説明

液体注入モールド法による半導体発光デバイスパッケージの形成方法、及びモールドされた半導体発光デバイスリボン

【課題】半導体発光デバイスを搭載するように構成された基板を作製する工程を含む、半導体発光デバイスをパッケージする方法を提供すること。
【解決手段】半導体発光デバイスをパッケージングする方法は半導体発光デバイスを搭載するように構成された基板を作製するステップを含む。該基板は中に半導体発光デバイスを搭載するように構成された空洞を含んでもよい。該半導体発光デバイスは該基板上に搭載されて基板の接続部分に電気的に接続される。該基板は該半導体発光デバイス上に、該基板に接着された光素子を形成するために液体注入モールドされる。液体注入モールドのステップに先行して空洞の中の電気的に接続された半導体発光デバイス上に軟樹脂を塗布するステップがある。半導体発光デバイスの基板リボンも提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体発光デバイスとその製造方法に関し、より具体的には半導体発光デバイスのパッケージとパッケージング方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)やレーザ・ダイオードのような半導体発光デバイスは多くの応用分野で広く用いられている。当業者にとっては良く知られていることであるが、半導体発光デバイスは1つ以上の半導体層を含んでいて、励起されることによってコヒーレントおよび/またはインコヒーレントな光を発するように構成されている。半導体発光デバイスは一般に外部電気接続端子、ヒートシンク、レンズまたは導波路、外界からの保護機能および/またはその他の機能を備えるためにパッケージに入れられていることも良く知られている。
【0003】
例えば、半導体発光デバイスに対しては2部品パッケージが知られていて、そこでは半導体発光デバイスは、半導体発光デバイスに対する外部接続手段を提供するために上面に電気配線を含むアルミナ、窒化アルミニウムおよび/または他の材料を含む基板の上に搭載される。銀メッキされた銅を含む第2の基板は前記第1の基板の上に半導体発光デバイスを取り巻くように、例えば接着剤を用いて搭載される。半導体発光デバイス上にレンズが第2の基板上に配置される。上記のような2部品のパッケージを持つ発光ダイオードは特許文献1(「表面搭載パワー発光ダイ用パッケージ(Power Surface Mount Light Emitting Die パッケージ)」)に記載されている。
【0004】
半導体発光デバイスのための多部品を用いた搭載用パッケージでは、異なる部品は通常異なる材料から出来ている。その結果、そのようなパッケージの熱インピーダンスは高く、パッケージの中のいろいろな部品の間で熱的なミスマッチが生じ、それがパッケージに関する信頼性の問題を生じる。例えば、ヒートシンク或いは空洞の銅メタルと、そのようなヒートシンクや空洞が搭載されるプラスチック体との間の界面で問題が生じる。さらにパッケージの部品数が多くなることによって組み立てがより複雑になる。さらに金属箔光空洞が用いられる場合には、空洞は通常は深さと形状において限られた範囲でのみ製作される。そのような多部品パッケージはまた、より大きな光空洞スペースを持つことになり、より大きな体積のカプセル剤を用いることになり、温度サイクルの間にカプセル剤の中で剥離および/または気泡の発生に関する問題が増加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0041222号明細書
【特許文献2】米国特許第6,274,924号明細書
【特許文献3】米国特許第6,201,262号明細書
【特許文献4】米国特許第6,187,606号明細書
【特許文献5】米国特許第6,120,600号明細書
【特許文献6】米国特許第5,912,477号明細書
【特許文献7】米国特許第5,739,554号明細書
【特許文献8】米国特許第5,631,190号明細書
【特許文献9】米国特許第5,604,135号明細書
【特許文献10】米国特許第5,523,589号明細書
【特許文献11】米国特許第5,416,342号明細書
【特許文献12】米国特許第5,393,993号明細書
【特許文献13】米国特許第5,338,944号明細書
【特許文献14】米国特許第5,210,051号明細書
【特許文献15】米国特許第5,027,168号明細書
【特許文献16】米国特許第4,966,862号明細書
【特許文献17】米国特許第4,918,497号明細書
【特許文献18】米国特許出願公開第2003/0006418号明細書
【特許文献19】米国特許出願公開第2002/0123164号明細書
【特許文献20】米国特許出願公開第2004/0056260号明細書
【特許文献21】米国特許第6,252,254号明細書
【特許文献22】米国特許第6,069,440号明細書
【特許文献23】米国特許第5,858,278号明細書
【特許文献24】米国特許第5,813,753号明細書
【特許文献25】米国特許第5,277,840号明細書
【特許文献26】米国特許第5,959,316号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
既知のパワー発光デバイスのパッケージについては、通常比較的小さなヒートスラッグが用いられる。それは関連する電気的なリードの一部分であることもあるし、孤立した素片の場合もある。モールドプラスチック体は通常パッケージの主要な部分を占め、熱発散部品を包んでいる。レンズはプラスチック体の上に搭載され、光の空洞を取り囲んでいる。そしてカプセル剤が空洞を充填するために用いられる。それは硬いエポキシか或いは柔らかいゲルのこともある。従来技術のパワー発光デバイスパッケージの例はカリフォルニア州サンノゼのルミレッド・ライティング、LLCから入手可能であり、特許文献2として記述されている。この特許文献2に記述されているように、モールドプラスチック体はパッケージの主要体積を占めていて、比較的小さな孤立したヒートスラッグの周りを包んでいて、ヒートスラッグの上にLEDチップが1つまたは複数搭載されている。プラスチックのレンズはプラスチック体上に、例えば接着剤を用いて固定され、ヒートスラッグ及びプラスチック体の一部分内に閉空間を形成している。閉空間は柔らかいゲルで充填され、そのゲルは温度変化に応じて抜け穴を通して閉空間に出たり入ったりする。そのパッケージ材料は一般的に半田のリフロー温度に耐えることが出来ないので、そのような製品は表面実装技術(SMT)と融合しない。さらに、使用中、柔らかいカプセル剤は気泡を形成したり、囲んでいる壁からはがれたりするようなことが起こり、それはデバイスの信頼性に悪影響を及ぼす。レンズを形成するために用いる樹脂の粘性を利用した分配方法を用いてレンズを形成することも知られている。
【0007】
接着剤で接着されるモールド前のレンズを用いると完成品の堅牢性と信頼性に色々な問題を生じる。例えば、そのようなデバイスの製造工程は本来的に一貫性がなく、その結果できるパッケージは堅牢性と信頼性において劣るものである。
【0008】
ヒューレット・パッカード社から入手可能な小型表面実装デバイスのような、ある種の低パワーLEDのパッケージを包むためにエポキシの転写モールド法が用いられることも知られている。そのようなデバイス上のエポキシはデバイスを内部に包むと同時に、パッケージに対して構造的な強度を与えることが出来る。しかしながら、エポキシは一般的に半導体発光デバイスによって発生するような青色光の電磁エネルギーによって劣化する傾向があり、その結果、光に対して透過性が悪くなる。それ故に、その結果としてパッケージは比較的短時間で薄暗くなる。それ故、エポキシは青色発光するデバイスを包むためにはあまり魅力のある選択肢ではない。加えて、カプセル剤の第1の層としてLEDチップ及びボンディングワイヤの接合被覆をするために用いられるシリコーンの軟ゲルに対して、エポキシは一般に熱膨張係数(CTE)不整合の問題を有する。
【0009】
LEDデバイスをエポキシで包むために鋳造法を用いることも知られている。このプロセスは通常は開空間にて適用することが出来るだけである。そこでは、カップの中に含まれたエポキシが硬化を起こし、リードフレームがカップの中に挿入され、エポキシが硬化したときに鋳造される。硬化の間に、液体エポキシの水準は一般には自由であり、化学反応の結果、自己調節して体積の収縮が起こる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のいくつかの実施例は、半導体発光デバイスを搭載するように構成された基板を作製する工程を含む、半導体発光デバイスをパッケージする方法を提供する。基板は、半導体発光デバイスを中に搭載するように構成された空洞を含んでもよい。半導体発光デバイスは基板上に搭載され、基板の接続部分へ電気的に接続される。基板は半導体発光デバイスの真上に、基板に接着された光素子を形成するために液体注入モールドされる。液体注入モールドの工程に先だって、空洞内の、電気的に接続された半導体発光デバイス上に軟樹脂を塗布する工程を含んでもよい。
【0011】
更なる実施例においては、基板を製作する工程は金属ベース構造を形成する工程を含む。金属ベース構造は高温プラスチック材料でオーバーモールドされる。高温プラスチック材料は、光素子を形成するために基板を液体注入モールドする工程で用いられる材料よりも硬い材料であり、光素子を形成するために基板を液体注入モールドする工程で用いられる材料よりも低い光透過度を有する。高温プラスチック材料は反射用添加剤を含んでもよい。高温プラスチック材料はポリフタルアミド(PPA)および/または液晶ポリマー(LCP)であり、反射用添加剤はガラス、二酸化チタン(TiO)および/または硫酸バリウム(BaSO)である。
【0012】
他の実施例においては、半導体発光デバイスを電気的に接続する工程はボンディングワイヤを用いて接続部分に半導体発光デバイスをワイヤボンディングする工程を含む。軟樹脂を塗布する工程は、軟樹脂で半導体発光デバイスとボンディングワイヤを被覆する工程を含む。
【0013】
更なる実施例においては、液体注入モールドの工程は、光素子を区画する形を有するモールド空洞を持つモールドの中に基板を設置する工程を含む。樹脂がモールド中へ注入される。注入された樹脂は硬化して基板へ接着した光素子を形成する。樹脂は熱硬化性樹脂であってよい。樹脂のモールド中への注入に先立って、硬化剤の計量と樹脂中への混合の工程がある。樹脂を注入する工程は、光素子の中に気泡が形成されないようにモールド空洞からほとんど全ての空気を取り除きながら、モールドの受け入れチェンバに樹脂を分配して、注入プランジャーを動作させて樹脂を受け入れチェンバからモールド空洞の中に移動させる工程を含む。
【0014】
更なる実施例では、基板は複数の基板を含む基板リボンであり、モールドは基板のそれぞれ1つに対して光素子を区画する複数の空洞を含む。モールドは複数の基板リボンを受け入れるように構成されていてもよく、基板を設置する工程はモールド中に複数の基板リボンを設置する工程を含んでもよい。
【0015】
尚他の実施例では、基板を作製する工程は樹脂接着表面を区画している金属ベース構造を形成する工程を含む。金属ベース構造は複数の基板を区画し、樹脂の注入時に複数の基板のそれぞれを通って複数の空洞へ樹脂の流れを方向付ける通路を区画する高温プラスチック材料でオーバーモールドされる。モールド中へ樹脂を注入する工程は通路を通して樹脂接着表面上の高温プラスチック材料と接触しながら樹脂を流す工程を含む。高温プラスチック材料は注入される樹脂よりも硬度のより高い材料であって、注入される樹脂よりも低い光透過度を持つものである。高温プラスチック材料はポリフタルアミド(PPA)および/または液晶ポリマー(LCP)であって、注入される樹脂は熱硬化性樹脂である。
【0016】
更なる実施例においては、液体注入モールド工程の前に、空洞内にある電気的に接続された半導体発光デバイスの上に軟樹脂を塗布する工程を行う。軟樹脂はシリコーンであってよい。注入された樹脂は硬度のより高い材料であり、半導体発光デバイスの全内部反射を起こりにくくするために、軟樹脂の屈折率と実質的に同様の屈折率を持ち、軟樹脂の熱膨張係数と実質的に同様の熱膨張係数を持つ。半導体発光デバイスを電気的に接続する工程は、ボンディングワイヤで接続部分に半導体発光デバイスをワイヤボンディングする工程を含み、軟樹脂を塗布する工程は、半導体発光デバイスとボンディングワイヤを軟樹脂で被覆する工程を含む。
【0017】
他の実施例では、モールド中へ樹脂を注入する工程は或る選択された注入圧力と注入速度で注入する工程を含み、注入された樹脂を硬化させる工程は注入された樹脂を或る選択された時間だけ或る選択された温度と或る保持圧力で硬化させる工程を含む。注入された樹脂は硬度のより高い材料であり、半導体発光デバイスの全内部反射を起こりにくくするために、軟樹脂の屈折率と実質的に同様の屈折率を持ち、軟樹脂の熱膨張係数と実質的に同様の熱膨張係数を持つ。
【0018】
尚さらなる実施例においては、半導体発光デバイスの基板リボンは金属ベース構造を含む。複数の高温プラスチック材料基板が金属ベース構造の上にある。基板は半導体発光デバイスを受け入れ空洞をふくむ。通路は受け入れ空洞の間に伸びていて樹脂の流れをそれぞれの受け入れチェンバを通るように方向付けするように構成されている。高温プラスチック材料は反射用添加剤を含んでもよい。高温プラスチック材料はポリフタルアミド(PPA)および/または液晶ポリマー(LCP)であり、反射用添加剤は二酸化チタン(TiO)および/または硫酸バリウム(BaSO)である。
【0019】
他の実施例では、基板リボンは受け入れ空洞のそれぞれに配置された半導体発光デバイスをさらに含む。レンズ材料は受け入れ空洞のそれぞれを覆う。レンズ材料は光素子を区画して、かつ、基板リボンの通路を通って伸びている残留樹脂部分を含む。半導体発光デバイスは、基板を通って受け入れ空洞へ伸びている金属ベース構造によって区画されたリードに電気的に接続される。発光デバイスはボンディングワイヤによって電気的に接続され、基板リボンは半導体発光デバイスとボンディングワイヤとの間の軟樹脂とレンズ材料を含む。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明のいろいろな実施例による、半導体発光デバイスの基板リボンを部分的に展開した斜視図である。
【図2】図1の線2−2に沿った図1の基板リボンの断面図である。
【図3】図1の線3−3に沿った図1の基板リボンの断面図である。
【図4】本発明のいくつかの実施例による、パッケージされた半導体発光デバイスの斜視図である。
【図5】本発明のいくつかの実施例による、複数の基板リボンを有するモールドの斜視図である。
【図6A】本発明のいくつかの実施例による、図5のモールドの下半分の平面図である。
【図6B】本発明のいくつかの実施例による、図5のモールドの上半分の平面図である。
【図7】図5の線7−7に沿った、図5のモールドの断面図である。
【図8】本発明のいくつかの実施例による、半導体発光デバイスをパッケージするための操作を表わす流れ図である。
【図9】本発明のいくつかの実施例による、半導体発光デバイスをパッケージするための操作を表わす流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施例を示している添付の図面を参照して、本発明を以下により完全に記述する。しかしながら、本発明は他の多くの形態で実施されても良く、ここに開示される実施例にだけ限定しようとするものではない。むしろこれらの実施例は、この開示が完璧で完全なものとなり、本発明の技術範囲を当業者に完全に伝達するように提供されるものである。図においては層や領域のサイズや相対的な大きさは、明確な記述にするために誇張されている。
或る要素または層が他の要素または層の「上にある」、「接続されている」または「結合している」といわれた場合には、それが他の要素や層に直接的に「上にある」、「接続されている」または「結合している」こともあるし、或いは介在する要素或いは層が存在してもよい。対照的に、或る要素または層が他の要素または層の「直接上にある」、「直接接続されている」または「直接結合している」といわれた場合には、介在する要素或いは層は存在しない。全体を通じて、同様の番号は同様の要素を示している。ここで用いられているように、「および/または」という言葉は、関連してリストアップされているものを1つ以上含む組み合わせのいずれかまたは全てを含むものである。
【0022】
「第1の」、「第2の」などの用語はここでは色々な要素、部品、領域、層、および/または区画を記述するために用いられているが、これらの要素、部品、領域、層、および/または区画はこれらの用語によって制限されるべきではない。これらの用語は1つの要素、部品、領域、層、および/または区画を区別するために用いられているに過ぎない。このように、以下に議論される第1の要素、部品、領域、層、および/または区画は本発明の教えるところから逸脱すること無しに第2の要素、部品、領域、層、および/または区画と呼ぶことも出来るであろう。
【0023】
「の下に」、「以下に」、「下部に」、「上に」、「上部に」などの空間的な相対関係を表わす言葉は、ここでは、図において示される或る要素や特徴物の他の要素や特徴物に対する関係を記述する場合に、記述の容易さのために用いられている。空間的な相互関係を表わす用語は図に示された方向に加えて、使用または操作中のデバイスの別の方向を含むことを意図するものであることは理解されよう。例えば、図におけるデバイスが回転した場合には、他の要素や特徴物の「下に」または「下方に」と記述された要素は、そのときは他の要素や特徴物の「上に」向くであろう。このように例としてあげる「下に」という用語は「上に」および「下に」の両方向に広げることが出来る。デバイスは他の方向を向いて(90°回転していたり、他の方向を向いていたりして)いてもよく、ここで用いられる空間的に相対的な関係を表わす用語はそのように解釈してよい。
【0024】
ここで用いられる用語は、特定の実施例だけを記述するための目的であって、本発明を限定しようとするものではない。ここで用いられるように、単数形の冠詞は、文脈から明瞭にそうでないということが示される場合を除いて、複数形の冠詞をも含むように意図されている。「備える」および/または「備えた」という用語は、この明細書にて用いられるときは、言及された特徴物、整数、工程、操作、要素、および/または部品が存在することを規定していて、他の特徴物、整数、工程、操作、要素、部品、および/またはそれらのグループの1つ以上が存在したり、付け加わることを排除するものではない。
【0025】
本発明の実施例はここでは、本発明の理想化された実施例を概略的に表わす断面図を参照して記述される。それ故に、例えば製造技術および/または許容公差の結果として、図示の形状からの変化が予想されよう。このように本発明の実施例は、ここに示された特定の領域の形に限定しようとするものではなく、例えば製造から来る形の変形を含むべきものである。例えば、四角形として示されたエッチングされた領域は、通常は丸い、或いは曲がった特徴を持つ。このように、図示された領域は当然のことながら概略的であり、その形はデバイスの領域の正確な形を示すように意図されたものではなく、本発明の技術範囲を制限しようとするものでもない。
【0026】
そうでないと規定された場合を除いては、(技術用語及び科学用語を含んで)ここで用いる全ての用語は本発明が属する技術分野の通常の技術を持つ者が共通して理解するようなものと同じ意味を持つものである。さらに、辞書に共通に用いられるように定義されたような用語は、関連技術とこの明細書の文脈の意味と矛盾のない意味を持つものと解釈されるべきであり、ここで明確に規定されない場合は、理想化された、或いは過度に公式的な意味で解釈されるべきではない、ということは理解されよう。
【0027】
さて、パッケージされた半導体発光デバイスとそれを含む基板リボンの実施例と、それを形成するための方法について図1−9を参照して記述しよう。特に、本発明のいくつかの実施例による基板リボンについて図1−3を参照して記述しよう。図1は本発明のいくつかの実施例による半導体発光デバイス基板リボンを部分的に展開した透視図である。図2は図1の線2−2に沿った図1の基板リボンの断面図である。図3は図1の線3−3に沿った図1の基板リボンの断面図である。
【0028】
図1−3に示すように、基板リボン100は図1−3にリードフレーム105として示した金属ベース構造を含む。複数の高温プラスチック材料基板110はリードフレーム105の上に示されている。リードフレーム105は銅のような金属薄板から、例えば印刷および/またはエッチングを用いて出来ている。基板110はリードフレーム105にオーバーモールドされた高温プラスチック材料から形成されている。リードフレーム105とオーバーモールドされた基板110は、取り扱いに対して耐えられるように、またダイ接着とワイヤボンディングのような組立作業の間、中に含まれている発光デバイスを保護するために、堅牢な構造となるように選択されている。
【0029】
基板110のために選ばれるプラスチック材料はまた、反射率のような付加的な光学特性を持つように選ばれてもよい。反射率は反射性材料の精製粒子を添加することによって実現しても良い。例えば、いくつかの実施例では、基板110はポリフタルアミド(PHA)および/または液晶ポリマー(LCP)のような高温プラスチック材料であり、反射用添加剤は例えば、ガラス、二酸化チタン(TiO)および/または硫酸バリウム(BaSO)である。PPA材料の1例は商標アモデル(Amodel)名で入手可能である。
【0030】
基板110のそれぞれは半導体発光デバイス受け入れチェンバ(空洞)112を含む。半導体発光デバイス114はそれぞれの受け入れ空洞112の中に設置される。発光デバイス114はリードフレーム105によって区画された、基板110を通って受け入れチェンバ112へ伸びているリード133に電気的に接続される。図1と図2に見られるように、発光デバイス(LED)114はボンディングワイヤ115によってその1端が電気的に接続される。LEDの第2の接続はその底面に接触によって、および/またはもうひとつのボンディングワイヤ115によって実現される。リード113は空洞112の内部にまで伸びている接続部分117(図2)を含み、その接続部分へボンディングワイヤ115または他の電気的な接続がなされる。
【0031】
半導体発光デバイス114はLED、レーザ・ダイオードおよび/または他のデバイスを含む。半導体発光デバイスはシリコン、炭化珪素、窒化ガリウムおよび/またはその他の半導体材料を含む1つ以上の半導体層と、サファイヤ、シリコン、炭化珪素、窒化ガリウム、または他の微小電子デバイス基板を含む基板と、及び金属および/または他の導電層を含む1つ以上のコンタクト層を含む。半導体発光デバイスの設計と製造は当業者には良く知られている事柄である。
【0032】
例えば、ノースカロライナ州ダーハムのクリー社によって製造販売されているデバイスのような、発光デバイス114は炭化珪素基板上に製作された窒化ガリウムベースのLED、またはレーザである例えば、本発明は特許文献3〜17に記されているようなLEDおよび/またはレーザに用いることが適当である。
【0033】
他の適当なLED及び/またはレーザは次の特許文献に記載されている。
特許文献18(「量子井戸及び超格子を有するグループIII窒化物ベースの発光ダイオード構造、グループIII窒化物ベースの量子井戸及びグループIII窒化物ベースの超格子構造(Group III Nitride Based Light Emitting Diode Structures With a Quantum Well and Superlattice, Group III Nitride Based Quantum Well Structures and Group III Nitride Based Superlattice Structures)」)および、特許文献19(「光取出し法を改良した発光ダイオードとその製造方法(Light Emitting Diodes Including Modifications for Light Extraction and Manufacturing Methods Therefor)」)、さらに、蛍光剤塗布のLEDも本発明の実施例に用いるのに適しているだろう。これに関する特許文献20(「テーパつき側壁を含む蛍光剤塗布発光ダイオードとその製造方法(Phosphor-Coated Light Emitting Diodes Including Tapered Sidewalls, and Fabrication Methods Therefor)」)がある。
【0034】
LEDおよび/またはレーザは炭化珪素基板を通して発光が起こるように動作するような構造になっている。そのような実施例においては、例えば上記の特許文献19に記載されているように、炭化珪素基板はデバイスの光出力を増強するようにパターン化されている。
【0035】
尚他の実施例においては、蛍光剤を内蔵するエポキシのような材料の一粒が半導体発光デバイスの上に置かれる。蛍光剤被覆を用いたLEDは例えば、特許文献21〜26に記述されている。
【0036】
LED114とそれぞれのボンディングワイヤ115が空洞112の中に設置されると、やわらかい透明な樹脂などが少量、空洞112の中でLED114とボンディングワイヤ115へ塗布される。図1−3に見られるように、軟樹脂131はLED114とボンディングワイヤ115と上部に置かれたレンズ材料125の間に置かれる。軟樹脂は例えば、シリコーンであり、所望の屈折率と物理的な性質を持つ材料である。軟樹脂131はLED114に塗布されることにより、フォトンがLED114から出て軟樹脂131に入りやすくする。これにより完成した半導体発光デバイスにおいて光の引き出し効率の増大を達成することになる。さらに、発光デバイスの使用中の温度サイクルにおいて、エポキシのような硬いカプセル剤に比べて軟樹脂131はLED114に、LED114を破損したり、および/またはボンディングワイヤ115を破断したりする可能性のある強いせん断力および/または応力を与えることがない。
【0037】
図1と図3において更に示したように、基板リボン100は、受け入れ空洞112の間を伸びていて、樹脂の流れをそれぞれの受け入れ空洞112間に向けるように構成されている通路120を含んでいる。レンズ材料125はそれぞれの空洞112を覆っていて、通路120を通って伸びている残留樹脂部分127を含んでいる。ここで後に更に記述するように、残留樹脂部分127は各LED114の上にレンズ材料125からなる光素子を形成するために用いられる液体注入モールド工程から生じるものである。残留樹脂部分127にゲート領域または切り込み領域129が示されているが、リードフレーム105から個々の基板110を切断して、図4に示すパッケージに入った半導体発光デバイスを提供するために分離点として用いられる。
【0038】
いくつかの実施例では、レンズ材料125は被覆して基板110の上に光素子を形成するために用いられる樹脂であり、LED114とボンディングワイヤ115を覆う軟樹脂131よりも高い硬度(より硬い)を持っている。レンズ材料125は高い光透過率を持ち、軟樹脂131の屈折率と整合する屈折率を持っていて、全内部反射(TIR)による反射光が最小となるようになっている。モールドされた光素子はまた、いくつかの実施例では、軟樹脂131と同様の熱膨張係数(CTE)をもち、プラスチック基板110の接触面に強く接着される。
【0039】
このように、いくつかの実施例におけるレンズ材料125は硬度のより高い材料であり、半導体発光デバイス114の全内部反射を起こりにくくするために軟樹脂131の屈折率と実質的に同様の屈折率を持ち、更に、軟樹脂131の熱膨張係数と実質的に同様の熱膨張係数を持っている。基板110に用いられる高温プラスチック材料はレンズ材料125よりも硬度のより高い材料であり、レンズ材料125よりも低い光透過度を持っている。図2の断面図に示されているように、ボンディングのための表面135が備えられていて、レンズ材料125による基板110の表面への付着を可能にしている。
【0040】
図3の断面図は更にリードフレーム105の搭載部分105′を示している。基板110の圧縮モールド工程の間に搭載部分105′は、接線方向はそれぞれのリード133によって、また長手方向は図4に示す保持タブ137によって場所が保持される。リードフレーム105から基板110を切断したあとの保持タブ137は図4に示されている。保持タブ137は電気的な機能を果たすものではなく、単に半導体発光デバイスパッケージの形成の間、搭載部分105′を安定化させるために用いられる。
【0041】
さて、本発明のいくつかの実施例によればパッケージされた半導体発光デバイスの作製に用いるのに適した液体注入モールドを、図5−7を参照して記述しよう。図5は本発明のいくつかの実施例による、複数の基板リボンを有するモールド500の斜視図である。図6Aは本発明のいくつかの実施例による、図5のモールドの下半分の平面図である。図6Bは本発明のいくつかの実施例による、図5のモールドの上半分の平面図である。図7は図5の線7−7に沿った、図5のモールドの断面図である。
【0042】
ここに記述するように、本発明のいくつかの実施例では、液体注入カプセル用モールドは1つ以上の空洞を含んでいて、1度のモールドサイクルで多数の基板をモールドできるように、1つ以上の基板リボンを収容するための一連の空洞を備えることが出来る。モールドの内部及びそこにおかれた基板の各ユニットの周りでは、中に形成される注入モールドレンズまたはその他の光素子のための望ましい光学的な形状を持つモールド空洞が存在する。モールド空洞はモールド工程中に液体樹脂で満たされ、ここで更に記述するように、モールド工程の間、モールドの熱によって起こされた化学反応によって液体樹脂が変化して固体になるまで樹脂を保持する。
【0043】
出来上がる注入モールドされたレンズ材料125の特性は、液体注入モールド工程のモールド温度、注入圧力及び速度、注入器の保持圧力及び樹脂の硬化のための時間を含む色々なプロセス条件によって影響を受けることは理解されよう。更に、真空引きがモールド空洞から空気を取り除くことを促進するために用いられる。これによりモールド工程中の気泡の形成は最小になる。このように、注入の期間は、モールド空洞は完全に大気からシールされ、また、モールド工程の間、真空がモールド空洞から空気を取り除くのを援助し、モールド工程中に気泡が形成するのを制限し、或いは防ぐために用いられる。
【0044】
図5−7に見られるように、モールド500は上部515及び下部520を含む。2つの基板リボン530A、530Bが底部520に示されている。図7に最もよく示されているように、液体計量及び分配システム505がモールド500の受け入れチェンバ545に結合している。注入プランジャー510が受け入れチェンバ545の近くに配置されていて、樹脂を受け入れチェンバ545からモールド空洞540中へ動かし、一方、モールド空洞540から実質的にすべての空気を排気して、出来上がる光素子内に気泡が出来ないように操作される。図7及び図6Aの実施例に示されるように、通路550が受け入れチェンバ545の底端部545′に備わっていて、これを通して樹脂が受け入れチェンバ545からモールド空洞540中へ、及びそれぞれの基板リボン530A、530Bによって区画された通路120を通ってモールド500の底部520へ流れる。樹脂は注入プランジャー510によって受け入れチェンバ545から選択された注入圧力と注入速度で注入される。注入された樹脂はモールド500内で選択された時間、選択された温度と保持圧力で硬化する。
【0045】
いくつかの実施例では、モールド工程の各サイクルのはじめに、所定の体積の樹脂が計量され、静的な混合器で混合される。ここで用いられる樹脂は熱硬化性のプラスチックで、樹脂と硬化剤からなっている。混合された樹脂は、いまや化学的に内部反応しているが、モールド500の受け入れチェンバ545の中へ分配される。注入プランジャー510がそこで作動して、液体樹脂をモールド空洞540の中へ押し出す。
【0046】
いくつかの実施例では、モールド500は被覆するのと同時に、半導体発光デバイスパッケージの中に光素子を形成する方法の中で用いられる。この方法は内部にある半導体デバイスとボンディングワイヤを保護して、光デバイスから発する光に対してシャープで明るいパターンを区画するために役立つものである。このように、本発明のいくつかの実施例では、光素子がモールドされて基板上に接着され、堅牢で信頼性の高いパッケージを提供する。より具体的には、注入モールドによって形成した光素子は従来技術の方法よりも堅牢であり信頼性が高い。従来技術の方法は、前もってモールドされたレンズを用い、それを接着剤で接着する方法であり、その工程は本来的に一貫性がなく、その結果、堅牢性と信頼性において劣るパッケージが出来上がる。このように、設計された光学素子は液体注入モールド工程を用いてモールドされ、その下の基板は液体樹脂が接着する構造的な表面を提供し、その結果、出来上がる光素子を備えたパッケージは堅牢で信頼性の高いものとなる。このようなパッケージは、モールド空洞540を適当に設計することによって、所望の輝度パターンに対して選択される色々異なった設計のレンズを持った、より出力の高い半導体発光デバイスのパッケージに用いられる。
【0047】
本発明のいくつかの実施例では、注入モールド工程に対して選択された樹脂に依存して、モールド温度は約100℃から200℃の間である。特定の実施例では、モールド温度は約150℃である。いくつかの実施例ではモールド注入圧力は約50psiと1,000psiの間である。いくつかの実施例では注入圧力は約400psiである。モールド工程の注入速度はモールド工程の所望のサイクル時間に基づいて選択してよいが、それは1周期あたり約数秒である。いくつかの実施例では、硬化時の注入保持圧力は約50psiと1,000psiの間であり、いくつかの実施例では約400psiである。硬化時の注入保持圧力は樹脂の注入時の注入圧力と同じである。前記の注入保持圧力の下での樹脂の選択された硬化時間は生産性目標に基づいて選択してよいが、硬化が早すぎると熱膨張係数不整による収縮効果が起こる可能性によって制限を受ける。硬化時間は硬化温度の選択によって影響を受ける。いくつかの実施例では約5分以内の硬化時間が用いられる。
【0048】
本発明のいくつかの実施例による半導体発光デバイスのパッケージを作る方法を図8と9の流れ図表示を参照して更に記述しよう。まず図8の実施例を参照すると、作業は上に半導体発光デバイスを搭載するように構成された基板を作製する工程から始まる(ブロック800)。基板は中に発光デバイスを搭載するような構成になっている空洞を含んでいる。半導体発光デバイスが空洞中に搭載される(ブロック805)。搭載された半導体発光デバイスは基板の接続部分に電気的に接続される(ブロック810)。半導体発光デバイスを搭載するブロック805での操作は、例えばフリップ・チップ・デバイスを用いて、ブロック810の操作で記述されているように、同時に電気的な接続を行うことも出来る。基板は、半導体発光デバイスの上に、基板に接着した光素子を形成するために液体注入モールドが行われる(ブロック815)。
【0049】
本発明の更なる実施例による半導体発光デバイスのパッケージを作る方法を図9に示した流れ図を参照してここで記述しよう。図9の実施例に見られるように、作業はリードフレームのような金属ベース構造を形成する工程(ブロック900)から始まる。図9の実施例を記述する目的のために、液体注入モールドされる基板は図1に示すような複数の基板を含む基板リボンであるとしよう。ブロック900で形成された金属ベース構造は引き続く注入モールドレンズ材料のための樹脂接着表面を区画してもよいし、一方、レンズ材料が下にある金属ベース構造上に直接接着したり、或いは付加的に金属ベース構造上に直接接着したりするのではなく、金属ベース構造上にオーバーモールドされたプラスチック材料に直接接着するように金属ベース構造は樹脂接着表面を区画してもよい。
【0050】
金属ベース構造は複数の基板を区画し、レンズ材料(樹脂)の注入の間、レンズ材料を注入モールドする工程で用いる樹脂の流れを複数の基板のそれぞれの間に、及び複数の空洞の中へ向ける通路を区画する高温プラスチック材料でオーバーモールドされる(ブロック905)。高温プラスチック材料は、レンズ材料で定義される光素子を形成するために用いられる材料よりも硬い材料であり、レンズ材料で定義される光素子を形成するために用いられる材料よりも低い光透過度を持っている。
【0051】
前記したように、ブロック905にて金属ベース構造上にオーバーモールドされる高温プラスチック材料は反射用添加剤を含む。高温プラスチック材料はポリフタルアミド(PHA)および/または液晶ポリマー(LCP)であり、反射用添加剤は例えば、二酸化チタン(TiO)および/または硫酸バリウム(BaSO)である。高温プラスチック材料は光素子を形成するために用いる注入された樹脂よりも硬度のより高い材料であり、注入されるレンズ材料よりも低い光透過度を持つ。
【0052】
半導体発光デバイスが空洞内に搭載される(ブロック910)。より具体的には、図9の実施例の記述のために用いられるような基板リボンに対して、半導体発光デバイスはブロック910でそれぞれの空洞内に搭載される。搭載された半導体発光デバイスは電気的に接続される(ブロック915)。ブロック915にて半導体発光デバイスを電気的に接続する工程はそれぞれの半導体発光デバイスを基板リボンの接続部分へボンディングワイヤでワイヤボンディングする工程を含む。
【0053】
図9に示した本発明のいくつかの実施例では、空洞内に搭載した、電気的に接続した半導体発光デバイスに軟樹脂が塗布される(ブロック920)。軟樹脂はそれぞれの空洞内の半導体発光デバイスとボンディングワイヤを軟樹脂で被覆するために塗布される。
【0054】
基板リボンは、基板上の発光デバイスの真上に形成されるべき所望の光素子を区画するような形を持つモールド空洞を有するモールドの中に設置される(ブロック925)。モールド空洞は複数の空洞を含んでいて、そのそれぞれの1つは基板リボン上の基板の対応する1つに対して光素子を区画する。更に、図5にみられるように、モールドは複数の基板リボンを受け入れるように構成されてもよく、ブロック925においてモールドの中に基板リボンを設置する工程は各注入モールドサイクルに対してモールドに中に複数の基板リボンを設置する工程を含む。
【0055】
モールドの中に樹脂を注入する工程に関連する操作はブロック930および935を参照して以下に記述される。ブロック930にて示されるように、モールドに注入されるべき樹脂はモールドの受け入れチェンバへ配分される。前に記したように、樹脂は多成分を含んでいる熱硬化性樹脂であり、ブロック930で樹脂を受け入れチェンバへ配分する前に熱硬化性樹脂を活性化するために混合される。それ故に、ブロック930で受け入れチェンバへ樹脂を注入する工程は、硬化剤を計量して樹脂の中へ混合する工程が先行して行われる。モールドの注入プランジャーは受け入れチェンバからモールド空洞中へ樹脂を動かすと共に、形成されるべき光素子内に気泡が形成されないようにモールド空洞から実質的に全ての空気を取り除くように操作される(ブロック935)。ブロック935における注入操作の間、モールド空洞は穴があけられ真空排気が行われることに注意して欲しい。ブロック935の操作は、基板によって区画された通路を通して、底のモールド部分に、及び樹脂接着表面上の基板の高温プラスチック材料と接触して樹脂を流す工程を含む。注入された樹脂は硬化して基板のそれぞれに接着した光素子を形成する(ブロック940)。
【0056】
モールド部分(片割れ部)が閉じられて、モールド片割れ部によって形成される空間からガスまたは空気を排気したあとに、真空効果を付与するために、即ち樹脂の中に空胞や空気がトラップされないようにするためにブロック935で真空排気が行われる。モールドの片割れによって形成された空間からガスや空気を排気する工程に続いて、ブロック940で樹脂の硬化が起こる。硬化は選択された圧力とおよび/または温度条件下で行われる。
【0057】
本発明のいくつかの実施例では軟樹脂はシリコーンである。注入された樹脂は硬度のより高い材料であって、半導体発光デバイスの全内部反射を起こりにくくするために軟樹脂の屈折率と実質的に同様の屈折率を持つ。注入された樹脂は軟樹脂の熱膨張係数と実質的に同等の熱膨張係数を持つ。
【0058】
本発明のいくつかの実施例においては、圧縮モールド工程によってLED基板の上に光素子を直接被覆してモールドする方法が提供される。そのような方法はシリチオン(silicione)のような明るい光透過性のカプセル剤を用いて、レンズなどの設計された光素子を持つ信頼性の高いシールされたLEDパッケージを提供する。この方法は、通常は高密度に多くのユニットが存在するPCT(プリント回路ボード)またはLF(リードフレーム)型式のLEDパッケージを形成するために用いられる。それ故に、モールドは小さく出力は高い。
【0059】
操作は基板をモールドダイの上面に最初に正確に位置決めして、真空引きによって保持する工程によって始まる。次にモールドダイの底面に樹脂が置かれる。樹脂が液状の場合は、モールド機の計量/混合/配分システムによって最初に計量され、(2成分樹脂が用いられる場合は)混合され、底部モールドの上面に配分される。樹脂が固体粒子状の場合は、重さで所定の量がモールドダイの底面にばら撒かれて配分される。モールドダイの底部が(150℃以上の)高温であるため、樹脂は一般にすばやく液体に変わる。
【0060】
上部モールド圧板が底部モールド圧板上に、選択した、および/またはプログラムされた速度でゆっくりと閉じられる。2つのモールド圧板が完全に閉じられる前に、上部モールド圧板が底部モールド圧板のシリコーンOリングを圧縮する。Oリングシールはモールド圧板の縁の部分に位置している。それ故、2つのぴったりと合うモールド圧板によって圧縮されると、Oリングは2つの圧板の間の空間に対して実質的に気密シールを形成する。上部モールド圧板はこの位置で数秒間停止し、その間、その空間が真空になり、モールド空洞とモールド用の樹脂から排気される。気泡は製品の信頼性に悪影響を及ぼすので、モールド空洞と樹脂からの排気は実質的に気泡のない被覆されたパッケージを製作するために用いられる。
【0061】
上部モールド圧板は最終的には閉じられて、樹脂が硬化するような位置におかれる。過剰な樹脂がいくらか、モールド空洞から、モールド圧板の閉空間内のモールドダイの外の空間へ搾り出される。モールド工程のサイクルの終点では、樹脂は硬化していて、上部モールド圧板は開けられ、モールドされた基板がモールドダイの上面から取り出される。
【0062】
基板からパッケージのモールドされた部分を取り出す工程はやや難しい。モールド空洞からモールドされた部分を取り出すために良く用いられる方法は、モールド空洞上に鏡面に仕上げた硬いクロムめっきの鋼材を用いることである。他の方法はピンやプラスチックフィルムのような、モールド空洞の底部から1部分を取り出すのを助けるために積極的に追い出すシステムを用いることである。
【0063】
それゆえに、光素子の圧縮モールド工程を用いる本発明のいくつかの実施例は、例えば5mmランプのようなスルーホールLEDパッケージで用いられるポッティングよりも優れたパッケージ本体完成品を形成できる。空気取り込みと気泡の形成を減らすことは転写モールド法と比べると達成されていることが分かる(例えば、滑走システムがないことによって、いくつかの実施例に対して記述されたように圧縮モールド工程は高品質の被覆を、転写モールド部品に比べてはるかに低コストで製作することが出来る。)。前もってモールドされたレンズを用いる場合、接着剤および/または加熱ステーキングによって取り付けられるが、これと比べると、より大きな一貫性と低コスト化がはかられる。粘性のある樹脂を配分して凹凸を形成し、それを硬化させて選択された形の光素子を形成する「グロップトップ」工程と比べると、よりよい一貫性とより良い歩留まりが提供される。(樹脂は一般にシリコーンのような熱硬化性プラスチックであるので、相互結合を完成させるために追加の時間、高温に晒すことが通常必要である。基板をモールドから取り出したあと、一般的には例えばベルトオーブン内でポスト硬化がなされる。)
【0064】
図面と記述の中では本発明の開示された実施例が挙げられた。固有の用語が用いられたが、それらは一般的で記述的な意味合いでのみ用いられており、制限をしようとするものではない。本発明の技術範囲は請求項に開示されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体発光デバイスのパッケージングの方法であって、
半導体発光デバイスを上に搭載するように構成された基板を作製するステップと、
前記基板上に前記半導体発光デバイスを搭載するステップと、
前記基板の接続部分に、前記半導体発光デバイスを電気的に接続するステップと、
前記基板を液体注入モールドして、前記半導体発光デバイス上に、前記基板に接着された光素子を形成するステップと
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記半導体発光デバイスを搭載するステップは、半導体発光デバイスを中に搭載するように構成された基板の空洞内に半導体発光デバイスを搭載するステップであり、かつ、液体注入モールドする前に、前記空洞中にある電気的接続を行った半導体発光デバイス上に軟樹脂を塗布するステップを有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基板を作製するステップは、
金属ベース構造を形成するステップと、
前記光素子を形成する目的で該基板を液体注入モールドするために用いられる材料に比べて硬い材料であり、前記光素子を形成するために該基板を液体注入モールドするために用いられる材料に比べて低い光透過度を持つ材料である高温プラスチック材料で前記金属ベース構造をオーバーモールドするステップと
を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記高温プラスチック材料は反射用添加剤を含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記高温プラスチック材料はポリフタルアミド(PPA)および/または液晶ポリマー(LCP)を含み、前記反射用添加剤はガラス、二酸化チタン(TiO)および/または硫酸バリウム(BaSO)を含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記半導体発光デバイスを電気的に接続するステップは、前記半導体発光デバイスと接続部分を、ボンディングワイヤを用いてワイヤボンディングするステップを含み、軟樹脂を塗布するステップは、前記半導体発光デバイスと前記ボンディングワイヤを軟樹脂で被覆するステップを含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記液体注入モールドするステップは、
前記光素子を区画する形状のモールド空洞を持ったモールド中に基板を設置するステップと、
前記モールド中に樹脂を注入するステップと、
注入された樹脂を硬化させて前記基板に接着した光素子を形成するステップと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記樹脂は熱硬化性樹脂を含み、前記樹脂を前記モールドの中へ注入する前に硬化剤を計量して樹脂に混合するステップを有することを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記樹脂を注入するステップは、
前記モールド中の受け入れチェンバに前記樹脂を配分するステップと、
注入プランジャーを動作させて樹脂を前記受け入れチェンバから前記モールド空洞へ移動させると共に、前記モールド空洞からほとんど全ての空気を取り除いて、前記光素子に気泡が形成されるのを制限するステップと、
を含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記基板は複数の基板を含む基板リボンを備え、前記モールドは前記基板のそれぞれ1つに対して前記光素子を区画する、複数の空洞を含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記モールドは複数の基板リボンを受け入れるように構成され、及び基板を配置するステップはモールドの中に複数の基板リボンを配置するステップを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
基板を作製するステップは、
樹脂接着表面を区画している金属ベース構造を形成するステップと、
前記金属ベース構造を高温プラスチック材料でオーバーモールドして複数の基板を区画し、樹脂の注入がされている間、樹脂の流れの方向を複数の各基板の間と複数の空洞の中へ入るように定める通路を区画するステップと、
を含み、
前記モールド中へ樹脂を注入するステップは、前記通路を通して、及び樹脂接着表面上の前記高温プラスチック材料と接触しながら樹脂を流すステップを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記高温プラスチック材料は、前記の注入される樹脂より硬度の高い材料であって、前記の注入される樹脂より低い光透過度を持つ材料を含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記高温プラスチック材料は、ポリフタルアミド(PPA)および/または液晶ポリマー(LCP)を含み、及び前記注入される樹脂は熱硬化性樹脂を含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記液体注入モールドするステップの前に、空洞中の電気的に接続された半導体発光デバイスに軟樹脂を塗布するステップを含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記軟樹脂はシリコーンを含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記注入される樹脂は硬度のより高い材料を含み、前記半導体発光デバイスの全内部反射を起こりにくくするために前記軟樹脂の屈折率と実質的に同等の屈折率を有し、かつ前記軟樹脂の熱膨張係数と実質的に同等の熱膨張係数を有することを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記半導体発光デバイスを電気的に接続するステップは、前記半導体発光デバイスを前記接続部分へボンディング用のワイヤでワイヤボンディングするステップを含み、前記軟樹脂を塗布するステップは、前記半導体発光デバイスとボンディングワイヤを前記軟樹脂で被覆することを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記モールド中へ樹脂を注入するステップは、所定の注入圧力と注入速度で前記樹脂を注入するステップを含み、前記注入された樹脂を硬化させるステップは、所定の時間の間、所定の温度と保持圧力で前記注入された樹脂を硬化させるステップを含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項20】
前記の注入される樹脂は、硬度のより高い材料を含み、前記半導体発光デバイスの全内部反射を抑制するために前記軟樹脂の屈折率と実質的に同等の屈折率を有し、かつ前記軟樹脂の熱膨張係数と実質的に同等の熱膨張係数を有することを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項21】
半導体発光デバイスの基板リボンであって、
金属ベース構造と、
半導体発光デバイスの受け入れ空洞を含んでいる、前記金属ベース構造上の複数の高温プラスチック材料の基板と、
受け入れ空洞間に伸びていて、樹脂の流れを前記のそれぞれの受け入れチェンバ間に向けるように構成された通路と
を備えたことを特徴とする基板リボン。
【請求項22】
前記高温プラスチック材料が反射用添加剤を含むことを特徴とする請求項21に記載の基板リボン。
【請求項23】
前記高温プラスチック材料はポリフタルアミド(PPA)および/または液晶ポリマー(LCP)を含み、前記反射用添加剤は二酸化チタン(TiO)および/または硫酸バリウム(BaSO)を含むことを特徴とする請求項22に記載の基板リボン。
【請求項24】
前記受け入れ空洞のそれぞれの中に配置された半導体発光デバイスと、
前記受け入れ空洞のそれぞれを覆っていて、通路を通って拡がっている残留樹脂部分を含んでいるレンズ材料と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項21に記載の基板リボン。
【請求項25】
前記基板を通って受け入れ空洞へ伸びている、前記金属ベース構造によって区画されたリードに前記半導体発光デバイスが電気的に接続されていることを特徴とする請求項24に記載の基板リボン。
【請求項26】
前記発光デバイスがボンディングワイヤによって電気的に接続されていること、及び前記基板リボンが前記半導体発光デバイスとボンディングワイヤと前記レンズ材料の間に軟樹脂をさらに備えたことを特徴とする請求項25に記載の基板リボン。
【請求項27】
前記軟樹脂がシリコーンを含むことを特徴とする請求項26に記載の基板リボン。
【請求項28】
前記レンズ材料は硬度のより高い材料を含み、前記半導体発光デバイスの全内部反射を起こりにくくするために前記軟樹脂の屈折率と実質的に同等の屈折率を有し、かつ前記軟樹脂の熱膨張係数と実質的に同等の熱膨張係数を有することを特徴とする請求項26に記載の基板リボン。
【請求項29】
前記高温プラスチック材料は前記レンズ材料より硬度のより高い材料を含み、前記レンズ材料より低い光透過度を有することを特徴とする請求項24に記載の基板リボン。
【請求項30】
前記高温プラスチック材料はポリフタルアミド(PHA)および/または液晶ポリマー(LCP)を含み、前記レンズ材料は熱硬化性樹脂を含むことを特徴とする請求項29に記載の基板リボン。
【請求項31】
前記複数の高温プラスチック材料基板は金属ベース構造上にオーバーモールドされることを特徴とする請求項24に記載の基板リボン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−109609(P2012−109609A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−34825(P2012−34825)
【出願日】平成24年2月21日(2012.2.21)
【分割の表示】特願2007−214709(P2007−214709)の分割
【原出願日】平成19年8月21日(2007.8.21)
【出願人】(592054856)クリー インコーポレイテッド (468)
【氏名又は名称原語表記】CREE INC.
【Fターム(参考)】