説明

半導体集積回路

【課題】クロック信号生成部をディジタル制御するレジスタへの制御情報の格納ステップを削減すること。
【解決手段】半導体集積回路は、クロック信号CLKmを生成するディジタル制御信号生成部10、ディジタル制御部20を具備するクロック生成部を含む。クロック生成部は、位相周波数比較器31、制御レジスタ22を更に具備する。比較器31には、基準信号CLKinとフィードバック信号Moutが供給される。制御レジスタ22に比較器31の出力信号FDoutが供給され、制御レジスタ22は複数ビットのディジタル制御情報を格納する。クロック生成部は、複数のロック動作のための複数の初期設定データを予め格納する制御データ記憶回路25を更に具備する。動作選択情報Minに応答して制御データ記憶回路25から初期設定データSet1〜Set5が、制御レジスタ22の上位ビットに格納される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路に関するもので、特にクロック信号生成部をディジタル制御するレジスタへの複数ビットのディジタル制御情報の格納ステップを削減するのに有益な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造技術の急速な進展に伴い、システム・オンチップ(SOC)やマイクロコンピュータ(MC)等のLSIでは高集積、高機能で高速動作も可能になった反面、特に電池駆動の携帯機器等では、スタンバイ時のリーク電流増大を抑えるための細かな電源管理と同時に、高速復帰に対する要求が高まってきている。すなわち、スタンバイ時にはリーク電流を低減するためLSIの内部回路の動作は内部回路へのクロック供給が停止されるスリープモードに移行して、アクティブモードでの内部回路の動作再開に際してはクロック供給を速やかに行う必要が有る。
【0003】
ところで、クロック入力信号の周波数、及び又はパルスエッジの位相を基準としたクロック生成回路には、大別して以下の3通りの回路が用いられている。
【0004】
その第1の回路はPLL(位相ロックドループ)であり、一般的には出力クロックの周波数は入力クロックの周波数を逓倍したものとなる。PLLでは、位相比較器と可変位相回路とが使用されることにより、出力クロックを逓倍数分の1に分周されたフィードバッククロックの位相が入力クロックの位相と本質的に一致(ロック)するように制御されるものである。
【0005】
次に、第2の回路はDLL(遅延ロックドループ)であり、出力クロックは入力クロックの遅延により生成される。DLLでは、位相比較器と可変遅延回路とが使用されることにより、可変遅延回路から生成される出力クロックの位相が入力クロックの位相と本質的にある一定値だけ遅延されるように制御されものである。
【0006】
また、第3の回路はFLL(周波数ロックドループ)であり、一般的には出力クロックの周波数は入力クロックの周波数を逓倍したものとなる。FLLでは、周波数比較器と可変周波数回路とが使用されることにより、出力クロックを逓倍数分の1に分周されたフィードバッククロックの周波数が入力クロックの周波数と本質的に一致(ロック)するように制御されるものである。FLLの入力クロックには例えばRTC(リアルタイムクロック)用水晶振動子からの比較的低い周波数(約32kHz)が用いられ、一般的にはPLLよりも一段高い逓倍数で逓倍される出力クロックの周波数のみが本質的にある一定値にされるように制御される。従って、その出力クロックを逓倍数分の1に分周したフィードバッククロックのパルスエッジは、入力基準クロックのエッジの位相とは必ずしもロックされない。しかし、FLLは基本的なロジックセル回路のみで簡易に構成できるため、その任意可変の高周波出力クロックを原発振の基準クロックとして用いられることができる。
【0007】
上記のうち、LSIの内部回路にクロック信号を分配する際のクロック信号のスキューを低減するために、PLL(フェーズロックドループ)回路が頻繁に使用される。PLL回路は、一般的には、位相周波数比較器、チャージポンプ/ループフイルタ、電圧または電流制御発振器、バッファのアナログ回路で構成されている。クロック入力信号とバッファのクロック出力信号は位相周波数比較器に供給され、位相周波数比較器の出力はチャージポンプ/ループフイルタを介して電圧制御発振器に供給されることにより、クロック入力信号とクロック出力信号との位相差が名目上ゼロとされて、クロック信号のスキューが低減される。
【0008】
一方、LSIの内部回路のスリープモードではPLL回路によるクロック供給を停止する一方、アクティブモードでの内部回路の動作再開に際してはPLL回路によるクロック供給の再開が行われる。しかし、PLL回路によるクロック供給の再開には目標周波数に安定するまでのロック時間(セットリング時間)が必要であり、スリープモードからアクティブモードへの高速復帰が要望されている。
【0009】
一方、下記非特許文献1には、クロックスキューの問題を解決するPLLやDLL(遅延ロックドループ)が記載され、またアナログDLLとディジタルDLLとが記載されている。アナログDLLは、低電源電圧で十分な遅延時間を得ることができないので将来の低電圧応用に好ましくなく、製造プロセス変動の影響を受けやすく電源ノイズに弱いのに対して、ディジタルDLLは電源ノイズと製造プロセス、電圧、温度および負荷(PVTL)の影響に強い。また、アナログDLLと比較して、ディジタルDLLは待機電流消費が低く、ロック時間も短いと記載している。
【0010】
また、下記非特許文献1には、ディジタルDLLでのロックのための探索時間低減のためバイナリー・サーチ・アルゴリズム(2分探査法)が記載されると伴に、レジスタ制御やカウンタ制御のディジタルDLLよりも高速のロック時間を有する逐次近似レジスタ(SAR)制御のディジタルDLLが記載されている。6ビットの遅延線が使用されると、理論的にはSAR制御のディジタルDLLは6クロック周期のロック時間を持ち、長いクロック分配距離でのタイトな同期を維持する一方、ロック時間を短縮できると記載している。
【0011】
更に、下記非特許文献2には、ディジタルPLLに使用されるディジタル制御発振器が記載され、この発振器は発振器のLCタンクにディジタル制御される多数の量子化容量を含むものである。
【0012】
更にまた、下記非特許文献3には、ディジタル制御発振器に高精度14ビットの電流出力ディジタル・アナログ変換回路(DAC)を含み、RTC周波数の入力クロックから高逓倍の周波数に出力クロックをロックさせるために、バイナリー・サーチ・アルゴリズムを用いた周波数逓倍回路が記載されている。RTC周波数は32768kHzであり、出力クロックの高逓倍の周波数は40〜60MHzである。
【0013】
尚、良く知られているように、逐次比較型A/D変換器で逐次近似レジスタ(SAR)は比較器の出力とローカルD/A変換器の入力との間に接続され、比較器の一方の入力端子と他方の入力端子にはアナログ入力信号とローカルD/A変換器のアナログ出力信号が供給される。アナログ入力信号のレベルにローカルD/A変換器のアナログ出力信号のレベルが一致するように、2分探査法によって逐次近似レジスタ(SAR)の保持データが逐次更新されることにより、逐次近似レジスタからアナログ入力信号のディジタル変換出力信号を得ることができる。
【0014】
【非特許文献1】Guang−Kaai Dehng et al, “Clock−Deskew Buffer Using a SAR−Controlled Delay−Locked Loop”, IEEE JOURNAL OF SOLID−STATE CIRCUITS, VOL. 35, NO. 8, PP.1128−1136, AUGUST 2000.
【非特許文献2】Robert Bogdan Staszewski et al, “Digitally Controlled Oscillator (DCO)−Based Architecture for RF Frequency Synthesis in a Deep−Submicron CMOS Process”, IEEE TRANSACTIONS ON CIRCUITS AND SYSTEMS−II: ANALOG AND DIGITAL SIGNAL PROCESSING, VOL. 50, NO. 11, NOVEMBER 2003 PP.815−828,
【非特許文献3】Rafael Fried et al, “A High ResolutionFrequency Multiplier for Clock Signal Generation“ ,IEEE JOURNAL OF SOLID−STATE CIRCUITS, VOL. 31, NO. 7, PP.1059−1062, July 1996.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明者等は本発明に先立って、システム・オンチップ(SOC)やマイクロコンピュータ(MC)等のLSIに搭載されるクロック分配用のFLL(Frequency−Locked Loop)の開発に従事した。
【0016】
図1は、本発明に先立って本発明者等により検討されたFLLの構成を示す図である。
【0017】
このFLLは、周波数比較部(FC)30、ディジタル制御部20、遅延リング発振部の回路形式のディジタル制御発振器(DCO)10から構成されている。
【0018】
ディジタル制御発振器10は、一方の入力端子にリセット信号Resetが供給される2入力NANDゲート11と、単位遅延量tdのN−1個の遅延セルを含むディジタル制御可変遅延回路12、出力バッファ13とから構成されている。ディジタル制御可変遅延回路12の遅延段数N−1は、ディジタル制御部20による制御により、最小値0から最大値31の任意の値に設定される。2入力NANDゲート11も単位遅延量tdを持っているので、遅延リング発振部の回路形式の2入力NANDゲート11とディジタル制御可変遅延回路12との合計遅延時間N・tdは、最小遅延時間1・tdから最大遅延時間32・tdの範囲で設定されることができる。
【0019】
2入力NANDゲート11の一方の入力端子のリセット信号Resetをローレベル“0”からハイレベル“1”に変化することにより、遅延リング発振部の閉ループが活性化されて、発振クロック信号CLKmが生成される。発振クロック信号CLKmが入力端子に供給される出力バッファ13の出力端子から、発振クロック出力信号CLKoutが生成される。ディジタル制御発振器10から生成される発振クロック信号CLKmの発振周波数fOSCは、2入力NANDゲート11とディジタル制御可変遅延回路12とからなる遅延閉ループの設定遅延段数Nと単位遅延量tdとによって、以下のように決定される。
【0020】
OSC=1/(2・N・td) …(1式)
ディジタル制御部20は、デコーダ21と、逐次近似レジスタ(SAR)22と、制御クロック生成回路(CCG)23とから構成されている。逐次近似レジスタ(SAR)22のビット数は12ビットとすることができ、それによって原理的には最大4096までの遅延制御が可能である。しかし、逐次近似レジスタ(SAR)22のビット数は、PVT変動による遅延セルの遅延量変動を考慮して、周波数比較部(FC)30のプログラム・カウンタ(PC)32の可変逓倍数Mを最大2047に設定できるように11ビット構成とした。ここでは、説明の簡素化のために、逐次近似レジスタ22のビット数は、5ビットとする。5ビットの逐次近似レジスタ(SAR)22のデータ入力端子に周波数比較部30の周波数比較器31からの比較出力信号FDoutが供給され、逐次近似レジスタ22(SAR)の6本のタイミング制御端子に制御クロック信号生成回路(CCG)23からの6個のタイミング制御信号cks0〜cks5が供給される。また、制御クロック信号生成回路(CCG)23の入力端子には、基準周波数信号としての入力クロック信号CLKinが供給される。逐次近似レジスタ(SAR)22の5ビットの出力データQ1〜Q5はデコーダ21の5本の入力端子に供給され、デコーダ21からの32個のデコード出力信号はディジタル制御発振器10のディジタル制御可変遅延回路12に供給される。
【0021】
周波数比較部30は、周波数比較器(FD)31と、プログラム・カウンタ(PC)32とから構成されている。プログラム・カウンタ(PC)32は、ディジタル制御発振器10から生成される発振クロック信号CLKmのクロック数をカウントする。プログラム・カウンタ(PC)32は、発振クロック信号CLKmのクロック数が設定された逓倍数に達するまではローレベル“0”の出力信号Moutを出力して、逓倍数に達したらハイレベル“1”の出力信号Moutを出力するように構成されている。周波数比較器31の一方の入力端子と他方の入力端子とには、基準周波数信号としての入力クロック信号CLKinとプログラム・カウンタ32からの出力信号Moutとがそれぞれ供給される。周波数比較器31の比較出力信号FDoutは、入力クロック信号CLKinが入力された時点でのプログラム・カウンタ32の出力信号Moutのローレベル“0”またはハイレベル“1”に対応した値としてディジタル制御部20の逐次近似レジスタ(SAR)22に供給される。プログラム・カウンタ32の逓倍数Mは、逓倍数設定入力端子Minから供給される逓倍数設定データにより可変設定可能とされる。
【0022】
図2は、図1に示したPLLのディジタル制御発振器10のディジタル制御可変遅延回路12の構成を示す図である。ディジタル制御可変遅延回路12は、ディジタル制御発振器10の2入力NANDゲート11の出力に接続された32個の遅延ユニットDU0…DU31と32個のスイッチSW0…SW31とにより構成されている。32個の遅延ユニットDU0…DU31の各遅延ユニットは単位遅延量tdを持ち、32個の遅延ユニットDU0…DU31の直列接続は2入力NANDゲート11の出力端子と他方の入力端子との間に接続されている。発振クロック信号CLKmが生成される出力ノードと32個の遅延ユニットDU0…DU31の32個の入力端子との間には32個のスイッチSW0…SW31が接続され、32個のスイッチSW0…SW31の制御入力はディジタル制御部20のデコーダ21の32個の出力信号Out0…Out31により駆動される。
【0023】
ディジタル制御部20の逐次近似レジスタ22の5ビットの出力データQ1〜Q5が供給されるデコーダ21の32個の出力信号Out0…Out31に応答して、32個のスイッチSW0…SW31の選択された1個のスイッチだけがオン状態に制御され、他の31個のスイッチはオフ状態に制御される。オン状態に制御される1個のスイッチの場所によって、上記(1式)の2入力NANDゲート11とディジタル制御可変遅延回路12とからなる遅延閉ループの設定遅延段数Nが設定されることができる。最初のスイッチSW0がオン状態に制御されると、設定遅延段数Nは最小の1に設定され、ディジタル制御発振器10の発振周波数fOSCは最大発振周波数fOSC(max)=1/(2・td)となる。また、最後のスイッチSW31がオン状態に制御されると、設定遅延段数Nは最大の32に設定され、ディジタル制御発振器10の発振周波数fOSCは最小発振周波数fOSC(mini)=1/(64・td)となる。
【0024】
従って、図1に示すFLL回路は、LSI内部回路に供給されるクロック信号の周波数を可変設定することが可能である。基準周波数信号としての入力クロック信号CLKinの周波数fREFが一定であっても、プログラム・カウンタ32の逓倍数Mを可変設定することにより、ディジタル制御発振器10の発振周波数fOSCを変化させることが可能である。
【0025】
すなわち、周波数比較器31の一方の入力端子の周波数fREFの基準周波数信号としての入力クロック信号CLKinの周波数と他方の入力端子の可変逓倍数Mのプログラム・カウンタ32からのカウント結果による出力信号Moutの周波数とが一致すると、次式の関係が成立する。
【0026】
REF=fOSC/M …(2式)
従って、上記(1式)と上記(2式)とから、次式の関係が成立する。
【0027】
OSC=1/(2・N・td)
=M・fREF …(3式)
REF =1/(2・N・M・td) …(4式)
すなわち、プログラム・カウンタ32の逓倍数Mを可変設定することにより、ディジタル制御発振器10の設定遅延段数Nが変化して基準周波数fREFのM倍の発振周波数fOSCが生成される。これは、プログラム・カウンタ32の逓倍数Mが増加したとすると、周波数比較器31での基準周波数fREFと可変逓倍数Mのプログラム・カウンタ32からの出力信号Moutの周波数とが一致するようにディジタル制御部20の逐次近似レジスタ(SAR)22の保持データが逐次更新されるものである。結果的に、上記(3式)から明らかなように、プログラム・カウンタ32の逓倍数Mの増加により、基準周波数fREFの周波数逓倍数が増加して、それと反比例してディジタル制御発振器10の設定遅延段数Nは減少することになる。
【0028】
逐次近似レジスタ22の実際のビット数は12ビットであり、それによって周波数比較部30の11ビット構成のプログラム・カウンタ32の可変逓倍数Mは最大2047に設定されることができる。例えば、入力クロック信号CLKinの基準周波数fREFが30kHzとして、プログラム・カウンタ32の可変逓倍数Mが最大2047に設定されたとすると、ディジタル制御発振器10の発振周波数fOSCは略60MHzとなり、LSI内部回路は高速動作を実行する。また、可変逓倍数Mが略半分1028に設定されたとすると、発振周波数fOSCは略30MHzとなり、LSI内部回路は中速動作を実行する。更に、可変周逓倍数Mが略10分の1の略205に設定されたとすると、発振周波数fOSCは略6MHzとなり、LSI内部回路は低速動作を実行する。
【0029】
以下に、入力クロック信号CLKinの基準周波数fREFがある値に設定され、プログラム・カウンタ32の逓倍数Mがある値に設定され、ディジタル制御発振器10の単位遅延量tdが既知の場合に、逐次近似レジスタ(SAR)22がどのようにしてディジタル制御発振器10の設定遅延段数Nを決定するかを説明する。
【0030】
図3は、図1に示した本発明に先立って本発明者等により検討されたPLLにおいて、基準周波数fREF、逓倍数M、単位遅延量tdが既知の場合に、逐次近似レジスタ(SAR)22にどのようにしてディジタル制御発振器10の設定遅延段数Nが決定されるかを説明する図である。尚、図3での設定遅延段数Nの決定のアルゴリズムは、上記非特許文献1に記載されたバイナリー・サーチ・アルゴリズム(2分探査法)に基づくものである。
【0031】
また、図5は、図1に示した本発明に先立って本発明者等により検討されたFLLにおいて、ディジタル制御発振器10の設定遅延段数Nを決定するためのディジタル制御部20における逐次近似レジスタ(SAR)22と制御クロック生成回路(CCG)23の構成を示す図である。
【0032】
まず、図5の逐次近似レジスタ(SAR)22は、データ入力端子Dに相周波数比較部30の周波数比較器31の比較出力信号FDoutが共通に供給される5個のフリップフロップFF1〜FF5により構成されている。逐次近似レジスタ(SAR)22には、制御クロック生成回路(CCG)23から生成されるマルチクロック信号cks0〜cks5が供給される。
【0033】
制御クロック生成回路(CCG)23からの第1のクロック信号cks0は、第1のフリップフロップFF1のセット端子S1と第2のフリップフロップFF2〜第5のフリップフロップFF5のリセット端子Rに供給される。制御クロック生成回路(CCG)23からの第2のクロック信号cks1は、第1のフリップフロップFF1のクロック端子C1と第2のフリップフロップFF2のセット端子S2とに供給される。制御クロック生成回路(CCG)23からの第3のクロック信号cks2は、第2のフリップフロップFF2のクロック端子C2と第3のフリップフロップFF3のセット端子S3とに供給される。制御クロック生成回路(CCG)23からの第4のクロック信号cks3は、第3のフリップフロップFF3のクロック端子C3と第4のフリップフロップFF4のセット端子S4とに供給される。制御クロック生成回路(CCG)23からの第5のクロック信号cks4は、第4のフリップフロップFF4のクロック端子C4と第5のフリップフロップFF5のセット端子S5とに供給される。制御クロック生成回路(CCG)23からの第6のクロック信号cks5は、第5のフリップフロップFF5のクロック端子C5に供給される。
【0034】
図5の制御クロック生成回路(CCG)23は、4個のフリップフロップFF6〜FF9と6個のANDゲートAND1〜AND6とにより構成されている。基準周波数信号としての入力クロック信号CLKinが、第1のフリップフロップFF6のクロック端子Cと第1のANDゲートAND1〜第5のANDゲートAND5の第4の入力端子と第6のANDゲートAND6の第2の入力端子とに供給される。第1のフリップフロップFF6の反転データ出力端子Dq1bは、第1のフリップフロップFF6のデータ入力端子Dと第2のフリップフロップFF7のクロック端子Cと第1、第3、第5のANDゲートAND1、3、5の第3の入力端子に供給される。第1のフリップフロップFF6の非反転データ出力端子Dq1は、第2、第4のANDゲートAND2、4の第3の入力端子に供給される。第2のフリップフロップFF7の反転データ出力端子Dq2bは、第2のフリップフロップFF7のデータ入力端子Dと第3のフリップフロップFF8のクロック端子Cと第1、第2、第5のANDゲートAND1、2、5の第2の入力端子に供給される。第2のフリップフロップFF7の非反転データ出力端子Dq2は、第3、第4のANDゲートAND3、4の第2の入力端子に供給される。第3のフリップフロップFF8の反転データ出力端子Dq3bは、第3のフリップフロップFF8のデータ入力端子Dと第1〜第4のANDゲートAND1〜4の第1の入力端子に供給される。第3のフリップフロップFF8の非反転データ出力端子Dq3は、第5のANDゲートAND5の第1の入力端子に供給される。第1、第2、第3、第4、第5のANDゲートAND1、2、3、4、5の出力端子から、第1、第2、第3、第4、第5のクロック信号cks0、cks1、cks2、cks3、cks4が生成され、逐次近似レジスタ(SAR)22に供給される。第5のANDゲート5の出力端子から生成された第5のクロック信号cks4はインバータINVを介して第4のフリップフロップFF9のクロック端子Cに供給され、第4のフリップフロップFF9のデータ入力端子Dには電源電圧Vddのハイレベル“1”が供給されている。第4のフリップフロップFF9の非反転データ出力端子Dq4は第6のANDゲートAND6の第1の入力端子に供給され、第6のANDゲートAND6の出力端子から第6のクロック信号cks5が生成され、逐次近似レジスタ(SAR)22の第5のフリップフロップFF5のクロック端子C5に供給される。また、第1のANDゲートAND1の出力端子から生成される第1のクロック信号cks0は、第1〜第4のフリップフロップFF6〜9のリセット端子Rに供給される。
【0035】
図6は、図5に示したディジタル制御部20における逐次近似レジスタ(SAR)22と制御クロック生成回路(CCG)23の各部の波形を示したもので、図1のFLLにおいてディジタル制御発振器10の設定遅延段数Nが決定される様子を示す図である。
【0036】
基準周波数fREFを有する入力クロック信号CLKinの図1に示すFLLへの供給が既に開始されており、図6のステップ0でプログラム・カウンタ32の逓倍数Mが所定の値に設定されて図1のFLLのロック動作が開始されたものとする。まず、ステップ0より以前の初期状態として、制御クロック生成回路(CCG)23の3個のフリップフロップFF6〜FF8の非反転データ出力端子Dq1〜Dq3は全てローレベル“0”となり、反転データ出力端子Dq1b〜Dq3bは全てハイレベル“1”となっている。
【0037】
この状態で、ステップ0のタイミングでハイレベル“1”の入力クロック信号CLKinが制御クロック生成回路(CCG)23に供給されることにより、第1のANDゲートAND1の出力端子から、ハイレベル“1”の第1のクロック信号cks0が生成される。第1のANDゲートAND1の出力端子から生成されたハイレベル“1”の第1のクロック信号cks0は4個のフリップフロップFF6〜FF9のリセット端子Rに共通に供給されるので、4個のフリップフロップFF6〜FF9は全てリセット状態に駆動される。その結果、4個のフリップフロップFF6〜FF9の非反転データ出力端子Dq1〜Dq4は全てローレベル“0”であり、また3個のフリップフロップFF6〜FF8の反転データ出力端子Dq1b〜Dq3bは全てハイレベル“1”である。
【0038】
次のステップ1で入力クロック信号CLKinがローレベル“0”からハイレベル“1”に変化すると、制御クロック生成回路23の1段目のフリップフロップFF6の反転データ出力端子Dq1bのハイレベル“1”にデータ入力端子Dが応答して、1段目のフリップフロップFF6はセット状態に駆動される。従って、ステップ1のタイミングで、1段目のフリップフロップFF6の非反転データ出力端子Dq1はローレベル“0”からハイレベル“1”に変化すると伴に、第2のANDゲートAND2の出力端子から、ハイレベル“1”の第2のクロック信号cks1が生成される。
【0039】
また次のステップ2で入力クロック信号CLKinがローレベル“0”からハイレベル“1”に変化すると、制御クロック生成回路23の1段目のフリップフロップFF6の反転データ出力端子Dq1bのローレベル“0”にデータ入力端子Dが応答して、1段目のフリップフロップFF6はリセット状態に駆動される。従って、ステップ2のタイミングで、1段目のフリップフロップFF6の反転データ出力端子Dq1bはローレベル“0”からハイレベル“1”に変化すると伴に、2段目のフリップフロップFF7の反転データ出力端子Dq1bのハイレベル“1”にデータ入力端子Dが応答して、2段目のフリップフロップFF7はセット状態に駆動される。このステップ2のタイミングで、2段目のフリップフロップFF7の非反転データ出力端子Dq2はローレベル“0”からハイレベル“1”に変化すると伴に、第3のANDゲートAND3の出力端子から、ハイレベル“1”の第3のクロック信号cks2が生成される。
【0040】
更に次のステップ3で入力クロック信号CLKinがローレベル“0”からハイレベル“1”に変化すると、制御クロック生成回路23の1段目のフリップフロップFF6の反転データ出力端子Dq1bのハイレベル“1”にデータ入力端子Dが応答して、1段目のフリップフロップFF6はセット状態に駆動される。従って、ステップ3のタイミングで、1段目のフリップフロップFF6の非反転データ出力端子Dq1はローレベル“0”からハイレベル“1”に変化すると伴に、2段目のフリップフロップFF7はセット状態に維持され、3段目のフリップフロップFF8はリセット状態に維持されている。従って、このステップ3のタイミングで、第4のANDゲートAND4の出力端子から、ハイレベル“1”の第4のクロック信号cks3が生成される。
【0041】
更にまた次のステップ4で入力クロック信号CLKinがローレベル“0”からハイレベル“1”に変化すると、制御クロック生成回路23の1段目のフリップフロップFF6の反転データ出力端子Dq1bのローレベル“0”にデータ入力端子Dが応答して、1段目のフリップフロップFF6はリセット状態に駆動される。従って、ステップ4のタイミングで、1段目のフリップフロップFF6の反転データ出力端子Dq1bはローレベル“0”からハイレベル“1”に変化すると伴に、2段目のフリップフロップFF7の反転データ出力端子Dq2bのローレベル“0”にデータ入力端子Dが応答して、2段目のフリップフロップFF7はリセット状態に駆動される。このステップ4のタイミングで、2段目のフリップフロップFF7の非反転データ出力端子Dq2はローレベル“0”からハイレベル“1”に変化すると、3段目のフリップフロップFF8の反転データ出力端子Dq3bのハイレベル“1”にデータ入力端子Dが応答して、3段目のフリップフロップFF8はセット状態に駆動される。従って、このステップ4のタイミングで、第5のANDゲートAND5の出力端子から、ハイレベル“1”の第5のクロック信号cks4が生成される。
【0042】
このステップ4と次のステップ5との間で、入力クロック信号CLKinがハイレベル“1”からローレベル“0”に変化すると、第5のANDゲートAND5の出力端子の第5のクロック信号cks4もハイレベル“1”からローレベル“0”に変化する。従って、インバータINVを介して第4のフリップフロップFF9のクロック端子Cに供給される信号はローレベル“0”からハイレベル“1”に変化するので、データ入力端子Dに供給された電源電圧Vddのハイレベル“1”によって、第4のフリップフロップFF9はセット状態に駆動される。従って、第4のフリップフロップFF9の非反転データ出力端子Dq4は、ハイレベル“1”に維持される。その結果、ステップ5以降では入力クロック信号CLKinのハイレベル“1”とローレベル“0”との間の変化に応答して第6のANDゲートAND6の出力端子の第6のクロック信号cks5もハイレベル“1”とローレベル“0”との間で変化する。
【0043】
一方、最初のステップ0のタイミングで最初に生成されたハイレベル“1”の第1のクロック信号cks0は、逐次近似レジスタ(SAR)22の第1のフリップフロップFF1のセット端子S1と第2のフリップフロップFF2〜第5のフリップフロップFF5のリセット端子Rに供給される。従って、ステップ0のタイミングでは、逐次近似レジスタ(SAR)22の内部で第1のフリップフロップFF1はセット状態に駆動され、その他の第2のフリップフロップFF2〜第5のフリップフロップFF5はリセット状態に駆動される。その結果、逐次近似レジスタ(SAR)22からデコーダ21に供給される5ビットの出力データQ1、Q2、Q3、Q4、Q5は、“10000”の初期コードを有する制御ワードとなる。
【0044】
すると、図2に示すデコーダ21は“10000”のコードを有する逐次近似レジスタ(SAR)22の5ビットの出力データQ1〜Q5に応答して、32個の出力信号Out0〜Out31のうち選択された1個の出力信号Out16のみをハイレベル“1”とし、他の全ての出力信号をローレベル“0”とする。従って、図2に示すディジタル制御発振器10のディジタル制御可変遅延回路12で32個のスイッチSW0〜SW31の中間の1個のスイッチSW16のみがオン状態に制御され、他の全てのスイッチはオフ状態に制御される。この時のディジタル制御発振器10の2入力NANDゲート11とディジタル制御可変遅延回路12とからなる遅延閉ループの設定遅延段数Nは最小値1と最大値32との半分の16となる。従って、ディジタル制御発振器10は、発振周波数fosc=1/(2・16・td)で発振動作を開始する。尚、単位遅延量tdは、LSIの製造プロセスのバラツキや電源電圧や温度の変動の影響により変動する。
【0045】
図1に示すFLLでディジタル制御発振器10が第1回目の発振動作を開始すると、発振クロック信号CLKmはプログラム・カウンタ32で予め設定された可変逓倍数Mに従ってクロック数がカウントされる。周波数比較器31には、基準周波数信号としての入力クロック信号CLKinとプログラム・カウンタ32からのクロック数カウント結果を表す出力信号Moutとがそれぞれ供給される。周波数比較器31の比較出力信号FDoutは、入力クロック信号CLKinが入力された時点のプログラム・カウンタ32からの出力信号Moutのレベルに対応したローレベル“0”又はハイレベル“1”としてディジタル制御部20の逐次近似レジスタ(SAR)22に供給される。単位遅延量tdの変動によって発振クロック信号CLKmの周波数は、目標とする周波数より低い場合もあるし、高い場合もある。周波数が低い場合には周波数比較器31の比較出力信号FDoutはローレベル“0”となり、進んでいる高い場合には周波数比較器31の比較出力信号FDoutはハイレベル“1”となる。
【0046】
逐次近似レジスタ(SAR)22の初期コード“10000”を利用した図1のFLLのディジタル制御発振器10の第1回目の発振動作の周波数の低・高の結果を示す比較出力信号FDoutの信号レベルは、次のようにして逐次近似レジスタ(SAR)22の第1のフリップフロップFF1に格納される。それは、図6のステップ1のタイミングで、図5の第1のフリップフロップFF1のクロック端子C1に供給される第2のクロック信号cks1のハイレベル“1”に応答して比較出力信号FDoutの信号レベルがデータ入力端子Dから格納される。例えば、発振クロックCLKmの周波数が低い場合のローレベル“0”によって第1のフリップフロップFF1はリセットされるので、逐次近似レジスタ(SAR)22の1ビット目の出力データQ1はローレベル“0”となる。また、周波数が高い場合のハイレベル“1”によって第1のフリップフロップFF1はセットされるので、逐次近似レジスタ(SAR)22の1ビット目の出力データQ1はハイレベル“1”となる。いずれの場合にも、第2のクロック信号cks1のハイレベル“1”は第2のフリップフロップFF2のセット端子S2に供給されるので、逐次近似レジスタ(SAR)22の2ビット目の出力データQ2はハイレベル“1”となる。また、逐次近似レジスタ(SAR)22の3ビット目から5ビット目の出力データQ3、Q4、Q5は、“000”のデータコードに維持されている。
【0047】
図3のステップ1は、逐次近似レジスタ22のステップ0の初期コード“10000”を利用したFLLのディジタル制御発振器の第1回目の発振動作の結果である比較出力信号FDoutを用いた周波数の低・高に対応する逐次近似レジスタ22の1ビット目の出力データQ1のビット・パターンを示している。1ビット目の出力データQ1がローレベル“0”の時は周波数が低い場合を示しており、逐次近似レジスタ22の制御コードは“01000”に変更されて、ステップ2のFLLのディジタル制御発振器の第2回目の発振動作が開始される。1ビット目の出力データQ1がハイレベル“1”の時は周波数が高い場合を示しており、逐次近似レジスタ22の制御コードは“11000”に変更されて、ステップ2のFLLのディジタル制御発振器の第2回目の発振動作が開始される。
【0048】
図6のステップ2で図1に示すFLLでディジタル制御発振器10が第2回目の発振動作を開始すると、第2回目の発振動作の周波数の低・高の結果を示す比較出力信号FDoutの信号レベルは、次のようにして逐次近似レジスタ(SAR)22の第2のフリップフロップFF2に格納される。それは、図6のステップ2のタイミングで、図5の第2のフリップフロップFF2のクロック端子C2に供給される第3のクロック信号cks2のハイレベル“1”に応答して、比較出力信号FDoutの信号レベルがデータ入力端子Dから格納される。例えば、周波数が低い場合のローレベル“0”によって第2のフリップフロップFF2はリセットされるので、逐次近似レジスタ(SAR)22の2ビット目の出力データQ2はローレベル“0”となる。また、周波数が高い場合のハイレベル“1”によって第2のフリップフロップFF2はセットされるので、逐次近似レジスタ(SAR)22の2ビット目の出力データQ2はハイレベル“1”となる。いずれの場合にも、第3のクロック信号cks2のハイレベル“1”は第3のフリップフロップFF3のセット端子S3に供給されるので、逐次近似レジスタ(SAR)22の3ビット目の出力データQ4はハイレベル“1”となる。また、逐次近似レジスタ(SAR)22の4ビット目から5ビット目の出力データQ4、Q5は、“00”のデータコードに維持されている。
【0049】
図3のステップ2は、逐次近似レジスタ22のステップ1の制御コード“01000”または制御コード“11000”を利用した第2回目の発振動作の結果である比較出力信号FDoutを用いた周波数の低・高に対応する逐次近似レジスタ22の2ビット目の出力データQ2のビット・パターンを示している。2ビット目の出力データQ2がローレベル“0”の時は周波数が低い場合を示しており、逐次近似レジスタ22の制御コードは“00100”または“10100”に変更されて、ステップ3のFLLのディジタル制御発振器の第3回目の発振動作が開始される。2ビット目の出力データQ2がハイレベル“1”の時は周波数が高い場合を示しており、逐次近似レジスタ22の制御コードは“01100”または“11100”に変更されて、ステップ3のFLLのディジタル制御発振器の第3回目の発振動作が開始される。
【0050】
図6のステップ3で図1に示すFLLでディジタル制御発振器10が第3回目の発振動作を開始すると、第3回目の発振動作の周波数の低・高の結果を示す比較出力信号FDoutの信号レベルは、次のようにして逐次近似レジスタ(SAR)22の第3のフリップフロップFF3に格納される。それは、図6のステップ3のタイミングで、図5の第3のフリップフロップFF3のクロック端子C3に供給される第4のクロック信号cks3のハイレベル“1”に応答して、比較出力信号FDoutの信号レベルがデータ入力端子Dから格納される。例えば、周波数が低い場合のローレベル“0”によって第3のフリップフロップFF3はリセットされるので、逐次近似レジスタ(SAR)22の3ビット目の出力データQ3はローレベル“0”となる。また、周波数が高い場合のハイレベル“1”によって第3のフリップフロップFF3はセットされるので、逐次近似レジスタ(SAR)22の3ビット目の出力データQ3はハイレベル“1”となる。いずれの場合にも、第4のクロック信号cks3のハイレベル“1”は第4のフリップフロップFF4のセット端子S4に供給されるので、逐次近似レジスタ(SAR)22の4ビット目の出力データQ4はハイレベル“1”となる。また、逐次近似レジスタ(SAR)22の5ビット目の出力データQ5は、“0”のデータコードに維持されている。
【0051】
図3のステップ3は、逐次近似レジスタ22のステップ2の制御コード“00100”、“011000”、“10100”、“11100”のいずれかを利用した第2回目の発振動作の結果である比較出力信号FDoutを用いた周波数の低・高に対応する逐次近似レジスタ22の3ビット目の出力データQ3のビット・パターンを示している。3ビット目の出力データQ3がローレベル“0”の時は周波数が低い場合を示しており、逐次近似レジスタ22の左側の4個の制御コードのいずれか1個に変更されて、ステップ4のFLLのディジタル制御発振器の第4回目の発振動作が開始される。3ビット目の出力データQ3がハイレベル“1”の時は周波数が高い場合を示しており、逐次近似レジスタ22の右側の4個の制御コードのいずれか1個に変更されて、ステップ4のFLLのディジタル制御発振器の第4回目の発振動作が開始される。
【0052】
図6のステップ4で図1に示すFLLでディジタル制御発振器10が第4回目の発振動作を開始すると、第4回目の発振動作の周波数の低・高の結果を示す比較出力信号FDoutの信号レベルは、次のようにして逐次近似レジスタ(SAR)22の第4のフリップフロップFF4に格納される。それは、図6のステップ4のタイミングで、図5の第4のフリップフロップFF4のクロック端子C4に供給される第5のクロック信号cks4のハイレベル“1”に応答して比較出力信号FDoutの信号レベルがデータ入力端子Dから格納される。例えば、周波数が低い場合のローレベル“0”によって第4のフリップフロップFF4はリセットされるので、逐次近似レジスタ(SAR)22の4ビット目の出力データQ4はローレベル“0”となる。また、周波数が高い場合のハイレベル“1”によって第4のフリップフロップFF4はセットされるので、逐次近似レジスタ(SAR)22の4ビット目の出力データQ4はハイレベル“1”となる。いずれの場合にも、第5のクロック信号cks4のハイレベル“1”は第5のフリップフロップFF5のセット端子S5にも供給されるので、逐次近似レジスタ(SAR)22の5ビット目の出力データQ5はハイレベル“1”となる。
【0053】
図3のステップ4は、逐次近似レジスタ22のステップ3の8個の制御コードのいずれか1個を利用した第3回目の発振動作の結果である比較出力信号FDoutを用いた周波数の低・高に対応する逐次近似レジスタ22の4ビット目の出力データQ4のビット・パターンを示している。4ビット目の出力データQ4がローレベル“0”の時は周波数が低い場合を示しており、逐次近似レジスタ22の左側の8個の制御コードのいずれか1個に変更されて、ステップ5のFLLのディジタル制御発振器の第5回目の発振動作が開始される。4ビット目の出力データQ4がハイレベル“1”の時は周波数が高い場合を示しており、逐次近似レジスタ22の右側の8個の制御コードのいずれか1個に変更されて、ステップ5のFLLのディジタル制御発振器の第5回目の発振動作が開始される。
【0054】
図6のステップ5で図1に示すFLLでディジタル制御発振器10が第5回目の発振動作を開始すると、第4回目の発振動作の周波数の低・高の結果を示す比較出力信号FDoutの信号レベルは、次のようにして逐次近似レジスタ(SAR)22の第5のフリップフロップFF5に格納される。それは、図6のステップ5のタイミングで、図5の第5のフリップフロップFF5のクロック端子C5に供給される第6のクロック信号cks5のハイレベル“1”に応答して比較出力信号FDoutの信号レベルがデータ入力端子Dから格納される。例えば、周波数が低い場合のローレベル“0”によって第5のフリップフロップFF5はリセットされるので、逐次近似レジスタ(SAR)22の5ビット目の出力データQ5はローレベル“0”となる。また、周波数が高い場合のハイレベル“1”によって第5のフリップフロップFF5はセットされるので、逐次近似レジスタ(SAR)22の5ビット目の出力データQ5はハイレベル“1”となる。
【0055】
図3のステップ5は、逐次近似レジスタ22のステップ4の16個の制御コードのいずれか1個を利用した第4回目の発振動作の結果である比較出力信号FDoutを用いた周波数の低・高に対応する逐次近似レジスタ22の5ビット目の出力データQ5のビット・パターンを含む全ビットの出力データQ1〜Q5示している。5ビット目の出力データQ5がローレベル“0”の時は周波数が低い場合を示しており、逐次近似レジスタ22の左側の16個のデシマル値が偶数の最終制御コードのいずれか1個に変更されて、FLLのディジタル制御発振器10の設定遅延段数Nが最終的に設定されて、正式な発振動作が開始される。5ビット目の出力データQ5がハイレベル“1”の時は周波数が高い場合を示しており、逐次近似レジスタ22の右側の16個のデシマル値が奇数の最終制御コードのいずれか1個に変更されて、FLLのディジタル制御発振器10の設定遅延段数Nが最終的に設定されて、正式な発振動作が開始される。
【0056】
以上のようにして、図1に示した本発明に先立って本発明者等により検討されたFLLにおいて、基準周波数fREF、単位遅延量tdが既知の場合に、逓倍数Mの値が決定されることにより、逐次近似レジスタ(SAR)22にディジタル制御発振器10の設定遅延段数Nが決定されるものである。
【0057】
図4は、図1に示したLLにおいて、可変逓倍器としてのプログラム・カウンタ32の可変逓倍数Mとディジタル制御発振器10の設定遅延段数Nとの関係を示す図である。
【0058】
上記(4式)から明らかなように、基準周波数fREFと単位遅延量tdとが一定であれば、可変周逓倍数Mと設定遅延段数Nとは逆比例の関係である。すなわち、可変逓倍数Mが減少すると設定遅延段数Nは増加して、可変逓倍数Mが増加すると設定遅延段数Nは減少する。基準周波数発振回路に水晶振動子を使用することにより温度変化や電源電圧変動に対しても安定な基準周波数fREFを得ることができるが、図1のFLLのディジタル制御可変遅延回路12の単位遅延量tdは比較的大きな温度依存性を持っている。図4の特性Ltpは、FLLを搭載した半導体集積回路の半導体チップが室温付近でのFLLの可変逓倍数Mと設定遅延段数Nとの関係を示すものである。また、図4の特性Lmaxは、FLLを搭載した半導体集積回路の半導体チップが低温となり、単位遅延量tdが減少した状況でのFLLの可変逓倍数Mと設定遅延段数Nとの関係を示すものである。更に、図4の特性Lminiは、FLLを搭載した半導体集積回路の半導体チップが高温となり、単位遅延量tdが増加した状況でのFLLの可変逓倍数Mと設定遅延段数Nとの関係を示すものである。
【0059】
このように、図1のFLLのディジタル制御可変遅延回路12の単位遅延量tdは比較的大きな温度依存性を持っているので、決定された逓倍数Mの値とチップ温度に依存する単位遅延量tdとに対応するように、逐次近似レジスタ(SAR)22にディジタル制御発振器10の設定遅延段数Nが設定されるものである。
【0060】
しかし、逐次近似レジスタ(SAR)22にディジタル制御発振器10の最終的な設定遅延段数Nが設定されるまでには、図6から明らかなように逐次近似レジスタ(SAR)22のビット数に比例したステップ数が必要となる。図6の例では、逐次近似レジスタ(SAR)22は5ビットと少ないので、ステップ数が5で最終的な設定遅延段数Nが設定されることができる。
【0061】
また、上述したようにプログラム・カウンタ32に最大値2047の可変逓倍数Mを設定するので、逐次近似レジスタ(SAR)22の実際のビット数は12ビットであり、最終的な設定遅延段数Nが設定されるステップ数も12ステップと大きな値となることが判明した。
【0062】
更に、複数ビットの逐次近似レジスタ(SAR)を含むFLLにおいては、決定された逓倍数に対応する複数ステップによる逐次近似レジスタ(SAR)への最終的な設定遅延段数の設定の後、FLLのロック動作が開始されるので、FLLのロック時間(セットリング時間)も長いと言う問題も明らかとされた。FLLのロック時間が長ければ、FLL生成クロックが停止されるスリープ状態からFLL生成クロックの供給再開によるアクティブ状態への動作回復時間も長くなると言う問題もある。
【0063】
本発明は、以上のような本発明に先立った本発明者等の検討の結果、なされたものである。
【0064】
従って、本発明の目的とするところは、クロック信号生成部をディジタル制御するレジスタへの複数ビットのディジタル制御情報の格納ステップを削減することにある。また、本発明の他の目的とするところは、複数ビットのディジタル制御情報を格納する逐次近似レジスタ(SAR)を含むFLL、PLLまたはDLLにおいて、ロック時間を削減することにある。
【0065】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0066】
本願において開示される発明のうちの代表的なものについて簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0067】
すなわち、本発明の代表的な半導体集積回路は、クロック信号(CLKm)を生成するディジタル制御クロック信号生成部(10)と、前記ディジタル制御クロック信号生成部(10)を制御するディジタル制御部(20) とを具備するクロック生成部を含む。前記クロック生成部(10、20、30)は、比較器(31)と、制御レジスタ(22)とを更に具備する。
【0068】
前記比較器(31)に基準信号(CLKin)が供給され、前記比較器(31)に前記クロック信号(CLKm)から生成されたフィードバック信号(Mout)がフィードバック経路(32)を介して供給される。前記制御レジスタ(22)に前記比較器(31)の出力信号(FDout)が供給され、前記制御レジスタ(22)は複数ビットのディジタル制御情報を格納する。
【0069】
前記制御レジスタが所定の値のディジタル制御情報を格納すると、前記フィードバック信号が前記基準信号とロックする。前記クロック生成部は、複数の動作状態で動作する。
【0070】
前記クロック生成部は、前記制御レジスタ(22)に接続された制御データ記憶回路(25)を更に具備する。前記制御データ記憶回路(25)には、前記複数の動作状態の動作のための複数の初期設定データが予め格納される。
【0071】
前記クロック生成部による前記1つの動作状態の動作に先立って、前記1つの動作状態を選択する動作選択情報(Min)が前記制御データ記憶回路(25)に供給される。前記動作選択情報(Min)に応答して前記制御データ記憶回路(25)から前記1つの動作状態の前記動作のための初期設定データ(Set1〜Set5)が、前記制御レジスタ(22)の上位ビットに格納される(図7参照)。
【発明の効果】
【0072】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記の通りである。すなわち、本発明によれば、クロック信号生成部をディジタル制御するレジスタへの複数ビットのディジタル制御情報の格納ステップを削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0073】
《代表的な実施の形態》
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。代表的な実施の形態についての概要説明で括弧を付して参照する図面の参照符号はそれが付された構成要素の概念に含まれるものを例示するに過ぎない。
【0074】
〔1〕本発明の代表的な実施の形態による半導体集積回路は、発振クロック信号(CLKm)を生成するディジタル制御発振器(10)と、前記ディジタル制御発振器から生成される前記発振クロック信号の位相および周波数の少なくとも一方を制御するディジタル制御部(20)とを具備するクロック生成部を含む。
【0075】
前記クロック生成部(10、20、30)は、比較器(31)と、カウンタ(32)と、制御レジスタ(22)とを具備するものである。
【0076】
前記カウンタ(32)の入力端子に前記ディジタル制御発振器(10)から生成される前記発振クロック信号(CLKm)が供給されることにより、前記カウンタ(32)の出力端子から出力信号(Mout)が生成される。前記比較器(31)の一方の入力端子に基準信号(CLKin)が供給され、前記比較器(31)の他方の入力端子に前記カウンタ(32)の前記出力端子から生成された前記出力信号(Mout)が供給される。
【0077】
前記制御レジスタ(22)に前記比較器(31)の出力信号(FDout)が供給されることにより、前記制御レジスタ(22)は前記ディジタル制御発振器(10)を制御するための複数ビットのディジタル制御情報(Q1〜Q5)を格納する。
【0078】
前記比較器(31)と、前記制御レジスタ(22)と、前記ディジタル制御発振器(10)と、前記カウンタ(32)とは、位相ロックドループ(PLL)と周波数ロックドループ(FLL)との少なくとも一方であるロックドループ(LL)を構成する。
【0079】
前記制御レジスタ(22)が所定の値を有するディジタル制御情報を格納することにより、前記比較器(31)の前記他方の入力端子の前記出力信号(Mout)の位相および周波数の少なくとも一方が前記比較器(31)の前記一方の入力端子の前記基準信号(CLKin)の位相および周波数の少なくとも一方とロックするものである。
【0080】
前記ロックドループ(LL)は、前記基準信号(CLKin)が複数の周波数に設定されるか、または、前記カウンタ(32)が複数の逓倍比に設定されるかにより、複数の動作状態で動作することが可能に構成されている。
【0081】
前記基準信号(CLKin)が前記複数の周波数から選択された1つの周波数に設定されるか、または、前記カウンタ(32)が前記複数の逓倍比から選択された1つの逓倍比に設定されるかにより、前記ロックドループ(LL)は前記複数の動作状態から選択された1つの動作状態で動作するものである。
【0082】
前記クロック生成部は、前記制御レジスタ(22)に接続された制御データ記憶回路(25)を更に具備するものである。前記制御データ記憶回路(25)には、前記ロックドループ(LL)による前記複数の動作状態の動作のための複数の初期設定データが予め格納されることが可能である。
【0083】
前記ロックドループ(LL)による前記1つの動作状態の動作に先立って、前記1つの動作状態を選択する動作選択情報(Min)が前記制御データ記憶回路(25)に供給される。
【0084】
前記動作選択情報(Min)に応答して前記制御データ記憶回路(25)から前記1つの動作状態の前記動作のための初期設定データ(Set1〜Set5)が前記制御レジスタ(22)の上位ビットに格納されるものである(図7、図8、図9〜図12参照)。
【0085】
前記実施の形態によれば、ロックドループ(LL)が複数の動作状態から選択された1つの動作状態で動作する際に、この選択された1つの動作状態に対応する初期設定データ(Set1〜Set5)が制御レジスタ(22)の上位ビットに格納されるものである。従って、制御レジスタ(22)の複数ビットのディジタル制御情報(Q1〜Q5)をバイナリー・サーチ・アルゴリズム等による複数ステップの全てを使用して決定する必要が無くなる。その結果、ロックドループ(LL)のディジタル制御発振器(10)を制御するための複数ビットのディジタル制御情報(Q1〜Q5)を格納する制御レジスタ(22)への複数ビットのディジタル制御情報の格納ステップを削減することができる。
【0086】
好適な実施の形態では、前記1つの動作状態の前記動作の間に、前記制御レジスタ(22)の前記上位ビット以外の下位ビットには前記比較器(31)の前記出力信号(FDout)が供給される。
【0087】
前記好適な実施の形態によれば、ロックドループ(LL)のディジタル制御発振器(10)が大きな特性バラツキや電源電圧依存性や温度依存性を持っているとしても、制御レジスタ(22)の下位ビットにはこれらの変動を吸収するようなディジタル制御情報が格納される。その結果、ロックドループ(LL)は複数の動作状態のいずれの動作状態に設定されとしても、正確なロック動作を実行することができる。
【0088】
より好適な実施の形態では、前記クロック生成部は、前記基準信号(CLKin)に応答して相互に位相の異なったマルチクロック制御信号(cks0〜cks5)を生成する制御クロック生成回路(23)を更に具備するものである(図5参照)。
【0089】
前記動作選択情報(Min)に応答して前記制御データ記憶回路(25)は、前記初期設定データ(Set1〜Set5)が格納される前記制御レジスタ(22)の前記上位ビットを示す選択信号(Sel1、Sel2、Sel3)を生成するものである。
【0090】
前記制御クロック生成回路(23)から生成される前記マルチクロック制御信号の最初のクロック制御信号(cks0)のタイミングで、前記前記選択信号(Sel1、Sel2、Sel3)により指定された前記制御レジスタ(22)の前記上位ビットに前記初期設定データが格納されるものである。
【0091】
前記最初のクロック制御信号(cks0)の後に前記制御クロック生成回路(23)から生成される前記マルチクロック制御信号の後続のクロック制御信号(cks1、cks2…)のタイミングで、前記制御レジスタ(22)の前記下位ビットに前記比較器(31)の前記出力信号(FDout)が供給されるものである。
【0092】
更により好適な実施の形態では、前記カウンタ(32)は前記複数の逓倍比から選択される任意の1つの逓倍比で動作可能な可変カウンタとして構成されている。
【0093】
前記動作選択情報(Min)は、前記可変カウンタとして構成された前記カウンタ(32)の前記任意の1つの逓倍比を選択するものである。
【0094】
具体的な一つの実施の形態では、前記ディジタル制御発振器(10)は、前記制御レジスタ(22)の前記複数ビットのディジタル制御情報(Q1〜Q5)によって遅延段数(N)が制御可能なディジタル制御可変遅延回路(12)を含む遅延リング発振部(11、12)により構成されている(図7参照)。
【0095】
他の具体的な一つの実施の形態では、前記ディジタル制御発振器(10)は、前記制御レジスタ(22)の前記複数ビットのディジタル制御情報(Q1〜Q5)によって制御される複数の量子化容量をLCタンクに含むものである。
【0096】
最も具体的な一つの実施の形態では、前記ロックドループ(LL)の前記ディジタル制御発振器(10)の前記発振クロック信号(CLKm)から生成される出力クロック信号(CLKout)は半導体チップ(100)の内部回路(42、43)に動作クロックとして供給されるものである(図15参照)。
【0097】
〔2〕本発明の別の観点の代表的な実施の形態による半導体集積回路は、基準信号(CLKin)を遅延することにより遅延クロック信号(CLKm)を生成するディジタル制御遅延ユニット(10)と、前記ディジタル制御遅延ユニットから生成される前記遅延クロック信号の位相および周波数の少なくとも一方を制御するディジタル制御部(20)とを具備するクロック生成部を含む。
【0098】
前記クロック生成部(10、20、30)は、比較器(33)と、制御レジスタ(22)と、出力バッファ(13)とを具備するものである。
【0099】
前記出力バッファ(13)の入力端子に前記ディジタル制御遅延ユニット(10)から生成された前記遅延クロック信号(CLKm)が供給されることにより、前記出力バッファ(13)の出力端子から出力クロック信号(CLKout)が生成される。前記比較器(33)の一方の入力端子には前記基準信号(CLKin)が供給され、前記比較器(33)の他方の入力端子には前記出力バッファ(13)から生成された前記出力クロック信号(CLKout)が供給される。
【0100】
前記制御レジスタ(22)に前記比較器(33)の出力信号(FDout)が供給されることにより、前記制御レジスタ(22)は前記ディジタル制御遅延ユニット(10)を制御するための複数ビットのディジタル制御情報(Q1〜Q5)を格納するものである。
【0101】
前記比較器(33)と、前記制御レジスタ(22)と、前記ディジタル制御遅延ユニット(10)とは、遅延ロックドループ(DLL)を構成する。
【0102】
前記制御レジスタ(22)が所定の値を有するディジタル制御情報を格納することにより、前記比較器(33)の前記他方の入力端子の前記出力クロック信号(CLKout)の位相および周波数の少なくとも一方が前記比較器(33)の前記一方の入力端子の前記基準信号(CLKin)の位相および周波数の少なくとも一方とロックするものである。
【0103】
前記遅延ロックドループ(DLL)は、前記基準信号(CLKin)が複数の周波数に設定されるか、または、前記出力バッファ(13)が複数の遅延量に設定されるかにより、複数の動作状態で動作することが可能に構成されている。前記基準信号(CLKin)が前記複数の周波数から選択された1つの周波数に設定されるか、または、前記出力バッファ(13)が前記複数の遅延量から選択された1つの遅延量に設定されるかにより、前記遅延ロックドループ(DLL)は前記複数の動作状態から選択された1つの動作状態で動作する。
【0104】
前記クロック生成部は、前記制御レジスタ(22)に接続された制御データ記憶回路(25)を更に具備するものである。前記制御データ記憶回路(25)には、前記遅延ロックドループ(DLL)による前記複数の動作状態の動作のための複数の初期設定データが予め格納されることが可能である。
【0105】
前記遅延ロックドループ(DLL)による前記1つの動作状態の動作に先立って、前記1つの動作状態を選択する動作選択情報(Lin)が前記制御データ記憶回路(25)に供給される。前記動作選択情報(Lin)に応答して前記制御データ記憶回路(25)から前記1つの動作状態の前記動作のための初期設定データ(Set1〜Set5)が、前記制御レジスタ(22)の上位ビットに格納されるものである(図15参照)。
【0106】
前記実施の形態によれば、DLLが複数の動作状態から選択された1つの動作状態で動作する際に、この選択された1つの動作状態に対応する初期設定データ(Set1〜Set5)が制御レジスタ(22)の上位ビットに格納されるものである。従って、制御レジスタ(22)の複数ビットのディジタル制御情報(Q1〜Q5)をバイナリー・サーチ・アルゴリズム等による複数ステップの全てを使用して決定する必要が無くなる。その結果、DLLのディジタル制御遅延ユニット(10)を制御するための複数ビットのディジタル制御情報(Q1〜Q5)を格納する制御レジスタ(22)への複数ビットのディジタル制御情報の格納ステップを削減することができる。
【0107】
好適な実施の形態では、前記1つの動作状態の前記動作の間に、前記制御レジスタ(22)の前記上位ビット以外の下位ビットには前記比較器(33)の前記出力信号(FDout)が供給される。
【0108】
前記好適な実施の形態によれば、DLLのディジタル制御遅延ユニット(10)が大きな特性バラツキや電源電圧依存性や温度依存性を持っているとしても、制御レジスタ(22)の下位ビットにはこれらの変動を吸収するようなディジタル制御情報が格納される。その結果、DLLは複数の動作状態のいずれの動作状態に設定されとしても、正確なロック動作を実行することができる。
【0109】
より好適な実施の形態では、前記クロック生成部は、前記基準信号(CLKin)に応答して相互に位相の異なったマルチクロック制御信号(cks0〜cks5)を生成する制御クロック生成回路(23)を更に具備するものである(図15参照)。
【0110】
前記動作選択情報(Lin)に応答して前記制御データ記憶回路(25)は、前記初期設定データ(Set1〜Set5)が格納される前記制御レジスタ(22)の前記上位ビットを示す選択信号(Sel1、Sel2、Sel3)を生成するものである。
【0111】
前記制御クロック生成回路(23)から生成される前記マルチクロック制御信号の最初のクロック制御信号(cks0)のタイミングで、前記前記選択信号(Sel1、Sel2、Sel3)により指定された前記制御レジスタ(22)の前記上位ビットに前記初期設定データが格納されるものである。
【0112】
前記最初のクロック制御信号(cks0)の後に前記制御クロック生成回路(23)から生成される前記マルチクロック制御信号の後続のクロック制御信号(cks1、cks2…)のタイミングで、前記制御レジスタ(22)の前記下位ビットに前記比較器(33)の前記出力信号(FDout)が供給されるものである。
【0113】
更により好適な実施の形態では、前記出力バッファ(13)は前記複数の遅延量から選択される任意の1つの遅延量で動作可能な可変遅延器として構成されている。
【0114】
前記動作選択情報(Lin)は、前記可変遅延器として構成された前記出力バッファ(13)の前記任意の1つの遅延量を選択するものである。
【0115】
具体的な一つの実施の形態では、前記ディジタル制御遅延ユニット(10)は、前記制御レジスタ(22)の前記複数ビットのディジタル制御情報(Q1〜Q5)によって遅延段数(N)が制御可能なディジタル制御可変遅延回路(12)により構成されている(図15参照)。
【0116】
最も具体的な一つの実施の形態では、前記遅延ロックドループ(DLL)の前記出力バッファ(13)から生成される前記出力クロック信号(CLKout)は半導体チップ(100)の内部回路(42、43)に動作クロックとして供給されるものである(図15参照)。
【0117】
〔3〕本発明の更に他の観点の代表的な実施の形態による半導体集積回路は、クロック信号(CLKm)を生成するディジタル制御クロック信号生成部(10)と、前記ディジタル制御クロック信号生成部から生成される前記クロック信号の位相および周波数の少なくとも一方を制御するディジタル制御部(20)とを具備するクロック生成部を含む。
【0118】
前記クロック生成部(10、20、30)は、入力される2つの信号の位相差をディジタル信号に変換するタイム・ツー・ディジタル変換器(TDC)としての位相周波数比較器(31)と、制御レジスタ(22)とを具備するものである。
【0119】
前記比較器(31)の一方の入力端子に基準信号(CLKin)が供給され、前記比較器(31)の他方の入力端子に前記クロック信号(CLKm)から生成されたフィードバック信号(Mout、CLKout)がフィードバック経路(32、13)を介して供給される。
【0120】
前記制御レジスタ(22)に前記比較器(31)の出力信号(FDout)が供給されることにより、前記制御レジスタ(22)は前記ディジタル制御クロック信号生成部(10)を制御するための複数ビットのディジタル制御情報(Q1〜Q5)を格納する。
【0121】
前記位相周波数比較器(31)と、前記制御レジスタ(22)と、前記ディジタル制御クロック信号生成部(10)と、前記フィードバック経路(32、13)とは、ディジタル制御フェーズロックドループ(PLL)を構成する。
【0122】
前記制御レジスタが所定の値を有するディジタル制御情報を格納することにより、前記比較器の前記他方の入力端子に供給される前記フィードバック信号の位相および周波数の少なくとも一方が前記比較器の前記一方の入力端子に供給される前記基準信号の位相および周波数の少なくとも一方とロックするものである。
【0123】
前記クロック生成部(10、20、30)は、前記基準信号(CLKin)が複数の周波数に設定されるか、または、前記フィードバック経路(32、13)が複数の制御量に設定されるかにより、複数の動作状態で動作することが可能に構成されている。
【0124】
前記基準信号(CLKin)が前記複数の周波数から選択された1つの周波数に設定されるか、または、前記フィードバック経路が前記複数の制御量から選択された1つの制御量に設定されるかにより、前記クロック生成部は前記複数の動作状態から選択された1つの動作状態で動作するものである。
【0125】
前記クロック生成部は、前記制御レジスタ(22)に接続された制御データ記憶回路(25)を更に具備するものである。前記制御データ記憶回路(25)には、前記クロック生成部による前記複数の動作状態の動作のための複数の初期設定データが予め格納されることが可能である。
【0126】
前記クロック生成部による前記1つの動作状態の動作に先立って、前記1つの動作状態を選択する動作選択情報(Min)が前記制御データ記憶回路(25)に供給される。前記動作選択情報(Min)に応答して前記制御データ記憶回路(25)から前記1つの動作状態の前記動作のための初期設定データ(Set1〜Set5)が、前記制御レジスタ(22)の上位ビットに格納されるものである(図17参照)。
【0127】
前記実施の形態によれば、クロック生成部が複数の動作状態から選択された1つの動作状態で動作する際に、この選択された1つの動作状態に対応する初期設定データ(Set1〜Set5)が制御レジスタ(22)の上位ビットに格納されるものである。従って、制御レジスタ(22)の複数ビットのディジタル制御情報(Q1〜Q5)をバイナリー・サーチ・アルゴリズム等による複数ステップの全てを使用して決定する必要が無くなる。その結果、クロック生成部のディジタル制御クロック信号生成部(10)を制御するための複数ビットのディジタル制御情報(Q1〜Q5)を格納する制御レジスタ(22)への複数ビットのディジタル制御情報の格納ステップを削減することができる。
【0128】
好適な実施の形態では、前記1つの動作状態の前記動作の間に、前記制御レジスタ(22)の前記上位ビット以外の下位ビットには前記比較器(31)の前記出力信号(FDout)が供給される。
【0129】
前記好適な実施の形態によれば、クロック生成部のディジタル制御クロック信号生成部(10)が大きな特性バラツキや電源電圧依存性や温度依存性を持っているとしても、制御レジスタ(22)の下位ビットにはこれらの変動を吸収するようなディジタル制御情報が格納される。その結果、PLLは複数の動作状態のいずれの動作状態に設定されとしても、正確なロック動作を実行することができる。
【0130】
より好適な実施の形態では、前記クロック生成部は、前記基準信号(CLKin)に応答して相互に位相の異なったマルチクロック制御信号(cks0〜cks5)を生成する制御クロック生成回路(23)を更に具備するものである(図17参照)。
【0131】
前記動作選択情報(Min)に応答して前記制御データ記憶回路(25)は、前記初期設定データ(Set1〜Set5)が格納される前記制御レジスタ(22)の前記上位ビットを示す選択信号(Sel1、Sel2、Sel3)を生成するものである。
【0132】
前記制御クロック生成回路(23)から生成される前記マルチクロック制御信号の最初のクロック制御信号(cks0)のタイミングで、前記前記選択信号(Sel1、Sel2、Sel3)により指定された前記制御レジスタ(22)の前記上位ビットに前記初期設定データが格納されるものである。
【0133】
前記最初のクロック制御信号(cks0)の後に前記制御クロック生成回路(23)から生成される前記マルチクロック制御信号の後続のクロック制御信号(cks1、cks2…)のタイミングで、前記制御レジスタ(22)の前記下位ビットに前記比較器(31)の前記出力信号(FDout)が供給されるものである。
【0134】
具体的な一つの実施の形態では、前記ディジタル制御クロック信号生成部(10)は、前記制御レジスタ(22)の前記複数ビットのディジタル制御情報(Q1〜Q5)によって遅延段数(N)が制御可能なディジタル制御可変遅延回路(12)により構成されている(図17参照)。
【0135】
より具体的な一つの実施の形態では、前記ディジタル制御発振器(10)は、前記制御レジスタ(22)の前記複数ビットのディジタル制御情報(Q1〜Q5)によって制御される複数の量子化容量をLCタンクに含むものである。
【0136】
他の具体的な一つの実施の形態では、前記ディジタル制御クロック信号生成部(10)は、複数の遅延セルを含む遅延リングによって構成されている。前記制御レジスタ(22)と前記遅延リングとの間にはD/A変換器が接続され、前記D/A変換器は前記制御レジスタ(22)の前記複数ビットのディジタル制御情報(Q1〜Q5)に応答して前記遅延リングの前記複数の遅延セルの動作電流を出力するような電流出力型のD/A変換器である。
【0137】
最も具体的な一つの実施の形態では、前記クロック生成部から生成される前記出力クロック信号(CLKout)は半導体チップ(100)の内部回路(42、43)に動作クロックとして供給される(図16参照)。
【0138】
《実施の形態の説明》
次に、実施の形態について更に詳述する。尚、発明を実施するための最良の形態を説明するための全図において、前記の図と同一の機能を有する部品には同一の符号を付して、その繰り返しの説明は省略する。
【0139】
《FLLの基本的な構成》
図7は、本発明の実施の形態によるFLLの基本的な構成を示す図である。
【0140】
図7のFLLも、図1と同様、周波数比較部30、ディジタルロジックとしてのディジタル制御部20、遅延リング発振部の回路形式のディジタル制御発振器(DCO)10から構成されている。
【0141】
ディジタル制御発振器10は、一方の入力端子にリセット信号Resetが供給される2入力NANDゲート11と、単位遅延量tdのN−1個の遅延セルを含むディジタル制御可変遅延回路12、出力バッファ13とから構成されている。
【0142】
ディジタル制御部20は、デコーダ21と、逐次近似レジスタ(SAR)22と、制御クロック生成回路(CCG)23とから構成されている。逐次近似レジスタ22(SAR)のビット数は、実際は12ビットであり、それによって周波数比較部30の11ビット構成のプログラム・カウンタ(PC)32の可変逓倍数Mは最大2047に設定されることができる。ここでは、説明の簡素化のために、逐次近似レジスタ(SAR)22のビット数は5ビットとされている。
【0143】
周波数比較部30は、周波数比較器(FD)31と、可変逓倍器としてのプログラム・カウンタ(PC)32とから構成されている。
【0144】
図1のFLLと比較すると、図7のFLLのディジタル制御部20には、クロック選択回路(CS)24、制御データ記憶回路(LUT)25、上位ビット設定回路(UBS)26とが追加されている。
【0145】
逓倍数設定入力端子Minからプログラム・カウンタ(PC)32に供給される逓倍数Mが、制御データ記憶回路(LUT)25にも供給される。供給される逓倍数Mに応答して制御データ記憶回路(LUT)25は、供給された分周数Mに対応する設定遅延段数Nの上位ビットを出力して逐次近似レジスタ(SAR)22の上位ビットのフリップフロップに初期設定する。この上位ビットは、以下のように設定されることができる。
【0146】
上記(4式)と図4とで説明したように、プログラム・カウンタ32の可変逓倍数Mとディジタル制御発振器10の設定遅延段数Nとは逆比例の関係である。すなわち、可変逓倍数Mが減少すると設定遅延段数Nは増加して、可変逓倍数Mが増加すると設定遅延段数Nは減少する。
【0147】
また、図4から明らかなように、可変逓倍数Mが大きな領域では単位遅延量tdの変動による設定遅延段数Nの変動は比較的小さなものとなり、可変逓倍数Mが小さな領域では単位遅延量tdの変動による設定遅延段数Nの変動は比較的大きなものとなる。
【0148】
すなわち、小さな値の可変逓倍数Mから制御データ記憶回路(LUT)25から上記の逆比例の関係に従って生成される設定遅延段数Nは、比較的低い精度を持っている。従って、この比較的低い精度に従って、小さな値の可変逓倍数Mに対応する設定遅延段数Nの上位ビットが設定される。図4の例では、ディジタル制御発振器10の設定遅延段数Nに対応する逐次近似レジスタ(SAR)22に設定される5ビットのうち上位2ビットが、制御データ記憶回路(LUT)25から出力され、逐次近似レジスタ(SAR)22の上位ビットのフリップフロップに初期設定される。
【0149】
すなわち、図4の例では、可変逓倍数Mが15から10までの逓倍数Mの大きな領域では、大きな逓倍数に応答して制御データ記憶回路(LUT)25から初期設定データ“00”が生成され逐次近似レジスタ(SAR)22の上位ビットのフリップフロップに初期設定される。また、可変逓倍数Mが10から7までの逓倍数Mの比較的大きな領域では、比較的大きな逓倍数に応答して制御データ記憶回路(LUT)25から初期設定データ“01”が生成され逐次近似レジスタ(SAR)22の上位ビットのフリップフロップに初期設定される。更に、可変逓倍数Mが7から5.5までの逓倍数Mの比較的小さな領域では、比較的小さな逓倍数に応答して制御データ記憶回路(LUT)25から初期設定データ“10”が生成され逐次近似レジスタ(SAR)22の上位ビットのフリップフロップに初期設定される。また、可変逓倍数Mが5.5以下の逓倍数Mの小さな領域では、小さな逓倍数に応答して制御データ記憶回路(LUT)25から初期設定データ“11”が生成され逐次近似レジスタ(SAR)22の上位ビットのフリップフロップに初期設定される。
【0150】
また図7のFLLでは、逐次近似レジスタ(SAR)22の初期設定は、供給される逓倍数Mに応答して制御データ記憶回路(LUT)25が逐次近似レジスタ22への初期設定に使用される初期設定制御信号Set1、Set2、Set3、Set4、Set5を生成して上位ビット設定回路(UBS)26に供給することで実行される。更に図7のFLLでは、逐次近似レジスタ(SAR)22の初期設定が行われる上位ビット数は、供給される逓倍数Mに応答して制御データ記憶回路(LUT)25が生成してクロック選択回路(CS)24に供給する選択信号Sel1、Sel2、Sel3により指示される。すなわち、選択信号Sel1、Sel2、Sel3がデータ“111”であると、逐次近似レジスタ(SAR)22の上位の3ビットのフリップフロップに初期設定が実行される。また、選択信号Sel1、Sel2、Sel3がデータ“110”であると逐次近似レジスタ(SAR)22の上位の2ビットのフリップフロップに初期設定が実行され、更に選択信号Sel1、Sel2、Sel3がデータ“100”であると逐次近似レジスタ(SAR)22の上位の1ビットのフリップフロップにのみ初期設定が実行される。
【0151】
更に逐次近似レジスタ22への初期設定の後に、選択信号Sel1〜Sel3は、位相周波数比較器31の比較出力信号FDoutの信号レベルを制御クロック生成回路23からのマルチクロック信号cks0〜cks5のタイミングで逐次近似レジスタ22の下位ビットのフリップフロップに設定する際の選択にも使用される。
【0152】
《逐次近似レジスタへの設定遅延段数の上位ビットの初期設定》
逓倍数設定入力端子Minに供給される逓倍数Mに応答して制御データ記憶回路25から生成される初期設定制御信号Set1〜Set5が供給される上位ビット設定回路26による制御により、設定遅延段数Nの上位ビットが逐次近似レジスタ22の上位ビットのフリップフロップに初期設定されることができる。
【0153】
図8は、図7に示した本発明の実施の形態によるFLLのディジタル制御部20の逐次近似レジスタ(SAR)22と上位ビット設定回路(UBS)26とクロック選択回路(CS)24との構成を示す図である。
【0154】
図8の右側に示すように、逐次近似レジスタ(SAR)22は、データ入力端子Dに周波数比較部30の周波数比較器31の比較出力信号FDoutが共通に供給される5個のフリップフロップFF1〜FF5により構成されている。また、上位ビット設定回路(UBS)26は、5個のインバータと、10個のAND回路と、4個のOR回路とを含んでいる。上位ビット設定回路(UBS)26の5個のインバータには、制御データ記憶回路(LUT)25からの初期設定に使用される初期設定制御信号Set1〜Set5がそれぞれ供給されている。上位ビット設定回路(UBS)26の10個のAND回路には、制御クロック生成回路23からのマルチクロック信号cks0〜cks5の第1クロック信号cks0が供給される。
【0155】
図4の例で、可変逓倍数Mが10から15までの逓倍数Mの大きな領域では、大きな逓倍数に応答して制御データ記憶回路25から生成される初期設定制御信号Set1〜Set5の上位2ビット信号のSet1、Set2は“00”の初期設定データとなる。第1クロック信号cks0がハイレベル“1”となる初期設定のタイミングで、上位2ビット信号のSet1、Set2は“00”の初期設定データに応答して逐次近似レジスタ(SAR)22の上位2ビット信号のフリップフロップFF1、FF2のリセット端子Rがハイレベル“1”に駆動される。その結果、逐次近似レジスタ(SAR)22の上位2ビット信号のフリップフロップFF1、FF2には、“00”の初期設定データが格納される。尚、この時には、初期設定制御信号Set1〜Set5の下位3ビット信号のSet3、Set4、Set5は“000”のデータであるので、逐次近似レジスタ(SAR)22の下位3ビット信号のフリップフロップFF3、FF4、FF5には“000”のデータが格納される。
【0156】
図4の例で、可変逓倍数Mが7から10までの逓倍数Mの比較的大きな領域では、比較的大きな逓倍数に応答して制御データ記憶回路25から生成される初期設定制御信号Set1〜Set5の上位2ビット信号のSet1、Set2は“01”の初期設定データとなる。第1クロック信号cks0がハイレベル“1”となる初期設定のタイミングで、上位2ビット信号のSet1、Set2は“01”の初期設定データに応答して、逐次近似レジスタ(SAR)22の上位2ビット信号のフリップフロップFF1、FF2には、“01”の初期設定データが格納される。尚、この時にも、初期設定制御信号Set1〜Set5の下位3ビット信号のSet3、Set4、Set5は“000”のデータであるので、逐次近似レジスタ(SAR)22の下位3ビット信号のフリップフロップFF3、FF4、FF5には“000”のデータが格納される。
【0157】
図4の例で、可変逓倍数Mが5.5から7までの逓倍数Mの比較的小さな領域では、比較的小さな逓倍数に応答して制御データ記憶回路25から生成される初期設定制御信号Set1〜Set5の上位2ビット信号のSet1、Set2は“10”の初期設定データとなる。第1クロック信号cks0がハイレベル“1”となる初期設定のタイミングで、上位2ビット信号のSet1、Set2は“10”の初期設定データに応答して、逐次近似レジスタ(SAR)22の上位2ビット信号のフリップフロップFF1、FF2には、“10”の初期設定データが格納される。尚、この時にも、初期設定制御信号Set1〜Set5の下位3ビット信号のSet3、Set4、Set5は“000”のデータであるので、逐次近似レジスタ(SAR)22の下位3ビット信号のフリップフロップFF3、FF4、FF5には“000”のデータが格納される。
【0158】
図4の例で、可変逓倍数Mが5.5以下の逓倍数Mの小さな領域では、小さな逓倍数に応答して制御データ記憶回路25から生成される初期設定制御信号Set1〜Set5の上位2ビット信号のSet1、Set2は“11”の初期設定データとなる。第1クロック信号cks0がハイレベル“1”となる初期設定のタイミングで、上位2ビット信号のSet1、Set2は“11”の初期設定データに応答して逐次近似レジスタ(SAR)22の上位2ビット信号のフリップフロップFF1、FF2のセット端子Sがハイレベル“1”に駆動される。その結果、逐次近似レジスタ(SAR)22の上位2ビット信号のフリップフロップFF1、FF2には、“11”の初期設定データが格納される。尚、この時にも、初期設定制御信号Set1〜Set5の下位3ビット信号のSet3、Set4、Set5は“000”のデータであるので、逐次近似レジスタ(SAR)22の下位3ビット信号のフリップフロップFF3、FF4、FF5には“000”のデータが格納される。
【0159】
また、LSIの製造プロセスのバラツキが小さく電源電圧や温度変動の影響が小さければ、逐次近似レジスタ(SAR)22の上位3ビットのまたはそれ以上の上位数ビットのフリップフロップに初期設定データを格納することができる。
【0160】
図8の左側に示すように、図7のFLLのクロック選択回路(CS)24には図5に示された制御クロック生成回路(CCG)23からのマルチクロック信号cks0〜cks5が供給されると伴に制御データ記憶回路(LUT)25からの選択信号Sel1、Sel2、Sel3が供給される。3個のインバータINV1、INV2、INV3に選択信号Sel1、Sel2、Sel3が供給されることにより、3個の反転選択信号が生成される。また、図8の左側に示したクロック選択回路(CS)24からは、マルチ選択クロック信号c1〜c5が生成され、図8の右側の逐次近似レジスタ(SAR)22に供給される。
【0161】
クロックドインバータInv11Aの信号入力端子と制御入力端子とに第2のクロック信号cks1と選択信号Sel1の反転信号とがそれぞれ供給され、このクロックドインバータInv11Aの出力信号が供給されるインバータInv11Bにより第1選択クロック信号c1が生成される。
【0162】
クロックドインバータInv12Aの信号入力端子と制御入力端子とに第2のクロック信号cks1と選択信号Sel1とがそれぞれ供給され、クロックドインバータInv12Bの信号入力端子と制御入力端子とにクロックドインバータInv12Aの出力信号と選択信号Sel2の反転信号とがそれぞれ供給される。クロックドインバータInv12Bの出力信号はOR回路OR2の第1の入力端子に供給され、OR回路OR2の出力端子から第2選択クロック信号c2が生成される。
【0163】
図13は、図7のFLLのクロック選択回路(CS)24の複数のクロックドインバータInv11A、Inv11B…の構成を示す図である。図13に示すように、複数のクロックドインバータInv11A、Inv11B…のそれぞれは、入力端子inから出力端子Outへの信号反転の信号伝達がイネーブル状態とディスエーブル状態に制御されるインバータである。
【0164】
各クロックドインバータの制御入力端子Selにハイレベル“1”の制御信号が供給されると、クロックドインバータ内部のNMOSトランジスタQn2とPMOSトランジスタQp2とがオン状態に制御されて、CMOSトランジスタQn1、Qp1が入力端子inの信号を反転して出力端子Outを駆動することができる。また、クロックドインバータの制御入力端子Selにローレベル“0”の制御信号が供給されると、クロックドインバータ内部のNMOSトランジスタQn2とPMOSトランジスタQp2とがオフ状態に制御されて、CMOSトランジスタQn1、Qp1もオフ状態となり、出力端子Outの駆動が停止される。このディスエーブル状態では、駆動能力の小さなPMOSトランジスタQp3によって、出力端子Outはハイレベル“1”である電源電圧Vddのレベルに弱くプルアップされる。
【0165】
図8の左側のクロック選択回路(CS)24に制御データ記憶回路(LUT)25から全てハイレベル“1”の選択信号Sel1、Sel2、Sel3が供給されると、クロック選択回路(CS)24内部のクロックドインバータInv12A、Inv13A、Inv14Aがイネーブル状態となる。従って、制御クロック生成回路(CCG)23からの第2クロック信号cks1は、クロック選択回路(CS)24内部のクロックドインバータInv12A、Inv13A、Inv14AとインバータInv14Bとを介してOR回路OR4の第1入力端子に伝達される。その結果、制御クロック生成回路(CCG)23からの第2クロック信号cks1に応答して、クロック選択回路(CS)24のOR回路OR4の出力から第4マルチ選択クロック信号c4が生成される。
【0166】
また、クロック選択回路(CS)24内部のクロックドインバータInv22A、Inv23A、Inv24Aがイネーブル状態となる。従って、制御クロック生成回路(CCG)23からの第3クロック信号cks2は、クロック選択回路(CS)24内部のクロックドインバータInv22A、Inv23A、Inv24AとインバータInv24Bとを介してOR回路OR5の第1入力端子に伝達される。その結果、制御クロック生成回路(CCG)23からの第3クロック信号cks2に応答して、クロック選択回路(CS)24のOR回路OR5の出力から第5マルチ選択クロック信号c5が生成される。
【0167】
《逐次近似レジスタの上位3ビットの初期設定》
図9は、図7のFLLでクロック選択回路(CS)24に制御データ記憶回路(LUT)25から全てハイレベル“1”の選択信号Sel1、Sel2、Sel3が供給された場合のFLL各部の波形を示したもので、ディジタル制御発振器10の設定遅延段数Nが設定される様子を示す図である。
【0168】
基準周波数fREFを有する入力クロック信号CLKinの図7に示すFLLへの供給が既に開始されており、図9のステップ0でプログラム・カウンタ32の逓倍数Mが所定の値に設定されて図7のFLLのロック動作が開始されたものとする。まず、ステップ0より以前の初期状態として、制御クロック生成回路(CCG)23の3個のフリップフロップFF6〜FF8の非反転データ出力端子Dq1〜Dq3は全てローレベル“0”となり、反転データ出力端子Dq1b〜Dq3bは全てハイレベル“1”となっている。
【0169】
この状態で、図9のステップ0のタイミングでハイレベル“1”の入力クロック信号CLKinが図5の制御クロック生成回路(CCG)23に供給されることにより、第1のANDゲートAND1の出力端子から、ハイレベル“1”の第1のクロック信号cks0が生成される。第1のANDゲートAND1の出力端子から生成されたハイレベル“1”の第1のクロック信号cks0は4個のフリップフロップFF6〜FF9のリセット端子Rに共通に供給されるので、4個のフリップフロップFF6〜FF9は全てリセット状態に駆動される。その結果、4個のフリップフロップFF6〜FF9の非反転データ出力端子Dq1〜Dq4は全てローレベル“0”であり、また3個のフリップフロップFF6〜FF8の反転データ出力端子Dq1b〜Dq3bは全てハイレベル“1”である。
【0170】
一方、図9のステップ0のハイレベル“1”の第1のクロック信号cks0に応答して制御データ記憶回路25から生成される初期設定制御信号Set1〜Set5の上位3ビット信号のSet1〜Set3の初期設定データが逐次近似レジスタ22の上位3ビット信号のフリップフロップFF1〜FF3に格納される。上位3ビット信号のフリップフロップFF1〜FF3に格納される初期設定データは、8個の“000”、“001”、“010”、“011”、“100”、“101”、“110”、“111”のいずれかのデータとなる。尚、この時には、上述のように逐次近似レジスタ(SAR)22の下位2ビット信号のフリップフロップFF4〜FF5には、“00”のデータが格納される。
【0171】
《周波数比較器の出力による下位2ビットの設定》
図6のステップ1と同様に、図9のステップ1で入力クロック信号CLKinがローレベル“0”からハイレベル“1”に変化すると、制御クロック生成回路(CCG)23からハイレベル“1”の第2クロック信号cks1が生成される。この時に、図8のクロック選択回路(CS)24に制御データ記憶回路(LUT)25から全てハイレベル“1”の選択信号Sel1、Sel2、Sel3が供給されている。従って、図9のステップ1で制御クロック生成回路(CCG)23からのハイレベル“1”の第2クロック信号cks1に応答して、クロック選択回路(CS)24のOR回路OR4の出力からハイレベル“1”の第4マルチ選択クロック信号c4が生成される。
【0172】
一方、この時には逐次近似レジスタ(SAR)22のステップ0の初期設定データを利用した図7のFLLのディジタル制御発振器の第1回目の発振動作の結果である周波数比較器(FD)31の比較出力信号FDoutが生成されている。比較出力信号FDoutがローレベル“0”の時は周波数が低い場合を示しており、図9のステップ1でハイレベル“1”の第2クロック信号cks1と第4マルチ選択クロック信号c4に応答してローレベル“0”の比較出力信号FDoutが逐次近似レジスタ22の4ビット目のフリップフロップFF4に格納される。比較出力信号FDoutがハイレベル“1”の時は周波数が高い場合を示しており、図9のステップ1でハイレベル“1”の第2クロック信号cks1と第4マルチ選択クロック信号c4に応答してハイレベル“1”の比較出力信号FDoutが逐次近似レジスタ22の4ビット目のフリップフロップFF4に格納される。また、図9のステップ1では、クロック選択回路(CS)24からの第1マルチ選択クロック信号c1、第2マルチ選択クロック信号c2、第3マルチ選択クロック信号c3は、全てローレベル“0”とされている。その結果、図9のステップ0で逐次近似レジスタ(SAR)22の上位3ビット信号のフリップフロップFF1〜FF3に格納された初期設定データのデータ書き換えが禁止されることができる。
【0173】
図6のステップ2と同様に、図9のステップ2で入力クロック信号CLKinがローレベル“0”からハイレベル“1”に変化すると、制御クロック生成回路(CCG)23からハイレベル“1”の第3クロック信号cks2が生成される。この時に、図8のクロック選択回路(CS)24に制御データ記憶回路(LUT)25から全てハイレベル“1”の選択信号Sel1、Sel2、Sel3が供給されている。従って、図9のステップ2で制御クロック生成回路(CCG)23からのハイレベル“1”の第3クロック信号cks2に応答して、クロック選択回路(CS)24のOR回路OR5の出力からハイレベル“1”の第5マルチ選択クロック信号c5が生成される。
【0174】
一方、この時には逐次近似レジスタ(SAR)22のステップ1の設定データを利用した図7のFLLのディジタル制御発振器の第2回目の発振動作の結果である周波数比較器(FD)31の比較出力信号FDoutが生成されている。比較出力信号FDoutがローレベル“0”の時は周波数が低い場合を示しており、図9のステップ2でハイレベル“1”の第3クロック信号cks2と第5マルチ選択クロック信号c5に応答してローレベル“0”の比較出力信号FDoutが逐次近似レジスタ22の5ビット目のフリップフロップFF5に格納される。比較出力信号FDoutがハイレベル“1”の時は周波数が高い場合を示しており、図9のステップ2でハイレベル“1”の第3クロック信号cks2と第5マルチ選択クロック信号c5に応答してハイレベル“1”の比較出力信号FDoutが逐次近似レジスタ22の5ビット目のフリップフロップFF5に格納される。また、図9のステップ2では、クロック選択回路(CS)24からの第1マルチ選択クロック信号c1〜第4マルチ選択クロック信号c4は、全てローレベル“0”とされている。その結果、図9のステップ0で逐次近似レジスタ(SAR)22の上位4ビット信号のフリップフロップFF1〜FF4に格納された設定データのデータ書き換えが禁止されることができる。
【0175】
この図9の場合ではステップ0で制御データ記憶回路25からの上位3ビット信号の初期設定制御信号Set1〜Set3が逐次近似レジスタ22の上位3ビット信号のフリップフロップFF1〜FF3に格納されるので、ステップ2迄でディジタル制御発振器10の設定遅延段数Nの設定を高速で完了することができる。
【0176】
《逐次近似レジスタの上位2ビットの初期設定》
図10は、図7のFLLでクロック選択回路(CS)24に制御データ記憶回路(LUT)25からデータ“110”の選択信号Sel1、Sel2、Sel3が供給された場合のFLL各部の波形を示したもので、ディジタル制御発振器10の設定遅延段数Nが設定される様子を示す図である。
【0177】
基準周波数fREFを有する入力クロック信号CLKinの図1に示すFLLへの供給が既に開始されており、図10のステップ0でプログラム・カウンタ32の逓倍数Mが所定の値に設定されて図7のFLLのロック動作が開始されたものとする。まず、ステップ0より以前の初期状態として、制御クロック生成回路(CCG)23の3個のフリップフロップFF6〜FF8の非反転データ出力端子Dq1〜Dq3は全てローレベル“0”となり、反転データ出力端子Dq1b〜Dq3bは全てハイレベル“1”となっている。
【0178】
この状態で、図10のステップ0のタイミングでハイレベル“1”の入力クロック信号CLKinが図5の制御クロック生成回路(CCG)23に供給されることにより、第1のANDゲートAND1の出力端子から、ハイレベル“1”の第1のクロック信号cks0が生成される。第1のANDゲートAND1の出力端子から生成されたハイレベル“1”の第1のクロック信号cks0は4個のフリップフロップFF6〜FF9のリセット端子Rに共通に供給されるので、4個のフリップフロップFF6〜FF9は全てリセット状態に駆動される。その結果、4個のフリップフロップFF6〜FF9の非反転データ出力端子Dq1〜Dq4は全てローレベル“0”であり、また3個のフリップフロップFF6〜FF8の反転データ出力端子Dq1b〜Dq3bは全てハイレベル“1”である。
【0179】
一方、図10のステップ0のハイレベル“1”の第1のクロック信号cks0に応答して制御データ記憶回路25から生成される初期設定制御信号Set1〜Set5の上位2ビット信号のSet1、Set2の初期設定データが逐次近似レジスタ22の上位2ビット信号のフリップフロップFF1、FF2に格納される。上位2ビット信号のフリップフロップFF1、FF2に格納される初期設定データは、4個の“00”、“01”、 “10”、“11”のいずれかのデータとなる。尚、この時には、逐次近似レジスタ(SAR)22の下位3ビット信号のフリップフロップFF3〜FF5には、“000”のデータが格納される。
【0180】
《周波数比較器の出力による下位3ビットの設定》
図6のステップ1と同様に、図10のステップ1で入力クロック信号CLKinがローレベル“0”からハイレベル“1”に変化すると、制御クロック生成回路(CCG)23からハイレベル“1”の第2クロック信号cks1が生成される。この時に、図8のクロック選択回路(CS)24に制御データ記憶回路(LUT)25からデータ“110”の選択信号Sel1、Sel2、Sel3が供給されている。従って、図10のステップ1で制御クロック生成回路(CCG)23からのハイレベル“1”の第2クロック信号cks1に応答して、クロック選択回路(CS)24のOR回路OR3の出力からハイレベル“1”の第3マルチ選択クロック信号c3が生成される。
【0181】
一方、この時には逐次近似レジスタ(SAR)22のステップ0の初期設定データを利用した図7のFLLのディジタル制御発振器の第1回目の発振動作の結果である周波数比較器(FD)31の比較出力信号FDoutが生成されている。比較出力信号FDoutがローレベル“0”の時は周波数が低い場合を示しており、図10のステップ1でハイレベル“1”の第2クロック信号cks1と第3マルチ選択クロック信号c3に応答してローレベル“0”の比較出力信号FDoutが逐次近似レジスタ22の3ビット目のフリップフロップFF3に格納される。比較出力信号FDoutがハイレベル“1”の時は周波数が高い場合を示しており、図10のステップ1でハイレベル“1”の第2クロック信号cks1と第3マルチ選択クロック信号c3に応答してハイレベル“1”の比較出力信号FDoutが逐次近似レジスタ22の3ビット目のフリップフロップFF3に格納される。また、図10のステップ1では、クロック選択回路(CS)24からの第1マルチ選択クロック信号c1、第2マルチ選択クロック信号c2は、全てローレベル“0”とされている。その結果、図10のステップ0で逐次近似レジスタ(SAR)22の上位2ビット信号のフリップフロップFF1、FF2に格納された初期設定データのデータ書き換えが禁止されることができる。
【0182】
図6のステップ2と同様に、図10のステップ2で入力クロック信号CLKinがローレベル“0”からハイレベル“1”に変化すると、制御クロック生成回路(CCG)23からハイレベル“1”の第3クロック信号cks2が生成される。この時に、図8のクロック選択回路(CS)24に制御データ記憶回路(LUT)25からデータ“110”の選択信号Sel1、Sel2、Sel3が供給されている。従って、図10のステップ2で制御クロック生成回路(CCG)23からのハイレベル“1”の第3クロック信号cks2に応答して、クロック選択回路(CS)24のOR回路OR4の出力からハイレベル“1”の第4マルチ選択クロック信号c4が生成される。
【0183】
一方、この時には逐次近似レジスタ(SAR)22のステップ1の設定データを利用した図7のFLLのディジタル制御発振器の第2回目の発振動作の結果である周波数比較器(FD)31の比較出力信号FDoutが生成されている。比較出力信号FDoutがローレベル“0”の時は周波数が低い場合を示しており、図10のステップ2でハイレベル“1”の第3クロック信号cks2と第4マルチ選択クロック信号c4に応答してローレベル“0”の比較出力信号FDoutが逐次近似レジスタ22の4ビット目のフリップフロップFF4に格納される。比較出力信号FDoutがハイレベル“1”の時は周波数が高い場合を示しており、図10のステップ2でハイレベル“1”の第3クロック信号cks2と第4マルチ選択クロック信号c4に応答してハイレベル“1”の比較出力信号FDoutが逐次近似レジスタ22の4ビット目のフリップフロップFF4に格納される。また、図10のステップ2では、クロック選択回路(CS)24からの第1マルチ選択クロック信号c1〜第3マルチ選択クロック信号c3は、全てローレベル“0”とされている。その結果、図10のステップ0で逐次近似レジスタ(SAR)22の上位3ビット信号のフリップフロップFF1〜FF3に格納された設定データのデータ書き換えが禁止されることができる。
【0184】
図6のステップ3と同様に、図10のステップ3で入力クロック信号CLKinがローレベル“0”からハイレベル“1”に変化すると、制御クロック生成回路(CCG)23からハイレベル“1”の第4クロック信号cks3が生成される。この時に、図8のクロック選択回路(CS)24に制御データ記憶回路(LUT)25からデータ“110”の選択信号Sel1、Sel2、Sel3が供給されている。従って、図10のステップ2で制御クロック生成回路(CCG)23からのハイレベル“1”の第4クロック信号cks3に応答して、クロック選択回路(CS)24のOR回路OR4の出力からハイレベル“1”の第5マルチ選択クロック信号c5が生成される。
【0185】
また、この時には逐次近似レジスタ(SAR)22のステップ2の設定データを利用した図7のFLLのディジタル制御発振器の第3回目の発振動作の結果である周波数比較器(FD)31の比較出力信号FDoutが生成されている。比較出力信号FDoutがローレベル“0”の時は周波数が低い場合を示しており、図10のステップ3でハイレベル“1”の第4クロック信号cks3と第5マルチ選択クロック信号c5に応答してローレベル“0”の比較出力信号FDoutが逐次近似レジスタ22の5ビット目のフリップフロップFF5に格納される。比較出力信号FDoutがハイレベル“1”の時は周波数が高い場合を示しており、図10のステップ3でハイレベル“1”の第4クロック信号cks3と第5マルチ選択クロック信号c5に応答してハイレベル“1”の比較出力信号FDoutが逐次近似レジスタ22の5ビット目のフリップフロップFF5に格納される。また、図10のステップ3では、クロック選択回路(CS)24からの第1マルチ選択クロック信号c1〜第4マルチ選択クロック信号c4は、全てローレベル“0”とされている。その結果、図10のステップ0で逐次近似レジスタ(SAR)22の上位4ビット信号のフリップフロップFF1〜FF4に格納された設定データのデータ書き換えが禁止されることができる。
【0186】
この図10の場合ではステップ0で制御データ記憶回路25からの上位2ビット信号の初期設定制御信号Set1〜Set2が逐次近似レジスタ22の上位2ビット信号のフリップフロップFF1〜FF2に格納されるので、ステップ3迄でディジタル制御発振器10の設定遅延段数Nの設定を比較的高速で完了できる。
【0187】
《逐次近似レジスタの上位1ビットの初期設定》
図11は、図7のFLLでクロック選択回路(CS)24に制御データ記憶回路(LUT)25からデータ“100”の選択信号Sel1、Sel2、Sel3が供給された場合のFLL各部の波形を示したもので、ディジタル制御発振器10の設定遅延段数Nが設定される様子を示す図である。
【0188】
基準周波数fREFを有する入力クロック信号CLKinの図1に示すFLLへの供給が既に開始されており、図11のステップ0でプログラム・カウンタ32の逓倍数Mが所定の値に設定されて図7のFLLのロック動作が開始されたものとする。まず、ステップ0より以前の初期状態として、制御クロック生成回路(CCG)23の3個のフリップフロップFF6〜FF8の非反転データ出力端子Dq1〜Dq3は全てローレベル“0”となり、反転データ出力端子Dq1b〜Dq3bは全てハイレベル“1”となっている。
【0189】
この状態で、図11のステップ0のタイミングでハイレベル“1”の入力クロック信号CLKinが図5の制御クロック生成回路(CCG)23に供給されることにより、第1のANDゲートAND1の出力端子から、ハイレベル“1”の第1のクロック信号cks0が生成される。第1のANDゲートAND1の出力端子から生成されたハイレベル“1”の第1のクロック信号cks0は4個のフリップフロップFF6〜FF9のリセット端子Rに共通に供給されるので、4個のフリップフロップFF6〜FF9は全てリセット状態に駆動される。その結果、4個のフリップフロップFF6〜FF9の非反転データ出力端子Dq1〜Dq4は全てローレベル“0”であり、また3個のフリップフロップFF6〜FF8の反転データ出力端子Dq1b〜Dq3bは全てハイレベル“1”である。
【0190】
一方、図11のステップ0のハイレベル“1”の第1のクロック信号cks0に応答して制御データ記憶回路25から生成される初期設定制御信号Set1〜Set5の上位1ビット信号のSet1の初期設定データが逐次近似レジスタ22の上位1ビット信号のフリップフロップFF1に格納される。上位1ビット信号のフリップフロップFF1に格納される初期設定データは、2個の“0”、“1”のいずれかのデータとなる。尚、この時には、逐次近似レジスタ(SAR)22の下位4ビット信号のフリップフロップFF2〜FF5には、“0000”のデータが格納される。
【0191】
《周波数比較器の出力による下位4ビットの設定》
図6のステップ1と同様に、図11のステップ1で入力クロック信号CLKinがローレベル“0”からハイレベル“1”に変化すると、制御クロック生成回路(CCG)23からハイレベル“1”の第2クロック信号cks1が生成される。この時に、図8のクロック選択回路(CS)24に制御データ記憶回路(LUT)25からデータ“100”の選択信号Sel1、Sel2、Sel3が供給されている。従って、図11のステップ1で制御クロック生成回路(CCG)23からのハイレベル“1”の第2クロック信号cks1に応答して、クロック選択回路(CS)24のOR回路OR2の出力からハイレベル“1”の第2マルチ選択クロック信号c2が生成される。
【0192】
一方、この時には逐次近似レジスタ(SAR)22のステップ0の初期設定データを利用した図7のFLLのディジタル制御発振器の第1回目の発振動作の結果である周波数比較器(FD)31の比較出力信号FDoutが生成されている。比較出力信号FDoutがローレベル“0”の時は周波数が低い場合を示しており、図11のステップ1でハイレベル“1”の第2クロック信号cks1と第2マルチ選択クロック信号c2に応答してローレベル“0”の比較出力信号FDoutが逐次近似レジスタ22の2ビット目のフリップフロップFF2に格納される。比較出力信号FDoutがハイレベル“1”の時は周波数が高い場合を示しており、図11のステップ1でハイレベル“1”の第2クロック信号cks1と第2マルチ選択クロック信号c2に応答してハイレベル“1”の比較出力信号FDoutが逐次近似レジスタ22の2ビット目のフリップフロップFF2に格納される。また、図11のステップ1では、クロック選択回路(CS)24からの第1マルチ選択クロック信号c1は、ローレベル“0”とされている。その結果、図11のステップ0で逐次近似レジスタ(SAR)22の上位1ビット信号のフリップフロップFF1に格納された初期設定データのデータ書き換えが禁止されることができる。
【0193】
図6のステップ2と同様に、図11のステップ2で入力クロック信号CLKinがローレベル“0”からハイレベル“1”に変化すると、制御クロック生成回路(CCG)23からハイレベル“1”の第3クロック信号cks2が生成される。この時に、図8のクロック選択回路(CS)24に制御データ記憶回路(LUT)25からデータ“100”の選択信号Sel1、Sel2、Sel3が供給されている。従って、図10のステップ2で制御クロック生成回路(CCG)23からのハイレベル“1”の第3クロック信号cks2に応答して、クロック選択回路(CS)24のOR回路OR3の出力からハイレベル“1”の第3マルチ選択クロック信号c3が生成される。
【0194】
一方、この時には逐次近似レジスタ(SAR)22のステップ1の設定データを利用した図7のFLLのディジタル制御発振器の第2回目の発振動作の結果である周波数比較器(FD)31の比較出力信号FDoutが生成されている。比較出力信号FDoutがローレベル“0”の時は周波数が低い場合を示しており、図11のステップ2でハイレベル“1”の第3クロック信号cks2と第3マルチ選択クロック信号c3に応答してローレベル“0”の比較出力信号FDoutが逐次近似レジスタ22の3ビット目のフリップフロップFF3に格納される。比較出力信号FDoutがハイレベル“1”の時は周波数が高い場合を示しており、図11のステップ2でハイレベル“1”の第3クロック信号cks2と第3マルチ選択クロック信号c3に応答してハイレベル“1”の比較出力信号FDoutが逐次近似レジスタ22の3ビット目のフリップフロップFF3に格納される。また、図11のステップ2では、クロック選択回路(CS)24からの第1マルチ選択クロック信号c1〜第2マルチ選択クロック信号c2は、全てローレベル“0”とされている。その結果、図11のステップ0で逐次近似レジスタ(SAR)22の上位2ビット信号のフリップフロップFF1〜FF2に格納された設定データのデータ書き換えが禁止されることができる。
【0195】
図6のステップ3と同様に、図11のステップ3で入力クロック信号CLKinがローレベル“0”からハイレベル“1”に変化すると、制御クロック生成回路(CCG)23からハイレベル“1”の第4クロック信号cks3が生成される。この時に、図8のクロック選択回路(CS)24に制御データ記憶回路(LUT)25からデータ“100”の選択信号Sel1、Sel2、Sel3が供給されている。従って、図11のステップ3で制御クロック生成回路(CCG)23からのハイレベル“1”の第4クロック信号cks3に応答して、クロック選択回路(CS)24のOR回路OR3の出力からハイレベル“1”の第4マルチ選択クロック信号c4が生成される。
【0196】
一方、この時には逐次近似レジスタ(SAR)22のステップ1の設定データを利用した図7のFLLのディジタル制御発振器の第3回目の発振動作の結果である周波数比較器(FD)31の比較出力信号FDoutが生成されている。比較出力信号FDoutがローレベル“0”の時は周波数が低い場合を示しており、図11のステップ3でハイレベル“1”の第4クロック信号cks4と第4マルチ選択クロック信号c4に応答してローレベル“0”の比較出力信号FDoutが逐次近似レジスタ22の4ビット目のフリップフロップFF4に格納される。比較出力信号FDoutがハイレベル“1”の時は周波数が高い場合を示しており、図11のステップ3でハイレベル“1”の第4クロック信号cks4と第4マルチ選択クロック信号c4に応答してハイレベル“1”の比較出力信号FDoutが逐次近似レジスタ22の4ビット目のフリップフロップFF4に格納される。また、図11のステップ3では、クロック選択回路(CS)24からの第1マルチ選択クロック信号c1〜第3マルチ選択クロック信号c3は、全てローレベル“0”とされている。その結果、図11のステップ0で逐次近似レジスタ(SAR)22の上位3ビット信号のフリップフロップFF1〜FF3に格納された設定データのデータ書き換えが禁止されることができる。
【0197】
図6のステップ4と同様に、図11のステップ4で入力クロック信号CLKinがローレベル“0”からハイレベル“1”に変化すると、制御クロック生成回路(CCG)23からハイレベル“1”の第5クロック信号cks4が生成される。この時に、図8のクロック選択回路(CS)24に制御データ記憶回路(LUT)25からデータ“100”の選択信号Sel1、Sel2、Sel3が供給されている。従って、図11のステップ4で制御クロック生成回路(CCG)23からのハイレベル“1”の第5クロック信号cks4に応答して、クロック選択回路(CS)24のOR回路OR5の出力からハイレベル“1”の第5マルチ選択クロック信号c5が生成される。
【0198】
また、この時には逐次近似レジスタ(SAR)22のステップ3の設定データを利用した図7のFLLのディジタル制御発振器の第4回目の発振動作の結果である周波数比較器(FD)31の比較出力信号FDoutが生成されている。比較出力信号FDoutがローレベル“0”の時は周波数が低い場合を示しており、図11のステップ4でハイレベル“1”の第5クロック信号cks4と第5マルチ選択クロック信号c5に応答してローレベル“0”の比較出力信号FDoutが逐次近似レジスタ22の5ビット目のフリップフロップFF5に格納される。比較出力信号FDoutがハイレベル“1”の時は周波数が高い場合を示しており、図11のステップ4でハイレベル“1”の第5クロック信号cks4と第5マルチ選択クロック信号c5に応答してハイレベル“1”の比較出力信号FDoutが逐次近似レジスタ22の5ビット目のフリップフロップFF5に格納される。また、図11のステップ4では、クロック選択回路(CS)24からの第1マルチ選択クロック信号c1〜第4マルチ選択クロック信号c4は、全てローレベル“0”とされている。その結果、図11のステップ0で逐次近似レジスタ(SAR)22の上位4ビット信号のフリップフロップFF1〜FF4に格納された設定データのデータ書き換えが禁止されることができる。
【0199】
この図11の場合ではステップ0で制御データ記憶回路25からの上位1ビット信号の初期設定制御信号Set1が逐次近似レジスタ22の上位1ビット信号のフリップフロップFF1に格納されるので、ステップ4迄でディジタル制御発振器10の設定遅延段数Nの設定を比較的高速で完了できる。
【0200】
《逐次近似レジスタでの初期設定が無い場合》
図12は、図7のFLLでクロック選択回路(CS)24に制御データ記憶回路(LUT)25からデータ“000”の選択信号Sel1、Sel2、Sel3が供給された場合のFLL各部の波形を示したもので、ディジタル制御発振器10の設定遅延段数Nが設定される様子を示す図である。
【0201】
上記の説明では、図7に示したFLLのディジタル制御部20の逐次近似レジスタ(SAR)22のビット数は5ビットと説明していたが、11ビットのプログラム・カウンタ32の最大2047の可変逓倍数Mに対応するために逐次近似レジスタ(SAR)22の実際のビット数は12ビットである。その結果、制御データ記憶回路(LUT)25のメモリ容量の制限により、逓倍数設定入力端子Minからプログラム・カウンタ(PC)32に供給される全ての逓倍数Mに対応する逐次近似レジスタ(SAR)22の設定遅延段数Nの上位ビットを制御データ記憶回路(LUT)25に格納できない場合がある。
【0202】
制御データ記憶回路(LUT)25に格納された設定遅延段数Nの上位ビットに対応しない逓倍数Mが逓倍数設定入力端子Minから供給されると、制御データ記憶回路(LUT)25は初期設定の選択が不可能であることを示すデータ“000”の選択信号Sel1、Sel2、Sel3をクロック選択回路(CS)24に供給する。従って、クロック選択回路(CS)24では、クロックドインバータInv11A、Inv21A、Inv31A、Inv41A、Inv51Aが活性化されるので、制御クロック生成回路23からのマルチクロック信号cks1〜cks5は、クロック選択回路(CS)24のマルチ選択クロック信号c1〜c5として出力される。また、この時には、制御データ記憶回路(LUT)25は、図3のバイナリー・サーチ・アルゴリズム(2分探査法)の初期コード“10000”を持つ初期設定制御信号Set1、Set2、Set3、Set4、Set5を生成して上位ビット設定回路(UBS)26に供給する。
【0203】
従って、図12のステップ0では、制御クロック生成回路(CCG)23からの第1クロック信号cks0に応答して、逐次近似レジスタ(SAR)22の第1のフリップフロップFF1〜第5のフリップフロップFF5に初期コード“10000”が格納されることができる。
【0204】
その後、図6と同様に、図12のステップ1、ステップ2、ステップ3、ステップ4、ステップ5の各ステップで位相比較出力FDoutが逐次近似レジスタ(SAR)22の第1〜第5のフリップフロップFF1〜5の各フリップフロップに格納される。
【0205】
このようにして図12の場合ではステップ0では逐次近似レジスタ22への初期設定が実行されないが、ステップ5迄で逐次近似レジスタ(SAR)22の第1〜第5のフリップフロップFF1〜FF5にディジタル制御発振器10の設定遅延段数Nの設定を完了することができる。
【0206】
《PLLの他の構成》
本発明は、可変逓倍器としてのプログラム・カウンタ(PC)32を具備するFLLとは異なる別の構成のクロック生成回路、すなわち位相ロックドループ(PLL)にも適用することが可能である。
【0207】
図17は、本発明の他の実施の形態によるPLLの基本的な構成を示す図である。
【0208】
図17に示すPLLでは、図7に示すFLLにおける可変逓倍器としてのプログラム・カウンタ32は、図17に示すように分周比Mが固定値の固定分周器で構成される。その代わりに、図17では、位相周波数比較器31の一方の入力端子に供給される基準周波数信号としての入力クロック信号CLKinの周波数fREFが、高(高速)、中(中速)、低(低速)と変化される。
【0209】
入力クロック信号CLKinの周波数fREFが高、中、低と変化しても、図17に示すPLLがロック動作を行うためには、上記(4式)から明らかなように入力クロック信号CLKinの周波数fREFの高、中、低の変化に対応してディジタル制御発振器10の設定遅延段数Nは小、中、大と変化する必要がある。
【0210】
PLLをロックさせるディジタル制御発振器10の設定遅延段数Nをディジタル制御する逐次近似レジスタ(SAR)のディジタル制御情報の格納ステップを削減させるために、入力クロック信号CLKinの周波数fREFが高、中、低のいずれかの情報が、制御データ記憶回路(LUT)25に供給される。制御データ記憶回路(LUT)25から入力クロック信号CLKinの周波数fREFに対応するディジタル制御発振器10の小、中、大の設定遅延段数Nの上位ビットが出力され、逐次近似レジスタ(SAR)22の上位ビットのフリップフロップに初期設定される。
【0211】
この逐次近似レジスタ(SAR)22の上位ビットのフリップフロップへの初期設定の後、バイナリー・サーチ・アルゴリズムに従って逐次近似レジスタ(SAR)の下位ビットのフリップフロップへ順次にディジタル制御情報が格納されて、図17のPLLがロック動作を完了するものである。
【0212】
また、別の構成のPLLは、図17に示す分周器の分周比Mが高、中、低と可変できる可変分周器で構成される。その代わりに、位相周波数比較器31の一方の入力端子に供給される基準周波数信号としての入力クロック信号CLKinの周波数fREFは固定値とされ、可変設定された分周比Mに反比例してディジタル制御発振器10の設定遅延段数Nが小、中、大と変化するようにすれば、発振クロックCLKm の周波数は高、中、低と変化される。この場合も、前記と同様に、逐次比較レジスタ(SAR)22の上位ビットを初期設定することによってディジタル制御情報の格納ステップを削減させることができる。
【0213】
《制御データ記憶回路の構成》
図14は、図7または図17に示した本発明の実施の形態によるFLLまたはPLLのディジタル制御部20の制御データ記憶回路(LUT)25の構成を示す図である。
【0214】
図14に示すように、制御データ記憶回路(LUT)25は、可変逓倍数または可変分周数Mの格納領域、初期設定制御信号Set1〜Set3の格納領域、選択信号Sel1〜Sel3の格納領域、動作モードModeの格納領域を含んでいる。
【0215】
図7または図17に示したFLLまたはPLLの逓倍数または分周数設定入力端子Minに供給される逓倍数または分周数141が、制御データ記憶回路(LUT)25の可変逓倍数または分周数Mの格納領域に供給される。すると、制御データ記憶回路(LUT)25の選択信号Sel1〜Sel3の格納領域から、逓倍数または分周数141に対応する初期設定制御信号(Set1〜Set3)142が生成される。可変逓倍数または可変分周数(M)141が15から10までの場合には、初期設定制御信号(Set1〜Set3)142は初期設定データ“000”となる。可変分周数(M)141が10〜7までの場合には、初期設定制御信号(Set1〜Set3)142は初期設定データ“010”となる。可変分周数(M)141が7〜5.5までの場合には、初期設定制御信号(Set1〜Set3)142は初期設定データ“100”となる。可変分周数(M)141が5.5以下の場合には、初期設定制御信号(Set1〜Set3)142は初期設定データ“110”となる。
【0216】
図14の制御データ記憶回路(LUT)25の動作モードModeの格納領域には、第1モード情報と第2モード情報と第3モード情報とが格納されている。
【0217】
動作モードModeの格納領域に第1モード情報に対応する情報143が供給されると、制御データ記憶回路25の選択信号Sel1〜Sel3の格納領域から逐次近似レジスタ(SAR)22の初期設定が上位1ビットのみのフリップフロップFF1であることを示すデータ“100”の選択信号144が生成される。
【0218】
動作モードModeの格納領域に第2モード情報に対応する情報143が供給されると、制御データ記憶回路25の選択信号Sel1〜Sel3の格納領域から逐次近似レジスタ(SAR)22の初期設定が上位2ビットのフリップフロップFF1〜2であることを示すデータ“110”の選択信号144が生成される。
【0219】
動作モードModeの格納領域に第3モード情報に対応する情報143が供給されると、制御データ記憶回路25の選択信号Sel1〜Sel3の格納領域から逐次近似レジスタ(SAR)22の初期設定が上位2ビットのフリップフロップFF1〜2であることを示すデータ“111”の選択信号144が生成される。
【0220】
図14の制御データ記憶回路(LUT)25は、ルックアップテーブル型のランダムアクセスメモリで構成されることができる。図7または図17に示した本発明の実施の形態によるFLLまたはPLLの電源投入時のシステム初期化シーケンスで、制御データ記憶回路(LUT)25の各格納領域のデータはFLLまたはPLLのシステムの不揮発性メモリからロードされることができる。
【0221】
《DLLの構成》
図15は、本発明の他の実施の形態によるDLL(遅延ロックドループ)の基本的な構成を示す図である。
【0222】
図15のDLLにおいては、図7のFLLの遅延リング発振器が省略される代わりに、入力バッファ15を介して供給される入力クロック信号CLKinを遅延するディジタル制御可変遅延回路12と出力バッファ13とを含むディジタル制御可変遅延ユニット10が配置されている。
【0223】
入力クロック信号CLKinは入力バッファ15を介して位相比較器(PD)33の一方の入力端子に供給され、出力バッファ13からの出力クロック信号CLKoutは帰還端子CLKfbと他の入力バッファ16とを介して位相比較器33の他方の入力端子に供給される。逐次近似レジスタ(SAR)22の6ビットの出力データQ1〜Q6はデコーダ21の6本の入力端子に供給され、デコーダ21からの64個のデコード出力信号はディジタル制御可変遅延ユニット10のディジタル制御可変遅延回路12に供給される。
【0224】
図15のDLLにおいては、位相比較器33での入力クロック信号CLKinの位相と出力クロック信号CLKoutの位相とがロックするようなディジタル制御可変遅延回路12での設定遅延段数Nを、バイナリー・サーチ・アルゴリズム(2分探査法)に従って設定することができる。すなわち、図15のDLLにおいては、図7のFLLと同様にDLLのディジタル制御部20の逐次近似レジスタ(SAR)22には、制御クロック生成回路(CCG)23、クロック選択回路(CS)24、制御データ記憶回路(LUT)25、上位ビット設定回路(UBS)26とが接続されている。
【0225】
遅延設定入力端子Linから供給される遅延設定数値が、制御データ記憶回路(LUT)25にも供給される。供給される設定数値に応答して制御データ記憶回路(LUT)25は、供給された設定数値に対応する設定遅延段数Nの上位ビットを出力して逐次近似レジスタ(SAR)22の上位ビットのフリップフロップに初期設定する。
【0226】
例えば、遅延設定入力端子Linから供給される遅延設定数値は、出力クロック信号CLKoutの負荷容量CLが重、中、軽のいずれかの識別情報を含むものである。出力クロック信号CLKoutの負荷容量CLが重、中、軽に対応して、出力バッファ13と負荷容量CLとによる出力遅延量は大、中、小と変化するので、ディジタル制御可変遅延回路12での遅延量は小、中、大に制御されなければならない。従って、負荷容量CLの重、中、軽の識別情報に応答して制御データ記憶回路(LUT)25は、ディジタル制御可変遅延回路12での設定遅延段数Nがそれぞれ小、中、大となるように逐次近似レジスタ(SAR)22の上位ビットのフリップフロップに初期設定を実行するものである。
【0227】
更に、出力バッファ13の出力駆動能力を大、中、小と変化可能とすることにより、出力バッファ13が複数の出力遅延量から選択される任意の1つの遅延量で動作可能な可変遅延器として構成されることも可能である。
【0228】
また、上述した本発明の別の構成のPLLと同様に、本発明の更に他の実施の形態によるDLLにおいては、位相比較器33の一方の入力端子に供給される基準周波数信号としての入力クロック信号CLKinの周波数fREFが高、中、低と変化される。一方、図15のDLLでのディジタル制御可変遅延ユニット10のディジタル制御可変遅延回路12と出力バッファ13とでの遅延時間が入力クロック信号CLKinの周波数fREFの周期と等しい場合に、図15のDLLがロック動作を実行することができる。
【0229】
入力クロック信号CLKinの周波数fREFが高、中、低と変化すると、入力クロック信号CLKinの周波数fREFの周期は短、中、長と変化する。従って、入力クロック信号CLKinの周波数fREFが高、中、低と変化することに応答して、図15のDLLでのディジタル制御可変遅延ユニット10のディジタル制御可変遅延回路12と出力バッファ13とでの遅延時間を短、中、長と変化する必要がある。
【0230】
図15のDLLをロックさせるディジタル制御可変遅延ユニット10の設定遅延段数Nをディジタル制御する逐次近似レジスタ(SAR)のディジタル制御情報の格納ステップを削減させるために、入力クロック信号CLKinの周波数fREFが高、中、低のいずれかの情報が、制御データ記憶回路(LUT)25に供給される。制御データ記憶回路(LUT)25から入力クロック信号CLKinの周波数fREFに対応するディジタル制御可変遅延ユニット10の小、中、大の設定遅延段数Nの上位ビットが出力され、逐次近似レジスタ(SAR)22の上位ビットのフリップフロップに初期設定される。
【0231】
この逐次近似レジスタ(SAR)22の上位ビットのフリップフロップへの初期設定の後、バイナリー・サーチ・アルゴリズムに従って逐次近似レジスタ(SAR)の下位ビットのフリップフロップへ順次にディジタル制御情報が格納されて、図15のDLLがロック動作を完了するものである。
【0232】
《システム・オンチップ》
図16は、図7のFLLと図15のDLLと図17のディジタル制御PLLとのいずれかをコア回路ブロック42のクロック供給回路60として使用したシステム・オンチップ(SoC)100を示す図である。
【0233】
図16では、LSI外部の水晶振動子40が接続された発振器41から形成された低周波の入力クロック信号CLKinがセレクタ61を介してコア回路ブロック42のアナログPLL421に直接供給されることもできる。また、図16では、発振器41から形成された低周波の入力クロック信号CLKinはクロック供給回路60に供給されることにより、クロック供給回路60で形成される高周波クロックがセレクタ61を介してコア回路ブロック42のアナログPLL421に供給されることもできる。
【0234】
従来のシステム・オンチップ(SoC)では、高集積・高機能を実現するために、例えば500MHz程度以上の超高速動作クロックの出力が要求される。一方、SoCに搭載されるアナログPLLの周波数逓倍数は一般的には数倍から数十倍程度に制限されるため、アナログPLLに供給される入力基準クロック信号は数MHzから数十MHzの高い周波数となる。SoCに搭載されるアナログPLLに高い周波数の入力基準クロック信号を供給するためには高価な水晶振動子が必要となる。
【0235】
一方、図16に示すように、FLL、PLL、DLLのいずれかをクロック供給回路60として内蔵したシステム・オンチップ(SoC)100の発振器41には廉価な水晶振動子40が接続され、発振器41は略30KHzの低周波数の発振クロック信号CLKinを発振するものである。コア回路ブロック42のアナログPLL421の逓倍率が10と低くても、クロック供給回路60としてFLL、PLL、DLLのいずれかを採用して、クロック供給回路60のプログラム・カウンタ(PC)32の可変逓倍数または分周数Mを最大の2047に設定するものである。従って、クロック供給回路60は、略60MHzの周波数の高速動作クロック信号CLKoutを出力する。その結果、コア回路ブロック42で周波数逓倍率が10のアナログPLL421は、略600MHzの超高速動作クロック信号CLKoutを形成する。従って、この略600MHzの超高速動作クロック信号CLKoutが供給されるコア回路ブロック42は、超高速動作を実行することができる。
【0236】
クロック供給回路60のプログラム・カウンタ(PC)32の可変逓倍数または可変分周数Mを半分の1028に設定することによって、クロック供給回路60は略30MHzの中速動作クロック信号CLKoutを出力する。その結果、コア回路ブロック42で周波数逓倍率が10のアナログPLL421は略300MHzの高速動作クロック信号CLKoutを形成する。この略300MHzの高速動作クロック信号CLKoutが供給されるコア回路ブロック42と周辺モジュール43とは、高速動作を実行することができる。
【0237】
クロック供給回路60のプログラム・カウンタ(PC)32の可変逓倍数または可変逓分周数Mを10分の1の205に設定することによって、クロック供給回路60は略6MHzの低速動作クロック信号CLKoutを出力する。その結果、コア回路ブロック42で周波数逓倍率が10のアナログPLL421は略60MHzの低速動作クロック信号CLKoutを形成する。この略60MHzの低速動作クロック信号CLKoutが供給されるコア回路ブロック42は、低速動作を実行することができる。尚、コア回路ブロック42は、アナログPLL421以外に、中央処理ユニット422、内部RAM423、機能ブロック424を含んでいる。また、周辺モジュール43は、ロジック部431、機能ブロック432、内蔵ROM433、インターフェース部434を含んでいる。
【0238】
発振器41に接続される水晶振動子40として、略60MHzの高周波に共振する高価な水晶振動子が採用されることもある。この場合には、水晶振動子40と発振器41との組み合わせが略60MHzの高速動作発振クロック信号CLKinを発振するものであり、クロック制御部50はセレクタ61を制御することにより略60MHzの高速動作発振クロック信号CLKinをコア回路ブロック42に供給するものである。
【0239】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0240】
例えば、図7に示したFLLにおいて、ディジタル制御発振器10の2入力NANDゲート11とディジタル制御可変遅延回路12とからなる遅延リング発振部の代わりに、上記非特許文献2に記載されたようなLCタンクにディジタル制御される多数個の量子化容量を含む発振器を採用することができる。
【0241】
更に、遅延リングを構成する遅延セルの段数を制御する代わりに、遅延リングを構成する固定数個の遅延セルの動作電流の電流値を制御して遅延量が制御される発振を採用することもできる。遅延セルの動作電流の制御は、ディジタル制御部20の逐次近似レジスタ(SAR)22のディジタル制御情報Q1〜Q5に応答して遅延セルの動作電流を出力するような電流出力型のD/A変換器によって可能となる。
【0242】
また、制御データ記憶回路のメモリ容量の制限により、分周数設定入力端子から供給される全ての分周数Mに対応する逐次近似レジスタの設定遅延段数の上位ビットを制御データ記憶回路に格納できない場合の対応として、バイナリー・サーチ・アルゴリズム以外の他の好適な探査法の初期コードを設定しても良い。
【0243】
更に、制御データ記憶回路(LUT)25としては、ルックアップテーブル型のランダムアクセスメモリ以外にも、LSI内蔵フラッシュメモリ等の不揮発性メモリで構成されることができる。そうすることで、FLL、PLL、DLLのいずれかの電源投入時のシステム初期化シーケンスでシステム不揮発性メモリからルックアップテーブル型RAMへのロード作業を省略することができる。
【図面の簡単な説明】
【0244】
【図1】図1は、本発明に先立って本発明者等により検討されたFLLの構成を示す図である。
【図2】図2は、図1に示したFLLのディジタル制御発振器のディジタル制御可変遅延回路の構成を示す図である。
【図3】図3は、図1に示した本発明に先立って本発明者等により検討されたFLLにおいて、基準周波数、逓倍数、単位遅延量が既知の場合に、逐次近似レジスタにどのようにしてディジタル制御発振器の設定遅延段数が決定されるかを説明する図である。
【図4】図4は、図1に示したFLLにおいて、可変逓倍器としてのプログラム・カウンタの可変逓倍数とディジタル制御発振器の設定遅延段数との関係を示す図である。
【図5】図5は、図1に示した本発明に先立って本発明者等により検討されたFLLにおいて、ディジタル制御発振器の設定遅延段数を決定するためのディジタル制御部における逐次近似レジスタと制御クロック生成回路の構成を示す図である。
【図6】図6は、図5に示したディジタル制御部における逐次近似レジスタと制御クロック生成回路の各部の波形を示したもので、図1のFLLにおいてディジタル制御発振器の設定遅延段数が決定される様子を示す図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態によるFLLの基本的な構成を示す図である。
【図8】図8は、図7に示した本発明の実施の形態によるFLLのディジタル制御部の逐次近似レジスタと上位ビット設定回路とクロック選択回路との構成を示す図である。
【図9】図9は、図7のFLLでクロック選択回路に制御データ記憶回路から全てハイレベルの選択信号Sel1、Sel2、Sel3が供給された場合のFLL各部の波形を示したもので、ディジタル制御発振器の設定遅延段数が設定される様子を示す図である。
【図10】図10は、図7のFLLでクロック選択回路に制御データ記憶回路からデータ“110”の選択信号Sel1、Sel2、Sel3が供給された場合のFLL各部の波形を示したもので、ディジタル制御発振器の設定遅延段数が設定される様子を示す図である。
【図11】図11は、図7のFLLでクロック選択回路に制御データ記憶回路からデータ“100”の選択信号Sel1、Sel2、Sel3が供給された場合のFLL各部の波形を示したもので、ディジタル制御発振器10の設定遅延段数が設定される様子を示す図である。
【図12】図12は、図7のFLLでクロック選択回路に制御データ記憶回路からデータ“000”の選択信号Sel1、Sel2、Sel3が供給された場合のFLL各部の波形を示したもので、ディジタル制御発振器の設定遅延段数が設定される様子を示す図である。
【図13】図13は、図7のFLLのクロック選択回路の複数のクロックドインバータの構成を示す図である。
【図14】図14は、図7に示した本発明の実施の形態によるFLLのディジタル制御部の制御データ記憶回路の構成を示す図である。
【図15】図15は、本発明の他の実施の形態によるDLLの基本的な構成を示す図である。
【図16】図16は、図7に示したFLLまたは図17に示した本発明のPLLもしくは図15に示したDLLのいずれか一方をLSIの内部回路に動作クロック信号を供給するためのクロック供給回路として使用したシステム・オンチップの構成を示す図である。
【図17】図17は、本発明の他の実施の形態によるPLLの基本的な構成を示す図である。
【符号の説明】
【0245】
10 ディジタル制御発振器
20 ディジタル制御部
30 周波数比較部、位相周波数比較部
11 2入力NANDゲート
12 ディジタル制御可変遅延回路
13 出力バッファ
21 デコーダ
22 逐次近似レジスタ(SAR)
23 制御クロック生成回路
24 クロック選択回路
25 制御データ記憶回路(LUT)
26 上位ビット設定回路(UBS)
31 周波数比較器、位相周波数比較部器
32 プログラム・カウンタ、分周器
CLKin 入力クロック信号
CLKm 発振クロック信号
CLKout 出力クロック信号
Mout カウンタ出力、分周出力信号
Min 逓倍数、分周数設定入力端子
Set1〜Set5 初期設定制御信号
Sel1〜Sel3 選択信号
cks0〜cks5 マルチクロック信号
c1〜c5 選択クロック信号
Q1〜Q5 逐次近似レジスタのデータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発振クロック信号を生成するディジタル制御発振器と、前記ディジタル制御発振器から生成される前記発振クロック信号の位相および周波数の少なくとも一方を制御するディジタル制御部とを具備するクロック生成部を含み、
前記クロック生成部は、比較器と、カウンタと、制御レジスタとを具備するものであり、
前記カウンタの入力端子に前記ディジタル制御発振器から生成される前記発振クロック信号が供給されることにより、前記カウンタの出力端子から出力信号が生成され、
前記比較器の一方の入力端子に基準信号が供給され、前記比較器の他方の入力端子に前記カウンタの前記出力端子から生成された前記出力信号が供給され、
前記制御レジスタに前記比較器の出力信号が供給されることにより、前記制御レジスタは前記ディジタル制御発振器を制御するための複数ビットのディジタル制御情報を格納するものであり、
前記比較器と、前記制御レジスタと、前記ディジタル制御発振器と、前記カウンタとは、位相ロックドループと周波数ロックドループとの少なくとも一方であるロックドループを構成して、
前記制御レジスタが所定の値を有するディジタル制御情報を格納することにより、前記比較器の前記他方の入力端子の前記出力信号の位相および周波数の少なくとも一方が前記比較器の前記一方の入力端子の前記基準信号の位相および周波数の少なくとも一方とロックするものであり、
前記ロックドループは、前記基準信号が複数の周波数に設定されるか、または、前記カウンタが複数の逓倍比に設定されるかにより、複数の動作状態で動作することが可能に構成され、
前記基準信号が前記複数の周波数から選択された1つの周波数に設定されるか、または、前記カウンタが前記複数の逓倍比から選択された1つの逓倍比に設定されるかにより、前記ロックドループは前記複数の動作状態から選択された1つの動作状態で動作するものであり、
前記クロック生成部は、前記制御レジスタに接続された制御データ記憶回路を更に具備するものであり、
前記制御データ記憶回路には、前記ロックドループによる前記複数の動作状態の動作のための複数の初期設定データが予め格納されることが可能であり、
前記ロックドループによる前記1つの動作状態の動作に先立って、前記1つの動作状態を選択する動作選択情報が前記制御データ記憶回路に供給され、
前記動作選択情報に応答して前記制御データ記憶回路から前記1つの動作状態の前記動作のための初期設定データが前記制御レジスタの上位ビットに格納されるものである半導体集積回路。
【請求項2】
前記1つの動作状態の前記動作の間に、前記制御レジスタの前記上位ビット以外の下位ビットには前記比較器の前記出力信号が供給される請求項1に記載の半導体集積回路。
【請求項3】
前記クロック生成部は、前記基準信号に応答して相互に位相の異なったマルチクロック制御信号を生成する制御クロック生成回路を更に具備するものであり、
前記動作選択情報に応答して前記制御データ記憶回路は、前記初期設定データが格納される前記制御レジスタの前記上位ビットを示す選択信号を生成するものであり、
前記制御クロック生成回路から生成される前記マルチクロック制御信号の最初のクロック制御信号のタイミングで、前記前記選択信号により指定された前記制御レジスタの前記上位ビットに前記初期設定データが格納されるものであり、
前記最初のクロック制御信号の後に前記制御クロック生成回路から生成される前記マルチクロック制御信号の後続のクロック制御信号のタイミングで、前記制御レジスタの前記下位ビットに前記比較器の前記出力信号が供給されるものである請求項2に記載の半導体集積回路。
【請求項4】
前記カウンタは前記複数の逓倍比から選択される任意の1つの逓倍比で動作可能な可変カウンタとして構成されており、
前記動作選択情報は、前記可変カウンタとして構成された前記カウンタの前記任意の1つの逓倍比を選択するものである請求項2に記載の半導体集積回路。
【請求項5】
前記ディジタル制御発振器は、前記制御レジスタの前記複数ビットのディジタル制御情報によって遅延段数が制御可能なディジタル制御可変遅延回路を含む遅延リング発振部により構成されている請求項2に記載の半導体集積回路。
【請求項6】
前記ディジタル制御発振器は、前記制御レジスタの前記複数ビットのディジタル制御情報によって制御される複数の量子化容量をLCタンクに含むものである請求項2に記載の半導体集積回路。
【請求項7】
前記ロックドループの前記ディジタル制御発振器の前記発振クロック信号から生成される出力クロック信号は半導体チップの内部回路に動作クロックとして供給されるものである請求項6に記載の半導体集積回路。
【請求項8】
基準信号を遅延することにより遅延クロック信号を生成するディジタル制御遅延ユニットと、前記ディジタル制御遅延ユニットから生成される前記遅延クロック信号の位相および周波数の少なくとも一方を制御するディジタル制御部とを具備するクロック生成部を含み、
前記クロック生成部は、比較器と、制御レジスタと、出力バッファとを具備するものであり、
前記出力バッファの入力端子に前記ディジタル制御遅延ユニットから生成された前記遅延クロック信号が供給されることにより、前記出力バッファの出力端子から出力クロック信号が生成され、
前記比較器の一方の入力端子には前記基準信号が供給され、前記比較器の他方の入力端子には前記出力バッファから生成された前記出力クロック信号が供給され、
前記制御レジスタに前記比較器の出力信号が供給されることにより、前記制御レジスタは前記ディジタル制御遅延ユニットを制御するための複数ビットのディジタル制御情報を格納するものであり、
前記比較器と、前記制御レジスタと、前記ディジタル制御遅延ユニットとは、遅延ロックドループを構成して、
前記制御レジスタが所定の値を有するディジタル制御情報を格納することにより、前記比較器の前記他方の入力端子の前記出力クロック信号の位相および周波数の少なくとも一方が前記比較器の前記一方の入力端子の前記基準信号の位相および周波数の少なくとも一方とロックするものであり、
前記遅延ロックドループは、前記基準信号が複数の周波数に設定されるか、または、前記出力バッファが複数の遅延量に設定されるかにより、複数の動作状態で動作することが可能に構成されており、
前記基準信号が前記複数の周波数から選択された1つの周波数に設定されるか、または、前記出力バッファ(が前記複数の遅延量から選択された1つの遅延量に設定されるかにより、前記遅延ロックドループは前記複数の動作状態から選択された1つの動作状態で動作して、
前記クロック生成部は、前記制御レジスタに接続された制御データ記憶回路を更に具備するものであり、
前記制御データ記憶回路には、前記遅延ロックドループによる前記複数の動作状態の動作のための複数の初期設定データが予め格納されることが可能であり、
前記遅延ロックドループによる前記1つの動作状態の動作に先立って、前記1つの動作状態を選択する動作選択情報が前記制御データ記憶回路に供給され、
前記動作選択情報に応答して前記制御データ記憶回路から前記1つの動作状態の前記動作のための初期設定データが、前記制御レジスタの上位ビットに格納されるものである半導体集積回路。
【請求項9】
前記1つの動作状態の前記動作の間に、前記制御レジスタの前記上位ビット以外の下位ビットには前記比較器の前記出力信号が供給される請求項1に記載の半導体集積回路。
【請求項10】
前記クロック生成部は、前記基準信号に応答して相互に位相の異なったマルチクロック制御信号を生成する制御クロック生成回路を更に具備するものであり、
前記動作選択情報に応答して前記制御データ記憶回路は、前記初期設定データが格納される前記制御レジスタの前記上位ビットを示す選択信号を生成するものであり、
前記制御クロック生成回路から生成される前記マルチクロック制御信号の最初のクロック制御信号のタイミングで、前記前記選択信号により指定された前記制御レジスタの前記上位ビットに前記初期設定データが格納されるものであり、
前記最初のクロック制御信号の後に前記制御クロック生成回路から生成される前記マルチクロック制御信号の後続のクロック制御信号のタイミングで、前記制御レジスタの前記下位ビットに前記比較器の前記出力信号が供給されるものである請求項9に記載の半導体集積回路。
【請求項11】
前記出力バッファは前記複数の遅延量から選択される任意の1つの遅延量で動作可能な可変遅延器として構成され、
前記動作選択情報は、前記可変遅延器として構成された前記出力バッファの前記任意の1つの遅延量を選択するものである請求項9に記載の半導体集積回路。
【請求項12】
前記ディジタル制御遅延ユニットは、前記制御レジスタの前記複数ビットのディジタル制御情報によって遅延段数が制御可能なディジタル制御可変遅延回路により構成されている請求項9に記載の半導体集積回路。
【請求項13】
前記遅延ロックドループの前記出力バッファから生成される前記出力クロック信号は半導体チップの内部回路に動作クロックとして供給されるものである請求項9に記載の半導体集積回路。
【請求項14】
クロック信号を生成するディジタル制御クロック信号生成部と、前記ディジタル制御クロック信号生成部から生成される前記クロック信号の位相および周波数の少なくとも一方を制御するディジタル制御部とを具備するクロック生成部を含み、
前記クロック生成部は、入力される2つの信号の位相差をディジタル信号に変換するタイム・ツー・ディジタル変換器としての位相周波数比較器と、制御レジスタとを具備するものであり、
前記比較器の一方の入力端子に基準信号が供給され、前記比較器の他方の入力端子に前記クロック信号から生成されたフィードバック信号がフィードバック経路を介して供給され、
前記制御レジスタに前記比較器の出力信号が供給されることにより、前記制御レジスタは前記ディジタル制御クロック信号生成部を制御するための複数ビットのディジタル制御情報を格納して、
前記位相周波数比較器と、前記制御レジスタと、前記ディジタル制御クロック信号生成部と、前記フィードバック経路とは、ディジタル制御フェーズロックドループを構成して、
前記制御レジスタが所定の値を有するディジタル制御情報を格納することにより、前記比較器の前記他方の入力端子に供給される前記フィードバック信号の位相および周波数の少なくとも一方が前記比較器の前記一方の入力端子に供給される前記基準信号の位相および周波数の少なくとも一方とロックするものであり、
前記クロック生成部は、前記基準信号が複数の周波数に設定されるか、または、前記フィードバック経路が複数の制御量に設定されるかにより、複数の動作状態で動作することが可能に構成されており、
前記基準信号が前記複数の周波数から選択された1つの周波数に設定されるか、または、前記フィードバック経路が前記複数の制御量から選択された1つの制御量に設定されるかにより、前記クロック生成部は前記複数の動作状態から選択された1つの動作状態で動作するものであり、
前記クロック生成部は、前記制御レジスタに接続された制御データ記憶回路を更に具備するものであり、
前記制御データ記憶回路には、前記クロック生成部による前記複数の動作状態の動作のための複数の初期設定データが予め格納されることが可能であり、
前記クロック生成部による前記1つの動作状態の動作に先立って、前記1つの動作状態を選択する動作選択情報が前記制御データ記憶回路に供給され、
前記動作選択情報に応答して前記制御データ記憶回路から前記1つの動作状態の前記動作のための初期設定データが、前記制御レジスタの上位ビットに格納されるものである半導体集積回路。
【請求項15】
前記1つの動作状態の前記動作の間に、前記制御レジスタの前記上位ビット以外の下位ビットには前記比較器の前記出力信号が供給される請求項14に記載の半導体集積回路。
【請求項16】
前記クロック生成部は、前記基準信号に応答して相互に位相の異なったマルチクロック制御信号を生成する制御クロック生成回路を更に具備するものであり、
前記動作選択情報に応答して前記制御データ記憶回路は、前記初期設定データが格納される前記制御レジスタの前記上位ビットを示す選択信号を生成するものであり、
前記制御クロック生成回路から生成される前記マルチクロック制御信号の最初のクロック制御信号のタイミングで、前記前記選択信号により指定された前記制御レジスタの前記上位ビットに前記初期設定データが格納されるものであり、
前記最初のクロック制御信号の後に前記制御クロック生成回路から生成される前記マルチクロック制御信号の後続のクロック制御信号のタイミングで、前記制御レジスタの前記下位ビットに前記比較器の前記出力信号が供給されるものである請求項14に記載の半導体集積回路。
【請求項17】
前記ディジタル制御クロック信号生成部は、前記制御レジスタの前記複数ビットのディジタル制御情報によって遅延段数が制御可能なディジタル制御可変遅延回路により構成されている請求項14に記載の半導体集積回路。
【請求項18】
前記ディジタル制御発振器は、前記制御レジスタの前記複数ビットのディジタル制御情報によって制御される複数の量子化容量をLCタンクに含むものである請求項14に記載の半導体集積回路。
【請求項19】
前記ディジタル制御クロック信号生成部は、複数の遅延セルを含む遅延リングによって構成され、
前記制御レジスタと前記遅延リングとの間にはD/A変換器が接続され、前記D/A変換器は前記制御レジスタの前記複数ビットのディジタル制御情報に応答して前記遅延リングの前記複数の遅延セルの動作電流を出力するような電流出力型のD/A変換器である請求項14に記載の半導体集積回路。
【請求項20】
前記クロック生成部から生成される前記出力クロック信号は半導体チップの内部回路に動作クロックとして供給されるものである請求項14に記載の半導体集積回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−188699(P2009−188699A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−25994(P2008−25994)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】