MgaZn1−aO単結晶薄膜の作製方法
【課題】高品質のMgaZn1-aO単結晶薄膜を確実に形成することができる単結晶薄膜の作製方法を提供する。
【解決手段】プラズマアシスト付き反応性蒸着法によって成膜する反応性蒸装置を使用し、蒸着源であるルツボ6をヒータ8により加熱し、その内部に入れた合金材料(MgxZn1-x)を蒸発させ、高周波酸素プラズマ中を通して、ベルジャ10内の上部に置かれた基板の表面に付着させて、MgaZn1-aO単結晶薄膜を成膜する。
【解決手段】プラズマアシスト付き反応性蒸着法によって成膜する反応性蒸装置を使用し、蒸着源であるルツボ6をヒータ8により加熱し、その内部に入れた合金材料(MgxZn1-x)を蒸発させ、高周波酸素プラズマ中を通して、ベルジャ10内の上部に置かれた基板の表面に付着させて、MgaZn1-aO単結晶薄膜を成膜する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、MgaZn1-aO(ただし、0≦a≦1)単結晶薄膜の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
MgaZn1-aO(ただし、0≦a≦1)は、亜鉛ZnとマグネシウムMgの割合により、バンドギャップエネルギーを約3.3〜7.8eVに制御できる半導体である。また、励起子結合エネルギーが60〜115meVと極めて高く、原材料が安価であり、環境や人体に無害であるなどの特徴を有し、高効率・低消費電力で環境性に優れた紫外線から青色光の発光デバイスに応用できる可能性がある材料である。
【0003】
MgaZn1-aO(ただし、0≦a≦1)は多くの研究者により研究が行われている。MgZnOの主な作製方法は、PLD法(パルスレーザ堆積法)やMBE(分子線エピタキシー)法などであり、非特許文献1〜4などに記載されている。
非特許文献1ではMBE法によってMgOバッファ層をc-Al2O3上に設けた基板を用いて作製したZnMgO薄膜の微細構造を報告している。
【0004】
非特許文献2ではPLD法によって抵抗率が10−3 Ωcm以下のAlドープMgZnO薄膜のバンドギャップエネルギーを3.5〜3.97 eVの範囲で制御できたことを報告している。非特許文献3ではMBE法によってZnMgOのホトルミネッセンスのドナー束縛励起子発光の光子エネルギーを3.360 eV〜3.686 eVの範囲で制御できたことを報告している。
非特許文献4では、PLD法によってZnMgOのバンドギャップエネルギーを約3.3〜4.15 eVの範囲で制御できたことを報告している。
【0005】
【非特許文献1】Z. Vashaei、外4名、“A high-resolution electron microscopy study of MgxZn1-xO films grown on MgO/c-sapphire ”、phys. stat. sol. (c)3、2006年、第4号、p.1042−1045
【非特許文献2】K. Matsubara、外6名、“Band-gap modified Al-doped Zn1-xMgxO transparent conducting films deposited by pulsed laser deposition”、APPLIFD PHYSICS LETTERS、2004年8月32日、第85巻、第8号、p.1374−1376
【非特許文献3】K. Ogata、外7名、“ZnO and ZnMgO growth on a-plane sapphire by molecular beam epitaxy”Journal of Crystal Growth 251、2003年、p.623−627.
【非特許文献4】A. Ohtomo、外8名、“MgxZn1-xO as a II-VI widegap semiconductor alloy”、APPLIFD PHYSICS LETTERS、1998年5月11日、第72巻、第19号、. p.2466−2468.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、PLD法やMBE法では装置コストが高く、しかも大面積の薄膜形成が困難であるなど、工業的な量産化には困難な点が多い。また、PLD法では作製する膜の不純物濃度は原料となるターゲットの純度に依存するため、不純物濃度の極めて低い薄膜の形成は困難であった。そして、ZnMgO薄膜中のMgの濃度はターゲットに依存するため、Mgの濃度を制御するためにはそれぞれMg濃度が異なるターゲットを用意しなくてはならない。そのため、ZnMgO薄膜を用いた素子の量産は非常に難しく、実現されていない。また、高品質なZnO薄膜と比較し、それと同等のZnMgO薄膜が得られたという報告もほとんどない。
【0007】
この発明は、上述のような状況に鑑みてなされたものであり、高品質でMg濃度を容易に制御できるMgaZn1-aO(ただし、0≦a≦1)の単結晶薄膜を容易に量産できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明によるMgaZn1-aO単結晶薄膜の作製方法は、上記の目的を達成するため、基板を用意し、所定の雰囲気中でルツボ内の合金からなる蒸着材料を加熱して蒸発させ、それを上記所定の雰囲気中に含まれる原子と上記基板上にて結合させ、MgaZn1-aO(ただし、0≦a≦1)薄膜を成長させて成膜することを特徴とする。
上記所定の雰囲気を、ベルジャ内に酸素を導入し、圧力を0.01〜1Paに制御して発生させた高周波プラズマにより形成するとよい。
【0009】
上記合金からなる蒸着材料は、MgxZn1-x(ただし、0≦x≦1)を使用するとよい。そのMgxZn1-xに少量のZnを加えて融合することによりその組成比を調整することもできる。
この場合、作製した膜のキャリア濃度は成膜時に酸素流量、プラズマ出力、および基板温度を制御することにより、1015/cm3〜1020/cm3の範囲においてキャリア濃度を制御できる。
【0010】
また、この発明によりp形のMgaZn1-aO単結晶薄膜を作製する場合は、ZnO系単結晶からなる基板を用意し、窒素あるいは窒素酸化物を含む酸素ガスからなる高周波プラズマ雰囲気中で、ルツボ内のMgxZn1-x(ただし、0≦x≦1)合金からなる蒸着材料を加熱して蒸発させ、上記高周波プラズマ雰囲気中に含まれる酸素及び窒素原子と結合させ、上記基板上に窒素ドープのp形MgaZn1-aO(ただし、0≦a≦1)薄膜を成長させて成膜するとよい。この場合、ドープする窒素の濃度を、2×1017/cm3〜1021/cm3にするのが好ましい。
【0011】
いずれの場合も、上記基板としては、ZnO単結晶基板、MgbZn1-bO(ただし、0<b≦1)単結晶基板、ZnO単結晶あるいはAl2O3単結晶の上に、MgaZn1-aO(ただし、0≦a≦1)バッファ層を設けた基板のいずれかを使用するとよい。
また、その基板を300℃〜1000℃に加熱して成膜するのが望ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明によるMgaZn1-aO単結晶薄膜の製造方法を実施するための最良の形態を説明する。
〔実施形態の概要〕
まず、この発明によるMgaZn1-aO単結晶薄膜の作製方法の実施形態の概要を説明する。
以下に説明する実施の形態においては、ZnO薄膜の作製において実績のある、例えば特許第3945782号公報に記載されているようなプラズマアシスト付きの反応性蒸着法を用いる。
【0013】
この反応性蒸着法はMBE法やPLD法と比べて装置が簡素であり、装置コストが安価である。また、真空蒸着法をベースにした方法であるため、大面積の成膜が容易であり、量産化しやすい方法である。
基板にはZnOバルク単結晶基板を用いる。MgaZn1-aOはZnOと格子定数が殆ど変わらないため、高品質の薄膜を形成することが可能であり、熱膨張係数も近いため、温度の変化により発生する歪みを抑制することも可能である。近年大型のZnOバルク単結晶が育成可能になっているので入手が容易になった。また、将来的にコストが安くなると考えられる。
【0014】
通常、ZnOバルク単結晶は抵抗率が100Ω・cm以上であるが、ZnO単結晶育成の際にドナー不純物(Al、Fe、Gaの単独あるいはそれらの組み合わせ)を、1.0×1017/cm3以上ドーピングすることによって、結晶性に優れ移動度が高く、基板の抵抗率を0.5Ω・cm以下にすることが可能なため、導電性基板として使用可能である。
また、ZnO単結晶基板の代わりにMgbZn1-bO(ただし、0<b≦1)単結晶基板を用いることにより格子定数や熱膨張係数のずれも解消できるため、発生する歪みもさらに抑制することが可能であり、より好ましい。
【0015】
基板にAl2O3単結晶基板を用いることもできるが、その場合には、MgaZn1-aO(ただし、0≦a≦1)とMgaZn1-aOは格子定数が大きく異なり、熱膨張係数も異なる。そこで、結晶性の良好な成長層を得るため、Al2O3単結晶上にMgaZn1-aO(ただし、0≦a≦1)のバッファ層を設けるのが望ましい。また、ZnO単結晶基板を用いる場合でも、そのZnO単結晶上にMgaZn1-aOバッファ層を設けるとよい。
【0016】
薄膜の金属原料にはMgxZn1-x (ただし、0≦x≦1)合金を使用するとよい。これにより原料であるMgxZn1-x におけるマグネシウムMgの割合を変えることにより、MgaZn1-aO の組成制御を容易に行うことが可能である。さらにMgxZn1-x に亜鉛Znを少量加え、真空にしたチャンバ内にて融合することにより、組成比の異なる合金を用意することなく、簡単に組成比を詳細に制御することも可能である。そして、純粋な金属Mgではなく、この合金を使用することにより、Mgの発火性、潮解性を抑制できるため、原料の取り扱いが容易になる。
【0017】
MgaZn1-aO はZnOと同じく、n形になりやすい性質がある。その原因は十分に酸化しても過剰のZnが格子間原子として存在し、同時に電子を放出するドナーとして働くからであると考えられている。そのため、成膜時に酸素流量、プラズマ出力、および基板温度を制御することにより、1015/cm3〜1020/cm3の範囲でキャリア濃度を制御できる。今回の実施例の場合ではホール効果測定の結果よりキャリア濃度は4.37×1017/cm3であった。
【0018】
なお、1015/cm3よりも低いキャリア濃度では抵抗が非常に高くなってしまい、1020/cm3よりも高いキャリア濃度ではトンネル効果が生じる恐れがあるため、うまく接合を作製できない可能性があり好ましくない。
このように、反応性蒸着法でMgaZn1-aO薄膜を作製した研究はこれまで報告されておらず、特に原料にMgxZn1-xを用いたという報告もない。
【0019】
〔使用する反応性蒸着装置〕
図1に、この発明の方法によってMgaZn1-aO単結晶薄膜を製造するために使用するプラズマアシスト付きの反応性蒸着法を用いた結晶成長装置(以下、「反応性蒸着装置」という)を示す。
【0020】
この反応性蒸着装置は、気体供給口7と排気口9を有するベルジャ10と、その排気口9からベルジャ10内の気体を排気してベルジャ内を真空状態に保つ図示していない真空ポンプを含む。気体供給口7からは酸素と窒素をベルジャ10内に導入する。
ベルジャ10内に導入する原料ガスは、酸素ガスではG3グレード以上のボンベガス(純度99.9%以上)を、窒素ガスも同様にG3グレード以上のボンベガス(純度99.9995%以上)を使用する。これより下のグレードでは不純物濃度が大きくなり、電気的特性や結晶性の劣化が起こる恐れがある。
【0021】
ベルジャ10内には、薄膜成長の下地となるn形ZnOバルク単結晶基板(以下、単に「基板」とも称す)2を保持する専用の基板マスク3と、基板2を加熱するためのヒータ1を取り付けてあり、基板温度を確認するための温度センサ11を備えている。
【0022】
ベルジャ10内にはまた、亜鉛ZnとマグネシウムMgを供給するルツボ6が設けられ、そのルツボ6にはそれを加熱しMgxZn1-x(ただし、0≦x≦1)合金を蒸発させるためのルツボヒータ8が取り付けられており、その加熱温度を確認するための温度センサ12も備えている。
さらに、ルツボ6の上方にはシャッタ5を備えており、そのシャッタ5とルツボ6との間にプラズマ発生用コイル4を配置し、ベルジャ10外に設けた図示しない高周波電源によって高周波電流が流されるようになっている。
【0023】
〔MgaZn1-aO単結晶薄膜の成膜工程〕
次に、この反応性蒸着装置を使用して、n形ZnOバルク単結晶基板上にMgaZn1-aO単結晶薄膜を成膜する工程について、詳細に説明する。
原料のMgxZn1-x合金は純度99.99%以上の金属粒子を使用する。これより低い純度では不純物濃度が大きくなり、電気的特性や結晶性の劣化が起こる恐れがある。また、このMgxZn1-x合金の組成比は今回の実施例の場合、x=0.3とした。これにZn(純度99.9999%以上)を適当な量加えて融合し、組成比を調整する。
【0024】
ベルジャ10内は、図示していない真空ポンプにより薄膜作製時の真空状態に保たれる。ベルジャ10内での薄膜成長や真空度等については、図示していない制御パネルによって適宜制御される。また、プラズマ発生用のコイル4に供給する高周波(RF)電力の出力等も、同様に制御パネルによって適宜制御される。
【0025】
そしてまず、図1に示した反応性蒸着装置におけるベルジャ10内の所定の位置に、n形ZnOバルク単結晶基板2を亜鉛面が膜の付着面になるように専用の基板マスク3に取り付け、MgxZn1-x(ただし、0≦x≦1)合金(サイズ0.5〜5mm、純度99.99%以上)をルツボ6内に定量詰める。
【0026】
次に、反応性蒸着装置のベルジャ10内を真空ポンプにより、1.0〜4.0×10−4Pa(パスカル)程度まで真空状態に引く。真空度が低いと成膜した膜中の不純物の含有率が高くなり、また、原料分子が基板2に達するのに残留気体が邪魔になるため結晶性が悪くなる。
【0027】
その真空状態で基板加熱用ヒータ1によって基板2を成膜時の温度またはそれよりも高い温度に加熱して一定時間保持することによって、基板2の成膜面をサーマルクリーニングした後、基板2の加熱温度を成膜時温度に調整する。その成膜温度は300〜1000℃の間とする。300℃より低いと結晶性が著しく悪くなり、1000℃を超えると成膜できなくなる。
【0028】
このように基板2の加熱温度を成膜温度に調整した後、ルツボヒータ8に通電する図示しない電源をオンにし、ルツボ6内の蒸着材料であるMgxZn1-x合金を加熱して蒸発させる。ルツボ6の加熱温度は300〜700℃の間で行う。300℃より低いとZn及びMgが蒸発せず、また700℃より高い条件では成膜レートが高くなりすぎて、結晶性が著しく悪くなる。
【0029】
次に、もうひとつの原料である酸素(ボンベガス)を気体供給口7からベルジャ10内に導入し、高周波電源を起動してプラズマ発生用コイル4に高周波電力を印加して、高周波プラズマを発生させる。プラズマ出力は10〜250Wの間で行う。10Wより低いと成膜できず、また250Wより高いとプラズマによるダメージにより欠陥が発生する恐れがあるため好ましくない。
【0030】
ドーピングを行ってp形薄膜の成膜を行う場合は、ドーピング材である窒素あるいは窒素酸化物(N2O、NO、NO2など)のガス(ボンベガス)を酸素ガスに混入させて高周波プラズマ雰囲気でドーピングを行う。
ドープする窒素の濃度は、2×1017/cm3〜1021/cm3の範囲にするとよい。ドープする窒素の濃度の範囲を上記の範囲にする理由は、ドープする窒素の濃度がこれより大きくなると結晶性が悪くなり、逆に小さいとキャリア濃度が低くなってp形層の抵抗が高くなってしまうためである。
【0031】
酸素と窒素はマスフローで流量を制御し、ベルジャ10の内圧が1.0×10−2〜1.0Paになるように調整する。この圧力にするのは、成膜レートが高くかつ結晶性がよく、ドーピングもスムーズに行われる条件であり、1.0×10−2Paより低いと酸素及び窒素が少なくなるため、MgaZn1-aO が効率よく合成されず膜がうまくできないか、またはドーピング量が少なくなりp形の特性が出ない。また、1.0Paより大きい場合は、原料のZnおよびMgが酸化して反応が進まなくなる。
【0032】
酸素と窒素は分圧にて窒素:酸素=1:0.5〜5になるようにしてから、ルツボ6の上方のシャッタ5を開け、MgxZn1-x合金からなる蒸着材料を加熱して蒸発させ、高周波プラズマ雰囲気中に含まれる酸素及び窒素原子と基板2上で結合させ、窒素ドープのp形MgaZn1-aO(ただし、0≦a≦1)薄膜を成長させて成膜する。
酸素と窒素の分圧比を上記の範囲にする理由は、窒素の割合がこれより大きくなると結晶性が悪くなり、逆に小さいとキャリア濃度が低くなってp形層の抵抗が高くなってしまうためである。成膜時間は30〜180分の間とし、膜厚は0.2〜1.0μmとする。成膜時間はこの膜厚を得るために必要な時間である。
【0033】
成膜時間終了後、シャッタ5を閉め、ルツボ6と基板2の加熱を停止し、プラズマ発生用の高周波電源もOFFにし、酸素と窒素の導入も停止する。基板2及びルツボ6の温度が下がったところで、MgaZn1-aO単結晶薄膜が形成されたサンプルである基板2を取り出す。
このようにして、高品質なMgaZn1-aOの単結晶薄膜を容易に量産することができ、そのMg濃度も容易に制御できる。
【0034】
上述の実施例は、基板としてZnO単結晶基板のうちn形 ZnOバルク単結晶基板を使用した例であるが、p形ZnOバルク単結晶基板を使用しても、この発明による方法でMgaZn1-aO単結晶薄膜の成膜が可能である。また、前述したMgbZn1-bO(ただし、0<b≦1)単結晶基板や、ZnO単結晶あるいはAl2O3単結晶の上にMgaZn1-aO(ただし、0≦a≦1)のバッファ層を設けた基板などを使用しても、同様にその基板上にMgaZn1-aO単結晶薄膜を成膜することができる。
蒸着材料の合金も、上記実施例で使用したMgxZn1-x合金に限らず、種々の変更が可能である。
【0035】
〔作製したMgZnO膜の評価〕
上記の条件で成膜したMgaZn1-aO(ただし、0≦a≦1)膜(以下、「MgZnO膜」という)の評価を行った。
図2は、この発明によってZnO単結晶基板上に成膜したZnMgO薄膜のX線回折(XRD)逆格子空間マップの測定結果を示す。その測定にはPhilips社製の薄膜材料結晶性解析X線回折装置であるX’ pert MRDを使用した。
【0036】
この図2から分るように、基板であるZnOの(0002)面のピークP1と作製した薄膜であるZnMgOの(0002)面のピークP2が観察されている。スポットが扁平に伸びているのは装置の光学系の広がりのためである。ZnMgOの薄膜において他の配向面は観察されず、エピタキシャル成長しており、基板のZnO単結晶よりもわずかに広いピークとはなっているものの鋭いピークであり、結晶性は良好である。また、ZnO中にMgが取り込まれることにより、c軸長が小さくなっていることが分る。これより、取り込まれたMgはZnと置換し、六方晶のZnMgO混晶が形成されていることと考えられる。
図2において、平行四辺形の枠内が測定範囲を示しており、曲線はその測定結果を示している。また、横軸のQx、縦軸のはQyは逆格子単位(reciprocal lattice unit)×104〔rlu〕を示している。
【0037】
図3は、ZnO単結晶基板上に作製したZnMgO薄膜のX線回折(XRD)における2θ−ωスキャンの結果である。横軸は2θ(deg.)であり、縦軸はX線回折強度(Intensity)(a.u.)である。a.u.は任意単位でありX線回折強度の相対的な強度を示す。34.42 (deg.) のピークP1は基板であるZnOの (0002)面 のピークであり、34.46 (deg.) のピークP2は作製したZnMgOの薄膜のピークである。
【0038】
ZnMgOの薄膜において他の配向面は観察されず、エピタキシャル成長しており、基板のZnO単結晶よりもわずかに広いピークとはなっているものの鋭いピークであり、結晶性は良好である。また、ZnO中にMgが取り込まれることにより、c軸長が小さくなっている。これより、取り込まれたMgはZnと置換し、六方晶のZnMgO混晶が形成されていると考えられる。
【0039】
図4は、ZnO単結晶基板上に作製したZnMgO薄膜の原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)による表面観察を行った結果を示している。(a)は10×10 μm2の範囲で観察しており、(b)は2×2 μm2で観察している。自乗平均面粗さ(RMS:Root Mean Square)の値が約2nmであり、非常に平坦な表面を持つ薄膜が形成できている。このことから発光ダイオードやレーザーダイオードなどへの応用において積層構造の作製が可能である。
【0040】
図5は、ZnO単結晶とZnO単結晶基板上に作製したZnMgO薄膜の反射スペクトルを示す線図であり、横軸は光子エネルギー(Photon energy)(eV)、縦軸は反射率R(%.)である。この図5において、破線で示すZnO単結晶では光子エネルギーの約3.3 eVにバンド端の吸収が見られる。それに対して、実線で示すZnMgO薄膜においては基板であるZnO単結晶のバンド端の吸収とZnMgO薄膜のバンド端の吸収がそれぞれ光子エネルギーの約3.3 eVと3.37 eVに観察される。これより、ZnO中に取り込まれたMgはZnと置換し、六方晶のZnMgO混晶が形成されてバンドギャップが約70 meV大きくなっていると考えられる。
【0041】
図6は、ZnO単結晶とZnO単結晶基板上に作製したZnMgO薄膜の低温(5K)におけるホトルミネッセンススペクトルであり、横軸は光子エネルギー(Photon energy)(eV)、縦軸は発光強度(PL intensity)(a.u.)である。
この図6から判るように、線bで示すZnO単結晶では光子エネルギーが3.36 eV付近にシャープで強いドナー束縛励起子発光が観察される。それに対して、線aで示すZnMgO薄膜においては基板であるZnO単結晶のシャープなドナー束縛励起子発光とZnMgO薄膜におけるブロードなドナー束縛励起子発光がそれぞれ光子エネルギーが3.36 eV付近と3.40 eV付近に観察され、約40 meV大きくなっていると考えられる。
これより、ZnO中に取り込まれたMgはZnと置換し、六方晶のZnMgO混晶が形成されてバンドギャップが約40 meV大きくなっていると考えられる。
【0042】
図7は、ZnO単結晶基板上に作製したZnMgO薄膜のMg濃度(Mg contents )(at%)とバンドギャップエネルギーEg(eV)の関係を示したグラフである。Mg濃度が0 at%のバンドギャップエネルギーが3.30 eVなのに対し、2.6 at%ではバンドギャップエネルギーが3.52 eVであり、Mgの濃度が大きくなるにつれてバンドギャップエネルギーが大きくなっていることが分る。これより、ZnO中に取り込まれたMgはZnと置換し、六方晶のZnMgO混晶が形成されてバンドギャップが約220 meV大きくなっていると考えられる。
また、この値はベガード則にほぼ従っておりMgの濃度を増加させると図に点線で示したようにバンドギャップの値が増大すると考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
この発明は、高品質でMg濃度を容易に制御できる量産性に優れたMgaZn1-aO(ただし、0≦a≦1)の単結晶薄膜の製造方法を提供する。この製造方法により作製できるMgaZn1-aO(ただし、0≦a≦1)の単結晶薄膜は発光ダイオードや半導体レーザ素子、及びそれを利用する各種表示装置やプリンタなど、紫外線を発生したりそれを使用する装置等の広範な用途に利用可能である。また、紫外線センサなどの受光素子としても利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】この発明によるMgaZn1-aO(ただし、0≦a≦1)の単結晶薄膜の製造に使用する装置の模式図である。
【図2】この発明によりZnO単結晶基板上に作製したZnMgO薄膜のX線回折(XRD)逆格子空間マップ測定結果の図である。
【図3】この発明によりZnO単結晶基板上に作製したZnMgO薄膜のXRDにおける2θ−ωスキャンの結果の線図である。
【図4】この発明によりZnO単結晶基板上に作製したZnMgO薄膜のAFMによる表面観察を行った結果を示す図である。
【図5】この発明によりZnO単結晶とZnO単結晶基板上に作製したZnMgO薄膜の反射スペクトルを示す線図である。
【図6】この発明によりZnO単結晶とZnO単結晶基板上に作製したZnMgO薄膜のホトルミネッセンススペクトルである。
【図7】この発明によりZnO単結晶基板上に作製したZnMgO薄膜のMg濃度とバンドギャップエネルギーの関係を示す線図である。
【符号の説明】
【0045】
1:基板加熱用ヒータ 2:基板 3:基板マスク
4:プラズマ発生用コイル 5:シャッタ 6:ルツボ
7:気体供給口 8:ルツボヒータ 9:排気口
10:ベルジャ 11,12:温度センサ
【技術分野】
【0001】
この発明は、MgaZn1-aO(ただし、0≦a≦1)単結晶薄膜の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
MgaZn1-aO(ただし、0≦a≦1)は、亜鉛ZnとマグネシウムMgの割合により、バンドギャップエネルギーを約3.3〜7.8eVに制御できる半導体である。また、励起子結合エネルギーが60〜115meVと極めて高く、原材料が安価であり、環境や人体に無害であるなどの特徴を有し、高効率・低消費電力で環境性に優れた紫外線から青色光の発光デバイスに応用できる可能性がある材料である。
【0003】
MgaZn1-aO(ただし、0≦a≦1)は多くの研究者により研究が行われている。MgZnOの主な作製方法は、PLD法(パルスレーザ堆積法)やMBE(分子線エピタキシー)法などであり、非特許文献1〜4などに記載されている。
非特許文献1ではMBE法によってMgOバッファ層をc-Al2O3上に設けた基板を用いて作製したZnMgO薄膜の微細構造を報告している。
【0004】
非特許文献2ではPLD法によって抵抗率が10−3 Ωcm以下のAlドープMgZnO薄膜のバンドギャップエネルギーを3.5〜3.97 eVの範囲で制御できたことを報告している。非特許文献3ではMBE法によってZnMgOのホトルミネッセンスのドナー束縛励起子発光の光子エネルギーを3.360 eV〜3.686 eVの範囲で制御できたことを報告している。
非特許文献4では、PLD法によってZnMgOのバンドギャップエネルギーを約3.3〜4.15 eVの範囲で制御できたことを報告している。
【0005】
【非特許文献1】Z. Vashaei、外4名、“A high-resolution electron microscopy study of MgxZn1-xO films grown on MgO/c-sapphire ”、phys. stat. sol. (c)3、2006年、第4号、p.1042−1045
【非特許文献2】K. Matsubara、外6名、“Band-gap modified Al-doped Zn1-xMgxO transparent conducting films deposited by pulsed laser deposition”、APPLIFD PHYSICS LETTERS、2004年8月32日、第85巻、第8号、p.1374−1376
【非特許文献3】K. Ogata、外7名、“ZnO and ZnMgO growth on a-plane sapphire by molecular beam epitaxy”Journal of Crystal Growth 251、2003年、p.623−627.
【非特許文献4】A. Ohtomo、外8名、“MgxZn1-xO as a II-VI widegap semiconductor alloy”、APPLIFD PHYSICS LETTERS、1998年5月11日、第72巻、第19号、. p.2466−2468.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、PLD法やMBE法では装置コストが高く、しかも大面積の薄膜形成が困難であるなど、工業的な量産化には困難な点が多い。また、PLD法では作製する膜の不純物濃度は原料となるターゲットの純度に依存するため、不純物濃度の極めて低い薄膜の形成は困難であった。そして、ZnMgO薄膜中のMgの濃度はターゲットに依存するため、Mgの濃度を制御するためにはそれぞれMg濃度が異なるターゲットを用意しなくてはならない。そのため、ZnMgO薄膜を用いた素子の量産は非常に難しく、実現されていない。また、高品質なZnO薄膜と比較し、それと同等のZnMgO薄膜が得られたという報告もほとんどない。
【0007】
この発明は、上述のような状況に鑑みてなされたものであり、高品質でMg濃度を容易に制御できるMgaZn1-aO(ただし、0≦a≦1)の単結晶薄膜を容易に量産できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明によるMgaZn1-aO単結晶薄膜の作製方法は、上記の目的を達成するため、基板を用意し、所定の雰囲気中でルツボ内の合金からなる蒸着材料を加熱して蒸発させ、それを上記所定の雰囲気中に含まれる原子と上記基板上にて結合させ、MgaZn1-aO(ただし、0≦a≦1)薄膜を成長させて成膜することを特徴とする。
上記所定の雰囲気を、ベルジャ内に酸素を導入し、圧力を0.01〜1Paに制御して発生させた高周波プラズマにより形成するとよい。
【0009】
上記合金からなる蒸着材料は、MgxZn1-x(ただし、0≦x≦1)を使用するとよい。そのMgxZn1-xに少量のZnを加えて融合することによりその組成比を調整することもできる。
この場合、作製した膜のキャリア濃度は成膜時に酸素流量、プラズマ出力、および基板温度を制御することにより、1015/cm3〜1020/cm3の範囲においてキャリア濃度を制御できる。
【0010】
また、この発明によりp形のMgaZn1-aO単結晶薄膜を作製する場合は、ZnO系単結晶からなる基板を用意し、窒素あるいは窒素酸化物を含む酸素ガスからなる高周波プラズマ雰囲気中で、ルツボ内のMgxZn1-x(ただし、0≦x≦1)合金からなる蒸着材料を加熱して蒸発させ、上記高周波プラズマ雰囲気中に含まれる酸素及び窒素原子と結合させ、上記基板上に窒素ドープのp形MgaZn1-aO(ただし、0≦a≦1)薄膜を成長させて成膜するとよい。この場合、ドープする窒素の濃度を、2×1017/cm3〜1021/cm3にするのが好ましい。
【0011】
いずれの場合も、上記基板としては、ZnO単結晶基板、MgbZn1-bO(ただし、0<b≦1)単結晶基板、ZnO単結晶あるいはAl2O3単結晶の上に、MgaZn1-aO(ただし、0≦a≦1)バッファ層を設けた基板のいずれかを使用するとよい。
また、その基板を300℃〜1000℃に加熱して成膜するのが望ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明によるMgaZn1-aO単結晶薄膜の製造方法を実施するための最良の形態を説明する。
〔実施形態の概要〕
まず、この発明によるMgaZn1-aO単結晶薄膜の作製方法の実施形態の概要を説明する。
以下に説明する実施の形態においては、ZnO薄膜の作製において実績のある、例えば特許第3945782号公報に記載されているようなプラズマアシスト付きの反応性蒸着法を用いる。
【0013】
この反応性蒸着法はMBE法やPLD法と比べて装置が簡素であり、装置コストが安価である。また、真空蒸着法をベースにした方法であるため、大面積の成膜が容易であり、量産化しやすい方法である。
基板にはZnOバルク単結晶基板を用いる。MgaZn1-aOはZnOと格子定数が殆ど変わらないため、高品質の薄膜を形成することが可能であり、熱膨張係数も近いため、温度の変化により発生する歪みを抑制することも可能である。近年大型のZnOバルク単結晶が育成可能になっているので入手が容易になった。また、将来的にコストが安くなると考えられる。
【0014】
通常、ZnOバルク単結晶は抵抗率が100Ω・cm以上であるが、ZnO単結晶育成の際にドナー不純物(Al、Fe、Gaの単独あるいはそれらの組み合わせ)を、1.0×1017/cm3以上ドーピングすることによって、結晶性に優れ移動度が高く、基板の抵抗率を0.5Ω・cm以下にすることが可能なため、導電性基板として使用可能である。
また、ZnO単結晶基板の代わりにMgbZn1-bO(ただし、0<b≦1)単結晶基板を用いることにより格子定数や熱膨張係数のずれも解消できるため、発生する歪みもさらに抑制することが可能であり、より好ましい。
【0015】
基板にAl2O3単結晶基板を用いることもできるが、その場合には、MgaZn1-aO(ただし、0≦a≦1)とMgaZn1-aOは格子定数が大きく異なり、熱膨張係数も異なる。そこで、結晶性の良好な成長層を得るため、Al2O3単結晶上にMgaZn1-aO(ただし、0≦a≦1)のバッファ層を設けるのが望ましい。また、ZnO単結晶基板を用いる場合でも、そのZnO単結晶上にMgaZn1-aOバッファ層を設けるとよい。
【0016】
薄膜の金属原料にはMgxZn1-x (ただし、0≦x≦1)合金を使用するとよい。これにより原料であるMgxZn1-x におけるマグネシウムMgの割合を変えることにより、MgaZn1-aO の組成制御を容易に行うことが可能である。さらにMgxZn1-x に亜鉛Znを少量加え、真空にしたチャンバ内にて融合することにより、組成比の異なる合金を用意することなく、簡単に組成比を詳細に制御することも可能である。そして、純粋な金属Mgではなく、この合金を使用することにより、Mgの発火性、潮解性を抑制できるため、原料の取り扱いが容易になる。
【0017】
MgaZn1-aO はZnOと同じく、n形になりやすい性質がある。その原因は十分に酸化しても過剰のZnが格子間原子として存在し、同時に電子を放出するドナーとして働くからであると考えられている。そのため、成膜時に酸素流量、プラズマ出力、および基板温度を制御することにより、1015/cm3〜1020/cm3の範囲でキャリア濃度を制御できる。今回の実施例の場合ではホール効果測定の結果よりキャリア濃度は4.37×1017/cm3であった。
【0018】
なお、1015/cm3よりも低いキャリア濃度では抵抗が非常に高くなってしまい、1020/cm3よりも高いキャリア濃度ではトンネル効果が生じる恐れがあるため、うまく接合を作製できない可能性があり好ましくない。
このように、反応性蒸着法でMgaZn1-aO薄膜を作製した研究はこれまで報告されておらず、特に原料にMgxZn1-xを用いたという報告もない。
【0019】
〔使用する反応性蒸着装置〕
図1に、この発明の方法によってMgaZn1-aO単結晶薄膜を製造するために使用するプラズマアシスト付きの反応性蒸着法を用いた結晶成長装置(以下、「反応性蒸着装置」という)を示す。
【0020】
この反応性蒸着装置は、気体供給口7と排気口9を有するベルジャ10と、その排気口9からベルジャ10内の気体を排気してベルジャ内を真空状態に保つ図示していない真空ポンプを含む。気体供給口7からは酸素と窒素をベルジャ10内に導入する。
ベルジャ10内に導入する原料ガスは、酸素ガスではG3グレード以上のボンベガス(純度99.9%以上)を、窒素ガスも同様にG3グレード以上のボンベガス(純度99.9995%以上)を使用する。これより下のグレードでは不純物濃度が大きくなり、電気的特性や結晶性の劣化が起こる恐れがある。
【0021】
ベルジャ10内には、薄膜成長の下地となるn形ZnOバルク単結晶基板(以下、単に「基板」とも称す)2を保持する専用の基板マスク3と、基板2を加熱するためのヒータ1を取り付けてあり、基板温度を確認するための温度センサ11を備えている。
【0022】
ベルジャ10内にはまた、亜鉛ZnとマグネシウムMgを供給するルツボ6が設けられ、そのルツボ6にはそれを加熱しMgxZn1-x(ただし、0≦x≦1)合金を蒸発させるためのルツボヒータ8が取り付けられており、その加熱温度を確認するための温度センサ12も備えている。
さらに、ルツボ6の上方にはシャッタ5を備えており、そのシャッタ5とルツボ6との間にプラズマ発生用コイル4を配置し、ベルジャ10外に設けた図示しない高周波電源によって高周波電流が流されるようになっている。
【0023】
〔MgaZn1-aO単結晶薄膜の成膜工程〕
次に、この反応性蒸着装置を使用して、n形ZnOバルク単結晶基板上にMgaZn1-aO単結晶薄膜を成膜する工程について、詳細に説明する。
原料のMgxZn1-x合金は純度99.99%以上の金属粒子を使用する。これより低い純度では不純物濃度が大きくなり、電気的特性や結晶性の劣化が起こる恐れがある。また、このMgxZn1-x合金の組成比は今回の実施例の場合、x=0.3とした。これにZn(純度99.9999%以上)を適当な量加えて融合し、組成比を調整する。
【0024】
ベルジャ10内は、図示していない真空ポンプにより薄膜作製時の真空状態に保たれる。ベルジャ10内での薄膜成長や真空度等については、図示していない制御パネルによって適宜制御される。また、プラズマ発生用のコイル4に供給する高周波(RF)電力の出力等も、同様に制御パネルによって適宜制御される。
【0025】
そしてまず、図1に示した反応性蒸着装置におけるベルジャ10内の所定の位置に、n形ZnOバルク単結晶基板2を亜鉛面が膜の付着面になるように専用の基板マスク3に取り付け、MgxZn1-x(ただし、0≦x≦1)合金(サイズ0.5〜5mm、純度99.99%以上)をルツボ6内に定量詰める。
【0026】
次に、反応性蒸着装置のベルジャ10内を真空ポンプにより、1.0〜4.0×10−4Pa(パスカル)程度まで真空状態に引く。真空度が低いと成膜した膜中の不純物の含有率が高くなり、また、原料分子が基板2に達するのに残留気体が邪魔になるため結晶性が悪くなる。
【0027】
その真空状態で基板加熱用ヒータ1によって基板2を成膜時の温度またはそれよりも高い温度に加熱して一定時間保持することによって、基板2の成膜面をサーマルクリーニングした後、基板2の加熱温度を成膜時温度に調整する。その成膜温度は300〜1000℃の間とする。300℃より低いと結晶性が著しく悪くなり、1000℃を超えると成膜できなくなる。
【0028】
このように基板2の加熱温度を成膜温度に調整した後、ルツボヒータ8に通電する図示しない電源をオンにし、ルツボ6内の蒸着材料であるMgxZn1-x合金を加熱して蒸発させる。ルツボ6の加熱温度は300〜700℃の間で行う。300℃より低いとZn及びMgが蒸発せず、また700℃より高い条件では成膜レートが高くなりすぎて、結晶性が著しく悪くなる。
【0029】
次に、もうひとつの原料である酸素(ボンベガス)を気体供給口7からベルジャ10内に導入し、高周波電源を起動してプラズマ発生用コイル4に高周波電力を印加して、高周波プラズマを発生させる。プラズマ出力は10〜250Wの間で行う。10Wより低いと成膜できず、また250Wより高いとプラズマによるダメージにより欠陥が発生する恐れがあるため好ましくない。
【0030】
ドーピングを行ってp形薄膜の成膜を行う場合は、ドーピング材である窒素あるいは窒素酸化物(N2O、NO、NO2など)のガス(ボンベガス)を酸素ガスに混入させて高周波プラズマ雰囲気でドーピングを行う。
ドープする窒素の濃度は、2×1017/cm3〜1021/cm3の範囲にするとよい。ドープする窒素の濃度の範囲を上記の範囲にする理由は、ドープする窒素の濃度がこれより大きくなると結晶性が悪くなり、逆に小さいとキャリア濃度が低くなってp形層の抵抗が高くなってしまうためである。
【0031】
酸素と窒素はマスフローで流量を制御し、ベルジャ10の内圧が1.0×10−2〜1.0Paになるように調整する。この圧力にするのは、成膜レートが高くかつ結晶性がよく、ドーピングもスムーズに行われる条件であり、1.0×10−2Paより低いと酸素及び窒素が少なくなるため、MgaZn1-aO が効率よく合成されず膜がうまくできないか、またはドーピング量が少なくなりp形の特性が出ない。また、1.0Paより大きい場合は、原料のZnおよびMgが酸化して反応が進まなくなる。
【0032】
酸素と窒素は分圧にて窒素:酸素=1:0.5〜5になるようにしてから、ルツボ6の上方のシャッタ5を開け、MgxZn1-x合金からなる蒸着材料を加熱して蒸発させ、高周波プラズマ雰囲気中に含まれる酸素及び窒素原子と基板2上で結合させ、窒素ドープのp形MgaZn1-aO(ただし、0≦a≦1)薄膜を成長させて成膜する。
酸素と窒素の分圧比を上記の範囲にする理由は、窒素の割合がこれより大きくなると結晶性が悪くなり、逆に小さいとキャリア濃度が低くなってp形層の抵抗が高くなってしまうためである。成膜時間は30〜180分の間とし、膜厚は0.2〜1.0μmとする。成膜時間はこの膜厚を得るために必要な時間である。
【0033】
成膜時間終了後、シャッタ5を閉め、ルツボ6と基板2の加熱を停止し、プラズマ発生用の高周波電源もOFFにし、酸素と窒素の導入も停止する。基板2及びルツボ6の温度が下がったところで、MgaZn1-aO単結晶薄膜が形成されたサンプルである基板2を取り出す。
このようにして、高品質なMgaZn1-aOの単結晶薄膜を容易に量産することができ、そのMg濃度も容易に制御できる。
【0034】
上述の実施例は、基板としてZnO単結晶基板のうちn形 ZnOバルク単結晶基板を使用した例であるが、p形ZnOバルク単結晶基板を使用しても、この発明による方法でMgaZn1-aO単結晶薄膜の成膜が可能である。また、前述したMgbZn1-bO(ただし、0<b≦1)単結晶基板や、ZnO単結晶あるいはAl2O3単結晶の上にMgaZn1-aO(ただし、0≦a≦1)のバッファ層を設けた基板などを使用しても、同様にその基板上にMgaZn1-aO単結晶薄膜を成膜することができる。
蒸着材料の合金も、上記実施例で使用したMgxZn1-x合金に限らず、種々の変更が可能である。
【0035】
〔作製したMgZnO膜の評価〕
上記の条件で成膜したMgaZn1-aO(ただし、0≦a≦1)膜(以下、「MgZnO膜」という)の評価を行った。
図2は、この発明によってZnO単結晶基板上に成膜したZnMgO薄膜のX線回折(XRD)逆格子空間マップの測定結果を示す。その測定にはPhilips社製の薄膜材料結晶性解析X線回折装置であるX’ pert MRDを使用した。
【0036】
この図2から分るように、基板であるZnOの(0002)面のピークP1と作製した薄膜であるZnMgOの(0002)面のピークP2が観察されている。スポットが扁平に伸びているのは装置の光学系の広がりのためである。ZnMgOの薄膜において他の配向面は観察されず、エピタキシャル成長しており、基板のZnO単結晶よりもわずかに広いピークとはなっているものの鋭いピークであり、結晶性は良好である。また、ZnO中にMgが取り込まれることにより、c軸長が小さくなっていることが分る。これより、取り込まれたMgはZnと置換し、六方晶のZnMgO混晶が形成されていることと考えられる。
図2において、平行四辺形の枠内が測定範囲を示しており、曲線はその測定結果を示している。また、横軸のQx、縦軸のはQyは逆格子単位(reciprocal lattice unit)×104〔rlu〕を示している。
【0037】
図3は、ZnO単結晶基板上に作製したZnMgO薄膜のX線回折(XRD)における2θ−ωスキャンの結果である。横軸は2θ(deg.)であり、縦軸はX線回折強度(Intensity)(a.u.)である。a.u.は任意単位でありX線回折強度の相対的な強度を示す。34.42 (deg.) のピークP1は基板であるZnOの (0002)面 のピークであり、34.46 (deg.) のピークP2は作製したZnMgOの薄膜のピークである。
【0038】
ZnMgOの薄膜において他の配向面は観察されず、エピタキシャル成長しており、基板のZnO単結晶よりもわずかに広いピークとはなっているものの鋭いピークであり、結晶性は良好である。また、ZnO中にMgが取り込まれることにより、c軸長が小さくなっている。これより、取り込まれたMgはZnと置換し、六方晶のZnMgO混晶が形成されていると考えられる。
【0039】
図4は、ZnO単結晶基板上に作製したZnMgO薄膜の原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)による表面観察を行った結果を示している。(a)は10×10 μm2の範囲で観察しており、(b)は2×2 μm2で観察している。自乗平均面粗さ(RMS:Root Mean Square)の値が約2nmであり、非常に平坦な表面を持つ薄膜が形成できている。このことから発光ダイオードやレーザーダイオードなどへの応用において積層構造の作製が可能である。
【0040】
図5は、ZnO単結晶とZnO単結晶基板上に作製したZnMgO薄膜の反射スペクトルを示す線図であり、横軸は光子エネルギー(Photon energy)(eV)、縦軸は反射率R(%.)である。この図5において、破線で示すZnO単結晶では光子エネルギーの約3.3 eVにバンド端の吸収が見られる。それに対して、実線で示すZnMgO薄膜においては基板であるZnO単結晶のバンド端の吸収とZnMgO薄膜のバンド端の吸収がそれぞれ光子エネルギーの約3.3 eVと3.37 eVに観察される。これより、ZnO中に取り込まれたMgはZnと置換し、六方晶のZnMgO混晶が形成されてバンドギャップが約70 meV大きくなっていると考えられる。
【0041】
図6は、ZnO単結晶とZnO単結晶基板上に作製したZnMgO薄膜の低温(5K)におけるホトルミネッセンススペクトルであり、横軸は光子エネルギー(Photon energy)(eV)、縦軸は発光強度(PL intensity)(a.u.)である。
この図6から判るように、線bで示すZnO単結晶では光子エネルギーが3.36 eV付近にシャープで強いドナー束縛励起子発光が観察される。それに対して、線aで示すZnMgO薄膜においては基板であるZnO単結晶のシャープなドナー束縛励起子発光とZnMgO薄膜におけるブロードなドナー束縛励起子発光がそれぞれ光子エネルギーが3.36 eV付近と3.40 eV付近に観察され、約40 meV大きくなっていると考えられる。
これより、ZnO中に取り込まれたMgはZnと置換し、六方晶のZnMgO混晶が形成されてバンドギャップが約40 meV大きくなっていると考えられる。
【0042】
図7は、ZnO単結晶基板上に作製したZnMgO薄膜のMg濃度(Mg contents )(at%)とバンドギャップエネルギーEg(eV)の関係を示したグラフである。Mg濃度が0 at%のバンドギャップエネルギーが3.30 eVなのに対し、2.6 at%ではバンドギャップエネルギーが3.52 eVであり、Mgの濃度が大きくなるにつれてバンドギャップエネルギーが大きくなっていることが分る。これより、ZnO中に取り込まれたMgはZnと置換し、六方晶のZnMgO混晶が形成されてバンドギャップが約220 meV大きくなっていると考えられる。
また、この値はベガード則にほぼ従っておりMgの濃度を増加させると図に点線で示したようにバンドギャップの値が増大すると考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
この発明は、高品質でMg濃度を容易に制御できる量産性に優れたMgaZn1-aO(ただし、0≦a≦1)の単結晶薄膜の製造方法を提供する。この製造方法により作製できるMgaZn1-aO(ただし、0≦a≦1)の単結晶薄膜は発光ダイオードや半導体レーザ素子、及びそれを利用する各種表示装置やプリンタなど、紫外線を発生したりそれを使用する装置等の広範な用途に利用可能である。また、紫外線センサなどの受光素子としても利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】この発明によるMgaZn1-aO(ただし、0≦a≦1)の単結晶薄膜の製造に使用する装置の模式図である。
【図2】この発明によりZnO単結晶基板上に作製したZnMgO薄膜のX線回折(XRD)逆格子空間マップ測定結果の図である。
【図3】この発明によりZnO単結晶基板上に作製したZnMgO薄膜のXRDにおける2θ−ωスキャンの結果の線図である。
【図4】この発明によりZnO単結晶基板上に作製したZnMgO薄膜のAFMによる表面観察を行った結果を示す図である。
【図5】この発明によりZnO単結晶とZnO単結晶基板上に作製したZnMgO薄膜の反射スペクトルを示す線図である。
【図6】この発明によりZnO単結晶とZnO単結晶基板上に作製したZnMgO薄膜のホトルミネッセンススペクトルである。
【図7】この発明によりZnO単結晶基板上に作製したZnMgO薄膜のMg濃度とバンドギャップエネルギーの関係を示す線図である。
【符号の説明】
【0045】
1:基板加熱用ヒータ 2:基板 3:基板マスク
4:プラズマ発生用コイル 5:シャッタ 6:ルツボ
7:気体供給口 8:ルツボヒータ 9:排気口
10:ベルジャ 11,12:温度センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を用意し、所定の雰囲気中でルツボ内の合金からなる蒸着材料を加熱して蒸発させ、前記所定の雰囲気中に含まれる原子と結合させ、前記基板上にMgaZn1-aO(ただし、0≦a≦1)薄膜を成長させて成膜することを特徴とするMgaZn1-aO単結晶薄膜の作製方法。
【請求項2】
前記所定の雰囲気は、ベルジャ内に酸素を導入し、圧力を0.01〜1Paに制御して発生させた高周波プラズマにより形成されることを特徴とする請求項1記載のMgaZn1-aO単結晶薄膜の作製方法。
【請求項3】
前記合金からなる蒸着材料は、MgxZn1-x(ただし、0≦x≦1)であることを特徴とする請求項1又は2に記載のMgaZn1-aO単結晶薄膜の作製方法。
【請求項4】
前記合金からなる蒸着材料はMgxZn1-x(ただし、0≦x≦1)に少量のZnを加えて融合することによりその組成比を調整した合金であることを特徴とする請求項1又は2に記載のMgaZn1-aO単結晶薄膜の作製方法。
【請求項5】
前記基板はZnO単結晶基板であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のMgaZn1-aO単結晶薄膜の作製方法。
【請求項6】
前記基板はMgbZn1-bO(ただし、0<b≦1)単結晶基板であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のMgaZn1-aO単結晶薄膜の作製方法。
【請求項7】
前記基板は、ZnO単結晶あるいはAl2O3単結晶の上に、MgaZn1-aO(ただし、0≦a≦1)バッファ層を設けた基板であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のMgaZn1-aO単結晶薄膜の作製方法。
【請求項8】
前記基板を300℃〜1000℃に加熱することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のMgaZn1-aO単結晶薄膜の作製方法。
【請求項9】
前記MgaZn1-aO(ただし、0≦a≦1)薄膜におけるキャリア濃度が1015/cm3〜1020/cm3であることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のMgaZn1-aO単結晶薄膜の作製方法。
【請求項10】
ZnO系単結晶からなる基板を用意し、窒素あるいは窒素酸化物を含む酸素ガスからなる高周波プラズマ雰囲気中で、ルツボ内のMgxZn1-x(ただし、0≦x≦1)合金からなる蒸着材料を加熱して蒸発させ、前記高周波プラズマ雰囲気中に含まれる酸素及び窒素原子と結合させ、前記基板上に窒素ドープのp形MgaZn1-aO(ただし、0≦a≦1)薄膜を成長させて成膜することを特徴とするMgaZn1-aO単結晶薄膜の作製方法。
【請求項11】
前記基板はZnO単結晶基板であることを特徴とする請求項10に記載のMgaZn1-aO単結晶薄膜の作製方法。
【請求項12】
前記基板はMgbZn1-bO(ただし、0<b≦1)単結晶基板であることを特徴とする請求項10に記載のMgaZn1-aO単結晶薄膜の作製方法。
【請求項13】
前記基板は、ZnO単結晶あるいはAl2O3単結晶の上に、MgaZn1-aO(ただし、0≦a≦1)のバッファ層を設けた基板であることを特徴とする請求項10記載のMgaZn1-aO単結晶薄膜の作製方法。
【請求項14】
前記基板を300℃〜1000℃に加熱することを特徴とする請求項10から13のいずれか一項に記載のMgaZn1-aO単結晶薄膜の作製方法。
【請求項15】
前記ドープする窒素の濃度が2×1017/cm3〜1021/cm3であることを特徴とする請求項10から14のいずれか一項にMgaZn1-aO単結晶薄膜の作製方法。
【請求項1】
基板を用意し、所定の雰囲気中でルツボ内の合金からなる蒸着材料を加熱して蒸発させ、前記所定の雰囲気中に含まれる原子と結合させ、前記基板上にMgaZn1-aO(ただし、0≦a≦1)薄膜を成長させて成膜することを特徴とするMgaZn1-aO単結晶薄膜の作製方法。
【請求項2】
前記所定の雰囲気は、ベルジャ内に酸素を導入し、圧力を0.01〜1Paに制御して発生させた高周波プラズマにより形成されることを特徴とする請求項1記載のMgaZn1-aO単結晶薄膜の作製方法。
【請求項3】
前記合金からなる蒸着材料は、MgxZn1-x(ただし、0≦x≦1)であることを特徴とする請求項1又は2に記載のMgaZn1-aO単結晶薄膜の作製方法。
【請求項4】
前記合金からなる蒸着材料はMgxZn1-x(ただし、0≦x≦1)に少量のZnを加えて融合することによりその組成比を調整した合金であることを特徴とする請求項1又は2に記載のMgaZn1-aO単結晶薄膜の作製方法。
【請求項5】
前記基板はZnO単結晶基板であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のMgaZn1-aO単結晶薄膜の作製方法。
【請求項6】
前記基板はMgbZn1-bO(ただし、0<b≦1)単結晶基板であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のMgaZn1-aO単結晶薄膜の作製方法。
【請求項7】
前記基板は、ZnO単結晶あるいはAl2O3単結晶の上に、MgaZn1-aO(ただし、0≦a≦1)バッファ層を設けた基板であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のMgaZn1-aO単結晶薄膜の作製方法。
【請求項8】
前記基板を300℃〜1000℃に加熱することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のMgaZn1-aO単結晶薄膜の作製方法。
【請求項9】
前記MgaZn1-aO(ただし、0≦a≦1)薄膜におけるキャリア濃度が1015/cm3〜1020/cm3であることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のMgaZn1-aO単結晶薄膜の作製方法。
【請求項10】
ZnO系単結晶からなる基板を用意し、窒素あるいは窒素酸化物を含む酸素ガスからなる高周波プラズマ雰囲気中で、ルツボ内のMgxZn1-x(ただし、0≦x≦1)合金からなる蒸着材料を加熱して蒸発させ、前記高周波プラズマ雰囲気中に含まれる酸素及び窒素原子と結合させ、前記基板上に窒素ドープのp形MgaZn1-aO(ただし、0≦a≦1)薄膜を成長させて成膜することを特徴とするMgaZn1-aO単結晶薄膜の作製方法。
【請求項11】
前記基板はZnO単結晶基板であることを特徴とする請求項10に記載のMgaZn1-aO単結晶薄膜の作製方法。
【請求項12】
前記基板はMgbZn1-bO(ただし、0<b≦1)単結晶基板であることを特徴とする請求項10に記載のMgaZn1-aO単結晶薄膜の作製方法。
【請求項13】
前記基板は、ZnO単結晶あるいはAl2O3単結晶の上に、MgaZn1-aO(ただし、0≦a≦1)のバッファ層を設けた基板であることを特徴とする請求項10記載のMgaZn1-aO単結晶薄膜の作製方法。
【請求項14】
前記基板を300℃〜1000℃に加熱することを特徴とする請求項10から13のいずれか一項に記載のMgaZn1-aO単結晶薄膜の作製方法。
【請求項15】
前記ドープする窒素の濃度が2×1017/cm3〜1021/cm3であることを特徴とする請求項10から14のいずれか一項にMgaZn1-aO単結晶薄膜の作製方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図4】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図4】
【公開番号】特開2009−196867(P2009−196867A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−42277(P2008−42277)
【出願日】平成20年2月23日(2008.2.23)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 研究集会名 平成19年度 電気関係学会東北支部連合大会 主催者 電気学会、電子情報通信学会、照明学会、日本音響学会 映像情報メディア学会、情報処理学会、電気設備学会の各東北支部 IEEE SENDAI SECTION 開催日 平成19年8月23日、24日
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【出願人】(504165591)国立大学法人岩手大学 (222)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月23日(2008.2.23)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 研究集会名 平成19年度 電気関係学会東北支部連合大会 主催者 電気学会、電子情報通信学会、照明学会、日本音響学会 映像情報メディア学会、情報処理学会、電気設備学会の各東北支部 IEEE SENDAI SECTION 開催日 平成19年8月23日、24日
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【出願人】(504165591)国立大学法人岩手大学 (222)
【Fターム(参考)】
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