説明

半導体装置

【課題】 抵抗素子の形成された絶縁膜に加わる電界を緩和し、前記絶縁膜の破壊を防止する。
【解決手段】 スイッチングレギュレータの高電圧部を含む半導体装置であり、メインスイッチ用FET及び前記メインスイッチ用FETのスタータースイッチ用FETの周辺を複数のフィールド・リミッティング・リングで多重に囲み、前記フィールド・リミッティング・リング上にフィールド絶縁膜を形成し、前記フィールド絶縁膜上に、前記FETのゲートと同層で、かつ前記スタータースイッチ用FETのドレイン及びゲートと電気的に接続された抵抗素子と、前記抵抗素子を被う層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜上に形成され、前記FETのゲートおよびソースとそれぞれ電気的に接続される複数の配線と、前記半導体基板の裏面に形成され、前記メインスイッチ用FETおよびスタータースイッチ用FETのドレインと電気的に接続される裏面電極を含む半導体装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、特に、高耐圧が要求される抵抗を有する半導体装置に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置は、他の部品等と基板に実装され電子装置として用いられている。こうした電子装置は直流電源によって駆動されており、このため通常の使用では、商用電源である交流電源から直流電源を得るためのAC‐DCコンバータ、更に、得られた直流電源から、回路ごとに異なる複数の電圧を供給するためのDC‐DCコンバータが必要となる。このようなAC‐DCコンバータ或いはDC‐DCコンバータ等の電源回路は、電子装置に内蔵させる或いは外付けのアダプタとして提供することによって、直流電源を供給している。
【0003】
こうした電源回路では、変圧用のトランス、平滑用の大容量コンデンサ、チョークコイル等の集積回路化が困難な部品が用いられるために、小電力信号を処理する制御回路を集積回路化してディスクリートな部品と組み合わせる手法が取られてきた。このため、電源回路の小型化には自ずと限界があった。
【0004】
然し乍ら電子装置の小型化が進み、他の回路が集積化によって飛躍的に小型化されていくに連れて、電子装置の容積或いは重量に占める電源回路の比重が相対的に高くなり、このためこうした電源回路についても大幅な小型化が求められつつあり、今後この傾向は更に進むものと考えられる。
【0005】
このような電源としては、スイッチングレギュレータが多用されている。スイッチングレギュレータでは、交流入力電圧を一旦整流した後にトランジスタのオン・オフ回路によって交流に変換し、再び整流回路によって直流に変換して出力電圧としているが、トランジスタがパルス幅制御されたオン・オフ動作を行なうため、損失が少ないので変換効率が高い。加えて、スイッチング周波数を高くすることによって、トランス、チョークコイル、コンデンサ等を小型化できるので、電源回路が軽量化される等の利点がある。こうしたスイッチングレギュレータの回路例を図1に示す。
【0006】
スイッチングレギュレータ(破線図示)では、パワーMISFETによって構成されるメインスイッチMSとスタータースイッチSSと高抵抗の起動抵抗SRとからなる高電圧部(二点鎖線図示)と、小電圧信号を処理する制御部からなっている。このようなスイッチングレギュレータを集積回路化するためには、高電圧部の集積化が必要となってくる。
【0007】
現在、商用電源の交流電圧は国ごとに異なっており、例えば日本では100V又は200Vであるが、米国では115V、欧州では220V〜240Vとなっている。
【0008】
240Vの交流を整流した直流電源と接続するスイッチングレギュレータでは、最大耐圧700V程度が必要となり、製品値としてこの数字を保証するために、前記高電圧部には最大耐圧750V程度の設計値が必要となる。また、高電圧印加時の降伏は、面積が大きい素子にてその表面部分以外にて行なわれるのが望ましい。具体的には、面積が小さく表面で降伏しやすい起動抵抗素子での降伏を回避し、面積が大きく表面で降伏しにくいパワーMISFETにて降伏させるのが望ましい。このため、パワーMISFETの耐圧を750V〜800Vとすれば、起動抵抗素子の耐圧は800V以上とすることが望ましい。
【0009】
高電圧部を構成する要素の中で、MISFETについては夫々単体のデバイスとして耐圧確保の技術手法が確立されており、これらの技術を利用することができる。しかし、起動抵抗となる高耐圧高抵抗の抵抗素子については、このような800V以上の高耐圧の抵抗素子は、これまで集積回路化されておらず他に例がないため、新たに開発を進める必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
こうした高耐圧高抵抗の抵抗素子を形成する場合に、フィールド絶縁膜上に抵抗素子を形成することも考えられるが、スイッチングレギュレータでは、半導体基板が前記高電圧によって正電位にバイアスされているため、通常のフィールド絶縁膜では、前記高電圧による高電界が加わり、フィールド絶縁膜が破壊されてしまうことがある。従って耐圧がフィールド絶縁膜の厚さによって限定されてしまうことになる。なお、こうしたフィールド絶縁膜の破壊を防止するためにフィールド絶縁膜を厚くするのでは、フィールド絶縁膜形成の酸化処理に要する時間が長くなり、現実解とはなりにくい。加えて、フィールド絶縁膜を厚くした場合にはその段差が大きくなり、ホトレジストを均一に塗布することが難しくなる等の問題も発生する。
【0011】
他に、デプレッション型のMISFETを抵抗として用いることも考えられるが、形成される抵抗の抵抗値のバラツキが大きいという問題がある。デプレッション領域の不純物濃度を高濃度化して深いデプレッションにすれば、このバラツキを多少は抑えることができるが、耐圧が低下してしまうという問題がある。更に、抵抗素子を活性領域に形成するためにチップサイズが拡大する。
【0012】
また、SGSトムソン社は、スイッチングレギュレータの集積回路化に際して、渦巻状に抵抗素子を形成し、その中心部分を高電位に接続し、外周部分を接地電位に接続する技術を採用した。然し乍ら、発明者等の実験では、この抵抗素子は印加電圧が高くなると抵抗値が下がり大きな電流が流れてしまうという問題がある。
また、この抵抗素子も、活性領域に形成されるために、チップサイズの拡大を招き、更に、他の素子等との間で寄生動作を起こすことが考えられる。
なお、こうした渦巻状の抵抗素子については、例えば、IEEE Transaction on Electron Devices,vol44(No.11,November,1997)2002頁乃至2010頁に記載されている。
【0013】
本発明の課題は、前述した問題を解決し、高耐圧高抵抗の抵抗素子を形成することが可能な技術を提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
【0015】
半導体基板主面にフローティングの拡散層が環状に形成された半導体装置について、前記拡散層上に、絶縁膜を介して、抵抗素子が形成されている。
また、半導体基板主面に環状の拡散層が複数形成された半導体装置について、前記複数の拡散層上に、絶縁膜を介して、抵抗素子が形成され、この抵抗素子と前記拡散層とが夫々電気的に接続されている。
【0016】
その製造方法について、前記半導体基板主面にフローティングの拡散層を環状に形成する工程と、前記拡散層上に、絶縁膜を介して、抵抗素子を形成する工程とを有する。
【0017】
(作用)
上述した手段によれば、高電圧の印加時に、前記抵抗素子に発生する電界と前記拡散層に発生する電界との差が前記絶縁膜に加わる電界となるため、前記絶縁膜に加わる電界を緩和することができるので、前記絶縁膜の破壊を防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
(1)本発明によれば、高電圧の印加時に、抵抗素子に発生する電界とFLRに発生する電界との差がフィールド絶縁膜に加わる電界となるため、前記フィールド絶縁膜に加わる電界を緩和することができるという効果がある。
(2)本発明によれば、上記効果(1)により、フィールド絶縁膜の破壊を防止することが可能となるという効果がある。
(3)本発明によれば、上記効果(2)により、フィールド絶縁膜上に高耐圧抵抗を形成することができるという効果がある。
(4)本発明によれば、上記効果(3)により、チップサイズを縮小することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
なお、実施の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【0020】
(実施の形態1)
図2は、本発明の一実施の形態の半導体装置の概略構成を示す平面図であり、図3は、図2中の抵抗素子SRを拡大して示す要部平面図であり、図4は、図2中のメインスイッチMSを示す縦断面図であり、図5は、図2中のスタータスイッチSS及び抵抗素子SRが設けられていない外周部を示す縦断面図であり、図6は、図2中のスタータスイッチSS及び抵抗素子SRが設けられた外周部を示す縦断面図である。
【0021】
本実施の形態の半導体装置は、スイッチングレギュレータの高電圧部を構成するメインスイッチとなるMISFET MS、スタータスイッチとなるMISFET SS及び起動抵抗SRとなる抵抗素子を、集積回路化して形成したものである。
【0022】
MISFET MS、MISFET SSは、例えば単結晶珪素からなるn+型半導体基体1に、例えばエピタキシャル成長によってn−型層2を形成した半導体基板に形成される。
【0023】
これらのMISFETは、半導体基板の外周に沿って角部を円弧状とした矩形環状に設けられたフィールド絶縁膜3によって囲まれた領域内に、プレーナ構造のセルを規則的に複数配置し、半導体基板主面にゲート絶縁膜4を介して設けた隣接するセルの各ゲート5が互いに接続され、各セルを並列接続したメッシュゲート構造で構成される。外周のセルの各ゲート5はセル領域の外周部にて、例えば多結晶珪素を用いたゲート配線6と接続され、このゲート配線6がゲート5の接続領域であるゲートパッドと接続されている。
【0024】
各セルでは、半導体基体1上に形成されたn−型層2がドレイン領域となり、半導体基板主面に形成されたp型層7がチャネルの形成されるベース領域となり、p型層7内に形成されたn+型層8がソース領域となる縦型FETとなっている。
【0025】
ゲート配線6は、層間絶縁膜9を介して上層に形成され、例えばシリコンを含有させたアルミニウムを用いたゲートガードリング10と電気的に接続されている。ソースとなるn+型層8は、例えばシリコンを含有させたアルミニウムを用いたソース配線11と電気的に接続されており、ソース配線11は半導体基板主面上に層間絶縁膜9を介して形成されている。このソース配線11は、ソースとなるn+型層8の他に、ベース電位を一定とするために、p型層7に設けられたp+型のコンタクト層12にも電気的に接続されている。
【0026】
半導体基板の外周に沿って角部を円弧状とした矩形環状に設けられたフィールド絶縁膜3の下部には、フローティングのp型拡散層からなるリング13を同心環状に複数配置したFLR(Field Limiting Ring)が設けられている。このFLRでは、印加電圧の増加に連れて、アバランシェ降伏が起きる前に内周のリング13から外周のリング13に空乏層が延びてパンチスルーする構成となっており、最終的には最外周のリング13の接合部分にて降伏する。
また、前述の如く、高電圧印加時の降伏は、面積が大きい素子にてその表面部分以外にて行なわれるのが望ましい。このため、面積が小さく表面で降伏しやすいFLRでの降伏を回避し、面積が大きく表面で降伏しにくいパワーMISFETにて降伏させるため、パワーMISFETの耐圧を750V〜800Vとすれば、FLRの耐圧は800V以上とする。
【0027】
このFLRの降伏電圧は、理論上各リング13間のパンチスルー耐圧及び最外周リングの降伏電圧の和となるため、リング13の本数を増やすことによって高耐圧化することができるが、ターミネーション長を考慮して、本実施の形態ではリング13を4本としてある。
そして、このFLRの形成されたフィールド絶縁膜3上に、抵抗素子SRが形成されている。抵抗素子SRは例えばp型不純物であるボロン又はn型の不純物であるリン等を含有した多結晶シリコンからなり、図3に明らかなように、FLRの各リング13に直交する方向に蛇行させて設けられている(但し断面図では、概念的に理解しやすくするために直線状に単純化してある)。抵抗素子SRは、放熱を考慮して断面面積に対して表面積を増加させるために、扁平形状とする。
【0028】
高電圧の印加時に、抵抗素子SRに発生する電界とFLRに発生する電界との差が、それらの間に位置するフィールド絶縁膜3に加わる電界となる。このため、FLRの形成されたフィールド絶縁膜3上に、抵抗素子SRを形成することによって、フィールド絶縁膜3に加わる電界を緩和することができる。従って、抵抗素子SRはFLRの最外周のリング13よりも外側まで設け、抵抗素子SRに生じる電界とFLRに生じる電界とを略同一とすることによって、フィールド絶縁膜3に加わる電界を最小化することができる。
また、フィールド絶縁膜3の外周には半導体基板主面に設けたn+型の半導体領域14aに、例えばシリコンを含有させたアルミニウムを用いた配線14bを接続したガードリング14が設けられており、ガードリング14の配線14bが抵抗素子SRの一端に接続されてドレインと導通し、抵抗素子SRの他端がスタータスイッチSSのゲートと接続されており、ドレインの接続領域としては、半導体基板裏面の全面に、n+型半導体基体1と導通するドレイン電極が、例えばニッケル,チタン,ニッケル,銀を積層した積層膜として形成される。
【0029】
このような本発明の半導体装置における抵抗素子SRとFLRとの関係を説明する。先ず、図7に示すのは、FLRを設けずにフィールド絶縁膜上に抵抗素子を形成した場合の電位分布を示す縦断面図である。図7中の(a)は抵抗素子SRに直接高電位を加える場合であり、(b)は抵抗素子SRにドレイン領域を介して高電位を加える場合である。何れの場合にも、高電圧の印加時に、抵抗素子SRに発生する電界によって、等電位線はフィールド絶縁膜3に対して横方向に間隔を密にして表われる。即ち電位は縦方向に急激に変化することとなり、この急激な電位の変化が、フィールド絶縁膜3の絶縁破壊を引き起こす。
【0030】
図8に示すのは、FLRを設けフィールド絶縁膜上に抵抗素子を形成した本発明の場合の電位分布を示す縦断面図である。図8中の(a)は抵抗素子SRに直接高電位を加える場合であり、(b)は抵抗素子SRにドレイン領域を介して高電位を加える場合である。何れの場合にも、高電圧の印加時に、抵抗素子SRに発生する電界とFLRに発生する電界(破線にて空乏層を示す)とによって、等電位線はフィールド絶縁膜3に対して縦方向に間隔をおいて表われる。即ち電位は横方向に緩やかに変化することとなり、フィールド絶縁膜3に加わる電界を緩和することができるので、高電圧印加時のフィールド絶縁膜3の破壊を防止することが可能となる。
こうして、フィールド絶縁膜3の絶縁破壊を防止することが可能となることによって、フィールド絶縁膜3上に抵抗素子SRを配置することができる。このため、活性領域に抵抗素子の領域を設ける必要がなくなるために、チップサイズを縮小することができる。
【0031】
これに対して、例えば、図9に示すデプレッション型のMISFETを抵抗として用いる場合には、形成される抵抗の抵抗値のバラツキが大きいという問題がある。デプレッション領域の不純物濃度を高濃度化して深いデプレッションにすれば、このバラツキを多少は抑えることができるが、耐圧が低下してしまうという問題がある。更に、抵抗素子を活性領域に形成するためにチップサイズが拡大する。
【0032】
また、図10に示すように、渦巻状に抵抗素子(SJT)を形成し、その中心部分を高電位に接続し、外周部分を接地電位に接続する場合には、印加電圧が高くなると抵抗素子の抵抗値が下がり大きな電流が流れてしまうという問題がある。
また、この抵抗素子も、活性領域に形成されるために、チップサイズの拡大を招き、更に、他の素子等との間で寄生動作を起こすことが考えられる。
これに対して、本発明の抵抗素子では、工程数が増加することもなく、他の素子等との間で寄生動作を起こすこともない。
【0033】
図11に示すのは、シート抵抗を変えて本発明の抵抗素子を形成し、電圧‐電流特性を測定した結果を示すグラフである。シート抵抗が高い場合には、印加電圧が高くなるに連れて、抵抗素子の発熱によって抵抗値が下降する。従って、電圧‐電流特性をリニアにするためには、シート抵抗を10kΩ/□以下にする必要がある。
【0034】
図12に示すのは、不純物濃度を変えて本発明の抵抗素子を形成し、温度‐シート抵抗特性を測定した結果を示すグラフである。このグラフからシート抵抗が大きな抵抗素子が負の温度特性をもち、シート抵抗が高いほど温度による抵抗変化が大きくなることが理解されよう。
【0035】
また、本実施の形態では、スイッチングレギュレータの高電圧部を集積回路化し、制御回路については別チップとする半導体装置について説明を行なった。この構成によって、高電圧部と制御回路の夫々に適した半導体基板を用いることが可能となる。しかし、より集積回路化を進める場合には、図13に示すように、制御回路を一体化したスイッチングレギュレータの半導体装置として、本発明を適用することも可能である。
【0036】
次に、前述した半導体装置の製造方法を図14乃至図18を用いて工程毎に説明する。各図中では、左側にMISFET部分を、右側に同一工程での抵抗素子部分を示してある。
先ず、例えばヒ素(As)が導入された単結晶珪素からなるn+型半導体基体1上に、エピタキシャル成長によってn−型層2を形成する。そして、このn−型層2にFLRのリング13となるp型ウエルを形成し、この半導体基板の主面に酸化珪素膜を、例えば熱酸化法で形成し、この酸化珪素膜上に窒化珪素(SiN)膜のマスクを形成し、この窒化珪素膜をマスクとした選択的熱酸化によりフィールド絶縁膜3を形成する。この状態を図14に示す。
【0037】
次に、半導体基板主面に、熱酸化膜或いは熱酸化膜にCVD(Chemical Vapor Diposition)による酸化珪素膜を積層したゲート絶縁膜4を形成し、半導体基板主面全面にゲート5或いは抵抗素子SRの導電膜となる多結晶珪素膜5´をCVDにより形成し、この多結晶珪素膜5´に、ゲート5となる領域には例えばリンを、抵抗素子SRの導電膜となる領域には例えばボロンを導入する。この状態を図15に示す。
【0038】
次に、多結晶珪素膜5´を、エッチング除去によってパターニングし、ゲート5及び抵抗素子SRの導電膜を形成し、MISFETのp型層7、n+型層8,コンタクト層12をホトリソグラフィによるマスクを用いたイオン注入によって形成する。この際に抵抗素子SRの導電膜の両端に接続抵抗を低減するためのp+型層(導電膜がn型の場合には、n+型層)を形成する。この状態を図16に示す。
【0039】
次に、半導体基板主面上の全面に、例えばPSG(Phosphorus Silicate Glass)膜を堆積させ、SOG(Spin On Glass)膜を塗布形成して層間絶縁膜9を形成し、この層間絶縁膜9に、ソース領域となるn+型層8,ゲート配線6,抵抗素子SRの接続領域を露出させる開口を設ける。この状態を図17に示す。
【0040】
次に、この開口内を含む半導体基板主面上の全面に例えばシリコンを含むアルミニウムからなる導電膜(金属膜)を形成し、この金属膜をパターニングして、ゲートガードリング10,ソース配線11,ガードリング14を形成し、例えばソースガスの主体としてテトラエトキシシラン(TEOS)ガスを用いたプラズマCVDによる酸化珪素膜にポリイミドを塗布積層し、半導体基板主面の全面を覆う保護絶縁膜15を形成し、n+型半導体基体1の裏面に研削処理を施し、この裏面に例えば蒸着によりニッケル,チタン,ニッケル,銀を順次積層したドレイン電極16を形成して、図18に示す状態となる。
【0041】
このように、本発明の抵抗素子では他の素子の形成工程を利用して形成することができるので、工程数を増加させることがない。
【0042】
(実施の形態2)
図19は、本発明の他の実施の形態である半導体装置の抵抗素子SRを拡大して示す要部平面図であり、図20は、スタータスイッチSS及び抵抗素子SRが設けられた外周部を示す縦断面図である。なお、抵抗素子SRとリング13とを接続する配線17は、図19中の断面A−A´,B−B´,C−C´に示すように、リング13上に設けた開口部と抵抗素子SR上に設けた開口部とを接続するが、図20においては、概念的に理解しやすくするために、リング13と抵抗素子SRとを直接的に接続して表している。
【0043】
本実施の形態の半導体装置は、スイッチングレギュレータの高電圧部を構成するメインスイッチとなるMISFET MS、スタータスイッチとなるMISFET SS及び起動抵抗SRとなる抵抗素子を、集積回路化して形成したものである。
【0044】
MISFET MS、MISFET SSは、例えば単結晶珪素からなるn+型半導体基体1に、例えばエピタキシャル成長によってn−型層2を形成した半導体基板に形成される。
【0045】
これらのMISFETは、半導体基板の外周に沿って角部を円弧状とした矩形環状に設けられたフィールド絶縁膜3によって囲まれた領域内に、プレーナ構造のセルを規則的に複数配置し、半導体基板主面にゲート絶縁膜4を介して設けた隣接するセルの各ゲート5が互いに接続され、各セルを並列接続したメッシュゲート構造で構成される。外周のセルの各ゲート5はセル領域の外周部にて、例えば多結晶珪素を用いたゲート配線6と接続され、このゲート配線6がゲート5の接続領域であるゲートパッドと接続されている。
【0046】
各セルでは、半導体基体1上に形成されたn−型層2がドレイン領域となり、半導体基板主面に形成されたp型層7がチャネルの形成されるベース領域となり、p型層7内に形成されたn+型層8がソース領域となる縦型FETとなっている。
【0047】
ゲート配線6は、層間絶縁膜9を介して上層に形成され、例えばシリコンを含有させたアルミニウムを用いたゲートガードリング10と電気的に接続されている。ソースとなるn+型層8は、例えばシリコンを含有させたアルミニウムを用いたソース配線11と電気的に接続されており、ソース配線11は半導体基板主面上に層間絶縁膜9を介して形成されている。このソース配線11は、ソースとなるn+型層8の他に、ベース電位を一定とするために、p型層7に設けられたp+型のコンタクト層12にも電気的に接続されている。
【0048】
半導体基板の外周に沿って角部を円弧状とした矩形環状に設けられたフィールド絶縁膜3の下部には、フローティングのp型拡散層からなるリング13を同心環状に複数配置したFLR(Field Limiting Ring)が設けられている。このFLRでは、印加電圧の増加に連れて、アバランシェ降伏が起きる前に内周のリング13から外周のリング13に空乏層が延びてパンチスルーする構成となっており、最終的には最外周のリング13の接合部分にて降伏する。
【0049】
また、前述の如く、高電圧印加時の降伏は、面積が大きい素子にてその表面部分以外にて行なわれるのが望ましい。このため、面積が小さく表面で降伏しやすいFLRでの降伏を回避し、面積が大きく表面で降伏しにくいパワーMISFETにて降伏させるため、パワーMISFETの耐圧を750V〜800Vとすれば、FLRの耐圧は800V以上とする。
【0050】
このFLRの降伏電圧は、理論上各リング13間のパンチスルー耐圧及び最外周リングの降伏電圧の和となるため、リング13の本数を増やすことによって高耐圧化することができるが、ターミネーション長を考慮して、本実施の形態ではリング13を4本としてある。
【0051】
そして、このFLRの形成されたフィールド絶縁膜3上に、抵抗素子SRが形成されている。抵抗素子SRは例えばp型不純物であるボロンを含有した多結晶シリコンからなり、図19に明らかなように、FLRの各リング13に直交する方向に蛇行させて設けられている(但し断面図では、概念的に理解しやすくするために直線状に単純化してある)。抵抗素子SRは、放熱を考慮して断面面積に対して表面積を増加させるために、扁平形状とする。
【0052】
本実施の形態では、各リング13と抵抗素子SRとは、フィールド絶縁膜3に設けられた開口に形成された接続配線17によって、複数個所にて夫々電気的に接続してある。このような接続を行なうことによって、夫々の電位を固定してある。
【0053】
高電圧の印加時に、抵抗素子SRに発生する電界とFLRに発生する電界との差が、それらの間に位置するフィールド絶縁膜3に加わる電界となる。このため、FLRの形成されたフィールド絶縁膜3上に、抵抗素子SRを形成することによって、フィールド絶縁膜3に加わる電界を緩和することができる。従って、抵抗素子SRはFLRの最外周のリング13よりも外側まで設け、抵抗素子SRに生じる電界とFLRに生じる電界とを略同一とすることによって、フィールド絶縁膜3に加わる電界を最小化することができる。
【0054】
本実施の形態では、各リング13と抵抗素子SRとを接続することによって、夫々の電位が固定され、抵抗素子SRとFLRとの電界に生じる誤差が低減されるため、フィールド絶縁膜3に加わる電界が更に緩和されることとなる。
また、フィールド絶縁膜3の外周には半導体基板主面に設けたn+型の半導体領域14aに、例えばシリコンを含有させたアルミニウムを用いた配線14bを接続したガードリング14が設けられており、ガードリング14の配線14bが抵抗素子SRの一端に接続されてドレインと導通し、抵抗素子SRの他端がスタータスイッチSSのゲートと接続されており、ドレインの接続領域としては、半導体基板裏面の全面に、n+型半導体基体1と導通するドレイン電極が、例えばニッケル,チタン,ニッケル,銀を積層した積層膜として形成される。
また、本実施の形態では、スイッチングレギュレータの高電圧部を集積回路化し、制御回路については別チップとする半導体装置について説明を行なった。この構成によって、高電圧部と制御回路の夫々に適した半導体基板を用いることが可能となる。しかし、より集積回路化を進める場合には、図13に示すように、制御回路を一体化したスイッチングレギュレータの半導体装置として、本発明を適用することも可能である。
【0055】
続いて、前述した半導体装置の製造方法を説明する。先ず、図14に示すように、例えばヒ素(As)が導入された単結晶珪素からなるn+型半導体基体1上に、エピタキシャル成長によってn−型層2を形成する。そして、このn−型層2にFLRのリング13となるp型ウエルを形成し、この半導体基板の主面に酸化珪素膜を、例えば熱酸化法で形成し、この酸化珪素膜上に窒化珪素(SiN)膜のマスクを形成し、この窒化珪素膜をマスクとした選択的熱酸化によりフィールド絶縁膜3を形成する。
【0056】
次に、半導体基板主面に、熱酸化膜或いは熱酸化膜にCVD(Chemical Vapor Diposition)による酸化珪素膜を積層したゲート絶縁膜4を形成し、半導体基板主面全面にゲート5或いは抵抗素子SRの導電膜となる多結晶珪素膜5´をCVDにより形成する。この多結晶珪素膜5´に、ゲート5となる領域には例えばリンを、抵抗素子SRの導電膜となる領域には例えばボロンを導入する。この状態を図15に示す。
【0057】
次に、多結晶珪素膜5´を、エッチング除去によってパターニングし、ゲート5及び抵抗素子SRの導電膜を形成し、MISFETのp型層7、n+型層8,コンタクト層12をホトリソグラフィによるマスクを用いたイオン注入によって形成する。この際に抵抗素子SRの導電膜の両端に接続抵抗を低減するためのp+型層(導電膜がn型の場合には、n+型層)を形成する。この状態を図16に示す。
【0058】
次に、半導体基板主面上の全面に、例えばPSG(Phosphorus Silicate Glass)膜を堆積させ、SOG(Spin On Glass)膜を塗布形成して層間絶縁膜9を形成し、この層間絶縁膜9に、ソース領域となるn+型層8,ゲート配線6,抵抗素子SRの接続領域を露出させる開口を設ける。この状態を図17に示す。なお、この際に、図17図示とは別の断面では、図19に示したように、リング13上と抵抗素子SR上にも開口を設ける。
【0059】
次に、この開口内を含む半導体基板主面上の全面に例えばシリコンを含むアルミニウムからなる導電膜(金属膜)を形成し、この金属膜をパターニングして、ゲートガードリング10,ソース配線11,ガードリング14及びリング13と抵抗素子SRとを接続する配線17を形成し、例えばソースガスの主体としてテトラエトキシシラン(TEOS)ガスを用いたプラズマCVDによる酸化珪素膜にポリイミドを塗布積層し、半導体基板主面の全面を覆う保護絶縁膜15を形成し、n+型半導体基体1の裏面に研削処理を施し、この裏面に例えば蒸着によりニッケル,チタン,ニッケル,銀を順次積層したドレイン電極16を形成して、図18及び図19に示す状態となる。
【0060】
以上、本発明者によってなされた発明を、前記実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
例えば本発明は、パワーMISFETを設けた半導体装置以外にも、IGBT(Integrated Gate Bipolar Transistor)等を設けた半導体装置にも適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】スイッチングレギュレータの構成を示す回路図である。
【図2】本発明の一実施の形態である半導体装置の概略構成を示す平面図である。
【図3】図2中の抵抗素子を示す部分平面図である。
【図4】図2中のメインスイッチを示す部分縦断面図である。
【図5】図2中のスタータスイッチSS及び抵抗素子SRが設けられていない外周部を示す部分縦断面図である。
【図6】図2中のスタータスイッチSS及び抵抗素子SRが設けられた外周部を示す部分縦断面図である。
【図7】フィールド絶縁膜上に設けられた抵抗素子による電界を示す部分縦断面図である。
【図8】フィールド絶縁膜上に設けられた抵抗素子とFLRとによる電界を示す部分縦断面図である。
【図9】ディプレッション型の抵抗素子を示す部分縦断面図である。
【図10】渦巻型の抵抗素子を示す部分縦断面図である。
【図11】本発明の抵抗素子の特性を示すグラフである。
【図12】本発明の抵抗素子の温度特性を示すグラフである。
【図13】本発明の変形例の概略構成を示す平面図である。
【図14】本発明の一実施の形態である半導体装置の要部を製造工程毎に示す縦断面図である。
【図15】本発明の一実施の形態である半導体装置の要部を製造工程毎に示す縦断面図である。
【図16】本発明の一実施の形態である半導体装置の要部を製造工程毎に示す縦断面図である。
【図17】本発明の一実施の形態である半導体装置の要部を製造工程毎に示す縦断面図である。
【図18】本発明の一実施の形態である半導体装置の要部を製造工程毎に示す縦断面図である。
【図19】本発明の他の実施の形態である半導体装置の抵抗素子を示す部分平面図である。
【図20】本発明の他の実施の形態である半導体装置のスタータスイッチSS及び抵抗素子SRが設けられた外周部を示す部分縦断面図である。
【符号の説明】
【0062】
1…半導体基体、2…n−型層(ドレイン領域)、3…フィールド絶縁膜、4…ゲート絶縁膜、5…ゲート、6…ゲート配線、7…p型層(チャネル形成領域)、8…n+型層(ソース領域)、9…層間絶縁膜、10…ゲートガードリング、11…ソース配線、12…コンタクト層、13…リング、14…ガードリング、15…保護絶縁膜、16…ドレイン電極、17…接続配線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチングレギュレータの高電圧部を含む半導体装置であって、
(a) 半導体基板と、
(b) 前記半導体基板の主面上に形成された、前記高電圧部を構成するメインスイッチ用MOSFETと、
(c) 前記半導体基板の主面上に形成された、前記メインスイッチ用MOSFETのスタータースイッチ用MOSFETと、
(d) 前記半導体基板の主面上に形成され、前記メインスイッチ用MOSFETおよびスタータースイッチ用MOSFETの周辺を多重に囲む複数のフィールド・リミッティング・リングと、
(e) 前記フィールド・リミッティング・リング上に形成された、フィールド絶縁膜と、
(f) 前記フィールド絶縁膜上に形成され、前記メインスイッチ用MOSFETおよびスタータースイッチ用MOSFETのゲートと同層に形成され、かつ前記スタータースイッチ用MOSFETのドレインおよびゲートと電気的に接続された抵抗素子と、
(g) 前記抵抗素子を被う層間絶縁膜と、
(h) 前記層間絶縁膜上に形成され、前記メインスイッチ用のゲートおよびソース、前記スタータースイッチ用MOSFETのゲートおよびソースとそれぞれ電気的に接続される複数の配線と、
(i) 前記半導体基板の裏面に形成され、前記メインスイッチ用MOSFETおよびスタータースイッチ用MOSFETのドレインと電気的に接続される裏面電極
を含む半導体装置。
【請求項2】
前記抵抗素子の平面形状は、前記フィールド・リミッティング・リング層と交わる方向に蛇行した形状であることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記フィールド・リミッティング・リング層は電気的にフローティング状態であることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
前記抵抗素子は、前記複数のフィールド・リミッティング・リング層のうち、内側に位置するフィールド・リミッティング・リング層から外側に位置するフィールド・リミッティング・リング層に亘って形成され、
前記内側に位置するフィールド・リミッティング・リング層に近い前記抵抗素子の第1端部は第1電位に電気的に接続され、
前記外側に位置するフィールド・リミッティング・リング層に近い前記抵抗素子の第2端部は第2電位に電気的に接続され、
前記第2電位は前記第1電位よりも高いことを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項5】
スイッチングレギュレータの高電圧部を含む半導体装置であって、
(a) 半導体基板と、
(b) 前記半導体基板の主面上に形成されたスタータースイッチ用MOSFETと、
(c) 前記半導体基板の主面上に形成され、前記スタータースイッチ用MOSFETの周辺を多重に囲む複数のフィールド・リミッティング・リングと、
(d) 前記フィールド・リミッティング・リング上に形成された、フィールド絶縁膜と、
(e) 前記フィールド絶縁膜上に形成され、前記スタータースイッチ用MOSFETのゲートと同層に形成され、かつ前記スタータースイッチ用MOSFETのドレインおよびゲートと電気的に接続された抵抗素子と、
(f) 前記抵抗素子を被う層間絶縁膜と、
(g) 前記層間絶縁膜上に形成され、前記スタータースイッチ用MOSFETのゲートおよびソースとそれぞれ電気的に接続される複数の配線と、
(h) 前記半導体基板の裏面に形成され、前記スタータースイッチ用MOSFETのドレインと電気的に接続される裏面電極
を含む半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2007−123926(P2007−123926A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−339310(P2006−339310)
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【分割の表示】特願平11−47607の分割
【原出願日】平成11年2月25日(1999.2.25)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【出願人】(000233527)株式会社ルネサス東日本セミコンダクタ (40)
【Fターム(参考)】