説明

半導体ウエハを処理するための方法

【課題】
【解決手段】半導体ウエハを処理するための方法であって:酸化ランタンまたは酸化ランタニド(例えば、Dy23、Pr23、Ce23)を含む層を準備する工程と;炭酸水である水溶液を供給することにより、酸化ランタンまたは酸化ランタニドを含む層を特定の領域で除去して、酸化ランタンまたは酸化ランタニドを含む層が上に蒸着された表面を露出させる工程とを備える方法が開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体ウエハを処理するための方法に関する。
【0002】
より詳細には、半導体ウエハの湿式処理のための方法に関し、その方法では、酸化ランタンまたは酸化ランタニドを含む層を、その層が上に蒸着された下層に対して選択的にエッチングすることにより、下層を露出させる。
【背景技術】
【0003】
図1は、本発明の一実施形態に従った方法が適用される前の高誘電率金属ゲートスタック1を示す概略断面図である。シリコンウエハのバルクシリコン10の上に、複数の層がこの順で蒸着される:
【0004】
【表1】

【0005】
高誘電率材料を蒸着する前に、界面層(酸化シリコンまたは酸窒化シリコン)が、1nmまでの厚さで随意的に蒸着されてよい。
【0006】
酸化ハフニウム20の代わりに、誘電率kが10より大きい(k>10)他の材料が蒸着されてもよい。適切な材料は、例えば、ケイ酸ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸窒化ハフニウムシリコン、ケイ酸ジルコニウム、アルミン酸ハフニウム、アルミン酸ジルコニウム、または、それらの組み合わせなどである。
【0007】
酸化ランタン30の代わりに、酸化ランタニド(例えば、酸化ジスプロシウム)など他のキャップ層材料が用いられてもよい。
【0008】
金属層としての窒化チタンの代わりに、他のチタン系またはタンタル系材料もしくは他の材料が用いられてもよい。
【0009】
多結晶シリコンの代わりに、非晶質シリコンなど、他のシリコン層が用いられてもよい。
【0010】
ハードマスクとしての窒化シリコンの代わりに、酸化シリコンが用いられてもよい。
【0011】
かかるスタックの例は、S.Kubicek et al.、IEDM Tech.Dig.、p.49、2007、および、A.Toriumi et al.、IEDM Tech.Dig.、p.53、2007に記載されている。
【0012】
バルクシリコンを露出させるためにスタック層を除去すべき場所でスタックを露出させるように、フォトリソグラフィ工程が実行される。除去すべき領域は、塩化ホウ素およびアルゴンがプラズマチャンバに供給されるプラズマ処理で処理される。(フォトレジストが存在しない)除去すべき領域では、窒化シリコン層60、多結晶シリコン層50、および、窒化チタン層40が、一般に除去される。酸化ランタン層30および高誘電体層20は、修飾された酸化ランタン25および修飾された高誘電率材料35が生成されるように(図1参照)、プラズマ処理によって修飾される。プラズマ処理中に、残留物が生成される。(フォトレジスト由来の)炭素リッチな残留物75が、ハードマスク60上に残る。側壁残留物が、エッチングされたスタックの側壁上に残る。側壁残留物は、基本的に、側壁に付着する金属リッチな残留物45と、金属リッチな残留物に付着するシリコンリッチな残留物55である。
【0013】
本発明の目的は、金属層40もシリコン層50も上に残っていない酸化ランタンまたは酸化ランタニドを選択的に除去して、高誘電率体層または金属層をアンダーカットすることなく清浄な構造を残すための容易に制御可能な処理を提供することである。ハフニウムまたはジルコニウムを含有する酸化物(高誘電率材料)など他の材料、ならびに、酸化アルミニウムなど構造の他の領域で露出されている材料の任意の攻撃を、できるかぎり防止することが好ましい。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、課題を解決するために、半導体ウエハを処理するための方法を提供しており、その方法は:
・酸化ランタンまたは酸化ランタニド(例えば、Dy23、Pr23、Ce23)を含む層を準備する工程と、
・炭酸水である水溶液を供給することにより、酸化ランタンまたは酸化ランタニドを含む層を特定の領域で除去して、酸化ランタンまたは酸化ランタニドを含む層が上に蒸着された表面を露出させる工程とを備える。
【0015】
換言すると、酸化ランタンまたは酸化ランタニドの層は、下層の材料(例えば、高誘電率材料)を露出させるために開かれる。かかる特定の領域は、マスク(例えば、フォトレジストまたはハードマスク)が存在しない領域であってよい。
【0016】
炭酸水は、ソーダ水としても知られ、水をボトルに入れた後に二酸化炭素を添加して再充填可能なセルツァボトルに「充填」することによって生産できる。あるいは、送水管(脱イオン水の送水管が好ましい)に特定の圧力で二酸化炭素を添加することもできる。加圧されたガスの二酸化炭素分圧が高いほど、水溶液中の二酸化炭素の分析濃度が高くなる。二酸化炭素の分析濃度は、(分散、非溶解)二酸化炭素を除いた溶解二酸化炭素、炭酸、および、炭酸水素塩の合計である。
【0017】
炭酸水を利用するこの技術は、下層材料が同様の化学特性を有する場合でも、下層材料に対して高い選択性を有するという利点を提供する。この方法は、高誘電率材料だけでなく、TaNおよびTiNなど他の材料に対しても、酸化ランタンまたは酸化ランタニドの選択的エッチングを提供する。さらに、炭酸水は、混合しやすく、環境への負担が少なく、無害である。
【0018】
好ましい方法において、炭酸水は、100kΩm未満の抵抗率(電気比抵抗)を有する水を撹拌することによって生成される。この実施形態では、エッチング速度は、選択性を大幅に減少させることなくさらに高くなる。
【0019】
本発明の一実施形態では、酸化ランタンまたは酸化ランタニドが、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、ケイ酸ハフニウム(HfSiOx)、アルミン酸ハフニウム(HfAlOx)、酸窒化ハフニウムシリコン(HfSiON)、酸窒化ハフニウムアルミニウム(HfAlON)、ケイ酸ジルコニウム(ZrSiO)、ZrAlO、酸窒化ジルコニウムシリコン(ZrSiON)、酸窒化ジルコニウムアルミニウム(ZrAlON)、アルミナ(Al23)、酸窒化ハフニウム(HfON)、および、酸窒化ジルコニウム(ZrON)からなる群より選択された材料(エッチングされる材料とは異なる高誘電率材料)を含む層の上に蒸着される方法が提供される。
【0020】
水溶液中の二酸化炭素の分析濃度は、少なくとも0.1g/Lであると有利である。(「/L」は、リットル当たり、を示す、以下同じ)
【0021】
溶液のpH値は、5.5未満の値を選択されることが好ましく、5未満がより好ましく、選択性およびエッチング速度を改善する。pH値の好ましい範囲は、3.5から4.5の間である。
【0022】
好ましい方法において、少なくとも1.2バール(少なくとも0.2バールゲージ)の分圧で、二酸化炭素が水(100kΩmより大きい抵抗率を有する脱イオン水が好ましい)に添加される。加圧されたガスの二酸化炭素分圧が高いほど、水溶液中の二酸化炭素の分析濃度が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に従った方法が適用される前の高誘電率金属ゲートスタックを示す概略断面図。
【0024】
【図2】本発明の一実施形態に従った方法が適用された後の高誘電率金属ゲートスタックを示す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
好ましい方法は、以下のように実行される:
【0026】
「背景技術」の節で上述したように、スタックから始めて、回転するウエハ上に液体が注がれる湿式処理法が、スピンプロセッサによって実行される。
・第1の工程SA:アンモニア(cHCl=2g/L)および過酸化水素(cNH3=3g/L)の水溶液である液体が、100rpmで、30秒間25℃で供給され,その後、300rpmでスピン除去される。
・中間リンス工程:ウエハを100rpmで回転させつつ、脱イオン水が、25℃で20秒間供給され、その後、液体は、300rpmでスピン除去される。
・第2の工程SB:二酸化炭素(1.5バール、20℃)を23ml/分のガス流量で添加された2L/分の流量の脱イオン水が、100rpmで、30秒間20℃で供給され、その後、300rpmでスピン除去される。生成された炭酸水は、pH値4.0を有し、CO2濃度0.03mol/L(水中のCO2:1.32g/L)と算出される。飽和濃度が2g/L(1.5バール、20℃の場合)であることを考えると、これは、分析濃度がそれぞれの飽和濃度の約2/3であることを意味する。
・第3の工程SC:フッ化水素酸(cHF=1g/L)および塩酸(cHCl=40g/L)の水溶液である液体Cが、100rpmで、30秒間40℃で供給され、その後、300rpmでスピン除去される。
・中間リンス工程:ウエハを100rpmで回転させつつ、脱イオン水が、25℃で20秒間供給され、その後、液体は、300rpmでスピン除去される。
・第4の工程:塩化水素の水溶液(cHCl=2g/L)である液体Dが、100rpmで、30秒間25℃で供給され、その後、300rpmでスピン除去される。
・最終リンス工程:ウエハを100rpmで回転させつつ、脱イオン水が、25℃で20秒間供給され、その後、液体は、300rpmでスピン除去される。
・N2を基板上に吹き付けて乾燥させる。
【0027】
この処理の後、修飾された層(修飾キャップ層35、修飾高誘電体層)が除去されるだけでなく、スタック構造は、図2に示すように、全残留物を洗浄される。
【0028】
高誘電率金属ゲートnMOSスタックの例を参照しつつ本発明について説明したが、本発明は、酸化ランタンおよび/または酸化ランタニドがエッチングおよび/または除去される任意の場合に利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウエハを処理するための方法であって、
酸化ランタンまたは酸化ランタニド(例えば、Dy23、Pr23、Ce23)を含む層を準備する工程と、
炭酸水である水溶液を供給することにより、酸化ランタンまたは酸化ランタニドを含む前記層を特定の領域で除去して、酸化ランタンまたは酸化ランタニドを含む前記層が上に蒸着された表面を露出させる工程と
を備える方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記炭酸水は、100kΩm未満の抵抗率(電気比抵抗)を有する水を撹拌することによって生成される方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記酸化ランタンまたは前記酸化ランタニドは、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、ケイ酸ハフニウム(HfSiOx)、アルミン酸ハフニウム(HfAlOx)、酸窒化ハフニウムシリコン(HfSiON)、酸窒化ハフニウムアルミニウム(HfAlON)、ケイ酸ジルコニウム(ZrSiO)、ZrAlOx、酸窒化ジルコニウムシリコン(ZrSiON)、酸窒化ジルコニウムアルミニウム(ZrAlON)、アルミナ(Al23)、酸窒化ハフニウム(HfON)、および、酸窒化ジルコニウム(ZrON)からなる群より選択された材料を含む層の上に蒸着されている方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記水溶液中の二酸化炭素の分析濃度は、少なくとも0.1g/Lである方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記溶液のpH値は、5.5以下である方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、前記溶液のpH値は、5以下である方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、前記溶液のpH値は、少なくとも3である方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、前記溶液のpH値は、少なくとも3.5である方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、少なくとも1.2バール(約0.2バールゲージ)の圧力で二酸化炭素が水に添加される方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−531735(P2012−531735A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516899(P2012−516899)
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【国際出願番号】PCT/IB2010/052649
【国際公開番号】WO2010/150135
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(510141648)ラム・リサーチ・アーゲー (11)
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH AG
【Fターム(参考)】