説明

発光装置及び発光装置の作製方法

【課題】発光装置の信頼性を向上することを課題の一とする。
【解決手段】同一基板上に駆動回路用トランジスタを含む駆動回路部と、画素用トランジスタを含む画素部とを有する発光装置であり、駆動回路用トランジスタ及び画素用トランジスタは、酸化物絶縁層と一部接する酸化物半導体層を含む逆スタガ型のトランジスタである。画素部において酸化物絶縁層上にカラーフィルタ層と発光素子が設けられ、駆動回路用トランジスタにおいて、酸化物絶縁層上にゲート電極層及び酸化物半導体層と重なる導電層が設けられる。なお、ゲート電極層、ソース電極層及びドレイン電極層は金属導電膜を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
有機化合物を含む層を発光層とする発光装置およびその作製方法に関する。例えば、有機発光素子を有する発光表示装置を部品として搭載した電子機器に関する。
【0002】
なお、本明細書中において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指し、発光装置などの電気光学装置、半導体回路及び電子機器は全て半導体装置である。
【背景技術】
【0003】
薄型軽量、高速応答性、直流低電圧駆動などの特徴を有する有機化合物を発光体として用いた発光素子は、次世代のフラットパネルディスプレイや、次世代の照明への応用が検討されている。特に、発光素子をマトリクス状に配置した表示装置は、従来の液晶表示装置と比較して、視野角が広く視認性が優れる点に優位性があると考えられている。
【0004】
発光素子の発光機構は、一対の電極間にEL層を挟んで電圧を印加することにより、陰極から注入された電子および陽極から注入された正孔がEL層の発光中心で再結合して分子励起子を形成し、その分子励起子が基底状態に緩和する際にエネルギーを放出して発光するといわれている。励起状態には一重項励起と三重項励起が知られ、発光はどちらの励起状態を経ても可能であると考えられている。
【0005】
発光素子を構成するEL層は、少なくとも発光層を有する。また、EL層は、発光層の他に、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層などを有する積層構造とすることもできる。
【0006】
また、半導体特性を示す材料として金属酸化物が注目されている。半導体特性を示す金属酸化物としては、例えば、酸化タングステン、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛などがあり、このような半導体特性を示す金属酸化物をチャネル形成領域とする薄膜トランジスタが既に知られている(特許文献1及び特許文献2)。
【0007】
また、酸化物半導体を適用したTFTは、電界効果移動度が高い。そのため、当該TFTを用いて、表示装置などの駆動回路を構成することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−123861号公報
【特許文献2】特開2007−96055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
酸化物半導体膜を用いる薄膜トランジスタには、動作速度が速く、製造工程が比較的簡単であり、十分な信頼性が求められている。
【0010】
酸化物半導体膜を用いる薄膜トランジスタにおいて、動作特性や信頼性を向上させることを課題の一つとする。
【0011】
特に、駆動回路に用いる薄膜トランジスタの動作速度は、速い方が好ましい。
【0012】
例えば、薄膜トランジスタのチャネル長(L)を短くする、またはチャネル幅Wを広くすると動作速度が高速化される。しかし、チャネル長を短くすると、スイッチング特性、例えばオンオフ比が小さくなる問題がある。また、チャネル幅Wを広くすると薄膜トランジスタ自身の容量負荷を上昇させる問題がある。
【0013】
また、チャネル長が短くとも、安定した電気特性を有する薄膜トランジスタを備えた発光装置を提供することも課題の一とする。
【0014】
また、絶縁表面上に複数の異なる回路を形成する場合、例えば、画素部と駆動回路を同一基板上に形成する場合には、画素部に用いる薄膜トランジスタは、優れたスイッチング特性、例えばオンオフ比が大きいことが要求され、駆動回路に用いる薄膜トランジスタには動作速度が速いことが要求される。特に、表示装置の精細度が高精細であればあるほど、表示画像の書き込み時間が短くなるため、駆動回路に用いる薄膜トランジスタは速い動作速度とすることが好ましい。
【0015】
また、酸化物半導体膜を用いる薄膜トランジスタの電気特性のバラツキを低減することも課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の発光装置の一形態は、同一基板上に駆動回路用トランジスタを含む駆動回路部と、画素用トランジスタを含む画素部とを有し、駆動回路用トランジスタ及び画素用トランジスタはゲート電極層と、ゲート電極層上のゲート絶縁層と、ゲート絶縁層上の酸化物半導体層と、酸化物半導体層上のソース電極層及びドレイン電極層と、酸化物半導体層、ソース電極層及びドレイン電極層上に酸化物半導体層の一部と接する酸化物絶縁層を有し、画素部において酸化物絶縁層上にカラーフィルタ層、カラーフィルタ層上に画素用トランジスタと電気的に接続する第1の電極層、EL層、第2の電極層の積層が設けられ、駆動回路用トランジスタにおいて、酸化物絶縁層上にゲート電極層及び酸化物半導体層と重なる導電層が設けられ、ゲート電極層、ソース電極層及びドレイン電極層は金属導電膜である。
【0017】
本発明の発光装置の他の一形態は、同一基板上に駆動回路用トランジスタを含む駆動回路部と、画素用トランジスタを含む画素部とを有し、駆動回路用トランジスタ及び画素用トランジスタはゲート電極層と、ゲート電極層上のゲート絶縁層と、ゲート絶縁層上の酸化物半導体層と、酸化物半導体層上のソース電極層及びドレイン電極層と、酸化物半導体層、ソース電極層及びドレイン電極層上に酸化物半導体層の一部と接する酸化物絶縁層を有し、画素部において酸化物絶縁層上にカラーフィルタ層、カラーフィルタ層上に画素用トランジスタと接続電極層を介して電気的に接続する第1の電極層、EL層、第2の電極層の積層が設けられ、駆動回路用トランジスタにおいて、酸化物絶縁層上にゲート電極層及び酸化物半導体層と重なる導電層が設けられ、ゲート電極層、ソース電極層及びドレイン電極層は金属導電膜である。
【0018】
画素用トランジスタ及び駆動回路用トランジスタとして、ボトムゲート構造の逆スタガ型トランジスタを用いる。画素用トランジスタ及び駆動回路用トランジスタはソース電極層及びドレイン電極層との間に露呈した酸化物半導体層に接する酸化物絶縁膜が設けられたチャネルエッチ型トランジスタである。
【0019】
駆動回路用トランジスタは、酸化物半導体層をゲート電極と導電層で挟み込む構成とする。これにより、トランジスタのしきい値ばらつきを低減させることができ、安定した電気特性を有するトランジスタを備えた発光装置を提供することができる。導電層は、ゲート電極層と同電位としても良いし、フローティング電位でも良いし、固定電位、例えばGND電位や0Vでもよい。また、導電層に任意の電位を与えることで、トランジスタのしきい値を制御することができる。
【0020】
画素用トランジスタと画素電極は直接、接して形成されてもよいし、間に接続電極層を介して電気的に接続されてもよい。接続電極層は、Al、Cr、Cu、Ta、Ti、Mo、Wから選ばれた元素を主成分とする膜、若しくはそれらの合金膜とを組み合わせた積層膜を用いることができる。
【0021】
駆動回路用トランジスタの酸化物半導体層上に設けられる該導電層、第1の配線(端子または接続電極ともいう)、及び第2の配線(端子または接続電極ともいう)は、画素電極と同工程で酸化インジウム、酸化インジウム酸化スズ合金、酸化インジウム酸化亜鉛合金、または酸化亜鉛などの酸化物導電材料を用いて形成してもよいし、接続電極層と同工程でAl、Cr、Cu、Ta、Ti、Mo、Wから選ばれた元素を主成分とする膜、若しくはそれらの合金膜などの金属材料を用いて形成してもよい。
【0022】
また、同一基板上に複数種類の発光色の発光素子と、発光素子に電気的に接続する画素用トランジスタを形成して表示ディスプレイなどの発光装置を製造することができる。
【0023】
また、白色の発光色の発光素子を複数設け、それぞれの発光素子の発光領域に重なるように光学フィルム、具体的にはカラーフィルタを設けてフルカラーの発光表示装置とすることもできる。なお、ここでカラーフィルタとはブラックマトリクスやオーバーコートを含めた3色のカラーフィルタ層(赤色カラーフィルタ、青色カラーフィルタ、緑色カラーフィルタなど)を備えたフィルム全体を指しているのではなく、一つの色のカラーフィルタを指している。
【0024】
上記構造を実現するための本発明の発光装置の作製方法の一形態は、駆動回路部及び画素部を含む絶縁表面を有する基板上に金属導電膜を用いてゲート電極層を形成し、ゲート電極層上にゲート絶縁層を形成し、ゲート絶縁層上に酸化物半導体層を形成し、酸化物半導体層を脱水化または脱水素化した後、大気に触れることなく、酸化物半導体層への水や水素の再混入を防ぎ、酸化物半導体層上に金属導電膜を用いてソース電極層及びドレイン電極層を形成し、酸化物半導体層、ソース電極層及びドレイン電極層上に、酸化物半導体層の一部と接する酸化物絶縁層を形成して駆動回路部に駆動回路用トランジスタ、及び画素部に画素用トランジスタを形成し、画素部において酸化物絶縁層上にカラーフィルタ層を形成し、カラーフィルタ層上に画素用トランジスタと電気的に接続する第1の電極層を形成し、第1の電極層上にEL層、EL層上に第2の電極層を形成し、駆動回路部において、駆動回路用トランジスタのゲート電極層及び酸化物半導体層と重なる酸化物絶縁層上に、第1の電極層と同工程で導電層を形成する。
【0025】
上記構造を実現するための本発明の発光装置の作製方法の一形態は、駆動回路部及び画素部を含む絶縁表面を有する基板上に金属導電膜を用いてゲート電極層を形成し、ゲート電極層上にゲート絶縁層を形成し、ゲート絶縁層上に酸化物半導体層を形成し、酸化物半導体層を脱水化または脱水素化した後、大気に触れることなく、酸化物半導体層への水や水素の再混入を防ぎ、酸化物半導体層上に金属導電膜を用いてソース電極層及びドレイン電極層を形成し、酸化物半導体層、ソース電極層及びドレイン電極層上に、酸化物半導体層の一部と接する酸化物絶縁層を形成して駆動回路部に駆動回路用トランジスタ、及び画素部に画素用トランジスタを形成し、画素部において酸化物絶縁層上にカラーフィルタ層を形成し、カラーフィルタ層上に画素用トランジスタと接続電極層を介して電気的に接続する第1の電極層を形成し、第1の電極層上にEL層、EL層上に第2の電極層を形成し、駆動回路部において、駆動回路用トランジスタのゲート電極層及び酸化物半導体層と重なる酸化物絶縁層上に、接続電極層と同工程で導電層を形成する。
【0026】
なお、前述の発光装置の作製工程におけるフォトリソグラフィ工程において、透過した光が複数の強度となる露光マスクである多階調マスクによって形成されたマスク層を用いてエッチング工程を行っても良い。
【0027】
多階調マスクを用いて形成したマスク層は複数の膜厚を有する形状となり、マスク層に対してエッチングを行うことでさらに形状を変形することができるため、異なるパターンに加工する複数のエッチング工程に用いることができる。よって、一枚の多階調マスクによって、少なくとも二種類以上の異なるパターンに対応するマスク層を形成することができる。よって露光マスク数を削減することができ、対応するフォトリソグラフィ工程も削減できるため、工程の簡略化が可能となる。
【0028】
上記構成は、上記課題の少なくとも一つを解決する。
【0029】
また、本明細書中で用いる酸化物半導体は、InMO(ZnO)(m>0)で表記される薄膜を形成し、その薄膜を酸化物半導体層として用いた薄膜トランジスタを作製する。なお、Mは、Ga、Fe、Ni、Mn及びCoから選ばれた一の金属元素または複数の金属元素を示す。例えばMとして、Gaの場合があることの他、GaとNiまたはGaとFeなど、Ga以外の上記金属元素が含まれる場合がある。また、上記酸化物半導体において、Mとして含まれる金属元素の他に、不純物元素としてFe、Niその他の遷移金属元素、または該遷移金属の酸化物が含まれているものがある。本明細書においては、InMO(ZnO)(m>0)で表記される構造の酸化物半導体層のうち、MとしてGaを含む構造の酸化物半導体をIn−Ga−Zn−O系酸化物半導体とよび、その薄膜をIn−Ga−Zn−O系非単結晶膜とも呼ぶ。
【0030】
また、酸化物半導体層に適用する金属酸化物として上記の他にも、In−Sn−Zn−O系、In−Al−Zn−O系、Sn−Ga−Zn−O系、Al−Ga−Zn−O系、Sn−Al−Zn−O系、In−Zn−O系、Sn−Zn−O系、Al−Zn−O系、In−O系、Sn−O系、Zn−O系の金属酸化物を適用することができる。また上記金属酸化物からなる酸化物半導体層に酸化珪素を含ませてもよい。
【0031】
窒素、または希ガス(アルゴン、ヘリウムなど)の不活性気体雰囲気下での加熱処理を行った場合、酸化物半導体層は加熱処理により酸素欠乏型となって低抵抗化、即ちN型化(N化など)させ、その後、酸化物半導体層に接する酸化物絶縁膜の形成や、形成後に加熱処理を行うことにより酸化物半導体層を酸素過剰な状態とすることで高抵抗化、即ちI型化させているとも言える。また、酸化物半導体層を酸素過剰な状態とする固相酸化を行っているとも呼べる。これにより、電気特性が良好で信頼性のよい薄膜トランジスタを有する発光装置を作製し、提供することが可能となる。
【0032】
脱水化または脱水素化は、窒素、または希ガス(アルゴン、ヘリウムなど)の不活性気体雰囲気下での400℃以上750℃以下、好ましくは425℃以上750℃以下の加熱処理を行い、酸化物半導体層の含有水分などの不純物を低減する。また、その後の水(HO)の再含浸を防ぐことができる。
【0033】
脱水化または脱水素化の加熱処理は、HOが20ppm以下の窒素雰囲気で行うことが好ましい。また、HOが20ppm以下の超乾燥空気中で行っても良い。
【0034】
脱水化または脱水素化を行った酸化物半導体層は、脱水化または脱水素化後の酸化物半導体層に対してTDSで450℃まで測定を行っても水の2つのピーク、少なくとも300℃付近に現れる1つのピークは検出されない程度の加熱処理条件とする。従って、脱水化または脱水素化が行われた酸化物半導体層を用いた薄膜トランジスタに対してTDSで450℃まで測定を行っても少なくとも300℃付近に現れる水のピークは検出されない。
【0035】
そして、酸化物半導体層に対して脱水化または脱水素化を行う加熱温度Tから、脱水化または脱水素化を行った同じ炉で大気に触れさせることなく、水または水素が再び混入させないことが重要である。脱水化または脱水素化を行い、酸化物半導体層を低抵抗化、即ちN型化(Nなど)させた後、高抵抗化させてI型とした酸化物半導体層を用いて薄膜トランジスタを作製すると、薄膜トランジスタのしきい値電圧(Vth)をプラスとすることができ、所謂ノーマリーオフのスイッチング素子を実現できる。薄膜トランジスタのゲート電圧が0Vにできるだけ近い正のしきい値電圧でチャネルが形成されることが半導体装置(発光装置)には望ましい。なお、薄膜トランジスタのしきい値電圧がマイナスであると、ゲート電圧が0Vでもソース電極とドレイン電極の間に電流が流れる、所謂ノーマリーオンとなりやすい。アクティブマトリクス型の表示装置においては、回路を構成する薄膜トランジスタの電気特性が重要であり、この電気特性が表示装置の性能を左右する。特に、薄膜トランジスタの電気特性のうち、しきい値電圧が重要である。電界効果移動度が高くともしきい値電圧値が高い、或いはしきい値電圧値がマイナスであると、回路として制御することが困難である。しきい値電圧値が高く、しきい値電圧の絶対値が大きい薄膜トランジスタの場合には、駆動電圧が低い状態ではTFTとしてのスイッチング機能を果たすことができず、負荷となる恐れがある。nチャネル型の薄膜トランジスタの場合、ゲート電圧に正の電圧を印加してはじめてチャネルが形成されて、ドレイン電流が流れ出すトランジスタが望ましい。駆動電圧を高くしないとチャネルが形成されないトランジスタや、負の電圧状態でもチャネルが形成されてドレイン電流が流れるトランジスタは、回路に用いる薄膜トランジスタとしては不向きである。
【0036】
また、加熱温度Tから下げるガス雰囲気は、加熱温度Tまで昇温したガス雰囲気と異なるガス雰囲気に切り替えてもよい。例えば、脱水化または脱水素化を行った同じ炉で大気に触れさせることなく、炉の中を高純度の酸素ガスまたはNOガス、超乾燥エア(露点が−40℃以下、好ましくは−60℃以下)で満たして冷却を行う。
【0037】
脱水化または脱水素化を行う加熱処理によって膜中の含有水分を低減させた後、水分を含まない雰囲気(露点が−40℃以下、好ましくは−60℃以下)下で徐冷(または冷却)した酸化物半導体膜を用いて、薄膜トランジスタの電気特性を向上させるとともに、量産性と高性能の両方を備えた薄膜トランジスタを実現する。
【0038】
本明細書では、窒素、または希ガス(アルゴン、ヘリウムなど)の不活性気体雰囲気下での加熱処理を脱水化または脱水素化のための加熱処理と呼ぶ。本明細書では、この加熱処理によってHとして脱離させていることのみを脱水素化と呼んでいるわけではなく、H、OHなどを脱離することを含めて脱水化または脱水素化と便宜上呼ぶこととする。
【0039】
窒素、または希ガス(アルゴン、ヘリウムなど)の不活性気体雰囲気下での加熱処理を行った場合、酸化物半導体層は加熱処理により酸素欠乏型となって低抵抗化、即ちN型化(N化など)させる。
【0040】
また、ドレイン電極層と重なる酸素欠乏型である高抵抗ドレイン領域(HRD(High Resistance Drain)領域とも呼ぶ)が形成される。また、ソース電極層と重なる酸素欠乏型である高抵抗ソース領域(HRS(High Resistance Source)領域とも呼ぶ)が形成される。
【0041】
具体的には、高抵抗ドレイン領域のキャリア濃度は、1×1018/cm以上の範囲内であり、少なくともチャネル形成領域のキャリア濃度(1×1018/cm未満)よりも高い領域である。なお、本明細書のキャリア濃度は、室温にてHall効果測定から求めたキャリア濃度の値を指す。
【0042】
この後、脱水化または脱水素化した酸化物半導体層の少なくとも一部を酸素過剰な状態とすることで、高抵抗化、即ちI型化させてチャネル形成領域を形成する。なお、脱水化または脱水素化した酸化物半導体層の一部を酸素過剰な状態とする処理としては、以下の方法のいずれかによって行う。脱水化または脱水素化した酸化物半導体層に接する酸化物絶縁膜をスパッタリング法で成膜する、または脱水化または脱水素化した酸化物半導体層に接するように酸化物絶縁膜を成膜し、さらに加熱処理を行う、または脱水化または脱水素化した酸化物半導体層に接するように酸化物絶縁膜を成膜し、さらに酸素を含む雰囲気で加熱処理を行う、または脱水化または脱水素化した酸化物半導体層に接するように酸化物絶縁膜を成膜した後に不活性ガス雰囲気下で加熱し、さらに酸素雰囲気下で冷却処理を行う、または脱水化または脱水素化した酸化物半導体層に接するように酸化物絶縁膜を成膜した後に不活性ガス雰囲気下で加熱し、さらに超乾燥エア(露点が−40℃以下、好ましくは−60℃以下)で冷却処理を行う。
【0043】
また、脱水化または脱水素化した酸化物半導体層の少なくとも一部(ゲート電極層と重なる部分)をチャネル形成領域とするため、選択的に酸素過剰な状態とすることで、高抵抗化、即ちI型化させることもできる。脱水化または脱水素化した酸化物半導体層上に接してTiなどの金属電極からなるソース電極層やドレイン電極層を形成し、ソース電極層やドレイン電極層に重ならない露出領域を選択的に酸素過剰な状態としてチャネル形成領域を形成することができる。選択的に酸素過剰な状態とする場合、ソース電極層に重なる第1の高抵抗ソース領域と、ドレイン電極層に重なる第2の高抵抗ドレイン領域とが形成され、第1の高抵抗ソース領域と第2の高抵抗ドレイン領域との間の領域がチャネル形成領域となる。即ち、チャネル形成領域がソース電極層及びドレイン電極層の間に自己整合的に形成される。
【0044】
これにより、電気特性が良好で信頼性のよい薄膜トランジスタを有する発光装置を作製し、提供することが可能となる。
【0045】
なお、ドレイン電極層と重畳した酸化物半導体層において高抵抗ドレイン領域を形成することにより、駆動回路を形成した際の信頼性の向上を図ることができる。具体的には、高抵抗ドレイン領域を形成することで、ドレイン電極層から高抵抗ドレイン領域、チャネル形成領域にかけて、導電性を段階的に変化させうるような構造とすることができる。そのため、ドレイン電極層に高電源電位VDDを供給する配線に接続して動作させる場合、ゲート電極層とドレイン電極層との間に高電界が印加されても高抵抗ドレイン領域がバッファとなり局所的な高電界が印加されず、薄膜トランジスタの耐圧を向上させた構成とすることができる。
【0046】
また、ドレイン電極層及びソース電極層と重畳した酸化物半導体層において、高抵抗ドレイン領域及び高抵抗ソース領域を形成することにより、駆動回路を形成した際のチャネル形成領域でのリーク電流の低減を図ることができる。具体的には、高抵抗ドレイン領域を形成することで、ドレイン電極層とソース電極層との間に流れるトランジスタのリーク電流の経路として、ドレイン電極層、ドレイン電極層側の高抵抗ドレイン領域、チャネル形成領域、ソース電極層側の高抵抗ソース領域、ソース電極層の順となる。このときチャネル形成領域では、ドレイン電極層側の高抵抗ドレイン領域よりチャネル領域に流れるリーク電流を、トランジスタがオフ時に高抵抗となるゲート絶縁層とチャネル形成領域の界面近傍に集中させることができ、バックチャネル部(ゲート電極層から離れているチャネル形成領域の表面の一部)でのリーク電流を低減することができる。
【0047】
また、ソース電極層に重なる高抵抗ソース領域と、ドレイン電極層に重なる高抵抗ドレイン領域は、ゲート電極層の幅にもよるが、ゲート電極層の一部とゲート絶縁層を介して重なり、より効果的にドレイン電極層の端部近傍の電界強度を緩和させることができる。
【0048】
また、酸化物半導体層とソース電極及びドレイン電極の間に、酸化物導電層を形成してもよい。酸化物導電層は、酸化亜鉛を成分として含むものが好ましく、酸化インジウムを含まないものであることが好ましい。例えば、酸化亜鉛、酸化亜鉛アルミニウム、酸窒化亜鉛アルミニウム、酸化亜鉛ガリウムなどを用いることができる。酸化物導電層は、低抵抗ドレイン領域(LRN(Low Resistance N−type conductivity)領域、LRD(Low Resistance Drain)領域とも呼ぶ)としても機能する。具体的には、低抵抗ドレイン領域のキャリア濃度は、高抵抗ドレイン領域(HRD領域)よりも大きく、例えば1×1020/cm以上1×1021/cm以下の範囲内であると好ましい。酸化物導電層を酸化物半導体層とソース電極及びドレイン電極の間に設けることで、接触抵抗を低減でき、トランジスタの高速動作を実現することができるため、周辺回路(駆動回路)の周波数特性を向上させることができる。
【0049】
酸化物導電層とソース電極及びドレイン電極を形成するための金属層は、連続成膜が可能である。
【0050】
また、前述した第1の配線及び第2の配線を、LRNもしくはLRDとして機能する酸化物導電層と同じ材料と金属材料によって構成された積層配線としてもよい。金属と酸化物導電層の積層とすることで、下層配線の乗り越えや開口などの段差に対する被覆性が改善し、配線抵抗を下げることができる。また、マイグレーションなどによる配線の局所的な高抵抗化や断線を防ぐ効果も期待できるため、信頼性の高い発光装置を提供することができる。
【0051】
また、前述した第1の配線と第2の配線の接続に際しても、酸化物導電層を間に挟んで接続することにより、接続部(コンタクト部)の金属表面に絶縁性酸化物が形成されることによる接触抵抗(コンタクト抵抗)の増大を防ぐことが期待でき、信頼性の高い発光装置を提供することができる。
【0052】
また、薄膜トランジスタは静電気などにより破壊されやすいため、ゲート線またはソース線に対して、画素部の薄膜トランジスタの保護用の保護回路を同一基板上に設けることが好ましい。保護回路は、酸化物半導体層を用いた非線形素子を用いて構成することが好ましい。
【0053】
なお、第1、第2として付される序数詞は便宜上用いるものであり、工程順又は積層順を示すものではない。また、本明細書において発明を特定するための事項として固有の名称を示すものではない。
【発明の効果】
【0054】
酸化物半導体層を用い、電気特性や信頼性に優れた薄膜トランジスタを備えた半導体装置である発光装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】発光装置を説明する図。
【図2】発光装置の作製方法を説明する図。
【図3】発光装置の作製方法を説明する図。
【図4】発光装置の作製方法を説明する図。
【図5】発光装置の作製方法を説明する図。
【図6】発光装置の作製方法を説明する図。
【図7】発光装置の作製方法を説明する図。
【図8】発光装置の作製方法を説明する図。
【図9】発光装置の作製方法を説明する図。
【図10】発光装置を説明する図。
【図11】発光装置を説明する図。
【図12】発光装置のブロック図を説明する図。
【図13】信号線駆動回路の構成を説明する図。
【図14】シフトレジスタの構成を示す回路図。
【図15】シフトレジスタの回路図及び動作を説明するタイミングチャート。
【図16】発光装置を説明する図。
【図17】発光装置の作製方法を説明する図。
【図18】発光装置の作製方法を説明する図。
【図19】発光装置の画素等価回路を説明する図
【図20】発光装置を説明する図。
【図21】発光素子を説明する図。
【図22】発光装置を説明する図。
【図23】電子機器を示す図。
【図24】電子機器を示す図。
【図25】電子機器を示す図。
【図26】電子機器を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0056】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、以下の説明に限定されず、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0057】
(実施の形態1)
薄膜トランジスタを含む発光装置、及びその作製工程について、図1乃至図5及び図11を用いて説明する。
【0058】
本発明の一形態である発光装置を図1に示す。図1の発光装置は、基板100上に、発光素子、薄膜トランジスタ170及び容量147を含む画素部と、薄膜トランジスタ180を含む駆動回路部とが設けられており、さらにゲート配線の端子部には第1の端子121、接続電極120、及び接続用の端子電極128、ソース配線の端子部には第2の端子122及び接続用の端子電極129が設けられている。また、薄膜トランジスタ180及び薄膜トランジスタ170上には酸化物絶縁膜107及び保護絶縁層106が形成されている。
【0059】
発光素子は、第1の電極層110、EL層194、及び第2の電極層195の積層によって構成され、薄膜トランジスタ170のドレイン電極層と第1の電極層110とが接して形成されることで、薄膜トランジスタ170と電気的に接続している。画素部において、保護絶縁層106上にはカラーフィルタ層191が形成され、カラーフィルタ層191はオーバーコート層192で覆われ、さらに保護絶縁層109によって覆われている。第1の電極層110は保護絶縁層109上に形成される。また、各発光素子の間を隔てる隔壁193が薄膜トランジスタ170上に形成されている。
【0060】
駆動回路部において、薄膜トランジスタ180はゲート電極層及び半導体層の上方に導電層111が設けられ、ドレイン電極層165bはゲート電極層と同工程で形成される導電層162と電気的に接続している。
【0061】
以下、図2乃至5、及び図11を用いて作製方法を詳細に説明する。図2乃至図5は発光装置の断面図に相当する。
【0062】
絶縁表面を有する基板である基板100上に、導電層を基板100全面に形成した後、第1のフォトリソグラフィ工程を行い、レジストマスクを形成し、エッチングにより不要な部分を除去して配線及び電極(ゲート電極層101、ゲート電極層161、導電層162、容量配線層108、及び第1の端子121)を形成する。図2(A)のように、配線及び電極の端部にテーパー形状が形成されるようにエッチングすると、積層する膜の被覆性が向上するため好ましい。なお、ゲート電極層101、ゲート電極層161はそれぞれゲート配線に含まれる。
【0063】
絶縁表面を有する基板100に使用することができる基板に大きな制限はないが、少なくとも、後の加熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有していることが必要となる。絶縁表面を有する基板100にはガラス基板を用いることができる。
【0064】
また、ガラス基板としては、後の加熱処理の温度が高い場合には、歪み点が730℃以上のものを用いると良い。また、ガラス基板には、例えば、アルミノシリケートガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスなどのガラス材料が用いられている。なお、ホウ酸と比較して酸化バリウム(BaO)を多く含ませることで、より実用的な耐熱ガラスが得られる。このため、BよりBaOを多く含むガラス基板を用いることが好ましい。
【0065】
なお、上記のガラス基板に代えて、セラミック基板、石英基板、サファイア基板などの絶縁体でなる基板を用いても良い。他にも、結晶化ガラスなどを用いることができる。本実施の形態で示す発光装置は基板100側の面から発光を取り出す下面射出型であるので、基板100としては透光性を有する基板を用いるが、基板100とは逆側の面から発光を取り出す上面射出型である場合は基板100として非透光性の金属基板等の基板を用いてもよい。
【0066】
下地膜となる絶縁膜を基板100とゲート電極層101、ゲート電極層161、導電層162、容量配線層108、及び第1の端子121との間に設けてもよい。下地膜は、基板100からの不純物元素の拡散を防止する機能があり、窒化珪素膜、酸化珪素膜、窒化酸化珪素膜、又は酸化窒化珪素膜から選ばれた一又は複数の膜による積層構造により形成することができる。
【0067】
ゲート電極層101、ゲート電極層161、導電層162、容量配線層108、及び第1の端子121の材料は、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、ネオジム、スカンジウム等の金属材料又はこれらを主成分とする合金材料を用いて、単層で又は積層して形成することができる。
【0068】
例えば、ゲート電極層101、ゲート電極層161、導電層162、容量配線層108、及び第1の端子121の2層の積層構造としては、アルミニウム層上にモリブデン層が積層された2層の積層構造、または銅層上にモリブデン層を積層した二層構造、または銅層上に窒化チタン層若しくは窒化タンタルを積層した二層構造、窒化チタン層とモリブデン層とを積層した二層構造とすることが好ましい。3層の積層構造としては、タングステン層または窒化タングステンと、アルミニウムと珪素の合金またはアルミニウムとチタンの合金と、窒化チタンまたはチタン層とを積層した積層とすることが好ましい。
【0069】
次いで、ゲート電極層101、ゲート電極層161、導電層162、容量配線層108、及び第1の端子121上にゲート絶縁層102を形成する(図2(A)参照。)。
【0070】
ゲート絶縁層102は、プラズマCVD法又はスパッタリング法等を用いて、酸化珪素層、窒化珪素層、酸化窒化珪素層、窒化酸化珪素層、又は酸化アルミニウム層を単層で又は積層して形成することができる。例えば、成膜ガスとして、SiH、酸素及び窒素を用いてプラズマCVD法により酸化窒化珪素層を形成すればよい。ゲート絶縁層102の膜厚は、100nm以上500nm以下とし、積層の場合は、例えば、膜厚50nm以上200nm以下の第1のゲート絶縁層と、第1のゲート絶縁層上に膜厚5nm以上300nm以下の第2のゲート絶縁層の積層とする。
【0071】
本実施の形態では、ゲート絶縁層102としてプラズマCVD法により膜厚200nm以下の窒化珪素層を形成する。
【0072】
次いで、ゲート絶縁層102上に、膜厚2nm以上200nm以下の酸化物半導体膜130を形成する(図2(B)参照。)。
【0073】
なお、酸化物半導体膜をスパッタリング法により成膜する前に、アルゴンガスを導入してプラズマを発生させる逆スパッタリングを行い、ゲート絶縁層102の表面に付着しているゴミを除去することが好ましい。逆スパッタリングとは、アルゴン雰囲気下で基板側にRF電源を用いて電圧を印加して基板近傍にプラズマを形成して表面を改質する方法である。なお、アルゴン雰囲気に代えて窒素、ヘリウムなどを用いてもよい。また、アルゴン雰囲気に酸素、NOなどを加えた雰囲気で行ってもよい。また、アルゴン雰囲気にCl、CFなどを加えた雰囲気で行ってもよい。
【0074】
酸化物半導体膜130の形成後に脱水化または脱水素化のための加熱処理を行っても酸化物半導体膜を非晶質な状態とするため、膜厚を50nm以下と薄くすることが好ましい。酸化物半導体膜の膜厚を薄くすることで酸化物半導体層の形成後に加熱処理した場合に、結晶化してしまうのを抑制することができる。
【0075】
酸化物半導体膜130は、In−Ga−Zn−O系非単結晶膜、In−Sn−Zn−O系、In−Al−Zn−O系、Sn−Ga−Zn−O系、Al−Ga−Zn−O系、Sn−Al−Zn−O系、In−Zn−O系、Sn−Zn−O系、Al−Zn−O系、In−O系、Sn−O系、Zn−O系の酸化物半導体膜を用いる。本実施の形態では、In−Ga−Zn−O系酸化物半導体ターゲットを用いてスパッタリング法により成膜する。また、酸化物半導体膜130は、希ガス(代表的にはアルゴン)雰囲気下、酸素雰囲気下、又は希ガス(代表的にはアルゴン)及び酸素雰囲気下においてスパッタリング法により形成することができる。また、スパッタリング法を用いる場合、SiOを2重量%以上10重量%以下含むターゲットを用いて成膜を行い、酸化物半導体膜130に結晶化を阻害するSiOx(x>0)を含ませ、後の工程で行う脱水化または脱水素化のための加熱処理の際に結晶化してしまうのを抑制することが好ましい。
【0076】
ここでは、In、Ga、及びZnを含む酸化物半導体ターゲット(In:Ga:ZnO=1:1:1[mol%]、In:Ga:Zn=1:1:0.5[at%])を用いて、基板とターゲットの間との距離を100mm、圧力0.2Pa、直流(DC)電源0.5kW、アルゴン及び酸素(アルゴン:酸素=30sccm:20sccm、酸素流量比率40%)雰囲気下で成膜する。なお、パルス直流(DC)電源を用いると、ごみが軽減でき、膜厚分布も均一となるために好ましい。In−Ga−Zn−O系非単結晶膜の膜厚は、5nm以上200nm以下とする。本実施の形態では、酸化物半導体膜として、In−Ga−Zn−O系酸化物半導体ターゲットを用いてスパッタリング法により膜厚20nmのIn−Ga−Zn−O系非単結晶膜を成膜する。
【0077】
スパッタリング法にはスパッタリング用電源に高周波電源を用いるRFスパッタリング法と、DCスパッタリング法があり、さらにパルス的にバイアスを与えるパルスDCスパッタリング法もある。RFスパッタリング法は主に絶縁膜を成膜する場合に用いられ、DCスパッタリング法は主に金属膜を成膜する場合に用いられる。
【0078】
また、材料の異なるターゲットを複数設置できる多元スパッタリング装置もある。多元スパッタリング装置は、同一チャンバーで異なる材料膜を積層成膜することも、同一チャンバーで複数種類の材料を同時に放電させて成膜することもできる。
【0079】
また、チャンバー内部に磁石機構を備えたマグネトロンスパッタリング法を用いるスパッタリング装置や、グロー放電を使わずマイクロ波を用いて発生させたプラズマを用いるECRスパッタリング法を用いるスパッタリング装置がある。
【0080】
また、スパッタリング法を用いる成膜方法として、成膜中にターゲット物質とスパッタリングガス成分とを化学反応させてそれらの化合物薄膜を形成するリアクティブスパッタリング法や、成膜中に基板にも電圧をかけるバイアススパッタリング法もある。
【0081】
次に、酸化物半導体膜130上に第2のフォトリソグラフィ工程を行い、レジストマスク137を形成し、エッチングにより酸化物半導体膜130及びゲート絶縁層102の不要な部分を除去して、ゲート絶縁層102に、第1の端子121に達するコンタクトホール119と、導電層162に達するコンタクトホール118を形成する(図2(C)参照。)。
【0082】
このように、酸化物半導体膜130をゲート絶縁層102全面に積層した状態で、ゲート絶縁層102にコンタクトホールを形成する工程を行うと、ゲート絶縁層102表面にレジストマスクが直接接しないため、ゲート絶縁層102表面の汚染(不純物等の付着など)を防ぐことができる。よって、ゲート絶縁層102と酸化物半導体膜130との界面状態を良好とすることができるため、信頼性向上につながる。
【0083】
ゲート絶縁層に直接レジストパターンを形成してコンタクトホールの開口を行っても良い。その場合には、レジストを剥離した後で加熱処理を行い、ゲート絶縁膜表面の脱水化、脱水素化、脱水酸基化の処理を行うことが好ましい。例えば、不活性ガス雰囲気(窒素、またはヘリウム、ネオン、アルゴン等)下、酸素雰囲気下において加熱処理(400℃以上750℃以下)を行い、ゲート絶縁層内に含まれる水素及び水などの不純物を除去すればよい。
【0084】
次いで、レジストマスク137を除去し、酸化物半導体膜130を第3のフォトリソグラフィ工程により形成したレジストマスク135a、135bを用いてエッチングして、島状の酸化物半導体層131、132を形成する(図3(A)参照。)。また、島状の酸化物半導体層を形成するためのレジストマスク135a、135bをインクジェット法で形成してもよい。レジストマスクをインクジェット法で形成するとフォトマスクを使用しないため、製造コストを低減できる。
【0085】
次いで、酸化物半導体層131、132の脱水化または脱水素化を行い、脱水化または脱水素化された酸化物半導体層133、134を形成する(図3(B)参照。)。脱水化または脱水素化を行う第1の加熱処理の温度は、400℃以上750℃以下、好ましくは425℃以上750℃以下とする。なお、425℃以上であれば加熱処理時間は1時間以下でよいが、425℃未満であれば加熱処理時間は、1時間よりも長時間行うこととする。ここでは、加熱処理装置の一つである電気炉に基板を導入し、酸化物半導体層に対して窒素雰囲気下において加熱処理を行った後、大気に触れることなく、酸化物半導体層への水や水素の再混入を防ぎ、酸化物半導体層133、134を得る。本実施の形態では、酸化物半導体層の脱水化または脱水素化を行う加熱温度Tから、再び水が入らないような十分な温度まで同じ炉を用い、具体的には加熱温度Tよりも100℃以上下がるまで窒素雰囲気下で徐冷する。また、窒素雰囲気に限定されず、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガス雰囲気下において脱水化または脱水素化を行う。
【0086】
酸化物半導体層を400℃から700℃の温度で加熱処理することで、酸化物半導体層の脱水化、脱水素化が図られ、その後の水(HO)の再含浸を防ぐことができる。
【0087】
なお、加熱処理装置は電気炉に限られず、例えば、GRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)装置、LRTA(Lamp Rapid Thermal Anneal)装置等のRTA(Rapid Thermal Anneal)装置を用いることができる。LRTA装置は、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧水銀ランプなどのランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する装置である。また、LRTA装置は、ランプだけでなく、抵抗発熱体などの発熱体からの熱伝導または熱輻射によって、被処理物を加熱する装置を備えていてもよい。GRTAとは高温のガスを用いて加熱処理を行う方法である。ガスには、アルゴンなどの希ガス、または窒素のような、加熱処理によって被処理物と反応しない不活性気体が用いられる。RTA法を用いて、600℃〜750℃で数分間加熱処理を行ってもよい。
【0088】
なお、第1の加熱処理においては、窒素、またはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスに、水、水素などが含まれないことが好ましい。特に酸化物半導体層に対して、400℃〜750℃で行われる脱水化、脱水素化の加熱処理は、HOが20ppm以下の窒素雰囲気で行うことが好ましい。または、加熱処理装置に導入する窒素、またはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上、好ましくは7N(99.99999%)以上、(即ち不純物濃度を1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。
【0089】
また、第1の加熱処理の条件、または酸化物半導体層の材料によっては、結晶化し、微結晶膜または多結晶膜となる場合もある。例えば、結晶化率が90%以上、または80%以上の微結晶の酸化物半導体膜となる場合もある。また、第1の加熱処理の条件、または酸化物半導体膜の材料によっては、結晶成分を含まない非晶質の酸化物半導体膜となる場合もある。
【0090】
また、酸化物半導体層の第1の加熱処理は、島状の酸化物半導体層131、132に加工する前の酸化物半導体膜130に行うこともできる。その場合には、第1の加熱処理後に、加熱装置から基板を取り出し、フォトリソグラフィ工程を行う。
【0091】
酸化物半導体層に対する脱水化、脱水素化の加熱処理は、酸化物半導体層成膜後、酸化物半導体層上にソース電極及びドレイン電極を積層させた後、ソース電極及びドレイン電極上にパッシベーション膜を形成した後、のいずれで行っても良い。
【0092】
また、図2(C)に示すようなゲート絶縁層102にコンタクトホール118、119を形成する工程を、酸化物半導体膜130に脱水化または脱水素化処理を行った後に行ってもよい。
【0093】
なお、ここでの酸化物半導体膜のエッチングは、ウェットエッチングに限定されずドライエッチングを用いてもよい。
【0094】
ドライエッチングに用いるエッチングガスとしては、塩素を含むガス(塩素系ガス、例えば塩素(Cl)、塩化硼素(BCl)、塩化珪素(SiCl)、四塩化炭素(CCl)など)が好ましい。
【0095】
また、フッ素を含むガス(フッ素系ガス、例えば四弗化炭素(CF)、弗化硫黄(SF)、弗化窒素(NF)、トリフルオロメタン(CHF)など)、臭化水素(HBr)、酸素(O)、これらのガスにヘリウム(He)やアルゴン(Ar)などの希ガスを添加したガス、などを用いることができる。
【0096】
ドライエッチング法としては、平行平板型RIE(Reactive Ion Etching)法や、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用いることができる。所望の加工形状にエッチングできるように、エッチング条件(コイル型の電極に印加される電力量、基板側の電極に印加される電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節する。
【0097】
ウェットエッチングに用いるエッチング液としては、燐酸と酢酸と硝酸を混ぜた溶液、アンモニア過水(31重量%過酸化水素:28重量%アンモニア水:水=5:2:2)などを用いることができる。また、ITO07N(関東化学社製)を用いてもよい。
【0098】
また、ウェットエッチング後のエッチング液はエッチングされた材料とともに洗浄によって除去される。その除去された材料を含むエッチング液の廃液を精製し、含まれる材料を再利用してもよい。当該エッチング後の廃液から酸化物半導体層に含まれるインジウム等の材料を回収して再利用することにより、資源を有効活用し低コスト化することができる。
【0099】
所望の加工形状にエッチングできるように、材料に合わせてエッチング条件(エッチング液、エッチング時間、温度等)を適宜調節する。
【0100】
次に、酸化物半導体層133、134上に金属材料からなる金属導電膜をスパッタリング法や真空蒸着法で形成する。
【0101】
金属導電膜の材料としては、Al、Cr、Cu、Ta、Ti、Mo、Wからから選ばれた元素、または上述した元素を成分とする合金か、上述した元素を組み合わせた合金膜等が挙げられる。また、金属導電膜は、単層構造でも、2層以上の積層構造としてもよい。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する2層構造、Ti膜と、そのTi膜上に重ねてアルミニウム膜を積層し、さらにその上にTi膜を成膜する3層構造などが挙げられる。また、Alに、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、ネオジム(Nd)、スカンジウム(Sc)から選ばれた元素を単数、又は複数組み合わせた膜、合金膜、もしくは窒化膜を用いてもよい。
【0102】
金属導電膜後に加熱処理を行う場合には、この加熱処理に耐える耐熱性を金属導電膜に持たせることが好ましい。
【0103】
次に、第4のフォトリソグラフィ工程を行い、レジストマスク136a、136b、136c、136d、136e、136f、136gを形成し、金属導電膜のエッチングにより不要な部分を除去してソース電極層105a、ドレイン電極層105b、ソース電極層165a、ドレイン電極層165b、容量電極層149、接続電極120、及び第2の端子122を形成する(図3(C)参照。)。
【0104】
なお、金属導電膜のエッチングの際に、酸化物半導体層133、134は除去されないようにそれぞれの材料及びエッチング条件を適宜調節する。
【0105】
本実施の形態では、金属導電膜としてTi膜を用いて、酸化物半導体層133、134にはIn−Ga−Zn−O系酸化物を用いて、酸化物半導体層133、134のエッチング液として、アンモニア過水(31重量%過酸化水素:28重量%アンモニア水:水=5:2:2)などを用いる。
【0106】
この第4のフォトリソグラフィ工程において、ソース電極層105a、165a、ドレイン電極層105b、165bと同じ材料である、接続電極120、第2の端子122をそれぞれ端子部に形成する。なお、第2の端子122はソース配線(ソース電極層105a、165aを含むソース配線)と電気的に接続されている。また、接続電極120はコンタクトホール119において第1の端子121と接して形成され電気的に接続する。
【0107】
なお、ソース電極層及びドレイン電極層を形成するためのレジストマスク136a、136b、136c、136d、136e、136f、136gをインクジェット法で形成してもよい。レジストマスクをインクジェット法で形成するとフォトマスクを使用しないため、製造コストを低減できる。
【0108】
次に、レジストマスク136a、136b、136c、136d、136e、136f、136gを除去し、酸化物半導体層133、134に接する保護絶縁膜となる酸化物絶縁膜107を形成する。
【0109】
この段階で、酸化物半導体層133、134は、酸化物絶縁膜と接する領域が形成され、この領域のうち、ゲート電極層とゲート絶縁層を介して酸化物絶縁膜107と重なる領域がチャネル形成領域となる。
【0110】
酸化物絶縁膜107は、少なくとも1nm以上の膜厚とし、スパッタリング法など、酸化物絶縁膜107に水、水素等の不純物を混入させない方法を適宜用いて形成することができる。本実施の形態では、酸化物絶縁膜107として膜厚300nmの酸化珪素膜をスパッタリング法を用いて成膜する。成膜時の基板温度は、室温以上300℃以下とすればよく、本実施の形態では室温とする。酸化珪素膜のスパッタリング法による成膜は、希ガス(代表的にはアルゴン)雰囲気下、酸素雰囲気下、または希ガス(代表的にはアルゴン)及び酸素雰囲気下において行うことができる。また、ターゲットとして酸化珪素ターゲットまたは珪素ターゲットを用いることができる。例えば、珪素ターゲットを用いて、酸素雰囲気下でスパッタリング法により酸化珪素を形成することができる。低抵抗化した酸化物半導体層に接して形成する酸化物絶縁膜は、水分や、水素イオンや、OHなどの不純物を含まず、これらが外部から侵入することをブロックする無機絶縁膜を用い、代表的には酸化珪素膜、窒化酸化珪素膜、酸化アルミニウム膜、または酸化窒化アルミニウムなどを用いる。
【0111】
次いで、不活性ガス雰囲気下、または窒素ガス雰囲気下で第2の加熱処理(好ましくは200℃以上400℃以下、例えば250℃以上350℃以下)を行う。例えば、窒素雰囲気下で250℃、1時間の第2の加熱処理を行う。第2の加熱処理を行うと、酸化物絶縁膜107と重なる酸化物半導体層133、134の一部が酸化物絶縁膜107と接した状態で加熱される。
【0112】
以上の工程を経ることによって、成膜後の酸化物半導体層に対して脱水化または脱水素化のための加熱処理を行って低抵抗化した後、酸化物半導体層の一部を選択的に酸素過剰な状態とする。
【0113】
その結果、酸化物半導体層133において、ゲート電極層161と重なるチャネル形成領域166は、I型となり、ソース電極層165aに重なる高抵抗ソース領域167aと、ドレイン電極層165bに重なる高抵抗ドレイン領域167bとが自己整合的に形成され、酸化物半導体層163が形成される。同様に、酸化物半導体層134において、ゲート電極層101と重なるチャネル形成領域116は、I型となり、ソース電極層105aに重なる高抵抗ソース領域117aと、ドレイン電極層105bに重なる高抵抗ドレイン領域117bとが自己整合的に形成され、酸化物半導体層103が形成される。
【0114】
なお、ドレイン電極層105b、165b(及びソース電極層105a、165a)と重畳した酸化物半導体層103、163において高抵抗ドレイン領域117b、167b(又は高抵抗ソース領域117a、167a)を形成することにより、回路を形成した際の信頼性の向上を図ることができる。具体的には、高抵抗ドレイン領域117b、167bを形成することで、ドレイン電極層105b、165bから高抵抗ドレイン領域117b、167b、チャネル形成領域116、166にかけて、導電性を段階的に変化させうるような構造とすることができる。そのため、ドレイン電極層105b、165bに高電源電位VDDを供給する配線に接続して動作させる場合、ゲート電極層101、161とドレイン電極層105b、165bとの間に高電界が印加されても高抵抗ドレイン領域がバッファとなり局所的な高電界が印加されず、トランジスタの耐圧を向上させた構成とすることができる。
【0115】
また、ドレイン電極層105b、165b(及びソース電極層105a、165a)と重畳した酸化物半導体層103、163において高抵抗ドレイン領域117b、167b(又は高抵抗ソース領域117a、167a)を形成することにより、回路を形成した際のチャネル形成領域116、166でのリーク電流の低減を図ることができる。
【0116】
本実施の形態では、スパッタリング法により、酸化物絶縁膜107として酸化珪素膜を形成した後、250℃〜350℃の加熱処理をして、ソース領域とドレイン領域の間の酸化物半導体層の露出部分(チャネル形成領域)より、酸化物半導体層中へ酸素を含侵、拡散を行う。スパッタリング法で酸化珪素膜を作製することで、当該酸化珪素膜中に過剰な酸素を含ませることができ、その酸素を加熱処理により、酸化物半導体層中に含侵、拡散させることができる。酸化物半導体層中への酸素の含侵、拡散によりチャネル領域を高抵抗化(I型化)を図ることができる。それにより、ノーマリーオフとなる薄膜トランジスタを得ることができる。
【0117】
また、酸化物半導体層における高抵抗ソース領域又は高抵抗ドレイン領域は、酸化物半導体層の膜厚が15nm以下と薄い場合は膜厚方向全体にわたって形成されるが、酸化物半導体層の膜厚が30nm以上50nm以下とより厚い場合は、酸化物半導体層の一部、ソース電極層又はドレイン電極層と接する領域及びその近傍が低抵抗化し高抵抗ソース領域又は高抵抗ドレイン領域が形成され、酸化物半導体層においてゲート絶縁膜に近い領域はI型とすることもできる。
【0118】
酸化物絶縁膜107上にさらに保護絶縁層を形成してもよい。例えば、RFスパッタリング法を用いて窒化珪素膜を形成する。RFスパッタリング法は、量産性がよいため、保護絶縁層の成膜方法として好ましい。保護絶縁層は、水分や、水素イオンや、OHなどの不純物を含まず、これらが外部から侵入することをブロックする無機絶縁膜を用い、窒化珪素膜、窒化アルミニウム膜、窒化酸化珪素膜、酸化窒化アルミニウムなどを用いる。本実施の形態では、保護絶縁層として保護絶縁層106を窒化珪素膜を用いて形成する。(図4(A)参照。)。
【0119】
以上の工程により、同一基板上において、駆動回路部に薄膜トランジスタ180、画素部に薄膜トランジスタ170、容量147を作製することができる。薄膜トランジスタ170、180は、高抵抗ソース領域、高抵抗ドレイン領域、及びチャネル形成領域を含む酸化物半導体層を含むボトムゲート型薄膜トランジスタである。よって、薄膜トランジスタ170、180は、高電界が印加されても高抵抗ドレイン領域または高抵抗ソース領域がバッファとなり局所的な高電界が印加されず、トランジスタの耐圧を向上させた構成となっている。
【0120】
容量147は、容量部におけるゲート絶縁層102を誘電体として、容量配線層108と容量電極層149とで形成される。
【0121】
同一基板上に駆動回路と画素部を形成することによって、駆動回路と外部信号との接続配線が短縮でき、発光装置の小型化、低コスト化が可能である。
【0122】
次に、保護絶縁層106上にカラーフィルタ層191を形成する。カラーフィルタ層としては緑色のカラーフィルタ層、青色のカラーフィルタ層、赤色のカラーフィルタ層などを用いることができ、緑色のカラーフィルタ層、青色のカラーフィルタ層、赤色のカラーフィルタ層を順次形成する。各カラーフィルタ層は、印刷法、インクジェット法、フォトリソグラフィ技術を用いたエッチング方法などでそれぞれ形成する。カラーフィルタ層を設けることによって、封止基板の貼り合わせ精度に依存することなくカラーフィルタ層と発光素子の発光領域との位置合わせを行うことができる。本実施の形態では第5、第6、第7のフォトリソグラフィ工程を行い、各緑色のカラーフィルタ層、青色のカラーフィルタ層、赤色のカラーフィルタ層を形成する。
【0123】
次いで、カラーフィルタ層(緑色のカラーフィルタ層、青色のカラーフィルタ層、及び赤色のカラーフィルタ層)を覆うオーバーコート層192を形成する。オーバーコート層192は透光性を有する樹脂を用いる。本実施の形態では第8のフォトリソグラフィ工程を行い、オーバーコート層192を形成する。
【0124】
ここではRGBの3色を用いてフルカラー表示する例を示したが、特に限定されず、RGBWの4色を用いてフルカラー表示を行ってもよい。
【0125】
次いで、オーバーコート層192及び保護絶縁層106を覆う保護絶縁層109を形成する(図4(B)参照。)。保護絶縁層109は、無機絶縁膜を用い、窒化珪素膜、窒化アルミニウム膜、窒化酸化珪素膜、酸化窒化アルミニウムなどを用いる。保護絶縁層109としては、保護絶縁層106と同じ組成の絶縁膜とすると、後のコンタクトホール形成の際に1回の工程でエッチングすることができるため、好ましい。
【0126】
次に、第9のフォトリソグラフィ工程を行い、レジストマスクを形成し、酸化物絶縁膜107、保護絶縁層106、保護絶縁層109のエッチングにより、ドレイン電極層105bに達するコンタクトホール125を形成し、レジストマスクを除去する(図5(A)参照。)。また、ここでのエッチングにより第2の端子122に達するコンタクトホール127、接続電極120に達するコンタクトホール126も形成する。また、該コンタクトホールを形成するためのレジストマスクをインクジェット法で形成してもよい。レジストマスクをインクジェット法で形成するとフォトマスクを使用しないため、製造コストを低減できる。
【0127】
次いで、透光性を有する導電膜を成膜する。透光性を有する導電膜の材料としては、酸化インジウム(In)や酸化インジウム酸化スズ合金(In―SnO、ITOと略記する)などをスパッタリング法や真空蒸着法などを用いて形成する。透光性を有する導電膜の他の材料として、窒素を含ませたAl−Zn−O系非単結晶膜、即ちAl−Zn−O−N系非単結晶膜や、窒素を含ませたZn−O系非単結晶膜や、窒素を含ませたSn−Zn−O系非単結晶膜を用いてもよい。なお、Al−Zn−O−N系非単結晶膜の亜鉛の組成比(原子%)は、47原子%以下とし、非単結晶膜中のアルミニウムの組成比(原子%)より大きく、非単結晶膜中のアルミニウムの組成比(原子%)は、非単結晶膜中の窒素の組成比(原子%)より大きい。このような材料のエッチング処理は塩酸系の溶液により行う。しかし、特にITOのエッチングは残渣が発生しやすいので、エッチング加工性を改善するために酸化インジウム酸化亜鉛合金(In―ZnO)を用いても良い。
【0128】
なお、透光性を有する導電膜の組成比の単位は原子%とし、電子線マイクロアナライザー(EPMA:Electron Probe X−ray MicroAnalyzer)を用いた分析により評価するものとする。
【0129】
次に、第10のフォトリソグラフィ工程を行い、レジストマスクを形成し、エッチングにより透光性を有する導電膜の不要な部分を除去して第1の電極層110、導電層111、端子電極128、129を形成し、レジストマスクを除去する。
【0130】
ゲート絶縁層102を誘電体とし容量配線層108と容量電極層149とで形成される容量147も同一基板上に形成することができる。また、発光装置において、容量電極層149は、電源供給線の一部であり、容量配線層108は、駆動TFTのゲート電極層の一部である。
【0131】
端子部に形成された端子電極128、129はFPCとの接続に用いられる電極または配線となる。第1の端子121上に接続電極120を介して形成された端子電極128は、ゲート配線の入力端子として機能する接続用の端子電極となる。第2の端子122上に形成された端子電極129は、ソース配線の入力端子として機能する接続用の端子電極である。
【0132】
また、図11(A1)、図11(A2)は、この段階でのゲート配線端子部の断面図及び上面図をそれぞれ図示している。図11(A1)は図11(A2)中のC1−C2線に沿った断面図に相当する。図11(A1)において、酸化物絶縁膜107上に形成される導電膜155は、入力端子として機能する接続用の端子電極である。また、図11(A1)において、端子部では、ゲート配線と同じ材料で形成される第1の端子151と、ソース配線と同じ材料で形成される接続電極153とがゲート絶縁層102を介して重なり直接接して導通させている。また、接続電極153と導電膜155が酸化物絶縁膜107に設けられたコンタクトホールを介して直接接して導通させている。
【0133】
また、図11(B1)、及び図11(B2)は、ソース配線端子部の断面図及び上面図をそれぞれ図示している。また、図11(B1)は図11(B2)中のD1−D2線に沿った断面図に相当する。図11(B1)において、酸化物絶縁膜107上に形成される導電膜155は、入力端子として機能する接続用の端子電極である。また、図11(B1)において、端子部では、ゲート配線と同じ材料で形成される電極156が、ソース配線と電気的に接続される第2の端子150の下方にゲート絶縁層102を介して重なる。電極156は第2の端子150とは電気的に接続しておらず、電極156を第2の端子150と異なる電位、例えばフローティング、GND、0Vなどに設定すれば、ノイズ対策のための容量または静電気対策のための容量を形成することができる。また、第2の端子150は、酸化物絶縁膜107を介して導電膜155と電気的に接続している。
【0134】
ゲート配線、ソース配線、及び容量配線は画素密度に応じて複数本設けられるものである。また、端子部においては、ゲート配線と同電位の第1の端子、ソース配線と同電位の第2の端子、容量配線と同電位の第3の端子などが複数並べられて配置される。それぞれの端子の数は、それぞれ任意な数で設ければ良いものとし、実施者が適宣決定すれば良い。
【0135】
薄膜トランジスタと保持容量を個々の画素に対応してマトリクス状に配置して画素部を構成し、アクティブマトリクス型の表示装置を作製するための一方の基板とすることができる。本明細書では便宜上このような基板をアクティブマトリクス基板と呼ぶ。
【0136】
導電層111を酸化物半導体層のチャネル形成領域166と重なる位置に設けることによって、薄膜トランジスタの信頼性を調べるためのバイアス−熱ストレス試験(以下、BT試験という)において、BT試験前後における薄膜トランジスタ180のしきい値電圧の変化量を低減することができる。また、導電層111は、電位がゲート電極層161と同じでもよいし、異なっていても良く、第2のゲート電極層として機能させることもできる。また、導電層111の電位がGND、0V、或いはフローティング状態であってもよい。
【0137】
次いで、第1の電極層110の周縁部を覆うように隔壁193を形成する。隔壁193は、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、エポキシ等の有機樹脂膜、無機絶縁膜またはシロキサン系樹脂を用いて形成する。
【0138】
なおシロキサン系樹脂とは、シロキサン系材料を出発材料として形成されたSi−O−Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサン系樹脂は置換基としては有機基(例えばアルキル基やアリール基)やフルオロ基を用いても良い。また、有機基はフルオロ基を有していても良い。
【0139】
隔壁193としては、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)等も用いることができる。なお、これらの材料で形成される絶縁膜を複数積層させることで、隔壁193を形成してもよい。
【0140】
隔壁193の形成法は、特に限定されず、その材料に応じて、スパッタリング法、SOG法、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、液滴吐出法(インクジェット法、スクリーン印刷、オフセット印刷等)、ドクターナイフ、ロールコーター、カーテンコーター、ナイフコーター等を用いることができる。また、発光装置に用いる他の絶縁層として隔壁193の例として示した上記材料及び方法を用いてもよい。
【0141】
隔壁193は、特に感光性の樹脂材料を用い、第1の電極層110上に開口部を形成し、その開口部の側壁が連続した曲率を持って形成される傾斜面となるように形成するとよい。隔壁193として感光性の樹脂材料を用いる場合、レジストマスクを形成する工程を省略することができる。本実施の形態では第11のフォトリソグラフィ工程を行い、隔壁193を形成する。
【0142】
第1の電極層110上にEL層194を形成し、EL層194上に第2の電極層195を形成して発光素子を形成する。なお、第2の電極層195は、共通電位線と電気的に接続する。第2の電極層195は様々な材料を用いることができるが、仕事関数が小さい材料、例えば、具体的には、LiやCs等のアルカリ金属、およびMg、Ca、Sr等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(Mg:Ag、Al:Liなど)の他、YbやEr等の希土類金属等が好ましい。本実施の形態では、第2の電極層195としてアルミニウム膜を用いる。
【0143】
こうして11回のフォトリソグラフィ工程により、11枚のフォトマスクを使用して、薄膜トランジスタ180を有する駆動回路部、薄膜トランジスタ170、及び発光素子を有する画素部、保持容量を有する容量147、及び外部取り出し端子部を有する図1に示す本実施の形態の発光装置を作製することができる。
【0144】
また、本実施の形態では、酸化物絶縁膜107、保護絶縁層106、及び保護絶縁層109へのコンタクトホールの形成を一回のフォトリソグラフィ工程で行う例を示すが、異なるフォトマスクを用いて複数のフォトリソグラフィ工程にわけて行ってもよい。例えば、層間絶縁層となる酸化物絶縁膜107及び保護絶縁層106に先に第5のフォトリソグラフィ工程を行ってコンタクトホールを形成し、第6乃至第9のフォトリソグラフィ工程によって、RGBのカラーフィルタ層、オーバーコート層を形成した後、さらに第10のフォトリソグラフィ工程を行って保護絶縁層109へのコンタクトホールの形成を行ってもよい。この場合、フォトリソグラフィ工程及びフォトマスク数は1つ増加し、発光装置の作製は12回のフォトリソグラフィ工程及び12枚のフォトマスクを用いることとなる。
【0145】
なお、前述のフォトリソグラフィ工程において、透過した光が複数の強度となる露光マスクである多階調マスクによって形成されたマスク層を用いてエッチング工程を行っても良い。
【0146】
多階調マスクを用いて形成したマスク層は複数の膜厚を有する形状となり、マスク層に対してエッチングを行うことでさらに形状を変形することができるため、異なるパターンに加工する複数のエッチング工程に用いることができる。よって、一枚の多階調マスクによって、少なくとも二種類以上の異なるパターンに対応するマスク層を形成することができる。よって露光マスク数を削減することができ、対応するフォトリソグラフィ工程も削減できるため、工程の簡略化が可能となる。
【0147】
また、発光装置を作製する場合、駆動用TFTのソース電極層と電気的に接続する電源供給線を設け、その電源供給線は、ゲート配線と交差し、かつソース配線と交差し、且つ、ゲート電極層と同じ材料、同じ工程で形成する。
【0148】
また、発光装置を作製する場合、発光素子の一方の電極は駆動用TFTのドレイン電極層と電気的に接続させ、発光素子のもう一方の電極と電気的に接続する共通電位線を設ける。なお、その共通電位線は、ゲート電極層と同じ材料、同じ工程で形成することができる。
【0149】
また、発光装置を作製する場合、1つの画素に複数の薄膜トランジスタを有し、一方の薄膜トランジスタのゲート電極層ともう一方のドレイン電極層とを接続する接続部が設けられる。
【0150】
酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタで形成することにより、製造コストを低減することができる。特に、上記方法によって、酸化物半導体層に接して酸化物絶縁膜を形成することによって、安定した電気特性を有する薄膜トランジスタを作製し、提供することができる。よって、電気特性が良好で信頼性のよい薄膜トランジスタを有する発光装置を提供することができる。
【0151】
チャネル形成領域の半導体層は高抵抗化領域であるので、薄膜トランジスタの電気特性は安定化し、オフ電流の増加などを防止することができる。よって、電気特性が良好で信頼性のよい薄膜トランジスタを有する発光装置とすることが可能となる。
【0152】
また、薄膜トランジスタは静電気などにより破壊されやすいため、画素部または駆動回路と同一基板上に保護回路を設けることが好ましい。保護回路は、酸化物半導体層を用いた非線形素子を用いて構成することが好ましい。例えば、保護回路は画素部と、走査線入力端子及び信号線入力端子との間に配設されている。本実施の形態では複数の保護回路を配設して、走査線、信号線及び容量バス線に静電気等によりサージ電圧が印加され、画素トランジスタなどが破壊されないように構成されている。そのため、保護回路にはサージ電圧が印加されたときに、共通配線に電荷を逃がすように構成する。また、保護回路は、走査線に対して並列に配置された非線形素子によって構成されている。非線形素子は、ダイオードのような二端子素子又はトランジスタのような三端子素子で構成される。例えば、画素部の薄膜トランジスタ170と同じ工程で形成することも可能であり、例えばゲート端子とドレイン端子を接続することによりダイオードと同様の特性を持たせることができる。
【0153】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0154】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1において、酸化物半導体層とソース電極層又はドレイン電極層との間に、ソース領域及びドレイン領域として酸化物導電層を設ける例を図6及び図7に示す。従って、他は実施の形態1と同様に行うことができ、実施の形態1と同一部分又は同様な機能を有する部分、及び工程の繰り返しの説明は省略する。また、図6及び図7は、図1乃至図5と工程が一部異なる点以外は同じであるため、同じ箇所には同じ符号を用い、同じ箇所の詳細な説明は省略する。
【0155】
まず、実施の形態1に従って、実施の形態1における図3(B)の工程まで行う。図6(A)は、図3(B)と同一である。
【0156】
脱水化または脱水素化された酸化物半導体層133、134上に酸化物導電膜140を形成し、酸化物導電膜140上に金属導電材料からなる金属導電膜を積層する。
【0157】
酸化物導電膜140の成膜方法は、スパッタリング法や真空蒸着法(電子ビーム蒸着法など)や、アーク放電イオンプレーティング法や、スプレー法を用いる。酸化物導電膜140の材料としては、酸化亜鉛を成分として含むものが好ましく、酸化インジウムを含まないものであることが好ましい。そのような酸化物導電膜140として、酸化亜鉛、酸化亜鉛アルミニウム、酸窒化亜鉛アルミニウム、酸化亜鉛ガリウムなどを適用することができる。膜厚は50nm以上300nm以下の範囲内で適宜選択する。また、スパッタリング法を用いる場合、SiOを2重量%以上10重量%以下含むターゲットを用いて成膜を行い、酸化物導電膜に結晶化を阻害するSiOx(X>0)を含ませ、後の工程で行う脱水化または脱水素化のための加熱処理の際に結晶化してしまうのを抑制することが好ましい。
【0158】
次に、第4のフォトリソグラフィ工程を行い、レジストマスク136a、136b、136c、136d、136e、136f、136gを形成し、エッチングにより金属導電膜の不要な部分を除去してソース電極層105a、ドレイン電極層105b、ソース電極層165a、ドレイン電極層165b、容量電極層149、接続電極120、及び第2の端子122を形成する(図6(B)参照。)。
【0159】
なお、金属導電膜のエッチングの際に、酸化物導電膜140及び酸化物半導体層133、134も除去されないようにそれぞれの材料及びエッチング条件を適宜調節する。
【0160】
次に、レジストマスク136a、136b、136c、136d、136e、136f、136gを除去し、ソース電極層105a、ドレイン電極層105b、ソース電極層165a、ドレイン電極層165bをマスクとして、酸化物導電膜140をエッチングし、酸化物導電層164a、164b、酸化物導電層104a、104b、容量電極層185を形成する(図6(C)参照。)。酸化亜鉛を成分とする酸化物導電膜140は、例えばレジストの剥離液のようなアルカリ性溶液を用いて容易にエッチングすることができる。また同工程で、端子部にも酸化物導電層138、139が形成される。
【0161】
酸化物半導体層と酸化物導電層のエッチング速度の差を利用して、チャネル領域を形成するために酸化物導電層を分割するためのエッチング処理を行う。酸化物導電層のエッチング速度が酸化物半導体層と比較して速いことを利用して、酸化物半導体層上の酸化物導電層を選択的にエッチングする。
【0162】
よって、レジストマスク136a、136b、136c、136d、136e、136f、136gの除去は、アッシング工程によって除去することが好ましい。剥離液を用いたエッチングの場合は、酸化物導電膜140及び酸化物半導体層133、134が過剰にエッチングされないように、エッチング条件(エッチャントの種類、濃度、エッチング時間)を適宜調整する。
【0163】
本実施の形態のように、酸化物半導体層を島状にエッチングした後に、酸化物導電膜と金属導電膜を積層させて、同一マスクでソース電極層及びドレイン電極層を含む配線パターンをエッチングすることにより、金属導電膜の配線パターンの下に、酸化物導電膜を残存させることができる。
【0164】
ゲート配線(導電層162)とソース配線(ドレイン電極層165b)のコンタクトにおいても、ソース配線の下層に酸化物導電層164bが形成されていることにより、バッファとなり、厚さ分の直列抵抗のみであり、金属とは絶縁性の酸化物を作らないので好ましい
【0165】
酸化物半導体層133、134に接する保護絶縁膜となる酸化物絶縁膜107を形成する。本実施の形態では、酸化物絶縁膜107として膜厚300nmの酸化珪素膜を、スパッタリング法を用いて成膜する。
【0166】
次いで、不活性ガス雰囲気下、または窒素ガス雰囲気下で第2の加熱処理(好ましくは200℃以上400℃以下、例えば250℃以上350℃以下)を行う。例えば、窒素雰囲気下で250℃、1時間の第2の加熱処理を行う。第2の加熱処理を行うと、酸化物絶縁膜107と重なる酸化物半導体層133、134の一部が酸化物絶縁膜107と接した状態で加熱される。
【0167】
以上の工程を経ることによって、成膜後の酸化物半導体層に対して脱水化または脱水素化のための加熱処理を行って低抵抗化した後、酸化物半導体層の一部を選択的に酸素過剰な状態とする。
【0168】
その結果、酸化物半導体層133において、ゲート電極層161と重なるチャネル形成領域166は、I型となり、ソース電極層165a及び酸化物導電層164aに重なる高抵抗ソース領域167aと、ドレイン電極層165b及び酸化物導電層164bに重なる高抵抗ドレイン領域167bとが自己整合的に形成され、酸化物半導体層163が形成される。同様に、酸化物半導体層134において、ゲート電極層101と重なるチャネル形成領域116は、I型となり、ソース電極層105a及び酸化物導電層104aに重なる高抵抗ソース領域117aと、ドレイン電極層105b及び酸化物導電層164bに重なる高抵抗ドレイン領域117bとが自己整合的に形成され、酸化物半導体層103が形成される。
【0169】
酸化物半導体層103、163と金属材料からなるドレイン電極層105b、ドレイン電極層165bの間に設けられる酸化物導電層104b、164bは低抵抗ドレイン領域(LRN(Low Resistance N−type conductivity)領域、LRD(Low Resistance Drain)領域とも呼ぶ)としても機能する。同様に、酸化物半導体層103、163と金属材料からなるソース電極層105a、ソース電極層165aの間に設けられる酸化物導電層104a、164aは低抵抗ソース領域(LRN(Low Resistance N−type conductivity)領域、LRS(Low Resistance Source)領域とも呼ぶ)としても機能する。酸化物半導体層、低抵抗ドレイン領域、金属材料からなるドレイン電極層の構成とすることによって、よりトランジスタの耐圧を向上させることができる。具体的には、低抵抗ドレイン領域のキャリア濃度は、高抵抗ドレイン領域(HRD領域)よりも大きく、例えば1×1020/cm以上1×1021/cm以下の範囲内であると好ましい。
【0170】
以上の工程により、同一基板上において、駆動回路部に薄膜トランジスタ181、画素部に薄膜トランジスタ171を作製することができる。薄膜トランジスタ171、181は、高抵抗ソース領域、高抵抗ドレイン領域、及びチャネル形成領域を含む酸化物半導体層を含むボトムゲート型薄膜トランジスタである。よって、薄膜トランジスタ171、181は、高電界が印加されても高抵抗ドレイン領域または高抵抗ソース領域がバッファとなり局所的な高電界が印加されず、トランジスタの耐圧を向上させた構成となっている。
【0171】
また、容量部において、容量配線層108、ゲート絶縁層102、酸化物導電層104bと同工程で形成される容量電極層185、ドレイン電極層105bと同工程で形成される容量電極層149との積層でなる容量146形成されている。
【0172】
次いで、酸化物絶縁膜107上に保護絶縁層106を形成し、画素部において保護絶縁層106上にカラーフィルタ層191を形成する。カラーフィルタ層191を覆うようにオーバーコート層192を形成し、保護絶縁層106及びオーバーコート層192を覆って保護絶縁層109を形成する。
【0173】
次に、実施の形態1と同様に第9のフォトリソグラフィ工程を行い、レジストマスクを形成し、酸化物絶縁膜107、保護絶縁層106及び保護絶縁層109のエッチングによりドレイン電極層105bに達するコンタクトホール125を形成し、レジストマスクを除去する(図6(D)参照。)。また、ここでのエッチングにより接続電極120に達するコンタクトホール126、第2の端子122に達するコンタクトホール127も形成する。
【0174】
次に、透光性を有する導電膜を成膜し、第10のフォトリソグラフィ工程を行い、レジストマスクを形成し、エッチングにより不要な部分を除去して第1の電極層110、導電層111、端子電極128、129を形成し、レジストマスクを除去する(図7(A)参照。)。
【0175】
実施の形態1と同様に、第11のフォトリソグラフィ工程を行って隔壁193を形成し、第1の電極層110上にEL層194、第2の電極層195を積層して発光素子を有する本実施の形態の発光装置を作製する(図7(B)参照。)。
【0176】
ソース領域及びドレイン領域として、酸化物導電層を酸化物半導体層とソース電極層及びドレイン電極層との間に設けることで、ソース領域及びドレイン領域の低抵抗化を図ることができ、トランジスタの高速動作をすることができる。ソース領域及びドレイン領域として酸化物導電層を用いることは、周辺回路(駆動回路)の周波数特性を向上させるために有効である。金属電極(Ti等)と酸化物半導体層との接触に比べ、金属電極(Ti等)と酸化物導電層との接触は、接触抵抗を下げることができるからである。
【0177】
また、発光装置で配線材料の一部として用いられているモリブデン(Mo)は(例えば、Mo/Al/Mo)、酸化物半導体層との接触抵抗が高くて課題であった。これは、Tiに比べMoは酸化しにくいため酸化物半導体層から酸素を引き抜く作用が弱く、Moと酸化物半導体層の接触界面がn型化しないためである。しかし、かかる場合でも、酸化物半導体層とソース電極層及びドレイン電極層との間に酸化物導電層を介在させることで接触抵抗を低減でき、周辺回路(駆動回路)の周波数特性を向上させることができる。
【0178】
薄膜トランジスタのチャネル長が、酸化物導電層のエッチングの際に決められるため、より短チャネル化ができる。例えば、チャネル長L0.1μm以上2μm以下と短くして、動作速度を高速化することができる。
【0179】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0180】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1又は実施の形態2において、酸化物半導体層とソース電極層又はドレイン電極層との間に、ソース領域及びドレイン領域として酸化物導電層を設ける他の例を図8及び図9に示す。従って、他は実施の形態1又は実施の形態2と同様に行うことができ、実施の形態1又は実施の形態2と同一部分又は同様な機能を有する部分、及び工程の繰り返しの説明は省略する。また、図8及び図9は、図1乃至図7と工程が一部異なる点以外は同じであるため、同じ箇所には同じ符号を用い、同じ箇所の詳細な説明は省略する。
【0181】
まず、実施の形態1に従って、基板100上に金属導電膜を形成し、金属導電膜を第1のフォトリソグラフィ工程により形成したレジストマスクを用いてエッチングし、第1の端子121、ゲート電極層161、導電層162、ゲート電極層101、容量配線層108を形成する。
【0182】
次に、第1の端子121、ゲート電極層161、導電層162、ゲート電極層101、容量配線層108上にゲート絶縁層102を形成し、酸化物半導体膜、酸化物導電膜を積層する。ゲート絶縁層、酸化物半導体膜、及び酸化物導電膜は大気に曝さずに連続的に成膜することができる。
【0183】
酸化物導電膜上に第2のフォトリソグラフィ工程によりレジストマスクを形成する。レジストマスクを用いてゲート絶縁層、酸化物半導体膜、及び酸化物導電膜をエッチングし、第1の端子121に達するコンタクトホール119、導電層162に達するコンタクトホール118を形成する。
【0184】
第2のフォトリソグラフィ工程によるレジストマスクを除去し、次に酸化物導電膜上に第3のフォトリソグラフィ工程によりレジストマスクを形成する。第3のフォトリソグラフィ工程によるレジストマスクを用いて島状の酸化物半導層及び酸化物導電層を形成する。
【0185】
このように、酸化物半導体膜及び酸化物導電膜をゲート絶縁層全面に積層した状態で、ゲート絶縁層にコンタクトホールを形成する工程を行うと、ゲート絶縁層表面にレジストマスクが直接接しないため、ゲート絶縁層表面の汚染(不純物等の付着など)を防ぐことができる。よって、ゲート絶縁層と酸化物半導体膜、酸化物導電膜との界面状態を良好とすることができるため、信頼性向上につながる。
【0186】
次いで、酸化物半導体層及び酸化物導電層を積層させた状態で脱水化、脱水素化の加熱処理を行う。400℃から700℃の温度で加熱処理することで、酸化物半導体層の脱水化、脱水素化が図られ、その後の水(HO)の再含浸を防ぐことができる。
【0187】
この加熱処理により、酸化物導電層に酸化珪素のような結晶化阻害物質が含まれていない限り、酸化物導電層は結晶化する。酸化物導電層の結晶は下地面に対して柱状に成長する。その結果、ソース電極層及びドレイン電極層を形成するために、酸化物導電層の上層の金属導電膜をエッチングする場合、アンダーカットが形成されるのを防ぐことができる。
【0188】
また、酸化物半導体層の脱水化、脱水素化の加熱処理によって、酸化物導電層の導電性を向上させることができる。なお、酸化物導電層のみ酸化物半導体層の加熱処理より低温で加熱処理しても良い。
【0189】
また、酸化物半導体層及び酸化物導電層の第1の加熱処理は、島状の酸化物半導体層及び酸化物導電層に加工する前の酸化物半導体膜及び酸化物導電膜に行うこともできる。その場合には、第1の加熱処理後に、加熱装置から基板を取り出し、フォトリソグラフィ工程を行う。
【0190】
以上の工程で、酸化物半導体層133、134、酸化物導電層142、143が得られる(図8(A)参照。)。酸化物半導体層133及び酸化物導電層142、酸化物半導体層134及び酸化物導電層143はそれぞれ同じマスクを用いて形成された島状の積層である。
【0191】
次に、第4のフォトリソグラフィ工程を行い、レジストマスク136a、136b、136c、136d、136e、136f、136gを形成し、エッチングにより金属導電膜の不要な部分を除去してソース電極層105a、ドレイン電極層105b、ソース電極層165a、ドレイン電極層165b、容量電極層149、接続電極120、及び第2の端子122を形成する(図8(B)参照。)。
【0192】
なお、金属導電膜のエッチングの際に、酸化物導電層142、143及び酸化物半導体層133、134も除去されないようにそれぞれの材料及びエッチング条件を適宜調節する。
【0193】
次に、レジストマスク136a、136b、136c、136d、136e、136f、136gを除去し、ソース電極層105a、ドレイン電極層105b、ソース電極層165a、ドレイン電極層165bをマスクとして、酸化物導電層142、143をエッチングし、酸化物導電層164a、164b、酸化物導電層104a、104bを形成する(図8(C)参照。)。酸化亜鉛を成分とする酸化物導電層142、143は、例えばレジストの剥離液のようなアルカリ性溶液を用いて容易にエッチングすることができる。
【0194】
よって、レジストマスク136a、136b、136c、136d、136e、136f、136gの除去は、アッシング工程によって除去することが好ましい。剥離液を用いたエッチングの場合は、酸化物導電層142、143及び酸化物半導体層133、134が過剰にエッチングされないように、エッチング条件(エッチャントの種類、濃度、エッチング時間)を適宜調整する。
【0195】
酸化物半導体層133、134に接する保護絶縁膜となる酸化物絶縁膜107を形成する。本実施の形態では、酸化物絶縁膜107として膜厚300nmの酸化珪素膜を、スパッタリング法を用いて成膜する。
【0196】
次いで、不活性ガス雰囲気下、または窒素ガス雰囲気下で第2の加熱処理(好ましくは200℃以上400℃以下、例えば250℃以上350℃以下)を行う。例えば、窒素雰囲気下で250℃、1時間の第2の加熱処理を行う。第2の加熱処理を行うと、酸化物絶縁膜107と重なる酸化物半導体層133、134の一部が酸化物絶縁膜107と接した状態で加熱される。
【0197】
以上の工程を経ることによって、成膜後の酸化物半導体層に対して脱水化または脱水素化のための加熱処理を行って低抵抗化した後、酸化物半導体層の一部を選択的に酸素過剰な状態とする。
【0198】
その結果、酸化物半導体層133において、ゲート電極層161と重なるチャネル形成領域166は、I型となり、ソース電極層165a及び酸化物導電層164aに重なる高抵抗ソース領域167aと、ドレイン電極層165b及び酸化物導電層164bに重なる高抵抗ドレイン領域167bとが自己整合的に形成され、酸化物半導体層163が形成される。同様に、酸化物半導体層134において、ゲート電極層101と重なるチャネル形成領域116は、I型となり、ソース電極層105a及び酸化物導電層104aに重なる高抵抗ソース領域117aと、ドレイン電極層105b及び酸化物導電層164bに重なる高抵抗ドレイン領域117bとが自己整合的に形成され、酸化物半導体層103が形成される。
【0199】
酸化物半導体層103、163と金属材料からなるドレイン電極層105b、ドレイン電極層165bの間に設けられる酸化物導電層104b、164bは低抵抗ドレイン領域(LRN領域、LRD領域とも呼ぶ)としても機能する。同様に、酸化物半導体層103、163と金属材料からなるソース電極層105a、ソース電極層165aの間に設けられる酸化物導電層104a、164aは低抵抗ソース領域(LRN領域、LRS領域とも呼ぶ)としても機能する。酸化物半導体層、低抵抗ドレイン領域、金属材料からなるドレイン電極層の構成とすることによって、よりトランジスタの耐圧を向上させることができる。具体的には、低抵抗ドレイン領域のキャリア濃度は、高抵抗ドレイン領域(HRD領域)よりも大きく、例えば1×1020/cm以上1×1021/cm以下の範囲内であると好ましい。
【0200】
以上の工程により、同一基板上において、駆動回路部に薄膜トランジスタ182、画素部に薄膜トランジスタ172を作製することができる。薄膜トランジスタ172、182は、高抵抗ソース領域、高抵抗ドレイン領域、及びチャネル形成領域を含む酸化物半導体層を含むボトムゲート型薄膜トランジスタである。よって、薄膜トランジスタ172、182は、高電界が印加されても高抵抗ドレイン領域または高抵抗ソース領域がバッファとなり局所的な高電界が印加されず、トランジスタの耐圧を向上させた構成となっている。
【0201】
また、容量部において、容量配線層108、ゲート絶縁層102、ドレイン電極層105bと同工程で形成される容量電極層149との積層でなる容量146形成されている。
【0202】
次いで、酸化物絶縁膜107上に保護絶縁層106を形成し、画素部において保護絶縁層106上にカラーフィルタ層191を形成する。カラーフィルタ層191を覆うようにオーバーコート層192を形成し、保護絶縁層106及びオーバーコート層192を覆って保護絶縁層109を形成する。
【0203】
次に、実施の形態1と同様に第9のフォトリソグラフィ工程を行い、レジストマスクを形成し、酸化物絶縁膜107、保護絶縁層106及び保護絶縁層109のエッチングによりドレイン電極層105bに達するコンタクトホール125を形成し、レジストマスクを除去する(図8(D)参照。)。また、ここでのエッチングにより第2の端子122に達するコンタクトホール127、接続電極120に達するコンタクトホール126も形成する。
【0204】
次に、透光性を有する導電膜を成膜し、第10のフォトリソグラフィ工程を行い、レジストマスクを形成し、エッチングにより不要な部分を除去して第1の電極層110、導電層111、端子電極128、129を形成し、レジストマスクを除去する(図9(A)参照。)。
【0205】
実施の形態1と同様に、第11のフォトリソグラフィ工程を行って隔壁193を形成し、第1の電極層110上にEL層194、第2の電極層195を積層して発光素子を有する本実施の形態の発光装置を作製する(図9(B)参照。)。
【0206】
ソース領域及びドレイン領域として、酸化物導電層を酸化物半導体層とソース電極層及びドレイン電極層との間に設けることで、ソース領域及びドレイン領域の低抵抗化を図ることができ、トランジスタの高速動作をすることができる。ソース領域及びドレイン領域として酸化物導電層を用いることは、周辺回路(駆動回路)の周波数特性を向上させるために有効である。金属電極(Ti等)と酸化物半導体層との接触に比べ、金属電極(Ti等)と酸化物導電層との接触は、接触抵抗を下げることができるからである。
【0207】
酸化物半導体層とソース電極層及びドレイン電極層との間に酸化物導電層を介在させることで接触抵抗を低減でき、周辺回路(駆動回路)の周波数特性を向上させることができる。
【0208】
薄膜トランジスタのチャネル長が、酸化物導電層のエッチングの際に決められるため、よりチャネル長を短くすることができる。例えば、チャネル長L0.1μm以上2μm以下と短くして、動作速度を高速化することができる。
【0209】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0210】
(実施の形態4)
本実施の形態では、画素部の薄膜トランジスタと発光素子の第1の電極層とを接続電極層を間に介して電気的に接続する発光装置の例を図16乃至図18に示す。なお、本実施の形態においては、画素部のトランジスタと発光素子の第1の電極層の接続方法が異なる点以外は同様の材料、及び手法を用いることができる。従って、他は実施の形態1と同様に行うことができ、実施の形態1と同一部分又は同様な機能を有する部分、及び工程の繰り返しの説明は省略する。また、図16乃至図18は、図1乃至図5と工程が一部異なる点以外は同じであるため、同じ箇所には同じ符号を用い、同じ箇所の詳細な説明は省略する。
【0211】
本実施の形態の発光装置を図16に示す。画素部の薄膜トランジスタ170のドレイン電極層105bは接続電極層196を間に介して第1の電極層110と電気的に接続されている。図17及び図18を用いて図16に示す発光装置の作製方法を説明する。
【0212】
まず、実施の形態1に従って、実施の形態1における図4(A)の工程まで行う。図17(A)は、図4(A)と同一である。
【0213】
次に、第5のフォトリソグラフィ工程を行い、レジストマスクを形成し、酸化物絶縁膜107及び保護絶縁層106のエッチングによりドレイン電極層105bに達するコンタクトホール125、第2の端子122に達するコンタクトホール127、接続電極120に達するコンタクトホール126を形成し、レジストマスクを除去する(図17(B)参照。)。
【0214】
次に、導電膜を成膜し、第6のフォトリソグラフィ工程を行い、レジストマスクを形成し、エッチングにより不要な部分を除去して接続電極層196、導電層112、端子電極113、114を形成し、レジストマスクを除去する(図17(C)参照。)。導電膜としては金属導電膜を用いることができるので、接続電極層196、導電層112、端子電極113、114も金属導電層とすることができる。
【0215】
接続電極層196は、Al、Cr、Cu、Ta、Ti、Mo、Wから選ばれた元素を主成分とする膜、若しくはそれらの合金膜とを組み合わせた積層膜を用いることができる。よって本実施の形態のように導電層112、端子電極113、114を接続電極層196と同工程で形成する場合、導電層112、端子電極113、114にもAl、Cr、Cu、Ta、Ti、Mo、Wから選ばれた元素を主成分とする膜、若しくはそれらの合金膜とを組み合わせた積層膜を用いることができる。導電膜は、上述した元素を含む単層に限定されず、二層以上の積層を用いることができる。また、導電膜の成膜方法は、スパッタリング法や真空蒸着法(電子ビーム蒸着法など)や、アーク放電イオンプレーティング法や、スプレー法を用いることができる。
【0216】
次いで、画素部において保護絶縁層106上に第7乃至9のフォトリソグラフィ工程を行いRGBのカラーフィルタ層191を形成し、第10のフォトリソグラフィ工程を行い、カラーフィルタ層191を覆うようにオーバーコート層192を形成する。接続電極層196、導電層112、端子電極113、114、保護絶縁層106及びオーバーコート層192を覆って保護絶縁層109を形成する(図17(D)参照。)。
【0217】
次に、第11のフォトリソグラフィ工程を行い、レジストマスクを形成し、保護絶縁層109のエッチングにより接続電極層196に達するコンタクトホール125を形成し、レジストマスクを除去する。また、ここでのエッチングにより端子電極113、114上の保護絶縁層109も除去し、端子電極113、114を露出させる(図18(A)参照。)。
【0218】
次に、透光性を有する導電膜を成膜し、第12のフォトリソグラフィ工程を行い、レジストマスクを形成し、エッチングにより不要な部分を除去して第1の電極層110を形成し、レジストマスクを除去する。
【0219】
実施の形態1と同様に、第13のフォトリソグラフィ工程を行って隔壁193を形成し、第1の電極層110上にEL層194、第2の電極層195を積層して発光素子を有する本実施の形態の発光装置を作製する(図18(B)参照。)。
【0220】
接続電極層196を形成する場合、電源供給線を接続電極層196と同じ材料、同じ工程で形成することができる。また、共通電位線も、接続電極層196と同じ材料、同じ工程で形成することができる。
【0221】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することができる。
【0222】
(実施の形態5)
本実施の形態では、薄膜トランジスタの作製工程の一部が実施の形態1と異なる例を図10に示す。図10は、図1乃至図5と工程が一部異なる点以外は同じであるため、同じ箇所には同じ符号を用い、同じ箇所の詳細な説明は省略する。
【0223】
まず、実施の形態1に従って、基板上にゲート電極層、ゲート絶縁層を形成し、画素部において第2のフォトリソグラフィ工程を用いてゲート電極層に達するコンタクトホールを形成する(図示せず)。
【0224】
次に酸化物半導体膜130の形成を行い、酸化物半導体膜130を第3のフォトリソグラフィ工程により島状の酸化物半導体層131、132に加工する。
【0225】
次いで、酸化物半導体層131、132の脱水化または脱水素化を行う。脱水化または脱水素化を行う第1の加熱処理の温度は、400℃以上750℃以下、好ましくは425℃以上750℃以下とする。なお、425℃以上であれば加熱処理時間は1時間以下でよいが、425℃未満であれば加熱処理時間は、1時間よりも長時間行うこととする。ここでは、加熱処理装置の一つである電気炉に基板を導入し、酸化物半導体層に対して窒素雰囲気下において加熱処理を行った後、大気に触れることなく、酸化物半導体層への水や水素の再混入を防ぎ、酸化物半導体層を得る。その後、同じ炉に高純度の酸素ガス、高純度のNOガス、又は超乾燥エア(露点が−40℃以下、好ましくは−60℃以下)を導入して冷却を行う。酸素ガスまたはNOガスに、水、水素などが含まれないことが好ましい。または、加熱処理装置に導入する酸素ガスまたはNOガスの純度を、6N(99.9999%)以上、好ましくは7N(99.99999%)以上、(即ち酸素ガスまたはNOガス中の不純物濃度を1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。
【0226】
なお、加熱処理装置は電気炉に限られず、例えば、GRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)装置、LRTA(Lamp Rapid Thermal Anneal)装置等のRTA(Rapid Thermal Anneal)装置を用いることができる。LRTA装置は、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧水銀ランプなどのランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する装置である。また、LRTA装置、ランプだけでなく、抵抗発熱体などの発熱体からの熱伝導または熱輻射によって、被処理物を加熱する装置を備えていてもよい。GRTAとは高温のガスを用いて加熱処理を行う方法である。ガスには、アルゴンなどの希ガス、または窒素のような、加熱処理によって被処理物と反応しない不活性気体が用いられる。RTA法を用いて、600℃〜750℃で数分間加熱処理を行ってもよい。
【0227】
また、脱水化または脱水素化を行う第1の加熱処理後に200℃以上400℃以下、好ましくは200℃以上300℃以下の温度で酸素ガスまたはNOガス雰囲気下での加熱処理を行ってもよい。
【0228】
また、酸化物半導体層131、132の第1の加熱処理は、島状の酸化物半導体層に加工する前の酸化物半導体膜130に行うこともできる。その場合には、第1の加熱処理後に、加熱装置から基板を取り出し、フォトリソグラフィ工程を行う。
【0229】
以上の工程を経ることによって酸化物半導体膜全体を酸素過剰な状態とすることで、高抵抗化、即ちI型化させる。よって、全体がI型化した酸化物半導体層168、198を得る。
【0230】
次いで、酸化物半導体層168、198上に、第4のフォトリソグラフィ工程によりレジストマスクを形成し、選択的にエッチングを行ってソース電極層及びドレイン電極層を形成し、スパッタリング法で酸化物絶縁膜107を形成する。
【0231】
次いで、薄膜トランジスタの電気的特性のばらつきを軽減するため、不活性ガス雰囲気下、または窒素ガス雰囲気下で加熱処理(好ましくは150℃以上350℃未満)を行ってもよい。例えば、窒素雰囲気下で250℃、1時間の加熱処理を行う。
【0232】
次いで、酸化物絶縁膜107上に保護絶縁層106を形成し、画素部において保護絶縁層106上にカラーフィルタ層191を形成する。カラーフィルタ層191を覆うようにオーバーコート層192を形成し、保護絶縁層106及びオーバーコート層192を覆って保護絶縁層109を形成する。
【0233】
次に、第9のフォトリソグラフィ工程を行い、レジストマスクを形成し、ゲート絶縁層102、酸化物絶縁膜107、保護絶縁層106及び保護絶縁層109のエッチングにより第1の端子121、導電層162、ドレイン電極層105b、第2の端子122に達するコンタクトホールを形成する。透光性を有する導電膜を形成した後、第10のフォトリソグラフィ工程によりレジストマスクを形成し、選択的にエッチングを行って第1の電極層110、端子電極128、端子電極129、配線層145を形成する。
【0234】
本実施の形態では、第1の端子121と端子電極128との接続を、接続電極120を介さずに直接行う例である。また、ドレイン電極層165bと導電層162との接続は、配線層145を介して行う。
【0235】
また、容量部において、容量配線層108、ゲート絶縁層102、ソース電極層及びドレイン電極層と同工程で形成される容量電極層149との積層でなる容量147が形成されている。
【0236】
以上の工程により、同一基板上において、駆動回路部に薄膜トランジスタ183、画素部に薄膜トランジスタ173を作製することができる。
【0237】
実施の形態1と同様に、隔壁193を形成し、第1の電極層110上にEL層194、第2の電極層195を積層して発光素子を有する本実施の形態の発光装置を作製する(図10参照。)。
【0238】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することができる。
【0239】
(実施の形態6)
本実施の形態では、実施の形態1乃至5に示した発光装置において、薄膜トランジスタと、エレクトロルミネッセンスを利用する発光素子とを用い、アクティブマトリクス型の発光表示装置を作製する一例を示す。
【0240】
エレクトロルミネッセンスを利用する発光素子は、発光材料が有機化合物であるか、無機化合物であるかによって区別され、一般的に、前者は有機EL素子、後者は無機EL素子と呼ばれている。
【0241】
有機EL素子は、発光素子に電圧を印加することにより、一対の電極から電子および正孔がそれぞれ発光性の有機化合物を含む層に注入され、電流が流れる。そして、それらキャリア(電子および正孔)が再結合することにより、発光性の有機化合物が励起状態を形成し、その励起状態が基底状態に戻る際に発光する。このようなメカニズムから、このような発光素子は、電流励起型の発光素子と呼ばれる。
【0242】
無機EL素子は、その素子構成により、分散型無機EL素子と薄膜型無機EL素子とに分類される。分散型無機EL素子は、発光材料の粒子をバインダ中に分散させた発光層を有するものであり、発光メカニズムはドナー準位とアクセプター準位を利用するドナー−アクセプター再結合型発光である。薄膜型無機EL素子は、発光層を誘電体層で挟み込み、さらにそれを電極で挟んだ構造であり、発光メカニズムは金属イオンの内殻電子遷移を利用する局在型発光である。なお、ここでは、発光素子として有機EL素子を用いて説明する。
【0243】
図19は、発光装置の例としてデジタル時間階調駆動を適用可能な画素構成の一例を示す図である。
【0244】
デジタル時間階調駆動を適用可能な画素の構成及び画素の動作について説明する。ここでは酸化物半導体層をチャネル形成領域に用いるnチャネル型のトランジスタを1つの画素に2つ用いる例を示す。
【0245】
画素6400は、スイッチング用トランジスタ6401、駆動用トランジスタ6402、発光素子6404及び容量素子6403を有している。スイッチング用トランジスタ6401はゲートが走査線6406に接続され、第1電極(ソース電極及びドレイン電極の一方)が信号線6405に接続され、第2電極(ソース電極及びドレイン電極の他方)が駆動用トランジスタ6402のゲートに接続されている。駆動用トランジスタ6402は、ゲートが容量素子6403を介して電源線6407に接続され、第1電極が電源線6407に接続され、第2電極が発光素子6404の第1電極(画素電極)に接続されている。発光素子6404の第2電極は共通電極6408に相当する。共通電極6408は、同一基板上に形成される共通電位線と電気的に接続される。
【0246】
なお、発光素子6404の第2電極(共通電極6408)には低電源電位が設定されている。なお、低電源電位とは、電源線6407に設定される高電源電位を基準にして低電源電位よりも高電源電位が高い電位であり、低電源電位としては例えばGND、0Vなどが設定されていても良い。この高電源電位と低電源電位との電位差を発光素子6404に印加して、発光素子6404に電流を流して発光素子6404を発光させるため、高電源電位と低電源電位との電位差が発光素子6404の順方向しきい値電圧以上となるようにそれぞれの電位を設定する。
【0247】
なお、容量素子6403は駆動用トランジスタ6402のゲート容量を代用して省略することも可能である。駆動用トランジスタ6402のゲート容量については、チャネル領域とゲート電極との間で容量が形成されていてもよい。
【0248】
ここで、電圧入力電圧駆動方式の場合には、駆動用トランジスタ6402のゲートには、駆動用トランジスタ6402が十分にオンするか、オフするかの二つの状態となるようなビデオ信号を入力する。つまり、駆動用トランジスタ6402は線形領域で動作させる。駆動用トランジスタ6402は線形領域で動作させるため、電源線6407の電圧よりも高い電圧を駆動用トランジスタ6402のゲートにかける。なお、信号線6405には、(電源線電圧+駆動用トランジスタ6402のVth)以上の電圧をかける。
【0249】
また、デジタル時間階調駆動に代えて、アナログ階調駆動を行う場合、信号の入力を異ならせることで、図19と同じ画素構成を用いることができる。
【0250】
アナログ階調駆動を行う場合、駆動用トランジスタ6402のゲートに発光素子6404の順方向電圧+駆動用トランジスタ6402のVth以上の電圧をかける。発光素子6404の順方向電圧とは、所望の輝度とする場合の電圧を指しており、少なくとも順方向しきい値電圧を含む。なお、駆動用トランジスタ6402が飽和領域で動作するようなビデオ信号を入力することで、発光素子6404に電流を流すことができる。駆動用トランジスタ6402を飽和領域で動作させるため、電源線6407の電位は、駆動用トランジスタ6402のゲート電位よりも高くする。ビデオ信号をアナログとすることで、発光素子6404にビデオ信号に応じた電流を流し、アナログ階調駆動を行うことができる。
【0251】
なお、図19に示す画素構成は、これに限定されない。例えば、図19に示す画素に新たにスイッチ、抵抗素子、容量素子、トランジスタ又は論理回路などを追加してもよい。
【0252】
次に、発光素子の構成について、図20を用いて説明する。ここでは、駆動用TFTがn型の場合を例に挙げて、画素の断面構造について説明する。図20(A)(B)(C)の発光装置に用いられる駆動用TFTであるTFT7001、7011、7021は、実施の形態1乃至5で示す薄膜トランジスタと同様に作製でき、酸化物半導体層を含む信頼性の高い薄膜トランジスタである。
【0253】
発光素子は発光を取り出すために少なくとも陽極又は陰極の一方が透明であればよい。そして、基板上に薄膜トランジスタ及び発光素子を形成し、基板とは逆側の面から発光を取り出す上面射出構造や、基板側の面から発光を取り出す下面射出構造や、基板側及び基板とは反対側の面から発光を取り出す両面射出構造の発光素子があり、画素構成はどの射出構造の発光素子にも適用することができる。
【0254】
下面射出構造の発光素子について図20(A)を用いて説明する。
【0255】
駆動用TFT7011がn型で、発光素子7012から発せられる光が第1の電極層7013側に射出する場合の、画素の断面図を示す。図20(A)では、駆動用TFT7011と電気的に接続された透光性を有する導電膜7017上に、発光素子7012の第1の電極層7013が形成されており、第1の電極層7013上にEL層7014、第2の電極層7015が順に積層されている。なお、導電膜7017は、保護絶縁層7035、保護絶縁層7032、及び酸化物絶縁層7031に形成されたコンタクトホールを介して駆動用TFT7011のドレイン電極層と電気的に接続されている。
【0256】
透光性を有する導電膜7017としては、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電膜を用いることができる。
【0257】
また、発光素子の第1の電極層7013は様々な材料を用いることができる。例えば、第1の電極層7013を陰極として用いる場合には、仕事関数が小さい材料、具体的には、例えば、LiやCs等のアルカリ金属、およびMg、Ca、Sr等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(Mg:Ag、Al:Liなど)の他、YbやEr等の希土類金属等が好ましい。図20(A)では、第1の電極層7013の膜厚は、光を透過する程度(好ましくは、5nm〜30nm程度)とする。例えば20nmの膜厚を有するアルミニウム膜を、第1の電極層7013として用いる。
【0258】
なお、透光性を有する導電膜とアルミニウム膜を積層成膜した後、選択的にエッチングして透光性を有する導電膜7017と第1の電極層7013を形成してもよく、この場合、同じマスクを用いてエッチングすることができるため、好ましい。
【0259】
また、第1の電極層7013の周縁部は、隔壁7019で覆う。隔壁7019は、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、エポキシ等の有機樹脂膜、無機絶縁膜または有機ポリシロキサンを用いて形成する。隔壁7019は、特に感光性の樹脂材料を用い、第1の電極層7013上に開口部を形成し、その開口部の側壁が連続した曲率を持って形成される傾斜面となるように形成することが好ましい。隔壁7019として感光性の樹脂材料を用いる場合、レジストマスクを形成する工程を省略することができる。
【0260】
また、第1の電極層7013及び隔壁7019上に形成するEL層7014は、少なくとも発光層を含めば良く、単数の層で構成されていても、複数の層が積層されるように構成されていてもどちらでも良い。EL層7014が複数の層で構成されている場合、陰極として機能する第1の電極層7013上に電子注入層、電子輸送層、発光層、ホール輸送層、ホール注入層の順に積層する。なおこれらの層を全て設ける必要はない。
【0261】
また、上記積層順に限定されず、第1の電極層7013を陽極として機能させ、第1の電極層7013上にホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層の順に積層してもよい。ただし、消費電力を比較する場合、第1の電極層7013を陰極として機能させ、第1の電極層7013上に電子注入層、電子輸送層、発光層、ホール輸送層、ホール注入層の順に積層するほうが、駆動回路部の電圧上昇を抑制でき、消費電力を少なくできるため好ましい。
【0262】
また、EL層7014上に形成する第2の電極層7015としては、様々な材料を用いることができる。例えば、第2の電極層7015を陽極として用いる場合、仕事関数が大きい材料、例えば、ZrN、Ti、W、Ni、Pt、Cr等や、ITO、IZO、ZnOなどの透明導電性材料が好ましい。また、第2の電極層7015上に遮蔽膜7016、例えば光を遮光する金属、光を反射する金属等を用いる。本実施の形態では、第2の電極層7015としてITO膜を用い、遮蔽膜7016としてTi膜を用いる。
【0263】
第1の電極層7013及び第2の電極層7015で、発光層を含むEL層7014を挟んでいる領域が発光素子7012に相当する。図20(A)に示した素子構造の場合、発光素子7012から発せられる光は、矢印で示すように第1の電極層7013側に射出し、カラーフィルタ層7033を通過して外部へ射出する。
【0264】
カラーフィルタ層7033はインクジェット法などの液滴吐出法や、印刷法、フォトリソグラフィ技術を用いたエッチング方法などでそれぞれ形成する。
【0265】
また、カラーフィルタ層7033はオーバーコート層7034で覆われ、さらに保護絶縁層7035によって覆う。なお、図20(A)ではオーバーコート層7034は薄い膜厚で図示したが、オーバーコート層7034は、カラーフィルタ層7033に起因する凹凸を平坦化する機能を有している。
【0266】
次に、両面射出構造の発光素子について、図20(B)を用いて説明する。
【0267】
図20(B)では、駆動用TFT7021と電気的に接続された透光性を有する導電膜7027上に、発光素子7022の第1の電極層7023が形成されており、第1の電極層7023上にEL層7024、第2の電極層7025が順に積層されている。なお、導電膜7027は保護絶縁層7045、保護絶縁層7042、及び酸化物絶縁層7041に形成されたコンタクトホールを介して駆動用TFT7021のドレイン電極層と電気的に接続されている。
【0268】
透光性を有する導電膜7027としては、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電膜を用いることができる。
【0269】
また、第1の電極層7023は様々な材料を用いることができる。例えば、第1の電極層7023を陰極として用いる場合、仕事関数が小さい材料、具体的には、例えば、LiやCs等のアルカリ金属、およびMg、Ca、Sr等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(Mg:Ag、Al:Liなど)の他、YbやEr等の希土類金属等が好ましい。本実施の形態では、第1の電極層7023を陰極として用い、その膜厚は、光を透過する程度(好ましくは、5nm〜30nm程度)とする。例えば20nmの膜厚を有するアルミニウム膜を、陰極として用いる。
【0270】
なお、透光性を有する導電膜とアルミニウム膜を積層成膜した後、選択的にエッチングして透光性を有する導電膜7027と第1の電極層7023を形成してもよく、この場合、同じマスクを用いてエッチングすることができ、好ましい。
【0271】
また、第1の電極層7023の周縁部は、隔壁7029で覆う。隔壁7029は、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、エポキシ等の有機樹脂膜、無機絶縁膜または有機ポリシロキサンを用いて形成する。隔壁7029は、特に感光性の樹脂材料を用い、第1の電極層7023上に開口部を形成し、その開口部の側壁が連続した曲率を持って形成される傾斜面となるように形成することが好ましい。隔壁7029として感光性の樹脂材料を用いる場合、レジストマスクを形成する工程を省略することができる。
【0272】
また、第1の電極層7023及び隔壁7029上に形成するEL層7024は、発光層を含めば良く、単数の層で構成されていても、複数の層が積層されるように構成されていてもどちらでも良い。EL層7024が複数の層で構成されている場合、陰極として機能する第1の電極層7023上に電子注入層、電子輸送層、発光層、ホール輸送層、ホール注入層の順に積層する。なおこれらの層を全て設ける必要はない。
【0273】
また、上記積層順に限定されず、第1の電極層7023を陽極として用い、陽極上にホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層の順に積層してもよい。ただし、消費電力を比較する場合、第1の電極層7023を陰極として用い、陰極上に電子注入層、電子輸送層、発光層、ホール輸送層、ホール注入層の順に積層するほうが消費電力が少ないため好ましい。
【0274】
また、EL層7024上に形成する第2の電極層7025としては、様々な材料を用いることができる。例えば、第2の電極層7025を陽極として用いる場合、仕事関数が大きい材料、例えば、ITO、IZO、ZnOなどの透明導電性材料を好ましく用いることができる。本実施の形態では、第2の電極層7025を陽極として用い、酸化珪素を含むITO膜を形成する。
【0275】
第1の電極層7023及び第2の電極層7025で、発光層を含むEL層7024を挟んでいる領域が発光素子7022に相当する。図20(B)に示した素子構造の場合、発光素子7022から発せられる光は、矢印で示すように第2の電極層7025側と第1の電極層7023側の両方に射出する。
【0276】
カラーフィルタ層7043はインクジェット法などの液滴吐出法や、印刷法、フォトリソグラフィ技術を用いたエッチング方法などでそれぞれ形成する。
【0277】
また、カラーフィルタ層7043はオーバーコート層7044で覆われ、さらに保護絶縁層7045によって覆う。
【0278】
ただし、両面射出構造の発光素子を用い、どちらの表示面もフルカラー表示とする場合、第2の電極層7025側からの光はカラーフィルタ層7043を通過しないため、別途カラーフィルタ層を備えた封止基板を第2の電極層7025上方に設けることが好ましい。
【0279】
次に、上面射出構造の発光素子について、図20(C)を用いて説明する。
【0280】
図20(C)に、駆動用TFTであるTFT7001がn型で、発光素子7002から発せられる光が第2の電極層7005側に抜ける場合の、画素の断面図を示す。図20(C)では、TFT7001と電気的に接続された発光素子7002の第1の電極層7003が形成されており、第1の電極層7003上にEL層7004、第2の電極層7005が順に積層されている。
【0281】
また、第1の電極層7003は様々な材料を用いることができる。例えば、第1の電極層7003を陰極として用いる場合、仕事関数が小さい材料、具体的には、例えば、LiやCs等のアルカリ金属、およびMg、Ca、Sr等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(Mg:Ag、Al:Liなど)の他、YbやEr等の希土類金属等が好ましい。
【0282】
また、第1の電極層7003の周縁部は、隔壁7009で覆う。隔壁7009は、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、エポキシ等の有機樹脂膜、無機絶縁膜または有機ポリシロキサンを用いて形成する。隔壁7009は、特に感光性の樹脂材料を用い、第1の電極層7003上に開口部を形成し、その開口部の側壁が連続した曲率を持って形成される傾斜面となるように形成することが好ましい。隔壁7009として感光性の樹脂材料を用いる場合、レジストマスクを形成する工程を省略することができる。
【0283】
また、第1の電極層7003及び隔壁7009上に形成するEL層7004は、少なくとも発光層を含めば良く、単数の層で構成されていても、複数の層が積層されるように構成されていてもどちらでも良い。EL層7004が複数の層で構成されている場合、陰極として用いる第1の電極層7003上に電子注入層、電子輸送層、発光層、ホール輸送層、ホール注入層の順に積層する。なおこれらの層を全て設ける必要はない。
【0284】
また、上記積層順に限定されず、陽極として用いる第1の電極層7003上にホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層の順に積層してもよい。
【0285】
図20(C)ではTi膜、アルミニウム膜、Ti膜の順に積層した積層膜上に、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層の順に積層し、その上にMg:Ag合金薄膜とITO膜との積層を形成する。
【0286】
ただし、TFT7001がn型の場合、第1の電極層7003上に電子注入層、電子輸送層、発光層、ホール輸送層、ホール注入層の順に積層するほうが、駆動回路における電圧上昇を抑制することができ、消費電力を少なくできるため好ましい。
【0287】
第2の電極層7005は光を透過する透光性を有する導電性材料を用いて形成し、例えば酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電膜を用いても良い。
【0288】
第1の電極層7003及び第2の電極層7005で発光層を含むEL層7004を挟んでいる領域が発光素子7002に相当する。図20(C)に示した画素の場合、発光素子7002から発せられる光は、矢印で示すように第2の電極層7005側に射出する。
【0289】
また、図20(C)において、TFT7001のドレイン電極層は、酸化物絶縁層7051、保護絶縁層7052及び保護絶縁層7055に形成されたコンタクトホールを介して第1の電極層7003と電気的に接続する。平坦化絶縁層7053は、ポリイミド、アクリル、ベンゾシクロブテン、ポリアミド、エポキシ等の樹脂材料を用いることができる。また上記樹脂材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)、シロキサン系樹脂、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)等を用いることができる。なお、これらの材料で形成される絶縁膜を複数積層させることで、平坦化絶縁層7053を形成してもよい。平坦化絶縁層7053の形成法は、特に限定されず、その材料に応じて、スパッタリング法、SOG法、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、液滴吐出法(インクジェット法、スクリーン印刷、オフセット印刷等)、ドクターナイフ、ロールコーター、カーテンコーター、ナイフコーター等を用いることができる。
【0290】
また、第1の電極層7003と、隣り合う画素の第1の電極層とを絶縁するために隔壁7009を設ける。隔壁7009は、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、エポキシ等の有機樹脂膜、無機絶縁膜または有機ポリシロキサンを用いて形成する。隔壁7009は、特に感光性の樹脂材料を用い、第1の電極層7003上に開口部を形成し、その開口部の側壁が連続した曲率を持って形成される傾斜面となるように形成することが好ましい。隔壁7009として感光性の樹脂材料を用いる場合、レジストマスクを形成する工程を省略することができる。
【0291】
また、図20(C)の構造においては、フルカラー表示を行う場合、例えば発光素子7002を緑色発光素子とし、隣り合う一方の発光素子を赤色発光素子とし、もう一方の発光素子を青色発光素子とする。また、3種類の発光素子だけでなく白色素子を加えた4種類の発光素子でフルカラー表示ができる発光表示装置を作製してもよい。
【0292】
また、図20(C)の構造においては、配置する複数の発光素子を全て白色発光素子として、発光素子7002上方にカラーフィルタなどを有する封止基板を配置する構成とし、フルカラー表示ができる発光表示装置を作製してもよい。白色などの単色の発光を示す材料を形成し、カラーフィルタや色変換層を組み合わせることによりフルカラー表示を行うことができる。
【0293】
図20(A)乃至(C)においては、薄膜トランジスタと第1の電極層とが直接接する例を示すが、実施の形態4のように薄膜トランジスタのドレイン電極層と、第1の電極層との間に接続電極層を間に介して電気的に接続する構成としてもよい。また、TFT7001、7011、7021も実施の形態2、実施の形態3、実施の形態5に示すような薄膜トランジスタを用いることもできる。
【0294】
もちろん単色発光の表示を行ってもよい。例えば、白色発光を用いて照明装置を形成してもよいし、単色発光を用いてエリアカラータイプの発光装置を形成してもよい。
【0295】
また、必要があれば、円偏光板などの偏光フィルムなどの光学フィルムを設けてもよい。
【0296】
なお、ここでは、発光素子として有機EL素子について述べたが、発光素子として無機EL素子を設けることも可能である。
【0297】
なお、発光素子の駆動を制御する薄膜トランジスタ(駆動用TFT)と発光素子が電気的に接続されている例を示したが、駆動用TFTと発光素子との間に電流制御用TFTが接続されている構成であってもよい。
【0298】
本実施の形態は他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0299】
(実施の形態7)
本実施の形態では、実施の形態1乃至6に示した発光素子の素子構造の一例について説明する。
【0300】
図21(A)に示す素子構造は、一対の電極(第1の電極1001、第2の電極1002)間に発光領域を含むEL層1003が挟まれた構造を有する。なお、以下の本実施の形態の説明においては、例として、第1の電極1001を陽極として用い、第2の電極1002を陰極として用いるものとする。
【0301】
また、EL層1003は、少なくとも発光層を含んで形成されていればよく、発光層以外の機能層を含む積層構造であっても良い。発光層以外の機能層としては、正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、バイポーラ性(電子及び正孔の輸送性の高い物質)の物質等を含む層を用いることができる。具体的には、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層等の機能層を適宜組み合わせて用いることができる。
【0302】
図21(A)に示す発光素子は、第1の電極1001と第2の電極1002との間に生じた電位差により電流が流れ、EL層1003において正孔と電子とが再結合し、発光するものである。つまりEL層1003に発光領域が形成されるような構成となっている。
【0303】
発光は、第1の電極1001または第2の電極1002のいずれか一方または両方を通って外部に取り出される。従って、第1の電極1001または第2の電極1002のいずれか一方または両方は、透光性を有する物質で成る。
【0304】
なお、EL層は図21(B)のように第1の電極1001と第2の電極1002との間に複数積層されていても良い。n(nは2以上の自然数)層の積層構造を有する場合には、m(mは自然数、mは1以上n−1以下)番目のEL層と、(m+1)番目のEL層との間には、それぞれ電荷発生層1004を設けることが好ましい。
【0305】
電荷発生層1004は、有機化合物と金属酸化物の複合材料、金属酸化物、有機化合物とアルカリ金属、アルカリ土類金属、またはこれらの化合物との複合材料の他、これらを適宜組み合わせて形成することができる。有機化合物と金属酸化物の複合材料としては、例えば、有機化合物とVやMoOやWO等の金属酸化物を含む。有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。なお、有機化合物としては、正孔輸送性有機化合物として正孔移動度が10−6cm/Vs以上であるものを適用することが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。なお、電荷発生層1004に用いるこれらの材料は、キャリア注入性、キャリア輸送性に優れているため、発光素子の低電流駆動、および低電圧駆動を実現することができる。
【0306】
なお、電荷発生層1004は、有機化合物と金属酸化物の複合材料と他の材料とを組み合わせて形成してもよい。例えば、有機化合物と金属酸化物の複合材料を含む層と、電子供与性物質の中から選ばれた一の化合物と電子輸送性の高い化合物とを含む層とを組み合わせて形成してもよい。また、有機化合物と金属酸化物の複合材料を含む層と、透明導電膜とを組み合わせて形成してもよい。
【0307】
このような構成を有する発光素子は、エネルギーの移動や消光などの問題が起こり難く、材料の選択の幅が広がることで高い発光効率と長い寿命とを併せ持つ発光素子とすることが容易である。また、一方のEL層で燐光発光、他方で蛍光発光を得ることも容易である。
【0308】
なお、電荷発生層1004とは、第1の電極1001と第2の電極1002に電圧を印加したときに、電荷発生層1004に接して形成される一方のEL層1003に対して正孔を注入する機能を有し、他方のEL層1003に電子を注入する機能を有する。
【0309】
図21(B)に示す発光素子は、発光層に用いる発光物質の種類を変えることにより様々な発光色を得ることができる。また、発光物質として発光色の異なる複数の発光物質を用いることにより、ブロードなスペクトルの発光や白色発光を得ることもできる。
【0310】
図21(B)に示す発光素子を用いて、白色発光を得る場合、複数の発光層の組み合わせとしては、赤、青及び緑色の光を含んで白色に発光する構成であればよく、例えば、青色の蛍光材料を発光物質として含む第1のEL層と、緑色と赤色の燐光材料を発光物質として含む第2のEL層を有する構成が挙げられる。また、赤色の発光を示す第1のEL層と、緑色の発光を示す第2のEL層と、青色の発光を示す第3のEL層とを有する構成とすることもできる。または、補色の関係にある光を発する発光層を有する構成であっても白色発光が得られる。EL層が2層積層された積層型素子において、第1のEL層から得られる発光の発光色と第2のEL層から得られる発光の発光色を補色の関係にする場合、補色の関係としては、青色と黄色、あるいは青緑色と赤色などが挙げられる。
【0311】
なお、上述した積層型素子の構成において、積層されるEL層の間に電荷発生層を配置することにより、電流密度を低く保ったまま、高輝度領域での長寿命素子を実現することができる。また、電極材料の抵抗による電圧降下を小さくできるので、大面積での均一発光が可能となる。
【0312】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせることができる。
【0313】
(実施の形態8)
本実施の形態では、発光表示パネル(発光パネルともいう)の外観及び断面について、図22を用いて説明する。図22(A)は、第1の基板上に形成された薄膜トランジスタ及び発光素子を、第2の基板との間にシール材によって封止した、パネルの平面図であり、図22(B)は、図22(A)のH−Iにおける断面図に相当する。
【0314】
第1の基板4501上に設けられた画素部4502、信号線駆動回路4503a、4503b、及び走査線駆動回路4504a、4504bを囲むようにして、シール材4505が設けられている。また画素部4502、信号線駆動回路4503a、4503b、及び走査線駆動回路4504a、4504bの上に第2の基板4506が設けられている。よって画素部4502、信号線駆動回路4503a、4503b、及び走査線駆動回路4504a、4504bは、第1の基板4501とシール材4505と第2の基板4506とによって、充填材4507と共に密封されている。このように外気に曝されないように気密性が高く、脱ガスの少ない保護フィルム(貼り合わせフィルム、紫外線硬化樹脂フィルム等)やカバー材でパッケージング(封入)することが好ましい。
【0315】
また第1の基板4501上に設けられた画素部4502、信号線駆動回路4503a、4503b、及び走査線駆動回路4504a、4504bは、薄膜トランジスタを複数有しており、図22(B)では、画素部4502に含まれる薄膜トランジスタ4510と、信号線駆動回路4503aに含まれる薄膜トランジスタ4509とを例示している。
【0316】
薄膜トランジスタ4509、4510は、実施の形態1乃至5で示した酸化物半導体層を含む信頼性の高い薄膜トランジスタを適用することができる。駆動回路用の薄膜トランジスタ4509としては、実施の形態1乃至5で示した薄膜トランジスタ180、181、182、画素用の薄膜トランジスタ4510としては、薄膜トランジスタ170、171、172を用いることができる。本実施の形態において、薄膜トランジスタ4509、4510はnチャネル型薄膜トランジスタである。
【0317】
絶縁層4544上において駆動回路用の薄膜トランジスタ4509の酸化物半導体層のチャネル形成領域と重なる位置に導電層4540が設けられている。導電層4540を酸化物半導体層のチャネル形成領域と重なる位置に設けることによって、BT試験前後における薄膜トランジスタ4509のしきい値電圧の変化量を低減することができる。また、導電層4540は、電位が薄膜トランジスタ4509のゲート電極層と同じでもよいし、異なっていても良く、第2のゲート電極層として機能させることもできる。また、導電層4540の電位がGND、0V、或いはフローティング状態であってもよい。
【0318】
図示しないが、酸化物絶縁層4542と絶縁層4544との間に実施の形態1で示したような保護絶縁層106を設けてもよい。
【0319】
また、薄膜トランジスタ4510は、第1電極層4517と電気的に接続されている。
【0320】
酸化物絶縁層4542は実施の形態1で示した酸化物絶縁膜107と同様な材料及び方法で形成すればよい。
【0321】
発光素子4511の発光領域と重なるようにカラーフィルタ層4545が、酸化物絶縁層4542上に形成される。
【0322】
また、カラーフィルタ層4545の表面凹凸を低減するため平坦化絶縁膜として機能するオーバーコート層4543で覆う構成となっている。
【0323】
また、オーバーコート層4543上に絶縁層4544が形成されている。絶縁層4544は実施の形態1で示した保護絶縁層109と同様な材料及び方法で形成すればよい。
【0324】
また4511は発光素子に相当し、発光素子4511が有する画素電極である第1電極層4517は、薄膜トランジスタ4510のソース電極層またはドレイン電極層と電気的に接続されている。なお発光素子4511の構成は、第1電極層4517、電界発光層4512、第2電極層4513の積層構造であるが、示した構成に限定されない。発光素子4511から取り出す光の方向などに合わせて、発光素子4511の構成は適宜変えることができる。
【0325】
隔壁4520は、有機樹脂膜、無機絶縁膜または有機ポリシロキサンを用いて形成する。特に感光性の材料を用い、第1の電極層4517上に開口部を形成し、その開口部の側壁が連続した曲率を持って形成される傾斜面となるように形成することが好ましい。
【0326】
電界発光層4512は、単数の層で構成されていても、複数の層が積層されるように構成されていてもどちらでも良い。
【0327】
発光素子4511に酸素、水素、水分、二酸化炭素等が侵入しないように、第2の電極層4513及び隔壁4520上に保護膜を形成してもよい。保護膜としては、窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、DLC膜等を形成することができる。
【0328】
また、信号線駆動回路4503a、4503b、走査線駆動回路4504a、4504b、または画素部4502に与えられる各種信号及び電位は、FPC4518a、4518bから供給されている。
【0329】
接続端子電極4515が、発光素子4511が有する第1電極層4517と同じ導電膜から形成され、端子電極4516は、薄膜トランジスタ4509のソース電極層及びドレイン電極層と同じ導電膜から形成されている。
【0330】
接続端子電極4515は、FPC4518aが有する端子と、異方性導電膜4519を介して電気的に接続されている。
【0331】
発光素子4511からの光の取り出し方向に位置する基板には、第2の基板は透光性でなければならない。その場合には、ガラス板、プラスチック板、ポリエステルフィルムまたはアクリルフィルムのような透光性を有する材料を用いる。
【0332】
また、充填材4507としては窒素やアルゴンなどの不活性な気体の他に、紫外線硬化樹脂または熱硬化樹脂を用いることができ、PVC(ポリビニルクロライド)、アクリル、ポリイミド、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)またはEVA(エチレンビニルアセテート)を用いることができる。例えば充填材として窒素を用いればよい。
【0333】
また、必要であれば、発光素子の射出面に偏光板、又は円偏光板(楕円偏光板を含む)、位相差板(λ/4板、λ/2板)、カラーフィルタなどの光学フィルムを適宜設けてもよい。また、偏光板又は円偏光板に反射防止膜を設けてもよい。例えば、表面の凹凸により反射光を拡散し、映り込みを低減できるアンチグレア処理を施すことができる。
【0334】
信号線駆動回路4503a、4503b、及び走査線駆動回路4504a、4504bは、別途用意された基板上に単結晶半導体膜又は多結晶半導体膜によって形成された駆動回路で実装されていてもよい。また、信号線駆動回路のみ、或いは一部、又は走査線駆動回路のみ、或いは一部のみを別途形成して実装しても良く、図22の構成に限定されない。
【0335】
以上の工程により、半導体装置として信頼性の高い発光装置(表示パネル)を作製することができる。
【0336】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0337】
(実施の形態9)
本実施の形態では、同一基板上に少なくとも駆動回路の一部と、画素部に配置する薄膜トランジスタを作製する例について以下に説明する。
【0338】
画素部に配置する薄膜トランジスタは、実施の形態1乃至5に従って形成する。また、実施の形態1乃至5に示す薄膜トランジスタはnチャネル型TFTであるため、駆動回路のうち、nチャネル型TFTで構成することができる駆動回路の一部を画素部の薄膜トランジスタと同一基板上に形成する。
【0339】
アクティブマトリクス型表示装置のブロック図の一例を図12(A)に示す。表示装置の基板5300上には、画素部5301、第1の走査線駆動回路5302、第2の走査線駆動回路5303、信号線駆動回路5304を有する。画素部5301には、複数の信号線が信号線駆動回路5304から延伸して配置され、複数の走査線が第1の走査線駆動回路5302、及び第2の走査線駆動回路5303から延伸して配置されている。なお走査線と信号線との交差領域には、各々、表示素子を有する画素がマトリクス状に配置されている。また、表示装置の基板5300はFPC(Flexible Printed Circuit)等の接続部を介して、タイミング制御回路5305(コントローラ、制御ICともいう)に接続されている。
【0340】
図12(A)では、第1の走査線駆動回路5302、第2の走査線駆動回路5303、信号線駆動回路5304は、画素部5301と同じ基板5300上に形成される。そのため、外部に設ける駆動回路等の部品の数が減るので、コストの低減を図ることができる。また、基板5300外部に駆動回路を設けた場合の配線を延伸させることによる接続部での接続数を減らすことができ、信頼性の向上、又は歩留まりの向上を図ることができる。
【0341】
なお、タイミング制御回路5305は、第1の走査線駆動回路5302に対し、一例として、第1の走査線駆動回路用スタート信号(GSP1)、走査線駆動回路用クロック信号(GCLK1)を供給する。また、タイミング制御回路5305は、第2の走査線駆動回路5303に対し、一例として、第2の走査線駆動回路用スタート信号(GSP2)(スタートパルスともいう)、走査線駆動回路用クロック信号(GCLK2)を供給する。タイミング制御回路5305は、信号線駆動回路5304に、信号線駆動回路用スタート信号(SSP)、信号線駆動回路用クロック信号(SCLK)、ビデオ信号用データ(DATA)(単にビデオ信号ともいう)、ラッチ信号(LAT)を供給するものとする。なお各クロック信号は、周期のずれた複数のクロック信号でもよいし、クロック信号を反転させた信号(CKB)とともに供給されるものであってもよい。なお、第1の走査線駆動回路5302と第2の走査線駆動回路5303との一方を省略することが可能である。
【0342】
図12(B)では、駆動周波数が低い回路(例えば、第1の走査線駆動回路5302、第2の走査線駆動回路5303)を画素部5301と同じ基板5300に形成し、信号線駆動回路5304を画素部5301とは別の基板に形成する構成について示している。当該構成により、単結晶半導体を用いたトランジスタと比較すると電界効果移動度が小さい薄膜トランジスタによって、基板5300に形成する駆動回路を構成することができる。したがって、表示装置の大型化、コストの低減、又は歩留まりの向上などを図ることができる。
【0343】
また、実施の形態1乃至5に示す薄膜トランジスタは、nチャネル型TFTである。図13(A)、図13(B)ではnチャネル型TFTで構成する信号線駆動回路の構成、動作について一例を示し説明する。
【0344】
信号線駆動回路は、シフトレジスタ5601、及びスイッチング回路5602を有する。スイッチング回路5602は、スイッチング回路5602_1〜5602_N(Nは自然数)という複数の回路を有する。スイッチング回路5602_1〜5602_Nは、各々、薄膜トランジスタ5603_1〜5603_k(kは自然数)という複数のトランジスタを有する。薄膜トランジスタ5603_1〜5603_kは、nチャネル型TFTである例を説明する。
【0345】
信号線駆動回路の接続関係について、スイッチング回路5602_1を例にして説明する。薄膜トランジスタ5603_1〜5603_kの第1端子は、各々、配線5604_1〜5604_kと接続される。薄膜トランジスタ5603_1〜5603_kの第2端子は、各々、信号線S1〜Skと接続される。薄膜トランジスタ5603_1〜5603_kのゲートは、配線5605_1と接続される。
【0346】
シフトレジスタ5601は、配線5605_1〜5605_Nに順番にHレベル(H信号、高電源電位レベル、ともいう)の信号を出力し、スイッチング回路5602_1〜5602_Nを順番に選択する機能を有する。
【0347】
スイッチング回路5602_1は、配線5604_1〜5604_kと信号線S1〜Skとの導通状態(第1端子と第2端子との間の導通)に制御する機能、即ち配線5604_1〜5604_kの電位を信号線S1〜Skに供給するか否かを制御する機能を有する。このように、スイッチング回路5602_1は、セレクタとしての機能を有する。また薄膜トランジスタ5603_1〜5603_kは、各々、配線5604_1〜5604_kと信号線S1〜Skとの導通状態を制御する機能、即ち配線5604_1〜5604_kの電位を信号線S1〜Skに供給する機能を有する。このように、薄膜トランジスタ5603_1〜5603_kは、各々、スイッチとしての機能を有する。
【0348】
なお、配線5604_1〜5604_kには、各々、ビデオ信号用データ(DATA)が入力される。ビデオ信号用データ(DATA)は、画像情報又は画像信号に応じたアナログ信号である場合が多い。
【0349】
次に、図13(A)の信号線駆動回路の動作について、図13(B)のタイミングチャートを参照して説明する。図13(B)には、信号Sout_1〜Sout_N、及び信号Vdata_1〜Vdata_kの一例を示す。信号Sout_1〜Sout_Nは、各々、シフトレジスタ5601の出力信号の一例であり、信号Vdata_1〜Vdata_kは、各々、配線5604_1〜5604_kに入力される信号の一例である。なお、信号線駆動回路の1動作期間は、表示装置における1ゲート選択期間に対応する。1ゲート選択期間は、一例として、期間T1〜期間TNに分割される。期間T1〜TNは、各々、選択された行に属する画素にビデオ信号用データ(DATA)を書き込むための期間である。
【0350】
なお、本実施の形態の図面等において示す各構成の、信号波形のなまり等は、明瞭化のために誇張して表記している場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されないものであることを付記する。
【0351】
期間T1〜期間TNにおいて、シフトレジスタ5601は、Hレベルの信号を配線5605_1〜5605_Nに順番に出力する。例えば、期間T1において、シフトレジスタ5601は、ハイレベルの信号を配線5605_1に出力する。すると、薄膜トランジスタ5603_1〜5603_kはオンになるので、配線5604_1〜5604_kと、信号線S1〜Skとが導通状態になる。このとき、配線5604_1〜5604_kには、Data(S1)〜Data(Sk)が入力される。Data(S1)〜Data(Sk)は、各々、薄膜トランジスタ5603_1〜5603_kを介して、選択される行に属する画素のうち、1列目〜k列目の画素に書き込まれる。こうして、期間T1〜TNにおいて、選択された行に属する画素に、k列ずつ順番にビデオ信号用データ(DATA)が書き込まれる。
【0352】
以上のように、ビデオ信号用データ(DATA)が複数の列ずつ画素に書き込まれることによって、ビデオ信号用データ(DATA)の数、又は配線の数を減らすことができる。よって、外部回路との接続数を減らすことができる。また、ビデオ信号が複数の列ずつ画素に書き込まれることによって、書き込み時間を長くすることができ、ビデオ信号の書き込み不足を防止することができる。
【0353】
なお、シフトレジスタ5601及びスイッチング回路5602としては、実施の形態1乃至5に示す薄膜トランジスタで構成される回路を用いることが可能である。
【0354】
走査線駆動回路及び/または信号線駆動回路の一部に用いるシフトレジスタの一形態について図14及び図15を用いて説明する。
【0355】
走査線駆動回路は、シフトレジスタを有している。また場合によってはレベルシフタやバッファ等を有していても良い。走査線駆動回路において、シフトレジスタにクロック信号(CLK)及びスタートパルス信号(SP)が入力されることによって、選択信号が生成される。生成された選択信号はバッファにおいて緩衝増幅され、対応する走査線に供給される。走査線には、1ライン分の画素のトランジスタのゲート電極が接続されている。そして、1ライン分の画素のトランジスタを一斉にONにしなくてはならないので、バッファは大きな電流を流すことが可能なものが用いられる。
【0356】
シフトレジスタは、第1のパルス出力回路10_1乃至第Nのパルス出力回路10_N(Nは3以上の自然数)を有している(図14(A)参照)。図14(A)に示すシフトレジスタの第1のパルス出力回路10_1乃至第Nのパルス出力回路10_Nには、第1の配線11より第1のクロック信号CK1、第2の配線12より第2のクロック信号CK2、第3の配線13より第3のクロック信号CK3、第4の配線14より第4のクロック信号CK4が供給される。また第1のパルス出力回路10_1では、第5の配線15からのスタートパルスSP1(第1のスタートパルス)が入力される。また2段目以降の第nのパルス出力回路10_n(nは、2以上N以下の自然数)では、一段前段のパルス出力回路10_n−1からの信号(前段信号OUT(n−1)という)(n以上2の自然数)が入力される。また第1のパルス出力回路10_1では、2段後段の第3のパルス出力回路10_3からの信号が入力される。同様に、2段目以降の第nのパルス出力回路10_nでは、2段後段の第(n+2)のパルス出力回路10_(n+2)からの信号(後段信号OUT(n+2)という)が入力される。従って、各段のパルス出力回路からは、後段及び/または前段のパルス出力回路に入力するための第1の出力信号(OUT(1)(SR)〜OUT(N)(SR))、別の回路等に入力される第2の出力信号(OUT(1)〜OUT(N))が出力される。なお、図14(A)に示すように、シフトレジスタの最終段の2つの段には、後段信号OUT(n+2)が入力されないため、一例としては、別途第2のスタートパルスSP2、第3のスタートパルスSP3をそれぞれ入力する構成とすればよい。
【0357】
なお、クロック信号(CK)は、一定の間隔でHレベルとLレベル(L信号、低電源電位レベル、ともいう)を繰り返す信号である。ここで、第1のクロック信号(CK1)〜第4のクロック信号(CK4)は、順に1/4周期分遅延している(すなわち、互いに90°位相がずれている)。本実施の形態では、第1のクロック信号(CK1)〜第4のクロック信号(CK4)を利用して、パルス出力回路の駆動の制御等を行う。なお、クロック信号は、入力される駆動回路に応じて、GCK、SCKということもあるが、ここではCKとして説明を行う。
【0358】
図14(B)に図14(A)で示したパルス出力回路10_1〜10_Nの一つを示す。第1の入力端子21、第2の入力端子22及び第3の入力端子23は、第1の配線11〜第4の配線14のいずれかと電気的に接続されている。例えば、図14(A)において、第1のパルス出力回路10_1は、第1の入力端子21が第1の配線11と電気的に接続され、第2の入力端子22が第2の配線12と電気的に接続され、第3の入力端子23が第3の配線13と電気的に接続されている。また、第2のパルス出力回路10_2は、第1の入力端子21が第2の配線12と電気的に接続され、第2の入力端子22が第3の配線13と電気的に接続され、第3の入力端子23が第4の配線14と電気的に接続されている。
【0359】
第1のパルス出力回路10_1〜第Nのパルス出力回路10_Nの各々は、第1の入力端子21、第2の入力端子22、第3の入力端子23、第4の入力端子24、第5の入力端子25、第1の出力端子26、第2の出力端子27を有しているとする(図14(B)参照)。第1のパルス出力回路10_1において、第1の入力端子21に第1のクロック信号CK1が入力され、第2の入力端子22に第2のクロック信号CK2が入力され、第3の入力端子23に第3のクロック信号CK3が入力され、第4の入力端子24にスタートパルスが入力され、第5の入力端子25に後段信号OUT(3)が入力され、第1の出力端子26より第1の出力信号OUT(1)(SR)が出力され、第2の出力端子27より第2の出力信号OUT(1)が出力されていることとなる。
【0360】
なお第1のパルス出力回路10_1〜第Nのパルス出力回路10_Nは、3端子の薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistorともいう)の他に、上記実施の形態で説明した4端子の薄膜トランジスタを用いることができる。なお、本明細書において、薄膜トランジスタが半導体層を介して二つのゲート電極を有する場合、半導体層より下方のゲート電極を下方のゲート電極、半導体層に対して上方のゲート電極を上方のゲート電極とも呼ぶ。
【0361】
酸化物半導体を薄膜トランジスタのチャネル形成領域を含む半導体層に用いた場合、製造工程により、しきい値電圧がマイナス側、或いはプラス側にシフトすることがある。そのため、チャネル形成領域を含む半導体層に酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタでは、しきい値電圧の制御を行うことのできる構成が好適である。4端子の薄膜トランジスタのしきい値電圧は、上方及び/または下方のゲート電極の電位を制御することにより所望の値に制御することができる。
【0362】
次に、図14(B)に示したパルス出力回路の具体的な回路構成の一例について、図14(C)で説明する。
【0363】
図14(C)に示したパルス出力回路は、第1のトランジスタ31〜第13のトランジスタ43を有している。また、上述した第1の入力端子21〜第5の入力端子25、に加え、第1の高電源電位VDDが供給される電源線51、第2の高電源電位VCCが供給される電源線52、低電源電位VSSが供給される電源線53から、第1のトランジスタ31〜第13のトランジスタ43に信号、または電源電位が供給される。また、第1の出力端子26及び第2の出力端子27へ信号等が出力される。ここで、図14(C)における各電源線の電源電位の大小関係は、第1の電源電位VDDは第2の電源電位VCC以上の電位とし、第2の電源電位VCCは第3の電源電位VSSより大きい電位とする。なお、第1のクロック信号(CK1)〜第4のクロック信号(CK4)は、一定の間隔でHレベルとLレベルを繰り返す信号であるが、HレベルのときVDD、LレベルのときVSSであるとする。なお電源線51の電位VDDを、電源線52の電位VCCより高くすることにより、動作に影響を与えることなく、トランジスタのゲート電極に印加される電位を低く抑えることができ、トランジスタのしきい値のシフトを低減し、劣化を抑制することができる。なお、第1のトランジスタ31〜第13のトランジスタ43のうち、第1のトランジスタ31、第6のトランジスタ36乃至第9のトランジスタ39には、4端子の薄膜トランジスタを用いることが好ましい。第1のトランジスタ31、第6のトランジスタ36乃至第9のトランジスタ39は、ソースまたはドレインとなる電極の一方が接続されたノードの電位を、ゲート電極の制御信号によって切り替えることが求められるトランジスタであり、ゲート電極に入力される制御信号に対する応答が速い(オン電流の立ち上がりが急峻)ことによりパルス出力回路の誤動作を低減することができるトランジスタである。そのため、4端子の薄膜トランジスタを用いることによりしきい値電圧を制御することができ、誤動作がより低減できるパルス出力回路とすることができる。
【0364】
図14(C)において、第1のトランジスタ31は、第1端子が電源線51に電気的に接続され、第2端子が第9のトランジスタ39の第1端子に電気的に接続され、ゲート電極(下方のゲート電極及び上方のゲート電極)が第4の入力端子24に電気的に接続されている。第2のトランジスタ32は、第1端子が電源線53に電気的に接続され、第2端子が第9のトランジスタ39の第1端子に電気的に接続され、ゲート電極が第4のトランジスタ34のゲート電極に電気的に接続されている。第3のトランジスタ33は、第1端子が第1の入力端子21に電気的に接続され、第2端子が第1の出力端子26に電気的に接続されている。第4のトランジスタ34は、第1端子が電源線53に電気的に接続され、第2端子が第1の出力端子26に電気的に接続されている。第5のトランジスタ35は、第1端子が電源線53に電気的に接続され、第2端子が第2のトランジスタ32のゲート電極及び第4のトランジスタ34のゲート電極に電気的に接続され、ゲート電極が第4の入力端子24に電気的に接続されている。第6のトランジスタ36は、第1端子が電源線52に電気的に接続され、第2端子が第2のトランジスタ32のゲート電極及び第4のトランジスタ34のゲート電極に電気的に接続され、ゲート電極(下方のゲート電極及び上方のゲート電極)が第5の入力端子25に電気的に接続されている。第7のトランジスタ37は、第1端子が電源線52に電気的に接続され、第2端子が第8のトランジスタ38の第2端子に電気的に接続され、ゲート電極(下方のゲート電極及び上方のゲート電極)が第3の入力端子23に電気的に接続されている。第8のトランジスタ38は、第1端子が第2のトランジスタ32のゲート電極及び第4のトランジスタ34のゲート電極に電気的に接続され、ゲート電極(下方のゲート電極及び上方のゲート電極)が第2の入力端子22に電気的に接続されている。第9のトランジスタ39は、第1端子が第1のトランジスタ31の第2端子及び第2のトランジスタ32の第2端子に電気的に接続され、第2端子が第3のトランジスタ33のゲート電極及び第10のトランジスタ40のゲート電極に電気的に接続され、ゲート電極(下方のゲート電極及び上方のゲート電極)が電源線52に電気的に接続されている。第10のトランジスタ40は、第1端子が第1の入力端子21に電気的に接続され、第2端子が第2の出力端子27に電気的に接続され、ゲート電極が第9のトランジスタ39の第2端子に電気的に接続されている。第11のトランジスタ41は、第1端子が電源線53に電気的に接続され、第2端子が第2の出力端子27に電気的に接続され、ゲート電極が第2のトランジスタ32のゲート電極及び第4のトランジスタ34のゲート電極に電気的に接続されている。第12のトランジスタ42は、第1端子が電源線53に電気的に接続され、第2端子が第2の出力端子27に電気的に接続され、ゲート電極が第7のトランジスタ37のゲート電極(下方のゲート電極及び上方のゲート電極)に電気的に接続されている。第13のトランジスタ43は、第1端子が電源線53に電気的に接続され、第2端子が第1の出力端子26に電気的に接続され、ゲート電極が第7のトランジスタ37のゲート電極(下方のゲート電極及び上方のゲート電極)に電気的に接続されている。
【0365】
図14(C)において、第3のトランジスタ33のゲート電極、第10のトランジスタ40のゲート電極、及び第9のトランジスタ39の第2端子の接続箇所をノードAとする。また、第2のトランジスタ32のゲート電極、第4のトランジスタ34のゲート電極、第5のトランジスタ35の第2端子、第6のトランジスタ36の第2端子、第8のトランジスタ38の第1端子、及び第11のトランジスタ41のゲート電極の接続箇所をノードBとする。
【0366】
図15(A)に、図14(C)で説明したパルス出力回路を第1のパルス出力回路10_1に適用した場合に、第1の入力端子21乃至第5の入力端子25と第1の出力端子26及び第2の出力端子27に入力または出力される信号を示している。
【0367】
具体的には、第1の入力端子21に第1のクロック信号CK1が入力され、第2の入力端子22に第2のクロック信号CK2が入力され、第3の入力端子23に第3のクロック信号CK3が入力され、第4の入力端子24にスタートパルス(SP1)が入力され、第5の入力端子25に後段信号OUT(3)が入力され、第1の出力端子26より第1の出力信号OUT(1)(SR)が出力され、第2の出力端子27より第2の出力信号OUT(1)が出力される。
【0368】
なお、薄膜トランジスタとは、ゲートと、ドレインと、ソースとを含む少なくとも三つの端子を有する素子である。また、ゲートと重畳した領域にチャネル領域が形成される半導体を有しており、ゲートの電位を制御することで、チャネル領域を介してドレインとソースの間に流れる電流を制御することが出来る。ここで、ソースとドレインとは、薄膜トランジスタの構造や動作条件等によって変わるため、いずれがソースまたはドレインであるかを限定することが困難である。そこで、ソース及びドレインとして機能する領域を、ソースもしくはドレインと呼ばない場合がある。その場合、一例としては、それぞれを第1端子、第2端子と表記する場合がある。
【0369】
なお図14(C)、図15(A)において、ノードAを浮遊状態とすることによりブートストラップ動作を行うための、容量素子を別途設けても良い。またノードBの電位を保持するため、一方の電極をノードBに電気的に接続した容量素子を別途設けてもよい。
【0370】
ここで、図15(A)に示したパルス出力回路を複数具備するシフトレジスタのタイミングチャートについて図15(B)に示す。なおシフトレジスタが走査線駆動回路である場合、図15(B)中の期間61は垂直帰線期間であり、期間62はゲート選択期間に相当する。
【0371】
なお、図15(A)に示すように、ゲート電極に第2の電源電位VCCが印加される第9のトランジスタ39を設けておくことにより、ブートストラップ動作の前後において、以下のような利点がある。
【0372】
ゲート電極に第2の電源電位VCCが印加される第9のトランジスタ39がない場合、ブートストラップ動作によりノードAの電位が上昇すると、第1のトランジスタ31の第2端子であるソースの電位が上昇していき、第1の電源電位VDDより大きくなる。そして、第1のトランジスタ31のソースが第1端子側、即ち電源線51側に切り替わる。そのため、第1のトランジスタ31においては、ゲートとソースの間、ゲートとドレインの間ともに、大きなバイアス電圧が印加されるために大きなストレスがかかり、トランジスタの劣化の要因となりうる。そこで、ゲート電極に第2の電源電位VCCが印加される第9のトランジスタ39を設けておくことにより、ブートストラップ動作によりノードAの電位は上昇するものの、第1のトランジスタ31の第2端子の電位の上昇を生じないようにすることができる。つまり、第9のトランジスタ39を設けることにより、第1のトランジスタ31のゲートとソースの間に印加される負のバイアス電圧の値を小さくすることができる。よって、本実施の形態の回路構成とすることにより、第1のトランジスタ31のゲートとソースの間に印加される負のバイアス電圧も小さくできるため、ストレスによる第1のトランジスタ31の劣化を抑制することができる。
【0373】
なお、第9のトランジスタ39を設ける箇所については、第1のトランジスタ31の第2端子と第3のトランジスタ33のゲートとの間に第1端子と第2端子を介して接続されるように設ける構成であればよい。なお、本実施形態でのパルス出力回路を複数具備するシフトレジスタの場合、走査線駆動回路より段数の多い信号線駆動回路では、第9のトランジスタ39を省略してもよく、トランジスタ数を削減することが利点がある。
【0374】
なお第1のトランジスタ31乃至第13のトランジスタ43の半導体層として、酸化物半導体を用いることにより、薄膜トランジスタのオフ電流を低減すると共に、オン電流及び電界効果移動度を高めることが出来ると共に、劣化の度合いを低減することが出来るため、回路内の誤動作を低減することができる。また酸化物半導体を用いたトランジスタは、アモルファスシリコンを用いたトランジスタに比べ、ゲート電極に高電位が印加されることによるトランジスタの劣化の程度が小さい。そのため、第2の電源電位VCCを供給する電源線に、第1の電源電位VDDを供給しても同様の動作が得られ、且つ回路間を引き回す電源線の数を低減することができるため、回路の小型化を図ることが出来る。
【0375】
なお、第7のトランジスタ37のゲート電極(下方のゲート電極及び上方のゲート電極)に第3の入力端子23によって供給されるクロック信号、第8のトランジスタ38のゲート電極(下方のゲート電極及び上方のゲート電極)に第2の入力端子22によって供給されるクロック信号は、第7のトランジスタ37のゲート電極(下方のゲート電極及び上方のゲート電極)に第2の入力端子22によって供給されるクロック信号、第8のトランジスタ38のゲート電極(下方のゲート電極及び上方のゲート電極)に第3の入力端子23によって供給されるクロック信号となるように、結線関係を入れ替えても同様の作用を奏する。なお、図15(A)に示すシフトレジスタにおいて、第7のトランジスタ37及び第8のトランジスタ38が共にオンの状態から、第7のトランジスタ37がオフ、第8のトランジスタ38がオンの状態、次いで第7のトランジスタ37がオフ、第8のトランジスタ38がオフの状態とすることによって、第2の入力端子22及び第3の入力端子23の電位が低下することで生じる、ノードBの電位の低下が第7のトランジスタ37のゲート電極の電位の低下、及び第8のトランジスタ38のゲート電極の電位の低下に起因して2回生じることとなる。一方、図15(A)に示すシフトレジスタにおいて、第7のトランジスタ37及び第8のトランジスタ38が共にオンの状態から、第7のトランジスタ37がオン、第8のトランジスタ38がオフの状態、次いで、第7のトランジスタ37がオフ、第8のトランジスタ38がオフの状態とすることによって、第2の入力端子22及び第3の入力端子23の電位が低下することで生じるノードBの電位の低下を、第8のトランジスタ38のゲート電極の電位の低下による一回に低減することができる。そのため、第7のトランジスタ37のゲート電極(下方のゲート電極及び上方のゲート電極)に第3の入力端子23からクロック信号CK3が供給され、第8のトランジスタ38のゲート電極(下方のゲート電極及び上方のゲート電極)に第2の入力端子22からクロック信号CK2が供給される結線関係とすることが好適である。なぜなら、ノードBの電位の変動回数が低減され、またノイズを低減することが出来るからである。
【0376】
このように、第1の出力端子26及び第2の出力端子27の電位をLレベルに保持する期間に、ノードBに定期的にHレベルの信号が供給される構成とすることにより、パルス出力回路の誤動作を抑制することができる。
【0377】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0378】
(実施の形態10)
本明細書に開示する発光装置は、さまざまな電子機器(遊技機も含む)に適用することができる。電子機器としては、例えば、テレビジョン装置(テレビ、またはテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。
【0379】
図23(A)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機1100は、筐体1101に組み込まれた表示部1102の他、操作ボタン1103、外部接続ポート1104、スピーカー1105、マイク1106などを備えている。
【0380】
図23(A)に示す携帯電話機1100は、表示部1102を指などで触れることで、情報を入力ことができる。また、電話を掛ける、或いはメールを打つなどの操作は、表示部1102を指などで触れることにより行うことができる。
【0381】
表示部1102の画面は主として3つのモードがある。第1は、画像の表示を主とする表示モードであり、第2は、文字等の情報の入力を主とする入力モードである。第3は表示モードと入力モードの2つのモードが混合した表示+入力モードである。
【0382】
例えば、電話を掛ける、或いはメールを作成する場合は、表示部1102を文字の入力を主とする文字入力モードとし、画面に表示させた文字の入力操作を行えばよい。この場合、表示部1102の画面のほとんどにキーボードまたは番号ボタンを表示させることが好ましい。
【0383】
また、携帯電話機1100内部に、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサを有する検出装置を設けることで、携帯電話機1100の向き(縦か横か)を判断して、表示部1102の画面表示を自動的に切り替えるようにすることができる。
【0384】
また、画面モードの切り替えは、表示部1102を触れること、又は筐体1101の操作ボタン1103の操作により行われる。また、表示部1102に表示される画像の種類によって切り替えるようにすることもできる。例えば、表示部に表示する画像信号が動画のデータであれば表示モード、テキストデータであれば入力モードに切り替える。
【0385】
また、入力モードにおいて、表示部1102の光センサで検出される信号を検知し、表示部1102のタッチ操作による入力が一定期間ない場合には、画面のモードを入力モードから表示モードに切り替えるように制御してもよい。
【0386】
表示部1102は、イメージセンサとして機能させることもできる。例えば、表示部1102に掌や指を触れることで、掌紋、指紋等を撮像することで、本人認証を行うことができる。また、表示部に近赤外光を発光するバックライトまたは近赤外光を発光するセンシング用光源を用いれば、指静脈、掌静脈などを撮像することもできる。
【0387】
表示部1102に実施の形態1乃至9に示す発光装置を用いるため信頼性を高くすることができる。
【0388】
図23(B)は携帯型情報端末の一例である。図23(B)を一例とした携帯型情報端末は、複数の機能を備えることができる。例えば電話機能に加えて、コンピュータを内蔵し、様々なデータ処理機能を備えることもできる。
【0389】
図23(B)に示す携帯型情報端末は、筐体1800及び筐体1801の二つの筐体で構成されている。筐体1801には、表示パネル1802、スピーカー1803、マイクロフォン1804、ポインティングデバイス1806、カメラ用レンズ1807、外部接続端子1808などを備え、筐体1800には、キーボード1810、外部メモリスロット1811などを備えている。また、アンテナは筐体1800または1801内部に内蔵されている。
【0390】
また、表示パネル1802はタッチパネルを備えており、図23(B)には映像表示されている複数の操作キー1805を点線で示している。
【0391】
また、上記構成に加えて、非接触ICチップ、小型記録装置などを内蔵していてもよい。
【0392】
発光装置は、表示パネル1802に用いることができ、使用形態に応じて表示の方向が適宜変化する。また、表示パネル1802と同一面上にカメラ用レンズ1807を備えているため、テレビ電話が可能である。スピーカー1803及びマイクロフォン1804は音声通話に限らず、テレビ電話、録音、再生などが可能である。さらに、筐体1800と筐体1801は、スライドし、図23(B)のように展開している状態から重なり合った状態とすることができ、携帯に適した小型化が可能である。
【0393】
外部接続端子1808はACアダプタ及びUSBケーブルなどの各種ケーブルと接続可能であり、充電及びパーソナルコンピュータなどとのデータ通信が可能である。また、外部メモリスロット1811に記録媒体を挿入し、より大量のデータ保存及び移動に対応できる。
【0394】
また、上記機能に加えて、赤外線通信機能、テレビ受信機能などを備えたものであってもよい。
【0395】
図24(A)は、テレビジョン装置の一例を示している。テレビジョン装置9600は、筐体9601に表示部9603が組み込まれている。表示部9603により、映像を表示することが可能である。また、ここでは、スタンド9605により筐体9601を支持した構成を示している。
【0396】
テレビジョン装置9600の操作は、筐体9601が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機9610により行うことができる。リモコン操作機9610が備える操作キー9609により、チャンネルや音量の操作を行うことができ、表示部9603に表示される映像を操作することができる。また、リモコン操作機9610に、当該リモコン操作機9610から出力する情報を表示する表示部9607を設ける構成としてもよい。
【0397】
なお、テレビジョン装置9600は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0398】
表示部9603には、実施の形態1乃至9に示す発光装置を用いるため信頼性を高くすることができる。
【0399】
図24(B)は、デジタルフォトフレーム9700の一例を示している。例えば、デジタルフォトフレーム9700は、筐体9701に表示部9703が組み込まれている。表示部9703は、各種画像を表示することが可能であり、例えばデジタルカメラなどで撮影した画像データを表示させることで、通常の写真立てと同様に機能させることができる。
【0400】
表示部9703には、実施の形態1乃至9に示す発光装置を用いるため信頼性を高くすることができる。
【0401】
なお、デジタルフォトフレーム9700は、操作部、外部接続用端子(USB端子、USBケーブルなどの各種ケーブルと接続可能な端子など)、記録媒体挿入部などを備える構成とする。これらの構成は、表示部と同一面に組み込まれていてもよいが、側面や裏面に備えるとデザイン性が向上するため好ましい。例えば、デジタルフォトフレームの記録媒体挿入部に、デジタルカメラで撮影した画像データを記憶したメモリを挿入して画像データを取り込み、取り込んだ画像データを表示部9703に表示させることができる。
【0402】
また、デジタルフォトフレーム9700は、無線で情報を送受信できる構成としてもよい。無線により、所望の画像データを取り込み、表示させる構成とすることもできる。
【0403】
図25は携帯型遊技機であり、筐体9881と筐体9891の2つの筐体で構成されており、連結部9893により、開閉可能に連結されている。筐体9881には表示部9882が組み込まれ、筐体9891には表示部9883が組み込まれている。
【0404】
表示部9882および9883には、実施の形態1乃至9に示す発光装置を用いるため信頼性を高くすることができる。
【0405】
また、図25に示す携帯型遊技機は、その他、スピーカー部9884、記録媒体挿入部9886、LEDランプ9890、入力手段(操作キー9885、接続端子9887、センサ9888(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン9889)等を備えている。もちろん、携帯型遊技機の構成は上述のものに限定されず、少なくとも本明細書に開示する薄膜トランジスタを備えた構成であればよく、その他付属設備が適宜設けられた構成とすることができる。図25に示す携帯型遊技機は、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出して表示部に表示する機能や、他の携帯型遊技機と無線通信を行って情報を共有する機能を有する。なお、図25に示す携帯型遊技機が有する機能はこれに限定されず、様々な機能を有することができる。
【0406】
図26は、上記実施の形態を適用して形成される発光装置を、室内の照明装置3001として用いた例である。上記実施の形態で示した発光装置は大面積化も可能であるため、大面積の照明装置として用いることができる。また、上記実施の形態2で示した発光装置は、卓上照明器具3000として用いることも可能である。なお、照明器具には天井固定型の照明器具、卓上照明器具の他にも、壁掛け型の照明器具、車内用照明、誘導灯なども含まれる。
【0407】
以上のように、実施の形態1乃至9で示した発光装置は、上記のような様々な電子機器の表示パネルに配置することができ、信頼性の高い電子機器を提供することができる。
【符号の説明】
【0408】
10 パルス出力回路
11 配線
12 配線
13 配線
14 配線
15 配線
21 入力端子
22 入力端子
23 入力端子
24 入力端子
25 入力端子
26 出力端子
27 出力端子
31 トランジスタ
32 トランジスタ
33 トランジスタ
34 トランジスタ
35 トランジスタ
36 トランジスタ
37 トランジスタ
38 トランジスタ
39 トランジスタ
40 トランジスタ
41 トランジスタ
42 トランジスタ
43 トランジスタ
51 電源線
52 電源線
53 電源線
100 基板
101 ゲート電極層
102 ゲート絶縁層
103 酸化物半導体層
106 保護絶縁層
107 酸化物絶縁膜
108 容量配線層
109 保護絶縁層
110 電極層
111 導電層
112 導電層
113 端子電極
116 チャネル形成領域
118 コンタクトホール
119 コンタクトホール
120 接続電極
121 端子
122 端子
125 コンタクトホール
126 コンタクトホール
127 コンタクトホール
128 端子電極
129 端子電極
130 酸化物半導体膜
131 酸化物半導体層
133 酸化物半導体層
134 酸化物半導体層
137 レジストマスク
138 酸化物導電層
140 酸化物導電膜
142 酸化物導電層
143 酸化物導電層
145 配線層
146 容量
147 容量
149 容量電極層
150 端子
151 端子
153 接続電極
155 導電膜
156 電極
161 ゲート電極層
162 導電層
163 酸化物半導体層
166 チャネル形成領域
168 酸化物半導体層
170 薄膜トランジスタ
171 薄膜トランジスタ
172 薄膜トランジスタ
173 薄膜トランジスタ
180 薄膜トランジスタ
181 薄膜トランジスタ
182 薄膜トランジスタ
183 薄膜トランジスタ
185 容量電極層
191 カラーフィルタ層
192 オーバーコート層
193 隔壁
194 EL層
195 電極層
196 接続電極層
198 酸化物半導体層
1001 電極
1002 電極
1003 EL層
1004 電荷発生層
104a 酸化物導電層
104b 酸化物導電層
105a ソース電極層
105b ドレイン電極層
1100 携帯電話機
1101 筐体
1102 表示部
1103 操作ボタン
1104 外部接続ポート
1105 スピーカー
1106 マイク
117a 高抵抗ソース領域
117b 高抵抗ドレイン領域
135a レジストマスク
136a レジストマスク
164a 酸化物導電層
164b 酸化物導電層
165a ソース電極層
165b ドレイン電極層
167a 高抵抗ソース領域
167b 高抵抗ドレイン領域
1800 筐体
1801 筐体
1802 表示パネル
1803 スピーカー
1804 マイクロフォン
1805 操作キー
1806 ポインティングデバイス
1807 カメラ用レンズ
1808 外部接続端子
1810 キーボード
1811 外部メモリスロット
3000 卓上照明器具
3001 照明装置
4501 基板
4502 画素部
4505 シール材
4506 基板
4507 充填材
4509 薄膜トランジスタ
4510 薄膜トランジスタ
4511 発光素子
4512 電界発光層
4513 電極層
4515 接続端子電極
4516 端子電極
4517 電極層
4519 異方性導電膜
4520 隔壁
4540 導電層
4542 酸化物絶縁層
4543 オーバーコート層
4544 絶縁層
4545 カラーフィルタ層
4546 絶縁層
5300 基板
5301 画素部
5302 走査線駆動回路
5303 走査線駆動回路
5304 信号線駆動回路
5305 タイミング制御回路
5601 シフトレジスタ
5602 スイッチング回路
5603 薄膜トランジスタ
5604 配線
5605 配線
6400 画素
6401 スイッチング用トランジスタ
6402 トランジスタ
6403 容量素子
6404 発光素子
6405 信号線
6406 走査線
6407 電源線
6408 共通電極
7001 TFT
7002 発光素子
7003 電極層
7004 EL層
7005 電極層
7009 隔壁
7011 駆動用TFT
7012 発光素子
7013 電極層
7014 EL層
7015 電極層
7016 遮蔽膜
7017 導電膜
7019 隔壁
7021 駆動用TFT
7022 発光素子
7023 電極層
7024 EL層
7025 電極層
7026 電極層
7027 導電膜
7029 隔壁
7031 酸化物絶縁層
7032 保護絶縁層
7033 カラーフィルタ層
7034 オーバーコート層
7035 保護絶縁層
7041 酸化物絶縁層
7042 保護絶縁層
7043 カラーフィルタ層
7044 オーバーコート層
7045 保護絶縁層
7051 酸化物絶縁層
7052 保護絶縁層
7053 平坦化絶縁層
7055 保護絶縁層
9600 テレビジョン装置
9601 筐体
9603 表示部
9605 スタンド
9607 表示部
9609 操作キー
9610 リモコン操作機
9700 デジタルフォトフレーム
9701 筐体
9703 表示部
9881 筐体
9882 表示部
9883 表示部
9884 スピーカー部
9885 操作キー
9886 記録媒体挿入部
9887 接続端子
9888 センサ
9889 マイクロフォン
9890 LEDランプ
9891 筐体
4503a 信号線駆動回路
4504a 走査線駆動回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一基板上に駆動回路用トランジスタを含む駆動回路部と、画素用トランジスタを含む画素部とを有し、
前記駆動回路用トランジスタ及び前記画素用トランジスタはゲート電極層と、前記ゲート電極層上のゲート絶縁層と、前記ゲート絶縁層上の酸化物半導体層と、前記酸化物半導体層上のソース電極層及びドレイン電極層と、前記酸化物半導体層、前記ソース電極層及びドレイン電極層上に前記酸化物半導体層の一部と接する酸化物絶縁層を有し、
前記画素部において前記酸化物絶縁層上にカラーフィルタ層、前記カラーフィルタ層上に前記画素用トランジスタと電気的に接続する第1の電極層、EL層、第2の電極層の積層が設けられ、
前記駆動回路用トランジスタにおいて、前記酸化物絶縁層上に前記ゲート電極層及び前記酸化物半導体層と重なる導電層が設けられ、
前記ゲート電極層、前記ソース電極層及び前記ドレイン電極層は金属導電膜であることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
請求項1において、前記導電層は前記第1の電極層と同工程で形成される透光性の導電膜であることを特徴とする発光装置。
【請求項3】
同一基板上に駆動回路用トランジスタを含む駆動回路部と、画素用トランジスタを含む画素部とを有し、
前記駆動回路用トランジスタ及び前記画素用トランジスタはゲート電極層と、前記ゲート電極層上のゲート絶縁層と、前記ゲート絶縁層上の酸化物半導体層と、前記酸化物半導体層上のソース電極層及びドレイン電極層と、前記酸化物半導体層、前記ソース電極層及びドレイン電極層上に前記酸化物半導体層の一部と接する酸化物絶縁層を有し、
前記画素部において前記酸化物絶縁層上にカラーフィルタ層、前記カラーフィルタ層上に前記画素用トランジスタと接続電極層を介して電気的に接続する第1の電極層、EL層、第2の電極層の積層が設けられ、
前記駆動回路用トランジスタにおいて、前記酸化物絶縁層上に前記ゲート電極層及び前記酸化物半導体層と重なる導電層が設けられ、
前記ゲート電極層、前記ソース電極層及び前記ドレイン電極層は金属導電膜であることを特徴とする発光装置。
【請求項4】
請求項3において、前記導電層は前記接続電極層と同工程で形成される金属導電膜であることを特徴とする発光装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項において、前記酸化物半導体層と前記ソース電極層との間、及び前記酸化物半導体層と前記ドレイン電極層との間にそれぞれ酸化物導電層を有することを特徴とする発光装置。
【請求項6】
駆動回路部及び画素部を含む絶縁表面を有する基板上に金属導電膜を用いてゲート電極層を形成し、
前記ゲート電極層上にゲート絶縁層を形成し、
前記ゲート絶縁層上に酸化物半導体層を形成し、
前記酸化物半導体層を脱水化または脱水素化した後、大気に触れることなく、前記酸化物半導体層への水や水素の再混入を防ぎ、
前記酸化物半導体層上に金属導電膜を用いてソース電極層及びドレイン電極層を形成し、
前記酸化物半導体層、前記ソース電極層及び前記ドレイン電極層上に、前記酸化物半導体層の一部と接する酸化物絶縁層を形成して前記駆動回路部に駆動回路用トランジスタ、及び前記画素部に画素用トランジスタを形成し、
前記画素部において前記酸化物絶縁層上にカラーフィルタ層を形成し、
前記カラーフィルタ層上に前記画素用トランジスタと電気的に接続する第1の電極層を形成し、
前記第1の電極層上にEL層、前記EL層上に第2の電極層を形成し、
前記駆動回路部において、前記駆動回路用トランジスタの前記ゲート電極層及び前記酸化物半導体層と重なる前記酸化物絶縁層上に、前記第1の電極層と同工程で導電層を形成することを特徴とする発光装置の作製方法。
【請求項7】
駆動回路部及び画素部を含む絶縁表面を有する基板上に金属導電膜を用いてゲート電極層を形成し、
前記ゲート電極層上にゲート絶縁層を形成し、
前記ゲート絶縁層上に酸化物半導体層を形成し、
前記酸化物半導体層を脱水化または脱水素化した後、大気に触れることなく、前記酸化物半導体層への水や水素の再混入を防ぎ、
前記酸化物半導体層上に金属導電膜を用いてソース電極層及びドレイン電極層を形成し、
前記酸化物半導体層、前記ソース電極層及び前記ドレイン電極層上に、前記酸化物半導体層の一部と接する酸化物絶縁層を形成して前記駆動回路部に駆動回路用トランジスタ、及び前記画素部に画素用トランジスタを形成し、
前記画素部において前記酸化物絶縁層上にカラーフィルタ層を形成し、
前記カラーフィルタ層上に前記画素用トランジスタと接続電極層を介して電気的に接続する第1の電極層を形成し、
前記第1の電極層上にEL層、前記EL層上に第2の電極層を形成し、
前記駆動回路部において、前記駆動回路用トランジスタの前記ゲート電極層及び前記酸化物半導体層と重なる前記酸化物絶縁層上に、前記接続電極層と同工程で導電層を形成することを特徴とする発光装置の作製方法。
【請求項8】
請求項6又は請求項7において、前記酸化物半導体層と前記ソース電極層との間、及び前記酸化物半導体層と前記ドレイン電極層との間にそれぞれ酸化物導電層を形成することを特徴とする発光装置の作製方法。
【請求項9】
請求項6乃至8のいずれか一項において、前記酸化物絶縁層は、スパッタリング法で形成される酸化珪素膜、または、酸化アルミニウム膜を用いることを特徴とする発光装置の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2011−77512(P2011−77512A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196573(P2010−196573)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】