説明

車両制御装置、車両制御プログラム、および車両制御方法

【課題】車両の運動状態を制御する車両制御装置において、より車両の安定性を向上させることができるようにする。
【解決手段】車両制御システムにおいては、外部力推定部40としての機能を利用して、当該車両の走行に伴って外部から受ける力を表す路面反力、路面の摩擦抵抗、車輪荷重、上下方向反力等の外部力を推定し、タイヤモデル制御部51、サスアームモデル制御部52、スプリング&ダンパモデル制御部53としての機能を利用して、駆動トルク、操舵力、ブレーキ油圧、および外部力に基づいて、制御対象部の運動状態を示す速度や加速度等のパラメータを推定する。そして、各モデル制御部51〜53としての機能を利用して、パラメータが予め設定された目標範囲内になるように、駆動トルク、操舵力、ブレーキ油圧等を補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運動状態を制御する車両制御装置、車両制御プログラム、および車両制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両において、車両の運動状態を制御する複数の系統(エンジン制御系、ドライブトレイン系、制動系、操舵系、サスペンション系等)の動的モデルを利用して系統毎に制御量を調整することで、車両の安定性を向上させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−208136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ある系統に対して制御を実施する場合には、他の系統に意図しない力が加わり、他の系統の制御に影響を与えることがある。例えば、駆動力により車両の前後方向の力(駆動力)を制御しようとすると、同時に発生するタイヤの横方向の反力がホイール、ハブキャリア、サスペンションアーム、シャーシ等を介して操舵系のラック&ピニオンに伝播し、操舵系の制御における動特性に影響に及ぼす虞がある。また反対に、操舵力を制御しようとすると駆動系の制御における動特性に影響を及ぼす虞がある。
【0005】
しかしながら、上記技術では、ある系統に対して制御を実施する際に他の系統に力が加わるということが考慮されていないので、他の系統に加わる力の加減によっては車両の安定性を向上させることができない虞がある。
【0006】
そこで、このような問題点を鑑み、車両の運動状態を制御する車両制御装置において、より車両の安定性を向上させることができるようにすることを本発明の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために成された第1の構成の車両制御装置において、第1制御力推定手段は、ある制御対象部の運動状態を制御する第1制御部によって制御対象部に対して加えられる力を表す第1制御力を第1制御部からの出力に基づいて推定する。そして、第2制御力推定手段は、制御対象部の運動状態に影響を与えうる部位の運動状態を制御する第2制御部によって制御対象部に対して加えられる力を表す第2制御力を第2制御部からの出力に基づいて推定する。また、外部力推定手段は、当該車両の走行に伴って外部から受ける力を表す外部力を推定し、運動状態推定手段は、第1制御力、第2制御力、および外部力に基づいて、制御対象部に予め定義した座標軸上の各軸方向の並進運動および各軸まわりの回転運動などの運動状態を示すパラメータを推定する。そして、出力補正手段は、パラメータが予め設定された目標範囲内になるように、第1制御部の出力および第2制御部の出力のうちの少なくとも一方を補正する。
【0008】
このような車両制御装置によれば、制御対象部を制御する第1制御部による力だけでなく、他の部位を制御する第2制御部による力も考慮して、制御対象部の運動状態を推定することができる。この構成では、より正確に制御対象部の運動状態を推定することができるので、推定した運動状態が目標範囲内になるようにすることで、車両に発生する振動等の運動を抑制することができ、車両の安定性や応答性を向上させることができる。
【0009】
なお、運動状態を示すパラメータとしては、制御対象部の定義した座標上での各軸方向変位や速度、加速度、各軸まわりの回転角変位や速度、角加速度などの物理量、またはこれらの任意の組み合わせからなる制御指標などが該当する。
【0010】
上記車両制御装置の具体的適用例としては、第2構成のように、各推定手段は、当該車両における駆動機構および操舵伝達機構を介して駆動される部位を表すバネ下機構に加わる各力についての推定を行うものとし、該バネ下機構を制御対象部として推定した運動状態が目標範囲内になるように制御する車両制御装置が該当する。
【0011】
このような車両制御装置によれば、バネ下機構の運動状態が目標範囲内になるようにすることができる。
さらに、上記車両制御装置においては、第3の構成のように、第1制御力推定手段は、車輪を駆動させる際の駆動トルク、車輪を制動する際の制動力、および操舵輪の操舵力、のうちの何れかを推定し、第2制御力推定手段は、駆動トルク、制動力、および操舵力のうちの第1制御力推定手段が推定する力以外の力を推定するようにしてもよい。
【0012】
このような車両制御装置によれば、駆動トルク、制動力、および操舵力のうちの複数の力が制御対象部に加わった際に、これらの力を最適に制御することができる。
また、上記車両制御装置においては、第4の構成のように、外部力推定手段は、路面から車輪に加わる路面反力の大きさを推定するようにしてもよい。
【0013】
このような車両制御装置によれば、外部力として路面反力の大きさを推定することができる。
さらに、上記車両制御装置においては、第5の構成のように、路面反力として、車輪の回転方向に加わる走行抵抗、車輪の横方向に加わる車輪横力、車輪の動的な荷重移動量を含む車輪荷重、および路面の凹凸に伴って車輪に加わる上下方向外乱力、のうちの少なくとも1つを推定するようにしてもよい。なお、車輪横力は舵角、車速等に基づいて求めることができ、車輪荷重は車両のピッチ角や加速度等に基づいて求めることができる。
【0014】
このような車両制御装置によれば、路面反力をより具体的に推定することができる。
また、上記車両制御装置においては、第6の構成のように、制御対象部として、異なる動特性を有する複数の部位を備え、運動状態推定手段は、複数の部位のうちのある部位に加わる特定の方向の力が他の部位にも複数の方向の力の成分として作用するものとして、各部位における運動状態を推定するようにしてもよい。
【0015】
このような車両制御装置によれば、制御対象部が異なる動特性を有する複数の部位を備えている場合であっても、制御対象部全体としての運動状態を推定し、この運動状態に対応した出力の補正を行うことができる。よって、制御対象部全体の系を多入力多出力系として取り扱うことができる。
【0016】
さらに、上記車両制御装置においては、第7の構成のように、制御対象部を構成する部位毎に、各部位の動特性に応じた運動方程式に基づく制御モデルを準備しておき、各推定手段は、各制御モデルを利用して、各部位における運動状態を推定するようにしてもよい。
【0017】
このような車両制御装置によれば、運動方程式に基づく制御モデルを利用するので、各部位の運動状態を正確に推定することができる。
また、上記車両制御装置においては、第8の構成のように、各制御モデルにおける座標系および原点座標は共通とされていてもよい。特に、第9の構成のように、各制御モデルにおける座標系の原点座標は、車輪の回転中心線とタイヤの接地中心を通る車輪の回転平面と、の交点に設定されていてもよい。
【0018】
このような車両制御装置によれば、制御モデルを利用した演算を容易に実現することができる。
また、上記目的を達成するためには、上述の車両制御装置に限らず、車両制御プログラムや車両制御方法として、上記車両制御装置の構成を実現してもよい。
【0019】
このようにしても上述の車両制御装置と同様の効果を享受することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】車両制御システム1の概略構成を示すブロック図である。
【図2】補正量演算部12の概略構成を示すブロック図である。
【図3】外部力推定部40において取り扱う各力を推定する手順を示すブロック図である。
【図4】各輪荷重移動量を演算する際の手順を示すブロック図である。
【図5】車体のピッチ角を求めるための車両のモデルを示す説明図(a)、前軸位置におけるモーメントの釣り合いを示す側断面図(b)、および後軸位置におけるモーメントの釣り合いを示す側断面図(c)である。
【図6】タイヤモデルを示す模式図である。
【図7】タイヤモデル制御部51の詳細を示すブロック図である。
【図8】タイヤモデルのうちの前後方向振動モデルを示す説明図である。
【図9】タイヤモデルのうちの横方向振動モデルを示す説明図である。
【図10】タイヤモデルのうちの上下方向振動モデルを示す説明図である。
【図11】サスアームモデルの詳細構成を示すブロック図である。
【図12】サスアームモデルを示す模式図である。
【図13】サスアームモデルの平面図である。
【図14】サスアームモデルの上下方向振動モデルを示す説明図である。
【図15】スプリング&ダンパモデルの詳細構成を示すブロック図である。
【図16】スプリング&ダンパモデルを示す模式図である。
【図17】実施形態の作用を示す説明図である。
【図18】補正量の概要を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明にかかる実施の形態を図面と共に説明する。
[本実施形態の構成]
図1は本発明が適用された車両制御システム1の概略構成を示すブロック図である。
【0022】
車両制御システム1は、例えば乗用車等の車両に搭載され、車両の運動状態を制御するシステムである。特に、本実施形態のシステム1では、車両のサスペンション機構、駆動機構、操舵伝達機構を備えた部位であるバネ下機構において、振動を抑制したり、応答性を向上させたり、外乱を抑制したりする機能を有する。
【0023】
具体的には、図1に示すように、車両制御システム1は、演算装置10と、各種センサ類21〜26と、制御対象部31〜33とを備えている。各種センサ類21〜26としては、車速センサ21、舵角センサ22、車高センサ23、加速度センサ24、アクセル開度センサ25、およびブレーキ踏力センサ26を備えている。なお、各種センサ類21〜26は、自身にて検出したセンサ値を演算装置10に送る。
【0024】
車速センサ21は、各車輪の回転速度をそれぞれ検出する車輪速センサとしての機能を有する。なお、本実施形態においては、車両の車輪は4個であるものとし、車速センサ21は各輪にそれぞれ配置されているものとして説明する。
【0025】
舵角センサ22は、操舵輪(前輪)の舵角を検出する。車高センサ23は、各車輪の近傍において車高を検出する。
加速度センサ24は、車両に加わる加速度(減速度)を検出する。アクセル開度センサ25は、運転者によるアクセル操作量を検出する。ブレーキ踏力センサ26は、運転者によるブレーキの操作量を検出する。
【0026】
次に、制御対象部31〜33としては、駆動部31、パワステ部32、および制動部33を備えている。駆動部31は、エンジンやモータ等の走行のための動力(回転力)を駆動輪に伝達するための駆動軸等の機構を示す。
【0027】
パワステ部32は、運転者のステアリング操作をアシストするモータやステアリング機構を示す。制動部33は、制動力を高めるための倍力装置や、車輪のロックを防止し適正な制動能力を発揮させるための油圧制御機構を示す。
【0028】
次に、演算装置10は、CPU、ROM、RAM等を備えた周知のマイコンとして構成されており、CPUがROMに格納されたプログラムやRAMにロードされたプログラムに基づく処理を実施する。なお、ROMには、後述する各種演算の際に利用する車両に関する各定数(例えば、車両の重量、バネ定数、ダンパ定数等)を含む各種モデルの情報が格納されている。
【0029】
演算装置10は、制御量演算部11としての機能(以下、単に「制御量演算部11」という。)と、補正量演算部12としての機能(以下、単に「補正量演算部12」という。)と、加算部13とを備えている。
【0030】
制御量演算部11は、制御対象部31〜33を駆動する際の制御量を各種センサ類21〜26の検出結果に基づきそれぞれ設定する。なお、制御量演算部11は周知の技術であるため詳細説明を省略する。
【0031】
補正量演算部12は、この制御対象部31〜33に付随して運動するタイヤ、サスペンションアーム等の運動状態を推定し、この運動状態を適正化するための制御量(制御量演算部11により演算された制御量に対する補正量)を演算する。
【0032】
加算部13は、制御量演算部11により演算された制御量と補正量演算部12により演算された制御量とを加算(または減算)して制御対象部31〜33に対して出力する。
ここで、補正量演算部12の詳細について、図2以下の図面を用いて説明する。図2は、補正量演算部12の概略構成を示すブロック図である。
【0033】
補正量演算部12は、図2に示すように、外部力推定部40、駆動軸トルク推定部41、操舵力推定部42、制動力推定部44、タイヤモデル制御部51、サスアームモデル制御部52、およびスプリングダンパモデル推定部53としての機能を備えている。
【0034】
駆動軸トルク推定部41は、駆動軸に対して加えられる力をエンジンやモータ等の車両を走行させるための動力からの出力に基づいて推定する。
操舵力推定部42は、舵角センサ22からのセンサ値を継続的に取得することで操舵速度や操舵加速度を算出し、この算出結果に基づき運転者がステアリングに加える操作力とパワステモータ等によるアシスト力とを推定する。そして、これらの力の合計を操舵力として推定する。
【0035】
制動力推定部44は、車速センサ21やブレーキ踏力センサ26によるセンサ値に基づいて、制動力を推定する。
タイヤモデル制御部51は、タイヤの特性がモデル化されたタイヤモデルを利用して、タイヤに加わる力を推定する機能を有する。また、サスアームモデル制御部52は、タイヤとホイールとを含む車輪を懸架するサスペンションアーム(サスアーム)の特性がモデル化されたサスアームモデルを利用して、サスペンションアームに加わる力を推定する機能を有する。
【0036】
スプリングダンパモデル推定部53は、サスペンションアームに接続されたスプリング&ダンパの特性がモデル化されたスプリング&ダンパモデルを利用して、スプリング&ダンパに加わる力を推定する機能を有する。
【0037】
このような各モデルにおいては、運動方程式を利用して各部位における運動状態を推定するよう構成されており、各モデルにおける座標系および原点座標は共通とされている。特に、各モデルにおける座標系の原点座標は、車輪の回転中心線とタイヤの接地中心を通る車輪の回転平面との交点に設定されている。
【0038】
なお、タイヤモデル制御部51、サスアームモデル制御部52、スプリングダンパモデル推定部53の詳細は後述する。
外部力推定部40は、走行抵抗推定部44、タイヤ横力推定部45、車輪荷重推定部46、および路面上下方向外乱推定部47を備えている。
【0039】
外部力推定部40を構成する各部44〜47については後述するが、走行抵抗推定部44は、車速に基づいて車輪の回転方向に加わる走行抵抗を推定し、タイヤ横力推定部45は、舵角や車速に基づいて車輪の横方向に加わる車輪横力を推定し、車輪荷重推定部46は、車輪の動的な荷重移動量を含む車輪荷重を推定し、路面上下方向外乱推定部47は、路面の凹凸に伴って車輪に加わる上下方向外乱力を推定する。
【0040】
[本実施形態の処理]
ここで、外部力推定部40において取り扱う各力を推定する手順について、図3に示すブロック図を用いて説明する。外部力推定部40において取り扱う各力を推定する際には、図3に示すように、まず、基本走行抵抗を演算する(S10)。
【0041】
この処理は、走行抵抗推定部44の機能に相当する。基本走行抵抗を演算する際には、各車輪の回転速度と4輪の平均回転速度との差の変化率を利用して、回転方向における走行抵抗を推定する。
【0042】
具体的には、例えば、4輪の平均回転速度ωw#aveを以下の式で求める。
【0043】
【数1】

【0044】
なお、式中のFLは左前輪を示し、FRは右前輪を示し、RLは左後輪を示し、RRは右後輪を示す。また、式[2]中のMは車両重量を示し、rは車輪半径を示す。
すると、各輪の回転方向走行抵抗Fx#base#ijは、下記式[2]で求めることができる。
【0045】
【数2】

【0046】
ただし、GLPF、GLPF1はカットオフ周波数fを40Hz程度とするローパスフィルタを示す。つまり、カットオフ周波数fより高い周波数については、制御対象外とすることを意味する。
【0047】
なお、離散系ローパスフィルタの算出式を以下に示す。
【0048】
【数3】

【0049】
続いて、各輪荷重移動量を演算する(S20)。この処理は、車輪荷重推定部46の機能に相当する。各輪荷重移動量を演算する際には、図4に示すブロック図の手順に従う。
図4に示すように、まず、バンドパスフィルタ(BPF)による交流(AC)成分を抽出する(S110)。この処理では、式[4][5]にて示されるフィルタを組み合わせてバンドパスフィルタを設定し、駆動トルク(駆動力)に対して例えば、1〜30Hzの周波数成分を抽出する。
【0050】
【数4】

【0051】
続いて、車体ピッチ角を演算する(S120)。なお、式中のΔTwはエンジンやモータの駆動トルク推定値(エンジンの場合はアクセル開度やエンジン回転数、吸入空気量等の内部パラメータから推定、モータの場合はモータ駆動電流値等から推定)から、動力伝達機構によるトルク増幅比や車輪半径を介して計算される駆動輪軸の駆動トルクを示す。また、以下の説明においては、式中の記号は下記表に記載のパラメータを示すものとする。
【0052】
【表1】

【0053】
また、図5(a)は、車体のピッチ角を求めるための車両のモデルを示す説明図である。車体のピッチ角を求める際には、図5(a)に示すように、車両の直進走行中におけるピッチングセンタ周りのモーメントの釣り合いに基づいて、駆動力の変動分に対するピッチ角を算出する。なお、車両が定常走行状態であると仮定し、このとき駆動トルクが総走行抵抗に一致する関係を利用する。
【0054】
すると、ピッチ角θpは、以下の式で得ることができる。
【0055】
【数5】

【0056】
次に、前後荷重移動量の演算を行う(S130)。この処理では、前輪については下記式[8]を用いて荷重移動量を算出し、後輪については下記式[9]を用いて荷重移動量を算出する。
【0057】
【数6】

【0058】
続いて、車体ロール角を演算する(S140)。この処理では、車速と舵角とを入力し、定常円旋回中において軸位置のロールセンタ周りのモーメントの釣り合いに基づいて軸位置における車体ロール角を演算する。ここで、図5(b)は前軸位置におけるモーメントの釣り合いを示す側断面図、図5(c)は後軸位置におけるモーメントの釣り合いを示す側断面図である。
【0059】
車体ロール角を求める際には、図5(b)に基づいて、式[10][11]を得るとともに、図5(c)に基づいて、式[12][13]を得る。
【0060】
【数7】

【0061】
このようにして、前軸における車体ロール角θrf、および後軸における車体ロール角θrrが求められる。
続いて、横荷重移動量を演算する(S150)。この処理では、車体ロール角に基づいて横方向の荷重移動量を演算する。
【0062】
【数8】

【0063】
続いて、各輪荷重量の演算を行う(S160)。この処理では、車体の前後・左右における荷重移動量から各輪(4輪)の動的荷重(式[18])を演算する。動的荷重を得る際には、荷重移動量(式[14]〜[17])に静的荷重(式[20][21])を加算する。なお、動的荷重を全荷重で除算することで各輪の荷重比率を求めることができる(式[22])。
【0064】
【数9】

【0065】
このようにして各輪荷重移動量および各輪の荷重比率が演算される。続いて図3に戻り、2輪モデルタイヤ横力推定演算を行う(S30)。この処理は、タイヤ横力推定部45の機能に相当する。
【0066】
ここで、図6はタイヤモデルを示す模式図であり、特に図6(a)はタイヤ横方向の変形を示す正面図、図6(b)は舵角およびスリップ角を示す平面図、図6(c)は2輪モデルを示す平面図である。
【0067】
タイヤの横剛性をkyとすると、図6(a)、図6(b)から式[23]に示す運動方程式が得られる。そして、式[23]から式[24][25]の関係が導出できる。
【0068】
【数10】

【0069】
また、図6(c)から下記式[26]〜[29]が導出できる。
【0070】
【数11】

【0071】
そして、これらの式[26]〜[29]を変形することで、式[31]〜[34]を得る。
【0072】
【数12】

【0073】
ここで、各状態変数x1〜x4、u1、u2を以下のように定義する。
【0074】
【数13】

【0075】
すると、式[36]に示す関係が得られる。
【0076】
【数14】

【0077】
ここで、式[36]の関係を状態方程式に示すと式[37]が得られる。
【0078】
【数15】

【0079】
再度、x1〜x4、u1、u2を元の値に戻して表記すると、式[38]が得られる。
【0080】
【数16】

【0081】
式[38]は、前輪および後輪の舵角(δf、δr)、タイヤ横剛性ky、および車速Vから車体スリップ角β、ヨーレートγ、前輪横力Fyf、後輪横力Fyrが演算できることを示している。
【0082】
続いて、4輪前後方向力Fxを推定する演算を行う(S40)。この処理は、走行抵抗推定部44の機能に相当する。この処理では、S10で求めた基本走行抵抗推定値(式[2]参照)と、S20で求めた動的荷重比率とを乗算することにより各輪の荷重移動量を加味した前後方向力を得る。
【0083】
【数17】

【0084】
次に、4輪上下方向力Fzを推定する演算を行う(S50)。この処理は、車輪荷重推定部46の機能に相当する。この処理では、各輪における動荷重移動と静荷重とから各輪の荷重を算出し、上下方向力とする。
【0085】
【数18】

【0086】
続いて、4輪横方向力Fyを推定する演算を行う(S60)。この処理は、タイヤ横力推定部45の機能に相当する。この処理では、動的荷重比率と前輪横力Fyf、後輪横力Fyrとを乗算することにより各輪の荷重移動量を加味した4輪横方向力Fyを得る。
【0087】
【数19】

【0088】
このようにして、外部力推定部40において取り扱う各力が推定される。
次に、図2に示すタイヤモデル制御部51としての処理について説明する。図7は、タイヤモデル制御部51の詳細を示すブロック図である。図7に示すように、タイヤモデル制御部51は、タイヤ前後方向制御部51a、タイヤ横方向制御部51b、タイヤ上下方向制御部51cとしての機能を有する。
【0089】
タイヤ前後方向制御部51aは、駆動軸トルク変動成分、制動力変動成分、および操舵力変動成分に基づくトルクΔTw、および式[41]にて推定された走行抵抗をΔFdとして入力した演算を行う。
【0090】
タイヤ横方向制御部51bは、操舵力変動成分ΔFylおよび式[43]〜[46]にて求められるタイヤ横力をΔFytとして入力した演算を行う。タイヤ上下方向制御部51cは、式[42]にて求められる車輪荷重をΔFzlとして入力するとともに、路面上下方向外乱推定部47にて求められる値をΔFzoとして入力した演算を行う。
【0091】
タイヤ前後方向制御部51aの詳細について、図8用いて説明する。図8はタイヤモデルのうちの前後方向振動モデルを示す説明図である。図8(a)に示すように、前後方向振動モデルでは、トルクΔTwと走行抵抗ΔFdとの力の釣り合いに基づいて運動方程式を立てる。なお、このモデルにおいては、ホイールとタイヤの接地面とが所定のバネ定数およびダンパ定数を有する仮想弾性体で接続された2慣性系モデルとする。
【0092】
【数20】

【0093】
このようなモデルにおいて補正量演算部12は、例えば、ホイールとタイヤの接地面との相対速度が0になるような駆動軸トルクの補正量を求め、この補正量を出力する。
次に、タイヤ横方向制御部51bの詳細について、図9を用いて説明する。図9はタイヤモデルのうちの横方向振動モデルを示す説明図である。図9(a)および図9(b)に示すように、横方向振動モデルでは、タイヤにおけるホイール側微少要素に加わる横方向の力と接地面側微少要素に加わる横方向の力との釣り合いに基づいて運動方程式を立てる。
【0094】
【数21】

【0095】
このようなモデルにおいて補正量演算部12は、例えば、ホイール側微少要素と接地面側微少要素との相対速度が0になるような操舵力の補正量を求め、この補正量を出力する。
【0096】
次に、タイヤ上下方向制御部51cの詳細について、図10を用いて説明する。図10はタイヤモデルのうちの上下方向振動モデルを示す説明図である。図10(a)および図10(b)に示すように、上下方向振動モデルでは、タイヤにおけるホイール側微少要素に加わる径方向の力と接地面側微少要素に加わる径方向の力との釣り合いに基づいて運動方程式を立てる。
【0097】
【数22】

【0098】
このようなモデルにおいて補正量演算部12は、例えば、ホイール側微少要素と接地面側微少要素との相対変位が0になるような駆動軸トルクの補正量を求め、この補正量を出力する。
【0099】
次に、図2に示すサスアームモデル制御部52の詳細について説明する。図11は、サスアームモデルの詳細構成を示すブロック図である。図11に示すように、タイヤからのX方向(走行方向)の力とY方向(横方向)の力とを入力した演算を行う。
【0100】
ここで、図12はサスアームモデルを示す模式図、図13はサスアームモデルの平面図である。なお、図13においては、計算を簡素化するために、アーム(リンク)の形状を一部変更している。図12に示すように、サスアームは、アーム揺動軸を中心に上下方向に揺動するよう構成されているが、図13に示すように、前後方向や左右方向にも揺動する。
【0101】
このようなモデルからXY平面(前後方向および左右方向)についての運動方程式を立てると、下記式が得られる。
【0102】
【数23】

【0103】
このようなモデルにおいて補正量演算部12は、例えば、ハブキャリア支持点の移動速度が0になるような駆動軸トルクの補正量を求め、この補正量を出力する。
また、図14に示す上下方向振動モデルにおいて、ダンパのロアアーム側の支持点に作用する上下方向力Fzd2は、式[63]で表現できる。なお、式[63]は、力の釣り合いのみを考慮し、動特性を考慮しない場合の例である。
【0104】
【数24】

【0105】
次に、図2に示すスプリング&ダンパ制御部53について図15を用いて説明する。バネ下機構よりも上部の車体部(バネ上)から伝播するZ方向力ΔFzd1と前述のΔFzd2とを入力した演算を行う。ここで、図16は、スプリング&ダンパモデルを示す模式図である。
【0106】
図16に示す模式図にて定義する値に応じて運動方程式を立てると、式[64]が得られる。
【0107】
【数25】

【0108】
そして、この運動方程式に基づく状態方程式は、下記式[66]として得られる。
【0109】
【数26】

【0110】
このようなモデルにおいて補正量演算部12は、例えば、式[64]に示すz1やz4の項が0になるような駆動軸トルクの補正量を求め、この補正量を出力する。
このような車両制御システム1では、図17に示すように、制御量の目標値をどのように設定するかによって、振動・外乱を抑制したり、応答性を向上させたりという作用が得られる。例えば、図17(a)に示すように、トルクΔTwを制御する際において、制御量の補正をしない場合には、出力ΔFxが振動することがあるが、上記モデルに基づく補正を行うことで振動を抑制することができる。
【0111】
同様に、図17(c)に示すように、外乱についても抑制することができる。また、図17(b)に示すように、ΔTwに対する応答特性が過剰に減衰するような場合には、応答性を向上させるための補正量を設定することができる。
【0112】
なお、補正量演算部12では、図18に示すように、多入力多出力系において制御モデルを利用して運動状態を推定し、フィードバックゲインベクトルに基づく補正量を出力する。ここで、加算部13(図1参照)においては、補正量演算部12が各モデルに基づいて演算した補正量を最適化した上で、補正量演算部12により演算された制御量に対して加算(または減算)して制御対象部31〜33に対して出力する。
【0113】
例えば、各モデルに基づいて演算された同一の制御対象部(例えば駆動部31の駆動トルク)に対する補正量が異なる値になる場合、各モデルにおいて対象となる部位の変位や相対速度等が0等の目標値に近づくような補正量を採用する。つまり、各モデルを組み合わせたバネ下系の全体として安定性を向上できるような補正量を採用する。
【0114】
具体的な補正量を算出する際には、演算された各補正量を所定の重み付けで加算する加重平均を採用してもよいし、各入力に対して採用する補正量を一義的に定めたマップを準備しておき、このマップに基づいて補正量を採用してもよい。
【0115】
[本実施形態と本発明との関係]
上記実施形態において、駆動軸トルク推定部41は、本発明でいう第1制御力推定手段、第1制御力推定工程に相当し、操舵力推定部42、制動力推定部43は、第2制御力推定手段、第2制御力推定工程に相当する。また、走行抵抗推定部44、タイヤ横力推定部45、車輪荷重推定部46、路面上下方向外乱推定部47は、外部力推定手段、外部力推定工程に相当し、タイヤモデル制御部51、サスアームモデル制御部52、スプリング&ダンパモデル制御部53は、運動状態推定手段、運動状態推定工程に相当する。
【0116】
さらに、タイヤモデル制御部51、サスアームモデル制御部52、スプリング&ダンパモデル制御部53は、出力補正手段、出力補正工程に相当する。
[本実施形態による効果]
以上のように詳述した車両制御システム1において、補正量演算部12は、駆動軸トルク推定部41としての機能を用いて、駆動輪や駆動軸等を表す制御対象部の運動状態を制御する制御量演算部11によって制御対象部に対して加えられる力を表す駆動トルクを制御量演算部11からの出力に基づいて推定する。そして、操舵力推定部42、制動力推定部43としての機能を用いて、制御対象部の運動状態に影響を与えうる部位であるタイロッドやブレーキ等の状態を制御する制御量演算部11によって制御対象部に対して加えられる操舵力やブレーキ油圧を制御量演算部11からの出力に基づいて推定する。
【0117】
また、補正量演算部12は、外部力推定部40としての機能を利用して、当該車両の走行に伴って外部から受ける力を表す路面反力、路面の摩擦抵抗、車輪荷重、上下方向反力等の外部力を推定し、タイヤモデル制御部51、サスアームモデル制御部52、スプリング&ダンパモデル制御部53としての機能を利用して、駆動トルク、操舵力、ブレーキ油圧、および外部力に基づいて、制御対象部の運動状態を示す速度や加速度等のパラメータを推定する。そして、各モデル制御部51〜53としての機能を利用して、パラメータが予め設定された目標範囲内になるように、制御量演算部11の出力(駆動トルク、操舵力、ブレーキ油圧)を補正する。
【0118】
このような車両制御システム1によれば、制御対象部を制御する力だけでなく、他の部位を制御する力も考慮して、制御対象部の運動状態を推定することができる。この構成では、より正確に制御対象部の運動状態を推定することができるので、推定した運動状態が目標範囲内になるようにすることで、車両に発生する振動等を抑制することができ、車両の安定性や応答性を向上させることができる。
【0119】
また、車両制御システム1において補正量演算部12は、当該車両における駆動部31およびパワステ部32を介して駆動される部位を表すバネ下機構に加わる各力についての推定を行う。
【0120】
このような車両制御システム1によれば、バネ下機構の運動状態が目標範囲内になるようにすることができる。
さらに、車両制御システム1において補正量演算部12は、駆動軸トルク推定部41としての機能を利用して、車輪を駆動させる際の駆動トルクを推定し、操舵力推定部42、制動力推定部43としての機能を用いて、操舵力、制動力を推定する。
【0121】
このような車両制御システム1によれば、駆動トルク、制動力、および操舵力のうちの複数の力が制御対象部に加わった際に、これらの力を最適に制御することができる。
また、車両制御システム1において補正量演算部12は、補正量演算部12が実行する外部力推定部40としての機能は、路面から車輪に加わる路面反力の大きさを推定する。
【0122】
このような車両制御システム1によれば、外部力として路面反力の大きさを推定することができる。
さらに、車両制御システム1において補正量演算部12は、路面反力として、車輪の回転方向に加わる走行抵抗、車輪の横方向に加わる車輪横力、車輪の動的な荷重移動量を含む車輪荷重、および路面の凹凸に伴って車輪に加わる上下方向外乱力を推定する。
【0123】
このような車両制御システム1によれば、路面反力をより正確に推定することができる。
また、上記車両制御システム1において補正量演算部12は、制御対象部として、異なる動特性を有する複数の部位(駆動軸、タイロッド、サスペンション、車輪等)を備え、複数の部位のうちのある部位に加わる特定の方向の力が他の部位にも複数の方向の力の成分として作用するものとして、各部位における運動状態を推定する。具体的には、駆動力による前後方向の力が、タイヤやサスアームを介して横方向や上下方向の力の成分として伝搬するものとして運動状態を推定している。
【0124】
このような車両制御システム1によれば、制御対象部が異なる動特性を有する複数の部位を備えている場合であっても、制御対象部全体としての運動状態を推定し、この運動状態に対応した出力の補正を行うことができる。よって、制御対象部全体の系を多入力多出力系として取り扱うことができる。
【0125】
さらに、上記車両制御システム1において補正量演算部12は、制御対象部を構成する部位毎に、各部位の動特性に応じた運動方程式に基づく制御モデルを準備しておき、各推定手段は、各制御モデルを利用して、各部位における運動状態を推定する。
【0126】
このような車両制御システム1によれば、運動方程式に基づく制御モデルを利用するので、各部位の運動状態を正確に推定することができる。
また、上記車両制御システム1において補正量演算部12は、各制御モデルにおける座標系および原点座標は共通として演算を行う。特に、各制御モデルにおける座標系の原点座標は、車輪の回転中心線とタイヤの接地中心を通る車輪の回転平面との交点に設定されている。
【0127】
このような車両制御システム1によれば、制御モデルを利用した演算を容易に実現することができる。
[その他の実施形態]
本発明の実施の形態は、上記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0128】
例えば、上記実施形態においては、いわゆるバネ下系において運動状態を安定させるようにしたが、バネ下系に限らず、車両における他の部位において、多入力多出力系が構成される領域においても、同様に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0129】
1…車両制御システム、10…演算装置、11…制御量演算部、12…補正量演算部、13…加算部、21…車速センサ、22…舵角センサ、23…車高センサ、24…加速度センサ、25…アクセル開度センサ、26…ブレーキ踏力センサ、31…駆動部、32…パワステ部、33…制動部、40…外部力推定部、41…駆動軸トルク推定部、42…操舵力推定部、43…制動力推定部、44…走行抵抗推定部、45…タイヤ横力推定部、46…車輪加重推定部、47…路面上下方向外乱推定部、51…タイヤモデル制御部、51a…タイヤ前後方向制御部、51b…タイヤ横方向制御部、51c…タイヤ上下方向制御部、52…サスアームモデル制御部、53…スプリング&ダンパモデル制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、車両の運動状態を制御する車両制御装置であって、
ある制御対象部の運動状態を制御する第1制御部によって前記制御対象部に対して加えられる力(以下、「第1制御力」という。)を前記第1制御部からの出力に基づいて推定する第1制御力推定手段と、
前記制御対象部の運動状態に影響を与えうる部位の運動状態を制御する第2制御部によって前記制御対象部に対して加えられる力(以下、「第2制御力」という。)を前記第2制御部からの出力に基づいて推定する第2制御力推定手段と、
当該車両の走行に伴って外部から受ける力(以下、「外部力」という。)を推定する外部力推定手段と、
前記第1制御力、前記第2制御力、および前記外部力に基づいて、前記制御対象部の運動状態を示すパラメータを推定する運動状態推定手段と、
前記パラメータが予め設定された目標範囲内になるように、前記第1制御部の出力および前記第2制御部の出力のうちの少なくとも一方を補正する出力補正手段と、
を備えたことを特徴とする車両制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両制御装置において、
前記各推定手段は、当該車両における駆動機構および操舵伝達機構を介して駆動される部位を表すバネ下機構に加わる各力についての推定を行うこと
を特徴とする車両制御装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の車両制御装置において、
前記第1制御力推定手段は、車輪を駆動させる際の駆動トルク、車輪を制動する際の制動力、および操舵輪の操舵力、のうちの何れかを推定し、
前記第2制御力推定手段は、前記駆動トルク、前記制動力、および前記操舵力のうちの前記第1制御力推定手段が推定する力以外の力を推定すること
を特徴とする車両制御装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の車両制御装置において、
前記外部力推定手段は、路面から車輪に加わる路面反力の大きさを推定すること
を特徴とする車両制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の車両制御装置において、
前記外部力推定手段は、前記路面反力として、車輪の回転方向に加わる走行抵抗、車輪の横方向に加わる車輪横力、車輪に加わる車両の重量である車輪荷重、および路面の凹凸に伴って車輪に加わる上下方向外乱力、のうちの少なくとも1つを推定すること
を特徴とする車両制御装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の車両制御装置において、
前記制御対象部として、異なる動特性を有する複数の部位を備え、
前記運動状態推定手段は、前記複数の部位のうちのある部位に加わる力が他の部位にも加わるものとして、前記各部位における運動状態を推定すること
を特徴とする車両制御装置。
【請求項7】
請求項6に記載の車両制御装置において、
前記制御対象部を構成する部位毎に、各部位の動特性に応じた運動方程式に基づく制御モデルを準備しておき、
前記各推定手段は、該各制御モデルを利用して、前記各部位における運動状態を推定すること
を特徴とする車両制御装置。
【請求項8】
請求項7に記載の車両制御装置において、
前記各制御モデルにおける座標系および原点座標は共通とされていること
を特徴とする車両制御装置。
【請求項9】
請求項8に記載の車両制御装置において、
前記各制御モデルにおける座標系の原点座標は、車輪の回転中心が通過する回転軸、および車輪が操舵される際に中心となる操舵軸、の交点に設定されていること
を特徴とする車両制御装置。
【請求項10】
コンピュータを請求項1〜請求項9の何れか1項に記載の車両制御装置を構成する各手段として機能させるための車両制御プログラム。
【請求項11】
車両の運動状態を制御する車両制御装置が実施する車両制御方法であって、
ある制御対象部の運動状態を制御する第1制御部によって前記制御対象部に対して加えられる力(以下、「第1制御力」という。)を前記第1制御部からの出力に基づいて推定する第1制御力推定工程と、
前記制御対象部の運動状態に影響を与えうる部位の運動状態を制御する第2制御部によって前記制御対象部に対して加えられる力(以下、「第2制御力」という。)を前記第2制御部からの出力に基づいて推定する第2制御力推定工程と、
当該車両の走行に伴って外部から受ける力(以下、「外部力」という。)を推定する外部力推定工程と、
前記第1制御力、前記第2制御力、および前記外部力に基づいて、前記制御対象部の運動状態を示すパラメータを推定する運動状態推定工程と、
前記パラメータが予め設定された目標範囲内になるように、前記第1制御部の出力および前記第2制御部の出力のうちの少なくとも一方を補正する出力補正工程と、
を実施することを特徴とする車両制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図11】
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【図15】
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【図17】
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【図18】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−28237(P2013−28237A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164699(P2011−164699)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】