説明

画像形成装置

【課題】前回転時や後回転時等の非画像形成領域における現像剤担持体へのトナー付着に起因する濃度段差等の画像不良を抑制することのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】像担持体1と、帯電手段2と、静電像形成手段3と、像担持体1に形成された静電像を非磁性トナーと磁性キャリアとを備えた二成分現像剤を用いて現像する現像装置4と、を有する画像形成装置10は、帯電手段2によって帯電された像担持体1の電位と現像装置4に印加する現像バイアス電圧の直流成分との電位差(Vback)は、画像形成領域における電位差(Vback2)よりも非画像形成領域における電位差(Vback1)を小さくする構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体に形成された静電像を現像剤によって現像する現像装置を備えた、例えば、複写機やプリンタなどの画像形成装置に関するものであり、特に非磁性トナーと磁性キャリアとを備えた二成分現像剤を使用する二成分現像方式を用いた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置、その中でも特に有彩色の画像形成を行なう画像形成装置において、非磁性トナー(トナー)と磁性キャリア(キャリア)を混合して現像剤として使用する二成分現像方式が広く利用されている。二成分現像方式は現在知られている他の現像方式に比較して、画質の安定性、装置の耐久性などの長所を備えている。
【0003】
二成分現像方式を用いた画像形成装置において、像担持体としての感光ドラムに形成された静電像(潜像)を現像してトナー像とする場合、一般的に、以下のように行なう。最初に感光ドラム上を帯電手段により白地部電位VDになるよう一様に帯電させる。又、現像剤担持体としての現像スリーブには現像バイアス電圧が印加され、現像スリーブは、その現像バイアス電圧の直流成分Vdcと同電位にされる。このとき、白地部電位VDと現像バイアス電圧の直流成分Vdcとの電位差を所望のかぶり取り電位差Vbackになるよう設定する。又、感光ドラム上の画像部分(現像部分)は、露光手段(静電像形成手段)により露光されて減衰した明部電位VLにされる。そして、現像バイアス電圧の直流成分Vdcとの差であるコントラスト電位差Vcontにより、現像スリーブ上のトナーが感光ドラムへ移動する。こうして、感光ドラム上に形成された静電像はトナー像として現像される。
【0004】
例えば、マイナス極性に帯電するネガトナーを使用する場合は、このネガトナーが、感光ドラム上の本来トナーが付着すべきでない白地部に付着して「かぶり」が発生しないように、現像バイアス電圧の直流成分Vdcを白地部電位VDよりプラス側の電位となるようにする。以下、白地部に付着するトナーを「かぶりトナー」という。
【0005】
上記かぶり取り電位差Vbackが小さい場合には、現像スリーブへのトナー引き付け力が弱くなり、感光ドラムの白地部にかぶりトナーが付着しやすくなる。逆にかぶり取り電位差Vbackが大きい場合には、トナーをマイナス極性に帯電させることでプラス極性に帯電した磁性キャリアにかかる、かぶり取り電位差によるクーロン力が、現像スリーブとの磁気担持力より大きくなり、キャリアが感光ドラムの白地部に付着しやすくなる。
【0006】
従って、このかぶり取り電位差Vbackは、現像スリーブの現像極の磁束密度やトナー及びキャリアの特性により適正な電位差に設定される。
【0007】
しかしながら、特に、二成分現像方式を用いる画像形成装置においては、以下のような問題があることが分かった。
【0008】
画像形成動作が開始され画像形成領域への画像形成が始まるまでの前回転時や、画像形成領域に画像形成が終了した後の後回転時には、感光ドラムの電位と現像スリーブの電位との関係は、しばらくの間かぶり取り電位差Vbackの状態が続く。そのため、現像剤中のネガトナーは、よりプラス側の電位にある現像スリーブに向かう方向に押し付けられる。そして、二成分現像方式を用いる場合、この非画像形成領域におけるかぶり取り電位差Vbackによって、現像スリーブ上に形成される現像剤の穂立ち(磁気ブラシ)ではなく、現像スリーブの表面にトナーが蓄積していく。つまり、非画像形成領域において、現像スリーブに対してトナーによる現像動作をしたことと同じ状態になる。これにより、現像スリーブは、トナー付着が多い状態となる。
【0009】
現像スリーブの表面に付着するトナーが増加すると、例えばマイナス極性に帯電したネガトナーは絶縁体であるため、現像スリーブの表面の見かけの電位は、現像バイアス電圧の直流成分Vdcより更にマイナス側の電位となる。そのため、画像形成領域において静電像が感光ドラム上に形成されると、見かけの現像コントラスト電位差Vcontは大きくなる。その結果、画像濃度が濃くなってしまう。
【0010】
その後、画像形成領域にて、現像スリーブの表面に付着しているトナーを現像工程で消費すると、現像スリーブの表面の電位は現像バイアス電圧の直流成分Vdcと同電位となる。これにより現像コントラスト電位差Vbackは正常となり、所望の画像濃度が出るようになる。
【0011】
従って、トナーを多量に消費するハーフトーンやベタ画像の現像を行なうと、上述のようにしてトナーが付着した現像スリーブの部分に対応する画像の濃度のみが濃くなり、濃度段差等の画像不良が発生することがある。
【0012】
尚、特許文献1は、静電潜像の現像を行なう画像形成区間と、静電潜像の現像を行なわない非画像形成区間とで、感光ドラムの帯電電圧と現像部の現像バイアス電圧との電位差を小さくする画像印刷装置を開示している。しかし、特許文献1は、正規の帯電極性とは逆極性のトナーが非画像区間において感光ドラムに付着することを防止することを開示しているに過ぎない。つまり、特許文献1は、二成分現像剤を用いること、及び二成分現像方式において特有な上記課題、即ち、非画像形成領域においてかぶり取り電位差Vbackによって、現像スリーブ上に形成された現像剤の穂立ち(磁気ブラシ)ではなく、現像スリーブの表面にトナーが蓄積するという課題に関しての記載はない。
【特許文献1】特開平7−209971号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、前回転時や後回転時等の非画像形成領域における現像剤担持体へのトナー付着に起因する濃度段差等の画像不良を抑制することのできる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、像担持体と、像担持体上を帯電する帯電手段と、前記帯電手段によって帯電された前記像担持体上に静電像を形成する静電像形成手段と、前記像担持体に形成された静電像を非磁性トナーと磁性キャリアとを備えた二成分現像剤を用いて現像する現像装置と、を有する画像形成装置において、前記帯電手段によって帯電された前記像担持体の電位と前記現像装置に印加する現像バイアス電圧の直流成分との電位差は、画像形成領域における電位差よりも非画像形成領域における電位差を小さくすることを特徴とする画像形成装置である。
【0015】
本発明の他の態様によると、像担持体と、像担持体上を帯電する帯電手段と、前記帯電手段によって帯電された前記像担持体上に静電像を形成する静電像形成手段と、非磁性トナーと磁性キャリアとを備えた二成分現像剤を担持して前記像担持体との対向位置へと搬送する現像剤担持体を備え前記像担持体に形成された静電像を二成分現像剤を用いて現像する現像装置と、前記現像剤担持体を回転駆動させる駆動手段と、を有する画像形成装置において、前記帯電手段によって帯電された前記像担持体の電位と前記現像剤担持体に印加する現像バイアス電圧の直流成分との電位差は、前記現像剤担持体の駆動時における電位差よりも、前記現像剤担持体の非駆動時における電位差を小さくすることを特徴とする画像形成装置が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、前回転時や後回転時等の非画像形成領域における現像剤担持体へのトナー付着に起因する濃度段差等の画像不良を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0018】
実施例1
[画像形成装置の全体構成及び動作]
先ず、本発明を適用し得る画像形成装置の一実施例の全体構成及び動作について説明する。図1は、本実施例の画像形成装置10の断面を示す。本実施例の画像形成装置10は、タンデム型中間転写方式のカラー画像形成装置である。画像形成装置10は、画像形成装置本体Aが備える原稿読み取り装置20(或いは画像形成装置本体Aに対して通信可能に接続されたパーソナルコンピュータ等の外部ホスト機器)からの画像情報信号にしたがって記録材(記録用紙、プラスチックフィルム、布など)Pにフルカラーの画像を形成することができる。
【0019】
本実施例の画像形成装置には、図1に示すように、像形成手段として、4つの画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pdが、画像送り方向に直列に並置されている。各画像形成ステーションPa〜Pdは、それぞれ像担持体としての円筒型の電子写真感光体(感光ドラム)1a、1b、1c、1d、帯電手段としての帯電装置2a、2b、2c、2d、露光手段(静電像形成手段)としての露光装置3a、3b、3c、3d、現像手段としての現像装置4a、4b、4c、4d、クリーニング手段としてのクリーニング装置5a、5b、5c、5d、及び1次転写手段としての1次転写装置7a、7b、7c、7dを備えている。又、各画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pdの感光ドラム1a、1b、1c、1dと1次転写装置7a、7b、7c、7dとの間を通るように、中間転写体としての中間転写ベルト12が、図中矢印方向に周回移動可能に配置されている。
【0020】
各現像装置4a、4b、4c、4dには、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各現像色用の現像剤が収容されている。現像剤としては、非磁性トナー(トナー)と磁性キャリア(キャリア)とを備える二成分現像剤を用いる。トナーとキャリアは所定の混合比で混合され、各現像装置4a、4b、4c、4d内に所定量充填されている。
【0021】
例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色フルカラー画像を形成する際には、図中矢印方向に回転する各感光ドラム1a、1b、1c、1dの表面は、所定のタイミングで帯電装置2a、2b、2c、2dに印加される帯電バイアス電圧の作用で帯電される。そして、帯電された各感光ドラム1a、1b、1c、1dは、例えば、原稿読み取り装置20からの色分解された画像情報信号に従って露光装置(本実施例ではレーザースキャナ装置)3a、3b、3c、3dによってそれぞれ走査露光される。これにより、各感光ドラム1a、1b、1c、1dに、色分解された画像情報信号にしたがった静電像がそれぞれ形成される。各感光ドラム1a、1b、1c、1d上に形成された静電像は、それぞれ現像装置4a、4b、4c、4dによってトナー像として現像される。こうして、順次各色のトナー像が感光ドラム1a、1b、1c、1d上に形成される。
【0022】
感光ドラム1a、1b、1c、1d上に形成されたトナー像は、各感光ドラム1a、1b、1c、1dが中間転写ベルト12と対向する1次転写位置n1a、n1b、n1c、n1dにおいて、1次転写装置7a、7b、7c、7dに印加される1次転写バイアス電圧の作用で中間転写ベルト12上に1次転写される。これにより、中間転写ベルト12上に各色のトナーが重ね合わされた多重トナー像が形成される。
【0023】
更に、転写材カセット13に収容された転写材Pが、2次転写手段としての2次転写装置11と中間転写ベルト12とが対向する2次転写位置n2へ搬送される。中間転写ベルト12上に担持されたトナー像は、2次転写位置n2において2次転写装置11に印加される2次転写バイアス電圧の作用で転写材Pへ2次転写される。
【0024】
その後、記録材Pは中間転写ベルト12から分離されて定着部9へと搬送される。定着部9にて、加熱及び加圧により記録材Pにトナー像が定着される。その後、トナー像が定着された記録材Pは、記録画像として装置外に排出される。
【0025】
又、転写材Pへの2次転写位置n2より中間転写ベルト12の進行方向下流には、中間転写体クリーニング手段としての中間転写体クリーニング装置14が設けられている。中間転写体クリーニング装置14は、中間転写ベルト12の表面に付着したかぶりトナーや転写残トナー等をクリーニングする中間転写体クリーニングブレードを有する。中間転写ベルト12は、この中間転写体クリーニングブレードが常時当接されて清掃される。一方、各感光ドラム1a、1b、1c、1d上に残留したトナーは、ファーブラシ、ブレード手段等を備えるクリーニング装置5a〜5dにより清掃される。
【0026】
尚、単一若しくは複数の所望の画像形成ステーションを選択的に使用することで、単色若しくはマルチカラー画像を形成することも可能である。
【0027】
[現像装置]
次に、図2を参照して、現像装置4について説明する。尚、本実施例の画像形成装置10では、各画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pdの構成は、現像色が異なる以外は実質的に同じであるので、以下、特に区別を要しない場合は、いずれかの画像形成ステーションに属する要素であることを示すように図中符号に与えた添え字a、b、c、dは省略して、総括的に説明する。
【0028】
図2に示すように、現像装置4は、非磁性トナー(トナー)と磁性キャリア(キャリア)とを備える二成分現像剤(現像剤)を収容する現像容器101を有する。現像容器101の感光ドラム1と対向する側には、開口部100が設けられている。この開口部100から部分的に露出するように、現像剤担持体としての非磁性材料で構成された現像スリーブ102が配置されている。現像スリーブ102の内部には、現像スリーブ101による現像剤の搬送方向に沿って複数の磁極を備えたマグネットローラ103が固定配置されている。又、現像容器101には、現像剤を攪拌しながら搬送する現像剤搬送部材としての攪拌スクリュー106、107が設けられている。更に、現像スリーブ102の表面に現像剤の薄層を形成するために、現像剤規制部材としての規制ブレード105が、現像スリーブ102に対向して配置されている。
【0029】
現像スリーブ102には、現像スリーブ102に現像バイアス電圧を印加する電圧印加手段として現像バイアス電源(高圧電源)110が接続されている。現像バイアス電源110は、直流電圧(DC電圧)、又は直流電圧と交流電圧(AC電圧)とを重畳した電圧の供給を行なうことができる。以下、現像バイアス電源110から現像スリーブ102に印加する現像バイアス電圧のDC電圧成分を「現像DCバイアス」、AC電圧成分を「現像ACバイアス」ともいう。
【0030】
尚、本実施例では、現像バイアス電圧として、DC電圧とAC電圧を重畳した電圧を用いているが、これに限定されるものではなく、現像バイアス電圧としてDC電圧のみを使用することができる。又、現像バイアス電圧のAC電圧としては、本実施例では矩形波を使用するが、任意の波形を使用することができる。
【0031】
本実施例における二成分磁気ブラシ法による現像工程と現像剤の循環系とについて説明する。
【0032】
先ず、現像スリーブ102の回転に伴い、現像剤は、汲み上げ磁極N2で現像スリーブ102へと汲み上げられる。現像スリーブ102に汲み上げられた現像剤は、磁極S2、N1と搬送される過程において、現像スリーブ102に対して所定の間隔(S−Bギャップ)をもって対向配置された規制ブレード105によって規制される。こうして、現像スリーブ102上に二成分現像剤の薄層が形成される。ここで、現像スリーブ102上に薄層として担持された現像剤が、現像主極S1に搬送されてくると、磁気力によって磁気ブラシ(現像剤の穂立ち)が形成される。この穂状に形成された磁気ブラシは、感光ドラム1に対して近接又は接触する。そして、現像スリーブ102に印加される現像バイアス電圧の作用によって、感光ドラム1に形成された静電像に応じて、磁気ブラシ中のトナーが感光ドラム1へと移動する。これによって、感光ドラム1上の静電像は、トナー像として現像される。静電像を現像した現像スリーブ102上の現像剤は、その後磁極N3、N2の反発磁界によって、現像容器101内に回収される。
【0033】
本実施例においては、磁性キャリアとして、240kA/mの印加磁場に対する飽和磁化が24Am2/kg、3000V/cmの電界強度における比抵抗が1×1078Ω・cm、重量平均粒径50μmのフェライト磁性キャリアを用いた。又、非磁性トナーとしては、着色樹脂粒子に疎水性コロイダルシリカを外添した重量平均粒径7.2μmの負帯電性のポリエステル系樹脂トナーを用いた。
【0034】
尚、磁性キャリアとして、バインダー樹脂と磁性金属酸化物及び非磁性金属酸化物とを出発原料として、重合法により製造した樹脂磁性キャリアを用いても構わない。これら磁性キャリアの製造法は特に制限されない。又、非磁性トナーとしてスチレンアクリル系樹脂トナーを使用しても構わない。
【0035】
又、本実施例では、上述のような磁性キャリアと非磁性トナーを重量比93:7になるように混合したものを現像剤として用いた。この値はトナーの帯電量、キャリア粒径及び比重、画質形成装置の構成などで適正に調整されるべきものであって、必ずしもこの数値に従わなければならないものではない。
【0036】
[動作タイミング]
次に、図3〜図5を参照して、本実施例の画像形成装置10における動作タイミング及び作用について詳しく説明する。
【0037】
図3は、感光ドラム1の駆動(回転駆動)、帯電装置2による帯電バイアス電圧の印加、現像スリーブ102の駆動(回転駆動)、及び現像スリーブ102に対する現像DCバイアスと現像ACバイアスの印加のタイミングをそれぞれ示したチャート図である。又、図4は画像形成ステーションPa〜Pdの1つに注目し、感光ドラム1の周囲に配置された各装置の位置関係を示した図である。
【0038】
本実施例では、帯電装置2によって帯電された感光ドラム1の電位と現像装置4の現像バイアス102に印加する現像バイアス電圧の直流成分との電位差を、画像形成領域における電位差よりも非画像形成領域における電位差を小さくする。
【0039】
尚、本明細書において、画像形成領域とは、最終的に記録材P上に転写されるトナー像が形成され得る領域に対応する感光ドラム1上の部分(タイミング)を意味し、例えば、記録材P上に印字するような場合に文字間の印字されない部分等も画像形成領域に含まれる。又、画像形成領域における画像部とは、最終的に記録材P上に転写されるトナー像の領域に対応する感光ドラム1上の部分を意味し、例えば、記録材P上に印字するような場合にはその文字である。非画像形成領域とは、上記画像形成領域以外の部分を意味し、典型的には、画像形成動作が開始され画像形成領域への画像形成が始まるまでの準備動作時である前回転動作(前多回転動作)時、画像領域に画像形成が終了した後の準備動作時である後回転動作時に対応する部分(タイミング)が含まれる。更に、複数の記録材Pに対する一連の画像形成動作における記録材Pと記録材Pとの間に対応する紙間に対応する部分(タイミング)への適用も企図し得る。
【0040】
図3及び図4を参照して、画像形成動作が開始し、感光ドラム1の駆動が開始されるのと同時に、帯電装置2への帯電バイアス電圧の印加が開始され、感光ドラム1は一様に帯電される。感光ドラム1の回転により、時間T1後に、感光ドラム1の帯電された位置が現像スリーブ102との対向位置に到達すると、高圧電源110による現像スリーブ102への第1現像DCバイアス(非画像領域現像DCバイアス)Vdc1の印加が開始され、又現像スリーブ102の駆動が開始される。
【0041】
その後、時間T2の間、前多回転を行ない、感光ドラム1の電位を安定させる。感光ドラム1の電位が安定すると、露光装置3により感光ドラム1上の画像形成領域に静電像が形成される。画像形成領域(静電潜像)が現像スリーブ102との対向位置まで移動するのとほぼ同時に、現像ACバイアスVacの印加が開始され、これにより現像スリーブ102には第2現像DCバイアス(画像領域現像DCバイアス)Vdc2及び現像ACバイアスVacが重畳された現像バイアス電圧が印加される。こうして、画像形成領域の静電像の現像が行なわれる。
【0042】
又、画像形成領域が現像スリーブ102との対向部を通過し終えるのとほぼ同時に、現像ACバイアスVacの印加が停止される。又、感光ドラム1上の帯電終了位置が現像スリーブ102との対向位置に来るまで第1現像DCバイアスVdc1が再び印加される。
【0043】
本実施例では、現像DCバイアスが安定するまで100msec、現像ACバイアスが安定するまで100msecかかる。そのため、本実施例では、非画像形成領域から画像形成領域に切り替わる200msec前に、現像DCバイアスを第1現像DCバイアスから第2現像DCバイアスに変更し、画像形成領域から100msec後に第2現像DCバイアスVdc2から第1現像DCバイアスVdc1に変更する。しかし、本発明は、斯かる正確なタイミングに限定されるものではなく、本発明を実施する画像形成装置本体により差が生じるので、適宜調整することができる。以下更に詳しく説明するように、実質的に有意に、画像形成領域よりも非画像形成領域においてかぶり取り電位差Vbackを小さくすればよい。
【0044】
図5は、画像形成動作時における感光ドラム1及び現像スリーブ102における電位関係を示す。ここで、図5中の記号はそれぞれ以下を意味する。
D:帯電装置2により一様に帯電された感光ドラム1の電位(白地部電位)
L:露光装置3により露光された後の潜像電位(明部電位)
Vdc1:第1現像DCバイアス(第1現像DCバイアスを印加したときの現像スリーブ102の電位)
Vdc2:第2現像DCバイアス(第2現像DCバイアスを印加したときの現像スリーブ102の電位)
【0045】
図5に示すように、感光ドラム1の表面は、帯電装置2によってVD=−700Vに一様に帯電される。画像形成領域の画像部は、露光装置によって露光されVL=−200Vになる。
【0046】
画像形成領域における現像を行なう時の現像DCバイアス、即ち、第2現像DCバイアスは−550Vである。露光装置3のレーザーによる露光部の電位(明部電位)VL(=−200V)と、第2現像DCバイアスVdc2(=−550V)との差である現像コントラスト電位差Vcontは350Vとなる。この現像コントラスト電位差Vcontで、現像スリーブ102から感光ドラム1上にトナーが転移する。又、画像形成領域における白地部電位VD(=−700V)と、第2現像DCバイアスVdc2(=−550V)との差であるかぶり取り電位差(第2のかぶり取り電位差)Vback2は150Vとなる。このかぶり取り電位差Vback2により、かぶりトナーは、現像スリーブ4側に引き戻されるようにして、感光ドラム1上にかぶりトナーが付着しない。
【0047】
一方、非画像形成領域における現像DCバイアス、即ち、第1現像DCバイアスVdc1は−650Vである。従って、非画像領域では、白地部電位Vd(=−700V)と、第1現像DCバイアスVdc1(=−650V)との差であるかぶり取り電位差(第1のかぶり取り電位差)Vback1は50Vとなる。
【0048】
本発明の原理について更に説明する。前述のように、非磁性トナーと磁性キャリアとを備える現像剤を使用する二成分現像法では、非画像形成領域における感光ドラム1の電位(白地部電位)と現像DCバイアスとの電位差で形成されるかぶり取り電位差Vbackが大きいと、マイナス極性に帯電した現像剤中のネガトナーは、感光ドラム1と対向する現像ニップにおいて、マイナス電位の低い、即ち、よりプラス側の電位である現像スリーブ102に向かう方向に押し付けられる。そして、二成分現像方式を用いる場合、この非画像形成領域におけるかぶり取り電位差Vbackによって、現像スリーブ102上に形成される現像剤の穂立ち(磁気ブラシ)ではなく、現像スリーブ102の表面にトナーが蓄積していく。つまり、非画像形成領域において、現像スリーブ102に対してトナーによる現像動作をしたことと同じ状態となる。これにより、現像スリーブ102にトナーが付着した状態となってしまう。
【0049】
この現像スリーブ102の表面に付着するトナーが増加すると、マイナス極性に帯電したネガトナーは絶縁体であるため、現像スリーブ102の表面の見かけの電位は、現像DCバイアスVdcより更にマイナス側の電位となる。そのため、画像形成領域において静電像が感光ドラム1上に形成されると、見かけの現像コントラスト電位差Vcontは大きくなる。その結果、画像濃度が濃くなってしまう。
【0050】
本実施例では、この問題に対し、非画像形成領域においてかぶり取り電位差Vbackを小さくする。これにより、上述のように非画像形成領域においてかぶり取り電位差Vbackによって現像スリーブ102へトナーが押しつけられ、現像スリーブ102が非画像領域により現像されることを抑制することができる。そして、現像スリーブ102に付着するトナーを減少させ、現像スリーブ102の表面の見かけの電位の変化を防止することができる。
【0051】
表1に、非画像形成領域におけるかぶり取り電位差Vbackと、現像スリーブ102上に付着したトナー量及びトナーが付着した状態での現像スリーブ102の表面電位との関係を示す。
【0052】
現像スリーブ上に付着したトナー量は、次のようにして測定した。表1に記載する各Vbackで非画像形成領域である前多回転及び後回転動作を行なった後に、現像スリーブ102上の現像剤(二成分現像剤)を除去する。その後、現像スリーブ102上に付着しているトナーをテープで回収し、X−Rite社製のX−Rite500カラー反射濃度計を用いて濃度を測定した。
【0053】
又、現像スリーブ102の表面電位は、次のようにして測定した。現像スリーブ102上の現像剤(二成分現像剤)を除去する。その後、現像スリーブ102上にトナーが付着している状態で現像スリーブ102をアースに接地し、Trek社製のTrek344表面電位計のプローブを現像スリーブ102とのクリアランス1mmとなるように設置して、表面電位を測定した。
【0054】
尚、表1は、ブラック用の現像装置4dについての結果を示し、反射濃度は数値が高いほど現像スリーブ102の表面へのトナーの付着量が多い。同様の実験を他の色用の現像装置4についても行ったが、現像スリーブ102の表面へのトナーの付着傾向、現像スリーブ102の表面電位の変化傾向については、実質的に同じ結果を示した。
【0055】
【表1】

【0056】
表1に示すように、非画像形成時のかぶり取り電位差Vbackが小さいときは、現像スリーブ102に付着するトナー量が少なく、現像スリーブ102上の表面電位もほぼ0Vとなる。しかし、かぶり取り電位差Vbackを大きくしてゆくと、現像スリーブ102に付着するトナー量が増加し、現像スリーブ102上の表面電位がマイナス電位になる。
【0057】
これは、アースに接地された導電体である現像スリーブ102の電位は0Vであるが、マイナス帯電したネガトナーは絶縁体であるため、ネガトナーが現像スリーブ102上に付着していると見かけの現像スリーブ102の電位がマイナスとなるためである。
【0058】
このように、表面に付着したトナーによって現像スリーブ102の電位がマイナスとなっていると、画像形成領域において静電潜像が感光ドラム上に形成された際には、現像スリーブ102の電位が現像スリーブ102に印加される現像DCバイアスよりマイナス側の電位となっているため、見かけの現像電位Vcontは大きくなる。このため、画像濃度が濃くなってしまう。そして、現像スリーブ102上に付着しているトナーが、画像形成領域にて現像工程で消費されると、現像スリーブ102の電位は現像DCバイアスと同電位となる。これにより、現像電位は正常となり所望の画像濃度が出るようになる。
【0059】
本発明者らの検討によれば、現像スリーブ102上にトナーが付着している状態と付着していない状態とで、現像スリーブ102の電位に10V以上の差があると、ハーフトーン画像やベタ画像を形成したときに濃度段差等の画像不良が発生することがある。
【0060】
表1に示すように、本実施例の構成では、非画像形成時におけるトナー付着量を減少させ、上記濃度段差等の画像不良を発生させないためには、非画像形成時のかぶり取り電位差Vbackを80V以下にすることが望ましい。又、逆にかぶり取り電位差Vbackを20V以下にすると、かぶり取り電位差Vbackよって発生する電界による電界規制力がほとんどなくなるため、感光ドラム1にかぶりトナーが付着し易くなる。このようにかぶりトナーが感光ドラム1に付着し易くなると、消費トナー量や廃トナー量が増加して好ましくない。
【0061】
従って、本実施例の構成では、好ましくは、画像形成領域におけるかぶり取り電位差(第2のかぶり取り電位差)Vback2よりも、非画像形成領域におけるかぶり取り電位差(第1のかぶり取り電位差)Vback1を小さくし、且つ、非画像領域におけるかぶり取り電位差(第1のかぶり取り電位差)Vback1は、20(V)<Vback≦80(V)とする。
【0062】
ここで、図6は、本実施例の画像形成装置10の概略制御ブロック図である。画像形成装置10は、装置動作を統括制御する制御部150を有する。制御部150は、制御の中心的素子(制御手段)たるCPU151を有し、このCPU151には、CPU151が実行するプログラムや各種データが格納されたROM152、作業用のメモリ等として使用されるRAM153が接続されている。CPU151は、ROM152に記憶されたデータ、プログラム等に従って画像形成装置10をシーケンス動作させる。本実施例では、CPU151は、現像バイアス電源110、現像スリーブ102を回転駆動させる現像剤担持体駆動手段(駆動モータ)120、帯電バイアス電源130などに制御信号を送信し、図3のチャート図に従って画像形成動作を行なわせる。尚、現像剤担持体駆動手段120は、独立して現像スリーブ102を駆動するようにしてもよいし、例えば感光体駆動手段140と駆動源が共通とされていてもよい。
【0063】
制御部150には、画像処理部(ビデオコントローラ)160が接続されている。画像処理部160は、原稿読み取り装置20(或いは装置本体Aに対して通信可能に接続されたパーソナルコンピュータ等の外部ホスト機器)からの画像信号を受信すると共に、この信号を画像形成に係る信号に変換して、制御部150のCPU151に送信する。CPU151は、斯かる画像形成信号に従って、画像形成装置10の各部の動作を制御する。
【0064】
本実施例では、特に、CPU151は、所定のタイミングで、現像バイアス電源110に、現像DCバイアス、現像ACバイアスの印加を開始・停止させる電圧印加信号を送信する。又、CPU151は、所定のタイミングで現像バイアス電源110に現像DCバイアスを第1現像DCバイアスVdc1と第2現像DCバイアスVdc2とで切り替える電圧切替信号を送信する。一方、現像バイアス電源110は、現像装置4の現像スリーブ102に現像DCバイアス、或いは現像DCバイアスと現像ACバイアスとが重畳された電圧を印加し得る。又、現像バイアス電源110は、現像スリーブ102に印加する現像DCバイアスを第1現像DCバイアスと第2現像DCバイアスとで切り替える電圧切替器(電圧切替手段)111を有する。これにより、現像バイアス電源111は、CPU151からの電圧切替信号に応じて、第1現像DCバイアス又は第2現像DCバイアスを選択的に現像スリーブ102に印加することができる。
【0065】
以上説明したように、本実施例によれば、画像形成領域のかぶり取り電位差Vbackより、非画像形成領域のかぶり取り電位差Vbackを小さくし、非画像形成領域において現像スリーブ102に付着するトナー量を減少させる。これにより、現像スリーブ102の表面の見かけの電位変化を防止し、ハーフトーン画像やベタ画像における濃度段差等の画像不良を防止することができる。従って、高画像品質を達成することができる。
【0066】
尚、本実施例では、現像スリーブ102に印加する現像DCバイアスを変更したが、非画像形成領域においてかぶり取り電位差Vbackが画像形成領域より小さくなるように変更されれば良い。従って、現像DCバイアスを一定にして帯電装置2による感光ドラム1の帯電電位を非画像形成領域と画像形成領域で変化させてもよい。或いは、感光ドラム1の帯電電位と現像DCバイアスの両方を、非画像形成領域と画像形成領域とで変化させてもよい。この場合、上記現像バイアス電源110と同様、帯電バイアス電源130に、電圧切替器(電圧切替手段)を設け、CPU151からの帯電バイアス切替信号に応じて帯電バイアス電源130を変更し、所望のかぶり取り電位差Vbackが得られるように感光ドラム1を帯電させればよい。これによって、上記同様の効果が得られる。
【0067】
実施例2
次に、図7を参照して本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本構成及び動作は、実施例1のものと同一であるので、実質的に同一若しくは相当する機能、構成を有する要素については同一の符号を付して、詳しい説明は省略する。
【0068】
実施例1では、かぶり取り電位差Vbackの大きさを非画像形成領域と画像形成領域で変化させた。これに対し、本実施例では、かぶり取り電位差Vbackを現像スリーブ102の非駆動時と駆動時で変化させる。
【0069】
図7は、本実施例における感光ドラム1の駆動(回転駆動)、帯電装置2による帯電バイアス電圧の印加、現像スリーブ102の駆動(回転駆動)、及び現像スリーブ102に対する現像DCバイアスと現像ACバイアスの印加のタイミングを示したチャート図である。
【0070】
画像形成動作が開始し、感光ドラム1の駆動が開始されるのと同時に、帯電装置2への帯電バイアス電圧の印加が開始され、感光ドラム1は一様に帯電される。感光ドラム1の回転により、時間T1後に、感光ドラム1の帯電された位置が現像スリーブ102との対向位置に到達すると、高圧電源110による現像スリーブ102への第1現像DCバイアス(非画像領域現像DCバイアス)Vdc1の印加が開始される。そして、前多回転を行ない、感光ドラム1の電位を安定させる。
【0071】
感光ドラム1の電位が安定すると、露光装置3により感光ドラム1上の画像形成領域に静電潜像が形成される。画像形成領域(静電潜像)が現像スリーブ102との対向位置まで移動するのとほぼ同時に、現像スリーブ102の駆動が開始される。又、このとき同時に、現像ACバイアスの印加が開始され、これにより現像スリーブ102には第2現像DCバイアスVdc2及び現像ACバイアスVacが重畳された現像バイアス電圧が印加される。こうして、画像形成領域の静電像の現像が行われる。
【0072】
又、画像形成領域が現像スリーブ102との対向部を通過し終えるのとほぼ同時に、現像スリーブ102の駆動と現像ACバイアスVacの印加が停止される。又、帯電終了位置が現像スリーブ102との対向位置に来るまで第1現像DCバイアスVdc1が再び印加される。
【0073】
本実施例では、現像DCバイアスが安定するまで100msec、現像スリーブ102の駆動が安定するまで30msec、現像ACバイアスが安定するまで100msecかかる。そのため、本実施例では、現像スリーブ102の駆動が開始される100msec前に現像DCバイアスを第1現像バイアスVdc1から第2現像バイアスVdc2に変更する。しかし、本発明は、斯かる正確なタイミングに限定されるものではなく、本発明を実施する画像形成装置本体により差が生じるので、適宜調整することができる。
【0074】
このように、本実施例では、帯電装置2によって帯電された感光ドラム1の電位と現像スリーブ102に印加する現像バイアス電圧の直流成分との電位差を、現像スリーブ102の駆動手段の動作時(即ち、現像スリーブ102の駆動時)における電位差よりも、駆動手段の非動作時(即ち、現像スリーブ102の非駆動時)における電位差を小さくする。
【0075】
ところで、図2に示すような現像装置4において、現像装置4内を循環する現像剤は、現像スリーブ102の回転により、規制ブレード105を通過する付近でストレスを受ける。そのため、トナー帯電量が低下するなどの現像剤の劣化が起きる。現像剤の劣化としては、例えば、トナーへの帯電付与性を安定させるためにキャリアの表面に施されたコート材料の剥がれや、シリカ、チタン等の外添剤のトナーへの埋め込み等が挙げられる。
【0076】
この問題に対する対策としては、本実施例のように現像スリーブ102の駆動時間を、画像形成領域とほぼ同じとし、即ち、ほぼ画像形成領域と同じだけ現像スリーブ102を駆動して、現像スリーブ102の回転時間を最小限に抑えることが有効である。又、斯かる構成は、現像スリーブ102が長時間回転することでトナーが現像スリーブ102に融着し、現像スリーブ102の表面粗さが低下することで現像剤の搬送性が低下する問題や、現像スリーブ102の駆動モータやクラッチ等のメカ部品の寿命に対しても有効である。
【0077】
しかしながら、前多回転時や後回転時において、現像スリーブ102の駆動が停止していると、実施例1で示した現像スリーブ102へのトナーの付着が、現像スリーブ102の周面のうち感光ドラム1と対向している一部分のみに局所的に集中する。このため、その部分に対するトナーの付着量も増加する。その結果、続く画像形成領域におけるハーフトーン画像等に、現像スリーブ102の長手方向に沿うスジ状の高濃度部分が現れる画像不良が発生することがある。
【0078】
そこで、図7に示すように、現像スリーブ102の駆動の停止時における現像DCバイアスを、かぶり取り電位差Vbackが小さくなるような電圧に設定する。これにより、実施例1と同様に現像スリーブ102の非駆動時における現像スリーブ102への付着トナー量を減少させることができる。しかも、現像スリーブ102の駆動が停止しているので、かぶり取り電位差Vbackが低いことによりトナーが感光ドラム1に供給されることはない。このため、感光ドラム1にかぶりトナーが付着してしまう問題もない。
【0079】
尚、現像スリーブ102の非駆動時は非画像形成領域に対応し、又現像スリーブ102の駆動時は画像形成領域に対応する。従って、換言すれば、本実施例においても、非画像形成領域と画像形成領域とでかぶり取り電位差Vbackを変更している。
【0080】
図8は、本実施例における画像形成装置10の概略制御ブロック図である。本実施例の制御態様は、図6に示したものと基本的には同じである。本実施例では、CPU151は、CPU151は、現像バイアス電源110、現像スリーブ102を回転駆動させる現像剤担持体駆動手段(駆動モータ)120、帯電バイアス電源130等に制御信号を送信し、図7のチャート図に従って画像形成動作を行なわせる。又、特に、本実施例では、現像剤担持体駆動手段120は、現像スリーブ102を駆動・停止させることができる駆動切替器(駆動切替手段)121を有している。この駆動切替器は、CPU151の制御信号に応じて、現像スリーブ102の回転駆動を開始・停止させることができる。現像剤担持体駆動手段120が独立していれば、駆動モータ自体の駆動を開始・停止させればよく、又現像剤担持体駆動手段120と例えば感光体駆動手段140の駆動源が共通とされている場合にはクラッチのオン・オフ等により、駆動の伝達・遮断を切り替えるようにすればよい。
【0081】
以上説明したように、現像スリーブ102の駆動時のかぶり取り電位差Vbackより現像スリーブ102の非駆動時のかぶり取り電位差Vbackを小さくし、現像スリーブ102の非駆動時における現像スリーブ102への付着トナー量を減少させることにより、ハーフトーン画像における高濃度スジが発生する画像不良を防止することができる。又、非画像形成領域においてかぶり取り電位差Vbackを小さくすることによりかぶりトナーが感光ドラム1に付着することも抑制することができる。しかも、非画像形成領域にて現像スリーブ102の駆動を停止することで、現像スリーブ102の駆動時間を最小限にし、現像剤の劣化や現像スリーブ102の表面のトナー融着を抑えることができる。
【0082】
実施例3
次に、図9を参照して、本発明の更に他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本構成及び動作は、実施例1のものと同じであるので、実施例1のものと実質的に同一若しくは相当する機能、構成を有する要素には、同一符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0083】
実施例1における現像装置4では、現像スリーブ進行方向において現像剤のくみ上げ極N2のすぐ下流の磁極S2に対向して規制ブレード105を配置した。これに対し、本実施例では、規制ブレード105は、現像剤のくみ上げ極N2に対向して配置される。
【0084】
本実施例における二成分磁気ブラシ法による現像工程と現像剤の循環系とについて説明する。
【0085】
現像スリーブ102の内部には、実施例1と同様、現像スリーブ102による現像剤の搬送方向に沿って複数の磁極を備えた磁界発生手段としてのマグネットロールが固定配置されている。
【0086】
先ず、現像スリーブ102の回転に伴い、現像剤は、汲み上げ磁極N2で現像スリーブ102へと汲み上げられる。汲み上げ磁極N2で汲み上げられた現像剤は、磁極N2にほぼ対向して現像スリーブ102に対して所定の間隔(S−Bギャップ)をもって配置された規制ブレード105によって規制される。こうして、現像スリーブ102上に二成分現像剤の薄層が形成される。ここで、現像スリーブ102上に薄層として担持された現像剤が、搬送極S2及びN1を介して現像主極S1まで搬送されてくると、磁気力によって磁気ブラシ(現像剤の穂立ち)が形成される。この穂状に形成された磁気ブラシは、感光ドラム1に対して近接又は接触する。そして、現像スリーブ102に印加される現像バイアス電圧の作用によって、感光ドラム1に形成された静電像に応じて、磁気ブラシ中のトナーが感光ドラム1へと移動する。これによって、感光ドラム1上の静電像は、トナー像として現像される。静電像を現像した現像スリーブ102上の現像剤は、その後磁極N3、N2の反発磁界によって、現像容器101内に回収される。
【0087】
本実施例で使用する現像装置4の構成は、汲み上げ磁極N2で現像剤の規制を行なう点で実施例1と異なる。ここで、規制ブレード105により規制された現像剤の余剰分が規制ブレード105の現像スリーブ102回転方向上流に剤溜まりとなって現像スリーブ102上に残る。しかし、本実施例のような構成にすると、剤溜まりの現像剤量は、実施例1の現像装置4よりも少ない。その結果、現像スリーブ102の回転により規制ブレード105の付近で現像剤が受けるストレスは、剤溜まりの量が少ないため、実施例1の現像装置4と比較して少ない。これにより、キャリアの表面の抵抗調整のためのコート剥がれやシリカ、チタン等の外添剤のトナーへの埋め込み等の現像剤の劣化を少なくすることができる。
【0088】
しかし、その反面、現像スリーブ102と規制ブレード105の対向部付近で剤溜まりからのストレスが少ないため、非画像形成領域におけるかぶり取り電位差Vbackにより現像スリーブ102の表面へ付着したトナーは、現像スリーブ102の表面から剥ぎ取られにくい。従って、先に述べたハーフトーン画像やベタ画像における濃度段差等の画像不良が顕著に発生しやすい。
【0089】
本実施例のような構成の現像装置4において、実施例1や実施例2で行なったかぶり取り電位差Vbackの制御を行なうことによって、非画像形成領域において現像スリーブ102への付着トナー量を有効に減少させることができる。そして、現像スリーブ102の表面の見かけの電位変化を防止し、ハーフトーン画像やベタ画像における濃度段差等の画像不良を防止することができる。しかも、現像剤のストレスによる劣化も少なくすることができる。
【0090】
以上、本発明を具体的な実施例に則して説明したが、本発明は上記実施例の態様に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施例の断面図である。
【図2】図1の画像形成装置が備える現像装置を示す断面図である。
【図3】本発明の一実施例における画像形成装置の動作タイミングを示すチャート図である。
【図4】感光ドラムの周囲に配置された各装置の位置関係を示す模式図である。
【図5】画像形成動作時における感光ドラム及び現像スリーブにおける電位関係を示す説明図である。
【図6】本発明に従うかぶり取り電位差の一制御態様を示す概略機能ブロック図である。
【図7】本発明の他の実施例における画像形成装置の動作タイミングを示すチャート図である。
【図8】本発明に従うかぶり取り電位差の他の制御態様を示す概略機能ブロック図である。
【図9】図1の画像形成装置にて用い得る現像装置の他の例の断面図である。
【符号の説明】
【0092】
1a〜1d 感光ドラム(像担持体)
2a〜2d 帯電装置
4a〜4d 現像装置
102 現像スリーブ
105 規制ブレード
110 高圧電源(現像バイアス電源)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、像担持体上を帯電する帯電手段と、前記帯電手段によって帯電された前記像担持体上に静電像を形成する静電像形成手段と、前記像担持体に形成された静電像を非磁性トナーと磁性キャリアとを備えた二成分現像剤を用いて現像する現像装置と、を有する画像形成装置において、
前記帯電手段によって帯電された前記像担持体の電位と前記現像装置に印加する現像バイアス電圧の直流成分との電位差は、画像形成領域における電位差よりも非画像形成領域における電位差を小さくすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記電位差は、前記現像バイアス電圧の直流成分を変更することにより小さくすることを特徴とする請求項1の画像形成装置。
【請求項3】
前記電位差は、前記帯電手段によって帯電する前記像担持体の電位を変更することにより小さくすることを特徴とする請求項1の画像形成装置。
【請求項4】
前記現像装置は更に、二成分現像剤を担持して前記像担持体との対向位置へと搬送する現像剤担持体を有し、前記現像バイアスは前記現像剤担持体に印加することを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
更に、前記現像剤担持体を回転駆動させる駆動手段を有し、前記電位差は、前記画像形成領域での前記現像剤担持体の駆動時における電位差よりも、前記非画像形成領域での前記現像剤担持体の非駆動時における電位差を小さくすることを特徴とする請求項4の画像形成装置。
【請求項6】
前記現像装置は更に、前記現像剤担持体に対向配置された、前記現像剤担持体に担持される現像剤を規制する現像剤規制部材を有し、前記現像剤担持体の内部には、前記現像剤担持体による現像剤の搬送方向に沿って複数の磁極を備えた磁界発生手段が固定配置されており、前記現像剤規制部材は、前記磁界発生手段の前記複数の磁極のうち前記現像剤担持体上に二成分現像剤を汲み上げる汲み上げ極に対向して配置されていることを特徴とする請求項4又5の画像形成装置。
【請求項7】
像担持体と、像担持体上を帯電する帯電手段と、前記帯電手段によって帯電された前記像担持体上に静電像を形成する静電像形成手段と、非磁性トナーと磁性キャリアとを備えた二成分現像剤を担持して前記像担持体との対向位置へと搬送する現像剤担持体を備え前記像担持体に形成された静電像を二成分現像剤を用いて現像する現像装置と、前記現像剤担持体を回転駆動させる駆動手段と、を有する画像形成装置において、
前記帯電手段によって帯電された前記像担持体の電位と前記現像剤担持体に印加する現像バイアス電圧の直流成分との電位差は、前記現像剤担持体の駆動時における電位差よりも、前記現像剤担持体の非駆動時における電位差を小さくすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
前記電位差は、前記現像バイアス電圧の直流成分を変更することにより小さくすることを特徴とする請求項7の画像形成装置。
【請求項9】
前記電位差は、前記帯電手段によって帯電する前記像担持体の電位を変更することにより小さくすることを特徴とする請求項7又は8の画像形成装置。
【請求項10】
前記現像装置は更に、前記現像剤担持体に対向配置された、前記現像剤担持体に担持される現像剤を規制する現像剤規制部材を有し、前記現像剤担持体の内部には、前記現像剤担持体による現像剤の搬送方向に沿って複数の磁極を備えた磁界発生手段が固定配置されており、前記現像剤規制部材は、前記磁界発生手段の前記複数の磁極のうち前記現像剤担持体上に二成分現像剤を汲み上げる汲み上げ極に対向して配置されていることを特徴とする請求項7〜9のいずれかの項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−47885(P2006−47885A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−231746(P2004−231746)
【出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】