説明

化合物半導体基板とその製造方法

【課題】AlGaInP化合物半導体の成長温度を高くすることなく、低い酸素原子濃度を有し、表面欠陥の小突起が発生しにくいAlGaInP化合物半導体の製造方法、およびそれにより得られるAlGaInP化合物半導体基板を提供する。
【解決手段】筐体の内部に配置された反応炉の内部で化合物半導体基板を製造する方法であって、前記筐体の内部を酸素濃度が45ppm以下の雰囲気に保ったまま、ベース基板を筐体の内部であって反応炉の外部から、反応炉の内部に移動し、前記ベース基板を前記反応炉の内部に配置する段階(1)と、前記反応炉の内部に配置されたベース基板の上に化合物半導体を700℃以下でエピタキシャル成長させる段階(2)とを含む化合物半導体基板の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、III−V族化合物半導体基板とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
AlGaInP(0<x≦1、0≦y<1、0≦z<1、x+y+z=1;以下AlGaInPと略記することがある。)化合物半導体は、発光ダイオード(LED)や、半導体レーザダイオード(LD)などとして使用されており、また次世代の太陽電池材料としても注目されている。
【0003】
このAlGaInP化合物半導体は、大量生産に適した有機金属気相成長(MOCVD)法や、単原子層のような極めて薄い膜の形成に優れた分子線エピタキシー(MBE)法によりGaAs基板上にエピタキシャル成長される。
【0004】
AlGaInP化合物半導体からなる層は、エピタキシャル成長のときに、その層の中に酸素原子を取り込みやすい性質を持つ。特にAl組成が大きくなると、この性質が顕著になる。酸素原子がAlGaInP層中に取り込まれると、それは電子トラップとして働き、発光デバイスや受光デバイスにおける非発光再結合中心になり、発光効率が低下する。
さらに、AlGaInP層を成長させる際に、発光デバイスの発光効率低下の原因となる表面欠陥の一種であるヒロックと呼ばれる小突起が多数発生し易い(特許文献1)。
【0005】
そこで、AlGaInP層中の酸素原子濃度を低減するために、AlGaInP層の成長時の温度を高めることが報告されている。非特許文献1によれば、成長温度が690℃以下の場合、AlGaInP層中の酸素濃度は、2×1018cm−3以上であるが、710℃、730℃と温度を高くすることで、酸素濃度が、1×1018cm−3、2×1017cm−3と低減することが示されている。
しかし、pn接合を形成するために、p型ドーパントとして亜鉛(Zn)を使用した場合、成長温度が高いと、Znが拡散しやすいので、Znがp型ドーピング層から、デバイスの活性層まで拡散することが知られている。それにより、活性層の結晶性が悪化し、良好なデバイス特性が得られなくなる。
【0006】
また、III族原料である(Al+Ga+In)に対するV族原料であるPの供給流量比(V/III比)を200以上(特許文献1)、あるいは300以上(特許文献2)と高くすることで、AlGaInP層中の酸素原子濃度を低減し、AlGaInP化合物半導体の発光効率を向上させる方法が報告されている。
しかし、V族原料の流量を増大することは、III族原料と反応する以外の余分なV族原料を無駄に捨てることになるため、製造コストの上昇を招き、AlGaInPを用いた半導体材料の普及の障害になっている。さらに、反応炉内では、III族原料と反応しない、余分なPパーティクルが発生するため、表面欠陥を増大する問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−51234号公報
【特許文献2】特開平7−249582公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Journal of Electric Materials,V23(1994)355.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、AlGaInP化合物半導体の成長温度を高くすることなく、低い酸素原子濃度を有し、表面欠陥の小突起が発生しにくいAlGaInP化合物半導体の製造方法、およびそれにより得られるAlGaInP化合物半導体基板を提供することにある。
また、本発明の目的は、AlGaInP化合物半導体の成長時のV/III比を高くすることなく、発光効率を向上でき、コスト上昇を抑えることができるAlGaInP化合物半導体の製造方法、およびそれにより得られるAlGaInP化合物半導体基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、〔1〕筐体の内部に配置された反応炉の内部で化合物半導体基板を製造する方法であって、
前記筐体の内部を酸素濃度が45ppm以下の雰囲気に保ったまま、ベース基板を筐体の内部であって反応炉の外部から、反応炉の内部に移動し、前記ベース基板を前記反応炉の内部に配置する段階(1)と、
前記反応炉の内部に配置されたベース基板の上に化合物半導体を700℃以下でエピタキシャル成長させる段階(2)と
を含む化合物半導体基板の製造方法に係るものである。
前記化合物半導体基板として、AlGaInP(0<x≦1、0≦y<1、0≦z<1、x+y+z=1)層を含むものが挙げられる。
【0011】
また、本発明の化合物半導体基板の製造方法として、前記段階(2)が、
Alx1Gay1Inz1P(0<x1≦0.35、0≦y1<1、0≦z1<1、x1+y1+z1=1)からなる化合物半導体層1を成長させる段階(2-1)と、
Alx2Gay2Inz2P(0.35<x2≦1、0≦y2<1、0≦z2<1、x2+y2+z2=1)からなる化合物半導体層2を成長させる段階(2-2)と、
を含む〔1〕に記載の製造方法が挙げられる。
【0012】
また、本発明の化合物半導体基板の製造方法として、前記段階(2)が、
p−Alx2Gay2Inz2P(0.35<x2≦1、0≦y2<1、0≦z2<1、x2+y2+z2=1)からなる化合物半導体層2Pを成長させる段階(2-2P)と、
p−Alx1Gay1Inz1P(0<x1≦0.35、0≦y1<1、0≦z1<1、x1+y1+z1=1)からなる化合物半導体層1Pを成長させる段階(2-1P)と、
n−Alx1Gay1Inz1P(0<x1≦0.35、0≦y1<1、0≦z1<1、x1+y1+z1=1)からなる化合物半導体層1Nを成長させる段階(2-1N)と
n−Alx2Gay2Inz2P(0.35<x2≦1、0≦y2<1、0≦z2<1、x2+y2+z2=1)からなる化合物半導体層2Nを成長させる段階(2-2N)と
をこの順で含む〔1〕に記載の製造方法が挙げられる。
【0013】
また、本発明の化合物半導体基板の製造方法として、前記段階(2)が、
n−Alx2Gay2Inz2P(0.35<x2≦1、0≦y2<1、0≦z2<1、x2+y2+z2=1)からなる化合物半導体層2Nを成長させる段階(2-2N)と、
n−Alx1Gay1Inz1P(0<x1≦0.35、0≦y1<1、0≦z1<1、x1+y1+z1=1)からなる化合物半導体層1Nを成長させる段階(2-1N)と
p−Alx1Gay1Inz1P(0<x1≦0.35、0≦y1<1、0≦z1<1、x1+y1+z1=1)からなる化合物半導体層1Pを成長させる段階(2-1P)と、
p−Alx2Gay2Inz2P(0.35<x2≦1、0≦y2<1、0≦z2<1、x2+y2+z2=1)からなる化合物半導体層2Pを成長させる段階(2-2P)と
をこの順で含む〔1〕に記載の製造方法が挙げられる。
【0014】
また、本発明の製造方法として、前記段階(2-1)において、
III族原料供給流量に対するV族原料供給流量の比(V/III比)が17以上150以下である条件下で前記化合物半導体層1を成長させることが好ましい。
【0015】
また、本発明の製造方法として、前記段階(2-1P)において、
III族原料供給流量に対するV族原料供給流量の比(V/III比)が17以上150以下である条件下で前記化合物半導体層1Pを成長させることが好ましい。
また、本発明の製造方法として、前記段階(2-1N)において、
III族原料供給流量に対するV族原料供給流量の比(V/III比)が17以上150以下である条件下で前記化合物半導体層1Nを成長させることが好ましい。
【0016】
また、本発明の製造方法として、前記化合物半導体のV族原料としてホスフィンが挙げられる。
また、前記ベース基板として、GaAs基板が挙げられる。
【0017】
さらに、本発明は、
〔2〕ベース基板と、
化合物半導体層1と、
化合物半導体層2と
を含み、
化合物半導体層1がAlx1Gay1Inz1P(0<x1≦0.35、0≦y1≦1、0≦z1≦1、x1+y1+z1=1)からなる層であり、
化合物半導体層2がAlx2Gay2Inz2P(0.35<x2≦1、0≦y2≦1、0≦z2≦1、x2+y2+z2=1)からなる層であり、
化合物半導体層1の酸素原子濃度が2.0×1016cm−3以下であり、
化合物半導体層2の酸素原子濃度が5.0×1016cm−3以下である
化合物半導体基板に係るものである。
前記ベース基板として、GaAs基板が挙げられる。
【0018】
筐体内の雰囲気の酸素濃度を低減することで、酸素原子の少ないAlGaInP半導体エピタキシャル基板が得られる機構として次のとおり考えられる。筐体中に存在する酸素不純物は、ベース基板を取り付ける際に、反応炉内壁へ吸着し、結晶成長中にエピタキシャル層に取り込まれるが、筐体内の酸素濃度をあらかじめ低減することにより、反応炉内壁への酸素の吸着を防止することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、AlGaInP化合物半導体の成長温度を高くすることなく、低い酸素原子濃度を有し、表面欠陥の小突起が発生しにくいAlGaInP化合物半導体を製造することができる。
また、本発明によれば、AlGaInP化合物半導体の成長時のV/III比を高くすることなく、発光効率を向上でき、コスト上昇を抑えることができるAlGaInP化合物半導体を製造することができる。
本発明によって、良好なデバイスを、安定的にかつ低コストで製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】気相成長半導体製造装置の概略図
【図2】曲線因子(FF)とベース基板取り付け時の筐体中酸素濃度の関係を示す図
【図3】Al0.35Ga0.15In0.5P中に含まれる酸素濃度と成長温度との関係を示す図
【図4】Al0.35Ga0.15In0.5P中に含まれる酸素濃度とV/III比との関係を示す図
【図5】Haze値(Al0.35Ga0.15In0.5P中の表面欠陥)とV/III比の関係を示す図
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の化合物半導体基板の製造方法は、筐体の中に配置された反応炉の中で化合物半導体基板を製造する方法であって、
前記筐体の内部を酸素濃度が45ppm以下の雰囲気に保ったまま、ベース基板を筐体の内部であって反応炉の外部から、反応炉の内部に移動し、前記ベース基板を前記反応炉の内部に配置する段階(1)と、
前記反応炉の中に配置されたベース基板の上に化合物半導体を700℃以下でエピタキシャル成長させる段階(2)と
を含むものである。
【0022】
前記化合物半導体基板として、AlGaInP(0<x≦1、0≦y<1、0≦z<1、x+y+z=1)層を含むものが挙げられる。
【0023】
図1に、本発明の製造方法において使用される気相成長半導体製造装置10の一例の概略図を示す。
気相成長半導体製造装置10は、図示しない原料供給系統からの原料ガスが原料供給ライン11を介して供給される反応炉12を備え、反応炉12内にはベース基板2を載せて加熱するためのサセプタ13が設けられている。以下、ベース基板2としてGaAs基板を用いた場合について、GaAsベース基板2として記載して説明する。
前記反応炉は、サセプタ13が多角柱体であり、その表面に化合物半導体成長用のGaAsベース基板2が複数枚配置されており、サセプタ13は回転装置14によって回転できる反応炉、いわゆるバレル型の反応炉である。
サセプタ13の内部には、符号15で示されるサセプタ13を加熱するための赤外線ランプ15が備えられている。
赤外線ランプ15に加熱用電源16から加熱用の電流を流すことによりGaAsベース基板2を所要の成長温度に加熱することができる。この加熱により、原料供給ライン11を介して反応炉12に供給される原料ガスがGaAsベース基板2上で熱分解し、GaAsベース基板2上に所望の半導体薄層結晶を気相成長させることができるようになっている。
使用済みのガスは排気ポート12Aより外部に排出され、排ガス処理装置へ送られる。
【0024】
反応炉12は、筐体18の内部に配置されている。筐体18の内部は、不活性ガスが流通されている。不活性ガスとして、窒素、アルゴンが挙げられる。以下、コストの低い窒素を例として、本発明を説明する。
窒素は配管17より筐体18内に導入され、配管19より筐体外へ排出される。
筐体18の内部は、常時、大気圧以上になるように、供給する窒素流量を制御することが好ましい。これにより、外部からの大気混入が抑制される。
【0025】
結晶成長に使用するGaAsベース基板2をサセプタ13に取り付けるに先立ち、反応炉12を筐体18内で開放して(例えばベース基板の導入口(兼取り出し口、図示していない。)を開く。)、反応炉内の雰囲気を筐体内の雰囲気と同じにする。筐体18は、酸素濃度1ppmから10000ppmを測定範囲とする微量酸素濃度計20に接続されている。
該微量酸素濃度計により酸素濃度を測定しながら窒素流量を制御して、筐体内を酸素濃度45ppm以下の雰囲気下に保持するようにする。
【0026】
筐体の内部を酸素濃度が45ppm以下の雰囲気に保ったまま、ベース基板の導入口(反応炉に設けられている)を開き、気密グローブにより外部から操作することにより、筐体内に入れてあったベース基板を反応炉内のサセプタ13に載せて、次にベース基板の導入口を閉じる。
【0027】
前記筐体の内部で保たれる雰囲気の酸素濃度は、45ppm以下であり、好ましくは10ppm以下、より好ましくは5ppm以下、さらに好ましくは1ppm以下である。
【0028】
次に、本発明の製造方法における段階(2)は、反応炉の中に配置されたベース基板の上に化合物半導体を700℃以下でエピタキシャル成長させる段階である。
前記段階(2)として、
Alx1Gay1Inz1P(0<x1≦0.35、0≦y1<1、0≦z1<1、x1+y1+z1=1)からなる化合物半導体層1を成長させる段階(2-1)と、
前記段階(2-1)の後に、Alx2Gay2Inz2P(0.35<x2≦1、0≦y2<1、0≦z2<1、x2+y2+z2=1)からなる化合物半導体層2を成長させる段階(2-2)と、
を含むものが挙げられる。
【0029】
また、前記段階(2)として、
p−Alx2Gay2Inz2P(0.35<x2≦1、0≦y2<1、0≦z2<1、x2+y2+z2=1)からなる化合物半導体層2Pを成長させる段階(2-2P)と、
p−Alx1Gay1Inz1P(0<x1≦0.35、0≦y1<1、0≦z1<1、x1+y1+z1=1)からなる化合物半導体層1Pを成長させる段階(2-1P)と、
n−Alx1Gay1Inz1P(0<x1≦0.35、0≦y1<1、0≦z1<1、x1+y1+z1=1)からなる化合物半導体層1Nを成長させる段階(2-1N)と
n−Alx2Gay2Inz2P(0.35<x2≦1、0≦y2<1、0≦z2<1、x2+y2+z2=1)からなる化合物半導体層2Nを成長させる段階(2-2N)と
をこの順で含む段階が挙げられる。
【0030】
また、前記段階(2)として、
n−Alx2Gay2Inz2P(0.35<x2≦1、0≦y2<1、0≦z2<1、x2+y2+z2=1)からなる化合物半導体層2Nを成長させる段階(2-2N)と、
n−Alx1Gay1Inz1P(0<x1≦0.35、0≦y1<1、0≦z1<1、x1+y1+z1=1)からなる化合物半導体層1Nを成長させる段階(2-1N)と
p−Alx1Gay1Inz1P(0<x1≦0.35、0≦y1<1、0≦z1<1、x1+y1+z1=1)からなる化合物半導体層1Pを成長させる段階(2-1P)と、
p−Alx2Gay2Inz2P(0.35<x2≦1、0≦y2<1、0≦z2<1、x2+y2+z2=1)からなる化合物半導体層2Pを成長させる段階(2-2P)と
をこの順で含む段階が挙げられる。
【0031】
本発明によれば、前記段階(2-1)において、
III族原料供給流量に対するV族原料供給流量の比(V/III比)(体積比)が17以上150以下で前記化合物半導体層1を成長させることができ、35以上100以下でも成長させることができる。
前記V/III比が17以上であれば、ヒロックと呼ばれる小突起が生じにくいので好ましい。また、前記V/III比が150以下であれば、パーティクルの発生を抑制でき、コストを低減できるので好ましい。
【0032】
また、本発明によれば、前記段階(2-1P)および前記段階(2-1N)において、
III族原料供給流量に対するV族原料供給流量の比(V/III比)が17以上150以下で前記化合物半導体層1を成長させることでき、35以上100以下でも成長させることができる。
前記V/III比が17以上であれば、ヒロックと呼ばれる小突起が生じにくいので好ましい。また、前記V/III比が150以下であれば、パーティクルの発生を抑制できるので好ましい。
【0033】
ここで、V/III比とは、V族原料とIII族原料の供給比(体積比)である。
ガスボンベからのガスの供給量は供給ラインに設置されたマスフローコントローラーなどの流量制御装置によって制御される。
(ボンベ内の原料ガス濃度)×(全ガス流量/単位時間)が原料の実流量/単位時間となる。
バブラーからのガスの供給量は、バブラーに流すキャリアガス供給ラインに設置されたマスフローコントローラーなどの流量制御装置によって制御される。
(キャリアガス流量/単位時間)×(バブラー内原料蒸気圧)/(バブラー内圧)が原料の実流量/単位時間となる。
これらの方式によって供給された原料実流量についてV族原料とIII族原料の供給量比(V族原料の供給量/III族原料の供給量)(体積比)を本明細書でV/III比という。
【0034】
また、Alx1Gay1Inz1P(0<x1≦0.35、0≦y1<1、0≦z1<1、x1+y1+z1=1)からなる層、およびAlx2Gay2Inz2P(0.35<x2≦1、0≦y2<1、0≦z2<1、x2+y2+z2=1)からなる層は、In組成z1およびz2を変化させることで、GaAs基板との格子整合、格子不整合の状態を選択できるが、z1=0.52、z2=0.52の条件でGaAsベース基板と格子整合することが好ましい。
また、これらのAlGaInP層は、GaAs基板と擬格子整合してもよい。
本明細書において、「擬格子整合」とは、完全な格子整合ではないが、互いに接する2つの半導体の格子定数の差が小さく、格子不整合による欠陥の発生が顕著でない範囲で、互いに接する2つの半導体を積層できる状態をいう。このとき、各半導体の結晶格子が、弾性変形できる範囲内で変形することで、上記格子定数の差が吸収される。例えば、GeとGaAsとの、またはGaAsとAlGaInPとの格子緩和限界厚さ内での積層状態は、擬格子整合と呼ばれる。
【0035】
化合物半導体をエピタキシャル成長させる方法における原料として、以下のものが挙げられる。
反応炉の内部をキャリアガスである水素で置換後、III族原料として、トリメチルガリウム(TMG)、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリメチルインジウム(TMI)を用い、V族原料としてアルシン(AsH)、ホスフィン(PH)を用い、n型ドーパントとしてジシラン(Si)を用い、p型ドーパントとしてジエチルジンク(DEZ)を用いて、GaAsベース基板2の上に化合物半導体をエピタキシャル成長させることができる。
【0036】
上記では、バレル型の反応炉について説明したが、本発明の実施は、これに限られるものではない。筐体中の反応炉にベース基板を取り付ける方式を採用するMOCVD装置であれば、いずれの装置を用いても本発明を実施できる。
【0037】
本発明により製造された半導体基板は、発光デバイス、例えば太陽電池に用いることができる。
前記半導体基板は、p型層とn型層とが接合したpn接合を有するか、または活性層がp型層とn型層とで挟まれたダブルヘテロ構造を有することが好ましい。活性層としてi型が挙げられる。
【0038】
ここで、p型化合物半導体層として、p−GaAs、p−AlGaAs、p−InGaP、p−AlInGaPが挙げられる。
p型ドーパントとして、Zn、Mg、C、Beが挙げられる。
n型化合物半導体層として、n−GaAs、n−AlGaAs、n−InGaP、n−AlInGaPが挙げられる。
n型ドーパントとして、Si、Se、S、Teが挙げられる。
【0039】
p型層とn型層とが接合したpn接合を有する半導体基板を製造するに当たって、pn接合の接合部近傍のp型層と接合部近傍のn型層とを成長させるときのIII族原料供給流量に対するV族原料供給流量の比(V/III比)を100以上150以下である条件下で成長させることが好ましい。
【0040】
また、p型層を成長させた後に、活性層を成長させ、次にn型層を成長させることもできる。
活性層がp型層とn型層とで挟まれたヘテロ構造を有する半導体を製造するに当たって、活性層とn型層との接合部近傍および活性層および活性層とp型層との接合部近傍を成長させるときのIII族原料供給流量に対するV族原料供給流量の比(V/III比)を100以上150以下である条件下で成長させることが好ましい。
【0041】
また、上記とは逆の順序で、ベース基板の上にまずn型化合物半導体層を成長させ、次にp型化合物半導体層を成長させてもよい。
【0042】
また、Al組成が異なるAlGaInP層を積層する場合、V/III比の範囲は、Al組成に応じて変化させることが好ましい。Al組成が0.35以上の層におけるV/III比の範囲は100以上150以下の範囲で成長させることが好ましい。
例えば、Ga0.5In0.5P層を活性層、Al0.25Ga0.25In0.5P層をバリア層とし、該活性層がp型のAl0.35Ga0.15In0.5P層とn型のAl0.35Ga0.15In0.5P層に挟まれる化合物半導体基板は、赤色半導体レーザに用いることができる。
この場合、活性層近傍では非発光再結合中心の存在の影響を強く受けるので、少なくとも活性層をV/III比が100以上150以下の範囲で成長させることが好ましい。
【0043】
さらに、活性層近傍も、V/III比が100以上150以下の範囲で成長させることが好ましい。
該活性層近傍とは、電子、正孔のキャリアの広がりと光の広がりを考慮して決定することができる。
例えば、n型のAl0.35Ga0.15In0.5Pクラッド層とp型のAl0.35Ga0.15In0.5Pクラッド層で活性層を挟む赤色半導体レーザの場合、n型クラッド層およびp型クラッド層のそれぞれ活性層に接する界面から100nmまでの範囲が好ましく、さらに好ましくは、それぞれ活性層に接する界面から200nmまでの範囲である。
【0044】
本発明の製造方法により、Alx1Gay1Inz1P(0<x1≦0.35、0≦y1<1、0≦z1<1、x1+y1+z1=1)からなる層中に含まれる酸素原子濃度が2×1016cm−3以下であり、Alx2Gay2Inz2P(0.35<x2≦1、0≦y2<1、0≦z2<1、x2+y2+z2=1)からなる層中に含まれる酸素原子濃度が5×1016cm−3以下である化合物半導体基板を得ることができる。
前記ベース基板として、GaAs基板が挙げられる。
本発明の製造方法により半導体基板の結晶品質を向上させ、得られる半導体基板を用いたデバイスの特性を大幅に改善することができる。
【実施例】
【0045】
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0046】
(実施例1)
化合物半導体基板の成長に使用した気相成長半導体製造装置の概略図を図1に示す。
ベース基板として、(100)から<110>方向に5°傾斜したp型GaAs基板を用いた。
筐体18の内部を外気から遮断し、反応炉12のベース基板の導入口(図1には図示していない。)を開放して反応炉の内部と筐体の内部とを通じさせ、反応炉の内部および筐体の内部に不活性ガスである窒素を流通させた。
筐体の内部であって反応炉の外部へベース基板を筐体の外部から入れ、筐体の内部を外気から遮断した。
筐体の内部を酸素濃度が1ppmの雰囲気に保ったまま、ベース基板を筐体の内部であって反応炉の外部から、ベース基板の導入口を通して、反応炉12の内部のサセプタ13へ設置した。
ベース基板の基板導入口を密閉した。
【0047】
前記ベース基板上に、
p−GaAs(300nm,Zn:1×1018cm−3)、
p−Ga0.5In0.5P(20nm,Zn:2×1018cm−3)、
p−Al0.5In0.5P(50nm,Zn:2×1017cm−3、化合物半導体層2、2Pに相当する。)、
p−Al0.1Ga0.4In0.5P(1000nm,Zn:5×1016cm−3、化合物半導体層1、1Pに相当する。)、
n−Al0.1Ga0.4In0.5P(30nm,Si:2×1018cm−3、化合物半導体層1、1Nに相当する。)、
n−Al0.5In0.5P(30nm,Si:2×1018cm−3、化合物半導体層2、2Nに相当する。)、
n−GaAs(300nm,Si:2×1018cm−3)の各層を順次成長させた。
【0048】
ここで、例えば、(300nm,Zn:1×1018cm−3)は、得られた層の厚みが300nm,得られた層のドーピング濃度(Zn)が1×1018cm−3であったことを示す。
上記の各層を成長させたときの温度は730℃であった。
p−Al0.5In0.5P層(化合物半導体層2、2Pに相当する。)、p−Al0.1Ga0.4In0.5P層(化合物半導体層1、1Pに相当する。)、n−Al0.1Ga0.4In0.5P層(化合物半導体層1、1Nに相当する。)、n−Al0.5In0.5P層(化合物半導体層2、2Nに相当する。)を成長させるときのV/III比は70とした。
【0049】
エピタキシャル成長で得られた面にエッチングとリソグラフィにより櫛形形状のn型電極を形成し、ベース基板の裏面(エピタキシャル成長で得られた面と反対側のベース基板面)にp型電極を蒸着して、太陽電池を作製した。
得られた太陽電池に可視光を照射し、I−V特性を測定し、開放電圧、短絡電流、曲線因子(FF)を算出した。
得られた曲線因子(FF)とベース基板を反応炉の中に取り付ける際の筐体内部の雰囲気の酸素濃度との関係を図2に示す。
【0050】
(実施例2、実施例3、実施例4)
筐体10の内部の雰囲気の酸素濃度を、10ppm(実施例2)、30ppm(実施例3)、45ppm(実施例4)の雰囲気に保持したまま、ベース基板を反応炉12の中のサセプタ13に取り付けること以外は、実施例1と同様にして、化合物半導体基板をそれぞれの場合で成長した。
さらに、同様にして、太陽電池をそれぞれ作成し、得られた太陽電池に可視光を照射し、I−V特性を測定し、開放電圧、短絡電流、曲線因子(FF)をそれぞれ算出した。
【0051】
得られた曲線因子(FF)とベース基板を反応炉の中に取り付ける際の筐体内部の雰囲気の酸素濃度との関係を図2に示す。図2の結果によれば、筐体中の雰囲気の酸素濃度が45ppm以下では、FFがほぼ70%で一定であった。
【0052】
筐体中の雰囲気の酸素濃度が30ppmで、ベース基板をサセプタに取り付けて成長した場合に、得られたp−Al0.1Ga0.4In0.5P層における酸素原子濃度およびn−Al0.1Ga0.4In0.5P層における酸素原子濃度は、いずれも1.5x1016cm−3であり、得られたp−Al0.5In0.5P層における酸素原子濃度およびn−Al0.5In0.5P層における酸素原子濃度は、いずれも4.0x1016cm−3であった。
【0053】
(比較例1)
筐体10の内部の雰囲気の酸素濃度を、50ppmの雰囲気に保持したまま、ベース基板を反応炉12の中のサセプタ13に取り付けること以外は、実施例1と同様にして、化合物半導体基板を成長した。
得られた化合物半導体層1に相当するp−Al0.1Ga0.4In0.5P層およびn−Al0.1Ga0.4In0.5P層における酸素原子濃度は、いずれも3.0x1016cm−3であり、化合物半導体層2に相当するp−Al0.5In0.5P層およびn−Al0.5In0.5P層における酸素原子濃度は、いずれも2.0x1017cm−3であった。
【0054】
得られた太陽電池に可視光を照射し、I−V特性を測定し、開放電圧、短絡電流、曲線因子(FF)を算出した。筐体中の酸素濃度が50ppmのときは、FFが45%であった。
その結果を実施例1〜4の場合と共に図2に示す。
筐体中の雰囲気の酸素濃度が50ppmのときに、FFが低い理由は、p−Al0.1Ga0.4In0.5P層中、n−Al0.5In0.5P層中、およびその界面における酸素原子濃度が増大したためであると考えられる。酸素原子は、禁制帯中に深い準位を形成し、キャリアの捕獲中心として機能するので、キャリアが捕獲され、外部へ電流として取り出せなくなり、開放電圧、短絡電流が低下したためである。
【0055】
AlGaInPを太陽電池として使用すると、InGaPを太陽電池として使用するときよりも太陽光の吸収帯が短波長側に広がる。さらに、Al組成をより大きくすることで、短波長側に広がる効果はより顕著になる。
本発明により、AlGaInP層中の酸素濃度を下げることができるので、良好なデバイス特性が得られるようになった。
【0056】
(実施例5)
筐体中の雰囲気の酸素濃度が10ppmでベース基板をサセプタに取り付けた。そして、(100)から<110>方向に10°傾斜したn型GaAsベース基板上にi−Al0.35Ga0.15In0.5P層をV/III比105で200nm成長した。成長温度を650℃、675℃、700℃、725℃とした4つの場合について、化合物半導体基板を作製した。SIMS分析からi−Al0.35Ga0.15In0.5P層の酸素原子濃度を決定した。
【0057】
筐体中の酸素濃度が10ppmの場合に、i−Al0.35Ga0.15In0.5P層中の酸素原子濃度は、成長温度に依存せず、すべて1.2x1016cm−3以下であった。
成長温度と得られた酸素原子濃度との関係を図3に示す。
【0058】
(比較例2)
筐体中の酸素濃度を200ppmとした以外は、実施例5と同様にして、4種の化合物半導体基板を作製した。SIMS分析からi−Al0.35Ga0.15In0.5P層の酸素原子濃度を決定した。
【0059】
筐体中の酸素濃度が200ppmの場合に、i−Al0.35Ga0.15In0.5P層中の酸素原子濃度は、成長温度に強く依存し、725℃では1.7x1016cm−3であったが、675℃では2.8x1016cm−3であり、650℃は2.2x1017cm−3であった。
成長温度と得られた酸素原子濃度との関係を図3に示す。
【0060】
上記の結果によれば、筐体中の酸素濃度を制御することで、Al0.35Ga0.15In0.5P層成長時の成長温度を700℃以下に下げることが可能である。このことで、成長温度が高い場合に問題となる、表面欠陥の発生と、p型ドーパントであるZnの拡散を抑制することが可能となった。
【0061】
(実施例6)
筐体中の酸素濃度が10ppmでベース基板をサセプタに取り付けた。そして、(100)から<110>方向に10°傾斜したn型GaAsベース基板上にi−Al0.35Ga0.15In0.5P層を成長温度650℃で200nm成長した。V/III比を35、105、140とした3つの場合について、化合物半導体基板を作製した。SIMS分析からi−Al0.35Ga0.15In0.5P層の酸素原子濃度を決定した。
【0062】
その結果、筐体中の酸素濃度が10ppmの場合に、i−Al0.35Ga0.15In0.5P層中の酸素原子濃度は、V/III比に依存せず、酸素濃度はすべて1.2x1016cm−3以下であった。
V/III比と得られた酸素原子濃度との関係を図4に示す。
【0063】
(比較例3)
筐体中の酸素濃度を200ppmとした以外は、実施例6と同様にして、3種の化合物半導体基板を作製した。SIMS分析からi−Al0.35Ga0.15In0.5P層の酸素原子濃度を決定した。
【0064】
その結果、筐体中の酸素濃度が200ppmの場合に、i−Al0.35Ga0.15In0.5P層中の酸素濃度は、V/III比に強く依存し、V/III=140では、酸素濃度が1.7x1017cm−3であり、V/III=35では4.0x1017cm−3であった。
V/III比と得られた酸素原子濃度との関係を図4に示す。
【0065】
上記の結果によれば、筐体中の酸素濃度を制御することで、Al0.35Ga0.15In0.5P層成長時のV/III比を従来行われてきた200以上にする必要がないので、V/III比が高い場合に問題となる、表面欠陥の発生と、製造コストの上昇を抑制することが可能となった。
【0066】
(実施例7)
i−Al0.35Ga0.15In0.5Pを(100)から<110>方向に10°傾斜したn型GaAsベース基板上に成長温度725℃で500nm成長した。このときのV/III比を異なる値(10から140の範囲)とした6つの場合について、化合物半導体基板を作製した。それぞれの場合について、得られた化合物半導体層の表面状態を表面欠陥測定装置で調べ、Haze値を測定した。その結果を図5に示す。
【0067】
図5の結果によれば、V/IIIが17から140の範囲では目立った小突起の生成はなく、デバイス形成に問題のないレベルの平坦な表面が得られた。
【0068】
(実施例8)
(100)から<110>方向に10°傾斜したn型GaAsベース基板上に、
n−Al0.35Ga0.15In0.5P(2000nm,5x1017cm−3)クラッド層、
i−InGaP/Al0.25Ga0.25In0.5P(5nm/5nm)活性層、
p−Al0.35Ga0.15In0.5P(1500nm,2x1018cm−3)クラッド層、
p−GaAs(200nm,2x1019cm−3)コンタクト層を順次成長させた。
各層を成長させたときの温度は730℃であった。
i−InGaP/Al0.25Ga0.15In0.5P活性層およびp/n−Al0.35Ga0.15In0.5Pクラッド層の活性層側100nmの範囲を成長させるときのV/III比を140とし、残りのAl0.35Ga0.15In0.5P層を成長させるときのV/III比を35とした。
エピタキシャル成長で得られた面にエッチングとリソグラフィにより、リッジ形状のp型電極を形成し、ベース基板の裏面(エピタキシャル成長で得られた面と反対側のベース基板面)にn型電極を蒸着して、半導体レーザーダイオードを作製した。
【0069】
室温で電流注入し、その光出力−電流特性から、閾値電流55mAでレーザ発振することを確認した。
【0070】
以上の実施例では、(100)から数度傾斜したベース基板を成長基板として使用したが、(100)ジャスト基板や、あるいは(110)、(311)A、(311)B、(111)A、(111)Bなどの、(100)以外の面指数の基板やこれらの面指数から傾斜した基板を使用することができる。
【符号の説明】
【0071】
2 ベース基板
10 気相成長半導体製造装置
11 原料供給ライン
12 反応炉
12A 排気ポート
13 サセプタ
14 回転装置
15 赤外線ランプ
16 加熱用電源
17 配管
18 筐体
19 配管
20 微量酸素濃度計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の内部に配置された反応炉の内部で化合物半導体基板を製造する方法であって、
前記筐体の内部を酸素濃度が45ppm以下の雰囲気に保ったまま、ベース基板を筐体の内部であって反応炉の外部から、反応炉の内部に移動し、前記ベース基板を前記反応炉の内部に配置する段階(1)と、
前記反応炉の内部に配置されたベース基板の上に化合物半導体を700℃以下でエピタキシャル成長させる段階(2)と
を含む化合物半導体基板の製造方法。
【請求項2】
前記化合物半導体基板は、AlGaInP(0<x≦1、0≦y<1、0≦z<1、x+y+z=1)層を含む
請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記段階(2)が、
Alx1Gay1Inz1P(0<x1≦0.35、0≦y1<1、0≦z1<1、x1+y1+z1=1)からなる化合物半導体層1を成長させる段階(2-1)と、
Alx2Gay2Inz2P(0.35<x2≦1、0≦y2<1、0≦z2<1、x2+y2+z2=1)からなる化合物半導体層2を成長させる段階(2-2)と、
を含む
請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記段階(2)が、
p−Alx2Gay2Inz2P(0.35<x2≦1、0≦y2<1、0≦z2<1、x2+y2+z2=1)からなる化合物半導体層2Pを成長させる段階(2-2P)と、
p−Alx1Gay1Inz1P(0<x1≦0.35、0≦y1<1、0≦z1<1、x1+y1+z1=1)からなる化合物半導体層1Pを成長させる段階(2-1P)と、
n−Alx1Gay1Inz1P(0<x1≦0.35、0≦y1<1、0≦z1<1、x1+y1+z1=1)からなる化合物半導体層1Nを成長させる段階(2-1N)と
n−Alx2Gay2Inz2P(0.35<x2≦1、0≦y2<1、0≦z2<1、x2+y2+z2=1)からなる化合物半導体層2Nを成長させる段階(2-2N)と
をこの順で含む
請求項1から3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
前記段階(2)が、
n−Alx2Gay2Inz2P(0.35<x2≦1、0≦y2<1、0≦z2<1、x2+y2+z2=1)からなる化合物半導体層2Nを成長させる段階(2-2N)と、
n−Alx1Gay1Inz1P(0<x1≦0.35、0≦y1<1、0≦z1<1、x1+y1+z1=1)からなる化合物半導体層1Nを成長させる段階(2-1N)と
p−Alx1Gay1Inz1P(0<x1≦0.35、0≦y1<1、0≦z1<1、x1+y1+z1=1)からなる化合物半導体層1Pを成長させる段階(2-1P)と、
p−Alx2Gay2Inz2P(0.35<x2≦1、0≦y2<1、0≦z2<1、x2+y2+z2=1)からなる化合物半導体層2Pを成長させる段階(2-2P)と
をこの順で含む
請求項1から3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
前記段階(2-1)において、
III族原料供給流量に対するV族原料供給流量の比(V/III比)が17以上150以下である条件下で前記化合物半導体層1を成長させる
請求項3に記載の製造方法。
【請求項7】
前記段階(2-1P)および前記段階(2-1N)において、
III族原料供給流量に対するV族原料供給流量の比(V/III比)が17以上150以下である条件下で前記化合物半導体層1を成長させる
請求項4または5に記載の製造方法。
【請求項8】
前記化合物半導体のV族原料としてホスフィンを用いる請求項1から7のいずれかに記載の製造方法。
【請求項9】
前記ベース基板がGaAs基板である請求項1から8のいずれかに記載の製造方法。
【請求項10】
ベース基板と、
化合物半導体層1と、
化合物半導体層2と
を含み、
化合物半導体層1がAlx1Gay1Inz1P(0<x1≦0.35、0≦y1≦1、0≦z1≦1、x1+y1+z1=1)からなる層であり、
化合物半導体層2がAlx2Gay2Inz2P(0.35<x2≦1、0≦y2≦1、0≦z2≦1、x2+y2+z2=1)からなる層であり、
化合物半導体層1の酸素原子濃度が2.0×1016cm−3以下であり、
化合物半導体層2の酸素原子濃度が5.0×1016cm−3以下である
化合物半導体基板。
【請求項11】
前記ベース基板がGaAs基板である請求項10に記載の化合物半導体基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−114283(P2011−114283A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−271485(P2009−271485)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】