説明

半導体装置

【課題】オフ状態のソース、ドレイン間のリーク電流の低いトランジスタを書き込みトランジスタに用いて、データを保存する半導体メモリ装置を提供する。
【解決手段】書き込みトランジスタのドレインと読み出しトランジスタのゲート、および、前記ドレインとキャパシタの一方の電極を接続した記憶セルを複数用いて形成されたマトリクスにおいて、書き込みトランジスタのゲートを書き込みワード線に、書き込みトランジスタのソースおよび読み出しトランジスタのソースをビット線に、読み出しトランジスタのドレインを読み出しワード線に接続する。ここで、書き込みトランジスタと読み出しトランジスタの導電型を異なるものとする。集積度を高めるために、バイアス線を他行の読み出しワード線で代用したり、記憶セルを直列に接続し、NAND構造とし、読み出しワード線と書き込みワード線を共用してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体を用いたメモリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体を用いたメモリ装置には多くの種類がある。例えば、ダイナミック・ランダム・ア
クセス・メモリ(DRAM)やスタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)
、電子的消去可能プログラマブル・リード・オンリー・メモリ(EEPROM)やフラッ
シュメモリ等である。
【0003】
DRAMは記憶セルに設けたキャパシタに電荷を保持することにより、データを記憶する
。しかしながら、従来、スイッチングに用いられてきたトランジスタはオフ状態であって
も、わずかにソースとドレイン間にリーク電流が生じるため、データは比較的短時間(長
くても数十秒)で失われる。そのため、一定周期(一般的には数十ミリ秒)でデータを再
書き込み(リフレッシュ)する必要がある。
【0004】
また、SRAMはフリップフロップ回路の双安定状態を用いてデータを保持する。SRA
Mのフリップフロップ回路には、通常、CMOSインバータを用いるが、ひとつの記憶セ
ルに6つのトランジスタを用いるため、集積率がDRAMより低くなる。また、電源が供
給されないとデータが失われてしまう。
【0005】
一方、EEPROMやフラッシュメモリは、フローティングゲートと呼ばれるものを、チ
ャネルとゲートの間に設け、フローティングゲートに電荷を蓄えることにより、データを
保持する。フローティングゲートに蓄えられた電荷は、トランジスタへの電源が途絶えた
後でも保持されるので、これらのメモリは不揮発性メモリと呼ばれる。フラッシュメモリ
に関しては、例えば、特許文献1を参照するとよい。
【0006】
本明細書では、特に、EEPROMやフラッシュメモリ等、フローティングゲートを有す
るメモリを、フローティングゲート型不揮発性メモリ(FGNVM)という。FGNVM
では、多段階のデータを1つの記憶セルに保存できるので、記憶容量を大きくできる。加
えて、NAND型フラッシュメモリはコンタクトホールの数を大幅に減らせるため、ある
程度まで集積度を高めることができる。
【0007】
しかしながら、従来のFGNVMは、フローティングゲートへの電荷の注入や除去の際に
高い電圧を必要とし、また、そのせいもあって、ゲート絶縁膜の劣化が避けられず、無制
限に書き込みや消去を繰り返せなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭57−105889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のように従来の半導体メモリ装置は一長一短があり、実際のデバイスで必要とされる
要件すべてを必要十分に満たすものはなかった。メモリ装置においては、低消費電力が求
められる。消費電力が大きいと、電源を供給するための装置を大きくしなければならず、
また、バッテリでの駆動時間が短くなる。のみならず、半導体素子の発熱により、素子の
特性が劣化し、さらには、回路が破壊される場合もある。また、メモリ装置においては、
書き換え回数の制限がないことが好ましく、10億回以上の書き換えができることが望ま
れる。もちろん、集積度の高いことも必要である。
【0010】
この点、DRAMは常時、リーク電流を生じ、リフレッシュをおこなっているため消費電
力の点で難があった。一方、SRAMでは、1つの記憶セルに6つのトランジスタを有す
るため集積度を上げられないという別の問題がある。また、FGNVMにおいては消費電
力や集積度の点では問題はなかったが、書き換え回数が10万回以下であった。
【0011】
上記に鑑み、記憶セルで記憶保持のために使用される電力をDRAMよりも削減すること
、記憶セルに用いるトランジスタの数を5つ以下とすること、書き換え回数を100万回
以上とすること、という3つの条件を同時に克服することが第一の課題となる。また、電
力の供給がない状態で、データを10時間以上、好ましくは、100時間以上保持するこ
とと、書き換え回数を100万回以上とすること、という2つの条件を同時に克服するこ
とが第二の課題となる。なお、本明細書では、データの保持時間とは、記憶セルに保持さ
れた電荷量が初期の電荷量の90%となる時間と定義する。
【0012】
本発明では、上記の課題に加えて、新規の半導体装置、特に、半導体メモリ装置を提供す
ることを課題とする。また、新規の半導体装置の駆動方法、特に、半導体メモリ装置の駆
動方法を提供することを課題とする。さらに、新規の半導体装置の作製方法、特に、半導
体メモリ装置の作製方法を提供することを課題とする。本発明は、上記の課題の少なくと
も一を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
以下、本発明の説明をおこなうが、本明細書で用いる用語について簡単に説明する。まず
、トランジスタのソースとドレインについては、構造や機能が同じもしくは同等である、
また、仮に構造が異なっていたとしても、それらに印加される電位やその極性が一定でな
い、等の理由から、本明細書では、いずれか一方をソースと呼んだ場合には、便宜上、他
方をドレインと呼ぶこととし、特に区別しない。したがって、本明細書においてソースと
されているものをドレインと読み替えることも可能である。
【0014】
また、本明細書では、「(マトリクスにおいて)直交する」とは、直角に交差するという
意味だけではなく、物理的にはその他の角度であっても最も簡単に表現した回路図におい
て直交する、という意味であり、「(マトリクスにおいて)平行である」とは、2つの配
線が物理的には交差するように設けられていても、最も簡単に表現した回路図において平
行である、という意味である。
【0015】
本発明の一態様は、オフ状態でのソースとドレイン間のリーク電流が少ないトランジスタ
を書き込みトランジスタとし、もう一つのトランジスタ(読み出しトランジスタ)および
、キャパシタで1つの記憶セルを構成する。読み出しトランジスタの導電型は書き込みト
ランジスタの導電型と異なるものとする。例えば、書き込みトランジスタがNチャネル型
であれば、読み出しトランジスタはPチャネル型とする。また、これらに接続する配線と
して、書き込みワード線、ビット線、読み出しワード線という少なくとも3種類の配線を
用意する。
【0016】
そして、書き込みトランジスタのドレインを読み出しトランジスタのゲートおよびキャパ
シタの一方の電極に接続する。さらに、書き込みトランジスタのゲートを書き込みワード
線に、書き込みトランジスタのソースおよび読み出しトランジスタのソースをビット線に
、キャパシタの他方の電極を読み出しワード線に接続する。
【0017】
書き込みトランジスタのオフ状態(Nチャネル型にあっては、ゲートの電位がソース、ド
レインのいずれよりも低い状態)でのソースとドレイン間のリーク電流は、使用時の温度
(例えば、25℃)で1×10−20A以下、好ましくは、1×10−21A以下、ある
いは85℃で1×10−20A以下であることが望ましい。通常のシリコン半導体では、
リーク電流をそのような低い値とすることは困難であるが、酸化物半導体を好ましい条件
で加工して得られたトランジスタにおいては達成しうる。このため、書き込みトランジス
タの材料として、酸化物半導体を用いることが好ましい。もちろん、何らかの方法により
、シリコン半導体やその他の半導体において、リーク電流を上記の値以下にすることがで
きるのであれば、その使用を妨げるものではない。
【0018】
酸化物半導体としては、公知の各種の材料を用いることができるが、バンドギャップが3
電子ボルト以上、好ましくは、3電子ボルト以上3.6電子ボルト未満であるものが望ま
しい。また、電子親和力が4電子ボルト以上、好ましくは、4電子ボルト以上4.9電子
ボルト未満であるものが望ましい。特に、ガリウムとインジウムを有する酸化物は、本発
明の目的には好適である。このような材料において、さらに、ドナーあるいはアクセプタ
に由来するキャリア濃度が1×10−14cm−3未満、好ましくは、1×10−11
−3未満であるものが望ましい。
【0019】
読み出しトランジスタとしては、オフ状態でのソースとドレイン間のリーク電流について
の制限はないが、リーク電流が少ない方が消費電力を少なくできるので好ましい。また、
読み出しの速度を高くするために、高速で動作するものが望ましい。具体的には、スイッ
チングスピードが10nsec以下であることが好ましい。また、書き込みトランジスタ
、読み出しトランジスタともゲートリーク電流(ゲートとソースあるいはゲートとドレイ
ン間のリーク電流)が極めて低いことが求められ、また、キャパシタも内部リーク電流(
電極間のリーク電流)が低いことが求められる。いずれのリーク電流も、使用時の温度(
例えば、25℃)で1×10−20A以下、好ましくは、1×10−21A以下であるこ
とが望ましい。
【0020】
また、読み出しトランジスタのゲートの電位は、読み出しワード線の電位に応じて変化す
るが、その結果、読み出しトランジスタのゲート容量が変動することがある。すなわち、
読み出しトランジスタがオフ状態である場合より、オン状態である場合の方がゲート容量
が大きくなることがある。ゲート容量の変動が、キャパシタの容量よりも大きいと、記憶
セルを動作させる上で問題を生じる。
【0021】
したがって、キャパシタの容量は、読み出しトランジスタのゲート容量以上、好ましくは
2倍以上とするとよい。また、半導体メモリ装置の動作を高速におこなう目的では、キャ
パシタの容量は10fF以下とすることが望ましい。
【0022】
書き込みワード線、ビット線、読み出しワード線はマトリクスを構成するが、マトリクス
駆動をおこなうためには、書き込みワード線とビット線は直交し、書き込みワード線と読
み出しワード線は平行であることが望ましい。
【0023】
図1(A)に、上記の構造を有する記憶セルの例を図示する。ここでは、第n行第m列の
記憶セルを例にして説明する。n、mは自然数とすればよい。図1(A)では、書き込み
トランジスタWTr(n,m)と読み出しトランジスタRTr(n,m)とキャパシタC
(n,m)からなる記憶セルが示されている。ここで、書き込みトランジスタWTr(n
,m)のドレインは読み出しトランジスタRTr(n,m)のゲートおよびキャパシタC
(n,m)の一方の電極に接続されている。
【0024】
さらに、書き込みトランジスタWTr(n,m)のゲートは書き込みワード線Qnに、書
き込みトランジスタWTr(n,m)のソースと読み出しトランジスタRTr(n,m)
のソースはビット線Rmに、キャパシタC(n,m)の他方の電極は読み出しワード線P
nに、それぞれ接続されている。
【0025】
また、読み出しトランジスタRTr(n,m)のドレインはバイアス線Snに接続されて
いる。図1(A)では、書き込みワード線Qnと読み出しワード線Pn、バイアス線Sn
は平行である。そして、書き込みワード線Qnとビット線Rmは直交する。
【0026】
図1(B)は第n行第m列(n、mは2以上の自然数)の記憶セルの周辺を図示したもの
である。図から明らかなように、1行あたり3本、1列あたり1本の配線が必要であるの
で、N行M列のマトリクスでは(3N+M)本の配線が必要である。
【0027】
図1(A)に示す記憶セルでは、書き込みワード線Qnに適切な電位を与えることによっ
て、書き込みトランジスタWTr(n,m)をオン状態とする。その際のビット線Rmの
電位により、書き込みトランジスタWTr(n,m)のドレインに電荷が注入される。こ
の際の電荷の注入量は、ビット線Rmの電位、読み出しトランジスタRTr(n,m)の
ゲート容量、キャパシタC(n,m)の容量等によって決定されるため、同じ条件でおこ
なえば、ほぼ同じ結果となり、ばらつきが少ない。このようにして、データが書き込まれ
る。
【0028】
次に、書き込みワード線Qnに別の適切な電位を与えることによって、書き込みトランジ
スタWTr(n,m)をオフ状態とする。この場合でも、書き込みトランジスタWTr(
n,m)のドレインの電荷はそのまま保持される。読み出す際には、読み出しワード線P
n、バイアス線Sn等に適切な電位を与え、読み出しトランジスタRTr(n,m)がど
のような状態となるかをモニターすることによって、書き込まれたデータを知ることがで
きる。
【0029】
上記構成において、隣接する行でバイアス線を共有してもよい。図5に、上記の構造を有
する記憶セルの例を図示する。ここでは、第(2n−1)行第m列の記憶セルと隣接する
第2n行第m列(n、mは自然数)の記憶セルを例にして説明する。
【0030】
図5では、書き込みトランジスタWTr(2n−1,m)と読み出しトランジスタRTr
(2n−1,m)とキャパシタC(2n−1,m)からなる第(2n−1)行第m列の記
憶セルと、書き込みトランジスタWTr(2n,m)と読み出しトランジスタRTr(2
n,m)とキャパシタC(2n,m)からなる第2n行第m列の記憶セルが示されている

【0031】
書き込みトランジスタWTr(2n−1,m)のドレインは読み出しトランジスタRTr
(2n−1,m)のゲートおよびキャパシタC(2n−1,m)の一方の電極に接続され
ている。同様に、書き込みトランジスタWTr(2n,m)のドレインは読み出しトラン
ジスタRTr(2n,m)のゲートおよびキャパシタC(2n,m)の一方の電極に接続
されている。
【0032】
さらに、書き込みトランジスタWTr(2n−1,m)のゲートは書き込みワード線Q2
n−1に、書き込みトランジスタWTr(2n,m)のゲートは書き込みワード線Q2n
に、キャパシタC(2n−1,m)の他方の電極は読み出しワード線P2n−1に、キャ
パシタC(2n,m)の他方の電極は読み出しワード線P2nに、読み出しトランジスタ
RTr(2n−1,m)のドレインと読み出しトランジスタRTr(2n,m)のドレイ
ンはバイアス線Snに、書き込みトランジスタWTr(2n−1,m)のソース、書き込
みトランジスタWTr(2n,m)のソース、読み出しトランジスタRTr(2n−1,
m)のソース、読み出しトランジスタRTr(2n,m)のソースはビット線Rmに、そ
れぞれ接続されている。
【0033】
以上から明らかなように、2行あたり5本、1列あたり1本の配線が必要であるので、2
N行M列のマトリクスでは(5N+M)本の配線が必要である。図1の半導体メモリ装置
では、同じ規模のマトリクスで(6N+M)本の配線が必要である。このように、隣接す
る行でバイアス線を共有することにより、図1の構成よりも配線数を減らすことができる

【0034】
また、上記図1の構成におけるバイアス線を隣接する書き込みワード線で代用してもよい
。図6(A)に、上記の構造を有する記憶セルの例を図示する。ここでは、第n行第m列
(n、mは自然数)の記憶セルを例にして説明する。図6(A)では、書き込みトランジ
スタWTr(n,m)と読み出しトランジスタRTr(n,m)とキャパシタC(n,m
)からなる記憶セルが示されている。
【0035】
書き込みトランジスタWTr(n,m)のドレインは読み出しトランジスタRTr(n,
m)のゲートおよびキャパシタC(n,m)の一方の電極に接続されている。さらに、書
き込みトランジスタWTr(n,m)のゲートは書き込みワード線Qnに、書き込みトラ
ンジスタWTr(n,m)のソースと読み出しトランジスタRTr(n,m)のソースは
ビット線Rmに、読み出しトランジスタRTr(n,m)のドレインは1行下の書き込み
ワード線Qn+1に、キャパシタC(n,m)の他方の電極は読み出しワード線Pnに、
それぞれ接続されている。
【0036】
図6(B)は第n行第m列の記憶セルの周辺を図示したものである。図から明らかなよう
に、1行あたり2本、1列あたり1本の配線が必要であるので、マトリクスの端の部分も
考慮すると、N行M列のマトリクスでは(2N+M+1)本の配線が必要である。このよ
うに、図1の構成におけるバイアス線を隣接する書き込みワード線で代用することにより
、図1の構成よりも、さらに配線数を減らすことができる。
【0037】
本発明の別の一態様は、上記図1に用いるものと同様な書き込みトランジスタ、読み出し
トランジスタ、キャパシタをそれぞれ複数個用いて形成される記憶ユニットからなる半導
体メモリ装置である。ここで、書き込みトランジスタと読み出しトランジスタの導電型は
互いに異なるものとし、例えば、書き込みトランジスタがNチャネル型であれば読み出し
トランジスタはPチャネル型である。
【0038】
すなわち、第1の書き込みトランジスタのドレインは第1のキャパシタの一方の電極、お
よび第1の読み出しトランジスタのゲートに接続し、第2の書き込みトランジスタのドレ
インは第2のキャパシタの一方の電極、および第2の読み出しトランジスタのゲートに接
続する。
【0039】
また、第1の書き込みトランジスタのドレインは第2の書き込みトランジスタのソースと
接続し、第1の読み出しトランジスタのドレインは第2の読み出しトランジスタのソース
と接続する。さらに、第1の書き込みトランジスタのゲートは、第1の書き込みワード線
に、第2の書き込みトランジスタのゲートは、第2の書き込みワード線に、第1のキャパ
シタの他方の電極は、第1の読み出しワード線に、第2のキャパシタの他方の電極は、第
2の読み出しワード線に、それぞれ接続する。
【0040】
また、第1の書き込みトランジスタのソースと第1の読み出しトランジスタのソースはビ
ット線に接続してもよい。なお、第1の書き込みトランジスタのソースとビット線の間、
あるいは、第1の読み出しトランジスタのソースとビット線の間のいずれか一方、あるい
は双方に、1つ以上のトランジスタが挿入されてもよい。
【0041】
第1の書き込みワード線、第2の書き込みワード線、第1の読み出しワード線、第2の読
み出しワード線は、互いに平行であり、また、ビット線とは直交する。
【0042】
図16(A)に、上記の構造を有する記憶ユニットの例を図示する。ここで示される記憶
ユニットは、書き込みトランジスタ、読み出しトランジスタ、キャパシタを各1つ備えた
単位記憶セルを複数有する。すなわち、書き込みトランジスタWTr1と読み出しトラン
ジスタRTr1とキャパシタC1からなる第1の記憶セル、書き込みトランジスタWTr
2と読み出しトランジスタRTr2とキャパシタC2からなる第2の記憶セル、書き込み
トランジスタWTr3と読み出しトランジスタRTr3とキャパシタC3からなる第3の
記憶セル、という3つの記憶セルよりなる記憶ユニットが示されている。
【0043】
それぞれの記憶セルにおける書き込みトランジスタのドレインはキャパシタの一方の電極
と読み出しトランジスタのゲートに接続されている。これらのトランジスタやキャパシタ
の接続される交点の電位は、読み出しトランジスタのオンオフと関連があるので、以下、
これらの交点をノードF1、F2、F3という。
【0044】
書き込みトランジスタWTr1のドレインは書き込みトランジスタWTr2のソースと接
続し、読み出しトランジスタRTr1のドレインは読み出しトランジスタRTr2のソー
スと接続する。さらに、書き込みトランジスタWTr2のドレインは書き込みトランジス
タWTr3のソースと接続し、読み出しトランジスタRTr2のドレインは読み出しトラ
ンジスタRTr3のソースと接続する。
【0045】
この例では、読み出しトランジスタRTr3のドレインはバイアス線Sに接続される。読
み出しトランジスタRTr3のドレインとバイアス線Sの間に1つ以上のトランジスタを
有してもよい。また、書き込みトランジスタWTr1のソースと読み出しトランジスタR
Tr1のソースは、ビット線Rと接続する。書き込みトランジスタWTr1、WTr2、
WTr3のゲートは、それぞれ、書き込みワード線Q1、Q2、Q3に接続する。キャパ
シタC1、C2、C3の他方の電極は、読み出しワード線P1、P2、P3に接続する。
【0046】
書き込みワード線Q1、Q2、Q3と、読み出しワード線P1、P2、P3は互いに平行
であり、また、ビット線Rと直交する。なお、バイアス線Sを常に一定の電位に保つので
あれば、その他の配線と平行にする、あるいは、直交させる必要はない。ただし、集積度
を高める点では、ビット線と直交する方が好ましい。
【0047】
このように、3つの記憶セルで、ビット線と記憶セルの間に設けられるコンタクトを共有
することにより、単位記憶セルあたりの当該部のコンタクトの面積を削減することができ
、集積度を向上させることができる。図16(A)では記憶ユニットに3つの記憶セルを
設ける例を示したが、1つの記憶ユニットをより多くの記憶セルで構成してもよい。例え
ば、1つの記憶ユニットを16個、32個といった記憶セルで構成してもよい。
【0048】
このような構造は、フラッシュメモリのNAND構造と同様のものである。図16(A)
のように記憶セルを直列に接続することにより、より多くの記憶セルでひとつのビット線
と記憶セルの間に設けられるコンタクトを共有することができ、単位記憶セルあたりの面
積を低減できる。例えば、最小加工線幅をFとしたときに、半導体メモリ装置における単
位記憶セルあたりの面積を12F、あるいはそれ以下まで低減できる。
【0049】
図16(A)に示す回路図は、半導体メモリ装置に用いられる1つの記憶ユニットである
が、半導体メモリ装置は、これらの記憶ユニットをマトリクス状に構成して得られる。図
19にその例を示す。ここでは、第n行第(m−1)列、第n行第m列、第n行第(m+
1)列、第n行第(m+2)列、第(n+1)行第(m−1)列、第(n+1)行第m列
、第(n+1)行第(m+1)列、第(n+1)行第(m+2)列、という8つの記憶ユ
ニット、24個の記憶セルが示されている。
【0050】
第n行第m列の記憶ユニットには、書き込みワード線Q1n、Q2n、Q3n、読み出し
ワード線P1n、P2n、P3n、バイアス線Sn、ビット線Rmが設けられる。他の記
憶ユニットでも同様である。
【0051】
本発明の別の一態様は、図16(A)に示されるものと同様な書き込みトランジスタ、読
み出しトランジスタ、キャパシタをそれぞれ複数個用いて形成される記憶ユニットからな
る半導体メモリ装置である。すなわち、第1の書き込みトランジスタのドレインは第1の
キャパシタの一方の電極、および第1の読み出しトランジスタのゲートに接続し、第2の
書き込みトランジスタのドレインは第2のキャパシタの一方の電極、および第2の読み出
しトランジスタのゲートに接続し、第3の書き込みトランジスタのドレインは第3のキャ
パシタの一方の電極、および第3の読み出しトランジスタのゲートに接続する。
【0052】
また、第1の書き込みトランジスタのドレインは第2の書き込みトランジスタのソースと
接続し、第1の読み出しトランジスタのドレインは第2の読み出しトランジスタのソース
と接続する。同様に、第2の書き込みトランジスタのドレインは第3の書き込みトランジ
スタのソースと接続し、第2の読み出しトランジスタのドレインは第3の読み出しトラン
ジスタのソースと接続する。
【0053】
さらに、第1の書き込みトランジスタのゲートは、第1の書き込みワード線に、第1のキ
ャパシタの他方の電極と第2の書き込みトランジスタのゲートは、第2の書き込みワード
線に、第2のキャパシタの他方の電極と第3の書き込みトランジスタのゲートは、第3の
書き込みワード線に接続する。
【0054】
また、第1の書き込みトランジスタのソースと第1の読み出しトランジスタのソースはビ
ット線に接続してもよい。なお、第1の書き込みトランジスタのソースとビット線の間、
あるいは、第1の読み出しトランジスタのソースとビット線の間のいずれか一方、あるい
は双方に、1つ以上のトランジスタが挿入されてもよい。
【0055】
第1の書き込みワード線、第2の書き込みワード線、第3の書き込みワード線は、互いに
平行であり、また、ビット線とは直交する。
【0056】
図16(B)に、上記の構造を有する記憶ユニットの例を図示する。図16(B)では、
記憶ユニットは、書き込みトランジスタ、読み出しトランジスタ、キャパシタを各1つ備
えた単位記憶セルを複数有する。すなわち、書き込みトランジスタWTr1と読み出しト
ランジスタRTr1とキャパシタC1からなる第1の記憶セル、書き込みトランジスタW
Tr2と読み出しトランジスタRTr2とキャパシタC2からなる第2の記憶セル、書き
込みトランジスタWTr3と読み出しトランジスタRTr3とキャパシタC3からなる第
3の記憶セル、という3つの記憶セルよりなる記憶ユニットが示されている。
【0057】
それぞれの記憶セルにおける書き込みトランジスタのドレインとキャパシタの一方の電極
、読み出しトランジスタのゲートは接続されている。これらのトランジスタやキャパシタ
の接続される交点の電位は、読み出しトランジスタのオンオフと関連があるので、以下、
これらの交点をノードF1、F2、F3という。
【0058】
書き込みトランジスタWTr1のドレインは書き込みトランジスタWTr2のソースと接
続し、読み出しトランジスタRTr1のドレインは読み出しトランジスタRTr2のソー
スと接続する。さらに、書き込みトランジスタWTr2のドレインは書き込みトランジス
タWTr3のソースと接続し、読み出しトランジスタRTr2のドレインは読み出しトラ
ンジスタRTr3のソースと接続する。
【0059】
この例では、読み出しトランジスタRTr3のドレインはバイアス線Sに接続される。読
み出しトランジスタRTr3のドレインとバイアス線Sの間に1つ以上のトランジスタを
有してもよい。また、書き込みトランジスタWTr1のソースと読み出しトランジスタR
Tr1のソースは、ビット線Rと接続する。書き込みトランジスタWTr1、WTr2、
WTr3のゲートは、それぞれ、書き込みワード線Q1、Q2、Q3に接続する。キャパ
シタC1、C2の他方の電極も、それぞれ、書き込みワード線Q2、Q3に接続する。ま
た、キャパシタC3の他方の電極は、読み出しワード線Pに接続する。
【0060】
書き込みワード線Q1、Q2、Q3、読み出しワード線Pは互いに平行であり、また、ビ
ット線Rと直交する。なお、バイアス線Sを常に一定の電位に保つのであれば、その他の
配線と平行にする、あるいは直交させる必要はない。ただし、集積度を高める点では、ビ
ット線と直交する方が好ましい。
【0061】
図16(A)に示される記憶ユニットと同様に、3つの記憶セルで、ビット線と記憶セル
の間に設けられるコンタクトを共有することにより、単位記憶セルあたりの当該部のコン
タクトの面積を削減することができ、集積度を向上させることができる。より多くの記憶
セルでひとつのビット線と記憶セルの間に設けられるコンタクトを共有することができ、
単位記憶セルあたりの面積を低減できる。
【0062】
加えて、図16(B)に示される構成では、図16(A)に示される構成で必要な読み出
しワード線の一部を書き込みワード線で代用することによる面積の削減効果もある。以上
のような効果により、例えば、半導体メモリ装置における単位記憶セルあたりの面積を9
、あるいはそれ以下まで低減できる。
【0063】
以上、課題解決手段としていくつかの構成を示したが、本明細書では、それ以外の解決手
段も開示している。また、上記の構成やその他の本明細書に開示された解決手段に、当業
者によって自明な変更を加えても課題を解決できる。したがって、課題解決手段は上記の
3つの構成に限られるものではない。
【発明の効果】
【0064】
上記の構成のいずれかを採用することにより、前記課題の少なくとも1つを解決できる。
書き換え回数に関しては、上記の構成においては、書き込み動作がいずれも書き込みトラ
ンジスタのオンオフによりなされるため、絶縁膜の劣化は起こりえない。すなわち、上記
の構成の半導体メモリ装置は実質的に書き換えの制限がない。
【0065】
また、データの保存できる期間に関しても、上記の構成の半導体メモリ装置は優れた特性
を示す。用いるトランジスタのソースとドレイン間のオフ状態でのリーク電流やゲートリ
ーク電流、キャパシタの内部リーク電流を上記の条件とすることにより、電荷を10時間
以上、好ましくは100時間以上保持できる。さらには、条件を改善することにより、1
ヶ月以上、あるいは1年以上保持できる。
【0066】
リークにより電荷が減少した場合は、従来のDRAMと同様にリフレッシュをおこなえば
よいが、その間隔は、上記の電荷の保持できる期間によって定められる。上記のように長
期間、電荷が保持されることにより、リフレッシュの間隔は、例えば、1ヶ月に1度とか
1年に1度とかとなる。従来のDRAMで必要であった頻繁なリフレッシュは不要である
ので、より消費電力の少ない半導体メモリ装置となる。
【0067】
なお、上記の構成の半導体メモリ装置では、データを読み出す操作により、データが消え
ることがない。従来、このような特徴はSRAMで実現できるものであったが、上記の構
成の半導体メモリ装置は、一つの記憶セルに用いられるトランジスタの数は従来のSRA
Mより少なく、5つ以下、典型的には2つである。しかも、トランジスタのうちひとつを
薄膜状の酸化物半導体を用いて形成すれば、従来のシリコン半導体の上に積層して形成で
きるため集積度を向上できる。
【0068】
集積度に関しては、上記の構成の半導体メモリ装置では、記憶セルに必要な容量の絶対値
を低減させることができる。例えば、DRAMにおいては、記憶セルの容量は配線容量と
同程度以上でないと動作に支障をきたすため、少なくとも30fFの容量が必要とされた
。しかしながら、容量は面積に比例するため、集積度を上げてゆくと1つの記憶セルの面
積が小さくなり、必要な容量を確保できなくなる。そのため、DRAMでは特殊な形状や
材料を用いて大きな容量を形成する必要があった。
【0069】
これに対し、上記の構成の半導体メモリ装置では、キャパシタの容量は、読み出しトラン
ジスタのゲート容量との相対比で定めることができる。すなわち、集積度が高くなっても
、そのことは読み出しトランジスタのゲート容量が小さくなることを意味するので、キャ
パシタに必要とされる容量も同じ比率で低下する。したがって、集積度が高くなっても、
基本的に同じ構造のキャパシタを用いることができる。
【0070】
さらに、上記の構成を有する半導体メモリ装置は、FGNVMで書き込みや消去の際に必
要な高い電圧を必要としない。FGNVMのうち、いわゆるフラッシュメモリ(特にNA
ND)は集積度の点でSRAMやDRAMより有利であったが、一部でもデータの書き換
えをおこなうには、高い電圧を用いて一定の領域を一括して消去する必要があった。その
点、上記の構成を有する半導体メモリ装置では行ごとの書き込み(書き換え)であるので
、必要最小限の操作で完了する。
【0071】
また、FGNVMにおいては、書き込み時のフローティングゲートへの電荷の注入は一方
通行であり、非平衡状態でなされるため、電荷量のばらつきが大きかった。フローティン
グゲートで保持される電荷量によって、複数段階のデータを記憶することもできるが、電
荷量のばらつきを考慮すると、4段階(2ビット)程度が一般的であった。より高ビット
のデータを記憶するためには、より高い電圧を用いる必要があった。
【0072】
これに対し、上記の構成を有する構成では、キャパシタへの電荷の蓄積が可逆的におこな
われるため、ばらつきが小さく、例えば、電荷の注入による読み出しトランジスタのしき
い値のばらつきを0.5ボルト以下にできる。このため、より狭い電圧範囲において、よ
り多くのデータを1つの記憶セルに保持でき、結果的に、その書き込みや読み出しの電圧
も低くできる。例えば、4ビット(16段階)のデータの書き込みや読み出しに際して、
使用する電圧を10ボルト以下とできる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の半導体メモリ装置の一例を示す図である。
【図2】本発明の半導体メモリ装置の駆動方法(書き込み)の一例を説明する図である。
【図3】本発明の半導体メモリ装置の駆動方法(読み出し)の一例を説明する図である。
【図4】本発明の半導体メモリ装置の駆動方法の一例を説明する図である。
【図5】本発明の半導体メモリ装置の一例を示す図である。
【図6】本発明の半導体メモリ装置の一例を示す図である。
【図7】本発明の半導体メモリ装置の配線のレイアウト等の一例を示す図である。
【図8】本発明の半導体メモリ装置の作製工程の一例を示す図である。
【図9】本発明の半導体メモリ装置の作製工程の一例を示す図である。
【図10】本発明の半導体メモリ装置の配線のレイアウト等の一例を示す図である。
【図11】本発明の半導体メモリ装置の駆動方法の一例を説明する図である。
【図12】本発明の半導体メモリ装置の駆動方法(書き込み)の一例を説明する図である。
【図13】本発明の半導体メモリ装置の駆動方法(読み出し)の一例を説明する図である。
【図14】本発明の半導体メモリ装置の駆動方法(書き込み)の一例を説明する図である。
【図15】本発明の半導体メモリ装置の駆動方法(読み出し)の一例を説明する図である。
【図16】本発明の半導体メモリ装置の一例を示す図である。
【図17】本発明の半導体メモリ装置の駆動方法(書き込み)の一例を説明する図である。
【図18】本発明の半導体メモリ装置の駆動方法(読み出し)の一例を説明する図である。
【図19】本発明の半導体メモリ装置の一例を示す図である。
【図20】本発明の半導体メモリ装置の駆動方法(書き込み)の一例を説明する図である。
【図21】本発明の半導体メモリ装置の駆動方法(読み出し)の一例を説明する図である。
【図22】本発明の半導体メモリ装置の配線のレイアウト等の一例を示す図である。
【図23】本発明の半導体メモリ装置の配線のレイアウト等の一例を示す図である。
【図24】本発明の半導体メモリ装置の作製工程の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0074】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、実施の形態は多くの異な
る態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及
び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、
以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0075】
また、以下の実施の形態で開示された構造や条件等の項目は、他の実施の形態においても
適宜、組み合わせることができる。なお、以下に説明する構成において、同様のものを指
す符号は異なる図面間で共通の符号を用いて示し、同一部分又は同様な機能を有する部分
の詳細な説明は省略することもある。
【0076】
また、以下の実施の形態では、理解を容易にするため、パルスのタイミングや幅、高さ等
は一定の値となるように書かれているが、本発明の趣旨からすれば、必ずしも、パルスが
完全に同期したタイミングや一定の幅や高さである必要はないことは容易に理解されよう

【0077】
(実施の形態1)
本実施の形態では、図4を用いて、図1(A)および(B)に示す半導体メモリ装置の動
作の例について説明する。なお、電位として、以下に具体的な数値を挙げるが、それは、
技術思想の理解を助けることが目的である。言うまでもなく、それらの値はトランジスタ
やキャパシタ等のさまざまな特性によって、あるいは実施者の都合によって変更される。
また、図1に示される半導体メモリ装置は、以下の方法以外の方法によっても、データを
書き込み、あるいは読み出すことができる。
【0078】
ここでは、書き込みトランジスタWTr(n,m)はNチャネル型、読み出しトランジス
タRTr(n,m)をPチャネル型とする。書き込みトランジスタWTr(n,m)は、
ゲートの電位が、ソースあるいはドレインのいずれか一方の電位より1V以上高くなると
オンになる(電流を流す)とし、それ以外はオフである(電流を流さない)とする。また
、読み出しトランジスタRTr(n,m)は、ゲートの電位が、ソースあるいはドレイン
のいずれか一方の電位より1V以上低くなるとオンになる(電流を流す)とし、それ以外
はオフである(電流を流さない)とする。
【0079】
また、読み出しトランジスタRTr(n,m)のゲート容量のうち、ゲートバイアスによ
って変動する分はキャパシタC(n,m)の容量に比べて無視できるものとする。さらに
、書き込みトランジスタWTr(n,m)の寄生容量や読み出しトランジスタRTr(n
,m)の寄生容量、その他、配線間の寄生容量等、図に示されていない容量はすべて0と
して考える。また、図4では、オン状態であるトランジスタには丸印を、オフ状態である
トランジスタには×印をそれぞれ、トランジスタの記号に重ねて表記する。特定の条件で
オンになるものについては、別途、図中に記載することがある。
【0080】
書き込み時には、図4(A)に示すように、読み出しワード線Pnとバイアス線Snの電
位を0Vとする。また、ビット線Rmの電位は、書き込むデータに応じて、0V、+1V
、+2V、+3Vの4段階の値をとるものとする。そして、書き込みワード線Qnの電位
を、+4Vとすると、書き込みトランジスタWTr(n,m)がオンとなり、書き込みト
ランジスタWTr(n,m)のドレインの電位は書き込みトランジスタのソース(すなわ
ち、ビット線Rm)の電位に近づく。ここでは、ビット線Rmの電位と等しくなるものと
する。
【0081】
一方、この段階では読み出しトランジスタRTr(n,m)のゲートの電位は、書き込み
トランジスタWTr(n,m)のドレインの電位と等しい。すなわち、読み出しトランジ
スタRTr(n,m)のゲートの電位は0V以上であり、読み出しトランジスタRTr(
n,m)のソース(すなわち、ビット線Rm)の電位と同じである。
【0082】
また、読み出しトランジスタRTr(n,m)のドレイン(すなわち、バイアス線Sn)
の電位は0Vである。したがって、読み出しトランジスタRTr(n,m)のゲートの電
位は、ソースやドレインの電位と同じか高いので、読み出しトランジスタRTr(n,m
)はオフ状態である。このようにして、データを書き込むことができる。
【0083】
なお、書き込み時を含めて、可能な限り、読み出しトランジスタRTr(n,m)をオフ
状態とすることは、読み出しトランジスタRTr(n,m)のゲートからソース、あるい
はゲートからドレインへのリーク電流を低減する上で効果がある。一般に、このようなリ
ーク電流は、オン状態で増加し、オフ状態では非常に少なくなる。
【0084】
このようなリーク電流は、キャパシタC(n,m)に保持された電荷の漏れであるので、
その量が多ければ、データの保持時間の減少を意味する。本実施の形態では、読み出しト
ランジスタRTr(n,m)がオンとなるのは、読み出し時のみであるため、データの保
持の面で優れている。
【0085】
次に、第n行以外の行の書き込みをおこなう場合には、図4(B)に示すように、書き込
みワード線Qnの電位を、−3Vとする。また、読み出しワード線Pnの電位を+3V、
バイアス線Snの電位を0Vとする。一方、ビット線Rmの電位は、書き込みのおこなわ
れる行に書き込むデータに応じて、0V、+1V、+2V、+3Vの4段階の値をとる。
【0086】
書き込みトランジスタWTr(n,m)のドレインの電位は、読み出しワード線Pnとキ
ャパシタC(n,m)を介して接続しているため、読み出しワード線Pnの電位の変動(
すなわち、図4(A)の0Vから図4(B)の+3Vへの上昇)により、3V上昇する。
すなわち、書き込まれたデータに応じて、+3V、+4V、+5V、+6Vのいずれかの
値となる。
【0087】
また、この状態では、書き込みトランジスタWTr(n,m)のソース(ビット線Rm)
の電位(0〜+3V)や書き込みトランジスタWTr(n,m)のドレインの電位(+3
〜+6V)よりも、書き込みトランジスタWTr(n,m)のゲートの電位(−3V)が
低いため、書き込みトランジスタWTr(n,m)はオフとなる。
【0088】
さらに、読み出しトランジスタRTr(n,m)のソース(すなわち、ビット線Rm)の
電位(0〜+3V)の電位や読み出しトランジスタRTr(n,m)のドレイン(すなわ
ち、バイアス線Sn)の電位(0V)よりも、読み出しトランジスタRTr(n,m)の
ゲートの電位(+3〜+6V)が高いため、読み出しトランジスタRTr(n,m)はオ
フとなる。
【0089】
次に、読み出しについて説明する。図4(C)に示すように、書き込みワード線Qnとバ
イアス線Snの電位を−3Vとする。また、読み出しワード線Pnの電位を0Vとする。
この状態では、書き込みトランジスタWTr(n,m)のドレインの電位は、書き込まれ
たデータに応じて、0V、+1V、+2V、+3Vのいずれかとなり、ビット線Rmの電
位が−3V以上0V以下にあれば、書き込みトランジスタWTr(n,m)、読み出しト
ランジスタRTr(n,m)ともオフである。すなわち、読み出さない行については、こ
のようにして、書き込みトランジスタ、読み出しトランジスタをオフとする。
【0090】
一方、読み出す行については、読み出しワード線Pnの電位を−3Vとする。これによっ
て、読み出しトランジスタRTr(n,m)のゲートの電位は、書き込まれたデータに応
じて、−3V、−2V、−1V、0Vのいずれかとなる。また、ビット線Rmの電位は−
3Vとする。このとき、バイアス線Snの電位が−3Vであれば、読み出しトランジスタ
RTr(n,m)はオフである。
【0091】
しかし、図4(D)に示すように、バイアス線Snの電位が−2Vになれば、読み出しト
ランジスタRTr(n,m)のゲートの電位が−3Vであれば、読み出しトランジスタR
Tr(n,m)はオン状態となる。
【0092】
読み出しトランジスタRTr(n,m)がオン状態となることにより、ビット線Rmに電
流が流れるので、これを検知することによって、読み出しトランジスタRTr(n,m)
がオン状態であることを知ることができる。あるいは、ビット線Rmの終端がキャパシタ
であるならば、当初の電位(−3V)は、バイアス線Snの電位に近づくので、やはり、
読み出しトランジスタRTr(n,m)がオン状態であることを知ることができる。
【0093】
同様に、図4(E)に示すように、バイアス線Snの電位が、−1Vになれば、読み出し
トランジスタRTr(n,m)のゲートの電位が、−3Vと−2Vの場合には、読み出し
トランジスタRTr(n,m)はオンとなる。
【0094】
また、図4(F)に示すように、バイアス線Snの電位が、0Vになれば、読み出しトラ
ンジスタRTr(n,m)のゲートの電位が、−3Vと−2Vと−1Vの場合には、読み
出しトランジスタRTr(n,m)はオンとなる。
【0095】
バイアス線の電位を0Vにしても、読み出しトランジスタRTr(n,m)がオフのまま
であれば、読み出しトランジスタRTr(n,m)のゲートの電位は、0Vであったと推
測できる。
【0096】
このようにして4段階のデータ(2ビット)を書き込み・読み出しできる。もちろん、同
様にして、さらに多くのデータ、例えば、8段階のデータ(3ビット)、16段階のデー
タ(4ビット)を書き込み・読み出しできる。
【0097】
上記の説明では、寄生容量や読み出しトランジスタRTr(n,m)のゲート容量をキャ
パシタC(n,m)の容量に対して、無視したが、現実の記憶セルではそれらを考慮した
上で、与える電位を決定する必要がある。
【0098】
読み出しトランジスタRTr(n,m)のゲート容量は、オン状態とオフ状態で大きく変
動するので、読み出しトランジスタRTr(n,m)のゲートの電位はその影響を受ける
。読み出しトランジスタRTr(n,m)のゲート容量のキャパシタC(n,m)の容量
に対する比率が大きいほど、その影響が大きいので、好ましくは、キャパシタC(n,m
)の容量は読み出しトランジスタRTr(n,m)のゲート容量の2倍以上とするとよい

【0099】
なお、記憶セルに保持される電荷量を複数段階とすることによって多段階のデータ(多値
のデータ)を記憶するには、保持される電荷量のばらつきが小さいことが必要である。本
実施の形態で示した半導体メモリ回路および半導体メモリ装置は、保持される電荷量のば
らつきが小さいため、この目的に適している。
【0100】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1に示した、半導体メモリ装置への書き込み方法や読み出
し方法について、各種配線に与える信号のタイミングについて説明する。まず、書き込み
方法について、図2を用いて説明する。
【0101】
実施の形態1で説明したように、ビット線(・・、Rm−1、Rm、Rm+1、・・)に
はデータに応じた信号を印加する。ここでは、ビット線の電位はVRM以上VRH以下と
なるものとする。また、書き込む記憶セルのある行の書き込みワード線(例えば、Qn)
には、書き込みトランジスタがオンとなるような信号が、順次、与えられ、また、同じ行
の読み出しワード線(例えば、Pn)とバイアス線(例えば、Sn)には、それぞれが適
切な電位となるような信号が与えられる。このときの書き込みワード線の電位をVQH、
読み出しワード線の電位をVPM、バイアス線の電位をVSMとする。
【0102】
一方、それ以外の行の書き込みワード線には、書き込みトランジスタがオフとなるような
信号が与えられ、また、読み出しワード線とバイアス線には、それぞれが適切な電位とな
るような信号が与えられる。このときの書き込みワード線の電位をVQL,読み出しワー
ド線の電位をVPM、バイアス線の電位をVSHとする。
【0103】
ここで、読み出しトランジスタをオフとするためには、読み出しワード線の電位VPHは
、(VPM+(VRH−VRM))以上であること、および、バイアス線の電位VSHは
、(VRM+(VPH−VPM))以下であることが好ましい。例えば、ビット線の電位
が、VRM、VRM+α、VRM+2α、VRM+3α(α>0)の4段階の値を取ると
すれば、VRH=VRM+3α、であるので、読み出しワード線の電位VPHは、(VP
M+3α)以上であることが好ましい。
【0104】
実施の形態1では、VRM=0[V]、α=1[V]、VPM=0[V]、VSM=0[
V]、VPH=+3[V]、VSH=0[V]であり、上記の条件を満たす。実施の形態
1では、バイアス線の電位(VSM、VSH)は、書き込みの際、常に0Vに保持されて
いた(すなわち、VSM=VSH=0)が、当該行にデータ書き込む場合と、書き込まな
い場合とで変動させてもよい。
【0105】
以上を考慮した信号のタイミングチャートを図2に示す。図2は、書き込みワード線(Q
n−1、Qn、Qn+1)、ビット線(Rm−1、Rm、Rm+1)、読み出しワード線
(Pn−1、Pn、Pn+1)に印加するパルスの例を示す。パルスの波高や振幅の大き
さは概念的なものである。パルスの持続時間は書き込みトランジスタの特性を考慮して決
定すればよい。
【0106】
図では、書き込みワード線(Qn−1、Qn、Qn+1)に印加される各パルスが重なら
ないようにしているが、例えば、書き込みワード線Qn−1にパルスが印加される時間の
一部が書き込みワード線Qnにパルスが印加される時間と重なってもよい。また、VQL
は、書き込みトランジスタのしきい値以下であることが必要であり、実施の形態1では、
−3ボルトとした。また、VQHは書き込みトランジスタのしきい値以上であることが必
要であり、実施の形態1では、+4ボルトとした。しかし、これら以外の値を取ることも
可能である。
【0107】
ビット線(Rm−1、Rm、Rm+1)に印加される信号は複数のパルスからなり、その
高さは、さまざまとすることができる。ここでは、VRM、VRM+α、VRM+2α、
VRM+3α(α>0)という4段階とする。これらのパルスは書き込みワード線のパル
スと完全に同期するのではなく、書き込みワード線のパルスが開始して、一定の時間(τ
)をおいた後、開始することが好ましく、また、書き込みワード線のパルスが終了した
後、一定の時間(τ)をおいた後、終了することが好ましい。ここで、τ<τある
いはτ>τとしてもよいが、回路設計上、τ=τとなるように設定することが好
ましい。
【0108】
また、読み出しワード線(Pn−1、Pn、Pn+1)に印加するパルスも書き込みワー
ド線に印加されるパルスに同期させるか、少し遅らせればよい。なお、書き込みトランジ
スタのドレインの電位を、確実に設定した値とするためには、読み出しワード線(Pn−
1、Pn、Pn+1)に印加するパルスは、同じ行の書き込みワード線に印加されるパル
スが終了した後、一定の時間を経過した後に、終了することが好ましい。
【0109】
このようにして、各記憶セルの書き込みトランジスタのドレインの電位が決定される。こ
の電位により、各書き込みトランジスタのドレインに生じる電荷量が決定される。ここで
、電位VRL、VRL+α、VRL+2α、VRL+3αに対応する電荷量を、それぞれ
、Q0、Q1,Q2,Q3とすると、各記憶セルの電荷量は、表1のようになる。書き込
みトランジスタとして、オフ状態でのソースとドレイン間のリーク電流が少ないものを用
いることにより、これらの電荷は、この半導体メモリ装置への電源供給が停止された後で
も、相当の長時間(10時間以上)にわたって保持されうる。
【0110】
【表1】

【0111】
次に読み出し方法について、図3(A)および(B)を用いて説明する。図3(B)では
、読み出しをおこなうための方法の一例の原理を示す。図3(B)示すように、ビット線
Rmの終端部には、キャパシタ13、キャパシタ13の電極の電位を測定する手段11、
キャパシタ13に電位を与える手段12、スイッチ14が設けられている。
【0112】
最初、スイッチ14をオン状態として、キャパシタ13に電位を与える手段12により、
キャパシタ13の記憶セル側の電極(図の上側)の電位(すなわち、ビット線Rmの電位
)をある特定の電位VRLとする。そして、スイッチ14をオフ状態とする。その後、何
らかの事情により、ビット線Rmの電位が変動すれば、キャパシタの電極の電位を測定す
る手段11により、電位の変動が観測できる。一連の操作が終了すれば、再度、ビット線
Rmの電位をVRLとする。
【0113】
読み出しをおこなう行では、読み出しトランジスタが、バイアス線の電位によってオンと
なったり、オフとなったりする。例えば、図3(A)に示すように、バイアス線Sn−1
、Sn、Sn+1に3種類の高さ(VS1、VS2、VS3)のパルスを順次入力する。
【0114】
実施の形態1において、図4(D)乃至(F)に関連して説明したことから明らかなよう
に、読み出しトランジスタのゲートの電位とバイアス線の電位に応じて、読み出しトラン
ジスタはオン状態、オフ状態を取りうる。ここでは、高さVS1のパルスでは、記憶セル
に保持された電荷がQ0の場合に、読み出しトランジスタがオンとなり、高さVS2のパ
ルスでは、記憶セルに保持された電荷がQ0とQ1の場合に、読み出しトランジスタがオ
ンとなり、高さVS3のパルスでは、記憶セルに保持された電荷がQ0、Q1、Q2の場
合に、読み出しトランジスタがオンとなるものとする。
【0115】
読み出しトランジスタがオンとなれば、ビット線の電位が、バイアス線の電位に近づく、
あるいは同一となる。この変動を図3(B)のキャパシタの電極の電位を測定する手段1
1で測定することにより、読み出しトランジスタがオンとなったか否かを観測できる。
【0116】
例えば、同じ記憶セルに3種類の高さの異なるパルスが印加されると、その記憶セルに保
持されていた電荷がQ0であれば、すべての高さのパルスに応答して、キャパシタの電位
が変動する。すなわち、3回のパルスが観測される。
【0117】
しかし、その記憶セルに保持されていた電荷がQ1であれば、一番低いパルスには応答せ
ず、残りの2回のパルスに応答するので、2回のパルスが観測される。同様に、その記憶
セルに保持されていた電荷がQ2であれば、一番高いパルスにのみ応答するので、1回の
パルスが観測され、その記憶セルに保持されていた電荷がQ3であれば、どのパルスにも
応答せず、1回もパルスが観測されない。
【0118】
このように、記憶セルごとに何回パルスが発生したかを記録することで、記憶セルに書き
込まれていた情報を知ることができる。例えば、図3(A)によれば、第(n+1)行第
(m−1)列の記憶セルは、一連の読み出しにおいて、3回パルスを発生させている。こ
れは、保持されていた電荷がQ0であったために、バイアス線Snに印加されるすべての
パルスに応答して、オン状態となり、ビット線Rmの電位がバイアス線Snの電位と同じ
あるいはそれに近い値となったためである。
【0119】
逆に、第n行第m列の記憶セルは、一回もパルスを発生させなかった。これはこの記憶セ
ルの電荷量がQ3と最も多かったため、もっとも高いVS3のパルスでもオン状態となら
なかったからである。このようにして、各記憶セルが発したパルスを集計すると表2のよ
うになる。以上のようにして、各記憶セルに記憶されていたデータを読み出すことができ
る。以上の例では、行ごとに順次、データを読み出す例を示したが、同じような方法で、
特定の記憶セルのデータのみを読み出すこともできる。
【0120】
【表2】

【0121】
なお、上記のように発生するパルスの数により記憶セルに保持されていた電荷量を知る以
外に、直接、電圧を測定して知ることもできる。例えば、図3(C)のように、読み出し
ワード線Pnの電位を−3V、書き込みワード線Qnの電位を−3Vとすると、書き込み
トランジスタWTr(n,m)はオフ状態であり、読み出しトランジスタRTr(n,m
)のゲートの電位は、−3V以上0V以下となる。
【0122】
また、ビット線Rmの終端には図3(B)のキャパシタ13が接続され、ビット線Rmの
電位は0Vであったとする。また、当初、バイアス線Snの電位は0Vであったとすると
、この状態では、読み出しトランジスタRTr(n,m)のゲートの電位が−3V、−2
V、−1Vであれば、読み出しトランジスタRTr(n,m)はオン状態であるが、ソー
スとドレインの電位が等しいため、電流は流れない。また、読み出しトランジスタRTr
(n,m)のゲートの電位が0Vであれば、読み出しトランジスタRTr(n,m)はオ
フ状態である。
【0123】
次に、バイアス線Snの電位を−3Vまで下げると、読み出しトランジスタRTr(n,
m)のゲートの電位が0V以外の場合に、読み出しトランジスタRTr(n,m)のソー
スとドレイン間に電流が流れる。ただし、ビット線Rmの終端がキャパシタ13であるの
で、ビット線Rmの電位が一定の値となると電流は流れなくなる。
【0124】
例えば、読み出しトランジスタRTr(n,m)のゲートの電位が、−2Vであったとす
ると、ビット線Rmの電位は0Vから低下する。ビット線Rmの電位が−1Vになった段
階では、読み出しトランジスタRTr(n,m)のゲートの電位(−2V)がソースの電
位(−1V)より1Vだけ低いので読み出しトランジスタRTr(n,m)はオン状態で
ある。しかし、さらにビット線Rmの電位が低下すると、読み出しトランジスタRTr(
n,m)のゲートの電位(−2V)とソースの電位(ビット線Rmの電位で−1V未満)
との差が1V未満となるためオフ状態となる。その結果、ビット線Rmの電荷量が変化せ
ず、ビット線Rmの電位はほぼ一定となる。
【0125】
この場合、ビット線Rmの電位は−1Vより低いが、−2Vまで下がる前に読み出しトラ
ンジスタRTr(n,m)がオフとなるため、ビット線Rmの電位は−2V以上−1V未
満である。このときのビット線Rmの電位は、図3(B)の電位を測定する手段11によ
って検出できる。すなわち、ビット線Rmの電位が−2V以上−1V未満であれば、読み
出しトランジスタRTr(n,m)のゲートの電位は、−2Vであったと推測でき、この
ことから、この記憶セルに書き込まれたデータを知ることができる。
【0126】
同様に、読み出しトランジスタRTr(n,m)のゲートの電位が−3V、−1Vであれ
ば、ビット線Rmの電位は、それぞれ、−3V以上−2V未満、−1V以上0V未満であ
る。読み出しトランジスタRTr(n,m)のゲートの電位が0Vであれば、読み出しト
ランジスタRTr(n,m)はオフ状態を保つため、ビット線Rmの電位は0Vから変化
しない。このようにしても、書き込み時の電荷量を知ることができる。
【0127】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1および2で説明した半導体メモリ装置の形状や作製方法
の例について説明する。本実施の形態では、書き込みトランジスタWTrは、亜鉛とイン
ジウムを含有する酸化物半導体を用い、読み出しトランジスタRTrとしては、単結晶シ
リコン半導体を用いる。そのため、書き込みトランジスタWTrは読み出しトランジスタ
RTrの上に積層して設けられる。
【0128】
すなわち、単結晶シリコン基板上に設けられた単結晶シリコン半導体を用いた絶縁ゲート
型トランジスタを読み出しトランジスタRTrとし、その上に、酸化物半導体を用いたト
ランジスタを形成して、これを書き込みトランジスタWTrとする。なお、本実施の形態
は単結晶シリコン基板上に半導体メモリ装置を形成する例について説明するが、それ以外
の基板上に設けることも可能である。
【0129】
図7に本実施の形態の半導体メモリ装置の記憶セルのレイアウト例を示す。図7(A)は
単結晶シリコン基板上に設けられた主要な配線・電極等を示す。基板上に素子分離領域1
02を形成する。基板上には、導電性の材料やドーピングされたシリコンを用いた導電性
領域106a、106bを形成し、その一部は、読み出しトランジスタRTrのソース、
ドレインとなる。導電性領域106bの一部はバイアス線となる。導電性領域106a、
106bは読み出しトランジスタRTrの読み出しゲート110で分離されている。導電
性領域106aには第1接続電極111が設けられる。
【0130】
図7(B)は、図7(A)の回路の上に形成される酸化物半導体を用いたトランジスタを
中心とした主要な配線や電極等を示す。島状の酸化物半導体領域112と第1配線114
a、114bを形成する。ここでは、第1配線114aは書き込みワード線、第1配線1
14bは読み出しワード線となる。第1配線114aの一部は酸化物半導体領域112と
重なって、書き込みトランジスタWTrのゲート電極となる。また、酸化物半導体領域1
12は、下層の読み出しゲート110と接続する。第1配線114bは、読み出しゲート
110との重なりの部分において、キャパシタを形成する。また、酸化物半導体領域11
2から上層(例えば、ビット線)への接続のための第2接続電極117が設けられている

【0131】
読み出しゲート110としては、後に形成する酸化物半導体とオーミック接触を形成する
材料が好ましい。そのような材料としては、その仕事関数Wが酸化物半導体の電子親和力
φ(酸化物半導体の導電帯の下限と真空準位の間のエネルギー差)とほぼ同じか小さい材
料が挙げられる。すなわち、W<φ+0.3[電子ボルト]の関係を満たせばよい。例え
ば、チタン、モリブデン、窒化チタン等である。
【0132】
図7(A)および(B)を重ね合わせると、図7(C)に示すようになる。ここでは、重
なりが分かるように、意図的に少しずらして重ねてある。さらに、酸化物半導体を用いた
トランジスタの上に形成される第2配線118(ビット線等)も図示してある。
【0133】
なお、図7(A)乃至(C)の点A、点Bは同じ位置を示すものである。このような素子
のデザインルールは、実施者が適宜、選択できるが、集積度を高める点では、各トランジ
スタのチャネル幅を10nm以上0.1μm以下、チャネル長を10nm以上0.1μm
以下とすると好ましい。
【0134】
以下、上記の構造の半導体メモリ装置の作製方法について説明する。図8および図9は図
7の点Aと点Bを結ぶ断面である。本実施の形態では、基板として、n型の単結晶シリコ
ン基板を用いるが、p型の単結晶シリコン基板にn型のウェルを形成し、その上に本実施
の形態のトランジスタを設けてもよい。以下、図の番号にしたがって、作製工程を説明す
る。
【0135】
<図8(A)>
まず、公知の半導体製造技術を用いて、n型の単結晶シリコン基板101上に、図8(A
)に示すように、素子分離領域102,p型にドーピングされたシリコン等よりなる導電
性領域106a、106b、第1ゲート絶縁膜103、ダミーゲート104、第1層間絶
縁物107を形成する。図8(A)では、ダミーゲート104が2カ所表示されているが
、図7から明らかなように、これらは、ひと続きのものである。
【0136】
ダミーゲート104の側面には、図8(A)に示すようにサイドウォールを設けてもよい
。ダミーゲート104としては、多結晶シリコンを用いるとよい。第1ゲート絶縁膜10
3の厚さはリーク電流を抑制するために厚さ10nm以上であることが好ましい。また、
ゲート容量を、その後に形成するキャパシタの容量よりも小さくする目的で、第1ゲート
絶縁膜103の誘電体として酸化珪素等の比較的、誘電率の低い材料を用いることが好ま
しい。
【0137】
導電性領域106a、106bには、その表面にシリサイド領域105a、105bを設
けて導電性を高める構造としてもよい。また、図7(A)に関連して、説明したように、
導電性領域106bはバイアス線の一部となる。
【0138】
第1層間絶縁物107は単層でも多層でもよく、また、トランジスタのチャネルにひずみ
を与えるためのストレスライナーを含んでもよい。最上層の膜は、スピンコーティング法
によって平坦な膜とすると、その後の工程で有利である。例えば、第1層間絶縁物107
として、プラズマCVD法による窒化珪素膜を形成し、その上にスピンコーティング法に
より得られる平坦な酸化シリコン膜を形成した多層膜を用いてもよい。
【0139】
<図8(B)>
第1層間絶縁物107の表面が十分に平坦である場合には、ドライエッチング法により、
第1層間絶縁物107をエッチングし、ダミーゲート104の上面が現れた時点でドライ
エッチングをやめる。ドライエッチング法の代わりに化学的機械的研磨(CMP)法を用
いてもよいし、最初にCMP法で第1層間絶縁物107の表面を平坦にした後、ドライエ
ッチング法で、さらにエッチングを進めてもよい。あるいは逆に、ドライエッチング法で
ある程度、層間絶縁物をエッチングした後、CMP法で平坦化処理してもよい。かくして
、平坦な表面を有する第1層間絶縁物107aを得る。
【0140】
<図8(C)>
次に、ダミーゲート104を選択的にエッチングして、開口部108を形成する。ダミー
ゲート104の材料として多結晶シリコンを使用している場合には、2乃至40%、好ま
しくは、20乃至25%のTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)を用いればよい
。また、平坦な表面を有する第1層間絶縁物107aに、シリサイド領域105aに達す
る開口部109も形成する。
【0141】
<図8(D)>
単層あるいは多層の導電性材料の膜を堆積する。導電性材料としては、後に形成する酸化
物半導体とオーミック接触を形成する材料が好ましい。また、この導電膜は、読み出しト
ランジスタ(ここではPチャネル型)のゲート電極でもあるので、そのしきい値を決定す
る上でも、仕事関数等の物性値が適切なものが好ましい。ひとつの材料で、これら2つの
要件を満たせない場合は多層の膜にして、それぞれの条件を満足するようにすればよい。
例えば、導電性材料として窒化チタンと窒化タンタルの多層膜を用いるとよい。
【0142】
次に、導電性材料の膜をCMP法で平坦化しつつエッチングする。この作業は、平坦な表
面を有する第1層間絶縁物107aが現れた時点で停止するとよい。かくして、図8(D
)に示すように、読み出しトランジスタの読み出しゲート110、第1接続電極111が
形成される。その後、平坦な表面を有する第1層間絶縁物107aの表面付近に含まれる
水素を低減させるために、フッ素を含むプラズマによる表面処理をおこなう。平坦な表面
を有する第1層間絶縁物107aの水素濃度が十分に低ければ、その処理は必要ない。平
坦な表面を有する第1層間絶縁物107aの表面から100nmの領域における水素濃度
は1×1018cm−3未満、好ましくは、1×1016cm−3未満とするとよい。
【0143】
<図9(A)>
厚さ3乃至30nmの酸化物半導体膜をスパッタ法により形成する。酸化物半導体膜の作
製方法はスパッタ法以外でもよい。酸化物半導体はガリウムとインジウムを含むことが好
ましい。半導体メモリ装置の信頼性を高めるためには、酸化物半導体膜中の水素濃度は、
1×1018cm−3未満、好ましくは1×1016cm−3未満とするとよい。
【0144】
この酸化物半導体膜をエッチングして島状の酸化物半導体領域112を形成する。半導体
特性を改善するため酸化物半導体領域112に熱処理を施してもよい。かくして、読み出
しゲート110と酸化物半導体領域112および第1接続電極111と酸化物半導体領域
112が接触する構造が得られる。
【0145】
その後、第2ゲート絶縁膜113をスパッタ法等の公知の成膜方法で形成する。リーク電
流を減らす目的から、第2ゲート絶縁膜113の厚さは10nm以上が好ましく、また、
ゲート絶縁膜中の水素濃度は、1×10−18cm−3未満、好ましくは、1×1016
cm−3未満とするとよい。
【0146】
ゲート絶縁膜としては、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ランタン、
窒化アルミニウム等を用いるとよい。これらの単層膜のみならず多層膜を用いてもよい。
第2ゲート絶縁膜113は、読み出しゲート110と第1配線114bとで形成されるキ
ャパシタの誘電体でもあり、キャパシタの容量を読み出しトランジスタのゲート容量より
も大きくするために、比誘電率が10以上の材料を用いることが好ましい。ゲート絶縁膜
形成後にも酸化物半導体領域112の特性を改善するため熱処理をしてもよい。
【0147】
<図9(B)>
導電性材料により第1配線114a(書き込みワード線)と第1配線114b(読み出し
ワード線)を形成する。第1配線114aの一部は酸化物半導体を用いたトランジスタの
ゲート電極となる。第1配線114a、114bの材料としては、その仕事関数が酸化物
半導体の電子親和力より0.5電子ボルト以上高い材料が好ましい。例えば、タングステ
ン、金、白金、p型シリコン等である。
【0148】
読み出しゲート110と第1配線114bの間には、第2ゲート絶縁膜113を誘電体と
するキャパシタが形成される。このキャパシタの容量は読み出しゲート110と第1配線
114bの重なりで定義されるが、その重なった部分の面積は100nm以上0.01
μm以下とすることが好ましい。
【0149】
図9(B)では、第1接続電極111の一端と書き込みトランジスタのゲート電極である
第1配線114aの一端、および、読み出しゲート110の一端と第1配線114aの他
端がちょうど一致するように示されている。しかしながら、実際には、マスクあわせの精
度により、第1配線114aは、図より左側(第1接続電極111側)あるいは右側(読
み出しゲート110側)にずれることがある。その場合、ずれた方と反対側では、第1配
線114aと、第1接続電極111あるいは読み出しゲート110のいずれか一方の電極
との間がオフセット状態となるため、オン状態でのトランジスタの抵抗が高くなる。
【0150】
それを防止するには、第1配線114aの幅を大きくして、少々のずれでも重なるように
する方法が考えられるが、第1配線114aと第1接続電極111や読み出しゲート11
0との寄生容量が生じるので、高速な動作をおこなうには不利である。また、配線の幅を
大きくすることはデザインルールの縮小にも反する。
【0151】
これらの問題を解決するためには、酸化物半導体領域に第1配線114aをマスクとして
自己整合的にn型の領域を形成すればよい。そのためには、公知のイオン注入法を用いて
、酸化物半導体よりも酸化されやすい元素のイオンを注入する。そのような元素としては
、チタン、亜鉛、マグネシウム、シリコン、リン、硼素等が挙げられる。一般に、硼素や
リンは従来の半導体プロセスにおいて使用されているため利用しやすく、特に、上記のよ
うな薄い第2ゲート絶縁膜113,酸化物半導体領域112に注入するには、硼素よりも
原子量の大きいリンが望ましい。
【0152】
これらのイオンには水素が可能な限り含まれないようにすることが望まれる。イオン中の
水素の濃度は好ましくは、0.1%以下とする。水素は酸化物半導体のドナーとなること
が知られているが、イオン中に水素が含まれていると、酸化物半導体に注入された水素が
酸化物半導体中を移動して、素子の信頼性を低下させる。
【0153】
酸化物半導体では、注入されたイオンが酸素と結合するため、酸素欠損が生じて、n型の
導電性を示すようになる。シリコン半導体と異なる点は、シリコン半導体ではイオン注入
後に、結晶性を回復するために熱処理が必要であるが、多くの酸化物半導体では、そのよ
うな熱処理をおこなわなくても高い導電性を得られることにある。
【0154】
かくして、酸化物半導体領域112中にn型の導電性を示す領域115aおよび115b
が形成される。これらの領域のキャリア(電子)濃度が1×10−19cm−3以上とな
るようにイオン注入条件を設定することが好ましい。以上で、基本的な素子構造は完成す
る。
【0155】
<図9(C)>
その後、単層もしくは多層の薄膜よりなる第2層間絶縁物116を形成する。そして、そ
の表面を平坦化して、n型の導電性を示す領域115aに達するコンタクトホールを形成
し、第2接続電極117を埋め込む。その後、第2配線118(ビット線)を形成する。
同様な配線を、第1配線114a、114bと平行に形成してもよい。かくして、図9(
C)に示されるように、書き込みトランジスタ119、読み出しトランジスタ120、キ
ャパシタ121を有する半導体メモリ装置の記憶セルが作製される。
【0156】
(実施の形態4)
本実施の形態では、図5に示した半導体メモリ装置の例について、図10を用いて説明す
る。本実施の形態では、書き込みトランジスタWTrは、ガリウムとインジウムを含有す
る酸化物半導体を用い、読み出しトランジスタRTrとしては、単結晶シリコン半導体を
用いる。そのため、書き込みトランジスタWTrは読み出しトランジスタRTrの上に積
層して設けられる。
【0157】
すなわち、単結晶シリコン基板上に設けられた単結晶シリコン半導体を用いた絶縁ゲート
型トランジスタを読み出しトランジスタRTrとし、その上に、酸化物半導体を用いたト
ランジスタを形成して、これを書き込みトランジスタWTrとする。なお、本実施の形態
では、読み出しトランジスタRTrとして単結晶シリコン半導体を用いる例について説明
するが、それ以外の半導体を用いることも可能である。
【0158】
図10に本実施の形態の半導体メモリ装置の記憶セルのレイアウト例を示す。図10(A
)は単結晶シリコン基板上に設けられた主要な配線・電極等を示す。図10(A)におい
て点線で囲まれた領域200aおよび200bは、それぞれひとつの記憶セルの占有する
領域を示す。例えば、領域200aは、図5の第(2n−1)行第m列の記憶セルの占有
する領域に相当し、領域200bは図5の第2n行第m列の記憶セルの占有する領域に相
当する。
【0159】
基板上には素子分離領域202が形成される。また、基板上には、導電性の材料やドーピ
ングされたシリコンを用いて導電性領域206a、206bを形成する。その一部は、読
み出しトランジスタRTrのドレイン、ソースとなる。導電性領域206aから続く配線
はバイアス線(・・、Sn、Sn+1、・・)となる。導電性領域206a、206bは
読み出しゲート210で分離されている。導電性領域206bには第1接続電極211が
設けられ、上層の回路と接続する。
【0160】
図10(B)は、図10(A)の回路の上に形成される酸化物半導体を用いたトランジス
タを中心とした主要な配線や電極等を示す。島状の酸化物半導体領域212と、導電性材
料によって、第1配線214が形成される。第1配線214は、例えば、書き込みワード
線(・・、Q2n−1、Q2n、Q2n+1、・・)、読み出しワード線(・・、P2n
−1、P2n、P2n+1、・・)となる。
【0161】
書き込みワード線の一部は酸化物半導体領域212と重なって、書き込みトランジスタW
Trのゲート電極となる。また、酸化物半導体領域212は、下層の読み出しゲート21
0と接続する。読み出しワード線は、読み出しゲート210との重なる部分において、キ
ャパシタを形成する。
【0162】
酸化物半導体領域212は、第1接続電極211によって、読み出しトランジスタRTr
のソース(導電性領域206b)と接続する。また、酸化物半導体領域212から上層(
ビット線)への接続のための第2接続電極217が設けられている。第2接続電極217
は、下層と酸化物半導体領域212とを結ぶ第1接続電極211と同じ位置に設けると、
記憶セルの面積を縮小する上で好ましい。
【0163】
図10(A)および(B)を重ね合わせると、図10(C)に示すようになる。ここでは
、重なりが分かるように、意図的に少しずらして重ねてある。さらに、酸化物半導体を用
いたトランジスタの上に形成される導電性材料を用いた第2配線218も図示してある。
第2配線218は、ビット線(・・、Rm−1、Rm、Rm+1、・・)となり、第2接
続電極217で、酸化物半導体領域212に接続する。
【0164】
以上のような構造の半導体メモリ装置の作製には、実施の形態3で示した方法を用いれば
よい。
【0165】
(実施の形態5)
本実施の形態では、実施の形態1とは異なる方法で、図1(A)および(B)に示す半導
体メモリ回路を動作させる例について、図11を用いて説明する。なお、電位として、以
下に具体的な数値を挙げるが、それは、本発明の技術思想の理解を助けることが目的であ
る。言うまでもなく、それらの値はトランジスタやキャパシタ等のさまざまな特性によっ
て、あるいは実施者の都合によって変更される。
【0166】
ここでは、書き込みトランジスタWTr(n,m)はNチャネル型、読み出しトランジス
タRTr(n,m)をPチャネル型とする。書き込みトランジスタWTr(n,m)は、
ゲートの電位が、ソースあるいはドレインのいずれか一方の電位より1V以上高くなると
オンになるとし、それ以外はオフであるとする。また、読み出しトランジスタRTr(n
,m)は、ゲートの電位が、ソースあるいはドレインのいずれか一方の電位より1V以上
低くなるとオンになるとし、それ以外はオフであるとする。
【0167】
また、読み出しトランジスタRTr(n,m)のゲート容量のうち、ゲートバイアスによ
って変動する分はキャパシタC(n,m)の容量に比べて無視できるものとする。さらに
、書き込みトランジスタWTr(n,m)の寄生容量や読み出しトランジスタRTr(n
,m)の寄生容量、その他、配線間の寄生容量等、図に示されていない容量はすべて0と
して考える。
【0168】
また、図11では、オン状態であるトランジスタは記号に丸印を、オフ状態であるトラン
ジスタは記号に×印を重ねて表記する。特定の条件でオンになるものについては、別途、
図中に記載することもある。
【0169】
<図11(A)>(第n行への書き込み)
書き込み時には、図11(A)に示すように、読み出しワード線Pnとバイアス線Snの
電位を0Vとする。また、ビット線Rmの電位は、書き込むデータに応じて、0V、+1
V、+2V、+3Vの4段階の値をとるものとする。そして、書き込みワード線Qnの電
位を、+4Vとすると、書き込みトランジスタWTr(n,m)がオンとなり、書き込み
トランジスタWTr(n,m)のドレインの電位は書き込みトランジスタのソース(すな
わち、ビット線Rm)の電位に近づく。ここでは、ビット線Rmの電位と等しくなるもの
とする。
【0170】
一方、この段階では読み出しトランジスタRTr(n,m)のゲートの電位は、書き込み
トランジスタWTr(n,m)のドレインの電位と等しい。すなわち、読み出しトランジ
スタRTr(n,m)のゲートの電位は0V以上であり、読み出しトランジスタRTr(
n,m)のソース(すなわち、ビット線Rm)の電位と同じである。
【0171】
また、読み出しトランジスタRTr(n,m)のドレイン(すなわち、バイアス線Sn)
の電位は0Vである。したがって、読み出しトランジスタRTr(n,m)のゲートの電
位は、ソースやドレインの電位と同じか高いので、読み出しトランジスタRTr(n,m
)はオフ状態である。このようにして、データを書き込むことができる。
【0172】
<図11(B)>(第n行以外の行への書き込み)
次に、第n行以外の行の書き込みをおこなう場合には、図11(B)に示すように、書き
込みワード線Qnの電位を、0Vとする。また、読み出しワード線Pnの電位を+3V、
バイアス線Snの電位を0Vとする。一方、ビット線Rmの電位は、書き込みのおこなわ
れる行に書き込むデータに応じて、0V、+1V、+2V、+3Vの4段階の値をとる。
【0173】
書き込みトランジスタWTr(n,m)のドレインの電位は、読み出しワード線Pnとキ
ャパシタC(n,m)を介して接続しているため、読み出しワード線Pnの電位の変動(
すなわち、図11(A)の0Vから図11(B)の+3Vへの上昇)により、3V上昇す
る。すなわち、書き込まれたデータに応じて、+3V、+4V、+5V、+6Vのいずれ
かの値となる。
【0174】
また、この状態では、書き込みトランジスタWTr(n,m)のソース(ビット線Rm)
の電位(0〜+3V)や書き込みトランジスタWTr(n,m)のドレインの電位(+3
〜+6V)よりも、書き込みトランジスタWTr(n,m)のゲートの電位が低いため、
書き込みトランジスタWTr(n,m)はオフとなる。
【0175】
さらに、読み出しトランジスタRTr(n,m)のソース(ビット線Rm)の電位(0〜
+3V)や読み出しトランジスタRTr(n,m)のドレイン(バイアス線Sn)の電位
(0V)よりも、読み出しトランジスタRTr(n,m)のゲートの電位が高いため、読
み出しトランジスタRTr(n,m)はオフとなる。
【0176】
<図11(C)>(読み出し)
次に、読み出しについて説明する。図11(C)に示すように、書き込みワード線Qnの
電位を、0Vとする。また、読み出しワード線Pn、バイアス線Snの電位を、+3Vと
する。この状態では、書き込みトランジスタWTr(n,m)のドレインの電位は、書き
込まれたデータに応じて、+3V、+4V、+5V、+6Vのいずれかとなり、ビット線
Rmの電位が0V以上+3V以下にあれば、書き込みトランジスタWTr(n,m)、読
み出しトランジスタRTr(n,m)ともオフである。すなわち、読み出さない行につい
ては、このようにして書き込みトランジスタ、読み出しトランジスタをオフとする。
【0177】
<図11(D)>(読み出し)
一方、読み出す行については、バイアス線Snの電位を+3ボルトよりも大きくする。例
えば、図11(D)に示すように、バイアス線Snの電位が+4Vのとき、読み出しトラ
ンジスタRTr(n,m)のゲートの電位が+3Vであれば、読み出しトランジスタRT
r(n,m)はオンとなる。
【0178】
あらかじめ、ビット線の電位を+3Vとしておけば、ビット線Rmに電流が流れるので、
これを検知することによって、読み出しトランジスタRTr(n,m)がオン状態である
ことを知ることができる。あるいは、ビット線Rmの終端がキャパシタであるならば、バ
イアス線Snの電位に近づくので、やはり、読み出しトランジスタRTr(n,m)がオ
ン状態であることを知ることができる。
【0179】
<図11(E)>(読み出し)
同様に、図11(E)に示すように、バイアス線Snの電位が、+5Vになれば、読み出
しトランジスタRTr(n,m)のゲートの電位が+3Vと+4Vであれば、読み出しト
ランジスタRTr(n,m)はオンとなる。
【0180】
<図11(F)>(読み出し)
また、図11(F)に示すように、バイアス線Snの電位が、+6Vになれば、読み出し
トランジスタRTr(n,m)のゲートの電位が+3Vと+4Vと+5Vであれば、読み
出しトランジスタRTr(n,m)はオンとなる。
【0181】
バイアス線Snの電位を+6Vにしても、読み出しトランジスタRTr(n,m)がオフ
のままであれば、書き込みトランジスタWTr(n,m)のドレインの電位(=読み出し
トランジスタRTr(n,m)のゲートの電位)は、+6Vであったと推測できる。
【0182】
このようにして4段階のデータ(2ビット)を書き込み・読み出しできる。もちろん、同
様にして、さらに多くのデータ、例えば、8段階のデータ(3ビット)、16段階のデー
タ(4ビット)を書き込み・読み出しできる。本実施の形態では、上記の説明のように、
書き込みおよび読み出しにおいて、正の電位のみを用いておこなうことができる。
【0183】
上記の説明では、寄生容量や読み出しトランジスタRTr(n,m)のゲート容量をキャ
パシタC(n,m)の容量に対して、無視したが、現実の記憶セルではそれらを考慮した
上で、与える電位を決定する必要がある。読み出しトランジスタRTr(n,m)のゲー
ト容量は、オン状態とオフ状態で大きく変動するので、読み出しトランジスタRTr(n
,m)のゲートの電位がその影響を受ける。読み出しトランジスタRTr(n,m)のゲ
ート容量のキャパシタC(n,m)の容量に対する比率が大きいほど、その影響が大きい
ので、好ましくは、キャパシタC(n,m)の容量は読み出しトランジスタRTr(n,
m)のゲート容量の2倍以上とするとよい。
【0184】
(実施の形態6)
本実施の形態では、図5に示す半導体メモリ回路を動作させる例について、図12および
図13を用いて説明する。ここでは、書き込みトランジスタWTr(2n−1,m)およ
びWTr(2n,m)はNチャネル型、読み出しトランジスタRTr(2n−1,m)お
よびRTr(2n,m)はPチャネル型とする。
【0185】
書き込みトランジスタWTr(2n−1,m)、WTr(2n,m)は、ゲートの電位が
、ソースあるいはドレインのいずれか一方の電位より1V以上高くなるとオンになるとし
、それ以外はオフであるとする。また、読み出しトランジスタRTr(2n−1,m)、
RTr(2n,m)は、ゲートの電位が、ソースあるいはドレインのいずれか一方の電位
より1V以上低くなるとオンになるとし、それ以外はオフであるとする。
【0186】
また、読み出しトランジスタRTr(2n−1,m)、RTr(2n,m)のゲート容量
のうち、ゲートバイアスによって変動する分はキャパシタC(n,m)の容量に比べて無
視できるものとする。さらに、書き込みトランジスタWTr(2n−1,m)、WTr(
2n,m)の寄生容量や読み出しトランジスタRTr(2n−1,m)、RTr(2n,
m)の寄生容量、その他、配線間の寄生容量等、図に示されていない容量はすべて0とし
て考える。
【0187】
また、図12および図13では、オン状態であるトランジスタは記号に丸印を、オフ状態
であるトランジスタは記号に×印を重ねて表記する。特定の条件でオンになるものについ
ては、別途記載することもある。
【0188】
<図12(A)>(第(2n−1)行への書き込み)
第(2n−1)行への書き込み時には、図12(A)に示すように、読み出しワード線P
2n−1、書き込みワード線Q2n、バイアス線Snの電位を0Vとする。読み出しワー
ド線P2nの電位は+3Vとする。また、ビット線Rmの電位は、書き込むデータに応じ
て、0V、+1V、+2V、+3Vの4段階の値をとるものとする。なお、このときの書
き込みトランジスタWTr(2n,m)のドレインの電位は、+3Vとする。
【0189】
そして、書き込みワード線Q2n−1の電位を、+4Vとすると、書き込みトランジスタ
WTr(2n−1,m)がオンとなり、書き込みトランジスタWTr(2n−1,m)の
ドレインの電位は書き込みトランジスタのソース(すなわち、ビット線Rm)の電位に近
づく。ここでは、ビット線Rmの電位と等しくなるものとする。
【0190】
一方、この段階では読み出しトランジスタRTr(2n−1,m)のゲートの電位は、書
き込みトランジスタWTr(2n−1,m)のドレインの電位と等しい。すなわち、読み
出しトランジスタRTr(2n−1,m)のゲートの電位は0V以上であり、読み出しト
ランジスタRTr(2n−1,m)のソース(すなわち、ビット線Rm)の電位と同じで
ある。
【0191】
また、読み出しトランジスタRTr(2n−1,m)のドレイン(すなわち、バイアス線
Sn)の電位は0Vである。したがって、読み出しトランジスタRTr(2n−1,m)
のゲートの電位は、ソースやドレインの電位と同じか高いので、読み出しトランジスタR
Tr(2n−1,m)はオフ状態である。
【0192】
さらに、書き込みトランジスタWTr(2n,m)のゲートの電位(0V)は、そのソー
ス(すなわち、ビット線Rm)の電位(0V以上+3V以下)やドレインの電位(+3V
)よりも低いので、書き込みトランジスタWTr(2n,m)はオフ状態である。また、
読み出しトランジスタRTr(2n,m)のゲート(すなわち、書き込みトランジスタW
Tr(2n,m)のドレイン)の電位(+3V)は、そのソース(すなわち、ビット線R
m)の電位(0V以上+3V以下)やドレインの電位(0V)よりも高いので、やはり、
オフ状態である。このようにして、第(2n−1)行の記憶セルにデータを書き込むこと
ができる。
【0193】
<図12(B)>(第2n行への書き込み)
次に、第2n行の書き込みをおこなう場合には、図12(B)に示すように、書き込みワ
ード線Q2n−1および読み出しワード線P2nの電位を、0Vとする。また、読み出し
ワード線P2n−1の電位を+3V、バイアス線Snの電位を0Vとする。一方、ビット
線Rmの電位は、書き込むデータに応じて、0V、+1V、+2V、+3Vの4段階の値
をとる。
【0194】
書き込みトランジスタWTr(2n−1,m)のドレインの電位は、読み出しワード線P
2n−1とキャパシタC(2n−1,m)を介して接続しているため、読み出しワード線
P2n−1の電位の変動(すなわち、図12(A)の0Vから図12(B)の+3Vへの
上昇)により、3V上昇する。すなわち、書き込まれたデータに応じて、+3V、+4V
、+5V、+6Vのいずれかの値となる。
【0195】
そして、書き込みワード線Q2nの電位を、+4Vとすると、書き込みトランジスタWT
r(2n,m)がオンとなり、書き込みトランジスタWTr(2n,m)のドレインの電
位は書き込みトランジスタのソース(すなわち、ビット線Rm)の電位に近づく。ここで
は、ビット線Rmの電位と等しくなるものとする。
【0196】
一方、この段階では読み出しトランジスタRTr(2n,m)のゲートの電位は、書き込
みトランジスタWTr(2n,m)のドレインの電位と等しい。すなわち、読み出しトラ
ンジスタRTr(2n,m)のゲートの電位は0V以上であり、読み出しトランジスタR
Tr(2n,m)のソース(すなわち、ビット線Rm)の電位と同じである。
【0197】
また、読み出しトランジスタRTr(2n,m)のドレイン(すなわち、バイアス線Sn
)の電位は0Vである。したがって、読み出しトランジスタRTr(2n−1,m)のゲ
ートの電位は、ソースやドレインの電位と同じか高いので、読み出しトランジスタRTr
(2n,m)はオフ状態である。また、書き込みトランジスタWTr(2n−1,m)、
読み出しトランジスタRTr(2n−1,m)もオフ状態である。このようにして、第2
n行の記憶セルにデータを書き込むことができる。
【0198】
<図12(C)>(他の行への書き込み)
次に、上記以外の行の書き込みをおこなう場合には、図12(C)に示すように、書き込
みワード線Q2n−1、Q2nの電位を、0Vとする。また、読み出しワード線P2n−
1、P2nの電位を+3V、バイアス線Snの電位を0Vとする。一方、ビット線Rmの
電位は、書き込みのおこなわれる行に書き込むデータに応じて、0V、+1V、+2V、
+3Vの4段階の値をとる。
【0199】
書き込みトランジスタWTr(2n,m)のドレインの電位は、読み出しワード線P2n
とキャパシタC(2n,m)を介して接続しているため、読み出しワード線P2nの電位
の変動(すなわち、図12(B)の0Vから図12(C)の+3Vへの上昇)により、3
V上昇する。すなわち、書き込まれたデータに応じて、+3V、+4V、+5V、+6V
のいずれかの値となる。書き込みトランジスタWTr(2n−1,m)のドレインの電位
も同様に+3V、+4V、+5V、+6Vのいずれかの値となる。
【0200】
また、この状態では、書き込みトランジスタWTr(2n−1,m)およびWTr(2n
,m)のソース(ビット線Rm)の電位(0〜+3V)や書き込みトランジスタWTr(
2n−1,m)およびWTr(2n,m)のドレインの電位(+3〜+6V)よりも、書
き込みトランジスタWTr(2n−1,m)および書き込みトランジスタWTr(2n,
m)のゲートの電位(0V)が低いため、書き込みトランジスタWTr(2n−1,m)
およびWTr(2n,m)はオフとなる。
【0201】
さらに、読み出しトランジスタRTr(2n−1,m)およびRTr(2n,m)のソー
ス(ビット線Rm)の電位(0〜+3V)や読み出しトランジスタRTr(2n−1,m
)およびRTr(2n,m)のドレイン((バイアス線Sn)の電位(0V))よりも、
読み出しトランジスタRTr(2n−1,m)およびRTr(2n,m)のゲートの電位
(+3〜+6V)が高いため、読み出しトランジスタRTr(2n−1,m)および読み
出しトランジスタRTr(2n,m)はオフとなる。
【0202】
<図13(A)>(読み出し)
次に、読み出しについて説明する。図13(A)に示すように、読み出しワード線P2n
−1、P2nの電位を0V、書き込みワード線Q2n−1、Q2n、バイアス線Snの電
位を、−3Vとする。この状態では、読み出しトランジスタRTr(2n−1,m)、R
Tr(2n,m)のゲートの電位は、書き込まれたデータに応じて、0V、+1V、+2
V、+3Vのいずれかとなる。
【0203】
ビット線Rmの電位が−3V以上0V以下であれば、書き込みトランジスタWTr(2n
−1,m)、WTr(2n,m)読み出しトランジスタRTr(2n−1,m)、RTr
(2n,m)ともオフである。すなわち、読み出さない行については、このようにして、
当該行のトランジスタをオフとする。
【0204】
<図13(B)>(第2n行の読み出し[1])
次に、読み出しワード線P2nの電位を−3V、ビット線Rmの電位を−3Vとする。こ
の結果、読み出しトランジスタRTr(2n,m)のゲートの電位は、書き込まれたデー
タに応じて、−3V、−2V、−1V、0Vのいずれかとなる。この状態では、書き込み
トランジスタWTr(2n,m)、読み出しトランジスタRTr(2n,m)ともオフで
ある。しかしながら、バイアス線Snの電位を変動させると、読み出しトランジスタRT
r(2n,m)をオン状態とすることもできる。例えば、図13(B)に示すように、バ
イアス線Snの電位が、−2Vになれば、読み出しトランジスタRTr(2n,m)のゲ
ートの電位が、−3Vの場合には、読み出しトランジスタRTr(2n,m)はオンとな
る。
【0205】
<図13(C)>(第2n行の読み出し[2])
同様に、図13(C)に示すように、バイアス線Snの電位が、−1Vになれば、読み出
しトランジスタRTr(2n,m)のゲートの電位が、−3Vと−2Vの場合には、読み
出しトランジスタRTr(2n,m)はオンとなる。
【0206】
<図13(D)>(第2n行の読み出し[3])
また、図13(D)に示すように、バイアス線Snの電位が、0Vになれば、読み出しト
ランジスタRTr(2n,m)のゲートの電位が、−3Vと−2Vと−1Vの場合には、
読み出しトランジスタRTr(2n,m)はオンとなる。
【0207】
バイアス線Snの電位を0Vにしても、読み出しトランジスタRTr(2n,m)がオフ
のままであれば、読み出しトランジスタRTr(2n,m)のゲートの電位は、0Vであ
ったと推測できる。
【0208】
同様に、第(2n−1)行の記憶セルのデータも読み出すことができる。以上の例では、
4段階のデータ(2ビット)を書き込み・読み出しの例を示したが、同様にして、さらに
多くのデータ、例えば、8段階のデータ(3ビット)、16段階のデータ(4ビット)を
書き込み・読み出しできる。上記の説明では、寄生容量や読み出しトランジスタRTr(
n,m)のゲート容量をキャパシタC(n,m)の容量に対して、無視したが、現実の記
憶セルではそれらを考慮した上で、与える電位を決定する必要がある。
【0209】
(実施の形態7)
本実施の形態では、図6(A)および(B)に示す半導体メモリ回路を動作させる例につ
いて、図14および図15を用いて説明する。なお、電位として、以下に具体的な数値を
挙げるが、それは、本発明の技術思想の理解を助けることが目的である。言うまでもなく
、それらの値はトランジスタやキャパシタのさまざまな特性によって、あるいは実施者の
都合によって変更される。
【0210】
ここでは、書き込みトランジスタWTrをNチャネル型、読み出しトランジスタRTrを
Pチャネル型とする。書き込みトランジスタWTrは、ゲートの電位が、ソースあるいは
ドレインのいずれか一方の電位より1V以上電位が高くなるとオンになるとし、それ以外
はオフであるとする。また、読み出しトランジスタRTrは、ゲートの電位が、ソースあ
るいはドレインのいずれか一方の電位より1V以上低くなるとオンになるとし、それ以外
はオフであるとする。
【0211】
また、読み出しトランジスタRTrのゲート容量のうち、ゲートバイアスによって変動す
る分はキャパシタCの容量に比べて無視できるものとする。さらに、書き込みトランジス
タWTrの寄生容量や読み出しトランジスタRTrの寄生容量、その他、配線間の寄生容
量等、図に示されていない容量はすべて0として考える。
【0212】
また、図14および図15では、オン状態であるトランジスタは記号に丸印を、オフ状態
であるトランジスタは記号に×印を重ねて表記する。特定の条件でオンになるものについ
ては、別途、記載する。以下の説明では、第(n−1)行第m列の記憶セルと第n行第m
列の記憶セルに注目して説明する。
【0213】
<図14(A)>(第(n−1)行への書き込み)
第(n−1)行の記憶セルへの書き込み時には、図14(A)に示すように、読み出しワ
ード線Pn−1と書き込みワード線Qn、Qn+1の電位を0V、読み出しワード線Pn
とPn+1の電位を+4Vとする。また、ビット線Rmの電位は、書き込むデータに応じ
て、0V、+1V、+2V、+3Vの4段階の値をとるものとする。また、書き込みトラ
ンジスタWTr(n,m)のドレイン(すなわち、読み出しトランジスタRTr(n,m
)のゲート)の電位は、当初、+4V以上+7V以下であったとする。
【0214】
そして、書き込みワード線Qn−1の電位を、+4Vとすると、書き込みトランジスタW
Tr(n−1,m)がオンとなり、書き込みトランジスタWTr(n−1,m)のドレイ
ンの電位は書き込みトランジスタのソース(すなわち、ビット線Rm)の電位に近づく。
ここでは、ビット線Rmの電位と等しくなるものとする。
【0215】
一方、この段階では読み出しトランジスタRTr(n−1,m)のゲートの電位は、書き
込みトランジスタWTr(n−1,m)のドレインの電位と等しい。すなわち、読み出し
トランジスタRTr(n−1,m)のゲートの電位は、読み出しトランジスタRTr(n
−1,m)のソース(すなわち、ビット線Rm)の電位と同じである。
【0216】
また、読み出しトランジスタRTr(n−1,m)のドレイン(すなわち、書き込みワー
ド線Qn)の電位は0Vである。したがって、読み出しトランジスタRTr(n−1,m
)のゲートの電位は、ソースやドレインの電位と同じか高いので、読み出しトランジスタ
RTr(n−1,m)はオフ状態である。
【0217】
なお、書き込みトランジスタWTr(n,m)のゲートの電位(0V)は、そのソース(
すなわち、ビット線Rm)の電位(0〜+3V)、ドレイン(+4〜+7V)と同じか低
いので書き込みトランジスタWTr(n,m)はオフ状態であり、読み出しトランジスタ
RTr(n,m)のゲートの電位(+4〜+7V)は、そのソース(すなわち、ビット線
Rm)の電位(0〜+3V)、ドレイン(すなわち、書き込みワード線Qn+1)の電位
(0V)より高いので読み出しトランジスタRTr(n,m)もオフ状態である。このよ
うにして、第(n−1)行の記憶セルにデータを書き込むことができる。
【0218】
<図14(B)>(第n行への書き込み)
第n行の記憶セルへの書き込み時には、図14(B)に示すように、読み出しワード線P
nと書き込みワード線Qn−1、Qn+1の電位を0V、読み出しワード線Pn−1とP
n+1の電位を+4Vとする。また、ビット線Rmの電位は、書き込むデータに応じて、
0V、+1V、+2V、+3Vの4段階の値をとるものとする。
【0219】
読み出しワード線Pn−1の電位が4V上昇したため、読み出しトランジスタRTr(n
−1,m)のゲート(すなわち、書き込みトランジスタWTr(n−1,m)のドレイン
)の電位も同様に上昇し、+4V以上+7V以下となる。
【0220】
そして、書き込みワード線Qnの電位を、+4Vとすると、書き込みトランジスタWTr
(n,m)がオンとなり、書き込みトランジスタWTr(n,m)のドレインの電位は書
き込みトランジスタのソース(すなわち、ビット線Rm)の電位に近づく。ここでは、ビ
ット線Rmの電位と等しくなるものとする。
【0221】
一方、この段階では読み出しトランジスタRTr(n,m)のゲートの電位は、書き込み
トランジスタWTr(n,m)のドレインの電位と等しい。すなわち、読み出しトランジ
スタRTr(n,m)のゲートの電位は、読み出しトランジスタRTr(n,m)のソー
ス(すなわち、ビット線Rm)の電位と同じである。
【0222】
また、読み出しトランジスタRTr(n,m)のドレイン(すなわち、書き込みワード線
Qn+1)の電位は0Vである。したがって、読み出しトランジスタRTr(n,m)の
ゲートの電位(ビット線Rmの電位)は、ソースやドレインの電位と同じか高いので、読
み出しトランジスタRTr(n,m)はオフ状態である。
【0223】
なお、書き込みトランジスタWTr(n−1,m)のゲートの電位(0V)は、そのソー
ス(すなわち、ビット線Rm)の電位(0〜+3V)、ドレイン(+4〜+7V)と同じ
か低いので書き込みトランジスタWTr(n−1,m)はオフ状態であり、読み出しトラ
ンジスタRTr(n−1,m)のゲートの電位(+4〜+7V)は、そのソース(すなわ
ち、ビット線Rm)の電位(0〜+3V)、ドレイン(すなわち、書き込みワード線Qn
)の電位(+4V)と同じか高いのでオフ状態である。このようにして、第n行の記憶セ
ルにデータを書き込むことができる。
【0224】
<図14(C)>(第(n+1)行への書き込み)
第(n+1)行の記憶セルへの書き込み時には、図14(C)に示すように、読み出しワ
ード線Pn+1と書き込みワード線Qn−1、Qnの電位を0V、読み出しワード線Pn
−1とPnの電位を+4Vとする。また、ビット線Rmの電位は、書き込むデータに応じ
て、0V、+1V、+2V、+3Vの4段階の値をとるものとする。
【0225】
読み出しワード線Pnの電位が4V上昇したため、読み出しトランジスタRTr(n,m
)のゲート(すなわち、書き込みトランジスタWTr(n,m)のドレイン)の電位も同
様に上昇し、+4V以上+7V以下となる。
【0226】
そして、書き込みワード線Qn+1の電位を、+4Vとすることによって、第(n+1)
行の記憶セルにデータを書き込める。
【0227】
この段階では書き込みトランジスタWTr(n,m)のゲートの電位(0V)は、そのド
レインの電位(+4〜+7V)やソース(すなわち、ビット線Rm)の電位(0〜+3V
)と等しいか低いので、書き込みトランジスタWTr(n,m)はオフ状態である。
【0228】
また、読み出しトランジスタRTr(n,m)のゲートの電位(+4〜+7V)はそのド
レイン(すなわち、書き込みワード線Qn+1)の電位(+4V)やソース(すなわち、
ビット線Rm)の電位(0〜+3V)と等しいか高いので読み出しトランジスタRTr(
n,m)もオフ状態である。
【0229】
さらに、書き込みトランジスタWTr(n−1,m)のゲートの電位(0V)は、そのソ
ース(すなわち、ビット線Rm)の電位(0〜+3V)、ドレイン(+4〜+7V)と同
じか低いので書き込みトランジスタWTr(n−1,m)はオフ状態であり、読み出しト
ランジスタRTr(n−1,m)のゲートの電位(+4〜+7V)は、そのソース(すな
わち、ビット線Rm)の電位(0〜+3V)、ドレイン(すなわち、書き込みワード線Q
n)の電位(0V)より高いのでオフ状態である。このようにして、第(n+1)行の記
憶セルにデータを書き込むことができる。
【0230】
<図14(D)>(その他の行への書き込み)
上記以外の行の記憶セルへの書き込み時には、図14(D)に示すように、書き込みワー
ド線Qn−1、Qn、Qn+1の電位を0V、読み出しワード線Pn−1、Pn、Pn+
1の電位を+4Vとする。また、ビット線Rmの電位は、書き込みのおこなわれる行に書
き込むデータに応じて、0V、+1V、+2V、+3Vの4段階の値をとるものとする。
【0231】
この状態では書き込みトランジスタWTr(n,m)のゲートの電位(0V)は、そのド
レインの電位(+4〜+7V)やソース(すなわち、ビット線Rm)の電位(0〜+3V
)と等しいか低いので、書き込みトランジスタWTr(n,m)はオフ状態である。
【0232】
また、読み出しトランジスタRTr(n,m)のゲートの電位(+4〜+7V)はそのド
レイン(すなわち、書き込みワード線Qn+1)の電位(0V)やソース(すなわち、ビ
ット線Rm)の電位(0〜+3V)より高いので読み出しトランジスタRTr(n,m)
もオフ状態である。
【0233】
さらに、書き込みトランジスタWTr(n−1,m)のゲートの電位(0V)は、そのソ
ース(すなわち、ビット線Rm)の電位(0〜+3V)、ドレイン(+4〜+7V)と同
じか低いので書き込みトランジスタWTr(n−1,m)はオフ状態であり、読み出しト
ランジスタRTr(n−1,m)のゲートの電位(+4〜+7V)は、そのソース(すな
わち、ビット線Rm)の電位(0〜+3V)、ドレイン(すなわち、書き込みワード線Q
n)の電位(0V)より高いのでオフ状態である。
【0234】
<図15(A)>(読み出し)
次に、読み出しについて説明する。以下では、第n行の記憶セルの読み出しについて説明
するが、それ以外の行の記憶セルの読み出しについても同様におこなうことができる。図
15(A)に示すように、書き込みワード線Qn−1、Qn、Qn+1の電位を0Vとす
る。また、読み出しワード線Pn−1、Pn、Pn+1の電位を、+3Vとする。
【0235】
この状態では、書き込みトランジスタWTr(n,m)のドレインの電位は、書き込まれ
たデータに応じて、+3V、+4V、+5V、+6Vのいずれかとなり、ビット線Rmの
電位が0V以上+3V以下であれば、書き込みトランジスタWTr(n,m)、読み出し
トランジスタRTr(n,m)ともオフである。同様に、書き込みトランジスタWTr(
n−1,m)、読み出しトランジスタRTr(n−1,m)もオフである。すなわち、読
み出さない行については、このようにして書き込みトランジスタ、読み出しトランジスタ
をオフとする。
【0236】
<図15(B)>(読み出し)
一方、読み出す行については、読み出しワード線Pnの電位を+3ボルトよりも小さくす
る。例えば、図15(B)に示すように、ビット線Rmの電位を+3Vとした状態で、読
み出しワード線Pnの電位を+2Vにする。このとき、読み出しトランジスタRTr(n
,m)のゲートの電位は、+2V以上+5V以下となり、中でも、+2Vの場合は、ソー
ス(すなわち、ビット線Rm)の電位(+3V)より低いので、読み出しトランジスタR
Tr(n,m)はオンとなる。
【0237】
書き込みの際には、0V、+1V、+2V、+3Vの4種類の電位が与えられたが、ここ
で、オンになるのは、書き込みの際に0Vの電位が与えられた場合である。読み出しトラ
ンジスタRTr(n,m)がオンとなったことは、他の実施例の場合と同様に、様々な方
法で知ることができる。
【0238】
<図15(C)>(読み出し)
同様に、図15(C)に示すように、読み出しワード線Pnの電位が、+1Vになれば、
読み出しトランジスタRTr(n,m)のゲートの電位は、+1V以上+4V以下となる
。そのうち、+1Vと+2Vの場合には、読み出しトランジスタRTr(n,m)はオン
となる。ここで、オンになるのは、書き込みの際に0Vまたは+1Vの電位が与えられた
場合である。
【0239】
<図15(D)>(読み出し)
また、図15(D)に示すように、読み出しワード線Pnの電位が、0Vになれば、読み
出しトランジスタRTr(n,m)のゲートの電位は、0V以上+3V以下となる。その
うち、0Vと+1Vと+2Vの場合には、読み出しトランジスタRTr(n,m)はオン
となる。ここで、オンになるのは、書き込みの際に0V、+1V、+2Vの電位が与えら
れた場合である。
【0240】
読み出しワード線Pnの電位を0Vにしても、読み出しトランジスタRTr(n,m)が
オフのままであれば、読み出しトランジスタRTr(n,m)のゲートの電位は、+3V
であったと推測できる。これは、書き込みの際に+3Vの電位が与えられた場合である。
【0241】
以上の過程において、書き込みトランジスタWTr(n,m)、WTr(n−1,m)、
読み出しトランジスタRTr(n−1,m)はオフ状態を保つ。このようにして4段階の
データ(2ビット)を書き込み・読み出しできる。もちろん、同様にして、さらに多くの
データ、例えば、8段階のデータ(3ビット)、16段階のデータ(4ビット)を書き込
み・読み出しできる。
【0242】
上記の説明では、寄生容量や読み出しトランジスタRTr(n,m)のゲート容量をキャ
パシタC(n,m)の容量に対して、無視したが、現実の記憶セルではそれらを考慮した
上で、与える電位を決定する必要がある。
【0243】
(実施の形態8)
本実施の形態では、図16(A)に示す半導体メモリ回路の動作の例について、図17お
よび図18を用いて説明する。なお、電位として、以下に具体的な数値を挙げるが、それ
は、技術思想の理解を助けることが目的である。言うまでもなく、それらの値はトランジ
スタやキャパシタのさまざまな特性によって、あるいは実施者の都合によって変更される
。また、図16(A)に示される半導体メモリ装置は、以下の方法以外の方法によっても
、データを書き込み、あるいは読み出すことができる。
【0244】
ここでは、書き込みトランジスタWTr1、WTr2、WTr3をNチャネル型、読み出
しトランジスタRTr1、RTr2、RTr3をPチャネル型とする。また、書き込みト
ランジスタは、ゲートの電位が、ソースあるいはドレインのいずれか低い方の電位より1
V以上高くなるとオンになるとし、それ以外はオフであるとする。また、読み出しトラン
ジスタは、ゲートの電位が、ソースあるいはドレインのいずれか高い方の電位より1V以
上低くなるとオンになるとし、それ以外はオフであるとする。
【0245】
また、読み出しトランジスタのゲート容量のうち、ゲートバイアスによって変動する分は
キャパシタCの容量に対して無視できるものとする。さらに、書き込みトランジスタWT
rの寄生容量や読み出しトランジスタRTrの寄生容量、その他、配線間の寄生容量等、
図に示されていない容量はすべて0として考える。また、図17および図18では、オン
状態であるトランジスタには丸印を、オフ状態であるトランジスタには×印をそれぞれ、
トランジスタの記号に重ねて表記する。特定の条件でオンになるものについては、図中に
別途記載することもある。以下の例では、バイアス線Sの電位は常時0Vであるとする。
【0246】
最初に、この記憶ユニットへの書き込みについて説明する。書き込みは、一番右の記憶セ
ルから始める。書き込み時には、図17(A)に示すように、読み出しワード線P1、P
2、P3の電位を0Vとする。また、ビット線Rの電位は、書き込むデータに応じて、0
V、+1V、+2V、+3Vの4段階の値をとるものとする。
【0247】
そして、書き込みワード線Q1、Q2、Q3の電位を、+4Vとすると、書き込みトラン
ジスタWTr1、WTr2、WTr3がオンとなり、書き込みトランジスタWTr3のド
レインの電位(すなわち、ノードF3の電位)はビット線Rの電位に近づく。ここでは、
ビット線Rの電位と等しくなるものとする。
【0248】
一方、この段階では、読み出しトランジスタRTr1、RTr2、RTr3はオフ状態で
ある。そして、図17(B)に示すように、書き込みワード線Q3の電位を0Vとする。
すると、書き込みトランジスタWTr3はオフとなるため、ノードF3には、直前のビッ
ト線Rの電位が保持される。このようにして、一番右側の記憶セルにデータを書き込むこ
とができる。
【0249】
次に、中央の記憶セルにデータを書き込む。図17(B)の状態では、ノードF2の電位
は、ビット線Rの電位と等しくなる。そして、書き込みワード線Q2の電位を0Vとする
(図17(C)参照)と、書き込みトランジスタWTr2がオフとなるので、ノードF2
では、直前のビット線Rの電位が保持される。このようにして、中央の記憶セルにデータ
を書き込むことができる。
【0250】
このようにして、すべての記憶セルにデータを書き込むことができる。当該記憶ユニット
内に書き込む作業を必要としない場合(当該記憶ユニット以外の記憶ユニットにデータを
書き込む場合等)は、図17(D)に示すように、読み出しワード線P1の電位を+3V
とするとよい。このときノードF1の電位は、+3V以上+6V以下となる。ビット線R
の電位は0V以上+3V以下であるので、読み出しトランジスタRTr1はオフ状態を保
つことができる。
【0251】
次に読み出しについて図18を用いて説明する。まず、当該記憶ユニット以外の行の読み
出しをおこなう場合には、図18(A)に示すように、書き込みワード線Q1、Q2、Q
3の電位を0V、読み出しワード線P1、P2、P3の電位を+4Vとする。こうすると
、書き込みトランジスタWTr1、WTr2、WTr3はオフとなる。また、ノードF1
、F2、F3の電位は、+4V以上+7V以下である。そして、ビット線Rの電位は、後
で説明するように0V以上+4V以下であるので、読み出しトランジスタRTr1、RT
r2、RTr3はオフを維持できる。
【0252】
当該記憶ユニットの読み出しをおこなうには、図18(B)に示すように、書き込みワー
ド線Q1、Q2、Q3の電位を0V、読み出しワード線P1、P2、P3の電位を0Vと
する。また、ビット線の電位を+4Vとする。このときには、書き込みトランジスタWT
r1、WTr2、WTr3はオフとなるが、ノードF1、F2、F3の電位が0V以上+
3V以下であり、読み出しトランジスタRTr1、RTr2、RTr3はオンとなる。こ
のため、ビット線Rとバイアス線Sの間に電流が流れる。
【0253】
もし、ビット線Rの終端がキャパシタであれば、ビット線Rとバイアス線Sの間に電流が
流れると、当初の電位(+4V)は、バイアス線Sの電位(0V)に近づくこととなる。
最終的な電位は、ノードF1、F2、F3の電位の最小値で決まるが、いずれにせよ、ビ
ット線Rの電位は0V以上+4V以下で変動することとなる。
【0254】
以下では、記憶ユニットのうち、中央の記憶セルのデータを読み出すものとする。図18
(C)に示すように読み出しワード線P2の電位を+1Vに上昇させると、ノードF2の
電位は、書き込まれたデータに応じて+1V、+2V、+3V、+4Vのいずれかとなる
。ここで、ノードF2の電位が+4Vであれば、読み出しトランジスタRTr2はオフと
なるため、ビット線Rとバイアス線Sの間に電流が流れなくなる。
【0255】
この段階で、ノードF2の電位が+4Vであるのは、書き込みの時にビット線の電位が+
3Vであった場合である。すなわち、読み出しワード線P2の電位を+1Vとしたときに
読み出しトランジスタRTr2がオフであれば、書き込みの時にビット線Rの電位が+3
Vであったとわかる。このようにして、保持されているデータの値を知ることができる。
【0256】
さらに、図18(D)に示すように読み出しワード線P2の電位を+2Vに上昇させると
、ノードF2の電位は、書き込まれたデータに応じて+2V、+3V、+4V、+5Vの
いずれかとなる。ここで、ノードF2の電位が+4Vか+5Vであれば、読み出しトラン
ジスタRTr2はオフとなるため、ビット線Rとバイアス線Sの間に電流が流れなくなる

【0257】
このことを検知してデータの値を知ることができる。すなわち、この段階で、読み出しト
ランジスタRTr2のゲートの電位が+4Vあるいは+5Vであるのは、書き込みの時に
ビット線Rの電位が+2Vあるいは+3Vであった場合であり、読み出しワード線P2の
電位が+1V(すなわち、図18(C)の状態)では、オン状態であったのに、+2Vに
なるとオフ状態となった場合には、書き込みの時にビット線Rの電位が+2Vであったと
きである。
【0258】
同様に、図18(E)に示すように読み出しワード線P2の電位を+3Vに上昇させると
、ノードF2の電位は、書き込まれたデータに応じて+3V、+4V、+5V、+6Vの
いずれかとなる。ここで、ノードF2の電位が+4Vか+5V、+6Vであれば、読み出
しトランジスタRTr2はオフとなるため、ビット線Rとバイアス線Sの間に電流が流れ
なくなる。すなわち、書き込みの時にビット線の電位が+1V、+2V、+3Vのいずれ
かであった場合である。
【0259】
書き込みの時にビット線の電位が0Vであった場合には、読み出しワード線P2の電位を
+3Vとした場合、ノードF2の電位は+3Vであり、依然としてオンである。すなわち
、読み出しワード線P2の電位が+3Vでもビット線Rとバイアス線Sの間に電流が流れ
る場合は、書き込みの時にビット線の電位が0Vであったとわかる。
【0260】
以上は、読み出しワード線P2の電位を段階的に変化させてデータの値を知る方法である
が、電位を測定することによってもデータの値を知ることもできる。例えば、図18(F
)に示すように、ビット線の端にキャパシタを設け、記憶セル側の電位を0Vとしておく

【0261】
また、書き込みワード線Q1、Q2、Q3と読み出しワード線P1、P3の電位を−3V
とする。この状態では、ノードF1、F3とも電位は−3V以上0V以下であるため、ノ
ードF2の電位を適切なものとすることにより、読み出しトランジスタRTr1、RTr
2、RTr3をオンとし、ビット線Rの電位をバイアス線Sの電位(0V)と近づけるこ
とができる。例えば、ノードF2が0V以下であれば、ビット線Rのキャパシタの電位は
0V以上+1V未満となる。
【0262】
はじめに、読み出しワード線P2を+3Vとすると、ノードF2の電位は+3V以上+6
V以下であるので、この段階では読み出しトランジスタRTr2はオフである。しかし、
次に読み出しワード線P2の電位を0Vに下げると、ノードF2の電位は0V以上+3V
以下となり、読み出しトランジスタRTr2はオンとなる。
【0263】
先に説明したように、ノードF2の電位が0Vであれば、ビット線Rのキャパシタの電位
は0V以上+1V未満となる。ここで、ノードF2の電位が0Vとなるのは、書き込み時
のビット線の電位が0Vであった場合である。
【0264】
同様に、ノードF2の電位が+1Vであれば、ビット線Rのキャパシタの電位は+1V以
上+2V未満、ノードF2の電位が+2Vであれば、ビット線Rのキャパシタの電位は+
2V以上+3V未満、ノードF2の電位が+3Vであれば、ビット線Rのキャパシタの電
位は+3V以上+4V未満となる。そして、それぞれの場合において、書き込み時のビッ
ト線の電位が特定できる。すなわち、ビット線Rのキャパシタの電位を測定することによ
り、ノードF2の電位を知ることができ、そのことから、書き込み時のビット線の電位を
知ることができる。
【0265】
このようにして4段階のデータ(2ビット)を書き込み・読み出しできる。もちろん、同
様にして、さらに多くのデータ、例えば、8段階のデータ(3ビット)、16段階のデー
タ(4ビット)を書き込み・読み出しできる。
【0266】
上記の説明では、寄生容量や読み出しトランジスタRTr(n,m)のゲート容量をキャ
パシタC(n,m)の容量に対して、無視したが、現実の記憶セルではそれらを考慮した
上で、与える電位を決定する必要がある。
【0267】
読み出しトランジスタRTr(n,m)のゲート容量は、オン状態とオフ状態で大きく変
動するので、読み出しトランジスタRTr(n,m)のゲートの電位はその影響を受ける
。読み出しトランジスタRTr(n,m)のゲート容量のキャパシタC(n,m)の容量
に対する比率が大きいほど、その影響が大きいので、好ましくは、キャパシタC(n,m
)の容量は読み出しトランジスタRTr(n,m)のゲート容量の2倍以上とするとよい

【0268】
(実施の形態9)
本実施の形態では、実施の形態8で説明した半導体メモリ装置の形状や作製方法の例につ
いて説明する。本実施の形態では、書き込みトランジスタは、ガリウムとインジウムを含
有する酸化物半導体を用い、読み出しトランジスタとしては、単結晶シリコン半導体を用
いる。そのため、書き込みトランジスタは読み出しトランジスタの上に積層して設けられ
る。なお、詳細な作製方法等に関しては、公知の半導体製造技術あるいは実施の形態3を
参照するとよい。
【0269】
図22に本実施の形態の半導体メモリ装置の記憶ユニットのレイアウト例を示す。本実施
の形態では、単位記憶ユニットは4つの記憶セルを有する。
【0270】
図22(A)は単結晶シリコン基板上に設けられた主要な配線・電極等を示す。基板上に
素子分離領域302を形成する。基板上には、導電性の材料(シリサイド等)やドーピン
グされたシリコンを用いた導電性領域306を形成する。導電性領域306の一部は、読
み出しトランジスタのソース、ドレインとなる。また、導電性領域306の一部はバイア
ス線Sの一部ともなる。導電性領域306は読み出しトランジスタの読み出しゲート31
0で分離されている部分もある。導電性領域306の一部には第1接続電極311が設け
られる。
【0271】
導電性領域306を用いて、バイアス線Sを形成すると集積度を高めることができる。し
かしながら、その場合には、バイアス線Sは、書き込みワード線、読み出しワード線と平
行である(すなわち、ビット線と直交する)ことが好ましい。なお、図に示すように、バ
イアス線Sを隣接する記憶ユニット(バイアス線Sをはさんで右側の記憶ユニット)と共
有することにより集積度を高められる。
【0272】
読み出しゲート310や第1接続電極311の材料としては、実施の形態3(あるいは図
8)に記載される読み出しゲート110や第1接続電極111に用いるような材料を用い
ればよい。
【0273】
図22(B)は、図22(A)の回路の上に形成される酸化物半導体を用いたトランジス
タを中心とした主要な配線や電極等を示す。複数の島状の酸化物半導体領域312と複数
の第1配線314を形成する。第1配線314は、書き込みワード線Q1、Q2、Q3、
Q4、あるいは読み出しワード線P1、P2、P3、P4となる。
【0274】
第1配線314の一部は酸化物半導体と重なって、書き込みトランジスタのゲート電極と
なる。また、酸化物半導体領域312は、下層の読み出しゲート310と接触する。第1
配線314の一部は、読み出しゲート310と重なり、キャパシタを形成する。また、酸
化物半導体領域312の一部には、上層(例えば、ビット線R)への接続のための第2接
続電極317が設けられている。
【0275】
図22(A)および(B)を重ね合わせると、図22(C)に示すようになる。ここでは
、重なりが分かるように、意図的に少しずらして重ねてある。さらに、酸化物半導体を用
いたトランジスタの上に形成される第2配線318も図示してある。第2配線318の一
部はビット線Rとなる。なお、図22(A)乃至(C)の点A、点Bは同じ位置を示すも
のである。
【0276】
図22においては、導電性領域306の幅、第1配線314は最小加工線幅Fで加工する
。すなわち、線幅および線間隔はFである。その場合、単位記憶セルの大きさは12F
となる。記憶ユニットには、各記憶セルで共有する部分もあるため、現実には、記憶セル
あたりの面積は12Fより大きくなる。図22に示す記憶ユニットには、4つの記憶セ
ルが設けられているが、記憶ユニット内の記憶セルの数を増やせば、記憶セルあたりの面
積は12Fに近づく。
【0277】
(実施の形態10)
本実施の形態では、図16(B)に示す半導体メモリ回路の動作の例について、図20お
よび図21を用いて説明する。なお、電位として、以下に具体的な数値を挙げるが、それ
は、技術思想の理解を助けることが目的である。言うまでもなく、それらの値はトランジ
スタやキャパシタのさまざまな特性によって、あるいは実施者の都合によって変更される
。また、図16(B)に示される半導体メモリ装置は、以下の方法以外の方法によっても
、データを書き込み、あるいは読み出すことができる。
【0278】
ここでは、書き込みトランジスタWTr1、WTr2、WTr3をNチャネル型、読み出
しトランジスタRTr1、RTr2、RTr3をPチャネル型とする。また、書き込みト
ランジスタは、ゲートの電位が、ソースあるいはドレインのいずれか一方の電位より1V
以上高くなるとオンになるとし、それ以外はオフであるとする。また、読み出しトランジ
スタは、ゲートの電位が、ソースあるいはドレインのいずれか一方の電位より1V以上低
くなるとオンになるとし、それ以外はオフであるとする。
【0279】
また、読み出しトランジスタのゲート容量のうち、ゲートバイアスによって変動する分は
キャパシタCの容量に対して無視できるものとする。さらに、書き込みトランジスタWT
rの寄生容量や読み出しトランジスタRTrの寄生容量、その他、配線間の寄生容量等、
図に示されていない容量はすべて0として考える。また、図20および図21では、オン
状態であるトランジスタには丸印を、オフ状態であるトランジスタには×印をそれぞれ、
トランジスタの記号に重ねて表記する。特定の条件でオンになるものについては、図中に
別途記載することもある。以下の例では、バイアス線Sの電位は常時0Vであるとする。
【0280】
書き込みは、一番右の記憶セルから始める。書き込み時には、図20(A)に示すように
、書き込みワード線Q1、Q2、Q3の電位を+4V、読み出しワード線Pの電位を−4
Vとする。また、ビット線Rの電位は、書き込むデータに応じて、0V、+1V、+2V
、+3Vの4段階の値をとるものとする。
【0281】
この状態では、書き込みトランジスタWTr1、WTr2、WTr3がオンとなり、ノー
ドF3の電位はビット線Rの電位に近づく。ここでは、ビット線Rの電位と等しくなるも
のとする。
【0282】
一方、この段階では、読み出しトランジスタRTr1、RTr2、RTr3はオフ状態で
ある。そして、図20(B)に示すように、書き込みワード線Q3の電位を−4Vとする
。すると、書き込みトランジスタWTr3はオフとなるため、ノードF3では直前のビッ
ト線Rの電位が保持される。このようにして、一番右側の記憶セルにデータを書き込むこ
とができる。
【0283】
次に、中央の記憶セルにデータを書き込む。図20(B)の状態で、ノードF2の電位は
、ビット線Rの電位と等しくなる。そして、書き込みワード線Q2の電位を−4Vとする
(図20(C)参照)と、書き込みトランジスタWTr2がオフとなり、ノードF2では
直前のビット線Rの電位が保持される。このようにして、中央の記憶セルにデータを書き
込むことができる。以下、同様に順にデータを書き込み、すべての記憶セルにデータを書
き込むことができる。
【0284】
当該記憶ユニット内に書き込む作業を必要としない場合は、図20(D)に示すように、
書き込みワード線Q1、Q2、Q3の電位を0V、読み出しワード線Pの電位を0Vとす
るとよい。このときノードF1の電位は、+4V以上+7V以下となる。ビット線Rの電
位は0V以上+3V以下であるので、読み出しトランジスタRTr1、RTr2、RTr
3はオフ状態を保つことができる。
【0285】
次に読み出しについて図21を用いて説明する。まず、当該記憶ユニット以外の行の読み
出しをおこなう場合には、図21(A)に示すように、書き込みワード線Q1、Q2、Q
3の電位を0V、読み出しワード線Pの電位を0Vとする。こうすると、書き込みトラン
ジスタWTr1、WTr2、WTr3はオフとなる。また、ノードF1、F2、F3の電
位は、+4V以上+7V以下である。そして、ビット線Rの電位は、後で説明するように
0V以上+4V以下であるので、読み出しトランジスタRTr1、RTr2、RTr3は
オフを維持できる。
【0286】
当該記憶ユニットの読み出しをおこなうには、図21(B)に示すように、書き込みワー
ド線Q1、Q2、Q3の電位を−4V、読み出しワード線Pの電位を−4Vとする。また
、ビット線の電位を+4Vとする。このときには、書き込みトランジスタWTr1、WT
r2、WTr3はオフとなる。また、ノードF1、F2、F3の電位が0V以上+3V以
下であるので、読み出しトランジスタRTr1、RTr2、RTr3はオンとなる。この
ため、ビット線Rとバイアス線Sの間に電流が流れる。
【0287】
もし、ビット線Rの終端がキャパシタであれば、ビット線Rとバイアス線Sの間に電流が
流れると、当初の電位(+4V)は、バイアス線Sの電位(0V)に近づくこととなる。
最終的な電位は、ノードF1、F2、F3の電位の最小値で決まるが、いずれにせよ、ビ
ット線Rの電位は0V以上+4V以下で変動することとなる。
【0288】
以下では、記憶ユニットのうち、中央の記憶セルのデータを読み出すものとする。図21
(C)に示すように書き込みワード線Q3の電位を−3Vに上昇させると、ノードF2の
電位は、書き込まれたデータに応じて+1V、+2V、+3V、+4Vのいずれかとなる
。ここで、ノードF2の電位が+4Vであれば、読み出しトランジスタRTr2はオフと
なるため、ビット線Rとバイアス線Sの間に電流が流れなくなる。
【0289】
この段階で、ノードF2の電位が+4Vであるのは、書き込みの時にビット線の電位が+
3Vであった場合である。すなわち、書き込みワード線Q3の電位を+1Vとしたときに
読み出しトランジスタRTr2がオフであれば、書き込みの時にビット線Rの電位が+3
Vであったとわかる。このようにして、データの値を知ることができる。
【0290】
さらに、図21(D)に示すように書き込みワード線Q3の電位を−2Vに上昇させると
、ノードF2の電位は、書き込まれたデータに応じて+2V、+3V、+4V、+5Vの
いずれかとなる。ここで、ノードF2の電位が+4Vか+5Vであれば、読み出しトラン
ジスタRTr2はオフとなるため、ビット線Rとバイアス線Sの間に電流が流れなくなる
。ノードF2の電位が+4Vか+5Vとなるのは、書き込み時のビット線の電位が+2V
か+3Vであった場合である。
【0291】
同様に、図21(E)に示すように書き込みワード線Q3の電位を−1Vに上昇させると
、ノードF2の電位は、書き込まれたデータに応じて+3V、+4V、+5V、+6Vの
いずれかとなる。ここで、ノードF2の電位が+4Vか+5V、+6Vであれば、読み出
しトランジスタRTr2はオフとなるため、ビット線Rとバイアス線Sの間に電流が流れ
なくなる。すなわち、書き込みの時にビット線の電位が+1V、+2V、+3Vのいずれ
かであった場合である。
【0292】
書き込みの時にビット線の電位が0Vであった場合には、書き込みワード線Q3の電位を
−1Vとした場合、ノードF2の電位は+3Vであり、依然としてオンのままである。す
なわち、書き込みワード線Q3の電位が−1Vでもビット線Rとバイアス線Sの間に電流
が流れる場合は、書き込みの時にビット線Rの電位が0Vであったとわかる。
【0293】
なお、実施の形態8で、図18(F)を用いて説明したのと同様な手法で、電位を測定す
ることによっても多値のデータを読み出すことができる。
【0294】
このようにして4段階のデータ(2ビット)を書き込み・読み出しできる。もちろん、同
様にして、さらに多くのデータ、例えば、8段階のデータ(3ビット)、16段階のデー
タ(4ビット)を書き込み・読み出しできる。
【0295】
上記の説明では、寄生容量や読み出しトランジスタRTr(n,m)のゲート容量をキャ
パシタC(n,m)の容量に対して、無視したが、現実の記憶セルではそれらを考慮した
上で、与える電位を決定する必要がある。
【0296】
読み出しトランジスタRTr(n,m)のゲート容量は、オン状態とオフ状態で大きく変
動するので、読み出しトランジスタRTr(n,m)のゲートの電位はその影響を受ける
。読み出しトランジスタRTr(n,m)のゲート容量のキャパシタC(n,m)の容量
に対する比率が大きいほど、その影響が大きいので、好ましくは、キャパシタC(n,m
)の容量は読み出しトランジスタRTr(n,m)のゲート容量の2倍以上とするとよい

【0297】
(実施の形態11)
本実施の形態では、実施の形態10で説明した半導体メモリ装置の形状や作製方法の例に
ついて説明する。図23に本実施の形態の半導体メモリ装置の記憶ユニットのレイアウト
例を示す。本実施の形態では、単位記憶ユニットは4つの記憶セルを有する。
【0298】
図23(A)は単結晶シリコン基板上に設けられた主要な配線・電極等を示す。基板上に
素子分離領域402を形成する。また、導電性の材料やドーピングされたシリコンを用い
た導電性領域406を形成し、その一部は、読み出しトランジスタのソース、ドレインと
なる。導電性領域406の一部はバイアス線Sの一部となる。導電性領域406は読み出
しトランジスタの読み出しゲート410で分離されている部分がある。導電性領域406
の一部には第1接続電極411が設けられる。本実施の形態では、第1接続電極411を
隣接する記憶ユニットと共有することにより集積度を高められる。読み出しゲート410
や第1接続電極411の材料としては、実施の形態9に示した読み出しゲート310や第
1接続電極311の条件を満たすものを用いればよい。
【0299】
図23(B)は、図23(A)の回路の上に形成される酸化物半導体を用いたトランジス
タを中心とした主要な配線や電極等を示す。複数の島状の酸化物半導体領域412と複数
の第1配線414を形成する。第1配線414は、書き込みワード線Q1、Q2、Q3、
Q4、あるいは読み出しワード線Pとなる。
【0300】
第1配線414の一部は酸化物半導体と重なって、書き込みトランジスタのゲート電極と
なる。また、酸化物半導体領域412は、下層の読み出しゲート410と接触する。第1
配線414の一部は、読み出しゲート410と重なり、キャパシタを形成する。また、酸
化物半導体領域412には、上層(例えば、ビット線R)への接続のための第2接続電極
417が設けられる。
【0301】
図23(A)および(B)を重ね合わせると、図23(C)に示すようになる。ここでは
、重なりが分かるように、意図的に少しずらして重ねてある。さらに、酸化物半導体を用
いたトランジスタの上に形成される第2配線418も図示してある。第2配線418の一
部はビット線Rとなる。
【0302】
図23(A)乃至(C)の点A、点Bは同じ位置を示すものである。図23においては、
導電性領域406の幅は最小加工線幅Fで加工する。すなわち、線幅および線間隔はFで
ある。その場合、単位記憶セルの大きさは9Fとなる。記憶ユニットには、各記憶セル
で共有する部分もあるため、現実には、記憶セルあたりの面積は9Fより大きくなる。
図23に示す記憶ユニットには、4つの記憶セルが設けられているが、記憶ユニット内の
記憶セルの数を増やせば、記憶セルあたりの面積は9Fに近づく。
【0303】
以下、上記の構造の半導体メモリ装置の作製方法について説明する。図24は図23の点
Aと点Bを結ぶ工程断面図である。以下、図の番号にしたがって、作製工程を説明する。
【0304】
<図24(A)>
まず、公知の半導体製造技術を用いて、n型の単結晶シリコン基板401上に、素子分離
領域402、p型にドーピングされたシリコン領域による導電性領域406、第1ゲート
絶縁膜403、ダミーゲート404、第1層間絶縁物407を形成する。ダミーゲート4
04の側面には、図に示すようにサイドウォールを設けてもよい。導電性領域406には
、その表面にシリサイド領域を設けて導電性を高める構造としてもよい。
【0305】
<図24(B)>
実施の形態3で説明した方法を用いて、読み出しトランジスタの読み出しゲート410、
第1接続電極411を埋め込み形成した後、酸化物半導体領域412を形成する。ここで
は、酸化物半導体領域の厚さを30〜50nmと、その後に形成する第2ゲート絶縁膜4
13の厚さの10nmよりも数倍大きくするため、段差を緩和する目的で、酸化物半導体
領域412の端部をテーパー状に加工する。酸化物半導体領域の端でのテーパー角は30
度ないし60度とするとよい。
【0306】
<図24(C)>
導電性材料により複数の第1配線414を形成する。第1配線414は、書き込みワード
線Q1、Q2、Q3等となる。書き込みワード線Q1、Q2、Q3の一部は酸化物半導体
を用いたトランジスタのゲート電極となる。さらに、n型の導電性を示す領域415、第
2層間絶縁物416、第2接続電極417、第2配線418を形成する。第2配線418
はビット線Rである。かくして、図24(C)に示されるように、書き込みトランジスタ
419a、419b、読み出しトランジスタ420、キャパシタ421を有する半導体メ
モリ装置の記憶セルが作製される。
【0307】
図に示されるように、書き込みワード線Q2は、キャパシタ421の電極および書き込み
トランジスタ419bのゲート電極として形成される。キャパシタ421の部分(すなわ
ち、書き込みワード線Q2と読み出しゲート410に挟まれた部分)の酸化物半導体領域
412はドーピングされていないが、その厚さが50nm以下であるので、半分以上の部
分は弱いn型の導体として機能する。
【符号の説明】
【0308】
11 電位を測定する手段
12 電位を与える手段
13 キャパシタ
14 スイッチ
101 単結晶シリコン基板
102 素子分離領域
103 第1ゲート絶縁膜
104 ダミーゲート
105a シリサイド領域
105b シリサイド領域
106a 導電性領域
106b 導電性領域
107 第1層間絶縁物
107a 平坦な表面を有する第1層間絶縁物
108 開口部
109 開口部
110 読み出しゲート
111 第1接続電極
112 酸化物半導体領域
113 第2ゲート絶縁膜
114a 第1配線
114b 第1配線
115a n型の導電性を示す領域
115b n型の導電性を示す領域
116 第2層間絶縁物
117 第2接続電極
118 第2配線
119 書き込みトランジスタ
120 読み出しトランジスタ
121 キャパシタ
200a 単位記憶セルの領域
200b 単位記憶セルの領域
202 素子分離領域
206a 導電性領域
206b 導電性領域
210 読み出しゲート
211 第1接続電極
212 酸化物半導体領域
214 第1配線
217 第2接続電極
218 第2配線
302 素子分離領域
306 導電性領域
310 読み出しゲート
311 第1接続電極
312 酸化物半導体領域
314 第1配線
317 第2接続電極
318 第2配線
401 単結晶シリコン基板
402 素子分離領域
403 第1ゲート絶縁膜
404 ダミーゲート
406 導電性領域
407 第1層間絶縁物
410 読み出しゲート
411 第1接続電極
412 酸化物半導体領域
413 第2ゲート絶縁膜
414 第1配線
415 n型の導電性を示す領域
416 第2層間絶縁物
417 第2接続電極
418 第2配線
419a 書き込みトランジスタ
419b 書き込みトランジスタ
420 読み出しトランジスタ
421 キャパシタ
P 読み出しワード線
Q 書き込みワード線
R ビット線
S バイアス線
WTr 書き込みトランジスタ
RTr 読み出しトランジスタ
C キャパシタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の配線、第2の配線、第3の配線、第4の配線と、複数の記憶セルよりなるマトリクス状の半導体メモリ装置において、
前記第1の配線乃至第3の配線は並列し、前記第1の配線と前記第4の配線は交差し、
前記記憶セルの少なくとも1つは、第1のトランジスタと第2のトランジスタと第1のキャパシタとを有し、
前記第1のトランジスタのソース又はドレインの一方は前記第2のトランジスタのゲートおよび第1のキャパシタの一方の電極に接続し、
前記第1のトランジスタのゲートは前記第1の配線に接続し、
前記第1のキャパシタの他方の電極は前記第2の配線に接続し、
前記第1のトランジスタのソース又はドレインの他方および前記第2のトランジスタのソース又はドレインの一方は前記第4の配線に接続し、
前記第2のトランジスタのソース又はドレインの他方は前記第3の配線に接続し、
前記第1のトランジスタの導電型は前記第2のトランジスタの導電型と異なることを特徴とする半導体メモリ装置。
【請求項2】
前記第2のトランジスタの導電型がPチャネル型であることを特徴とする請求項1に記載の半導体メモリ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2013−12289(P2013−12289A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−187404(P2012−187404)
【出願日】平成24年8月28日(2012.8.28)
【分割の表示】特願2011−59976(P2011−59976)の分割
【原出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】