結晶核マスク、結晶核マスクの製造方法、多結晶シリコン層の製造方法、半導体装置、ならびに電気光学装置
【課題】結晶核形成を促進する触媒物質をα−Siに点状に付着させるための結晶核マスクを形成する場合に、単結晶シリコン基板を用いて、結晶面に沿って突起状の構造を形成し、その先端に触媒物質を付着させる工程を用いて製造した場合、直径30cm程度が限度の単結晶シリコン基板以上の面積を有する、α−Si層に、この転写用基板を用いて押圧転写することは困難であるという課題がある。
【解決手段】ガラス基板10上のα−Si層にエキシマレーザー光を照射して、規則的配列を備える突起部13を配置し、突起部13を覆うように触媒金属層を配置して結晶核マスク1を構成する。ガラス基板10は対角1m以上の基板が容易に入手できることから、大型(対角1m程度)の被転写基板21に対しても結晶核形成を促進する触媒物質をα−Siに点状に付着させることが可能となる。
【解決手段】ガラス基板10上のα−Si層にエキシマレーザー光を照射して、規則的配列を備える突起部13を配置し、突起部13を覆うように触媒金属層を配置して結晶核マスク1を構成する。ガラス基板10は対角1m以上の基板が容易に入手できることから、大型(対角1m程度)の被転写基板21に対しても結晶核形成を促進する触媒物質をα−Siに点状に付着させることが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結晶核マスク、結晶核マスクの製造方法、多結晶シリコン層の製造方法、半導体装置、ならびに電気光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス(EL)装置や液晶表示装置を制御する素子として薄膜トランジスタ(TFT)等が開発されてきている。アモルファスシリコン層を用いたTFTは、移動度を大きくすることが困難であり、多結晶シリコン層を用いたTFTが用いられるようになってきている。
【0003】
TFTに好適に用いられている多結晶シリコン層は、アブレーションを避けるべく、脱水素化したアモルファスシリコン層にKrFや、XeCl、ArF等のエキシマレーザー光を照射し、再結晶化させることで形成する方法が知られている。
【0004】
この方法は特許文献1に記載されているように、まず転写用単結晶シリコン基板をKOH等の異方性エッチング液を用いてエッチングを施し、突起状の構造を形成して後、結晶化を促進する触媒金属を付着させて転写用基板(本実施形態では結晶核マスクと呼称している)を形成する。そして、ガラス基板の表層部側に形成した、脱水素化したアモルファスシリコン層を転写用基板と押圧し、アモルファスシリコン層に触媒金属を付着させる。続けて、400℃〜700℃程度の熱を印加して結晶核領域を形成し、レーザー光を用いた熔融/再結晶化等の手段を用いて多結晶シリコン層を形成する方法である。この方法を用いることで、結晶起点が制御され、大型かつ均一な粒径を有する多結晶シリコン層を得ることを可能としている。
【0005】
【特許文献1】特開2006−216658号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した転写用基板は、結晶面に沿って突起状の構造を形成するため、単結晶シリコン基板を用いることが必須となる。そのため、単結晶シリコン基板以上の面積を有する、たとえばガラス基板上に形成されたアモルファスシリコン層に、この転写用基板を用いて押圧転写することは困難である。単結晶シリコン基板は高々30cm程度の直径のものしか入手できないが、ガラス基板の方は、対角1mを超える寸法の基板も用いられており、大面積で結晶起点が制御された多結晶シリコン層を得ることが困難であるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]本適用例にかかる結晶核マスクは、ガラス基板の表層部側に、シリコン層の結晶化を促進する触媒物質を含む突起部を有する触媒物質層を備えることを特徴とする。
【0009】
これによれば、ガラス基板の表層部側に備えられた突起形状を有する触媒物質層から被転写シリコン層に、シリコン層の結晶化を促進する触媒物質を供給することが可能となる。ガラスは平坦かつ大面積(たとえば対角1m以上)の板を得ることができるため、被転写シリコン層を備えた基板の大型化に対して容易に対応することが可能となる。
【0010】
[適用例2]上記適用例にかかる結晶核マスクであって、前記突起部の寸法を、該突起部を前記シリコン層に接触させた時の接触領域の直径が0.02μm以上0.25μm以下となるように揃えたことを特徴とする。
【0011】
上記した適用例によれば、触媒物質が付着する領域の直径を0.02μm以上とすることで、結晶核マスクの突起部にかかる圧力を抑え、突起部の損傷発生を抑制することが可能となる。また、0.25μm以下に抑えることで、触媒物質の過剰な供給を抑制することが可能となる。
【0012】
[適用例3]上記適用例にかかる結晶核マスクであって、前記触媒物質層は、ゲルマニウム、ニッケル、コバルト、白金、パラジウム、タングステンの内の、少なくとも一種類以上の物質を含むことを特徴とする。
【0013】
上記した適用例によれば、被転写シリコン層へは、触媒物質層を介して触媒物質が供給される。そして、触媒物質が供給された領域では、シリコンゲルマニウム、またはシリサイドが形成される。シリコンゲルマニウム、またはシリサイドはシリコン層中で結晶核として結晶化を促進させる。この結晶化手段を用いることで、結晶核の起点を制御することが可能となる。そのため、この結晶核マスクを用いることで被転写基板内での面内均一性を向上させた多結晶シリコン層を得ることが可能となる。
【0014】
[適用例4]上記適用例にかかる結晶核マスクであって、前記ガラス基板と前記触媒物質層との間に前記突起部の位置と対応する下地突起部を備えた緩衝シリコン層を挟むことを特徴とする。
【0015】
上記した適用例によれば、ゲルマニウム、ニッケル、コバルト、白金、パラジウム、タングステンとガラス基板との熱膨張係数との差は大きい。ガラス基板とシリコン層とは熱膨張係数が近いため、シリコン層を緩衝層として形成することで、反り等が少ない結晶核マスクを提供することが可能となる。また、熱膨張係数が近い物質で下地突起部を構成することで、応力の影響を避けることができ、ガラス基板面内で、信頼性の高い突起部を得ることが可能となる。
【0016】
[適用例5]上記適用例にかかる結晶核マスクであって、前記突起部の高さは10nm以上60nm以下であることを特徴とする。
【0017】
上記した適用例によれば、突起部の高さが10nm以上あれば、被転写基板に対して点状に触媒物質を付着させることができる。また、60nm以下であれば、突起部が折れる損傷を抑制することが可能となる。
【0018】
[適用例6]上記適用例にかかる結晶核マスクであって、前記ガラス基板に対する平面視にて、一連なりの外形を有する突起島上に前記突起部は配置されてなり、かつ前記突起島は前記ガラス基板表層部側に互いに分離した状態、または前記突起島間の一部が他の突起島と接続された状態にあることを特徴とする。
【0019】
上記した適用例によれば、突起部を含む突起島が分離、または一部で他の突起島と接続されている。そのため、ガラス基板上に配置される突起島間にガラス基板に対する平面視にて、触媒物質層に空きが生じる。そのため、ガラス基板が受ける触媒物質層からの応力は空きの分だけ減少する。そのため、ガラス基板の反りの発生等を抑制することが可能となる。
【0020】
[適用例7]本適用例にかかる結晶核マスクの製造方法は、ガラス基板の表層部側にマスク層前駆体としてシリコン層を形成する工程と、前記マスク層前駆体にレーザー光を照射し前記マスク層前駆体を、前記レーザー光の波長と揃えられたピッチで配置される凸部を含む、多結晶シリコン層を備えたマスク層に改質する工程と、前記マスク層における前記凸部の段差を残して、シリコン層の結晶化を促進する触媒物質を含む触媒物質層を堆積し、前記触媒物質を含む突起部を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【0021】
これによれば、レーザー光の波長と揃えられたピッチで凸部を形成することが可能となる。ピッチが揃えられる機構は未だ検証されていないが、レーザー光学系を通る際に生じるレーザー光の干渉によりピッチが揃えられるものと考えられている。この製造方法を用いることで、フォトリソグラフ工程を用いることなく被転写シリコン層に結晶化を促進する触媒物質を点状に供給する突起部を形成することが可能となる。たとえばレーザー光として、XeClエキシマレーザー(波長0.3μm)を用いた場合には、約0.3μmピッチで凸部が形成される。結晶化を促進する触媒物質を含む触媒物質層を堆積することで、被転写シリコン層にアニールを施すことで結晶化される起点となる触媒物質を、点状に供給する突起部を形成することができる。このピッチで孤立パターンを作ることは現時点でのフォトリソグラフ工程では著しく困難であるが、この製造方法を用いることで、容易に微細な突起部を形成することが可能となる。
【0022】
[適用例8]本適用例にかかる結晶核マスクの製造方法は、ガラス基板の表層部側に、シリコン層の結晶化を促進する触媒物質となるゲルマニウム、または触媒物質としてのゲルマニウムを含むシリコンを用いたマスク層前駆体を形成する工程と、前記マスク層前駆体にレーザー光を照射し前記マスク層前駆体を、前記レーザー光の波長と揃えられたピッチで配置される突起部を含む、多結晶ゲルマニウム層またはシリコンゲルマニウム層を備えたマスク層に改質する工程と、を含むことを特徴とする。
【0023】
これによれば、レーザー光の波長と揃えられたピッチで突起部を形成することが可能となる。ピッチが揃えられる機構は未だ検証されていないが、レーザー光学系を通る際に生じるレーザー光の干渉によりピッチが揃えられるものと考えられている。この製造方法を用いることで、フォトリソグラフ工程を用いることなく被転写シリコン層に結晶化を促進する触媒物質となるゲルマニウムを点状に供給する突起部を形成することが可能となる。たとえばレーザー光として、XeClエキシマレーザー(波長0.3μm)を用いた場合には、約0.3μmピッチで被転写シリコン層に結晶化を促進するゲルマニウムを供給する突起部が形成される。このピッチで孤立パターンを作ることは現時点でのフォトリソグラフ工程では著しく困難であるが、この製造方法を用いることで、容易に微細な突起部を形成することが可能となる。
【0024】
[適用例9]上記適用例にかかる結晶核マスクの製造方法であって、前記触媒物質層は、ゲルマニウム、ニッケル、コバルト、白金、パラジウム、タングステンの内の、少なくとも一種類以上の物質を含むことを特徴とする。
【0025】
上記した適用例によれば、被転写シリコン層と触媒物質層に含まれる触媒物質とが反応してシリコンゲルマニウム、またはシリサイドが形成される。シリコンゲルマニウム、またはシリサイドはシリコン層中で結晶核として結晶化を促進させるため、アニールを行う際に、この結晶核を起点として被転写シリコン層の結晶化が行われる。この場合、結晶核の起点が制御される。そのため、被転写基板内での面内均一性を向上させた多結晶シリコン層を得ることを可能とする結晶核マスクの製造方法が提供される。
【0026】
[適用例10]上記適用例にかかる結晶核マスクの製造方法であって、前記マスク層前駆体の一部を前記マスク層に改質する前に、一連なりの外形を有する島状の突起島として互いに分離された状態、または前記突起島の一部が他の突起島と接続された状態に加工する工程をさらに含むことを特徴とする。
【0027】
上記した適用例によれば、突起島毎に突起は独立して形成される。そのため、他の領域の影響を避けて突起を形成することが可能となり、ガラス基板面内で突起分布均一性が高い突起分布を得ることが可能となる。
【0028】
[適用例11]上記適用例にかかる結晶核マスクの製造方法であって、前記マスク層の一部を、一連なりの外形を有する島状の突起島として互いに分離された状態、または前記突起島の一部が他の突起島と接続された状態に加工する工程をさらに含むことを特徴とする。
【0029】
上記した適用例によれば、一旦マスク層を形成してから突起島を形成する。そのため、レーザー光による再結晶化を、均一にマスク層がある状態で行うことが可能となる。そのため、突起部密度を突起島内で揃えることが容易となる。
【0030】
[適用例12]上記適用例にかかる結晶核マスクの製造方法であって、前記触媒物質層が形成された前記マスク層の一部を、一連なりの外形を有する島状の突起島として互いに分離された状態、または前記突起島の一部が他の突起島と接続された状態に加工する工程をさらに含むことを特徴とする。
【0031】
上記した適用例によれば、触媒物質層のパターニングも含めて島状の突起島が形成される。触媒物質層とガラス基板との間には大きな応力が発生する場合があるが、触媒物質層を含めてパターニングすることで、触媒物質層の面積を低減することができ、ガラス基板の反りを抑制することが可能となる。
【0032】
[適用例13]本適用例にかかる多結晶シリコン層の製造方法は、ガラス基板の表層部側に、被転写基板に配置された被転写シリコン層の結晶化を促進する触媒物質を含み、前記被転写シリコン層に前記触媒物質を供給する突起部を有する触媒物質層を備えた結晶核マスクを用い、前記突起部を前記被転写シリコン層に直接接触させる、または前記突起部を前記被転写シリコン層と触れる領域に直接接触させる、または前記突起部を前記触媒物質を拡散させて前記被転写シリコン層に供給し得る拡散層に接触させることで前記被転写シリコン層に前記触媒物質を供給した後、前記被転写シリコン層を400℃以上700℃以下の温度でアニールし、結晶化起点を形成し、前記結晶化起点から結晶化を行うべく、レーザー光を照射し、前記被転写シリコン層を多結晶シリコン層へと改質することを特徴とする。
【0033】
これによれば、ガラス基板の表層部側に備えられた突起形状をなす触媒物質層から被転写シリコン層に、シリコン層の結晶化を促進する触媒物質を供給することが可能となる。ガラスは平坦かつ大面積(たとえば対角1m以上)の板を得ることができるため、被転写シリコン層を備えた基板の大型化に対して容易に対応することが可能となる。
【0034】
[適用例14]本適用例にかかる半導体装置は、ガラス基板の表層部側に、被転写基板に配置された被転写シリコン層の結晶化を促進する触媒物質を含み、前記被転写シリコン層に前記触媒物質を供給する突起部を有する触媒物質層を備えた結晶核マスクを用い、前記突起部を前記被転写シリコン層に直接接触させる、または前記突起部を前記被転写シリコン層と触れる領域に直接接触させる、または前記突起部を前記触媒物質を拡散させて前記被転写シリコン層に供給し得る拡散層に接触させることで前記被転写シリコン層に前記触媒物質を供給した後、前記被転写シリコン層を400℃以上700℃以下の温度でアニールし、結晶化起点を形成し、前記結晶化起点から結晶化を行うべく、レーザー光を照射し、前記被転写シリコン層から改質された多結晶シリコン層を用いたことを特徴とする。
【0035】
これによれば、ガラス基板の表層部側に備えられた突起形状をなす触媒物質層から被転写シリコン層に、シリコン層の結晶化を促進する触媒物質の供給を受け、結晶粒径が揃えられた多結晶シリコン層が得られるため、電気的特性の分布が少ない半導体装置を提供することが可能となる。
【0036】
[適用例15]本適用例にかかる電気光学装置は、上記した半導体装置を備えたことを特徴とする。
【0037】
これによれば、電気的特性の分布が少ない半導体装置を用いて電気光学装置を構成できるため、均一性に優れ、視覚的なむらの発生を抑えた電気光学装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
(第1実施形態:結晶核マスクの構成)
以下、第1実施形態について図面を用いて説明する。図1(a)は、本実施形態にかかる結晶核マスクの平面図、図1(b)は、結晶核マスクのA−A’線断面図、図1(c)は、被転写基板へ結晶核マスクを押圧した状態を示すA−A’線断面図に対応する断面図である。結晶核マスク1は、ガラス基板10、緩衝シリコン層11、ガラス基板10と緩衝シリコン層11との密着性を確保するための酸化珪素層10A、緩衝シリコン層11と同じ物質を用いた下地突起部11A、ニッケルを触媒物質として用いた触媒物質層12、下地突起部11Aに対応する部分に設けられた突起部13と、を含む。ここで、触媒物質層12としては、ゲルマニウム、ニッケル、コバルト、白金、パラジウム、タングステンの内の、少なくとも一種類以上の物質を含む触媒物質を用いることが可能である。ここでは、触媒効果が高いニッケルを触媒物質として用いた例について説明する。なお、酸化珪素層10Aに代えて、酸窒化珪素(酸素0%、窒素0%を含む)層を用いても良い。さらには、アルミナ等のセラミック材料を用いても良い。
【0039】
ガラス基板10は、酸化珪素層10A、緩衝シリコン層11、緩衝シリコン層11と同じ物質を用いた下地突起部11A、ニッケルを触媒物質として用いた触媒物質層12を支持する機能を有している。酸化珪素層10Aは、緩衝シリコン層11のガラス基板10への付着状況を安定化させる機能を有している。ガラス基板10は容易に大型化(たとえば対角1m程度)することが可能であり、大型の被転写基板21を用いた場合でも対応が可能となる。緩衝シリコン層11は、触媒物質層12と、ガラス基板10、酸化珪素層10Aとの直接の接触を防ぎ、応力の差に起因するガラス基板10の反り等を抑制する機能を有している。下地突起部11Aは、たとえば30nm程度から50nm程度の高さを有し、被転写基板21と点接触を可能としている。触媒物質層12は、緩衝シリコン層11、下地突起部11Aを覆うよう配置されている。下地突起部11Aを覆う位置には、突起部13が形成される。触媒物質層12は5nm以上30nm以下の層厚を備えている。5nm以上の層厚を備えることで、突起部13頂部での剥がれを抑制することができる。また、30nm以下の層厚を備えることで、下地突起部11Aの段差を残して突起部13を構成することができる。突起部13の高さは10nm以上60nm以下であることが好適で、突起部13の高さが10nm以上あれば、被転写基板21に対して点状に触媒物質を付着させることができる。また、60nm以下であれば、突起部13が折れる損傷を抑制することが可能となる。また、図1(b)に示すように、突起部13の形状を先端が楕円状に潰れた円錐状の形状とすることで、突起部13の強度を高めることも好適である。
【0040】
被転写基板21は、ガラス基板20、多結晶シリコン層前駆体22A、ガラス基板20と多結晶シリコン層前駆体22Aとの密着性を確保するための酸化珪素層20Aと、を含む。結晶核マスク1と多結晶シリコン層前駆体22Aとを押圧することで、突起部13は多結晶シリコン層前駆体22Aと接触し、結晶化起点が形成される。ここで、突起部13と多結晶シリコン層前駆体22Aとの間の接触面の直径は、0.02μm以上0.25μm以下の範囲にあることが好ましい。触媒物質が付着する領域の直径を0.02μm以上とすることで、結晶核マスク1の突起部13にかかる圧力を抑え、突起部13の損傷発生を抑制することが可能となる。また、0.25μm以下に抑えることで、触媒物質の過剰な供給を抑制することが可能となる。なお、この寸法は押圧した時点でのものであり、押圧していない状態での寸法より若干大きくなる。
【0041】
(変形例:第1実施形態)
以下、第1実施形態の変形例について説明する。第1実施形態では、緩衝シリコン層11を覆うように触媒物質層12を形成したが、これは、緩衝シリコン層11と触媒物質層12に代えて触媒物質を含むSiGe(Si0%を含む)層15(図2参照)を用いても良い。この構造を用いることで、別途触媒物質層12を形成することなく触媒物質を供給し得る結晶核マスク1を提供することが可能となる。図2(a)は、緩衝シリコン層11と触媒物質層12と、に代えてSiGe(Si0%を含む)層15を備えた構成の断面図、図2(b)は被転写基板21へ結晶核マスク1を押圧した状態を示す断面図である。さらに、この場合、Ge量を触媒効果が現れる程度の組成に調整しておくことで、触媒物質の量を抑えて被転写基板21の多結晶シリコン層前駆体22Aに付与することが可能となる。
【0042】
また、第1実施形態では、ガラス基板10に緩衝シリコン層11、緩衝シリコン層11と同じ物質を用いた下地突起部11A、ニッケルを触媒物質として用いた触媒物質層12、下地突起部11Aに対応する部分に設けられた突起部13が備えられている構成について説明したが、これは下地突起部11A、緩衝シリコン層11を形成せずに、直接突起部13を配置しても良い。図3は、直接突起部13を配置した場合の断面図である。製造方法としては、たとえば、フォトレジスト塗布、フォトレジスト開口、熱流動による開口部シュリンク、触媒物質のスパッタ、ドライエッチング、アッシング等の工程により、触媒物質をシュリンクされた開口部のみに残すことが可能となる。この場合、フォトレジストの厚さをきわめて薄く(100nm以下程度)できるため、高い精度で開口部の形成を行うことができる。
【0043】
また、第1実施形態では、ガラス基板10の全面に緩衝シリコン層11、緩衝シリコン層11と同じ物質を用いた下地突起部11A、ニッケルを触媒物質として用いた触媒物質層12、下地突起部11Aに対応する部分に設けられた突起部13が備えられている構成について説明したが、これは、部分的に突起部13を残すように構成しても良い。
【0044】
たとえば、ガラス基板10上に一連なりの外形を有する突起島16(図4参照)上に突起部13を配置しても良い。図4は、突起島16を供えた結晶核マスク1を示す平面図である。この場合、ガラス基板10上に配置される突起島16間にガラス基板10に対する平面視にて、触媒物質層12や緩衝シリコン層11に空きが生じる。そのため、ガラス基板10が受ける触媒物質層12からの応力は空きの分だけ減少する。そのため、ガラス基板10の反りの発生等を抑制することが可能となる。なお、この突起島16は孤立していても、一部が他の突起島16と繋がっている形状を有していても良い。また、突起島16中の突起部13は、一つであっても良い。
【0045】
(第2実施形態:結晶核マスクの製造方法)
以下、第2実施形態として、結晶核マスクの製造方法について説明する。図5(a)〜(c)は結晶核マスクの製造工程を示す工程断面図である。
【0046】
まず、ガラス基板10上に、酸化珪素層10AをプラズマCVD法などにより形成する。厚さは200nmの程度の厚さを有している。この工程において用いる原料ガスとしては、たとえばモノシランと酸化窒素との混合ガスや、TEOS(テトラエトキシシラン、Si(OC2H5)4))と酸素の組合せが好適である。成層温度は、ガラス基板10の表面温度が150〜450℃となる条件を用いることが好ましい。酸化珪素層10Aは後述する緩衝シリコン層11のガラス基板10への付着状況を安定化させる機能を有している。なお、酸化珪素層10Aに代えて、酸窒化珪素(酸素0%、窒素0%を含む)層を用いても良い。さらには、アルミナ等のセラミック材料を用いて層形成しても良い。ここまでの工程を終えた状態での工程断面図を図5(a)に示す。
【0047】
次に、緩衝シリコン層前駆体11BをプラズマCVD法などにより成層する。層厚は、30nm以上100nm以下の値をとることが望ましい。30nm以上の厚さを有することで、緩衝シリコン層前駆体11Bを後述する工程で緩衝シリコン層11に改質した後でも緩衝シリコン層11が切断されることなく残される。また、100nm以下の値をとることで後述するレーザー光による熔融/再結晶化処理で、緩衝シリコン層前駆体11Bに光エネルギーを深部まで到達させて溶融させることが可能となり、再結晶工程を実行することが可能となる。本実施形態では、40nmの層厚で緩衝シリコン層前駆体11Bを形成している。この工程において用いる原料ガスとしては、ジシランやモノシランが好適である。ここまでの工程を終えた状態での工程断面図を図5(b)に示す。また、ここで緩衝シリコン層前駆体11Bを加熱し、水素を離脱させる工程を行っても良い。
【0048】
次に、たとえばXeCl(308nm),ArF(193nm),KrF(248nm),XeF(353nm)などのエキシマレーザーを用いて、エネルギー密度をたとえば300mJ/cm2〜400mJ/cm2に設定し、緩衝シリコン層前駆体11Bに光エネルギーを加え、緩衝シリコン層前駆体11Bを溶融/再結晶化させる。レーザー光は、走査方向に対してその一部が重なるようずらしながら緩衝シリコン層前駆体11Bに照射する。ここで用いるエキシマレーザーのエネルギー密度は、緩衝シリコン層前駆体11Bの表面を溶解させるエネルギー密度をEs、緩衝シリコン層前駆体11Bを完全溶融させるエネルギー密度をEcとすると、照射エネルギー密度Eyは、Es+(Ec−Es)×0.6≦Ey<Es+(Ec−Es)×0.8程度であることが好ましい。この程度のエネルギーに制御することで、後述する下地突起部11Aの高さを大きくとることができるからである。この工程により緩衝シリコン層前駆体11Bは緩衝シリコン層11と下地突起部11Aとに改質される。下地突起部11Aは円錐状の形状を有し、溶融/再結晶化させたエキシマレーザー光の波長と同程度の間隙を持って整列する。本実施形態では、XeClを用いたエキシマレーザーを用いており、下地突起部11Aは約300nm間隔で自己整合的に配列されて形成される。
【0049】
ここで、エキシマレーザーの光軸は、緩衝シリコン層前駆体11Bに対して垂直(入射角0°)に入射させても良いが、エキシマレーザーの走査方向に対して0°以上30°以下の入射角を与えることも好適である。この場合、走査方向に対して温度勾配が発生し、下地突起部11Aの頂部がつぶれた形状に制御することができる。そのため、結晶核マスク1(図1参照)の突起部13の頂部も追随して円錐形状の頂部が楕円状につぶれた形状となる。このため、結晶核マスク1を被転写基板21(図1(c)参照)に押圧した際に応力を点ではなく面で受けることとなり、突起部13の破壊を防止することが可能となる。なお、入射角を30°以下にすることで、緩衝シリコン層前駆体11B表面でのレーザー光の反射損を実用的な範囲におさめることが可能となる。この工程で下地突起部11Aは、10nm〜60nm程度の高さを持って生成される。ここまでの工程を終えた状態での工程断面図を図5(c)に示す。
【0050】
次に、ゲルマニウム、ニッケル、コバルト、白金、パラジウム、タングステンの内の、少なくとも一種類以上の物質を含む触媒物質を用いて蒸着法やスパッタ法により触媒物質層12を形成する。層厚としては、触媒物質層12は5nm以上30nm以下の層厚にすることが好ましい。5nm以上の層厚を備えることで、突起部13頂部での剥がれを抑制することができる。また、30nm以下の層厚を備えることで、下地突起部11Aの段差を残して突起部13を構成することができるからである。以上の工程を行うことで、図1に示される結晶核マスク1を形成することができる。また、触媒物質層12を形成した後、400℃〜700℃程度の熱処理を施し、緩衝シリコン層11と下地突起部11Aと、触媒物質層12とを反応させても良く、この場合には密着性を高めることが可能となり、突起部13頂部での剥がれを抑制することができる。なお、この熱処理は、ランプアニール等の短時間アニールを用いることも好適であり、過剰な反応を抑えることが可能となる。
【0051】
(変形例:第2実施形態)
以下、第2実施形態の変形例について説明する。上記した実施形態ではXeCl(308nm)を用いた例について説明したが、これは、Nd:YAGレーザーの2倍高調波である532nmのレーザー光源を用いても良い。この場合、溶融/再結晶化が長い波長(532nm)で行われるため、突起部13の間隔を大きく取れる。そのため、被転写基板21(図1(c)参照)に転写を行う際に、より広い間隔を持って突起部13と接触させることが可能となる。そのため、被転写基板21が含む結晶粒界の密度を低減することが可能となる。
【0052】
また、緩衝シリコン層前駆体11Bを形成した後、フォトリソグラフ/エッチング処理を行い、島状に加工した後、エキシマレーザーを照射し、突起島16を形成することも好適である。図6は、突起島16を形成した場合の平面図である。この場合、突起島16の寸法にもよるが、単一、あるいは複数の突起部13を含む突起島16の間には、たとえば5μmの空き領域が形成される。このように加工した後、上記した工程を用いて結晶核マスク1を形成することで、突起部13の密度を下げることが可能となる。突起部13の密度を下げることで、被転写基板21(図1(c)参照)に転写を行う際に、より広い間隔を持って突起部13と接触させることが可能となる。そのため、被転写基板21が含む結晶粒界の密度を低減することが可能となる。
【0053】
この場合、一部の領域で突起島16同士の一部が繋がっていても問題は生ぜず、完全に島状に分離していなくとも良い。
【0054】
また、エキシマレーザーを照射し、下地突起部11Aを形成した後にフォトリソグラフ/エッチング処理を行い、島状に加工しても同様の効果を得ることができる。加えて、レーザー光による再結晶化を、均一にマスク層がある状態で行うことが可能となる。そのため、突起部13の密度を突起島16内で揃えることが容易となる。この場合でも、一部の領域で突起島16同士の一部が繋がっていても問題は生ぜず、完全に島状に分離していなくとも良い。
【0055】
また、触媒物質層12を形成した後にフォトリソグラフ/エッチング処理を行い、島状に加工しても同様の効果を得ることができる。加えて、触媒物質層12のパターニングも含めて島状の突起島16が形成される。触媒物質層12とガラス基板10との間には大きな応力が発生する場合があるが、触媒物質層12を含めてパターニングすることで、触媒物質層12の面積を低減することができ、ガラス基板10の反りを抑制することが可能となる。この場合でも、一部の領域で突起島16同士の一部が繋がっていても問題は生ぜず、完全に島状に分離していなくとも良い。
【0056】
(第3実施形態:ゲルマニウムを含む結晶核マスクの製造方法)
以下、第3実施形態として、ゲルマニウムを含む結晶核マスクの製造方法について説明する。図7(a)、(b)は結晶核マスクの製造工程を示す工程断面図である。
【0057】
まず、ガラス基板10上に、酸化珪素層10AをプラズマCVD法などにより形成する。厚さは200nmの程度の厚さを有している。この工程において用いる原料ガスとしては、たとえばモノシランと酸化窒素との混合ガスや、TEOS(テトラエトキシシラン、Si(OC2H5)4))と酸素の組合せが好適である。成層温度は、ガラス基板10の表面温度が150〜450℃となる条件を用いることができる。酸化珪素層10Aは後述する緩衝シリコン層11のガラス基板10への付着状況を安定化させる機能を有している。なお、酸化珪素層10Aに代えて、酸窒化珪素(酸素0%、窒素0%を含む)層を用いても良い。さらには、アルミナ等のセラミック材料を用いて層形成しても良い。ここまでの工程を終えた状態での工程断面図を図7(a)に示す。
【0058】
次に、SiGe層前駆体15A(Si0%を含む)をプラズマCVD法などにより成層する。層厚は、30nm以上100nm以下の値をとることが望ましい。30nm以上の厚さを有することで、SiGe層前駆体15Aを後述する工程でSiGe層前駆体15Aに改質した後でもSiGe層15が切断されることなく残される。また、100nm以下の値をとることで後述するレーザー光による熔融/再結晶化処理で、SiGe層前駆体15Aに光エネルギーを深部まで到達させて溶融させることが可能となり、再結晶工程を実行することが可能となる。本実施形態では、40nmの層厚でSiGe層前駆体15Aを形成している。この工程において用いる原料ガスとしては、ジシランやモノシランが好適である。ここまでの工程を終えた状態での工程断面図を図7(b)に示す。また、ここでSiGe層前駆体15Aを加熱し、水素を離脱させる工程を行っても良い。
【0059】
次に、たとえばXeCl(308nm),ArF(193nm),KrF(248nm),XeF(353nm)などのエキシマレーザーを用いて、エネルギー密度をたとえば300mJ/cm2〜400mJ/cm2に設定し、SiGe層前駆体15Aに光エネルギーを加え、SiGe層前駆体15Aを溶融/再結晶化させる。レーザー光は、走査方向に対してその一部が重なるようずらしながらSiGe層前駆体15Aに照射する。ここで用いるエキシマレーザーのエネルギー密度は、表面を溶解させるエネルギー密度をEs、SiGe層前駆体15Aを完全溶融させるエネルギー密度をEcとすると、照射エネルギー密度Eyは、Es+(Ec−Es)×0.6≦Ey<Es+(Ec−Es)×0.8程度であることが好ましい。この程度のエネルギーに制御することで、後述する突起部13の高さを大きくとることができるからである。この工程によりSiGe層前駆体15AはSiGe層15と突起部13とに改質される。突起部13は円錐状の形状を有し、溶融/再結晶化させたエキシマレーザー光の波長と同程度の間隙を持って整列する。本実施形態では、XeClを用いたエキシマレーザーを用いており、突起部13は約300nm間隔で自己整合的に配列されて形成される。
【0060】
ここで、エキシマレーザーの光軸は、SiGe層前駆体15Aに対して垂直(入射角0°)に入射させても良いが、エキシマレーザーの走査方向に対して0°以上30°以下の入射角を与えることも好適である。この場合、走査方向に対して温度勾配が発生し、突起部13の頂部がつぶれた形状に制御することができる。このため、結晶核マスク1を被転写基板21(図2(b)参照)に押圧した際に応力を点ではなく面で受けることとなり、突起部13の破壊を防止することが可能となる。なお、入射角を30°以下にすることで、SiGe層前駆体15A表面でのレーザー光の反射損を実用的な範囲におさめることが可能となる。この工程で突起部13は、10nm〜60nm程度の高さを持って生成される。以上の工程を行うことで、図2(a)に示される結晶核マスク1を形成することができる。
【0061】
(変形例:第3実施形態)
以下、第3実施形態の変形例について説明する。上記した実施形態ではXeCl(308nm)を用いた例について説明したが、これは、Nd:YAGレーザーの2倍高調波である532nmのレーザー光源を用いても良い。この場合、溶融/再結晶化が長い波長(532nm)で行われるため、突起部13の間隔を大きく取れる。そのため、被転写基板21(図2(b)参照)に転写を行う際に、より広い間隔を持って突起部13と接触させることが可能となる。そのため、被転写基板21が含む結晶粒界の密度を低減することが可能となる。
【0062】
また、SiGe層前駆体15Aを形成した後、フォトリソグラフ/エッチング処理を行い、島状に加工した後、エキシマレーザーを照射し、突起島16を形成することも好適である。図8は、突起島16を形成した場合の平面図である。この場合、突起島16の寸法にもよるが、単一、あるいは複数の突起部13を含む突起島16の間には、たとえば5μmの空き領域が形成される。このように加工した後、上記した工程を用いて結晶核マスク1を形成することで、突起部13の密度を下げることが可能となる。突起部13の密度を下げることで、被転写基板21(図2(b)参照)に転写を行う際に、より広い間隔を持って突起部13と接触させることが可能となる。そのため、被転写基板21が含む結晶粒界の密度を低減することが可能となる。
【0063】
この場合、一部の領域で突起島16同士の一部が繋がっていても問題は生ぜず、完全に島状に分離していなくとも良い。
【0064】
また、エキシマレーザーを照射し、突起部13を形成した後にフォトリソグラフ/エッチング処理を行い、島状に加工しても同様の効果を得ることができる。加えて、レーザー光による再結晶化を、均一にマスク層がある状態で行うことが可能となる。そのため、突起部13の密度を突起島16内で揃えることが容易となる。この場合でも、一部の領域で突起島16同士の一部が繋がっていても問題は生ぜず、完全に島状に分離していなくとも良い。
【0065】
(第4実施形態:多結晶シリコン層の製造方法)
以下、上述した結晶核マスク1を用いて多結晶シリコン層22を製造する製造方法について説明する。図9(a)〜(d)、図10(a)、(b)は多結晶シリコン層22を形成する工程を示す工程断面図である。
【0066】
まず、工程1として、ガラス基板20を覆うように、酸化珪素層20AをプラズマCVD法などにより形成する。厚さは200nmの程度の厚さを有している。この工程において用いる原料ガスとしては、たとえばモノシランと酸化窒素との混合ガスや、TEOS(テトラエトキシシラン、Si(OC2H5)4))と酸素の組合せが好適である。成層温度は、ガラス基板20の表面温度が150〜450℃となる条件を用いることができる。酸化珪素層20Aは後述する多結晶シリコン層前駆体22Aのガラス基板10への付着状況を安定化させる機能を有している。なお、酸化珪素層20Aに代えて、酸窒化珪素(酸素0%、窒素0%を含む)層を用いても良い。さらには、アルミナ等のセラミック材料を層として用いても良い。ここまでの工程を終えた状態での工程断面図を図9(a)に示す。
【0067】
次に、工程2として、多結晶シリコン層前駆体22AをプラズマCVD法などにより成層する。層厚は、30nm以上100nm以下の値をとることが望ましい。30nm以上の厚さを有することで、多結晶シリコン層前駆体22Aを後述する工程で多結晶シリコン層22に改質した後でも多結晶シリコン層22が切断されることなく残される。また、100nm以下の値をとることで後述するレーザー光による熔融/再結晶化処理で、多結晶シリコン層前駆体22Aの深部まで溶融させることが可能となり、再結晶工程を実行することが可能となる。本実施形態では、40nmの層厚で多結晶シリコン層前駆体22Aを形成している。この工程において用いる原料ガスとしては、ジシランやモノシランが好適である。ここまでの工程を終えた状態での工程断面図を図9(b)に示す。また、ここで多結晶シリコン層前駆体22Aを加熱し、水素を離脱させる工程を行っても良い。
【0068】
次に、工程3として、結晶核マスク1と多結晶シリコン層前駆体22Aとを接触させる。この工程を行うことで、点状の触媒物質が多結晶シリコン層前駆体22A表面に、点状に形成される。ここまでの工程を終えた状態での工程断面図を図9(c)に示す。
【0069】
次に、工程4として、加熱処理を行い、点状に添加された触媒物質からなる触媒点25と多結晶シリコン層前駆体22Aとを反応させ、結晶核24を形成する。熱処理は400℃以上700℃以下の温度範囲を用いることが好適である。また、この熱処理は、ランプアニール等の短時間アニールを用いることも好適であり、触媒点25と多結晶シリコン層前駆体22Aとの間での過剰な混成反応を抑えることが可能となる。ここまでの工程を終えた状態での工程断面図を図9(d)に示す。
【0070】
次に、工程5として、塩酸30%、過酸化水素10%を純水にて100%に調整した洗浄液を用いて、触媒点25を除去する。ここまでの工程を終えた状態での工程断面図を図10(a)に示す。
【0071】
次に、工程6として、たとえばXeCl(308nm),ArF(193nm),KrF(248nm),XeF(353nm)などのエキシマレーザーや、Nd:YAGレーザーの2倍高調波である532nmのレーザー光源を用いても良い。そして、レーザー光のエネルギー密度をたとえば350mJ/cm2〜550mJ/cm2に設定し、多結晶シリコン層前駆体22Aに光エネルギーを加え、多結晶シリコン層前駆体22Aを溶融/再結晶化させる。レーザー光は、走査方向に対してその一部が重なるようずらしながら多結晶シリコン層前駆体22Aに照射する。ここで用いるエキシマレーザーのエネルギー密度は、表面を溶解させるエネルギー密度をEs、多結晶シリコン層前駆体22Aを完全溶融させるエネルギー密度をEcとすると、照射エネルギー密度Eyは、Es+(Ec−Es)×0.8≦Ey<Ec程度であることが好ましい。この程度のエネルギーに制御することで、平坦な表面形状を有する多結晶シリコン層22が得られる。以上の工程を終えた状態での工程断面図を図10(b)に示す。以上の工程を行うことで、多結晶シリコン層22を得ることが可能となる。また、Nd:YAGレーザーの2倍高調波である532nmのレーザー光源を用いた場合、Nd:YAGレーザーはCWで発振し、出力安定性が高く、大きな粒径(5μm程度)の多結晶シリコン層22を得ることができる。この効果を生かす場合には、工程3で用いる結晶核マスク1として、たとえば図6に示される、突起島16を含む結晶核マスク1を用いることで突起部13の間隔を広げ、結晶核24の間隔を広くすることが好適である。この場合、多結晶シリコン層22の粒径が大きくなるため、粒界の密度を低減することが可能となる。そのため、粒界に存在するキャリアを捕獲する準位の影響を避けて、高い移動度を有する多結晶シリコン層22を得ることが可能となる。
【0072】
(変形例:第4実施形態)
以下、第4実施形態の変形例について説明する。上記した実施形態では、工程3で結晶核マスク1と多結晶シリコン層前駆体22Aを直接接触させているが、これは工程3に代えて、工程1と工程2との間に、結晶核マスク1と酸化珪素層20Aとを接触させて構成しても良い。この場合、触媒物質は多結晶シリコン層前駆体22Aのガラス基板20側から供給される。そのため、後述するトップゲート型TFTを構成する場合に、ゲート絶縁層側への触媒物質の侵入を抑制することが可能となり、触媒物質による影響を受けにくいTFTを提供することが可能となる。なお、この場合においても、酸化珪素層20Aに代えて、酸窒化珪素(酸素0%、窒素0%を含む)層を用いても良い。さらには、アルミナ等のセラミック材料を層として用いても良い。
【0073】
また、工程3に代えて、工程1の前に結晶核マスク1とガラス基板20と接触させる工程を挿入しても良い。ここで、酸化珪素層20Aを通して触媒物質を拡散させるべく、工程1で形成される酸化珪素層20Aの厚さを5nm〜50nm程度にすることが好ましい。この程度の厚さに制御することで、酸化珪素層20Aが多結晶シリコン層前駆体22Aへ触媒物質を拡散させる拡散層として機能させることが可能となる。この場合、触媒物質の量をさらに精密に制御でき、特にトップゲート型TFTを構成する場合に、ゲート絶縁層側への触媒物質の侵入を抑制することが可能となり、触媒物質による影響を受けにくいTFTを提供することが可能となる。ここで、酸化珪素層20Aの組成を変えて、酸窒化珪素層(酸素0%、窒素0%を含む)や、アルミナ等のセラミック材料を層として用いても良い。
【0074】
また、工程2と工程3との間に、触媒物質を拡散させて多結晶シリコン層前駆体22Aに供給する拡散層として酸窒化珪素(酸素0%、窒素0%を含む)層を5nm〜50nm程度形成しても良い。この場合、触媒物質の多結晶シリコン層前駆体22A上での量を少なく抑えることが可能となり、多結晶シリコン層前駆体22Aを多結晶シリコン層22に改質した後に残留する触媒物質の量を低減することが可能となり、金属汚染の影響が少ない多結晶シリコン層22を得ることが可能となる。
【0075】
また、工程5となる触媒点25の除去工程は、結晶核マスク1と多結晶シリコン層前駆体22Aを直接接触させる場合以外では省略可能である。特に、触媒物質としてゲルマニウムを用いた場合には汚染の影響が少ないため、この工程を省略することができる。また、たとえば図6に示される、突起島16を含む結晶核マスク1を用いた場合には、予め触媒点25を避けて半導体装置を形成することが可能となるので、この場合においても触媒点25の除去工程を省略することが可能である。また、直接接触させる場合でも、汚染の影響が顕著でない場合には触媒点25の除去工程は省略可能である。
【0076】
(第5実施形態:半導体装置)
以下、第5実施形態として、第4実施形態で提供された多結晶シリコン層22(図10(b)参照)を用いた半導体装置としてTFTについて説明する。図11(c)は、多結晶シリコン層22を用いたTFT30の模式断面図である。TFT30は、チャネル領域31、ドレイン側LDD領域32d、ソース側LDD領域32s、ドレイン領域33d、ソース領域33s、ゲート絶縁層34、ゲート電極35、層間絶縁層36、ドレインコンタクト37d、ソースコンタクト37sを含む。
【0077】
ここで、構造の説明に入る前に、TFT30を形成する製造工程について簡単に説明する。TFT30としては、N型のTFTを用いる例について説明する。図11(a)〜(c)はTFT30を形成するための工程断面図である。
【0078】
まず、図10(b)に示した被転写基板21を覆う領域に位置する多結晶シリコン層22をパターニングし、TFT30の周辺と絶縁する。次に、電子サイクロトロン共鳴−プラズマ化学気相堆積法等を用いてゲート絶縁層34として酸化珪素層を積層する。次に、フォトレジスト層38を形成し、フォトレジスト層38をマスクとしてイオン注入を行い、ドレイン領域33d、ソース領域33sを形成する。ここまでの工程を終えた状態での工程断面図を図11(a)に示す。
【0079】
次に、フォトレジスト層38をエッチングして除き、スパッタ法によりタンタルやアルミにウム等の金属層を形成し、パターニングすることでゲート電極35を形成する。続けて、ゲート電極35をマスクとしてイオン注入を行い、ドレイン側LDD領域32d、ソース側LDD領域32sを形成する。ここまでの工程を終えた状態での工程断面図を図11(b)に示す。
【0080】
次に、電子サイクロトロン共鳴−プラズマ化学気相堆積法等を用いて層間絶縁層36として酸化珪素層を積層する。続けて、層間絶縁層36のドレイン領域33d、ソース領域33sにあたる領域を開口して、アルミニウム等の金属層をスパッタ法で堆積した後、パターニングしてドレインコンタクト37d、ソースコンタクト37sを形成してTFT30が完成する。この製造工程を終えた状態の断面図を図11(c)に示す。
【0081】
次に、図11(c)に示すTFT30の構成について説明する。
【0082】
チャネル領域31は、ゲート絶縁層34を介してゲート電極35から印加される電界に応じてドレイン領域33dからソース領域33sに流れる電流を制御している。
【0083】
ドレイン側LDD領域32d、ソース側LDD領域32sは、ドレイン領域33d、ソース領域33sにかかる電界強度を緩和させる機能を有している。
【0084】
ドレイン領域33d、ソース領域33sは、協働してチャネル領域31に電流を流すためのキャリア(N型の場合は電子)を供給/回収する機能を有している。
【0085】
ゲート絶縁層34、ゲート電極35は、協働してゲート電極35からの電界をチャネル領域31に伝達する機能を有している。
【0086】
層間絶縁層36は、TFT30を電気的に隔離し、他の領域との電気的短絡を防止する機能を有している。
【0087】
ドレインコンタクト37d、ソースコンタクト37sは各々、ドレイン領域33d、ソース領域33sにTFT30外部から電位・電流を供給する機能を有している。
【0088】
TFT30は、チャネル領域31が、粒径が揃えられた多結晶シリコン層22を用いて形成されるため、被転写基板21内での特性分布を揃えることが可能であり、たとえば受光装置や発光装置、光の透過を制御する装置(たとえば液晶装置)等、均一性が求められるデバイスへの対応に適している。また、第4実施形態で示したように、粒径の大きな(5μm程度)多結晶シリコン層22を用いることで、粒界に存在するキャリアを捕獲する準位の影響を避けて、均一性が高く、かつ低いリーク電流と高い移動度を同時に備えたTFT30を提供することが可能となる。
【0089】
(第6実施形態:電気光学装置)
以下、第6実施形態として、上記した半導体装置を用いた電気光学装置について説明する。ここで、「電気光学装置」とは、本発明に係る薄膜半導体装置の製造方法により製造された薄膜半導体装置と、電気的作用によって発光する素子または外部からの光の状態を変化させる電気光学素子を備えた装置一般をいい、自ら光を発するものと外部からの光の通過を制御するものとの両者を含むものである。このような電気光学装置としては、たとえば電気光学素子として液晶素子、電気泳動素子が分散した分散媒を有する電気泳動素子、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子、電界の印加により発生した電子を発光板に当てて発光させる電子放出素子などを備えたアクティブマトリクス型の表示装置等が挙げられる。図12(a)〜(c)は、TFT30(図11(c)参照)を含む電気光学装置の具体例を示す概略図である。
【0090】
図12(a)は、TFT30を備えたモバイル型のパーソナルコンピュータにおける概略図である。パーソナルコンピュータ2000は、TFT30を備えた液晶パネル300と本体部2010を備える。本体部2010には、電源スイッチ2001およびキーボード2002が設けられている。
【0091】
図12(b)は、TFT30を含む有機ELパネル400を備えた携帯電話機における概略図である。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002、並びに表示ユニットとしての有機ELパネル400を備える。スクロールボタン3002を操作することによって、有機ELパネル400に表示される画面がスクロールされる。
【0092】
図12(c)は、TFT30を備えた有機ELパネル400を適用した情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)における概略図である。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001および電源スイッチ4002、並びに表示ユニットとしての有機ELパネル400を備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が有機ELパネル400に表示される。
【0093】
なお、TFT30は有機ELパネル400以外の搭載例として、液晶パネルや、データ処理回路等についても用いることができる。また、光学的な用途に限定されることなく、論理回路や演算回路として用いることができる。特に、TFT30の均一性が高いことから、TFT30を表示素子の制御に用いた場合、均一性の高い表示を行うことが可能となる。即ち、視覚的なむらの発生を抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】(a)は、本実施形態にかかる結晶核マスクの平面図、(b)は、結晶核マスクのA−A’線断面図、(c)は、被転写基板へ結晶核マスクを押圧した状態を示すA−A’線断面図に対応する断面図。
【図2】(a)は、緩衝シリコン層と触媒物質層と、に代えてSiGe(Si0%を含む)層を備えた構成の断面図、(b)は被転写基板へ結晶核マスクを押圧した状態を示す断面図。
【図3】直接突起部を配置した場合の断面図。
【図4】突起島を供えた結晶核マスクを示す平面図。
【図5】(a)〜(c)は結晶核マスクの製造工程を示す工程断面図。
【図6】突起島を形成した場合の平面図。
【図7】(a)、(b)は結晶核マスクの製造工程を示す工程断面図。
【図8】突起島を形成した場合の平面図。
【図9】(a)〜(d)は多結晶シリコン層を形成する工程を示す工程断面図。
【図10】(a)、(b)は多結晶シリコン層を形成する工程を示す工程断面図。
【図11】(a)〜(c)はTFTを形成するための工程断面図。
【図12】(a)〜(c)は、TFTを含む電気光学装置の具体例を示す概略図。
【符号の説明】
【0095】
1…結晶核マスク、10…ガラス基板、10A…酸化珪素層、11…緩衝シリコン層、11A…下地突起部、11B…緩衝シリコン層前駆体、12…触媒物質層、13…突起部、15…SiGe層、15A…SiGe層前駆体、16…突起島、20…ガラス基板、20A…酸化珪素層、21…被転写基板、22…多結晶シリコン層、22A…多結晶シリコン層前駆体、24…結晶核、25…触媒点、30…TFT、31…チャネル領域、32d…ドレイン側LDD領域、32s…ソース側LDD領域、33d…ドレイン領域、33s…ソース領域、34…ゲート絶縁層、35…ゲート電極、36…層間絶縁層、37d…ドレインコンタクト、37s…ソースコンタクト、38…フォトレジスト層、300…液晶パネル、400…有機ELパネル、2000…パーソナルコンピュータ、2001…電源スイッチ、2002…キーボード、2010…本体部、3000…携帯電話機、3001…操作ボタン、3002…スクロールボタン、4000…情報携帯端末、4001…操作ボタン、4002…電源スイッチ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、結晶核マスク、結晶核マスクの製造方法、多結晶シリコン層の製造方法、半導体装置、ならびに電気光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス(EL)装置や液晶表示装置を制御する素子として薄膜トランジスタ(TFT)等が開発されてきている。アモルファスシリコン層を用いたTFTは、移動度を大きくすることが困難であり、多結晶シリコン層を用いたTFTが用いられるようになってきている。
【0003】
TFTに好適に用いられている多結晶シリコン層は、アブレーションを避けるべく、脱水素化したアモルファスシリコン層にKrFや、XeCl、ArF等のエキシマレーザー光を照射し、再結晶化させることで形成する方法が知られている。
【0004】
この方法は特許文献1に記載されているように、まず転写用単結晶シリコン基板をKOH等の異方性エッチング液を用いてエッチングを施し、突起状の構造を形成して後、結晶化を促進する触媒金属を付着させて転写用基板(本実施形態では結晶核マスクと呼称している)を形成する。そして、ガラス基板の表層部側に形成した、脱水素化したアモルファスシリコン層を転写用基板と押圧し、アモルファスシリコン層に触媒金属を付着させる。続けて、400℃〜700℃程度の熱を印加して結晶核領域を形成し、レーザー光を用いた熔融/再結晶化等の手段を用いて多結晶シリコン層を形成する方法である。この方法を用いることで、結晶起点が制御され、大型かつ均一な粒径を有する多結晶シリコン層を得ることを可能としている。
【0005】
【特許文献1】特開2006−216658号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した転写用基板は、結晶面に沿って突起状の構造を形成するため、単結晶シリコン基板を用いることが必須となる。そのため、単結晶シリコン基板以上の面積を有する、たとえばガラス基板上に形成されたアモルファスシリコン層に、この転写用基板を用いて押圧転写することは困難である。単結晶シリコン基板は高々30cm程度の直径のものしか入手できないが、ガラス基板の方は、対角1mを超える寸法の基板も用いられており、大面積で結晶起点が制御された多結晶シリコン層を得ることが困難であるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]本適用例にかかる結晶核マスクは、ガラス基板の表層部側に、シリコン層の結晶化を促進する触媒物質を含む突起部を有する触媒物質層を備えることを特徴とする。
【0009】
これによれば、ガラス基板の表層部側に備えられた突起形状を有する触媒物質層から被転写シリコン層に、シリコン層の結晶化を促進する触媒物質を供給することが可能となる。ガラスは平坦かつ大面積(たとえば対角1m以上)の板を得ることができるため、被転写シリコン層を備えた基板の大型化に対して容易に対応することが可能となる。
【0010】
[適用例2]上記適用例にかかる結晶核マスクであって、前記突起部の寸法を、該突起部を前記シリコン層に接触させた時の接触領域の直径が0.02μm以上0.25μm以下となるように揃えたことを特徴とする。
【0011】
上記した適用例によれば、触媒物質が付着する領域の直径を0.02μm以上とすることで、結晶核マスクの突起部にかかる圧力を抑え、突起部の損傷発生を抑制することが可能となる。また、0.25μm以下に抑えることで、触媒物質の過剰な供給を抑制することが可能となる。
【0012】
[適用例3]上記適用例にかかる結晶核マスクであって、前記触媒物質層は、ゲルマニウム、ニッケル、コバルト、白金、パラジウム、タングステンの内の、少なくとも一種類以上の物質を含むことを特徴とする。
【0013】
上記した適用例によれば、被転写シリコン層へは、触媒物質層を介して触媒物質が供給される。そして、触媒物質が供給された領域では、シリコンゲルマニウム、またはシリサイドが形成される。シリコンゲルマニウム、またはシリサイドはシリコン層中で結晶核として結晶化を促進させる。この結晶化手段を用いることで、結晶核の起点を制御することが可能となる。そのため、この結晶核マスクを用いることで被転写基板内での面内均一性を向上させた多結晶シリコン層を得ることが可能となる。
【0014】
[適用例4]上記適用例にかかる結晶核マスクであって、前記ガラス基板と前記触媒物質層との間に前記突起部の位置と対応する下地突起部を備えた緩衝シリコン層を挟むことを特徴とする。
【0015】
上記した適用例によれば、ゲルマニウム、ニッケル、コバルト、白金、パラジウム、タングステンとガラス基板との熱膨張係数との差は大きい。ガラス基板とシリコン層とは熱膨張係数が近いため、シリコン層を緩衝層として形成することで、反り等が少ない結晶核マスクを提供することが可能となる。また、熱膨張係数が近い物質で下地突起部を構成することで、応力の影響を避けることができ、ガラス基板面内で、信頼性の高い突起部を得ることが可能となる。
【0016】
[適用例5]上記適用例にかかる結晶核マスクであって、前記突起部の高さは10nm以上60nm以下であることを特徴とする。
【0017】
上記した適用例によれば、突起部の高さが10nm以上あれば、被転写基板に対して点状に触媒物質を付着させることができる。また、60nm以下であれば、突起部が折れる損傷を抑制することが可能となる。
【0018】
[適用例6]上記適用例にかかる結晶核マスクであって、前記ガラス基板に対する平面視にて、一連なりの外形を有する突起島上に前記突起部は配置されてなり、かつ前記突起島は前記ガラス基板表層部側に互いに分離した状態、または前記突起島間の一部が他の突起島と接続された状態にあることを特徴とする。
【0019】
上記した適用例によれば、突起部を含む突起島が分離、または一部で他の突起島と接続されている。そのため、ガラス基板上に配置される突起島間にガラス基板に対する平面視にて、触媒物質層に空きが生じる。そのため、ガラス基板が受ける触媒物質層からの応力は空きの分だけ減少する。そのため、ガラス基板の反りの発生等を抑制することが可能となる。
【0020】
[適用例7]本適用例にかかる結晶核マスクの製造方法は、ガラス基板の表層部側にマスク層前駆体としてシリコン層を形成する工程と、前記マスク層前駆体にレーザー光を照射し前記マスク層前駆体を、前記レーザー光の波長と揃えられたピッチで配置される凸部を含む、多結晶シリコン層を備えたマスク層に改質する工程と、前記マスク層における前記凸部の段差を残して、シリコン層の結晶化を促進する触媒物質を含む触媒物質層を堆積し、前記触媒物質を含む突起部を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【0021】
これによれば、レーザー光の波長と揃えられたピッチで凸部を形成することが可能となる。ピッチが揃えられる機構は未だ検証されていないが、レーザー光学系を通る際に生じるレーザー光の干渉によりピッチが揃えられるものと考えられている。この製造方法を用いることで、フォトリソグラフ工程を用いることなく被転写シリコン層に結晶化を促進する触媒物質を点状に供給する突起部を形成することが可能となる。たとえばレーザー光として、XeClエキシマレーザー(波長0.3μm)を用いた場合には、約0.3μmピッチで凸部が形成される。結晶化を促進する触媒物質を含む触媒物質層を堆積することで、被転写シリコン層にアニールを施すことで結晶化される起点となる触媒物質を、点状に供給する突起部を形成することができる。このピッチで孤立パターンを作ることは現時点でのフォトリソグラフ工程では著しく困難であるが、この製造方法を用いることで、容易に微細な突起部を形成することが可能となる。
【0022】
[適用例8]本適用例にかかる結晶核マスクの製造方法は、ガラス基板の表層部側に、シリコン層の結晶化を促進する触媒物質となるゲルマニウム、または触媒物質としてのゲルマニウムを含むシリコンを用いたマスク層前駆体を形成する工程と、前記マスク層前駆体にレーザー光を照射し前記マスク層前駆体を、前記レーザー光の波長と揃えられたピッチで配置される突起部を含む、多結晶ゲルマニウム層またはシリコンゲルマニウム層を備えたマスク層に改質する工程と、を含むことを特徴とする。
【0023】
これによれば、レーザー光の波長と揃えられたピッチで突起部を形成することが可能となる。ピッチが揃えられる機構は未だ検証されていないが、レーザー光学系を通る際に生じるレーザー光の干渉によりピッチが揃えられるものと考えられている。この製造方法を用いることで、フォトリソグラフ工程を用いることなく被転写シリコン層に結晶化を促進する触媒物質となるゲルマニウムを点状に供給する突起部を形成することが可能となる。たとえばレーザー光として、XeClエキシマレーザー(波長0.3μm)を用いた場合には、約0.3μmピッチで被転写シリコン層に結晶化を促進するゲルマニウムを供給する突起部が形成される。このピッチで孤立パターンを作ることは現時点でのフォトリソグラフ工程では著しく困難であるが、この製造方法を用いることで、容易に微細な突起部を形成することが可能となる。
【0024】
[適用例9]上記適用例にかかる結晶核マスクの製造方法であって、前記触媒物質層は、ゲルマニウム、ニッケル、コバルト、白金、パラジウム、タングステンの内の、少なくとも一種類以上の物質を含むことを特徴とする。
【0025】
上記した適用例によれば、被転写シリコン層と触媒物質層に含まれる触媒物質とが反応してシリコンゲルマニウム、またはシリサイドが形成される。シリコンゲルマニウム、またはシリサイドはシリコン層中で結晶核として結晶化を促進させるため、アニールを行う際に、この結晶核を起点として被転写シリコン層の結晶化が行われる。この場合、結晶核の起点が制御される。そのため、被転写基板内での面内均一性を向上させた多結晶シリコン層を得ることを可能とする結晶核マスクの製造方法が提供される。
【0026】
[適用例10]上記適用例にかかる結晶核マスクの製造方法であって、前記マスク層前駆体の一部を前記マスク層に改質する前に、一連なりの外形を有する島状の突起島として互いに分離された状態、または前記突起島の一部が他の突起島と接続された状態に加工する工程をさらに含むことを特徴とする。
【0027】
上記した適用例によれば、突起島毎に突起は独立して形成される。そのため、他の領域の影響を避けて突起を形成することが可能となり、ガラス基板面内で突起分布均一性が高い突起分布を得ることが可能となる。
【0028】
[適用例11]上記適用例にかかる結晶核マスクの製造方法であって、前記マスク層の一部を、一連なりの外形を有する島状の突起島として互いに分離された状態、または前記突起島の一部が他の突起島と接続された状態に加工する工程をさらに含むことを特徴とする。
【0029】
上記した適用例によれば、一旦マスク層を形成してから突起島を形成する。そのため、レーザー光による再結晶化を、均一にマスク層がある状態で行うことが可能となる。そのため、突起部密度を突起島内で揃えることが容易となる。
【0030】
[適用例12]上記適用例にかかる結晶核マスクの製造方法であって、前記触媒物質層が形成された前記マスク層の一部を、一連なりの外形を有する島状の突起島として互いに分離された状態、または前記突起島の一部が他の突起島と接続された状態に加工する工程をさらに含むことを特徴とする。
【0031】
上記した適用例によれば、触媒物質層のパターニングも含めて島状の突起島が形成される。触媒物質層とガラス基板との間には大きな応力が発生する場合があるが、触媒物質層を含めてパターニングすることで、触媒物質層の面積を低減することができ、ガラス基板の反りを抑制することが可能となる。
【0032】
[適用例13]本適用例にかかる多結晶シリコン層の製造方法は、ガラス基板の表層部側に、被転写基板に配置された被転写シリコン層の結晶化を促進する触媒物質を含み、前記被転写シリコン層に前記触媒物質を供給する突起部を有する触媒物質層を備えた結晶核マスクを用い、前記突起部を前記被転写シリコン層に直接接触させる、または前記突起部を前記被転写シリコン層と触れる領域に直接接触させる、または前記突起部を前記触媒物質を拡散させて前記被転写シリコン層に供給し得る拡散層に接触させることで前記被転写シリコン層に前記触媒物質を供給した後、前記被転写シリコン層を400℃以上700℃以下の温度でアニールし、結晶化起点を形成し、前記結晶化起点から結晶化を行うべく、レーザー光を照射し、前記被転写シリコン層を多結晶シリコン層へと改質することを特徴とする。
【0033】
これによれば、ガラス基板の表層部側に備えられた突起形状をなす触媒物質層から被転写シリコン層に、シリコン層の結晶化を促進する触媒物質を供給することが可能となる。ガラスは平坦かつ大面積(たとえば対角1m以上)の板を得ることができるため、被転写シリコン層を備えた基板の大型化に対して容易に対応することが可能となる。
【0034】
[適用例14]本適用例にかかる半導体装置は、ガラス基板の表層部側に、被転写基板に配置された被転写シリコン層の結晶化を促進する触媒物質を含み、前記被転写シリコン層に前記触媒物質を供給する突起部を有する触媒物質層を備えた結晶核マスクを用い、前記突起部を前記被転写シリコン層に直接接触させる、または前記突起部を前記被転写シリコン層と触れる領域に直接接触させる、または前記突起部を前記触媒物質を拡散させて前記被転写シリコン層に供給し得る拡散層に接触させることで前記被転写シリコン層に前記触媒物質を供給した後、前記被転写シリコン層を400℃以上700℃以下の温度でアニールし、結晶化起点を形成し、前記結晶化起点から結晶化を行うべく、レーザー光を照射し、前記被転写シリコン層から改質された多結晶シリコン層を用いたことを特徴とする。
【0035】
これによれば、ガラス基板の表層部側に備えられた突起形状をなす触媒物質層から被転写シリコン層に、シリコン層の結晶化を促進する触媒物質の供給を受け、結晶粒径が揃えられた多結晶シリコン層が得られるため、電気的特性の分布が少ない半導体装置を提供することが可能となる。
【0036】
[適用例15]本適用例にかかる電気光学装置は、上記した半導体装置を備えたことを特徴とする。
【0037】
これによれば、電気的特性の分布が少ない半導体装置を用いて電気光学装置を構成できるため、均一性に優れ、視覚的なむらの発生を抑えた電気光学装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
(第1実施形態:結晶核マスクの構成)
以下、第1実施形態について図面を用いて説明する。図1(a)は、本実施形態にかかる結晶核マスクの平面図、図1(b)は、結晶核マスクのA−A’線断面図、図1(c)は、被転写基板へ結晶核マスクを押圧した状態を示すA−A’線断面図に対応する断面図である。結晶核マスク1は、ガラス基板10、緩衝シリコン層11、ガラス基板10と緩衝シリコン層11との密着性を確保するための酸化珪素層10A、緩衝シリコン層11と同じ物質を用いた下地突起部11A、ニッケルを触媒物質として用いた触媒物質層12、下地突起部11Aに対応する部分に設けられた突起部13と、を含む。ここで、触媒物質層12としては、ゲルマニウム、ニッケル、コバルト、白金、パラジウム、タングステンの内の、少なくとも一種類以上の物質を含む触媒物質を用いることが可能である。ここでは、触媒効果が高いニッケルを触媒物質として用いた例について説明する。なお、酸化珪素層10Aに代えて、酸窒化珪素(酸素0%、窒素0%を含む)層を用いても良い。さらには、アルミナ等のセラミック材料を用いても良い。
【0039】
ガラス基板10は、酸化珪素層10A、緩衝シリコン層11、緩衝シリコン層11と同じ物質を用いた下地突起部11A、ニッケルを触媒物質として用いた触媒物質層12を支持する機能を有している。酸化珪素層10Aは、緩衝シリコン層11のガラス基板10への付着状況を安定化させる機能を有している。ガラス基板10は容易に大型化(たとえば対角1m程度)することが可能であり、大型の被転写基板21を用いた場合でも対応が可能となる。緩衝シリコン層11は、触媒物質層12と、ガラス基板10、酸化珪素層10Aとの直接の接触を防ぎ、応力の差に起因するガラス基板10の反り等を抑制する機能を有している。下地突起部11Aは、たとえば30nm程度から50nm程度の高さを有し、被転写基板21と点接触を可能としている。触媒物質層12は、緩衝シリコン層11、下地突起部11Aを覆うよう配置されている。下地突起部11Aを覆う位置には、突起部13が形成される。触媒物質層12は5nm以上30nm以下の層厚を備えている。5nm以上の層厚を備えることで、突起部13頂部での剥がれを抑制することができる。また、30nm以下の層厚を備えることで、下地突起部11Aの段差を残して突起部13を構成することができる。突起部13の高さは10nm以上60nm以下であることが好適で、突起部13の高さが10nm以上あれば、被転写基板21に対して点状に触媒物質を付着させることができる。また、60nm以下であれば、突起部13が折れる損傷を抑制することが可能となる。また、図1(b)に示すように、突起部13の形状を先端が楕円状に潰れた円錐状の形状とすることで、突起部13の強度を高めることも好適である。
【0040】
被転写基板21は、ガラス基板20、多結晶シリコン層前駆体22A、ガラス基板20と多結晶シリコン層前駆体22Aとの密着性を確保するための酸化珪素層20Aと、を含む。結晶核マスク1と多結晶シリコン層前駆体22Aとを押圧することで、突起部13は多結晶シリコン層前駆体22Aと接触し、結晶化起点が形成される。ここで、突起部13と多結晶シリコン層前駆体22Aとの間の接触面の直径は、0.02μm以上0.25μm以下の範囲にあることが好ましい。触媒物質が付着する領域の直径を0.02μm以上とすることで、結晶核マスク1の突起部13にかかる圧力を抑え、突起部13の損傷発生を抑制することが可能となる。また、0.25μm以下に抑えることで、触媒物質の過剰な供給を抑制することが可能となる。なお、この寸法は押圧した時点でのものであり、押圧していない状態での寸法より若干大きくなる。
【0041】
(変形例:第1実施形態)
以下、第1実施形態の変形例について説明する。第1実施形態では、緩衝シリコン層11を覆うように触媒物質層12を形成したが、これは、緩衝シリコン層11と触媒物質層12に代えて触媒物質を含むSiGe(Si0%を含む)層15(図2参照)を用いても良い。この構造を用いることで、別途触媒物質層12を形成することなく触媒物質を供給し得る結晶核マスク1を提供することが可能となる。図2(a)は、緩衝シリコン層11と触媒物質層12と、に代えてSiGe(Si0%を含む)層15を備えた構成の断面図、図2(b)は被転写基板21へ結晶核マスク1を押圧した状態を示す断面図である。さらに、この場合、Ge量を触媒効果が現れる程度の組成に調整しておくことで、触媒物質の量を抑えて被転写基板21の多結晶シリコン層前駆体22Aに付与することが可能となる。
【0042】
また、第1実施形態では、ガラス基板10に緩衝シリコン層11、緩衝シリコン層11と同じ物質を用いた下地突起部11A、ニッケルを触媒物質として用いた触媒物質層12、下地突起部11Aに対応する部分に設けられた突起部13が備えられている構成について説明したが、これは下地突起部11A、緩衝シリコン層11を形成せずに、直接突起部13を配置しても良い。図3は、直接突起部13を配置した場合の断面図である。製造方法としては、たとえば、フォトレジスト塗布、フォトレジスト開口、熱流動による開口部シュリンク、触媒物質のスパッタ、ドライエッチング、アッシング等の工程により、触媒物質をシュリンクされた開口部のみに残すことが可能となる。この場合、フォトレジストの厚さをきわめて薄く(100nm以下程度)できるため、高い精度で開口部の形成を行うことができる。
【0043】
また、第1実施形態では、ガラス基板10の全面に緩衝シリコン層11、緩衝シリコン層11と同じ物質を用いた下地突起部11A、ニッケルを触媒物質として用いた触媒物質層12、下地突起部11Aに対応する部分に設けられた突起部13が備えられている構成について説明したが、これは、部分的に突起部13を残すように構成しても良い。
【0044】
たとえば、ガラス基板10上に一連なりの外形を有する突起島16(図4参照)上に突起部13を配置しても良い。図4は、突起島16を供えた結晶核マスク1を示す平面図である。この場合、ガラス基板10上に配置される突起島16間にガラス基板10に対する平面視にて、触媒物質層12や緩衝シリコン層11に空きが生じる。そのため、ガラス基板10が受ける触媒物質層12からの応力は空きの分だけ減少する。そのため、ガラス基板10の反りの発生等を抑制することが可能となる。なお、この突起島16は孤立していても、一部が他の突起島16と繋がっている形状を有していても良い。また、突起島16中の突起部13は、一つであっても良い。
【0045】
(第2実施形態:結晶核マスクの製造方法)
以下、第2実施形態として、結晶核マスクの製造方法について説明する。図5(a)〜(c)は結晶核マスクの製造工程を示す工程断面図である。
【0046】
まず、ガラス基板10上に、酸化珪素層10AをプラズマCVD法などにより形成する。厚さは200nmの程度の厚さを有している。この工程において用いる原料ガスとしては、たとえばモノシランと酸化窒素との混合ガスや、TEOS(テトラエトキシシラン、Si(OC2H5)4))と酸素の組合せが好適である。成層温度は、ガラス基板10の表面温度が150〜450℃となる条件を用いることが好ましい。酸化珪素層10Aは後述する緩衝シリコン層11のガラス基板10への付着状況を安定化させる機能を有している。なお、酸化珪素層10Aに代えて、酸窒化珪素(酸素0%、窒素0%を含む)層を用いても良い。さらには、アルミナ等のセラミック材料を用いて層形成しても良い。ここまでの工程を終えた状態での工程断面図を図5(a)に示す。
【0047】
次に、緩衝シリコン層前駆体11BをプラズマCVD法などにより成層する。層厚は、30nm以上100nm以下の値をとることが望ましい。30nm以上の厚さを有することで、緩衝シリコン層前駆体11Bを後述する工程で緩衝シリコン層11に改質した後でも緩衝シリコン層11が切断されることなく残される。また、100nm以下の値をとることで後述するレーザー光による熔融/再結晶化処理で、緩衝シリコン層前駆体11Bに光エネルギーを深部まで到達させて溶融させることが可能となり、再結晶工程を実行することが可能となる。本実施形態では、40nmの層厚で緩衝シリコン層前駆体11Bを形成している。この工程において用いる原料ガスとしては、ジシランやモノシランが好適である。ここまでの工程を終えた状態での工程断面図を図5(b)に示す。また、ここで緩衝シリコン層前駆体11Bを加熱し、水素を離脱させる工程を行っても良い。
【0048】
次に、たとえばXeCl(308nm),ArF(193nm),KrF(248nm),XeF(353nm)などのエキシマレーザーを用いて、エネルギー密度をたとえば300mJ/cm2〜400mJ/cm2に設定し、緩衝シリコン層前駆体11Bに光エネルギーを加え、緩衝シリコン層前駆体11Bを溶融/再結晶化させる。レーザー光は、走査方向に対してその一部が重なるようずらしながら緩衝シリコン層前駆体11Bに照射する。ここで用いるエキシマレーザーのエネルギー密度は、緩衝シリコン層前駆体11Bの表面を溶解させるエネルギー密度をEs、緩衝シリコン層前駆体11Bを完全溶融させるエネルギー密度をEcとすると、照射エネルギー密度Eyは、Es+(Ec−Es)×0.6≦Ey<Es+(Ec−Es)×0.8程度であることが好ましい。この程度のエネルギーに制御することで、後述する下地突起部11Aの高さを大きくとることができるからである。この工程により緩衝シリコン層前駆体11Bは緩衝シリコン層11と下地突起部11Aとに改質される。下地突起部11Aは円錐状の形状を有し、溶融/再結晶化させたエキシマレーザー光の波長と同程度の間隙を持って整列する。本実施形態では、XeClを用いたエキシマレーザーを用いており、下地突起部11Aは約300nm間隔で自己整合的に配列されて形成される。
【0049】
ここで、エキシマレーザーの光軸は、緩衝シリコン層前駆体11Bに対して垂直(入射角0°)に入射させても良いが、エキシマレーザーの走査方向に対して0°以上30°以下の入射角を与えることも好適である。この場合、走査方向に対して温度勾配が発生し、下地突起部11Aの頂部がつぶれた形状に制御することができる。そのため、結晶核マスク1(図1参照)の突起部13の頂部も追随して円錐形状の頂部が楕円状につぶれた形状となる。このため、結晶核マスク1を被転写基板21(図1(c)参照)に押圧した際に応力を点ではなく面で受けることとなり、突起部13の破壊を防止することが可能となる。なお、入射角を30°以下にすることで、緩衝シリコン層前駆体11B表面でのレーザー光の反射損を実用的な範囲におさめることが可能となる。この工程で下地突起部11Aは、10nm〜60nm程度の高さを持って生成される。ここまでの工程を終えた状態での工程断面図を図5(c)に示す。
【0050】
次に、ゲルマニウム、ニッケル、コバルト、白金、パラジウム、タングステンの内の、少なくとも一種類以上の物質を含む触媒物質を用いて蒸着法やスパッタ法により触媒物質層12を形成する。層厚としては、触媒物質層12は5nm以上30nm以下の層厚にすることが好ましい。5nm以上の層厚を備えることで、突起部13頂部での剥がれを抑制することができる。また、30nm以下の層厚を備えることで、下地突起部11Aの段差を残して突起部13を構成することができるからである。以上の工程を行うことで、図1に示される結晶核マスク1を形成することができる。また、触媒物質層12を形成した後、400℃〜700℃程度の熱処理を施し、緩衝シリコン層11と下地突起部11Aと、触媒物質層12とを反応させても良く、この場合には密着性を高めることが可能となり、突起部13頂部での剥がれを抑制することができる。なお、この熱処理は、ランプアニール等の短時間アニールを用いることも好適であり、過剰な反応を抑えることが可能となる。
【0051】
(変形例:第2実施形態)
以下、第2実施形態の変形例について説明する。上記した実施形態ではXeCl(308nm)を用いた例について説明したが、これは、Nd:YAGレーザーの2倍高調波である532nmのレーザー光源を用いても良い。この場合、溶融/再結晶化が長い波長(532nm)で行われるため、突起部13の間隔を大きく取れる。そのため、被転写基板21(図1(c)参照)に転写を行う際に、より広い間隔を持って突起部13と接触させることが可能となる。そのため、被転写基板21が含む結晶粒界の密度を低減することが可能となる。
【0052】
また、緩衝シリコン層前駆体11Bを形成した後、フォトリソグラフ/エッチング処理を行い、島状に加工した後、エキシマレーザーを照射し、突起島16を形成することも好適である。図6は、突起島16を形成した場合の平面図である。この場合、突起島16の寸法にもよるが、単一、あるいは複数の突起部13を含む突起島16の間には、たとえば5μmの空き領域が形成される。このように加工した後、上記した工程を用いて結晶核マスク1を形成することで、突起部13の密度を下げることが可能となる。突起部13の密度を下げることで、被転写基板21(図1(c)参照)に転写を行う際に、より広い間隔を持って突起部13と接触させることが可能となる。そのため、被転写基板21が含む結晶粒界の密度を低減することが可能となる。
【0053】
この場合、一部の領域で突起島16同士の一部が繋がっていても問題は生ぜず、完全に島状に分離していなくとも良い。
【0054】
また、エキシマレーザーを照射し、下地突起部11Aを形成した後にフォトリソグラフ/エッチング処理を行い、島状に加工しても同様の効果を得ることができる。加えて、レーザー光による再結晶化を、均一にマスク層がある状態で行うことが可能となる。そのため、突起部13の密度を突起島16内で揃えることが容易となる。この場合でも、一部の領域で突起島16同士の一部が繋がっていても問題は生ぜず、完全に島状に分離していなくとも良い。
【0055】
また、触媒物質層12を形成した後にフォトリソグラフ/エッチング処理を行い、島状に加工しても同様の効果を得ることができる。加えて、触媒物質層12のパターニングも含めて島状の突起島16が形成される。触媒物質層12とガラス基板10との間には大きな応力が発生する場合があるが、触媒物質層12を含めてパターニングすることで、触媒物質層12の面積を低減することができ、ガラス基板10の反りを抑制することが可能となる。この場合でも、一部の領域で突起島16同士の一部が繋がっていても問題は生ぜず、完全に島状に分離していなくとも良い。
【0056】
(第3実施形態:ゲルマニウムを含む結晶核マスクの製造方法)
以下、第3実施形態として、ゲルマニウムを含む結晶核マスクの製造方法について説明する。図7(a)、(b)は結晶核マスクの製造工程を示す工程断面図である。
【0057】
まず、ガラス基板10上に、酸化珪素層10AをプラズマCVD法などにより形成する。厚さは200nmの程度の厚さを有している。この工程において用いる原料ガスとしては、たとえばモノシランと酸化窒素との混合ガスや、TEOS(テトラエトキシシラン、Si(OC2H5)4))と酸素の組合せが好適である。成層温度は、ガラス基板10の表面温度が150〜450℃となる条件を用いることができる。酸化珪素層10Aは後述する緩衝シリコン層11のガラス基板10への付着状況を安定化させる機能を有している。なお、酸化珪素層10Aに代えて、酸窒化珪素(酸素0%、窒素0%を含む)層を用いても良い。さらには、アルミナ等のセラミック材料を用いて層形成しても良い。ここまでの工程を終えた状態での工程断面図を図7(a)に示す。
【0058】
次に、SiGe層前駆体15A(Si0%を含む)をプラズマCVD法などにより成層する。層厚は、30nm以上100nm以下の値をとることが望ましい。30nm以上の厚さを有することで、SiGe層前駆体15Aを後述する工程でSiGe層前駆体15Aに改質した後でもSiGe層15が切断されることなく残される。また、100nm以下の値をとることで後述するレーザー光による熔融/再結晶化処理で、SiGe層前駆体15Aに光エネルギーを深部まで到達させて溶融させることが可能となり、再結晶工程を実行することが可能となる。本実施形態では、40nmの層厚でSiGe層前駆体15Aを形成している。この工程において用いる原料ガスとしては、ジシランやモノシランが好適である。ここまでの工程を終えた状態での工程断面図を図7(b)に示す。また、ここでSiGe層前駆体15Aを加熱し、水素を離脱させる工程を行っても良い。
【0059】
次に、たとえばXeCl(308nm),ArF(193nm),KrF(248nm),XeF(353nm)などのエキシマレーザーを用いて、エネルギー密度をたとえば300mJ/cm2〜400mJ/cm2に設定し、SiGe層前駆体15Aに光エネルギーを加え、SiGe層前駆体15Aを溶融/再結晶化させる。レーザー光は、走査方向に対してその一部が重なるようずらしながらSiGe層前駆体15Aに照射する。ここで用いるエキシマレーザーのエネルギー密度は、表面を溶解させるエネルギー密度をEs、SiGe層前駆体15Aを完全溶融させるエネルギー密度をEcとすると、照射エネルギー密度Eyは、Es+(Ec−Es)×0.6≦Ey<Es+(Ec−Es)×0.8程度であることが好ましい。この程度のエネルギーに制御することで、後述する突起部13の高さを大きくとることができるからである。この工程によりSiGe層前駆体15AはSiGe層15と突起部13とに改質される。突起部13は円錐状の形状を有し、溶融/再結晶化させたエキシマレーザー光の波長と同程度の間隙を持って整列する。本実施形態では、XeClを用いたエキシマレーザーを用いており、突起部13は約300nm間隔で自己整合的に配列されて形成される。
【0060】
ここで、エキシマレーザーの光軸は、SiGe層前駆体15Aに対して垂直(入射角0°)に入射させても良いが、エキシマレーザーの走査方向に対して0°以上30°以下の入射角を与えることも好適である。この場合、走査方向に対して温度勾配が発生し、突起部13の頂部がつぶれた形状に制御することができる。このため、結晶核マスク1を被転写基板21(図2(b)参照)に押圧した際に応力を点ではなく面で受けることとなり、突起部13の破壊を防止することが可能となる。なお、入射角を30°以下にすることで、SiGe層前駆体15A表面でのレーザー光の反射損を実用的な範囲におさめることが可能となる。この工程で突起部13は、10nm〜60nm程度の高さを持って生成される。以上の工程を行うことで、図2(a)に示される結晶核マスク1を形成することができる。
【0061】
(変形例:第3実施形態)
以下、第3実施形態の変形例について説明する。上記した実施形態ではXeCl(308nm)を用いた例について説明したが、これは、Nd:YAGレーザーの2倍高調波である532nmのレーザー光源を用いても良い。この場合、溶融/再結晶化が長い波長(532nm)で行われるため、突起部13の間隔を大きく取れる。そのため、被転写基板21(図2(b)参照)に転写を行う際に、より広い間隔を持って突起部13と接触させることが可能となる。そのため、被転写基板21が含む結晶粒界の密度を低減することが可能となる。
【0062】
また、SiGe層前駆体15Aを形成した後、フォトリソグラフ/エッチング処理を行い、島状に加工した後、エキシマレーザーを照射し、突起島16を形成することも好適である。図8は、突起島16を形成した場合の平面図である。この場合、突起島16の寸法にもよるが、単一、あるいは複数の突起部13を含む突起島16の間には、たとえば5μmの空き領域が形成される。このように加工した後、上記した工程を用いて結晶核マスク1を形成することで、突起部13の密度を下げることが可能となる。突起部13の密度を下げることで、被転写基板21(図2(b)参照)に転写を行う際に、より広い間隔を持って突起部13と接触させることが可能となる。そのため、被転写基板21が含む結晶粒界の密度を低減することが可能となる。
【0063】
この場合、一部の領域で突起島16同士の一部が繋がっていても問題は生ぜず、完全に島状に分離していなくとも良い。
【0064】
また、エキシマレーザーを照射し、突起部13を形成した後にフォトリソグラフ/エッチング処理を行い、島状に加工しても同様の効果を得ることができる。加えて、レーザー光による再結晶化を、均一にマスク層がある状態で行うことが可能となる。そのため、突起部13の密度を突起島16内で揃えることが容易となる。この場合でも、一部の領域で突起島16同士の一部が繋がっていても問題は生ぜず、完全に島状に分離していなくとも良い。
【0065】
(第4実施形態:多結晶シリコン層の製造方法)
以下、上述した結晶核マスク1を用いて多結晶シリコン層22を製造する製造方法について説明する。図9(a)〜(d)、図10(a)、(b)は多結晶シリコン層22を形成する工程を示す工程断面図である。
【0066】
まず、工程1として、ガラス基板20を覆うように、酸化珪素層20AをプラズマCVD法などにより形成する。厚さは200nmの程度の厚さを有している。この工程において用いる原料ガスとしては、たとえばモノシランと酸化窒素との混合ガスや、TEOS(テトラエトキシシラン、Si(OC2H5)4))と酸素の組合せが好適である。成層温度は、ガラス基板20の表面温度が150〜450℃となる条件を用いることができる。酸化珪素層20Aは後述する多結晶シリコン層前駆体22Aのガラス基板10への付着状況を安定化させる機能を有している。なお、酸化珪素層20Aに代えて、酸窒化珪素(酸素0%、窒素0%を含む)層を用いても良い。さらには、アルミナ等のセラミック材料を層として用いても良い。ここまでの工程を終えた状態での工程断面図を図9(a)に示す。
【0067】
次に、工程2として、多結晶シリコン層前駆体22AをプラズマCVD法などにより成層する。層厚は、30nm以上100nm以下の値をとることが望ましい。30nm以上の厚さを有することで、多結晶シリコン層前駆体22Aを後述する工程で多結晶シリコン層22に改質した後でも多結晶シリコン層22が切断されることなく残される。また、100nm以下の値をとることで後述するレーザー光による熔融/再結晶化処理で、多結晶シリコン層前駆体22Aの深部まで溶融させることが可能となり、再結晶工程を実行することが可能となる。本実施形態では、40nmの層厚で多結晶シリコン層前駆体22Aを形成している。この工程において用いる原料ガスとしては、ジシランやモノシランが好適である。ここまでの工程を終えた状態での工程断面図を図9(b)に示す。また、ここで多結晶シリコン層前駆体22Aを加熱し、水素を離脱させる工程を行っても良い。
【0068】
次に、工程3として、結晶核マスク1と多結晶シリコン層前駆体22Aとを接触させる。この工程を行うことで、点状の触媒物質が多結晶シリコン層前駆体22A表面に、点状に形成される。ここまでの工程を終えた状態での工程断面図を図9(c)に示す。
【0069】
次に、工程4として、加熱処理を行い、点状に添加された触媒物質からなる触媒点25と多結晶シリコン層前駆体22Aとを反応させ、結晶核24を形成する。熱処理は400℃以上700℃以下の温度範囲を用いることが好適である。また、この熱処理は、ランプアニール等の短時間アニールを用いることも好適であり、触媒点25と多結晶シリコン層前駆体22Aとの間での過剰な混成反応を抑えることが可能となる。ここまでの工程を終えた状態での工程断面図を図9(d)に示す。
【0070】
次に、工程5として、塩酸30%、過酸化水素10%を純水にて100%に調整した洗浄液を用いて、触媒点25を除去する。ここまでの工程を終えた状態での工程断面図を図10(a)に示す。
【0071】
次に、工程6として、たとえばXeCl(308nm),ArF(193nm),KrF(248nm),XeF(353nm)などのエキシマレーザーや、Nd:YAGレーザーの2倍高調波である532nmのレーザー光源を用いても良い。そして、レーザー光のエネルギー密度をたとえば350mJ/cm2〜550mJ/cm2に設定し、多結晶シリコン層前駆体22Aに光エネルギーを加え、多結晶シリコン層前駆体22Aを溶融/再結晶化させる。レーザー光は、走査方向に対してその一部が重なるようずらしながら多結晶シリコン層前駆体22Aに照射する。ここで用いるエキシマレーザーのエネルギー密度は、表面を溶解させるエネルギー密度をEs、多結晶シリコン層前駆体22Aを完全溶融させるエネルギー密度をEcとすると、照射エネルギー密度Eyは、Es+(Ec−Es)×0.8≦Ey<Ec程度であることが好ましい。この程度のエネルギーに制御することで、平坦な表面形状を有する多結晶シリコン層22が得られる。以上の工程を終えた状態での工程断面図を図10(b)に示す。以上の工程を行うことで、多結晶シリコン層22を得ることが可能となる。また、Nd:YAGレーザーの2倍高調波である532nmのレーザー光源を用いた場合、Nd:YAGレーザーはCWで発振し、出力安定性が高く、大きな粒径(5μm程度)の多結晶シリコン層22を得ることができる。この効果を生かす場合には、工程3で用いる結晶核マスク1として、たとえば図6に示される、突起島16を含む結晶核マスク1を用いることで突起部13の間隔を広げ、結晶核24の間隔を広くすることが好適である。この場合、多結晶シリコン層22の粒径が大きくなるため、粒界の密度を低減することが可能となる。そのため、粒界に存在するキャリアを捕獲する準位の影響を避けて、高い移動度を有する多結晶シリコン層22を得ることが可能となる。
【0072】
(変形例:第4実施形態)
以下、第4実施形態の変形例について説明する。上記した実施形態では、工程3で結晶核マスク1と多結晶シリコン層前駆体22Aを直接接触させているが、これは工程3に代えて、工程1と工程2との間に、結晶核マスク1と酸化珪素層20Aとを接触させて構成しても良い。この場合、触媒物質は多結晶シリコン層前駆体22Aのガラス基板20側から供給される。そのため、後述するトップゲート型TFTを構成する場合に、ゲート絶縁層側への触媒物質の侵入を抑制することが可能となり、触媒物質による影響を受けにくいTFTを提供することが可能となる。なお、この場合においても、酸化珪素層20Aに代えて、酸窒化珪素(酸素0%、窒素0%を含む)層を用いても良い。さらには、アルミナ等のセラミック材料を層として用いても良い。
【0073】
また、工程3に代えて、工程1の前に結晶核マスク1とガラス基板20と接触させる工程を挿入しても良い。ここで、酸化珪素層20Aを通して触媒物質を拡散させるべく、工程1で形成される酸化珪素層20Aの厚さを5nm〜50nm程度にすることが好ましい。この程度の厚さに制御することで、酸化珪素層20Aが多結晶シリコン層前駆体22Aへ触媒物質を拡散させる拡散層として機能させることが可能となる。この場合、触媒物質の量をさらに精密に制御でき、特にトップゲート型TFTを構成する場合に、ゲート絶縁層側への触媒物質の侵入を抑制することが可能となり、触媒物質による影響を受けにくいTFTを提供することが可能となる。ここで、酸化珪素層20Aの組成を変えて、酸窒化珪素層(酸素0%、窒素0%を含む)や、アルミナ等のセラミック材料を層として用いても良い。
【0074】
また、工程2と工程3との間に、触媒物質を拡散させて多結晶シリコン層前駆体22Aに供給する拡散層として酸窒化珪素(酸素0%、窒素0%を含む)層を5nm〜50nm程度形成しても良い。この場合、触媒物質の多結晶シリコン層前駆体22A上での量を少なく抑えることが可能となり、多結晶シリコン層前駆体22Aを多結晶シリコン層22に改質した後に残留する触媒物質の量を低減することが可能となり、金属汚染の影響が少ない多結晶シリコン層22を得ることが可能となる。
【0075】
また、工程5となる触媒点25の除去工程は、結晶核マスク1と多結晶シリコン層前駆体22Aを直接接触させる場合以外では省略可能である。特に、触媒物質としてゲルマニウムを用いた場合には汚染の影響が少ないため、この工程を省略することができる。また、たとえば図6に示される、突起島16を含む結晶核マスク1を用いた場合には、予め触媒点25を避けて半導体装置を形成することが可能となるので、この場合においても触媒点25の除去工程を省略することが可能である。また、直接接触させる場合でも、汚染の影響が顕著でない場合には触媒点25の除去工程は省略可能である。
【0076】
(第5実施形態:半導体装置)
以下、第5実施形態として、第4実施形態で提供された多結晶シリコン層22(図10(b)参照)を用いた半導体装置としてTFTについて説明する。図11(c)は、多結晶シリコン層22を用いたTFT30の模式断面図である。TFT30は、チャネル領域31、ドレイン側LDD領域32d、ソース側LDD領域32s、ドレイン領域33d、ソース領域33s、ゲート絶縁層34、ゲート電極35、層間絶縁層36、ドレインコンタクト37d、ソースコンタクト37sを含む。
【0077】
ここで、構造の説明に入る前に、TFT30を形成する製造工程について簡単に説明する。TFT30としては、N型のTFTを用いる例について説明する。図11(a)〜(c)はTFT30を形成するための工程断面図である。
【0078】
まず、図10(b)に示した被転写基板21を覆う領域に位置する多結晶シリコン層22をパターニングし、TFT30の周辺と絶縁する。次に、電子サイクロトロン共鳴−プラズマ化学気相堆積法等を用いてゲート絶縁層34として酸化珪素層を積層する。次に、フォトレジスト層38を形成し、フォトレジスト層38をマスクとしてイオン注入を行い、ドレイン領域33d、ソース領域33sを形成する。ここまでの工程を終えた状態での工程断面図を図11(a)に示す。
【0079】
次に、フォトレジスト層38をエッチングして除き、スパッタ法によりタンタルやアルミにウム等の金属層を形成し、パターニングすることでゲート電極35を形成する。続けて、ゲート電極35をマスクとしてイオン注入を行い、ドレイン側LDD領域32d、ソース側LDD領域32sを形成する。ここまでの工程を終えた状態での工程断面図を図11(b)に示す。
【0080】
次に、電子サイクロトロン共鳴−プラズマ化学気相堆積法等を用いて層間絶縁層36として酸化珪素層を積層する。続けて、層間絶縁層36のドレイン領域33d、ソース領域33sにあたる領域を開口して、アルミニウム等の金属層をスパッタ法で堆積した後、パターニングしてドレインコンタクト37d、ソースコンタクト37sを形成してTFT30が完成する。この製造工程を終えた状態の断面図を図11(c)に示す。
【0081】
次に、図11(c)に示すTFT30の構成について説明する。
【0082】
チャネル領域31は、ゲート絶縁層34を介してゲート電極35から印加される電界に応じてドレイン領域33dからソース領域33sに流れる電流を制御している。
【0083】
ドレイン側LDD領域32d、ソース側LDD領域32sは、ドレイン領域33d、ソース領域33sにかかる電界強度を緩和させる機能を有している。
【0084】
ドレイン領域33d、ソース領域33sは、協働してチャネル領域31に電流を流すためのキャリア(N型の場合は電子)を供給/回収する機能を有している。
【0085】
ゲート絶縁層34、ゲート電極35は、協働してゲート電極35からの電界をチャネル領域31に伝達する機能を有している。
【0086】
層間絶縁層36は、TFT30を電気的に隔離し、他の領域との電気的短絡を防止する機能を有している。
【0087】
ドレインコンタクト37d、ソースコンタクト37sは各々、ドレイン領域33d、ソース領域33sにTFT30外部から電位・電流を供給する機能を有している。
【0088】
TFT30は、チャネル領域31が、粒径が揃えられた多結晶シリコン層22を用いて形成されるため、被転写基板21内での特性分布を揃えることが可能であり、たとえば受光装置や発光装置、光の透過を制御する装置(たとえば液晶装置)等、均一性が求められるデバイスへの対応に適している。また、第4実施形態で示したように、粒径の大きな(5μm程度)多結晶シリコン層22を用いることで、粒界に存在するキャリアを捕獲する準位の影響を避けて、均一性が高く、かつ低いリーク電流と高い移動度を同時に備えたTFT30を提供することが可能となる。
【0089】
(第6実施形態:電気光学装置)
以下、第6実施形態として、上記した半導体装置を用いた電気光学装置について説明する。ここで、「電気光学装置」とは、本発明に係る薄膜半導体装置の製造方法により製造された薄膜半導体装置と、電気的作用によって発光する素子または外部からの光の状態を変化させる電気光学素子を備えた装置一般をいい、自ら光を発するものと外部からの光の通過を制御するものとの両者を含むものである。このような電気光学装置としては、たとえば電気光学素子として液晶素子、電気泳動素子が分散した分散媒を有する電気泳動素子、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子、電界の印加により発生した電子を発光板に当てて発光させる電子放出素子などを備えたアクティブマトリクス型の表示装置等が挙げられる。図12(a)〜(c)は、TFT30(図11(c)参照)を含む電気光学装置の具体例を示す概略図である。
【0090】
図12(a)は、TFT30を備えたモバイル型のパーソナルコンピュータにおける概略図である。パーソナルコンピュータ2000は、TFT30を備えた液晶パネル300と本体部2010を備える。本体部2010には、電源スイッチ2001およびキーボード2002が設けられている。
【0091】
図12(b)は、TFT30を含む有機ELパネル400を備えた携帯電話機における概略図である。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002、並びに表示ユニットとしての有機ELパネル400を備える。スクロールボタン3002を操作することによって、有機ELパネル400に表示される画面がスクロールされる。
【0092】
図12(c)は、TFT30を備えた有機ELパネル400を適用した情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)における概略図である。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001および電源スイッチ4002、並びに表示ユニットとしての有機ELパネル400を備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が有機ELパネル400に表示される。
【0093】
なお、TFT30は有機ELパネル400以外の搭載例として、液晶パネルや、データ処理回路等についても用いることができる。また、光学的な用途に限定されることなく、論理回路や演算回路として用いることができる。特に、TFT30の均一性が高いことから、TFT30を表示素子の制御に用いた場合、均一性の高い表示を行うことが可能となる。即ち、視覚的なむらの発生を抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】(a)は、本実施形態にかかる結晶核マスクの平面図、(b)は、結晶核マスクのA−A’線断面図、(c)は、被転写基板へ結晶核マスクを押圧した状態を示すA−A’線断面図に対応する断面図。
【図2】(a)は、緩衝シリコン層と触媒物質層と、に代えてSiGe(Si0%を含む)層を備えた構成の断面図、(b)は被転写基板へ結晶核マスクを押圧した状態を示す断面図。
【図3】直接突起部を配置した場合の断面図。
【図4】突起島を供えた結晶核マスクを示す平面図。
【図5】(a)〜(c)は結晶核マスクの製造工程を示す工程断面図。
【図6】突起島を形成した場合の平面図。
【図7】(a)、(b)は結晶核マスクの製造工程を示す工程断面図。
【図8】突起島を形成した場合の平面図。
【図9】(a)〜(d)は多結晶シリコン層を形成する工程を示す工程断面図。
【図10】(a)、(b)は多結晶シリコン層を形成する工程を示す工程断面図。
【図11】(a)〜(c)はTFTを形成するための工程断面図。
【図12】(a)〜(c)は、TFTを含む電気光学装置の具体例を示す概略図。
【符号の説明】
【0095】
1…結晶核マスク、10…ガラス基板、10A…酸化珪素層、11…緩衝シリコン層、11A…下地突起部、11B…緩衝シリコン層前駆体、12…触媒物質層、13…突起部、15…SiGe層、15A…SiGe層前駆体、16…突起島、20…ガラス基板、20A…酸化珪素層、21…被転写基板、22…多結晶シリコン層、22A…多結晶シリコン層前駆体、24…結晶核、25…触媒点、30…TFT、31…チャネル領域、32d…ドレイン側LDD領域、32s…ソース側LDD領域、33d…ドレイン領域、33s…ソース領域、34…ゲート絶縁層、35…ゲート電極、36…層間絶縁層、37d…ドレインコンタクト、37s…ソースコンタクト、38…フォトレジスト層、300…液晶パネル、400…有機ELパネル、2000…パーソナルコンピュータ、2001…電源スイッチ、2002…キーボード、2010…本体部、3000…携帯電話機、3001…操作ボタン、3002…スクロールボタン、4000…情報携帯端末、4001…操作ボタン、4002…電源スイッチ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板の表層部側に、シリコン層の結晶化を促進する触媒物質を含む突起部を有する触媒物質層を備えることを特徴とする結晶核マスク。
【請求項2】
請求項1に記載の結晶核マスクであって、前記突起部の寸法を、該突起部を前記シリコン層に接触させた時の接触領域の直径が0.02μm以上0.25μm以下となるように揃えたことを特徴とする結晶核マスク。
【請求項3】
請求項1または2に記載の結晶核マスクであって、前記触媒物質層は、ゲルマニウム、ニッケル、コバルト、白金、パラジウム、タングステンの内の、少なくとも一種類以上の物質を含むことを特徴とする結晶核マスク。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の結晶核マスクであって、前記ガラス基板と前記触媒物質層との間に前記突起部の位置と対応する下地突起部を備えた緩衝シリコン層を挟むことを特徴とする結晶核マスク。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の結晶核マスクであって、前記突起部の高さは10nm以上60nm以下であることを特徴とする結晶核マスク。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の結晶核マスクであって、前記ガラス基板に対する平面視にて、一連なりの外形を有する突起島上に前記突起部は配置されてなり、かつ前記突起島は前記ガラス基板表層部側に互いに分離した状態、または前記突起島間の一部が他の突起島と接続された状態にあることを特徴とする結晶核マスク。
【請求項7】
ガラス基板の表層部側にマスク層前駆体としてシリコン層を形成する工程と、
前記マスク層前駆体にレーザー光を照射し前記マスク層前駆体を、前記レーザー光の波長と揃えられたピッチで配置される凸部を含む、多結晶シリコン層を備えたマスク層に改質する工程と、
前記マスク層における前記凸部の段差を残して、シリコン層の結晶化を促進する触媒物質を含む触媒物質層を堆積し、前記触媒物質を含む突起部を形成する工程と、
を含むことを特徴とする結晶核マスクの製造方法。
【請求項8】
ガラス基板の表層部側に、シリコン層の結晶化を促進する触媒物質となるゲルマニウム、または触媒物質としてのゲルマニウムを含むシリコンを用いたマスク層前駆体を形成する工程と、
前記マスク層前駆体にレーザー光を照射し前記マスク層前駆体を、前記レーザー光の波長と揃えられたピッチで配置される突起部を含む、多結晶ゲルマニウム層またはシリコンゲルマニウム層を備えたマスク層に改質する工程と、
を含むことを特徴とする結晶核マスクの製造方法。
【請求項9】
請求項7に記載の結晶核マスクの製造方法であって、前記触媒物質層は、ゲルマニウム、ニッケル、コバルト、白金、パラジウム、タングステンの内の、少なくとも一種類以上の物質を含むことを特徴とする結晶核マスクの製造方法。
【請求項10】
請求項7または8に記載の結晶核マスクの製造方法であって、前記マスク層前駆体の一部を前記マスク層に改質する前に、一連なりの外形を有する島状の突起島として互いに分離された状態、または前記突起島の一部が他の突起島と接続された状態に加工する工程をさらに含むことを特徴とする結晶核マスクの製造方法。
【請求項11】
請求項7または8に記載の結晶核マスクの製造方法であって、前記マスク層の一部を、一連なりの外形を有する島状の突起島として互いに分離された状態、または前記突起島の一部が他の突起島と接続された状態に加工する工程をさらに含むことを特徴とする結晶核マスクの製造方法。
【請求項12】
請求項7に記載の結晶核マスクの製造方法であって、前記触媒物質層が形成された前記マスク層の一部を、一連なりの外形を有する島状の突起島として互いに分離された状態、または前記突起島の一部が他の突起島と接続された状態に加工する工程をさらに含むことを特徴とする結晶核マスクの製造方法。
【請求項13】
ガラス基板の表層部側に、被転写基板に配置された被転写シリコン層の結晶化を促進する触媒物質を含み、前記被転写シリコン層に前記触媒物質を供給する突起部を有する触媒物質層を備えた結晶核マスクを用い、
前記突起部を前記被転写シリコン層に直接接触させる、または前記突起部を前記被転写シリコン層と触れる領域に直接接触させる、または前記突起部を前記触媒物質を拡散させて前記被転写シリコン層に供給し得る拡散層に接触させることで前記被転写シリコン層に前記触媒物質を供給した後、
前記被転写シリコン層を400℃以上700℃以下の温度でアニールし、結晶化起点を形成し、
前記結晶化起点から結晶化を行うべく、レーザー光を照射し、前記被転写シリコン層を多結晶シリコン層へと改質することを特徴とする多結晶シリコン層の製造方法。
【請求項14】
ガラス基板の表層部側に、被転写基板に配置された被転写シリコン層の結晶化を促進する触媒物質を含み、前記被転写シリコン層に前記触媒物質を供給する突起部を有する触媒物質層を備えた結晶核マスクを用い、
前記突起部を前記被転写シリコン層に直接接触させる、または前記突起部を前記被転写シリコン層と触れる領域に直接接触させる、または前記突起部を前記触媒物質を拡散させて前記被転写シリコン層に供給し得る拡散層に接触させることで前記被転写シリコン層に前記触媒物質を供給した後、
前記被転写シリコン層を400℃以上700℃以下の温度でアニールし、結晶化起点を形成し、
前記結晶化起点から結晶化を行うべく、レーザー光を照射し、前記被転写シリコン層から改質された多結晶シリコン層を用いたことを特徴とする半導体装置。
【請求項15】
請求項14に記載の半導体装置を備えたことを特徴とする電気光学装置。
【請求項1】
ガラス基板の表層部側に、シリコン層の結晶化を促進する触媒物質を含む突起部を有する触媒物質層を備えることを特徴とする結晶核マスク。
【請求項2】
請求項1に記載の結晶核マスクであって、前記突起部の寸法を、該突起部を前記シリコン層に接触させた時の接触領域の直径が0.02μm以上0.25μm以下となるように揃えたことを特徴とする結晶核マスク。
【請求項3】
請求項1または2に記載の結晶核マスクであって、前記触媒物質層は、ゲルマニウム、ニッケル、コバルト、白金、パラジウム、タングステンの内の、少なくとも一種類以上の物質を含むことを特徴とする結晶核マスク。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の結晶核マスクであって、前記ガラス基板と前記触媒物質層との間に前記突起部の位置と対応する下地突起部を備えた緩衝シリコン層を挟むことを特徴とする結晶核マスク。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の結晶核マスクであって、前記突起部の高さは10nm以上60nm以下であることを特徴とする結晶核マスク。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の結晶核マスクであって、前記ガラス基板に対する平面視にて、一連なりの外形を有する突起島上に前記突起部は配置されてなり、かつ前記突起島は前記ガラス基板表層部側に互いに分離した状態、または前記突起島間の一部が他の突起島と接続された状態にあることを特徴とする結晶核マスク。
【請求項7】
ガラス基板の表層部側にマスク層前駆体としてシリコン層を形成する工程と、
前記マスク層前駆体にレーザー光を照射し前記マスク層前駆体を、前記レーザー光の波長と揃えられたピッチで配置される凸部を含む、多結晶シリコン層を備えたマスク層に改質する工程と、
前記マスク層における前記凸部の段差を残して、シリコン層の結晶化を促進する触媒物質を含む触媒物質層を堆積し、前記触媒物質を含む突起部を形成する工程と、
を含むことを特徴とする結晶核マスクの製造方法。
【請求項8】
ガラス基板の表層部側に、シリコン層の結晶化を促進する触媒物質となるゲルマニウム、または触媒物質としてのゲルマニウムを含むシリコンを用いたマスク層前駆体を形成する工程と、
前記マスク層前駆体にレーザー光を照射し前記マスク層前駆体を、前記レーザー光の波長と揃えられたピッチで配置される突起部を含む、多結晶ゲルマニウム層またはシリコンゲルマニウム層を備えたマスク層に改質する工程と、
を含むことを特徴とする結晶核マスクの製造方法。
【請求項9】
請求項7に記載の結晶核マスクの製造方法であって、前記触媒物質層は、ゲルマニウム、ニッケル、コバルト、白金、パラジウム、タングステンの内の、少なくとも一種類以上の物質を含むことを特徴とする結晶核マスクの製造方法。
【請求項10】
請求項7または8に記載の結晶核マスクの製造方法であって、前記マスク層前駆体の一部を前記マスク層に改質する前に、一連なりの外形を有する島状の突起島として互いに分離された状態、または前記突起島の一部が他の突起島と接続された状態に加工する工程をさらに含むことを特徴とする結晶核マスクの製造方法。
【請求項11】
請求項7または8に記載の結晶核マスクの製造方法であって、前記マスク層の一部を、一連なりの外形を有する島状の突起島として互いに分離された状態、または前記突起島の一部が他の突起島と接続された状態に加工する工程をさらに含むことを特徴とする結晶核マスクの製造方法。
【請求項12】
請求項7に記載の結晶核マスクの製造方法であって、前記触媒物質層が形成された前記マスク層の一部を、一連なりの外形を有する島状の突起島として互いに分離された状態、または前記突起島の一部が他の突起島と接続された状態に加工する工程をさらに含むことを特徴とする結晶核マスクの製造方法。
【請求項13】
ガラス基板の表層部側に、被転写基板に配置された被転写シリコン層の結晶化を促進する触媒物質を含み、前記被転写シリコン層に前記触媒物質を供給する突起部を有する触媒物質層を備えた結晶核マスクを用い、
前記突起部を前記被転写シリコン層に直接接触させる、または前記突起部を前記被転写シリコン層と触れる領域に直接接触させる、または前記突起部を前記触媒物質を拡散させて前記被転写シリコン層に供給し得る拡散層に接触させることで前記被転写シリコン層に前記触媒物質を供給した後、
前記被転写シリコン層を400℃以上700℃以下の温度でアニールし、結晶化起点を形成し、
前記結晶化起点から結晶化を行うべく、レーザー光を照射し、前記被転写シリコン層を多結晶シリコン層へと改質することを特徴とする多結晶シリコン層の製造方法。
【請求項14】
ガラス基板の表層部側に、被転写基板に配置された被転写シリコン層の結晶化を促進する触媒物質を含み、前記被転写シリコン層に前記触媒物質を供給する突起部を有する触媒物質層を備えた結晶核マスクを用い、
前記突起部を前記被転写シリコン層に直接接触させる、または前記突起部を前記被転写シリコン層と触れる領域に直接接触させる、または前記突起部を前記触媒物質を拡散させて前記被転写シリコン層に供給し得る拡散層に接触させることで前記被転写シリコン層に前記触媒物質を供給した後、
前記被転写シリコン層を400℃以上700℃以下の温度でアニールし、結晶化起点を形成し、
前記結晶化起点から結晶化を行うべく、レーザー光を照射し、前記被転写シリコン層から改質された多結晶シリコン層を用いたことを特徴とする半導体装置。
【請求項15】
請求項14に記載の半導体装置を備えたことを特徴とする電気光学装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−129631(P2010−129631A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−300527(P2008−300527)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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