説明

走行支援システム

【課題】現在の走行支援システムは状況により、ドライバにとって最適な制御になっていない場合があり、たとえば圧雪路面でのABSのように危険を伴う制御となる場合もある。
【解決手段】車両の走行を支援手段により支援するものであって、乗員により天候状態が入力される複数の天候状態入力手段と、天候状態を検出する天候状態検出センサと、前記天候状態入力手段への入力結果、もしくは前記天候状態検出センサの出力結果のいずれかに基づき支援モードを決定するモード決定手段と、前記乗員により入力操作される悪天候モード入力手段と、を備え、前記モード決定手段は、前記悪天候モード入力手段への入力の存在時には前記天候状態検出センサの出力に基づき支援モードの決定を行い、前記悪天候モード入力手段への非入力状態では、前記天候状態入力手段の入力結果に基づき支援モードの決定を行い、前記支援モードに基づき前記支援手段が支援を実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の走行支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
路面状況や天候状況にあわせて、ドライバの運転操作を支援するシステムの開発が行われている。
【0003】
例えば、特開2002−225619号公報に示される走行支援システムは、車両に備えた雨滴センサなどの各種センサや、路車間通信などによって得た天候情報などを用いて、システムが支援必要度(ドライバが支援を必要としている度合いを定量化したもの)を演算し、この支援必要度に応じて、車両のランプ類や動力伝達系や操舵系を制御することで、ドライバを支援している。
【特許文献1】特開2002−225619号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
支援の必要度はドライバの感覚に依存するが、特許文献1では、支援の必要度を支援システムが決定している。このため、実際にドライバが要求する支援の必要度と、システムが演算した必要度とが一致せず、支援システムがドライバの欲している支援を実施できない場合がある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされてものであり、ドライバが要求する支援を確実に実施可能な走行支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために請求項1に記載の発明は、車両の走行を複数の支援手段により支援するものであって、乗員により天候状態が入力される天候状態入力手段を備え、前記天候状態入力手段への入力結果に基づき前記複数の支援手段が支援を同時期に実施することを特徴とする。
【0007】
天候状態入力手段は、乗員により天候状態に応じた入力操作がなされる。そして、複数の支援手段は、この乗員により入力された天候状態に基づき、同時期に走行を支援する。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の走行支援システムに加えて、天候状態を検出する天候状態検出センサと、前記天候状態入力手段への入力結果、もしくは前記天候状態検出センサの出力結果のいずれかに基づき支援モードを決定するモード決定手段と、前記乗員により入力操作される悪天候モード入力手段と、を備え、前記悪天候モード入力手段への入力の存在時には前記モード決定手段は前記天候状態検出センサの出力に基づきモードの決定を行い、前記悪天候モード入力手段への非入力状態では、前記天候状態入力手段の入力結果に基づきモードの決定を行うことを特徴とする。
【0009】
本支援システムは、請求項1の構成に加え、悪天候モード入力手段(例えば、スイッチ)と、天候状態を検出する天候状態検出センサを供える。そして、乗員が悪天候モード入力手段により悪天候モードを設定している場合には、天候状態検出センサが検出した天候状態に基づきドライバが欲している支援内容を特定して、支援を実施する。
【0010】
これにより、悪天候モード入力手段から悪天候モードを入力すれば、各々の天候状態を入力することなく、乗員は支援を受けることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の走行支援システムに加えて、前記車両外部より送信された天候状態を受信する天候状態受信手段と、前記天候状態入力手段への入力結果、もしくは前記天候状態受信手段の出力結果のいずれかに基づき支援モードを決定するモード決定手段と、前記乗員により入力操作される悪天候モード入力手段と、を備え、前記悪天候モード入力手段への入力の存在時には前記モード決定手段は前記天候状態受信手段の出力に基づきモードの決定を行い、前記悪天候モード入力手段への非入力状態では、前記天候状態入力手段の入力結果に基づきモードの決定を行うことを特徴とする。
【0012】
請求項2と同様に、悪天候モード入力手段から悪天候モードを入力すれば、各々の天候状態を入力することなく、乗員は支援を受けることができる。
【0013】
また、例えば、車両のオプションとして、この走行支援システムを搭載する場合を考える。このとき、低機能なオプションは乗員が個別に天候状態を入力し、この天候状態に基づいて走行支援をするマニュアルモードのみを備え、高機能なオプションは天候状態受信手段が受信した天候情報に基づいて支援を実施するオートモードを備えていたとする。このとき、乗員が個別に入力する天候状態と、天候状態受信手段の受信した天候情報とが同一の情報形式であれば、モード決定手段および支援手段は、低機能オプションであっても高機能オプションであっても共通化できる。このため、オプション毎にモード決定手段および支援手段を構築する必要がなく、オプションの開発コストを下げることができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、車両の走行を支援手段により支援するものであって、乗員により天候状態が入力される複数の天候状態入力手段と、天候状態を検出する天候状態検出センサと、前記天候状態入力手段への入力結果、もしくは前記天候状態検出センサの出力結果のいずれかに基づき支援モードを決定するモード決定手段と、前記乗員により入力操作される悪天候モード入力手段と、を備え、前記モード決定手段は、前記悪天候モード入力手段への入力の存在時には前記天候状態検出センサの出力に基づき支援モードの決定を行い、前記悪天候モード入力手段への非入力状態では、前記天候状態入力手段の入力結果に基づき支援モードの決定を行い、前記支援モードに基づき前記支援手段が支援を実施することを特徴とする。
【0015】
上記構成とすることで、乗員は2通りの方法で、支援を受けることができる。第一の方法は、乗員が複数の天候状態の中から天候を選択し、これを入力する方法である。この場合、モード決定手段は、乗員が選択した天候状態に基づき、実施する支援を決定する。
【0016】
第二の方法は、乗員が悪天候モード入力手段を用いて悪天候モードを設定する方法である。この場合、モード決定手段は、天候状態検出センサが検出した天候状態に基づき、実施する支援を決定する。
【0017】
第一の方法の場合、乗員が天候状態を入力するため、天候状態の信頼度が高い。そして、入力された天候状態に基づいて決定された支援モードにより支援手段が支援を行うため、乗員が必要としている支援が行われる可能性が高い。
【0018】
一方、第二の方法の場合、乗員は悪天候モード入力手段を操作するのみで、支援を受けることができる。例えば、どの天候状態を選べば良いか分からない場合や、複数の天候状態の中から現在の天候状態を選択するのが面倒な場合などにも、悪天候モード入力手段を操作するという簡単な操作のみで支援を受けることができる。
【0019】
このように、第一の方法および第二の方法の両方を備えるため、本走行支援システムは、乗員の意図に合せた支援が実施可能となる。
【0020】
請求項5に記載の発明は、車両の走行を支援手段により支援するものであって、乗員により天候状態が入力される複数の天候状態入力手段と、前記車両外部より送信された天候状態を受信する天候状態受信手段と、前記天候状態入力手段への入力結果、もしくは前記天候状態受信手段の受信した天候状態のいずれかに基づき支援モードを決定するモード決定手段と、前記乗員により入力操作される悪天候モード入力手段と、を備え、前記モード決定手段は、前記悪天候モード入力手段への入力の存在時には前記天候状態受信手段の受信した天候状態に基づき支援モードの決定を行い、前記悪天候モード入力手段への非入力状態では、前記天候状態入力手段の入力結果に基づき支援モードの決定を行い、前記支援モードに基づき前記支援手段が支援を実施することを特徴とする。
【0021】
請求項6に記載の発明は、前記複数の支援手段の一つは、ドライバの運転操作に関する操作支援を実施するものであり、前記複数の支援手段の一つは、前記乗員の環境認知に関する認知支援を実施するものであることを特徴とする。
【0022】
運転操作に関する支援と、環境認知に関する支援を同時に実施することにより、走行の安全性を高めることができる。
【0023】
請求項7に記載の発明は、前記支援手段の一方は、ライトを点灯消灯するライト点灯消灯支援、またはおよび、ワイパの作動を支援するワイパ作動支援、またはおよび、前記車両の周辺環境を乗員に報知する報知支援を実施可能であるとともに、前記支援手段の他方は、操舵トルクを支援する操舵支援、またはおよび、前記車両の走行安定性を向上する足回り支援、またはおよび、ブレーキの倍力を変化させるブレーキ支援を実施可能であることを特徴とする。
【0024】
走行支援システムが、例えばライトを制御することができるとする。この時、支援モードが霧に関する支援を指示する内容であるとすると、フォグライトを点灯することで、障害物や走行路面の認知を支援することができる。
【0025】
走行支援システムがワイパを制御することができ、支援モードが霧に関する支援を指示する内容であるとすると間欠モード(間欠時間大)でワイパを動かし、支援モードが降雪に関する支援を指示する内容であるとすると間欠モード(間欠時間中)、支援モードが豪雨に関する支援を指示する内容であるとすると間欠モード(間欠時間小)と設定すれば、ドライバは各天候にあわせてワイパのスイッチを設定する必要が無くなる。
【0026】
走行支援システムが報知支援(例えば、ナビゲーション)をする場合、天候状態にあわせて報知する内容を変化させることができる。この支援の一例としては、天候状態が降雪である場合にはチェーン交換場所までのルートを報知し、天候状態が積雪である場合にはカーブおよび交差点の情報を報知するなどである。
【0027】
操舵トルクを支援する操舵支援を行う場合、例えば路面摩擦の少ない雪道において、走行支援システムがパワステのアシストトルクを減らせば、ドライバがステアリングを不用意に急操作することを防止できる。
【0028】
また、走行支援システムが足回り支援、例えば、天候状態に合せてサスペンションのバネレートや減衰比を調整する場合において、路面摩擦が小さい場合には、走行支援システムがバネレートを高めることで、車両がスピン状態に陥る限界を高めることができる。
【0029】
走行支援システムがブレーキの倍力を変化させることができる場合、支援モードが霧に関する支援を指示する内容であるとすると、ドライバのパニックブレーキに備えてブレーキ与圧を高めておくことで、霧の中から突如現れた障害物に接触することを防ぐことができる。
【0030】
請求項8に記載の発明は、前記モード決定手段は、前記天候状態受信手段により受信された天候状態と、前記乗員により入力された天候状態とが異なる場合に、前記支援手段のうち、前記車両の近距離領域に関する支援を実施可能な支援手段は、前記乗員により入力された天候状態に基づいて支援を実施することを特徴とする。
【0031】
請求項9に記載の発明は、前記モード決定手段は、前記天候状態受信手段により受信された天候状態と、前記乗員により入力された天候状態とが異なる場合に、前記支援手段のうち、前記車両の遠距離領域に関する支援を実施可能な支援手段は、前記天候状態受信手段により受信された天候状態に基づいて支援を実施することを特徴とする。
【0032】
請求項10に記載の発明は、前記天候状態は、積雪、またはおよび、降雪、またはおよび、霧、またはおよび、豪雨であることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、実施例1および実施例5を用いて、本発明を実施するための最良の形態を述べる。
【0034】
〔実施例1〕
図1から図4を用いて実施例1について説明する。図1は、走行支援システム(10)の一例を示すブロック図である。走行支援システム(10)は、天候SW群(11)、統合判断部(12)、車輪速センサ(13)、ブレーキ制御部(14)、ブレーキECU(15)、ブレーキ倍力装置(16)、ライト制御部(17)、フォグライト(18)とからなる。なお、以下、スイッチをSWと表記する。
【0035】
図2を用いて後述する天候SW群(11)は、ドライバにより操作され、SW状態を統合判断部(12)に出力する。統合判断部(12)は、入力されたSW状態を元に天候を判断し、判断結果を支援指令としてブレーキ制御部(14)およびライト制御部(17)に出力する。車輪速センサ(13)は、ブレーキ制御部(14)に車輪速情報を出力する。ブレーキ制御部(14)は、入力された支援指令と車輪速情報とを元にブレーキの制御補正値を演算し、この制御補正値をブレーキECU(15)に出力する。そして、ブレーキECU(15)は、入力された制御補正値を用いて、ブレーキ倍力装置(16)を制御する。
【0036】
一方、ライト制御部(17)は、入力された支援指令を基に、フォグライト(18)に点灯消灯指令を出力する。
【0037】
なお、統合判断部(12)およびブレーキ制御部(14)およびブレーキECU(15)およびライト制御部(17)は、マイコンにより構成され、車両内のフロア上に設置されている。また、ブレーキ倍力装置(16)は、エンジンルーム内に備えられ、ブレーキECU(15)からの制御指令により、ブレーキ与圧を変化させることができる。
【0038】
図2を用いて、天候SW群(11)およびメータ(21)について説明する。天候SW群(11)は、ステアリングコラム周辺のインパネ上に設置されている。この天候SW群(11)は、積雪SW(11a)、降雪SW(11b)、霧SW(11c)、豪雨SW(11d)の4種類のSWにより構成され、ドライバは任意のSWを操作することができる。また、SW状態はONまたはOFFのいずれかであるが、複数のSWを同時にON(例えば、降雪SW(11b)をON、積雪SW(11a)をON)とすることは可能である。
【0039】
メータ(21)には、天候SWの各状態を表示するSW状態表示灯(21a)が備えられる(例えば、豪雨SW(11d)がONの時、SW状態表示灯(21a)内に“豪雨”と表示される)。
【0040】
図3のフローチャートを用いて、統合判断部(12)およびブレーキ制御部(14)およびブレーキECU(15)およびライト制御部(17)の処理の流れを説明する。
【0041】
ステップS31からステップS42は、統合判断部(12)で行われる処理である。まず、ステップS31では、天候を表すパラメータwを初期化(w=0)する。ステップS31より続くステップS32では、天候SW群(11)のON−OFF状態を取得する。ステップS32より続くステップS33では、天候SW群(11)のSW4個のうち、複数のSWがONになっているかを条件に分岐判定を行う。複数のSWがONになっていると判定された場合にはステップS34へ進み、複数のSWがONになっていないと判定された場合にはステップS35へ進む。ステップS34では、パラメータwをw=5とし、ステップS43へ進む。ステップS35では、降雪SW(11b)がONになっているかどうかを条件に分岐判定を行う。降雪SW(11b)がONになっていると判定された場合にはステップS36へ進み、降雪SW(11b)がONになっていないと判定された場合にはステップS37へ進む。ステップS36では、パラメータwをw=1とし、ステップS43へ進む。ステップS37では、霧SW(11c)がONになっているかどうかを条件に分岐判定を行う。霧SW(11c)がONになっていると判定された場合にはステップS38へ進み、霧SW(11c)がONになっていないと判定された場合にはステップS39へ進む。ステップS38では、パラメータwをw=2とし、ステップS43へ進む。ステップS39では、豪雨SW(11d)がONになっているかどうかを条件に分岐判定を行う。豪雨SW(11d)がONになっていると判定された場合にはステップS40へ進み、豪雨SW(11d)がONになっていないと判定された場合にはステップS41へ進む。ステップS40では、パラメータwをw=3とし、ステップS43へ進む。ステップS41では、積雪SW(11a)がONになっているかどうかを条件に分岐判定を行う。積雪SW(11a)がONになっていると判定された場合にはステップS42へ進み、積雪SW(11a)がONになっていないと判定された場合にはステップS43へ進む。ステップS42では、パラメータwをw=4とし、ステップS43へ進む。
【0042】
ステップS43およびステップS44は、ブレーキ制御部(14)で行われる処理である。ステップS43では、車輪速センサ(13)より車輪速情報vを取得する。ステップS43より続くステップS44では、図4(a)に示すv−wマップを用いて、制御補正値aを決定する。なお、ブレーキ倍力装置(16)により掛けられるブレーキ与圧は、制御補正値aの値が小さいほど低くなり、大きいほど高くなる。例えば、最もブレーキアシストを必要とする積雪状態で、かつ、車速が早いとき、車両は危険な状態であるため、与圧を大きく発生させておく必要がある。このため、w=1、かつ、v=高速であるなら制御補正値aを6とする。また、複数のSWがONとなっている場合は、積雪かつ降雪状態など、車両は大変危険な状態であると考えられるため、制御補正値aは大きな値(5〜7)となる。なお、ここでのv−wマップは一例であり、SWの組み合わせごとに制御補正値aを追加するなどしても良い。
【0043】
ステップS44より続くステップS45は、ブレーキECU(15)で実行され、制御補正値aを用いてブレーキ与圧を制御する。
【0044】
さらに、ステップS45より続くステップS46は、ライト制御部(17)で実行され、図4(b)に示す表に基づいて、フォグライト(18)に点灯消灯指令を出力し、処理を終了する。
【0045】
図3の処理にて述べた通り、本支援システムは、ドライバが操作した天候SW群(11)のSW状態に基づき支援する内容を決定している。このため、突然の豪雨など緊急に支援が必要となる場合においても、ドライバは一つのスイッチを操作するだけで、複数の支援を受けることができ、走行の安全性を高めることができる。
【0046】
さらに、複数の天候SWがONとなった場合には、ドライバが、複数の天候状態が重なって非常に深刻な悪天候(例えば、降雪状態で、路面に積雪がある等)に戸惑っていると考えられる。そこで、支援の度合い(例えば、ブレーキ与圧を非常に高くする)を大きくすることでも、走行の安全性を高めることができる。
【0047】
〔実施例2〕
図5および図6を用いて実施例2について説明する。この実施例2における前述の実施例1との構成上の相違点は、以下の2点である。1点目は、本実施例は、統合判断部(12)が支援指令を決定する際に、外部天候情報受信手段(51)が受信した天候情報を用いる点である。2点目は、ドライバがナビゲーションシステム(50)により支援を受ける点である。なお、実施例1と同等の構成については、実施例1と同様の符号を付し、本実施例2における説明を省略する。
【0048】
図5は、ナビゲーションシステム(50)を用いた走行支援システム(10)の一例を示すブロック図である。なお、ナビゲーションシステム(50)は、ナビECU(52)、GPS受信機(53)、モニタ(54)、スピーカ(55)とからなる。そして、ナビゲーションシステム(50)は、統合判断部(12)が出力した支援指令に基づき支援を行う。
【0049】
外部天候情報受信手段(51)は、路車間通信により、車両外部の天候計測基地局が計測した天候情報を受信するものである。天候情報は、所定のエリア別に作成され、通常状態・積雪状態・降雪状態・霧状態・豪雨状態の各5状態のいずれかのである。
【0050】
ナビECU(52)は、GPS受信機(53)や図示しないジャイロセンサ等の情報を元に、自車両の位置や周辺地図などをモニタ(54)上に描画するとともに、スピーカ(55)より音声を出力して交差点やカーブの情報をドライバに報知する。
【0051】
図6のフローチャートを用いて、統合判断部(12)およびナビECU(52)の処理の流れを説明する。ステップS61では、天候SW群(11)の各SWの状態を取得する。ステップS61より続くステップS62では、外部天候情報受信手段(51)より外部天候情報を取得する。ステップS62より続くステップS63では、GPS受信機(53)や図示しないジャイロセンサより得た情報に基づき、車両の自己位置を推定する。ステップS63より続くステップS64では、前段のステップS63にて得た自己位置推定結果に基づき、自車両と周囲の地図を描画する。
【0052】
ステップS64より続くステップS65において、積雪SW(11a)=ONであるとき、ステップS66へ進み、積雪SW(11a)=ONでないときは、ステップS67へ進む。ステップS66では、緩やかなカーブも含め直近の全カーブの情報をモニタ(54)およびスピーカ(55)音声にてドライバに報知する。ステップS67で、外部天候情報=積雪と判定された場合はステップS68へ進み、外部天候情報=積雪でない場合はステップS69へ進む。一方、ステップS68では、直近の急カーブの情報をモニタ(54)およびスピーカ(55)音声にてドライバに報知する。
【0053】
ステップS66とステップS68の処理が異なる点について詳細に説明する。ステップS66の処理が行われるのは、積雪SW(11a)=ONの時である。この状態は、ドライバ自身が積雪SW(11a)をONにしていることから、ドライバは直ちに積雪路面に対する支援を欲している。そのため、緩やかなカーブを含む全カーブの情報を報知する必要がある。一方、ステップS68の処理は、積雪SW(11a)がOFFであり、外部天候情報が積雪状態である場合に行われる。この場合、ドライバは積雪状態に対する支援を欲していないと考えられるが、外部天候情報が積雪であることから、念のために危険度の高い急カーブのみを報知する必要がある。
【0054】
ステップS69以降の処理について述べる。ステップS66またはステップS67またはステップS68より続くステップS69において、降雪SW(11b)=ONであるとき、ステップS70へ進み、積雪SW(11a)=ONでないときは、ステップS71へ進む。ステップS70では、直近のチェーン取り付け場所までの距離やルートをモニタ(54)およびスピーカ(55)音声にて報知する。ステップS71で、外部天候情報=降雪と判定された場合はステップS72へ進み、外部天候情報=降雪でない場合はステップS73へ進む。一方、ステップS72では、空いているチェーン取り付け場所までの距離やルートをモニタ(54)およびスピーカ(55)音声にて報知する。
【0055】
ステップS70とステップS72の処理が異なる点について詳細に説明する。ステップS70の処理が行われるのは、降雪SW(11b)=ONの時である。この状態は、ドライバ自身が降雪SW(11b)をONにしていることから、ドライバは直ちに降雪環境に対する支援を欲している。そのため、早急に降雪に対する備えを行うことができる場所、すなわち最も近いチェーン取り付け場所の情報を報知する必要がある。一方、ステップS72の処理は、降雪SW(11b)がOFFであり、外部天候情報が降雪状態である場合に行われる。この場合、ドライバは降雪環境に対する支援を欲していないと考えられるが、外部天候情報が降雪であることから、最も近いチェーン取り付け場所を教えるのではなく、念のために安全にチェーン取り付け作業が可能な空いているチェーン取り付け場所を報知する。
【0056】
ステップS73以降の処理について述べる。ステップS70またはステップS71またはステップS72より続くステップS73において、霧SW(11c)=ONであるとき、ステップS74へ進み、霧SW(11c)=ONでないときは、ステップS75へ進む。ステップS74では、ドライバに対して、交差点への接近と、走行道路の制限速度とをモニタ(54)およびスピーカ(55)音声にて報知する。ステップS75で、外部天候情報=霧と判定された場合はステップS76へ進み、外部天候情報=霧でない場合はステップS77へ進む。ステップS76では、交差点への接近のみをモニタ(54)およびスピーカ(55)音声にて報知する。
【0057】
ステップS74とステップS76の処理が異なる点について詳細に説明する。ステップS74の処理が行われるのは、霧SW(11c)=ONの時である。この状態は、ドライバ自身が霧SW(11c)をONにしていることから、ドライバは直ちに霧環境に対する支援を欲している。このことから、ドライバの視界は霧により大きく遮られていることが予想され、ドライバは、交差点だけでなく、走行道路の制限速度を記した標識も見えていない可能性が高い。このため、交差点への接近、および走行道路の制限速度をモニタ(54)およびスピーカ(55)音声にて報知する。一方、ステップS76の処理は、霧SW(11c)がOFFであり、外部天候情報が霧状態である場合に行われる。この場合、ドライバは霧環境に対する支援を欲していないと考えられるが、外部天候情報が霧であることから、念のために交差点への接近のみを報知する。
【0058】
ステップS77以降の処理について述べる。ステップS74またはステップS75またはステップS76より続くステップS77において、豪雨SW(11d)=ONであるとき、ステップS78へ進み、豪雨SW(11d)=ONでないときは、ステップS79へ進む。ステップS78では、ドライバに対して、緩やかなカーブも含め直近の全カーブの情報をモニタ(54)およびスピーカ(55)音声にてドライバに報知するとともに、モニタ(54)の輝度を低くする。ステップS79で、外部天候情報=豪雨と判定された場合はステップS80へ進み、外部天候情報=豪雨でない場合は処理を終了する。ステップS80では、直近の急カーブの情報をモニタ(54)およびスピーカ(55)音声にてドライバに報知する。
【0059】
ステップS78とステップS80の処理が異なる点について詳細に説明する。ステップS78の処理が行われるのは、豪雨SW(11d)=ONの時である。この状態は、ドライバ自身が豪雨SW(11d)をONにしていることから、ドライバは直ちに豪雨に対する支援を欲している。このことから、ドライバに対して、緩やかなカーブを含む全カーブの情報を報知する必要がある。また、ドライバが豪雨SW(11d)をONにしていることから豪雨が降っていることが確実であり、昼間であっても車外、車内は暗いと予想される。このため、モニタ(54)画面の輝度を低くすることで、ドライバを含む乗員の目の疲労を低減することができる。一方、ステップS80の処理は、豪雨SW(11d)がOFFであり、外部天候情報が豪雨である場合に行われる。この場合、ドライバは豪雨に対する支援を欲していないと考えられるが、念のため危険度の高い急カーブのみを報知する。
【0060】
前述の図6の処理に示すように、本走行支援システム(10)は、ドライバが天候SW群(11)のいずれかをONにしている場合に、入力された天候状態に対応した支援を直ちに実行する構成である。これにより、実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
【0061】
さらに、ドライバにより操作される天候SW群(11)と、外部天候情報とを併用することで、ドライバが支援を必要としていないときには、ドライバの運転を邪魔しない程度に支援を実施することができ、実施例1の構成に比べ親和性を高めることができる。
【0062】
また、一般に、天候情報は所定エリア全域の天候を一意的に表しているため、必ずしもドライバの周囲の天候を表しているとは限らない。そこで、天候SW群(11)と外部天候情報とを併用すれば、車両近辺の天候は天候SW群(11)のSW状態から判定し、車両から離れた領域の天候は外部天候情報から判定することができ、天候の判定精度を上げることも可能である。
【0063】
〔実施例3〕
図7から図9を用いて実施例3について説明する。この実施例3における前述の各実施例との構成上の第一の相違点は、本実施例では統合判断部(12)に、積雪SW(11a)と降雪SW(11b)とを統合した雪SW(11e)の出力と、霧SW(11c)と豪雨SW(11d)とを統合した霧+豪雨SW(11f)の出力とが入力される点である。また、第二の相違点は、統合判断部(12)の出力が、サスペンション制御部(71)と、ライト制御部(17)と、ワイパ制御部(72)と、パワステ制御部(73)とに入力される点である。なお、前述の実施例と同等の構成については、各実施例と同様の符号を付し、本実施例3における説明を省略する。
【0064】
図7は、走行支援システム(10)の構成を示すブロック図である。
【0065】
実施例1の各天候SW(11a〜d)に雪SW(11e)と霧+豪雨SW(11f)とを加えた天候SW群(11)は、ドライバにより操作され、その出力は統合判断部(12)に入力される。そして、統合判断部(12)は、図9のフローチャートにて後述する処理を行って、支援指令を出力する。
【0066】
サスペンション制御部(71)は、統合判断部(12)により出力された支援指令に基づき、サシペンションの減衰力を調整する。例えば、路面の摩擦力が低い状態(積雪、雨など)においては、減衰力を高める。
【0067】
ライト制御部(17)は、統合判断部(12)により出力された支援指令に基づき、フォグライト(18)を点灯・消灯する。詳細には、統合判断部(12)が、霧が発生していると判断した場合にはフォグライト(18)を点灯し、霧以外の天候であると判断した場合にはフォグライト(18)を消灯する。
【0068】
ワイパ制御部(72)は、統合判断部(12)により出力された支援指令が、豪雨または降雪の場合に、ワイパを動作させる。
【0069】
パワステ制御部(73)は、統合判断部(12)により出力された支援指令に基づき、アシストトルクを調整する。具体的には、統合判断部(12)が積雪状態と判断したときに、アシストトルクを減らす。
【0070】
図8はメータ(21)およびインパネ周辺の構造を表す。メータ(21)には、サスペンション制御部(71)がサスペンションの減衰力を調整している場合に点灯するサスペンション制御状態表示灯(21b)と、ライト制御部(17)がフォグライト(18)を点灯している場合に点灯するフォグライト表示灯(21c)と、パワステ制御部(73)がアシストトルクを減らしている場合に点灯するパワステ制御状態表示灯(21d)とが図2の状態より追加される。また、雪SW(11e)と霧+豪雨SW(11f)とは、ステアリングコラム周辺に配置される。
【0071】
図9のフローチャートを用いて、統合判断部(12)および、サスペンション制御部(71)と、ライト制御部(17)と、ワイパ制御部(72)と、パワステ制御部(73)とにおいて実行される処理について説明する。
【0072】
ステップS91では、雪SW(11e)と霧+豪雨SW(11f)とを含む天候SW群(11)のON−OFF状態を取得する。
【0073】
ステップS91より続くステップS92では、雪SW(11e)のON−OFF状態を条件に、分岐判定を行う。雪SW(11e)がONであると判定されたならステップS93へ進み、OFFであると判定されたならステップS96へ進む。ステップS93では、支援指令をサスペンション制御部(71)へ送りサスペンションの減衰力を高める。ステップS93より続くステップS94では、支援指令をパワステ制御部(73)へ送りパワステのアシストトルクを減らす。ステップS94より続くステップS95では、支援指令をワイパ制御部(72)へ送りワイパを動作させる。
【0074】
ステップS92またはステップS94より続くステップS96では、霧+豪雨SW(11f)のON−OFF状態を条件に、分岐判定を行う。霧+豪雨SW(11f)がONであると判定されたならステップS97へ進み、OFFであると判定されたならステップS100へ進む。ステップS97では、支援指令をライト制御部(17)へ送りフォグライト(18)を点灯させる。ステップS97より続くステップS98では、支援指令をサスペンション制御部(71)へ送りサスペンションの減衰力を高める。ステップS98より続くステップS99では、支援指令をワイパ制御部(72)へ送りワイパを動作させる。
【0075】
ステップS96またはステップS99より続くステップS100では、雪SW(11e)のON−OFF状態を条件に、分岐判定を行う。雪SW(11e)がONであると判定されたならステップS106へ進み、OFFであると判定されたならステップS101へ進む。ステップ101では、積雪SW(11a)のON−OFF状態を条件に、分岐判定を行う。積雪SW(11a)がONであると判定されたならステップS102へ進み、OFFであると判定されたならステップS104へ進む。ステップS102では、支援指令をサスペンション制御部(71)へ送りサスペンションの減衰力を高める。ステップS102より続くステップS103では、支援指令をパワステ制御部(73)へ送りパワステのアシストトルクを減らす。
【0076】
ステップ104では、降雪SW(11b)のON−OFF状態を条件に、分岐判定を行う。降雪SW(11b)がONであると判定されたならステップS105へ進み、OFFであると判定されたならステップS106へ進む。ステップS105では、支援指令をワイパ制御部(72)へ送りワイパを動作させる。
【0077】
ステップS100またはステップS104またはステップS105より続くステップS106では、霧+豪雨SW(11f)のON−OFF状態を条件に、分岐判定を行う。霧+豪雨SW(11f)がONであると判定されたなら処理を終了し、OFFであると判定されたならステップS107へ進む。ステップ107では、霧SW(11c)のON−OFF状態を条件に、分岐判定を行う。霧SW(11c)がONであると判定されたならステップS108へ進み、OFFであると判定されたならステップS109へ進む。ステップS108では、支援指令をライト制御部(17)へ送りフォグライト(18)を点灯させる。
【0078】
ステップS107またはステップS108より続くステップ109では、豪雨SW(11d)のON−OFF状態を条件に、分岐判定を行う。豪雨SW(11d)がONであると判定されたならステップS110へ進み、OFFであると判定されたなら処理を終了する。ステップS110では、支援指令をサスペンション制御部(71)へ送りサスペンションの減衰力を高める。ステップS110より続くステップS111では、支援指令をワイパ制御部(72)へ送りワイパを動作させた後、処理を終了する。
【0079】
各ステップの効果について述べる。ステップS92からステップS95の処理は、雪SW(11e)がONになっている場合に実行されるが、この処理によりなされる支援内容は、積雪SW(11a)と降雪SW(11b)とが同時にONになっている場合の支援内容と等しい。同様に、ステップS96からステップS99の処理は、霧+豪雨SW(11f)がONになっている場合に実行されるが、この処理によりなされる支援内容は、霧SW(11c)と豪雨SW(11d)とが同時にONになっている場合の支援内容と等しい。
【0080】
このように、各天候SW(11a〜d)をまとめて入力可能なSW、例えば積雪SW(11a)と降雪SW(11b)をまとめた雪SW(11e)、を設けることで、ドライバは各天候SW(11a〜d)を個別に操作することなく、支援を受けることができる。
【0081】
また、実施例1と同様に、各天候SW(11a〜d)を個別に操作することも可能であるため、実施例1と同様の効果を得ることもできる。
【0082】
なお、本実施例では、雪SW(11e)のように、各天候SW(11a〜d)をまとめて入力可能なSWがONになっている場合になされる支援は、各天候SW(11a〜d)を組み合わせた時になされる支援と同一である。しかし、各天候SW(11a〜d)をまとめて入力可能なSWがONになっている場合になされる支援と、各天候SW(11a〜d)を組み合わせた時になされる支援とは同一でなくても良い。例えば、積雪SW(11a)がONである場合にはパワステのアシストトルクを支援し、降雪SW(11b)がONである場合にはワイパ動作を支援するとする。一方、積雪SW(11a)と降雪SW(11b)をまとめた雪SW(11e)は、ドライバが緊急に支援が必要なときにONにされる可能性が高い。そこで、雪SW(11e)がONとなっている場合には、アシストトルクおよびワイパの支援に加え、ブレーキ与圧を高める支援を行えば、より安全な走行が可能である。
【0083】
〔実施例4〕
図10から図12を用いて実施例4について説明する。この実施例4における前述の実施例3との構成上の第一の相違点は、本実施例では統合判断部(12)に天候検出センサ(101)の出力と、悪天候SW(11g)の出力とが入力される点である。また、第二の相違点は、統合判断部(12)の出力が入力されるブレーキ制御部(14)が追加された点である。なお、前述の実施例と同等の構成については、各実施例と同様の符号を付し、本実施例4における説明を省略する。
【0084】
図10は、走行支援システム(10)の構成を示すブロック図である。天候検出センサ(101)は、車載用カメラによって撮影した画像を画像処理することで天候を検出し天候情報として出力するセンサである。この天候情報は、“積雪”、“降雪”、“霧”、“豪雨”、“いずれでもない”の5状態のうち、少なくとも1状態を含む。“積雪”、“降雪”、“霧”、“豪雨”の4種類については、複数の状態が天候情報に同時に含まれる場合もある。例えば、路面に雪が積もっており、かつ、雪が降っている場合は、天候情報は“積雪”と“降雪”の両方を含む。ただし、天候情報に“いずれでもない”状態と、“積雪”などの4状態とが同時に含まれることは無い。
【0085】
悪天候SW(11g)と実施例3の各天候SW(11a〜f)とからなる天候SW群(11)は、ドライバにより操作され、天候SW群(11)の出力は、統合判断部(12)に入力される。そして、統合判断部(12)は、図12のフローチャートにて後述する処理を行って、ブレーキ制御部(14)をはじめとする各制御部へ支援指令を出力する。そして、この支援指令に基づき、サスペンション制御部(71)はサスペンションの減衰力を調整し、ライト制御部(17)はフォグライト(18)を点灯・消灯し、ワイパ制御部(72)はワイパを動作させ、パワステ制御部(73)はアシストトルクを調整し、ブレーキ制御部(14)はブレーキ与圧を制御する。
【0086】
図11はメータ(21)およびインパネ周辺の構造を表す。図8の構成に対して、メータ(21)には、ブレーキ制御部(14)がブレーキ与圧を高めている場合に点灯するブレーキ与圧表示灯(21e)が追加され、インパネには悪天候SW(11g)が追加される。
【0087】
図12のフローチャートおよび図9のフローチャートの一部を用いて、悪天候SW(11g)がONとなった場合の統合判断部(12)および各制御部にて実行される処理について説明する。なお、図12のフローチャートの処理は、図9のフローチャートにおけるステップS91とステップS92との間に挿入される。
【0088】
図9のステップS91では、悪天候SW(11g)も含めた全SWの状態を取得する。ステップS91より続く図12のステップS121では、悪天候SW(11g)の状態を条件に分岐判定を行う。悪天候SW(11g)がONであると判定されたならステップS122へ進み、OFFであると判定されたなら図9のステップS92へ進む。ステップS92以降の処理は、実施例3で前述した通りである。
【0089】
ステップS122では、天候検出センサ(101)より天候情報を取得する。ステップS122より続くステップS123では、天候情報に“積雪”が含まれているかどうかを条件に分岐判定を行う。天候情報に“積雪”が含まれているならステップS124へ進み、含まれていないならステップS126へ進む。ステップS124では、支援指令をサスペンション制御部(71)へ送りサスペンションの減衰力を高める。ステップS124より続くステップS125では、支援指令をパワステ制御部(73)へ送りパワステのアシストトルクを減らす。
【0090】
ステップS123またはステップS125より続くステップS126では、天候情報に“降雪”が含まれているかどうかを条件に分岐判定を行う。天候情報に“降雪”が含まれているならステップS127へ進み、含まれていないならステップS128へ進む。ステップS127では、支援指令をワイパ制御部(72)へ送りワイパを動作させる。
【0091】
ステップS126またはステップS127より続くステップS128では、天候情報に“霧”が含まれているかどうかを条件に分岐判定を行う。天候情報に“霧”が含まれているならステップS129へ進み、含まれていないならステップS131へ進む。ステップS129では、支援指令をライト制御部(17)へ送りフォグライト(18)を点灯させる。ステップS129より続くステップS130では、支援指令をブレーキ制御部(14)へ送りブレーキ与圧を上げる。
【0092】
ステップS128またはステップS130より続くステップS131では、天候情報に“豪雨”が含まれているかどうかを条件に分岐判定を行う。天候情報に“豪雨”が含まれているならステップS132へ進み、含まれていないなら図9のステップS92へ進む。ステップS132では、支援指令をサスペンション制御部(71)へ送りサスペンションの減衰力を高める。ステップS132より続くステップS133では、支援指令をワイパ制御部(72)へ送りワイパを動作させ、図9のステップS92へ進む。
【0093】
このように、悪天候SW(11g)と天候検出センサ(101)とを備え、図12および図9に示した処理を実行することで、ドライバは、各天候SW(11a〜f)を個別に操作することなく、支援を受けることができる。特に、急激に天候が変化した場合や、天候の判断が難しい場合などは、ドライバが各天候SW(11a〜f)のどのSWをONにすれば良いか悩む必要無く支援を受けることができ、走行の安全性を高めることができる。
【0094】
〔実施例5〕
図13および図14を用いて実施例5について説明する。なお、前述の実施例と同等の構成については、各実施例と同様の符号を付し、本実施例5における説明を省略する。
【0095】
図13は、走行支援システム(10)の構成を示すブロック図である。本システムは、天候SWとして積雪SW(11a)および豪雨SW(11d)を備えるとともに悪天候SW(11g)を備える。積雪SW(11a)および豪雨SW(11d)および悪天候SW(11g)のSW状態は、統合判断部(12)に入力される。また、実施例2にて用いた外部天候情報受信手段(51)により受信された天候状態も、統合判断部(12)に入力される。統合判断部(12)より出力された支援指令は、実施例2と同様にナビゲーションシステム(50)に入力される。
【0096】
図14のフローチャートを用いて、統合判断部(12)にて行われる処理について述べる。まず、ステップS141にて、積雪SW(11a)および豪雨SW(11d)および悪天候SW(11g)のSW状態を取得する。ステップS141より続くステップS142では、悪天候SW(11g)がONになっているかを条件に分岐判定を行う。悪天候SW(11g)がONと判定されたなら、ステップS143へ進み、悪天候SW(11g)がONでないと判定されたなら、ステップS144へ進む。ステップS143では、外部天候情報受信手段(51)が受信した天候情報を取得する。ステップS143より続くステップS145では、外部天候情報が積雪であるかどうかを条件に分岐判定を行う。外部天候情報が積雪であると判定されたならステップS146へ進み、外部天候情報が積雪でないと判定されたならステップS147へ進む。ステップS146では、モニタ(54)やスピーカ(55)を用いて全カーブの報知を行う。
【0097】
ステップS145またはステップS146より続くステップS147では、外部天候情報が豪雨であるかどうかを条件に分岐判定を行う。外部天候情報が豪雨であると判定されたならステップS148へ進み、外部天候情報が豪雨でないと判定されたなら処理を終了する。ステップS148ではモニタ(54)の輝度を下げ、処理を終了する。
【0098】
ステップS142の分岐より続くステップS144では、積雪SW(11a)がONであるかどうかを条件に分岐判定を行う。積雪SW(11a)がONであると判定されたならステップS149へ進み、積雪SW(11a)がONでないと判定されたならステップS150へ進む。ステップS149では、モニタ(54)やスピーカ(55)を用いて全カーブの報知を行う。
【0099】
ステップS144またはステップS149より続くステップS150では、豪雨SW(11d)がONであるかどうかを条件に分岐判定を行う。豪雨SW(11d)がONであると判定されたならステップS151へ進み、豪雨SW(11d)がONでないと判定されたなら処理を終了する。ステップS151ではモニタ(54)の輝度を下げ、処理を終了する。
【0100】
このような構成とすることで、ドライバは積雪SW(11a)または豪雨SW(11d)を操作し天候状態を入力するか、悪天候SW(11g)を押すかの2通りの方法で、天候状態に則した支援を受けることができる。積雪SW(11a)または豪雨SW(11d)を操作する方法の場合、ドライバが、周囲の天候状態を判断し、自身が支援を必要とする天候状態を選択するため、天候状態の信頼度が高い。さらに、統合判断部(12)はこの天候状態に基づき支援指令を決定するため、決定した支援指令がドライバの必要としている支援と一致する可能性も高い。
【0101】
一方、悪天候SW(11g)を操作する方法の場合、ドライバは悪天候SW(11g)を操作するのみで、支援を受けることができるため、どの天候状態を選べば良いか分からない場合や、複数の天候状態の中から現在の天候状態を選択することが面倒な場合などにも、悪天候SW(11g)を操作するのみの簡単な操作で支援を受けることができる。
【0102】
〔その他の実施例〕
前述の実施例1〜4では、天候SWを、積雪SW(11a)、降雪SW(11b)、霧SW(11c)、豪雨SW(11d)として説明をしたが、これらSW4種類の全てが揃っていなくとも良いし、他の名前のSWを用いても良い。例えば、雨状態を、雨SWと豪雨SW(11d)とに分けた場合、雨SWの場合にはワイパのみを自動制御、豪雨SW(11d)の場合にはワイパの自動制御に加えてサスペンションの減衰比を高めるなどすることが可能である。
【0103】
前述の各実施例では、天候SWの状態は、ON−OFFの二値であるとしたが、状態は二値以上であっても良い。例えば、雨SWとは別に、強、中、弱、無の4段階のSWを設けて、雨SWおよび強SWが押されているときにはワイパの自動制御とサスペンションの減衰比を高め、雨SWおよび弱SWが押されているときにはワイパの自動制御のみを実行するような構成としても良い。
【0104】
前述の各実施例では、ナビゲーションによる報知、サスペンション(ダンパー)の減衰比、フォグライト(18)の点灯消灯、ワイパの作動、パワステのアシストトルク、ブレーキ与圧を例とし、これらを天候にあわせて調整することで、ドライバへの走行支援を行っていた。しかし、走行支援の内容はこれらに限定されない。例えば、ステアリングのギアレシオが可変である操舵機構において、路面の摩擦力が少ないときにはギアレシオを大きく(マイルドな操舵が可能)して、ドライバの急なステアリング操作によるスピンを防止することができる。また、ナビゲーションによる報知も、天候状態にあわせて、モニタ(54)へ描画する地図や道路を変更(例えば、降雪状態のときには地図上に粉雪を描画)するなどできる。
【0105】
前述の各実施例では、走行支援システム(10)は複数の天候SWを備える構成であったが、天候SWは必ずしも複数備えられていなくても良い。例えば、実施例1の構成で、天候SWとして霧SW(11c)のみが備えられている場合、霧SW(11c)がONであるならフォグライト(18)を点灯するとともにブレーキ与圧を高め、霧SW(11c)がOFFであるならフォグライト(18)を消灯するとともにブレーキ与圧を通常時の圧力とすることで、ドライバに対する走行支援が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】実施例1において用いられる走行支援システム(10)のブロック図である。
【図2】実施例1において用いられる天候SW群(11)およびメータ(21)を表す図である。
【図3】実施例1において用いられる統合判断部(12)およびブレーキ制御部(14)およびブレーキECU(15)の内部処理を表すフローチャートである。
【図4】実施例1において用いられる速度v、天候状態wによって制御補正値aを決定する制御マップである。
【図5】実施例2において用いられる走行支援システム(10)のブロック図である。
【図6】実施例2において用いられる統合判断部(12)およびナビECU(52)の内部処理を表すフローチャートである。
【図7】実施例3において用いられる走行支援システム(10)のブロック図である。
【図8】実施例3において用いられる全天候SWと天候SW群(11)とメータ(21)とを表す図である。
【図9】実施例3において用いられる統合判断部(12)および各支援装置の制御部の内部処理を表すフローチャートである。
【図10】実施例4において用いられる走行支援システム(10)のブロック図である。
【図11】実施例4において用いられるメータ(21)とインパネの様子を表す図である。
【図12】実施例4において用いられる統合判断部(12)および各支援装置の制御部の内部処理を表すフローチャートである。
【図13】実施例5において用いられる走行支援システム(10)のブロック図である。
【図14】実施例5において用いられる統合判断部(12)および各支援装置の制御部の内部処理を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0107】
10 走行支援システム
11 天候SW群
11a 積雪SW
11b 降雪SW
11c 霧SW
11d 豪雨SW
11e 雪SW
11f 霧+豪雨SW
11g 悪天候SW
12 統合判断部
13 車輪速センサ
14 ブレーキ制御部
15 ブレーキECU
16 ブレーキ倍力装置
17 ライト制御部
18 フォグライト
21 メータ
21a SW状態表示灯
21b サスペンション制御状態表示灯
21c フォグライト表示灯
21d パワステ制御状態表示灯
21e ブレーキ与圧表示灯
50 ナビゲーションシステム
51 外部天候情報受信手段
52 ナビECU
53 GPS受信機
54 モニタ
55 スピーカ
71 サスペンション制御部
72 ワイパ制御部
73 パワステ制御部
101 天候検出センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行を複数の支援手段により支援するものであって、
乗員により天候状態が入力される天候状態入力手段を備え、
前記天候状態入力手段への入力結果に基づき前記複数の支援手段が支援を同時期に実施することを特徴とする走行支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の走行支援システムはさらに、
天候状態を検出する天候状態検出センサと、
前記天候状態入力手段への入力結果、もしくは前記天候状態検出センサの出力結果のいずれかに基づき支援モードを決定するモード決定手段と、
前記乗員により入力操作される悪天候モード入力手段と、を備え、
前記悪天候モード入力手段への入力の存在時には前記モード決定手段は前記天候状態検出センサの出力に基づきモードの決定を行い、前記悪天候モード入力手段への非入力状態では、前記天候状態入力手段の入力結果に基づきモードの決定を行うことを特徴とする走行支援システム。
【請求項3】
請求項1に記載の走行支援システムはさらに、
前記車両外部より送信された天候状態を受信する天候状態受信手段と、
前記天候状態入力手段への入力結果、もしくは前記天候状態受信手段の出力結果のいずれかに基づき支援モードを決定するモード決定手段と、
前記乗員により入力操作される悪天候モード入力手段と、を備え、
前記悪天候モード入力手段への入力の存在時には前記モード決定手段は前記天候状態受信手段の出力に基づきモードの決定を行い、前記悪天候モード入力手段への非入力状態では、前記天候状態入力手段の入力結果に基づきモードの決定を行うことを特徴とする走行支援システム。
【請求項4】
車両の走行を支援手段により支援するものであって、
乗員により天候状態が入力される複数の天候状態入力手段と、
天候状態を検出する天候状態検出センサと、
前記天候状態入力手段への入力結果、もしくは前記天候状態検出センサの出力結果のいずれかに基づき支援モードを決定するモード決定手段と、
前記乗員により入力操作される悪天候モード入力手段と、を備え、
前記モード決定手段は、前記悪天候モード入力手段への入力の存在時には前記天候状態検出センサの出力に基づき支援モードの決定を行い、前記悪天候モード入力手段への非入力状態では、前記天候状態入力手段の入力結果に基づき支援モードの決定を行い、
前記支援モードに基づき前記支援手段が支援を実施することを特徴とする走行支援システム。
【請求項5】
車両の走行を支援手段により支援するものであって、
乗員により天候状態が入力される複数の天候状態入力手段と、
前記車両外部より送信された天候状態を受信する天候状態受信手段と、
前記天候状態入力手段への入力結果、もしくは前記天候状態受信手段の受信した天候状態のいずれかに基づき支援モードを決定するモード決定手段と、
前記乗員により入力操作される悪天候モード入力手段と、を備え、
前記モード決定手段は、前記悪天候モード入力手段への入力の存在時には前記天候状態受信手段の受信した天候状態に基づき支援モードの決定を行い、前記悪天候モード入力手段への非入力状態では、前記天候状態入力手段の入力結果に基づき支援モードの決定を行い、
前記支援モードに基づき前記支援手段が支援を実施することを特徴とする走行支援システム。
【請求項6】
前記複数の支援手段の一つは、ドライバの運転操作に関する操作支援を実施するものであり、
前記複数の支援手段の一つは、前記乗員の環境認知に関する認知支援を実施するものであることを特徴とする請求項1〜3に記載の走行支援システム。
【請求項7】
前記支援手段の一方は、ライトを点灯消灯するライト点灯消灯支援、またはおよび、ワイパの作動を支援するワイパ作動支援、またはおよび、前記車両の周辺環境を乗員に報知する報知支援を実施可能であるとともに、
前記支援手段の他方は、操舵トルクを支援する操舵支援、またはおよび、前記車両の走行安定性を向上する足回り支援、またはおよび、ブレーキの倍力を変化させるブレーキ支援を実施可能であることを特徴とする請求項1〜3または請求項6に記載の走行支援システム。
【請求項8】
前記モード決定手段は、前記天候状態受信手段により受信された天候状態と、前記乗員により入力された天候状態とが異なる場合に、
前記支援手段のうち、前記車両の近距離領域に関する支援を実施可能な支援手段は、前記乗員により入力された天候状態に基づいて支援を実施することを特徴とする請求項3または請求項5に記載の走行支援システム。
【請求項9】
前記モード決定手段は、前記天候状態受信手段により受信された天候状態と、前記乗員により入力された天候状態とが異なる場合に、
前記支援手段のうち、前記車両の遠距離領域に関する支援を実施可能な支援手段は、前記天候状態受信手段により受信された天候状態に基づいて支援を実施することを特徴とする請求項3または請求項5に記載の走行支援システム。
【請求項10】
前記天候状態は、積雪、またはおよび、降雪、またはおよび、霧、またはおよび、豪雨であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の走行支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−125922(P2007−125922A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−318268(P2005−318268)
【出願日】平成17年11月1日(2005.11.1)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】