説明

半導体装置の製造方法、半導体装置およびウエハ

【課題】 ウエハの薄型化に際して生じる問題を回避し、積層ウエハ間の電気的接続のための工程を短縮できる方法を提供する。
【解決手段】 基板1SAにその主面から所望の深さまで延びる深い分離溝5aを形成した後、深い分離溝5a内に絶縁膜5bを埋め込み貫通分離部5を形成する。続いて、基板1SAの主面にMOS・FET6を形成した後、基板1SAの主面上に層間絶縁膜8aを堆積する。その後、貫通分離部5で囲まれた領域内に、層間絶縁膜8aの上面から基板1SAの厚さの途中深さまで延びる深い導通溝9aを形成する。続いて、深い導通溝9a内に導体膜9bを埋め込み貫通配線部9を形成する。その後、基板1SAの裏面を、貫通分離部5および貫通配線部9が露出しない程度まで研削および研磨した後、貫通分離部5および貫通配線部9の下部の一部が露出する程度までウエットエッチング処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法、半導体装置およびウエハに関し、より詳細には、半導体装置を複数層重ね合わせることで形成される3次元半導体装置の製造方法、半導体装置およびウエハに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、2枚以上のウエハを上下に積層し、その間を埋込配線で電気的に接続した構成の3次元半導体集積回路装置が知られている。例えば特開平11−261000号公報(特許文献1)には、先ず積層する一方のウエハにトレンチ(深溝)を形成し、トレンチ内部を熱酸化した後、そのトレンチ内に導体としてポリシリコンを埋め込んで埋込配線を形成する。その後、埋込配線が露出するまでウエハを薄型化し、ウエハの裏面の埋込配線の位置に裏面バンプを形成する。その後、このウエハの裏面バンプと、積層するためのもう一方のウエハの表面に形成された表面バンプとを貼り合わせた後、積層された2枚のウエハ間に絶縁性接着剤を注入して3次元半導体集積回路装置を製造する方法が開示されている。この製造方法によれば、積層する2枚のウエハの一方の裏面には接続のための裏面バンプの形成と、もう一方のウエハの表面には接続のための表面バンプが必要で、これらのバンプ同士を接続した後、積層された2枚のウエハ間に接着剤を注入し、硬化することで3次元半導体集積回路装置が製造される。積層数を重ねるには、これらの工程を繰り返すことで実現できる。
【0003】
ここで、上下2枚のウエハを積層する場合のプロセスフローの概要を図1に示す。上側のウエハの作成は、ウエハ投入後、通常のプロセスでの素子分離を行い、トランジスタ等のような素子の形成を行う。トランジスタの形成の前後に上記埋込配線の形成を行う。その場合、埋込配線の形成処理温度がトランジスタ特性に影響のある高温で絶縁膜や埋込配線を形成する場合(エッチングにより深い穴を形成し、表面を酸化させた後、埋込配線にポリシリコンを埋め込む場合等)はトランジスタ形成前に、埋込配線の形成処理温度がトランジスタ特性に影響を与えない場合(エッチングにより深い穴を形成し絶縁膜を堆積した後、金属配線を埋め込む場合等)はトランジスタ形成後に、埋込配線を形成する。その後、各素子間を接続する多層配線工程、ウエハ薄型化工程、埋込配線や後に形成する裏面バンプと基板(シリコン)との短絡を防ぐための裏面の絶縁膜の形成工程および上側のウエハの埋込配線と下側のウエハとを接続するための裏面バンプの形成工程を順に行う。
【0004】
次に、上下ウエハを貼り合わせるためのもう一方のウエハ(下側のウエハ)の作製は、前記した上側のウエハでの多層配線工程までと同様の工程を行う。すなわち、上下のウエハの接続までは、ウエハ薄型化、裏面絶縁膜形成、裏面バンプ形成の各工程を除き、ほとんど上側のウエハの作製と同様である。ただし、積層するために作製するウエハが最後の場合には埋込配線形成工程を取り除く場合もある。下側のウエハの表面には、上側のウエハの埋込配線と接続するためにバンプを形成する。その後、上下のウエハ間の位置を合わせ(積層ウエハ間のアライメント)、上下のウエハ間を接着し、さらにデバイスの機械的強度を強化するためにウエハ間に接着剤を注入する。
【特許文献1】特開平11−261000号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1に開示された技術を用いる場合、埋込配線を形成した後に、その埋込配線が露出されるまでウエハを薄型化し、ウエハの裏面の埋込配線の位置にバンプを形成する。ウエハの薄型化に際しては、ウエハをハンドリングできるように、ウエハの主面に接着用シートあるいはそれに変わるものを介して支持基板となるガラスを接着した後に、砥石を用いた研削装置やポリッシングのためのスラリーを使用するCMP(Chemical Mechanical Polishing)装置等を用いてウエハの裏面を研削または研磨することでウエハの薄型化を行う。しかしながら、ウエハの研削時に砥石によって研削された埋込配線材料やシリコンにより砥石に目詰まりが生じたり、研削時間が長くなったりすると砥石の温度が上昇しウエハが焼けて割れる等、被薄型化ウエハにダメージを与えるという問題が発生する。近年は、1枚のウエハから取得可能なチップの数を増やして製品歩留まりの向上を図る等の観点からウエハの大口径化が進められているが、ウエハの径が大きくなると、それだけでウエハの研削または研磨に充分な時間をかけなければならないし、また、ウエハの機械的強度を確保する等の観点からウエハの製造上のウエハの厚さもある程度厚くせざるを得ないのでウエハの研削または研磨の時間が長くなり、上記のような問題がより顕著に現れる。
【0006】
また、上記特許文献1に開示された技術では、積層するウエハの裏面にバンプを形成する際、基板とバンプとを絶縁するために、ウエハを薄型化した後にCVD(Chemical Vapor Deposition)法やスパッタリング法等によりウエハの裏面に絶縁膜を形成する。しかしながら、この場合、ウエハの裏面に絶縁膜を形成する際の処理温度が問題となる。すなわち、この工程において、ウエハ内の埋込配線材料や裏面に着膜する絶縁膜の膜ストレスにより薄型化したウエハが割れてしまうという問題がある。また、ウエハの裏面に絶縁膜を形成する際には、薄いウエハの機械的な強度を保つ観点からウエハの主面にウエハの薄型化の際に使用したガラス支持基板を固着したままの状態で行うが、ウエハの裏面に形成される絶縁膜の着膜温度が、ウエハとガラス基板とを接着する接着用シートの耐熱温度よりも高いため、ウエハの裏面に絶縁膜を形成する工程において接着シートの接着力が低下しガラス支持基板が剥離してしまう問題がある。
【0007】
さらに、上記特許文献1に開示された技術では、ウエハの裏面のバンプの形成位置に、上記埋込配線とバンプとを接続するためのコンタクト穴を形成しなければならないが、コンタクト穴は小さく、これを形成するためのフォトマスクとの位置合わせも難しい。また、ウエハの裏面にバンプを形成するために、レジストの塗布、露光および現像等のような一連のリソグラフィ工程やそれにより形成されたレジストパターンをマスクとするエッチング工程等のような面倒な工程が必要になり製造時間が増大するという問題もある。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、ウエハの薄型化に際して生じる問題を回避し、積層ウエハ間の電気的接続のための工程を短縮できる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る半導体装置の製造方法および半導体装置は、上記の目的を達成するために、次のように構成される。
【0010】
すなわち、本発明は、複数枚のウエハを積層し、各々のウエハのチップに形成された半導体回路部を互いに電気的に接続することで所望の半導体回路を得る半導体装置の製造方法において、
前記複数のウエハのうちの少なくとも1つのウエハは、
前記ウエハの主面に第1溝を形成した後、前記第1溝に第1絶縁膜を埋め込むことにより貫通分離部を形成する工程と、
前記ウエハの主面に素子を形成する工程と、
前記ウエハの主面の前記貫通分離部に囲まれた領域内に第2溝を形成した後、前記第2溝の内部に導体膜を埋め込むことにより、他のウエハの半導体回路部が電気的に接続される貫通配線部を形成する工程と、
前記ウエハを、その裏面側から前記貫通分離部および前記貫通配線部に達しない状態まで薄型化した後、前記ウエハの裏面から前記貫通分離部および前記貫通配線部の一部が露出するまでエッチングする工程とを有するものである。
【0011】
また、本発明は、複数枚のウエハを積層し、各々のウエハのチップに形成された半導体回路部を互いに電気的に接続することで所望の半導体回路を得る半導体装置の製造方法において、
前記複数のウエハのうちの上側に位置するウエハは、
前記上側に位置するウエハの主面に第1溝を形成した後、前記第1溝に第1絶縁膜を埋め込むことにより貫通分離部を形成する工程と、
前記上側に位置するウエハの主面に素子を形成する工程と、
前記上側に位置するウエハの主面の前記貫通分離部に囲まれた領域内に第2溝を形成した後、前記第2溝の内部に導体膜を埋め込むことにより、他のウエハの半導体回路部が電気的に接続される貫通配線部を形成する工程と、
前記上側に位置するウエハの裏面から前記貫通分離部および前記貫通配線部の一部を露出させる工程とを有し、
前記複数枚のウエハの積層工程は、
前記複数枚のウエハのうちの上側に位置するウエハの裏面から露出する前記貫通配線部と、前記複数枚のウエハのうちの下側に位置するウエハの主面に形成されたバンプとを接触させた状態で接合することにより、前記複数枚のウエハの各々の半導体回路部同士を互いに電気的に接続する工程を有するものである。
【0012】
また、本発明は、複数枚の基板を積層し、各々の基板に形成された半導体回路部を互いに電気的に接続することで所望の半導体回路を得る半導体装置において、
前記複数枚の基板のうちの上側に位置する基板は、その基板の主面から裏面に貫通する貫通配線部と、前記上側の基板の主面において前記貫通配線部から離れた位置に前記貫通配線部を取り囲むように配置され、前記上側の基板の主面から裏面に貫通するように設けられた貫通分離部とを有しており、
前記複数枚の基板のうちの下側に位置する基板は、その基板の主面上に、下側の基板に形成された半導体回路部と電気的に接続されるバンプを有しており、
前記上側に位置する基板の半導体回路部と、前記下側に位置する基板の半導体回路部とは、前記上側に位置する基板の裏面から露出する貫通配線部が、前記下側に位置する基板の主面のバンプに接触した状態で接合されることで互いに電気的に接続されているものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ウエハの薄型化に際して生じる問題を回避し、積層ウエハ間の電気的接続のための工程を短縮できる方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態(実施例)を図2のフロー図に沿って図3〜図19により説明する。
【0015】
最初に上側のウエハの製造工程を説明する。図3は上側のウエハ(最上層のウエハ)1WAの製造工程中の要部断面図を示している。まず、ウエハ1WAを用意する(図2の工程100A)。ウエハ1WAは、例えば平面略円形状の薄板からなる。このウエハ1WAを構成する基板1SAは、例えばn型またはp型のシリコン(Si)単結晶からなり、厚さ方向に互いに反対側となる主面および裏面を有している。続いて、基板1SAの主面(すなわち、ウエハ1WAの主面)に、素子分離用の溝型の分離部2を形成する(図2の工程101A)。この溝型の分離部2は、基板1SAの主面に分離溝2aを形成した後、その分離溝2a内に、例えば酸化シリコン(SiO)のような絶縁膜2bを埋め込むことで形成されている。この分離部2によって基板1SAの主面の活性領域が規定されている。なお、基板1SAの活性領域の主面上の絶縁膜3は、例えば熱酸化法等により形成された酸化シリコン等からなる。
【0016】
次に、基板1SAに貫通分離部を形成する。まず、基板1SAの主面上に、レジスト膜を回転塗布法等により塗布した後、露光および現像を施す(このようなレジスト塗布、露光および現像等のような一連の処理をリソグラフィ処理という)ことにより、基板1SAの主面上にレジストパターンRAを形成する。レジストパターンRAは、貫通分離部の形成領域が露出され、それ以外の領域が覆われるように形成されている。
【0017】
続いて、このレジストパターンRAをエッチングマスクとして、そこから露出する絶縁膜3および基板1SAをエッチングすることにより、図4に示すように、基板1SAに深い分離溝(第1溝)5aを形成する。図4は深い分離溝5aを形成した後のウエハ1WAの要部断面図を示している。この深い分離溝5aは、基板1SAの主面から、その主面に対して交差(垂直に交差)する方向(すなわち、基板1SAの厚さ方向)に沿って延びており、上記素子分離用の分離溝2aよりも深い位置(第1位置)で終端している。
【0018】
続いて、レジストパターンRAを除去した後、基板1SAに対して熱酸化処理を施すことにより、深い分離溝5aの内面(内側面および底面)に、例えば酸化シリコンからなる絶縁膜を形成し、さらに基板1SAの主面上に、例えば酸化シリコンまたはLow−k(低誘電率)材料からなる絶縁膜をCVD(Chemical Vapor Deposition)法等により堆積して深い分離溝5a内に埋め込む。
【0019】
その後、深い分離溝5aの外部の余分な絶縁膜を異方性のドライエッチングを用いたエッチバック法または化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing:CMP)法等により除去する。これにより、図5および図6に示すように、貫通分離部5を形成する(図2の工程102A)。
【0020】
図5は図4に続く上側のウエハ1WAの製造工程中の要部平面図、図6は図5のA−A線の断面図を示している。図5は平面図であるが図面を見易くするために貫通分離部5にハッチングを付した。貫通分離部5は平面で見ると、例えば矩形枠状に形成されている。貫通分離部5は、上記深い分離溝5a内に、上記のように形成された絶縁膜(第1絶縁膜)5bが埋め込まれることで形成されている。この貫通分離部5の深さ(すなわち、深い分離溝5aの深さ)は、後述の貫通配線部の深さより深い場合もあれば同等の場合もあるし、また、浅い場合もある。例えば上下に積み重ねられるウエハの隙間(ギャップ)の寸法を貫通分離部5の深さで制御する場合は、貫通分離部5の深さを貫通配線部よりも深くしても良い。また、上記隙間の寸法を貫通配線部の深さで制御する場合は、貫通分離部5の深さを貫通配線部の深さよりも浅くしても良い。また、上記隙間の寸法を他の材料で制御する場合は、貫通分離部5と貫通配線部とを同じ深さにしても構わない。
【0021】
次に、上記絶縁膜3を除去した後、図7に示すように、基板1SAの上記溝型の分離部2で囲まれた活性領域内に、例えばMOS・FET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)6のような素子を形成する(図2の工程103A)。図7は図5および図6に続く上側のウエハ1WAの製造工程中の要部断面図を示している。MOS・FET6は、ソースおよびドレイン用の半導体領域6aと、ゲート絶縁膜6bと、ゲート電極6cとを有している。ソースおよびドレイン用の半導体領域6aは、基板1SAに所望の不純物(nチャネル型のMOS・FET6であれば、例えばリン(P)またはヒ素(As)、pチャネル型のMOS・FET6であればホウ素(B))が添加されることで形成されている。ゲート絶縁膜6bは、例えば酸化シリコンからなり、基板1SAの主面上に形成されている。ゲート電極6cは、例えば低抵抗なポリシリコンからなり、ゲート絶縁膜6b上に形成されている。なお、基板1SAの活性領域の主面上の絶縁膜7は、例えば酸化シリコンのような絶縁膜からなる。
【0022】
ここで、上記MOS・FET6を形成した後に上記貫通分離部5を形成すると、貫通分離部5の絶縁膜5bを形成するための熱酸化処理時に、基板1SA(ソースおよびドレイン用の半導体領域6aやゲート電極6c下のチャネル形成領域)中の不純物が再度拡散してしまう結果、MOS・FET6のしきい値電圧等のような電気的特性が変動してしまう場合がある。これに対して、本実施の形態では、貫通分離部5を形成した後に、MOS・FET6を形成するので、貫通分離部5の形成時の高い処理温度に起因するMOS・FET6の電気的特性の変動を防止できる。したがって、半導体装置の信頼性を向上させることができる。なお、MOS・FET6に代えて、例えばバイポーラトランジスタやダイオード等のような他の能動素子を形成しても良い。また、MOS・FET6に代えて、抵抗(拡散抵抗やポリシリコン抵抗)、キャパシタおよびインダクタ等のような受動素子を形成しても良い。
【0023】
次に、上記貫通配線部を形成する。まず、基板1SAの主面上に、例えば酸化シリコンからなる絶縁膜をCVD法等によって堆積した後、その絶縁膜の上面を平坦化することにより層間絶縁膜(第2絶縁膜)8aを形成する。上記MOS・FET6、貫通分離部5および溝型の分離部2等は層間絶縁膜8aにより覆われている。続いて、層間絶縁膜8a上に上記リソグラフィ処理によりレジストパターンRBを形成する。レジストパターンRBは、貫通配線部の形成領域が露出され、それ以外の領域が覆われるように形成されている。その後、このレジストパターンRBをエッチングマスクとして、そこから露出する層間絶縁膜8a、絶縁膜7および基板1SAをエッチングすることにより、図8に示すように、基板1SAに深い導通溝(第2溝)9aを形成する。図8は深い導通溝9aを形成した後のウエハ1WAの要部断面図を示している。この深い導通溝9aは、層間絶縁膜8aの上面から、その上面に対して交差(垂直に交差)する方向(すなわち、基板1SAの厚さ方向)に沿って基板1SAに延び、上記素子分離用の分離溝2aよりも深い位置(第2位置)で終端している。この深い導通溝9aの深さは、上記貫通分離部5の深さで説明したとおりである。ここでは、深い導通溝9aの深さ(第2位置)は、上記深い分離溝5aの深さ(第1位置)よりも浅い場合が例示されている。
【0024】
続いて、上記レジストパターンRBを除去した後、基板1SAの主面上に、例えば窒化チタンからなるバリア導体膜をスパッタリング法等によって堆積し、さらに、例えばタングステンからなる主導体膜をCVD法等によって堆積することにより深い導通溝9a内に埋め込む。このバリア導体膜は、上記主導体膜の側面および底面を覆うように形成されており、深い導通溝9aの内面(内側面および底面)を通じて基板1SAと直接接している。バリア導体膜の厚さは主導体膜の厚さよりも薄い。
【0025】
続いて、上記主導体膜およびバリア導体膜をCMP法等により研磨することにより、図9および図10に示すように、深い導通溝9aの外部の余分な主導体膜およびバリア導体膜を除去し、深い導通溝9a内のみに主導体膜およびバリア導体膜が残されるようにする。このようにして深い導通溝9a内に貫通配線部9を形成する(図2の工程104A)。
【0026】
図9は図8に続く上側のウエハ1WAの製造工程中の要部平面図、図10は図9のA−A線の断面図を示している。図9は平面図であるが図面を見易くするために貫通分離部5および貫通配線部9にハッチングを付した。貫通配線部9は平面で見ると、例えば細長い長方形状に形成されている。貫通配線部9は、貫通分離部5とは分離された状態で貫通分離部5の枠内に配置されている。すなわち、貫通配線部9は、その周囲に所望の寸法を隔てて配置された貫通分離部5に取り囲まれた状態で配置されている。
【0027】
貫通配線部9は、上記深い導通溝9a内に、導体膜(上記バリア導体膜および主導体膜)9bが埋め込まれることで形成されている。すなわち、貫通配線部9は金属で形成されているので、貫通配線部9を低抵抗なポリシリコンで形成した場合に比べて、貫通配線部9の電気抵抗を大幅に下げることができる。特に、本実施の形態では、貫通配線部9の平面形状が大きな長方形状とされていることにより、深い導通溝9aの加工性を容易にすることができる上、貫通配線部9の体積を大きく確保できるので貫通配線部9の電気抵抗をさらに下げることができる。また、貫通配線部9の上面は、層間絶縁膜8aの上面と一致している。これにより、層間絶縁膜8aの上面の平坦性を確保できる。
【0028】
また、貫通分離部5と貫通配線部9とが一体の場合、それらを同一工程で形成しなければならないので、上記のように素子特性の変動を回避するために貫通分離部5を素子形成の前に形成する場合、貫通配線部9も素子形成前に形成しなければならない。しかし、貫通配線部9を素子形成前に形成すると、素子特性の劣化や金属汚染を引き起こす可能性が高い、という問題が生じる。これに対して本実施の形態では、貫通分離部5と貫通配線部9と別々に形成でき、MIS・FET6および層間絶縁膜8aを形成した後に貫通配線部9を形成することができるので、素子特性の劣化や金属汚染を引き起こす可能性をより低減することができる。したがって、素子の電気的特性を向上させることができる。
【0029】
貫通分離部5内の貫通配線部9の数は1つに限定されるものではなく、例えば1つの貫通分離部6の枠内に複数の貫通配線部9を並べて配置しても良い。また、貫通分離部5の平面形状は、図9の例に限らず、例えば正方形状等のように他の形状でも良い。
【0030】
次に、図11に示すように、基板1SAの主面上に半導体装置の通常の配線形成方法により多層配線層を形成する(図2の工程105A)。図11は図9および図10に続く上側のウエハ1WAの製造工程中の要部断面図を示している。符号8b,8c,8dは層間絶縁膜、符号10は表面保護膜、符号15a,15b,15cは配線、符号16a,16b,16c,16dはプラグをそれぞれ示している。
【0031】
層間絶縁膜8b,8c,8dは、例えば酸化シリコンからなる。配線15a〜15cおよびプラグ16a〜16dは、例えばタングステン(W)、アルミニウム(Al)または銅(Cu)等のような金属からなる。第1層目の配線15aは、プラグ16aを通じてMOS・FET6のソースおよびドレイン用の半導体領域6aやゲート電極6cと電気的に接続されている他、プラグ16bを通じて上記貫通配線部9と電気的に接続されている。表面保護膜10は、例えば酸化シリコン膜の単体膜または酸化シリコンとその上に堆積された窒化シリコン膜との積層膜で形成されている。この表面保護膜10の一部には、第3層目の配線15cの一部が露出する開口部17が形成されている。図面上、配線15cと一緒であるが、平面で見たときに、上記開口部17から露出された配線15c部分がボンディングパッド(以下、パッドという)BPとされている。なお、図11には示していないが、この多層配線層の形成工程後、ウエハ1WAの主面上のパッドBPに接続されるようにバンプを形成しても良い。
【0032】
次に、図12に示すように、ウエハ1WAの主面上に接着用シート20を介してガラス支持基板21を貼り付ける。図12は図11に続く上側のウエハ1WAの製造工程中の要部断面図を示している。このようにウエハ1WAの主面にガラス支持基板21を貼り付けることにより、ウエハ1WAのハンドリングを安定化させることができるとともに、後の薄型化工程後の薄いウエハ1WAの機械的強度を確保することができる。
【0033】
次に、ウエハ1WAに対して薄型化処理を施す(図2の工程107)。本実施の形態のウエハ1WAの薄型化処理は、下記のような第1薄型化処理、第2薄型化処理および第3薄型化処理を有している。
【0034】
まず、第1薄型化処理では、図13に示すように、ウエハ1WAの主面にガラス支持基板21を固着した状態で、ウエハ1WAの裏面(すなわち、基板1SAの裏面)を所望の厚さになるまで研削する。また、この研削後に、第2薄型化処理として、ウエハ1WAの裏面に対して研磨処理を施しても良い。この研磨処理は、例えばCMPのような機械的な要素と化学的な要素とを併せ持つ薄型化処理である。これにより、研削処理によってウエハ1WAの裏面に生じたダメージ層を除去しつつ、ウエハ1WAの裏面を滑らかにすることができ、ウエハ1WAの裏面内の化学的な安定性を均一にできるので、後のウエハ1WAの裏面部分のエッチング処理に際して、ウエハ1WAの裏面全面内におけるウエハ1WAの厚さ方向のエッチング除去量を均一にすることができる。図13は、このような第2薄型化処理工程後の上側のウエハ1WAの要部断面図を示している。破線は第1薄型化工程の前の基板1SAを示している。この第1及び第2薄型化処理は、ウエハ薄型化処理の時間の短縮を主目的としており、第1薄型化処理は研削で例示されるように機械的な要素による薄型化処理であり、第2薄型化処理は研磨で例示されるように機械的な要素及び化学的な要素による薄型化処理である。この第1及び第2薄型化処理では、上記貫通分離部5および上記貫通配線部9に達しない状態(すなわち、貫通分離部5および貫通配線部9がウエハ1WAの裏面から露出されない状態)で処理を終了する。
【0035】
続いて、第3薄型化処理では、図14に示すように、ウエハ1WAの主面にガラス支持基板21を固着した状態で、ウエハ1WAの裏面を薬液に浸しエッチング(ウエットエッチング)することにより、ウエハ1WAの裏面から貫通分離部5および貫通配線部9の一部を露出させる。図14は、この第3薄型化処理後の上側のウエハ1WAの要部断面図を示している。破線は第3薄型化処理工程前の基板1SAを示している。この第3薄型化処理は、ウエットエッチングで例示されるように化学的要素による薄型化処理であり、薄型化処理時のウエハ1WAの焼けや損傷の防止を主目的としている。ここでは、貫通配線部9の下部の一部がウエハ1WAの裏面から所望の長さだけ突出されている。貫通配線部9のウエハ1WAの裏面からの突出長さは、後の工程を考慮して不都合の無いように決める。この処理により、貫通配線部9は、その側面方向では貫通分離部5により基板1SAとの分離が行われ、貫通配線部9の下部では貫通配線部9が露出されることにより基板1SAとの分離が行われ、完全に基板1SAから分離される。なお、この段階で深い分離溝5aおよび深い導通溝9aは基板1SAの主裏面間を貫通する孔になる。また、上記の例では、ウエハ1WAの薄型化処理において、第1薄型化処理(研削)および第3薄型化処理(エッチング)を順に行う場合や第1薄型化処理(研削)、第2薄型化処理(研磨)および第3薄型化処理(エッチング)を順に行う場合について説明したが、例えば第2薄型化処理(研磨)および第3薄型化処理(エッチング)を順に行うことでウエハ1WAを薄型化することもできる。
【0036】
このような薄型化処理によれば、ウエットエッチング処理を併用することにより、研削や研磨のみでウエハ1WAを薄型化する場合に生じるウエハ1WAの焼けや損傷を抑制または防止できる。特に、研削や研磨のみでウエハ1WAを薄型化する場合、ウエハ1WAの径が大きくなりウエハ1WAが厚くなると長い研削時間が必要となりウエハ温度を上昇させたり、貫通配線部9の材料として硬い材質のものを使用した場合に研削時に研削された貫通配線材料やシリコンが砥石の目を詰まらせウエハ温度を上昇させたりする。これに対して、本実施の形態のようにウエハ1WAの薄型化処理においてウエットエッチング処理を併用することにより、ウエハ1WAが大口径化しても、また、貫通配線部9の材料として硬質のものを使用したとしても、ウエハ1WAの薄型化処理においてウエハ温度の大幅な上昇を避けることができるので、ウエハ1WAの焼けや損傷を抑制または防止できる。一方、薄型化処理においてウエハ1WAをエッチングのみで薄くするのではなく研削や研磨工程を併用することにより、ウエハ1WAの裏面部分をエッチング処理のみで除去する場合に比べて、薄型化処理時間を短縮できる。
【0037】
このようにして上側のウエハ1WAの製造工程を終了する。このように本実施の形態では、ウエハ1WAの裏面に絶縁膜を堆積したり、バンプを形成したりする工程が無い。このため、以下の効果を得ることができる。
【0038】
第1に、ウエハ1WAの裏面に絶縁膜を堆積する工程が無いので、その絶縁膜の堆積時の処理温度に起因する問題を回避できる。すなわち、ウエハ内の埋込配線材料や絶縁膜の膜ストレスにより、薄型化したウエハが割れてしまう問題を回避できる。また、ウエハ裏面に絶縁膜を堆積する工程において、ガラス支持基板21の接着用シート20の接着力が低下しガラス支持基板21が剥離してしまう問題を回避できる。このため、接着用シート20の材料選択時に温度制約が無いので、接着用シート20の選択幅を広げることができる。
【0039】
第2に、ウエハ1WAの裏面にバンプを形成する工程が無いので、バンプ形成上の問題を回避できる。すなわち、ウエハの裏面の絶縁膜に小さなコンタクト穴を形成する工程やウエハの裏面にバンプを形成する工程を削減できるので、工程数が多く難しい工程を伴うリソグラフィ工程等を削減できる。このため、半導体装置の製造工程の簡略化と製造時間の短縮を実現できる。また、半導体装置の信頼性および歩留まりを向上させることができる。
【0040】
次に、下側のウエハの製造工程を説明する。ここでは、下側のウエハとして、例えば裏面に他のウエハが貼り合わされることがない最下層のウエハの製造工程を説明する。この下側のウエハの製造工程は、図2の右側に示すように、図2の左側に示した上記上側のウエハ1WAの製造工程とほぼ同じである。すなわち、ウエハの用意(工程100B)、素子分離部の形成(工程101B)、素子形成(工程103B)、多層配線層の形成(工程105B)、ウエハ主面上にバンプ形成(工程106B)を順に行う。ここで異なるのは、多層配線層の形成工程(工程105B)後にバンプ形成工程(工程106B)を行うこと、最下層のウエハの場合、ウエハ薄型化工程(工程107B)を行わないこと、さらに、最下層のウエハの場合は、貫通分離部の形成工程(工程102B)や貫通配線部の形成工程(工程104B)を行わないことである。
【0041】
図15は図2の工程100Bから工程105Bを経てバンプ形成工程106Bの段階の下側のウエハ(最下層のウエハ)1WBの要部断面図を示している。ウエハ1WBの構成は、上記工程105A後の図11で示した上側のウエハ1WAとほぼ同じである。このウエハ1WBの裏面(すなわち、基板1SBの裏面)からは貫通分離部5および貫通配線部9が露出されていない。
【0042】
ここでは、まず、多層配線層の形成工程105Bの後のウエハ1WBの主面上に導体膜をスパッタリング法等により堆積した後、これをリソグラフィ処理およびエッチング処理を用いてパターニングすることにより、バンプ下地導体パターン25を形成する。このバンプ下地導体パターン25は開口部17を通じてパッドBPと電気的に接続されている。続いて、図16に示すように、バンプ下地導体パターン25上に、例えばリフトオフ法、電解メッキ法、印刷法またはボール振り込み法等によりバンプ26を形成する。この結果、バンプ26は、下側のウエハ1WBの最上の配線層15cと電気的に接続されることになる。図16は図15に続く下側のウエハ1WBの製造工程中の要部断面図を示している。下側のウエハ1WBの主面には複数のバンプ26が突出された状態で配置されている。このようにして下側のウエハ1WBの製造工程を終了する。下側のウエハ1WBについてもその裏面に絶縁膜の堆積やバンプの形成が無いので、上側のウエハ1WAで述べたのと同じ効果を得ることができる。
【0043】
次に、上記のようにして製造された上下のウエハ1WA,1WBの貼り合わせ工程を図17〜図19により説明する。図17〜図19は上下のウエハ1WA,1WBの貼り合わせ工程中の要部断面図を示している。
【0044】
まず、図17に示すように、下側のウエハ1WBを固定した後、下側のウエハ1WBの主面上方に、上側のウエハ1WAをその裏面が下側のウエハ1WBの主面に対向した状態となるように配置する。この時、上側のウエハ1WAの主面にガラス支持基板21を貼り付けた状態とすることにより、薄型化されたウエハ1WAを安定した状態でハンドリングできるとともに、ウエハ1WAの機械的強度を確保できるので、ウエハ1WAの搬送時等にウエハ1WAに割れや欠けあるいは反り等を生じさせることなくウエハ1WAを取り扱うことができる。
【0045】
続いて、下側のウエハ1WBと上側のウエハ1WAとの相対的な位置を合わせる。具体的には、下側のウエハ1WBの主面上のバンプ26と、それに対応する上側のウエハ1WAの裏面の貫通配線部9との位置を合わせる(図2の工程201)。その後、図18に示すように、上下のウエハ1WA,1WBの対向面を近づけて下側のウエハ1WBの主面上に上側のウエハ1WAを積み重ね、下側のウエハ1WBの主面上のバンプ26と、上側のウエハ1WAの裏面の貫通配線部9とを接触させて電気的に接続する。これにより、上下のウエハ1WA,1WBの半導体回路部同士を電気的に接続する。ここで、下側のウエハ1WBの主面上の各バンプ26は、そのバンプ26が接続される上側のウエハ1WAの裏面の貫通配線部9の周囲を取り囲む貫通分離部5の枠内に収まっている(図2の工程202)。
【0046】
その後、上下のウエハ1WA,1WBの対向面の隙間に絶縁性の接着剤30を注入することにより、上下のウエハ1WA,1WB間の機械的強度を確保する。ここでは接着剤30が貫通分離部5の枠内にまで入り込んでいる場合を例示しているが、絶縁性の接着剤30を用いているので、デバイスの特性には何ら支障をきたさない。また、万一、貫通配線部9の粗密により疎の部分で上下ウエハ1WA,1WBが接してもデバイス特性上の不都合は生じない(図2の工程203)。その後、図19に示すように、上側のウエハ1WAの主面からガラス支持基板21を剥離する。
【0047】
以上のような工程の後、上記貼り合わせ後のウエハ1WA,1WBをチップ単位に切断することによりチップを切り出す。このチップは、複数枚のチップを積み重ねた3次元構成を有している。すなわち、このチップには、それを構成する各チップの半導体回路同士が上記貫通配線部9を通じて電気的に接続されることで、全体として1つの所望の半導体集積回路が形成されている。
【0048】
次に、図20は、3層の基板1SA,1SB,1SCを積層することで構成された3次元半導体装置の要部断面図の一例を示している。ここでは、最上の基板1SAと中間の基板1SCとの隙間に注入された接着剤30が貫通分離部5で囲まれた枠内に入り込んでいない場合が例示されている。
【0049】
ここで、図20のような多層積み重ね構成の3次元半導体装置の製造工程の一例を説明する。
【0050】
まず、上記図3〜図14で説明したようにして最上層のウエハ1WAを用意する。また、図15および図16で説明したようにして最下層のウエハ1WBを用意する。さらに、図2の右側の工程100B〜106Bを経て中間層のウエハ1WCを用意する。この中間層のウエハ1WCには、最上層のウエハ1WAと同様にして、貫通分離部5および貫通配線部9が形成されている。中間層のウエハ1WCが最上層のウエハ1WAと異なるのは、中間層のウエハ1WCの主面上に配線層を介してバンプ26が形成されていることである。この中間層のウエハ1WCのバンプ26は、配線層を介して中間層のウエハ1WCの素子や貫通配線部9と電気的に接続されている。また、この段階の中間層のウエハ1WCは、上記第1〜第3薄型化処理が施されておらず厚いままである。
【0051】
続いて、上記図17および図18で説明したのと同様にして2枚のウエハ1WA,1WCを貼り合わせる。この際、中間層のウエハ1WCは厚いままなので、ウエハ1WCのハンドリングを安定かつ容易に行うことができる。その後、上側の最上層のウエハ1WAの主面にガラス支持基板21を貼り合わせたままの状態で、かつ、2枚のウエハ1WA,1WCを貼り合わせたままの状態で、下側の中間層のウエハ1WCを、その裏面側から図13および図14で説明したのと同様の薄型化処理により薄型化する(図2の中央の工程107A)。これにより、下側の中間層のウエハ1WCの裏面から貫通分離部5および貫通配線部9を露出(突出)させる。2枚のウエハ1WA,1WCを貼り合わせたままの状態で、中間層のウエハ1WCの薄型化を行うので、薄型化処理時におけるウエハ1WCの機械的強度を確保でき、ウエハ1WCのハンドリングの安定性を向上させることができる。このため、ウエハ1WCの薄型化を推進できる。
【0052】
その後、上側の最上層のウエハ1WAの主面にガラス支持基板21を貼り合わせたままの状態で、かつ、2枚のウエハ1WA,1WCを貼り合わせたままの状態で、上記図17および図18で説明したのと同様にして、下側の中間層のウエハ1WCと、最下層のウエハ1WBとを重ね合わせ、ウエハ1WC,1WB間に接着剤30を注入して貼り合わせる(図2の中央下段の工程201〜203)。これ以降は、上記と同じなので説明を省略する。3層以上のウエハを貼り合わせる場合は、中間層のウエハ1WCで行った工程とウエハの貼り合わせ工程とを繰り返せば良い。
【0053】
このようなウエハ貼り合わせ方法によれば、複数枚のウエハの貼り合わせを連続的に安定した状態で行えるので、3次元半導体装置の製造時間を短縮でき、3次元半導体装置の量産性を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、3次元半導体装置の製造業に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】従来の上下2枚のウエハを積層する製造工程のフロー図である。
【図2】本発明の一実施の形態である半導体装置の製造工程のフロー図である。
【図3】上側のウエハの製造工程中の要部断面図である。
【図4】図3に続く上側のウエハの製造工程中の要部断面図である。
【図5】図4に続く上側のウエハの製造工程中の要部平面図である。
【図6】図5のA−A線の断面図である。
【図7】図5および図6に続く上側のウエハの製造工程中の要部断面図である。
【図8】図7に続く上側のウエハの製造工程中の要部断面図である。
【図9】図8に続く上側のウエハの製造工程中の要部平面図である。
【図10】図9のA−A線の断面図である。
【図11】図9および図10に続く上側のウエハの製造工程中の要部断面図である。
【図12】図11に続く上側のウエハの製造工程中の要部断面図である。
【図13】図12に続く第1薄型化工程後の上側のウエハの要部断面図である。
【図14】図13に続く第2薄型化工程後の上側のウエハの要部断面図である。
【図15】バンプ形成工程の段階の下側のウエハの要部断面図である。
【図16】図15に続く下側のウエハの製造工程中の要部断面図である。
【図17】上下ウエハの貼り合わせ工程中の要部断面図である。
【図18】図17に続く上下ウエハの貼り合わせ工程中の要部断面図である。
【図19】図18に続く上下ウエハの貼り合わせ工程後の要部断面図である。
【図20】本発明の一実施の形態である3次元構造の半導体装置の一例の要部断面図である。
【符号の説明】
【0056】
1WA,1WB ウエハ
1SA,1SB,1SC 基板
2 溝型の分離部
2a 分離溝
2b 絶縁膜
3 絶縁膜
5 貫通分離部
5a 深い分離溝(第1溝)
5b 絶縁膜(第1絶縁膜)
6 MOS・FET(素子)
7 絶縁膜
8a 層間絶縁膜(第2絶縁膜)
8b〜8d 層間絶縁膜
9 貫通配線部
9a 深い導通溝(第2溝)
9b 導体膜
10 表面保護膜
15a,15b,15c 配線
16a,16b,16c,16d プラグ
17 開口部
20 接着用シート
21 ガラス支持基板
25 バンプ下地導体パターン
26 バンプ
30 接着剤
RA,RB レジストパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハの主面に第1溝を形成した後、前記第1溝に第1絶縁膜を埋め込むことにより貫通分離部を形成する工程と、
前記ウエハの主面に素子を形成する工程と、
前記ウエハの主面の前記貫通分離部に囲まれた領域内に第2溝を形成した後、前記第2溝の内部に導体膜を埋め込むことにより、他のウエハの半導体回路部が電気的に接続される貫通配線部を形成する工程と、
前記ウエハを、その裏面側から前記貫通分離部および前記貫通配線部に達しない状態まで薄型化した後、前記ウエハの裏面から前記貫通分離部および前記貫通配線部の一部が露出するまでエッチングする工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、前記貫通分離部の形成工程は前記第1溝内に熱酸化法により絶縁膜を形成する工程を有しており、前記貫通分離部を形成した後に前記素子を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2記載の半導体装置の製造方法において、前記ウエハの主面に前記素子を形成した後、前記ウエハの主面上に前記素子を覆うように第2絶縁膜を堆積する工程と、前記第2絶縁膜の上面から前記ウエハの厚さの途中位置まで延びる前記第2溝を形成する工程と、前記第2溝の内部に前記導体膜を埋め込み、前記貫通配線部を形成する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1、2または3記載の半導体装置の製造方法において、前記導体膜が金属からなることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、前記ウエハを前記貫通分離部および前記貫通配線部に達しない状態まで薄型化する処理は、研削処理、研磨処理またはその両方の処理であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
複数枚のウエハを用意する工程と、
前記複数枚のウエハの各々に半導体回路部を形成する工程と、
前記複数枚のウエハを貼り合わせ、前記複数枚のウエハの各々の半導体回路部同士を互いに電気的に接続する工程と、
前記複数枚のウエハの貼り合わせ工程後、前記複数枚のウエハをチップ単位で切断することにより、複数枚のチップを積み重ねた3次元構造を持つチップを切り出す工程とを有し、
前記複数枚のウエハのうちの上側のウエハを形成する工程は、
前記上側のウエハの主面に第1溝を形成した後、前記第1溝に第1絶縁膜を埋め込むことにより貫通分離部を形成する工程と、
前記上側のウエハの主面に素子を形成する工程と、
前記上側のウエハの主面の前記貫通分離部に囲まれた領域内に第2溝を形成した後、前記第2溝の内部に導体膜を埋め込むことにより、前記複数のウエハのうちの他のウエハの半導体回路部が電気的に接続される貫通配線部を形成する工程と、
前記上側のウエハを、その裏面から前記貫通分離部および前記貫通配線部に達しない状態まで薄型化した後、前記上側のウエハの裏面から前記貫通分離部および前記貫通配線部の一部が露出するまでエッチングする工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項6記載の半導体装置の製造方法において、前記ウエハを前記貫通分離部および前記貫通配線部に達しない状態まで薄型化する処理は、研削処理、研磨処理またはその両方の処理であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
複数枚のウエハを用意する工程と、
前記複数枚のウエハの各々に半導体回路部を形成する工程と、
前記複数枚のウエハを貼り合わせ、前記複数枚のウエハの各々の半導体回路部同士を互いに電気的に接続する工程と、
前記複数枚のウエハの貼り合わせ工程後、前記複数枚のウエハをチップ単位で切断することにより、複数枚のチップを積み重ねた3次元構造を持つチップを切り出す工程とを有し、
前記複数枚のウエハのうちの上側のウエハを形成する工程は、
前記上側のウエハの主面に第1溝を形成した後、前記第1溝に第1絶縁膜を埋め込むことにより貫通分離部を形成する工程と、
前記上側のウエハの主面に素子を形成する工程と、
前記上側のウエハの主面の前記貫通分離部に囲まれた領域内に第2溝を形成した後、前記第2溝の内部に導体膜を埋め込むことにより、前記複数枚のウエハのうちの他のウエハの半導体回路部が電気的に接続される貫通配線部を形成する工程と、
前記上側のウエハの裏面から前記貫通分離部および前記貫通配線部の一部を露出させる工程とを有しており、
前記複数のウエハのうちの下側のウエハを形成する工程は、
前記下側のウエハの主面に前記半導体回路部を構成する素子を形成する工程と、
前記下側のウエハの主面上に、前記下側のウエハの前記半導体回路部と電気的に接続されるバンプを形成する工程とを有しており、
前記複数枚のウエハの貼り合わせ工程は、
前記複数枚のウエハのうちの上側のウエハの裏面から露出する前記貫通配線部と、前記複数枚のウエハのうちの下側のウエハの主面の前記バンプとを接触させた状態で接合することにより、前記複数枚のウエハの各々の半導体回路部同士を互いに電気的に接続する工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項8記載の半導体装置の製造方法において、前記上側のウエハの裏面から前記貫通分離部および前記貫通配線部の一部を露出させる工程は、前記上側のウエハを、その裏面側から前記貫通分離部および前記貫通配線部に達しない状態まで薄型化した後、前記上側のウエハの裏面から前記貫通分離部および前記貫通配線部の一部が露出するまでエッチングする工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項9記載の半導体装置の製造方法において、前記ウエハを前記貫通分離部および前記貫通配線部に達しない状態まで薄型化する処理は、研削処理、研磨処理またはその両方の処理であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項6〜10のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、前記貫通分離部の形成工程は前記第1溝の内部に熱酸化法により絶縁膜を形成する工程を有しており、前記貫通分離部を形成した後に前記上側のウエハの主面に前記素子を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項6〜11のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、前記上側のウエハの主面に前記素子を形成した後、前記ウエハの主面上に前記素子を覆うように第2絶縁膜を堆積する工程と、前記第2絶縁膜の上面から前記上側のウエハの厚さの途中位置まで延びる前記第2溝を形成する工程と、前記第2溝の内部に前記導体膜を埋め込み前記貫通配線部を形成する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項6〜12のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、前記導体膜が金属からなることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項14】
複数枚の基板を貼り合わせ、各々の基板に形成された半導体回路部を互いに電気的に接続することで所望の半導体回路を構成する半導体装置であって、
前記複数枚の基板のうちの上側の基板は、
前記上側の基板の厚さ方向に沿って互いに反対側に位置する主面および裏面と、
前記上側の基板の主面に形成され、前記半導体回路部を構成する素子と、
前記上側の基板の主面から裏面に貫通して設けられ、前記複数枚の基板の半導体回路部同士を電気的に接続する貫通配線部と、
前記上側の基板の主面の面内において、前記貫通配線部から離間した位置に前記貫通配線部を取り囲むように設けられ、前記上側の基板の主面から裏面に貫通して設けられた貫通分離部とを有しており、
前記複数枚の基板のうちの下側の基板は、
前記下側の基板の厚さ方向に沿って互いに反対側に位置する主面および裏面と、
前記下側の基板の主面に形成され、前記半導体回路部を構成する素子と、
前記下側の基板の主面に形成され、前記半導体回路部と電気的に接続されるバンプとを有しており、
前記上側の基板の半導体回路部と、前記下側の基板の半導体回路部とは、前記上側の基板の裏面から露出する前記貫通配線部が、前記下側の基板の主面の前記バンプに接触した状態で接合されることで互いに電気的に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項15】
請求項14記載の半導体装置において、前記貫通分離部は、前記上側の基板の主面から裏面に貫通する孔内に絶縁膜が埋め込まれることで形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項16】
請求項14または15記載の半導体装置において、前記貫通配線部は、前記上側の基板の主面上に堆積された絶縁膜の上面から前記上側の基板の裏面に貫通する孔内に導体膜が埋め込まれることで形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項17】
請求項16記載の半導体装置において、前記貫通配線部を構成する導体膜が金属からなることを特徴とする半導体装置。
【請求項18】
厚さ方向に沿って互いに反対側に位置する主面および裏面を有する基板と、
前記基板の主面に形成され半導体集積回路部を形成する素子と、
前記基板の主面から裏面に向かって設けられた第1溝内に第1絶縁膜を埋め込むことにより形成された貫通分離部と、
前記基板の前記貫通分離部に囲まれた領域において、前記基板の主面から裏面に向かって設けられた第2溝内に導体膜を埋め込むことにより形成され、積層される他のウエハの半導体回路部が電気的に接続される貫通配線部とを有することを特徴とするウエハ。
【請求項19】
請求項18記載のウエハにおいて、前記貫通分離部および前記貫通配線部は、前記基板の裏面から露出されていることを特徴とするウエハ。
【請求項20】
請求項18または19記載のウエハにおいて、前記ウエハは、積層される複数枚のウエハのうちの中間層のウエハであり、前記中間層のウエハの主面の最上層には、前記中間層のウエハの前記半導体集積回路部に電気的に接続されたバンプが露出された状態で配置されていることを特徴とするウエハ。
【請求項21】
請求項18または19記載のウエハにおいて、前記ウエハは、積層される複数枚のウエハのうちの最上層のウエハであり、前記最上層のウエハの主面の最上層には、前記最上層のウエハの前記半導体集積回路部に電気的に接続された外部端子が配置されており、前記外部端子はバンプが接合されずに露出された状態で配置されていることを特徴とするウエハ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2007−59769(P2007−59769A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−245564(P2005−245564)
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】