説明

半導体装置の製造方法

【課題】フォトダイオードの出力特性のばらつきを抑制しつつ、検出精度の低下が防がれた高性能なフォトダイオードを形成することができる半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】所定のゲート金属を用いて、フォトダイオード用の第1の半導体層30aのうち、真性半導体領域となる部分を覆うシールド部34aをゲート絶縁膜29上に形成するとともに、薄膜トランジスタ用の第2〜第5の各半導体層30b〜30eのうち、チャネル領域となる部分を覆う第1〜第4のゲート電極34b〜34eをゲート絶縁膜29上に形成する。その後、シールド部34aをマスクとして用いて、第1の半導体層30aにn型領域及びp型領域を形成した後、当該シールド部34aを除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクティブマトリクス基板などに用いられる半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば液晶表示装置は、在来のブラウン管に比べて薄型、軽量などの特長を有するフラットパネルディスプレイとして、液晶テレビ、モニター、携帯電話などに幅広く利用されている。このような液晶表示装置では、複数のデータ配線(ソース配線)及び複数の走査配線(ゲート配線)をマトリクス状に配線するとともに、データ配線と走査配線との交差部の近傍に薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor、以下、“TFT”と略称する。)などのスイッチング素子と、このスイッチング素子に接続された画素電極を有する画素をマトリクス状に配置したアクティブマトリクス基板を、表示パネルとしての液晶パネルに用いたものが知られている。
【0003】
また、上記のようなアクティブマトリクス基板では、上述のスイッチング素子としての画素駆動用のTFT以外に、周辺回路用のTFTが一体的に設けられている。さらに、アクティブマトリクス基板には、当該アクティブマトリクス基板がタッチパネル付きの液晶表示装置や照度センサー(アンビニエントセンサー)付きの液晶表示装置などに用いられる場合、上記画素駆動用及び周辺回路用のTFTに加えて、フォトダイオード(薄膜ダイオード;TFD)を一体的に設けることが提案されている。このように、アクティブマトリクス基板は、複数の薄膜トランジスタやフォトダイオードを具備した半導体装置によって構成されている。
【0004】
また、アクティブマトリクス基板では、通常、画素駆動用及び周辺回路用のTFTに、互いに異なる構造のTFTを用いることが行われている。
【0005】
具体的にいえば、画素駆動用のTFTとしては、オフリーク電流が極めて小さいTFTが用いられている。この理由は、液晶表示装置では、画面を書き換えるまでの1フレームの期間中、液晶に印加された電圧を保持する必要がある。このため、画素駆動用のTFTのオフ電流(オフリーク電流)が大きい場合、液晶表示装置では、液晶に印加された電圧が時間とともに低下して、表示特性を劣化させる可能性があるからである。この結果、画素駆動用のTFTには、TFTのチャネル領域とソース領域及びドレイン領域との間の少なくとも一方に低濃度不純物領域(LDD領域:Lightly Doped Drain)を形成したLDD構造を有する、例えばnチャネル型のTFTが一般的に用いられている。詳細にいえば、このLDD構造では、ゲート電極のエッジと低抵抗なソース領域及びドレイン領域との間に、これらのソース領域及びドレイン領域よりも高抵抗なLDD領域を存在させるので、LDD領域を有していない、いわゆるシングルドレイン構造(Single Drain構造)のTFTと比べて、オフリーク電流を大幅に低減できるからである。
【0006】
一方、周辺回路用のTFTとしては、電流駆動力が大きい、すなわちオン電流が大きいTFTが用いられている。具体的にいえば、周辺回路用のTFTには、例えばnチャネル型のGOLD(Gate Overlapped LDD)構造を有するTFTが使用されている。このGOLD構造のTFTでは、LDD領域がゲート電極によってオーバーラップされており、ゲート電極に電圧が印加されると、ゲート電極によってオーバーラップされたLDD領域にキャリアとなる電子が蓄積される。この結果、このGOLD構造のTFTでは、LDD領域の抵抗を小さくすることができるので、TFTの電流駆動力の低下を抑えることができ、オン電流を大きくすることができる。
【0007】
また、アクティブマトリクス基板では、周辺回路用のTFTとして、上記シングルドレイン構造を有するnチャネル型及びpチャネル型の各TFTも使用されている。
【0008】
従来の半導体装置の製造方法には、例えば下記特許文献1に記載されているように、アクティブマトリクス基板の各種回路に対応したTFTを同一の基板上に形成することが提案されている。具体的にいえば、この従来の半導体装置の製造方法では、画素駆動用のTFTとして、nチャネル型のLDD構造を有するTFTを、また、周辺回路用のTFTとして、pチャネル型のシングルドレイン構造を有するTFTと、nチャネル型のLDD構造またはGOLD構造を有するTFTを同一の基板上に形成することが示されている。
【0009】
また、従来の半導体装置の製造方法には、例えば下記特許文献2に記載されているように、フォトダイオードとTFTとをモノリシックに設けたアクティブマトリクス基板を形成することが提案されている。また、この特許文献2に記載された従来の半導体装置の製造方法では、ラテラル構造を備えたPINダイオードからなるフォトダイオードを形成することが示されている。さらに、この従来の半導体装置の製造方法では、真性半導体領域(i層)の上方に、2本の金属配線を設けることによって、順方向における真性半導体領域の長さ(すなわち、チャネル長)のばらつきを抑制して、フォトダイオードの出力特性のばらつきをも抑制可能とされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−328088号公報
【特許文献2】国際公開第2008/133162号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記のような従来の半導体装置の製造方法では、2本の金属配線を真性半導体領域の上方に設けて、フォトダイオードでのチャネル長のばらつき、ひいては当該フォトダイオードの出力特性のばらつきを抑制していたので、これら2本の金属配線によってフォトダイオードの性能低下が生じるおそれがあった。
【0012】
具体的にいえば、従来の半導体装置の製造方法では、金属配線によって光が遮断されるため、光検出領域を構成する真性半導体領域の受光面積が小さくなって光電流の低下を招くことがあった。また、従来の半導体装置の製造方法では、金属配線によって反射された光と、フォトダイオード(真性半導体領域)に入射する光とが干渉を生じて、真性半導体領域に入射する光量の低下を発生することがあった。このように、従来の半導体装置の製造方法では、フォトダイオードの検出精度が低下することがあった。
【0013】
また、従来の半導体装置の製造方法では、ドライエッチングを使用して、各金属配線の端部が真性半導体領域の上方に位置するように、これらの各金属配線を形成していたので、真性半導体領域にドライエッチングのエッチングダメージが残る場合があり、フォトダイオードの出力において、SN比の低下を生じることがあった。
【0014】
上記の課題を鑑み、本発明は、フォトダイオードの出力特性のばらつきを抑制しつつ、検出精度の低下が防がれた高性能なフォトダイオードを形成することができる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するために、本発明にかかる半導体装置の製造方法は、フォトダイオードと、薄膜トランジスタを同一の基板上に備えた半導体装置の製造方法であって、
(a)前記フォトダイオード用の第1の半導体層と、前記薄膜トランジスタ用の第2の半導体層を前記基板上に形成する工程と、
(b)前記第1及び第2の半導体層を覆うゲート絶縁膜を形成する工程と、
(c)所定のゲート金属を用いて、前記第2の半導体層のうち、チャネル領域となる部分を覆う第1のゲート電極を前記ゲート絶縁膜上に形成し、かつ、前記ゲート金属を用いて、前記第1の半導体層のうち、真性半導体領域となる部分を覆うシールド部を前記ゲート絶縁膜上に形成する工程と、
(d)前記ゲート絶縁膜の上方から第1の導電型の不純物を前記第1及び第2の半導体層に注入することにより、前記第1の半導体層において、前記シールド部に覆われていない領域に第1の導電型の不純物注入領域を形成し、かつ、前記第2の半導体層において、前記第1のゲート電極に覆われていない領域に第1の導電型の不純物注入領域を形成する工程と、
(e)前記第1の半導体層の一部上の前記ゲート絶縁膜を露出する開口部を有する第1のレジストを形成して、前記ゲート絶縁膜の上方から第2の導電型の不純物を注入することにより、前記シールド部と前記第1のレジストで覆われていない前記第1の半導体層の領域に第2の導電型領域を形成する工程と、
(f)前記第1の半導体層の前記第2の導電型領域を覆う第2のレジストを形成して、前記ゲート絶縁膜の上方から前記第1の導電型の不純物を注入することにより、前記シールド部と前記第2のレジストで覆われていない前記第1の半導体層の領域に第1の導電型領域を形成する工程と、
(g)前記シールド部を除去する工程とを備えていることを特徴とするものである。
【0016】
上記のように構成された半導体装置の製造方法では、フォトダイオードの真性半導体領域となる部分を覆うように、上記ゲート金属を用いて、シールド部を形成しているので、フォトダイオードでのチャネル長のばらつき、ひいては当該フォトダイオードの出力特性のばらつきを抑制することができる。また、このシールド部をレジスト(マスク)として用いて、上記第1の半導体層に第1及び第2の導電型領域を形成した後、当該シールド部を除去しているので、上記従来例と異なり、真性半導体領域の受光面積を小さくして光電流の低下が生じるのを防ぐことができるとともに、真性半導体領域に入射する光量の低下が発生をするのを防止することができる。また、ドライエッチングを用いてシールド部を形成したときでも、シールド部端部でのエッチングダメージは第1及び第2の導電型領域上となるため、上記従来例と異なり、フォトダイオードの出力において、SN比の低下を生じることはない。この結果、フォトダイオードの出力特性のばらつきを抑制しつつ、検出精度の低下が防がれた高性能なフォトダイオードを形成することができる。
【0017】
また、上記半導体装置の製造方法において、前記(e)の工程において、前記第2の半導体層の全体を覆う第3のレジストを形成して、当該第2の半導体層に前記第2の導電型の不純物が注入されるのを阻止し、
前記(f)の工程において、前記第2の半導体層の左側端部及び右側端部に位置する領域上の前記ゲート絶縁膜を露出する開口部を有する第4のレジストを形成して、前記第1のゲート電極と前記第4のレジストで覆われていない前記第2の半導体層の左側端部及び右側端部の領域にソース領域及びドレイン領域の一方及び他方をそれぞれ形成し、かつ、前記第4のレジストで覆われている前記第2の半導体層の領域を低濃度不純物領域とすることにより、第1の前記薄膜トランジスタとして、LDD構造を有する第1の導電型の薄膜トランジスタを形成してもよい。
【0018】
この場合、上記フォトダイオードと同時にLDD構造を有する第1の導電型の薄膜トランジスタを形成することができる。
【0019】
また、上記半導体装置の製造方法において、前記(a)の工程において、第2の薄膜トランジスタ用の第3の半導体層を前記基板上に形成し、
前記(b)の工程において、前記第1〜第3の半導体層を覆うゲート絶縁膜を形成し、
前記(c)の工程の実行の前に、前記第1及び第2の半導体層の全体をそれぞれ覆う第5及び第6のレジストを形成するとともに、前記第3の半導体層のうち、チャネル領域となる部分を覆う第7のレジストを形成して、前記ゲート絶縁膜の上方から第1の導電型の不純物を前記第3の半導体層に注入することにより、前記第3の半導体層において、前記第7のレジストに覆われていない領域に第1の導電型の不純物注入領域を形成する工程(h)を行い、
前記(c)の工程において、前記ゲート金属を用いて、前記第3の半導体層のうち、チャネル領域及び低濃度不純物領域となる部分を覆う第2のゲート電極を前記ゲート絶縁膜上に形成し、
前記(d)の工程において、前記第2のゲート電極に覆われている領域に前記チャネル領域及び前記低濃度不純物領域を形成し、
前記(e)の工程において、前記第3の半導体層の全体を覆う第8のレジストを形成して、当該第3の半導体層に前記第2の導電型の不純物が注入されるのを阻止し、
前記(f)の工程において、前記第2のゲート電極に覆われていない前記第3の半導体層の左側端部及び右側端部の領域にソース領域及びドレイン領域の一方及び他方をそれぞれ形成することにより、前記第2の薄膜トランジスタとして、GOLD構造を有する第1の導電型の薄膜トランジスタを形成してもよい。
【0020】
この場合、上記フォトダイオードと同時にGOLD構造を有する第1の導電型の薄膜トランジスタを形成することができる。
【0021】
また、上記半導体装置の製造方法において、前記(a)の工程において、第3の薄膜トランジスタ用の第4の半導体層を前記基板上に形成し、
前記(b)の工程において、前記第1〜第4の半導体層を覆うゲート絶縁膜を形成し、
前記(h)の工程において、前記第4の半導体層の全体を覆う第9のレジストを形成し、
前記(c)の工程において、前記ゲート金属を用いて、前記第4の半導体層のうち、チャネル領域となる部分を覆う第3のゲート電極を前記ゲート絶縁膜上に形成し、
前記(d)の工程において、前記第4の半導体層のうち、前記第3のゲート電極に覆われていない領域に第1の導電型の不純物注入領域を形成し、
前記(e)の工程において、前記第4の半導体層の全体を覆う第10のレジストを形成して、当該第4の半導体層に前記第2の導電型の不純物が注入されるのを阻止し、
前記(f)の工程において、前記第3のゲート電極に覆われていない前記第4の半導体層の左側端部及び右側端部の領域にソース領域及びドレイン領域の一方及び他方をそれぞれ形成することにより、前記第3の薄膜トランジスタとして、Single Drain構造を有する第1の導電型の薄膜トランジスタを形成してもよい。
【0022】
この場合、上記フォトダイオードと同時にSingle Drain構造を有する第1の導電型の薄膜トランジスタを形成することができる。
【0023】
また、上記半導体装置の製造方法において、前記(a)の工程において、第4の薄膜トランジスタ用の第5の半導体層を前記基板上に形成し、
前記(b)の工程において、前記第1〜第5の半導体層を覆うゲート絶縁膜を形成し、
前記(h)の工程において、前記第5の半導体層の全体を覆う第11のレジストを形成し、
前記(c)の工程において、前記ゲート金属を用いて、前記第5の半導体層のうち、チャネル領域となる部分を覆う第4のゲート電極を前記ゲート絶縁膜上に形成し、
前記(d)の工程において、前記第5の半導体層のうち、前記第4のゲート電極に覆われていない領域に第1の導電型の不純物注入領域を形成し、
前記(e)の工程において、前記第4のゲート電極に覆われていない前記第5の半導体層の左側端部及び右側端部の領域にソース領域及びドレイン領域の一方及び他方をそれぞれ形成することにより、前記第4の薄膜トランジスタとして、第2の導電型の薄膜トランジスタを形成し、
前記(f)の工程において、前記第5の半導体層の全体を覆う第12のレジストを形成して、当該第5の半導体層に前記第1の導電型の不純物が注入されるのを阻止してもよい。
【0024】
この場合、上記フォトダイオードと同時に第2の導電型の薄膜トランジスタを形成することができる。
【0025】
また、上記半導体装置の製造方法において、前記(c)の工程において、前記第1〜第5の半導体層の全体を覆うように前記ゲート金属を前記ゲート絶縁膜上に形成した後、前記シールド部、前記第1、前記第2、前記第3、及び前記第4のゲート電極となる部分にそれぞれ第13、第14、第15、第16、及び第17のレジストを形成して、所定のエッチング処理を行うことにより、前記シールド部、及び前記第1〜第4のゲート電極を前記ゲート絶縁膜上に形成してもよい。
【0026】
この場合、シールド部及び第1〜第4のゲート電極を適切な位置で容易に形成することができる。
【0027】
また、上記半導体装置の製造方法において、前記(b)の工程の後に、前記第1〜第5の半導体層に対して、前記ゲート絶縁膜の上方から前記第1または前記第2の導電型の不純物を注入することにより、前記第1〜第4の各薄膜トランジスタの抵抗を調整する工程(i)を行ってもよい。
【0028】
この場合、第1〜第4の各薄膜トランジスタの抵抗を容易に適切な値とすることができる。
【0029】
また、上記半導体装置の製造方法において、前記(g)の工程の後に、前記第1の半導体層に対して、前記ゲート絶縁膜の上方から前記第1または前記第2の導電型の不純物を注入することにより、前記フォトダイオードの抵抗を調整する工程(j)を行ってもよい。
【0030】
この場合、フォトダイオードの抵抗を容易に適切な値とすることができる。
【0031】
また、上記半導体装置の製造方法において、前記第1の導電型はn型であり、前記第2の導電型はp型であってもよい。
【0032】
この場合、ラテラル構造のフォトダイオードとn型及び/またはp型の薄膜トランジスタを一体的に形成することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、フォトダイオードの出力特性のばらつきを抑制しつつ、検出精度の低下が防がれた高性能なフォトダイオードを形成することができる半導体装置の製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、本発明の一実施形態にかかる液晶表示装置を説明する図である。
【図2】図2は、上記液晶表示装置の要部構成を説明する図である。
【図3】図3は、上記液晶表示装置の具体的な画素構造を示す拡大断面図である。
【図4】図4は、上記液晶表示装置に設けられた画素及び光センサーの構成を示す等価回路図である。
【図5】図5は、上記液晶表示装置に設けられたフォトダイオードと薄膜トランジスタの製造工程を説明する図であり、図5(a)〜図5(c)は、一連の主な製造工程を説明している。
【図6】図6は、上記液晶表示装置に設けられたフォトダイオードと薄膜トランジスタの製造工程を説明する図であり、図6(a)〜図6(c)は、図5(c)に示した工程の終了後に行われる、一連の主な製造工程を説明している。
【図7】図7は、上記液晶表示装置に設けられたフォトダイオードと薄膜トランジスタの製造工程を説明する図であり、図7(a)〜図7(c)は、図6(c)に示した工程の終了後に行われる、一連の主な製造工程を説明している。
【図8】図8は、上記液晶表示装置に設けられたフォトダイオードと薄膜トランジスタの製造工程を説明する図であり、図8(a)〜図8(c)は、図7(c)に示した工程の終了後に行われる、一連の主な製造工程を説明している。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の半導体装置の製造方法を示す好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。尚、以下の説明では、本発明をタッチパネル付きの液晶表示装置に用いられるアクティブマトリクス基板に適用した場合を例示して説明する。また、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
【0036】
図1は、本発明の一実施形態にかかる液晶表示装置を説明する図である。図1において、本実施形態の液晶表示装置1は、図1の上側が視認側(表示面側)として設置される表示部としての液晶パネル2と、液晶パネル2の非表示面側(図1の下側)に配置されて、当該液晶パネル2に照明光を照射する照明部としての照明装置3とが設けられている。また、この液晶表示装置1には、後述の光センサーを備えたタッチパネルが一体的に組み込まれており、液晶表示装置1では、当該タッチパネルによって、ユーザによる操作入力指示の検出動作などの所定のタッチパネル機能を実行できるよう構成されている。
【0037】
液晶パネル2は、一対の基板を構成するカラーフィルタ基板4及びアクティブマトリクス基板5と、カラーフィルタ基板4及びアクティブマトリクス基板5の各外側表面にそれぞれ設けられた偏光板6、7とを備えている。カラーフィルタ基板4とアクティブマトリクス基板5との間には、後述の液晶層が狭持されている。偏光板6、7は、液晶パネル2に設けられた表示面の有効表示領域を少なくとも覆うように対応するカラーフィルタ基板4またはアクティブマトリクス基板5に貼り合わせられている。
【0038】
また、アクティブマトリクス基板5は、上記一対の基板の一方の基板を構成するものであり、アクティブマトリクス基板5では、液晶パネル2の表示面に含まれる複数の画素に応じて、画素電極や薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor、以下、“TFT”と略称する。)などが上記液晶層との間に形成されている(詳細は後述。)。また、このアクティブマトリクス基板5は、後に詳述するように、フォトダイオード(薄膜ダイオード;TFD)や複数種類のTFTがモノリシックに形成された半導体装置によって構成されており、本発明の半導体装置の製造方法によって形成されている。一方、カラーフィルタ基板4は、一対の基板の他方の基板を構成するものであり、カラーフィルタ基板4には、後述のカラーフィルタや対向電極などが上記液晶層との間に形成されている。
【0039】
また、液晶パネル2では、当該液晶パネル2の駆動制御を行う制御装置(図示せず)に接続されたFPC(Flexible Printed Circuit)8が設けられており、上記液晶層を画素単位に動作することで、当該表示面上に所望画像を表示するようになっている。
【0040】
照明装置3は、光源としての冷陰極蛍光管9と、冷陰極蛍光管9に対向して配置された導光板10とを備えている。また、照明装置3では、断面L字状のベゼル14により、導光板10の上方に液晶パネル2が設置された状態で、冷陰極蛍光管9及び導光板10が狭持されている。また、カラーフィルタ基板4には、ケース11が載置されている。これにより、照明装置3は、液晶パネル2に組み付けられて、当該照明装置3からの照明光が液晶パネル2に入射される透過型の液晶表示装置1として一体化されている。
【0041】
導光板10には、例えば透明なポリカーボネート樹脂などの合成樹脂が用いられており、冷陰極蛍光管9からの光が入光される。また、導光板10では、その液晶パネル2と反対側の表面には、反射シート12が設置されている。さらに、導光板10の液晶パネル2側には、レンズシートや拡散シートなどの光学シート13が設けられており、導光板10から出射された光が正面方向に光路を変化し、所望の視角特性を有するとともに、発光面内で均一な強度となる平面状の上記照明光に変えられて液晶パネル2に与えられる。
【0042】
次に、図2〜図4も参照して、本実施形態の液晶表示装置1の各部について具体的に説明する。
【0043】
図2は、上記液晶表示装置の要部構成を説明する図である。図3は上記液晶表示装置の具体的な画素構造を示す拡大断面図であり、図4図4は上記液晶表示装置に設けられた画素及び光センサーの構成を示す等価回路図である。
【0044】
本実施形態の液晶表示装置1では、図2に例示するように、アクティブマトリクス基板5上に、画素領域17、ディスプレイゲートドライバ18、ディスプレイソースドライバ19、センサー列ドライバ20、センサー行ドライバ21、及びバッファアンプ22が設けられている。ディスプレイゲートドライバ18及びディスプレイソースドライバ19は、図示しないFPC(Flexible Printed Circuit)を介在させてLCD駆動部15に接続され、センサー列ドライバ20、センサー行ドライバ21、及びバッファアンプ22は、別のFPC(図示せず)を介在させてタッチパネル駆動部16に接続されている。
【0045】
なお、アクティブマトリクス基板5上の上記の構成部材は、半導体プロセスによって当該アクティブマトリクス基板5を構成する、透明なガラス基板などの透明基板上にモノリシックに形成することも可能である。あるいは、上記の構成部材のうちのドライバ類を、例えばCOG(Chip On Glass)技術等によって上記透明基板上に実装してもよい。
【0046】
また、上記の説明以外に、同一のFPCを介在させてディスプレイゲートドライバ18及びディスプレイソースドライバ19をLCD駆動部15に接続し、センサー列ドライバ20、センサー行ドライバ21、及びバッファアンプ22をタッチパネル駆動部16に接続してもよい。
【0047】
画素領域17は、上記液晶パネル2の表示面を構成しており、複数の画素がマトリクス状に設けられている。また、画素領域17には、上記光センサーが画素単位に設けられている。
【0048】
具体的にいえば、液晶パネル2では、図3に例示するように、カラーフィルタ基板4の液晶層23側の表面に、赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)のカラーフィルタ24r、24g、24bが形成されている。そして、液晶パネル2では、RGBの各色の画素Pr、Pg、Pbが対応するカラーフィルタ24r、24g、24bに応じて設けられている。
【0049】
一方、アクティブマトリクス基板5には、後述のスイッチング素子が画素毎に形成されている。また、アクティブマトリクス基板5では、上記光センサー25が上述のスイッチング素子とともに一体的に設けられている。また、この光センサー25では、その受光素子が、図3に示すように、画素Pr、Pg、Pbのうち、例えば画素Pr内に設けられており、上記表示面の外部から入射される光を受光するようになっている。
【0050】
また、上記タッチパネルでは、光センサー25が指などの反射物(検査対象物)からの反射光を受光することにより、光センサー25はユーザのタッチ操作などで指示された座標(位置)を検出する座標検出動作を行うようになっている。そして、タッチパネルでは、座標検出動作の結果を用いて、ユーザによる操作入力指示の検出動作などの所定のタッチパネル機能が行われる。
【0051】
また、画素領域17には、図4に示すように、画素用の配線として、マトリクス状に配置されたゲート線Gn及びソース線Srm、Sgm、Sbmが設けられている。ゲート線Gnは、ディスプレイゲートドライバ18に接続されている。ソース線Srm、Sgm、Sbmは、RGBの色毎に設けられており、ディスプレイソースドライバ19に接続されている。
【0052】
ゲート線Gnとソース線Srm、Sgm、Sbmとの交差部には、画素駆動用の上記スイッチング素子としての薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)M1r、M1g、M1bがそれぞれ設けられている。そして、画素Prでは、薄膜トランジスタM1rのゲート電極はゲート線Gnへ、ソース電極はソース線Srmへ、ドレイン電極は図示しない画素電極へ、それぞれ接続されている。これにより、画素Prでは、図4に示すように、薄膜トランジスタM1rのドレイン電極と対向電極(VCOM)との間に液晶容量LCが形成される。また、液晶容量LCと並列に補助容量LSが形成されている。尚、上述の各薄膜トランジスタM1r、M1g、M1bは、後に詳述するように、例えばLDD構造を有するn型(nチャネル)のTFTによって構成されている。
【0053】
同様に、画素Pgでは、薄膜トランジスタM1gのゲート電極はゲート線Gnへ、ソース電極はソース線Sgmへ、ドレイン電極は図示しない画素電極へ、それぞれ接続されている。これにより、画素Pgでは、図4に示すように、薄膜トランジスタM1gのドレイン電極と対向電極(VCOM)との間に液晶容量LCが形成される。また、液晶容量LCと並列に補助容量LSが形成されている。
【0054】
また、画素Pbでは、薄膜トランジスタM1bのゲート電極はゲート線Gnへ、ソース電極はソース線Sbmへ、ドレイン電極は図示しない画素電極へ、それぞれ接続されている。これにより、画素Pbでは、図4に示すように、薄膜トランジスタM1bのドレイン電極と対向電極(VCOM)との間に液晶容量LCが形成される。また、液晶容量LCと並列に補助容量LSが形成されている。
【0055】
また、各画素Pr、Pg、Pbでは、対応するソース線Srm、Sgm、Sbmを介してディスプレイソースドライバ19から上記表示面に表示される情報の輝度(階調)に応じた電圧信号(階調電圧)が供給されるようになっている。
【0056】
すなわち、図2に示すように、LCD駆動部15には、パネル制御部15a及び照明制御部15bが設けられている。パネル制御部15aには、液晶表示装置1の外部から上記表示面で表示すべき情報の映像信号が入力されるようになっている。そして、パネル制御部15aでは、入力された映像信号に応じて、ディスプレイゲートドライバ18及びディスプレイソースドライバ19への各指示信号が生成されて出力される。
【0057】
これにより、ディスプレイゲートドライバ18は、パネル制御部15aからの指示信号を基にマトリクス状に配線された複数のゲート線Gnに対し、対応する薄膜トランジスタM1r、M1g、M1bのゲート電極をオン状態にするゲート信号を順次出力する。一方、ディスプレイソースドライバ19は、パネル制御部15aからの指示信号に基づき、各画素Pr、Pg、Pbに対して、対応するソース線Srm、Sgm、Sbmを経て上記階調電圧が供給される。
【0058】
また、照明制御部15bには、上記照明光の輝度の変更を指示する調光指示信号が液晶表示装置1に設けられたコントローラ等から入力されるようになっている。そして、照明制御部15bでは、入力された調光指示信号に基づき、照明装置3の冷陰極蛍光管9への供給電力を制御するように構成されている。
【0059】
図4に戻って、光センサー25は、上記受光素子としてのフォトダイオードD1、コンデンサC1、及び薄膜トランジスタM2〜M4を備えている。また、この光センサー25では、ソース線Srm、Sbmにそれぞれ平行に設けられた配線VSSj、VSDjを介してセンサー列ドライバ20から定電圧が供給されるようになっている。また、光センサー25では、ソース線Sgmに平行に設けられた配線OUTjを介して検出結果をセンサー列ドライバ20のセンサー列画素読み出し回路20aに出力するように構成されている。尚、フォトダイオードD1は、後に詳述するように、ラテラル構造を備えたPINフォトダイオードによって構成されている。
【0060】
また、薄膜トランジスタM4には、リセット信号を供給するための配線RSTiが接続されている。薄膜トランジスタM3には、読み出し信号を供給するための配線RWSiが接続されている。これらの配線RSTi、RWSiは、センサー行ドライバ21に接続されている。
【0061】
センサー列ドライバ20は、図2に示すように、センサー列画素読み出し回路20aと、センサー列アンプ20bと、センサー列走査回路20cとを備えており、タッチパネル駆動部16の光センサー制御部16aからの指示信号に応じて動作するようになっている。センサー列画素読み出し回路20aには、配線OUTjを介して、画素領域17内にマトリクス状に設けられた複数の各光センサー25の検出結果(電圧信号)が逐次入力されるようになっている。そして、センサー列画素読み出し回路20aは、入力された電圧信号をセンサー列アンプ20bに出力する。
【0062】
センサー列アンプ20bは、複数の光センサー25に応じて、設けられた複数のアンプ(図示せず)を内蔵しており、対応する上記電圧信号を増幅して、バッファアンプ22に出力する。センサー列走査回路20cは、光センサー制御部16aからの指示信号に従って、センサー列アンプ20bの複数のアンプをバッファアンプ22に順次接続させるための列セレクト信号をセンサー列アンプ20bに出力する。これにより、増幅後の電圧信号がセンサー列アンプ20bからバッファアンプ22を経てタッチパネル駆動部16側に出力される。
【0063】
センサー行ドライバ21には、シフトレジスタを用いたセンサー行レベルシフタ21aと、センサー行走査回路21bとが設けられている。センサー行走査回路21bは、光センサー制御部16aからの指示信号に従って、所定の時間間隔で配線RSTi、RWSiを順次選択していく。これにより、画素領域12において、電圧信号(検出結果)を読み出すべき光センサー25が、マトリクス状の行単位に順次選択される。
【0064】
なお、上記の説明では、画素領域17において、RGBの画素Pr、Pg、Pbの1組に1つの光センサー25を設けた場合について説明したが、画素領域17での光センサー25の設置数やこれに含まれたフォトダイオードD1などの構成部材の配置箇所などは、上記のものに限定されず、任意である。例えば、各画素Pr、Pg、Pbに実質的な光検出を行うフォトダイオード(受光素子)D1を設けて画素毎に光センサー25を設置する構成でもよい。
【0065】
また、図2に示すように、タッチパネル駆動部16には、光センサー制御部16a、及び信号処理部16bが設けられている。そして、このタッチパネル駆動部16では、複数の光センサー25の各駆動制御を行うとともに、複数の光センサー25の各検出結果に基づいて、ユーザのタッチ操作による操作入力指示の検出などの所定のタッチパネル機能を行うようになっている。
【0066】
光センサー制御部16aは、例えば液晶表示装置1の電源がオンされた場合に、センサー列ドライバ20及びセンサー行ドライバ21に対して、駆動指示信号を出力し、光センサー25にセンシング動作を行わせる。すなわち、光センサー制御部16aは、液晶表示装置1が動作している場合に、光センサー25による座標検出動作を行わせて、ユーザによるタッチ操作を検出するようになっている。また、光センサー25の検出結果は、タッチパネル駆動部16内に設けられたメモリ(図示せず)に格納される。
【0067】
また、信号処理部16bは、ユーザによる操作入力指示の検出動作を含んだ所定のタッチパネル機能を実行するようになっている。具体的には、信号処理部16bは、上記メモリ内に格納されている光センサー25の検出結果(つまり、座標検出動作結果)を用いて、上記液晶パネルの表示面上でのユーザの指などの位置(座標)情報を取得する。すなわち、本実施形態の液晶表示装置1では、ユーザが例えば指を用いてタッチ操作を行う場合に、ユーザが液晶パネル2に表示されている、例えば操作入力画面(指示入力画面)での所望の位置上に指をおくと、液晶パネル2側から出射された光が当該指によって液晶パネル2側に反射されて、その反射された光が所望の位置の真下付近の光センサー25によって検出される。そして、信号処理部16bは、上記メモリ内に格納された光センサー25の検出結果を用いて、指示入力画面でのユーザのタッチ操作位置の位置情報を取得する。これにより、本実施形態の液晶表示装置1では、ユーザによる操作入力指示の検出動作が行われる。
【0068】
尚、上記の説明以外に、タッチパネルにより、画像情報を取り込むスキャナー動作を行わせるように構成してもよい。
【0069】
また、タッチパネル駆動部16、センサー列ドライバ20、センサー行ドライバ21、バッファアンプ25、及び光センサー25が、本実施形態の液晶表示装置1に組み込まれて、所定のタッチパネル機能を行うタッチパネルを構成している。
【0070】
図5〜図8も参照して、本実施形態のアクティブマトリクス基板5の製造方法について具体的に説明する。尚、以下の説明では、上記PINダイオードからなるフォトダイオードと、LDD構造のnチャネル型(n型)のTFT、GOLD構造のnチャネル型(n型)のTFT、シングルドレイン構造のnチャネル型(n型)及びpチャネル型(p型)の各TFTを同一の基板上に設ける製造方法を例示して説明する。また、LDD構造のnチャネル型(n型)のTFTは、上記画素駆動用の薄膜トランジスタを構成している。また、GOLD構造のnチャネル型(n型)のTFT、Single Drain構造のnチャネル型(n型)及びpチャネル型(p型)の各TFTは、周辺回路用の薄膜トランジスタを構成している。
【0071】
図5は、上記液晶表示装置に設けられたフォトダイオードと薄膜トランジスタの製造工程を説明する図であり、図5(a)〜図5(c)は、一連の主な製造工程を説明している。図6は、上記液晶表示装置に設けられたフォトダイオードと薄膜トランジスタの製造工程を説明する図であり、図6(a)〜図6(c)は、図5(c)に示した工程の終了後に行われる、一連の主な製造工程を説明している。図7は、上記液晶表示装置に設けられたフォトダイオードと薄膜トランジスタの製造工程を説明する図であり、図7(a)〜図7(c)は、図6(c)に示した工程の終了後に行われる、一連の主な製造工程を説明している。図8は、上記液晶表示装置に設けられたフォトダイオードと薄膜トランジスタの製造工程を説明する図であり、図8(a)〜図8(c)は、図7(c)に示した工程の終了後に行われる、一連の主な製造工程を説明している。
【0072】
図5(a)に示すように、同一の基板としての基板5’の表面のうち、フォトダイオードが形成される部分に対して、遮光膜26を形成した後、当該遮光膜26を含む基板5’の全ての表面上に絶縁膜27を形成する。
【0073】
基板5’は、アクティブマトリクス基板5の基材を構成するものであり、基板5’には、石英基板、ガラス基板の他、表面が絶縁層で覆われたSi基板や金属基板等の絶縁性の表面を有するものが用いられている。遮光膜26には、例えばタンタル(Ta)、タングステン(W)、またはモリブデン(Mo)などの高融点金属によって構成された金属膜が用いられている。また、遮光膜26は、例えば30〜200nmの厚さ寸法にて形成されており、遮光膜26は、基板裏面方向(図の下側方向)からフォトダイオードへの光の入射を阻止するようになっている。絶縁膜27は、例えば酸化ケイ素膜、窒化ケイ素膜、または酸化窒化ケイ素膜により構成されており、絶縁膜27は、例えばプラズマCVD法にて所定の厚さ寸法(例えば、500nm)で形成されている。尚、上記の説明以外に、例えば基板5’に透光性を有さない基板を用いる場合には、遮光膜26の設置を省略することもできる。
【0074】
次に、図5(b)に示すように、絶縁膜27上に、島状の第1、第2、第3、第4、及び第5の半導体層28a、28b、28c、28d、及び28eを形成した後、これらの半導体層28a〜28eを覆うゲート絶縁膜29を形成する。
【0075】
第1の半導体層28aは、上記フォトダイオードの活性層を構成している。また、第2〜第5の半導体層28b〜28eは、第1〜第4の薄膜トランジスタとしての上記LDD構造のnチャネル型のTFTの活性層、GOLD構造のnチャネル型のTFTの活性層、Single Drain構造のnチャネル型のTFTの活性層、及びpチャネル型のTFTの活性層をそれぞれ構成している。
【0076】
また、第1〜第5の各半導体層28a〜28eは、結晶質シリコン膜を用いて形成されている。具体的には、まず、プラズマCVD法やスパッタ法などの公知の方法を用いて、非晶質構造を有する半導体膜(ここでは、非晶質シリコン膜)を堆積する。非晶質シリコン膜の厚さは例えば20nm以上100nm以下とする。なお、絶縁膜27と非晶質シリコン膜とを同じ方法で形成する場合には、両者を連続形成してもよい。この後、非晶質シリコン膜を結晶化させて結晶質シリコン膜を得る。非晶質シリコン膜の結晶化は公知の方法で行うことができる。例えば、非晶質シリコン膜にレーザー光を照射することにより結晶化させてもよい。レーザー光としては、パルス発振型または連続発振型のエキシマレーザー光が望ましいが、連続発振型のアルゴンレーザー光でもよい。また、結晶化を助長するための触媒元素、たとえばNi等を非晶質シリコン表面に付着させた後、熱処理(例えば、レーザー照射)により非晶質シリコン膜を結晶化させておいてもよい。得られた結晶質シリコン膜に対して、フォトリソグラフィーおよびエッチングによりパターニングを行い、第1〜第5の半導体層28a〜28eを得る。
【0077】
ゲート絶縁膜29としては、例えば厚さ寸法が100nmの酸化ケイ素(SiO2)膜を形成する。ゲート絶縁膜29の形成は、例えばCVD法を用いて行うことができる。尚、上記の説明以外に、例えば窒化ケイ素膜を用いて、ゲート絶縁膜29を構成してもよい。
【0078】
続いて、図5(c)において、第1〜第5の半導体層28a〜28eに対して、ゲート絶縁膜29の上方から第1または第2の導電型(n型またはp型)の不純物を注入して、上記第1〜第4の各薄膜トランジスタの抵抗を調整する。具体的には、ゲート絶縁膜29の全面を経て第1〜第5の半導体層28a〜28eに対し、例えばp型の低濃度の不純物イオン(例えば、ボロンイオン)を注入して、上記第1〜第4の各薄膜トランジスタの抵抗を調整する。これにより、第1〜第5の半導体層28a〜28eは、それぞれ第1〜第5の半導体層30a〜30eとされるとともに、第1〜第4の各薄膜トランジスタの抵抗を容易に適切な値とすることができる。尚、このボロンイオンを注入する際の加速電圧は例えば80kV、ドーズ量は1×1013/cm2に設定されている。
【0079】
次に、図6(a)に示すように、ゲート絶縁膜29上に、マスクとしてのレジストr1、r2、r3、r4、r5を形成する。具体的にいえば、第1の半導体層30aの全体を覆うように、第5のレジストとしてのレジストr1を形成し、第2の半導体層30bの全体を覆うように、第6のレジストとしてのレジストr2を形成する。また、第3の半導体層30cのうち、チャネル領域となる部分を覆うように、第7のレジストとしてのレジストr3を形成する。さらに、第4の半導体層30dの全体を覆うように、第9のレジストとしてのレジストr4を形成し、第5の半導体層30eの全体を覆うように、第11のレジストとしてのレジストr5を形成する。
【0080】
その後、レジストr1〜r5の上方からn型の低濃度の不純物イオン(例えば、リンイオン)を注入して、第3の半導体層30cに不純物注入領域32、33を形成する。この不純物注入領域32、33は、後述するように、GOLD構造のTFTのLDD領域、ソース領域、またはドレイン領域となる。一方、第3の半導体層30cのうち、リンイオンが注入されなかった領域31は、GOLD構造のTFTのチャネル領域となる。尚、第1、第2、第4、及び第5の半導体層30a、30b、30d、30eでは、対応するレジストr1、r2、r4、r5によってリンイオンの注入が阻止される。また、このリンイオンを注入する際の加速電圧は例えば80kV、ドーズ量は1×1013/cm2に設定されている。
【0081】
続いて、図6(b)に示すように、第1〜第5の半導体層30a〜30eの全体を覆うように、所定のゲート金属34をゲート絶縁膜29上に形成する。このゲート金属34としては、例えば厚さ寸法400nmのタングステン膜が用いられており、スパッタリング法によりゲート絶縁膜29上に堆積されている。その後、ゲート金属34上に、マスクとしてのレジストr6、r7、r8、r9、r10を形成する。具体的にいえば、第1の半導体層30aの上方において、シールド部となる部分に第13のレジストとしてのレジストr6を形成する。また、第2の半導体層30bの上方において、第1のゲート電極となる部分に第14のレジストとしてのレジストr7を形成し、第3の半導体層30cの上方において、第2のゲート電極となる部分に第15のレジストとしてのレジストr8を形成する。さらに、第4の半導体層30dの上方において、第3のゲート電極となる部分に第16のレジストとしてのレジストr9を形成し、第5の半導体層30eの上方において、第4のゲート電極となる部分に第16のレジストとしてのレジストr10を形成する。
【0082】
次に、図6(c)に示すように、ゲート金属34に対して、ジャスト−エッチングを行うことにより、第1の半導体層30aの上方にシールド部34aを形成し、第2〜第5の半導体層30b〜30eの上方に第1〜第4のゲート電極34b〜34eをそれぞれ形成する。
【0083】
続いて、図7(a)に示すように、シールド部34a及び第1〜第4のゲート電極34b〜34eに対して、オーバー−エッチングが行われる。すなわち、このオーバー−エッチングを行うことにより、基板5’の面内均一性を確保できるとともに、シールド部34a及び第1〜第4のゲート電極34b〜34eでの不必要なゲート金属34が確実に除去することができる。また、この結果、シールド部34aは、第1の半導体層30aのうち、真性半導体領域となる部分を覆うように形成される。また、第1のゲート電極34bは、第2の半導体層30bのうち、チャネル領域となる部分を覆うように形成され、第2のゲート電極34cは、第3の半導体層30cのうち、チャネル領域及びLDD領域となる部分を覆うように形成される。さらに、第3のゲート電極34dは、第4の半導体層30dのうち、チャネル領域となる部分を覆うように形成され、第4のゲート電極34eは、第5の半導体層30eのうち、チャネル領域となる部分を覆うように形成される。
【0084】
さらに、上記オーバー−エッチングが行われることにより、ゲート絶縁膜29では、露出している部分の膜厚が、シールド部34aまたは第1〜第4のゲート電極34b〜34eの下方のものに比べて、1/3程度に薄くされた段差状の形状を有するゲート絶縁膜29’とされる。尚、このゲート絶縁膜29’では、後掲の図8(c)に示すように、シールド部34aが除去された後でも、段差状の形状で維持されるが、フォトダイオードには、全く影響を与えない。また、このようにジャスト−エッチング及びオーバー−エッチングからなる所定のエッチング処理を行うことにより、シールド部34a及び第1〜第4のゲート電極34b〜34eを、例えばスパッタリング法によってピンポイントで形成する場合に比べて、シールド部34a及び第1〜第4のゲート電極34b〜34eを適切な位置で容易に形成することができる。
【0085】
続いて、図7(b)において、シールド部34a及び第1〜第4のゲート電極34b〜34eの上方からn型の低濃度の不純物イオン(例えば、リンイオン)を注入する。すなわち、この図7(b)に示す工程では、シールド部34a及び第1〜第4のゲート電極34b〜34eをレジスト(マスク)として機能させて、上記低濃度のリンイオンが第1〜第5の半導体層30a〜30eの内部にドープされる。
【0086】
具体的にいえば、第1の半導体層30aでは、シールド部34aに覆われていない領域に低濃度のリンイオンが注入されて、不純物注入領域36、37が形成される。また、第1の半導体層30aのうち、リンイオンが注入されなかった領域35は、フォトダイオードの真性半導体領域となる。また、第2の半導体層30bでは、第1のゲート電極34bに覆われていない領域に低濃度のリンイオンが注入されて、不純物注入領域39、40が形成される。また、第2の半導体層30bのうち、リンイオンが注入されなかった領域38は、LDD構造のTFTのチャネル領域となる。
【0087】
また、第3の半導体層30cでは、第2のゲート電極34cに覆われていない領域に低濃度のリンイオンが注入されて、不純物注入領域42、43が形成される。また、第3の半導体層30cのうち、リンイオンが注入されなかった領域38は、GOLD構造のTFTのチャネル領域41及びLDD領域44、45となる。また、第4の半導体層30dでは、第3のゲート電極34dに覆われていない領域に低濃度のリンイオンが注入されて、不純物注入領域47、48が形成される。また、第4の半導体層30dのうち、リンイオンが注入されなかった領域46は、Single Drain構造のTFTのチャネル領域となる。また、第5の半導体層30eでは、第4のゲート電極34eに覆われていない領域に低濃度のリンイオンが注入されて、不純物注入領域50、51が形成される。また、第5の半導体層30eのうち、リンイオンが注入されなかった領域49は、Single Drain構造のTFTのチャネル領域となる。尚、このリンイオンを注入する際の加速電圧は例えば80kV、ドーズ量は1×1013/cm2に設定されている。
【0088】
また、図7(b)に示す、低濃度のリンイオン注入工程において、シールド部34aをレジスト(マスク)として用いているので、シールド部34aを設けていない場合に比べて、アクティブマトリクス基板5の生産性を大幅に向上することができる。具体的にいえば、シールド部34aが形成されていない場合、図7(b)の工程を行う場合に、フォトダイオード用の第1の半導体層30aをレジストにて覆う必要がある。
【0089】
これに対して、本実施形態では、上記レジストを設けるフォトマスク工程を1回割愛することができるので、生産コスト、リードタイム、及び歩留まり低下を各々7%程度削減することができ、アクティブマトリクス基板5の生産性を大幅に向上することができる。
【0090】
次に、図7(c)に示すように、第1〜第4の半導体層30a〜30dの上方に、マスクとしてのレジストr11、r12、r13、r14を形成する。具体的にいえば、第1の半導体層30aの左側端部を覆うように、第1のレジストとしてのレジストr11を形成する。このレジストr11は、シールド部34aとともに、マスクとして機能するようになっている。また、第2の半導体層30bの全体を覆うように、第3のレジストとしてのレジストr12を形成し、第3の半導体層30cの全体を覆うように、第8のレジストとしてのレジストr13を形成し、第4の半導体層30dの全体を覆うように、第10のレジストとしてのレジストr14を形成する。
【0091】
その後、レジストr11〜r14及び第4のゲート電極34eの上方からp型の高濃度の不純物イオン(例えば、ボロンイオン)を注入する。これにより、第1の半導体層30aの右側端部にp型領域52が形成され、第5の半導体層30eにソース領域53及びドレイン領域54が形成される。また、第1の半導体層30aでは、その左側端部及び中央部に対して、レジストr11及びシールド部34aによってボロンイオンの注入が阻止される。また、第2〜第4の半導体層30b〜30dでは、対応するレジストr12〜r14によってボロンイオンの注入が阻止される。
【0092】
尚、第5の半導体層30eには、前工程でリンイオンが注入されているため、本工程によってp型のソース領域53及びドレイン領域54を形成しようとすると、注入されたリンイオンを反転させる必要がある(カウンタードープ)。従って、ドーズ量をより高く設定しなければならない。具体的には、このボロンイオンを注入する際の加速電圧は例えば80kV、ドーズ量は3×1015/cm2に設定されている。
【0093】
続いて、図8(a)に示すように、第1、第2、及び第5の半導体層30a、30b、30eの上方に、マスクとしてのレジストr15、r16、r17を形成する。具体的にいえば、第1の半導体層30aの右側端部を覆うように、第2のレジストとしてのレジストr15を形成する。このレジストr15は、シールド部34aとともに、マスクとして機能するようになっている。また、第2の半導体層30bのうち、チャネル領域及びLDD領域となる部分を覆うように、第4のレジストとしてのレジストr16を形成し、第5の半導体層30eの全体を覆うように、第12のレジストとしてのレジストr17を形成する。
【0094】
その後、レジストr15〜r17及び第2及び第3のゲート電極34c、34dの上方からn型の高濃度の不純物イオン(例えば、リンイオン)を注入する。これにより、第1の半導体層30aの左側端部にn型領域55が形成される。また、第1の半導体層30aでは、その右側端部及び中央部に対して、レジストr15及びシールド部34aによってリンイオンの注入が阻止され、p型領域52とn型領域55との間に真性半導体領域(i層)56が形成される。
【0095】
また、第2の半導体層30bでは、レジストr16に覆われていない部分にソース領域57及びドレイン領域58が形成され、レジストr16に覆われている部分にLDD領域59、60がチャネル領域38を挟むように形成される。また、第3の半導体層30cでは、第2のゲート電極34cに覆われていない部分にソース領域61及びドレイン領域62が形成され、第4の半導体層30dでは、第3のゲート電極34dに覆われていない部分にソース領域63及びドレイン領域64が形成される。また、第5の半導体層30eでは、レジストr17によってリンイオンの注入が阻止される。尚、リンイオンを注入する際の加速電圧は例えば80kV、ドーズ量は3×1015/cm2に設定されている。
【0096】
尚、上記の説明以外に、図7(c)に示した高濃度のボロンイオンの注入工程と、図8(a)に示した高濃度のリンイオンの注入工程との順番を逆にして行ってもよい。
【0097】
次に、図8(b)に示すように、シールド部34aを除去する工程が行われ、その後、第1の半導体層30aを除く、第2〜第5の半導体層30b〜30eの全体を覆うようにレジストr18が形成される。そして、第1の半導体層30aに対して、第1または第2の導電型(n型またはp型)の不純物を注入して、上記フォトダイオードの抵抗を調整する。具体的には、ゲート絶縁膜29’の上方から第1の半導体層30aに対し、例えばp型の低濃度の不純物イオン(例えば、ボロンイオン)を注入して、上記フォトダイオードの抵抗を調整する。これにより、フォトダイオードの抵抗を容易に適切な値とすることができる。尚、このボロンイオンを注入する際の加速電圧は例えば80kV、ドーズ量は1×1013/cm2に設定されている。
【0098】
続いて、図8(c)に示すように、レジストr18を除去することにより、フォトダイオード70、LDD構造のnチャネル型のTFT71a、GOLD構造のnチャネル型のTFT71b、Single Drain構造のnチャネル型のTFT71c、及びpチャネル型のSingle Drain構造のTFT71dが形成される。
【0099】
なお、本実施形態における「LDD領域」は、その不純物濃度が3×1017atoms/cm3以上であり、かつ、ソース領域及びドレイン領域の不純物濃度よりも低い領域を指す。従って、半導体層のうち極めて低濃度(3×1017atoms/cm3未満)で不純物を含む領域を含まない。例えばLDD領域に注入された不純物の一部がゲート電極の下にあるチャネル領域まで拡散する場合もあるが、不純物が拡散した部分の不純物濃度は極めて低いと考えられるため、そのような部分は「LDD領域」には含まれない。
【0100】
以上のように構成された本実施形態のアクティブマトリクス基板(半導体装置)5の製造方法では、フォトダイオード70の真性半導体領域56となる部分を覆うように、上記ゲート金属を用いて、シールド部34aを形成しているので、フォトダイオード70でのチャネル長(真性半導体領域56の図8(c)の左右方向の寸法)のばらつき、ひいては当該フォトダイオード70の出力特性のばらつきを抑制することができる。また、本実施形態では、シールド部34aをレジスト(マスク)として用いて、上記第1の半導体層30aにp型領域52及びn型領域55(第1及び第2の導電型領域)を形成した後、当該シールド部34aを除去しているので、上記従来例と異なり、真性半導体領域56の受光面積を小さくして光電流の低下が生じるのを防ぐことができるとともに、真性半導体領域56に入射する光量の低下が発生をするのを防止することができる。また、本実施形態では、ドライエッチングを用いてシールド部34aを形成したときでも、シールド部端部でのエッチングダメージはp型領域52及びn型領域55上となるため、上記従来例と異なり、フォトダイオード70の出力において、SN比の低下を生じることはない。この結果、本実施形態では、フォトダイオード70の出力特性のばらつきを抑制しつつ、検出精度の低下が防がれた高性能なフォトダイオード70を形成することができる。
【0101】
尚、上記の実施形態はすべて例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって規定され、そこに記載された構成と均等の範囲内のすべての変更も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0102】
例えば、上記の説明では、本発明をタッチパネル付きの液晶表示装置に用いられるアクティブマトリクス基板に適用した場合について説明したが、本発明の半導体装置の製造方法はフォトダイオードと薄膜トランジスタを同一の基板上に設けた半導体装置の製造方法であれば何等限定されない。具体的にいえば、例えば半透過型や反射型の液晶パネルあるいは有機EL(Electronic Luminescence)素子、無機EL素子、電界放出ディスプレイ(Field Emission Display)などの各種表示装置や、それに用いられるアクティブマトリクス基板の製造方法に適用することができる。また、フォトダイオードを外部の光を検出する照度センサー(アンビニエントセンサー)として用いた半導体装置の製造方法にも適用することができる。
【0103】
また、上記の説明では、フォトダイオードと、構造が互いに異なる4つの薄膜トランジスタを同一の基板上に形成する場合について説明したが、本発明の半導体装置の製造方法は、所定のゲート金属を用いて、フォトダイオード用の半導体層上及び薄膜トランジスタ用の半導体層上にそれぞれシールド部及びゲート電極を形成するとともに、当該シールド部をレジスト(マスク)として用いることにより、フォトダイオード用の半導体層にn型領域及びp型領域を形成し、かつ、これらn型領域及びp型領域の間に真性半導体領域を形成するものであればよく、フォトダイオードと同一の基板上に形成される薄膜トランジスタの種類や設置数などは上記のものに何等限定されない。具体的には、例えばフォトダイオードと、上記4つのいずれか1つの薄膜トランジスタを同一の基板上に形成する場合でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、フォトダイオードの出力特性のばらつきを抑制しつつ、検出精度の低下が防がれた高性能なフォトダイオードを形成することができる半導体装置の製造方法に対して有用である。
【符号の説明】
【0105】
5 アクティブマトリクス基板(半導体装置)
5’ 基板
28a〜28e、30a〜30e 第1〜第5の半導体層
29、29’ ゲート絶縁膜
32、33、36、37、39、40、42、43、47、48、50、51 不純物注入領域
34a シールド部
34b〜34e 第1〜第4のゲート電極
38、41、46、49 チャネル領域
44、45、59、60 低濃度不純物領域(LDD領域)
52 p型領域(第2の導電型領域)
55 n型領域(第1の導電型領域)
56 真性半導体領域
53、57、61、63 ソース領域
54、58、62、64 ドレイン領域
70 フォトダイオード
71a〜71d 第1〜第4の薄膜トランジスタ
r1〜r18 レジスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトダイオードと、薄膜トランジスタを同一の基板上に備えた半導体装置の製造方法であって、
(a)前記フォトダイオード用の第1の半導体層と、前記薄膜トランジスタ用の第2の半導体層を前記基板上に形成する工程と、
(b)前記第1及び第2の半導体層を覆うゲート絶縁膜を形成する工程と、
(c)所定のゲート金属を用いて、前記第2の半導体層のうち、チャネル領域となる部分を覆う第1のゲート電極を前記ゲート絶縁膜上に形成し、かつ、前記ゲート金属を用いて、前記第1の半導体層のうち、真性半導体領域となる部分を覆うシールド部を前記ゲート絶縁膜上に形成する工程と、
(d)前記ゲート絶縁膜の上方から第1の導電型の不純物を前記第1及び第2の半導体層に注入することにより、前記第1の半導体層において、前記シールド部に覆われていない領域に第1の導電型の不純物注入領域を形成し、かつ、前記第2の半導体層において、前記第1のゲート電極に覆われていない領域に第1の導電型の不純物注入領域を形成する工程と、
(e)前記第1の半導体層の一部上の前記ゲート絶縁膜を露出する開口部を有する第1のレジストを形成して、前記ゲート絶縁膜の上方から第2の導電型の不純物を注入することにより、前記シールド部と前記第1のレジストで覆われていない前記第1の半導体層の領域に第2の導電型領域を形成する工程と、
(f)前記第1の半導体層の前記第2の導電型領域を覆う第2のレジストを形成して、前記ゲート絶縁膜の上方から前記第1の導電型の不純物を注入することにより、前記シールド部と前記第2のレジストで覆われていない前記第1の半導体層の領域に第1の導電型領域を形成する工程と、
(g)前記シールド部を除去する工程と
を備えていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記(e)の工程において、前記第2の半導体層の全体を覆う第3のレジストを形成して、当該第2の半導体層に前記第2の導電型の不純物が注入されるのを阻止し、
前記(f)の工程において、前記第2の半導体層の左側端部及び右側端部に位置する領域上の前記ゲート絶縁膜を露出する開口部を有する第4のレジストを形成して、前記第1のゲート電極と前記第4のレジストで覆われていない前記第2の半導体層の左側端部及び右側端部の領域にソース領域及びドレイン領域の一方及び他方をそれぞれ形成し、かつ、前記第4のレジストで覆われている前記第2の半導体層の領域を低濃度不純物領域とすることにより、第1の前記薄膜トランジスタとして、LDD構造を有する第1の導電型の薄膜トランジスタを形成する請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記(a)の工程において、第2の薄膜トランジスタ用の第3の半導体層を前記基板上に形成し、
前記(b)の工程において、前記第1〜第3の半導体層を覆うゲート絶縁膜を形成し、
前記(c)の工程の実行の前に、前記第1及び第2の半導体層の全体をそれぞれ覆う第5及び第6のレジストを形成するとともに、前記第3の半導体層のうち、チャネル領域となる部分を覆う第7のレジストを形成して、前記ゲート絶縁膜の上方から第1の導電型の不純物を前記第3の半導体層に注入することにより、前記第3の半導体層において、前記第7のレジストに覆われていない領域に第1の導電型の不純物注入領域を形成する工程(h)を行い、
前記(c)の工程において、前記ゲート金属を用いて、前記第3の半導体層のうち、チャネル領域及び低濃度不純物領域となる部分を覆う第2のゲート電極を前記ゲート絶縁膜上に形成し、
前記(d)の工程において、前記第2のゲート電極に覆われている領域に前記チャネル領域及び前記低濃度不純物領域を形成し、
前記(e)の工程において、前記第3の半導体層の全体を覆う第8のレジストを形成して、当該第3の半導体層に前記第2の導電型の不純物が注入されるのを阻止し、
前記(f)の工程において、前記第2のゲート電極に覆われていない前記第3の半導体層の左側端部及び右側端部の領域にソース領域及びドレイン領域の一方及び他方をそれぞれ形成することにより、前記第2の薄膜トランジスタとして、GOLD構造を有する第1の導電型の薄膜トランジスタを形成する請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記(a)の工程において、第3の薄膜トランジスタ用の第4の半導体層を前記基板上に形成し、
前記(b)の工程において、前記第1〜第4の半導体層を覆うゲート絶縁膜を形成し、
前記(h)の工程において、前記第4の半導体層の全体を覆う第9のレジストを形成し、
前記(c)の工程において、前記ゲート金属を用いて、前記第4の半導体層のうち、チャネル領域となる部分を覆う第3のゲート電極を前記ゲート絶縁膜上に形成し、
前記(d)の工程において、前記第4の半導体層のうち、前記第3のゲート電極に覆われていない領域に第1の導電型の不純物注入領域を形成し、
前記(e)の工程において、前記第4の半導体層の全体を覆う第10のレジストを形成して、当該第4の半導体層に前記第2の導電型の不純物が注入されるのを阻止し、
前記(f)の工程において、前記第3のゲート電極に覆われていない前記第4の半導体層の左側端部及び右側端部の領域にソース領域及びドレイン領域の一方及び他方をそれぞれ形成することにより、前記第3の薄膜トランジスタとして、Single Drain構造を有する第1の導電型の薄膜トランジスタを形成する請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記(a)の工程において、第4の薄膜トランジスタ用の第5の半導体層を前記基板上に形成し、
前記(b)の工程において、前記第1〜第5の半導体層を覆うゲート絶縁膜を形成し、
前記(h)の工程において、前記第5の半導体層の全体を覆う第11のレジストを形成し、
前記(c)の工程において、前記ゲート金属を用いて、前記第5の半導体層のうち、チャネル領域となる部分を覆う第4のゲート電極を前記ゲート絶縁膜上に形成し、
前記(d)の工程において、前記第5の半導体層のうち、前記第4のゲート電極に覆われていない領域に第1の導電型の不純物注入領域を形成し、
前記(e)の工程において、前記第4のゲート電極に覆われていない前記第5の半導体層の左側端部及び右側端部の領域にソース領域及びドレイン領域の一方及び他方をそれぞれ形成することにより、前記第4の薄膜トランジスタとして、第2の導電型の薄膜トランジスタを形成し、
前記(f)の工程において、前記第5の半導体層の全体を覆う第12のレジストを形成して、当該第5の半導体層に前記第1の導電型の不純物が注入されるのを阻止する請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記(c)の工程において、前記第1〜第5の半導体層の全体を覆うように前記ゲート金属を前記ゲート絶縁膜上に形成した後、前記シールド部、前記第1、前記第2、前記第3、及び前記第4のゲート電極となる部分にそれぞれ第13、第14、第15、第16、及び第17のレジストを形成して、所定のエッチング処理を行うことにより、前記シールド部、及び前記第1〜第4のゲート電極を前記ゲート絶縁膜上に形成する請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記(b)の工程の後に、前記第1〜第5の半導体層に対して、前記ゲート絶縁膜の上方から前記第1または前記第2の導電型の不純物を注入することにより、前記第1〜第4の各薄膜トランジスタの抵抗を調整する工程(i)を行う請求項5または6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記(g)の工程の後に、前記第1の半導体層に対して、前記ゲート絶縁膜の上方から前記第1または前記第2の導電型の不純物を注入することにより、前記フォトダイオードの抵抗を調整する工程(j)を行う請求項1〜7のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1の導電型はn型であり、前記第2の導電型はp型である請求項1〜8のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−151137(P2012−151137A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−121952(P2009−121952)
【出願日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】