説明

自動車サスペンションシステム

【課題】この発明は、ロール強度とロールモーメント分布を荷重に応じて変化させる自動車のサスペンションシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】自動車の自動車サスペンションシステムのロール強度とロールモーメント分布をコントロールする方法と、その方法による自動車のサスペンションシステムであって、自動車と自動車が支持する荷重を支承するフロント側とリア側の自動車支持手段及び前記自動車サスペンションシステムに対し可変のロール強度を与える少なくとも一つのロールモーメント作用手段を含み;自動車の少なくともリア側又はフロント側で支持する荷重に応じて、前記自動車のサスペンションシステムのロール強度とロールモーメント分布を調整する構成を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車サスペンションシステムの強度を最適なものにする方法、特に詳しくは、ロール強度及び乗物が負担する荷重に応じて該サスペンションのロールモーメント配分を調節するための方法を目的とする。
【背景技術】
【0002】
進歩した自動車のサスペンションシステムは、現在の傾向としては、ステアリング角度及び/又はステアリングのレート、ロール角度、横方向加速度、車速、ヨーレート及びその他の入力されるものなどのような感知した状態に応じて、車体のロール角度、ロール強度及び自動車のロールモーメント分布を積極的に調節できるアンチロールシステムを採用しようとしている。この積極的なアクティブなコントロールの目的は、直線走行の場合には、前記サスペンションのロール強度を弱いもの又は無視できるものにし、さらに、コーナリングの間、前記ロール角度とフロント側からリア側にかけてのロール荷重分布をコントロールし、自動車の操舵バランスをコントロールすることにある。これらのシステムは、電子的に安定のコントロールシステムに組み込み、自動車の各車輪の牽引及び自動車のヨーレートの制御を助け、安定性を向上させることができる。
【0003】
また、簡単な切り替え可能なロール強度システムと、まとめられた構成の相互接続受動的システムに向かう傾向がある。このような相互接続受動システムは、ロール強度と,曲がり強度とを分離することで乗り心地と安定性とを改善できる。このことは、一つの車輪インプットは、自動車の一方の端部のみにおけるロール強度手段だけに終わるものではないことを意味している。ロール強度手段は、相互に接続されているので、前記インプットは、自動車の各端部における前記ロール強度手段においての荷重を変化させ、これによって、荷重を自動車に分散させるように助け、前記インプットポイントにおけるピークの荷重を減らし、前記インプットされた荷重を複数の車輪に負担させる手段で有効なロールモーメント分布の変化を減らすようにする。したがって、操舵バランスは、コーナーにおけるバンプを越えるとき改善され、さもなければ強い加速度がかかってしまう車体にかかる力が減ることで乗り心地が改善される。
【0004】
しかしながら、トラックのような、有効搭載量に大きなバラツキがあるタイプの自動車については、一杯に満載した状態に対して要求されるロール強度と一部にしか積載していなかったり、空荷の場合に要求されるロール強度には、大きな相違があり、この点で、可変のロール強度システムが望ましいことになる−自動車のマスと慣性力とは、空荷の場合と荷を積載している場合とでは、大きく異なる。例えば、コンスタントなロール強度(例えば、Nm/度で測定)は、すべての荷重がかかった状態で与えられ、これは、満載した状態における所望のロール強度を与えるに十分な強さに設定され、これによって、自動車が空荷のときには、自動車のマスと慣性力は、極端に減り、自動車が荷を積載しているときよりも道路面における一つのバンプがタイヤとサスペンションを偏向させ、これによって空荷の状態にあっては、自動車の車体には強い加速度が作用してしまう。荷が高く積まれて運ばれるとき(即ち、非常に大きなロールモーメントがある)、これらのタイプの自動車の安定性は、前記サスペンションのロールモーメント分布(並びにロール強度)に主に依存している。複数の車輪にかかるロール荷重分布が自動車の荷重分布に合致していないと、自動車の一つの端部にある一つの車輪がその他の車輪に先立って持ち上がってしまう。この一つの車輪だけが早まって持ち上がることで、ロール強度は低下し、自動車の両方の端部にある複数の車輪が一緒に持ち上がるときよりも弱い横方向の加速度で自動車が転覆してしまう。有効積載量のマスのセンターの位置は、一般的には自動車の先頭から後尾までの方向において変化するので、自動車が転覆してしまうような横方向の加速度を最大にするのに要求されるロールモーメント分布は、それにしたがって変化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際出願PCT/AU00/00312公報
【特許文献2】国際出願PCT/AU00/01701公報
【特許文献3】国際出願PCT/AU01/00591公報
【特許文献4】国際公開第00/61394号公報
【特許文献5】米国特許第6,217,047号公報
【特許文献6】実開昭60−46315号公報・マイクロフイルム
【特許文献7】特開平6−147963号公報
【特許文献8】実開平5−11531号公報・CD−ROM
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、この発明の目的は、ロール強度とロールモーメント分布を荷重に応じて変化させる自動車のサスペンションシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記を念頭において、この発明の一つのアスペクトによれば、自動車の自動車サスペンションシステムのロール強度とロールモーメント分布をコントロールする方法が提供されるものであり、前記自動車サスペンションシステムは、自動車とこの自動車により支持される荷重を支承するフロント側及びリア側の自動車支持手段と前記自動車サスペンションシステムに可変のロール強度を与える少なくとも一つのロールモーメント反作用手段とを含むものであり;
前記方法は、自動車の少なくともリア側又はフロント側で支持されている荷重に応じて前記自動車のサスペンションシステムのロール強度とロールモーメント分布とを調節する工程を含んでいる。
【0008】
この発明の他のアスペクトによれば、以下の構成をもつ自動車サスペンションシステムが提供されるもので、即ち、
自動車とこの自動車により支持される荷重を支承するフロント側及びリア側の自動車支持手段を含む自動車の自動車サスペンションシステム;及び
前記自動車サスペンションシステムに可変のロール強度を与える少なくとも一つのロールモーメント反作用手段;
前記自動車サスペンションシステムにより与えられるロール強度及びロールモーメント分布とが自動車の少なくともリア側又はフロント側で支持されている荷重に応じて調節されることができるもの。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明による自動車サスペンションシステムのロールモーメント反作用手段の第1の可能な構成の斜視図。
【図2】この発明による自動車サスペンションシステムのロールモーメント反作用手段の第2の可能な構成の斜視図。
【図3】この発明による自動車サスペンションシステムのロールモーメント反作用手段の第3の可能な構成の斜視図。
【図4】この発明による自動車サスペンションシステムのロールモーメント反作用手段の第4の可能な構成の斜視図。
【図5】三つのチャンバになったシリンダの第1のレイアウトの略図。
【図6】三つのチャンバになったシリンダの第2のレイアウトの略図。
【図7】三つのチャンバになったシリンダの第3のレイアウトの略図。
【図8】四つの車輪に接続する流体サスペンションの略図。
【図9】図8に示したシステムに対する圧力比例バルブの略図。
【図10】この発明に対する別の選択肢における部品類の構成の略図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ロール車輪荷重が転覆に先立って最大になった横方向の加速度に対し自動車の荷重分布に常に合致することを確実にするために、コンスタントなロールレート(一般的には、度/gで測定)を維持し、又は、ロールモーメント分布を変化させることは不可能であるか、又は、望ましくないが、理想的には、乗り心地が悪い不安定な自動車については、正しい方向に向けることで、前記サスペンションシステムの全体の機能が改善されるように前記ロール強度とロールモーメント分布を変えることができる。この理屈は、がっちりしたキャブボックス(箱型)のトラックから主の牽引車つき荷台の車体部分が曲がる自動車(又はトラック)及び少なくとも1台のトレーラーに至るどのようなタイプのトラックについても最も目覚ましい改良になることを示す。荷台の車体部分が曲がる自動車の場合、車全体(主の牽引車とトレーラー)のロールモーメント分布は、車全体の転覆に対する安定性にとって重要なことである。
【0011】
自動車のリア側は、機械的スプリング、例えば、リーフスプリングで支持され、これらは、自動車のリア側に荷重がかかったり、荷重がかからなかったりするとき、圧縮されたり、復元したりする。動きの感知手段がリアアクスルに設けられて、時間平均の動きが確認でき、リアアクスルにかかった荷重の測定に使用される。前記リアアクスルには、2基の動きを感知するセンサ手段を横方向に互いに離して配置し、荷重が車台のセンターからどの程度オフセットされているか(外れているか)を測定できるようになっている。前記リーフスプリングがどの程度離れているかが分かっていれば(特定の自動車に対し)、前記2基の動きセンサ(車のフレームに対しての前記アクスルの動きを感知する)の相対位置及び間隔で各リーフスプリングの垂直方向のたわみが簡単に計算できる。前記リーフスプリングの強さもまた分かっていれば、各リーフスプリングの計算されたたわみのマグニチュードを用いて、各リーフスプリングにおける荷重を確認できる。リーフスプリングの配置構成によっては、ロール強度(垂直方向の強度以上のものとリーフスプリングの間隔を示唆)をさらに強化でき、このオフセットは、また、各リーフスプリングにおける荷重の計算に要因として組み込めることができ、二つの横方向に離された荷重を与え、自動車のセンターラインからオフセットされた(それた)荷重位置を示す。
【0012】
また別途、自動車のリア側をすくなくとも一つのリア側流体支持手段で支持(すくなくとも部分的に)できる。この流体支持手段は、一般的には、エアスプリング又はハイドロリックシリンダである。前記リア側の流体支持手段は、自動車のリアアクスルにおける荷重に関連するもので、前記サスペンションのロール強度とロールモーメント分布は、リア側の流体支持手段における圧力に応じて調節される。通常、二つのエアスプリングが設けられ、一方が自動車の左手に、他方が自動車の右手に設けられる。これらは、レベリングのために、個々にコントロールされるか、又は、細い径の圧力ラインで相互に接続されるか(これは、現在最も一般的な構成)又は太い径の圧力ラインで相互に接続されるかして、前記支持手段の動的ロール強度を弱くしたり、なくしたりする。
【0013】
上記のパラグラフでは、リアアクスルのみについて議論したが、前記のものは、同様にフロントアクスルに適用できる。理想的には、自動車のフロントとリアにおける荷重が分かっていれば、荷重のマグニチュードと車における前後位置の両者が確認できる。ついでロール強度及びロールモーメント分布を調節して、前記荷重の測定したマグニチュードと車の前後における位置に対する乗り心地と転覆の閾値との間の所望のバランスを与えることができる。これを行う一つの方法は、フロントとリアのエアサスペンションに強度が調節できるバーを備えさせることである。フロントとリアのエアスプリングの圧力を用いて、前記荷重のマグニチュードと車における前後位置を測定する。ついで、コントロールシステムにより、フロントとリアのロールモーメント反作用手段の強度を調節し、自動車の各端部のロール強度を所望のものにでき、したがって、ロール強度とロールモーメント分布全体をコントロールする。前記ロールモーメント反作用手段は、色々多種多彩の構成で設けることができる。例えば、ロールモーメント反作用手段は、以下のようなものとなる:
【0014】
1)弾性アキュムレータに対し作用する少なくとも二つのハイドロリックチャンバを用いる強度調節可能なアンチロールバーであり、前記チャンバは、互いにヴォリュウムが反比例に変化し、ロールモーメントに応じ他方向に動く。前記シリンダとアキュムレタにおける作動圧力は、荷重により変化し、前記アンチロールバーの有効強度を変化させることができる。この機構を具体化するには、いくつかの手段がある。例えば、前記アンチロールバーに対する少なくとも一つのドロッパを複動ハイドロリックシリンダに置換し、二つのハイドロリックチャンバを作る。また別に、シリンダを用いて、前記アンチロールバーの車輪アームの一つと残りのバーの部分との相対位置をコントロールし、前記バーを主の横断面の一端において分割し、前記バーの主の部分を他の車輪アームをもつL形状にし、前記バーを中心として回転できるようになっているが、シリンダによってコントロールされるものにする。この構成においては、主のバーは、シリンダレバーアームを含み、このアームは、前記シリンダレバーアームとフレームホイールアームとの間に取り付けられている複動シリンダを作動する。別の選択肢は、垂直方向スライダーの内側にバーのボディマウントの一方を取り付けるもので、前記バーは、バーマオウントの両側に単動シリンダを備え、垂直に対向する単動シリンダが前記二つのハイドロリックシリンダを形成する。
【0015】
2)前記アンチロールバーの主の横方向軸と、車体及び車輪の間の荷重が前記バーに加わるポイントとの間の距離を変えること(即ち、流体圧力又は好ましくは電動モータにより駆動のリードねじにより駆動されるスライダーを用いて、車輪アームにそいドロッパーを動かすことで車輪アームの長さを変える。この電子−機械的の態様は、それた荷重で自動車がゆっくり傾くことを防ぐことができる)により強度が調節できるアンチロールバーである。このアンチロールバーの車輪のアームの長さは、前記スプリングにかかる荷重に応じて調節(両側同時に)できる。この態様は、自動車の両端部にエアスプリングを用いたときに最高の機能を発揮し、車輪のアームの長さは、前記アンチロールバーのドロッパが前記車輪アームに結合するポイントを前記車輪アームにそってスライドさせることで調節できる。これは、ねじジャッキ機構を用いて行うことができ、必要な車輪のアームの長さは、少なくとも一つのエアスプリングにおける圧力のファンクションとして(好ましくは、フロント側のエアスプリングの圧力の平均と後側のエアスプリングの圧力の平均とのファンクションとして)計算できる。
【0016】
3)一つのアクスルに二つの複動シリンダであり、一方のシリンダを左側に、他方のシリンダを右側に配置。各シリンダの第1のチャンバは、横方向に隣り合ったシリンダの第2のチャンバと第1、第2のラインを介して接続されている。第1,第2の各チャンバは、それぞれ第1,第2のアキュムレータを有している。第1と第2のチャンバの有効ピストン領域が等しければ、車輪の純粋なピッチ運動又は引っ張り運動において、流体が前記アキュムレータに流入しないが、ロール運動においては、一つの第1のチャンバと一つの第2のチャンバの変動が一方のアキュムレータに作用し、一つの第1のチャンバと一つの第2のチャンバの変動が他方のアキュムレータから作用を受け、これによって、アンチロールバーのような跳ね上がり強さがないロール強度が与えられる。第1と第2のラインにおける圧力が荷重でコントロールされるので、この関連したアクスウに対するロール強度がコントロールされる。この構成は、自動車の一つのアクスルのみに設けてもよいが、自動車の全部のアクスルに設けることが好ましい。
【0017】
4)項目3)に適合する一つとして、前記第1と第2のチャンバにおける有効ピストン領域が等しくないものを使用する−即ち、第2のチャンバのみを介してピストンからロッドがのびているもの。ついで、前記複数のシリンダにより設けられるロール強度に対する跳上がりレシオは、前記シリンダに選んだロッドとボアの直径のファンクションに依存する。ついで、これらのシリンダを使用してそれらの流体ヴォリュウムと圧力とを変えることで荷重平準化が行え、これによって、荷重に関連のロール強度を変える。前記複数のシリンダをリーフスプリング、コイルスプリングまたはエアスプリングのような他の支持スプリングと直列又は好ましくは並列させて使用できる。また別途、これらを使用して、前記アクスルと自動車の車体とをバウンス支持できる。これらの構成を使用すれば、前記システムのいかなる部分における圧力も感知する必要がなく、前記複数のシリンダの圧力と強度は、作用する荷重に対する平準化に必要な圧力により示されるので、したがって、前記複数のシリンダに荷重に対し必要なアクスルロール強度を与えるように設計できる。
【0018】
フロント側とリア側とを相互接続する受動ロールコントロールシステムに対する従来のサスペンションを凌駕する改善された乗り心地と操縦機能が提供できるので、荷重と荷重の位置に対しロール強度とロールモーメント分布を変える同じ論理がシステムのこれらタイプに適用できる。例えば、国際出願PCT/AU00/00312、WO 00/61394には、通常の自動車ダンパー(一般には、“ショックアブソーバと言われている)に替えて4つのハイドロリックシリンダを含むサスペンションシステムが記載されている。各ハイドロリックシリンダは、複動であり、主とマイナーのチャンバと、二つのシリンダのポートにおけるダンピングバルブとを含み、圧縮とリバウンド緩衝とを行うようになっている。自動車の第1の側における前記シリンダの主のチャンバは、互いに接続すると共に自動車の第2の側の各シリンダのマイナーチャンバに接続して、第1の流体回路を形成している。同様に、自動車の第2の側における前記シリンダの主のチャンバは、互いに接続すると共に自動車の第1の側の各シリンダのマイナーチャンバに接続して、第2の流体回路を形成している。各流体回路は、好ましくは、少なくとも一つの流体圧−空気圧アキュムレータを含み、これは、主として、ロールモードにおける前記システムの弾性をコントロールし、バウンス運動によるロッドの動きを吸収するのに使用されている。このシステムを用いて、ダンピングに加えてロール強度を与えることができる。また、前記シリンダダンパーバルブに加えて、前記アキュムレータを減衰させることでロールダンピングを追加して行うようにすることができる。自動車にかかる荷重のファンクションとして、前記システムの操作圧力を規制することにより、前記ロール強度を変えることができる。しかしながら、自動車の支持手段のロール強度とロールモーメント分布に応じて、自動車のロールモーメント分布全体を必要とされるものとは反対の方向に変化する。例えば、トラックが大きな有効積載量をもつ場合、そのトラックは、非常に強いリアのスプリングをもつことができ、そして、このトラックが満載の状態のとき、ロールモーメント分布が正しいものであるとすると、荷重が除去され、したがって、ロールコントロールシステムにおける圧力が低下したとき、フロント側のロール強度は、リア側のロール強度よりも大幅に低下し、その結果、全体のロールモーメント分布は、前記の強いリア側の支持スプリングに作用されて、リア側に極端によってしまう。トラックの有効積載量が減るにつれ、必要なロールモーメント分布は、実際に反対の方向、即ち、前方へ動く。これに対する一つの解決策は、独立した補助ハイドロリックシリンダをもつ柔らかいリアスプリングを使用して、荷重平準化を行い、さらに、荷重に対するスプリングレートを追加することである。前記補助シリンダは、少なくとも一つの関連するアキュムレータをもつ単動シリンダでよく、これは、従来のリーフスプリング、コイルスプリングなどと直列に使用できる。自動車が空荷の場合、従来のスプリングは、軽い荷重の約70%になり、前記補助シリンダは、低い圧力で働く。自動車が満載のときには、前記補助シリンダを用いて、自動車を通常の車高レベルに戻すが、従来のスプリングにより空荷の状態と同じように満載と同じ荷重を受け、前記補助シリンダが荷重の残りを支持し、高い圧力で作動する。前記補助ハイドロリックシリンダにおける圧力が変化することで、前記アキュムレータのガスヴォリュウムが変化し、したがって、前記シリンダの弾性率が変化し、より重い荷重を支持するにつれ、この弾性率は、強くなる。したがって、前記補助ハイドロリックシリンダは、荷重に対するバウンス強度を高めるのみならず、荷重に対するロール強度を高める。前記ロールコントロールシステムは、積載時に補助ハイドロリックシリンダを用いれば、そのように強いロール強度を与える必要がなく、自動車が空荷のとき、自動車の全体のロールモーメント分布は、前方へ動いて安定性を保ち、前記ロール強度を弱くして乗り心地をよく保つ。
【0019】
前記補助ハイドロリックシリンダにおける流体の圧力を使用して、前記ロールシステムを調節すべき圧力を決めることができたり、又は、前記補助シリンダの圧力を前記ロールコントロールシステムへ直接供給できたりするが、場合によっては、部品のサイズの問題と必要な強度範囲を得る点で困難になる。前記補助シリンダの圧力に応じて前記ロールシステムの圧力は、電子的又は受動的に規制することができる。受動モードが選択された場合、さらに別の受動的又は電子調節ブロッキングバルブを用いて、自動車のコーナリングの際になされる数多くの調節作用が行われないようにしなければならない。主たる規制が電子的に行われる場合には、少なくとも横方向の加速度計又は横方向の加速度シグナルを含んでいれば、前記別のブロッキングバルブの必要性を否定できる。
【0020】
リア側の補助ハイドロリックシリンダを実際に用いて、他の在来の支持手段に替えさせ、自動車の後部を全体的に支持させることができる。
【0021】
前記ロール強度を別な手段で最適なものにするには、まず最初安全性のために測定した荷重を最大の高さにあるものとし、ついで、横方向の加速度によるロール角度を測定し、これを前記横方向の加速度に対する予測したロール角度と比較し、自動車のマスのセンターの実際の高さを決める。ついで、自動車の乗り心地と安定性との両者を最高にするために、真性のバランスを選ぶことができる。基本的には、必要なロール強度は、自動車のセンターマスのマグニチュードと高さによる。必要なロールモーメント分布は、前記センターマスの前後の位置による。前記マスのセンターの高さは、測定できないが、所定の荷重に対するロール角度をマスの仮定したセンターに対する予測角度と比較することにより分かる。前記マスのセンターが最初に高いものとしたとき、前記ロール強度は、常に適しているが、多分高過ぎ−安全な道にとっては、乗り心地はよくない。乗り心地をよくするには、予測したロール角度と実際のロール角度との比較を用い、前記ロール強度を予測したロール角度と実際に測定したロール角度が同じになるまで弱めることで、自動車のマス高さのセンターに対する強度を適正なものに仕上げる。
【0022】
添付の図面は、この発明の好ましい実施の態様を図解するものである。他の実施の態様も可能であり、したがって、添付の図面の特殊性は、この発明の前記記述の概論に代わるものとして理解されるべきではない。
【0023】
まず最初に図1を参照すると、車両フレーム(1)とアクスル(2)が図示されている。このアクスルは、二本のアッパートレイリングアーム(3,4)、二本のローワートレイリングアーム(5,6)およびパンハードロッド(Panhard rod )(図示せず)を備えた在来の5つのものがリンクした形態の機構を用いたフレームに配置されている。左側のトレイリングアーム(3,5)および右側のトレイリングアーム(4,6)およびパンハードロッドは、ブラケット8,9,10を介してフレームに装着されている。このフレームは、エアスプリング(11,12)により前記アクスルの上に支持され、前記エアスプリングは、ロール強度をゼロにする高流量の空気圧管路によって相互に接続されているか、または、ある程度の強さのロール強度にする低流量(高さレベルのみ)の空気圧管路によって相互に接続されているか、もしくは、高さとある程度のロールレベル及びロール強度を与えるように独立して制御されるようになっている。
【0024】
アンチロールバー(14)がブッシング(15,16)により前記アクスルに取り付けられており、一方側においては、長さが一定の在来のドロップリンク(17)を介して前記フレームに連結され、他方側においては、ドロッパシリンダ(18)の形態をした長さが可変のドロップリンクを介して前記フレームに連結されている。このドロッパシリンダは、複動ラムであって、二つの流体チャンバ(19,20)を有し、これらチャンバは、導管21,22を介してそれぞれのアキュムレータ23,24に接続している。前記流体チャンバ(19,20)及び導管(21,22)における圧力を低く(それでもシリンダ18を完全に膨らませるようにダイアフラムを十分動作させるようにする前記アキュムレータの予めの充填度よりも十分に高い)調節された場合、アンチロールバーの有効なロール強度は、弱いものになる。同様に、前記流体チャンバ(19,20)及び導管(21,22)における圧力を高く調節すれば、アンチロールバーの有効なロール強度は、強いものになる。車両にかかる荷重(およびオプショナルには、その位置)を検出(前記エアスプリングの圧力を測定)することにより、前記アクスルアッセンブリーに対する所望のロール強度が前記流体チャンバ(19,20)の圧力をコントロールして設定することができる。前記アキュムレータ(23,24)にロックアウトバルブを設けて、過荷重の場合、前記アンチロールバー機構から最大のロール強度を得るようにすることが望ましい。
【0025】
認識されるべき点は、図1に図示の機構には、アンチロールバーから種々のロール強度を得て、車両にかかる荷重に応じて車両のロール強度とロールモーメントを調節できるようにする同じ目的を達成する数多くの変形がある点である。例えば、ロックアウトバルブを介して前記導管21,22にアキュムレータを追加し、ロール強度をごつごつしたコーナリングモード(この場合、アキュムレータ23,24のみが前記複動ラムに連通する)と柔らかい心地の直線モード(この場合、追加したアキュムレータも前記複動ラムに連通する)とのいずれかに切り替えることができる。また別に、または、追加して、ロックアウトバルブを介して前記導管21,22にアキュムレータをさらに追加し、ロール強度を幅広い範囲で変えることもできる。別な選択肢は、2本の導管21,22の間に相互連結のバルブを設けてチャンバ19,20と前記アキュムレータとを相互に連通させ、両が直進しているときの乗り心地をよくし、さらに、コーナリング時には前記相互接続のバルブを閉止してロール強度を高めるようにすることができる。ステアリングの度合い、横方向g、車走行速度およびステアリング角度のようなインプットを用いて前記のようなバルブを調節するアルゴリズムは、周知のものである。また、アンチロールバーおよび調節シリンダの配置構成は、色々な手段で変えることができる。前記複動ラムをアンチロールバーのU形状部分として、レバーアームに配置替えし(本出願人の米国特許第6,217,047号の図4,5に示すように)、さらに、長さが一定の在来のドロップリンクリンクを用いて前記アンチロールバーを前記フレームに連結できる。同様に、前記アンチロールバーを横方向軸にそって分割し、これら半体の間に前記複動ラムを配置して、それらの相対位置を調節することもできる(本出願人の米国特許第6,217,047号の図13に示すように)。前記バーの横方向軸は、長さが一定のドロップリンクと長さが可変のドロップリンクにより前記フレームに取り付けられ、前記バーの両端は、ブッシングを介して前記アクスルに固定される(出願人の国際特許出願PCT/AU00/01701の図2に示されているように)。
【0026】
また別に実施可能な調節できるアンチロールバー機構を図2に示す。アンチロールバー31は、フレーム取付具32によりフレーム(図示せず)に取り付けられる。このフレーム取付具32は、ブッシングまたはボールジョイント33により前記バーに取り付けられる。前記バーは、また、前記フレームに固定されたラインにそって対になっている単動シリンダ34,35により前記フレームに配置されている。ピストンロッド36が前記(シリンダ34,35)内にあって、チャンバ38,39を有する複動ラムを効果的に形成している。このピストンロッドは、ブッシングまたは好ましくはボールジョイント37により(シリンダの側面の負荷、したがって、摩擦を減らすために)バー(31)に取り付けられている。バー(40,41)の端部は、ブッシングまたはドロップリンクのいずれかを用いて前記アクスルに取り付けられる。
【0027】
図1に関連して述べたように、二つのシリンダチャンバ(38,39)の圧力は、エアスプリングの圧力(または車両荷重のその他の手段)に応じてコントロールされて、ロール強度が可変になる。前記チャンバにハイドロリック流体が充填されていると、図1に示すように、導管およびアキュムレータの追加が必要になり、バルブおよび/またはアキュムレータが追加して設けられる。
【0028】
さらに別途実施可能な調節できるアンチロールバー機構を図3に示す。ここでは、アンチロールバー(51)のロール強度は、アンチロールバーのレバーアーム52,53の有効長さを変えることで調節可能にしている。これは、ドロップリンク54,55が取り付けられているレバーアーム(52,53)にそって前記長さをコントロールすることで達成できる。ドロップリンク(54,55)の下端は、ブッシング又はロッドエンド形式の球体ジョイントにより前記アクスルに連結されるのが一般的である。前記ドロップリンクの上端は、前記アンチロールバーのレバーアーム(52,53)にそってスライドするようになっているスライダーブロック56,57に(同じようなジョイントを用いて)連結される。各スライダーブロックの位置は、電動モータ(60,61)により駆動される親ねじ(58,59)によりコントロールされ、この位置は、リニア移動トランスデューサーまたはマルチターン・ロータリー位置センサのような種々の手段で感知される。
【0029】
前記アンチロールバー機構は、最低のロール強度位置、即ち、スライダーブロックが前記アンチロールバーの横位置から最高に離れている位置で図示されている。これで、所定のドロップリンクの垂直方向の力に対する前記アンチロールバーの横位置に最大のモーメントが加わり、最大の片寄りが生じ、したがって、前記強度が最低になる。逆に、前記電動モータが親ねじを駆動して、前記スライドブロックを前記アンチロールバーの横位置近くの他端まで一杯に動かすと、これで所定のドロップリンクの垂直方向の力に対する前記アンチロールバーの横位置に最小のモーメントが加わり、最大の片寄りが生じ、したがって、前記強度が最大になる。したがって、一つ又はそれ以上のアクスルにおける検出された荷重について、アクスルのロール強度がコントロールできるようになる。
【0030】
理想的には、各スライダーブロックの位置は、コントロールされるものであって、有効なレバーアームの長さは、両側において同じにされるが、さもなければ前記アンチロールバーは、純粋なはね返り運動においてロール負荷を生じ、はね返りの都度車両がローリングするようになる。
【0031】
この機構は、前記アンチロールバーが堅いものであるとき(即ち、有効なアンチロールバーのレバーアームが短いとき)、前記アンチロールバーが柔らかいものであるとき(即ち、有効なアンチロールバーのレバーアームが長いとき)よりもさらに直立するように構成されているのが通常である。ロール強度が強く、前記ドロップリンクにおける力が最大であるとき、前記ドロップリンクを直立に保つことが通常望ましく、これによって、前記ドロップリンクによる前記アクスルにかかる長さ方向の力は、弱くなる。ロールの力による前記ドロップリンクからの前記アクスルへ加わる長さ方向の力により、前記アクスルを長さ方向に位置させている前記ブッシュを歪ませ、ロールステアにする。しかしながら、ロールステアを行って車の安定性をよくするように、前記アンチロールバー(前記アクスルの背後又は前側の位置を含め)を配置することが望ましい。一般的に言って、貨物満載トラックのセンターが高い場合、この点は、問題にならない作用である。
【0032】
この発明の目的を達成するために用いることができる前記アンチロールバー機構のロール強度を変える周知の別の方法の一つは、同じような横方向トーション部材を使用することであるが、前記レバーアームの少なくとも一つのレバーアームの代わりに、薄いビームを使用する。これらのビームは、平らになるように(短い長さ部分が垂直で、長い長さ部分が水平方向にある)折り曲げられるとき曲げ強度が弱く、直立(長い長さ部分が垂直で、短い長さ部分が水平方向)のとき、曲げ強度が強い。これらビームの回転をコントロールすることにより、前記バーのロール強度をコントロールすることができる。最高の精度で調節範囲を最大にするための最良の機構は、各アンチロールバーのレバーアームの代わりに薄いビームを使用することであり、最初にロール強度を増すために一方のビームが直立するまで、このビームの平らな状態から直立の状態への回動をコントロールし、他方のビームの平らな状態から直立の状態への回動をコントロールする(両方を一緒に調節するようにすると必要になるそれぞれの回動を正確にコントロールする必要を減らすため)。
【0033】
図4は、トラックの前部及び後部サスペンションの破断図であり、図を簡略にするためにホイールベースの中央部分は、省略してある。フロントアクスル71は、4本のトレーリングアーム(73,74,75,76)とパンハード・ロッド(Panhard rod) (簡単にするために図示せず)による5つのリンク機構によりフレーム70に配置されている。このフレームは、エアスプリング(79,80)により前記フロントアクスルに支持されており、リアアクスルを配置するようにしているリーフスプリング(81,82)によりリアアクスル72に支持されている。この構成においては、前記リーフスプリングは、車両が空荷の場合前記リアアクスルにかかる車両の荷重の一部を受けるだけのものになっており、ハイドロリック補助シリンダ83,84により補助的に支持され、荷重レベリングされるようになっている。前記補助シリンダは、単一の圧力チャンバ(85,86)それぞれを有する単動ラムであり、前記チャンバには、ハイドロリック流体が充填され、少なくとも一つのアキュムレータ(87,88)と連通している。空荷状態から満積状態へのとき荷重を平準化をするためには、前記補助シリンダが必要とする広範囲の作動圧力により、アキュムレータ(89,90で図示)を追加することが望ましく、これらアキュムレータに対しては、荷重に応じて、必要ならば連通状態をオン・オフできるようになっている。前記補助シリンダ(これらに加えて荷重のレベルをとること)の目的は、荷重と共に増える左及び右のリアの強度の割合をそれぞれ別にし、したがって、ロール強度を増し、増加するリアアクスルの荷重と共にサスペンションのロールモーメント配分を後方へ移すことにある。補助シリンダのロードレベリング(荷重平準化)は、受動的なもので、前記フレームと前記アクスルとの結合によって作動されるスプールバルブを用いて流体圧力供給システム(図示せず)への加圧された流体の供給と戻しとをコントロールする。この場合、ロールモーメント配分における変化をリアアクスル荷重に合わせることは基本構成及び範囲の一部であって、作用上は受動的なものである。
【0034】
図4には、また、4つのロールコントロール複動シリンダ(91,92,99,100)によるロールモーメント流体反作用システムが示されている。これらのシリンダは、本出願人の国際特許出願PCT/AU00/00312の図8に示されているものと類似の態様で連結されている。フロント右のロールコントロールシリンダ91の圧縮チャンバ93は、横向きの流体導管97によりフロント左のロールコントロールシリンダ92のリバウンドチャンバ94に連結されている。フロント左のロールコントロールシリンダ92の圧縮チャンバ94は、同じように、横向きの流体導管98によりフロント右のロールコントロールシリンダ91のリバウンドチャンバ95に連結されている。各横向きの流体導管(97,98)に一つのアキュムレータ(109,110)が示されているが、このアキュムレータは、複数のものが使用されてもよく、例えば、各シリンダの前記圧縮チャンバの近くにおいても使用できる。記載した横向き流体ラインの連結で、前記シリンダ(91,92)に対するはね返り(バウンス)強度及びロール強度を切り離す。はね返り(バウンス)においては、各シリンダのロッド体積は、前記アキュムレータに置換される。ローリングにおいては、一方のシリンダのボア容積と他方のシリンダの環状容積が一方のアキュムレータに置換され、他方のアキュムレータから置換される。これによって、ロール強度は、強くなり、そして、ロッドの直径が細い場合には、弱い(この場合においては、無視される)はね返り(バウンス)強度になる。
【0035】
同様に、リア側にあっては、リア左のロールコントロールシリンダ99の圧縮チャンバ101は、横向きの流体導管105によりリア右のロールコントロールシリンダ100のリバウンドチャンバ104に連結されており、リア右のロールコントロールシリンダ100の圧縮チャンバ102は、横向きの流体導管106によりリア左のロールコントロールシリンダ99のリバウンドチャンバ103に連結されている。フロント及びリアにおけるロールモーメント反作用システムの横向き導管は、長さ方向の流体導管107,108により接続され、この結果、ロールモーメント反作用システムが関連したワープ強度を与えずにロール強度を与えるものとなる(フロント側とリア側とを連結接続することで、前記システムが前記フテームについて前記アクスルのロール運動をワープ運動とを区別しなくなり、これで一つの車輪の強度を上げずに素晴らしい乗り心地を与えるものになる)。
ここで、上記の長さ方向の流体導管107,108は、図4に示したように、自動車の前後方向、すなわち、車両前後方向の流体導管になっている。
【0036】
アキュムレータ(109,110)は、フロントの横向き流体導管(97,98)において示されているだけであるが、これらは、また別に又は追加して長さ方向の流体導管(107,108)又はリア側の流体導管(105,106)にそって配置できる。
【0037】
図5,6,7は、リア側の補助シリンダ及びロールモーメント反作用シリンダとを組み合わせた別の構成を示す。各図においては、後輪側においては二つのシリンダが単一のユニットに組み合わされて、前記システムの部品点数の簡素化し、梱包を簡単なものにしている。前記チャンバには図4と同じ符号が付され、これら図においてチャンバが同じものであることを示している。前記ロールモーメント反作用システムの横向き導管105,106も図示されている。
【0038】
図5において、太い直径のロッド(121)が“補助シリンダ”チャンバ85内に入りこんでおり、このチャンバは、また、一つ又は複数の圧力アキュムレータ(図示せず)に連通している。複数のロールモーメント反作用シリンダチャンバがロッド121のピストン122により形成されている。この場合においては、前記ロールモーメント反作用シリンダチャンバにおいては、圧縮のための有効領域(101)とリバウンドのための有効領域(103)とが同じになっており、前記シリンダのロールモーメント反作用部分からはね返り強度が生じないようになっている。ピストン(122)の下側に直径が異なるロッドを使用して、大きな有効なはね返り領域を作ることも可能であり、このことは、(安定性を増すために)横方向の加速における一層のはね返り緩衝力と車高を低くする点で好ましい。
【0039】
また別に、又は、追加して、前記チャンバ85,101を取り替えて、例えば、チャンバ85をロールモーメント反作用圧縮チャンバ(有効領域が小さなチャンバにできる)とし、チャンバ101を補助シンリンダチャンバにするようにすることも好ましい。この場合、細いロッドと大きなピストンを使用して、異なるチャンバにおける有効領域の必要な均衡をとることができる。
【0040】
図6においては、シリンダ(129)の上位部分のボア直径一杯にピストン(126)がそうようにして、“補助シリンダ”を形成してあり、このチャンバを一つ又は複数のアキュムレータ(ここでも図示せず)の代わりにする。ピストン(126)の下方の環状チャンバ(103)がシリンダ129とロッド127の間に形成され、これは、前記ロールモーメント反作用システムのはね返りチャンバになる。シリンダ130の下位部分においては、ロッド127は、ロッド128のようにボア直径一杯にはなっておらず、ロッド128の上の環状領域が前記ロールモーメント反作用システムの圧縮チャンバ101を形成している。前記ロールモーメント反作用システムの圧縮チャンバ(101)は、前記シリンダにおける全部で三つのチャンバの内最小の領域になることができ、シリンダ(130)の下位部分は、シリンダ(129)の上位部分よいも直径を細くすることができる。
【0041】
図7においては、ロールモーメント反作用シリンダは、“補助シリンダ”の上にあり、ここでも両者は、三方向作動ラム(136)として結合されている。この三方向作動ラム(136)の上位のロールモーメント反作用シリンダ(137)は、ピストン(139)により圧縮チャンバ(101)とはね返りチャンバ(103)に分けられている。ピストン(139)は、細い直径のロッド(140)に取り付けられ、これは、補助シリンダチャンバ(85)に通される。細い直径のロッドの下位端部は、太い直径のロッド(141)に取り付けられ、該下位端部と共に“補助シリンダ”のボア(138)は、環状の“補助シリンダ”チャンバ(85)を構成する。図示の前記ボア(138)は、ロールモーメント反作用シリンダ(137)よりも大径になっており、この構造は、好ましいものではあるが、特定の自動車の設計基準に従って両者を同じサイズにしたり、前者の直径を後者のものより小さくしてもよい。
【0042】
前記ロールモーメント反作用システムのロールモーメントの配分は、部品サイズと位置とにより決まっている。しかしながら、ロールモーメント反作用システムみおける圧力をコントロールして荷重についてのロールモーメントを変えることができる。荷重に応じて、これを受動的に達成するためのスプールバルブ機構(146)もまた図7に図示されている。これらの機構の一つを自動車のリアアクスルの各サイドに設けて、左と右のロールモーメント反作用システムの圧力を設定する。また別に、前記ロールモーメント反作用システムの二つの流体ヴォリュウムの間(即ち、図4の導管107,108の間)にブリーダーを設け、前記複数のシステムの圧力を平衡させることができ、圧力を平衡にするには、一つのサプールバルブのみを用いる。
【0043】
導管(147)で圧力をオプショナルの制限器(149)により緩衝しながら前記補助シリンダからスプールバルブ(148)の一方の端部へ送る。前記スプールバルブの他方の端部は、(ここでもオプショナルの制限器150を介して)ロールモーメント反作用シリンダ(137)の圧縮チャンバ(101)と導管151により接続している。前記補助シリンダ・チャンバ(85)とロールモーメント反作用シリンダ圧縮チャンバ(101)との間の圧力バランスで、前記スプールバルブに流体を流入させるか、又は、ロールモーメント反作用システムから導管152を介して流体を流出させるかを決める。流体圧供給導管153と流体圧を戻す導管154は、流体圧力供給システム(図示せず)に接続されているものとして図示されている。前記スプールバルブの一方の端部にスプリング(155で図示)が設けてあり、圧力がバランスするようにオフセットされる。チャンバ85,101の間の関係もまた前記スプールバルブの両端部の構造により設定できる。さらに追加して、導管151又は152にオプショナルのバルブ(図示せず)を設け、直進走行の場合には、該バルブは開放され、コーナリング走行の場合には、該バルブは閉じ、横方向のgによる一時的な圧力オフセットによる好ましくない圧力コントロール作用が行われないようにする。
【0044】
図8は、図4におけるものに類似のロール強度及びロールモーメント分布可変システムを示す。同様のものには、図4で使用した符号と同じ符号が付してある。リアのリーフスプリング(支持を分担)の代わりに、エアスプリング161,162が設けられ、これらがアクスルを配置するトレーリングアーム形式のビーム163,164に作用する。ここでは、自動車のリアは、その一部がエアスプリング(161,162)で、残りの一部が補助シリンダ(83,84)により支持されている。エアスプリングは、コントロールされた空気圧力に応じて、動きのための力を変えることができ、空荷のときには、該エアスプリングは、低圧にコントロールされ、一定の強度のリーフスプリングを用いる場合よりも補助シリンダで荷重の大半を受けるようになっている。これによって、荷重がかからない状態と荷重がかかる状態とに対する補助シリンダに与える必要な作動圧力の割合を低くし、イニシャルの部品サイズ構造により多くの選択肢があるようにできる。理想的には、補助シリンダの圧力は、荷重レンジにわたるエアスプリングの圧力に比例する(“エアスプリング対補助シリンダ圧力”のグラフにおけるオフセットは、いくつかの自動車にとり有用)。フロント側のエアスプリング(79,80)が細い径の管路によって接続されていて、空気の流れをより高いレベルにし(前記エアスプリングの動的ロール強度のすべてを除くことなく)、さらに、リア側のエアスプリング(161,162)を個々にコントロールして、高さレベルとロールレベルをきめるとすると、左及び右のリア側の補助シリンダ(83,84)における圧力を図9に示すようなバルブを用いるか、又は、圧力センサ及びソレノイドバルブを用いて設定できるものである(又は、前記エアスプリング供給圧力、補助シリンダ供給圧力及びオプショナルには前記ロールモーメント反作用システム圧力が圧力及び移動センサを用いる電子制御により、すべて決めることができる)。
【0045】
図9は、実施可能なバルブ(171)を示し、このバルブでエアスプリング(161)の圧力と補助シリンダ(83)の圧力との関係を設定することができる。前記エアスプリングは、自動車の関連のコーナーにおいて正しい高さになるようにその圧力がコントロールされる。例えば、自動車に荷重がかかったとき、まず最初に高さが低くなる。ついで、前記エアスプリングに作用するレベルコントロール(車高調節)によって、より大きな圧力が前記エアスプリングに供給される。前記エアスプリングにおける圧力が高まるにつれ、この高められた圧力は、導管172を経てバルブ171へ送られる。導管172は、直径が細く、前記バルブに達する前記エアスプリング内の動的圧力が大きく変化しないようになることが理想的である。さもなければ、前記導管に制限具(図示せず)の設置が必要である。前記エアスプリングの圧力は、大径のピストン(173)に作用し、前記バルブの端部チャンバ174を該エアスプリングと同じ圧力(時間平均)の空気を充填する。ロッド175がピストン(173)を前記スプールバルブの摺動体(176)に連結させており、前記ピストンは、チャンバ177にあり、このチャンバは、大気に連通している。補助シリンダ(83)の圧力チャンバ(85)からの圧力は、導管178,179を経て前記スプールバルブの摺動体(176)の他方の端部に供給される。導管172と同様に、導管179も径が細く、圧力の変動をおさえるようにするか、または、180で示すような制限具を組み込む。前記エアスプリングと補助シリンダとの間の圧力バランスが変わるにつれ、前記スプールバルブの摺動体176は、往復運動し、補助シリンダの導管178を流体供給導管181(図示されていない圧力流体源に取り付け)又は流体戻し導管182(図示されていないタンクに取り付け)のいずれかに連通させる。前記スプールバルブの摺動体(176)のいずれかの端部にスプリングを設けて、前記エアスプリング圧力と補助シリンダ圧力との間のレシオをオフセットするようにする。図9においては、このスプリングを183で示し、前記エアスプリングにおけるよりも高い圧力が補助シリンダに与えられ、前記スプールバルブにおける領域レシオが設定されて、前記補助シリンダにおける荷重がからない場合と荷重がかかる場合における圧力変動を減らすようにしている。これによって、荷重の変化に伴う普通の振幅の変化を少なくする。
【0046】
前記ロールモーメント反作用システムのシリンダ(図8において91,92,99,100)における圧力は、ブリードを介してチャンバ85,101を、ブリードを介してチャンバ86,102を接続することで前記補助シリンダ圧力と同じに設定でき、ゆっくり前記圧力を平衡にする。この手段は、ロールモーメント反作用システムのロール強度を変化させる簡単な手段である。また別に、図7に示したようなバルブ又はなんらかの電子制御も使用できる。
【0047】
図10は、支持のためにエアスプリング(79,80,161,162)を利用し、ロールモーメント反作用システムのために複動ハイドロリックシリンダ(191,192,193,194)を利用するサスペンションシステムを示す。各アクスルにおける前記シリンダは、横向き高流量のハイドロリック導管(195,196,197,198)によってクロス接続されているが、この場合(図4と図8とは反対に)フロントアクスル(71)の複数のシリンダは、リアアクスル(72)の複数のシリンダに接続されていない。導管195は、フロント側の右シリンダ191の圧縮チャンバ199をフロント側の左シリンダ192のリバウンドチャンバ204に接続し、導管196は、フロント側の左シリンダ192の圧縮チャンバ200をフロント側の右シリンダ191のリバウンドチャンバ203に接続している。同様に、導管197は、リア側の左シリンダ193の圧縮チャンバ201をリア側の右シリンダ194のリバウンドチャンバ206に接続し、導管199は、リア側の右シリンダ194の圧縮チャンバ202をリア側の左シリンダ193のリバウンドチャンバ205に接続している。少なくとも一つのアキュムレータ(207,208,209,210)が前記横向き導管(195,196,197,198)のそれぞれに接続している。ロールモーメント反作用システムの横方向でクロスの状態に接続された前記複動シリンダ構成によって、バウンス及びローリングに対し相違する強度レートが与えられ、前記シリンダロッドが細い径のとき、前記相違が最大になり、バウンス強度は、低いか、無視できる程度になる。図4,8に示したロールモーメント反作用システムにおけるように、ダンパーバルブ類(図示せず)が前記アキュムレータと前記横配置の導管との間に配置され、ローリング対バウンスのダンピングレシオがローリング対バウンス強度のレシオ同じようなものになる。これによって、高いローリング緩衝と良好な乗り心地との間のバランスが通常のものよりもよくなる。前記ダンパーバルブは、可変で、切り替え可能であるか、又は、切り替えできるバイパスを備えて、直進走行における乗り心地を一層改善できる。
【0048】
各アクスルにおける前記ロールモーメント反作用システムのロール強度は、可変(個別的に)であり、例えば、自動車の荷重と荷重位置に応じて前記ロールモーメント反作用システムのロール強度とロールモーメント分布を調節する。これは、パフォーマンス特性が似た色々の手段で行うことができる。以下の実施例のすべては、在来のシングルポイントの平準化構成(即ち、前記アクスルのセンターにおいて位置センサを使用して、平準化のためにフロント側のエアスプリングと接続する細い径の導管への空気の流出入をコントロールするが、前記導管は、前記エアスプリングの間には十分な働きをする空気流にとっては太くないない)を用いてフロント側のエアスプリングが平準化されるものになっている。以下の実施例では、当業者にとり自明のように、フロント側とリア側を換えることができる。
【0049】
例えば、フロントの両方の導管(195,196)の圧力を共通なものとし、これを前記フロントのエアスプリングに接続の細い径の導管における圧力で決めることができる。リア側のエアスプリングも同様にシングルポイント平準化を用いてコントロールされ、リアの両方の導管(197,198)の圧力を共通なものとし、前記リアのエアスプリングに接続の細い径の導管における圧力で決めることができる。この場合、自動車のセンターラインからの荷重の横方向のオフセットは、フロント及び/又はリアアクスル(即ち、トレイリングアーム形式のビーム163,164)の配置構成における固有の(補助の)ロール強度により反応される。前記エアスプリング又は前記ロールモーメント反作用システムにより反応されるロール荷重オフセットはない。また別に、リア側のエアスプリングも個々にコントロールされ、リア側の車高平準化及び自動車のロール態勢平準化を行うことができ、リア側の両導管(197,198)における圧力を共通のものとし、これを例えば、リア側のエアスプリングの平均圧力で決めることができる。この場合、再び、前記ロールモーメント反作用システムは、ロール荷重オフセット作用を行わず、このオフセットは、前記エアスプリングによって反応される(そして、前記エアスプリングに圧力制限がある場合、極度のオフセット荷重は、また、フロント及び/又はリアアクスルの配置構成における固有の(補助の)ロール強度により一部が反応される)。
【0050】
さて、別には、リアのエアスプリングが独立してコントロールされる場合、ロールモーメント反作用システムの2本の導管における圧力を個々に設定し、前記オフセットロール荷重の一部又は全部に反応するようにする。前記ロールモーメント反作用システムの導管圧力が前記導管圧力と前記エアスプリング圧力との間にレシオをもたせるように設定すると、前記エアスプリングは、前記オフセット荷重の一部に反応し、図9に示したようなものと類似のバルブを用いて、このことを達成できる。これを行うには、導管178を自動車の同じコーナーにある前記ロールモーメント反作用システムのシリンダの主チャンバに接続する。また、自動車の一方の端部にエアスプリングを用いてオフセット荷重の一部に反応させ、自動車の他方の端部に前記ロールモーメント反作用システムのシリンダを用いて、残りのオフセット荷重の一部に反応させることもできる。ロール荷重オフセットのすべてが自動車の一方の端部にあるロールモーメント反作用シリンダにより反応されるべきものとすれば、それらシリンダの間にある前記横方向の2本の導管における圧力を前記エアスプリングの圧力に加えて決め、横方向の導管の正しい圧力が前記オフセット荷重に完全に反応するように決めなければならない。
【0051】
最後になるが、前記フロント側のエアスプリングがシングルポイント平準化を用い、前記リア側のエアスプリングが2点平準化を用いて独立してコントロールされる場合、三者の圧力(フロント側のスプリング、リア左側のスプリングとリア右側のスプリングにおける)を用いて自動車の荷重のマグニチュード、前部から後部にかけての位置及び横方向における位置が計算できる。これを用いて、前記ロールモーメント反作用システムの導管(195,196,197,198)の各々についての個々の最適圧力を決定(そして設定)することができる。前記ロールモーメント反作用システムにすでに圧力が作用していれば、自動車の荷重の横方向の位置を計算するために導管(195,196,197,198)の各々における圧力も必要になる。前記オフセットロール荷重は、使用されているアルゴリズム及び特定の自動車の要件に応じて、前記ロールモーメント反作用システムとリア側のエアスプリングとの間で分担されるか、又は、すべてが前記ロールモーメント反作用システムにより負担されるかのいずれかである。対になっているフロント側とリア側のシリンダとで、前記ロールモーメント反作用システムにおける前記オフセットロール荷重を分担させることで、フロントのロール荷重とリアのロール荷重との相違が少なくなり、さもなければ、リア側の単一の車輪強度を高めてしまうものを減らすことができる。上記したロールモーメント反作用システム圧力設定方法についての4つの選択肢は、図1と図2に示したロールモーメント反作用システムの構成に適用できる。
【0052】
注目に値する点は、前記ロールモーメント反作用システム圧力をコントロールしたり、又は、設定したりする場合にあっては、これらの圧力は、静的作動圧力であって、動的又は定常状態にあるコーナリング圧力ではない。自動車が圧力を受けるポイントを減衰させること又は時間帯にわたり圧力を平均させることにより操作されている間に静的圧力を決定できる。自動車のコーナリングの際、圧力がかからないようにする方法を使用することが必要であったり、前記システムにおける作動圧力に不要若しくは望ましくない“補正”を行わないようにする方法を使用することが必要になる場合がある。
【0053】
本出願人の他の多くの特許及び特許出願から容易に認識できるように、単純なフロント及びリアアクスル一つ以上を備える自動車に、この発明を適用することは、極めて簡単なものである。例えば、前記ロールコントロールシステムは、(本出願人の国際出願第PCT/AU01/00591号に示されたような構造を用いているアンチロールバー機構の場合において)トラックのリアにおけるウオーキングビーム・タンデムアクスル機構に作用することができる。このシステムは、上記した部品類を複製することにより追加のアクスルに簡単に使用できる。フロントとリアをつないでいるロールコントロール機構を設けた場合(図4におけるように)、同じようなシリンダを各アクスルに追加でき、ついで各シリンダの個々のチャンバを自動車の同じコーナーにおける既に存在しているシリンダの均等のチャンバへ接続する。このように、二つのリアアクスルに補助シリンダを設けると、例えば自動車の左後輪に関連の、これらすべての補助シリンダは、相互に接続されることができる。同様に、自動車のコーナーにおいては、二つの後側左のロールモーメント反作用システムのシリンダで、それぞれの圧縮チャンバを相互に接続し、それぞれのリバウンドチャンバを相互に接続すべきである。また別途、各アクスルのロール強度を個々にコントロールして、どのような有効搭載荷重及び有効搭載荷重位置に対しても最適なロール強度とロールモーメント分布を確保できる。
【0054】
また、この書面において示した可変のロール強度とロールモーメント分布システムの範囲から、さらには、すでに出版されている他の多くの従来技術書から、必要な結果を導き出すことに使用できる多数の異なる可能な機構類が容易に理解できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の自動車サスペンションシステムのロール剛性とロールモーメント分布をコントロールする方法であって、
前記自動車サスペンションシステムは、
前記自動車と、前記自動車によって運ばれる全ての与えられた荷重とを支持するフロント側とリア側の自動車支持手段と、
前記自動車サスペンションシステムに可変のロール剛性を与える少なくとも一つのロールモーメント反作用手段とを含んでおり、
前記方法は、
少なくとも前記自動車のフロント側又はリア側によって運ばれる荷重に従って、前記自動車サスペンションシステムのロールモーメント分布を設定し、かつ、前記少なくとも一つのロールモーメント反作用手段の前記ロール剛性を設定し、
前記ロールモーメント分布が、一度、設定されると、前記可変のロール剛性は、前記自動車によって運ばれる与えられた荷重に対して固定され、そして、
前記少なくとも一つのロールモーメント反作用手段は、オフセットロール荷重の一部または全部に設定されるステップを
を含んでいることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記自動車のフロント側又はリア側における前記少なくとも一つのロールモーメント反作用手段は、前記一部のオフセットロール荷重に反作用をするように設定されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記自動車のフロント側及びリア側における前記少なくとも一つのロールモーメント反作用手段は、前記一部のオフセットロール荷重に反作用をするように設定されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記自動車のフロント側又はリア側における前記少なくとも一つのロールモーメント反作用手段は、前記全部のオフセットロール荷重に反作用をするように設定されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記自動車のフロント側及びリア側における前記少なくとも一つのロールモーメント反作用手段は、前記全部のオフセットロール荷重に反作用をするように設定されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも一つのロールモーメント反作用手段は、個別的にコントロールさせるようにした前記フロント側及び前記リア側の前記ロールモーメント反作用手段を含むことを特徴とする請求項3または請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも一つのロールモーメント反作用手段は、前記フロント側及び前記リア側によって反作用される前記オフセットロール荷重の比率が固定されるように相互接続されているようにした前記フロント側及び前記リア側の前記ロールモーメント反作用手段を含むことを特徴とする請求項3または請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも一つのロールモーメント反作用手段は、少なくとも二つの流体ヴオリュームを含み、各前記流体ヴオリュームは導管に含まれていて、
前記方法は、
各前記流体ヴオリュームの静的動作圧力を、前記オフセットロール荷重の一部または全部に個別的に反作用するように前記設定することを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記オフセットロール荷重の全部は、前記少なくとも一つのロールモーメント反作用手段によって反作用し、
少なくとも前記フロント側又は前記リア側の前記自動車支持手段おける荷重を感知して、横方向の位置の荷重を計算するとともに、前記ロールモーメント反作用手段の前記導管内の必要圧力を計算し、
前記流体ヴオリューム内の圧力を設定し、これによって、前記少なくとも一つのロールモーメント反作用手段の前記ロール剛性と、前記自動車サスペンションシステムの前記ロールモーメント分布と、オフセットロール荷重の全部の反作用とを設定することを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項10】
少なくとも前記フロント側又は前記リア側の前記自動車支持手段における荷重は、二つの横方向に離れたポイントにおいて感知されていて、前記自動車支持手段における垂直方向の荷重と、横方向の位置の荷重による前記オフセットロール荷重との両方が計算されるとともに、前記ロールモーメント反作用手段の前記導管内の圧力の必要量が計算されることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項11】
少なくとも前記フロント側又は前記リア側の前記自動車支持手段は、少なくとも部分的に機械的なものであり、機械的支持手段の時間平均変位が測定され、これによって、前記機械的支持手段における荷重が感知されることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項12】
少なくとも前記フロント側又は前記リア側の前記自動車支持手段における荷重は、二つの横方向に離れた機械的支持手段によって少なくとも部分的に支持され、前記二つの横方向に離れた機械的支持手段の各々の時間平均変位が測定されて、これによって、二つの横方向に離れたポイントにおける荷重が感知されることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項13】
少なくとも前記フロント側又は前記リア側の前記自動車支持手段は、少なくとも部分的に流体であり、流体支持手段の時間平均圧力が測定され、これによって、前記流体支持手段における荷重が感知されることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項14】
少なくとも前記フロント側又は前記リア側の前記自動車支持手段における荷重は、二つの横方向に離れた流体支持手段によって少なくとも部分的に支持され、前記二つの横方向に離れた流体支持手段の各々の時間平均圧力が測定され、これによって、二つの横方向に離れたポイントにおける荷重が感知されることを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項15】
自動車の自動車サスペンションシステムあって、
前記自動車と、前記自動車によって運ばれる全ての与えられた荷重とを支持するフロント側とリア側の自動車支持手段と、
前記自動車サスペンションシステムに可変のロール剛性を与える少なくとも一つのロールモーメント反作用手段とを含んでおり、
前記自動車サスペンションシステムのロールモーメント分布と、前記少なくとも一つのロールモーメント反作用手段の前記ロール剛性とは、少なくとも前記自動車のフロント側又はリア側によって運ばれる荷重に従って、調整が可能であり、一度、調整されると、
前記ロールモーメント分布と、前記可変のロール剛性とは、前記自動車によって運ばれる与えられた荷重に対して固定され、そして、
前記少なくとも一つのロールモーメント反作用手段は、オフセットロール荷重の一部または全部に反作用するようにされていることを特徴とする自動車サスペンションシステム。
【請求項16】
前記自動車のフロント側又はリア側における前記少なくとも一つのロールモーメント反作用手段は、前記オフセットロール荷重の一部に反作用することを特徴とする請求項15記載の自動車サスペンションシステム。
【請求項17】
前記自動車のフロント側及びリア側における前記少なくとも一つのロールモーメント反作用手段は、前記オフセットロール荷重の一部に反作用することを特徴とする請求項15記載の自動車サスペンションシステム。
【請求項18】
前記自動車のフロント側又はリア側における前記少なくとも一つのロールモーメント反作用手段は、前記オフセットロール荷重の全部に反作用することを特徴とする請求項15記載の自動車サスペンションシステム。
【請求項19】
前記自動車のフロント側及びリア側における前記少なくとも一つのロールモーメント反作用手段は、前記オフセットロール荷重の全部に反作用することを特徴とする請求項15記載の自動車サスペンションシステム。
【請求項20】
前記少なくとも一つのロールモーメント反作用手段は、個別的に前記フロント側及び前記リア側の前記ロールモーメント反作用手段を含むことを特徴とする請求項17または請求項19に記載の自動車サスペンションシステム。
【請求項21】
前記少なくとも一つのロールモーメント反作用手段は、個別的にコントロールさせるようにした前記フロント側及び前記リア側の前記ロールモーメント反作用手段を含むことを特徴とする請求項17または請求項19に記載の自動車サスペンションシステム。
【請求項22】
前記少なくとも一つのロールモーメント反作用手段は、少なくとも二つの流体ヴオリュームを含み、
各前記流体ヴオリュームは、導管に含まれていて、前記オフセットロール荷重の一部または全部に個別的に反作用するように前記設定されている静的動作圧力を有することを特徴とする請求項15記載の自動車サスペンションシステム。
【請求項23】
前記オフセットロール荷重の全部は、前記少なくとも一つのロールモーメント反作用手段によって反作用されており、
少なくとも前記フロント側又は前記リア側の前記自動車支持手段における荷重は、感知されていて、横方向の位置の荷重を計算するとともに、前記ロールモーメント反作用手段の前記導管内の圧力の必要量を計算することにより、
前記流体ヴオリューム内の圧力を調整することができ、これによって、前記ロールモーメント反作用手段の前記ロール剛性と、前記自動車支持手段の前記ロールモーメント分布とを設定して、前記オフセットロール荷重の全部に反作用するようにされていることを特徴とする請求項22記載の自動車サスペンションシステム。
【請求項24】
少なくとも前記フロント側又は前記リア側の前記自動車支持手段における荷重は、二つの横方向に離れたポイントにおいて感知されていて、前記自動車支持手段における垂直方向の荷重と、横方向の位置の荷重による前記オフセットロール荷重との両方が計算されるとともに、前記ロールモーメント反作用手段の前記導管内の圧力の必要量が計算されることを特徴とする請求項22記載の自動車サスペンションシステム。
【請求項25】
少なくとも前記フロント側又は前記リア側の前記自動車支持手段は、少なくとも部分的に機械的なものであり、機械的支持手段の時間平均変位が測定され、これによって、前記機械的支持手段における荷重が感知されることを特徴とする請求項23記載の自動車サスペンションシステム。
【請求項26】
少なくとも前記フロント側又は前記リア側の前記自動車支持手段における荷重は、二つの横方向に離れた機械的支持手段によって少なくとも部分的に支持され、前記二つの横方向に離れた機械的支持手段の各々の時間平均変位が測定されて、これによって、二つの横方向に離れたポイントにおける荷重が感知されることを特徴とする請求項24記載の自動車サスペンションシステム。
【請求項27】
少なくとも前記フロント側又は前記リア側の前記自動車支持手段は、少なくとも部分的に流体であり、流体支持手段の時間平均圧力が測定され、これによって、前記流体支持手段における荷重が感知されることを特徴とする請求項23記載の自動車サスペンションシステム。
【請求項28】
少なくとも前記フロント側又は前記リア側の前記自動車支持手段における荷重は、二つの横方向に離れた流体支持手段によって少なくとも部分的に支持され、前記二つの横方向に離れた流体支持手段の各々の時間平均圧力が測定され、これによって、二つの横方向に離れたポイントにおける荷重が感知されることを特徴とする請求項24記載の自動車サスペンションシステム。
【請求項29】
前記少なくとも一つのロールモーメント反作用手段は、前記自動車のアクスルと前記自動車の車体との間にアンチロールバー機構を含んでおり、前記アンチロールバー機構の剛性が少なくとも前記リア側又は前記フロント側の前記自動車支持手段における前記自動車の荷重の少なくともマグニチュードのファンクションとして変化させられることを特徴とする請求項15または請求項22に記載の自動車サスペンションシステム。
【請求項30】
前記アンチロールバー機構は、少なくとも一つのハイドロリックシリンダと二つの対向する圧力チャンバとを含んでおり、各前記圧力チャンバは、圧力アキュムレータに接続されていて、前記アンチロールバー機構の剛性と、前記アンチロールバー機構の剛性によって反作用される前記オフセットロール荷重は、前記二つの対向する圧力チャンバ内及び前記圧力アキュムレータ内の動作圧力の調整によって変化させられることを特徴とする請求項29記載の自動車サスペンションシステム。
【請求項31】
前記少なくとも一つのロールモーメント反作用手段は、
第1と第2の複動流体シリンダであって、前記流体シリンダは、横方向に離れていて、前記自動車のアクスルと前記自動車の車体とに接続され、各前記複動流体シリンダは、圧縮チャンバとリバウンドチャンバとを含んでおり、
第1と第2の流体導管であって、前記第1の流体導管は、前記第1の複動シリンダの圧縮チャンバと前記第2の複動シリンダのリバウンドチャンバとに接続しており、前記第2の流体導管は、前記第2の複動シリンダの圧縮チャンバと前記第1の複動シリンダのリバウンドチャンバとに接続しており、
前記少なくとも一つのロールモーメント反作用手段の前記ロール剛性は、前記リア側又は前記フロント側の前記自動車支持手段の少なくとも一つにおける前記自動車の荷重の少なくともマグニチュードのファンクションとして変化させられており、
前記ロール剛性は、前記第1と第2の流体導管内の流体の静的作動圧力を変えることによって変化させられることを特徴とする請求項15または請求項22に記載の自動車サスペンションシステム。
【請求項32】
前記少なくとも一つのロールモーメント反作用手は、少なくとも前記自動車のフロントアクスルに対して備えられた前記フロント側の前記ロールモーメント反作用手段と、少なくとも自動車のフロントアクスルに対して備えられた前記リア側の前記ロールモーメント反作用手段とを含んでおり、
それぞれの前記フロント側及び前記リア側の前記ロールモーメント反作用手段は、それぞれの前記フロント側及び前記リア側の第1と第2の流体導管を含んでおり、
前記フロント側の前記第1の流体導管は、第1の車両前後方向の流体導管によって前記リア側の前記第1の流体導管に接続され、
前記フロント側の前記第2の流体導管は、第2の車両前後方向の流体導管によって前記リア側の前記第2の流体導管に接続されていることを特徴とする請求項31記載の自動車サスペンションシステム。
【請求項33】
前記リア側の前記自動車支持手段は、
第1と第2のスプリングであって、前記第1と第2のスプリングは、横方向に離れていて、前記自動車のアクスルと前記自動車の車体との間に接続されており、
第1と第2の単動流体補助シリンダであって、前記第1と第2の単動流体補助シリンダは、横方向に離れていて、前記自動車のアクスルと前記自動車の車体との間に接続されており、
各前記流体補助シリンダは、補助圧縮チャンバを含んでおり、
各前記流体補助シリンダ内の圧力は、少なくとも前記アクスルの荷重のファンクションとしてコントロールされ、これによって、前記自動車の車体の部分的な支持を備えるとともに、前記アクスル上の荷重の増加と同様に、前記アクスルのロール剛性を増加することを備えることを特徴とする請求項32記載の自動車サスペンションシステム。
【請求項34】
前記少なくとも一つのロールモーメント反作用手段は、
少なくとも前記自動車のフロントアクスルに対して備えられた前記フロント側の前記ロールモーメント反作用手段と、少なくとも前記自動車のリアアクスルに対して備えられた前記リア側の前記ロールモーメント反作用手段とを含んでおり、
それぞれの前記フロント側及び前記リア側の前記ロールモーメント反作用手段は、それぞれの前記フロント側及び前記リア側の第1と第2の流体導管を含んでおり、
前記フロント側及び前記リア側の前記第1と第2の流体導管内の静的作動圧力は、前記自動車支持手段の少なくとも前記フロント側の一つと前記リア側の一つとにおける前記自動車の荷重の少なくともマグニチュードのファンクションとして、個別的にコントロールされることを特徴とする請求項31記載の自動車サスペンションシステム。
【請求項35】
各前記圧縮チャンバと流体が連通している少なくとも一つの流体アキュムレータが備えることを特徴とする請求項31から請求項34のいずれかに記載の自動車サスペンションシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−143569(P2009−143569A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−82420(P2009−82420)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【分割の表示】特願2003−532321(P2003−532321)の分割
【原出願日】平成14年9月30日(2002.9.30)
【出願人】(501399751)キネティック プロプライエタリー リミテッド (3)
【Fターム(参考)】