説明

半導体装置及び半導体装置の製造方法

【課題】微細化が進んだトランジスタにおいて、他の問題を生じさせずに抵抗を低減する。
【解決手段】シリサイド層9は、ソース・ドレイン領域8の表層及びソース・ドレイン拡張領域6に形成されている。シリサイド層9は、半導体基板1に垂直かつゲート幅方向に対して平行な断面でみたときに、ソース・ドレイン領域8の中央部からチャネル領域に近づくにつれて半導体基板1の内側(図中下側)に近づいており、かつチャネル領域側の端部がソース・ドレイン拡張領域6に延在している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソース・ドレイン領域上にシリサイド層を有する半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路の高性能化には、その構成要素である電界効果トランジスタの高性能化が必須である。これまで、素子性能の向上は素子の微細化によって進められてきたが、近年、微細化の限界が指摘されている。 中でも接合を浅く形成することと寄生抵抗を低減することは重要な課題と考えられており、浅く低抵抗な接合を形成することの必要性が高まっている。
【0003】
この状況に対して近年、従来のpn接合の代わりに、ソース・ドレインをショットキー接合にしたMOSFET(ショットキートランジスタ)が研究されている(特許文献1,2参照)。 ショットキートランジスタは、ソース・ドレインを金属で形成するので、電極抵抗の低減が達成できるという利点がある。このショットキートランジスタでは、ソース・ドレイン部分のショットキー接合の影響が大きく、良好な特性を実現するためには、ソース・ドレインに用いる金属のショットキー障壁高さをキャリアに対して小さくすることが求められる。そのための手法として、不純物の偏析を用いる手法と、シリサイドにYやYb、Pt等の材料を用いる技術が報告されている。それらの手法により、金属のショットキー障壁の高さを低下させて良好なオン電流を得るトランジスタを実現している。
【0004】
また、非特許文献1によると、電流の流れ道にはシリサイドの先端のみではなく、ソース・ドレイン領域からも回り込んでくる成分がある。短チャネル効果抑制のために、急峻なPN接合を形成した際に、シリサイドとソース・ドレインからソース・ドレインエクステンション部分に変化する領域で電流のボトルネックが発生し、高い寄生抵抗を引き起こす。 これに対して、非特許文献2に示すように、拡散層領域をせり上げることで、電流の通り道を確保し、抵抗成分の低減を実現する報告もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−060045号公報
【特許文献2】特開2007−049182号公報
【特許文献3】特開2009−043916号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】K. Uejima, K. Yako, N. Ikarashi, M. Narihiro, M. Tanaka, T. Nagumo, A. Mineji, S. Shishiguchi and M. Hane, "Pushing Planar Bulk CMOSFET Scaling to its Limit by Ultimately Shallow Diffusion-Less Junction", IEDM Tech. Dig., pp.151-154, 2007 Fig.3
【非特許文献2】Hung-Wei Chen, Chih-Hsin Ko, Tzu-Juei Wang, Chung-Hu Ge, Kehuey Wu, and Wen-Chin Lee "Enhanced Performance of Strained CMOSFETs Using Metalized Source/Drain Extension", VLSI Technology Technical Digests P.119,2007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1などに示されたショットキートランジスタにはいくつかの問題がある。 第1の問題点は、接合リークが大きいということである。この原因は、シリサイドがゲートやPN接合に近いことに起因する。その理由は、シリサイドの形成が不安定で異常成長を起こした際に、PN接合に近いがゆえにシリサイドがPN接合を突き抜けることがある。 第2の問題点は、コストが高いことである。この原因は、新規な材料を用いることに起因する。その理由は、レアメタル等の希少な金属が用いられていることである。
【0008】
また、非特許文献2に記載の半導体装置にもフリンジ容量という問題がある。その理由は、金属がゲート電極と薄い窒化膜等で隔てているだけであるため、高いフリンジ容量を引き起こし、回路の遅延を生じさせる恐れがある。
【0009】
このように、微細化が進んだトランジスタにおいて、他の問題を生じさせずに抵抗を低減することは難しかった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、半導体基板と、
前記半導体基板上に形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、
前記半導体基板に形成されたソース・ドレイン領域と、
前記半導体基板に前記ソース・ドレイン領域より浅く形成され、かつ前記ソース・ドレイン領域から前記ゲート電極の下方に向かって延伸しているソース・ドレイン拡張領域と、
前記ソース・ドレイン領域の表層及び前記ソース・ドレイン拡張領域に形成されたシリサイド層と、
を備え、
前記シリサイド層は、前記半導体基板に垂直かつゲート幅方向に対して平行な断面でみたときに、前記ソース・ドレイン領域の中央部からチャネル領域に近づくにつれて前記半導体基板の内側に近づいており、かつ前記チャネル領域側の端部が前記ソース・ドレイン拡張領域に延在している半導体装置が提供される。
【0011】
この半導体装置において、シリサイド層は、ソース・ドレイン領域の表層だけではなく、ソース・ドレイン拡張領域にも形成されている。そしてシリサイド層は、半導体基板に垂直かつゲート幅に対して平行な断面でみたときに、中央部からチャネル領域に近づくにつれて半導体基板の内側に近づいており、かつチャネル領域側の端部がソース・ドレイン拡張領域に延在している。このように、シリサイド層は、ゲート電極の近傍ではチャネル領域の近くに来ているため、トランジスタのオン抵抗を低くすることができる。 この結果、トランジスタのオン電流も高くすることができる。そして、ゲート電極から離れていくにしたがい、シリサイド層の位置が上にシフトするため、ソース・ドレイン領域を深くすることができる。 これによって、シリサイド層が異常成長を起こしても、シリサイド層がソース・ドレイン領域を突き抜けることが抑制され、リーク電流が増加することを抑制できる。
【0012】
本発明によれば、半導体基板上にゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極の両側に位置する前記半導体基板に、膜を選択的に成長させることにより、前記半導体基板のうち前記ゲート電極の両側に位置する部分を、前記ゲート電極から離れるにつれて厚くする工程と、
前記ゲート電極をマスクとして不純物を注入することにより、前記半導体基板にソース・ドレイン領域を拡張するソース・ドレイン拡張領域を形成する工程と、
前記ゲート電極にサイドウォールスペーサを形成する工程と、
前記ゲート電極及び前記サイドウォールスペーサをマスクとして不純物を注入することにより、前記半導体基板に前記ソース・ドレイン領域を、前記ソース・ドレイン拡張領域より深く形成する工程と、
前記ソース・ドレイン領域の表層及び前記ソース・ドレイン拡張領域にシリサイド層を形成する工程と、
を備える半導体装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、微細化が進んだトランジスタにおいて、他の問題を生じさせずに抵抗を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【図2】各図は図1に示した半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図3】図1に示した半導体装置の作用及び効果を説明するための図である。
【図4】成膜層を設けなかったpMISFET、及び、本実施形態にて作成したpMISFETそれぞれのIon−Ioff特性を示す図である。
【図5】実施形態にかかるMISFETと、特許文献2で開示されたMISFETから予想されるフリンジ容量の値を示す図である。
【図6】(a)は第2の実施形態に係る半導体装置の上面図であり、(b)は(a)に示した半導体装置のX−X´断面図である。
【図7】各図は図6に示した半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図8】各図は図6に示した半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図9】各図は変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。この半導体装置は、半導体基板1、ゲート絶縁膜3、ゲート電極4、ソース・ドレイン領域8、ソース・ドレイン拡張領域6、及びシリサイド層9を備える。半導体基板1は、例えばシリコン基板であるが、ゲルマニウム基板であってもよい。ゲート絶縁膜3は、例えば酸化シリコン膜であるが、Siでも良く、または酸化シリコン膜より誘電率が高い材料、例えばHf,Al,Ba,Ti,La,Ta,Ce,Sr,Pr,Zrなどと、Si,O,Nから構成される材料を用いても良い。ゲート電極4は、例えばポリシリコンであるが、アモルファスシリコンや金属材料により形成されていても良い。またゲート電極4は、一部がポリシリコンで他の一部が金属で形成されていても良い。
【0017】
ソース・ドレイン領域8は、例えば半導体基板1に不純物を導入することにより形成される。ソース・ドレイン拡張領域6は、例えば半導体基板1に不純物を導入することにより形成される。ソース・ドレイン拡張領域6は、ソース・ドレイン領域8より浅く形成され、かつソース・ドレイン領域8からゲート電極4の下方に向かって延伸している。シリサイド層9は、ソース・ドレイン領域8の表層及びソース・ドレイン拡張領域6に形成されている。シリサイド層9は、半導体基板1に垂直かつゲート幅方向に対して平行な断面でみたときに、ソース・ドレイン領域8の中央部からチャネル領域に近づくにつれて半導体基板1の内側(図中下側)に近づいており、かつチャネル領域側の端部がソース・ドレイン拡張領域6まで延在している。
【0018】
さらに詳細には、半導体基板1のうちトランジスタが形成される領域は、素子分離領域2によって他の領域から分離されている。素子分離領域2は、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法により形成されている。半導体基板1は、素子分離領域2とゲート電極4の間に位置する領域、すなわちソース・ドレイン領域8が形成されている領域に、成膜層5(図2に図示)が選択的に形成されている。これにより、この領域において半導体基板1は、ゲート電極4又は素子分離領域2から中央部に近づくにつれて上に凸になっている。なおゲート電極4の側壁は、サイドウォールスペーサ7によって覆われている。
【0019】
図2の各図は、図1に示した半導体装置の製造方法を示す断面図である。まず図2(a)に示すように、例えばp型の半導体基板1に素子分離領域2を形成する。次に、半導体基板1にn型導電体である不純物の注入を行うことにより、nウェル領域(図示せず)を形成する。次に半導体基板1にp型導電体である不純物の注入を行うことにより、pウェル領域を形成する(図示せず)。次いで、半導体基板1にゲート絶縁膜3を形成する。半導体基板1がシリコン基板である場合、ゲート絶縁膜3は、ゲート絶縁膜3は例えば熱酸化法により酸化シリコン膜を形成した後、この酸化シリコン膜に対してプラズマ窒化処理を行うことにより形成される。
【0020】
次いでゲート絶縁膜3を含む全面上に、例えば厚さが100nmのポリシリコン膜を形成する。ついで、ポリシリコン膜のうちNMISFETのゲート電極4となる領域に選択的にn型の不純物であるリンを注入し、pMISFETのゲート電極4となる領域に選択的にp型の不純物であるボロンを注入する。そしてポリシリコン膜を選択的に除去する。これにより、ゲート電極4が形成される。
【0021】
次いで図2(b)に示すように、半導体基板1のうち表面が露出している部分、すなわち素子分離領域2とゲート電極4の間の領域に対して、例えば半導体基板1と同一の材料(例えばシリコン)からなる膜を選択的に成膜する。このときの成膜は、半導体基板1に対してエピタキシャル成長であるのが好ましい。これにより、半導体基板1のうち素子分離領域2とゲート電極4の間の領域には、成膜層5が形成される。成膜層5の厚さは、中央部で例えば10nmであるが、ソース・ドレイン領域8の中央部から素子分離領域2又はゲート電極4に近づくにつれて薄くなっている。
【0022】
次いで図2(c)に示すように、PMISFET領域にレジストマスク(図示せず)を形成し、PMISFET領域にHalo及びp型の不純物によるソース・ドレインエクステンション注入し、例えばB1822 5KeV 2.8E13atoms/cmを行い、p型のソース・ドレイン拡張領域6を形成する。その後、硫酸過水による洗浄等によりレジストマスクを除去する。その後、NMISFET領域についても、n型の不純物によるソース・ドレインエクステンション注入を行い、n型のソース・ドレイン拡張領域6を形成する。
【0023】
次いで図2(d)に示すように、例えば厚さが10nmの酸化シリコン膜を成膜して、この酸化シリコン膜をドライエッチング(RIE: Reactive Ion Etching)する。これにより、サイドウォールスペーサ7が形成される。
【0024】
次いで図2(e)に示すように、p型の不純物注入、たとえばボロン2KeV 3E15atoms/cmの注入を行いうことにより、ソース・ドレイン領域8を形成する。その後、NMISFET領域についても、n型の不純物注入を行い、n型のソース・ドレイン領域8を形成する。
【0025】
次いで、注入された不純物を活性化するために、活性化アニールを適用する。アニールの条件は例えば、基板温度600℃ピーク温度1300℃、ピーク加熱時間が5ミリ秒の高温ミリ秒アニールである。
【0026】
そして図2(f)に示すように、等方的なエッチング手法によってサイドウォールスペーサ7をわずかにエッチバックした後に、金属膜(例えばニッケル膜)の成膜処理及びシリサイド化のための熱処理を行う。これにより、ソース・ドレイン領域8の表層及びソース・ドレイン拡張領域6にシリサイド層9(例えば厚さが10nmのニッケルシリサイド層)が形成される。上記したように、成膜層5の厚さは、中央部から素子分離領域2又はゲート電極4に近づくにつれて薄くなっており、サイドウォールスペーサ7の下に位置する部分及びその周囲が傾斜している。このため、シリサイド層9は、一部がサイドウォールスペーサ7の下方まで入り込んでソース・ドレイン拡張領域6の中を延在し、その結果、チャネル領域の近くに来る。
【0027】
次に、本実施形態の作用及び効果について、図3を用いて説明する。本実施形態において、シリサイド層9は、ゲート電極4の近傍ではチャネル領域の近くに来ているため、トランジスタのオン抵抗を低くすることができる。 この結果、トランジスタのオン電流も高くすることができる。そして、ゲート電極4から離れていくにしたがい、シリサイド層9の位置が上にシフトするため、図3に示すように、ソース・ドレイン領域8を深くすることができる。 これによって、シリサイド層9が異常成長を起こしても、シリサイド層9がソース・ドレイン領域8を突き抜けることが抑制され、リーク電流が増加することを抑制できる。
【0028】
図4は、成膜層5を設けなかったpMISFET(比較例)、及び、本実施形態にて作成したpMISFETそれぞれのIon−Ioff特性を示す図である。図4から、実施形態に係るpMISFETは、比較例に係るpMISFETよりも抵抗が低くなったことが分かる。
【0029】
図5は、実施形態にかかるMISFETと、特許文献2で開示されたMISFETから予想されるフリンジ容量の値を示す図である。図5から、実施形態に係るMISFETが、特許文献2で開示されたMISFETに比べてフリンジ容量の増加が抑えられていることが分かる。
【0030】
(第2の実施形態)
図6(a)は、第2の実施形態に係る半導体装置の上面図であり、図6(b)は図6(a)に示した半導体装置のX−X´断面図である。この半導体装置は、以下の点が第1の実施形態にかかる半導体装置と異なる。
【0031】
半導体基板1には、凸部10が形成されている。そしてトランジスタはチャネル領域が凸部10に位置するように形成されている。詳細には、ゲート絶縁膜3及びゲート電極4は、凸部10の側面及び表面に沿って形成されている。またソース・ドレイン領域8は、凸部のうちゲート絶縁膜3及びゲート電極4によって覆われていない領域に形成されている。そして凸部10は、ゲート絶縁膜3で覆われた部分からソース・ドレイン領域8の中央部に近づくにつれて高くなっている。この半導体装置は、凸部10を利用することで、チャネル領域を複数の面で制御することが可能となる。これにより平面型のトランジスタに比べて、より高い短チャネル効果の抑制が可能となっている。
【0032】
図7及び図8の各図は、図6に示した半導体装置の製造方法を示す断面図である。まず図7(a)のX−X´断面図及び図7(a´)の上面図に示すように、凸部10を有する半導体基板1を準備する。凸部10は、例えば半導体基板1の表面を選択的にエッチング、またはエピタキシャル成長等により形成される。凸部10の高さは、例えば10nm以上100nm以下である。次いで、導電体である不純物の注入を行うことによりnウェル領域(図示せず)を形成して、次にp型導電体である不純物の注入を行うことによりpウェル領域(図示せず)を形成する。
【0033】
次いで図7(b)のX−X´断面図及び図7(b´)の上面図に示すように、第1の実施形態と同様の手法を用いてゲート絶縁膜3を形成する。このとき、凸部10の上面だけでなく、側面にもゲート絶縁膜3が形成される。
【0034】
次いで図7(c)のX−X´断面図及び図7(c´)の上面図に示すように、ゲート絶縁膜3の上に、例えば50nmのポリシリコン膜を形成し、このポリシリコン膜を選択的に除去する。これによりゲート電極4が形成される。このとき、凸部10の上面だけではなく、側面にもゲート電極4が形成される。
【0035】
次いで図8(d)のY−Y´断面図及び図8(d´)の上面図に示すように、凸部10の上面のうちゲート電極4に覆われていない領域に、成膜層5を選択的に成長させる。これにより、凸部10は、ゲート電極4の両側に位置する部分が、ゲート電極4から離れるにつれて高くなる。
【0036】
次いで図8(e)のY−Y´断面図及び図8(e´)の上面図に示すように、ソース・ドレイン拡張領域6、サイドウォールスペーサ7、及びソース・ドレイン領域8を形成する。ソース・ドレイン拡張領域6及びソース・ドレイン領域8は、凸部10の上面のうちゲート電極4に覆われていない領域に形成される。これらの形成方法は、第1の実施形態と同様である。そして、注入された不純物を活性化するために、活性化アニール、例えばSpike1050℃とプリヒート600℃、ピーク温度1300℃、加熱時間2ミリ秒の高温ミリ秒アニールを適用する。
【0037】
次いで図8(f)のY−Y´断面図及び図8(f´)の上面図に示すように、シリサイド層9を形成する。シリサイド層9の厚さは、例えば15nmである。シリサイド層9の形成方法は、第1の実施形態と同様である。
【0038】
なお、凸部10の断面形状は円形、多角形でも良い。また凸部10及び凸部10に形成されるトランジスタは複数並列して存在しても良い。
【0039】
本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また凸部10を利用することで、チャネル領域を複数の面で制御することが可能となる。これにより平面型のトランジスタに比べて、より高い短チャネル効果の抑制が可能となる。
【0040】
なお、図9(a)に示すように、第1および第2の実施形態において、サイドウォールスペーサ7を形成した後に選択成長によって成膜層5を成長させることにより、さらにソース・ドレイン領域となる領域を上部に成長させても良い。
【0041】
また図9(b)に示すように、半導体基板1は、間にシリコン酸化膜層11を有する基板(例えばSOI基板)であっても良い。また第2の実施形態において、図9(c)の断面図及び図9(c´)の上面図に示すように、シリコン酸化膜層11を有する基板上に凸部10としてのシリコン層12を有する基板を用いても良い。
【0042】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。例えば上記実施の形態はpMISFETの場合について述べたが、NMISFETについても同様にすることができる。
【0043】
また第1、および第2の実施形態において、ソース・ドレイン拡張領域6を形成する前に、サイドウォールスペーサ7を形成して、ソース・ドレイン領域8を形成して活性した化後にサイドウォールスペーサ7を除去してソース・ドレイン拡張領域6を形成し、高温ミリ秒アニールを適用しても良い。
【0044】
またソース・ドレイン拡張領域6やソース・ドレイン領域8の形成に、プラズマドーピングや固相拡散を用いても良い。また、成膜層5を形成する時に導電型の不純物を含む膜を成膜してもよい。また、成膜層5として、Ge膜、SiGe膜、又はSiC膜をエピタキシャル成長しも良い。また不純物を活性化するアニールにスパイクアニールと高温ミリ秒アニールの組み合わせや、SPE(Solid Phase Epitaxy)と高温ミリ秒アニールの組み合わせ、または高温ミリ秒アニールを複数回実施しても良い。
【0045】
またシリサイド層9は、ニッケルシリサイドにPt、Er、Yb等を反応させた材料を用いてもよい。また、ニッケルシリサイドの代わりにPtSi、CoSi、又はPaSiを用いても良い。
【符号の説明】
【0046】
1 半導体基板
2 素子分離領域
3 ゲート絶縁膜
4 ゲート電極
5 成膜層
6 ソース・ドレイン拡張領域
7 サイドウォールスペーサ
8 ソース・ドレイン領域
9 シリサイド層
10 凸部
11 シリコン酸化膜層
12 シリコン層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板上に形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、
前記半導体基板に形成されたソース・ドレイン領域と、
前記半導体基板に前記ソース・ドレイン領域より浅く形成され、かつ前記ソース・ドレイン領域から前記ゲート電極の下方に向かって延伸しているソース・ドレイン拡張領域と、
前記ソース・ドレイン領域の表層及び前記ソース・ドレイン拡張領域に形成されたシリサイド層と、
を備え、
前記シリサイド層は、前記半導体基板に垂直かつゲート幅方向に対して平行な断面でみたときに、前記ソース・ドレイン領域の中央部からチャネル領域に近づくにつれて前記半導体基板の内側に近づいており、かつ前記チャネル領域側の端部が前記ソース・ドレイン拡張領域に延在している半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記半導体基板に形成された凸部を備え、
前記ゲート絶縁膜及び前記ゲート電極は、前記凸部の側面及び表面に沿って形成され、
前記ソース・ドレイン領域は、前記凸部のうち前記ゲート絶縁膜及び前記ゲート電極によって覆われていない領域に形成されており、
前記凸部は、前記ゲート絶縁膜で覆われた部分から前記ソース・ドレイン領域の中央部に近づくにつれて高くなる半導体装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の半導体装置において、
前記半導体基板は、前記ソース・ドレイン領域が形成される領域に選択的に設けられたエピタキシャル成長層を有している半導体装置。
【請求項4】
半導体基板上にゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極の両側に位置する前記半導体基板に、膜を選択的に成長させることにより、前記半導体基板のうち前記ゲート電極の両側に位置する部分を、前記ゲート電極から離れるにつれて厚くする工程と、
前記ゲート電極をマスクとして不純物を注入することにより、前記半導体基板にソース・ドレイン領域を拡張するソース・ドレイン拡張領域を形成する工程と、
前記ゲート電極にサイドウォールスペーサを形成する工程と、
前記ゲート電極及び前記サイドウォールスペーサをマスクとして不純物を注入することにより、前記半導体基板に前記ソース・ドレイン領域を、前記ソース・ドレイン拡張領域より深く形成する工程と、
前記ソース・ドレイン領域の表層及び前記ソース・ドレイン拡張領域にシリサイド層を形成する工程と、
を備える半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の半導体装置の製造方法において、
前記半導体基板に前記膜を選択的に成長させる工程は、前記膜を前記半導体基板に対してエピタキシャル成長させる工程である半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項4または5に記載の半導体装置の製造方法において、
前記ゲート絶縁膜を形成する工程の前において、前記半導体基板には、前記ゲート絶縁膜、前記ゲート電極、前記ソース・ドレイン拡張領域、及び前記シリサイド層が形成される凸部が設けられており、
前記半導体基板に前記半導体基板と同一の材料からなる膜を選択的に成長させる工程において、前記膜を選択的に成長させることにより、前記凸部のうち前記ゲート電極の両側に位置する部分を、前記ゲート電極から離れるにつれて高くする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−103342(P2011−103342A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−257197(P2009−257197)
【出願日】平成21年11月10日(2009.11.10)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成21年6月13日 株式会社ICSコンベンションデザイン発行の「2009 SYMPOSIUM ON VLSI TECHNOLOGY DIGEST OF TECHNICAL PAPERS」に発表
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】