説明

流体メニスカスを使う湿式処理装置および方法

対象物の表面の少なくとも一部を処理するための流体メニスカスを利用する湿式処理装置および方法である。対象物の表面の1つが処理された後に、対象物の他の側面または表面が同様に処理されうる。いくつかの例を挙げれば、この処理はコーティング、エッチング、めっきでありうる。この装置と方法の用途は、半導体処理産業、特にウェハおよび基板の処理にある。この方法と装置は、電子構成部品の多数の表面の処理をも可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの流体メニスカスを使って、液体に表面をさらす(露出する)ための改善された方法と装置に関する。このようなシステムは、様々な半導体およびその他のミクロ製作技術において必要であるか、または望ましくありうるような、例えばガス流れの手段によって、前側に流体の閉じ込めを支援するいくつかの実施形態の間で、基板の「後ろ側」を乱すことなく、基板の1つの側を「湿式処理」するのに適用できる。本発明は特定の技術分野または用途の組に限定されないが、流体への表面の露出が必要とされる状況に適用できる。そのようなものの例は:少数の例を挙げれば、エッチング、基板薄肉化、電気メッキ、ミクロ構造の解放、デバイスまたは基板の清浄化、MEMS(Micro-Electro-Mechanical Systemミクロ電気機械システム)、光電子工学、光電池、および電子デバイス製作である。
【背景技術】
【0002】
本出願は、これと同じ日付、すなわち2006年10月16日に出願された一部継続出願である本出願人の同時係属米国非仮特許出願(「11828/2」と指定された)の優先権を主張し、2000年9月28日に出願されたそれ自身が基礎を置いている米国特許出願第09/675,029号明細書の優先権を主張し、1999年9月29日に出願された米国仮特許出願第60/156,582号明細書の優先権を主張し、これらの出願のそれぞれの開示内容がここに参照として完全に含まれる。
【0003】
湿式処理(すなわち流体または複数の流体への表面または複数の表面の露出)は、多くの技術の不可欠な部分である。特に、半導体、ミクロ電気機械システム(MEMS、他の名前として、ミクロシステムとしても知られている)、光電池技術は、装置製造のために湿式プロセスに大いに頼っている。エッチング、レジスト現像、パターニング、ストリッピング、解放(release;リリース)、電気メッキ、薄肉化のようなプロセスは通常、すべてが液体への表面の露出、すなわち湿式処理によって実行される。
【0004】
すべての従来の技術の主な欠点の1つは、液体への表面の露出を達成するために、いくつかのスプレー形態での液体中に、または液体送出の組み合わせと基板回転の組み合わせで、部材を浸漬することへの湿式プロセスの依存である。これらの方法とそれらの多くの変形は、通常、流体から保護すべきことが望まれるような他の表面を、関係のある程度に露出する。表面の望まれない露出を避けるために、従来の技術は、通常、保護層またはレジストの塗布に依存してきた。
【0005】
製作技術が進み、そして高い機能性と特徴(feature)密度がシステムパフォーマンスと低価格化の主要な推進力であるので、真の1つの側の湿式処理が追加のプロセス柔軟性を提供し、より高いレベルの集積を可能にすることになる。特に、特徴およびデバイスが1つの側で終了した状態にありうる一方で、レジスト、マスク、または他の形態の保護を使って、1つの側を濡らすか、そうでなければ流体またはその蒸気にさらすことによってその1つの側の完全性(集積性)を危険にすることなく、湿式処理が他の側で継続しうる。
【0006】
1つの側の湿式処理を実行しようとする湿式処理システムがある。これは、露出が主に1つの側に起きるにもかかわらず、通常は、関連するレベルの霧または蒸気に他の側を露出する。このような露出は、1つの側の処理に対するこのようなシステムを不適格とするか、あるいは、レジストまたは処理されない側への損傷を避けるための他の形態の保護の使用に十分値する。
【0007】
しかしながら、本発明は、進行中の表面の背面を露出することなく1つの側の処理ができ、これにより、とりわけ、新規なプロセスと新しいレベルのデバイス集積の大いなる多種多様さを可能にする。本発明のすべての用途と意味がここに挙げられたものだけではなく、むしろそれにもかかわらず、本発明の一部でもある、ということは明らかである。
【0008】
さらに、本発明の本質的な流体の動作からの輸送現象の仮想的な分断に起因して、本発明は、従来の処置に比較して達成可能な一様性を改善する。これは、流体の動作またはそれとの接触により基板の表面から材料を除去するプロセスに特に重要性がありうる。とりわけ、このような用途は、例えば、エッチング、薄肉化、現像を含む。この一様性の改善は、プロセスの詳細に依存した、例えば、スピン、スプレー、または浸漬エッチングなどの従来の処置で達成されうるよりも最高10倍でありうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】同時係属米国非仮特許出願11828/2号明細書
【特許文献2】米国特許出願第09/675,029号明細書
【特許文献3】米国仮特許出願第60/156,582号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、流体メニスカスを使って対象物の1つの側を処理するための新規な方法と装置である。
【0011】
従って、本発明の一局面は、少なくとも1つの流体メニスカスを使って対象物の1つの側の処理を可能にする装置と方法を提供することである。
【0012】
本発明の他の局面は、改善された一様性と共に対象物の1つの側に湿式プロセスを施すための装置と方法を提供することである。
【0013】
本発明の他の局面は、対象物、特にエレクトロニクス(電子工学)産業における対象物の処理を行うために少なくとも1つの流体メニスカスを利用することである。
【0014】
本発明の他の局面は、基板を湿式処理する一方で、背面に液体、ガス、または蒸気が接触することを防止するための動的な流体、例えばガス、の閉じ込め方法を使うことによってその背面を保護するための装置と方法提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
従って1つの局面では、本発明は、
(a)対象物の第2の表面の少なくとも一部が露出されるように、保持治具で対象物の第1の表面の少なくとも一部を保持するステップと、
(b)流体メニスカスが形成されるように、保持タンク内に少なくとも1つの液体を注入するステップと、
(c)前記対象物の前記第2の表面の少なくとも一部を前記流体メニスカスの少なくとも一部に接触させるステップと、
(d)前記流体メニスカスとの少なくとも1つの接触の後に前記対象物を除去するステップと、を有する流体メニスカスプロセスを有する。
【0016】
他の局面では、本発明は第1の表面と第2の表面を備えた対象物を有し、その状況で前記第1の表面が少なくとも1つの第1の特徴を備え、前記第2の表面が少なくとも1つの第2の特徴を備え、前記第1の特徴が前記第2の特徴の背面にあり、前記第1の特徴は格子、パターン特徴、金属特徴、非金属特徴、チャンネル、ミラー、フィルタ、スルーホール、ブラインドホール(blind hole;止まり穴)、膜、ビーム、機械的デバイス、光学デバイス、光電子工学的デバイス、光電池デバイス、CMOS、MEMS、SOIおよびCCDから成る群から選択され、前記第2の特徴は格子、パターン特徴、金属特徴、非金属特徴、チャンネル、ミラー、フィルタ、スルーホール、ブラインドホール、膜、ビーム、機械的デバイス、光学デバイス、光電子工学的デバイス、光電池デバイス、CMOS、MEMS、SOIおよびCCDから成る群から選択される。
【0017】
さらに他の局面では、本発明は、対象物の上に流体メニスカス層の一部を移すための装置であって、
(a)第1の表面と第2の表面とを備えた対象物と、
(b)前記対象物の第2の表面の少なくとも一部が露出されるように前記対象物の第1の表面の一部を保持する保持治具と、
(c)流体メニスカスをもつ少なくとも1つの流体を収容する少なくとも1つの保持タンクと、
(d)前記対象物の前記第2の表面の少なくとも一部に前記流体メニスカスの少なくとも一部を移すための手段と、
(e)流体メニスカスとの少なくとも1つの接触の後に前記対象物を除去するための手段と、
を有する装置を有する。
【0018】
さらに他の局面では、本発明は、対象物の上に流体メニスカス層の一部を移すための装置であって、
(a)第1の表面と第2の表面とを備えた対象物と、
(b)前記対象物の第2の表面の少なくとも一部が露出されるように前記対象物の第1の表面の一部を保持する保持治具と、
(c)任意の形状と大きさの流体メニスカスをもつ少なくとも1つの流体を収容し、それにより前記任意の形態の領域を濡らす一方で、前記メニスカスの上に留まるか、あるいは、並進、回転、振動、または前記動作の一部、または組み合わせ、または重ね合わせを含む任意の方式で動くことによって、前記対象物の表面と相互作用する、少なくとも1つの保持タンクと、
(d)前記対象物の前記第2の表面の少なくとも一部に前記流体メニスカスの少なくとも一部を移すための手段と、
(e)流体メニスカスとの少なくとも1つの接触の後に前記対象物を除去するための手段と、
を有する装置を有する。
【0019】
さらに他の局面では、本発明は、対象物の上に流体メニスカス層の一部を移すための装置であって、
(a)第1の表面と第2の表面とを備えた対象物と、
(b)前記対象物の第2の表面の少なくとも一部が露出されるように前記対象物の第1の表面の一部を保持する保持治具と、
(c)流体メニスカスをもつ少なくとも1つの流体を収容する少なくとも1つの保持タンクと、
(d)前記対象物の前記第2の表面の少なくとも一部に前記流体メニスカスの少なくとも一部を移すための手段と、
(e)前記第2の表面が前記流体メニスカスと丁度接触をなした後の第2の表面の液体を全体的または部分的に除去する手段と、
(f)流体メニスカスとの少なくとも1つの接触の後に前記対象物を除去するための手段と、
を有する装置を有する。
【0020】
他の局面では、本発明は、対象物の上に流体メニスカス層の一部を移すための装置であって、
(a)第1の表面と第2の表面とを備えた対象物と、
(b)前記対象物の第2の表面の少なくとも一部が露出される一方で、流体、例えばガスが、成形するもののような適切なデバイスまたは装置を通して、あるいは他の流体力学的デバイスまたは装置を通して、第1の表面の全部または一部の上に流れるように、前記対象物の第1の表面の一部を保持する保持治具と、
(c)流体メニスカスをもつ少なくとも1つの流体を収容する少なくとも1つの保持タンクと、
(d)前記対象物の前記第2の表面の少なくとも一部に前記流体メニスカスの少なくとも一部を移すための手段と、
(e)前記第2の表面が前記流体メニスカスと丁度接触をなした後の第2の表面の液体を全体的または部分的に除去する手段と、
(f)流体メニスカスとの少なくとも1つの接触の後に前記対象物を除去するための手段と、
を有する装置を有する。
【0021】
他の局面では、本発明は、対象物の上に流体メニスカス層の一部を移すための装置であって、
(a)第1の表面と第2の表面とを備えた対象物と、
(b)前記対象物の第2の表面の少なくとも一部が露出される一方で、ガスが前記第1の表面の全部または一部の上に流れるように、前記対象物の第1の表面の一部を保持する保持治具と、
(c)任意の形状と大きさの流体メニスカスをもつ少なくとも1つの流体を収容し、それにより前記任意の形態の領域を濡らす一方で、前記メニスカスの上に留まるか、あるいは、並進、回転、振動、または前記動作の一部、または組み合わせ、または重ね合わせを含む任意の方式で動くことによって、前記対象物の表面と相互作用する、少なくとも1つの保持タンクと、
(d)前記対象物の前記第2の表面の少なくとも一部に前記流体メニスカスの少なくとも一部を移すための手段と、
(e)前記第2の表面が前記流体メニスカスと丁度接触をなした後の第2の表面の液体を全体的または部分的に除去する手段と、
(f)流体メニスカスとの少なくとも1つの接触の後に前記対象物を除去するための手段と、
を有する装置を有する。
【0022】
他の実施形態では、本発明は、第1の表面と第2の表面とを備えた対象物の上に流体メニスカスプロセスを行なうための装置であって、
(a)流体メニスカスを形成する流体を収容する少なくとも1つの保持タンクと、(b)前記流体メニスカスの少なくとも一部が、接触し、前記対象物の第2の表面の少なくとも一部に移動させられるように前記対象物を保持するための保持治具と、(c)前記第2の表面に移動させられた流体メニスカスの少なくとも一部と相互作用するよう構成された流体相互作用要素と、を有することを特徴とする装置に関連する。
【0023】
前記流体相互作用要素は、前記第2の表面に移動させられた流体の少なくとも一部を動かし、移し変え、除去し、広げ、および乾燥するよう構成されうる。前記流体相互作用要素は、前記第2の表面に移動させられた流体の少なくとも一部に向かって空気を吹き付けるよう構成されている空気装置でありうる。その代わりに、またはそれに加えて、前記流体相互作用要素は、前記第2の表面に移動させられた流体の少なくとも一部に真空を提供するよう構成される。その代わりに、またはそれに加えて、前記流体相互作用要素は、前記第2の表面に移動させられた流体メニスカスの少なくとも一部と相互作用するか、および/または、それを動かすよう構成されているブレードでありうる。その代わりに、またはそれに加えて、前記流体相互作用要素は、前記第2の表面に移動させられた流体の少なくとも一部と相互作用するか、および/または、それを動かすよう構成されている毛細管材料でありうる。
【0024】
本発明の種々の実施形態では、前記流体相互作用要素は、前記対象物に対し相対的に動かすことができる。また、前記流体相互作用要素は、前記対象物の動きによって規定された経路の中へ、および/または、その経路から、あるいはそれに対し相対的に、動くよう構成されうる。前記流体相互作用要素の動きが前記対象物の動作に、例えば前記対象物の動作の速度および方向の少なくとも1つに、対応しうる。前記流体相互作用要素の動きがアクチュエータによって作動させられ、該アクチュエータは、いくつかのタイプのうちで、圧縮空気式および電磁気式の少なくとも1つである。前記流体相互作用要素および前記対象物の少なくとも1つは、お互いに対し相対的に動くよう構成されており、該相対的な動作は、並進、回転、振動、および/または、前記動作の一部、組み合わせ、または重ね合わせの少なくとも1つを含む。さらに、前記流体相互作用要素は、前記第2の表面に移動させられた流体メニスカスの少なくとも一部が前記第1の表面に移動することを避けるように、前記対象物の第1の表面の少なくとも一部上にガスを提供するよう構成されうる。前記ガスは、前記第2の表面に移動させられた流体メニスカスの少なくとも一部によって生成された液体、蒸気および/またはガスが、前記第1の表面に移動することを避けるように提供されうる。前記保持治具は、前記第2の表面に移動させられた流体メニスカスの少なくとも一部が前記第1の表面に移動することを避けるように、前記流体相互作用要素との組み合わせで機能しうる。
【0025】
前記保持タンクは、長い矩形、「パイ(pie)」形、「D」形、円形、前記形状の組み合わせ、重ね合わせ、または歪曲の1つを含む形状を有しうるか、または流体メニスカスに対応する形状を与えうる。一実施形態では、前記保持タンクの形状と寸法は、様々な大きさ、形状の基板を受け入れるか、または流体溜まりにある特定の特性を与えるために、プロセスの際に、または複数プロセスの間に動的に変えられうる。前記装置は、前記対象物の前記第2の表面との接触から、そのような接触の後に前記流体メニスカスの少なくとも一部を外すよう構成されうる。前記対象物は、半導体ウェハ、基板、金属と非金属の複合材料、金属および非金属材料、シリコン、リン化インジウム、セラミック、ガラス、IV族元素、III族−V族複合物(化合物)、II族−VI族複合物(化合物)、およびそれらの二重複合体と三重複合物、から成る群から選択される。前記対象物は、機械、真空、静電気、流体、ベルヌーイ、磁気、および電磁気の働きの少なくとも1つを使う前記保持治具によって保持されうる。前記流体は、エッチング流体、めっき流体、溶剤、湿式流体、洗浄流体、フォトレジスト、現像液、およびストリッパー(stripper、剥離液)、から成る群から選択されうる。前記保持タンク内の流体は、再循環、撹拌、加熱、および補充の少なくとも1つをされうる。前記対象物は少なくとも1つの材料の少なくとも1つのコーティングを有し、その状況で、前記コーティングは金属、有機材料、無機材料、絶縁体、およびレジスト、から成る群から選択される。前記保持タンクは前記流体を保持するための少なくとも1つのチャンネルを備え、少なくとも1つの排出チャンネルを備え、一方で前記流体は少なくとも1つのポンプ、またはたの適切なデバイスを使って保持タンクに注入される。供給、移動、送出、排出、成形、流出、再循環などの様々なデバイスまたは方法が想定され、これらもまた本発明の範囲内である。前記流体は前記対象物の前記第2の表面の少なくとも一部をエッチングし、その状況で、前記対象物は、半導体ウェハ、基板、金属と非金属の複合材料、金属および非金属材料、シリコン、リン化インジウム、セラミック、ガラス、IV族元素、III族−V族複合物(化合物)、II族−VI族複合物(化合物)、およびそれらの二重複合物と三重複合物、から成る群から選択されうる。また、前記流体メニスカスは、エッチング、薄肉化、電気メッキ、ミクロ構造の解放、清浄化、電子デバイス製作、電気化学的処理、光化学的処理、光電気めっき、光電子工学的処理、パターニング、レジスト塗布、現像、めっき、コーティング、およびストリッピング、から成る群から選択された機能を行なうために使用されうる。
【0026】
新規であると考えられる本発明の特徴と本発明の特性を示す要素は、出願された特許請求の範囲において詳細に記載されている。図面は専ら例示目的のためであって、寸法通りには記載していない。さらに、図面において類似の符号は類似の部分を示している。しかしながら、本発明自体は、動作の機構と方法の両方に関して、添付の図面に関連して記載された以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解されうる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1A】本発明の望ましいプロセスと装置を示す。
【図1B】流体メニスカスと接触する対象物を示す。
【図1C】流体メニスカスとの少なくとも1つの接触の後の対象物を示す。
【図1D】流体メニスカスとの他の接触をなす対象物を示す。
【図2】本発明の他の実施形態を示す。
【図3】本発明のさらに他の実施形態を示す。
【図4】本発明のまた他の実施形態を示す。
【図5】本発明のさらに他の実施形態を示す。
【図6】本発明のまた他の実施形態を示す。
【図7】本発明の他の実施形態を示し、液体メニスカスの上を通過した後に、空気ナイフが第2の表面の上に残っている液体を除去し、広げ、または吹き付ける状況を示す。
【図8】本発明のさらに他の実施形態を示し、液体メニスカスの上を通過した後に、真空スリットが第2の表面の上に残っている液体を除去するか、またはその量を減らす状況を示す。
【図9】本発明のまた他の実施形態を示し、液体メニスカスの上を通過した後に、ブレード(例えば、スキージ)が第2の表面の上に残っている液体を絞り、除去し、広げ、またはその量を減らす状況を示す。
【図10】本発明のさらに他の実施形態を示し、液体メニスカスの上を通過した後に、毛細管ブレード「モップアップ(モップ拭き取り)」が第2の表面の上に残っている液体を除去し、広げ、またはその量を減らす状況を示す。
【図11a】本発明のまた他の実施形態を示し、空気ナイフ、真空スリット、ブレード、毛細管ブレードなどの一つまたはそれ以上が、例えば基板の動作の方向または何らか他のプロセス条件に依存して、基板によって規定された平面に向かって、またはそれから離れて動く状況を示す。
【図11b】本発明のまた他の実施形態を示し、空気ナイフ、真空スリット、ブレード、毛細管ブレードなどの一つまたはそれ以上が、例えば基板の動作の方向または何らか他のプロセス条件に依存して、基板によって規定された平面に向かって、またはそれから離れて動く状況を示す。
【図12a】流体、および前面(第2の表面)に対してそこにもたらされた何らかの汚染の閉じ込めを支援するために、基板の背面(第1の表面)に流れるガスを示す。
【図12b】流体、および前面(第2の表面)に対してそこにもたらされた何らかの汚染の閉じ込めを支援するために、基板の背面(第1の表面)に流れるガスを示す。
【図12c】流体、および前面(第2の表面)に対してそこにもたらされた何らかの汚染の閉じ込めを支援するために、基板の背面(第1の表面)に流れるガスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
非常に多くの可能性のある用途が想定できるが、本発明は、その望ましい実施形態において、基板の1つの側の湿式処理を、その背面を不利に乱すことなく提供することにおいて、従来の技術を超えた本質的な改善を与える。本発明の主題によって提供されたような真の一方の側の湿気処理が、基板の両側を使う際の制限を緩和することによってダイ毎の機能性と特徴やデバイス密度とのより高度で速い増加を可能にする、ということが想定される。さらに、一層環境的に安全で、より速やかで、一様で、そして経済的方法で、基板をエッチングまたは薄肉化する能力を提供しうる。
【0029】
本発明を使うそのような1つの用途の例は、基板自体の側面上におけるそれぞれのタイプの、そしてそれ自体の処理ラインを通して流されるCMOSおよびMEMSデバイスの集積であるであろう。この例が集積することからの利益を得ることになるだろうが、そのプロセスが、互に互換性がなく、それによって同じ「チップ」中へそれらの集積を困難にするような2つのタイプのデバイスを示すので、これはとりわけ重要なことである。類似の状況が、様々な集積のプロセス、デバイス、特徴、タイプ、またはレベルに当てはまるであろう。従って、一連の前記プロセスを使うことによって、三次元デバイスまたはハイブリッドが製造できる、ということが想定できる。さらに、「スタック(積み重ね)された」デバイスのコストと密度も本発明の使用によって可能となりうる。
【0030】
真の1つの側の湿式処理の他の利点の例は基板を薄肉化(薄くする)ことである。これらは、CCD、MEMS、または他の光電子工学的、光電池的、または画像処理的デバイスと、さらに無垢基板のようなものの処理の後またはその間のデバイスのそれでありうる。
【0031】
本発明のさらに他の利点は、とりわけ、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)、光電池、およびMEMSの薄い基板またはデバイスのコスト低減の可能性である。
【0032】
本発明の主題により可能な高いエッチングレートおよび一様性は、薄い基板の製作を魅力的に選択させる。とりわけ、金属と非金属の複合材料、金属および非金属材料、シリコン、ゲルマニウム、InP(リン化インジウム)、セラミックとガラスのような、非常に多くの技術的に関連する材料が処理されうる。
【0033】
本発明の主題は、望ましい洗浄動作を達成するために、単独で、前もって混合されて、あるいはインシチュ(in-situ)で混合されてそこに送出される化学薬剤によって、露出した表面を洗浄するためにも使われうる。望ましい反応と効果を達成するために、化学物質は、基板において、その近くで、またはその途上で、反応させられうる。
【0034】
本発明は基板上に材料を電気メッキするためにも好都合に使うことができる一方で、本明細書において記載されたすべての有益な特徴を同時に利用することことができる。電気メッキされる材料のタイプについて、本発明の主題によって課される本質的な制限はない。本発明の主題の適用の他の局面について、電気メッキへの制限もない。同様に、本発明の主題は、流体および表面に関する他の電気化学的プロセスを実行するために好都合に使うことができる。すべてのそのような使用と適用も本発明の主題である(本発明に含まれる)。
【0035】
本発明は、流体および表面に関する光化学的プロセスを行なうためにも好都合に使うことができる。事実上何らかの形状および複数の場所における一つのビームまたは複数のビーム41は、図4で一層明確に見られるように、反応をもたらし、プロセスを達成するために流体チャンネル22または液体モジュール10の下から照らされうる。とりわけ、光電気めっき、選択的めっき、選択的エッチングのようなプロセスは、本発明の主題の適切な実施によって達成されうる。多くの他の実施の形態、変化および変更が可能であって、それも本発明の主題である、ということが想定できよう。さらに、フォトンビーム(光子線)の代わりに、複数の電極または電極の複数配列が、それ、および/または、流体と相互作用するようにプロセス表面の近傍に置かれうる。
【0036】
本発明は、様々な材料の上のパターニングされた表面に、レジストがある場合またはない場合で、1つの側のエッチングをするために好都合に使うこともできる。このようなパターンは、いくつかの例を挙げると、電子デバイス、光電子デバイス、格子、MEMS、および他の能動的、および/または、受動的デバイスまたは素子を含むが、それらに限定されない。
【0037】
さらに本発明は、共通のプロセスのために使われる、とりわけ、エッチング、薄肉化、洗浄、現像、電気メッキのような化学物質の減少と一層効率的な使用を可能にする。これは、本発明のシステムの多くの想定される実施によって達成される。一つの特徴は、典型的な浸漬技法に比較して化学物質の使用の減少である。他の関連する実施は、化学物質の送出と取り扱いの再循環の局面であろう。本発明のこれらの特徴は、経済的および環境的利点に基づいて、その技術の現在の状態に対して魅力的な選択肢とすることができる。
【0038】
図1A、図1B、図1Cおよび図1Dは、本発明の一実施形態を示し、保持タンクまたは液体モジュール10は、少なくとも1つの流体チャンネル22および少なくとも1つの流体排出チャンネル24を備える。流体チャンネル22は、少なくとも1つの流体メニスカス16を持った少なくとも1つの液体23を含む。保持治具または基板モジュール12は、いくつかの例を挙げれば、ウェハ14、基板14のような少なくとも1つの対象物14をしっかりと保持する。排出チャンネル24は、流体17としてあふれ出たいくらかの流体23が、他の場所で論じるようにさらに処理されうるようなものであるべきである。簡単な理解のために、後ほど特定の実施によって必要とされる範囲における、関連するモータ、センシング、制御サブシステムは、図に示していない。他の組み合わせまたは修正が可能である、ということは明らかであって、それらも本発明の主題である。
【0039】
基板14は、第1のまたは下側の表面13と、第2のまたは上側の表面15を備える。基板14は、適切な真空、機械的、流体的、ベルヌーイ的、または静電気的チャックを使って、または他の適切な手段によって基板モジュール12によって保持されうる。そして流体メニスカス16の上で望ましい結果を達成するために必要な回数だけ走査される。走査の速度はプロセスの要求と望まれる結果によって決定され、零(すなわち流体23に露出された基板14が一つの場所にあって、動かない場合)から毎秒何フィートかまで変化する。図1A〜図1Dは、右(図1A)から左(図1B、図1C)まで進行し、そして右に戻る(図1D)ような動きを図式的に示す。
【0040】
同様に、基板14は、走査の動作の時、その後、その前、その最中に、あるいは必要であるとみなされるいずれかの時点で、プロセスの要求と望まれる結果に応じて種々の速度で回転させられうる。回転の速度は、通常、零(すなわち回転なし)から毎秒数千回転まで変化する。望ましい実施形態において、基板モジュール12は、前述の動作とそれらの組み合わせを達成するために必要なモータ、チャック、フィードスルー(feedthrough)を含んだ「基板ヘッド」18(簡単な理解のためにここでは示さなかった)を含むか、または収容することができる。
【0041】
また望ましい実施形態においては、基板14と基板モジュール12の間のギャップ20を通してガス流れが使用され、流体23が上側の表面15にゆっくり動いたり上がっていくことを避ける助けとなる。このガス流れは、基板14の上側の表面15上への蒸気輸送を最小にするのにも役立つ。使われるガスはプロセスと矛盾のないように選ばれ、そのような目的を達成する何らかのガスまたは流体でありうる。望ましい実施形態においては、窒素または乾燥され圧縮された空気が使われる。また望ましい実施形態では、基板14と基板モジュール12の間のギャップ20、および基板14は、このような隔離、または望まれる他の効果を作り出すようにセットされる。
【0042】
望ましい実施形態において、基板14は、連続した基板領域要素またはストライプを液体23に露出するよう方法でメニスカス16の上を動く。もし実行された操作が、薄肉化の操作の際のような基板材料の化学的除去(すなわちエッチング)を伴うならば、操作の幾何学形態は、回転平削り盤または他の類似の道具による材料の機械的除去のそれに類似している。このような狭いストライプで処理をもたらすことによって、全てとは言えないにしてもほとんどの場合において、エッジへの質量および熱の輸送と関係のある非対称性は事実上排除される。
【0043】
望ましい実施形態において、処理のために使われる流体23は、流体チャンネル22の中に連続的に補充されている。これは、開ループまたは閉ループで行なわれうる(すなわち、流体23が1回の通過後に、何らかの形態の処理をして、あるいはしないで、廃棄されて、またはリサイクルされて使われ、流体チャンネルの中に戻される)。流体23の化学的性質は、このような通過の間に調整されうるか、あるいはされない。同様に、流体23の温度または他の特性は、このような通過の間に調整されうるか、あるいはされない。このような選択は、とりわけ、環境、経済性、プロセス問題、スループット、一様性のような、様々な局面に依存する。流体の特性は、他の適切な手段の試み、比色分析、分光によって算定されうる。そしてこの情報は、このような特性のいくつかまたはすべてを順番に調整するために、プロセス中にフィードバックされうる。再循環プロセスの一部として、または基板14の通過の際の上からの排出としての通常の動作の際に、流体チャンネル22内の流体23は排出チャンネル24の中に排出することができ、これにより、排出された流体17は、廃棄され、リサイクルされ、一まとまりの新鮮な流体23との混合により補充され、そして流体チャンネル22に注入され戻される、というような処理がさらになされうる。ここに集められた流体23は、上記で詳述されたように蓄積され、処分され、または再循環される。望ましい実施形態において、真空または重力が排出チャンネル24に作用し、意図されたその経路に沿った液体23の輸送を支援する。しかし、重力、真空と重力の組み合わせ、化学反応、または静電気力、あるいはそれらの組み合わせのみによって支援された排出を含む、何らかの他の処置(配置)もまた本発明の主題である。とりわけ、様々な液体の除去、蓄積、ポンピング、閉じ込め、および管理の実施などの、システムの液体取り扱い局面に関していくつかの形状が想定可能であることも明らかである。これらおよび他のすべての可能性、形状、および実施も、本発明の主題である。同様に、他の幾何学的構造、配置、あるいは、液体または排出チャンネルの形態、大きさ、形状、または他の特性に関する実施形態(それらのいくつかの不足、部分的または全体的存在を含む)も、本発明の主題である。同様に、同じチャンネルまたはモジュールの、多様性を伴った、またはいくつかの数の、いくつかの形態も、本発明の主題である。
【0044】
本発明は、図2で示すように、左右26に配置された1つ以上の液体モジュール10を、基板14が通過する毎に1つ以上の液体メニスカス16に露出されるような方法で使用することができる。使われる液体モジュール10の数は、とりわけ、要求されるプロセス速度、スループット、基板の幾何学的構造のような様々な要因に依存することになるであろう。多くの変形と組み合わせが想定可能であって、それらも本発明の主題である。このような液体モジュールの多様性は、「観覧車」タイプの配置の「回転木馬」の形態に配置されうる。
【0045】
本発明の代替の実施形態は、一連のステップを、さらに進めて、お互いを補完することを狙いとして実行することができる。同じ本発明の構成要素の組み合わせによって、あるいは他のメカニズム、装置、デバイスまたは設備、並びにこのような実施からもたらされる装置の追加によって達成された、本発明の主題の機能を進めること、または強化することが、ここで考慮され、これも本発明の主題である。このような一連のものは、ここで記載されたのと同じ方式を使って、洗浄、エッチング、薄肉化、洗浄、研磨、基板の洗浄とすすぎ、をすることでありうる。そしてこれも本発明の主題である。このような実施は、エネルギーの音波、超音波、または巨大音波の形態、機械的研磨、または追加的機能の源としての電磁放射を含むが、それらに限定されない。
【0046】
本発明の主題の構成要素に、またはその周辺で取り付けられ、または排出される、他の形態のエネルギーまたは物体を備える上記の実施形態のいずれもが、また本発明の主題である。このような形態は、いくつかの例を挙げれば、何らかの形態の電磁放射、電磁界、光、何らかの形態の音響エネルギー、何らかの形態の機械的エネルギー、および何らかの形態の熱エネルギー41を含むが、それらに限定されない。
【0047】
図3は本発明のさらに他の実施形態を示し、対象物14は、その上側または第2の表面15の上に少なくとも1つの保護コーティング31を備え、また、下側のまたは第1の表面13が流体23に、そして流体メニスカス16に直接接触している。このような保護コーティング31は、とりわけ、例えば1つ以上のテープ、レジストからなりうる。
【0048】
図4は本発明のさらに他の実施形態を示し、対象物14の下側のまたは第1の表面13が保持タンク10内の流体23に、そして流体メニスカス16に直接接触しており、保持治具または基板ヘッド18、および/または、保持タンク10は少なくとも1つのエネルギー源41を備える。エネルギー源41は、少数の例を挙げれば、電磁放射、光、音響エネルギー、機械的エネルギー、熱エネルギーから成る群から選択されうる。例えば、エネルギー源41は光のビーム41であり、流体23を通って、流体メニスカス16、および対象物14の第1のまたは下側の表面13に向かって照らしうる。そして、少数の例を挙げれば、例えば、フォトリソグラフィ操作、光化学的操作、光電気メッキ操作、選択的めっき、選択的エッチングを達成する。
【0049】
図5は本発明のさらに他の実施形態を示し、対象物14は第1の表面13、15、および第2の表面13、15を備え、そして第1の表面13、15は第1のタイプ53、55の少なくとも1つの第1の特徴53、55を備え、第2の表面13、15は第2のタイプ53、55の少なくとも1つの第2の特徴53、55を備え、第1のタイプ53、55の第1の特徴53、55は、第2のタイプ53、55の第2の特徴53、55と異なる。例えば、第1の特徴53、55は、いくつかの例を挙げれば、CMOS、MEMS、SOIまたはCCD(電荷結合素子)、光電池を有する能動的特徴、あるいは、例えば、格子、金属または非金属のラインおよび/またはビアのような受動的特徴の群から選択することができる。同様に、第2の特徴53、55は、いくつかの例を挙げれば、CMOS、MEMS、CCD、光電池またはSOIを有する能動的特徴、あるいは、例えば格子のような受動的特徴の群から選択することができる。
【0050】
図6は本発明のさらに他の実施形態を示し、対象物14は少なくとも1つの保護層61で覆われた第1の表面13の一部を備える一方、第1の表面13の一部が、例えば露出した表面13が流体23の流体メニスカス16に直接接触することを可能にするように、処理のために露出されたままとされる。保護層61の下の領域は無垢の表面領域13でありうるか、または前に処理された領域13でありうるか、または層61によって保護される1つ以上の特徴53、55を備えた領域13でありうる。このような保護層61は、ウェハ14の表面13の一部を保護するためのレジスト層61として使うなどして、電子的プロセスにおいて使われうる。保護層61は有機層61または無機層61でありうる。
【0051】
対象物14を保持する多くの方法が存在することが理解されるべきである。例えば対象物14は、いくつかの例を挙げれば、機械的手段、静電気的手段、例えばベルヌーイの定理を使った流体的手段、磁気手段、電磁気的手段、または他の非接触の方法を有する群から選択された方法によって、保持治具12に保持されうる。
【0052】
出願人は、「1つの側」という用語、または「1つの側の処理」という用語を、1つの表面が処理されるか、または流体23の流体メニスカス16に接触し、第1の側を処理する間に対象物14の他の側または第2の表面または背面が、著しく、または実質的に乱されないことを明確にするために使った。
【0053】
本発明は、構造物またはデバイスが、ウェハまたは基板のような対象物の両側上に構築されうることを可能にする。また、上記構造物またはデバイスは、本発明でない従来の手段によって構築され得ないものである。例えば、1つの側に少なくとも1つのCMOSデバイスを構築し、他の異なったデバイスを同じ側に作るために、あるいは、他のCMOSまたは他の異なったデバイスを他の側または背面に作るために、本発明を使うことができる。両側での「真の構築物」の使用は、本発明の「真の1つの側の」処理の可能性を使用することによって可能になる。同様に、デバイスのより薄い、またはより密集したデバイス「パッケージ」が、潜在的に従来の手段に比較してより少ないコストで、および/または、より少ない環境に対する影響で、本発明の使用によってなされうる。
【0054】
ウェハまたは対象物のいずれかの側の上のデバイスは異なっていなくてもよい、ということが理解されるべきである。1つの側のCMOSを、他の側にCMOSを備えることができ、あるいは、それぞれの側に、少数の例を挙げれば、CMOSおよびMEMS、格子とMEMS、格子と光学素子、光電気素子と格子、のような、能動デバイスおよび/または受動デバイスの何らかの組み合わせを備えることができる。本発明は、単純な、効率的な、そして費用効果の高い方法で、対象物、例えばウェハの両側の使用を可能にする、ということも見出だすことができる。しかしながら、例えばチャンネル、ミラー、フィルタ、穴、薄膜、ビーム、光電子工学的および機械的デバイス、または他の類似の特徴/構造のような、他の特徴/構造を作るために、本発明を使うこともできよう。
【0055】
さらに対象物は、例えば、IV族元素(例えばGe、Si)、III族とV族の複合物(化合物)(例えばInP)、II族とVI族の複合物(化合物)(CdSe、HgTe)、または他の二重複合物(SiN)とこれらの系の三重複合物(AlGaAs)のような、様々な材料から作られうる。
【0056】
ほとんどの用途に対して、保持治具12、18は対象物14を動かして流体メニスカス16と接触させうる。しかしながら、いくつかのケースでは、流体23を収容する保持タンク10は、流体メニスカス16が対象物14の表面と接触するように動かせられうる。いくつかの用途に対して、保持治具12、18を、そして保持タンク10も、同時に、および同じ速度または異なった速度で動かすことができる。
【0057】
多くの実施形態、変化、および組み合わせが想定可能であるが、本発明の主題でもある、いくつかのこのような関連する実施形態および変形を以下に挙げる:
【0058】
本発明、その変形、およびその代替の実施形態は、その用途またはプロセスと無関係に何らかの類似の装置および/またはプロセスに適用されうる。
【0059】
本発明は、流体23が少なくとも1つの流体メニスカス16を形成する限りにおいて、いくつかの流体23を利用しうる。
【0060】
本発明は、何らかの幾何学形態の表面、複数の表面、または基板14で使うことができる。本発明は、何らかの地形(凹凸)の表面、複数の表面、または基板14で使うことができる。同様に本発明は、何らかの基板材料または物質で使うことができる。
【0061】
他の場所で議論したような本発明は、本明細書において言及されたものに加えて、何らかの他のプロセスを行なうために使うことができる。
【0062】
本発明は、本明細書で言及されたものに加えて、何らかの他の形状において使うことを可能にする。
【0063】
本発明は、本明細書で言及されたものに加えて、他の何らかのエネルギー源の形式とともに実行されうる。
【0064】
本発明は、その軸のどれかに対して反転され、回転され、または鏡像化されて使うことができる。
【0065】
本発明は、本明細書で記載されたものとは別の様々な数の液体モジュール10で使うことができる。
【0066】
本発明は、本明細書で記載されたものとは異なる数の流体23、または排出チャンネル24で使うことができる。
【0067】
本発明は、本明細書で言及されたものに加えて、その流体23および排出チャンネル24の様々な配置、バリエーション、または幾何学的構造を具体化するために修正されうる。
【0068】
本発明は、不動の基板14および可動の液体モジュール10、またはそれら他の何らかの組み合わせまたは置換のような可動および不動の構成要素の様々な組み合わせを使うことをも可能にする。
【0069】
本発明は、互いに対する、あるいは基準の外部フレームに対する、その構成要素の振動、回転、並進、または揺動を含むが、それらに限定されないような、何らかの形態または動作を達成する構成要素を使うことをも可能にする。
【0070】
本発明は、本明細書で記載されたものとは別の、少数の例を挙げれば、加熱、研磨、を行なう構成要素、何らかのタイプの粒子を用いた衝撃、超臨界ガス洗浄、超音波洗浄または励起、レーザー露出または何らかの形態の放射への露出を含むが、それらに限定されないような、何らかの機能を行なう構成要素を利用することができる。
【0071】
本発明は、いくつかの数のその構成要素を反転された方法で(すなわち逆さまにして)、使うことができ、または備えることができる。
【0072】
本発明は、いくつかの数のその構成要素を水平から角度を付けて使うことができ、または備えることができる。
【0073】
本発明は、流体または複数の流体23の除去を可能にすることができ、それは、本明細書で記載されたものに加えて、何らかの例を挙げれば、吸引、重力、化学反応、移動するガスまたは流体、変位、表面張力駆動(例えばマランゴーニ(Maragoni))、機械、電磁気のような(但し、それらに限定されない)、他の手段または処置によって達成されうる。
【0074】
本発明は、流体または複数の流体23の送出によって使うことができ、それは、本明細書で記載されたものに加えて、吸引のような、様々な手段または処置によって達成されうる。
【0075】
本発明は、ここで記載した後側(プロセスなし)表面の閉じ込めの有無にかかわらず使うことができる。
【0076】
本発明は、その種々の実施形態に従って、第2の表面が流体メニスカスの上を通過した後に第2の表面の上に残されたいくらかの液体と相互作用するよう構成された、例えば移動、置換、除去、広げ、乾燥するよう構成された、流体相互作用要素を使用することもできる。図7、図8、図9、および図10でそれぞれ示したような、空気ナイフ100、真空ナイフ120、ブレード130、毛細管材料140などの、このような流体相互作用デバイスの種々の例について、ここで記載する。しかしながら、第2の表面が流体メニスカスの上を通過した後に第2の表面の上に残された流体と相互作用するよう構成された何らかのデバイスを含む、ということが理解されるべきである。
【0077】
例えば、図7に示すように、空気ナイフ100が、流体メニスカスの上を通過した後に第2の表面に吹き付け、残っている液体に作用するよう構成されうる。空気は適切な導管110を介して空気ナイフに通されうる。同様に、そして図8に示すように、真空ナイフ120が、流体メニスカスの上を通過した後の前記第2の表面の上に残されたいくらかまたは全ての液体を吸引しうる。適切な導管110を介して真空ナイフに真空が供給されうる。またさらに、そして図9に示すように、ブレード130(このシステムに適した用途に依存して、柔軟かそうではない、そして、プラスチック、金属、セラミック、および他の有機物および無機物の複合材料のような様々な材料から作られたもの)の配置が、流体メニスカスの上を通過した後の前記第2の表面の上に残された流体または複数の流体の部分的または完全な除去、あるいは広げを可能にしうる。図10に示すように、これらのブレードはまた、他の多くの想定可能な可能性の中でも、毛細管材料140から作られ得る。
【0078】
図1laおよび図11bは、本発明の他の代替の実施形態を示し、例えば1つ以上の空気ナイフ、真空ナイフ、ブレードなどの流体相互作用要素が、基板に対し相対的に動くよう構成されうる。例えば一実施形態では、流体相互作用要素は、基板によって規定された平面と非平行の関係にある方向に動くよう構成されており、例えば基板の進路の上方および/または下方、あるいは内側および/または外側に動きうる。さらに、一実施形態において、それは、基板の動き、例えば方向および/または速度と一致する方法で動くことができる。前記ナイフ、ブレード、またはノズルは、電磁気式、圧縮空気式、あるいは、前記動作をもたらす適切な何らかの種類のアクチュエータ230によって作動させられうる。さらに、エネルギーの代替の形態が、ここで記載した前記流体相互作用デバイスに入力されるか、あるいは入力されないようにできる。
【0079】
さらに、本発明は、前記表面の少なくとも一部が前記ガスに接触するような方法で、ガス300が基板310の背後(第1の表面)に供給されるような一実施形態を含むことができる。図12aおよび図12bはそのような一実施形態を示す。前記ガスを供給する1つの目的は、流体340または何らかの汚染が液体、蒸気、またはガスの形態で前記背面に入ることを防止するという方法で、基板350のエッジを通って流れるガスの流れを形成することでありうる。基板のエッジにおけるガス流れは、基板のエッジの周りに高い気圧領域の「リング」を形成することができ、これにより前記汚染を防止する。上述のガス流れは、ガスの流れを方向付け、改良し、偏向し、またはそうでなければ影響を与えうる様々な空気力学的デバイス320に関連付けて実行されうる。基板は、本明細書の他の場所で論じるように、例えば他の多くの想定可能な装置の中でも、接触するものまたは非接触のものを含めて、チャック330または他のそのようなデバイスによって、保持されうる。このようなチャックは、上述のような閉じ込めと保護効果に貢献したり、貢献しないようにすることができ、そして、ガス流れ装置と関連付けて機能することができ、または機能しないことができる。図12cは本発明のさらに他の実施形態を示し、ガスが移動することのできる通路331を含んだチャック330を示す。流体、例えばガスは、チャックと基板との間で循環することができる。
【0080】
本発明は、いくらかの数の様々な形状をとりうる流体容器またはメニスカスと関連付けて使うこともできる。1つの特定の実施形態が図1および図2に示され、線状の容器が断面図で示されている。線状の容器は、いくらかの長さまたは幅のものでありうる流体の、例えば、長い矩形−上側から見て−のプール、そして対象物の幅全体を必ずしも包含しないものから成る。さらに一般的なケースは、様々な形状と大きさの容器から成りうる。特に注目すべきは、容器は、「パイ」形、「D」形、円形、前記形状の組み合わせ、重ね合わせ、または歪曲を備えうる。液体と相互作用することを意図された対象物の領域の形状に応じて、容器は何らかの形状をとることができる。また、容器の上の対象物の動作は、要求される何らかの望ましい方法において対象物の表面を露出するために、所定の方向に沿った並進、回転、振動の何らかの組み合わせ、あるいはそれらの複数の組み合わせまたは複数の重ね合わせから成ることができる。その動作は、不変的または可変的な速度での、あるいはその動作に沿った速度「プロファイル」に従った、走査の動作、並進のない適所での回転、並進動作の片端または両端での回転、所定の順序の角運動または角速度での回転、を含むが、それらに限定されず、順序付けられた、相互に関連付けられた、あるいは相互に無関係の方法で部分的な並進動作と組み合わせられた一定の回転を含むが、それらに限定されない。並進動作はいずれかの3次元内に存することができ、そしてどれかの動きは、本発明の他の何らかの局面と関連付けられ、あるいは無関係とされることができる。
【0081】
本発明を、特定の望ましい実施形態と関連して詳しく説明してきたが、多くの選択肢、修正、および変形が、前述の記載を考慮に入れて当業者に明白である、ということが明らかである。従って、添付された特許請求の範囲が、本発明の真の範囲と精神の中に収まるような、いくつかのこのような選択肢、修正、および変形を包含することになる、ということが意図される。
【符号の説明】
【0082】
10 液体モジュール(保持タンク)
12 基板モジュール(保持治具)
13 表面
14 対象物(基板、ウェハ)
15 表面
16 流体メニスカス
17 流体
18 基板ヘッド
20 ギャップ
22 流体チャンネル
23 流体
24 排出チャンネル
24 流体排出チャンネル
26 横方向
31 保護コーティング
41 エネルギー源(光、ビーム)
61 レジスト層(保護層、有機層、無機層)
100 空気ナイフ
110 導管
120 真空ナイフ
130 ブレード
140 毛細管材料
230 アクチュエータ
300 ガス
310 基板
320 空気力学的デバイス
330 チャック
331 通路
340 流体
350 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面と第2の表面とを備えた対象物の上に流体メニスカスプロセスを行なうための装置であって、
(a)流体メニスカスを形成する流体を収容する少なくとも1つの保持タンクと、
(b)前記流体メニスカスの少なくとも一部が、接触し、前記対象物の第2の表面の少なくとも一部に移動させられるように前記対象物を保持するための保持治具と、
(c)前記第2の表面に移動させられた流体メニスカスの少なくとも一部と相互作用するよう構成された流体相互作用要素と、を有することを特徴とする装置。
【請求項2】
前記流体相互作用要素は、前記第2の表面に移動させられた流体メニスカスの少なくとも一部を動かし、移し変え、除去し、広げ、および乾燥するよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記流体相互作用要素は、前記第2の表面に移動させられた流体メニスカスの少なくとも一部に向かって空気を吹き付けるよう構成されている空気装置であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記流体相互作用要素は、前記第2の表面に移動させられた流体メニスカスの少なくとも一部に真空を提供するよう構成されている真空装置であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記流体相互作用要素は、前記第2の表面に移動させられた流体メニスカスの少なくとも一部を動かすよう構成されているブレードであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記流体相互作用要素は、前記第2の表面に移動させられた流体メニスカスの少なくとも一部を動かすよう構成されている毛細管材料であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記流体相互作用要素は、前記対象物に対し相対的に動かすことができることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記流体相互作用要素は、前記対象物の動きによって規定された経路の中へ、および/または、その経路から、動くよう構成されていることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記流体相互作用要素の動きが前記対象物の動作に対応することを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記流体相互作用要素の動きが前記対象物の動作の速度および方向の少なくとも1つに対応することを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記流体相互作用要素の動きがアクチュエータによって作動させられ、該アクチュエータは圧縮空気式および電磁気式の少なくとも1つであることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項12】
前記流体相互作用要素および前記対象物の少なくとも1つは、お互いに対し相対的に動くよう構成されており、該相対的な動作は、並進、回転、振動、および/または、前記動作の一部、組み合わせ、または重ね合わせの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項13】
前記流体相互作用要素は、前記第2の表面に移動させられた流体メニスカスの少なくとも一部が前記第1の表面に移動することを避けるように、前記対象物の第1の表面の少なくとも一部上にガスを提供するよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記ガスは、前記第2の表面に移動させられた流体メニスカスの少なくとも一部によって生成された液体、蒸気および/またはガスが、前記第1の表面に移動することを避けるように提供されることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記保持治具は、前記第2の表面に移動させられた流体メニスカスの少なくとも一部が前記第1の表面に移動することを避けるように、前記流体相互作用要素との組み合わせで機能することを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記保持タンクは、長い矩形、「パイ」形、「D」形、円形、前記形状の組み合わせ、重ね合わせ、または歪曲の1つを含む形状を有し、流体メニスカスに対応する形状を与えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記装置は、前記対象物の前記第2の表面との接触から、そのような接触の後に前記流体メニスカスの少なくとも一部を外すよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記対象物は、半導体ウェハ、基板、金属と非金属の複合材料、金属および非金属材料、シリコン、リン化インジウム、セラミック、ガラス、IV族元素、III族−V族複合物、II族−VI族複合物、およびそれらの二重複合物と三重複合物、から成る群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記対象物は、機械、真空、静電気、流体、磁気、および電磁気の働きの少なくとも1つを使う前記保持治具によって保持されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記流体は、エッチング液、めっき液、溶剤、フォトレジスト、現像液、およびストリッパー、から成る群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項21】
前記保持タンク内の流体は、再循環、撹拌、加熱、および補充の少なくとも1つをされることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項22】
前記対象物は少なくとも1つの材料の少なくとも1つのコーティングを有し、その状況で、前記コーティングは金属、有機材料、無機材料、絶縁体、およびレジスト、から成る群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項23】
前記保持タンクは前記流体を保持するための少なくとも1つのチャンネルを備えていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項24】
前記保持タンクは少なくとも1つの排出チャンネルを備えていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項25】
前記流体は少なくとも1つのポンプを使って保持タンクに注入されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項26】
前記流体は前記対象物の前記第2の表面の少なくとも一部をエッチングし、その状況で、前記対象物は、半導体ウェハ、基板、金属と非金属の複合材料、金属および非金属材料、シリコン、リン化インジウム、セラミック、ガラス、IV族元素、III族−V族複合物、II族−VI族複合物、およびそれらの二重複合物と三重複合物、から成る群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項27】
前記流体メニスカスは、エッチング、薄肉化、電気メッキ、ミクロ構造の解放、清浄化、電子デバイス製作、電気化学的処理、光化学的処理、光電気めっき、光電子工学的処理、パターニング、レジスト塗布、現像、めっき、コーティング、およびストリッピング、から成る群から選択された機能を行なうために使用されることを特徴とする請求項1に記載の装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11a】
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【図11b】
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【図12a】
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【図12b】
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【図12c】
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【公表番号】特表2010−507226(P2010−507226A)
【公表日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−532335(P2009−532335)
【出願日】平成18年10月16日(2006.10.16)
【国際出願番号】PCT/US2006/040732
【国際公開番号】WO2008/048259
【国際公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(508153659)マテリアルズ・アンド・テクノロジーズ・コーポレーション (3)
【Fターム(参考)】