説明

半導体装置の製造方法

【課題】高精度のセルフアライメント構造を形成して半導体層に拡散層を形成する不純物元素のイオン注入を行うことにより、特性の向上を図る半導体装置を製造する半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】各拡散層形成領域7〜9を相互に位置決めするイオン注入制御開口部13〜14を形成する工程を施した後に、各拡散層毎にイオン注入開口部29,30を形成するイオン注入マスク層形成工程と、各イオン注入開口部から不純物元素をイオン注入して各拡散層を形成する拡散層形成工程を実施する。イオン注入制御開口部が各拡散層形成工程におけるセルフアライメント構造を構成して各拡散層が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造方法は、一般に図18及び図19に示すようにシリコン基板100をベース基板として不純物元素をイオン注入して内部に拡散させて埋込み拡散層101を形成した後に、シリコン基板100と埋込み拡散層101上にエピタキシャル成長層102を形成するとともに、エピタキシャル成長層102にNPN Trのベース領域を構成するベース拡散層103を形成する。半導体装置の製造方法は、埋込み拡散層101を囲むエピタキシャル成長層102に素子分離層を構成するアイソレーション部104を形成するとともに、エピタキシャル成長層102やベース拡散層103を被覆して酸化シリコン層105を形成する。
【0003】
半導体装置の製造方法においては、各拡散層106、107、108毎に、酸化シリコン層105上にフォトリソグラフィ工程等を施してエピタキシャル成長層102或いはベース拡散層103の当該拡散層形成領域に対応してそれぞれイオン注入開口部110A、110Bを形成したマスク層109A、109Bを形成する。半導体装置の製造方法においては、各マスク層109のイオン注入開口部110からボロン等の不純物元素のイオン注入を行い、エピタキシャル成長層102やベース拡散層103の層内に拡散させて各拡散層106、107、108を形成する。なお、一般的な半導体装置の構成については、例えば、特許文献1を参照のこと。
【0004】
例えば特許文献2には、複数のトランジスタを含むメモリセルを有するMOS型マスクROMを備えた半導体記憶装置の製造方法が開示されている。特許文献2には、フォトレジストのアライメントずれがそのままチャンネル領域の分割に影響を与え、特性を変化させてそれぞれの多値レベルの識別が困難となる課題が開示されている。
【特許文献1】特開2002−176059号公報
【特許文献2】特開平9−275152号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体装置の製造方法においては、マスク層109A、109Bに形成されるイオン注入開口部110A、110Bの精度が半導体装置の特性に大きく影響する。半導体装置の製造方法においては、マスク層109にイオン注入開口部に対応した開口部(遮蔽部)を形成したマスクシートを設けてフォトリソグラフィ工程等を施す。したがって、半導体装置の製造方法においては、マスク層109に対してマスクシートを高精度に位置決めして設けなければならなかった。半導体装置の製造方法においては、例えばイオン注入工程が2段階で行われるが、各個別工程毎に用いるマスク層109の精度とともに、第1工程のマスク層109Aに対する第2工程のマスク層109Bの位置合わせ精度が要求される。
【0006】
すなわち、半導体装置の製造方法においては、図18に示すn型不純物元素のイオン注入工程において、同時にイオン注入を行って拡散層106、107を形成するマスク層109Aのイオン注入開口部110Aの精度が必要である。また、半導体装置の製造方法においては、図19に示すp型不純物元素のイオン注入工程において、マスク層109Aのイオン注入開口部110Bの精度とともに前工程におけるマスク層109Aのイオン注入開口部110Aの精度が大きく影響し、例えば同図点線で示す拡散層107、108において大きくバラツキが生じてしまう。したがって、従来の半導体装置の製造方法においては、これにより特性のバラツキが大きく、歩留りを低下させるといった問題があった。
【0007】
半導体装置の製造方法においては、特許文献2に開示されるいわゆるセルフアライメント構造の採用が有効ではある。しかしながら、セルフアライメント構造は、工程を大幅に変更させたり半導体装置の構成を変えたりしなければならないといった問題がある。
【0008】
したがって、本発明は、高精度のセルフアライメント構造を形成して半導体層に拡散層を形成する不純物元素のイオン注入を行うことにより、特性の向上を図る半導体装置を製造する半導体装置の製造方法を提供することを目的に提案されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成する本発明にかかる半導体装置の製造方法は、シリコン基板或いはシリコン基板上に形成したエピタキシャル成長層からなる半導体層にトレンチ構造のアイソレーション領域を形成し、このアイソレーション領域に囲まれた領域内のベースコンタクト領域やエミッタ領域或いはコレクタコンタクト領域等の各拡散層形成領域に対応してマスク層にそれぞれ形成した各イオン注入開口部からボロン等の不純物元素のイオン注入(ドープ)を行い、半導体層内に拡散層を形成する。半導体装置の製造方法は、ポリシリコン層・酸化絶縁層形成工程と、イオン注入制御開口部形成工程とを経て、所定の拡散層に応じてイオン注入マスク層形成工程と拡散層形成工程とが繰り返し行われる。
【0010】
半導体装置の製造方法は、ポリシリコン層・酸化絶縁層形成工程において、半導体層にアイソレーショントレンチと、ポリシリコン層と、酸化絶縁層を形成する。ポリシリコン層・酸化絶縁層形成工程は、半導体層上にフォトレジストを塗布し、フォトレジスト層に対してプリ露光ベーク処理−現像処理−フォトレジスト除去等からなるフォトリソグラフィ工程等を施して、アイソレーション領域に対応して所定形状と深さのアイソレーショントレンチを形成する。ポリシリコン層・酸化絶縁層形成工程は、半導体層上に、形成したアイソレーショントレンチを埋めるポリシリコン層を全面に亘って形成する。ポリシリコン層・酸化絶縁層形成工程は、ポリシリコン層にアニール処理を施して表面層として酸化シリコン層からなる酸化絶縁層を形成する。
【0011】
半導体装置の製造方法は、イオン注入制御開口部形成工程により、半導体層の各拡散層形成領域を区割りしてそれぞれ外方に臨ませるイオン注入制御開口部を形成する。イオン注入制御開口部形成工程は、ポリシリコン層及び酸化絶縁層に対してフォトリソグラフィ工程を施し、ポリシリコン層及び酸化絶縁層をエッチングして各拡散層形成領域にそれぞれ対応する各イオン注入制御開口部を形成する。イオン注入制御開口部形成工程は、各電極層形成領域に対応した開口寸法を有し、半導体層の各拡散層形成領域を区割りした状態で外方に臨ませるイオン注入制御開口部を形成する。
【0012】
半導体装置の製造方法は、イオン注入マスク層形成工程において、イオン注入制御開口部に対応位置するイオン注入開口部を有するマスク層を形成する。イオン注入マスク層形成工程は、ポリシリコン層及び酸化絶縁層上にフォトリソグラフィ工程等を施し、それぞれ対応するイオン注入制御開口部の開口寸法と同等若しくはやや大きな開口寸法を有するイオン注入開口部を形成したマスク層を形成する。イオン注入マスク層形成工程は、イオン注入制御開口部を介して半導体層の各拡散層形成領域をそれぞれ外方に臨ませるイオン注入開口部を有するマスク層を形成する。
半導体装置の製造方法は、拡散層形成工程において各イオン注入開口部から各拡散層形成領域に対してそれぞれ不純物元素のイオン注入を行うことにより半導体層内に所定の拡散層を形成する。拡散層形成工程は、半導体層の各拡散層形成領域が、マスク層に形成した各イオン注入開口部とポリシリコン層・酸化絶縁層に形成した各イオン注入制御開口部を介してそれぞれ外方に臨ませられており、イオン注入装置を用いてボロン等の不純物元素を各イオン注入開口部から半導体層に注入することにより半導体層内に各拡散層を形成する。
【0013】
半導体装置の製造方法は、拡散層形成工程により所定の拡散層を形成した後に、ポリシリコン層・酸化絶縁層からマスク層を剥離するマスク層剥離工程や各拡散層に一体化された引き出し電極を形成する電極形成工程を実施する。半導体装置の製造方法においては、イオン注入制御開口部形成工程により、半導体層に対して各拡散層形成領域をそれぞれ相互に位置決めして区割りする各イオン注入制御開口部が予め形成され、これら各イオン注入制御開口部を形成した状態で各拡散層形成領域に所定の拡散層を形成するイオン注入マスク層形成工程と電極形成工程がそれぞれ実施される。
【0014】
半導体装置の製造方法においては、上述したように各拡散層形成領域をそれぞれ相互に位置決めするイオン注入制御開口部を形成するイオン注入制御開口部形成工程の後工程として、各拡散層毎にイオン注入マスク層形成工程と拡散層形成工程をそれぞれ実施する。半導体装置の製造方法においては、各拡散層をイオン注入制御開口部により規定するいわゆるセルフアライメント構造を介して形成することで、バラツキを低減して特性の向上を図った半導体装置を製造する。
【発明の効果】
【0015】
以上の工程を有する本発明にかかる半導体装置の製造方法によれば、半導体層に対して予め各拡散層形成領域を区割りするイオン注入制御開口部を形成した状態で各拡散層毎のイオン注入マスク層形成工程と拡散層形成工程を施すことにより、相互に精密に位置合わせされた各拡散層を形成することが可能となる。したがって、半導体装置の製造方法によれば、安定した特性を有するとともに歩留りの向上を図った半導体装置を製造する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態として示す半導体装置の製造方法について図面を参照して詳細に説明する。実施の形態として図1乃至図11に示した半導体装置の製造方法は、シリコン基板2をベースとして後述する各工程を経て図1に示した半導体装置、すなわちNPN型トランジスタ1を製造する。トランジスタ1には、n+型の埋込み拡散層3を形成したp−型シリコン基板2上にn−型エピタキシャル成長層(半導体層)4が形成されるとともに、埋込み拡散層3を囲んでトレンチ構造からなるアイソレーション部5が形成される。トランジスタ1は、アイソレーション部5により囲まれた領域内に位置して、エピタキシャル成長層4内にp+型ベース拡散層6が形成されるとともに、このベース拡散層6内に隣り合った拡散層からなるコレクタコンタクト層7が形成される。トランジスタ1には、ベース拡散層6内に拡散層からなるn+型のエミッタ拡散層8と、p+型のベースコンタクト層9が隣り合って形成される。
【0017】
トランジスタ1は、アイソレーション部5がアイソレーショントレンチ10と、その内部に充填形成された内壁酸化シリコン膜11及びポリシリコン層12により構成される。トランジスタ1は、これら内壁酸化シリコン膜11がアイソレーショントレンチ10内からエピタキシャル成長層4及び各拡散層7〜9を被覆する内層酸化シリコン層19と一体化されて形成される。トランジスタ1は、ポリシリコン層12がアイソレーショントレンチ10から内層酸化シリコン層19を被覆して一体に形成される。
【0018】
トランジスタ1は、ポリシリコン層12を被覆し一部を内層酸化シリコン層19と一体化された外層酸化シリコン層25が形成され、これらポリシリコン層12と内層酸化シリコン層19及び外層酸化シリコン層25を貫通して各拡散層7〜9に対応した部位が開口され、これら開口部がそれぞれ第1イオン注入制御開口部13〜第3イオン注入制御開口部15を構成する。
【0019】
トランジスタ1には、内層においてコレクタコンタクト層7と一体化されるとともに、先端部が第1イオン注入制御開口部13を介して外方に露出されるコレクタ電極16が形成される。トランジスタ1には、内層においてエミッタ拡散層8と一体化されるとともに、先端部が第2イオン注入制御開口部14を介して外方に露出されるエミッタ電極17が形成される。トランジスタ1には、内層においてベースコンタクト層9と一体化されるとともに、先端部が第3イオン注入制御開口部15を介して外方に露出されるベース電極18が形成される。トランジスタ1は、各電極16〜18の先端部を露出させた状態で、表面全体が酸化シリコン層からなる絶縁保護層20により被覆保護される。
【0020】
トランジスタ1は、詳細を後述する製造工程において、第1の拡散層形成工程によりn型不純物元素をイオン注入してコレクタコンタクト層7とエミッタ拡散層8を形成した後に、第2の拡散層形成工程によりp型不純物元素をイオン注入してベースコンタクト層9を形成する。トランジスタ1においては、前工程で第1イオン注入制御開口部13〜第3イオン注入制御開口部15を予め形成することにより、これら第1イオン注入制御開口部13〜第3イオン注入制御開口部15がセルフアライメント構造を構成して第1の拡散層形成工程や第2の拡散層形成工程が行われるようにする。したがって、トランジスタ1においては、各拡散層7〜9が相互に精密に位置合わせされ、歩留りと特性の向上を図って製造される。
【0021】
トランジスタ1の製造工程は、基本的な工程を従来の製造工程と同様とし、図2に示すようにシリコン基板2の主面上に熱酸化法、CVD(chemical vapor deposited)法或いは陽極酸化法やスパッタ法等の適宜の酸化膜形成法により全面に亘ってマスク層となる酸化シリコン膜21を形成するとともに、ドライエッチング法等によりこの酸化シリコン膜21に対して第1埋込み拡散層3の形成領域に対応してイオン注入開口部21aを形成する工程を有する。イオン注入工程は、イオン注入装置によりシリコン基板2に対して形成したイオン注入開口部21aから不純物元素をイオン注入することにより、注入された不純物元素がシリコン基板2の内部に拡散して第1埋込み拡散層3を形成する。なお、トランジスタ1の製造工程は、結晶性回復等のアニール処理を施した後に、シリコン基板2の主面上からドライエッチング法等により酸化シリコン膜21を除去する。
【0022】
トランジスタ1の製造工程は、図3に示すようにエピタキシャル成長装置により埋込み拡散層3を形成したシリコン基板2の主面上にエピタキシャル成長層4を全面に亘って形成する。トランジスタ1の製造工程は、エピタキシャル成長層4上に絶縁保護層を構成する内層酸化シリコン層19を形成する。
【0023】
トランジスタ1の製造工程は、例えばイオン注入開口部22を形成するフォトリソグラフィ工程と、このイオン注入開口部22から不純物元素のイオン注入を行う工程を経て、図4に示すようにエピタキシャル成長層4内にベース拡散層6を形成する。フォトリソグラフィ工程は、内層酸化シリコン層19上に全面に亘ってフォトレジストを塗布してフォトレジスト層23を形成し、このフォトレジスト層23に対してベース拡散層6の形成領域に対応した領域をマスキングした状態でプリ露光ベーク処理を施す。フォトリソグラフィ工程は、フォトレジスト層23に対して現像処理を施して非露光部位のフォトレジストを除去することによりイオン注入開口部22を形成し、内層酸化シリコン層19のベース拡散層形成領域を外方に臨ませる。
【0024】
イオン注入工程は、上述した埋込み拡散層3の形成工程と同様に、イオン注入装置によりエピタキシャル成長層4に対して形成したイオン注入開口部22から不純物元素をイオン注入する。イオン注入工程は、注入された不純物元素が内層酸化シリコン層19を介してエピタキシャル成長層4の内部に拡散してベース拡散層6を形成する。
【0025】
トランジスタ1の製造工程は、アイソレーション部形成工程を施して、図6に示すように埋込み拡散層3を囲んで拡散層形成領域を区割りするアイソレーショントレンチ10を形成した後に、図7に示すようにこのアイソレーショントレンチ10内に内壁酸化シリコン膜11とポリシリコン層12を充填形成することにより、アイソレーション部5を形成する。アイソレーション部形成工程は、例えば内層酸化シリコン層19に対してフォトレジストを塗布してフォトレジスト層24を形成し、このフォトレジスト層24に対して一連のフォトリソグラフィ工程を施してアイソレーショントレンチ形成領域に開口部を形成する。
【0026】
アイソレーション部形成工程は、例えばプラズマエッチング装置等を用いるドライエッチング法により、形成した開口部からプラズマ照射を行って内層酸化シリコン層19とエピタキシャル成長層4を貫通してシリコン基板2に達するアイソレーショントレンチ10を形成する。アイソレーション部形成工程は、適宜の方法によりマスク層を構成するフォトレジスト層24を除去する。アイソレーション部形成工程は、CVD法等の酸化膜形成処理によりアイソレーショントレンチ10の内壁に内壁酸化シリコン膜11を形成する。
【0027】
内壁酸化シリコン膜形成工程は、アイソレーショントレンチ10の内壁を全域に亘って被覆して絶縁するとともに、エピタキシャル成長層4とベース拡散層6を被覆した内層酸化シリコン層19と一体化された内壁酸化シリコン膜12を形成する。アイソレーション部形成工程は、内壁酸化シリコン膜12を形成した状態で、例えばCVD法等により内層酸化シリコン層19の全面を被覆するとともにアイソレーショントレンチ10内を埋め込むポリシリコン層12を形成することによりアイソレーション部5を形成する。トランジスタ1の製造工程は、酸化膜形成処理を施して、図7に示すようにポリシリコン層12上に外層酸化シリコン層25を全面に亘って形成した第1中間体26を製造する。
【0028】
トランジスタ1の製造工程は、上述した工程を経て製造した第1中間体26に対して、本発明の特徴工程であるイオン注入制御開口部形成工程と、第1イオン注入マスク層形成工程及び第1拡散層形成工程と、第2イオン注入マスク層形成工程及び第2拡散層形成工程とを施してトランジスタ1を製造する。イオン注入制御開口部形成工程は、第1イオン注入制御開口部13〜第3イオン注入制御開口部15を一括して形成する。
【0029】
イオン注入制御開口部形成工程は、エピタキシャル成長層4とベース拡散層6内に形成する各拡散層7〜9の形成領域にそれぞれ相対して、外層酸化シリコン層25とポリシリコン層12を貫通する第1イオン注入制御開口部13〜第3イオン注入制御開口部15を形成する。イオン注入制御開口部形成工程は、外層酸化シリコン層25上にフォトレジストを塗布してフォトレジスト層を形成し、このフォトレジスト層上に各拡散層形成領域の対応部位を開口(又は閉塞)したマスクシートを位置合わせして積層する。イオン注入制御開口部形成工程は、一連のフォトリソグラフィ工程を施し施してフォトレジスト層の各電極層形成領域の対応部位にそれぞれ開口部を形成する。
【0030】
イオン注入制御開口部形成工程は、例えばプラズマエッチング装置等を用いるドライエッチング法により、形成した開口部からプラズマ照射を行って、図8に示すように第1中間体26に対して外層酸化シリコン層25とポリシリコン層12を貫通する第1イオン注入制御開口部13〜第3イオン注入制御開口部15を形成する。イオン注入制御開口部形成工程は、適宜の方法によりマスク層を構成するフォトレジスト層を除去して図8に示した第2中間体27を製造する。
【0031】
イオン注入制御開口部形成工程は、上述した工程を経て外層酸化シリコン層25とポリシリコン層12を貫通し内層酸化シリコン層19を介してベース拡散層6を含むエピタキシャル成長層4の各拡散層形成領域に精密に位置決めされた、換言すれば互いに精密に位置決めされた第1イオン注入制御開口部13〜第3イオン注入制御開口部15を予め一括して形成した第2中間体27を製造する。イオン注入制御開口部形成工程は、第1イオン注入制御開口部13〜第3イオン注入制御開口部15が、それぞれ相対する各拡散層形成領域に対応した開口寸法を有して形成される。
【0032】
トランジスタ1の製造工程は、上述した工程を経て製造した第2中間体27に対して、第1イオン注入マスク層形成工程と第1拡散層形成工程とを施してコレクタコンタクト層7とエミッタ拡散層8を一括して形成する。第1イオン注入マスク層形成工程は、第2中間体27の表面上に全面に亘ってフォトレジスト層28を形成し、このフォトレジスト層28上にコレクタ電極層7とエミッタ拡散層8の形成領域の対応部位を開口(又は閉塞)したマスクシートを位置合わせして積層する。なお、フォトレジスト層28は、後述する第1拡散層形成工程が終了すると、適宜の方法により第2中間体27の表面上から除去される。
【0033】
第1イオン注入マスク層形成工程は、フォトレジスト層28に対して一連のフォトリソグラフィ工程を施すことにより、図9に示すようにこのフォトレジスト層28に第1イオン注入制御開口部13に相対する第1イオン注入開口部29と第2イオン注入制御開口部14に相対する第2イオン注入開口部30を同時に形成する。なお、第1イオン注入マスク層形成工程では、同図に示すようにベースコンタクト層9の形成領域と対応する部位をフォトレジスト層28により被覆した状態のままとする。
【0034】
第1イオン注入マスク層形成工程は、第1イオン注入開口部29を、第1イオン注入制御開口部13に連通し、内層酸化シリコン層19を介してエピタキシャル成長層4のコレクタコンタクト層形成領域に対向位置して形成する。第1イオン注入マスク層形成工程は、第2イオン注入開口部30を内層酸化シリコン層19を介してエピタキシャル成長層4に形成したベース拡散層6のエミッタ拡散層形成領域に対向位置して形成する。
【0035】
第1イオン注入マスク層形成工程は、第1イオン注入開口部29を、第1イオン注入制御開口部13に対してやや大きな開口寸法を有する開口部として形成する。第1イオン注入マスク層形成工程は、第2イオン注入開口部30も、第2イオン注入制御開口部14に対してやや大きな開口寸法を有する開口部として形成する。したがって、第1イオン注入マスク層形成工程は、上述したフォトリソグラフィ工程においてマスクシートをさほど精密に位置決めする操作を不要として第1イオン注入開口部29や第2イオン注入開口部30を効率よく形成することが可能である。
【0036】
第1拡散層形成工程は、上述した第1イオン注入マスク層形成工程により形成した第1イオン注入開口部29と第2イオン注入開口部30から、図示しないイオン注入装置を用いて図9矢印で示すようにそれぞれ不純物元素のイオン注入を行う。第1拡散層形成工程は、注入された不純物元素が内層酸化シリコン層19を介してエピタキシャル成長層4のコレクタコンタクト層形成領域とベース拡散層6のエミッタ拡散層形成領域においてそれぞれ内部に拡散してコレクタコンタクト層7及びエミッタ拡散層8を同時に形成し、第3中間体31を製造する。
【0037】
第1拡散層形成工程は、上述したように大開口寸法の第1イオン注入開口部29から注入する不純物元素イオンを小開口寸法の第1イオン注入制御開口部13により規定してエピタキシャル成長層4のコレクタコンタクト層形成領域に注入する。第1拡散層形成工程は、同様にして大開口寸法の第2イオン注入開口部30から注入する不純物元素イオンを小開口寸法の第2イオン注入制御開口部14により規定してベース拡散層6のエミッタ拡散層形成領域に注入する。第1拡散層形成工程は、相対する第1イオン注入制御開口部13と第1イオン注入開口部29及び第2イオン注入制御開口部14と第2イオン注入開口部30に多少の位置ズレが生じていても、精密なコレクタコンタクト層7とエミッタ拡散層8を有する第3中間体31を製造する。
【0038】
トランジスタ1の製造工程は、上述した工程を経て製造した第3中間体31に対して、第2イオン注入マスク層形成工程と第2拡散層形成工程とを施してベースコンタクト層9を形成する。第2イオン注入マスク層形成工程は、上述した第1イオン注入マスク層形成工程とほぼ同等の工程であり、第3中間体31の表面上に全面に亘ってフォトレジスト層32を形成し、このフォトレジスト層32に対して一連のフォトリソグラフィ工程を施して図10に示すように第3イオン注入制御開口部15に相対する第3イオン注入開口部33を形成する。
【0039】
第2イオン注入マスク層形成工程は、第3イオン注入開口部33を、第3イオン注入制御開口部15に連通し、内層酸化シリコン層19を介してエピタキシャル成長層4に形成したベース拡散層6のベースコンタクト層形成領域に対向位置して形成する。第2イオン注入マスク層形成工程は、第3イオン注入開口部33を、第3イオン注入制御開口部15に対してやや大きな開口寸法を有する開口部として形成する。
【0040】
したがって、第2イオン注入マスク層形成工程は、上述したフォトリソグラフィ工程においてマスクシートをさほど精密に位置決めする操作を不要として第3イオン注入開口部33を効率よく形成することが可能である。また、第2イオン注入マスク層形成工程は、第3イオン注入開口部33を第1イオン注入開口部29や第2イオン注入開口部30に対してさほど精密に位置決めして形成する処理が不要である。
【0041】
第2拡散層形成工程も、上述した第1拡散層形成工程と同様の工程であり、第2イオン注入マスク層形成工程により形成した第3イオン注入開口部33から、イオン注入装置を用いて図10矢印で示すように不純物元素のイオン注入を行う。第2拡散層形成工程は、注入された不純物元素が内層酸化シリコン層19を介してベース拡散層6のベース拡散層形成領域内に拡散してベースコンタクト層9を形成し、第4中間体34を製造する。
【0042】
第2拡散層形成工程は、上述したように大開口寸法の第3イオン注入開口部33から注入する不純物元素イオンを小開口寸法の第3イオン注入制御開口部15により規定してベース拡散層6のベースコンタクト層形成領域に注入する。第2電極層形成工程は、相対する第3イオン注入制御開口部15と第3イオン注入開口部33に多少の位置ズレが生じていても、精密なベースコンタクト層9を形成し、第4中間体34を有する第4中間体34を製造する。
【0043】
トランジスタ1の製造工程においては、第4中間体34の表面を被覆して絶縁保護する酸化シリコン層からなる絶縁保護層20が形成される。絶縁保護層形成工程は、第4中間体34に対して例えば後述する電極形成工程において各拡散層7〜9にそれぞれ相対して形成される各電極16〜18の形成領域をマスキングした状態で適宜の酸化膜形成法により絶縁保護層20を形成する。絶縁保護層20は、図11に示すようにその一部が外層酸化シリコン層25と一体化されるとともに、各電極16〜18の形成領域に対応して第1電極開口35〜第3電極開口37を形成して表面保護層を構成する。
【0044】
トランジスタ1の製造工程においては、上述した各電極形成工程の後工程として結晶性回復等のアニール処理が施される。トランジスタ1の製造工程においては、第1電極開口35〜第3電極開口37を介して外方に臨ませられた第1拡散層形成工程により形成したコレクタコンタクト層7とエミッタ拡散層8及び第2拡散層形成工程により形成したベースコンタクト層9に対してアニール処理が施される。
【0045】
トランジスタ1の製造工程においては、第1電極開口35〜第3電極開口37を形成した第4中間体34に対して適宜の電極形成工程を施して、アルミ等からなるコレクタ電極16と、エミッタ電極17と、ベース電極18を形成する。電極形成工程は、コレクタコンタクト層7と接続され表面を絶縁保護層20から露出されるコレクタ電極16を形成し、同様にしてエミッタ拡散層8と接続されるエミッタ電極17と、ベースコンタクト層9と接続されるベース電極18を形成する。
【0046】
トランジスタ1の製造工程においては、上述したように予め第1イオン注入制御開口部13〜第3イオン注入制御開口部15を形成し、別工程の第1イオン注入マスク層形成工程により形成した第1イオン注入開口部29及び第2イオン注入開口部30と第2イオン注入マスク層形成工程により形成した第3イオン注入開口部33からそれぞれ不純物元素イオンを注入してコレクタコンタクト層7及びエミッタ拡散層8とベースコンタクト層9を形成する。したがって、トランジスタ1の製造工程においては、コレクタコンタクト層7及びエミッタ拡散層8とベースコンタクト層9が、第1イオン注入制御開口部13〜第3イオン注入制御開口部15と相対する第1イオン注入開口部29と第2イオン注入開口部30と第3イオン注入開口部33とによりセルフアライメント構造を構成して形成される。トランジスタ1の製造工程においては、このセルフアライメント構造によりコレクタコンタクト層7とエミッタ拡散層8とベースコンタクト層9が相互に精密に位置合わせされて形成され、歩留りと特性の向上を図ってトランジスタ1を製造する。
【0047】
本発明は、上述した第1の実施の形態として示したNPN型トランジスタ1の製造方法に限定されないことは勿論であり、例えば図12乃至図17に示したバーティカルPNP型トランジスタ(以下、単にVトランジスタと称する。)40の製造工程にも適用可能である。なお、Vトランジスタ40も、基本的な構成及び製造工程を従来のバーティカルPNP型トランジスタと同様とし、詳細を後述するようにセルフアライメント構造により不純物元素のイオン注入が行われて高精度の各電極層を形成する構成と工程に特徴を有している。
【0048】
Vトランジスタ40は、図12に示すようにp−型シリコン基板41にn+型の第1埋込み拡散層42を形成するとともにこの第1埋込み拡散層42上にp+型の第2埋込み拡散層43を形成し、これら第1埋込み拡散層42と第2埋込み拡散層43を覆ってシリコン基板41上にn−型エピタキシャル成長層(半導体層)44が形成される。Vトランジスタ40にも、第1埋込み拡散層42を囲んでトレンチ構造からなるアイソレーション部45が形成される。
【0049】
Vトランジスタ40は、アイソレーション部45により囲まれた領域を電極層形成領域とし、第2埋込み拡散層43にp+型拡散層からなるコレクタコンタクト46が形成されるとともに、第2埋込み拡散層43上に形成されたn+型の拡散層60にp+型拡散層からなるエミッタ拡散層47を形成しかつコレクタコンタクト層46とエミッタ拡散層47との間にn+型拡散層からなるベースコンタクト層48が形成される。Vトランジスタ40も、アイソレーション部45がアイソレーショントレンチ49と、その内部に充填形成された内壁酸化シリコン膜50及びポリシリコン層51により構成される。
【0050】
Vトランジスタ40は、エピタキシャル成長層44と各拡散層46〜48を被覆して内層酸化シリコン層52が形成される。Vトランジスタ40は、内層酸化シリコン層52が内壁酸化シリコン膜50と一体化され、全体をポリシリコン層51により被覆される。Vトランジスタ40は、ポリシリコン層51を被覆して絶縁保護層を構成する外層各酸化シリコン層53が形成される。
【0051】
Vトランジスタ40は、ポリシリコン層51と内層酸化シリコン層52及び外層酸化シリコン層53を貫通して各拡散層46〜48に相対する部位が開口され、これら開口部にコレクタ電極54とエミッタ電極55とベース電極56が先端部を露出させて設けられている。Vトランジスタ40は、ポリシリコン層51と内層酸化シリコン層52に形成されて各電極54〜56を設ける各開口部が、第1イオン注入制御開口部57〜第3イオン注入制御開口部59を構成する。
【0052】
Vトランジスタ40においても、これら第1イオン注入制御開口部57〜第3イオン注入制御開口部59が、詳細を後述するように別工程で不純物元素を第2埋込み拡散層43やエピタキシャル成長層44の各拡散層形成領域にそれぞれイオン注入する際に、相互の位置決め作用を奏するセルフアライメント構造を構成する。したがって、Vトランジスタ40においても、各電極層54〜56が相互に精密に位置合わせされることにより、安定した特性を有するとともに歩留りの向上を図って製造される。
【0053】
Vトランジスタ40の製造工程も、基本的な工程を上述したトランジスタ1の製造工程とほぼ同様とし、シリコン基板41の主面上にCVD法等により全面に亘ってマスク層となる酸化シリコン膜を形成するとともに、フォトリソグラフィ工程やドライエッチング法等によりこの酸化シリコン膜に対して第1埋込み拡散層42の形成領域に対応してイオン注入開口部を形成する。Vトランジスタ40の製造工程は、イオン注入開口部から不純物元素のイオン注入を行って第1埋込み拡散層42を形成するとともに、アニール処理を施した後に酸化シリコン膜を除去する。
【0054】
Vトランジスタ40の製造工程は、第1埋込み拡散層42を含むシリコン基板41の主面上に酸化シリコンの形成後フォトレジスト層を形成してフォトリソグラフィ工程やドライエッチング法等を施してイオン注入開口部を形成し、このイオン注入開口部からイオン注入を行って第1埋込み拡散層42に第2埋込み拡散層43を形成する。Vトランジスタ40の製造工程は、エピタキシャル成長装置により第1埋込み拡散層42や第2埋込み拡散層43を形成したシリコン基板41の主面上にエピタキシャル成長層44を全面に亘って形成する。Vトランジスタ40の製造工程は、適宜の酸化膜形成法によりエピタキシャル成長層44上に全面に亘って内層酸化シリコン層52を形成する。
【0055】
Vトランジスタ40の製造工程は、内層酸化シリコン層52上にフォトレジスト層を形成し、このフォトレジスト層にフォトリソグラフィ工程等を施して第2埋込み拡散層43に相対する領域に内層酸化シリコン層52を貫通してエピタキシャル成長層44に達するイオン注入開口部を形成する。Vトランジスタ40の製造工程は、イオン注入開口部から不純物元素のイオン注入を行い、エピタキシャル成長層44を拡散して第2埋込み拡散層43の両側位置においてに一体化するp+型の拡散層からなる電極形成拡散層43A、43Aを形成する。
【0056】
Vトランジスタ40の製造工程は、内層酸化シリコン層52上にフォトレジスト層を形成し、フォトリソグラフィ工程等を施して電極形成拡散層43A、43A間の領域を開口させてイオン注入開口部を形成する。Vトランジスタ40の製造工程は、イオン注入開口部からn+不純物元素のイオン注入を行ってエピタキシャル成長層44内を拡散して第2埋込み拡散層43に達する拡散層60を形成する。Vトランジスタ40の製造工程は、フォトレジスト層を除去するとともにアニール処理を施して第1中間体61を製造する。
【0057】
Vトランジスタ40の製造工程は、上述した工程を経て製造した第1中間体61に対してアイソレーション部形成工程を施して図13に示すように第1埋込み拡散層42を囲みかつシリコン基板41に達する深さを有して拡散層形成領域を区割りするアイソレーショントレンチ49を形成する。アイソレーション部形成工程は、内層酸化シリコン層52に対してフォトレジストを塗布してフォトレジスト層62を形成し、このフォトレジスト層62に対して一連のフォトリソグラフィ工程を施してアイソレーショントレンチ形成領域に開口部を形成する。
【0058】
アイソレーション部形成工程は、プラズマエッチング装置等を用いるドライエッチング法により、形成した開口部からプラズマ照射を行って内層酸化シリコン層52とエピタキシャル成長層44を貫通してシリコン基板41に達するアイソレーショントレンチ49を形成する。アイソレーション部形成工程は、適宜の方法によりマスク層を構成するフォトレジスト層62を除去する。アイソレーション部形成工程は、CVD法等の酸化膜形成処理によりアイソレーショントレンチ49の内壁に開口部において内層酸化シリコン層52と一体化された内壁酸化シリコン膜50を形成する。
【0059】
アイソレーション部形成工程は、CVD法等により内層酸化シリコン層52の全面を被覆するとともにアイソレーショントレンチ49内を埋め込むポリシリコン層51を形成することによりアイソレーション部45を形成する。Vトランジスタ40の製造工程は、酸化膜形成処理を施してポリシリコン層51上に外層酸化シリコン層53を全面に亘って形成し、図14に示した第2中間体63を製造する。
【0060】
Vトランジスタ40の製造工程においても、上述した工程を経て製造した第2中間体63に対して、本発明の特徴工程であるイオン注入制御開口部形成工程と、第1イオン注入マスク層形成工程及び第1拡散層形成工程と、第2イオン注入マスク層形成工程及び第2拡散層形成工程とを施してVトランジスタ40を製造する。イオン注入制御開口部形成工程は、第1イオン注入制御開口部57〜第3イオン注入制御開口部59を一括して形成する。
【0061】
イオン注入制御開口部形成工程は、一方の拡散層43Aと拡散層60に形成する各拡散層46〜48の形成領域にそれぞれ相対して、外層酸化シリコン層53とポリシリコン層51を貫通する第1イオン注入制御開口部57〜第3イオン注入制御開口部59を形成する。イオン注入制御開口部形成工程も、外層酸化シリコン層53上にフォトレジストを塗布してフォトレジスト層を形成し、このフォトレジスト層上に各電極層形成領域の対応部位を開口(又は閉塞)したマスクシートを位置合わせして積層する。イオン注入制御開口部形成工程は、一連のフォトリソグラフィ工程を施してフォトレジスト層の各電極層形成領域の対応部位にそれぞれ開口部を形成する。
【0062】
イオン注入制御開口部形成工程は、例えばプラズマエッチング装置等を用いるドライエッチング法により、形成した開口部からプラズマ照射を行って、第2中間体63に対して外層酸化シリコン層53とポリシリコン層51を貫通する第1イオン注入制御開口部57〜第3イオン注入制御開口部59を形成する。イオン注入制御開口部形成工程は、適宜の方法によりマスク層を構成するフォトレジスト層を除去して図15に示した第3中間体64を製造する。
【0063】
すなわち、イオン注入制御開口部形成工程においては、上述した工程を経て外層酸化シリコン層53とポリシリコン層51を貫通し内層酸化シリコン層52を介して拡散層43Aと拡散層60の各電極層形成領域に精密に位置決めされた、換言すれば互いに精密に位置決めされた第1イオン注入制御開口部57〜第3イオン注入制御開口部59を予め一括して形成した第2中間体63を製造する。イオン注入制御開口部形成工程は、第1イオン注入制御開口部57〜第3イオン注入制御開口部59が、それぞれ相対する各拡散層形成領域に対応した開口寸法を有して形成される。
【0064】
Vトランジスタ40の製造工程は、上述した工程を経て製造した第3中間体64に対して、第1イオン注入マスク層形成工程と第1拡散層形成工程とを施してベースコンタクト層48を形成する。第1イオン注入マスク層形成工程は、第3中間体64の表面上に全面に亘ってフォトレジスト層65を形成し、このフォトレジスト層65上にベースコンタクト層48の形成領域の対応部位を開口(又は閉塞)したマスクシートを位置合わせして積層する。なお、フォトレジスト層65は、後述する第1拡散層形成工程が終了すると、適宜の方法により第2中間体63の表面上から除去される。
【0065】
第1イオン注入マスク層形成工程は、フォトレジスト層65に対して一連のフォトリソグラフィ工程を施すことにより、図16に示すようにこのフォトレジスト層65に第3イオン注入制御開口部59に相対する第3イオン注入開口部66を形成する。なお、第1イオン注入マスク層形成工程では、同図に示すようにコレクタコンタクト層46とエミッタ拡散層47の形成領域と対応する部位をフォトレジスト層65により被覆状態とする。
【0066】
第1イオン注入マスク層形成工程は、第3イオン注入開口部66を、第3イオン注入制御開口部59に連通し、内層酸化シリコン層52を介して拡散層60のベースコンタクト層形成領域に対向位置して形成する。第1イオン注入マスク層形成工程は、第3イオン注入開口部66を、第3イオン注入制御開口部59に対してやや大きな開口寸法を有する開口部として形成する。したがって、第1イオン注入マスク層形成工程は、上述したフォトリソグラフィ工程においてマスクシートをさほど精密に位置決めする操作を不要として、第3イオン注入開口部66を効率よく形成することが可能である。
【0067】
第1電極層形成工程は、上述した第1イオン注入マスク層形成工程により形成した第3イオン注入開口部66から、イオン注入装置を用いて図16矢印で示すようにn+型不純物元素のイオン注入を行う。第1拡散層形成工程は、注入された不純物元素が内層酸化シリコン層52を介して拡散層60のベース拡散層形成領域の内部に拡散してベースコンタクト層48形成し、同図に示す第3中間体67を製造する。
【0068】
第1拡散層形成工程は、上述したように大開口寸法の第3イオン注入開口部66から注入する不純物元素イオンを小開口寸法の第3イオン注入制御開口部59により規定して拡散層60のベース電極層形成領域に注入する。第1拡散層形成工程は、相対する第3イオン注入制御開口部59と第3イオン注入開口部66に多少の位置ズレが生じていても、精密なベースコンタクト48を有する第4中間体67を製造する。
【0069】
Vトランジスタ40の製造工程は、上述した工程を経て製造した第4中間体67に対して第2イオン注入マスク層形成工程と第2拡散層形成工程とを施してコレクタコンタクト層46とエミッタ拡散層47を一括して形成する。第2イオン注入マスク層形成工程は、上述した第1イオン注入マスク層形成工程とほぼ同等の工程であり、第4中間体67の表面上に全面に亘ってフォトレジスト層68を形成し、このフォトレジスト層68に対して一連のフォトリソグラフィ工程を施して図17に示すように第1イオン注入制御開口部57に相対する第1イオン注入開口部69と第2イオン注入制御開口部58に相対する第2イオン注入開口部70を同時に形成する。なお、第2イオン注入マスク層形成工程では、同図に示すようにベースコンタクト層48の形成領域と対応する部位をフォトレジスト層68により被覆状態を保持する。
【0070】
第2イオン注入マスク層形成工程は、第4中間体67に形成したフォトレジスト層68上にコレクタコンタクト層46とエミッタ拡散層47の形成領域の対応部位を開口(又は閉塞)したマスクシートを位置合わせして積層する。
【0071】
第2イオン注入マスク層形成工程は、第1イオン注入開口部69を、第1イオン注入制御開口部57に連通し、内層酸化シリコン層52を介して拡散層43Aのコレクタコンタクト層形成領域に対向位置して形成する。第2イオン注入マスク層形成工程は、第2イオン注入開口部70を内層酸化シリコン層52を介してエピタキシャル成長層44に形成した拡散層60のエミッタ拡散層形成領域に対向位置して形成する。
【0072】
第2イオン注入マスク層形成工程は、第1イオン注入開口部69を、第1イオン注入制御開口部57に対してやや大きな開口寸法を有する開口部として形成する。第2イオン注入マスク層形成工程は、第2イオン注入開口部70も、第2イオン注入制御開口部58に対してやや大きな開口寸法を有する開口部として形成する。したがって、第1イオン注入マスク層形成工程は、上述したフォトリソグラフィ工程において前工程で形成した第3イオン注入開口部66に対してマスクシートをさほど精密に位置決めする操作を不要として第1イオン注入開口部69や第2イオン注入開口部70を効率よく形成することが可能である。
【0073】
第2拡散層形成工程は、上述した第1イオン注入マスク層形成工程により形成した第1イオン注入開口部69と第2イオン注入開口部70から、イオン注入装置を用いて図17矢印で示すようにそれぞれp+型不純物元素のイオン注入を行う。第2拡散層形成工程は、注入された不純物元素が内層酸化シリコン層19を介して拡散層43Aのコレクタコンタクト層形成領域と拡散層60のエミッタ層形成領域においてそれぞれ内部に拡散してコレクタコンタクト層46及びエミッタ拡散層47を同時に形成し、図17に示した第5中間体71を製造する。
【0074】
第2拡散層形成工程は、上述したように大開口寸法の第1イオン注入開口部69から注入する不純物元素イオンを小開口寸法の第1イオン注入制御開口部57により規定して拡散層43Aのコレクタコンタクト層形成領域に注入する。第2拡散層形成工程は、同様にして大開口寸法の第2イオン注入開口部70から注入する不純物元素イオンを小開口寸法の第2イオン注入制御開口部58により規定して拡散層60のエミッタ拡散層形成領域に注入する。第2拡散層形成工程は、相対する第1イオン注入制御開口部57と第1イオン注入開口部69及び第2イオン注入制御開口部58と第2イオン注入開口部70に多少の位置ズレが生じていても、精密なコレクタコンタクト層46とエミッタ拡散層47を有する第5中間体71を製造する。
【0075】
Vトランジスタ40の製造工程においては、第2拡散層形成工程の後工程として、第1拡散層形成工程により形成したベースコンタクト層48と第2拡散層形成工程により形成したコレクタコンタクト層46とエミッタ拡散層47に対してアニール処理が施される。Vトランジスタ40の製造工程においては、各イオン注入制御開口部57〜59にそれぞれ相対して形成した第1イオン注入開口部69、第2イオン注入開口部70及び第3イオン注入開口部66に対してそれぞれ適宜の電極形成工程を施して、アルミ等からなるコレクタ電極54と、エミッタ電極55と、ベース電極56を形成する。電極形成工程は、コレクタ電極層46と接続され表面を外層酸化シリコン層53から露出されるコレクタ電極54を形成し、同様にしてエミッタ拡散層47と接続されるエミッタ電極55と、ベースコンタクト層48と接続されるベース電極56を形成する。
【0076】
Vトランジスタ40の製造工程においても、上述したように予め第1イオン注入制御開口部57〜第3イオン注入制御開口部59を形成し、第1イオン注入マスク層形成工程により形成した第3イオン注入開口部66から不純物元素イオンを注入してベースコンタクト層48を形成するとともに別工程の第2イオン注入マスク層形成工程により形成した第1イオン注入開口部69と第2イオン注入開口部70からそれぞれ不純物元素イオンを注入してコレクタコンタクト層46及びエミッタ拡散層47を形成する。
【0077】
したがって、Vトランジスタ40の製造工程においても、コレクタコンタクト層46及びエミッタ拡散層47とベースコンタクト層48が、それぞれ第1イオン注入制御開口部57〜第3イオン注入制御開口部59と相対する第1イオン注入開口部69、第2イオン注入開口部70及び第3イオン注入開口部66とによりセルフアライメント構造を構成し、互いに精密に位置合わせされて形成される。したがって、Vトランジスタ40の製造工程においては、このセルフアライメント構造により、歩留りと特性の向上を図ってVトランジスタ40を製造する。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施の形態として示す製造工程により製造されたNPN型トランジスタの要部断面図である。
【図2】埋込み拡散層の形成工程の説明図である。
【図3】エピタキシャル成長層の形成工程の説明図である。
【図4】拡散層6の形成工程の説明図である。
【図5】拡散層6のアニール処理と内層酸化シリコン層の形成工程の説明図である。
【図6】アイソレーショントレンチの形成工程の説明図である。
【図7】アイソレーショントレンチの埋込み工程から外層酸化シリコン層の形成工程の説明図である。
【図8】ポリシリコン層と外層酸化シリコン層にイオン注入制御開口部を形成する工程の説明図である。
【図9】第1不純物元素のイオン注入工程の説明図である。
【図10】第2不純物元素のイオン注入工程の説明図である。
【図11】電極開口部の形成工程と絶縁保護層の形成工程の説明図である。
【図12】第2の実施の形態として示す製造工程により製造されたバーティカルPNP型トランジスタの要部断面図である。
【図13】アイソレーショントレンチの形成工程の説明図である。
【図14】アイソレーショントレンチの埋込み工程から外層酸化シリコン層の形成工程の説明図である。
【図15】ポリシリコン層と外層酸化シリコン層にイオン注入制御開口部を形成する工程の説明図である。
【図16】第1不純物元素のイオン注入工程の説明図である。
【図17】第2不純物元素のイオン注入工程の説明図である。
【図18】従来の半導体装置の製造工程におけるn型不純物元素のイオン注入工程の説明図である。
【図19】p型不純物元素のイオン注入工程の説明図である。
【符号の説明】
【0079】
1 トランジスタ
2 シリコン基板
3 埋込み拡散層
4 エピタキシャル成長層
5 アイソレーション部
6 拡散層
7 コレクタコンタクト層
8 エミッタ拡散層
9 ベースコンタクト層
10 アイソレーショントレンチ
11 内壁酸化シリコン膜
12 ポリシリコン層
13 第1イオン注入制御開口部
14 第2イオン注入制御開口部
15 第3イオン注入制御開口部
16 コレクタ電極
17 エミッタ電極
18 ベース電極
19 内層酸化シリコン層
20 絶縁保護層
21 酸化シリコン膜
22 イオン注入開口部
23 フォトレジスト層
24 フォトレジスト層
25 外層酸化シリコン層
28 フォトレジスト層
29 第1イオン注入開口部
30 第2イオン注入開口部
32 フォトレジスト層
33 第3イオン注入開口部
40 Vトランジスタ
41 シリコン基板
42 第1埋込み拡散層
43 第2埋込み拡散層
44 エピタキシャル成長層
45 アイソレーション部
46 コレクタコンタクト層
47 エミッタ拡散層
48 ベースコンタクト層
49 アイソレーショントレンチ
50 内壁酸化シリコン膜
51 ポリシリコン層
52 内層酸化シリコン層
53 外層酸化シリコン層
54 コレクタ電極
55 エミッタ電極
56 ベース電極
57 第1イオン注入制御開口部
58 第2イオン注入制御開口部
59 第3イオン注入制御開口部
60 第3埋込み拡散層
66 第3イオン注入開口部
69 第1イオン注入開口部
70 第2イオン注入開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体層に形成したトレンチ構造のアイソレーション領域に囲まれた拡散層形成領域に対応してマスク層に形成した複数のイオン注入開口部を介してそれぞれ不純物元素のイオン注入を行うことにより、前記半導体層内に複数の拡散層を形成する拡散層形成工程を有する半導体装置の製造方法において、
前記半導体層上に全面に亘ってアイソレーショントレンチを埋めるポリシリコン層と酸化絶縁層を形成するポリシリコン層・酸化絶縁層形成工程と、
前記ポリシリコン層・酸化絶縁層に対して、前記各拡散層形成領域にそれぞれ対応した開口寸法を有して前記半導体層を外方に臨ませる複数のイオン注入制御開口部を形成するイオン注入制御開口部形成工程と、
前記ポリシリコン層・酸化絶縁層上に、前記イオン注入制御開口部にそれぞれ対応位置し、前記イオン注入制御開口部を介して前記半導体層を外方に臨ませる複数のイオン注入開口部を有するマスク層を形成するイオン注入マスク層形成工程と、
前記半導体層の各拡散層形成領域に対して前記マスク層に形成した前記各イオン注入開口部と前記ポリシリコン層・酸化絶縁層に形成した前記各イオン注入制御開口部を介してそれぞれ不純物元素のイオン注入を行うことにより、前記半導体層内に複数の拡散層を形成する拡散層形成工程と、
前記ポリシリコン層・酸化絶縁層上から前記マスク層を剥離するマスク層剥離工程とを有し、
前記イオン注入制御開口部形成工程により前記半導体層に対して前記各拡散層形成領域をそれぞれ区割りする前記各イオン注入制御開口部を予め形成した状態で、所定の前記拡散層を形成する前記イオン注入マスク層形成工程と前記拡散層形成工程が繰り返し実施されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記イオン注入マスク層形成工程において、前記イオン注入開口部が、前記イオン注入制御開口部に対してその開口寸法と同等若しくはやや大きな開口寸法を有して形成されることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−243905(P2008−243905A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−78720(P2007−78720)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】