説明

半導体記憶装置の制御方法

【課題】処理効率を向上出来る半導体記憶装置の制御方法を提供すること。
【解決手段】複数ビットを保持するメモリセルを備えた半導体記憶装置3が第1レディ状態になったことを受けて制御装置2が第1信号処理を開始し、下位ビットデータが前記半導体記憶装置3に入力、書き込まれるステップS11〜S13と、前記半導体記憶装置3が第1ビジー状態となるステップS14と、遅くとも前記書き込みが終了した時点で前記半導体記憶装置3が第2レディ状態となり、前記第1信号処理が終了するステップS16、S17と、前記半導体記憶装置3が前記第2レディ状態になったことを受けて第2信号処理を開始し、上位ビットデータが前記半導体記憶装置に入力、書き込まれるステップS18〜S20とを具備し、前記上位ビットの書き込みと第2信号処理に要する期間Δt1は前記下位ビットの書き込みと第1信号処理に要する期間Δt2よりも長い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体記憶装置の制御方法に関する。例えば、フラッシュメモリの読み出し時及び書き込み時に行われる信号処理に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、1つのメモリセルで2ビットの情報を保持出来るNAND型フラッシュメモリが知られている(以下、多値NAND型フラッシュメモリと呼ぶ、例えば特許文献1参照)。多値NAND型フラッシュメモリへのデータの書き込みは、まず下位ビットを書き込み、次に上位ビットを書き込む順序で行われる。データはページ単位で書き込まれるが、通常、下位ビットよりも上位ビットの書き込みに時間がかかる。
【0003】
また多値NAND型フラッシュメモリを搭載したシステムLSI等では、多値NAND型フラッシュメモリにおけるデータの書き込み及び読み出しと連動して、種々の信号処理が行われる。
【0004】
従来の方法であると、多値NAND型フラッシュメモリにおいて上位ビットを書き込む際と下位ビットを書き込む際とで、信号処理の1サイクルの期間は同じ長さであることが通常である。しかし、上位ビットと下位ビットとでは書き込みに必要な時間が異なるため、信号処理には無駄な待ち時間が発生する等、処理効率が低いという問題があった。
【特許文献1】特開2001−93288号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、処理効率を向上出来る半導体記憶装置の制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の一態様に係る半導体記憶装置の制御方法は、各々が2ビット以上のデータを保持する複数のメモリセルを備えた半導体記憶装置の制御方法であって、前記半導体記憶装置が、前記データの入力を受け付ける第1レディ状態となるステップと、前記半導体記憶装置が前記第1レディ状態になったことを受けて、制御装置が前記半導体記憶装置に関する第1信号処理を開始し、前記データの下位ビットが前記半導体記憶装置に入力されるステップと、前記メモリセルに前記下位ビットがページ単位で書き込まれるステップと、前記下位ビットの書き込みが開始されることにより前記半導体記憶装置が、前記データの入力を受け付けない第1ビジー状態となるステップと、遅くとも前記下位ビットの書き込みが終了した時点で前記半導体記憶装置が、前記データの入力を受け付ける第2レディ状態となり、前記第1信号処理が終了するステップと、前記半導体記憶装置が前記第2レディ状態になったことを受けて、前記制御装置が前記半導体記憶装置に関する第2信号処理を開始し、前記データの上位ビットが前記半導体記憶装置に入力されるステップと、前記メモリセルに前記上位ビットがページ単位で書き込まれるステップと、遅くとも前記上位ビットの書き込みが終了した時点で、前記第2信号処理が終了するステップとを具備し、前記上位ビットの書き込みに要する期間は前記下位ビットの書き込みに要する期間よりも長く、前記第2信号処理に要する期間は前記第1信号処理に要する期間よりも長い。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、処理効率を向上出来る半導体記憶装置の制御方法を提供出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、この発明の実施形態を図面を参照して説明する。この説明に際し、全図にわたり、共通する部分には共通する参照符号を付す。
【0009】
この発明の第1の実施形態に係る半導体記憶装置の制御方法について図1を用いて説明する。図1は、本実施形態に係るメモリカードのブロック図である。図示するようにメモリカード1は、CPU2及び多値NAND型フラッシュメモリ3を備えている。CPU2及びフラッシュメモリ3はそれぞれ独立した半導体チップである。勿論、両者が同一のLSIに含まれる場合であっても良い。そして、図示せぬホスト(例えばコンピュータ等)の要求に応じて、ホストとフラッシュメモリ3との間のデータの授受がCPU2を介して行われる。CPU2は、フラッシュメモリ3との間でデータの授受を行い、またフラッシュメモリ3内のデータに基づく信号処理やフラッシュメモリ3の監視を行う。
【0010】
フラッシュメモリ3は、メモリセルアレイ10、ロウデコーダ20、センスアンプ30、シフトレジスタ40、電圧発生回路50、ライトステートマシーン60、及び入出力バッファ70を備えている。メモリセルアレイ10の構成について図2を用いて説明する。図2はメモリセルアレイ10の一部領域の回路図である。
【0011】
図示するようにメモリセルアレイ10は、マトリクス状に配置された複数のNANDセルを有している。図2では1行のNANDセルのみを示している。以下、説明の簡単化のため、NANDセルが1行の場合を例に説明を行う。NANDセルの各々は、8個のメモリセルトランジスタMTと、選択トランジスタST1、ST2とを含んでいる。メモリセルトランジスタMTは、半導体基板上にゲート絶縁膜を介在して形成されたフローティングゲートと、フローティングゲート上にゲート間絶縁膜を介在して形成された制御ゲートとを有する積層ゲート構造を備えている。なお、メモリセルトランジスタMTの個数は8個に限られず、16個や32個であってもよく、その数は限定されるものではない。メモリセルトランジスタMTは、隣接するもの同士でソース、ドレインを共有している。そして、選択トランジスタST1、ST2間に、その電流経路が直列接続されるようにして配置されている。そして、直列接続されたメモリセルトランジスタMTの一端側のドレイン領域が選択トランジスタST1のソース領域に接続され、他端側のソース領域が選択トランジスタST2のドレイン領域に接続されている。
【0012】
同一行にあるメモリセルトランジスタMTの制御ゲートはワード線WL0〜WL7のいずれかに共通接続され、同一行にあるメモリセルの選択トランジスタST1、ST2のゲートは、それぞれセレクトゲート線SGD、SGSに共通接続されている。また、メモリセルアレイにおいて同一列にある選択トランジスタST1のドレインはビット線BL0〜BLn(nは自然数)のいずれかに共通接続される。選択トランジスタST2のソースはソース線SLに共通接続される。なお、選択トランジスタST1、ST2は必ずしも両方必要ではなく、NANDセルを選択出来るのであればいずれか一方のみが設けられていても良い。
【0013】
次に上記構成のNANDセルの断面構成について図3を用いて説明する。図3は、NANDセルのビット線方向に沿った断面図である。図示するように、p型半導体基板90の表面領域内にn型ウェル領域91が形成され、n型ウェル領域91の表面領域内にp型ウェル領域92が形成されている。p型ウェル領域92上にはゲート絶縁膜93が形成され、ゲート絶縁膜93上に、メモリセルトランジスタMT及び選択トランジスタST1、ST2のゲート電極が形成されている。メモリセルトランジスタMT及び選択トランジスタST1、ST2のゲート電極は、ゲート絶縁膜93上に形成された多結晶シリコン層94、多結晶シリコン層94上に形成されたゲート間絶縁膜95、及びゲート間絶縁膜95上に形成された多結晶シリコン層96を有している。ゲート間絶縁膜95は、例えばシリコン酸化膜、またはシリコン酸化膜とシリコン窒化膜との積層構造であるON膜、NO膜、またはONO膜で形成される。
【0014】
メモリセルトランジスタMTにおいては、多結晶シリコン層94はフローティングゲート(FG)として機能する。他方、多結晶シリコン層96は、ビット線に直交する方向で隣接するもの同士で共通接続されており、制御ゲート(ワード線WL)として機能する。選択トランジスタST1、ST2においては、多結晶シリコン層94、96はワード線方向で隣接するもの同士で共通接続されている。そして、多結晶シリコン層94、96が、セレクトゲート線SGS、SGDとして機能する。なお、多結晶シリコン層94のみがセレクトゲート線として機能しても良い。この場合、選択トランジスタST1、ST2の多結晶シリコン層96の電位は、一定の電位、またはフローティングの状態とされる。ゲート電極間に位置するp型ウェル領域92表面内には、n型不純物拡散層97が形成されている。不純物拡散層97は隣接するトランジスタ同士で共用されており、ソース(S)またはドレイン(D)として機能する。
【0015】
p型ウェル領域92上には、上記メモリセルトランジスタMT及び選択トランジスタST1、ST2を被覆するようにして、層間絶縁膜98が形成されている。層間絶縁膜98中には、ソース側の選択トランジスタST2の不純物拡散層(ソース)97に達するコンタクトプラグCP1が形成されている。そして層間絶縁膜98上には、コンタクトプラグCP1に接続される金属配線層99が形成されている。金属配線層99はソース線SLとして機能する。また層間絶縁膜98中には、ドレイン側の選択トランジスタST1の不純物拡散層(ドレイン)97に達するコンタクトプラグCP2が形成されている。そして層間絶縁膜98上に、コンタクトプラグCP2に接続される金属配線層100が形成されている。
【0016】
層間絶縁膜98上には、金属配線層99、100を被覆するようにして、層間絶縁膜101が形成されている。そして層間絶縁膜101中に、金属配線層100に達するコンタクトプラグCP3が形成されている。そして、層間絶縁膜101上には、複数のコンタクトプラグCP3に共通に接続された金属配線層102が形成されている。金属配線層102はビット線BLとして機能する。以下では、メモリセルトランジスタMTを単にメモリセルと呼ぶことがある。
【0017】
図1に戻ってフラッシュメモリ3の構成についての説明を続ける。ロウデコーダ20は、書き込み時において、ロウアドレス信号に基づいてワード線WL0〜WL7のいずれか、及びセレクトゲート線SGDを選択し、選択したワード線及びセレクトゲート線SGDに電圧を供給する。またロウデコーダ20は、読み出し時においてロウアドレス信号に基づいて、ワード線WL0〜WL7のいずれか、及びセレクトゲート線SGS、SGDを選択し、選択したワード線及びセレクトゲート線に電圧を供給する。更にロウデコーダ20は、消去時において全ビット線WL0〜WL7を0Vにすると共に、メモリセルが形成されている半導体基板(p型ウェル領域92)に電圧を印加する。
【0018】
センスアンプ30は、ビット線BL0〜BLnに読み出されたデータを増幅する。
シフトレジスタ40は、複数の書き込みデータを保持する。
電圧発生回路50は正のチャージポンプ回路を有している。そして、外部から与えられる電圧Vcc1に基づいて正電圧(例えば20V、7V、5V等)を発生する。電圧発生回路50の発生する正電圧は、ロウデコーダ20やメモリセルアレイ10等に供給される。
【0019】
ライトステートマシーン60は、CPU2から与えられる命令信号に基づいて、フラッシュメモリ3に含まれる各回路の動作を制御し、データの書き込み、消去、読み出しのタイミング制御を行い、また各動作について決められた所定のアルゴリズムを実行する。
【0020】
入出力バッファ70は、CPU2とのデータの授受を司る。例えばセンスアンプ30で増幅した読み出しデータを保持し、更にCPU2へ出力する。また入出力バッファ70は、CPU2より受け取った書き込みデータ及びアドレス信号を保持する。そしてアドレス信号をロウデコーダ20へ供給し、書き込みデータをシフトレジスタ40へ供給する。
【0021】
次に上記構成のフラッシュメモリの動作について簡単に説明する。フラッシュメモリ3は、1つのメモリセルで4種のデータ(2ビットデータ)を保持出来る。図4はメモリセルの閾値分布を示すグラフであり、横軸が閾値電圧Vthを示し、縦軸がメモリセルの存在確率を示す。図示するようにメモリセルは、閾値電圧Vthの低い順に“11”、“01”、“10”、“00”の4つのデータを保持出来る。“11”データを保持するメモリセルの閾値電圧Vthは、Vth<0Vである。“01”データを保持するメモリセルの閾値電圧Vthは、0V<Vth<Vth1である。“10”データを保持するメモリセルの閾値電圧Vthは、Vth1<Vth<Vth2である。“00”データを保持するメモリセルの閾値電圧Vthは、Vth2<Vth<Vth3である。
【0022】
<書き込み動作>
データの書き込み動作について図2、図4及び図5を用いて説明する。図5はメモリセルの閾値分布を示すグラフであり、書き込み時おけるメモリセルの閾値電圧Vthの変化の様子を示している。データは、いずれか1本のワード線に共通接続された複数のメモリセル(これを1ページと呼ぶ)に対して一括して書き込まれる。
【0023】
まずデータの書き込みにあたり、ライトステートマシーン60の命令に従って電圧発生回路50が正電圧(20V、7V)を発生する。またCPU2からは、アドレス信号及び書き込みデータが入出力バッファ70に与えられる。アドレス信号は入出力バッファ70からロウデコーダ20へ与えられ、書き込みデータはシフトレジスタ40へ与えられる。例えば512本のビット線に接続されたメモリセルに一括してデータを書き込む場合、各メモリセルに対応した512個の書き込みデータがシフトレジスタ40に与えられる。なお、データの書き込みは、2ビットデータのうち、下位ビット、上位ビットの順に行われる。
【0024】
書き込みデータが“0”データの場合、シフトレジスタ40はビット線に0Vを与え、“1”データの場合、シフトレジスタ40はビット線に例えば7Vを与える。ロウデコーダ20は、ワード線WL0〜WL7のいずれかを選択し、選択ワード線に20Vを印加し、その他の非選択ワード線に例えば7Vを印加する。またロウデコーダ20は、セレクトゲート線SGDに5Vを与え、セレクトゲート線SGSに0Vを与える。
【0025】
その結果、“0”データが与えられたメモリセルにおいては、ゲート・チャネル間の電位差が十分である(20V)であるのため、FN tunnelingによってフローティングゲートに電子が注入される。よって、メモリセルMCの閾値は増大する方向に変化する。他方、“1”データが与えられたメモリセルにおいては、ゲート・チャネル間の電位差が十分でない(20V−7V=13V)ため、フローティングゲートに電子は注入されない。よってメモリセルMCは従前の閾値を維持する。
以上のようにして、1ページのメモリセルトランジスタに一括してデータが書き込まれる。
【0026】
本実施形態に係る多値NAND型フラッシュメモリであると、メモリセルは2ビットのデータを保持する。データの書き込みは、書き込むべき2ビットデータのうち、まず下位ビットを書き込み(これを第1の書き込みと呼ぶことがある)、次に上位ビットを書き込む(これを第2の書き込みと呼ぶことがある)順番で行われる。この様子を示しているのが図5である。
【0027】
書き込みにあたって、メモリセルは消去状態にある。すなわち、メモリセルの閾値電圧Vthは負の値であり、“11”データを保持した状態である。その状態で、まず下位ビットについてデータの書き込みを行う。下位ビットが“1”の場合には、フローティングゲートに電子は注入されないので閾値電圧Vthは不変である。下位ビットが“0”の場合には、フローティングゲートに電子が注入されるため、閾値電圧Vthは正の方向へ変化し、約Vth1<Vth<Vth2となる。つまり、メモリセルは“10”を保持している時とほぼ同じ閾値となる。
【0028】
次に上位ビットの書き込みを行う。まず下位ビットが“1”であった場合について説明する。下位ビットが“1”で、なおかつ上位ビットも“1”である場合、第2の書き込みにおいてもフローティングゲートに電子は注入されないので、閾値電圧Vthは負の値を維持する。その結果、メモリセルには“11”が書き込まれる。上位ビットが“0”の場合、第2の書き込みでフローティングゲートに電子が注入される。その結果、閾値電圧Vthは負から正の方向へ変化し、0V<Vth<Vth1となる。すなわち、メモリセルには“01”が書き込まれる。
【0029】
次に下位ビットが“0”であった場合について説明する。下位ビットが“0”で、上位ビットが“1”である場合、第2の書き込みにおいてはフローティングゲートに電子が注入されないので、閾値電圧Vthは第1の書き込みの結果の値を維持する。すなわち、Vth1<Vth<Vth2であり、その結果メモリセルには“10”が書き込まれる。上位ビットが“0”の場合、第2の書き込みで更にフローティングゲートに電子が注入される。その結果、閾値電圧Vthは更に正の方向へ変化し、Vth2<Vth<Vth3となる。すなわち、メモリセルには“00”が書き込まれる。
【0030】
<読み出し動作>
次に読み出し動作について図2及び図4を用いて説明する。読み出し時には、ビット線が所定の電圧にプリチャージされる。また、ロウデコーダ20によってセレクトゲート線SGD、SGSに例えば5Vが印加され、選択トランジスタST1、ST2がオン状態とされる。更に、非選択ワード線に例えば7Vが印加され、選択ワード線にVth1が印加される。これが第1の読み出しであり、保持されるデータの下位ビットが“1”であるか“0”であるかを判定する。ビット線に電流が流れれば、メモリセルがVth1でオン状態となっているということであるので、下位ビットが“1”であることが分かる。逆に流れなければ“0”であることが分かる。
【0031】
次に第2の読み出しを行う。第1の読み出しで下位ビットが“1”であると判定された場合、ロウデコーダ20によって選択ワード線に印加される電圧は0Vとされる。ビット線に電流が流れれば、メモリセルの閾値電圧Vthは負であるので、“11”と判定される。電流が流れなければ、メモリセルの閾値電圧Vthは0V<Vth<Vth1であるので、“01”と判定される。
【0032】
第1の読み出しで“0”であると判定された場合、ロウデコーダ20によって選択ワード線に印加される電圧はVth2とされる。ビット線に電流が流れれば、メモリセルの閾値電圧VthはVth1<Vth<Vth2であるので、“10”と判定される。逆に流れなければ、メモリセルの閾値電圧VthはVth>Vth2であるので“00”と判定される。
【0033】
<消去動作>
次にデータの消去動作について説明する。データは、p型ウェル領域92を共用する全てのメモリセルから一括して消去される。消去動作は、FN tunnelingによってフローティングゲートから電子を引き抜くことによって行われる。
【0034】
消去の際、ロウデコーダ20によって全ワード線に0Vが与えられ、p型ウェル領域92には例えば20Vが与えられる。その結果、フローティングゲートから電子がp型ウェル領域92に引き抜かれる。これにより、全メモリセルからデータが消去され、メモリセルの閾値電圧Vthは負の値となる。
【0035】
次に、CPU2において行われる信号処理とそのタイミングについて図6乃至図8を用いて説明する。図6はCPU2とフラッシュメモリ3のブロック図であり、両者の間で授受が行われるデータや信号について示している。図7はフラッシュメモリ3における書き込み動作とフラッシュメモリ3における信号処理のフローチャートであり、図8はその際のタイミングチャートである。
【0036】
まず図6に示すように、CPU2はデータ生成プログラム4、データ処理プログラム5及びメモリ監視プログラム6などを有している。CPU2は、データ生成プログラム4に基づいてフラッシュメモリ3に書き込むべきデータ7を生成する。またCPU2は、データ処理プログラム5に基づいてフラッシュメモリ3から読み出されたデータ8を処理する。更にCPU2は、メモリ監視プログラム6に基づいて、フラッシュメモリ3の状態をモニタする。フラッシュメモリ3はデータ9を保持し、またR/B(Ready/Busy)信号をCPU2へ出力する。R/B信号は、“H”レベルであるときにフラッシュメモリ3がアクセス可能(Ready:レディ状態)であることを示し、“L”レベルであるときにアクセス不可能(Busy:ビジー状態)であることを示す信号である。
【0037】
以上のように、CPU2はフラッシュメモリ3の書き込みデータまたは読み出しデータに基づく処理等を行う。そしてその処理はR/B信号に同期して行われる。これらの処理を以下では一括して「信号処理」と呼ぶことにする。フラッシュメモリ3へのデータの書き込み時を例に挙げて、書き込みタイミングと信号処理タイミングとにつき図7及び図8を用いて説明する。
【0038】
まず書き込みの開始時、フラッシュメモリ3はレディ状態にあるとする(図7のステップS10、図8の時刻t0)。すると、CPU2は信号処理を開始する(ステップS11:第1処理ステージ)。またCPU2は書き込みデータをフラッシュメモリ3へ入力する。前述の通り、まずデータの下位ビットをフラッシュメモリ3へ入力する(ステップS12、時刻t0〜t1)。この際入力されるデータは、一括して書き込まれる1ページ分のデータである。この下位ビットデータがフラッシュメモリ3のシフトレジスタ40に1ページ分転送されると、次にこの下位ビットデータがメモリセルに書き込まれる(ステップS13、時刻t1)。メモリセルにデータを書き込んでいる間、フラッシュメモリ3はビジー状態となり、R/B信号は“L”レベルとなる(ステップS14、時刻t1)。メモリセルへのデータの書き込みは、時刻t1から時刻t2までの期間で行われる。この期間、フラッシュメモリ3はビジー状態を継続する(ステップS15、S16)。
【0039】
下位ビットデータのメモリセルへの書き込みが終了すると(ステップS15)、フラッシュメモリ3はビジー状態からレディ状態へ遷移する(ステップS16、時刻t2)。またCPU2も、第1処理ステージを終了し(ステップS17)、次の信号処理(第2処理ステージ)を開始する(ステップS18)。またCPU2は書き込みデータをフラッシュメモリ3へ入力する。ここで入力されるデータは2ビットデータのうちの上位ビットである(ステップS19、時刻t2〜t3)。この際入力されるデータも、一括して書き込まれる1ページ分のデータである。この上位ビットデータがフラッシュメモリ3のシフトレジスタ40に1ページ分転送されると、次にこの上位ビットデータがメモリセルに書き込まれる(ステップS20、時刻t3)。メモリセルにデータを書き込んでいる間、フラッシュメモリ3はビジー状態となり、R/B信号は“L”レベルとなる(ステップS21)。メモリセルへのデータの書き込みは、時刻t3から時刻t4までの期間で行われる。この期間、フラッシュメモリ3はビジー状態を継続する(ステップS22、S21)。
【0040】
なお前述の通り、上位ビットを書き込むために必要な期間Δt1は、下位ビットを書き込むために必要な期間Δt2よりも長い。従って、第2信号処理ステージが行われる期間も、第1信号処理ステージが行われる期間よりも長い。換言すれば、第2信号処理ステージで処理出来るデータ量は、第1信号処理ステージで処理出来るデータ量よりも多い。
【0041】
上位ビットデータのメモリセルへの書き込みが終了すると(ステップS22)、フラッシュメモリ3はビジー状態からレディ状態へ遷移する(ステップS23、時刻t4)。またCPU2も第2処理ステージを終了する(ステップS24)。以上により、2ビットのデータが1ページのメモリセルに一括して書き込まれる。更に別のページにデータを書き込む場合は(ステップS25)、ステップS11に戻って同様の処理を繰り返す。書き込まない場合は(ステップS26)、処理は終了である。
【0042】
図8の例は、更に別のページにデータを書き込む場合について示している。フラッシュメモリ3に下位ビットデータが書き込まれている間、CPU2は第3処理ステージを行う。また上位ビットデータが書き込まれている間、CPU2は第4処理ステージを行う。この際もやはり第4信号処理ステージが行われる期間Δt1は、第3信号処理ステージが行われる期間Δt2よりも長い。すなわち、第4信号処理ステージで処理出来るデータ量は、第3信号処理ステージで処理出来るデータ量よりも多い。
【0043】
以上のように、本実施形態に係る半導体記憶装置の制御方法であると、フラッシュメモリの処理効率を向上出来る。本効果について、以下詳細に説明する。図9は、図8と同様の処理を従来の処理方法により行った際のタイミングチャートである。背景技術の項で述べたように、従来の方法であると、CPUにおける信号処理の1サイクルの長さは、上位ビット書き込み時も下位ビット書き込み時も同じである。その長さは、図9では期間Δt10である。すなわち、例えば下位ビットについてのデータが入力されてから書き込みが終了するまでに必要な期間(時刻t0〜t2)よりも長く、上位ビットについてのデータが入力されてから書き込みが終了するまでに必要な期間(時刻t3〜t6)よりも短い期間である。
【0044】
すると、図9に示すように、時刻t0で下位ビットについてのデータ入力が開始され、時刻t2で下位ビットについてのデータ書き込みが終了しても、この時点では第1処理ステージは終了していない。従って、時刻t2でフラッシュメモリがレディ状態になっても、次に書き込むべき上位ビットのデータ入力は、第1処理ステージが終了する時刻t3まで待たなければならない。
【0045】
また、時刻t3で上位ビットについてのデータ入力と第2処理ステージが開始され、時刻t5で第2処理ステージが終了しても、この時点では上位ビットについてのデータ書き込みは終了していない。従って、次の第3処理ステージは、上位ビットについてのデータ書き込みが終了する時刻t6まで待たなければならない。
【0046】
以上のように、従来方法であると、下位ビットの書き込みが終わってからCPUにおける信号処理が終わるまでの期間Δt11(時刻t2〜t3)の待ち時間が発生する。また上位ビット書き込み時の信号処理が終わってから上位ビットの書き込みが終わるまでの期間Δt12(時刻t5〜t6)の待ち時間が発生する。
【0047】
仮に、信号処理の1サイクルの長さを時刻t0〜t2の期間と同じくした場合には、下位ビット書き込み時の待ち時間Δt11をゼロにすることは出来るが、上位ビット書き込み時の待ち時間Δt12が長くなる。逆に、信号処理の1サイクルの長さを時刻t3〜t6の期間と同じくした場合には、上位ビット書き込み時の待ち時間Δt12をゼロにすることは出来るが、下位ビット書き込み時の待ち時間Δt11が長くなる。
【0048】
しかし本実施形態に係る方法であると、図8で説明したように、上位ビット書き込み時における信号処理期間Δt1は、下位ビット書き込み時における信号処理期間Δt2よりも長くされている。つまり、図9の従来方法において、第1処理ステージの期間Δt10を短縮し、第2処理ステージの期間Δt10を延長したものと言うことが出来る。従って、下位ビット書き込み終了後の待ち時間Δt11及び上位ビット書き込み終了後の待ち時間Δt12を短く出来る。特に上記実施形態では、信号処理の終了タイミングを、データの書き込み終了タイミングと一致させている。従って、待ち時間Δt11、Δt12をほぼゼロに出来る。その結果、フラッシュメモリの処理効率を向上出来る。
【0049】
次にこの発明の第2の実施形態に係る半導体記憶装置の制御方法について説明する。本実施形態は、上記第1の実施形態においてフラッシュメモリ3がキャッシュレジスタを備えている場合に係るものである。図10は本実施形態に係るフラッシュメモリ3のブロック図である。
【0050】
図示するようにフラッシュメモリ3は、上記第1の実施形態で説明した図1の構成において、更にキャッシュレジスタ80を備えている。CPU2から入出力バッファ70に与えられた書き込みデータは、まずキャッシュレジスタ80に入力される。キャッシュレジスタ80に1ページ分の書き込みデータが入力されると、それらのデータは次にシフトレジスタ40に与えられる。従って第1の実施形態と異なり、データの書き込み中であってもキャッシュレジスタ80が空いていればフラッシュメモリ3はレディ状態であり、次のデータを受け取ることが出来る。その他の構成は第1の実施形態と同様であるので説明は省略する。
【0051】
次に本実施形態に係るフラッシュメモリの動作タイミングとCPU2で行われる信号処理タイミングとについて図11を用いて説明する。図11はフラッシュメモリ3における書き込み動作とフラッシュメモリ3における信号処理のタイミングチャートである。なおフローチャートは、図7で説明したものにおいて、下位ビットの入力タイミング及び書き込みタイミングを変更した以外は同様である。
【0052】
まず時刻t0において、CPU2から入出力バッファ70を介してキャッシュレジスタ80へ上位ビットデータが入力される。引き続き上位ビットデータはキャッシュレジスタ80からシフトレジスタ40へ転送される。そして、時刻t1において、上位ビットデータがメモリセルにページ単位で一括して書き込まれる。時刻t1でフラッシュメモリ3はビジー状態となる(R/B信号=“L”)が、上位ビットデータの書き込み中であっても、キャッシュレジスタ80が空くと(時刻t2)、レディ状態となる(R/B信号=“H”)。また時刻t0〜t2の期間、CPU2は第1処理ステージを行う。
【0053】
時刻t2においてフラッシュメモリ3がレディ状態になると、CPU2からフラッシュメモリ3へ下位ビットデータが入力される。またCPU2は第1処理ステージを終了して、第2処理ステージを開始する。この間、メモリセルへの上位ビットデータの書き込みが行われている。時刻t4で上位ビットデータの書き込みが終了すると、引き続き時刻t2で入力された下位ビットデータがメモリセルへ書き込まれる(時刻t4〜t5)。
【0054】
時刻t5でフラッシュメモリ3がレディ状態になると、CPU2からフラッシュメモリ3へ次に書き込むべき上位ビットデータが入力される。またCPU2は第2処理ステージを終了して、第3処理ステージを開始する。この間、メモリセルへの下位ビットデータの書き込みが行われている。その後は上記と同様にしてデータが書き込まれる。
【0055】
なお、本実施形態に係る方法においても、上位ビット書き込み時におけるCPU2の信号処理(第2、第4、第6…処理ステージ)期間Δt3は、下位ビット書き込み時における信号処理(第1、第3、第5…処理ステージ)期間Δt4よりも長くされている。
【0056】
以上のように、キャッシュレジスタを備えたフラッシュメモリであっても、上記第1の実施形態と同様の効果が得られる。キャッシュレジスタ80を備えたフラッシュメモリであると、キャッシュレジスタ80からシフトレジスタ40へのデータの転送が完了してキャッシュレジスタ80が空になれば、データの書き込み中であってもフラッシュメモリはレディ状態となってデータの受付が可能となる。しかし、上位ビットと下位ビットとでは書き込みに必要な時間が異なるため、これに起因してフラッシュメモリがビジー状態となる期間も異なる。つまり、図11に示すように、上位ビットの入力が完了してから下位ビットを受け付けるまでの期間(Δt20)と、下位ビットの入力が完了してから上位ビットを受け付けるまでの期間(Δt21)は異なる。従って、従来のようにCPU2における信号処理期間の長さを同じにすると、無駄な待ち時間が発生する。しかし本実施形態であると、第1の実施形態と同様に上位ビット書き込み時における信号処理期間を、下位ビット書き込み時における信号処理期間よりも長くしているため、フラッシュメモリの処理効率を向上出来る。
【0057】
次に、この発明の第3の実施形態に係る半導体記憶装置の制御方法について説明する。本実施形態は、上記第1、第2の実施形態において、CPU2で行われる信号処理に関する具体例を示すものである。図12乃至図15はそれぞれ、第1の実施形態に係る半導体記憶装置の制御方法が適用されたフラッシュメモリ3における書き込み動作とフラッシュメモリ3における信号処理のタイミングチャートである。
【0058】
[ECCの例]
図12はECC(Error Checking and Correcting)の例について示している。図示するように、CPU2は時刻t0〜t2の期間、メモリセルに時刻t4以降で書き込まれるべき下位ビットデータを、データ生成プログラム4に基づいて生成する(第1処理ステージ)。また時刻t2〜t4の期間、メモリセルに時刻t6以降で書き込まれるべき上位ビットデータを、データ生成プログラム4に基づいて生成する(第2処理ステージ)。第2処理ステージにおいてCPU2は、第1処理ステージに生成された下位ビットデータについてのECCデータと、第2処理ステージにおいて生成された上位ビットデータについてのECCデータもあわせて生成する。そして、下位ビットデータの書き込み時(時刻t5)に、下位ビットについてのECCデータもメモリセルに書き込まれる。また、上位ビットデータの書き込み時(時刻t7)に、上位ビットについてのECCデータもメモリセルに書き込まれる。
【0059】
[音声符号化処理]
図13は音声符号化処理(MP3:MPEG-3 Audio Layer-III)の例について示している。図示するようにCPU2は、データ生成プログラム4に基づいてMP3エンコード処理を行う。エンコードされた音声データは、フラッシュメモリ3へ書き込まれる。なおMP3だけでなく、MPEG−2、MPEG−4等の画像処理であっても良いのは言うまでもない。
【0060】
[まとめ処理]
図14はまとめ処理の例について示している。複数のデータを生成した後、これらの複数のデータに関してまとめて別の処理を行うことがある。本例はこのような場合に係るものである。時刻t0〜t2においてCPU2は、データ生成プログラム4に基づいてデータ1を生成する(第1処理ステージ)。次に時刻t2〜t4においてCPU2は、データ生成プログラム4に基づいてデータ2を生成する(第2処理ステージ)。引き続き時刻t4〜t6においてCPU2は、データ生成プログラム4に基づいてデータ3を生成する(第3処理ステージ)。更に時刻t6〜t8においてCPU2は、データ生成プログラム4に基づいてデータ4を生成する(第4処理ステージ)。第4処理ステージにおいてCPU2は、第1乃至第4処理ステージで生成したデータ1〜4についてのまとめ処理も合わせて行う。
【0061】
[監視処理]
図15は監視処理の例について示している。CPU2は、メモリ監視プログラム6に基づいて、一定の時間間隔でフラッシュメモリ3の状態を監視していても良い。
【0062】
[メモリカード]
図16はパーソナルコンピュータ、メモリカード、及びメモリカードリーダ/ライタ(reader/writer)の外観図である。図示するように、リーダ/ライタに110にメモリカード120が挿入される。リーダ/ライタ110は接続ケーブル130によってパーソナルコンピュータ140に接続される。メモリカード120は内部に上記実施形態で説明したNAND型フラッシュメモリ3を備えている。またパーソナルコンピュータ140は上記実施形態で説明したCPU2の機能を有し、リーダ/ライタ110を用いてメモリカード120からデータを読み出し、且つデータを書き込む。本例のように、メモリカードはCPUを保持せずにフラッシュメモリ3のみを搭載するものであっても良い。
【0063】
[USBメモリ]
CPU2及びフラッシュメモリ3は、例えばUSBメモリに設けられても良い。USBメモリは内部に上記実施形態で説明したCPU2及びNAND型フラッシュメモリ3を含み、USB端子によってパーソナルコンピュータに接続される。
【0064】
[ポータブル音楽プレーヤ]
CPU2及びフラッシュメモリ3はそれぞれ、例えばパーソナルコンピュータ及びポータブル音楽プレーヤであっても良い。ポータブル音楽プレーヤは、内部に上記実施形態で説明したNAND型フラッシュメモリ3を備えており、音楽データを保持する。そしてポータブル音楽プレーヤは接続ケーブル等によってパーソナルコンピュータに接続される。パーソナルコンピュータは上記実施形態で説明したCPU2の機能を有し、エンコードした音楽データをポータブル音楽プレーヤに書き込む。
【0065】
なお、ポータブル音楽プレーヤ自身が内部にCPU2の機能を有していても良い。この場合、例えばポータブル音楽プレーヤ内部の機能が、音楽データのエンコード処理等を行うことが出来る。
【0066】
[ICカード]
CPU2及びフラッシュメモリ3は、例えばICカードであっても良い。図17及び図18は、ICカードの外観図及び内部ブロック図である。図示するように、ICカード150はMCU160及びプレーンターミナル170を備えている。MCU160は、フラッシュメモリ161と、その他の回路、例えばROM162、RAM163、及びCPU164を備えている。フラッシュメモリ161及びCPU164が、上記実施形態で説明したフラッシュメモリ3及びCPU2に相当する。CPU164は、例えば制御部165及び計算部166を備えている。そして制御部165によって各回路ブロックの接続などが制御され、計算部166によって信号処理等が行われる。
上記第1乃至第3の実施形態は、例えば上記のようなアプリケーションに適用することが出来る。
【0067】
上記のように、この発明の第1乃至第4の実施形態によれば、多値NAND型フラッシュメモリとそれを制御するCPUとを備えたシステムにおいて、書き込みに長時間を要する上位ビット書き込み時に対応した信号処理時間を、下位ビット書き込み時に対応した信号処理時間よりも長くしている。換言すれば、データ処理量を多くしている。その結果、下位ビット書き込み後のデータ入力時の待ち時間、及び上位ビットに対応した信号処理後の待ち時間を削減出来、フラッシュメモリの使用効率を向上出来る。
【0068】
なお、上記実施形態では1つのメモリセルが2ビットのデータを保持する場合を例に挙げて説明した。しかしメモリセルが3ビット以上のデータを保持する場合にも適用出来る。すなわち、各ビットの書き込み時間に合わせて信号処理時間を決めれば良い。また、上記実施形態において信号処理の開始及び終了タイミングは、R/B信号の立ち上がり及び立ち下がりに完全に一致している場合を例に挙げて説明した。しかし両者は必ずしも一致している必要は無く、時間差があっても良い。また信号処理として第3の実施形態にいくつかの例を挙げたが、勿論、これらの例に限られるものではなく、R/B信号に同期しつつ、フラッシュメモリ3に関連した処理を行うものであれば良い。そして、信号処理はページ単位で行われるものだけではなく、複数ページ単位でまとめて処理しても良い。音楽データや画像データの処理は、このような例に相当することが一般的である。更に、データのフォーマットを変換処理、例えばメディア毎のインターフェースプロトコルに変換する処理であっても良い。この場合、例えばメモリカードやUSBメモリ内に含まれるコントローラが、上記実施形態におけるCPU2に相当する。また、NAND型フラッシュメモリに限らず、1つのメモリセルが複数ビットのデータを保持し、且つ各ビット毎に書き込みが行われ、その書き込み時間に差が生じる半導体メモリであれば、上記実施形態が適用出来る。更に上記実施形態では、書き込み時に行われる信号処理の場合について説明した。しかし書き込みだけでなく、読み出し時に行われる信号処理についても適用出来る。すなわち、上記実施形態で説明した図8、図11乃至図15において、「データの書き込み」を「データの読み出し」に置き換えれば良い。
【0069】
なお、本願発明は上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出されうる。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出されうる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】この発明の第1の実施形態に係るメモリカードのブロック図。
【図2】この発明の第1の実施形態に係るフラッシュメモリの備えるメモリセルアレイの回路図。
【図3】この発明の第1の実施形態に係るフラッシュメモリの備えるメモリセルアレイの断面図。
【図4】この発明の第1の実施形態に係るフラッシュメモリの備えるメモリセルの閾値分布を示すグラフ。
【図5】この発明の第1の実施形態に係るフラッシュメモリの備えるメモリセルの閾値分布を示すグラフであり、データの書き込み時における閾値の変化を示す図。
【図6】この発明の第1の実施形態に係るメモリカードのブロック図。
【図7】この発明の第1の実施形態に係るメモリカードにおけるデータの書き込みと信号処理のフローチャート。
【図8】この発明の第1の実施形態に係るメモリカードにおけるデータの書き込みと信号処理のタイミングチャート。
【図9】メモリカードにおけるデータの書き込みと信号処理のフローチャート。
【図10】この発明の第2の実施形態に係るフラッシュメモリのブロック図。
【図11】この発明の第2の実施形態に係るメモリカードにおけるデータの書き込みと信号処理のタイミングチャート。
【図12】この発明の第3の実施形態に係るメモリカードにおけるデータの書き込みと信号処理のタイミングチャートであり、ECCデータ生成の例を示す図。
【図13】この発明の第3の実施形態に係るメモリカードにおけるデータの書き込みと信号処理のタイミングチャートであり、音声データのエンコードの例を示す図。
【図14】この発明の第3の実施形態に係るメモリカードにおけるデータの書き込みと信号処理のタイミングチャートであり、複数データのまとめ処理の例を示す図。
【図15】この発明の第3の実施形態に係るメモリカードにおけるデータの書き込みと信号処理のタイミングチャートであり、監視処理の例を示す図。
【図16】この発明の第4の実施形態に係るフラッシュメモリを備えたメモリカード、接続装置、パーソナルコンピュータの外観図。
【図17】この発明の第4の実施形態に係るフラッシュメモリを備えたICカードの外観図。
【図18】この発明の第4の実施形態に係るフラッシュメモリを備えたICカードのブロック図。
【符号の説明】
【0071】
1…メモリカード、2、164…CPU、3、161…フラッシュメモリ、4…データ生成プログラム、5…データ処理プログラム、6…メモリ監視プログラム、7…書き込みデータ、8…読み出しデータ、10…メモリセルアレイ、20…ロウデコーダ、30…センスアンプ、40…シフトレジスタ、50…電圧発生回路、60…ライトステートマシーン、70…入出力バッファ、80…キャッシュレジスタ、110…接続装置、120…メモリカード、130…接続ケーブル、140…パーソナルコンピュータ、150…ICカード、160…MCU、162…ROM、163…RAM、165…制御部、166…計算部、170…プレーンターミナル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が2ビット以上のデータを保持する複数のメモリセルを備えた半導体記憶装置の制御方法であって、
前記半導体記憶装置が、前記データの入力を受け付ける第1レディ状態となるステップと、
前記半導体記憶装置が前記第1レディ状態になったことを受けて、制御装置が前記半導体記憶装置に関する第1信号処理を開始し、前記データの下位ビットが前記半導体記憶装置に入力されるステップと、
前記メモリセルに前記下位ビットがページ単位で書き込まれるステップと、
前記下位ビットの書き込みが開始されることにより前記半導体記憶装置が、前記データの入力を受け付けない第1ビジー状態となるステップと、
遅くとも前記下位ビットの書き込みが終了した時点で前記半導体記憶装置が、前記データの入力を受け付ける第2レディ状態となり、前記第1信号処理が終了するステップと、
前記半導体記憶装置が前記第2レディ状態になったことを受けて、前記制御装置が前記半導体記憶装置に関する第2信号処理を開始し、前記データの上位ビットが前記半導体記憶装置に入力されるステップと、
前記メモリセルに前記上位ビットがページ単位で書き込まれるステップと、
遅くとも前記上位ビットの書き込みが終了した時点で、前記第2信号処理が終了するステップと
を具備し、前記上位ビットの書き込みに要する期間は前記下位ビットの書き込みに要する期間よりも長く、前記第2信号処理に要する期間は前記第1信号処理に要する期間よりも長い
ことを特徴とする半導体記憶装置の制御方法。
【請求項2】
各々が2ビット以上のデータを保持する複数のメモリセルを備えた半導体記憶装置の制御方法であって、
前記半導体記憶装置が、前記データの入力を受け付ける第1レディ状態となるステップと、
前記半導体記憶装置が前記第1レディ状態になったことを受けて、制御装置が前記半導体記憶装置に関する第1信号処理を開始し、前記データの下位ビットが前記半導体記憶装置に入力されるステップと、
前記メモリセルに前記下位ビットがページ単位で書き込まれるステップと、
前記下位ビットの書き込みが開始されることにより前記半導体記憶装置が、前記データの入力を受け付けない第1ビジー状態となるステップと、
遅くとも前記下位ビットの書き込みが終了した時点で前記半導体記憶装置が、前記データの入力を受け付ける第2レディ状態となり、前記第1信号処理が終了するステップと、
前記半導体記憶装置が前記第2レディ状態になったことを受けて、前記制御装置が前記半導体記憶装置に関する第2信号処理を開始し、前記データの上位ビットが前記半導体記憶装置に入力されるステップと、
前記メモリセルに前記上位ビットがページ単位で書き込まれるステップと、
遅くとも前記上位ビットの書き込みが終了した時点で、前記第2信号処理が終了するステップと
を具備し、前記上位ビットの書き込みに要する期間は前記下位ビットの書き込みに要する期間よりも長く、前記第2信号処理で処理されるデータ量は前記第1信号処理で処理されるデータ量よりも多い
ことを特徴とする半導体記憶装置の制御方法。
【請求項3】
前記データの下位ビットが前記半導体記憶装置に入力されるステップは、前記下位ビットが第1レジスタ回路に格納されるステップと、
前記第1レジスタ回路に格納された前記下位ビットが第2レジスタ回路に転送され、前記第1レジスタ回路が空になるステップと
を備え、前記第1レジスタ回路が空になった時点で、前記半導体記憶措置は第1ビジー状態から第2レディ状態に遷移する
ことを特徴とする請求項1または2記載の半導体記憶装置の制御方法。
【請求項4】
前記半導体記憶装置はメモリカードに搭載され、
前記制御装置は、前記メモリカードに接続可能なコンピュータに搭載される
ことを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載の半導体記憶装置の制御方法。
【請求項5】
前記第1、第2信号処理の少なくともいずれかは音声の符号化処理であり、前記半導体記憶装置に書き込まれる前記データは、前記符号化処理によって得られた符号化音声データである
ことを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項記載の半導体記憶装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−265475(P2007−265475A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−86241(P2006−86241)
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】