説明

光モジュール

【課題】伝送速度が高いと共にコストが低い光モジュールを提供する。
【解決手段】本発明に係る光モジュールは、配線部を表面に有する搭載基板と光素子と、搭載基板の表面に水平な部分を含んで湾曲して形成される接続端子部を含むと共に光素子を搭載する素子搭載部とを有する光デバイスとを備え、接続端子の平行な部分と配線部とが接続部材を介して接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の高性能化に伴い、データ転送速度の向上、EMIノイズの低減等への対応を目的として、電気信号を光信号に置き換えてデータ伝送する技術が採用されている。そして、このような技術において、複数の電子機器間の光信号の伝送に発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)、レーザダイオード(Laser Diode:LD)等の光素子を用いた様々な光コネクタが提案されている。
【0003】
このような光コネクタとして、光ファイバの端面を保持するプラグコネクタと、透明樹脂で包まれている受発光素子を有する光トランシーバとが、光ファイバの端面と受発光素子との間に光伝導性部材を介して接続されると共に、受発光素子と基板とがリードフレームを介して接続され、リードフレームと基板とが導通可能に押圧される屈曲部を備える光コネクタについて提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載の光コネクタによれば、受発光素子を搭載するリードフレームに屈曲部を形成することにより、屈曲部と基板とを簡単に電気的に接続することができる。
【特許文献1】特開2003−195122号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、伝送速度が高いと共にコストが低い光モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、上記目的を達成するため、以下の光モジュールを提供する。
【0007】
(1)配線部を表面に有する搭載基板と光素子と、搭載基板の表面に水平な部分を含んで湾曲して形成される接続端子部を含むと共に光素子を搭載する素子搭載部とを有する光デバイスとを備え、接続端子の平行な部分と配線部とが接続部材を介して接続される光モジュール。
【0008】
(2)接続端子部は、搭載基板の表面の法線方向と水平な部分と、搭載基板の表面の法線方向と垂直な部分とを含んで湾曲して形成される上記(1)に記載の光モジュール。
【0009】
(3)光素子は、受発光する受発光面を有し、接続端子部は、受発光面が受発光する方向と同一方向に向けて湾曲して形成される上記(2)に記載の光モジュール。
【0010】
(4)光デバイスは、光デバイスを保持するケース部材に保持され、ケース部材に保持された光デバイスの接続端子の平行な部分と配線部とが接続部材を介して接続する上記(1)に記載の光モジュール。
【0011】
(5)ケース部材は、光デバイスを保持する光デバイス保持部と、光デバイスに光結合する光導波路を保持する光導波路保持部とを有する上記(4)に記載の光モジュール。
【0012】
(6)ケース部材は、搭載基板の表面と接する接触部を有する上記(4)に記載の光モジュール。
【0013】
また、本発明の他の態様は、上記目的を達成するため、以下の光モジュールを提供する。
【0014】
(7)複数の外部接続端子を有する搭載基板と、光素子と、光素子の動作を制御する制御部及び配線部を表面に有する実装済基板の表面に平行な部分を含んで湾曲して形成される接続端子部を有すると共に光素子を搭載する素子搭載部とを有する光デバイスとを備え、接続端子の平行な部分と配線部との間、及び実装済基板と複数の外部接続端子との間を接続部剤を用いて一括で接続して形成される光モジュール。
【0015】
(8)光デバイスは、光デバイスを保持するケース部材に保持され、ケース部材と複数の外部接続端子とが接続される上記(7)に記載の光モジュール。
【0016】
(9)ケース部材は、光デバイスを保持する光デバイス保持部と、光デバイスに光結合する光導波路を保持する光導波路保持部とを有する上記(8)に記載の光モジュール。
【0017】
(10)ケース部材は、搭載基板の表面と接する接触部を有する上記(7)から(9)のいずれか1項に記載の光モジュール。
【発明の効果】
【0018】
請求項1から請求項3に記載の光モジュールによれば、信号経路に分岐がないので高速な信号の伝送を実現することができると共に、接続端子部の長さを短くすることによる材料コストの低減を実現できる。
【0019】
請求項4及び請求項8に記載の光モジュールによれば、電磁ノイズの影響を低減することができる。
【0020】
請求項5及び請求項9に記載の光モジュールによれば、光素子と光導波路との位置決めを容易に実施できる。
【0021】
請求項6及び請求項10に記載の光モジュールによれば、接触部を用いて、ケース部材と搭載基板との間の正確な位置決めができる。
【0022】
請求項7に記載の光モジュールによれば、光デバイスと高速な信号伝送を要する制御部を有する実装済基板とを別々に搭載基板に固定することにより、信頼性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る光モジュールの断面図を示す。また、図2の(a)は、本発明の第1の実施の形態に係る光デバイスの正面図を示し、(b)は、光デバイス及び光ファイバを保持したケースの断面図を示す。
【0024】
(光モジュール1の構成)
第1の実施の形態に係る光モジュール1は、図1に示すように、受光素子又は発光素子としての光素子230を有する光デバイス20と、光素子230と光結合して光素子230が受発光する光を伝播する光ファイバ15と、光ファイバ15及び光デバイス20を保持するケース10と、光ファイバ15及び光デバイス20を保持したケース10と所定の電子部品とをそれぞれ搭載する搭載基板としての光デバイス搭載基板30とを備える。
【0025】
そして、光デバイス20が、素子搭載部としてのリードフレーム211aの接続端子部の一部としての接合部211dが配線層31に接続部材としての半田34を介して接続して光デバイス搭載基板30に固定される。この場合において、光デバイス20を保持したケース10は、ボス14を介して光デバイス搭載基板30に固定される。これにより、本実施の形態に係る光モジュール1が形成される。なお、光デバイス20を保持したケース10は、ボス14に設けられたねじ止め穴14aと光デバイス搭載基板30に設けられたねじ止め穴30Aとを介して、光デバイス搭載基板30にねじ36止めされる。
【0026】
(光デバイス搭載基板30の構造)
光デバイス搭載基板30は、上面視にて略四角形に形成される。光デバイス搭載基板30は、絶縁性を有する有機材料又は絶縁性を有する無機材料を含んで形成される。光デバイス搭載基板30は、一例として、ガラス繊維とエポキシ樹脂との複合材料、すなわち、ガラスエポキシ樹脂等の絶縁性材料から形成される。
【0027】
光デバイス搭載基板30は、その表面に配線部としての複数の配線層31を有すると共に、配線層31を有する面の反対側の面に複数の配線層32を有する。また、光デバイス搭載基板30は、所定の位置にねじ止め穴30Aと複数のスルーホール30Bとを有する。そして、複数のスルーホール30Bのそれぞれには、導電性材料から形成される導通部33が設けられる。更に、光デバイス搭載基板30は、配線層31上に半田34を介して信号処理IC40及び回路部品41を有する。また、光デバイス搭載基板30は、配線層32上に半田ボール35を有する場合もある。
【0028】
(配線層31、配線層32、及び導通部33)
配線層31は、光デバイス搭載基板30の一の表面上に所定の回路パターンを有して形成される。同様に、配線層32は、一の表面の反対側の他の表面上に所定の回路パターンを有して形成される。また、導通部33は、光デバイス搭載基板30の所定の位置に形成されたスルーホール30Bに導電性材料を充填して設けられる。配線層31、配線層32、及び導通部33はそれぞれ、導電性材料から形成され、一例として、銅等の金属材料を有して形成される。
【0029】
(信号処理用IC40)
光素子230の動作を制御する制御部としての信号処理用IC40は、発光素子又は受光素子としての光素子230の動作を制御する。具体的には、光デバイス20が発光素子を有する場合、信号処理用IC40は、発光素子を駆動する駆動回路としてのドライバーICの機能を有する。また、光デバイス20が受光素子を有する場合、信号処理用IC40は、受光素子が受光した光に基づいて、当該受光素子において光電変換された電気信号を増幅する増幅回路としてのレシーバICの機能を有する。
【0030】
(回路部品41)
回路部品41は、光モジュール1を用いた光通信の実施に要する抵抗器、コンデンサ、集積回路(IC)等の電子部品である。光モジュール1の動作に要求される所定の条件に基づいて、光デバイス搭載基板30の配線層31の上に半田34を介して回路部品41が適宜設けられる。
【0031】
(半田34、半田ボール35)
半田34は、複数の配線層31の上にそれぞれ設けられる。また、半田ボール35は、複数の配線層32の上にそれぞれ設けられる。半田ボール35は、略球形に形成される。半田34及び半田ボール35は、導電性を有する合金材料から形成され、例えば、Sn−Ag系の金属材料、Sn−Zn系の金属材料、Sn−In系の金属材料等の合金材料から形成される。
【0032】
(光デバイス20の構造)
図2(a)に示すように、光デバイス20は、受光又は発光する光素子230と、光素子230を搭載する素子搭載部としてのリードフレーム211aと、光素子230にワイヤ250を介して電気的に接続されるリードフレーム211bと、リードフレーム211aの一部及び光素子230を封止する光透過部210とを有する。
【0033】
(光素子230)
光素子230は、所定の波長の光を発する発光素子、又は所定の波長範囲の光に対して受光感度を有する受光素子である。光素子230が発光素子である場合、光素子230は、面発光型の発光ダイオード、又は面発光型半導体レーザダイオードである。本実施の形態においては、発光素子は面発光型半導体レーザダイオードである。また、光素子230が受光素子である場合、光素子230は、面型のフォトダイオードである。
【0034】
(発光素子としての光素子230)
具体的に、本実施の形態に係る発光素子としては、垂直共振器型面発光レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting Laser:VCSEL)を用いる。そして、光デバイス搭載基板30に設けられ、発光素子であるVCSELに電力を供給する配線層31は、リードフレーム211a又はリードフレーム211bの端部である接合部211dと電気的に接続する。なお、接合部211dと接続している配線層31は、光デバイス搭載基板30上に予め形成されている回路パターンを介して信号処理用IC40と電気信号的に接続される。これにより、信号処理用IC40と発光素子としての光素子230とが電気的に接続する。
【0035】
本実施の形態に係る発光素子としてのVCSELは、一例として、閾値電流が1mAであり、1.6Vから2.2Vの順電圧において、発光波長が840nmから860nmの範囲内、例えば、850nmに発光波長を有する。すなわち、発光素子は、近赤外領域(波長:700nmから1000nm)に発光波長を有する。また、本実施の形態に係る発光素子の応答速度は、2.5Gbpsである。
【0036】
また、本実施の形態に係る発光素子としてのVCSELは、III−V族化合物半導体積層構造を有する。例えば、VCSELは、n型GaAs基板の上に、n型下部反射鏡層としてのn型DBR(Distributed Bragg Reflector)層、活性層、電流狭窄層、p型上部反射鏡層としてのp型DBR層、p型コンタクト層がこの順に形成される。
【0037】
ここで、n型DBR層は、例えば、n型のAlGa1−xAs(0<x<1)を用いることができる。また、p型DBR層は、例えば、p型のAlGa1−xAs(0<x<1)を用いることができる。また、活性層は、i−GaAsのバルクの層、又は単一量子井戸層、若しくは多重量子井戸層から構成することができる。そして、電流狭窄層は、例えば、p型DBR層の所定の領域にプロトンを注入して高抵抗領域とすることにより形成できる。更に、p型コンタクト層は、例えば、所定濃度のp型ドーパントとしてのZnをドーピングしたGaAsから形成できる。
【0038】
n型GaAs基板のn型DBR層が形成されている面の反対側にはn型電極が形成され、p型コンタクト層の上にはp型電極が形成される。ここで、p型電極は、活性層の発光領域の直上に開口としての発光領域を有する。発光領域は上面視にて略円状に形成され、5μmから10μmの直径を有する。そして、発光領域から近赤外領域の光が出射される。なお、応答速度が10GbpsであるVCSELを発光素子として用いてもよい。
【0039】
(受光素子としての光素子230)
受光素子としての光素子230は、一例として、高速応答性に優れたGaAs系のフォトダイオードである。本実施の形態に係る受光素子としてのフォトダイオードは、PINフォトダイオードである。そして、光デバイス搭載基板30に設けられ、受光素子であるPINフォトダイオードに電力を供給する配線層31は、リードフレーム211a又はリードフレーム211bの端部である接合部211dと電気的に接続する。なお、接合部211dと接続している配線層31は、光デバイス搭載基板30上に予め形成されている回路パターンを介して信号処理用IC40と電気信号的に接続される。これにより、信号処理用IC40と受光素子としての光素子230とが電気的に接続する。
【0040】
本実施の形態に係る受光素子としてのPINフォトダイオードは、III−V族化合物半導体構造を有する。例えば、PINフォトダイオードは、GaAs基板上に、p型半導体層(p層)と、真性半導体層(i層)と、n型半導体層(n層)とが形成され、i層がp層とn層との間に形成されるPIN構造を有する。そして、PINフォトダイオードは、p層に接続されたp側電極と、n層に形成されたn側電極とを更に備え、n側電極は、所定の領域に開口としての受光領域を有する。PINフォトダイオードは、受光領域において光を受光する。ここで、PINフォトダイオードは、一例として、波長が850nmにおける感度が0.2(A/W)であり、受光領域の直径は、例えば約1mmである。
【0041】
本実施の形態に係る発光素子としての光素子230及び受光素子としての光素子230を形成するIII−V族化合物半導体積層構造は、例えば、有機金属化学気相成長法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:MOCVD)、分子線エピタキシー法(Molecular Beam Epitaxy:MBE)、ハライド気相エピタキシー法(Halide Vapor Phase Epitaxy:HVPE)等によって形成される。
【0042】
(光透過部210)
光透過部210は、光素子230及び光素子230を搭載している側のリードフレーム211aの一部を封止する。光透過部210は、光素子230が受発光する波長の光を透過する樹脂材料、又は低融点ガラスから形成される。光透過部210は、光素子230の受発光面の直上に、光素子230の光軸と光軸が一致するレンズ部210aと、レンズ部210aの周囲から光素子230の反対側に向かって所定の傾斜を有して形成されるテーパー部210bとを有する。テーパー部210bは、光素子230の受発光面の法線方向に沿って受発光面から離れるに従って、当該法線から離れる方向に傾斜して形成される。
【0043】
(リードフレーム211aの形状)
本実施の形態に係るリードフレーム211aは、その先端部分の接合部211dにおいて半田34を介して配線層31と電気信号的に接続する。この場合において、リードフレーム211aは、光デバイス搭載基板30の表面の法線方向と略水平な部分と光デバイス搭載基板30の表面の法線方向と略垂直な部分とを含んで形成される。具体的に、リードフレーム211aは、光デバイス搭載基板30の表面の法線方向と略水平な部分と光デバイス搭載基板30の表面の法線方向と略垂直な部分との間に所定の曲率を有する接続端子部としての湾曲部211cを有して形成される。
【0044】
より具体的に、リードフレーム211aは、リードフレーム211aの光素子230が搭載されている側と配線層31に接続する接合部211dの側との間に湾曲部211cを設けることによって形成される光デバイス搭載基板30の表面に略平行な部分、すなわち接合部211dを有する。更に、リードフレーム211aの湾曲部211cは、光素子230の受発光面が受発光する方向と同一の方向、つまり、光素子230の受発光面側に接合部211dが向くように湾曲されて形成される。換言すると、リードフレーム211aの先端部分が信号処理用IC40の側に向かうように、リードフレーム211aの中間部分が湾曲されて湾曲部211cが形成される。これにより、接合部211dと信号処理用IC40との間の距離が縮まる。
【0045】
本実施の形態においては、リードフレーム211aは湾曲部211cを有して、湾曲部211cの端部の接合部211dにおいて配線層31と接続する。したがって、リードフレーム211aが光デバイス搭載基板30を貫通することなしに、光デバイス20は光デバイス搭載基板30上に搭載されることになる。すなわち、リードフレーム211aを光デバイス搭載基板30のスルーホールに挿入して光デバイス20を光デバイス搭載基板30に固定する場合に比べて、本実施の形態に係る光デバイス20は、光素子230と信号処理用IC40との間の分岐点及び距離が低減された状態で、光デバイス搭載基板30に固定されることとなる。
【0046】
(ケース10の構造)
図2(b)に示すように、ケース部材としてのケース10は、光デバイス20を保持する光デバイス保持部としての光デバイス挿入部13と、光デバイス挿入部13の光デバイス20を挿入する側に形成される開口13aと、芯線部15aを保持する芯線挿入部12と、光導波路としての光ファイバ15を保持する光導波路保持部としての光ファイバ挿入部11と、開口部13aが形成されている側に設けられるボス14とを有する。なお、光ファイバ15は、芯線部15a及び芯線部15aを覆う被覆部15bを有する。
【0047】
(光デバイス挿入部13)
光デバイス挿入部13は、光デバイス20の光透過部210の外径形状に応じて形成される。そして、光デバイス挿入部13は、開口13aから挿入された光デバイス20を機械的に保持する。一例として、光デバイス20は凸部を有して形成することができ、光デバイス挿入部13は、当該凸部に対応した凹部を有して形成することができる。そして、光デバイス20の凸部と光デバイス挿入部13の凹部とが嵌め合わされることにより、光デバイス20が光デバイス挿入部13に固定される。
【0048】
(芯線挿入部12及び光ファイバ挿入部11)
芯線挿入部12は、光ファイバ15の芯線部15aの直径に応じて形成され、挿入された光ファイバ15の芯線部15aを保持する。また、光ファイバ挿入部11は、光ファイバ15の外径に応じて形成され、挿入された光ファイバ15を保持する。なお、芯線部15aは、所定の波長の光を伝播するコアと、コアの周囲を覆うクラッドとを含む。そして、光ファイバ15の端部の芯線部15aが露出している領域を除き、クラッドの外周には芯線部15aを保護する被覆部15bが設けられている。
【0049】
なお、光ファイバ15の芯線部15aの端部を、光透過部210のテーパー部210bの表面に突き合わせてもよい。これにより、光素子230の光軸と光ファイバ15の光軸とを所定の誤差範囲内において位置合わせすることができる。
【0050】
図3Aから図3Cは、本発明の第1の実施の形態に係る光モジュールの製造工程の流れを示す図である。
【0051】
図3A(a)に示すように、光ファイバ15の外径に応じて略円筒状に形成される光ファイバ挿入部11と、光ファイバ挿入部11に連続して芯線部15aの外径に応じて略円筒形状に設けられる芯線挿入部12と、光ファイバ15が光ファイバ挿入部11に挿入される方向と垂直方向に沿って開口13aを有して形成される光デバイス挿入部13と、開口13aが形成される側に設けられねじ止め穴14aを含む接触部としてのボス14とを有するケース10を準備する。なお、ケース10は、導電性又は絶縁性の有機材料、若しくは無機材料から形成する。
【0052】
次に、図3A(b)に示すように、リードフレーム211aの先端側を約90度の角度で光素子230の受発光面側に向けて湾曲させて形成された湾曲部211cを有する光デバイス20を、開口部13aに挿入する。そして、光デバイス20を光デバイス挿入部13において保持する。なお、この場合に、接合部211dの開口13aが形成されているケース10の表面からの距離と、開口13aが形成されているケース10の表面からボス14のねじ止め穴14aが形成されている側の面までの距離とが略等しくなるように湾曲部211cは形成される。
【0053】
次に、図3B(a)に示すように、光デバイス20を保持しているケース10を、予め信号処理用IC40及び回路部品41が所定の位置に配置されている光デバイス搭載基板30上に配置する。この場合に、ケース10のボス14のねじ止め穴14aと光デバイス搭載基板30のねじ止め穴30Aとが一致すると共に、リードフレーム211aの接合部211dが所定位置の配線層31に半田34を介して一致する位置に、光デバイス20を保持しているケース10を光デバイス搭載基板30上に配置する。これにより、ねじ止め穴14aが設けられているボス14の表面が光デバイス搭載基板30の表面に接触すると共に、接合部211dが半田34を介して配線層31に接触する。
【0054】
続いて、光デバイス20を保持したケース10が表面上に配置された光デバイス搭載基板30に、所定の雰囲気下、所定の温度、所定の時間のリフロー処理を施す。これにより、光デバイス20と、信号処理用IC40と、回路部品41とがそれぞれ、光デバイス搭載基板30に一括して固定される。なお、光モジュール1の小型化を目的として、信号処理用IC40をケース10の下部に配置することが望ましい。なお、光デバイス20はケース10に保持されているので、光デバイス20を保持したケース10は、光デバイス搭載基板30上に自立する。
【0055】
また、ボス14を光デバイス搭載基板30の表面に接触させた状態で、光デバイス20を保持したケース10と光デバイス搭載基板30とにリフロー処理を施すので、リフロー処理中に半田34が軟化しても、光デバイス20が倒れることが防止される。
【0056】
次に、図3B(b)に示すように、ねじ止め穴30Aにねじ36を挿入して、光デバイス搭載基板30とボス14とを固定する。なお、ねじ止め穴30Aの周囲にGNDパッドを形成することもできる。
【0057】
続いて、図3Cに示すように、光ファイバ15を光ファイバ挿入部11に挿入することにより、光モジュール1が形成される。なお、ケース10が、光ファイバ15及び光デバイス20を保持するので、光ファイバ15の光軸と光デバイス20の光軸との位置ずれの程度は、リフロー処理による影響を受けない。
【0058】
[第2の実施の形態]
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る光モジュールの断面を示す図である。
【0059】
第2の実施の形態に係る光モジュール2は、第1の実施の形態に係る光モジュール1とは、ケース10の外部をシールドケース50が覆っていることを除き、光モジュール1と略同一の構成を有する。したがって、相違点を除き詳細な説明は省略する。
【0060】
(光モジュール2の構成)
第2の実施の形態に係る光モジュール2は、図4に示すように、受光素子又は発光素子としての光素子230を有する光デバイス20と、光素子230と光結合して光素子230が受発光する光を伝播する光ファイバ15と、光ファイバ15及び光デバイス20を保持するケース10と、ケース10の外部を覆うシールドケース50と、ケース10及びシールドケース50と所定の電子部品とをそれぞれ搭載する光デバイス搭載基板30とを備える。
【0061】
(シールドケース50)
シールドケース50は、ケース10の外形形状に対応して、ケース10を外部から覆う形に形成される。また、シールドケース50は、シールドケース50の縁の一部に、光デバイス搭載基板30の外部接続端子としての配線層31と半田34を介して接続する保持部502を有する。シールドケース50は、電磁ノイズを低減することを目的として、アルミニウム、ステンレス等の金属材料から形成される。
【0062】
なお、第2の実施の形態に係るケース10は、光ファイバ挿入部11と連結している複数の貫通孔100を有する。また、第2の実施の形態においては、電磁ノイズを低減することを目的として、ケース10を導電性の樹脂材料から形成することが望ましい。この場合、ケース10は、例えば、所定の樹脂材料を用いて所定の形状を有する成形体に成形した後、成形後の成形体の表面に導電性材料を設けることにより形成することができる。
【0063】
図5A及び図5Bは、本発明の第2の実施の形態に係る光モジュールの製造工程の流れを示す図である。
【0064】
第2の実施の形態に係る光モジュール2の製造工程は、第1の実施の形態に係る光モジュール1とは、ケース10の外部をシールドケース50で覆うことを除き、光モジュール1の製造工程と略同一である。したがって、相違点を除き詳細な説明は省略する。
【0065】
図5A(a)に示すように、光デバイス20を保持したケース10と、シールドケース50とを準備する。そして、図5A(b)に示すように、光デバイス20を保持したケース10をシールドケース50内に組み込む。
【0066】
次に、図5B(a)に示すように、光デバイス20を保持したケース10を組み込んだシールドケース50の上下を反転させて、信号処理用IC40及び回路部品41を予め配置した光デバイス搭載基板30上に配置する。そして、図5B(b)に示すように、シールドケース50の縁の一部を孔としてのスルーホール30Bに挿入すると共に保持部502を光デバイス搭載基板30の所定の位置の配線層31上に半田34を介して接触させる。なお、スルーホール30Bは、ケース10の光ファイバ挿入部11の端部、すなわち、光ファイバ挿入部11の芯線挿入部12の反対側の端部の下方に形成される。シールドケース50が有するシールドケース50の一部としての保持部502が光デバイス搭載基板30の配線層31に半田34を介して接触することにより、シールドケース50は光デバイス搭載基板30上に自立する。
【0067】
この状態で、ケース10が組み込まれたシールドケース50が表面上に配置された光デバイス搭載基板30に、所定の雰囲気下、所定の温度、所定の時間のリフロー処理を施す。これにより、シールドケース50と光デバイスの接合部211dとが光デバイス搭載基板の所定の配線層31上に一括で固定される。なお、リフロー処理時の熱は、貫通孔100を介して信号処理用IC40及び接合部211d上に伝播する。光デバイス20を保持したケース10をシールドケース50に組み込むことにより、光デバイス20を保持したケース10がシールドケース50に支えられて光デバイス搭載基板30上に固定される。
【0068】
そして、図5B(b)に示すように、光ファイバ挿入部11に光ファイバ15が挿入されることにより、第2の実施の形態に係る光モジュール2が形成される。なお、第2の実施の形態に係るケース10は、第1の実施の形態に係るケース10と同様にボス14を有して形成することもできる。
【0069】
図6A及び図6Bは、本発明の第3の実施の形態に係る光モジュールの製造工程の流れを示す図である。
【0070】
第3の実施の形態に係る光モジュール2の製造工程は、第1の実施の形態に係る光モジュール1とは、ケース10の外部をシールドケース50で覆う点、及び高速の信号を処理する信号処理用IC40を実装済基板70に別途搭載する点を除き、光モジュール1の製造工程と略同一である。したがって、相違点を除き詳細な説明は省略する。
【0071】
図6A(a)に示すように、光デバイス20を保持したケース10と、シールドケース50とを準備して、シールドケース50に光デバイス20を保持したケース10を組み込む。更に、信号処理用IC40を予め実装している実装済基板70を準備する。第3の実施の形態に係る実装済基板70は、一の表面上に形成される配線部としての配線層74と、配線層74が形成される面の反対側の他の表面上に形成される配線層72と、配線層74上に設けられる半田34と、配線層72上に設けられる半田ボール35と、所定位置の配線層74上に固定される信号処理用IC40と、信号処理用IC40と電気的に接続する配線層74に電気的に接続する導通部73とを有する。
【0072】
次に、図6A(b)に示すように、光デバイス搭載基板30上の複数の配線層31上に、半田ボール35を介して実装済基板70を配置して、スルーホール30Bにシールドケース50の一端を挿入する。更に、シールドケース50の保持部502を配線層31上に配置する。続いて、ケース10が組み込まれたシールドケース50と実装済基板70とが表面上に配置された光デバイス搭載基板30に、所定の雰囲気下、所定の温度、所定の時間のリフロー処理を施す。これにより、シールドケース50と光デバイス搭載基板30との間、及び実装済基板70と光デバイス搭載基板30との間、並びに光デバイス20の接合部211dと実装済基板70上の配線層74との間が一括で固定される。
【0073】
なお、この場合において、実装済基板70とシールドケース50との間には所定間隔のクリアランスが設けられる。すなわち、シールドケース50の内壁と実装済基板70の外側(外縁)とが接しない大きさに、実装済基板70は形成される。
【0074】
そして、図6Bに示すように、光ファイバ挿入部11に光ファイバ15が挿入されることにより、第3の実施の形態に係る光モジュールが形成される。
【0075】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組み合わせの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る光モジュールの断面図である。
【図2】(a)は、本発明の第1の実施の形態に係る光デバイスの正面図であり、(b)は、光デバイス及び光ファイバを保持したケースの断面図である。
【図3A】(a)及び(b)は、本発明の第1の実施の形態に係る光モジュールの製造工程の流れを示す図である。
【図3B】(a)及び(b)は、本発明の第1の実施の形態に係る光モジュールの製造工程の流れを示す図である。
【図3C】本発明の第1の実施の形態に係る光モジュールの製造工程の流れを示す図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る光モジュールの断面図である。
【図5A】(a)及び(b)は、本発明の第2の実施の形態に係る光モジュールの製造工程の流れを示す図である。
【図5B】(a)及び(b)は、本発明の第2の実施の形態に係る光モジュールの製造工程の流れを示す図である。
【図6A】(a)及び(b)は、本発明の第3の実施の形態に係る光モジュールの製造工程の流れを示す図である。
【図6B】本発明の第3の実施の形態に係る光モジュールの製造工程の流れを示す図である。
【符号の説明】
【0077】
1、2 光モジュール
10 ケース
11 光ファイバ挿入部
12 芯線挿入部
13 光デバイス挿入部
13a 開口
14 ボス
14a ねじ止め穴
15 光ファイバ
15a 芯線部
15b 被覆部
20 光デバイス
30 光デバイス搭載基板
30A ねじ止め穴
30B スルーホール
31、32 配線層
33 導通部
34 半田
35 半田ボール
36 ねじ
40 信号処理用IC
41 回路部品
50 シールドケース
70 実装済基板
72、74 配線層
100 貫通穴
210 光透過部
210a レンズ部
210b テーパー部
211a リードフレーム
211c 湾曲部
211d 接合部
230 光素子
250 ワイヤ
502 保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線部を表面に有する搭載基板と、
光素子と、前記搭載基板の前記表面に水平な部分を含んで湾曲して形成される接続端子部を含むと共に前記光素子を搭載する素子搭載部とを有する光デバイスとを備え、
前記接続端子の前記平行な部分と前記配線部とが接続部材を介して接続される光モジュール。
【請求項2】
前記接続端子部は、前記搭載基板の前記表面の法線方向と水平な部分と、前記搭載基板の前記表面の法線方向と垂直な部分とを含んで湾曲して形成される請求項1に記載の光モジュール。
【請求項3】
前記光素子は、受発光する受発光面を有し、
前記接続端子部は、前記受発光面が受発光する方向と同一方向に向けて湾曲して形成される請求項2に記載の光モジュール。
【請求項4】
前記光デバイスは、前記光デバイスを保持するケース部材に保持され、
前記ケース部材に保持された前記光デバイスの前記接続端子の前記平行な部分と前記配線部とが前記接続部材を介して接続する請求項1に記載の光モジュール。
【請求項5】
前記ケース部材は、前記光デバイスを保持する光デバイス保持部と、前記光デバイスに光結合する光導波路を保持する光導波路保持部とを有する請求項4に記載の光モジュール。
【請求項6】
前記ケース部材は、前記搭載基板の前記表面と接する接触部を有する請求項4に記載の光モジュール。
【請求項7】
複数の外部接続端子を有する搭載基板と、
光素子と、前記光素子の動作を制御する制御部及び配線部を表面に有する実装済基板の前記表面に平行な部分を含んで湾曲して形成される接続端子部を有すると共に前記光素子を搭載する素子搭載部とを有する光デバイスとを備え、
前記接続端子の前記平行な部分と前記配線部との間、及び前記実装済基板と前記複数の外部接続端子との間を接続部剤を用いて一括で接続して形成される光モジュール。
【請求項8】
前記光デバイスは、前記光デバイスを保持するケース部材に保持され、
前記ケース部材と前記複数の外部接続端子とが接続される請求項7に記載の光モジュール。
【請求項9】
前記ケース部材は、前記光デバイスを保持する光デバイス保持部と、前記光デバイスに光結合する光導波路を保持する光導波路保持部とを有する請求項8に記載の光モジュール。
【請求項10】
前記ケース部材は、前記搭載基板の前記表面と接する接触部を有する請求項7から9のいずれか1項に記載の光モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【公開番号】特開2009−88405(P2009−88405A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−259019(P2007−259019)
【出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】