光検査方法及び光検査装置並びに光検査システム
【課題】 位相シフトマスクの位相欠陥を高速に検出するレチクル検査装置。
【解決手段】 レーザ1、光偏向器2、集光レンズ3を備えた走査型顕微鏡方式の走査光学系を有し、レンズ5が走査微小集光スポットの作るフォトマスク(レチクル)4の位相欠陥透過像をフーリエ変換像に変換する。空間フィルタ6がフーリエ変換像を強度変化に変換して、簡易かつ高速に位相欠陥を検出する。
【解決手段】 レーザ1、光偏向器2、集光レンズ3を備えた走査型顕微鏡方式の走査光学系を有し、レンズ5が走査微小集光スポットの作るフォトマスク(レチクル)4の位相欠陥透過像をフーリエ変換像に変換する。空間フィルタ6がフーリエ変換像を強度変化に変換して、簡易かつ高速に位相欠陥を検出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路等の回路パターンを転写する際に用いられるフォトマスクの欠陥検査装置等に広く用いることができる光検査方法及び光検査装置並びに光検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路の集積度が高くなるに伴い、より一層微細なパターンを形成可能なリソグラフィ技術が必要となってきている。ガラス基板上に金属膜等からなる遮光パターンを形成したバイナリマスクや露光波長に対して半透明性の材料からなるパターンを形成したハーフトーンマスク等のパターン形状欠陥を検出する方法として、これまで様々な方式が提案、実現されている。
一方、さらに微細なパターンの形成を可能にするリソグラフィ技術として、位相シフトマスクを使用する方法が提案されている。位相シフトマスクは、隣り合う透光パターンの一方に露光光の位相をシフトさせる部材を付加(または掘り込み)したもので、透過した光の干渉によって高い解像度の露光を可能にするものである。例として、ハーフトーンマスク(Att-PSM: Attenuated Phase Shift Mask)やレベンソンマスク(Alt-PSM: Alternating Phase Shift Mask)などが知られている。
このような位相シフトマスクを用いて微細パターンを露光するには、位相シフタが正確に設計データと一致していることが重要である。このため、近年、位相シフトマスク等の光の干渉効果を利用したフォトマスクにおける欠陥検出技術が切望されるようになり、光の干渉を利用した方法等多数の装置が提案されている。
【0003】
例えば光の干渉を利用したものとして特許文献1に代表されるような光ヘテロダイン干渉法を用いた方法や、特許文献2にあるような微分干渉顕微鏡を用いた方法などが考案されている。
また、光の回折、散乱を利用した方法として、特許文献3に示されるように、均一に照明された位相シフトパターンのフーリエ変換像の解析を用いた方法がある。
さらに、特許文献4に示されているように、斜め方向から照明された位相シフトパターンからの散乱、回折光のみをフーリエ変換面にて空間フィルタを通して検出する方法なども考案されている。
また、遮光パターンを形成したバイナリマスクや半透明性のパターンを形成したハーフトーンマスク等におけるパターン形状欠陥を検出する方法としては、フォトマスクのパターン形成面に光ビームを集光して走査し、透過光、反射光の強度を検出する走査型顕微鏡方式がある。
【0004】
【特許文献1】特開平6−331321公報 (第5−9頁、図1)
【特許文献2】特開2002−287327公報 (第4−9頁、図1)
【特許文献3】特開平04−229863公報 (第3−7頁、図1)
【特許文献4】特表2002−519667公報 (第11−32頁、図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の位相シフトマスク等の光の干渉効果を利用したフォトマスクにおける欠陥検出方法には課題がある。
特許文献1の光ヘテロダイン干渉法を用いた方法や、特許文献2にあるような微分干渉顕微鏡を用いた方法では、測定対象にわずかに位置をずらした2つの光ビームを照射し、その2つの光の干渉強度を測定する。このため、2ビーム間の横ずれ方向に従う検出能力のパターン方向依存性や、横ずれ量に依存するパターン線幅の限定などの問題点を抱えている。
また、特許文献3に示されるような均一に照明された位相シフトパターンのフーリエ変換像の解析を用いた方法は、基本的に位相変化量(膜厚)のみを測定する方法であり、微小な欠陥に対する検出を対象としていない。また、投影露光装置と同様に均一な照明を用いた一般的な結像方式におけるフーリエ変換像の解析をもとに考案されているため、位相シフタが付加されている部位と付加されていない部位の2箇所を均一に照明するように照明範囲を限定しなければならないという問題点を抱えている。
また、特許文献4に示されるような斜め方向から照明された位相シフトパターンからの散乱、回折光のみをフーリエ変換面にて空間フィルタを通して検出する方法は、半導体ウエハ等の欠陥検出に一般的に用いられている方法のひとつである。すなわち、ランプやレーザなどの光源によって暗視野/明視野照明された領域からの散乱、回折光を測定し解析することで欠陥を検出する装置である。各種の形態が考案されているが、大抵の場合、微小欠陥からの微弱な散乱、回折光のS/Nを向上することに主題が置かれている。このS/N改善と欠陥種別の判定ために、特許文献4にはファーフィールド領域における回折光に対して空間フィルタリングを施して検出する方法も開示されている。しかしながら、検出対象のパターン形状や欠陥形状によって様々な散乱、回折光が発生する。それらをできるだけ捕捉するために、照明光の角度や受光系の配置(または前記空間フィルタの種類)等に工夫が必要である。このため、欠陥の種類に応じてそれぞれ複雑な系を構成する必要があるという問題を抱えている。
遮光パターンや半透明パターンの欠陥検出に従来から用いられている透過又は反射光の総光量を検出する走査型顕微鏡方式を位相シフトマスクの欠陥検出に適用した場合には、検査光に対して透過率に差がなく光の位相だけを変化させるような欠陥(以下、位相欠陥と称す)に対しては検出能力に欠けるという問題がある。
上記の問題は、フォトマスク(レチクル)だけではなく、パターンを形成した電子部品基板の検査においても同様の課題である。
本発明は、上記のような従来の位相シフトマスク等の光の干渉効果を利用したフォトマスクにおける欠陥検出方法やパターンを形成した電子部品基板の検査方法の有する課題に鑑みて成されたものである。そして、その目的とするところは、走査型顕微鏡方式を用いて、簡単な構成で、高速で、かつパターン形状依存性や方向依存性が少ない光検査方法及び光検査装置並びに光検査システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の光検査方法は、光源からの光を検査対象面上で微小スポットに集光かつ走査し、微小スポットが照射した検査対象面上の部位の光学的な位相情報と振幅情報を、それぞれ異なる光学系によって同時に、またはいずれか一方の光学系によって検出することを特徴とする。
異なる光学系のうちの1つは、微小スポットが照射した検査対象面上の部位からの光を光学的にフーリエ変換し、フーリエ変換像を空間フィルタリングし、空間フィルタリングした光を集光し光電変換して検査対象面上の位相情報を検出してもよい。
異なる光学系のうちの1つは、微小スポットが照射した検査対象面上の部位からの光を集光し光電変換して検査対象面上の振幅情報を検出してもよい。
微小スポットが照射した検査対象面上の部位からの光は、部位を透過した光であってもよい。
微小スポットが照射した検査対象面上の部位からの光は、部位から反射した光であってもよい。
検査対象面は、レチクルであり、位相情報は、レチクル上に形成された光透過性のパターンの形状であり、振幅情報は、レチクル上に形成された遮光または光半透過性のパターンの形状であってもよい。
検査対象面は、電子部品基板であり、位相情報は、電子部品基板上に形成された光透過性のパターンの形状であり、振幅情報は、電子部品基板上に形成された遮光または光半透過性のパターンの形状であってもよい。
空間フィルタのパターン形状は、検査対象面上の検出パターン形状からのフーリエ変換像に応じて決定してもよい。
【0007】
また、本発明の光検査装置は、光源からの光を検査対象面上で微小スポットに集光かつ走査する手段と、微小スポットが照射した検査対象面上の部位の光学的な位相情報と振幅情報を、同時に検出するそれぞれ異なる光学系、またはいずれか一方を検出する光学系を備えることを特徴とする。
異なる光学系のうちの1つは、微小スポットが照射した検査対象面上の部位からの光を光学的にフーリエ変換し、フーリエ変換像を空間フィルタリングし、空間フィルタリングした光を集光し光電変換して検査対象面上の位相情報を検出してもよい。
異なる光学系のうちの1つは、微小スポットが照射した検査対象面上の部位からの光を集光し光電変換して検査対象面上の振幅情報を検出してもよい。
微小スポットが照射した検査対象面上の部位からの光は、部位を透過した光であってもよい。
微小スポットが照射した検査対象面上の部位からの光は、部位から反射した光であってもよい。
検査対象面は、レチクルであり、位相情報は、レチクル上に形成された光透過性のパターンの形状であり、振幅情報は、レチクル上に形成された遮光または光半透過性のパターンの形状であってもよい。
検査対象面は、電子部品基板であり、位相情報は、電子部品基板上に形成された光透過性のパターンの形状であり、振幅情報は、電子部品基板上に形成された遮光または光半透過性のパターンの形状であってもよい。
空間フィルタのパターン形状は、検査対象面上の検出パターン形状からのフーリエ変換像に応じて決定してもよい。
また、本発明の光検査システムは、上記の光検査装置を複数備え、ダイとダイとの比較によって検出をすることを特徴とする。
本発明の光検査システムは、光検査装置とデータベースを備え、ダイと前記データベースが有する設計データとの比較によって検出してもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の光検査方法は、光源からの光を検査対象面上で微小スポットに集光かつ走査し、微小スポットが照射した検査対象面上の部位の光学的な位相情報と振幅情報を、それぞれ異なる光学系によって同時に、またはいずれか一方の光学系によって検出する。このため簡単な構成で、高速で、かつ検査対象面部位の形状依存性や方向依存性の少ない光検査を可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施例]
図1に本発明のフォトマスク欠陥検出装置の第1の実施例の構成を示す。フォトマスク欠陥検出装置は、光源1と、走査光学系2と、対物レンズ3と、フォトマスク4と、コレクターレンズ5と、空間フィルタ6と、集光レンズ7と、光電変換器8と、画像処理システム9と、駆動ステージ10とから構成される。
走査型顕微鏡方式において解像度を高めるためには被検査パターン上に集光するスポット径を小さくする必要がある。このため光源1については、短波長光源が必要である。またS/Nを向上させるためには高輝度な光源が必要となる。これらの条件から、本実施例では光源1として波長266nmの遠紫外レーザを用いている。
【0010】
光源1から発した光ビーム11は、走査光学系2に入射する。走査光学系2を出射する光ビーム12は、所望のビーム径に変換されており、かつ高速に偏向されている。走査光学系2の偏向装置には、例えば音響光学偏向器やポリゴンミラー、ガルバノミラー等の1次元光偏向器を用いることができる。
高速偏向を受けた光ビーム12は、対物レンズ3に入射する。対物レンズ3は、例えばNA(開口数)0.85の大きな開口数を有し、フォトマスク4のパターン形成面上に直径0.3〜0.4μm程度の微小な集光スポット13を形成する。また、対物レンズ3は、光ビーム12の偏向の起点、すなわち偏向による光ビーム12の振れが光軸上で重なる瞳位置14が、レンズの前側焦点位置になるように配置される。したがって、集光スポット13は、光軸がフォトマスク4上で垂直に立ったテレセントリックに走査される。紙面に沿った1次元走査に対して直交する方向(紙面に垂直な方向)には、駆動ステージ10によって保持されたフォトマスク4を移動することによって2次元の領域が走査される。
1次元光偏向器と移動ステージとを組み合わす以外の他の走査方法としては、2次元光偏向器によって集光スポット13を走査する方法、また、フォトマスク4を機械的に2次元に移動する方法等が利用可能である。
フォトマスク4を透過した光ビーム12は、コレクターレンズ5に入射する。コレクターレンズ5はフォトマスク4のパターン面が前側焦点位置となるように配置されており、光ビーム12は平行光束に変換される。コレクターレンズ5は、フォトマスク4上のパターンによる回折光も含めて集光する必要があるため、対物レンズ3と同等かそれ以上のNAを有することが望ましい。
平行光束となった光ビーム12は、コレクターレンズ5の後側焦点位置15にフーリエ変換像を形成する。すなわち後側焦点位置15は、フォトマスク4パターン面のフーリエ変換面である。ここで、フーリエ変換像とは、光学でいうところのフラウンホーファ(ファーフィールド)回折領域における光学像を指し、レンズの前側焦点に物体を置いたときの後側焦点に形成される像である。また、フォトマスク4上でテレセントリックに走査された光ビーム12の中心軸は、後側焦点位置15において光軸と一点にて交差する。すなわち瞳を形成している。
空間フィルタ6は、この瞳位置に設置される。このため、フォトマスク4上のビーム走査位置に関係なく、どの走査位置でも同一の空間フィルタリングが行われる。空間フィルタ6については後述の[実施例の動作]にて詳細に説明する。
空間フィルタ6を透過した光ビーム12は、集光レンズ7によって光電変換器8の受光部に集光される。ここで光電変換器8はフォトダイオードや光電子増倍管等を用いることができる。光電変換器8からの電気信号は画像処理システム9に送られ、前述の集光スポット走査手段の走査信号と同期させることによって2次元の画像が生成される。
従来の遮光/半透明のパターン形状欠陥を検査する場合は、平行光束となった光ビーム12に空間フィルタ6を挿入せずそのまま集光レンズ7によって光電変換器8の受光部に集光すればよい。
[第1の実施例の動作の説明]
図1のフォトマスク欠陥検出装置の第1の実施例の構成におけるフォトマスク4上の集光スポット13の理想的な空間分布を図2(a)に示す。
図2(a)は、上から順に振幅、位相、光強度の空間分布を表している。ここでは理想的なレーザビームウエスト、すなわち完全なガウシアンの振幅分布と平面の位相分布をもったビームがフォトマスク上に集光されているものとしている。
図2(b)は、フォトマスク4上にパターン等が全く存在しない透明なガラスである場合のコレクターレンズ5の後側焦点位置15に生じるフーリエ変換像の計算結果である。
それぞれの実際のサイズはフォトマスク4上でμmオーダー(図2(a))、後側焦点位置15上でmmオーダー(図2(b))と大きく異なるが、ここでは空間スケール(横軸)を任意に取って表示している。
【0011】
位相欠陥検出の説明の前に通常の遮光/半透明のパターン形状を検出する過程について、図3を用いて説明する。
図3に図2(a)の空間分布を有する集光スポット13でバイナリマスク等の遮光パターン4bを走査したときの様子を示す。
図3(a)は、フォトマスク4の断面図を示す。集光スポット13の走査に伴って遮光パターン4bが相対的に移動していく様子を時系列に横方向に並べたものである。図3(b)は、遮光パターン4b直後の光の振幅、位相及び強度の空間分布を示し、図3(c)は、図3(b)に対応するフーリエ変換像の同様の計算結果である。なお、図3(c)のフーリエ変換像の光強度には、遮光パターン4bが存在しない場合(図2(b))の分布を波線で表示している。
図3(c)のように時系列に変化する光は、光電変換器8の受光面内で積分されて図4に示すような電気信号に光電変換される。遮光パターンのエッジ位置は、信号光強度が1/2となる位置(=時間)として得られる。ただし、空間フィルタ6は設置していない。そして、光ビームの1次元の走査方向と直交する方向にフォトマスクを移動しながら光走査を繰り返すことによって2次元のパターン形状が検出される。
【0012】
次に、位相欠陥の検出について図5及び図6を用いて説明する。
図3の場合と同様に、図2(a)の空間分布を有する集光スポット13で位相シフトマスク等の位相欠陥4aを走査したときの様子を図5と図6に示す。
図5は検査光(集光スポット13)の波長λに対して位相欠陥4aが、λ/2(180度)位相をシフトする場合であり、図6はλ/4(90度)位相をシフトする場合である。
図5(a)、図6(a)はフォトマスク4の断面図で、集光スポット13の走査に伴って位相欠陥4aが相対的に移動していく様子を時系列に横方向に並べたものである。
図5(b)、図6(b)は、図5(a)、図6(a)に対応する位相欠陥4a直後の光の振幅の絶対値、位相及び強度の空間分布を示す。
図5(c)、図6(c)は、図5(b)、図6(b)に対応するフーリエ変換像の計算結果である。なお、図5(c)、図6(c)のフーリエ変換像の光強度には位相欠陥4aが存在しない場合の分布(図2(b))を点線で表示している。
【0013】
図4と同様に空間フィルタ6を設置していない状態において光電変換器8で積分されて得られる信号は図7のようになる。位相パターンによる光の透過率変化は無いため、位相欠陥4aは検出されない。ただし、図7の計算結果は、光の蹴られが生じない無限に大きい口径を有する光学系を仮定した場合である。実際には光学系の口径が有限であるので、パターンのエッジによって生ずる散乱光を全て捕捉しきれないため微小な光量低下が検出される。
図8は、位相欠陥4aのエッジ部が集光スポット13の中央に位置する場合の光強度の分布のみを抜き出したものであり、図8(a)は図5(c)の位相シフト量Δφがλ/2、図8(b)は、位相シフト量Δφ=λ/4の場合のフーリエ変換像の強度分布に対応している。位相欠陥4aが存在しない場合の光強度分布81に対して、位相欠陥4aが存在する場合の光強度分布82は、図8(a)、(b)ともに大きく変化している。このように、位相欠陥4a透過直後の光強度(図5(b)、図6(b))では検出が不可能であるが、フーリエ変換像では位相の情報が光強度の分布として現れる。
【0014】
この理論計算の結果をもとに、フーリエ変換像が形成される後側焦点位置15に設置する空間フィルタ6を決定する。つまり位相欠陥4aがない場合81とある場合82との間に光強度として差を生じさせるのに効果的な空間フィルタを設置すればよい。例えば、瞳位置の中央部は透過し、周辺部は遮光する(図8の6b)、図9に示すような空間フィルタ6が考えられる。
図9に示す空間フィルタ6をレンズ5の瞳位置に設置した場合の光電変換器8で得られる信号の時間変化の計算結果を図10、図11に示す。図10と図11は空間フィルタ6のアパーチャ径が異なる。図10、図11ともに計算条件として、検査光の波長を266nm、位相シフタの設計波長をArFレーザの発振波長の193nmとして、位相シフト量が180度、90度、60度の3種類を表示している。
図10は、位相欠陥4aがない場合のガウシアン分布(図8の81)の1/e2ビーム径(光量が86.5%)相当のアパーチャ径を有する空間フィルタ6を設置した場合の計算結果であり、符号101は位相シフト量Δφ=180度、102は90度、103は60度の場合をそれぞれ示す。
図11は、図10よりもアパーチャ径を小さく設定した場合であり、符号111は位相シフト量Δφ=180度、112は90度、113は60度の場合をそれぞれ示す。図10、図11のいずれも、空間フィルタ6がない場合の図7に比べて、位相欠陥4aが光ビーム13に与える位相変化を光強度の変化として検出可能であることを示している。
図12は、位相シフト量Δφ=60度の場合の、空間フィルタ6アパーチャ径に対する検出信号ピーク値121(図10、図11の光強度低下ピーク値)の関係を計算したものである。また、位相パターンが何もない状態の透過光量122の関係も併記している。
図12は、アパーチャ径を小さくすればするほど検出感度が向上することを示しているが、逆に基準光量レベルが減少するためS/Nが悪化することを意味する。S/Nに大きな影響を与えない範囲でアパーチャ径の最適値を選ぶ必要がある。
【0015】
以上、理論計算に基づいて説明を行ってきたが、以下に実験結果を示す。
図13と図14は、図1に示したフォトマスク欠陥検出装置の構成において、空間フィルタ6を設置していない場合の実験結果である。
図13(b)は、位相欠陥が存在しない図13(a)の断面図に示すような遮光パターン4bを有するフォトマスク4の場合の検出結果の実験値である。
図14(b)は、位相欠陥が存在する場合の実験結果であり、図14(a)に示すような位相欠陥4aが付加されたフォトマスク4の検出結果である。
図13(b)と図14(b)を比較すると、位相欠陥4aの付近で微小な変化が確認されるが、図7の計算結果で示したように、空間フィルタ6を設置していない場合には、位相欠陥4aがほとんど検出できていないことが分かる。
【0016】
図15は、図1に示したフォトマスク欠陥検出装置の構成において、空間フィルタ6を設置した場合の実験結果である。空間フィルタ6を設置した以外は、図14と同様の条件である。図15(b)の実験結果は、図10、図11の計算結果で予見されたように、位相欠陥4aが検出されることが実験的にも確認できたことを示している。図14(b)と図15(b)の実験結果の比較は、空間フィルタ6の効果が極めて有効であることを充分に理解させるものである。
【0017】
[第1の実施例の効果]
以上のように本発明では、走査型顕微鏡方式のフォトマスク欠陥検査装置を構成し、さらに走査する微小集光スポットのフーリエ変換像に対して空間フィルタをかけることによって位相変化量を光強度変化量として検出することができる。このため、従来技術のように複雑な光学手段、信号(画像)解析手段を必要とせずに、簡易かつ高速に位相欠陥を検出することができる。
更に、走査型顕微鏡方式の利点である高いS/Nを確保することが可能であり、欠陥信号がノイズに埋もれる心配も少ない。
【0018】
[第2の実施例]
図16に本発明のフォトマスク欠陥検出装置の第2の実施例の構成を示す。前述の図1の第1の実施例と同じ構成要素については同一の記号を用いている。図16に示す第2の実施例は、図1で示した位相欠陥検出用の光学構成に、通常のパターン形状欠陥検査用の光学系を付加したものである。
フォトマスク4を透過した光ビームをコレクターレンズ5の後でビームスプリッタ163を用いて2光束に分割する。ビームスプリッタ163は、例えばハーフミラーや偏光を利用し偏光ビームスプリッタと波長板の組合せが用いられる。第2の実施例の構成ではビームスプリッタ163によって反射した光路を位相欠陥検出用として用いており、フーリエ変換面であるコレクターレンズ5の後側焦点位置15をリレーレンズ164を用いて15に等倍結像している。このように結像されたフーリエ変換面15'に空間フィルタ6を設置して図1で示した前述の方法と同様に位相シフト欠陥を検出する。
また、ビームスプリッタ163において透過した光ビームは、空間フィルタを介さずそのまま集光レンズ165によって光電変換器166の受光面に集光され、透過のパターン形状欠陥検出に用いている。
また、フォトマスク4のパターン形成面から反射した光ビームは、再び対物レンズ3を経て平行光束となり、新たに設けられたビームスプリッタ162によって反射の検出光路に導かれる。ここでは、分離した反射光をそのまま集光レンズ167により光電変換器168に集光し、反射のパターン形状欠陥検出としている。
もちろん、透過光と同様に反射光を更に分離して空間フィルタを設置し、反射の位相欠陥検出光路を追加することも可能である。この場合、位相欠陥に対して基板上面や裏面での反射による往復の位相差が発生するため、透過の場合と検出される状態が異なる。
上記のように、複数の検出構成を設けて同時に画像を採取することによって、パターン形状欠陥、位相欠陥、異物などを高速に検出することが可能となる。
【0019】
[第2の実施例の効果]
以上のように本実施例に示したような構成によって、位相マスクの欠陥検査に加えて、通常のパターン形状欠陥検査との同時検査が可能であり、遮光パターンと位相シフタが混在したようなフォトマスクの検査においても、それぞれの欠陥を検出/特定することが可能である。
更に、走査型顕微鏡方式の利点である高いS/Nを確保することが可能であり、欠陥信号がノイズに埋もれる心配も少ない。
また、従来のパターン形状欠陥検査と同様の欠陥信号が得られるため、欠陥検出用の従来のアルゴリズムを多数流用することが可能である。
【0020】
[空間フィルタの他の実施例]
図17は空間フィルタ6の第2の実施例である。透光部6aと遮光部6bを図17のように輪帯状に設けたもので、図9のように主ビーム(0次光)を透過し、回折光成分を積極的に遮断する構成に対して、主ビーム(0次光)を遮断して回折光成分を検出する構成である。この場合、位相シフト欠陥等の位相変化成分を検出する最終的な信号は、図18に示すように増加する方向(図9の場合とは逆の方向)に得られる。
【0021】
空間フィルタの形状は、図9や図17の2例に示したような透光部6aと遮光部6bがはっきりと分かれたステップ状のフィルタではなくてもよい。例えば、径方向の外側に向かって透過率が徐々に低くなっていくようなアポディゼーションフィルタ、また、径方向の外側に向かって透過率が徐々に高くなっていく超解像フィルタなどでも同様の効果が得られる。その他にも、1次元的な欠陥のみならず、欠陥サイズが集光ビームのビームウェストと同程度の孤立的な欠陥や、周期的なパターンなど、それぞれの場合に効果的な空間フィルタはフーリエ変換像から多数考案することが可能である。
また、LCDやDMD等を用いたパターン可変の高密度で高集積の透過型または反射型の空間変調素子であってもよい。
【0022】
更に、本実施例の実施形態においては、位相シフトマスクとしてAlt-PSMの欠陥検出を例に説明を行ったが、減衰性の膜や薄膜以外の位相変化が発生する物質に対しても同様の効果が期待できる。すなわち、透過型検出の場合のAtt-PSMにおけるハーフトーン膜欠陥や、反射型構成の場合の異物欠陥検出全般などでも同様の効果が期待できる。
【0023】
以上、本発明の実施形態のフォトマスク欠陥検出装置を用いて、欠陥検査システムを構成することができる。その方式としては、フォトマスクの中の同じパターンが含まれる複数のダイ同士を比較する方式や、この方式ばかりでなく、前述のような理論計算を用いてマスクパターンの設計データベースから参照とする画像を作成して、実測した画像と比較する方式とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、半導体集積回路等の回路パターンを転写する際に用いられるフォトマスクの検査装置において、位相シフトマスク等の光の位相変化をもたらす欠陥を検出する技術に関するものであるが、その他にも微細なパターンを有する電子デバイス等の表面状態の検出への応用も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施例の構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施例の動作を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施例の動作を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施例の動作を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施例の動作を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施例の動作を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施例の動作を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施例の動作を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施例が備える空間フィルタのパターン例を示す図である。
【図10】本発明の第1の実施例の動作を示す図である。
【図11】本発明の第1の実施例の動作を示す図である。
【図12】本発明の第1の実施例の動作を示す図である。
【図13】本発明の第1の実施例の実験結果を示す図である。
【図14】本発明の第1の実施例の実験結果を示す図である。
【図15】本発明の第1の実施例の実験結果を示す図である。
【図16】本発明の第2の実施例の動作を示す図である。
【図17】本発明の実施例が備える空間フィルタの別なるパターン例を示す図である。
【図18】図17の空間フィルタによる本発明の実施例の動作を示す図である。
【符号の説明】
【0026】
1 光源
2 走査光学系
3 対物レンズ
4 フォトマスク
5 コレクターレンズ
6 空間フィルタ
7 集光レンズ
8 光電変換器
9 画像処理システム
10 駆動ステージ
11 光ビーム
12 光ビーム
13 集光スポット
163 ビームスプリッタ
164 リレーレンズ
165 集光レンズ
166 光電変換器
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路等の回路パターンを転写する際に用いられるフォトマスクの欠陥検査装置等に広く用いることができる光検査方法及び光検査装置並びに光検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路の集積度が高くなるに伴い、より一層微細なパターンを形成可能なリソグラフィ技術が必要となってきている。ガラス基板上に金属膜等からなる遮光パターンを形成したバイナリマスクや露光波長に対して半透明性の材料からなるパターンを形成したハーフトーンマスク等のパターン形状欠陥を検出する方法として、これまで様々な方式が提案、実現されている。
一方、さらに微細なパターンの形成を可能にするリソグラフィ技術として、位相シフトマスクを使用する方法が提案されている。位相シフトマスクは、隣り合う透光パターンの一方に露光光の位相をシフトさせる部材を付加(または掘り込み)したもので、透過した光の干渉によって高い解像度の露光を可能にするものである。例として、ハーフトーンマスク(Att-PSM: Attenuated Phase Shift Mask)やレベンソンマスク(Alt-PSM: Alternating Phase Shift Mask)などが知られている。
このような位相シフトマスクを用いて微細パターンを露光するには、位相シフタが正確に設計データと一致していることが重要である。このため、近年、位相シフトマスク等の光の干渉効果を利用したフォトマスクにおける欠陥検出技術が切望されるようになり、光の干渉を利用した方法等多数の装置が提案されている。
【0003】
例えば光の干渉を利用したものとして特許文献1に代表されるような光ヘテロダイン干渉法を用いた方法や、特許文献2にあるような微分干渉顕微鏡を用いた方法などが考案されている。
また、光の回折、散乱を利用した方法として、特許文献3に示されるように、均一に照明された位相シフトパターンのフーリエ変換像の解析を用いた方法がある。
さらに、特許文献4に示されているように、斜め方向から照明された位相シフトパターンからの散乱、回折光のみをフーリエ変換面にて空間フィルタを通して検出する方法なども考案されている。
また、遮光パターンを形成したバイナリマスクや半透明性のパターンを形成したハーフトーンマスク等におけるパターン形状欠陥を検出する方法としては、フォトマスクのパターン形成面に光ビームを集光して走査し、透過光、反射光の強度を検出する走査型顕微鏡方式がある。
【0004】
【特許文献1】特開平6−331321公報 (第5−9頁、図1)
【特許文献2】特開2002−287327公報 (第4−9頁、図1)
【特許文献3】特開平04−229863公報 (第3−7頁、図1)
【特許文献4】特表2002−519667公報 (第11−32頁、図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の位相シフトマスク等の光の干渉効果を利用したフォトマスクにおける欠陥検出方法には課題がある。
特許文献1の光ヘテロダイン干渉法を用いた方法や、特許文献2にあるような微分干渉顕微鏡を用いた方法では、測定対象にわずかに位置をずらした2つの光ビームを照射し、その2つの光の干渉強度を測定する。このため、2ビーム間の横ずれ方向に従う検出能力のパターン方向依存性や、横ずれ量に依存するパターン線幅の限定などの問題点を抱えている。
また、特許文献3に示されるような均一に照明された位相シフトパターンのフーリエ変換像の解析を用いた方法は、基本的に位相変化量(膜厚)のみを測定する方法であり、微小な欠陥に対する検出を対象としていない。また、投影露光装置と同様に均一な照明を用いた一般的な結像方式におけるフーリエ変換像の解析をもとに考案されているため、位相シフタが付加されている部位と付加されていない部位の2箇所を均一に照明するように照明範囲を限定しなければならないという問題点を抱えている。
また、特許文献4に示されるような斜め方向から照明された位相シフトパターンからの散乱、回折光のみをフーリエ変換面にて空間フィルタを通して検出する方法は、半導体ウエハ等の欠陥検出に一般的に用いられている方法のひとつである。すなわち、ランプやレーザなどの光源によって暗視野/明視野照明された領域からの散乱、回折光を測定し解析することで欠陥を検出する装置である。各種の形態が考案されているが、大抵の場合、微小欠陥からの微弱な散乱、回折光のS/Nを向上することに主題が置かれている。このS/N改善と欠陥種別の判定ために、特許文献4にはファーフィールド領域における回折光に対して空間フィルタリングを施して検出する方法も開示されている。しかしながら、検出対象のパターン形状や欠陥形状によって様々な散乱、回折光が発生する。それらをできるだけ捕捉するために、照明光の角度や受光系の配置(または前記空間フィルタの種類)等に工夫が必要である。このため、欠陥の種類に応じてそれぞれ複雑な系を構成する必要があるという問題を抱えている。
遮光パターンや半透明パターンの欠陥検出に従来から用いられている透過又は反射光の総光量を検出する走査型顕微鏡方式を位相シフトマスクの欠陥検出に適用した場合には、検査光に対して透過率に差がなく光の位相だけを変化させるような欠陥(以下、位相欠陥と称す)に対しては検出能力に欠けるという問題がある。
上記の問題は、フォトマスク(レチクル)だけではなく、パターンを形成した電子部品基板の検査においても同様の課題である。
本発明は、上記のような従来の位相シフトマスク等の光の干渉効果を利用したフォトマスクにおける欠陥検出方法やパターンを形成した電子部品基板の検査方法の有する課題に鑑みて成されたものである。そして、その目的とするところは、走査型顕微鏡方式を用いて、簡単な構成で、高速で、かつパターン形状依存性や方向依存性が少ない光検査方法及び光検査装置並びに光検査システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の光検査方法は、光源からの光を検査対象面上で微小スポットに集光かつ走査し、微小スポットが照射した検査対象面上の部位の光学的な位相情報と振幅情報を、それぞれ異なる光学系によって同時に、またはいずれか一方の光学系によって検出することを特徴とする。
異なる光学系のうちの1つは、微小スポットが照射した検査対象面上の部位からの光を光学的にフーリエ変換し、フーリエ変換像を空間フィルタリングし、空間フィルタリングした光を集光し光電変換して検査対象面上の位相情報を検出してもよい。
異なる光学系のうちの1つは、微小スポットが照射した検査対象面上の部位からの光を集光し光電変換して検査対象面上の振幅情報を検出してもよい。
微小スポットが照射した検査対象面上の部位からの光は、部位を透過した光であってもよい。
微小スポットが照射した検査対象面上の部位からの光は、部位から反射した光であってもよい。
検査対象面は、レチクルであり、位相情報は、レチクル上に形成された光透過性のパターンの形状であり、振幅情報は、レチクル上に形成された遮光または光半透過性のパターンの形状であってもよい。
検査対象面は、電子部品基板であり、位相情報は、電子部品基板上に形成された光透過性のパターンの形状であり、振幅情報は、電子部品基板上に形成された遮光または光半透過性のパターンの形状であってもよい。
空間フィルタのパターン形状は、検査対象面上の検出パターン形状からのフーリエ変換像に応じて決定してもよい。
【0007】
また、本発明の光検査装置は、光源からの光を検査対象面上で微小スポットに集光かつ走査する手段と、微小スポットが照射した検査対象面上の部位の光学的な位相情報と振幅情報を、同時に検出するそれぞれ異なる光学系、またはいずれか一方を検出する光学系を備えることを特徴とする。
異なる光学系のうちの1つは、微小スポットが照射した検査対象面上の部位からの光を光学的にフーリエ変換し、フーリエ変換像を空間フィルタリングし、空間フィルタリングした光を集光し光電変換して検査対象面上の位相情報を検出してもよい。
異なる光学系のうちの1つは、微小スポットが照射した検査対象面上の部位からの光を集光し光電変換して検査対象面上の振幅情報を検出してもよい。
微小スポットが照射した検査対象面上の部位からの光は、部位を透過した光であってもよい。
微小スポットが照射した検査対象面上の部位からの光は、部位から反射した光であってもよい。
検査対象面は、レチクルであり、位相情報は、レチクル上に形成された光透過性のパターンの形状であり、振幅情報は、レチクル上に形成された遮光または光半透過性のパターンの形状であってもよい。
検査対象面は、電子部品基板であり、位相情報は、電子部品基板上に形成された光透過性のパターンの形状であり、振幅情報は、電子部品基板上に形成された遮光または光半透過性のパターンの形状であってもよい。
空間フィルタのパターン形状は、検査対象面上の検出パターン形状からのフーリエ変換像に応じて決定してもよい。
また、本発明の光検査システムは、上記の光検査装置を複数備え、ダイとダイとの比較によって検出をすることを特徴とする。
本発明の光検査システムは、光検査装置とデータベースを備え、ダイと前記データベースが有する設計データとの比較によって検出してもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の光検査方法は、光源からの光を検査対象面上で微小スポットに集光かつ走査し、微小スポットが照射した検査対象面上の部位の光学的な位相情報と振幅情報を、それぞれ異なる光学系によって同時に、またはいずれか一方の光学系によって検出する。このため簡単な構成で、高速で、かつ検査対象面部位の形状依存性や方向依存性の少ない光検査を可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施例]
図1に本発明のフォトマスク欠陥検出装置の第1の実施例の構成を示す。フォトマスク欠陥検出装置は、光源1と、走査光学系2と、対物レンズ3と、フォトマスク4と、コレクターレンズ5と、空間フィルタ6と、集光レンズ7と、光電変換器8と、画像処理システム9と、駆動ステージ10とから構成される。
走査型顕微鏡方式において解像度を高めるためには被検査パターン上に集光するスポット径を小さくする必要がある。このため光源1については、短波長光源が必要である。またS/Nを向上させるためには高輝度な光源が必要となる。これらの条件から、本実施例では光源1として波長266nmの遠紫外レーザを用いている。
【0010】
光源1から発した光ビーム11は、走査光学系2に入射する。走査光学系2を出射する光ビーム12は、所望のビーム径に変換されており、かつ高速に偏向されている。走査光学系2の偏向装置には、例えば音響光学偏向器やポリゴンミラー、ガルバノミラー等の1次元光偏向器を用いることができる。
高速偏向を受けた光ビーム12は、対物レンズ3に入射する。対物レンズ3は、例えばNA(開口数)0.85の大きな開口数を有し、フォトマスク4のパターン形成面上に直径0.3〜0.4μm程度の微小な集光スポット13を形成する。また、対物レンズ3は、光ビーム12の偏向の起点、すなわち偏向による光ビーム12の振れが光軸上で重なる瞳位置14が、レンズの前側焦点位置になるように配置される。したがって、集光スポット13は、光軸がフォトマスク4上で垂直に立ったテレセントリックに走査される。紙面に沿った1次元走査に対して直交する方向(紙面に垂直な方向)には、駆動ステージ10によって保持されたフォトマスク4を移動することによって2次元の領域が走査される。
1次元光偏向器と移動ステージとを組み合わす以外の他の走査方法としては、2次元光偏向器によって集光スポット13を走査する方法、また、フォトマスク4を機械的に2次元に移動する方法等が利用可能である。
フォトマスク4を透過した光ビーム12は、コレクターレンズ5に入射する。コレクターレンズ5はフォトマスク4のパターン面が前側焦点位置となるように配置されており、光ビーム12は平行光束に変換される。コレクターレンズ5は、フォトマスク4上のパターンによる回折光も含めて集光する必要があるため、対物レンズ3と同等かそれ以上のNAを有することが望ましい。
平行光束となった光ビーム12は、コレクターレンズ5の後側焦点位置15にフーリエ変換像を形成する。すなわち後側焦点位置15は、フォトマスク4パターン面のフーリエ変換面である。ここで、フーリエ変換像とは、光学でいうところのフラウンホーファ(ファーフィールド)回折領域における光学像を指し、レンズの前側焦点に物体を置いたときの後側焦点に形成される像である。また、フォトマスク4上でテレセントリックに走査された光ビーム12の中心軸は、後側焦点位置15において光軸と一点にて交差する。すなわち瞳を形成している。
空間フィルタ6は、この瞳位置に設置される。このため、フォトマスク4上のビーム走査位置に関係なく、どの走査位置でも同一の空間フィルタリングが行われる。空間フィルタ6については後述の[実施例の動作]にて詳細に説明する。
空間フィルタ6を透過した光ビーム12は、集光レンズ7によって光電変換器8の受光部に集光される。ここで光電変換器8はフォトダイオードや光電子増倍管等を用いることができる。光電変換器8からの電気信号は画像処理システム9に送られ、前述の集光スポット走査手段の走査信号と同期させることによって2次元の画像が生成される。
従来の遮光/半透明のパターン形状欠陥を検査する場合は、平行光束となった光ビーム12に空間フィルタ6を挿入せずそのまま集光レンズ7によって光電変換器8の受光部に集光すればよい。
[第1の実施例の動作の説明]
図1のフォトマスク欠陥検出装置の第1の実施例の構成におけるフォトマスク4上の集光スポット13の理想的な空間分布を図2(a)に示す。
図2(a)は、上から順に振幅、位相、光強度の空間分布を表している。ここでは理想的なレーザビームウエスト、すなわち完全なガウシアンの振幅分布と平面の位相分布をもったビームがフォトマスク上に集光されているものとしている。
図2(b)は、フォトマスク4上にパターン等が全く存在しない透明なガラスである場合のコレクターレンズ5の後側焦点位置15に生じるフーリエ変換像の計算結果である。
それぞれの実際のサイズはフォトマスク4上でμmオーダー(図2(a))、後側焦点位置15上でmmオーダー(図2(b))と大きく異なるが、ここでは空間スケール(横軸)を任意に取って表示している。
【0011】
位相欠陥検出の説明の前に通常の遮光/半透明のパターン形状を検出する過程について、図3を用いて説明する。
図3に図2(a)の空間分布を有する集光スポット13でバイナリマスク等の遮光パターン4bを走査したときの様子を示す。
図3(a)は、フォトマスク4の断面図を示す。集光スポット13の走査に伴って遮光パターン4bが相対的に移動していく様子を時系列に横方向に並べたものである。図3(b)は、遮光パターン4b直後の光の振幅、位相及び強度の空間分布を示し、図3(c)は、図3(b)に対応するフーリエ変換像の同様の計算結果である。なお、図3(c)のフーリエ変換像の光強度には、遮光パターン4bが存在しない場合(図2(b))の分布を波線で表示している。
図3(c)のように時系列に変化する光は、光電変換器8の受光面内で積分されて図4に示すような電気信号に光電変換される。遮光パターンのエッジ位置は、信号光強度が1/2となる位置(=時間)として得られる。ただし、空間フィルタ6は設置していない。そして、光ビームの1次元の走査方向と直交する方向にフォトマスクを移動しながら光走査を繰り返すことによって2次元のパターン形状が検出される。
【0012】
次に、位相欠陥の検出について図5及び図6を用いて説明する。
図3の場合と同様に、図2(a)の空間分布を有する集光スポット13で位相シフトマスク等の位相欠陥4aを走査したときの様子を図5と図6に示す。
図5は検査光(集光スポット13)の波長λに対して位相欠陥4aが、λ/2(180度)位相をシフトする場合であり、図6はλ/4(90度)位相をシフトする場合である。
図5(a)、図6(a)はフォトマスク4の断面図で、集光スポット13の走査に伴って位相欠陥4aが相対的に移動していく様子を時系列に横方向に並べたものである。
図5(b)、図6(b)は、図5(a)、図6(a)に対応する位相欠陥4a直後の光の振幅の絶対値、位相及び強度の空間分布を示す。
図5(c)、図6(c)は、図5(b)、図6(b)に対応するフーリエ変換像の計算結果である。なお、図5(c)、図6(c)のフーリエ変換像の光強度には位相欠陥4aが存在しない場合の分布(図2(b))を点線で表示している。
【0013】
図4と同様に空間フィルタ6を設置していない状態において光電変換器8で積分されて得られる信号は図7のようになる。位相パターンによる光の透過率変化は無いため、位相欠陥4aは検出されない。ただし、図7の計算結果は、光の蹴られが生じない無限に大きい口径を有する光学系を仮定した場合である。実際には光学系の口径が有限であるので、パターンのエッジによって生ずる散乱光を全て捕捉しきれないため微小な光量低下が検出される。
図8は、位相欠陥4aのエッジ部が集光スポット13の中央に位置する場合の光強度の分布のみを抜き出したものであり、図8(a)は図5(c)の位相シフト量Δφがλ/2、図8(b)は、位相シフト量Δφ=λ/4の場合のフーリエ変換像の強度分布に対応している。位相欠陥4aが存在しない場合の光強度分布81に対して、位相欠陥4aが存在する場合の光強度分布82は、図8(a)、(b)ともに大きく変化している。このように、位相欠陥4a透過直後の光強度(図5(b)、図6(b))では検出が不可能であるが、フーリエ変換像では位相の情報が光強度の分布として現れる。
【0014】
この理論計算の結果をもとに、フーリエ変換像が形成される後側焦点位置15に設置する空間フィルタ6を決定する。つまり位相欠陥4aがない場合81とある場合82との間に光強度として差を生じさせるのに効果的な空間フィルタを設置すればよい。例えば、瞳位置の中央部は透過し、周辺部は遮光する(図8の6b)、図9に示すような空間フィルタ6が考えられる。
図9に示す空間フィルタ6をレンズ5の瞳位置に設置した場合の光電変換器8で得られる信号の時間変化の計算結果を図10、図11に示す。図10と図11は空間フィルタ6のアパーチャ径が異なる。図10、図11ともに計算条件として、検査光の波長を266nm、位相シフタの設計波長をArFレーザの発振波長の193nmとして、位相シフト量が180度、90度、60度の3種類を表示している。
図10は、位相欠陥4aがない場合のガウシアン分布(図8の81)の1/e2ビーム径(光量が86.5%)相当のアパーチャ径を有する空間フィルタ6を設置した場合の計算結果であり、符号101は位相シフト量Δφ=180度、102は90度、103は60度の場合をそれぞれ示す。
図11は、図10よりもアパーチャ径を小さく設定した場合であり、符号111は位相シフト量Δφ=180度、112は90度、113は60度の場合をそれぞれ示す。図10、図11のいずれも、空間フィルタ6がない場合の図7に比べて、位相欠陥4aが光ビーム13に与える位相変化を光強度の変化として検出可能であることを示している。
図12は、位相シフト量Δφ=60度の場合の、空間フィルタ6アパーチャ径に対する検出信号ピーク値121(図10、図11の光強度低下ピーク値)の関係を計算したものである。また、位相パターンが何もない状態の透過光量122の関係も併記している。
図12は、アパーチャ径を小さくすればするほど検出感度が向上することを示しているが、逆に基準光量レベルが減少するためS/Nが悪化することを意味する。S/Nに大きな影響を与えない範囲でアパーチャ径の最適値を選ぶ必要がある。
【0015】
以上、理論計算に基づいて説明を行ってきたが、以下に実験結果を示す。
図13と図14は、図1に示したフォトマスク欠陥検出装置の構成において、空間フィルタ6を設置していない場合の実験結果である。
図13(b)は、位相欠陥が存在しない図13(a)の断面図に示すような遮光パターン4bを有するフォトマスク4の場合の検出結果の実験値である。
図14(b)は、位相欠陥が存在する場合の実験結果であり、図14(a)に示すような位相欠陥4aが付加されたフォトマスク4の検出結果である。
図13(b)と図14(b)を比較すると、位相欠陥4aの付近で微小な変化が確認されるが、図7の計算結果で示したように、空間フィルタ6を設置していない場合には、位相欠陥4aがほとんど検出できていないことが分かる。
【0016】
図15は、図1に示したフォトマスク欠陥検出装置の構成において、空間フィルタ6を設置した場合の実験結果である。空間フィルタ6を設置した以外は、図14と同様の条件である。図15(b)の実験結果は、図10、図11の計算結果で予見されたように、位相欠陥4aが検出されることが実験的にも確認できたことを示している。図14(b)と図15(b)の実験結果の比較は、空間フィルタ6の効果が極めて有効であることを充分に理解させるものである。
【0017】
[第1の実施例の効果]
以上のように本発明では、走査型顕微鏡方式のフォトマスク欠陥検査装置を構成し、さらに走査する微小集光スポットのフーリエ変換像に対して空間フィルタをかけることによって位相変化量を光強度変化量として検出することができる。このため、従来技術のように複雑な光学手段、信号(画像)解析手段を必要とせずに、簡易かつ高速に位相欠陥を検出することができる。
更に、走査型顕微鏡方式の利点である高いS/Nを確保することが可能であり、欠陥信号がノイズに埋もれる心配も少ない。
【0018】
[第2の実施例]
図16に本発明のフォトマスク欠陥検出装置の第2の実施例の構成を示す。前述の図1の第1の実施例と同じ構成要素については同一の記号を用いている。図16に示す第2の実施例は、図1で示した位相欠陥検出用の光学構成に、通常のパターン形状欠陥検査用の光学系を付加したものである。
フォトマスク4を透過した光ビームをコレクターレンズ5の後でビームスプリッタ163を用いて2光束に分割する。ビームスプリッタ163は、例えばハーフミラーや偏光を利用し偏光ビームスプリッタと波長板の組合せが用いられる。第2の実施例の構成ではビームスプリッタ163によって反射した光路を位相欠陥検出用として用いており、フーリエ変換面であるコレクターレンズ5の後側焦点位置15をリレーレンズ164を用いて15に等倍結像している。このように結像されたフーリエ変換面15'に空間フィルタ6を設置して図1で示した前述の方法と同様に位相シフト欠陥を検出する。
また、ビームスプリッタ163において透過した光ビームは、空間フィルタを介さずそのまま集光レンズ165によって光電変換器166の受光面に集光され、透過のパターン形状欠陥検出に用いている。
また、フォトマスク4のパターン形成面から反射した光ビームは、再び対物レンズ3を経て平行光束となり、新たに設けられたビームスプリッタ162によって反射の検出光路に導かれる。ここでは、分離した反射光をそのまま集光レンズ167により光電変換器168に集光し、反射のパターン形状欠陥検出としている。
もちろん、透過光と同様に反射光を更に分離して空間フィルタを設置し、反射の位相欠陥検出光路を追加することも可能である。この場合、位相欠陥に対して基板上面や裏面での反射による往復の位相差が発生するため、透過の場合と検出される状態が異なる。
上記のように、複数の検出構成を設けて同時に画像を採取することによって、パターン形状欠陥、位相欠陥、異物などを高速に検出することが可能となる。
【0019】
[第2の実施例の効果]
以上のように本実施例に示したような構成によって、位相マスクの欠陥検査に加えて、通常のパターン形状欠陥検査との同時検査が可能であり、遮光パターンと位相シフタが混在したようなフォトマスクの検査においても、それぞれの欠陥を検出/特定することが可能である。
更に、走査型顕微鏡方式の利点である高いS/Nを確保することが可能であり、欠陥信号がノイズに埋もれる心配も少ない。
また、従来のパターン形状欠陥検査と同様の欠陥信号が得られるため、欠陥検出用の従来のアルゴリズムを多数流用することが可能である。
【0020】
[空間フィルタの他の実施例]
図17は空間フィルタ6の第2の実施例である。透光部6aと遮光部6bを図17のように輪帯状に設けたもので、図9のように主ビーム(0次光)を透過し、回折光成分を積極的に遮断する構成に対して、主ビーム(0次光)を遮断して回折光成分を検出する構成である。この場合、位相シフト欠陥等の位相変化成分を検出する最終的な信号は、図18に示すように増加する方向(図9の場合とは逆の方向)に得られる。
【0021】
空間フィルタの形状は、図9や図17の2例に示したような透光部6aと遮光部6bがはっきりと分かれたステップ状のフィルタではなくてもよい。例えば、径方向の外側に向かって透過率が徐々に低くなっていくようなアポディゼーションフィルタ、また、径方向の外側に向かって透過率が徐々に高くなっていく超解像フィルタなどでも同様の効果が得られる。その他にも、1次元的な欠陥のみならず、欠陥サイズが集光ビームのビームウェストと同程度の孤立的な欠陥や、周期的なパターンなど、それぞれの場合に効果的な空間フィルタはフーリエ変換像から多数考案することが可能である。
また、LCDやDMD等を用いたパターン可変の高密度で高集積の透過型または反射型の空間変調素子であってもよい。
【0022】
更に、本実施例の実施形態においては、位相シフトマスクとしてAlt-PSMの欠陥検出を例に説明を行ったが、減衰性の膜や薄膜以外の位相変化が発生する物質に対しても同様の効果が期待できる。すなわち、透過型検出の場合のAtt-PSMにおけるハーフトーン膜欠陥や、反射型構成の場合の異物欠陥検出全般などでも同様の効果が期待できる。
【0023】
以上、本発明の実施形態のフォトマスク欠陥検出装置を用いて、欠陥検査システムを構成することができる。その方式としては、フォトマスクの中の同じパターンが含まれる複数のダイ同士を比較する方式や、この方式ばかりでなく、前述のような理論計算を用いてマスクパターンの設計データベースから参照とする画像を作成して、実測した画像と比較する方式とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、半導体集積回路等の回路パターンを転写する際に用いられるフォトマスクの検査装置において、位相シフトマスク等の光の位相変化をもたらす欠陥を検出する技術に関するものであるが、その他にも微細なパターンを有する電子デバイス等の表面状態の検出への応用も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施例の構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施例の動作を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施例の動作を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施例の動作を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施例の動作を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施例の動作を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施例の動作を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施例の動作を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施例が備える空間フィルタのパターン例を示す図である。
【図10】本発明の第1の実施例の動作を示す図である。
【図11】本発明の第1の実施例の動作を示す図である。
【図12】本発明の第1の実施例の動作を示す図である。
【図13】本発明の第1の実施例の実験結果を示す図である。
【図14】本発明の第1の実施例の実験結果を示す図である。
【図15】本発明の第1の実施例の実験結果を示す図である。
【図16】本発明の第2の実施例の動作を示す図である。
【図17】本発明の実施例が備える空間フィルタの別なるパターン例を示す図である。
【図18】図17の空間フィルタによる本発明の実施例の動作を示す図である。
【符号の説明】
【0026】
1 光源
2 走査光学系
3 対物レンズ
4 フォトマスク
5 コレクターレンズ
6 空間フィルタ
7 集光レンズ
8 光電変換器
9 画像処理システム
10 駆動ステージ
11 光ビーム
12 光ビーム
13 集光スポット
163 ビームスプリッタ
164 リレーレンズ
165 集光レンズ
166 光電変換器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光を検査対象面上で微小スポットに集光かつ走査し、
前記微小スポットが照射した前記検査対象面上の部位の光学的な位相情報と振幅情報を、それぞれ異なる光学系によって同時に、またはいずれか一方の光学系によって検出する、
ことを特徴とする光検査方法。
【請求項2】
前記異なる光学系のうちの1つは、
前記微小スポットが照射した前記検査対象面上の部位からの光を光学的にフーリエ変換し、
前記フーリエ変換像を空間フィルタリングし、
前記空間フィルタリングした光を集光し光電変換して前記検査対象面上の位相情報を検出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光検査方法。
【請求項3】
前記異なる光学系のうちの1つは、
前記微小スポットが照射した前記検査対象面上の部位からの光を集光し光電変換して前記検査対象面上の振幅情報を検出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光検査方法。
【請求項4】
前記微小スポットが照射した前記検査対象面上の部位からの光は、
前記部位を透過した光である、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光検査方法。
【請求項5】
前記微小スポットが照射した前記検査対象面上の部位からの光は、
前記部位から反射した光である、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光検査方法。
【請求項6】
前記検査対象面は、
レチクルであり、
前記位相情報は、
前記レチクル上に形成された光透過性のパターンの形状であり、
前記振幅情報は、
前記レチクル上に形成された遮光または光半透過性のパターンの形状である、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の光検査方法。
【請求項7】
前記検査対象面は、
電子部品基板であり、
前記位相情報は、
前記電子部品基板上に形成された光透過性のパターンの形状であり、
前記振幅情報は、
前記電子部品基板上に形成された遮光または光半透過性のパターンの形状である、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の光検査方法。
【請求項8】
前記空間フィルタのパターン形状は、
前記検査対象面上の検出パターン形状からの前記フーリエ変換像に応じて決定する、
ことを特徴とする請求項2乃至7のいずれかに記載の光検査方法。
【請求項9】
光源からの光を検査対象面上で微小スポットに集光かつ走査する手段と、
前記微小スポットが照射した前記検査対象面上の部位の光学的な位相情報と振幅情報を、同時に検出するそれぞれ異なる光学系、またはいずれか一方を検出する光学系、
を備えることを特徴とする光検査装置。
【請求項10】
前記異なる光学系のうちの1つは、
前記微小スポットが照射した前記検査対象面上の部位からの光を光学的にフーリエ変換し、
前記フーリエ変換像を空間フィルタリングし、
前記空間フィルタリングした光を集光し光電変換して前記検査対象面上の位相情報を検出する、
ことを特徴とする請求項9に記載の光検査装置。
【請求項11】
前記異なる光学系のうちの1つは、
前記微小スポットが照射した前記検査対象面上の部位からの光を集光し光電変換して前記検査対象面上の振幅情報を検出する、
ことを特徴とする請求項9に記載の光検査装置。
【請求項12】
前記微小スポットが照射した前記検査対象面上の部位からの光は、
前記部位を透過した光である、
ことを特徴とする請求項9乃至11のいずれかに記載の光検査装置。
【請求項13】
前記微小スポットが照射した前記検査対象面上の部位からの光は、
前記部位から反射した光である、
ことを特徴とする請求項9乃至11のいずれかに記載の光検査装置。
【請求項14】
前記検査対象面は、
レチクルであり、
前記位相情報は、
前記レチクル上に形成された光透過性のパターンの形状であり、
前記振幅情報は、
前記レチクル上に形成された遮光または光半透過性のパターンの形状である、
ことを特徴とする請求項9乃至13のいずれかに記載の光検査装置。
【請求項15】
前記検査対象面は、
電子部品基板であり、
前記位相情報は、
前記電子部品基板上に形成された光透過性のパターンの形状であり、
前記振幅情報は、
前記電子部品基板上に形成された遮光または光半透過性のパターンの形状である、
ことを特徴とする請求項9乃至13のいずれかに記載の光検査装置。
【請求項16】
前記空間フィルタのパターン形状は、
前記検査対象面上の検出パターン形状からの前記フーリエ変換像に応じて決定する、
ことを特徴とする請求項10乃至15のいずれかに記載の光検査装置。
【請求項17】
前記請求項9乃至16のいずれかに記載の光検査装置を複数備え、
ダイとダイとの比較によって前記検出をする、
ことを特徴とする光検査システム。
【請求項18】
前記請求項9乃至16のいずれかに記載の光検査装置とデータベースを備え、
ダイと前記データベースが有する設計データとの比較によって前記検出をする、
ことを特徴とする光検査システム。
【請求項1】
光源からの光を検査対象面上で微小スポットに集光かつ走査し、
前記微小スポットが照射した前記検査対象面上の部位の光学的な位相情報と振幅情報を、それぞれ異なる光学系によって同時に、またはいずれか一方の光学系によって検出する、
ことを特徴とする光検査方法。
【請求項2】
前記異なる光学系のうちの1つは、
前記微小スポットが照射した前記検査対象面上の部位からの光を光学的にフーリエ変換し、
前記フーリエ変換像を空間フィルタリングし、
前記空間フィルタリングした光を集光し光電変換して前記検査対象面上の位相情報を検出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光検査方法。
【請求項3】
前記異なる光学系のうちの1つは、
前記微小スポットが照射した前記検査対象面上の部位からの光を集光し光電変換して前記検査対象面上の振幅情報を検出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光検査方法。
【請求項4】
前記微小スポットが照射した前記検査対象面上の部位からの光は、
前記部位を透過した光である、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光検査方法。
【請求項5】
前記微小スポットが照射した前記検査対象面上の部位からの光は、
前記部位から反射した光である、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光検査方法。
【請求項6】
前記検査対象面は、
レチクルであり、
前記位相情報は、
前記レチクル上に形成された光透過性のパターンの形状であり、
前記振幅情報は、
前記レチクル上に形成された遮光または光半透過性のパターンの形状である、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の光検査方法。
【請求項7】
前記検査対象面は、
電子部品基板であり、
前記位相情報は、
前記電子部品基板上に形成された光透過性のパターンの形状であり、
前記振幅情報は、
前記電子部品基板上に形成された遮光または光半透過性のパターンの形状である、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の光検査方法。
【請求項8】
前記空間フィルタのパターン形状は、
前記検査対象面上の検出パターン形状からの前記フーリエ変換像に応じて決定する、
ことを特徴とする請求項2乃至7のいずれかに記載の光検査方法。
【請求項9】
光源からの光を検査対象面上で微小スポットに集光かつ走査する手段と、
前記微小スポットが照射した前記検査対象面上の部位の光学的な位相情報と振幅情報を、同時に検出するそれぞれ異なる光学系、またはいずれか一方を検出する光学系、
を備えることを特徴とする光検査装置。
【請求項10】
前記異なる光学系のうちの1つは、
前記微小スポットが照射した前記検査対象面上の部位からの光を光学的にフーリエ変換し、
前記フーリエ変換像を空間フィルタリングし、
前記空間フィルタリングした光を集光し光電変換して前記検査対象面上の位相情報を検出する、
ことを特徴とする請求項9に記載の光検査装置。
【請求項11】
前記異なる光学系のうちの1つは、
前記微小スポットが照射した前記検査対象面上の部位からの光を集光し光電変換して前記検査対象面上の振幅情報を検出する、
ことを特徴とする請求項9に記載の光検査装置。
【請求項12】
前記微小スポットが照射した前記検査対象面上の部位からの光は、
前記部位を透過した光である、
ことを特徴とする請求項9乃至11のいずれかに記載の光検査装置。
【請求項13】
前記微小スポットが照射した前記検査対象面上の部位からの光は、
前記部位から反射した光である、
ことを特徴とする請求項9乃至11のいずれかに記載の光検査装置。
【請求項14】
前記検査対象面は、
レチクルであり、
前記位相情報は、
前記レチクル上に形成された光透過性のパターンの形状であり、
前記振幅情報は、
前記レチクル上に形成された遮光または光半透過性のパターンの形状である、
ことを特徴とする請求項9乃至13のいずれかに記載の光検査装置。
【請求項15】
前記検査対象面は、
電子部品基板であり、
前記位相情報は、
前記電子部品基板上に形成された光透過性のパターンの形状であり、
前記振幅情報は、
前記電子部品基板上に形成された遮光または光半透過性のパターンの形状である、
ことを特徴とする請求項9乃至13のいずれかに記載の光検査装置。
【請求項16】
前記空間フィルタのパターン形状は、
前記検査対象面上の検出パターン形状からの前記フーリエ変換像に応じて決定する、
ことを特徴とする請求項10乃至15のいずれかに記載の光検査装置。
【請求項17】
前記請求項9乃至16のいずれかに記載の光検査装置を複数備え、
ダイとダイとの比較によって前記検出をする、
ことを特徴とする光検査システム。
【請求項18】
前記請求項9乃至16のいずれかに記載の光検査装置とデータベースを備え、
ダイと前記データベースが有する設計データとの比較によって前記検出をする、
ことを特徴とする光検査システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2006−90728(P2006−90728A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−273295(P2004−273295)
【出願日】平成16年9月21日(2004.9.21)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月21日(2004.9.21)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
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