説明

情報出力制御装置

【課題】運転者が注意を向けている情報出力部における情報出力が過度に中断されてしまうのを適切に防止する情報出力制御装置を提供すること。
【解決手段】複数の情報出力部7、8で車両の運転に関する情報を出力しながら割り込み情報を受け付けその割り込み情報を割り込み出力する情報出力制御装置100は、運転者の視線を検出する視線検出手段11と、視線検出手段11が検出した運転者の視線に基づいて運転者が注意を向ける情報出力部7、8を判定する注意対象判定手段12と、注意対象判定手段12により運転者が注意を向けていると判定された情報出力部7、8における割り込み出力を制限する割り込み出力制限手段14と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の情報出力部で車両の運転に関する情報を出力しながら割り込み情報を受け付けその割り込み情報を割り込み出力する情報出力制御装置に関し、特に、運転者が注意を向けている情報出力部において割り込み出力によりそれまでの情報出力が中断されてしまうのを適切に防止する情報出力制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地図情報を表示しながら誘導経路に沿って車両を誘導し、車両が案内対象の交差点に接近したときにその交差点の拡大図をそれまで表示させていた地図情報に割り込ませて重畳表示させる機能を備えたナビゲーション装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このナビゲーション装置は、車両とその交差点との間の距離に応じて、運転者が視認すべき重要な情報だけが際立つよう、その拡大図の表示を段階的に消去することにより、運転者がその拡大図を必要以上に注視しないようにする。
【0004】
また、車載機器の操作やモニタ画面注視に起因した脇見運転を防止するナビゲーション装置も知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
このナビゲーション装置は、運転者の視線を検出しながら、車両走行中に運転者がモニタを必要以上の長い時間に亘って注視している状態を検知し、そのような状態を検知した場合に車載機器とモニタとの間で送受信される信号を遮断してモニタの表示を強制的に終了させたり、関連する車載機器の操作を無効としたりすることにより脇見運転を起こりにくくする。
【特許文献1】特開2003−83761号公報
【特許文献2】特開2000−322699号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載のナビゲーション装置は、何れも、運転者が画面を注視しないようにすることを最優先とするあまり、運転者が画面から特定の情報を見つけ出そうとしている場合にも、それら装置が推奨する制御に沿って、割り込み情報を重ね合わせて割り込み表示させたり、画面を切り替えたり、不必要とされる情報を強制的に消去したりしてしまい、それら装置の使い勝手を過度に制限してしまう場合がある。
【0007】
このことは、運転者がその特定の情報を見つけ出すために同じ画面を再表示させる等、運転者に余計な操作を強いる結果にもなり得る。
【0008】
上述の点に鑑み、本発明は、運転者が注意を向けている情報出力部における情報出力が過度に中断されてしまうのを適切に防止する情報出力制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するために、第一の発明に係る情報出力制御装置は、複数の情報出力部で車両の運転に関する情報を出力しながら割り込み情報を受け付け該割り込み情報を割り込み出力する情報出力制御装置であって、運転者の視線を検出する視線検出手段と、前記視線検出手段が検出した視線に基づいて運転者が注意を向ける情報出力部を判定する注意対象判定手段と、前記注意対象判定手段により運転者が注意を向けていると判定された情報出力部における割り込み出力を制限する割り込み出力制限手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、第二の発明は、第一の発明に係る情報出力制御装置であって、前記割り込み出力制限手段は、割り込み出力を制限した情報出力部以外の代替の情報出力部において割り込み情報を出力させることを特徴とする。
【0011】
また、第三の発明は、第一又は第二の発明に係る情報出力制御装置であって、前記割り込み出力制限手段は、前記注意対象判定手段により運転者が特定の情報出力部に注意を向けていないと判定された場合、該特定の情報出力部における割り込み出力の制限を解除することを特徴とする。
【0012】
また、第四の発明は、第一乃至第三の何れかの発明に係る情報出力制御装置であって、前記情報出力部は、表示部を含み、前記注意対象判定手段は、運転者の視線が所定時間に亘って前記表示部に留まった場合に、運転者が前記表示部に注意を向けていると判定し、前記割り込み出力制限手段は、前記表示部に表示されていた内容を固定することを特徴とする。
【0013】
また、第五の発明は、第一乃至第四の何れかの発明に係る情報出力制御装置であって、前記情報出力部は、音声出力装置を含むことを特徴とする。
【0014】
また、第六の発明は、第一乃至第五の何れかの発明に係る情報出力制御装置であって、前記情報出力部は、気象情報、渋滞情報、道路規制情報又は経路案内情報を出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
上述の手段により、本発明は、運転者が注意を向けている情報出力部における情報出力が過度に中断されてしまうのを適切に防止する情報出力制御装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【実施例】
【0017】
図1は、本発明に係る情報出力制御装置の構成例を示す図であり、情報出力制御装置100は、映像又は音声等により車両の運転に関する情報を出力させながら所定の割り込み要求に応じて割り込み映像又は割り込み音声を割り込み音声出力させる車載装置であって、制御部1、撮像装置2、車速センサ3、通信装置4、測位装置5、記憶装置6、表示装置7及び音声出力装置8から構成される。
【0018】
制御部1は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備えたコンピュータであって、例えば、経路案内手段10、視線検出手段11、注意対象判定手段12、情報出力制御手段13及び割り込み出力制限手段14のそれぞれに対応するプログラムをROMに記憶しながら、各手段に対応する処理をCPUに実行させる。
【0019】
撮像装置2は、運転者を撮影するための装置であり、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を備えたカメラであって、運転者を正面から撮影できるようインストルメントパネルやダッシュボード付近に取り付けられる。
【0020】
車速センサ3は、車両の速度を測定するためのセンサであり、例えば、各車輪に取り付けられ各車輪とともに回転する磁石による磁界の変化をMR(Magnetic Resistance)素子が磁気抵抗として読み取り、これを回転速度に比例したパルス信号として取り出すことで車輪の回転速度及び車両の速度を検出する。
【0021】
通信装置4は、車両外部との通信を制御するための装置であり、例えば、携帯電話周波数や特定小電力無線周波数を用いて通信センタが送信する気象情報、渋滞情報、道路規制情報等を受信する。
【0022】
測位装置5は、車両の位置を測定するための装置であり、例えば、GPS(Global Positioning System)受信機によりGPSアンテナを介してGPS衛星が出力するGPS信号を受信し、受信した信号に基づいて車両位置(緯度、経度、高度)を測定する。
【0023】
測位装置5による測定は、単独測位や相対測位(干渉測位を含む。)等の如何なる方法であってもよいが、好ましくは精度の高い相対測位が用いられる。この際、車両位置は、車速センサ3、舵角センサ、ジャイロセンサ等の各種センサの出力や、ビーコン受信機又はFM多重受信機を介して受信される各種情報に基づいて補正されてもよい。
【0024】
記憶装置6は、各種情報を記憶するための装置であり、例えば、ハードディスクやDVD(Digital Versatile Disk)等の記憶媒体であって、地図情報データベース等を格納する。
【0025】
表示装置7は、各種情報を表示するための情報出力部であり、例えば、液晶ディスプレイやLED(Light Emitting Diode)ディスプレイ等であって、気象情報、渋滞情報、道路規制情報又は経路案内情報等の各種情報を表示する。
【0026】
音声出力装置8は、各種情報を音声出力するための情報出力部であり、例えば、車載スピーカであって、気象情報、渋滞情報、道路規制情報又は経路案内情報等に関する音声案内を出力する。
【0027】
次に、制御部1が有する各種手段について説明する。
【0028】
経路案内手段10は、測位装置5が測定した車両位置(緯度、経度、高度)とタッチパネルやエスカッションボタン等の入力装置を介して入力された目的地の位置情報(緯度、経度、高度)と記憶装置6に記憶された地図情報データベースとに基づいて、所定位置(例えば、自車両の現在位置である。)から目的地に至るまでの最適な経路を導き出すための手段であり、例えば、最短経路探索アルゴリズムとしてダイクストラ法を用い最短経路を探索する。なお、最短経路の他、最も早く目的地に到達できる最速経路や高速道路を利用しない経路等を探索してもよい。
【0029】
また、探索した推奨経路を他の経路から識別できるように表示装置7の画面上に表示させ、操作者が推奨経路を容易に確認できるようにし、また、推奨経路に沿った音声案内を音声出力装置8から出力させ、操作者による運転を支援するようにする。
【0030】
視線検出手段11は、運転者の視線を検出するための手段であり、例えば、撮像装置2が撮像した運転者の顔画像に二値化処理やエッジ検出処理等の画像処理を施して運転者の頭部及び眼球に対応する画像部分を抽出し、撮像装置2とそれら頭部及び眼球との間の相対的な位置関係に基づいて運転者が目で見ている方向を算出する。
【0031】
注意対象判定手段12は、運転者が注意を向けている対象を判定するための手段であり、例えば、視線検出手段11が検出した運転者の視線と予め登録された表示装置7の位置とに基づいて運転者が表示装置7を注視しているか否かを判定する。
【0032】
この場合、注意対象判定手段12は、運転者が注視する点が一地点に留まった場合(注意対象判定手段12は、例えば、視線変動の角度範囲が±5度以内のとき、注視する点が一地点に留まっているものとして扱う。)におけるその時間(以下、「視線滞留時間」とする。)を計数し、視線滞留時間が所定の閾値(例えば、3秒)以上となった場合に、その地点にある表示装置7に運転者が注意を向けていると判定する。
【0033】
また、注意対象判定手段12は、運転者が注視する点が車両前方(フロントガラス)である場合、運転者が音声出力装置8に注意を向けていると判定するようにしてもよい。表示装置7を注視していないことが明らかだからであり、音声出力装置8は、表示装置7を代替し得るからである。
【0034】
なお、注意対象判定手段12は、車室内に備えられた車載マイクを介して検知した運転者周辺の音量若しくは同乗者等との会話の有無、又は、AV(Audio and Visual)機器の出力音量若しくは出力内容(例えば、ニュース、音楽等)等に基づいて運転者が注意を向ける情報出力部が表示装置7又は音声出力装置8の何れであるかを判定するようにしてもよい。
【0035】
この場合、注意対象判定手段12は、例えば、車載マイクを介して運転者と同乗者との間に会話が存在しないことを検知した場合、或いは、AV機器が使用されていないか、使用されていたとしても所定音量未満の出力であることを検知した場合には、運転者の注意が音声出力装置8に向いているものと判定するようにしてもよい。運転者が音声出力装置8の音声出力を注意深く聞ける状況にあるからである。
【0036】
情報出力制御手段13は、各種情報出力部における出力を制御するための手段であり、例えば、経路案内手段10が出力する経路案内情報、自己診断装置が出力する車両情報(バッテリ異常や各種車載装置の故障を伝えるための情報である。)、又は、通信装置4を介して取得した気象情報、渋滞情報若しくは道路規制情報等(以下、「一次情報」とし、運転者が直接理解するのが困難なバイナリ信号等で構成される。)と、記憶装置6に予め記憶された、それら一次情報に対応するテキストデータ、音声データ又は画像データ等(以下、「二次情報」とし、運転者が視覚又は聴覚を通じて直接理解できる状態の情報である。)とに基づいて運転者に対して出力すべき二次情報を選択する。
【0037】
また、情報出力制御手段13は、例えば、経路案内情報に対応するテキストデータ及び画像データを表示装置7に表示させ、かつ、経路案内情報に対応する音声データを音声出力装置8から音声出力させながら、通信装置4を介して渋滞情報を取得した場合に、その渋滞情報に対応するテキストデータ及び画像データ(割り込み情報)を表示装置7に割り込み表示させ(例えば、地図情報の上に別のウィンドウをポップアップ表示させたり、地図画面を一時的に別の画面に切り替えたりする。)、かつ、これまで出力していた経路案内に関する音声案内を中断させ渋滞情報に関する音声案内を割り込み音声出力させる。重要な情報を運転者に迅速かつ確実に伝えるためである。
【0038】
なお、割り込み情報は、渋滞情報のような狭域配信情報(例えば、電波ビーコンや光ビーコンを介して所定の狭い範囲内を走行する車両に配信される情報をいう。)の他、障害物情報(例えば、車載レーダを用いて検出した自車両前方の障害物に関する情報である。)、又は、広域配信情報(例えば、FM電波等を介して所定の時刻や所定の時間間隔で通信センタから配信される情報であり、メール受信情報等がある。)等を含むものとする。
【0039】
また、情報出力制御手段13は、AV機器で音楽が再生出力されている場合に二次情報を音声出力装置8から音声出力させないようにしたり、車速センサ3の出力が所定速度以上の値を示していたり操舵角センサの出力が所定角度以上の値を示していたりした場合に二次情報を表示装置7に表示させないようにする等、状況に応じて使用する情報出力部を選択するようにしてもよい。運転者の快適性及び安全性を向上させるためである。
【0040】
割り込み出力制限手段14は、情報出力制御手段13による割り込み出力を制限するための手段であり、例えば、注意対象判定手段12により運転者の注意が表示装置7に向いていると判定された場合、表示装置7における別ウィンドウのポップアップ表示、画面の切り替え、又は、画面のスクロール等を制限する。
【0041】
運転者は、現在表示されている情報の理解に努めているものと推定されるからであり、別ウィンドウのポップアップ表示、画面の切り替え、又は、画面のスクロール等を発生させると、運転者がその情報を理解しようとする行為を阻害することとなってしまうからである。
【0042】
なお、割り込み出力の制限内容には、現表示画面の固定の他、別ウィンドウのポップアップ表示の禁止、ポップアップ表示される別ウィンドウのサイズの縮小、ポップアップ表示される別ウィンドウの半透明化、画面切り替えの禁止、画面を反復して切り替える場合の画面切り替え間隔の短縮、画面分割(現表示画面を縮小しながら別ウィンドウを表示させる。)、画面スクロールの禁止、又は、画面スクロール速度の低減等を含むものとする。
【0043】
同様に、割り込み出力制限手段14は、注意対象判定手段12により運転者の注意が音声出力装置8に向いていると判定された場合、音声出力装置8における割り込み音声出力を制限するようにしてもよい。
【0044】
また、割り込み出力制限手段14は、表示装置7に対する割り込み表示を制限した場合、本来、表示装置7で表示されるはずであったテキストデータ又は画像データ(割り込み表示が制限された二次情報である。)に対応する音声データを音声出力装置8から音声出力させるようにしてもよい。表示装置7における出力を代替させるためである。
【0045】
この場合、割り込み出力制限手段14は、通常の音声データ(既に表示装置7及び音声出力装置8を併用しながら二次情報を出力していた場合における音声データである。)とは異なる詳細な音声データを音声出力装置8から出力させるようにしてもよい。省略された表示が担っていた情報伝達機能を確実に補完できるようにするためである。
【0046】
なお、割り込み出力制限手段14は、表示装置7で表示されるはずであったテキストデータ又は画像データが担う情報伝達機能を、表示装置7とは異なる位置に取り付けられたLEDディスプレイ等、音声出力装置8以外の他の情報出力部で代替させるようにしてもよい。
【0047】
この場合、表示装置7を代替する情報出力部における出力は、それら情報出力部の特性(例えば、画素数、画面サイズ、色数等である。)に応じて変更されてもよい(例えば、表示装置7の漢字表示をカタカナ表示とする。)。
【0048】
また、割り込み出力制限手段14は、注意対象判定手段12により運転者の注意が表示装置7に向いていると一旦判定された後、運転者の注意が表示装置7から逸れたと判定した場合であっても、表示装置7に対する割り込み表示の制限を開始してから所定時間(例えば、3秒間)の間は、割り込み表示の制限を解除しないようにしてもよい。
【0049】
運転者が自車両前方の確認と表示装置7の視認とを交互に行いながら、表示装置7に表示された情報の理解に努める場合もあるからである。
【0050】
なお、割り込み出力制限手段14は、所定時間(例えば、3秒間)以上に亘って運転者の注意が表示装置7から逸れていたと判定した場合には、一旦設定した割り込み表示の制限を解除するようにしてもよい。
【0051】
運転者の注意がもはや表示装置7に向いていないにもかかわらず、長時間に亘って割り込み表示の制限を継続させる必要はないからであり、運転者に対する情報伝達機能を却って損ねてしまう場合もあるからである。
【0052】
また、割り込み出力制限手段14は、割り込み出力の制限を解除する場合、その制限中に出力要求があった割り込み情報のうち現時点においても有効な情報(例えば、渋滞情報であって、自車両がその渋滞区間に未だ到達していない場合である。)を制限解除後に出力させてもよく、一方で、既に有効でない情報(例えば、障害物に関する情報であって、自車両がその障害物を既に通過している場合である。)を制限解除後に出力させることなく破棄するようにしてもよい。
【0053】
また、割り込み出力制限手段14は、地図画面のスクロールの禁止を解除する場合、自車両の現在地を中心とした地図画面を瞬時に表示させるようにしてもよく、スクロールを禁止した時点における地図画面から現時点における地図画面に至る推移を動画像で表示させるようにしてもよい。運転者による地図情報の確認を容易にするためである。
【0054】
次に、図2を参照しながら、運転者が表示装置7の画面を注視しているか否かを判定する処理(以下、「画面注視状態判定処理」とする。)の流れについて説明する。なお、図2は、画面注視状態判定処理の流れを示すフローチャートであり、情報出力制御装置100は、所定間隔(例えば、0.5秒毎)でこの画面注視状態判定処理を繰り返し実行するものとする。
【0055】
最初に、情報出力制御装置100の制御部1は、視線検出手段11により、撮像装置2が撮像した運転者の顔画像に基づいて運転者の視線を検出し(ステップS1)、注意対象判定手段12により、運転者が表示装置7を見ているか否かを判定する(ステップS2)。
【0056】
運転者が表示装置7を見ていると判定した場合(ステップS2のYES)、注意対象判定手段12は、運転者が表示装置7に視線を留めた視線滞留時間の計数を開始又は継続させる(ステップS3)。
【0057】
その後、注意対象判定手段12は、視線滞留時間と予め登録された閾値T1(例えば、2秒)とを比較し(ステップS4)、視線滞留時間が閾値T1以上となった場合に(ステップS4のYES)、運転者による表示装置7の注視状態を示す注視中フラグの値を「1」(運転者が表示装置7を注視している状態を示す。)に設定して(ステップS5)、画面注視状態判定処理を終了させる。なお、注視中フラグの値は、RAMや記憶装置6に記憶されるものとする。
【0058】
また、視線滞留時間が閾値T1未満である場合(ステップS4のNO)、注意対象判定手段12は、注視中フラグの値を「1」に設定することなく、そのまま画面注視状態判定処理を終了させるようにする。
【0059】
視線滞留時間が閾値T1以上となった場合に限り、運転者が表示装置7を注視しているものと判定できるようにし、視線が表示装置7の上を通っただけで運転者が表示装置7を注視しているものと誤判定してしまわないようにするためである。
【0060】
一方、ステップS2において、運転者が表示装置7を見ていないと判定した場合(ステップS2のNO)、注意対象判定手段12は、視線滞留時間をゼロにリセットした上で(ステップS6)、注視中フラグの値を「0」(運転者が表示装置7を注視していない状態を示す。)に設定し(ステップS7)、画面注視状態判定処理を終了させる。
【0061】
なお、制御部1は、注視中フラグの値を「1」に設定した後で運転者が表示装置7を見ていないと判定した場合に、運転者が表示装置7から視線を離した時間(以下、「視線逸脱時間」とする。)の計数を開始させ、視線逸脱時間が閾値T2(例えば、3秒)以上となったときに、運転者による表示装置7の注視状態を示す注視中フラグの値を「0」に設定するようにしてもよい。
【0062】
視線逸脱時間が閾値T2以上となった場合に限り、運転者が表示装置7をもはや注視していないものと判定するようにし、視線が僅かに逸れた場合に運転者が表示装置7を注視していないものと誤判定してしまわないようにするためである。
【0063】
なお、閾値T1及び閾値T2は、自車両の速度、操舵角若しくは加速度等、又は、自車両の現在位置及び周辺環境に応じて自動的に変化するものであってもよく、入力装置を介して登録又は変更できるものであってもよい。
【0064】
次に、図3を参照しながら、情報出力制御装置100が割り込み要求に対応する処理(以下、「割り込み要求対応処理」とする。)の流れについて説明する。なお、図3は、割り込み要求対応処理の流れを示すフローチャートであり、情報出力制御装置100は、所定間隔(例えば、0.5秒毎)でこの割り込み要求対応処理を繰り返し実行するものとする。
【0065】
最初に、情報出力制御装置100の制御部1は、通信装置4から割り込み要求を受けたか否かを判定し(ステップS11)、割り込み要求を受けていない場合(ステップS11のNO)、割り込み要求対応処理を一旦終了させる。対応すべき割り込み要求が無いからである。
【0066】
割り込み要求を受けた場合(ステップS11のYES)、制御部1は、RAMに記憶された注視中フラグの値を読み出す(ステップS12)。
【0067】
注視中フラグの値が「1」であり、運転者が表示装置7を注視していることを認識した場合(ステップS12のYES)、制御部1は、割り込み出力制限手段14により、表示装置7に対する割り込み表示を禁止した上で、本来表示装置7に表示させるはずであった割り込み情報に対応する音声案内を代替的に音声出力装置8から音声出力させる(ステップS13)。
【0068】
この場合、音声案内は、表示装置7に表示させるはずであったテキスト情報を読み上げるものであってもよく、関連する別の音声メッセージを音声出力させるものであってもよく、或いは、所定のメロディやアラーム音を出力させるものであってもよい。
【0069】
一方、注視中フラグの値が「0」であり、運転者が表示装置7を注視していないことを認識した場合(ステップS12のNO)、制御部1は、表示装置7に対する割り込み表示を禁止することなく、割り込み要求に応じてそのまま割り込み情報を表示装置7に表示させるようにする(ステップS14)。
【0070】
以上の構成により、情報出力制御装置100は、運転者の注意が向いている情報出力部における既出力情報の出力を割り込み要求に応じて中断させることがないようにするので、運転者による既出力情報の理解を促進し、結果的に、表示画面7に対する視線滞留時間を短縮させたり、音声出力装置8に対する聞き取り時間を短縮させたりすることができる。
【0071】
また、情報出力制御装置100は、特定の情報出力部に対する割り込み要求を受け入れなかった場合であっても、その受け入れられなかった割り込み要求に対応する代替情報を他の情報出力部から出力させるようにするので、運転者による既出力情報の理解を妨げるような割り込み出力を制限しながらも、割り込み情報を運転者に迅速かつ確実に伝えることができる。
【0072】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0073】
例えば、上述の実施例において、情報出力制御装置100は、運転者の注意が表示装置7に向いている場合に表示装置7に表示される画像を極力変更させないようにしながらその表示を継続させるが、視線滞留時間が閾値T3(T3>T1)以上となった場合には、表示装置7の表示を消去させるようにしてもよい。あまりにも長期に亘って運転者の視線を引き付けてしまうことがないようにするためである。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明に係る情報出力制御装置の構成例を示す図である。
【図2】画面注視状態判定処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】割り込み要求対応処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0075】
1 制御装置
2 撮像装置
3 車速センサ
4 通信装置
5 測位装置
6 記憶装置
7 表示装置
8 音声出力装置
10 経路案内手段
11 視線検出手段
12 注意対象判定手段
13 情報出力制御手段
14 割り込み出力制限手段
100 情報出力制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の情報出力部で車両の運転に関する情報を出力しながら割り込み情報を受け付け該割り込み情報を割り込み出力する情報出力制御装置であって、
運転者の視線を検出する視線検出手段と、
前記視線検出手段が検出した視線に基づいて運転者が注意を向ける情報出力部を判定する注意対象判定手段と、
前記注意対象判定手段により運転者が注意を向けていると判定された情報出力部における割り込み出力を制限する割り込み出力制限手段と、
を備えることを特徴とする情報出力制御装置。
【請求項2】
前記割り込み出力制限手段は、割り込み出力を制限した情報出力部以外の代替の情報出力部において割り込み情報を出力させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報出力制御装置。
【請求項3】
前記割り込み出力制限手段は、前記注意対象判定手段により運転者が特定の情報出力部に注意を向けていないと判定された場合、該特定の情報出力部における割り込み出力の制限を解除する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報出力制御装置。
【請求項4】
前記情報出力部は、表示部を含み、
前記注意対象判定手段は、運転者の視線が所定時間に亘って前記表示部に留まった場合に、運転者が前記表示部に注意を向けていると判定し、
前記割り込み出力制限手段は、前記表示部に表示されていた内容を固定する、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の情報出力制御装置。
【請求項5】
前記情報出力部は、音声出力装置を含む、
ことを特徴とする請求項2乃至4の何れか一項に記載の情報出力制御装置。
【請求項6】
前記情報出力部は、気象情報、渋滞情報、道路規制情報又は経路案内情報を出力する、
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の情報出力制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−307978(P2008−307978A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−156355(P2007−156355)
【出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】