説明

熱伝導基板とその製造方法及び電源ユニット及び電子機器

【課題】ノイズの影響を受けにくくした熱伝導基板とその製造方法及び電源ユニット及び電子機器を提供することを目的とする。
【解決手段】一個以上の孔22を有する金属板17と、前記金属板17の上に固定したシート状の伝熱樹脂層11と、前記伝熱樹脂層11に埋め込まれたリードフレーム10や浮島12からなる放熱基板の前記リードフレーム10や浮島12を形成した表面側とし、前記制御部を、前記金属板17の孔の中に設置したプリント配線板とし、前記パワー回路部と前記制御部を、前記リードフレーム10や前記浮島12に形成した折り曲げ部13によって電気的に接続させることで、前記リードフレーム10の上に実装したパワー素子14と、前記パワー素子14を制御する制御素子16との間の配線長を短くすることで、パワー素子14に起因するノイズの影響を抑制でき、電源ユニットや各種電子機器の高性能化、低コスト化を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器の電源回路等の大電力回路等に使用される熱伝導基板とその製造方法及び電源ユニット及び電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の高性能化、小型化の要求に伴い、半導体等の電子部品の高密度化、高機能化が要求されている。この要求に対応するために、各種電子部品を実装する回路基板もまた小型・高密度化が求められている。その結果、スイッチング素子等の相対的に発熱量の多い(例えば数十A以上の大電流を制御する)パワー半導体等と、相対的に発熱量の少ない(例えば数十mAの信号電流を制御する)制御用半導体等の一般電子部品を、それぞれの用途に適した回路基板に別々に実装、これらを互いに接続することが求められる場合がある。そうしたニーズに対応するため、特許文献1では、大電流のスイッチング等の大電流回路部と、制御用の信号回路部と、を別々に作製し、互いを配線で接続することが開示されている。次に図面を用いて、従来の熱伝導基板について、大電流部と、制御用の信号回路部を分けた場合について説明する。
【0003】
図9(A)、(B)は、従来の熱伝導基板を示す上面図である。図9(A)は、パワー半導体を実装する大電流回路部の上面図である。図9(A)において、大電流回路3は、絶縁材2とその上に形成したリードフレーム1a〜1cとから構成されている。なおリードフレーム1a〜1cを用いる理由は、大電流や高放熱に対応させるためである。
【0004】
図9(B)は、パワー素子や、制御素子を実装した後の上面図である。図9(B)において、パワー半導体7を制御する制御回路を構成する半導体素子やチップ部品等からなる制御素子4は、プリント配線板5の上に実装している。これは、リードフレーム1a〜1cを用いるより、プリント配線板5を用いるほうが安価で、高密度実装に対応できるからである。こうして作製した制御回路と大電流回路3とを、リード線6によって接続する。なお図9(B)において、パワー半導体7の外部電極や、外部電極とリードフレーム1a〜1cを接続する半田付け部分等は図示していない。
【0005】
こうした従来の構造では、パワー半導体7と、制御素子4をつなぐ配線(図9(B)におけるリード線6)が長くなってしまうため、リード線6がパワー素子3に起因するノイズ(例えば、高周波でパワー半導体がスイッチングすることによって発生する高周波ノイズ)の影響を受けやすくなる場合がある。そうした場合、ノイズ対策部品を追加するとコストアップの原因になる可能性がある。
【特許文献1】特開2004−342325号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の電子機器の電力回路部において、電流部と信号部を分けた場合、電流部に発生したノイズが、互いを接続する長い配線部分を介して、信号部に影響を受けやすくなるという課題が発生する可能性がある。
【0007】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、大電流部と信号部を分けながらも、互いの回路部を接続する配線長を短くすることで、ノイズの影響を受けにくくした熱伝導基板とその製造方法及び電源ユニット及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記従来の課題を解決するために、本発明は、一個以上の孔を有する金属板と、前記金属板の上に固定されたシート状の伝熱樹脂層と、前記伝熱樹脂層に埋め込まれた配線パターン状のリードフレームと、からなる熱伝導基板であって、前記金属板に形成された前記孔の中に、前記リードフレームの一部と電気的に接続されたプリント配線板を埋め込んだ熱伝導基板である。
【0009】
このような構成によって、信号回路部を構成するプリント配線板を、表層に形成したリードフレームの直下に埋め込むことができ、大電流部と信号部を分けながらも、互いの回路を接続する配線長を短くできる。
【0010】
その結果、信号回路部が、大電流部に実装したパワー半導体等に発生するノイズの影響を受けにくくなり、耐ノイズ性の高い高価な部品や、ノイズ部品を使う必要が無くなり、熱伝導基板のみならずこれを用いた電源ユニット及び電子機器のコストダウンを実現する。
【発明の効果】
【0011】
以上のように本発明によれば、大電流部を放熱基板の表層に、信号部を放熱基板の裏面として、互いの接続を伝熱樹脂層を貫くリードフレームの突起部で行うことで、これらの接続距離を最短で行うことができるため、ノイズの影響を受けにくい熱伝導基板を作製できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
なお本発明の実施の形態に示された一連の製造工程は、成型金型を用いて行われる。但し説明するために必要な場合以外は、成形金型は図示していない。また図面は模式図であり、各位置関係を寸法的に正しく示したものではない。
【0013】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1における熱伝導基板について、図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1(A)、(B)は、本実施の形態1における熱伝導基板の断面図である。図1(A)は、パワー素子を実装する前の熱伝導基板の断面図である。
【0015】
図1(A)において、10はリードフレーム、11は伝熱樹脂層、12は浮島、13は突起部である。突起部13は、リードフレーム10や浮島12の一部が突起状(あるいは瘤状、あるいはバンプ状)になるように変形、あるいは機械加工(もしくはプレス加工)したものである。そしてリードフレーム10や浮島12は、伝熱樹脂層11に埋め込まれている。14はパワー素子、15は端子であり、パワー素子14の外部電極が端子15に相当する。16は制御素子であり、パワー素子14を制御する制御回路を構成する、半導体素子やチップ部品に相当する。17は金属板、18は半田、19aは矢印、20はプリント配線板である。
【0016】
図1(A)において、リードフレーム10と浮島12とは、シート状の伝熱樹脂層11に埋め込んでいる。そして伝熱樹脂層11はリードフレーム10や浮島12を埋め込んだ状態で、金属板17の上に固定している。また金属板17には、1個以上の孔を形成しており、この孔の中に、プリント配線板20を埋め込んでいる。そしてプリント配線板20には、リードフレーム10や浮島12の少なくともどちらか一方以上を、突起部13を介して接続している。なお突起部13は、後述する図6(A)等で説明するが、リードフレーム10や浮島12の一部を折り曲げ加工したものである。そしてこの突起部13を介して、リードフレーム10や浮島12と、プリント配線板20を接続する。そしてこのリードフレーム10や浮島12の上に、半田18を形成しておき、この上に矢印19aに示すようにして、パワー素子14を実装する。なおリードフレーム10や浮島12とプリント配線板20の電気的接続は複数個所(特に異なる2箇所以上)で行うことが望ましい。互いに絶縁された2箇所以上で接続することで、パワー素子14へ制御信号を伝えやすくなる。なおリードフレーム10や浮島12の全てに突起部13を形成する必要は無い。
【0017】
以上のようにして、伝熱樹脂層11に埋め込まれたリードフレーム10や浮島12の一部に形成した突起部13が、前記伝熱樹脂層11を貫通し、プリント配線板20に電気的に接続することになる。
【0018】
図1(B)は、パワー素子を実装した後の熱伝導基板の断面図である。図1(B)において、19bは矢印である。21はモールド樹脂であり、制御素子16が実装されたプリント配線板20を保護する。なおモールド樹脂21は、金属板17からはみ出ない厚み以下にすることが望ましい。これはモールド樹脂21が厚くなって、金属板17から、はみ出した場合、金属板17を他の放熱板(例えば放熱フィン。なお放熱フィンは図示していない)に実装する時に、金属板17と他の放熱板との密着性を阻害する可能性があるためである。なお図1(B)に示すようにして、パワー素子14の端子15は、半田18を介して、リードフレーム10や浮島12に接続する。またパワー素子14に、リードフレーム10を介して、数十Aの大電流を供給することが可能になる。そしてパワー素子14に発生した熱は、矢印19bに示すように、リードフレーム10から、伝熱樹脂層11を介して、金属板17へ放熱させる。またパワー素子14を制御する制御信号は、制御素子16が実装されたプリント配線板20から、突起部13を介して、リードフレーム10や浮島12に伝わった後、端子15を介してパワー素子14を制御する。
【0019】
このように、本発明の実施の形態1で提案する構造によって、パワー素子14と、パワー素子14の制御回路を、最短距離で接続することができ、パワー素子14に起因するノイズが制御回路に影響を与えにくくなる。次に図2を用いて、更に詳しく説明する。
【0020】
図2(A)、(B)は、実施の形態1で提案する熱伝導基板を、底部側から(ひっくり返して)見た斜視図である。図2において、22は孔であり、孔22の内部に、モールド樹脂21で保護された制御回路が埋め込まれている。このようにモールド樹脂21の高さを、金属板17の表面より低く設定することで、金属板17を他の部材に貼り付ける(あるいは固定する)時に、前記モールド樹脂21が突き出さないために邪魔にならない。
【0021】
図2(B)は、図2(A)のモールド樹脂21を除去した後の斜視図に相当する。図2(B)より、金属板17に形成した1個以上の孔22の中には、制御素子16を実装したプリント配線板20が埋め込まれていることが判る。図2(A)、(B)において、金属板17の裏面には、伝熱樹脂層11に埋め込まれたリードフレーム10が、棒状に複数本突き出しているが、このリードフレーム10が、例えば電源回路の入力(プラス、マイナス)や出力となる。次に図3を用いて、本発明の実施の形態1における熱伝導基板について説明する。
【0022】
図3(A)〜(D)は、本発明の実施の形態1における熱伝導基板の上面図と、熱伝導基板に実装するパワー素子の上面図及び斜視図である。まず図3(A)、(B)を用いて説明する。図3(A)は、本発明の実施の形態1における熱伝導基板にパワー素子を実装した後の上面図である。図3(A)において、パワー素子14は、端子15を介して、リードフレーム10a〜10cに接続している。
【0023】
ここで実施の形態1における熱伝導基板を電源回路に応用した場合、図3(A)におけるリードフレーム10bは、電源回路のプラス入力に相当する。同様にリードフレーム10cは電源回路のマイナス入力、リードフレーム10aは、電源回路の出力に相当する。またリードフレーム10a〜10cの伝熱樹脂層11から突き出した部分は、櫛歯状に加工しているが、これはリードフレーム10a〜10cの端部を他の基板に接続しやすくするためである。図3(A)において、リードフレーム10a〜10cよりも伝熱樹脂層11をはみ出しさせている部分は、沿面距離を増加させるためである。なお図3(A)において、パワー素子14の端子15と、リードフレーム10a〜10cや浮島12(端子15の影になるので図示していない)を接続する半田18やソルダーレジスト等は図示していない。
【0024】
図3(B)は、図3(A)からパワー素子を外した状態を示す上面図である。図3(B)において、リードフレーム10a〜10cの隙間に、浮島12を形成していることが判る。ここで浮島12とは、リードフレーム10a〜10cから独立した(あるいは絶縁された)パターン部分を示す。またリードフレーム10a〜10cとは、伝熱樹脂層11から、前記櫛歯状の加工部を介して外の回路に接続可能なパターン部分を示す。
【0025】
図3(C)は、パワー素子の上面図であり、パワー素子14は樹脂モールドされた部分と、その両端に形成した端子15から形成されている。ここでパワー素子14は、例えばコンバーターやインバーター等のスイッチング素子(例えばパワートランジスタ)である。なお端子15の一部は、放熱を高めるためのダミー素子としても良い。
【0026】
図3(D)は、パワー素子の斜視図である。図3(D)において、パワー素子14はベアチップ(樹脂モールドされていない状態の半導体素子)である。図3(D)において、23はワイヤーであり、金やアルミニウムのワイヤーであり、ワイヤーボンダーで取り付けたものである。図3(D)に示すように、パワー素子14をベアチップとし、アルミニウム等のワイヤー23を用いることで、数十Aと言った大電流にも対応しながら高密度実装できる。なおワイヤー23の太さや本数を増加することで、更なる大電流に対応することができることは言うまでもない。そしてワイヤー23の一端をパワー素子14に、もう一端をリードフレーム10や浮島12に接続する。そしてリードフレーム10や浮島12に形成した突起部13を介して、パワー素子14と、制御回路を最短距離で接続する。次に図4を用いて、熱伝導基板の裏面について説明する。
【0027】
図4(A)、(B)は、本発明の実施の形態1における熱伝導基板の裏面図である。図4(A)において、金属板17には、一個以上の孔22を形成している。そしてその孔22の中に、制御素子16を実装したプリント配線板20を固定している(なお制御素子16やプリント配線板20を保護しているモールド樹脂21は図示していない)。また金属板17から突き出した、櫛歯状のリードフレーム10a〜10cは、熱伝導基板を他の基板に接続するためのリード配線となる部分である。図4(B)は、図4(A)から、制御素子16を外した状態を示す上面図である(なおプリント配線板20の表層に形成した銅箔からなる所定の配線パターンやソルダーレジスト等は図示していない)。プリント配線板20としては、市販のガラスエポキシ基板を使うことで、コストダウンや高信頼性が得られる。またプリント配線板20として、両面(あるいは多層)基板を使うことで、制御回路の小型化、高密度化が可能となる。なおプリント配線板20の厚みは、2.0mm以下が望ましい。厚みが2.0mmを超えると、金属板17の厚みをより厚くする必要があり、コストアップする可能性がある。そのためプリント配線板20の厚みは1.6mm以下(更に1.2mm以下、更に望ましくは0.6mm以下、更には0.3mm以下)が望ましい。なおプリント配線板20の厚みは0.05mm以上が望ましい。これはプリント配線板の厚みが0.05mm未満となると特殊で高価なものとなるためである。
【0028】
以上のように、一個以上の孔22を有する金属板17と、前記金属板17の上に固定したシート状の伝熱樹脂層11と、前記伝熱樹脂層11に埋め込んだ配線パターン状の、一部に突起部13を有するリードフレーム10と、前記金属板17の孔22の中に設置したプリント配線板20と、からなる熱伝導基板であって、前記プリント配線板20と、前記リードフレーム10が、前記突起部13によって電気的に接続している熱伝導基板を用いることで、制御回路におけるノイズの影響を抑えることでができ、機器の小型化、低コスト化を実現する。
【0029】
次に、実施の形態2として、実施の形態1で説明した放熱基板の製造方法について図面を用いて説明する。
【0030】
(実施の形態2)
次に実施の形態2として、実施の形態1で説明した放熱基板の製造方法について図面を用いて説明する。図5〜図8は放熱基板の製造方法の一例を説明するものである。
【0031】
図5(A)〜(D)は、放熱基板の製造方法を説明する上面図及び断面図である。図5(A)〜(D)において、24はフィルムである。まず、図5(A)に示すように、市販の銅板等を所定の配線パターンに打抜き、リードフレーム10a〜10cとする。このとき同時にその一部を加工し、突起部13とすることができる。図5(B)は、図5(A)の矢印19における断面図である。次に図5(C)に示すように、リードフレーム10a〜10cをフィルム24の表面に仮固定する。ここでフィルム24として、片面に接着層を有する樹脂フィルムを用いることができる。図5(D)は、図5(C)の矢印19における断面図である。次に図6を用いて、浮島12の形成について説明する。
【0032】
図6(A)〜(C)は、浮島を形成する様子を示す断面図、上面図である。図6(A)は、浮島を示す断面図である。図6(A)に示すように、浮島12の一部に、突起部13を形成する。図6(B)は、浮島の断面図であり、浮島12の一部を加工し、突起部13を形成したことが判る。次にこの浮島12を、図16(B)に示すように、リードフレーム10の間に露出したフィルム24の上に固定(あるいは仮止め)する。こうして図6(C)の状態とする。
【0033】
図7(A)、(B)は、リードフレームや浮島を、伝熱樹脂層を介して一体化する様子を示す断面図である。まず図7(A)に示すように、フィルム24の上に仮固定したリードフレーム10や浮島12の上に、伝熱樹脂層11をセットする。ここで伝熱樹脂層11をシート状とし、更にその中央部を若干膨らませて(厚くして)おくことで、伝熱樹脂層11とリードフレーム10や浮島12との界面に空気が残りにくくなる。図7(A)において、矢印19に示すように、シート状の伝熱樹脂層11を、リードフレーム10の一部である突起部13aや、浮島12の一部である突起部13bに突き刺すことで、伝熱樹脂層11を突き破っても良い。なお予めシート状の伝熱樹脂層11にドリルやレーザー等を用いて孔を形成しておいても良い。またこれらを一体化する際、金型(図示していない)を加熱することが望ましい。金型を加熱することで伝熱樹脂層11の流動性を高められる。
【0034】
そして図7(A)、(B)において、プリント配線板20は市販品(ソルダーレジスト等を形成し、配線の導通チェック等も完了した状態)を用いることができる。また所定の制御素子16を半田18等で実装したものを使っても良い。更にこれら制御素子16を実装した後、更にその上をモールド樹脂21で保護したものを使っても良い。このようにモールド樹脂21で保護することで、パワー素子14を半田付けするときに、制御素子16を固定する半田18が再溶解しても剥がれることはない。
【0035】
次に図7(B)に示すように、一個以上の孔22を有する金属板17や、プリント配線板20をセットし、矢印19で示すようにプレスし一体化する。なお図7(A)、(B)において、金型は図示していない。図8はこうして一体化した後の様子を示す図である。
【0036】
図8(A)〜(D)は、一体化後の様子を示す裏面図及び断面図である。図8(A)は一体化後の裏面図である。図8(A)において、フィルム24を一種の仮止め材として、この上にリードフレーム10a〜10cや浮島12が、伝熱樹脂層11に埋め込まれた状態で、一部に孔22を有する金属板17と共に一体化されていることが判る。そして金属板17に形成した孔22の内部には、プリント配線板20が埋め込まれている。
【0037】
図8(A)の矢印19における断面図が図8(B)に相当する。こうしてフィルム24を使うことで、リードフレーム10や浮島12が伝熱樹脂層11に埋め込まれた状態で、金属板17に固定する。また金属板17に形成した孔22の中では、リードフレーム10や浮島12と一体化した突起部13a、13bと、プリント配線板20とを接続する。図8(C)はフィルムを剥がした後の裏面図である。図8(D)は、図8(C)の矢印19における断面図である。このようにして、放熱基板を製造する。なお図8においてプリント配線板20の表面の、配線パターンやソルダーレジスト等は図示していない。そしてこの後リードフレーム10a〜10cの表面に、ソルダーレジスト等を形成し(ソルダーレジストを形成することで、リードフレーム10a〜10c表面での半田18の濡れ広がりをコントロールできる)、所定の特性検査を行った後、放熱基板として完成する。
【0038】
更に詳しく説明する。伝熱樹脂層11と、リードフレーム10a〜10cの表面は、更に同一面(望ましくは互いの段差50μm以下、更に望ましくは20μm以下、更には10μm未満)とすることで、ソルダーレジストの形成が容易となる。また伝熱樹脂層11とリードフレーム10a〜10cとの間の厚み段差が小さい分、ソルダーレジストの厚みバラツキを抑えられ、電子部品の実装性を高められる。
【0039】
また伝熱樹脂層11を形成する伝熱樹脂材料は、無機フィラー70重量%以上95重量%以下と、熱硬化性樹脂5重量%以上30重量%以下からなることが望ましい。ここで無機フィラーは略球形状で、その直径は0.1μm以上100μm以下が適当である(0.1μm未満の場合、樹脂への分散が難しくなる場合、また100μmを超えると伝熱樹脂層11の厚みが厚くなり熱拡散性に影響を与える)。そのため伝熱樹脂層11における無機フィラーの充填量は、熱伝導率を上げるために70から95重量%と高濃度に充填している。特に、本実施の形態では、無機フィラーは、平均粒径3μmと平均粒径12μmの2種類のアルミナを混合したものを用いている。この大小2種類の粒径のアルミナを用いることによって、大きな粒径のアルミナの隙間に小さな粒径のアルミナを充填できるので、アルミナを90重量%近くまで高濃度に充填できるものである。この結果、伝熱樹脂層11の熱伝導率は5W/(m・K)程度となる。なお無機フィラーとしてはアルミナの代わりに、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、酸化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、及び窒化アルミニウムからなる群から選択される少なくとも一種以上を含んでもよい。
【0040】
なお無機フィラーを用いると、放熱性を高められるが、特に酸化マグネシウムを用いると線熱膨張係数を大きくできる。また酸化ケイ素を用いると誘電率を小さくでき、窒化ホウ素を用いると線熱膨張係数を小さくできる。こうして伝熱樹脂層11としての熱伝導率が1W/(m・K)以上20W/(m・K)以下のものを形成することができる。なお熱伝導率が1W/(m・K)未満の場合、熱伝導基板の放熱性に影響を与える。また熱伝導率を20W/(m・K)より高くしようとした場合、フィラー量を増やす必要があり、プレス時の加工性に影響を与える場合がある。
【0041】
なお熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびシアネート樹脂の内、少なくとも1種類の樹脂を含んでいる。これらの樹脂は耐熱性や電気絶縁性に優れている。伝熱樹脂層11の厚みは、薄くすれば、リードフレーム10に装着した電子部品に生じた熱を金属板17に伝えやすいが、逆に絶縁耐圧が問題となり、厚すぎると、熱抵抗が大きくなるので、絶縁耐圧と熱抵抗を考慮して最適な厚さである50μm以上1000μm以下に設定すれば良い。
【0042】
次にリードフレーム10の材質について説明する。リードフレーム10の材質としては、銅を主体とするもの(例えば銅板)が望ましい。これは銅が熱伝導性と導電率が共に優れているためである。またリードフレーム10としての加工性や、熱伝導性を高めるためには、リードフレーム10となる銅素材に銅以外の少なくともSn、Zr、Ni、Si、Zn、P、Fe等の群から選択される少なくとも1種類以上の材料とからなる合金を使うことも可能である。例えばCuを主体として、ここにSnを加えた、銅材料(以下、Cu+Snとする)を用いることができる。Cu+Sn銅材料(あるいは銅合金)の場合、例えばSnを0.1重量%以上0.15重量%未満添加することで、その軟化温度を400℃まで高められる。比較のためSn無しの銅(Cu>99.96重量%)を用いて、リードフレーム10を作製したところ、導電率は低いが、出来上がった熱伝導基板において特に形成部等に歪が発生する場合があった。そこで詳細に調べたところ、その材料の軟化点が200℃程度と低いため、後の部品実装時(半田付け時)に変形する可能性可能性があることが予想された。一方、Cu+Sn>99.96重量%の銅系の材料を用いた場合、実装された各種部品の発熱の影響は特に受けなかった。また半田付け性やダイボンド性にも影響が無かった。そこでこの材料の軟化点を測定したところ、400℃であることが判った。このように、銅を主体として、いくつかの元素を添加することが望ましい。銅に添加する元素として、Zrの場合、0.015重量%以上0.15重量%の範囲が望ましい。添加量が0.015重量%未満の場合、軟化温度の上昇効果が少ない場合がある。また添加量が0.15重量%より多いと電気特性に影響を与える場合がある。また、Ni、Si、Zn、P等を添加することでも軟化温度を高くできる。この場合、Niは0.1重量%以上5重量%未満、Siは0.01重量%以上2重量%以下、Znは0.1重量%以上5重量%未満、Pは0.005重量%以上0.1重量%未満が望ましい。そしてこれらの元素は、この範囲で単独、もしくは複数を添加することで、銅素材の軟化点を高くできる。なお添加量がここで記載した割合より少ない場合、軟化点上昇効果が低い場合がある。またここで記載した割合より多い場合、導電率への影響の可能性がある。同様に、Feの場合0.1重量%以上5重量%以下、Crの場合0.05重量%以上1重量%以下が望ましい。これらの元素の場合も前述の元素と同様である。
【0043】
なおリードフレーム10に使う銅材料の引張り強度は、600N/平方mm以下が望ましい。引張り強度が600N/平方mmを超える材料の場合、リードフレーム10の加工性に影響を与える場合がある。一方、引張り強度が600N/平方mm以下(更にリードフレーム10に微細で複雑な加工が必要な場合、望ましくは400N/平方mm以下)とすることでスプリングバック(必要な角度まで曲げても圧力を除くと反力によってはねかえってしまうこと)の発生を抑えられ、形成精度を高められる。このようにリードフレーム材料としては、Cuを主体とすることで導電率を下げられ、更に柔らかくすることで加工性を高められ、更にリードフレーム10による放熱効果も高められる。なおリードフレーム10に使う銅合金の引張り強度は、10N/平方mm以上が望ましい。これは一般的な鉛フリー半田の引張り強度(30〜70N/平方mm程度)に対して、リードフレーム10に用いる銅合金はそれ以上の強度が必要なためである。リードフレーム10に用いる銅合金の引張り強度が、10N/平方mm未満の場合、リードフレーム10上に電子部品等を半田付け実装する場合、半田部分ではなくてリードフレーム10部分で凝集破壊する可能性がある。
【0044】
なおリードフレーム10の、伝熱樹脂層11から露出している面(電子部品等の実装面)に、予め半田付け性を改善するように半田層や錫層を形成しておくことも有用である。なおリードフレーム10の伝熱樹脂層11に接する面(もしくは埋め込まれた面)には、半田層は形成しないことが望ましい。このように伝熱樹脂層11と接する面に半田層や錫層を形成すると、半田付け時にこの層が柔らかくなり、リードフレーム10と伝熱樹脂層11の接着性(もしくは結合強度)に影響を与える場合がある。金属板17としては、熱伝導の良いアルミニウム、銅またはそれらを主成分とする合金からできている。特に、本実施の形態では、金属板17の厚みを1mmとしているが、その厚みは製品仕様に応じて設計できる(なお金属板17の厚みが0.1mm以下の場合、放熱性や強度的に不足する可能性がある。また金属板17の厚みが50mmを超えると、重量面で不利になる)。金属板17としては、単なる板状のものだけでなく、より放熱性を高めるため、伝熱樹脂層11を積層した面とは反対側の面に、表面積を広げるためにフィン部(あるいは凹凸部)を形成しても良い。全膨張係数は8〜20ppm/℃としており、本発明の熱伝導基板や、これを用いた電源ユニット全体の反りや歪みを小さくできる。またこれらの部品を表面実装する際、互いに熱膨張係数をマッチングさせることは信頼性的にも重要となる。
【0045】
このようにして、一個以上の孔22を有する金属板17と、前記金属板17の上に固定したシート状の伝熱樹脂層11と、前記伝熱樹脂層11に埋め込んだ配線パターン状の、一部に突起部13を有するリードフレーム10と、前記金属板17の孔22の中に設置したプリント配線板20と、からなる熱伝導基板であって、前記プリント配線板20と、前記リードフレーム10とが、前記突起部13によって電気的に接続している熱伝導基板を提供することで、前記リードフレーム10の上に実装したパワー素子14と、プリント配線板20の上に実装した制御素子16の接続配線の長さを短くできるため、前記パワー素子14のスイッチングによって発生するノイズの影響を受けにくくでき、基板の投影床面積を小さくでき、機器の小型化、低コスト化に貢献できる。
【0046】
また少なくとも一個以上の孔22を有する金属板17と、前記金属板17の上に固定したシート状の伝熱樹脂層11と、前記伝熱樹脂層11に埋め込んだ配線パターン状の、一部に突起部13を有するリードフレーム10と、前記伝熱樹脂層11に埋め込んだ浮島12と、前記金属板17の孔22の中に設置したプリント配線板20と、からなる熱伝導基板であって、前記リードフレーム10の突起部13が、前記伝熱樹脂層11を貫通して前記プリント配線板20に電気的に接続している熱伝導基板を提供することで、前記リードフレーム10の上に実装したパワー素子14と、プリント配線板20の上に実装した制御素子16の接続配線の長さを短くできるため、前記パワー素子14のスイッチングによって発生するノイズの影響を受けにくくでき、基板の投影床面積を小さくでき、機器の小型化、低コスト化に貢献できる。
【0047】
また、少なくとも、一個以上の孔22を有する金属板17と、前記金属板17の上に固定したシート状の伝熱樹脂層11と、前記伝熱樹脂層11に埋め込んだ配線パターン状のリードフレーム10と、前記伝熱樹脂層11に埋め込んだ、一部に突起部13を有する浮島12と、からなる熱伝導基板であって、前記浮島12の突起部13が、前記伝熱樹脂層11を貫通して前記プリント配線板20に電気的に接続している熱伝導基板を提供することで、前記リードフレーム10の上に実装したパワー素子14と、プリント配線板20の上に実装した制御素子16の接続配線の長さを短くできるため、前記パワー素子14のスイッチングによって発生するノイズの影響を受けにくくでき、基板の投影床面積を小さくでき、機器の小型化、低コスト化に貢献できる。
【0048】
同様に少なくとも、一個以上の孔22を有する金属板17と、前記金属板17の上に固定された樹脂とフィラーとからなるシート状の伝熱樹脂層11と、前記伝熱樹脂層11に埋め込んだ配線パターン状の、一部に突起部13を有するリードフレーム10と、前記伝熱樹脂層11に埋め込んだ、一部に突起部13を有する浮島12と、前記金属板17の孔22の中に固定されたプリント配線板20と、からなる熱伝導基板であって、前記浮島12とリードフレーム10の突起部13が、共に前記伝熱樹脂層11を貫通して前記プリント配線板20に電気的に接続している熱伝導基板を提供することで、前記リードフレーム10の上に実装したパワー素子14と、プリント配線板20の上に実装した制御素子16の接続配線の長さを短くできるため、前記パワー素子14のスイッチングによって発生するノイズの影響を受けにくくでき、基板の投影床面積を小さくでき、機器の小型化、低コスト化に貢献できる。
【0049】
同様に少なくとも、一部に突起部13を有するリードフレーム10もしくは浮島12を、フィルム24に貼り付ける工程と、シート状の伝熱樹脂層11と、一個以上の孔22を有する金属板17とを、前記フィルム24のリードフレーム10もしくは浮島12の貼り付けた面の上に、セットする工程と、前記伝熱樹脂層11の一部を、前記リードフレーム10もしくは浮島12の突起部13で突き破る工程と、金型を用いて、加熱・加圧して積層体を形成する工程と、前記リードフレーム10もしくは浮島12の突起部13と、プリント配線板20とを、電気的に接続する工程と、を有する熱伝導基板の製造方法を提供することで、前記リードフレーム10の上に実装したパワー素子14と、プリント配線板20の上に実装した制御素子16の接続配線の長さを短くできるため、前記パワー素子14のスイッチングによって発生するノイズの影響を受けにくくでき、基板の投影床面積を小さくでき、機器の小型化、低コスト化に貢献できる。
【0050】
少なくとも、一個以上の孔22を有する金属板17と、前記金属板17の上に固定したシート状の伝熱樹脂層11と、前記伝熱樹脂層11に埋め込んだ配線パターン状のリードフレーム10と、前記金属板17の孔22の中に固定したプリント配線板20と、からなる熱伝導基板であって、前記リードフレーム10に形成した突起部13が、前記伝熱樹脂層11を貫通して前記プリント配線板20に電気的に接続した熱伝導基板を用いた電源ユニットを提供することで、前記リードフレーム10の上に実装したパワー素子14と、プリント配線板20の上に実装した制御素子16の接続配線の長さを短くできるため、前記パワー素子14のスイッチングによって発生するノイズの影響を受けにくくでき、基板の投影床面積を小さくでき、機器の小型化、低コスト化に貢献できる。
【0051】
少なくとも、一個以上の孔22を有する金属板17と、前記金属板17の上に固定したシート状の伝熱樹脂層11と、前記伝熱樹脂層11に埋め込んだ配線パターン状のリードフレーム10と、前記金属板17の孔22の中に固定したプリント配線板20と、浮島12と、からなる熱伝導基板であって、前記リードフレーム10と前記浮島12の両方に、あるいは前記リードフレーム10もしくは前記浮島12のいずれかに、形成した突起部13が、前記伝熱樹脂層11を貫通して前記プリント配線板20に電気的に接続した熱伝導基板を用いた電源ユニットを提供することで、前記リードフレーム10の上に実装したパワー素子14と、プリント配線板20の上に実装した制御素子16の接続配線の長さを短くできるため、前記パワー素子14のスイッチングによって発生するノイズの影響を受けにくくでき、基板の投影床面積を小さくでき、機器の小型化、低コスト化に貢献できる。
【0052】
少なくとも、一個以上の孔22を有する金属板17と、前記金属板17の上に固定したシート状の伝熱樹脂層11と、前記伝熱樹脂層11に埋め込んだ配線パターン状のリードフレーム10と、前記金属板17の孔22の中に固定したプリント配線板20と、からなる熱伝導基板であって、前記リードフレーム10上に形成した突起部13が、前記伝熱樹脂層11を貫通して前記プリント配線板20に電気的に接続した熱伝導基板を用いた電子機器を提供することで、前記リードフレーム10の上に実装したパワー素子14と、プリント配線板20の上に実装した制御素子16の接続配線の長さを短くできるため、前記パワー素子14のスイッチングによって発生するノイズの影響を受けにくくでき、基板の投影床面積を小さくでき、機器の小型化、低コスト化に貢献できる。
【0053】
少なくとも、一個以上の孔22を有する金属板17と、前記金属板17の上に固定したシート状の伝熱樹脂層11と、前記伝熱樹脂層11に埋め込んだ配線パターン状のリードフレーム10と、前記金属板17の孔22の中に固定したプリント配線板20と、浮島12と、からなる熱伝導基板であって、前記リードフレーム10と浮島12の両方に、あるいは前記リードフレーム10もしくは前記浮島12のいずれかに、形成した突起部13が、前記伝熱樹脂層11を貫通して前記プリント配線板20に電気的に接続した熱伝導基板を用いた電子機器を提供することで、前記リードフレーム10の上に実装したパワー素子14と、プリント配線板20の上に実装した制御素子16の接続配線の長さを短くできるため、前記パワー素子14のスイッチングによって発生するノイズの影響を受けにくくでき、基板の投影床面積を小さくでき、機器の小型化、低コスト化に貢献できる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
以上のように、本発明にかかる熱伝導基板とその製造方法及び電源ユニット及び電子機器を、各種PDP(プラズマディスプレイパネル)や電装用、産業用の大電力回路等に適用することによって、機器の小型化、高性能化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】(A)、(B)は、本発明の実施の形態1における熱伝導基板の断面図
【図2】(A)、(B)は、実施の形態1で説明する熱伝導基板を、底部側から(ひっくり返して)見た斜視図
【図3】(A)〜(D)は、本発明の実施の形態1における熱伝導基板の上面図と、熱伝導基板に実装するパワー素子の上面図及び斜視図
【図4】(A)、(B)は、本発明の実施の形態1における熱伝導基板の裏面図
【図5】(A)〜(D)は、放熱基板の製造方法を説明する上面図及び断面図
【図6】(A)〜(C)は、浮島を形成する様子を示す断面図、上面図
【図7】(A)、(B)は、リードフレームや浮島を、伝熱樹脂層を介して一体化する様子を示す断面図
【図8】(A)〜(D)は、一体化後の様子を示す裏面図及び断面図
【図9】(A)、(B)は、従来の熱伝導基板を示す上面図
【符号の説明】
【0056】
10 リードフレーム
11 伝熱樹脂層
12 浮島
13 突起部
14 パワー素子
15 端子
16 制御素子
17 金属板
18 半田
19 矢印
20 プリント配線板
21 モールド樹脂
22 孔
23 ワイヤー
24 フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一個以上の孔を有する金属板と、
前記金属板の上に固定したシート状の伝熱樹脂層と、
前記伝熱樹脂層に埋め込んだ配線パターン状の、一部に突起部を有するリードフレームと、
前記金属板の孔の中に設置したプリント配線板と、
からなる熱伝導基板であって、
前記プリント配線板と、前記リードフレームとが、前記突起部によって電気的に接続している熱伝導基板。
【請求項2】
前記プリント配線板の表面に、複数個の電子部品を実装し、
前記電子部品及びプリント配線板の一部分以上を、モールド樹脂で保護した請求項1記載の熱伝導基板。
【請求項3】
前記プリント配線板の表面に、複数個の電子部品を実装し、
前記電子部品及びプリント配線板の一部分以上を、モールド樹脂が前記前記金属板から突き出ない厚み範囲内で覆った請求項1記載の熱伝導基板。
【請求項4】
伝熱樹脂層は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、及びイソシアネート樹脂からなる群から選択される少なくとも一種類以上の樹脂を含む請求項1記載の熱伝導基板。
【請求項5】
無機フィラーは、アルミナ、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、酸化ケイ素、炭化ケイ素、窒化珪素及び窒化アルミニウムからなる群から選択される少なくとも一種を含む請求項1記載の熱伝導基板。
【請求項6】
リードフレームは、Snは0.1重量%以上0.15重量%以下、Zrは0.015重量%以上0.15重量%以下、Niは0.1重量%以上5重量%以下、Siは0.01重量%以上2重量%以下、Znは0.1重量%以上5重量%以下、Pは0.005重量%以上0.1重量%以下、Feは0.1重量%以上5重量%以下である群から選択される少なくとも一種以上を含む、銅を主体とする金属材料である請求項1記載の熱伝導基板。
【請求項7】
少なくとも、
一個以上の孔を有する金属板と、
前記金属板の上に固定したシート状の伝熱樹脂層と、
前記伝熱樹脂層に埋め込んだ配線パターン状の、一部に突起部を有するリードフレームと、
前記伝熱樹脂層に埋め込んだ浮島と、
前記金属板の孔の中に設置したプリント配線板と、
からなる熱伝導基板であって、
前記リードフレームの突起部が、前記伝熱樹脂層を貫通して前記プリント配線板に電気的に接続している熱伝導基板。
【請求項8】
少なくとも、
個以上の孔を有する金属板と、
前記金属板の上に固定したシート状の伝熱樹脂層と、
前記伝熱樹脂層に埋め込んだ配線パターン状のリードフレームと、
前記伝熱樹脂層に埋め込んだ、一部に突起部を有する浮島と、
からなる熱伝導基板であって、
前記浮島の突起部が、前記伝熱樹脂層を貫通して前記プリント配線板に電気的に接続している熱伝導基板。
【請求項9】
少なくとも、
一個以上の孔を有する金属板と、
前記金属板の上に固定された樹脂とフィラーとからなるシート状の伝熱樹脂層と、
前記伝熱樹脂層に埋め込んだ配線パターン状の、一部に突起部を有するリードフレームと、
前記伝熱樹脂層に埋め込んだ、一部に突起部を有する浮島と、
前記金属板の孔の中に固定されたプリント配線板と、
からなる熱伝導基板であって、
前記浮島とリードフレームの突起部が、共に前記伝熱樹脂層を貫通して前記プリント配線板に電気的に接続している熱伝導基板。
【請求項10】
少なくとも、一部に突起部を有するリードフレームもしくは浮島を、フィルムに貼り付ける工程と、
シート状の伝熱樹脂層と、一個以上の孔を有する金属板とを、前記フィルムのリードフレームもしくは浮島の貼り付けた面の上に、セットする工程と、
前記伝熱樹脂層の一部を、前記リードフレームもしくは浮島の突起部で突き破る工程と、
金型を用いて、加熱・加圧して積層体を形成する工程と、
前記リードフレームもしくは浮島の突起部と、プリント配線板とを、電気的に接続する工程と、
を有する熱伝導基板の製造方法。
【請求項11】
少なくとも、
一個以上の孔を有する金属板と、
前記金属板の上に固定したシート状の伝熱樹脂層と、
前記伝熱樹脂層に埋め込んだ配線パターン状のリードフレームと、
前記金属板の孔の中に固定したプリント配線板と、
からなる熱伝導基板であって、
前記リードフレームに形成した突起部が、前記伝熱樹脂層を貫通して前記プリント配線板に電気的に接続した熱伝導基板を用いた電源ユニット。
【請求項12】
少なくとも、
一個以上の孔を有する金属板と、
前記金属板の上に固定したシート状の伝熱樹脂層と、
前記伝熱樹脂層に埋め込んだ配線パターン状のリードフレームと、
前記金属板の孔の中に固定したプリント配線板と、
浮島と、からなる熱伝導基板であって、
前記リードフレームと前記浮島の両方に、あるいは前記リードフレームもしくは前記浮島のいずれかに、形成した突起部が、前記伝熱樹脂層を貫通して前記プリント配線板に電気的に接続した熱伝導基板を用いた電源ユニット。
【請求項13】
少なくとも、
一個以上の孔を有する金属板と、
前記金属板の上に固定したシート状の伝熱樹脂層と、
前記伝熱樹脂層に埋め込んだ配線パターン状のリードフレームと、
前記金属板の孔の中に固定したプリント配線板と、
からなる熱伝導基板であって、
前記リードフレーム上に形成した突起部が、前記伝熱樹脂層を貫通して前記プリント配線板に電気的に接続した熱伝導基板を用いた電子機器。
【請求項14】
少なくとも、
一個以上の孔を有する金属板と、
前記金属板の上に固定したシート状の伝熱樹脂層と、
前記伝熱樹脂層に埋め込んだ配線パターン状のリードフレームと、
前記金属板の孔の中に固定したプリント配線板と、
浮島と、からなる熱伝導基板であって、
前記リードフレームと浮島の両方に、あるいは前記リードフレームもしくは前記浮島のいずれかに、形成した突起部が、前記伝熱樹脂層を貫通して前記プリント配線板に電気的に接続した熱伝導基板を用いた電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−21819(P2008−21819A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−192319(P2006−192319)
【出願日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】