの媒体である。
【0035】
コンピュータ読み取り可能な媒体類のいずれか一つまたはその組み合わせに記憶され、コンピュータシステム1201を制御するための、本発明を実施するための装置か装置群を駆動するための、および人間のユーザ(例えば印刷物制作人員)とのやり取りをコンピュータシステム1201にさせることを可能にするためのソフトウェアを、本発明は含む。このようなソフトウェアは、デバイス・ドライバ、オペレーティング・システム、開発ツール、およびアプリケーション・ソフトウェアを含むことができるが、それらには限定されない。このようなコンピュータ読み取り可能な媒体は、さらに、本発明を実施する際に実行される処理のすべてまたは一部(処理が配分される場合)を実行するための、本発明のコンピュータ・プログラム生産物を含む。
【0036】
本発明のコンピュータ・コード装置は、何らかの解釈可能な、または実行可能なコード機構であって、スクリプト、インタープリタ・プログラム、ダイナミックリンク・ライブラリ(DLL)、Java(登録商標)クラス、および完全実行可能プログラムを含むことができるが、それらには限定されない。さらに、本発明の処理の一部は、さらに良好な性能、信頼度、および/または、コストのために配分することができる。
【0037】
「コンピュータ読み取り可能な媒体」という用語は、ここでは、プロセッサ1203に実行するための命令を提供することに参加する何らかの媒体のことを参照するのに使われる。コンピュータ読み取り可能な媒体は、多くの形態をとることができ、不揮発性媒体、揮発性媒体、および伝送媒体を含むが、それらに限定されない。不揮発性媒体は、例えば、ハードディスク1207やリムーバブル・メモリ1208のような光学式のもの、磁気ディスク、および光磁気ディスクを含む。揮発性媒体はメインメモリ1204のような動的メモリを含む。伝送媒体は、バス1202を作るワイヤーを含めて、同軸ケーブル、銅線、および光ファイバを含む。伝送媒体は、電波および赤外線のデータ通信の間に生成されるもののような音波または光波の形態をとることもできる。
【0038】
コンピュータ読み取り可能な媒体の種々の形態は、プロセッサ1203に対し実行するための1つ以上の命令の1つ以上の列を遂行するのに関与することができる。例えば、その命令は、まずリモートコンピュータの磁気ディスク上で実行することができる。リモートコンピュータは、本発明のすべてまたは一部を実行するために命令をリモートで動的メモリ中にロードすることができ、そしてモデムを使って電話線上で命令を送ることができる。コンピュータシステム1201に対してローカルなモデムは、電話回線上でデータを受け取り、そして赤外線送信器を使ってデータを赤外線信号に変換することができる。バス1202に連結された赤外線検出器が赤外線信号で運ばれたデータを受け取って、バス1202上にデータをセットすることができる。バス1202はメインメモリ1204にデータを運び、そこからプロセッサ1203が命令を取り出して実行する。メインメモリ1204によって受け取られた命令は、状況に応じてプロセッサ1203による実行の前または後のいずれかに、記憶装置1207または1208に記憶することができる。
【0039】
コンピュータシステム1201は、バス1202に連結された通信インターフェース1213をも含む。通信インターフェース1213は、ネットワーク接続1214に連結する2方向データ通信を提供し、ネットワーク接続1214は、例えばローカルエリア・ネットワーク(LAN)1215、またはインターネットのような他の通信ネットワーク1216に接続される。例えば、通信インターフェース1213は、何らかのパケット交換LANに取り付けるネットワーク・インターフェース・カードとすることができる。他の例として、通信インターフェース1213は、対応するタイプの通信線路にデータ通信接続を提供する非対称型デジタル加入者回線(ADSL)カード、総合デジタル通信網(ISDN)カード、またはモデムでありうる。無線接続も実装することができる。このような実装のいずれかにおいて、通信インターフェース1213は、種々のタイプの情報を表現するデジタルデータ流れを運ぶ電気的、電磁気的、および光学的信号を送受信する。
【0040】
ネットワーク接続1214は、通常、1つ以上のネットワークを通した他のデータデバイスへのデータ通信を提供する。例えば、ネットワーク接続1214は、ローカルネットワーク1215(例えばLAN)を通して、あるいは通信ネットワーク1216により通信サービスを提供するサービスプロバイダによって運用される設備を通して、他のコンピュータに接続を提供することができる。ローカルネットワーク1214と通信ネットワーク1216は、例えばデジタルデータ流れを運ぶ電気的、電磁気的、および光学的信号、並びに関連する物理層(例えばCAT5ケーブル、同軸ケーブル、光ファイバなど)を使用する。コンピュータシステム1201に、およびコンピュータシステム1201からデジタルデータを運ぶ、種々のネットワークを通した信号、またネットワーク接続1214上および通信インターフェース1213を通した信号は、ベースバンド信号または搬送波ベースの信号に実装されうる。ベースバンド信号はデジタルデータ二進データビットの流れとして記述される非変調電子パルスとしてのデジタルデータを運ぶ。ここに、「ビット」という用語は、広く符号を意味し、それぞれの記号が少なくとも1つまたはそれより多くの情報ビットを運ぶことを意味すると解釈される。そのデジタルデータは、振幅、位相、および/または周波数変化を符号化した、伝導性媒質上を伝播するか、伝般媒質を通して電磁波として伝送される信号などと共に、搬送波を変調するためにも使用される。従って、デジタルデータは、「有線」通信チャネルを通して非変調のベースバンドデータとして送るか、および/または、搬送波を変調することによって、ベースバンドと異なった所定の周波数バンド中で送ることができる。コンピュータシステム1201は、プログラムコードを含めたデータを、ネットワーク1215および1216、ネットワーク接続1214、および通信インターフェース1213を介して送受信することができる。さらに、ネットワーク接続1214は、パーソナル・デジタル・アシスタント(PDA)、ラップトップ・コンピュータ、またはセルラー電話のようなモバイルデバイス1217にLAN1215を通して接続を提供することができる。
【0041】
コンピュータシステム1201は、誘電体の上に可変組成SiGe1−x層を持ったSiGe薄層半導体構造を加工する本発明の方法を実施するよう構成することができる。本発明によれば、コンピュータシステム1201は、誘電体の近くで高いGe含有量を提供し、SiGe1−x層の上に形成されるSiキャップ層の近くで低いかまたは零のGe含有量を提供するよう構成することができる。
【0042】
本発明のある特定の実施形態のみを上記で詳細に記述してきたが、当技術分野の当業者ならば、本発明の新規な教示と利点から実質的に逸脱することなく、多くの修正が上記模範的な実施形態において可能である、ということが容易に理解できるであろう。したがって、そのような修正のすべてが本発明の範囲の中に含まれることを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1A】本発明の一実施形態による、基板の上にSi含有層を形成するためのバッチタイプ処理システムの概略構成図を示す。
【図1B】本発明の一実施形態による、基板の上にSi含有層を形成するためのバッチタイプの他の処理システムの概略構成図を示す。
【図2】本発明の一実施形態による処理ツールの概略構成図を示す。
【図3】本発明の一実施形態による、可変組成SiGe1−x層を含むSiGe薄層半導体構造を形成するための流れ図を示す。
【図4】本発明の一実施形態による、可変組成SiGe1−x層を含むSiGe薄層半導体構造と、その構造のGe含有量プロフィールを概略的に示す。
【図5】本発明の他の実施形態による、可変組成SiGe1−x層を含むSiGe薄層半導体構造と、その構造のGe含有量プロフィールを概略的に示す。
【図5A】Si含有シード層と可変組成SiGe1−x層を含むSiGe薄層半導体構造の他の実施形態を概略的に示す。
【図6】本発明を実施するために使うことのできる汎用コンピュータを示す。
【符号の説明】
【0044】
1 バッチタイプ処理システム
10 プロセスチャンバ
25 プロセスチューブ(反応チューブ)
26 ターンテーブル
35 基板ホルダ
40 基板(ウェハ)
45 ガス供給ライン
75 検出器
80 排気管
86 真空ポンプ
88 真空ポンプシステム
90 コントローラ
92 プロセス監視システム
94 ガス注入システム
100 バッチタイプ処理システム
102 プロセスチャンバ
104 ガス注入システム
106 真空ポンプシステム
108 プロセス監視システム
110 基板
112 基板ホルダ
124 コントローラ
200 処理ツール
210 移送システム
220 処理システム
240 コントローラ
400 基板
410 誘電体層
420 第1のSiGe1−xサブ層
421 Ge含有量
430 第2のSiGe1−xサブ層
431 Ge含有量
440 可変組成SiGe1−x
450 Siキャップ層
500 基板
510 誘電体層
520 可変組成SiGe1−x
521 Ge含有量
530 Siキャップ層
600 基板
610 誘電体層
615 Si含有シード層
620 可変組成SiGe1−x
630 Siキャップ層
1201 コンピュータシステム
1202 バス
1203 プロセッサ
1204 メインメモリ
1205 専用メモリ(ROM)
1206 ディスクコントローラ
1207 ハードディスク(記憶装置)
1208 リムーバブル・メディア・ドライブ
1213 通信インターフェース
1214 ネットワーク接続
1215 ローカルエリア・ネットワーク(LAN)
1216 通信ネットワーク
1217 モバイルデバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
SiGe薄層半導体構造を加工する方法であって、
処理システムのプロセスチャンバに、上面に誘電体層を持つ基板を提供する段階と、
前記誘電体層の上に可変組成SiGe1−x層を形成する段階と、
前記可変組成SiGe1−x層の上にSiキャップ層を形成する段階と、
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記基板は、半導体基板、LCD基板、およびガラス基板のうち1つを有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記誘電体層は、酸化物層、窒化物層、酸窒化物層、および高k層のうち少なくとも1つを有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記可変組成SiGe1−x層は、勾配を付けたGe含有量を有する勾配を付けたSiGe1−x層、および、それぞれ異なったGe含有量を有する複数のSiGe1−xサブ層のうち少なくとも1つを有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記SiGe1−x層における前記勾配を付けたGe含有量は0.5未満であることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記SiGe1−xサブ層における異なったGe含有量は約0.5未満であることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記SiGe1−xサブ層における異なったGe含有量は約0.3未満であることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記可変組成SiGe1−x層を形成する段階は、Ge含有量が誘電体層への隣接部で約0.2から約0.5の範囲であり、Siキャップ層への隣接部で0.1かそれ以下の値に減少するという状態で、勾配を付けたGe含有量を提供する段階を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記可変組成SiGe1−x層は、前記誘電体層の上に形成された第1のSiGe1−xサブ層であって約0.5から約0.3の間のGe含有量を持つ第1のSiGe1−xサブ層と、前記第1のSiGe1−xサブ層の上に形成された第2のSiGe1−xサブ層であって約0.15から約0.05の間のGe含有量を持つ第2のSiGe1−xサブ層と、を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記可変組成SiGe1−x層は、前記誘電体層の上に形成された第1のSiGe1−xサブ層であって約0.2のGe含有量を持つ第1のSiGe1−xサブ層と、前記第1のSiGe1−xサブ層の上に形成された第2のSiGe1−xサブ層であって約0.1のGe含有量を持つ第2のSiGe1−xサブ層と、を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記提供する段階は、単一のウェハの処理システムのプロセスチャンバ、およびバッチタイプ処理システムのプロセスチャンバのうち1つに基板を導入する段階を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記可変組成SiGe1−x層を形成する段階は、化学気相蒸着プロセスにおいてSi含有ガスとGe含有ガスに前記基板を露出する段階を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記Si含有ガスはSiH、Si、SiHCl、およびSiClのうち少なくとも1つを有し、また前記Ge含有ガスはGeHおよびGeClのうち少なくとも1つを有することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記Siキャップ層を形成する段階は、化学気相蒸着プロセスにおいてSiH、Si、SiHCl、およびSiClのうち少なくとも1つに前記基板を露出する段階を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記誘電体層の上にSi含有シード層を形成する段階を有し、その状況で前記可変組成SiGe1−x層は前記Si含有シード層の上に形成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記Si含有シード層はアモルファスSiおよびポリSiのうち1つを有することを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記Si含有シード層はSiGe1−x層を有することを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記Si含有シード層は約0.1かそれ未満のGe含有量を持ったSiGe1−x層を有することを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記Si含有シード層を形成する段階は、
化学気相蒸着プロセスにおいてSiH、Si、SiHCl、およびSiClのうち少なくとも1つを含むSi含有ガスに前記基板を露出する段階を有することを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記露出する段階は、不活性ガスに前記基板を露出する段階をさらに有することを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記露出する段階は、Hに前記基板を露出する段階をさらに有することを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記Si含有シード層を形成する段階は、原子層蒸着プロセスを行なう段階を有する
ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記Si含有シード層を形成する段階は、Si含有ガスおよびHに前記基板を交互に露出する段階を有することを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記Si含有シード層を形成する段階は、Si含有ガス、H、およびGe含有ガスに前記基板を交互に露出する段階を有することを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記形成する段階は、約500℃から約900℃の間に前記基板を加熱する段階を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項26】
プロセスチャンバに約100Torr未満の圧力を提供する段階をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項27】
プロセスチャンバに約1Torr未満の圧力を提供する段階をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項28】
プロセッサ上で実行するためのプログラム命令を含んだコンピュータ読み取り可能な媒体であって、プロセッサによって実行されるときに、請求項1に記載された方法における各段階を処理機器に実行させることを特徴とする媒体。
【請求項29】
プロセッサ上で実行するためのプログラム命令を含んだコンピュータ読み取り可能な媒体であって、プロセッサによって実行されるときに、請求項15に記載された方法における各段階を処理機器に実行させることを特徴とする媒体。
【請求項30】
上部に誘電体層を持った基板と、
前記誘電体層の上の可変組成SiGe1−x層と、
前記可変組成SiGe1−x層の上のSiキャップ層と、
を有することを特徴とするSiGe薄層半導体構造。
【請求項31】
前記基板は、半導体基板、LCD基板、およびガラス基板のうち1つを有することを特徴とする請求項30に記載の薄層半導体構造。
【請求項32】
誘電体層は、酸化物層、窒化物層、酸窒化物層,および高k層のうち少なくとも1つを有することを特徴とする請求項30に記載の薄層半導体構造。
【請求項33】
前記可変組成SiGe1−x層は、勾配を付けたGe含有量を有する勾配を付けたSiGe1−x層、および、それぞれ異なったGe含有量を有する複数のSiGe1−xサブ層のうち少なくとも1つを有することを特徴とすることを特徴とする請求項30に記載の薄層半導体構造。
【請求項34】
前記SiGe1−x層における前記勾配を付けたGe含有量は0.5未満であることを特徴とする請求項33に記載の薄層半導体構造。
【請求項35】
前記勾配を付けたSiGe1−x層の厚さは約600Åから約1000Åの間であることを特徴とする請求項33に記載の薄層半導体構造。
【請求項36】
前記SiGe1−xサブ層における異なったGe含有量は約0.5未満であることを特徴とする請求項33に記載の薄層半導体構造。
【請求項37】
前記SiGe1−xサブ層における異なったGe含有量は約0.3未満であることを特徴とする請求項33に記載の薄層半導体構造。
【請求項38】
それぞれのSiGe1−xサブ層の厚さは約300Åから約500Åの間であることを特徴とする請求項30に記載の薄層半導体構造。
【請求項39】
前記可変組成SiGe1−x層は、Ge含有量が誘電体層への隣接部で約0.2から約0.5の範囲であり、Siキャップ層への隣接部で0.1かそれ以下の値に減少するという状態で、勾配を付けたGe含有量を含むことを特徴とする請求項30に記載の薄層半導体構造。
【請求項40】
前記可変組成SiGe1−x層は、前記誘電体層の上に形成された第1のSiGe1−xサブ層であって約0.5から約0.3の間のGe含有量を持つ第1のSiGe1−xサブ層と、前記第1のSiGe1−xサブ層の上に形成された第2のSiGe1−xサブ層であって約0.15から約0.05の間のGe含有量を持つ第2のSiGe1−xサブ層と、を有することを特徴とする請求項30に記載の薄層半導体構造。
【請求項41】
前記可変組成SiGe1−x層は、前記誘電体層の上に形成された第1のSiGe1−xサブ層であって約0.2のGe含有量を持つ第1のSiGe1−xサブ層と、前記第1のSiGe1−xサブ層の上に形成された第2のSiGe1−xサブ層であって約0.1のGe含有量を持つ第2のSiGe1−xサブ層と、を有することを特徴とする請求項30に記載の薄層半導体構造。
【請求項42】
前記可変組成SiGe1−x層は、化学気相蒸着プロセスにおいてGe含有ガスとSi含有ガスに前記基板を露出することによって形成されたことを特徴とする請求項30に記載の薄層半導体構造。
【請求項43】
前記Si含有ガスはSiH、Si、SiHCl、およびSiClのうち少なくとも1つを有し、また前記Ge含有ガスはGeHおよびGeClのうち少なくとも1つを有することを特徴とする請求項42に記載の薄層半導体構造。
【請求項44】
前記誘電体層と前記可変組成SiGe1−x層の間のSi含有シード層
をさらに含むことを特徴とする請求項30に記載の薄層半導体構造。
【請求項45】
前記Si含有シード層はアモルファスSiおよびポリSiのうち1つを有することを特徴とする請求項44に記載の薄層半導体構造。
【請求項46】
前記Si含有シード層は、約0.10かそれ未満のGe含有量を持ったSiGe1−x層を有することを特徴とする請求項44に記載の薄層半導体構造。
【請求項47】
前記Si含有シード層の厚さは約25Åから約50Åの間であることを特徴とする請求項44に記載の薄層半導体構造。
【請求項48】
SiGe薄層半導体構造を加工するための処理ツールであって、
上部に誘電体層を持った基板の上に可変組成SiGe1−x層を形成し、前記可変組成SiGe1−x層の上にSiキャップ層を形成するよう適合された少なくとも1つの処理システムと、
前記基板を移送するために構成された移送システムと、
前記処理ツールを制御するよう構成されたコントローラと、
を有することを特徴とする処理ツール。
【請求項49】
少なくとも1つの前記処理システムは、さらに、前記誘電体層の上にSi含有シード層を形成するよう適合されることを特徴とする請求項48に記載の処理ツール。
【請求項50】
前記処理システムは、バッチタイプ処理システム、および単一のウェハ処理システムのうち1つを有することを特徴とする請求項48に記載の処理ツール。
【請求項51】
プロセス監視システムをさらに有することを特徴とする請求項48に記載の処理ツール。
【請求項52】
SiGe薄層半導体構造を加工するための処理ツールであって、
処理システムのプロセスチャンバに、誘電体層を上面に持つ基板を提供するための手段と、
前記誘電体層の上に可変組成SiGe1−x層を形成するための手段と、
前記可変組成SiGe1−x層の上にSiキャップ層を形成するための手段と、
を有することを特徴とする処理ツール。
【請求項53】
前記誘電体層の上にSi含有シード層を形成するための手段
をさらに有することを特徴とする請求項52に記載の処理ツール。

【図5A】
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【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−538385(P2007−538385A)
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−502798(P2007−502798)
【出願日】平成17年1月12日(2005.1.12)
【国際出願番号】PCT/US2005/000916
【国際公開番号】WO2005/096352
【国際公開日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【出願人】(505390680)ト−キョ−・エレクトロン・アメリカ・インコーポレーテッド (64)
【Fターム(参考)】