説明

自動車用情報提供システム

【課題】 ユーザーが車外で過ごす時間も含めて、該ユーザーの最新の趣味や興味を反映した情報をより濃密に吸い上げることができ、千差万別な嗜好にも的確に対応できる自動車用情報提供システムを提供する。
【解決手段】 携帯電話3にて入力されたユーザー入力情報を興味抽出用母データとして蓄積し、その興味抽出用母データからユーザーの現在の興味を反映したユーザー興味情報を抽出する。そして、自動車側情報出力システム534では、抽出されたユーザー興味情報に適合する被提供情報を収集して、自動車を利用するユーザーにこれを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車用情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2007−174441号公報
【特許文献2】特開2007− 11380号公報
【0003】
近年、携帯電話と車載情報提供機器(具体的にはカーナビゲーションシステム)とを相互リンクする技術の開発が活発に行なわれている。例えば、カーナビゲーションシステムの音声入力用/出力インフラを利用して、携帯電話と該カーナビゲーションシステムとを双方向近距離無線ネットワーク(例えばBluetooth(商標名))にて接続し、ハンズフリー通話システムを構築する技術が実用化されている。また、このように無線接続された携帯電話を、カーナビゲーションシステムの入力端末として用いたり、あるいは外部ネットワーク(例えばインターネット)との接続端末として用い、携帯電話を介してダウンロードした画像、映像あるいは音楽などを無線転送し、カーナビゲーションシステムのモニターに出力させたりするためのインターフェースも多数開発されており(例えば、特許文献2)、これをさらに具体化した無線接続アダプタが既に市販されている(例えば、商品名:PDI−B922((株)アイ・オー・データ機器))。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記各従来技術はいずれも、携帯電話との複合化によりカーナビゲーション装置の操作性や利便性を向上させることを主眼としており、千差万別なユーザー嗜好への対応柔軟化を目的とするものではなかった。なお、ユーザー嗜好への適合を図る試みとしては、カーナビゲーション装置の車内操作履歴や地図情報へのアクセス履歴に基づき、好みの道順や最近訪問した目的地の設定操作を簡略化する学習機能を例示できる。しかし、運転を職業とする場合を除けば、大多数のユーザーにとって日常生活に占める車の使用時間は総体的に短く、自動車側のサービス内容を個人の嗜好に適合させるのに十分な時間が得られない問題がある。他方、早期に個人の嗜好に適合させるために、ディーラー等でのアンケートにより設定をカスタマイズする対応も可能であるが、ユーザー個別の最新の趣味や興味をその都度設定に反映させることは所詮不可能であり、また、サービスがディーラーで購入する自動車に限定される問題もある。
【0005】
本発明の課題は、ユーザーが車外で過ごす時間も含めて、該ユーザーの最新の趣味や興味を反映した情報をより濃密に吸い上げることができ、千差万別なユーザー嗜好にも的確に対応できる自動車用情報提供システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び作用・効果】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の自動車用情報提供システムは、
自動車側に固定搭載される自動車側情報出力システムと、該自動車側情報出力システムと通信可能に構成された携帯電話とからなり、
携帯電話に設けられ、ユーザーによる音声又は手動操作により情報入力がなされる情報入力手段と、
携帯電話に設けられ、現在に至る予め定められた期間内に情報入力手段にて入力されたユーザー入力情報を興味抽出用母データとして蓄積する興味抽出用母データ蓄積手段と、
自動車側情報出力システムもしくは携帯電話に設けられ、蓄積されている興味抽出用母データからユーザーの現在の興味を反映したユーザー興味情報を抽出するユーザー興味情報抽出手段と、
自動車側情報出力システムに設けられ、抽出されたユーザー興味情報に適合する被提供情報を収集する被提供情報収集手段と、
自動車側情報出力システムに設けられ、収集した被提供情報を画像、音声もしくはそれらの組合せにより出力する被提供情報出力手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明では、現在に至る予め定められた期間内に携帯電話にて入力されたユーザー入力情報を興味抽出用母データとして蓄積し、その興味抽出用母データからユーザーの現在の興味を反映したユーザー興味情報を抽出する。そして、自動車側情報出力システムでは、抽出されたユーザー興味情報に適合する被提供情報を収集して、自動車を利用するユーザーにこれを提供する。携帯電話はユーザーが持ち歩き、通話やインターネット検索等に日常的に利用する電子機器である。この携帯電話から音声又は手動操作により入力された情報には、ユーザーが現在抱いている興味が、例えばカーナビゲーション装置の操作履歴等とは比較にならないほど詳細に反映されている。従って、その入力情報を用いてユーザー興味情報を抽出することにより、ユーザーが車外で過ごす時間も含めて、該ユーザーの最新の趣味や興味を反映した情報をより濃密に吸い上げることができ、千差万別なユーザー嗜好にも的確に対応できる情報提供が可能となる。
【0008】
ユーザーによる車外での入力情報も興味抽出に反映させるのが本発明の大きな目的の一つである点に鑑みれば、興味抽出用母データの蓄積手段は携帯電話に設けることが必須である。他方、情報提供は自動車内で行なうことを前提としているので、ユーザー興味情報に適合する被提供情報を収集する手段は自動車側に設けることが必須である。しかし、その中間のステップ、すなわち、蓄積されている興味抽出用母データからユーザーの現在の興味を反映したユーザー興味情報を抽出するステップに関しては、携帯電話側で行なっても、自動車側で行なっても、いずれでもよい。
【0009】
ユーザー興味情報の抽出を携帯電話側で行なう場合は、携帯電話にユーザー興味情報抽出手段と、抽出されたユーザー興味情報を自動車側に送信する携帯電話側送受信手段とを設け、自動車側情報出力システムに携帯電話からのユーザー興味情報を受信する自動車側送受信手段を設ける。この構成によると、自動車にユーザーが乗り込む前に携帯電話側でユーザー興味情報の抽出を完了させることができ、自動車側にはその抽出結果だけを送信すればよいので通信負荷を軽減できるほか、自動車側情報出力システムではその抽出結果を受けて、適合する被提供情報を収集する処理に直ちに移行でき、ひいては適切な被提供情報を速やかに出力できる利点がある。
【0010】
他方、ユーザー興味情報の抽出を自動車側情報出力システムで行なう場合は、携帯電話に興味抽出用母データを自動車側に送信する携帯電話側送信手段を設け、自動車側情報出力システムに携帯電話からの興味抽出用母データを受信する自動車側受信手段と、ユーザー興味情報抽出手段とを設けるようにする。この構成によると、ユーザー興味情報の抽出処理を自動車側情報出力システムで行なわせるので、処理能力の限られた携帯電話側の制御主体(CPU)の負荷を軽減できる。
【0011】
また、携帯電話側送受信手段と自動車側送受信手段とは、携帯電話と自動車側情報出力システムとの間で直接無線通信する双方向近距離無線ネットワークを形成するように構成できる。携帯電話と自動車側情報出力システムとの間での、ユーザー興味情報の抽出に必要な情報のやり取りを直接無線通信により行なうことで、興味に適合する被提供情報の収集・出力を迅速に行なうことができる。双方向近距離無線ネットワークとしては、なお、本発明において「双方向近距離無線ネットワーク」とは、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)802.15に規定されたパーソナルエリアネットワーク(Personal Area Network:PAN)のことをいい、例えばBluetooth(商標名:標準規格はIEEE802.15.1に定められている)を本発明に特に好適に採用可能である。この場合、携帯電話と自動車側情報出力システムとには、Bluetoothインターフェースを搭載しておく必要がある。特に、携帯電話については、携帯電話側のコネクタに着脱可能なBluetoothアダプタを装着することで対応することも可能である。
【0012】
一方、携帯電話側送受信手段と自動車側送受信手段とは、携帯電話と自動車側情報出力システムとが共通にアクセス可能な外部ネットワーク、例えば、インターネットを介して間接的に無線通信するものとすることができる。近年の携帯電話機は、ほとんどのものがインターネットへの接続機能を搭載しており、これを流用することが可能となる。
【0013】
次に、被提供情報の配信元は、自動車側情報出力システムに設けられた、被提供情報を記憶する車載被提供情報記憶部とすることができる。被提供情報収集手段は該車載被提供情報記憶部にて被提供情報をユーザー興味情報に基づいて検索・収集するものとすることができる。車載被提供情報記憶部を設けておくことで、抽出されたユーザー興味情報に適合する被提供情報が車載被提供情報記憶部内に存在すれば、これを直ちに読み出して出力することができる。一方、携帯電話と自動車側情報出力システムとが共通にアクセス可能な外部ネットワーク上に情報提供サーバーを設け、被提供情報収集手段を、ユーザー興味情報に基づき、外部ネットワークを介して情報提供サーバーにて被提供情報を検索・収集するものとして構成することもできる。この方式であると、自動車側情報出力システムに車載被提供情報記憶部を設けずとも被提供情報を検索・収集できるし、車載被提供情報記憶部を設ける場合でも、該記憶部に網羅されていない被提供情報を情報提供サーバーへのアクセスにより補うことができる。
【0014】
次に、情報入力手段は、携帯電話の送話器を構成するマイクとすることができる。この場合、該携帯電話には、マイクからの入力内容を音声認識する音声認識手段と、該音声認識された入力内容からユーザーの興味特定に使用するキーワードを抽出するキーワード抽出手段とを設けることができ、興味抽出用母データ蓄積手段は該抽出されたキーワードを蓄積するキーワード蓄積手段を有するものとして構成できる。携帯電話のマイクから入力されるユーザーの通話内容を音声認識により文字列化し、ユーザーの興味特定に使用するキーワードを抽出することで、車内滞在時間よりも一般的には圧倒的に長い車外滞在時間におけるユーザーの日常会話から、ユーザーの興味をキーワードの形で的確に特定するができる。
【0015】
この場合、被提供情報収集手段は、キーワード抽出手段が抽出したキーワードに基づいて、収集すべき被提供情報の検索を行なうものとできる。そして、ユーザー興味情報抽出手段は、キーワード蓄積手段に蓄積されているキーワードの出現頻度を解析し、出現頻度の高いキーワードほど被提供情報収集手段における被提供情報の検索に際しての採用優先度を高く設定するように構成できる。会話中での出現頻度の高いキーワードを用いることで、現在のユーザーの興味をより的確に特定することができる。
【0016】
ユーザー興味情報抽出手段には、興味抽出用に予め選定されたキーワード群を網羅したキーワード辞書を記憶するキーワード辞書記憶部を設けておくことができる。キーワード抽出手段は、音声認識された入力内容を単語分解し、その分解結果をキーワード辞書と照合するもとにより、該キーワード辞書に網羅されているキーワードを選択的に抽出するものとして構成することができる。ユーザーが行なう会話において、ユーザーの興味推定の手がかりとして有用なキーワード群は比較的限られているので、キーワード辞書を搭載しておき、そのキーワード辞書に網羅されているキーワードを選択的に抽出すれば、ユーザーの興味をより的確に特定することができる。この場合、ユーザー興味情報抽出手段は、外部ネットワークを介して季節、流行ないし最新トピックに関係する新キーワード群を含んだキーワード更新情報を定期的に受信取得するキーワード更新情報取得手段と、取得した更新情報に基づいてキーワード辞書を更新するキーワード辞書更新手段とを備えるものとして構成できる。このようにすると、季節、流行ないし最新トピックの移り変わりに応じてキーワード辞書の内容を常に適正化でき、タイムリーな興味抽出を行なうことができる。
【0017】
現在ユーザーが最も興味を抱いている情報内容を特定する上では、被提供情報収集手段は、キーワード抽出手段が最新一定期間内に抽出されたキーワードのうち、出現頻度の最も高い第一キーワードを用いて被提供情報の検索を行なうものとすることが望ましい。しかし、第一キーワードのみでは被提供情報の検索ヒット件数が閾件数を超えてしまう場合もある。この場合は、被提供情報収集手段は、出現頻度が第一キーワードに次いで高い第二キーワードを用いて被提供情報の検索絞込みを行なうように構成できる。
【0018】
次に、情報入力手段は、該携帯電話から無線アクセス可能なインターネットウェブサイトを閲覧するためのアドレス情報の入力手段とすることができる。この場合、興味抽出用母データ蓄積手段はインターネットウェブサイトの閲覧履歴を蓄積するサイト閲覧履歴蓄積手段を有するものとして構成できる。携帯電話を用いたインターネットウェブサイトの最新の閲覧履歴には、ユーザーの興味事項が色濃く反映されるので、これを興味抽出用母データとして用いることで、現在のユーザーの興味を的確に特定することができる。
【0019】
自動車に乗車中のユーザーの関心は、そのときの興味に応じて、これからどこに行きたいか、あるいは行き先が決まっている場合でもどこに寄りたいか、という点に集中するものである。従って、自動車側情報出力システムは、カーナビゲーションシステムを含むものとして構成することができる。被提供情報収集手段は被提供情報としてユーザー興味情報に適合する目的地情報をカーナビゲーションシステム上で検索・収集するものとして構成すれば、抽出された興味に適合する目的地へユーザーを的確に案内することができる。
【0020】
一方、自動車側情報出力システムはインターネットウェブサイトへの無線アクセス手段が設けられている場合は、被提供情報収集手段は被提供情報としてユーザー興味情報に適合するウェブサイ情報をインターネット上で検索・収集するように構成することができる。これにより、抽出された興味に応じて、これに適合するインターネットウェブサイトにタイムリーにアクセスがなされ、ユーザーを満足させることができる。この他にも、映像や音楽のデータを、車載被提供情報記憶部内のライブラリーから読み出して再生したり、あるいは外部ネットワークから無線によりダウンロードして再生したりすることが可能である。
【0021】
なお、同じユーザーが何度も自動車に乗るうちに、同じ被提供情報の出力が繰り返しなされる結果、被提供情報が陳腐化する場合がある。この場合、自動車側情報出力システムに、被提供情報出力手段による被提供情報の出力履歴情報を記録する出力履歴情報記録手段を設け、被提供情報収集手段は、該出力履歴情報にて最新一定期間内の出力実績が閾回数未満の被提供情報を優先的に収集するよう構成することができる。これにより、同じユーザーに対していつも新鮮な提供情報が可能となる。なお、被提供情報収集手段は、抽出されたユーザー興味情報を用いた第一の検索を行ったとき、その結果において出力履歴情報にて最新一定期間内の出力実績が閾回数未満の被提供情報に係る検索ヒット件数が所定値未満となることもありえる。この場合、第一の検索よりも絞込条件を緩和した第二の検索を実施することで、被提供情報の候補を拡張することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を添付の図面を用いて詳しく説明する。図1は、本発明の自動車用情報提供システムの概念説明図である。該自動車用情報提供システム100は、自動車側に固定搭載される自動車側情報出力システム534と、該自動車側情報出力システム534と通信可能に構成された携帯電話3とからなる。
【0023】
図2は、携帯電話3の電気的構成の一例を示すブロック図である。回路の要部をなす制御部310は、I/Oポート311、CPU312、ROM313、RAM314及び不揮発性メモリであるフラッシュメモリ321をバス315により接続したマイコンハードウェアである。ROM313には通話及びインターネット接続のための通信ソフトウェア314a、音声認識ソフトウェア314b、キーワード抽出ソフトウェア314c、ブラウザソフトウェア314d及び興味分析ソフトウェア314eが格納され、CPU312により、RAM313をワークエリアとして各々実行される。また、フラッシュメモリ321内には、キーワード統計データ321a(興味抽出用母データ蓄積手段、キーワード蓄積手段)、インターネットウェブサイトへのアクセス(及び当該ウェブサイトと関連付けられた目的地)統計データ321b及び興味抽出用のキーワード辞書321cが記憶されている。
【0024】
次に、I/Oポート311には、キーボードからなる入力部305(情報入力手段)、オンフック/オフフック切換スイッチ306が接続される。また、受話器303がアンプ315とD/A変換器316を介して、送話器304(情報入力手段)がアンプ317とA/D変換器318を介して、それぞれI/Oポート311に接続されている。また、I/Oポート311には、電話及びインターネット(外部ネットワーク)接続用の第一送受信部323が接続されている。第一送受信部323は、バス315に接続されたインターフェース331と、これに接続された変調器332、送信機333、周波数シンセサイザ334、受信機335、復調器336及び共用器337等により構成されている。
【0025】
通話を行なう場合は、無線基地局350及び図示しない電話回線網を介して、通話先となる電話機との間で、所定の通話用プロトコルに従い送受信がなされる。すなわち、送話器304から入力されたアナログ音声信号がアンプ317で増幅され、さらにA/D変換器318によりデジタル変換されて制御部310に入力される。該デジタル化された音声信号は制御部310にて所定の圧縮形式にてエンコードされ、ベースバンド信号として変調器332に入力される。他方、周波数シンセサイザ334から出力される搬送波信号が送信器333に入力される。この搬送波信号は、変調器332からの入力により、ベースバンド信号による変調とスペクトラム拡散処理(二次変調)が施され、通話送信信号として共用器337を経てアンテナ339から送信される。一方、アンテナ339が受信する通話受信信号は共用器337を経て受信器335に入力され、周波数シンセサイザ334から出力される搬送波信号を用いて同期検波され、逆拡散処理をへてベースバンド信号に復調される。ベースバンド信号はデコード後、入出力部311に接続されたD/A変換器316でアナログ音声信号に変換され、受話器303から出力される。
【0026】
一方、インターネット接続を行なう場合は、無線基地局350及びインターネット1170を介してコンテンツ提供サーバー(情報提供サーバー)500との間で、インターネット接続用プロトコルに従い送受信がなされる。このときの、第一送受信部323における変復調動作は通話時とほぼ同様であり、ブラウザソフトウェア314dの実行により、キーボード305等を用いて入力されたURL(Uniform Resource Locator)に対応するコンテンツ提供サーバー500(ウェブサイトを構築する)からコンテンツファイルの配信を受ける。コンテンツファイルに含まれる画像や文字などの表示用データはモニター308から、音声信号は受話器303をスピーカーとする形で、それぞれ出力される。
【0027】
なお、インターフェース331には、制御用電波Pを発信する制御用電波発信器338がつながれている。制御用電波Pは共用器337を介してアンテナ339から発信される。そして、携帯電話3が別の通信ゾーン102に移動した場合、網側の無線回線制御局104が制御用電波Pの受信状況に基づいて、周知のハンドオーバ処理を行なう。
【0028】
また、バス315には、インターフェース340を介して、自動車側情報出力システム534との間で直接無線通信する送受信部(携帯電話側送受信手段:本実施形態では、Bluetoothインターフェース)341が接続されている。この送受信部341は、図3に示す自動車側情報出力システム534側の送受信部535(自動車側送受信手段)とともに、双方向近距離無線ネットワークを形成するものである。
【0029】
次に、ROM314に格納されている音声認識ソフトウェア(音声認識手段)314bは、ユーザーが送話器(マイク)304から入力する音声言語を、隠れマルコフモデルを適用した周知のアルゴリズムにより文字変換する処理を行なうものである。具体的には、音声認識の結果として得られた文字列は、採用する言語の文法規則に従い、随時コンテクスト解析も加えながら単語分解された形で認識される。
【0030】
また、キーワード抽出ソフトウェア(キーワード抽出手段)314cは、音声認識された入力内容からユーザーの興味特定に使用するキーワードを抽出するものである。フラッシュメモリ321(キーワード辞書記憶部)には、興味抽出用に予め選定されたキーワード群を網羅したキーワード辞書321cが記憶されている。キーワード抽出ソフトウェア314cは、単語分解された音声認識結果を、単語毎にキーワード辞書321cに登録されているキーワード群と照合し、該キーワード辞書321cに網羅されているキーワードのみを選択的に抽出する。
【0031】
例えば、ユーザーが友人と携帯電話で次のような会話を交わし、音声認識されたとする。
ユーザー:「今週末、らしいよ。明日、オートキックスタイヤ見に行くけれど、いっしょに行かないか?」
友人:「今年のラニーニャが多いらしいからね。どこのオートキックス?」
ユーザー:「亀山インターの近くに先月できたみたいだけど。」
相手:「亀山インターの近くなら、タイヤ専門店もあったよね。」
ユーザー:「なんていったっけ‥。ああ、ゆきでリタイヤだ‥。」
相手:「今朝、チラシがはいっていたよ。2007年新モデル安いらしいけど。」
ユーザー:「じゃあ、先にそこいくか。ナビで出るかな‥。雪でリタイヤホームページあったけな‥。」
相手:「調べてみりゃいいじゃん。」
【0032】
辞書登録されているのは、被提供情報ンテンツ内容を絞り込むのに有効なキーワード、例えば、情報のジャンル(カー用品、娯楽、食事など)、商品やサービスの種別(タイヤ、スキーなど)、季節、固有名詞(地名、人名、店名など)等を直接反映したキーワード(上記会話内であれば、アンダーラインを付与したキーワード)のみがキーワード辞書321cに登録されている。従って、上記会話を単語分解してキーワード辞書321cと照合すれば、アンダーラインを付与したキーワードのみが抽出されることになる。
【0033】
なお、キーワード抽出ソフトウェア314cにはキーワード辞書更新手段として機能する辞書ツールが付随している。該辞書ツールは定期的に実行され、インターネット1170あるいはその他の通信網を介して辞書配信サーバー501に、季節、流行ないし最新トピックに関係する新キーワード群を含んだキーワード更新情報の配信を要請するとともに、受信取得したキーワード更新情報によりキーワード辞書321cを更新する。具体的には、キーワード更新情報に新しいキーワードが含まれていればこれを追加し、逆に特定のキーワードの削除指示情報が含まれていればこれを削除する。例えば、季節固有のキーワード(例えば、「雪」、「スキー」、「スタッドレス」などの冬期特有のキーワード)は、その季節に対応付けられた特定期間(例えば、11月〜4月)に期間限定して辞書登録し、該特定期間が過ぎれば辞書から削除する。
【0034】
次に、ROM314内の興味分析ソフトウェア314eは、ユーザー興味情報抽出手段を機能実現するものであり、カレンダークロック343を参照して特定される、現在に至る過去一定期間(サンプリング期間:例えば、7日〜30日間)内に抽出された全てのキーワードを、重複も含めてキーワード統計データ321a(興味抽出用母データ)として記憶する。そして、そのキーワード統計データ321a内の各キーワードの出現頻度を計数し、図4上に示すように、その計数結果も記憶する(サンプリング期間外となった古いキーワードはキーワード統計データ321aから順次削除されてゆく)。自動車側情報出力システム534からの要請に従い、計数結果の上位に位置するキーワードから順に送受信部341から自動車側情報出力システム534に送信される。
【0035】
他方、携帯電話3は、前述のごとく、インターネットウェブサイト(いわゆる、携帯サイト)への接続機能及び閲覧機能(ブラウザソフトウェア314d)を有している。インターネットウェブサイトへのアクセス及びコンテンツファイルの閲覧を行なうには、例えばキーボード305から閲覧先のURLを直接入力して接続を行なう方法の他、検索サイトに最初にアクセスして、該サイト上のリンク集を利用したり、検索エンジンを用いてキーワードやジャンル指定による検索を行い、その検索リストからURLを選んで接続を行なう方法、あるいはお気に入りリストからURLを選んで接続を行なう方法など、周知の方式が採用可能である(いずれの場合も、キーボード305はアドレス情報の入力手段として利用される)。そして、興味分析ソフトウェア314eは、前述のサンプリング期間内にアクセスされた全てのURLを、重複も含めてアクセス統計データ321a(興味抽出用母データ)として記憶する。なお、URLが、特定の店舗や施設、観光スポットに対応する場合は、これを目的地候補名として合わせてアクセス統計データ321a内に記憶してゆく。そして、そのアクセス統計データ321a内の各URLの出現頻度を計数し、図4下に示すように、その計数結果も記憶する(サンプリング期間外となった古いURLはアクセス統計データ321aから順次削除されてゆく)。自動車側情報出力システム534からの要請に従い、計数結果の上位に位置するURLから順に送受信部341から自動車側情報出力システム534に送信される。
【0036】
次に、図3は、自動車側情報出力システム534の構成例を示すブロック図である。自動車側情報出力システム534はカーナビゲーション装置として構成されており、位置検出器101、地図データ入力器106、操作スイッチ群107、リモートコントロール(以下リモコンと称する)センサ111、音声案内等のための音声合成回路124、音声出力用のスピーカー115、不揮発メモリであるフラッシュメモリ109、LCD等からなるモニター110、これらの接続された主制御部をなす情報系ECU51、リモコン端末112及び主記憶装置をなすHDD(ハードディスク装置)121等を備えている。
【0037】
位置検出器101は、周知の地磁気センサ102、ジャイロスコープ103、距離センサ104、および衛星からの電波に基づいて車両の位置を検出するGPSのためのGPS受信機105を有している。これらのセンサ等102,103,104,105は各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては前述したうちの一部のセンサで構成してもよく、さらに、ステアリングの回転センサや各転動輪の車輪センサ等を用いてもよい。
【0038】
操作スイッチ群107は、メカニカルなスイッチ等を使用できるが、本実施形態では、モニター110と一体になったタッチパネル122を併用しており、モニター110上に表示されるボタン画像に対応するタッチパネル領域を指で触れることにより、操作状態を認識できるようにしている(いわゆるソフトボタン)。これら操作スイッチ群107およびリモコン端末112によって、種々の指示を入力することが可能である。
【0039】
操作スイッチ群107およびリモコン端末112の他に、音声認識ユニット130を用いて種々の指示を入力することも可能である。これは、音声認識ユニット130に接続されるマイク131から音声を入力することによって、その音声信号を周知の音声認識技術により音声認識処理して、その結果に応じた操作コマンドに変換するものである。
【0040】
情報系ECU51は、CPU181、ROM182、RAM183、前述のフラッシュメモリ109、入出力部184がバス515により接続されたマイコンハードウェアを主体とするものである。HDD121はインターフェース129fを介してバス接続されている。また、地図やナビ操作画面を表示する描画情報に基づいて、モニター110に画像出力する機能を担う描画LSI187と、描画処理用のグラフィックメモリ187Mとが同様にバス接続され、前述のモニター110がこれに接続されている。CPU181は、フラッシュメモリ109に記憶されたナビソフトウェア109aおよびデータにより制御を行なう。また、HDD121へのデータの読み書きの制御はCPU181によって行なわれる。
【0041】
HDD121には、道路データを含む地図データ21mと、目的地データや目的地の案内情報からなるナビデータ21dとが記憶されている。また、出力履歴データ21dとコンテンツデータ21uも記憶されている。これらのデータは、操作スイッチ群107およびリモコン端末112の操作あるいは音声入力によって内容の書き換えが可能である。また、外部情報入出力装置(地図データ入力器)106を用いて記憶媒体120からデータを読み込んでHDD121の内容を更新することも可能である。なお、本実施形態では、通信インターフェース126を介して、情報系ECU51が車内ネットワークをなすシリアル通信バス127に接続され、ボデー系ECUやエンジン制御ECU(図示せず)などの、車内の他の制御装置との間でデータの遣り取りを行なうようになっている。
【0042】
また、シリアル通信バス127にはインターネット接続用の無線送受信部を有した通信ECU190(無線アクセス手段)が接続されている。フラッシュメモリ109にはブラウザソフトウェア109dが搭載されており、URLの指定により、通信ECU190を介して対応するウェブサイトをなすコンテンツ提供サーバー(情報提供サーバー)500(図2)にアクセスし、コンテンツファイルの閲覧を行なうことができる。ファイル内容(つまり、ホームページの内容)は、画像(動画及び静止画)についてはモニター110から、音声については、アンプ125を介してスピーカー115から出力される(被提供情報出力手段)。
【0043】
モニター110はカラー液晶表示器により構成されており、その画面には位置検出器101から入力された車両の現在位置マークと、HDD121から入力された地図データ21mと、さらに地図上に表示する誘導経路等付加データとを重ね合わせて表示する。また、前述のごとくタッチパネル122が重ね合わされており、必要に応じて、目的地設定、表示設定、種々の機能呼び出し、画面切替操作等のための機能ボタンも表示する。
【0044】
自動車側情報出力システム534は、情報系ECU51のCPU181によりナビプログラム21pが起動される。運転者は、操作スイッチ群107あるいはリモコン端末112の操作あるいはマイク131からの音声入力によって、目的地データベース21dから所望の目的地を選択する。例えば、モニター110上に表示されるメニューから目的地経路をモニター110に表示させるための経路案内処理を選択した場合、次のような処理を実施する。即ち、運転者がモニター110上の地図あるいは目的地選択画面に基づいて目的地を入力すると、GPS受信機105から得られる衛星のデータに基づき車両の現在位置が求められ、該現在位置から目的地までの最適な経路を求める処理が行われる。そして、モニター110上の道路地図に誘導経路を重ねて表示し、運転者に適切な経路を案内する。このような自動的に最適な経路を設定する手法は、ダイクストラ法等の手法が知られている。また、モニター110およびスピーカー115の少なくとも一方によって、操作時のガイダンスや動作状態に応じたメッセージの報知を行なう。
【0045】
図5は、目的地データベース21dの内容を示すもので、各目的地の所在地情報に、個々の目的地を特定するためのIDとともに、分類情報及びキーワード群が付与されている。キーワードは、ユーザーの興味特定に使用するキーワード群、すなわち、キーワード辞書109c(図3)に登録されているキーワード群から、個々の目的地との関連性の深いものが複数個別に選定されている。
【0046】
一方、分類情報は、ジャンルコードとサブ分類コードとを含む。ジャンルコードは、目的地をなす施設を、その種別により分類するもので、「飲食店」、「娯楽施設」、「公園」、宿泊施設、「道路関連サービス施設」、「コンビニエンスストア」、「スーパーマーケット」などに分かれている。このうち、「飲食店」、「道路関連サービス施設」、「コンビニエンスストア」、「スーパーマーケット」などが、飲食可能施設として位置付けられる。
【0047】
また、各ジャンルコードには、それぞれのジャンルコードに適合したサブ分類コードが付与されている。「飲食店」の場合、「もてなし」効果を考慮して、ユーザーの体調や精神状態と関連付けた目的地選択が可能となるように、サブ分類コードの種別が考慮されている。すなわち、体調良好で食欲もあり(特に、青年/壮年など)、空腹が進んだ場合に選択すべき飲食店には、満腹感を優先したサブ分類コード(「がっつり・こってり系」)が付与されており、体調がそれほどでもなく食欲についても淡白な状態(特に、女性など)、精々小腹が空いた程度の状況で選択すべき飲食店には、軽めの食事を優先したサブ分類コード(「かるーく・あっさり系」)が付与されている。また、倦怠感が進み、気分転換が望ましい状況や、カップルなどでムードを盛り上げたい場合に選択すべき飲食店には、雰囲気重視の食事を優先したサブ分類コード(「シック・おしゃれ系」)が付与されている。また、一般的な料理種別(「和食・寿司」「中華・ラーメン」「洋食・カレー」)に基づくサブ分類コードも別途付与され、適宜選択できるようになっている。
【0048】
一方、娯楽施設(あるいは観光スポット)や公園などの、レクリエーションないしエンターテインメント系のサービス提供施設についても、ユーザーの体調や精神状態と関連付けた目的地選択が可能となるように、サブ分類コードの種別が考慮されている。すなわち、体調良好で、陽気で活動的なサービスを欲している場合(特に、青年/壮年など)に選択すべき施設には、体力的あるいは精神的な発散を優先したサブ分類コード(「元気一杯スポット」)が付与されており、体調がそれほどでもないか疲れている場合(特に、女性など)には、体力消耗抑制を優先したサブ分類コード(「リラックス・いやし系」)が付与されている。また、カップルなどでムードを盛り上げたい場合に選択すべき施設には、雰囲気重視のサブ分類コード(「ラブラブスポット」)が付与されている。
【0049】
他方、「道路関連サービス施設」は、「サービスエリア」、「パーキングエリア」、「道の駅」及び「ドライブイン」のサブ分類コードが付与されている。
【0050】
また、目的地データベース21dには、各施設(目的地)の内容説明情報(施設内容情報)が対応付けて記憶されており、図11Aに示すように、選んだ目的地に対応する内容説明情報を画面上に出力(あるいは音声出力)することで、目的地確定前にその内容確認ができ、選択の一助とすることができる。
【0051】
次に、HDD121内の出力履歴データ21dは、現在に至る過去一定期間(例えば、1〜5年間)内、あるいは一定数(例えば30〜300)の目的地訪問(行先)履歴を、図9に示すように、訪問日、ユーザー名、分類、及び訪問頻度と対応付けて記録・蓄積するものである。出力履歴データ21dの更新タイミング(例えば、目的地訪問(行先)履歴を出力履歴データ21d内に書き込み、あるいは既存の目的地の場合訪問頻度をインクリメントするタイミング)は、カーナビゲーションシステムによる当該目的地までの案内が終了した時点で行なうとよい。また、ユーザーの特定は、車室内座席別に設けられたカメラにより、各座席のユーザーの顔を撮影し、その撮影画像を用いた周知の顔認証技術により実施することができる。この場合、ユーザーは、フラッシュメモリ109等に形成された登録部に顔画像とユーザー名とを事前に登録しておく必要がある。また、図示はしていないが、インターネットウェブサイトの閲覧履歴が、例えば、URL、目的地名及び閲覧日と対応付けた形で、出力履歴データ21d内に記録されている。
【0052】
また、HDD121内のコンテンツデータ21uには、訪問済みの目的地と関連を有するウェブサイトの閲覧済(つまり、ダウンロード済)のコンテンツファイルが蓄積されており、随時閲覧できるようになっている。また、図示はしていないが、ウェブサイトのコンテンツファイルとは別の映像データや音楽再生データなども、ユーザーの興味を反映したキーワード群や目的地名と対応付けて被提供情報としてコンテンツデータ21u内に用意されている。
【0053】
以下、上記自動車用情報提供システム100の動作について説明する。図6は携帯電話3での処理流れを示すものであり、通話がなされる毎に、既に説明した方法により会話内容が音声認識により文字列化され単語分解された後、キーワード辞書321c(図1)との照合によりキーワード抽出がなされ、キーワード統計データ321a(図4上)に記録される(S100)。なお、キーワード抽出は送話器304からのユーザーによる会話入力についてのみ行なうようにしているが、受話器303における通話相手の会話内容も含めて音声認識し、キーワード抽出を行なうように構成してもよい。他方、ウェブサイトが閲覧されれば、そのURLがアクセス統計データ321a(図4下)に記録される。
【0054】
キーワード統計データ321aに記録されているキーワード、ないしアクセス統計データ321aに記録されているURLは、頻度が一定以上に高いもの(例えば最も頻度の高いもの)をユーザー興味情報として、自動車側に種々のタイミングで送信される。具体的には、次のような場合を例示できる。
(1)自動車側情報出力システム534側の送受信部535からポーリング用の探索電波を車内あるいは車外に定期的に出力し、携帯電話3側の送受信部341からの応答があれば該当するユーザー興味情報を要求する。なお、携帯電話3側にインターネットサーバ機能を搭載しておけば、自動車側情報出力システム534側からインターネット1170を経由して携帯電話3に逆アクセスでき、自動車側情報出力システム534が携帯電話3から積極的にユーザー興味情報を吸い上げる構成とすることもできる。
【0055】
(2)車室内にユーザー検知用のセンサ(例えば着座センサやカメラなど)を設け、ユーザーの乗車を検出した場合に自動車側情報出力システム534側の送受信部535からトリガ電波を送信する。携帯電話3側の送受信部341からの応答があれば該当するユーザー興味情報を要求する。
(3)イグニッションスイッチがON(IG−ONもしくはACC−ON)となったとき、自動車側情報出力システム534側の送受信部535からトリガ電波を送信する。携帯電話3側の送受信部341からの応答があれば該当するユーザー興味情報を要求する。
いずれの場合も、携帯電話3は、自動車側情報出力システム534側からの要求に応じる形で(S110)、携帯電話3はユーザー興味情報を自動車側情報出力システム534側に送信する(S120)。
【0056】
図8は、自動車側情報出力システム534側の処理の流れを示すものである。S200では、ユーザー興味情報としてキーワードないしURL(目的地)のどちらかを要求する。どちらを要求するかは適宜決定できるが、例えば、ウェブサイトのアクセス履歴のほうが興味の対象を直接特定しやすい点に鑑みれば、アクセス履歴が閾値以上に多数存在するユーザーについてはまずURL(目的地)を要求し、アクセス履歴が閾値未満の場合はキーワードを要求するようにする。なお、URL(目的地)を要求した場合も、最終的に提示する被提供情報がユーザーに拒絶された場合(例えば、被提供情報の出力選択を行なわず、完了や中止のコマンドをユーザーが行なってきた場合)は、URL(目的地)をキーワードに切り替えて携帯電話3に要求しなおし、再検索を行なうようにする。なお、同様の流れで、キーワードないしURL(目的地)のどちらを使用するかを、携帯電話3側で判断するようにしてもよい。
【0057】
S205では、携帯電話3から送られてくるユーザー興味情報がキーワードとURL(目的地)のどちらであるかを判定する。URL(目的地)であればS255に進み、該当する目的地(つまり、被提供情報)を目的地データベース21d上で検索してモニター110上にリスト表示し、ユーザーへの選択を促す。
【0058】
一方、キーワードであった場合は、最も高頻度で抽出されたキーワード(以下、第一キーワードという)を含む目的地を目的地データベース21d上で検索する。そして、S215で、キーワード適合する目的地が見つからなかった場合はS260に進み、外部検索処理、すなわち検索サイトを経由してインターネット上で広く情報検索を行なう。図7は、検索サイトでの処理の流れを示す。すなわち、S151でキーワード適合するウェブサイトを検索し、S152で自動車側情報出力システム534に結果を送信する。
【0059】
一方、S215で、キーワード適合する目的地が見つかった場合はS220に進み、内部検索処理、すなわち、HDD121内のコンテンツデータ21u上での検索を行なう。出力履歴データ21d(図9)上の目的地訪問(行先)履歴を参照して、その訪問頻度を調べる。訪問頻度が第一閾値X未満(例えばX=2)のときはであれば直ちにS240に進み、該当する目的地をモニター110上にリスト表示し、ユーザーへの選択を促す(S235)。
【0060】
一方、S220で訪問頻度が第一閾値X以上のときはS225に進み、該訪問頻度が第一閾値Y未満(例えばY=4)であればS250に進む。ここでは、ヒットした目的地が属する分類(サブ分類コード、あるいはジャンルコード)にて、当該のキーワードを含まない目的地も対象とする形で拡張検索を行い、その結果をモニター110上にリスト表示し、ユーザーへの選択を促す。
【0061】
そして、S225で訪問頻度が第一閾値Y以上になるときは、目的地が陳腐化していると判断し、S230に進む。ここでは、前述の第一キーワードと、二番目に高頻度で抽出されたキーワード(以下、第二キーワードという)の論理和により目的地を拡張して検索を行い、その結果をモニター110上にリスト表示し、ユーザーへの選択を促す。
【0062】
図10は、そのリスト表示例を示すものであり、過去の訪問頻度が識別可能な形で個々の目的地の選択ボタン110Bを表示している(具体的には、目的地の選択ボタン110Bを訪問頻度に応じて色分けしてある)。ユーザーは、タッチパネル112から該当するボタンにタッチすることで、図11Aに示すように目的地設定画面122に切り替わり、確定ボタン122Fの実行ことにより目的地設定が確定され、案内を開始させることができる。
【0063】
一方、当該の目的地に関連する他の被提供情報が存在する場合は、その被提供情報へのアクセスボタン122sを合わせて表示し、当該アクセスボタン122sの実行により被提供情報を出力することができる。例えば被提供情報がインターネットウェブサイトのコンテンツである場合は、アクセスボタン122sは当該ウェブサイトへのリンクボタンとして形成される。図11Aでは目的地が飲食店であるが、例えばその店のメニューが見たい場合は、アクセスボタン122sに対し該コンテンツの一部をなすメニュー紹介ページのURLリンクを張っておく。該アクセスボタン122sの実行により、自動車側情報出力システム534から当該ウェブサイトのコンテンツ提供サーバー(情報提供サーバー)500に無線アクセスがなされ、図11Bに示すように、メニューページがモニター110に表示される。
【0064】
なお、過去のアクセスにて取得した該ウェブサイトのコンテンツファイルがHDD121内のコンテンツデータ21u内に記憶されている場合は、コンテンツ提供サーバー500にはアクセスせず、該HDD121から当該のコンテンツファイルを読み出してモニター110に出力すればよい。ただし、前回のアクセスが予め定められた日時以前にさかのぼる場合には、コンテンツ提供サーバー500へのアクセスによりモニター110への出力を行なう。なお、古いコンテンツファイルは、このとき再ダウンロードしたコンテンツファイルにて上書き更新する。
【0065】
次に、図12に示すように、第一キーワードだけでは閾値以上に多数の目的地が検索され、適切な目的地選択が実行できない場合がある。この場合は、第二キーワードとの論理積により目的地候補の絞込みが可能である。図12では、第二キーワードを「雪」とし、第二キーワードがそれぞれ、「タイヤ」、「温泉」、「スキー」だった場合の、目的地リスト(選択ボタン110B)の表示例を示している。
【0066】
図13は、第二キーワードを「タイヤ」として絞り込んだ場合において、タイヤショップの1つを目的地として選んだ場合の目的地設定画面122の表示例を示す。このタイヤショップのウェブサイトにはショッピングページが併設されており、アクセスボタン122sとして、該ショッピングページへのリンクボタンが設けられている。図14は、当該のショッピングページの表示画像122sを示している。
【0067】
なお、当該の絞込みの過程で、外部の検索ウェブサイトにおける関連情報のアクセス実績に係る情報提供を第三者から受けることができる場合には、図12に示すように、その関連情報を取得できるウェブサイトへのリンクボタンを補助アクセスボタン110Eとして、合わせて設定・表示することも可能である。例えば、「雪」「タイヤ」のキーワードを検索ウェブサイトに送信し、検索ウェブサイトでは、これに関連付けられる商品(例えばスタッドレスタイヤ)のウェブサイト検索を行なうとともに、その検索されたウェブサイトのアクセス頻度が反映された統計データを作成する。そして、関連付けられる商品のうち最もアクセス頻度の高いもののウェブサイトのURLを自動車側情報出力システム534へ返送する。自動車側情報出力システム534では、これを受けて前述の補助アクセスボタン110Eを作成する。図15は、その補助アクセスボタン110Eを実行したときのモニター110の表示画像122Uを示すものである。
【0068】
図16は、第二キーワードを「スキー」として絞り込んだ場合において、スキー場の1つを目的地として選んだ場合の目的地設定画面122の表示例を示す。アクセスボタン122sとして、該スキー場のウェブサイトへのリンクボタンが設けられている。図17は、該アクセスボタン122sを実行したときのモニター110の表示画像122Uを示すものである。
【0069】
図18は、第二キーワードを「温泉」として絞り込んだ場合において、温泉地の1つを目的地として選んだ場合の目的地設定画面122の表示例を示す。ここでは、HDD121のコンテンツデータ21u内に記憶されている温泉関連の映像情報へのアクセスボタン122Bが設けられている。図19は、アクセスボタン122Bの実行による映像122Mの表示例を示すものである。
【0070】
なお、上記の実施形態では、ユーザー興味情報の抽出を携帯電話3側で行なうようにしていたが、興味抽出用母データを携帯電話3から自動車側情報出力システム534に無線送信し、該自動車側情報出力システム534側でユーザー興味情報の抽出を行なうようにしてもよい。この場合は、携帯電話3側の興味分析ソフトウェア314e及びキーワード辞書321cを省略し、代わって、図2に示すように、動車側情報出力システム534に興味分析ソフトウェア109b及びキーワード辞書109cを組み込んでおけばよい。また、キーワードによる検索結果は、第三キーワード以降も必要に応じて用いることにより、更なる絞込みを行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の自動車用情報提供システムの概念図。
【図2】携帯電話の電気的構成の一例を示すブロック図。
【図3】自動車側情報出力システムの電気的構成の一例を示すブロック図。
【図4】キーワード統計データ及びアクセス統計データの一例を示す模式図。
【図5】ナビデータの一例を示す模式図。
【図6】携帯電話側の処理流れを示すフローチャート。
【図7】検索サイト側の処理流れを示すフローチャート。
【図8】自動車側情報出力システム側の処理流れを示すフローチャート。
【図9】出力履歴データの一例を示す模式図。
【図10】検索結果の第一出力例を示す模式図。
【図11A】第一出力例に対応する目的地設定画面の表示例を示す図。
【図11B】同じくウェブサイトのコンテンツ表示画面の例を示す図。
【図12】絞込みを行なう場合の検索結果の第二〜第四出力例を示す模式図。
【図13】第二出力例に対応する目的地設定画面の表示例を示す図。
【図14】同じくウェブサイトのコンテンツ表示画面の第一例を示す図。
【図15】同じく第二例を示す図。
【図16】第三出力例に対応する目的地設定画面の表示例を示す図。
【図17】同じくウェブサイトのコンテンツ表示画面の例を示す図。
【図18】第四出力例に対応する目的地設定画面の表示例を示す図。
【図19】同じく映像出力例を示す図。
【符号の説明】
【0072】
100 自動車用情報提供システム
534 自動車側情報出力システム
3 携帯電話
304 送話器(マイク、情報入力手段)
305 キーボード(情報入力手段)
321a キーワード統計データ(興味抽出用母データ)
321 フラッシュメモリ(興味抽出用母データ蓄積手段)
314b 音声認識ソフトウェア(音声認識手段)
314e 興味分析ソフトウェア(ユーザー興味情報抽出手段)
109a ナビソフトウェア(被提供情報収集手段)
109d ブラウザソフトウェア(被提供情報収集手段)
110 モニター(被提供情報出力手段)
115 スピーカー(被提供情報出力手段)
341 送受信部(携帯電話側送受信手段)
535 送受信部(自動車側送受信手段)
1170 インターネット(外部ネットワーク)
500 コンテンツ提供サーバー(情報提供サーバー)
321a キーワード統計データ(興味抽出用母データ)
321c キーワード辞書

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車側に固定搭載される自動車側情報出力システムと、該自動車側情報出力システムと通信可能に構成された携帯電話とからなり、
前記携帯電話に設けられ、ユーザーによる音声又は手動操作により情報入力がなされる情報入力手段と、
前記携帯電話に設けられ、現在に至る予め定められた期間内に前記情報入力手段にて入力されたユーザー入力情報を興味抽出用母データとして蓄積する興味抽出用母データ蓄積手段と、
前記自動車側情報出力システムもしくは前記携帯電話に設けられ、蓄積されている前記興味抽出用母データから前記ユーザーの現在の興味を反映したユーザー興味情報を抽出するユーザー興味情報抽出手段と、
前記自動車側情報出力システムに設けられ、抽出された前記ユーザー興味情報に適合する被提供情報を収集する被提供情報収集手段と、
前記自動車側情報出力システムに設けられ、収集した被提供情報を画像、音声もしくはそれらの組合せにより出力する被提供情報出力手段と、
を備えたことを特徴とする自動車用情報提供システム。
【請求項2】
前記携帯電話に前記ユーザー興味情報抽出手段と、抽出された前記ユーザー興味情報を自動車側に送信する携帯電話側送受信手段とが設けられ、
前記自動車側情報出力システムに前記携帯電話からの前記ユーザー興味情報を受信する自動車側送受信手段が設けられている請求項1記載の自動車用情報提供システム。
【請求項3】
前記携帯電話に前記興味抽出用母データを自動車側に送信する携帯電話側送信手段が設けられ、
前記自動車側情報出力システムに前記携帯電話からの前記興味抽出用母データを受信する自動車側受信手段と、前記ユーザー興味情報抽出手段とが設けられている請求項1記載の自動車用情報提供システム。
【請求項4】
前記携帯電話側送受信手段と前記自動車側送受信手段とが、前記携帯電話と前記自動車側情報出力システムとの間で直接無線通信する双方向近距離無線ネットワークを形成する請求項2又は請求項3のいずれか1項に記載の自動車用情報提供システム。
【請求項5】
前記携帯電話側送受信手段と前記自動車側送受信手段とは、前記携帯電話と前記自動車側情報出力システムとが共通にアクセス可能な外部ネットワークを介して間接的に無線通信するものである請求項2又は請求項3のいずれか1項に記載の自動車用情報提供システム。
【請求項6】
前記被提供情報を記憶する車載被提供情報記憶部が前記自動車側情報出力システムに設けられ、前記被提供情報収集手段は該車載被提供情報記憶部にて前記被提供情報を前記ユーザー興味情報に基づいて検索・収集するものである請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の自動車用情報提供システム。
【請求項7】
前記携帯電話と前記自動車側情報出力システムとが共通にアクセス可能な外部ネットワーク上に情報提供サーバーが設けられ、前記被提供情報収集手段は前記ユーザー興味情報に基づき、前記外部ネットワークを介して前記情報提供サーバーにて前記被提供情報を検索・収集するものである請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の自動車用情報提供システム。
【請求項8】
前記情報入力手段は前記携帯電話の送話器を構成するマイクであり、かつ、該携帯電話には、前記マイクからの入力内容を音声認識する音声認識手段と、該音声認識された入力内容からユーザーの興味特定に使用するキーワードを抽出するキーワード抽出手段とが設けられ、前記興味抽出用母データ蓄積手段は該抽出されたキーワードを蓄積するキーワード蓄積手段を有する請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の自動車用情報提供システム。
【請求項9】
前記被提供情報収集手段は、前記キーワード抽出手段が抽出した前記キーワードに基づいて、収集すべき被提供情報の検索を行なうものであり、
前記ユーザー興味情報抽出手段は、前記キーワード蓄積手段に蓄積されているキーワードの出現頻度を解析し、出現頻度の高いキーワードほど前記被提供情報収集手段における前記被提供情報の検索に際しての採用優先度を高く設定するものである請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の自動車用情報提供システム。
【請求項10】
前記ユーザー興味情報抽出手段は、興味抽出用に予め選定されたキーワード群を網羅したキーワード辞書を記憶するキーワード辞書記憶部を有し、前記キーワード抽出手段は、音声認識された前記入力内容を単語分解し、その分解結果を前記キーワード辞書と照合するもとにより、該キーワード辞書に網羅されているキーワードを選択的に抽出するものである請求項9記載の自動車用情報提供システム。
【請求項11】
前記ユーザー興味情報抽出手段は、外部ネットワークを介して季節、流行ないし最新トピックに関係する新キーワード群を含んだキーワード更新情報を定期的に受信取得するキーワード更新情報取得手段と、取得した更新情報に基づいて前記キーワード辞書を更新するキーワード辞書更新手段とを備える請求項10記載の自動車用情報提供システム。
【請求項12】
前記被提供情報収集手段は、前記キーワード抽出手段が最新一定期間内に抽出されたキーワードのうち、出現頻度の最も高い第一キーワードを用いて前記被提供情報の検索を行なうものである請求項9ないし請求項11のいずれか1項に記載の自動車用情報提供システム。
【請求項13】
前記被提供情報収集手段は、前記被提供情報の検索ヒット件数が閾件数を超えた場合に、出現頻度が前記第一キーワードに次いで高い第二キーワードを用いて前記被提供情報の検索絞込みを行なうものである請求項12に記載の自動車用情報提供システム。
【請求項14】
前記情報入力手段は、前記携帯電話から無線アクセス可能なインターネットウェブサイトを閲覧するためのアドレス情報の入力手段であり、前記興味抽出用母データ蓄積手段は前記インターネットウェブサイトの閲覧履歴を蓄積するサイト閲覧履歴蓄積手段を有する請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の自動車用情報提供システム。
【請求項15】
前記自動車側情報出力システムはカーナビゲーションシステムを含んで構成され、前記被提供情報収集手段は前記被提供情報として前記ユーザー興味情報に適合する目的地情報を前記カーナビゲーションシステム上で検索・収集するものである請求項1ないし請求項14のいずれか1項に記載の自動車用情報提供システム。
【請求項16】
前記自動車側情報出力システムはインターネットウェブサイトへの無線アクセス手段を有し、前記被提供情報収集手段は前記被提供情報として前記ユーザー興味情報に適合するウェブサイ情報をインターネット上で検索・収集するものである請求項1ないし請求項15のいずれか1項に記載の自動車用情報提供システム。
【請求項17】
前記自動車側情報出力システムに、前記被提供情報出力手段による前記被提供情報の出力履歴情報を記録する出力履歴情報記録手段が設けられ、前記被提供情報収集手段は、該出力履歴情報にて最新一定期間内の出力実績が閾回数未満の被提供情報を優先的に収集するものである請求項1ないし請求項16のいずれか1項に記載の自動車用情報提供システム。
【請求項18】
前記被提供情報収集手段は、抽出された前記ユーザー興味情報を用いた第一の検索を行い、その結果において前記出力履歴情報にて最新一定期間内の出力実績が閾回数未満の被提供情報に係る検索ヒット件数が所定値未満であった場合に、前記第一の検索よりも絞込条件を緩和した第二の検索を実施する請求項17記載の自動車用情報提供システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−232415(P2009−232415A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−78584(P2008−78584)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】